JP5312350B2 - 燃料噴射弁 - Google Patents

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Description

本発明は、請求項1に記載の形式の燃料噴射弁、すなわち内燃機関の燃料噴射装置に用いられる燃料噴射弁であって、弁長手方向軸線と、弁座体に設けられた弁座面と協働する弁閉鎖体を操作するための励磁可能なアクチュエータと、少なくとも1つの噴射開口と、プレスによって互いに固く結合されている複数の金属製の構成部分とが設けられており、少なくとも一方の構成部分パートナが、そのプレス領域に溝を有する構造体を有しており、かつ/またはそれぞれのプレス領域が、隣接した構成部分区分への少なくとも1つの移行部に導入丸み成形部を有していることにより、燃料噴射弁の少なくとも2つの金属製の構成部分の固いプレス結合部が特徴付けられている形式のものに関する。
ドイツ連邦共和国特許出願公開第19900405号明細書に基づき、電磁コイルと、内側磁極と、外側の磁気回路構成部分とを有する電磁作動式の操作エレメントと、可動の弁閉鎖体とを有する燃料噴射弁が公知である。弁閉鎖体は、弁座体に対応配置された弁座と協働する。弁座体と内側磁極とは、肉薄の弁スリーブに設けられた内側の開口内に配置されており、電磁コイルと外側の磁気回路構成部分とは、弁スリーブの外周面に配置されている。これらの個別の構成部分を弁スリーブに取り付けるためには、まず、磁石ポットの形に形成された前記磁気回路構成部分が弁スリーブに押し被せられ、次いで弁座体が弁スリーブの内側の開口に圧入されるので、弁座体を圧入するだけで、弁スリーブと磁気回路構成部分との固い結合が得られる。その後に、軸方向に可動の弁ニードルが弁スリーブ内へ組み込まれた後に、内側磁極が圧入によるプレス嵌めによって弁スリーブ内に取り付けられる。弁座体を圧入することによってのみ磁気回路構成部分が弁スリーブにプレス嵌めされる場合、プレス結合が解離する大きな危険が生じる。弁スリーブ内への内側磁極の圧入は、プレス領域における望ましくない低温溶着(Kaltverschweissung)を発生させる原因となる。
本発明の利点
請求項1の特徴部に記載の特徴を有する本発明による燃料噴射弁、すなわち、一方の構成部分パートナのプレス領域を起点として、まず凹設された領域が、その後に半径方向でさらに外側に向かって突出したプレスリップが、前記一方の構成部分パートナの外側輪郭に続いていることを特徴とする燃料噴射弁は、特に簡単な方法で廉価に製造可能であるという利点を有している。本発明によれば、燃料噴射弁の少なくとも2つの金属製の構成部分の固いプレス結合部は、圧入過程時における接合パートナ同士の互いに沿った滑動時に発生し得る摩耗チップが、確実かつ信頼性よく引き留められ、一方の接合パートナの外側輪郭において凹設された領域とプレスリップとによって生じた中空室内に捕集されることにより優れている。こうして、フラッシングまたは手間のかかる別の清浄化を不要にすることができる。凹設された領域に形成された中空室内に捕集された摩耗チップは、確実に保管されていて、したがって燃料噴射弁の別の領域に達して、そこで機能を損なう恐れはなくなる。
深絞り加工部分または旋削加工部分として製造された廉価な構成部分を用いて、金属製の構成部分パートナ同士の間の、低温溶着を回避して大きな時間にわたり確実にかつ信頼性よく強固にかつ密に保持される、プレス結合部が形成可能であるので有利である。この場合、プレス結合部は、極めて簡単かつ廉価に製造されている。なぜならば、構成部分パートナ同士の改良された接合のためのコーティングまたはオイル塗布の、公知かつ通常必要となる別個の作業工程、もしくは収縮嵌めのための構成部分パートナの加熱が、有利には不要となるからである。少なくとも一方の構成部分パートナのプレス領域が、溝を有する構造を有しており、かつ/またはそれぞれのプレス領域の、隣接した構成部分区分への少なくとも一方の移行部が、少なくとも1つの導入丸み成形部(Einlaufverrundung)を有している。
