JP5312358B2 - 電子部品搭載用パッケージおよびそれを用いた電子装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光通信分野等に用いられる光半導体素子等の電子部品を収納するための電子部品搭載用パッケージおよびそれを用いた電子装置に関する。
近年、40km以下の伝送距離における高速通信に対する需要が急激に増加しており、高速大容量の情報伝送に関する研究開発が進められている。とりわけ、光通信装置を用いて光信号を受発信する半導体装置等の電子装置の高速化が注目されており、電子装置による光信号の高出力化および高速化が伝送容量を向上させるための課題として研究開発されている。
従来の半導体装置に代表される電子装置の光出力は0.2〜0.5mW程度であり、電子部品として用いられる半導体素子の駆動電力は5mW程度であった。しかし、より大出力の半導体装置では、光出力が1mWのレベルになってきており、また、半導体素子の駆動電力も10mW以上が要求されている。さらに、従来の半導体装置による伝送速度は2.5〜10G
bps(Giga bit per second)程度であったが、近年では25〜40Gbps程度まで向上
してきており、半導体装置をより高出力化させ、高速化させることが要求されている。
従来の光通信装置に用いられているLD(Laser Diode:レーザダイオード)やPD(Photo Diode:フォトダイオ−ド)等の光半導体素子を含む電子部品を搭載する電子部品搭載用パッケージの例を図10に断面図で示す。
図10に示す従来の電子部品搭載用パッケージは、上面に電子部品25の搭載部21aを有する鉄(Fe)−ニッケル(Ni)−コバルト(Co)合金や鉄(Fe)−マンガン(Mn)合金等の金属から成る円板状の基体21と、基体21の上面から下面に形成された直径が0.5〜2mmの貫通孔22の中心部に挿通されるとともに、少なくとも下端部が貫通孔22から
突出するように封止材23を介して固定された信号端子24とを具備しているものであった。信号端子24の固定はホウケイ酸等を主成分とする絶縁ガラスから成る封止材23を介して行なわれ、封止材23によって基体21と信号端子24とが電気的に絶縁されている。また、基体21の下面には、2つの貫通孔22・22の間に接地端子28が接続されている。この電子部品搭載用パッケージの搭載部21aに必要に応じて回路基板25aを介して電子部品25を搭載し、電子部品搭載用パッケージの信号端子24の上端部と電子部品25の端子とを回路基板25aを介して電気的に接続し、基体21の上面の外周領域に、電子部品25を覆うようにFe−Ni−Co合金等の金属から成る蓋体26をYAGレーザ溶接,シーム溶接等の溶接またはろう接により接合して気密封止することにより、電子装置としていた。また、この蓋体26の電子部品25と対向する部分に光ファイバを固定したり、電子部品25と対向する部分に光を透過させる窓を設けたりすることもある(例えば、特許文献1を参照。)。
また、伝送速度が10Gbps以下の場合は、周辺部品のインピーダンスは25Ωで形成されていたが、高周波化が進むにつれ、周辺部品のインピーダンスが50Ωで形成されるようになっているため、高周波の通る信号端子24のインピーダンスを50Ωにマッチングさせようとすると、貫通孔22の径が、インピーダンスを従来の25Ωで設計した場合に対してほぼ2倍となることがわかっている。25Gbps以上の高周波信号で駆動される電子部品25を搭載し、インピーダンスを50Ωにマッチングさせるために信号端子24の通る貫通孔22の径を大きくすると、蓋体26をYAGレーザ溶接,シーム溶接またはろう接等の接合方法で気密封着した場合に、気密不良が発生しやすくなるという問題点があった。これは、貫通孔22の径が大きくなることで蓋体接合部21bと貫通孔22との距離が近付いたので、例えばシ
ーム溶接の場合は主に機械的衝撃が、ろう接の場合は基体21と蓋体26との熱膨張係数の差による熱応力が蓋体接合部21bに加わり、これが貫通孔22へ伝わることにより、貫通孔22内の封止材23にクラックが発生したり、貫通孔22の内壁と封止材23との間や信号端子24と封止材23との間に剥がれが発生したりしてしまうためであると考えられる。また、シーム溶接やYAGレーザ溶接の場合は急激に高温に加熱され、蓋体接合部21bから貫通孔22までの距離が短いとその間で熱が拡散しないので貫通孔22の内面もすぐに高温になるのに対して、金属製の基体21に対して熱伝導率の小さいガラス製の封止材23は温度が上昇するのに時間がかかり、両者の間で熱膨張差が生じて貫通孔22の内壁と封止材23との間や信号端子24と封止材23との間に剥がれが発生してしまうと考えられる。
このような問題に対して、蓋体接合部21bから封止材23までの距離を大きくするために、図11(a)に要部を拡大して示すように貫通孔22の蓋体接合部21bに近い上面側の径を小さくしたり、図11(b)に示すように封止材23を貫通孔22の下側のみに配置したりするという構成が考えられる(例えば、特許文献2および特許文献3を参照。)。さらには、このような構成では、貫通孔22の径が小さい部分や封止材23のない部分においてインピーダンスが整合しなくなってしまうので、図11(c)に示すように封止材23を下面側のみに配置し、上面側は径を小さくしてインピーダンスを整合させたエアー同軸とする構成とすることが考えられる(例えば、特許文献4を参照。)。
