JP5309055B2 - 結露水吸収板 - Google Patents
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この結露水吸水テープとしては、フェルトのような吸水性の基材に粘着層を設けたものが知られているが、この種の結露水吸水テープは、結露水の蒸発が十分になされないとカビなどを発生させる原因ともなり、室内の美観を損なうおそれを有する。
連続気泡性発泡シートは、通常、ポリオレフィン系樹脂やポリスチレン系樹脂によって形成されており、その表面には前記樹脂による気泡膜が形成されていることから、前記吸水シートとしての利用においては、この気泡膜にニードルパンチを施すなどして穴を穿設し、該穴から連続気泡性発泡シートの内部に毛細管現象を利用して水を吸い込ませることが検討されている(下記特許文献1)。
また、空気中を浮遊するカビ胞子が内部へ侵入することも前記気泡膜によって抑制され得ることから美観が損なわれるおそれを抑制させ得る。
しかし、連続気泡性発泡シートは、フェルトなどに比べて一旦取り込んだ水を蒸発させ難く、しかも、埃等が結露水に同伴された場合には、内部に蓄積されてしまうおそれを有する。
そのような場合には、内部の黒ずみが、気泡膜を通して外側から視認される可能性があり、結果、美観が損なわれることになる。
すなわち、単に連続気泡性発泡シートを結露水吸収板に利用するだけでは、使用期間中に美観が損なわれてしまうことを十分に抑制させることが困難である。
そのことによって、水分が残存し易くなり、カビ等を発生させるおそれを有する。
一方で本発明の結露水吸収板は、結露水を吸収する連続気泡性発泡層の背面側に独立気泡性発泡層がさらに備えられている。
したがって、窓ガラスや扉に取り付けたとしても、これらによって内部の結露水が冷却されてしまうおそれを抑制させ得る。
すなわち、結露水の蒸発が促進され、乾燥されやすくなるためにカビの発生等を抑制することができ美観が低下されるおそれを抑制させ得る。
すなわち、本発明の結露水吸収板は、使用期間中における美観の低下を抑制させ得る。
図1は、本実施形態の結露水吸収板を示す正面図であり、図2はその断面構造を示す図(X−X’線断面図)である。
また、図3は、本実施形態の結露水吸収板1を窓ガラスWに取り付けて、該窓ガラスを伝って流下する結露水Dを吸収させる様子を示した概略図である。
すなわち、垂直面に取り付けた際に上縁部が波型となるように形成されている。
この結露水吸収板1は、特に、その大きさが限定されるものではないが、一般家庭の窓に取り付けられて使用されるようなものであれば、通常、長さ(L)が、30cm〜1m50cm、高さ(H:波型の頂部UL1までの高さ)が、5cm〜20cm、厚みが、1mm〜5mmとされる。
また、上側の輪郭線ULの頂部UL1から底部UL2までの距離(波型の振幅)は、通常、1cm〜3cmとされる。
本実施形態の結露水吸収板1は、前記意匠層10に背面側で接する連続気泡性発泡層20と、該連続気泡性発泡層20に背面側で接する独立気泡性発泡層30と、該独立気泡性発泡層30に背面側で接する補強フィルム層40を備えている。
さらに、本実施形態の結露水吸収板1には、窓ガラスなどの被着体に取り付けるための粘着層50が前記補強フィルム層40の背面側に備えられている。
なお、図2においては、使用前の状態の結露水吸収板1の断面構造を示しており、前記粘着層50の表面にセパレータSPが貼着された状態を示している。
すなわち、前記意匠層10は、前記印刷フィルム10bに付与された意匠を、透明なクリアフィルム10aを通して表面に現出させ得るように構成されている。
前記クリアフィルム10aは、透明性、耐摩耗性、強度などの関係から、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムのようなポリエステルフィルムが好ましい。
このポリエステルフィルムとしては、通常、10μm〜50μmの厚みのものを採用することができる。
例えば、連続気泡性発泡層20がポリスチレン系樹脂を用いて形成されているような場合には、この印刷フィルム10bもポリスチレン系樹脂フィルムとすることが好ましく、例えば、表面印刷が施された10μm〜50μmの厚みのポリスチレン系樹脂フィルムを前記印刷フィルム10bとして採用することができる。
さらには、前記クリアフィルム10aも意匠層に必須のものではない。
例えば、エンボスフィルムのような表面形状によって意匠性が付与されたフィルムのみで意匠層を構成することも可能である。
また、その場合には、前記独立気泡性発泡層30と当該連続気泡性発泡層20とを、両方ともポリスチレン系樹脂発泡シートで構成させ、しかも、これらを共押出しして直接積層させることで高い接合強度をこれらの間に付与させることができる。