請求項2以下に記載の手段によって、本発明の請求項1に記載された形式の燃料噴射弁の有利な別の実施形態および改良形が可能である。
構成部分パートナが、その剛性に基づき伸縮し得ないか、または電磁作動式に駆動される燃料噴射弁の種々異なる構成部分のために通常使用される、たとえば軟磁性のクロム鋼のように、材料の観点から見て、過度に軟質である場合には、公知のプレス結合部では、高い確率で圧入の接合過程の間に低温溶着(食付き)が起こる。しかし、この低温溶着は、本発明による手段により、特に軟磁性のクロム鋼から成る構成部分において阻止される。精密研削加工またはホーニング加工のような手間のかかる精密かつ高価な加工方法は不要にすることができる。このような加工方法では、構成部分公差が狭まり、プレス結合部は著しい手間をかけることで改善され得る。
プレス加工しようとする金属製の構成部分パートナの少なくともそれぞれのプレス領域が、清浄剤で洗浄されていると特に有利である。溝と相俟ってそれぞれのプレス領域には、潤滑剤貯蔵部が生ぜしめられる。清浄剤として、エチルコーポレーション社製(Fa.Ethyl Corp)の防食性の多目的清浄剤SurTec(登録商標)104、SurTec(登録商標)089、またはHitec(登録商標)E536が使用されると有利である。
以下に、本発明の実施例を簡単な図面につき詳しく説明する。
公知先行技術による燃料噴射弁を示す図である。 弁スリーブの詳細図である。 接続管の詳細図である。 内側磁極として働くコアの詳細図である。 プレスリップを備えた、内側磁極として働くコア2の本発明の第1の実施形態を示す図である。 る図5のVIで示した部分の拡大図である。 第プレスリップを備えた、内側磁極として働くコア2の本発明の第2の実施形態を示す図である。 磁石ポットの形の弁周壁の詳細図である。
実施例の説明
本発明による手段を分かりやすくするために、以下に、図1につき、公知先行技術による燃料噴射弁を、その基本的な構成ユニットと共に説明する。
図1に例示的に図示された、混合気圧縮型の火花点火式内燃機関の燃料噴射装置に用いられる燃料噴射弁の形の電磁作動式の弁は、電磁コイル1により取り囲まれた、内側磁極として働きかつ部分的に燃料通流部として働く、十分に管状のコア2を有している。電磁コイル1は、段付けされて形成された、たとえば強磁性のスリーブ形の外側の弁周壁5によって周方向で完全に取り囲まれている。この弁周壁5は、外側磁極として働く、磁石ポットの形の外側の磁気回路構成部分を成している。電磁コイル1と、コア2と、弁周壁5とは、一緒になって1つの電気的に励磁可能な操作エレメントを形成する。
コイル枠体3に埋め込まれた電磁コイル1が弁スリーブ6を外側から取り囲んでいるのに対して、コア2は、弁スリーブ6に設けられた、弁長手方向軸線10に対して同軸的に延びる内側の開口11に導入されている。たとえばフェライト系の弁スリーブ6は、細長くかつ肉薄に形成されている。開口11は、弁長手方向軸線10に沿って軸方向に可動である弁ニードル14のための案内開口としても働く。弁スリーブ6は、軸方向に、たとえば燃料噴射弁の軸方向の全延在長さの半分を超えて延びている。
コア2と弁ニードル14との他に、開口11内にはさらに弁座体15が配置されている。この弁座体15は、弁スリーブ6に、たとえば溶接シーム8によって取り付けられている。弁座体15は、弁座として、固定の弁座面16を有している。弁ニードル14は、たとえば管状のアーマチュア区分17と、同じく管状のニードル区分18と、球状の弁閉鎖体19とにより構成され、この場合、弁閉鎖体19は、たとえば溶接シームによってニードル区分18に固く結合されている。弁座体15の下流側の端面には、たとえばポット形の噴射孔付板21が配置されている。この噴射孔付板21の折り曲げられた、周方向で環状に延びる保持縁部20は、流れ方向とは逆の方向で上方に向けられている。弁座体15と噴射孔付板21との固い結合は、たとえば環状に延びる密な溶接シームによって実現されている。弁ニードル14のニードル区分18には、1つまたは複数の横方向開口22が設けられているので、アーマチュア区分17の内側の長手方向孔23内を貫流した燃料は外側へ流出して、弁閉鎖体19において、たとえば面取り部24に沿って、弁座面16にまで流れることができる。