特開平8−130266号公報 特開2008−130834号公報 特開2007−88233号公報 特開平6−338709号公報
しかしながら、貫通孔22は大径部と小径部を有することから、大径部の小径部側には信号端子24の長さ方向に対して垂直な段差面を有するものとなる。通常は信号端子24と信号端子24の外面に平行な大径部の内面との間の結合量によりインピーダンスを整合させるが、大径部の小径部側においては段差面との距離が短く、信号端子24と段差面との間でも結合するので、この部分ではインピーダンスが小さくなってしまうという問題点があった。
本発明は上記従来の問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、特性インピーダンスを大きくして高周波信号を伝送するために信号端子を固定する貫通孔を大きくしても、気密不良が発生しない電子部品搭載用パッケージおよびそれを用いた電子装置を提供することにある。
本発明の電子部品搭載用パッケージは、上面の外周領域に溶接またはろう接により蓋体を接合する蓋体接合部を有するとともに、該蓋体接合部の内側領域に、上面に電子部品の搭載部を、および上面から下面にかけて貫通する複数の貫通孔を有する基体と、前記貫通孔に充填された封止材を貫通して固定された信号端子とを具備した電子部品搭載用パッケージであって、前記貫通孔は前記基体の下面側の大径部と上面側の小径部とを有しており、前記封止材は前記貫通孔の大径部に前記小径部側の段差面との間に隙間を設けて充填されており、前記小径部の内面と前記信号端子との間に、前記封止材の比誘電率より低い比誘電率である絶縁性部材が配置されていることを特徴とするものである。
また、本発明の電子部品搭載用パッケージは、上記構成において、前記段差面が前記大径部から前記小径部に向かって傾斜していることを特徴とするものである。
本発明の電子装置は、上記各構成の本発明の電子部品搭載用パッケージの前記搭載部に電子部品を搭載するとともに、前記基体の前記蓋体接合部に蓋体を接合したことを特徴とするものである。
本発明の電子部品搭載用パッケージによれば、貫通孔は基体の下面側の大径部と上面側の小径部とを有しており、封止材は貫通孔の大径部に小径部側の段差面との間に隙間を設けて充填されていることから、蓋体を基体の上面の外周部の蓋体接合部に溶接またはろう接により接合したとしても、蓋体接合部と封止材との間の距離が大きいので、接合時の衝撃や接合後の熱応力が基体の蓋体接合部と封止材との間の部分によって緩和され、また、この部分により蓋体接合部で発生した熱が拡散し、貫通孔内の封止材にクラックが入ったり封止材と信号端子や貫通孔の内壁面との間で剥がれが生じたりすることがなく、気密性が損なわれることのない高信頼性の電子装置を得ることができる。また、信号端子と段差面との間の隙間には比誘電率の小さい空気が存在することから、これらの間の電磁結合が小さくなり、信号端子と信号端子の外面に平行な大径部の内面との間の電磁結合がほとんどとなるので、大径部の封止材が充填された部分において、その長さ方向でインピーダンスの整合していない部分が短くなって、高周波信号の伝送特性が向上する。
また、本発明の電子部品搭載用パッケージによれば、上記構成において、段差面が大径部から小径部に向かって傾斜しているときには、貫通孔の径が大径から小径に急激に変化することがないので、インピーダンスも急激に変化せず、高周波信号の伝送特性がより向上する。
また、本発明の電子部品搭載用パッケージによれば、上記各構成において、小径部の内面と信号端子との間に絶縁性部材が配置されているときには、貫通孔への信号端子の封止材による固定時に信号端子の位置がずれて信号端子と小径部との相対位置がずれたり、信号端子と回路基板との接合時等の電子部品搭載用パッケージの組み立て時に信号端子と小径部の相対位置がずれたり、組み立て時の取り扱いによって信号端子が変形するなどして小径部内における信号端子の位置がずれたりしても、小径部の内面と信号端子との間に絶縁性部材が配置されていることによって信号端子と小径部の内面(基体)とが接触することがなく、絶縁性が保たれるので、より高信頼性の半導体素子収納用パッケージとなる。
本発明の電子装置によれば、上記構成の本発明の電子部品搭載用パッケージの搭載部に電子部品を搭載するとともに、基体の蓋体接合部に蓋体を接合したことから、貫通孔の、信号端子が封止材により固定された部分の径が大きい場合であっても、封止材が蓋体接合部から離れていることにより、蓋体を基板の上面の外周部に溶接またはろう接により接合したときの衝撃や接合後の熱応力により気密性が損なわれることがないので、気密性に優れた高信頼性の電子装置となる。
本発明の電子部品搭載用パッケージの実施の形態の一例を示す斜視図である。 本発明の電子部品搭載用パッケージの実施の形態の他の例を示す斜視図である。 本発明の電子部品搭載用パッケージの実施の形態の他の例を示す断面図である。 本発明の電子部品搭載用パッケージの実施の形態の他の例を示す断面図である。 (a)は本発明の電子部品搭載用パッケージの実施の形態の他の例を示す断面図、(b)は下面図である。 (a)は本発明の電子部品搭載用パッケージの実施の形態の他の例を示す断面図、(b)は下面図である。 本発明の電子部品搭載用パッケージの実施の形態の他の例を示す断面図である。 本発明の電子部品搭載用パッケージの実施の形態の他の例を示す断面図である。 本発明の電子部品搭載用パッケージの実施の形態の他の例を示す断面図である。 従来の電子部品搭載用パッケージの例を示す断面図である。 (a)〜(c)は、それぞれ従来の電子部品搭載用パッケージの要部を拡大した断面図である。