また、前記連続気泡性発泡層20を構成させるための連続気泡性発泡シートと前記独立気泡性発泡層30を構成させるための独立気泡性発泡シートとをこの共押出し法を採用することによって簡便に作製することができ、結露水吸収板1の製造効率の観点からも好適である。
このベースポリマーであるポリスチレン系樹脂としては、スチレンの単独重合体の他に、スチレンと他の単量体との共重合体や、ゴム変性ポリスチレン、スチレン系エラストマーなどが採用可能である。
これらのポリスチレン系樹脂はそれぞれ単独で、あるいは2種以上を混合して前記ベースポリマーを構成させても良い。
前記ゴム変性ポリスチレンには、このゴム粒子が、サラミ状やコアシェル状など種々の形態で分散されたものを採用でき、前記ゴム粒子が単独又は2種以上含まれていてもよい。
なお、このゴム変性ポリスチレンは、結露水吸収板1の耐候性を確保するため、ゴム変性ポリスチレン以外のポリスチレン系樹脂、その他の合成樹脂と併せて使用することが望ましい。
共役ジエンとしては、ブタジエン、イソプレン、2−エチルブタジエンなど炭素数4〜10の共役ジエンが挙げられる。
ポリマー自体の劣化を考慮すると、劣化を生じにくいことからスチレンと共役ジエンとの共重合体の水素添加物が好ましい。
共役ジエンとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、2−エチルブタジエンなどの炭素数4〜10の共役ジエンが挙げられる。
好ましいスチレン−共役ジエン共重合体の水素添加物としては、スチレン−イソプレンブロック共重合体の水素添加物、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物、スチレン−ブタジエンランダム共重合体の水素添加物である。
これら共重合体の完全飽和型構造は、例えばスチレン−エチレン・ブチレン共重合体、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体などである。
これらの共重合体はそれぞれ単独で、あるいは2種以上を混合して前記ポリスチレン系樹脂組成物に含有させることができる。
化学発泡剤としては、例えばアゾジカルボンアミドなどの分解型のもの、重曹−クエン酸などの反応型のものが挙げられる。
物理発泡剤としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタンなどの炭化水素、窒素、二酸化炭素などの不活性ガス、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルなどのエーテル、テトラフルオロエタン、クロロジフルオロエタン、ジフルオロエタンなどのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。
これらの発泡剤はそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
環境上の問題が少なくかつ熱成形時の二次発泡性の維持効果の大きいイソブタンを主体とするブタンが特に好ましい。
これらの気泡調整剤はそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
気泡調整剤の添加量は、樹脂成分の合計100重量部に対して0.1〜5重量部である。
また、前記連続気泡性発泡層20は、吸水性能などの観点から、密度が0.04g/cm3〜0.10g/cm3であることが好ましく、厚みは、1.0mm〜3.0mmであることが好ましい。
なお、前記連続気泡率は、ASTM D2856−87に基づき測定することができ、前記密度は、JIS K 7222:2005「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の求め方」に基づいて求めることができる。
また、断熱性などの観点からは、密度が0.05g/cm3〜0.2g/cm3であり、厚みが、0.5mm〜2.0mmであることが好ましい。
そのため、前記独立気泡性発泡層30と、前記粘着層50とに良好なる接着性を示すものが好適であり、例えば、PETフィルムやポリスチレン系樹脂フィルム、あるいは、これらを積層した積層フィルムなどが好適である。
本実施形態の結露水吸収板1は、上記のような積層構造を有するのみならず、前記連続気泡性発泡層20に吸収させた結露水を表面から蒸発させ得るように、前記意匠層10を貫通して前記連続気泡性発泡層20に到達する複数条の切込みCL,CL’が設けられている。
したがって、前記切込みCL,CL’は、前記連続気泡性発泡層20により深く到達していることが好ましく、前記連続気泡性発泡層20の厚み方向中央部にまで到達していることが好ましい。
また、要すれば、連続気泡性発泡層20を超えて、独立気泡性発泡層30にまで到達する深さの切込みを設けることも可能である。