噴射弁の操作は、公知の形式で電磁的に行われる。弁ニードル14を軸方向に運動させるためには、つまり弁ニードル14に作用する戻しばね25のばね力に抗して燃料噴射弁を開放するか、もしくは閉鎖するためには、電磁コイル1と、内側のコア2と、外側の弁周壁5と、アーマチュア区分17とを有する電磁回路が働く。アーマチュア区分17の、弁閉鎖体19とは反対の側の端部は、コア2に向けられている。
球状の弁閉鎖体19は、弁座体15の、流れ方向で円錐台形状に先細りになった弁座面16と協働する。この弁座面16は、軸方向で、弁座体15に設けられた案内開口の下流側に形成されている。噴射孔付板21は、浸食加工(Erodieren)、レーザ穿孔または打抜き加工により成形された少なくとも1つ、たとえば4つの噴射開口27を有している。
噴射弁内部におけるコア2の押込み深さは、とりわけ弁ニードル14のストロークを決定する。この場合、弁ニードル14の一方の終端位置は、電磁コイル1が励磁されていない場合に、弁閉鎖体19が弁座体15の弁座面16に当て付けられることにより規定されていて、弁ニードル14の他方の終端位置は、電磁コイル1が励磁されている場合に、アーマチュア区分17が、下流側のコア端部に当て付けられることにより得られる。ストローク調節は、たとえば旋削のような切削加工法により製作されたコア2の軸方向の摺動により行われ、コア2はその後に、所望の位置に応じて弁スリーブ6に固く結合される。
コア2に設けられた、弁長手方向軸線10に対して同心的に延びる流れ孔28は、燃料を弁座面16の方向に供給するために働く。この流れ孔28内には、戻しばね25の他に、調節スリーブ29の形の調節エレメントが押し込まれている。調節スリーブ29は、該調節スリーブ29に接触した戻しばね25のばねプリロードの調節のために働く。戻しばね25の反対の側は弁ニードル14に支持されている。この場合、動的な噴射量の調節も、調節スリーブ29により行われる。調節スリーブ29の上方では、弁スリーブ6内に燃料フィルタ32が配置されている。
ここまでに説明した噴射弁は、特にコンパクトな構造により優れているので、極めて小さな、取り扱い易い燃料噴射弁が形成される。上述の構成部分は、以下で機能部分30と呼ばれる、前組立てされた独立した1つの構成ユニットを形成する。つまり、機能部分30は、主として、電磁的な回路1,2,5(電磁コイル1、コア2、弁周壁5)と、後続の噴流調整エレメント(噴射孔付板21)を備えたシール弁(弁閉鎖体19、弁座体15)と、基体として弁スリーブ6とを有している。
機能部分30とは別個に、以下で接続部分40と呼ばれる第2の構成ユニットが形成される。接続部分40は、とりわけ、燃料噴射弁の電気的な接続およびハイドロリック的な接続を有していることを特徴としている。それゆえに、ほぼプラスチック部分として形成された接続部分40は、燃料流入管片として働く管状の基体42を有している。この基体42に設けられた内側の接続管44は、弁長手方向軸線10に対して同軸的に延びる流れ孔43を有しており、この流れ孔43は燃料流入部として働き、燃料噴射弁の流入側の端部から、軸方向で燃料により貫流される。
接続部分40と機能部分30とのハイドロリック的もしくは液圧的な接続は、燃料噴射弁が完全に組み立てられた状態で、両構成ユニットの流れ孔43,28を、燃料のスムーズな貫流が保証されるように互いに整合させることによって達成される。接続部分40を機能部分30に組み付ける際には、結合安定性を高めるために、接続管44の下端部47が、弁スリーブ6の開口11内に突入する。プラスチックから成る基体42は、機能部分30に被さるように射出成形され得るので、プラスチックは、直接に弁スリーブ6ならびに弁周壁5の一部を取り囲む。機能部分30と、接続部分40の基体42との間の確実なシールは、たとえば弁周壁5の周面に設けられたラビリンスシール46を介して得られる。
