ところで、コモンレールの燃料を内燃機関に噴射するインジェクタとして、コモンレールの燃料を内燃機関に噴射する経路とは別経路で燃料漏れが許容されているインジェクタ(以下、リーク有りインジェクタという)が用いられる場合がある。リーク有りインジェクタを用いた場合には、内燃機関の機関停止中にリーク有りインジェクタからの燃料漏れによりコモンレールの高圧化された燃料の圧力が減圧されてしまう。このため、内燃機関の機関停止時間に応じて次回の機関始動時におけるコモンレールの燃料の圧力に差異が生じてしまう。よって、機関始動時にコモンレールの燃料の圧力の差異に起因する内燃機関の振動・騒音が発生するおそれがある。
これに対し、コモンレールの燃料の圧力を早期に上昇させ、機関始動に必要なコモンレールの燃料の圧力を短時間に得ることが望まれる。しかし、機関始動時における高圧ポンプの空圧送が生じている場合には、コモンレールの燃料の圧力を早期に上昇させることができなかった。
本発明は上記問題点に鑑みたものであり、本発明の目的は、内燃機関用燃料噴射装置において、内燃機関の機関始動時における高圧ポンプの空圧送を防止し、コモンレールの燃料の圧力を早期に上昇させる技術を提供することにある。
本発明にあっては、以下の構成を採用する。すなわち、本発明は、
燃料タンクの燃料を内燃機関の駆動によって圧送する低圧ポンプと、
前記低圧ポンプによって送られる燃料の量を調整する調量弁と、
前記調量弁によって量が調整された燃料を前記内燃機関の駆動によって高圧化して圧送する高圧ポンプと、
前記高圧ポンプによって高圧化された燃料を蓄えるコモンレールと、
前記コモンレールの燃料を前記内燃機関に噴射するインジェクタと、
前記コモンレールの燃料を流出させることによって前記コモンレールの燃料の圧力を減圧可能な減圧弁と、
前記内燃機関の機関停止指令後に機関停止に至るまで、前記調量弁及び前記減圧弁を開弁させる第1制御手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関用燃料噴射装置である。
本発明では、内燃機関の機関停止指令後に機関停止に至るまで、調量弁及び減圧弁を開弁させる。これにより、燃料は、機関停止に至るまで内燃機関に駆動される低圧ポンプ及び高圧ポンプに圧送され、低圧ポンプ、高圧ポンプ及びコモンレールを流れ、その状態で機関停止すると共に低圧ポンプ及び高圧ポンプが停止する。その結果、機関停止中は高圧ポンプに燃料が充填された状態となる。
よって、次回の内燃機関の機関始動時には、高圧ポンプでは充填された燃料を直ぐに圧送でき、空圧送を防止できる。そして、機関始動時に高圧ポンプが燃料を直ぐに圧送できるので、コモンレールの燃料の圧力を早期に上昇させることができる。したがって、機関始動に必要なコモンレールの燃料の圧力を短時間に得ることができ、機関始動時におけるコモンレールの燃料の圧力を安定させるので、機関始動時におけるコモンレールの燃料の圧力の差異に起因する内燃機関の振動・騒音を抑制できる。
ここで、コモンレールでは、機関停止に至るまで燃料が送られてくるが、減圧弁が開弁しているので、コモンレールの燃料は大気圧相当となるまで減圧弁から排出される。そして、次回の機関始動時には、毎回大気圧相当から同じようにコモンレールの燃料の圧力を上昇させることができる。よって、機関始動時におけるコモンレールの燃料の圧力を毎回安定させることができる。
前記第1制御手段は、前記内燃機関が機関停止した場合には、開弁していた前記減圧弁を閉弁するとよい。
本発明によると、内燃機関が機関停止した後に減圧弁が開弁していることによって、コモンレールから燃料が排出されてしまうことを防止できる。よって、内燃機関が機関停止した後にコモンレールを大気圧相当の燃料で充填したまま維持できる。
前記第1制御手段は、前記内燃機関の機関停止指令後に前記内燃機関の機関回転数が自立復帰可能回転数よりも低下した場合に、前記調量弁及び前記減圧弁を開弁させるとよい。
ここで、自立復帰可能回転数とは、内燃機関の機関回転数がその回転数以上であると、スタータを用いずに内燃機関への燃料噴射による燃焼だけで内燃機関が運転状態へ復帰できる閾値となる回転数である。
本発明によると、内燃機関の機関停止指令後に内燃機関の機関回転数が自立復帰可能回転数以上の場合は、内燃機関の機関始動が直ぐに行え、機関始動時間を短縮化できる。
本発明にあっては、以下の構成を採用する。すなわち、本発明は、
燃料タンクの燃料を内燃機関の駆動によって圧送する低圧ポンプと、
前記低圧ポンプによって送られる燃料の量を調整する調量弁と、
前記調量弁によって量が調整された燃料を前記内燃機関の駆動によって高圧化して圧送する高圧ポンプと、
前記高圧ポンプによって高圧化された燃料を蓄えるコモンレールと、
前記コモンレールの燃料を前記内燃機関に噴射するインジェクタと、
前記低圧ポンプよりも上流側に配置される電動ポンプと、