本発明の電子部品搭載用パッケージおよびそれを用いた電子装置について、添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。図1および図2は、それぞれ本発明の電子搭載用パッケージの実施の形態の一例および他の例を示す斜視図であり、図3は図2におけるA−A線で切断した断面を示す断面図であり、図4は本発明の電子搭載用パッケージの他の例を示す断面図であり、図5(a)および図6(a)は、それぞれ本発明の電子部品搭載用パッケージの実施の形態のさらに他の例を示す断面図であり、図5(b)および図6(b)は、それぞれ図5(a)および図6(a)の下面を示す下面図である。図7〜図9は、本発明の電子部品搭載用パッケージの実施の形態の他の例を示す断面図である。
図1〜図9において、1は基体、1aは搭載部、1bは蓋体接合部、1cは切欠き、1dは溝、2は貫通孔、2aは貫通孔2の大径部、2bは貫通孔2の小径部、2cは貫通孔2の段差面、3は封止材、4は信号端子、5は電子部品、5aは電子部品を搭載する回路基板、6は蓋体、7はボンディングワイヤ、8は接地端子、9は絶縁性部材である。
図1に示す例では、基体1の上面に直接電子部品5が搭載されて、ボンディングワイヤ7で信号端子4・4の上端部と電子部品5とが接続されている。また図2に示す例では、基体1の上面から突出した突出部を搭載部1aとして、その側面に回路基板5aを介して電子部品5が搭載され、電子部品5はボンディングワイヤ7で回路基板5a上の配線に接続され、さらに信号端子4・4の端部と回路基板5a上の配線とはろう材等の接合材(図示せず)で接続されている。さらに、図3〜図9に示す例のように、破線で示すような蓋体6を蓋体接合部1bに接合することにより、本発明の電子装置が基本的に構成される。
本発明の電子部品搭載用パッケージは、上面の外周領域に溶接またはろう接により蓋体6を接合する蓋体接合部1bを有するとともに、蓋体接合部1bの内側領域に、上面に電子部品5の搭載部1aを、および上面から下面にかけて貫通する複数の貫通孔2・2を有する基体1と、貫通孔2に充填された封止材3を貫通して固定された信号端子4とを具備した電子部品搭載用パッケージであって、貫通孔2は基体1の下面側の大径部2aと上面側の小径部2bとを有しており、封止材3は貫通孔2の大径部2aに小径部2b側の段差面2cとの間に隙間を設けて充填されていることを特徴とするものである。
このような構成としたことから、蓋体6を基体1の上面の外周部の蓋体接合部1bに溶接またはろう接により接合したとしても、蓋体接合部1bと封止材3との間の距離が大きいので、接合時の衝撃や接合後の熱応力が基体1の蓋体接合部1bと封止材3との間の部
分によって緩和される。また、この部分によって蓋体接合部1bで発生した熱が拡散し、貫通孔2の大径部2a内の封止材3にクラックが入ったり封止材3と信号端子4や貫通孔2の内壁面との間で剥がれが生じたりすることがなく、気密性が損なわれることのない高信頼性の電子装置を得ることができる。また、信号端子4と段差面2cとの間の隙間には比誘電率の小さい空気が存在することから、これらの間の電磁結合が小さくなり、信号端子4と信号端子4の外面に平行な大径部2aの内面との間の電磁結合がほとんどとなるので、大径部の封止材3が充填された部分において、その長さ方向でインピーダンスの整合していない部分が短くなって、高周波信号の伝送特性が向上する。
また、本発明の電子部品搭載用パッケージによれば、図4〜図6に示す例のように、上記構成において、段差面2cが大径部2aから小径部2bに向かって傾斜しているときには、貫通孔2の径が大径から小径に急激に変化することがないので、インピーダンスも急激に変化せず、高周波信号の伝送特性がより向上する。
また、本発明の電子部品搭載用パッケージによれば、図7〜図9に示す例のように、上記各構成において、小径部2bの内面と信号端子4との間に絶縁性部材9が配置されているときには、貫通孔2への信号端子4の封止材3による固定時に信号端子4の位置がずれて信号端子4と小径部2bとの相対位置がずれたり、信号端子4と回路基板との接合時等の電子部品搭載用パッケージの組み立て時に信号端子4と小径部2bの相対位置がずれたり、組み立て時の取り扱いによって信号端子4が変形するなどして小径部2b内における信号端子4の位置がずれたりしても、小径部2bの内面と信号端子4との間に絶縁性部材9が配置されていることによって信号端子4と小径部2bの内面(基体1)とが接触することがなく、絶縁性が保たれるので、より高信頼性の半導体素子収納用パッケージとなる。
本発明の電子装置は、上記構成の本発明の電子部品搭載用パッケージの搭載部1aに電子部品5を搭載するとともに、基体1の蓋体接合部1bに蓋体6を接合したことを特徴とするものである。このような構成としたことから、貫通孔2の信号端子4が封止材3により固定された部分の径が大きい場合であっても、封止材3が蓋体接合部1bから離れていることにより、蓋体6を基体1の上面の外周部の蓋体接合部1bに溶接またはろう接により接合したときの衝撃や接合後の熱応力により気密性が損なわれることがないので、気密性に優れた、高信頼性の電子装置となる。