基体42には、一緒に一体射出成形された電気的な接続コネクタ56も所属している。コンタクトエレメントの、接続コネクタ56とは反対の側に位置する端部は、電磁コイル1に電気的に接続されている。
図2ないし図8には、燃料噴射弁の金属製の構成部分が示されている。これらの金属製の構成部分は、少なくともそれぞれ1つの別の金属製の構成部分に、プレスによって固く結合されている。図2には、弁スリーブ6の詳細図が示されており、図3には、接続管44の詳細図が示されており、図4には、内側磁極として働くコア2の詳細図が示されており、図5ないし図7には、プレスリップ65を備えた、内側磁極として働くコア2の本発明の実施形態が示されており、図8には、磁石ポットの形の弁周壁5の詳細図が示されている。
燃料噴射弁に設けられたこれらの金属製の構成部分を互いに固く結合させるためには、取り付けたい構成部分同士の間にプレス嵌めが考えられる。しかしプレス嵌めは一般に構成部分に、公差状態、材料および構成部分ジオメトリ(幾何学形状)に応じて、塑性変形または弾性的変形による伸縮を招く。構成部分パートナが、その剛性に基づいて伸縮し得ないか、または構成部分パートナが、材料の観点から見て、たとえば特に適当な特殊鋼としての軟磁性のクロム鋼のように、過度に軟質である場合には、圧入の接合過程の間に、高い確率で低温溶着(「食付き」)が起こる。さらに注意しなければならないのは、構成部分パートナの組込み条件である。プレス結合部が、たとえば組み立てられた状態で内圧により負荷されると、このもとは伸張または拡開を招く恐れがある。この場合、プレス結合部が緩む危険、最悪の場合には、プレス結合部が解離する危険が生じる。すなわち、このことを阻止するためには、できるだけ大きなプレス部分が形成されることが望まれるが、しかしこのことは、構成部分の低温溶着傾向を高める。たとえば精密研削加工またはホーニング加工のような手間のかかる精密かつ高価な加工方法を用いれば、当然ながら公差を狭めて、プレス結合部を改善することができる。
しかし目的は、旋削加工部分として提供されるできるだけ廉価な構成部分を用いて、金属製の構成部分パートナ同士の間の、低温溶着を回避して大きな時間にわたり確実にかつ信頼性よく強固にかつ密に保持される、プレス結合部を形成することであり、しかし、プレス結合部は、極めて簡単かつ廉価に製造されることが望まれる。それゆえに、コーティングまたはオイル塗布の別個の作業工程、もしくは収縮嵌め(Aufschrumpfen)のための構成部分パートナの加熱が不要となる。
図2には、肉薄の弁スリーブ6が例示的に図示されている。この弁スリーブ6は、燃料噴射弁の軸方向の長さの大部分にわたって延びている。この弁スリーブ6の領域aには接続管44(図3)が圧入可能であり、領域bにはコア2(図4)が圧入可能であり、かつ弁スリーブ6の領域cには弁周壁5が押被せ可能である。
図3に示した接続管44は、相応して外側のプレス領域a’を有している。このプレス領域a’は、弁スリーブ6に組み込まれた状態で、領域aと対応してプレス結合を形成する。符号aおよび符号a’は、原理的にプレス結合部における材料接触のために使用される領域を示しているが、しかし領域aおよび領域a’の全長にわたってプレス結合部が形成されている必要はない。接続管44は、できるだけ最小の圧入力を用いて弁スリーブ6内に組み込まれることが望ましい。規定された短いプレス領域a’の形成によって、プレス長さを最初から最小限に抑えることができる。接続管44のプレス領域a’は、接続管44の隣接したその他の区分に対して隆起されて形成されている。プレス領域a’から、軸方向で両側に続いている区分への移行部には、比較的大きな曲率半径を有する導入丸み成形部59が設けられている。この曲率半径は、たとえば前記移行部が約0.5〜1.2°の角度を有していることに相当する。