前記内燃機関の機関停止後に、前記調量弁を開弁させると共に前記電動ポンプを所定量
の燃料を圧送する間駆動させる第2制御手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関用燃料噴射装置である。
本発明では、内燃機関の機関停止後に、調量弁を開弁させると共に電動ポンプを所定量の燃料を圧送する間駆動させる。これにより、所定量の燃料が、内燃機関の機関停止後に駆動される電動ポンプによって高圧ポンプに圧送される。その結果、電動ポンプ駆動後の機関停止中は高圧ポンプに燃料が充填された状態となる。
よって、次回の内燃機関の機関始動時には、高圧ポンプでは充填された燃料を直ぐに圧送でき、空圧送を防止できる。そして、機関始動時に高圧ポンプが燃料を直ぐに圧送できるので、コモンレールの燃料の圧力を早期に上昇させることができる。したがって、機関始動に必要なコモンレールの燃料の圧力を短時間に得ることができ、機関始動時におけるコモンレールの燃料の圧力を安定させるので、機関始動時におけるコモンレールの燃料の圧力の差異に起因する内燃機関の振動・騒音を抑制できる。
本発明にあっては、以下の構成を採用する。すなわち、本発明は、
燃料タンクの燃料を内燃機関の駆動によって圧送する低圧ポンプと、
前記低圧ポンプによって送られる燃料の量を調整する調量弁と、
前記調量弁によって量が調整された燃料を前記内燃機関の駆動によって高圧化して圧送する高圧ポンプと、
前記高圧ポンプによって高圧化された燃料を蓄えるコモンレールと、
前記コモンレールの燃料を前記内燃機関に噴射するインジェクタと、
前記高圧ポンプから燃料を排出可能な排出路と、
前記排出路に配置され前記排出路を開閉する排出路開閉弁と、
前記内燃機関の機関停止指令後に機関停止に至るまで、前記調量弁及び前記排出路開閉弁を開弁させ、前記内燃機関の機関停止時に、前記排出路開閉弁を閉弁させる第3制御手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関用燃料噴射装置である。
本発明では、内燃機関の機関停止指令後に機関停止に至るまで、調量弁及び排出路開閉弁を開弁させ、内燃機関の機関停止時に、排出路開閉弁を閉弁させる。これにより、燃料は、機関停止に至るまで内燃機関に駆動される低圧ポンプ及び高圧ポンプに圧送され、低圧ポンプ及び高圧ポンプを流れ、排出路から排出される。そして、機関停止時に排出路開閉弁を閉弁させるので、機関停止中に高圧ポンプの燃料が排出路から排出されてしまうことも防止できる。その結果、機関停止中は高圧ポンプに燃料が充填された状態となる。
よって、次回の内燃機関の機関始動時には、高圧ポンプでは充填された燃料を直ぐに圧送でき、空圧送を防止できる。そして、機関始動時に高圧ポンプが燃料を直ぐに圧送できるので、コモンレールの燃料の圧力を早期に上昇させることができる。したがって、機関始動に必要なコモンレールの燃料の圧力を短時間に得ることができ、機関始動時におけるコモンレールの燃料の圧力を安定させるので、機関始動時におけるコモンレールの燃料の圧力の差異に起因する内燃機関の振動・騒音を抑制できる。
本発明にあっては、以下の構成を採用する。すなわち、本発明は、
燃料タンクの燃料を内燃機関の駆動によって圧送する低圧ポンプと、
前記低圧ポンプによって送られる燃料の量を調整する調量弁と、
前記調量弁によって量が調整された燃料を前記内燃機関の駆動によって高圧化して圧送する高圧ポンプと、
前記高圧ポンプによって高圧化された燃料を蓄えるコモンレールと、
前記コモンレールの燃料を前記内燃機関に噴射するインジェクタと、
前記高圧ポンプによって高圧化された燃料を蓄圧する蓄圧容器と、
前記高圧ポンプから前記蓄圧容器に至る経路に配置され当該経路を開閉する蓄圧容器開閉弁と、
前記高圧ポンプから前記コモンレールに至る経路の前記コモンレールの直上流に配置され当該経路を開閉するコモンレール開閉弁と、
前記内燃機関の機関停止指令後に機関停止に至るまで、前記調量弁及び前記蓄圧容器開閉弁を開弁させると共に前記コモンレール開閉弁を閉弁し、前記コモンレールの燃料の圧力が減圧した場合に、前記コモンレール開閉弁を開弁させる第4制御手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関用燃料噴射装置である。
本発明では、内燃機関の機関停止指令後に機関停止に至るまで、調量弁及び蓄圧容器開閉弁を開弁させると共にコモンレール開閉弁を閉弁し、コモンレールの高圧化された燃料の圧力が減圧した場合に、コモンレール開閉弁を開弁させる。これにより、燃料は、機関停止に至るまで内燃機関に駆動される低圧ポンプ及び高圧ポンプに圧送され、低圧ポンプ及び高圧ポンプを流れ、蓄圧容器に溜められ、その状態で機関停止すると共に低圧ポンプ及び高圧ポンプが停止する。その結果、機関停止中は高圧ポンプに燃料が充填された状態となる。