基体1は、上面の中央部に電子部品5の搭載部1aを有するとともに搭載された電子部品5が発生する熱をパッケージの外部に放散する機能を有する。このため、基体1は、熱伝導性の良い金属から成り、搭載される電子部品5やセラミック製の回路基板5aの熱膨張係数に近いものやコストの安いものとして、例えば、Fe−Ni−Co合金やFe−Mn合金等の鉄系の合金や純鉄等の金属が選ばれる。より具体的には、Fe99.6質量%−Mn0.4質量%系のSPC(Steel Plate Cold)材がある。例えば基体1がFe−Mn合金
から成る場合は、このインゴット(塊)に圧延加工や打ち抜き加工等の周知の金属加工方法を施すことによって所定形状に製作され、貫通孔2はドリル加工や金型による打ち抜き加工によって形成される。また、基体1が搭載部1aとして突出部を有する形状の場合は、切削加工やプレス加工することによって形成することができる。
基体1の形状は、通常は厚みが0.5〜2mmの平板状であり、その形状には特に制限は
ないが、例えば直径が3〜10mmの円板状,半径が1.5〜8mmの円周の一部を切り取っ
た半円板状,一辺が3〜15mmの四角板状等である。基体1の厚みは一様でなくてもよく、例えば、基体1の下面側は貫通孔2・2が形成される領域だけが厚みが厚く、基体1の下面の蓋体接合部1bに対向する部分に切欠き1cを設けてこの部分の厚みが薄いものとしてもよい。このようにすると、基体1の上面の蓋体接合部1bで発生した熱が、基体1
の下面の蓋体接合部1bに対向する部分から放熱されやすくなるとともに、蓋体接合部1bで発生した熱の封止材3への最短の伝熱経路(蓋体接合部1bと封止材3とを結ぶ直線)の途中に空気層が形成されるので、蓋体接合部1bから封止材3への伝熱を抑えることができるので好ましい。さらに、例えば図5(a)および(b)に示す例のように、基体1の中心から放射状に延びる線に沿った形状の切欠き1cを形成することによってこの部分の表面を凹凸形状にすると、蓋体接合部1bで発生した熱をより効率よく放熱することができる。
また、図6(a)および(b)に示す例のように、基体1の下面に貫通孔2・2が形成される領域を取り囲むように溝1dを形成してもよい。図6(a)および(b)に示す例のように、蓋体接合部1bで発生した熱の封止材3への最短の伝熱経路(蓋体接合部1bと封止材3とを結ぶ直線)を横切るような溝1dとすると、蓋体接合部1bから封止材3への伝熱を抑えることができるので好ましい。なお、同様の溝1dは基体1の上面に形成してもよい。また、このような溝1dを複数形成することにより下面を凹凸形状にして、下面からの放熱性をより高めるようにしてもよい。
図1〜図9に示す例では、2つの貫通孔2を有する基体1に1個の電子部品5を搭載しているが、複数の電子部品5を搭載したり、電子部品5の数や電子部品5の端子の数に応じて、信号端子4を固定する貫通孔2を3つ以上形成したりしても構わない。
基体1の厚みは0.5mm以上2mm以下が好ましい。厚みが0.5mm未満の場合は、電子部品5を保護するための金属製の蓋体6を金属製の基体1の上面に接合する際に、接合温度等の接合条件により基体1が曲がったりして変形し易くなり、変形により気密性が低下しやすくなる。一方、厚みが2mmを超えると、電子部品搭載用パッケージや電子装置の厚みが不要に厚いものとなり、小型化し難くなる。
基体1の表面には、耐食性に優れ、電子部品5や回路基板5aあるいは蓋体6を接合し固定するためのろう材との濡れ性に優れた、厚さが0.5〜9μmのNi層と厚さが0.5〜5μmのAu層とをめっき法によって順次被着させておくのがよい。これにより、基体1が酸化腐食するのを有効に防止できるとともに電子部品5や回路基板5aあるいは蓋体6を基体1に良好にろう接することができる。
貫通孔2は大径部2aと小径部2bとを有する形状である。図3〜図9に示す例のように、下面側の大径部2aと上面側の小径部2bとが中心を同じくして配置される。そして、2つの貫通孔2・2の大径部2aに封止材3により信号端子4を固定している。これにより、封止材3を蓋体接合部1bからより遠ざけることができ、蓋体接合部1bに発生した熱によって気密性が損なわれる可能性を低減できる。
信号端子4は、一方の端部(上端部)は基体1の上面と面一とするか、あるいは2mm程度まで突出させ、他方の端部(下端部)は基体1の下面から1〜20mm程度突出させて固定される。例えば、図1に示す例のように、信号端子4の上端部と電子部品5(または電子部品5が搭載された回路基板5a)とをボンディングワイヤ7を介して電気的に接続する場合は、信号端子4の上端部は必ずしも基体1の上面から突出していなくてもよい。一方、信号端子4の下端部は、外部電気回路(図示せず)に接続するために基体1の下面から突出しているのが好ましい。例えば、図1または図2に示す例のように、信号端子4の上端部と電子部品5とを電気的に接続するとともに、信号端子4の下端部を外部電気回路(図示せず)に電気的に接続することにより、信号端子4は電子部品5と外部電気回路との間の入出力信号を伝送する機能を果たす。
封止材3は、ガラスやセラミックスなどの絶縁性の無機材料から成り、信号端子4と基