接続管44のプレス領域a’では、たとえば付加的な手段として、表面に畝状(furchen)もしくは刻み目(rillen)の溝61が設けられている。これらの溝によって、低温溶着が起こり得るゾーンが繰り返し中断されている。プレス結合部の不都合な「食付きゾーン」は、こうして十分に回避される。さらに、たとえば環状に延びる溝61は、高い過剰寸法を減少させる。それというのは、溝61が、プレス時に塑性変形されて、少しだけならされるからである。ただし、溝61から形成されたプロファイル(異形成形部)は、小さな過剰寸法でも、弁スリーブ6の伸張がなおも生ぜしめられるような強度を有していなければならない。
図4に示したコア2は相応して、外側のプレス領域b’を有している。このプレス領域b’は、弁スリーブ6内に組み込まれた状態で、プレス結合のために領域bと対応する。符号bおよび符号b’は、原理的にプレス結合部における材料接触のために使用される領域を示しているが、しかし領域bおよび領域b’の全長にわたってプレス結合部が形成されている必要はない。コア2は、圧入時に弁スリーブ6の最小伸張しか生ぜしめないことが望ましい。しかし最大圧入力は、制限されていることが望ましい。規定された短いプレス領域b’の形成によって、プレス長さを最初から最小限に抑えることができる。コア2のプレス領域b’は、コア2の隣接した区分に対して隆起されて形成されている。プレス領域b’から軸方向で両側に続いた区分への移行部には、比較的大きな曲率半径を有する導入丸み成形部59が設けられている。これらの曲率半径は、たとえば前記移行部が、約0.5から1.2°の角度を有していることに相当する。コア2の周面から端面への移行部において、コア2は付加的にそれぞれ1つの環状の面取り部60を有していてよい。この面取り部60は、コア2の改善された導入およびセンタリングのために働く。
コア2のプレス領域b’には、導入丸み成形部59の代わりか、または付加的な手段として、畝状もしくは刻み目の溝61が表面に設けられている。これらの溝により、低温溶着発生が起こりうるゾーンが繰り返し中断されている。プレス結合部の不都合な「食付きゾーン」は、こうして十分に回避される。さらに、たとえば環状に延びる溝61は、高い過剰寸法を減少させる。それというのは、溝61は、プレス時に塑性変形されて、少しだけならされるからである。ただし、溝61から形成されたプロファイルは、小さな過剰寸法でも、なお弁スリーブ6の伸張が生じるような強度を有していなければならない。
図5には、本発明により形成された環状に延びるプレスリップ65の第1の実施形態を有する、内側磁極として働くコア2の詳細図が示されている。溝61を有するプレス領域b’を起点として、軸方向において、導入丸み成形部59または比較的角張った移行部を介して、外側輪郭で見て凹設されたアンダカット状の領域64が続いている。この領域64は、その後に、プレスリップ65の機能を有する大径の領域へ移行している。図6には、上述したコア2の区分における図5のVIで示した部分の拡大図が示されている。プレス領域b’から凹設された領域64への移行部および凹設された領域64からプレスリップ65への移行部は、(図4に示したような)導入丸み成形部59を備えていてよいが、しかし前記移行部は、面取り部に似て斜めに延びているか(図6)、または段状に延びていてもよい。
圧入時には、接合パートナ同士が互いに沿って滑動する。この滑動時には、構成部分パートナの比較的に軟質の材料構造に基づいて摩耗チップが生じる。この摩耗チップは、燃料噴射弁の汚染に繋がる恐れがあるので不利である。有利には、付加的な突出したプレスリップ65によって、実際の圧入時に発生した汚れが引き留められて、凹設された領域64により生じた中空室内に捕集(gekammert)される。こうして、フラッシングまたは手間のかかる別の清浄化を不要にすることができる。凹設された領域64に形成された中空室に捕集された摩耗チップは、確実に保管され、したがって燃料噴射弁の他の領域に到達して、機能を損なう恐れはなくなる。
図7には、プレスリップ65の第2の実施形態を有する、内側磁極として働くコア2の詳細図が示されている。この実施形態では、プレスリップ65の外径の調整が、接合パートナ、つまりこの場合には肉薄の弁スリーブ6の輪郭に関連して行われていることが判る。図5および図6に図示した実施例におけるプレスリップ65は、プレス領域b’に相当する外径を有しているのに対して、図7に示した実施例のプレスリップ65は、半径方向でプレス領域b’を超えて突出している。このためには、コア2の外側輪郭に設けられた凹設された領域64が、たとえば互いに異なる深さを有する2つの区分を備えている。プレスリップ65は、半径方向において、圧入時に生じる恐れのある摩耗チップの確実な捕集が保証されているような長さで形成されている。図7に示した実施例では、プレスリップ65は、弁スリーブ6に設けられた直径拡大部に相応して、プレス領域bに対して行われた膨出部によって張り出している。図7に書き込まれた点線は、どの箇所にコア2が、弁スリーブ6に圧入された状態で接触しているのかを概略的に示しており、これによって、凹設された領域64にはコア2と弁スリーブ6との間に中空室が生ぜしめられる。構成部分コア2および弁スリーブ6は、図5ないし図7では例示的に選択されているにすぎず、プレスリップ65は、燃料噴射弁の少なくとも2つの金属製の構成部分2,5,6,44の全ての固いプレス結合部に設けられていてよい。
図8に示した弁周壁5は、相応して内側のプレス領域c’を有している。このプレス領域c’は、弁スリーブ6に被せられた状態で、領域cに対応してプレス結合部を形成する。符号cおよび符号c’は、この場合、原理的にプレス結合部における材料接触のために使用されている領域を示しているが、しかし領域cおよび領域c’の全長にわたってプレス結合部が形成される必要はない。弁周壁5のプレス領域c’には、畝状もしくは刻み目の溝61が表面に設けられている。これらの溝により、低温溶着が起こり得るゾーンが繰り返し中断されている。プレス結合部の不都合な「食付きゾーン」は、こうして十分に回避される。特に、たとえば環状に延びる溝61は、高い過剰寸法を減少させる。それというのは、溝61は、プレス時に塑性変形されて、少しだけならされるからである。ただし、溝61から形成されたプロフィールは、小さな過剰寸法であってもコア2の締まり嵌めのためになお弁スリーブ6の十分な伸張が生じるような強度を有していなければならない。規定された短いプレス領域c’の形成によって、プレス長さを最初から最小限に抑えることができる。図8に図示されたものとは異なり、弁周壁5のプレス領域c’は、弁スリーブ5の隣接した区分に対して隆起されて形成されていてもよく、これによって最大のプレス領域c’はより正確に規定されている。
弁スリーブ6は、軸方向の一方の側で、プレス領域cの移行部が、比較的大きな曲率半径を有する導入丸み成形部59を備えている。この曲率半径は、たとえば前記移行部が、約0.5〜1.2°の角度に有していることに相当する。
プレス領域a,b,c,a’,b’,c’に溝61から成る構造体を設けることおよび/またはそれぞれの移行領域a,b,c,a’,b’,c’から隣接した構成部分区分への少なくとも1つの移行部における導入丸み成形部を設けることによって燃料噴射弁の少なくとも2つの金属製の構成部分2,5,6,44の固いプレス結合部を形成するための手段に対して付加的に、さらに別の手段が、不都合な低温溶着を回避して金属製のプレス結合部を改善するために、特に有効に寄与し得る。このためには、それぞれの所望のプレス領域a,b,c,a’,b’,c’において、「ドライコーティング」が行われる。ドライコーティングでは、プレス領域a,b,c,a’,b’,c’が、1回の洗浄過程において、工業的な清浄剤および洗浄添加剤、たとえばSurTec104(登録商標)を用いて処理される。このために選択された構成部分2,5,6,44の洗浄は、たとえば浸漬、吹付けまたは滴下により行われる。理想的には、プレス領域a,b,c,a’,b’,c’の処理時には、5%〜10%のSurTec(登録商標)140溶液が使用される。択一的には、5%〜30%のHitec溶液(たとえばEthyl Corp社製のHitec(登録商標)E536)を噴射ユニットのための試験液に溶解して使用することができる。この場合、各プレス領域a,b,c,a’,b’,c’に設けられた溝61は、潤滑材貯蔵部として働く。