よって、次回の内燃機関の機関始動時には、高圧ポンプでは充填された燃料を直ぐに圧送でき、空圧送を防止できる。そして、機関始動時に高圧ポンプが燃料を直ぐに圧送できるので、コモンレールの燃料の圧力を早期に上昇させることができる。したがって、機関始動に必要なコモンレールの燃料の圧力を短時間に得ることができ、機関始動時におけるコモンレールの燃料の圧力を安定させるので、機関始動時におけるコモンレールの燃料の圧力の差異に起因する内燃機関の振動・騒音を抑制できる。
また、コモンレールの高圧化された燃料の圧力が減圧した場合に、コモンレール開閉弁が開弁するので、蓄圧容器から高圧化された燃料がコモンレールに流れ込み、機関停止後における蓄圧容器から高圧化された燃料を供給できる期間はコモンレールの燃料の圧力を高圧のまま維持できる。
本発明にあっては、以下の構成を採用する。すなわち、本発明は、
燃料タンクの燃料を内燃機関の駆動によって圧送する低圧ポンプと、
前記低圧ポンプによって送られる燃料の量を調整する調量弁と、
前記調量弁によって量が調整された燃料を前記内燃機関の駆動によって高圧化して圧送する高圧ポンプと、
前記高圧ポンプによって高圧化された燃料を蓄えるコモンレールと、
前記コモンレールの燃料を前記内燃機関に噴射するインジェクタと、
前記高圧ポンプから前記コモンレールに至る経路に配置され当該経路を開閉する電磁弁と、
前記内燃機関の機関停止指令後に機関停止に至るまで、前記調量弁を開弁させ、前記内燃機関の機関停止指令後に機関停止に至る間に、機関停止後に前記高圧ポンプの燃料の圧力が所定圧力を超えないように前記電磁弁を閉弁させる第5制御手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関用燃料噴射装置である。
本発明では、内燃機関の機関停止指令後に機関停止に至るまで、調量弁を開弁させ、内燃機関の機関停止指令後に機関停止に至る間に、機関停止後に高圧ポンプの燃料の圧力が所定圧力を超えないように電磁弁を閉弁させる。これにより、燃料は、機関停止に至るまで内燃機関に駆動される低圧ポンプ及び高圧ポンプに圧送され、低圧ポンプ及び高圧ポンプを流れる。さらに、電磁弁が閉弁するまでは、燃料は、高圧ポンプからコモンレールに流れる。そして、電磁弁が閉弁すると、その後高圧ポンプの燃料はそのまま高圧ポンプに
保持される。その結果、機関停止中は高圧ポンプに燃料が充填された状態となる。
よって、次回の内燃機関の機関始動時には、高圧ポンプでは充填された燃料を直ぐに圧送でき、空圧送を防止できる。そして、機関始動時に高圧ポンプが燃料を直ぐに圧送できるので、コモンレールの燃料の圧力を早期に上昇させることができる。したがって、機関始動に必要なコモンレールの燃料の圧力を短時間に得ることができ、機関始動時におけるコモンレールの燃料の圧力を安定させるので、機関始動時におけるコモンレールの燃料の圧力の差異に起因する内燃機関の振動・騒音を抑制できる。
前記インジェクタは、前記コモンレールの燃料を前記内燃機関に噴射する経路とは別経路で燃料漏れが許容されており、当該燃料漏れにより前記コモンレールの燃料の圧力を減圧するとよい。
本発明によると、インジェクタからの燃料漏れによりコモンレールの燃料の圧力を減圧してしまい、内燃機関の機関停止時間に応じてその後の機関始動時におけるコモンレールの燃料の圧力に差異が生じ、その差異に起因する内燃機関の振動・騒音が発生する。
前記内燃機関は、ハイブリッド車両又はエコラン車両に搭載されているとよい。
本発明によると、ハイブリッド車両又はエコラン車両で内燃機関の機関停止及びその後の機関始動が頻繁に行われるので、機関始動時におけるコモンレールの燃料の圧力の差異に起因する内燃機関の振動・騒音をより良く抑制できる。
本発明によると、内燃機関用燃料噴射装置において、内燃機関の機関始動時における高圧ポンプの空圧送を防止でき、コモンレールの燃料の圧力を早期に上昇させることができる。
以下に本発明の具体的な実施例を説明する。
<実施例1>
本発明に係る内燃機関用燃料噴射装置が設置される内燃機関は、多気筒ディーゼルエンジンであり、エコラン(エコノミーランニング)車両やハイブリッド車両に搭載される。これらの車両では、信号待ち等の一時停止時に内燃機関を機関停止させ、車両の再発進時に内燃機関を再始動(機関始動)させる、いわゆるアイドリングストップ制御を行うことができる。また、ハイブリッド車両では、内燃機関の他に駆動原(例えば電気モータ)を備えるため、車両の走行中においても内燃機関を運転条件等に応じて内燃機関の機関停止や自動再始動(機関始動)の制御を行うことができる。このため、これらの車両では、内燃機関の機関停止及びその後の機関始動が頻繁に行われる。