体1との絶縁間隔を確保するとともに、信号端子4を基体1の貫通孔2内に固定する機能を有する。このような封止材3の例としては、ホウケイ酸ガラス,ソーダガラス等のガラスおよびこれらのガラスに封止材3の熱膨張係数や比誘電率を調整するためのセラミックフィラーを加えたものが挙げられ、インピーダンスマッチングのためにその比誘電率を適宜選択する。比誘電率を低下させるフィラーとしては、酸化リチウム等が挙げられる。
貫通孔2の小径部2bの直径は、中心に信号端子4が貫通することで特性インピーダンスが50Ωのエアー同軸が形成されるような寸法とする。例えば、信号端子4の直径が0.2
mmの場合であれば、小径部2bの直径は0.46mmとすればよい。大径部2aの直径は、例えば、信号端子4の外径が同じく0.2mmの場合は、封止材3に比誘電率が6.8であるものを用いると、1.75mmとすることで特性インピーダンスを50Ωとすることができる。また、信号端子4の外径が0.25mmの場合であれば、封止材3に比誘電率が5であるものを用いると、大径部2aの直径は1.65mmにすればよい。また、信号端子4の外径が0.25mmで、封止材3に比誘電率が6.8であるものを用いる場合は、大径部2aの直径は2.2mmにすればよい。
貫通孔2の大径部2aの長さ(深さ)は、信号端子4の基体1への固定強度を高めるためにはより大きくするのが好ましい。
信号端子4は、Fe−Ni−Co合金やFe−Ni合金等の金属から成り、例えば信号端子4がFe−Ni−Co合金から成る場合は、このインゴット(塊)に圧延加工や打ち抜き加工,切削加工等の周知の金属加工方法を施すことによって、長さが1.5〜22mmで
直径が0.1〜1mmの線状に製作される。信号端子4の強度を確保しながらより高いイン
ピーダンスでのマッチングを行ないつつ小型にするには、信号端子4の直径は0.15〜0.25mmが好ましい。信号端子4の直径が0.15mmより細くなると、電子部品搭載用パッケージを実装する場合の取り扱いで信号端子4が曲がりやすくなり、作業性が低下しやすくなる。また、直径が0.25mmより太くなると、インピーダンス整合させた場合の貫通孔2の径が信号端子4の径に伴い大きくなるので、製品の小型化に向かないものとなってしまう。
信号端子4を貫通孔2に充填された封止材3を貫通して固定するには、例えば、封止材3がガラスから成る場合は、まず、周知の粉体プレス法や押し出し成形法を用いてガラス粉末を成形して、内径を信号端子4の外径に合わせ、外径を貫通孔2の大径部2aの径に合わせた筒状の成形体を作製し、この封止材3の成形体の孔に信号端子4を挿通して成形対を型に挿入して、所定の温度に加熱してガラスを溶融させた後、冷却して固化させることにより、信号端子4が固定された所定形状の封止材3を形成しておく。この封止材3を貫通孔2の大径部2aに挿入して、加熱することにより封止材3を大径部2aの内面に接合させる。このときの加熱をガラスが完全に溶融せず、軟化して大径部2aの内面に接合される程度にすることで、段差面2cまでガラスが濡れ拡がることがなく隙間が形成される。これにより、封止材3により貫通孔2が気密に封止されるとともに、封止材3によって信号端子4が基体1と絶縁されて固定され、同軸線路が形成される。あらかじめ封止材3だけを形成しておき、これを大径部2aに挿入するとともに信号端子4も封止材3の孔に挿通し、封止材3と大径部2aの内面および信号端子4の外面との接合を同時に行なってもよい。段差面2cが大径部2aから小径部2bに向かって傾斜している場合は、封止材3を大径部2aに挿入する際に、封止材3の位置決めがそのための治具を用いることなく容易にできる。
あるいは、封止材3の長さで内径が大径部2aと同じである金属製の管状体に封止材3で充填して信号端子4を固定したものを作製し、基体1には小径部2b,隙間となる部分および管状体固定部を有する貫通孔2を形成しておき、信号端子4が封止材3で固定され
た管状体を貫通孔2の管状体固定部に嵌めて導電性の接合材で接合してもよい。
また、基体1を封止材3の上面部分を境に上下に分割して形成しておき、下側の基体の貫通孔2(大径部2a)を封止材3で充填して信号端子4を固定し、はんだ等の気密封着可能な接合材で上側の基体と接合することによって基体1を形成してもよい。このとき封止材3と段差面2cとの隙間は、接合材の厚みを隙間の長さとすることによって形成してもよいし、上側の基体に小径部2bと隙間の長さの大径部2aとを形成しておくことによって形成してもよい。
このインピーダンスの変化を抑えるために、上述したように段差面2cとの間に隙間を設けて封止材3を充填する。隙間を設けることで、信号端子4と段差面2cとの間の比誘電率を小さくして結合を小さくすることができるからである。封止材3と小径部2b側の段差面2cとの間に隙間があればこのような効果が得られるが、例えば直径が0.2mmの
信号端子4に40GHzの信号を伝送させる場合であれば、インピーダンスが50Ωとなる小径部2bの直径は0.46mmであり、小径部2bと信号端子4との距離(隙間の長さ)は0.13mmとなるので、封止材3と小径部2b側の段差面2cとの距離(隙間の長さ)を0.13mm以上とすると、信号端子4と段差面2cとの間の結合を十分小さくすることができる。また、封止材3の段差面2cとの距離が伝送する周波数の波長の1/4以下であれば、インピーダンスの不整合があったとしても信号の反射は発生せず不整合の影響をほとんど受けることがないので、封止材3の段差面2cとの距離が、40GHzの波長の1/4以下である1.8mm以下であれば、隙間の部分が大径のエアー同軸となることによるインピー