多目的清浄剤SurTec(登録商標)104に対して択一的には、界面活性剤成分SurTec(登録商標)089から成るモジュール式の多目的清浄剤を使用することができる。界面活性剤と防食成分とを含有するこの清浄剤は、特に浸漬クリーニングのために適している。このような多目的清浄剤を用いた処理によって、金属製の構成部分2,5,6,44は既に組付けの前に浄化されていて、不動態化により腐食から保護されている。洗浄過程後の構成部分2,5,6,44の乾燥は、たとえば真空乾燥を用いて行うことができる。

Claims (8)

  1. 内燃機関の燃料噴射装置に用いられる燃料噴射弁であって、弁長手方向軸線(10)と、弁座体(15)に設けられた弁座面(16)と協働する弁閉鎖体(19)を操作するための励磁可能なアクチュエータ(1,2,17)と、少なくとも1つの噴射開口(27)と、プレスによって互いに結合されている複数の金属製の構成部分とが設けられており、少なくとも一方の構成部分パートナが、そのプレス領域(a,b,c,a’,b’,c’)に環状に延びている溝(61)を有する構造体を有しており、かつ/またはそれぞれのプレス領域(a,b,c,a’,b’,c’)が、隣接した構成部分区分への少なくとも1つの移行部に導入丸み成形部(59)を有していることにより、燃料噴射弁の少なくとも2つの金属製の構成部分(2,5,6,44)のプレス結合部が特徴付けられている形式のものにおいて、
    一方の構成部分パートナの、溝(61)を有するプレス領域(b,b’)を起点として、圧入方向とは反対に見て、まず凹設された領域(64)、その後に続く、半径方向でさらに外側に向かって突出したプレスリップ(65)が、前記一方の構成部分パートナの外側輪郭に続いていることを特徴とする、内燃機関の燃料噴射装置に用いられる燃料噴射弁。
  2. 凹設された領域(64)が、アンダカット状に成形されている、請求項1記載の燃料噴射弁。
  3. プレス領域(b,b’)から凹設された領域(64)への移行部と、凹設された領域(64)からプレスリップ(65)への移行部とが、丸み成形されているか、面取り部に似て斜めに延びているか、または段状に延びている、請求項1または2記載の燃料噴射弁。
  4. プレスリップ(65)の外径が、プレス領域(b,b’)の外径に相当しているか、またはプレスリップ(65)の外径とプレス領域(b,b’)の外径とが、互いに異なっている、請求項1から3までのいずれか1項記載の燃料噴射弁。
  5. 肉薄の弁スリーブ(6)が設けられており、該弁スリーブ(6)内に、接続管(44)および/またはコア(2)が圧入されてプレス嵌めされており、かつ/または該弁スリーブ(6)に弁周壁(5)が押し被せられてプレス嵌めされている、請求項1から4までのいずれか1項記載の燃料噴射弁。
  6. プレス結合部によって互いに結合された金属製の構成部分パートナが、特殊鋼、たとえば軟磁性のクロム鋼から成っている、請求項1から5までのいずれか1項記載の燃料噴射弁。
  7. 少なくとも1つの導入丸み成形部(59)が、曲率半径を有している、請求項1から6までのいずれか1項記載の燃料噴射弁。
  8. 前記曲率半径は、前記移行部が0.5°〜1.2°の角度を有していることに相当する、請求項1から7までのいずれか1項記載の燃料噴射弁。
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