図1は、本発明の内燃機関用燃料噴射装置(以下、単に燃料噴射装置という)の全体構成を示す。図1に示す燃料噴射装置は、高圧化された燃料が蓄圧されるコモンレール1を備えている。コモンレール1には、内燃機関の気筒数に応じた数のインジェクタ2が接続されている。インジェクタ2は、ECU3に制御されて所定時期に所定期間開弁して、コモンレール1の燃料を内燃機関の各気筒内に噴射する。なお、インジェクタ2は、図1では1つだけ示し、その他は図示省略している。
コモンレール1には、減圧弁4が接続されている。減圧弁4は、コモンレール1の燃料を流出させることによってコモンレール1の燃料の圧力を減圧する。減圧弁4から流出した燃料は、戻し燃料通路5を介して燃料タンク6に戻される。
コモンレール1に蓄圧される燃料は、高圧通路7を介して燃料ポンプユニットPから供給される。燃料ポンプユニットPは、燃料タンク6の燃料を吸入し、吸入した燃料を高圧化して高圧通路7を介してコモンレール1に圧送する。
インジェクタ2は、コモンレール1の燃料を内燃機関に噴射する経路とは別経路で燃料漏れが許容されているリーク有りインジェクタである。インジェクタ2は、燃料漏れによりコモンレール1の燃料の圧力を減圧する。インジェクタ2には、インジェクタ2からの燃料漏れによるリーク燃料を燃料タンク6へ戻すための戻し燃料通路5が接続されている。
ECU3は、CPU、ROM、RAM等からなり、記憶したプログラムに従って演算処理を行うものである。ECU3には、コモンレール1の燃料の圧力を検知する燃料圧センサ8からの信号が入力される。またECU3には、その他各種センサから機関回転数、アクセル開度等の種々の情報が入力される。
そして、ECU3は、運転状態に応じた噴射時期、噴射量(噴射期間)を算出して、各インジェクタ2の開弁時期及び開弁時間を制御する。また、ECU3は、燃料圧センサ8によって検知するコモンレール1の燃料の圧力が過剰に高圧になる場合には、減圧弁4を開弁し、コモンレール1の燃料の圧力を減圧する。
次に、燃料ポンプユニットPについて説明する。図2は、燃料ポンプユニットP及びその周辺の概略構成を示す。
燃料ポンプユニットPは、燃料タンク6の燃料を圧送する低圧ポンプ10と、低圧ポンプ10によって送られる燃料の量を調整する調量弁20と、調量弁20によって量が調整された燃料を高圧化して圧送する高圧ポンプ30と、を備える。
低圧ポンプ10は、内燃機関によって駆動され燃料タンク6から吸入した燃料を低圧で
圧送するポンプ部11と、ポンプ部11から吐出される燃料の圧力が所定圧を超えないように調整するリリーフ弁12とからなる。
調量弁20は、ECU3からの指令によって開閉される弁であり、その開口量も調整可能である。
高圧ポンプ30は、内燃機関によって駆動されるプランジャ31がシリンダ32内に摺動自在に収納されており、プランジャ31がシリンダ32内を往復動するようになっている。プランジャ31とシリンダ32とによって形成されたポンプ室には、低圧ポンプ10を経て調量弁20で量が調整された燃料が供給され、当該燃料はプランジャ31により高圧化されて、ポンプ室の吐出側の逆止弁33を経てコモンレール1へ吐出される。一方、ポンプ室の吸入側にも逆止弁34が設けられ、ポンプ室から調量弁20側への燃料の逆流を防止している。
ここで、ポンプ室の吐出側の逆止弁33の開弁圧は、前後差圧が低圧ポンプ10の圧送圧以上で開弁するように設定されている。これにより、内燃機関の機関停止時にコモンレール1の燃料の圧力が大気圧相当になった場合に、高圧ポンプ30内の燃料がコモンレール1側へ漏れることを防止し、内燃機関の機関停止時に高圧ポンプ30に燃料が充填された状態となるようにしている。
以上の構成の燃料噴射装置においては、内燃機関の機関停止中にインジェクタ2からの燃料漏れによりコモンレール1の燃料の圧力が減圧されてしまう。このため、内燃機関の機関停止時間に応じて次回の機関始動時におけるコモンレール1の燃料の圧力に差異が生じてしまう。よって、機関始動時にコモンレール1の燃料の圧力の差異に起因する内燃機関の振動・騒音、或いは排気悪化等が発生するおそれがある。
これに対し、コモンレール1の燃料の圧力を早期に上昇させ、機関始動に必要なコモンレール1の燃料の圧力を短時間に得ることが望まれる。しかし、従来、機関停止に至る前に調量弁20を閉弁するので、機関停止時に高圧ポンプ30に燃料が充填されていなかった。高圧ポンプ30に燃料が充填されていない状態で機関始動を行うと、高圧ポンプ30の初期圧送が空圧送となってしまう。このように、機関始動時における高圧ポンプ30の空圧送が生じている場合には、コモンレール1の燃料の圧力を早期に上昇させることができなかった。
そこで、本実施例では、内燃機関の機関停止指令後に機関停止に至るまで、調量弁20及び減圧弁4を開弁させるようにした。これにより、燃料は、機関停止に至るまで内燃機関に駆動される低圧ポンプ10及び高圧ポンプ30に圧送され、低圧ポンプ10、高圧ポンプ30及びコモンレール1を流れる。そして、その状態のまま機関停止と共に低圧ポンプ10及び高圧ポンプ30が停止する。その結果、機関停止中は高圧ポンプ30に燃料が充填された状態となる。