ダンスの不整合の影響をほとんど受けることがない。
段差面2cが大径部2aから小径部2bに向かって傾斜しているときには、貫通孔2の径が大径から小径に急激に変化することがないので、インピーダンスも急激に変化せず、隙間の部分の平均の径が小さくなるので、隙間の部分が大径のエアー同軸となることによる影響もより小さくなる。また、信号端子4を大径部2aに固定する際に、段差面2cを下にして封止材3の成形体を貫通孔2の大径部2aに挿入しても、封止材3の成形体は径が小さくなる段差面2cで留まるので、封止材3の成形体の配置が容易にできる。
基体1の下面には接地端子8が接合される。接地端子8は、信号端子4と同じ様にして製作され、基体1の下面にロウ材等を用いて接合される。位置決めの容易性と接合強度の向上とのために、予め基体1の下面に穴を形成しておき、その穴に接地端子8を挿入して接合してもよい。また、同様の理由で、図3〜図9に示す例のように、基体1の下面に当接するように接地端子8に鍔をつけて、接合面積をより大きくしてもよい。このようにして基体1に接地端子8を接合することによって接続端子4を外部電気回路に接続した際には、基体1が接地導体としても機能する。
絶縁性部材9の配置は、図7に示す例のように、小径部2bの内面と信号端子4との間に充填して配置してもよいし、図8に示す例のように、小径部2bの内面および信号端子4の小径部2b内に位置する部分の外面の少なくとも一方を被覆するように配置してもよい。あるいは、図9に示す例のように、小径部2bの長さ方向の一部において(小径部2bの厚みより小さい範囲で)小径部2bの内面と信号端子4との間を充填しても、信号端子4と基体1(の小径部2bの内壁)とは接触することがなく、絶縁性が保たれるのでよい。小径部2bの長さ方向の全域において信号端子4のインピーダンスを整合させるには、小径部2bの長さ方向で小径部2bの内面と信号端子4との間の静電容量が同じであるのがよいので、小径部2bの内面と信号端子4との間に絶縁性部材9を充填して配置する場合は、図7に示す例のように、小径部2bの長さ方向の全域で充填するのがよい。同様に、小径部2bの内面や信号端子4の外面を絶縁性部材9で被覆する場合は、その厚みは小径部2b内で一定にするのがよい。図9に示す例のように、小径部2bの長さ方向の一
部において小径部2bの内面と信号端子4との間を充填して絶縁性部材9を配置する場合は、小径部2bの長さ方向の平均でインピーダンスが整合するように、絶縁性部材9の比誘電率に応じた長さ(厚み)で充填すればよい。また、小径部2bの内面と信号端子4との間に絶縁性部材9を充填すると、電子装置を外部回路基板へ実装する際に、信号端子4が変形するなどして小径部2b内における信号端子4の位置がずれてインピーダンスがずれてしまうことがない。
絶縁性部材9は、基体1に蓋体6を接合する際等の熱によって溶融したり分解したりしないようなものから選択される。小径部2bの内面と信号端子4との間を絶縁性部材9で充填する場合は、その比誘電率が大きいと小径部2bの径を大きくしなければならず、基体1と蓋体9との接合部からの距離が近くなって蓋体9を接合する際の熱の影響を受けるので、比誘電率の小さい、4フッ化エチレン樹脂(比誘電率:約2.0),ポリフェニルエ
ーテル樹脂(比誘電率:約2.7),シクロオレフィン樹脂(比誘電率:約2.4)等の樹脂を用いる。絶縁性部材9を、小径部2bの内面および信号端子4の小径部2b内に位置する部分の外面の少なくとも一方を被覆して配置する場合は、小径部2bの内面と信号端子4との間には空間が形成されてその部分の比誘電率は小さいので、上述したような樹脂以外にも、それより比誘電率が大きい、封止材3と同様のものを用いることができる。小径部2bの長さ方向の一部において小径部2bの内面と信号端子4との間を充填して絶縁性部材9を配置する場合も同様である。
絶縁性部材9として比誘電率が2.0である4フッ化エチレン樹脂を用いた場合は、図7
に示す例のように、小径部2bの内面と信号端子4との間に絶縁性部材9を充填し、信号端子4の外径が0.25mmのものを用いると、特性インピーダンスを50Ωとするには、小径部2bの径は0.8mmとなる。図8に示す例のよう、同じ絶縁性部材9で小径部2bの内
面を被覆する場合は、その厚みを0.025mmとして、信号端子4の外径が0.25mmのもの
を用いると、特性インピーダンスを50Ωとするには、小径部2bの径は0.6mmとなる。
また、図9に示す例のように、長さが0.5mmの小径部2bに対して小径部2bの長さ方
向の厚みが0.2mmである円盤状の絶縁性部材9を配置して(絶縁性部材9を小径部2b
の内面と信号端子4との間のうちの小径部2bの長さ方向の0.2mmだけ充填して)、信
号端子4の外径が0.25mmのものを用いると、小径部2bの長さ方向の平均の特性インピーダンスを50Ωとするには、小径部2bの径は0.64mmとなる。
また、絶縁性部材9として比誘電率が5.0であるガラスを用いた場合は、図8に示す例
のように、小径部2bの内面を絶縁性部材9で被覆する場合は、その厚みを0.025mmと