本実施形態の結露水吸収板1は、典型的な利用方法として、図3に示すような窓ガラスWの下方に貼り付ける利用方法が挙げられる。
その際に、結露水は、結露水吸収板1の上側の端面から主として吸収され、吸収された結露水が徐々に下側に移動する。
したがって、横方向に延在されている切込みCLを設けることで、この結露水の移動方向に交差する形で切込みCLを存在させることになり、連続気泡性発泡層20を通過して、結露水吸収板1の下端側まで結露水が移動してしまうことを防止させることができる。
結露水の蒸発には、切込みCLの長さを長くすることが有効になるため、本実施形態の結露水吸収板1のように、切込みCLを波型とすることで直線的な切込みを設ける場合に比べてより多くの結露水を蒸発させうる。
この時点では、結露の液滴の大きさが小さく、液滴に作用する重力よりも当該液滴がガラス面に付着する付着力の方が勝ることから液滴が流下することがない。
そして、その後、空気中の水分を取り込んでさらに液滴が大きく成長した時点で液滴の流下が生じる。
この際、最初に流下を始めた液滴が、その流下する途中においてガラス表面に付着している結露水を取り込んで急速にその大きさを成長させる。
したがって、結露水による液滴が流下する際の速度は、急激に早まる。
すなわち、上縁部が水平であれば、液滴の衝突方向が端面と直角になるために液滴の衝突エネルギーによって当該液滴の一部が端面を乗り越えて表面側に溢れてくるおそれがあるが、本実施形態の結露水吸収板1は、その上端面に液滴が角度をもって衝突するため、液滴がその進行方向に対して斜めとなる端面に沿って転流され、衝撃が和らげられる。
そのことによって表面側に結露水が溢れることを抑制させ得る。
この流下する結露水との衝突における緩衝作用や吸収作用は、この端面を波型形状としていることで発揮されるものであるためこれらの作用自体に意匠層10や独立気泡性発泡層30との関連はないが、以下のように結露水の吸収、蒸発といった全体的な機能において意匠層10を貫通するように設けられた切込みCLや独立気泡性発泡層30と関連して優れた効果となって発揮される。
そのため、仮に流下した結露水が表面側に溢れたとしても意匠層10の表面を伝って流下する際に、凹入箇所が通過抵抗となって前記流下を阻止すべく作用する。
しかも、この凹入箇所には切込みCL,CL’が設けられているために、この切込みCL,CL’を通じて結露水吸収板1の内部に案内されることになる。
さらには、吸収された結露水は、連続気泡性発泡層20と被着体(窓ガラスW)との間に独立気泡性発泡層30が介在されることから被着体から熱的に遮断され、比較的早期に室温にまで加熱されることになり、表面から蒸発されることになる。
しかも、本実施形態の結露水吸収板1には、表面に意匠層10が備えられているために、仮に、埃などの蓄積が内部に生じたとしても、外観上、汚れが目立ち難く、美観が損なわれてしまうおそれを抑制させ得る。
10 意匠層
20 連続気泡性発泡層
30 独立気泡性発泡層
40 補強フィルム層
50 粘着層
CL 切込み
Claims (8)
- 積層構造を有し、表面に意匠性を付与するための意匠層が備えられており、結露水を吸収させるための60%−90%の連続気泡率を有する連続気泡性発泡層と、該連続気泡性発泡層の背面側に積層された30%以下の連続気泡率を有する独立気泡性発泡層とがさらに備えられ、最背面側に被着体に接着させるための粘着層を有し、該粘着層と前記独立気泡性発泡層との間に少なくとも1層の樹脂フィルム層を有しており、前記結露水を端面から吸収させるべく、前記連続気泡性発泡層の気泡が前記端面において開口されており、該端面から前記連続気泡性発泡層に吸収させた結露水を表面から蒸発させ得るように、前記意匠層を貫通して前記連続気泡性発泡層に到達する複数条の切込みが設けられていることを特徴とする結露水吸収板。
- 長板形状を有し、前記複数条の切込みが長手方向に延在されている請求項1記載の結露水吸収板。
- 前記複数条の切込みが波型形状を有している請求項2記載の結露水吸収板。
- 前記意匠層の表面を前記切込みに沿って凹入させている請求項2又は3記載の結露水吸収板。
- 前記長板形状の長手方向の側縁の少なくとも一方が波型形状を有している請求項2乃至4のいずれか1項に記載の結露水吸収板。
- 前記連続気泡性発泡層と前記独立気泡性発泡層とが共押出しによって直接積層されたものである請求項1乃至5のいずれか1項に記載の結露水吸収板。
- 前記連続気泡性発泡層と前記独立気泡性発泡層とが、いずれもポリスチレン系樹脂で形成されている請求項6に記載の結露水吸収板。
- 前記意匠層は、最表面側に配されたクリアフィルムと該クリアフィルムに背面側で接する印刷フィルムによって構成されている請求項1乃至7のいずれか1項に記載の結露水吸収板。
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