よって、次回の内燃機関の機関始動時には、高圧ポンプ30では充填された燃料を直ぐに圧送でき、空圧送を防止できる。そして、機関始動時に高圧ポンプ30が燃料を直ぐに圧送できるので、コモンレール1の燃料の圧力を早期に上昇させることができる。したがって、機関始動に必要なコモンレール1の燃料の圧力を短時間に得ることができ、機関始動時におけるコモンレール1の燃料の圧力を安定させるので、機関始動時におけるコモンレール1の燃料の圧力の差異に起因する内燃機関の振動・騒音或いは排気悪化等を抑制できる。特にエコラン車両やハイブリッド車両では、内燃機関の機関停止及びその後の機関始動が頻繁に行われるので、機関始動時におけるコモンレールの燃料の圧力の差異に起因する内燃機関の振動・騒音等をより良く抑制できる。
ここで、コモンレール1では、機関停止に至るまで燃料が送られてくるが、減圧弁4が開弁しているので、コモンレール1の燃料は大気圧相当となるまで減圧弁4から排出される。そして、機関始動時には、毎回大気圧相当から同じようにコモンレール1の燃料の圧力を上昇させることができる。よって、機関始動時におけるコモンレール1の燃料の圧力を毎回安定させることができる。
また、内燃機関が機関停止した場合には、開弁していた減圧弁4を閉弁する。これによると、内燃機関が機関停止した後に減圧弁4が開弁していることによって、コモンレール1から燃料が排出されてしまうことを防止できる。よって、内燃機関が機関停止した後にコモンレール1を大気圧相当の燃料で充填したまま維持できる。
なお、内燃機関が機関停止した場合に、調量弁20は開弁状態を維持する。これによると、次回の機関始動時に調量弁20が開弁していることによって、低圧ポンプ10が燃料を直ぐに高圧ポンプ30へ圧送できるので、高圧ポンプ30に順次燃料が供給され、高圧ポンプ30の空圧送を防止できる。
次に、本実施例による機関停止制御ルーチン1について説明する。図3は、本実施例による機関停止制御ルーチン1を示すフローチャートである。本ルーチンは、ECU3により一定時間毎に繰り返し実行される。本ルーチンを実行するECU3が本発明の第1制御手段に相当する。
S101では、内燃機関の機関停止指令が発せられたか否かを判別する。S101で肯定判定された場合には、S102へ移行する。一方、S101で否定判定された場合には、本ルーチンを一旦終了する。
S102では、調量弁20及び減圧弁4を開弁する。弁開度は例えば全開等である。
S103では、内燃機関が機関停止したか否かを判別する。S103で肯定判定された場合には、S104へ移行する。一方、S103で否定判定された場合には、S103へ戻る。
S104では、減圧弁4を閉弁する。そして、本ルーチンを一旦終了する。このため、調量弁20は機関停止中も開弁状態を維持する。
<実施例2>
次に実施例2について説明する。本実施例では、内燃機関の機関停止指令後の内燃機関の機関回転数が自立復帰可能回転数よりも低下する場合に、調量弁20及び減圧弁4を開弁させるものである。その他の構成は上記実施例と同一であるので、説明を省略する。
本実施例では、図4に示すように、内燃機関の機関停止指令後に内燃機関の機関回転数が自立復帰可能回転数よりも低下した場合に、調量弁20及び減圧弁4を開弁させるようにした。
ここで、自立復帰可能回転数とは、内燃機関の機関回転数がその回転数以上であると、スタータを用いずに内燃機関への燃料噴射による燃焼だけで内燃機関が通常運転状態へ復帰できる閾値となる回転数である。
本実施例によると、内燃機関の機関停止指令後に内燃機関の機関回転数が自立復帰可能回転数以上の場合は、内燃機関の機関始動が直ぐに行え、機関始動時間を短縮化できる。
次に、本実施例による機関停止制御ルーチン2について説明する。図5は、本実施例による機関停止制御ルーチン2を示すフローチャートである。本ルーチンは、ECU3により一定時間毎に繰り返し実行される。本ルーチンを実行するECU3が本発明の第1制御手段に相当する。
S201では、内燃機関の機関停止指令後に内燃機関の機関回転数が自立復帰可能回転数よりも低下したか否かを判別する。S201で肯定判定された場合には、S202へ移行する。一方、S201で否定判定された場合には、本ルーチンを一旦終了する。
S202では、調量弁20及び減圧弁4を開弁する。弁開度は例えば全開等である。
S203では、内燃機関が機関停止したか否かを判別する。S203で肯定判定された場合には、S204へ移行する。一方、S203で否定判定された場合には、S203へ戻る。
S204では、減圧弁4を閉弁する。そして、本ルーチンを一旦終了する。このため、調量弁20は機関停止中も開弁状態を維持する。
<実施例3>
次に実施例3について説明する。本実施例では、内燃機関の機関停止後に、調量弁20を開弁させると共に電動ポンプ40を所定量の燃料を圧送する間駆動させるものである。その他の構成は上記実施例と同一であるので、説明を省略する。