して、信号端子4の外径が0.25mmのものを用いると、特性インピーダンスを50Ωとするには、小径部2bの径は0.62mmとなる。同じ絶縁性部材9を用いて、図9に示す例のように、長さが0.5mmの小径部2bに対して小径部2bの長さ方向に0.2mmの厚みの円盤状の絶縁性部材9を配置して、外径が0.25mmの信号端子4を用いると、小径部2bの長さ方向の平均の特性インピーダンスを50Ωとするには、小径部2bの径は0.73mmとなる。
絶縁性部材9を配置するには、絶縁性部材9がガラスから成る場合であれば、封止材3と同様にして、あるいはガラス粉末に適当な溶剤やバインダーを加えて作製したガラスペーストを小径部2bの内面に塗布したり充填したりしてから加熱・冷却することによって溶融・凝固させればよい。絶縁性部材9が樹脂から成る場合であれば、液状の熱硬化性の樹脂を小径部2bの内面に塗布したり充填したりしてから加熱することによって硬化させてもよいし、小径部2bの内径および信号端子4の外形に応じた形状に成型したものを小径部2bに嵌め込み、必要に応じて接着剤で固定すればよい。
また、貫通孔2中への信号端子4の封止材3による固定時や信号端子4と回路基板5a
との接合時に信号端子4の位置がずれてしまうと、小径部2b内においてインピーダンスがずれてしまうので、信号端子4の固定や信号端子4と回路基板5aとの接合の前に、小径部2bの長さ方向の一部または全部において小径部2bの内面と信号端子4との間に絶縁性部材9が充填するのがよい。
このような本発明の電子部品搭載用パッケージの搭載部1aに電子部品5を搭載するとともに、基体1の蓋体接合部1bに蓋体6を接合することにより、本発明の電子装置となる。
電子部品搭載用パッケージに電子部品5を搭載して電気的に接続するには、上述したように、図1に示す例のように基体1の上面に直接電子部品5を搭載して接続する方法や、図2に示す例のように回路基板5aを介して電子部品5を搭載して接続する方法などがある。
電子部品5としては、LD(レーザーダイオード)やPD(フォトダイオ−ド)等の光半導体素子,半導体集積回路素子を含む半導体素子,水晶振動子や弾性表面波素子等の圧電素子,圧力センサー素子,容量素子,抵抗器等が挙げられる。
回路基板5aは、酸化アルミニウム(アルミナ:Al)質焼結体,窒化アルミニウム(AlN)質焼結体等のセラミックス絶縁材料等から成る絶縁基板に配線導体が形成されたものである。絶縁基板が例えば酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、まずアルミナ(Al)やシリカ(SiO),カルシア(CaO),マグネシア(MgO)等の原料粉末に適当な有機溶剤,溶媒を添加混合して泥漿状とし、これを周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等によってシート状に成形してセラミックグリーンシート(以下、グリーンシートともいう)を得る。その後、グリーンシートを所定形状に打ち抜き加工するとともに必要に応じて複数枚積層し、これを約1600℃の温度で焼成することによって製作される。
配線導体は、例えば、図4〜図6に示す例の回路基板5aでは、絶縁基板の上面には信号端子4・4を接続するための端子用導体と、電子部品5を搭載するとともに電子部品5の下面の接地電極を接続するための接地用導体とが形成され、下面には基体1に搭載して接続するための搭載用導体が形成され、接地用導体と搭載用導体とは、絶縁基板の側面に形成された、または絶縁基板を貫通して形成された接続導体によって接続される。このような配線導体は、電子部品5によりその接続が異なるので、それに応じて形成されるものである。また、電子部品5と配線導体とは例えばボンディングワイヤにより接続されるが、このボンディングワイヤを短くすることで信号の伝送損失を少なくするために、例えば図5に示す例のように端子用導体を屈曲した形状として、ボンディングワイヤの接続位置が電子部品5にできるだけ近くなるようにするのが好ましい。
なお、端子用導体を屈曲させる場合には、例えば図4〜図6に示す例のように、屈曲角度が90°より大きくなるように段階的に屈曲させたり、屈曲部の角の部分に丸みをつけたりすると、屈曲部での反射による高周波の損失を少なくすることができるので好ましい。段階的に屈曲させる場合は、屈曲角度を120°以上とすると損失がより少なくなるので好
ましい。また、図4〜図6に示す例では屈曲部の外側だけを段階的に屈曲させているが、屈曲部の内側も同様に段階的に屈曲させたり丸みをつけたりするのがより好ましい。
配線導体の形成方法は、絶縁基板と同時焼成で、あるいは絶縁基体を作製した後に金属メタライズを形成する周知の方法や、絶縁基板を作製した後に蒸着法やフォトリソグラフィ法によって形成する方法がある。電子装置が小型であり、それに搭載される回路基板5aはさらに小さいので、配線導体は微細なものとなり、また配線導体と信号端子4・4と
の位置合わせ精度を高めるためには蒸着法やフォトリソグラフィ法によって形成する方法が好ましく、この場合は、必要に応じて絶縁基板の主面に研磨加工を施す場合もある。
以下、配線導体を蒸着法やフォトリソグラフィ法により形成する場合について詳細に説明する。配線導体は、例えば密着金属層,拡散防止層および主導体層が順次積層された3層構造の導体層から成る。
密着金属層は、セラミックス等から成る絶縁基板との密着性を良好とするという観点からは、チタン(Ti),クロム(Cr),タンタル(Ta),ニオブ(Nb),ニッケル−クロム(Ni−Cr)合金,窒化タンタル(TaN)等の熱膨張率がセラミックスと近い金属のうちの少なくとも1種より成るのが好ましく、その厚みは0.01〜0.2μm程度
が好ましい。密着金属層の厚みが0.01μm未満では、密着金属層を絶縁基板に強固に密着することが困難となる傾向があり、0.2μmを超えると、成膜時の内部応力によって密着
金属層が絶縁基板から剥離し易くなる傾向がある。
拡散防止層は、密着金属層と主導体層との相互拡散を防ぐという観点からは、白金(Pt),パラジウム(Pd),ロジウム(Rh),ニッケル(Ni),Ni−Cr合金,Ti−W合金等の熱伝導性の良好な金属のうち少なくとも1種より成ることが好ましく、その厚みは0.05〜1μm程度が好ましい。拡散防止層の厚みが0.05μm未満では、ピンホール等の欠陥が発生して拡散防止層としての機能を果たしにくくなる傾向があり、1μmを超えると、成膜時の内部応力により拡散防止層が密着金属層から剥離し易く成る傾向がある。なお、拡散防止層にNi−Cr合金を用いる場合は、Ni−Cr合金は絶縁基板との密着性が良好なため、密着金属層を省くことも可能である。
主導体層は、電気抵抗の小さい金(Au),Cu,Ni,銀(Ag)の少なくとも1種より成ることが好ましく、その厚みは0.1〜5μm程度が好ましい。主導体層の厚みが0.1μm未満では、電気抵抗が大きなものとなり回路基板5aの配線導体に要求される電気抵抗を満足できなくなる傾向があり、5μmを超えると、成膜時の内部応力により主導体層が拡散防止層から剥離し易く成る傾向がある。また、Cuは酸化し易いので、その上にNiおよびAuからなる保護層を被覆してもよい。
電子部品5の電子部品搭載用パッケージや回路基板5aへの搭載、あるいは回路基板5aの電子部品搭載用パッケージへの搭載は、低融点ろう材により固定することにより行なえばよい。例えば、回路基板5aを基体1上に搭載した後に電子部品5を回路基板5a上に搭載する場合は、回路基板5aの固定には金−錫(Au−Sn)合金や金−ゲルマニウム(Au−Ge)合金をろう材として用い、電子部品5の固定には、これらより融点の低い錫−銀(Sn−Ag)合金や錫−銀−銅(Sn−Ag−Cu)合金のろう材や、融点より低い温度で硬化可能な、Agエポキシ等の樹脂製の接着剤を用いればよい。また、電子部品5を回路基板5a上に搭載した後に回路基板5aを基体1上に搭載してもよく、その場合は上記とは逆に、回路基板5aを基体1上に搭載する際に用いるろう材の融点の方を低くすればよい。いずれの場合であっても、回路基板5a上や基体1の搭載部1a上にろう材ペーストを周知のスクリーン印刷法を用いて印刷したり、フォトリソグラフィ法によってろう材層を形成したり、低融点ろう材のプリフォームを載置するなどすればよい。
蓋体6は、上面視で基体1の上面の外周領域の蓋体接合部1bの形状に沿った外形で、基体1の上面の搭載部1aに搭載された電子部品5を覆うような空間を有する形状のものである。電子部品5と対向する部分に光を透過させる窓を設けてもよいし、窓に換えて、または窓に加えて光ファイバおよび戻り光防止用の光アイソレータを接合したものでもよい。
蓋体6は、Fe−Ni−Co合金やFe−Ni合金、Fe−Mn合金等の金属から成り、これらの板材にプレス加工や打ち抜き加工等の周知の金属加工方法を施すことによって作製される。蓋体6は、基体1の材料と同程度の熱膨張係数を有するものが好ましく、基体1の材料と同じものを用いるのがより好ましい。蓋体6が窓を有する場合は、電子部品5と対向する部分に孔を設けたものに、平板状やレンズ状のガラス製の窓部材を低融点ガラスなどにより接合する。
蓋体6の基体1の蓋体接合部1bへの接合は、シーム溶接やYAGレーザ溶接等の溶接またはAu−Snろう材等のろう材によるろう接により行なわれる。
1・・・・・基体
1a・・・・搭載部
1b・・・・蓋体接合部
1c・・・・切欠き
1d・・・・溝
2・・・・・貫通孔
2a・・・・大径部
2b・・・・小径部
2c・・・・段差面
3・・・・・封止材
4・・・・・信号端子
5・・・・・電子部品
5a・・・・回路基板
6・・・・・蓋体
7・・・・・ボンディングワイヤ
8・・・・・接地端子
9・・・・・絶縁性部材

Claims (3)

  1. 上面の外周領域に溶接またはろう接により蓋体を接合する蓋体接合部を有するとともに、該蓋体接合部の内側領域に、上面に電子部品の搭載部を、および上面から下面にかけて貫通する複数の貫通孔を有する基体と、前記貫通孔に充填された封止材を貫通して固定された信号端子とを具備した電子部品搭載用パッケージであって、前記貫通孔は前記基体の下面側の大径部と上面側の小径部とを有しており、前記封止材は前記貫通孔の大径部に前記小径部側の段差面との間に隙間を設けて充填されており、前記小径部の内面と前記信号端子との間に、前記封止材の比誘電率より低い比誘電率である絶縁性部材が配置されていることを特徴とする電子部品搭載用パッケージ。
  2. 前記段差面が前記大径部から前記小径部に向かって傾斜していることを特徴とする請求項1記載の電子部品搭載用パッケージ。
  3. 請求項1または請求項に記載の電子部品搭載用パッケージの前記搭載部に電子部品を搭載するとともに、前記基体の前記蓋体接合部に蓋体を接合したことを特徴とする電子装置。
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