本実施例では、図6に示すように、低圧ポンプ10よりも上流側に電動ポンプ40を備える。電動ポンプ40は、ECU3からの指令によってバッテリの電力を用いる電動モータによって駆動され、燃料タンク6から燃料を圧送できる。電動ポンプ40は、電動モータに駆動されるため、内燃機関の機関停止後も可動できる。
そして、本実施例では、内燃機関の機関停止後に、調量弁20を開弁させると共に電動ポンプ40を所定量の燃料を圧送する間駆動させるようにした。これにより、所定量の燃料が、内燃機関の機関停止後に駆動される電動ポンプ40によって高圧ポンプ30に圧送される。その結果、電動ポンプ40駆動後の機関停止中は高圧ポンプ30に燃料が充填された状態となる。
よって、次回の内燃機関の機関始動時には、高圧ポンプ30では充填された燃料を直ぐに圧送でき、空圧送を防止できる。そして、機関始動時に高圧ポンプ30が燃料を直ぐに圧送できるので、コモンレール1の燃料の圧力を早期に上昇させることができる。したがって、機関始動に必要なコモンレール1の燃料の圧力を短時間に得ることができ、機関始動時におけるコモンレール1の燃料の圧力を安定させるので、機関始動時におけるコモンレール1の燃料の圧力の差異に起因する内燃機関の振動・騒音或いは排気悪化等を抑制できる。特にエコラン車両やハイブリッド車両では、内燃機関の機関停止及びその後の機関始動が頻繁に行われるので、機関始動時におけるコモンレールの燃料の圧力の差異に起因する内燃機関の振動・騒音等をより良く抑制できる。
次に、本実施例による機関停止制御ルーチン3について説明する。図7は、本実施例による機関停止制御ルーチン3を示すフローチャートである。本ルーチンは、ECU3により一定時間毎に繰り返し実行される。本ルーチンを実行するECU3が本発明の第2制御手段に相当する。
S301では、内燃機関が機関停止したか否かを判別する。S301で肯定判定された場合には、S302へ移行する。一方、S301で否定判定された場合には、本ルーチンを一旦終了する。
S302では、調量弁20を開弁すると共に、電動ポンプ40を駆動する。調量弁の弁開度は例えば全開等である。
S303では、電動ポンプ40が所定量の燃料を圧送したか否かを判別する。所定量の燃料を圧送したかどうかは、例えば予め定めた電動ポンプ40の駆動時間等で判断する。S303で肯定判定された場合には、S304へ移行する。一方、S303で否定判定された場合には、S303へ戻る。
S304では、電動ポンプ40を停止させる。そして、本ルーチンを一旦終了する。このため、調量弁20は機関停止中も開弁状態を維持する。
<実施例4>
次に実施例4について説明する。本実施例では、内燃機関の機関停止指令後に機関停止に至るまで、調量弁20及び排出路開閉弁36を開弁させ、内燃機関の機関停止時に、排出路開閉弁36を閉弁させるものである。その他の構成は上記実施例と同一であるので、説明を省略する。
本実施例では、図8に示すように、高圧ポンプ30に高圧ポンプ30から燃料を排出可能な排出路35を設ける。排出路35には、当該排出路35を開閉する排出路開閉弁36を配置する。排出路開閉弁36は、ECU3からの指令によって開閉される弁であり、内燃機関の運転中は常時閉弁されている。
そして、本実施例では、内燃機関の機関停止指令後に機関停止に至るまで、調量弁20及び排出路開閉弁36を開弁させ、内燃機関の機関停止時に、排出路開閉弁36を閉弁させる。これにより、燃料は、機関停止に至るまで内燃機関に駆動される低圧ポンプ10及び高圧ポンプ30に圧送され、低圧ポンプ10及び高圧ポンプ30を流れ、排出路35から排出される。そして、機関停止と共に低圧ポンプ10及び高圧ポンプ30が停止し、機関停止時に排出路開閉弁36を閉弁させるので、機関停止中に高圧ポンプ30の燃料が排出路から排出されてしまうことも防止できる。その結果、機関停止中は高圧ポンプ30に燃料が充填された状態となる。
よって、次回の内燃機関の機関始動時には、高圧ポンプ30では充填された燃料を直ぐに圧送でき、空圧送を防止できる。そして、機関始動時に高圧ポンプ30が燃料を直ぐに圧送できるので、コモンレール1の燃料の圧力を早期に上昇させることができる。したがって、機関始動に必要なコモンレール1の燃料の圧力を短時間に得ることができ、機関始動時におけるコモンレール1の燃料の圧力を安定させるので、機関始動時におけるコモンレール1の燃料の圧力の差異に起因する内燃機関の振動・騒音或いは排気悪化等を抑制できる。特にエコラン車両やハイブリッド車両では、内燃機関の機関停止及びその後の機関始動が頻繁に行われるので、機関始動時におけるコモンレールの燃料の圧力の差異に起因する内燃機関の振動・騒音等をより良く抑制できる。
次に、本実施例による機関停止制御ルーチン4について説明する。図9は、本実施例による機関停止制御ルーチン4を示すフローチャートである。本ルーチンは、ECU3により一定時間毎に繰り返し実行される。本ルーチンを実行するECU3が本発明の第3制御手段に相当する。
S401では、内燃機関の機関停止指令が発せられたか否かを判別する。S401で肯定判定された場合には、S402へ移行する。一方、S401で否定判定された場合には、本ルーチンを一旦終了する。
S402では、調量弁20及び排出路開閉弁36を開弁する。弁開度は例えば全開等である。
S403では、内燃機関が機関停止したか否かを判別する。S403で肯定判定された場合には、S404へ移行する。一方、S403で否定判定された場合には、S403へ戻る。
S404では、排出路開閉弁36を閉弁する。そして、本ルーチンを一旦終了する。このため、調量弁20は機関停止中も開弁状態を維持する。
<実施例5>
次に実施例5について説明する。本実施例では、内燃機関の機関停止指令後に機関停止に至るまで、調量弁20及び蓄圧容器開閉弁51を開弁させると共にコモンレール開閉弁52を閉弁させるものである。その他の構成は上記実施例と同一であるので、説明を省略する。
本実施例では、図10に示すように、高圧ポンプ30によって高圧化された燃料を蓄圧する蓄圧容器50を備える。蓄圧容器50は、高圧ポンプ30からコモンレール1に至る高圧通路7の途中から分岐した分岐路53を介して配置されている。
分岐路53には当該分岐路53を開閉する蓄圧容器開閉弁51が配置されている。蓄圧容器開閉弁51は、ECU3からの指令によって開閉される弁であり、内燃機関の運転中は常時閉弁されている。
高圧ポンプ30からコモンレール1に至る高圧通路7の、分岐路53と分岐する部位を経たコモンレール1の直上流には、当該高圧通路7を開閉するコモンレール開閉弁52が配置されている。コモンレール開閉弁52は、ECU3からの指令によって開閉される弁であり、内燃機関の運転中は常時開弁されている。
そして、本実施例では、内燃機関の機関停止指令後に機関停止に至るまで、調量弁20及び蓄圧容器開閉弁51を開弁させると共にコモンレール開閉弁52を閉弁する。これにより、燃料は、機関停止に至るまで内燃機関に駆動される低圧ポンプ10及び高圧ポンプ30に圧送され、低圧ポンプ10及び高圧ポンプ30を流れ、その下流の蓄圧容器50に溜められる。そして、その状態のまま機関停止と共に低圧ポンプ10及び高圧ポンプ30が停止する。その結果、機関停止中は高圧ポンプ30に燃料が充填された状態となる。
よって、次回の内燃機関の機関始動時には、高圧ポンプ30では充填された燃料を直ぐに圧送でき、空圧送を防止できる。そして、機関始動時に高圧ポンプ30が燃料を直ぐに圧送できるので、コモンレール1の燃料の圧力を早期に上昇させることができる。したがって、機関始動に必要なコモンレール1の燃料の圧力を短時間に得ることができ、機関始動時におけるコモンレール1の燃料の圧力を安定させるので、機関始動時におけるコモンレール1の燃料の圧力の差異に起因する内燃機関の振動・騒音或いは排気悪化等を抑制できる。特にエコラン車両やハイブリッド車両では、内燃機関の機関停止及びその後の機関始動が頻繁に行われるので、機関始動時におけるコモンレールの燃料の圧力の差異に起因する内燃機関の振動・騒音等をより良く抑制できる。
また、本実施例では、機関停止中にコモンレール1の高圧化された燃料の圧力が減圧した場合に、コモンレール開閉弁52を開弁させる。これにより、蓄圧容器50から高圧化された燃料がコモンレール1に流れ込み、機関停止後における蓄圧容器50から高圧化された燃料を供給できる期間はコモンレール1の燃料の圧力を高圧のまま維持できる。よって、コモンレール1の燃料の圧力を高圧のまま維持した期間中は、内燃機関の機関始動が直ぐに行え、機関始動時間を短縮化できる。
次に、本実施例による機関停止制御ルーチン5について説明する。図11は、本実施例による機関停止制御ルーチン5を示すフローチャートである。本ルーチンは、ECU3により一定時間毎に繰り返し実行される。本ルーチンを実行するECU3が本発明の第4制御手段に相当する。
S501では、内燃機関の機関停止指令が発せられたか否かを判別する。S501で肯定判定された場合には、S502へ移行する。一方、S501で否定判定された場合には、本ルーチンを一旦終了する。
S502では、調量弁20及び蓄圧容器開閉弁51を開弁する。弁開度は例えば全開等である。また、コモンレール開閉弁52を閉弁する。
S503では、燃料圧センサ8の信号に基づき、内燃機関の機関停止中にコモンレール1の高圧化された燃料の圧力がインジェクタ2への供給可能圧力よりも減圧したか否かを判別する。S503で肯定判定された場合には、S504へ移行する。一方、S503で否定判定された場合には、S507へ移行する。
S504では、コモンレール開閉弁52を開弁する。弁開度は例えば全開等である。
S505では、燃料圧センサ8の信号に基づき、コモンレール1の燃料の圧力がインジェクタ2への供給可能な適正な高圧になったか否かを判別する。S505で肯定判定された場合には、S506へ移行する。一方、S505で否定判定された場合には、S505へ戻る。
S506では、コモンレール開閉弁を閉弁する。
S507では、蓄圧容器50に配置された燃料圧センサ54の信号に基づき、蓄圧容器50からコモンレール1の燃料の圧力を適切な高圧にできる程度の燃料を供給可能か否かを判別する。S507で肯定判定された場合には、S503へ戻る。一方、S507で否定判定された場合には、本ルーチンを一旦終了する。このため、調量弁20及び蓄圧容器開閉弁51は機関停止中も開弁状態を維持する。また蓄圧容器開閉弁51は、次回の機関始動時に閉弁される。
<実施例6>
次に実施例6について説明する。本実施例では、内燃機関の機関停止指令後に機関停止に至るまで、調量弁20を開弁させ、内燃機関の機関停止指令後に機関停止に至る間に、機関停止後に高圧ポンプ30の燃料の圧力が所定圧力を超えないように電磁弁37を閉弁させるものである。その他の構成は上記実施例と同一であるので、説明を省略する。
本実施例では、図12に示すように、高圧ポンプ30からコモンレール1に至る経路、特に高圧ポンプ30のポンプ室の吐出側の部位に、ポンプ室の吐出側の逆止弁33の代わりに、当該部位を開閉する電磁弁37を備える。電磁弁37は、ECU3からの指令によって開閉される弁であり、内燃機関の運転時には、プランジャ31により高圧化された燃
料をコモンレール1に圧送するときに開弁し、コモンレール1側からポンプ室に逆流することを防止するため閉弁する。
そして、本実施例では、内燃機関の機関停止指令後に機関停止に至るまで、調量弁20を開弁させ、内燃機関の機関停止指令後に機関停止に至る間に、機関停止後に高圧ポンプ30の燃料の圧力が所定圧力を超えないように、所定圧力となる時期に電磁弁37を閉弁させる。なお、所定圧力は、それを超える圧力であると、高圧ポンプ30が破損したりする弊害が生じるおそれのある圧力である。これにより、燃料は、機関停止に至るまで内燃機関に駆動される低圧ポンプ10及び高圧ポンプ30に圧送され、低圧ポンプ10及び高圧ポンプ30を流れる。さらに、電磁弁37が閉弁するまでは、燃料は、高圧ポンプ30からコモンレール1に流れる。そして、電磁弁37が閉弁すると、その後高圧ポンプ30の燃料はそのまま高圧ポンプ30に保持される。その後、機関停止と共に低圧ポンプ10及び高圧ポンプ30が停止する。その結果、機関停止中は高圧ポンプ30に所定圧力の燃料が充填された状態となる。
よって、次回の内燃機関の機関始動時には、高圧ポンプ30では充填された燃料を直ぐに圧送でき、空圧送を防止できる。そして、機関始動時に高圧ポンプ30が燃料を直ぐに圧送できるので、コモンレール1の燃料の圧力を早期に上昇させることができる。したがって、機関始動に必要なコモンレール1の燃料の圧力を短時間に得ることができ、機関始動時におけるコモンレール1の燃料の圧力を安定させるので、機関始動時におけるコモンレール1の燃料の圧力の差異に起因する内燃機関の振動・騒音或いは排気悪化等を抑制できる。特にエコラン車両やハイブリッド車両では、内燃機関の機関停止及びその後の機関始動が頻繁に行われるので、機関始動時におけるコモンレールの燃料の圧力の差異に起因する内燃機関の振動・騒音等をより良く抑制できる。
次に、本実施例による機関停止制御ルーチン6について説明する。図13は、本実施例による機関停止制御ルーチン6を示すフローチャートである。本ルーチンは、ECU3により一定時間毎に繰り返し実行される。本ルーチンを実行するECU3が本発明の第5制御手段に相当する。
S601では、内燃機関の機関停止指令が発せられたか否かを判別する。S601で肯定判定された場合には、S602へ移行する。一方、S601で否定判定された場合には、本ルーチンを一旦終了する。
S602では、調量弁20及び電磁弁37を開弁する。弁開度は例えば全開等である。
S603では、内燃機関の機関停止後に高圧ポンプの燃料の圧力が所定圧力を超えない所定圧力となる時期に到達したか否かを判別する。この時期は、例えば、機関回転数と調量弁の開度に基づき判断してもよいし、機関停止指令からの時間のマップにより算出してもよい。また、この時期は、内燃機関の機関停止後に高圧ポンプの燃料の圧力が所定圧力以下となるより早い時期であってもよい。S603で肯定判定された場合には、S604へ移行する。一方、S603で否定判定された場合には、S603へ戻る。
S604では、電磁弁37を閉弁する。そして、本ルーチンを一旦終了する。その後、内燃機関が機関停止する。このため、調量弁20は機関停止中も開弁状態を維持する。
本発明に係る内燃機関用燃料噴射装置は、上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもよい。