JP5309014B2 - シナカルセットの多形体の製造および使用のための方法および組成物 - Google Patents

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Description

本願は、2006年3月23日に出願された米国仮特許出願第60/785,294号の優先権の恩典を主張するものである。当該出願の全文が参照により本明細書に組み入れられる。
発明の分野
本願は、カルシウム擬態剤(calcimimetic agent)である塩酸シナカルセットの結晶性多形体および同結晶性多形体の製造および使用の方法および組成物に関する。
発明の背景
Sensipar(登録商標)(シナカルセット)は、塩酸N-[1-(R)-(-)-(1-ナフチル)エチル]-3-[-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-1-アミノプロパンという化学名を有し、実験式C22H22F3N・HClおよび図5に示す構造式を有する、カルシウム擬態剤である。塩酸塩の分子量は393.9 g/molであり、遊離塩基の分子量は357.4 g/molである。分子には1つのキラル中心があり、Rエナンチオマーがより強力なエナンチオマーである。
塩酸シナカルセットはSensipar(登録商標)またはMimpara(登録商標)として市販されている。カルシウム擬態剤は、細胞外カルシウムによる活性化に対するカルシウム感知受容体の感受性を増強するために用いられる。このカルシウム擬態薬(calcimimetic)は、続発性副甲状腺機能亢進症に罹って透析をしている慢性腎疾患の患者の治療、および上皮小体癌の患者における高カルシウム血症の治療において治療効果があることが示されている。今日、慢性腎疾患(CKD)の腎臓透析患者は米国だけで300,000人以上いる。これらの患者のほとんど全員が、進行性疾患であり、副甲状腺ホルモン(PTH)レベルの増加、およびカルシウムとリンの異常代謝を伴う続発性副甲状腺機能亢進症(HPT)を患っている。軽度HPTに罹患している典型的な患者において、iPTHレベルは300〜500 pg/mlであり、中程度HPTに罹患している患者は500〜800 pg/mlのiPTHを有し、そして重度HPTである患者は800 pg/mlを上回るiPTHを有する。正常なiPTHレベルは約250 pg/mlの範囲内であるべきである。ヒトにおける正常なカルシウムレベルの下限は約8.4 mg/dLである。HPTは、CKDの過程における初期に発症し得、腎機能低下として進行し続ける。未治療の続発性HPTはカルシウムレベルとリンレベルの異常を特徴とし、心臓血管の病的状態を含む深刻な結果を伴う。
PTHの増加は、皮質骨吸収および骨髄線維症の原因となる破骨細胞活性を促進する。Sensipar(登録商標)は、進行性骨疾患および無機質代謝障害の全身性の結果を予防するために、血中のPTH、カルシウムおよびリンのレベルを下げなければならない続発性HPTの患者における有効な医学的必要性に合った第一の治療である。コントロールされていない続発性HPTである透析をしているCKD患者におけるPTHレベルの低減は、骨特異的なアルカリホスファターゼ(BALP)、骨代謝回転および骨線維形成に良い効果を与えることが示されている。
PTH分泌は、副甲状腺の細胞表面上にあるカルシウム感知受容体の作用を介して調節される。Sensipar(登録商標)は、このカルシウム感知受容体の細胞外カルシウムに対する感受性を高めることにより、直接的にPTHレベルを下げる。PTHの低減は、同時に血清カルシウムレベルの低下を伴う。
Sensipar(登録商標)は、カルシウム−リンの生成物を少なくしながらPTHを低減するために開業医に許可された唯一の利用できる療法であり、この療法は慢性腎疾患における骨代謝および骨疾患のための米国腎臓財団の腎疾患予後改善イニシアティブ(Kidney Disease Outcomes Quality Initiative)(K/DOQI)診療ガイドラインに適合する。その開発より前に、続発性HPTの患者のための唯一の利用できる薬物治療は、カルシウムおよび/またはリンレベルを上昇させる可能性のあるリン吸着剤およびビタミンDステロールであった。このような上昇は、頻繁に治療を中断することを必要とし、PTHの不十分なコントロールにつながると考えられる。
今では、Sensipar(登録商標)が、続発性HPTの優れた標的治療に、カルシウム感知受容体に直接作用するというその独特の作用機構を提供するということは、広く受け入れられている。Sensipar(登録商標)は、従来の療法に著しい改善を提供し、続発性HPTを患っている透析患者を助けるための重要な新しい手段を提供する。上皮小体癌が原因である高カルシウム血症の患者におけるカルシウムレベルを下げることにも成功している。上皮小体癌の患者は、PTHの過剰分泌の原因となるまれで重篤な副甲状腺のがんを有する。従って、上皮小体癌は原発性HPTの一形態である。この疾患は血中のカルシウムレベルの上昇により悪化する。高カルシウムレベルは、不安、うつ、悪心、嘔吐、骨折、腎結石および場合によっては昏睡の要因となり得る。副甲状腺の外科的除去は、この疾患に対する唯一の治癒的療法であるが、全ての場合において成功するわけではない。Sensipar(登録商標)が、上皮小体癌の患者における高レベルのカルシウムを低減することが示された。
発明の概要
本発明は、塩酸シナカルセットの多形体の製造および使用のための方法および組成物に関する。特定の態様において、本発明は、約16.6942;17.6152;19.4992;20.2946;および20.5877の回折角2θにピークを有する粉末X線回折(XRPD)パターンを有する、塩酸N-[1-(R)-(-)-(1-ナフチル)エチル]-3-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]-1-アミノプロパンの結晶性多形体を提供する。他の態様において、XRPDパターンは、12.3402;14.4334;15.3545;16.443;18.2013;18.6618;19.9178;21.7599;21.9692;22.4297;24.0206;および25.0672からなる群より選択される、少なくとも1つの回折角2θのピークをさらに含んでもよい。
さらに他の態様において、本発明の結晶性多形体は、約12.3402;14.4334;15.3545;16.443;16.6942;17.6152;18.2013;18.6618;19.4992;19.9178;20.2946;20.5877;21.7599;21.9692;22.4297;24.0206;および25.0672に少なくとも回折角2θのピークを含むXRPDパターンを有する。
さらに他の態様において、結晶性多形体は、約12.3402;14.4334;15.3545;16.443;16.6942;17.6152;18.2013;18.6618;19.4992;19.9178;20.2946;20.5877;21.7599;21.9692;22.4297;24.0206;および25.0672に回折角2θのピークを含むXRPDパターンを有する。
さらに別の態様において、結晶性多形体は、実質的に図1、2または3に示すXRPDパターンを含む。
付加的な態様において、結晶性多形体は、FTIRスペクトル(例えば、位置パラメータ、異方性温度因子係数、結合距離特性)、結合角特性、ねじれ角特性、ラマンスペクトル、NMRスペクトルまたは多形体のこれらの特性の1つまたは複数の任意の組み合わせにより定義され得る。例えば、結晶性多形体は、実質的に表3に示す位置パラメータ、および/または実質的に表4に示す異方性温度因子係数、および/または実質的に表5に示す結合距離特性、および/または実質的に表6に示す結合角特性、および/または実質的に表7に示すねじれ角特性を有する。多形体が、前述のパラメータのいずれかまたは全ての組み合わせにより定義され得ることに注目すべきである。
本発明の別の局面は、前記の概要のような多形体および少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物を意図する。
また、本明細書でシナカルセットの多形体を調製する方法であって、以下の工程を含む方法も提供される:シナカルセットの多形体形態Iを190℃で溶融し、それから非晶質形態をドライアイスとアセトンの冷浴中で30分間急冷する工程;急冷した非晶質形態を粉砕して、粒径を小さくした急冷した非晶質形態を与える工程;および急冷し、大きさを小さくしたこれらの非晶質の粒子を90℃で約3.5時間加熱する工程。特定の態様において、大きさを小さくした粒子は約38μmの粒径を有する。他の態様において、大きさを小さくした粒子は約125μmの粒径を有する。また、この方法に従って調製されるシナカルセットの多形体も意図される。任意で、このような多形体は、少なくとも1種の薬学的に許容される担体と共に薬学的組成物中に入れられる。ある特定の局面において、大きさを小さくした粒子を与えるための急冷した非晶質形態の粉砕は、均一に分布した粒子および/または均一な大きさの粒子の集まり(population)を与える。
本発明は、本発明の多形体の治療的有効量を投与する段階を含む、カルシウム擬態薬を必要としている対象を治療する方法も意図する。
特定の態様において、前記対象は副甲状腺機能亢進症を患っており、かつ治療的有効量は該対象における副甲状腺ホルモン(PTH)のレベルを低下させる。
他の態様において、前記治療法は、高PTHレベルを伴う慢性腎疾患を患っている対象を治療するための方法であり、かつ多形体の治療的有効量は該対象における腎疾患の症状を軽減する。ある特定の他の態様において、対象は慢性腎疾患に伴う続発性副甲状腺機能亢進症を患っている。特定の態様において、治療法は、高PTHレベルを伴う慢性腎疾患を患っている対象が必要とする腎臓透析の量を減らし、かつ治療的有効量は該対象における腎疾患の症状を軽減する。
さらなる態様において、前記治療の方法で用いられる多形体の治療的有効量は、多形体を投与しない対象の血清カルシウムレベルと比べて、対象の血清カルシウムレベルを低下させる。
さらに付加的な態様において、前記方法で用いられる多形体の治療的有効量は、多形体を投与しない対象の血清リンレベルと比べて、対象の血清リンレベルを低下させる。
本発明の別の局面は、哺乳動物に、前記の概要のような多形体の治療的有効量を投与する段階を含む、哺乳動物における進行性骨疾患を予防または軽減する方法を意図する。特定の態様において、多形体の治療的有効量は薬学的組成物の形態である。
本発明の治療方法において、多形体は、例えば250 pg/ml より少ないか、またはそれと等しいiPTHを達成するための量で投与され得る。他の態様において、多形体は、約20 mg/日〜約200 mg/日の用量で投与される。さらに付加的な態様において、多形体の用量は、対象が200 pg/ml より少ないか、またはそれと等しいiPTHを有する場合に投与される投与量で維持される。さらなる態様において、多形体の用量は、対象が7.8 mg/dL未満の血清カルシウムレベルを有する場合に投与される投与量で維持される。多形体をビタミンDまたはビタミンD類似体を含む組成物と組み合わせて投与してもよい。さらに他の態様において、多形体をもう一つのカルシウム擬態剤と組み合わせて投与してもよい。さらなる態様において、多形体をシトクロムP450 2D6の阻害剤を含む組成物と組み合わせて投与してもよい。さらなる態様において、多形体を、ビタミンDもしくはビタミンD類似体、カルシウム擬態剤、およびシトクロムP450 2D6の阻害剤からなる群より選択される、1種またはそれ以上の薬剤と組み合わせて投与してもよい。本発明のさらなる局面において、多形体を、1種またはそれ以上のビタミンD類似体、および/または1種またはそれ以上の他のカルシウム擬態剤、および/または1種またはそれ以上のシトクロムP450 2D6の阻害剤と組み合わせて投与してもよい。
本発明の他の局面は、血管石灰化を患っている対象の治療に関するものであり、治療的有効量は該対象の血管中での細胞外基質ヒドロキシアパタイト結晶の沈積物の形成、成長または沈積を減らす。例えば、このような対象は冠状血管、心臓弁膜、大動脈または他の血管の石灰化を患っているかもしれない。さらに他の態様において、対象は、例えば、多発性嚢胞腎または有足細胞関連障害等の腎臓関連障害を患っている。例示的な有足細胞関連障害としては、有足細胞の欠乏(podocytopenia)、足突起の幅の増加、スリット膜の長さ(slit diaphragm length)の消失もしくは減少、有足細胞密度の減退、または有足細胞傷害が挙げられる。
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになると考えられる。しかしながら、この詳細な説明から、本発明の精神および範囲内での種々の変更および改良が、当業者に明らかになると考えられることから、詳細な説明および具体例は、本発明の好ましい態様を示すが、単に説明を目的として与えられたものであることが理解されるべきである。
発明の特定の態様の詳細な説明
図5に示す式の化合物であるシナカルセットHClは、薬剤Sensipar(登録商標)として商業的に処方されてきた。これまでに、この化合物の2種の別々の固体形態が記載されている。本発明は、この化合物のさらなる第三の形態を記載する。本明細書では、シナカルセットHClのこれら3種の明らかに異なる結晶性形態は、形態I、IIおよびIIIと称され、かつ「多形体」と称され得る。形態IIは、調製されたことがあるが、室温で不安定であった。本発明は、新規多形体である形態IIIに関する。この化合物の使用目的は、治療効果のある薬学的薬剤としての使用であることから、この化合物の安定で薬学的に許容される形態は非常に興味深いものであると考えられる。
多形は、同じ化学式を維持しながら異なった結晶形に結晶化するための、化合物の能力として特徴づけられ得る。同じように別の1個の原子に結合している同じ原子を含有する場合、ある特定の製剤原料の結晶性多形体は、該製剤原料の任意の他の結晶性多形体と化学的に全く同一であるが、その結晶形が異なり、該結晶形は例えば、安定性、溶解性、融点、かさ密度、流動特性、バイオアベイラビリティ等の1つまたは複数の物理的性質に影響を与え得る。従って、「多形体」という用語は、同じ化学式を共有するが別の結晶性形態とは明らかに異なる、原料の結晶性形態のことを言うために用いられる。
「有効な」または「治療的に有効な」は、カルシウム擬態薬として有効な、本発明の化合物の多形体または組成物を表現すること、ひいてはSensipar(登録商標)の所望の治療効果、改善効果、抑制効果または予防効果をもたらすことを意味する。いくつかの態様におけるカルシウム擬態効果、治療効果、改善効果、抑制効果または予防効果のレベルまたは度合いは、Sensipar(登録商標)を用いる場合にみられるのと同じであるか、またはそれより良好であるが、このような効果のレベルまたは度合いは、それがいずれのカルシウム擬態薬もない場合にみられる効果を上回るか、またはそれより良好である限りは、Sensipar(登録商標)で観察されるものに満たない可能性がある。「効果」は、例えば、高カルシウム血症の患者における血清カルシウムレベルを下げる、PTHレベルを下げる、または血清リンレベルを下げるような生化学の生理的効果であってもよい。あるいは、「効果」は、例えば、CKDの症状の改善、カルシウムレベルの増加に伴う症状の軽減(例えば、不安、うつ病、悪心、嘔吐、骨折、腎結石、血管または軟部組織の石灰化、および場合によっては低尤度の昏睡の低減)等の、血清カルシウムレベルおよびPTHレベル等を治療的に下げることを達成した結果として観察される効果のひとつであってもよい。
本発明は、特に、精製した塩酸シナカルセットの多形体IIIの単一組成物を意図し、当業者が、その中に単一の精製した多形体IIIを例えば多形体IまたはIIと混合した組成物を調製し得ることを意図する。
さらに、本発明での使用のための組成物において、当業者が、本明細書に記載の多形体IIIを含む薬学的または他の治療用組成物を、カルシウム擬態薬として用いられるもう1つの薬剤と組み合わせて調製し得ることが理解されるべきである。このような併用療法用組成物は、カルシウム擬態薬の併用療法としての併用効果を有するように用いられ得、PTHを下げるもしくはカルシウムを下げる、所望の治療効果、改善効果、抑制効果または予防効果をもたらす。
本発明の治療的態様において、組成物は投与され得、かつ組成物の効果は対象が低カルシウム血症になることを避けるために定期的に監視され、それゆえ血清カルシウムレベルを7.8 mg/dL未満に下げることは避けるべきである。他の態様において、カルシウム擬態薬療法は、対象におけるPTHレベルを下げるために施され、PTHレベルを約250 pg/mlのレベルまで下げる。しかしながら、この療法はPTHレベルを150 pg/ml未満に下げることを避けるために監視されるべきであり、かつ調整されるべきである。従って、この療法はPTHレベルを約200 pg/ml〜約300 pg/mlの範囲まで下げ、かつ維持するために計画されるべきである。
従って、標準的な治療計画では、多形体IIIの日用量を投与して、対象における約150 pg/ml〜約300 pg/mlのPTHレベルを達成することが意図される。従って、特定の態様において、約5 mg、10 mg、15 mg、20 mg、25 mgまたは30 mgの投薬形態を毎日投与するという治療計画を、対象に開始する。対象におけるPTHレベルを組成物の投与前と投与後に監視する。投与量がPTHのレベルを200 pg/ml〜約300 pg/mlのレベルに維持するという所望の治療効果を有するレベルまで、多形体の投与量を増加させることができる。対象におけるPTHレベルが300 pg/mlより高いことが認められる場合、投与する多形体の投与量を増やしてもよい。PTHのレベルが200 pg/mlか、または約200 pg/mlであると見られる場合、多形体の投与量を維持するか、または下げるべきである。PTHのレベルが200 pg/ml未満であると見られる場合、多形体の投与量を下げるべきである。PTH濃度を監視し、もし患者のPTHレベルが再び300 pg/mlまたはそれ以上に到達した場合、多形体の投薬計画を再開することができる。同様に、血清カルシウムレベルを、約8.4 mg/dLである血清カルシウムの正常レベルの下限値で、またはそれより上で維持するように、多形体IIIでの治療に対応して、血清カルシウムレベルを監視することができる。多形体での治療が、血清カルシウムレベルを7.8 mg/dL〜約8.4 mg/dLの範囲まで減少させる原因であることを、血液の働きが示す場合、多形体の投与量を減らし、かつ/またはカルシウム含有リン吸着剤および/もしくはビタミンDステロールと併用するべきである。カルシウムレベルが7.5 mg/dLを下回る場合、血清カルシウムレベルが再び8.4 mg/dLより上になるまで、カルシウム擬態薬療法を中断するべきであり、かつ/またはビタミンDステロールおよび/もしくはカルシウム含有リン吸着剤の量を増やすべきである。
塩酸シナカルセットの多形体III、ならびに同多形体IIIの調製および特徴づけの方法
本開示は、塩酸シナカルセットの新規多形体を提供する。本開示は、このような多形体を用いた薬学的組成物および製剤をさらに提供する。薬学的組成物および製剤は、経口、注射、および/または吸入を含む種々の投与形態に適している。本開示は、また、新規塩酸シナカルセットの多形体を作製するための方法、塩酸シナカルセットの多形体の医薬製剤の製造方法、ならびに種々の疾患、例えば、HPT、上皮小体癌、および他の高カルシウム血症関連障害等の治療方法も提供する。
ひとつの局面において、本発明の多形体形態IIIは、カルシウム受容体活性を調節することができ、かつ1種またはそれ以上のカルシウム受容体の活性を調節することにより影響され得る疾患または障害の治療に用いられる。上で述べた通り、Ca2+レベルは厳重にコントロールされ、そして次にそのCa2+レベルは、例えば、血液凝固、神経および筋肉の興奮性、ならびに正常な骨形成等の種々の過程をコントロールする。例えば、細胞外のCa2+が、上皮小体細胞からの副甲状腺ホルモンの分泌を阻害し、破骨細胞による骨吸収を阻害し、かつC細胞からのカルシトニンの分泌を促進する。ひとつの局面において、シナカルセットにより治療される疾患または障害は、例えばカルシウム恒常性等の骨およびミネラルの恒常性の異常により特徴づけられ得る。カルシウム恒常性の異常は、1つまたは複数の以下の活性により特徴づけられる:(1) 血清カルシウムの異常増加または異常減少;(2) カルシウムの尿中排出量の異常増加または異常減少;(3) 例えば、骨ミネラル密度の測定によって評価される、骨カルシウムレベルの異常増加または異常減少;(4) 食事性カルシウムの異常吸収;(5) 例えば、副甲状腺ホルモンおよびカルシトニン等の、血清カルシウムレベルに影響するメッセンジャーの生成および/または放出の異常増加または異常減少;ならびに (6) 血清カルシウムレベルに影響するメッセンジャーにより誘発される応答の異常変化。カルシウム恒常性のこれらの異なる局面の異常増加または異常減少は、一般集団で起こるものに関連し、概して疾患または障害を伴う。
病的細胞(affected cell)に基づいており、治療または予防し得る具体的な疾患および障害としては、例えば、発作、脳卒中、頭部外傷、脊髄損傷、例えば心停止または新生児窮迫等の低酸素誘導神経細胞損傷、てんかん、例えばアルツハイマー病、ハンチントン病およびパーキンソン病等の神経変性疾患、認知症、筋肉の緊張、うつ、不安、パニック障害、強迫性障害、外傷後ストレス障害、統合失調症、神経弛緩薬性悪性症候群、およびトゥーレット症候群等の中枢神経系の疾患および障害;例えば、抗利尿ホルモン分泌異常症候群(SIADH)、肝硬変、うっ血性心不全およびネフローゼ等の腎臓による過剰水分の再吸収を含む疾患;高血圧症;陽イオン性抗生物質(cationic antibiotic)(例えば、アミノグリコシド抗生物質)からの腎臓毒性の予防および/または軽減;ならびに自己免疫疾患および臓器移植拒否反応も挙げられる。さらに、骨およびミネラル関連障害(CoeとFavusのDisorders of Bone and Mineral Metabolism, Raven Press, 1990に記載されている)、腎疾患、内分泌疾患、がん、心臓血管疾患、神経系の疾患、および妊娠に伴う疾患も治療することができる。
特定の態様において、組成物は、異常皮膚細胞の増殖を減少させることにより、乾癬の治療または改善に有用であると考えられる。他の態様において、組成物は、例えばバソプレッシン(ADH)分泌異常症候群等のバソプレッシン過剰の状態での、水分保持量を低減するために用いられ得る。多形体IIIは、(a) レニン分泌を低減することにより、および/または (b) 血管平滑筋により、例えばPTHrP(PTH関連ペプチド)等の血管を拡張させるものの生成を促進することにより、高血圧症の治療に有用であり得る。また、多形体形態IIIが、血小板数が低い場合に有用であり得る血小板凝集性を増進するために用いられ得ることも意図される。カルシウムが結腸細胞または乳腺細胞の分化を促進することも公知であり、そのようなものとして、多形体形態IIIが結腸がんまたは乳がんの危険性を低減すると期待され得る。カルシウム擬態薬として、シナカルセットの形態IIIは、高カルシウム血症の療法において有用なカルシウム低下作用を有すると期待されている。破骨細胞でのカルシウム擬態薬の阻害効果および低カルシウム性ペプチドであるカルシトニンの分泌のそれらの促進は、それらを高カルシウム血症およびその症状の療法に有用なものにする。シナカルセットの形態IIIは、カルシウム受容体を活性化することにより、低カルシウム症状も改善する。さらに、カルシウムが、近位尿細管での1,25-ジヒドロキシビタミンD形成を抑制し、このビタミンD代謝産物が、腎結石の患者において頻繁に過剰に生成されて、患者の高カルシウム尿の原因となる。例えば、シナカルセットの形態III等のカルシウム擬態薬による1,25-ジヒドロキシビタミンD形成の抑制は、腎カルシウム結石症の治療に有用であると期待される。
治療的なシナカルセットの形態IIIの調剤(preparation)は、ヒト対象の治療で用いられる可能性があると考えられるが、獣医学治療も意図され、組成物を、他の霊長類、例えばブタ、ウシおよびトリ等の家畜、ならびに例えばウマ、イヌおよびネコ等のスポーツ用動物およびペットの治療に用いてもよいことが理解されるべきである。
シナカルセット関連組成物を用いるためのさらなる方法および組成物、ならびにこのような組成物により治療される疾患に関して、当業者は、米国特許第6,011,068号;同第6,031,003号;同第6,211,244号;同第6,313,146号を参照し、それぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
本明細書で用いられる「非晶質」という用語は、試料の粉末X線回折(XRPD)パターンにおいて、明確なピークが欠けているか、またはブロードな「ハロー」の特徴を有する試料のことをいう。「非晶質」という用語は、結晶含有量が少なすぎて、XRPDまたは他の回折技術により識別できるパターンが得られない物質のこともいってもよい。ガラス状物質は非晶質であると意図される。非晶質物質は、正確な結晶格子を有さず、その結果、真の固体よりむしろガラス状であり、粘性の高い非結晶性液体と技術的に類似する。ガラスは、真の固体よりむしろ準固体の非晶質物質としてより良く表現される。従って、非晶質物質とは、準固体のガラス状物質のことをいってもよい。溶媒の速やかな蒸発によりもたらされることが多い、溶液からの化合物の沈殿物は、化合物の非晶質形態を好むことが公知である。
本明細書で用いられる「ブロード」または「ブロードになった」という用語は、XRPD、核磁気共鳴(NMR)分光学および赤外(IR)分光学の線を含む、スペクトル線を表現するために用いられ、ベースラインスペクトルの線幅に関連する相対語である。ベースラインスペクトルは、溶媒組成ならびに例えば温度および圧力等の特性を含むある一定の物理的および化学的条件の組みから直接得られる、特定の化合物の操作されていない結晶性(下記で定義される)形態のスペクトルであることが多く、例えば、粉末または微粉末の結晶性物質のXRPDスペクトルを、粉砕する前の結晶性物質と比較して表現する。線がブロードになることは、化合物の化学部分の配向性における無秩序さの増加を示し、従って、非晶質含有量の増加を示す。異なる結晶化条件を経て得られた結晶性物質間で比較される場合、ブロードになることは、ブロードになったスペクトル線を有する試料の非晶質含有量の増加か、または恐らくは、同一のスペクトルではないが類似のスペクトルを有する結晶の混合物のいずれかを示唆する。
薬剤の特定の結晶形は、結晶の熱力学的安定性を決定すると考えられる。存在する特定の形の結晶の形態に依存して、種々の量の、特定の化合物を含有する非晶質固体物質が存在すると考えられる。このような非晶質固体物質は、初期結晶化の副生成物として存在し得、および/または結晶性物質を構成する結晶の分解物として存在し得る。従って、本明細書で用いられる「結晶性」とは、物質が識別できる回折パターンを有する限り、さまざまな度合いの非晶質含有量を意図する。多くの場合、結晶性物質の非晶質含有量は、物質を粉砕または微粉砕することにより増加する可能性があり、この増加は、回折および他のスペクトル線が、未粉砕結晶性物質と比較してブロードになることにより証明される。十分な粉砕および/または微粉砕が、XPRDまたは他の結晶の特定スペクトルが識別できなくなる可能性がある程度まで、未粉砕結晶性物質と比較して線をブロードにする可能性があり、実質的に非晶質な物質をもたらすか、またはかろうじて識別できる準非晶質と呼ばれ得るものをもたらす。
本明細書で用いられる「微量」という用語は、本明細書で用いられる物理的および化学的検出方法により検出できる量のことをいう。試料のXPRD、NMRまたはIRのスペクトル測定に実質的に影響せず、またその生理活性にも影響しないが、例えば、水、結晶化溶媒、シナカルセットの非晶質形態が、全て形態IIIに微量で存在する可能性がある。
場合によっては、多形体は結晶性の無水物、一水和物、および0.5水和物であってもよい。非晶質多形体は、溶媒和したシナカルセットから溶媒を速やかに蒸発させることにより、あるいは本明細書に記載の、種々の結晶性非晶質形態のいずれかを粉砕するか、微粉砕するか、または他の物理的な加圧もしくは研磨により誘導され得る。有機化合物を沈殿および結晶化するための一般的な方法を、任意のシナカルセットの多形体の調製に適用し得る。これらの一般的な方法は、有機合成化学および医薬製剤の分野の当業者に公知であり、例えば、J. Marchの「Advanced Organic Chemistry:Reactions, Mechanisms and Structure」第4版(ニューヨーク:Wiley-Interscience, 1992)に記載されている。
特定の態様において、形態IIIは「コールド・フィンガー・サブリメイション(cold finger sublimation)」を用いて調製される。昇華(sublimation)は、直接固体状態から気体状態への、または液体にならずに気体状態から固体状態への化合物の転移に対して用いられる用語である。この過程を実行するための装置は、昇華させる化合物を置く部分と、この部分の上に、精製した物質を収集する冷却部分とを、通常有する。通常、化合物は加熱され、コールド・フィンガーと呼ばれる冷却した部分の上に収集される。従って、「コールド・フィンガー」は、昇華実験で使用される冷却管に対する一般名称である。シナカルセットの形態IIIの調製において、固体形態Iは、フラスコ中、真空下で気体状態まで加熱され、結晶形態IIIがフラスコ中に挿入されたコールド・フィンガーの表面に蓄積する。通常、冷水またはドライアイスが、コールド・フィンガーを冷却するために用いられる。多形体IIIは、以下の方法で得られ得る。多形体Iの昇華は、形態IIIの形成をもたらす。昇華は、形態Iの物質で、コールド・フィンガー・サブリメイション装置を使用して、実験室規模で実行された。装置をシリコンオイルバスに浸して、かつコールド・フィンガーを水冷した。この系を真空下で密閉した。真空は、最後の固体が収集されるまで開放されなかった。該固体は、光学顕微鏡法を介して観察され、かつXRPD分析により特徴づけされた。
特定の他の態様において、形態IIIは、溶融-急冷した非晶質物質から調製される。この過程において、形態Iは、約190〜200℃で溶融される。次いで、それを少なくとも15分間、冷浴(ドライアイス+アセトン)中で急冷する。次いで、物質を微粉末に粉砕し、次いで該微粉末を90℃で約3.5時間加熱して形態IIIを与える。
本発明は、準安定形態としてのシナカルセットの形態IIIを同定した。種々の溶媒系および結晶化方法を利用したが、短距離規則性がある物質がXPRD分析により観測された。キャピラリー・スクリーン(capillary screen)中で観測されるXRPDパターンは、全て、初期の形態IIIの結晶に関して観測されるパターンと類似していた。選択したキャピラリーの付加的な熱処理は、光学顕微鏡法および続くXRPD分析により測定したように、異なる物質を与えたようにはみえなかった。
構造決定に適したシナカルセットの形態IIIの結晶は、形態Iの固体のコールド・フィンガー・サブリメイションから得られた。形態IIIの結晶構造は、非対称単位に2個のシナカルセットHCl分子を含有する。2個の分子間の違いは、トリフルオロメチル基を含有する芳香環が約180°回転していることである。形態IIIの分子は、層状の充填モチーフ(packing motif)を有し、一次元の水素結合相互作用を介して結合している。
非晶質試料の調製は、多くの技術:すなわち、形態Iの固体の溶融/急冷、噴霧乾燥、およびまた低温粉砕を介して試みられた。3つの技術全てが、次いで形態IIIの調製に用いることができる非晶質物質を与えた。低温粉砕、溶融/急冷、および噴霧乾燥した物質を、粉末X線回折(XRPD)により分析したが、結晶性物質と短距離規則性物質との間の関係を求めるために、種々の温度でのXRPDにより分析することも可能であった。純粋な形態IIIは、溶融/急冷および噴霧乾燥技術を用いてもたらされる非晶質物質から容易に調製された。低温粉砕技術は、形態Iと形態IIIの混合物を与える傾向にある。
上で述べたように、形態IIIのひとつの調製方法は、溶融-急冷した非晶質物質を用いる方法である。溶融/急冷した非晶質物質を調製するために、形態Iを190〜200℃で溶融する。次いで、それを少なくとも15分間、氷浴(ドライアイス+アセトン)中で急冷する。この過程は、次いで形態IIIを調製するために用いることができる、非晶質物質を与える。
低温粉砕手法において、形態Iは、液体窒素下で、約40分間凍結摩砕される。これは、次いで形態IIIを調製するために用いることができる、非晶質物質を与える。形態IIIは、3.5時間、非晶質形態を90℃で加熱することにより調製される。この手法は、形態Iと形態IIIの混合物を与える傾向にある。
非晶質物質を調製するための別の例示的な手法において、噴霧乾燥を用いることができる。ひとつの例示的な噴霧乾燥技術において、トルエン溶媒の、10 mg/mLの形態Iの溶液を噴霧乾燥して、以下の表に示す条件下で収集した。

Figure 0005309014
再び、噴霧乾燥技術により得られた非晶質物質を、次いで、前記で論じたように、すなわち90℃で3.5時間加熱するといったように形態IIIを調製するために用いる。
粉末X線回折(XRPD)分析を、Cu Kα放射線を用いるShimadzu XRD-6000粉末X線回折計を使用して実行した。機器には、高精度の長焦点X線管が備え付けられている。管電圧および管電流を、40 kVおよび40 mAにそれぞれ設定した。発散スリットおよび散乱スリットを1°に設定し、かつ受光スリットを0.15 mmに設定した。回折された放射線をNaIシンチレーション検出器により検出した。2.5〜40°2θにわたる、3°/分(0.4 秒/0.02°ステップ)でのθ〜2θの連続走査を用いた。機器の照準を検査するために、ケイ素標準を分析した。データは、XRD-6000 v. 4.1を使用して収集し、分析した。試料をケイ素挿入物ともにアルミニウムホルダーに入れることにより、試料を分析用に準備した。
粉末X線回折(XRPD)分析を、また、120°の2θ範囲をもつCPS(曲線位置高感度型(Curved Position Sensitive))検出器を備え付けた、Inel XRG-3000回折計を使用しても実行した。実時間データを、0.03°2θの分解能において約4°2θで開始するCu-Kα放射線を用いて収集した。管電圧および管電流を40 kVおよび30 mAにそれぞれ設定した。モノクロメーター・スリットを5 mm(または2 mm)×160 μmに設定した。パターンは2.5〜40°2θにわたり表示される。試料を直径1.0 mmのガラスキャピラリーに詰めることにより、試料を分析用に準備した。それぞれのキャピラリーを、データ取得の間キャピラリーを回転させるように動力化されているゴニオメーターのヘッドに固定した。試料を5分間分析した。機器の校正は、ケイ素対照標準を用いて実行した。
調製したキャピラリーでの粉末X線回折(XRPD)分析を、また、Bruker D-8 Discover回折計およびBruker製General Area Diffraction Detection System(GADDS, v. 4.1.14)を使用しても実行した。Cu Kα放射線の入射光線を、高精度焦点管(40 kV, 40 mA)、Gobel鏡、および0.5 mmのダブル・ピンホール・コリメータ(double-pinhole collimator)を用いて与えた。キャピラリーをトランスレーション・ステージ(translation stage)に固定したキャピラリーホルダー上に置いた。ビデオカメラおよびレーザーを、入射光線に交わる関心領域の位置を特定するために用いた。試料を、20°の一定の検出角(2θ)を用いた透過様式で分析した。入射光線を、キャピラリー表面標準に対して10°で走査し、分析の間、キャピラリーの長さに沿って±1.0 mmラスターにした(rastered)。入射光線の走査およびラスタリングは、配向統計値を最適化し、回折シグナルを最大にする。回折パタ−ンは、試料から14.94 cm に配置されたHi-Star 2次元検出器(Hi-Star area detector)を使用して100秒で収集され、かつGADDSを使用して処理が行われた。回折パタ−ンのGADDS像における強度は、0.04°2θのステップ幅を用いて、約2°〜37°2θおよび−163°〜−17°χに積分された。積分パターンは、回折強度を2θの関数として表す。
種々の温度でのXRPD(VT-XRPD)を、Anton Paar HTK 1200 高温ステージ(high temperature stage)を備え付けた、Shimadzu XRD-6000粉末X線回折計で実行した。試料をセラミックホルダーに詰めて、3°/分(0.4 秒/0.02°ステップ)で2.5〜40°2θにわたり分析した。それぞれの実験に対するランプ速度および保持時間を変更してもよく、このような変動は粉末X線回折装置を操作する分野の当業者に公知である。ケイ素標準を機器の照準を検査するために分析した。温度校正を、バニリンとスルファピリジン標準を用いて実行した。データはXRD-6000 v. 4.1を使用して収集し、分析した。溶融物の急冷および低温粉砕を介して調製された物質だけでなく、受け取ったままの、短距離規則性がある物質でのVT-XRPDを実行した。
結晶性物質に関する示差走査熱量測定(DSC)は、TA Instruments製示差走査熱量計2920または他の同様の機器を使用して実行することもできる。試料をアルミニウムDSCパンに入れて、重量を正確に記録した。パンを蓋で覆い、次いで圧着した。このような分析では、試料セルを25℃で平衡化し、窒素パージ下、10℃/分の速度で加熱する。結晶性物質を、通常350℃まで加熱し、転移最高温度を記録する。
結晶性物質に関する熱重量(TG)分析を、TA Instruments製2950熱重量分析装置または他の同様の機器を使用して実行することができる。試料をアルミニウム試料パンに入れて、TG炉中に挿入する。炉をまず25℃で平衡化し、次いで窒素下、10℃/分の速度で最大350℃の終温度まで加熱する。ニッケルおよびAlumel(商標)を校正標準として用いることができる。
多形体IIIに関するFT-ラマンスペクトルを、FT-ラマン960分光計(Thermo Nicolet製)または他の同様の機器で得ることもできる。このスペクトル計は、1064 nmの励起波長を用いる。約0.7 WのNd:YVO4レーザー出力が、試料への照射に用いられる。ラマンスペクトルをインジウム・ガリウム・ヒ素(InGaAs)検出器を用いて測定した。ガラス管に物質を入れて、該管を付属の金で被覆した管ホルダーに配置することにより、試料を分析用に準備した。試料走査(例えば、通常、約250回の試料走査程度)は、Happ-Genzelアポダイゼーションを使用して、4 cm-1のスペクトル分解能で、3600〜98 cm-1にわたり収集される。波長の校正を、硫黄シクロヘキサンを用いて実行した。
NMR分析に関して、溶液1H核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、例えば、399.804 MHzの1Hラーモア周波数でVarian製 UNITYINOVA-400または他の同様の分光計を使用して、室温で得ることができる。試料をDMSO-d6に溶解する。スペクトルは、7.8 μsの1Hパルス幅、2.50秒の収集時間、走査間の5秒の遅延時間、32000個のデータポイントをもつ6400 Hzのスペクトル幅、および40回の補助的な追加の走査を用いて得られる。Varian VNMR 6.1Cソフトウエアを用いて、自由誘導減衰(FID)を、65536ポイントおよび0.2 Hzの指数関数的なラインブロードニング因子(line broadening factor)で処理して、シグナル対ノイズ比を改善させる。重水素化が不完全なDMSOからの残余ピークは、通常、約2.50 ppmにみられる。内部標準を用いて、例えば、内部のテトラメチルシラン(TMS)を0.0 ppmとして、スペクトルの基準とすることができる。
結晶性物質は、光学顕微鏡法を使用して特徴づけしてもよく、例えば、5.0×の対物レンズ、交差偏光子および一次赤色(first order red)補償板を備えるLeica製 DM LP偏光顕微鏡(または他の同様の機器)、ならびに0.8×〜10×の対物レンズを備え、交差偏光子および一次赤色補償板を備えるか交差偏光子および一次赤色補償板を備えない、Leica実体顕微鏡で実行される。試料は、バイアルもしくはガラス製ミクロビーカー中、またはカバーガラスもしくはスライドグラス(多くの場合、Paratone-Nを1滴伴う)上で見ることができる。
薬学的組成物および併用療法
本発明は、塩酸シナカルセットの新しい多形体、多形体形態IIIについて記載する。当業者は、本発明により記載される多形体から薬学的組成物を調製することができると考えられる。このような組成物は、通常、不活性な、薬学的に許容される担体とともに製剤化されると考えられ、固体形態または液体形態として製剤化され得る。固体形態の調剤としては、散剤、錠剤、分散性顆粒剤、カプセル剤、カシェ剤および坐薬が挙げられる。散剤および錠剤は、約5〜約95パーセントの活性成分から構成され得る。適した固体担体は、当技術分野で公知であり、例えば、乳糖、ショ糖、ブドウ糖、デンプン粉末、結晶セルロース、アルカン酸のセルロースエステル、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、アラビアゴム、ゼラチン、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリジン、ポリエチレングリコール、硬化植物油、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ステアリン酸、リン酸および硫酸のナトリウム塩およびカルシウム塩、ならびにタルクである。錠剤、散剤、カシェ剤およびカプセル剤は、経口投与に適した固体投薬形態として用いることができる。薬学的に許容される担体、および種々の組成物の製造方法の例は、R.C. Rowe (ed) Handbook of Pharmaceutical Excipients 4th Edn., 2003 Pharmaceutical Press London、およびA. Gennaro (ed.), Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, (1990), Mack Publishing Co., Easton, Paに見い出し得る。あるいは、本発明における有用な化合物を、生理的食塩水、水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、トウモロコシ油、ピーナッツ油、綿実油、ゴマ油、トラガカントゴム、および/または種々の緩衝液に溶解してもよい。他の補助剤および投与様式は、薬学分野で周知である。担体または希釈剤としては、時間延長材料(time delay material)、例えば、モノステアリン酸グリセリルもしくはジステアリン酸グリセリル単独で、またはワックスとともに、あるいは当技術分野で周知の他の材料等が挙げられる。
新しい多形体である形態IIIは、好ましくは、無機酸または有機酸から誘導される薬学的に許容される塩の形態で製剤化され、かつ用いられると考えられる。塩としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、硫酸水素塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファスルホン酸塩、ジグルコン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パルモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、2-フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、メシル酸塩、およびウンデカン酸塩。本発明の化合物が、例えば、カルボキシ基等の酸性官能基を含む場合、そのときのカルボキシ基に適した薬学的に許容される塩は、当業者に周知であり、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩および四級アンモニウムカチオン等が含まれる。「薬学的に許容される塩」のさらなる例に関しては、Berge et al. J. Pharm. Sci. 66: 1, 1977を参照されたい。本発明の特定の態様において、塩酸塩およびメタンスルホン酸塩を用いることができる。
いくつかの態様において、固体薬学的組成物は、Sensipar(登録商標)錠剤の製剤と同様の方法で製剤化され得る(Physician's Desk Reference, 2006参照)。活性成分の多形体IIIを含有することに加えて、例となるこのような組成物は、例えば、アルファ化デンプン、結晶セルロース、ポビドン、クロスポビドン、コロイド状二酸化ケイ素、およびステアリン酸マグネシウム等の不活性成分も含有してもよい。錠剤は、着色フィルムコート(Opadry(登録商標)II・緑)および透明フィルムコート(Opadry(登録商標)・透明)、カルナウバワックス、ならびにOpacode(登録商標)黒色インクで被覆される。これらのコーティング組成物は、Sensipar(登録商標)で用いられることが知られている、単に例示的なコーティング組成物であり、当業者は、本発明の組成物とともに用いることができる多くの他のコーティングに気付くと考えられる。
一態様において、本発明のシナカルセットの形態IIIは、22.0%のシナカルセットの形態III、10.0%のデンプン1500、67.5%の結晶セルロース(例えば、結晶セルロースPH101)および0.5%のタルクを含む、カプセル製剤に調製される。例となるこのようなカプセル剤は、1カプセル中に33.05 mgのシナカルセットの形態III、15.00 mgのデンプン1500、101.19 mgの結晶セルロース(例えば、結晶セルロースPH101)および0.75 mgのタルクを含む。もちろん、これは単に例示的なカプセル製剤であり、このようなひとつのカプセル中のシナカルセットの形態IIIの重量を、カプセル重量の約15%〜約30%で変更し、それに伴い他の成分の重量を調整してもよいことが、理解されるべきである。さらに、デンプン1500、結晶セルロース(例えば、結晶セルロースPH101)およびタルクは、全て他の薬学的に許容される構成成分で置き換えてもよいことが、理解されるべきである。
固体形態に加えて、組成物の液体形態、例えば、液剤、懸濁剤および乳剤も調製され得る。例えば、非経口用注射剤のための水もしくは水-プロピレングリコール溶液、または経口用の液剤、懸濁剤および乳剤のための甘味料および遮光剤の添加。液体形態の調剤には、鼻腔内投与のための液剤も含まれ得る。
吸入に適したエアゾール調剤には、液剤および粉末形態にある固形剤が含まれ得、該エアゾール調剤は例えば不活性圧縮ガス等の薬学的に許容される担体、例えば窒素と組み合わせてもよい。
使用の直前に、経口投与かまたは非経口投与のための液体形態の調剤に加工することを目的とする固体形態の調剤も含まれる。このような液体形態としては、液剤、懸濁剤および乳剤が挙げられる。
多形体は、薬剤の投与に通常用いられる任意の経路により標的組織が有効である限り、該経路を介して到達され得る。代表的な投与経路としては、同所性(orthotopic)注射、皮内皮下注射、筋肉内注射、腹腔内注射、髄腔内注射、または静脈内注射による投与が挙げられる。あるいは、経口投与、経鼻投与、口腔内投与、直腸投与、膣内投与または局所投与も意図される。本明細書で用いられる1種またはそれ以上の組成物を、静脈内注射を介して投与してもよい。通常、このような注射剤組成物は、生理的に許容される担体、緩衝剤または他の賦形剤を含む、薬学的に許容される組成物として投与されるであろう。癌腫の治療に対して、直接的な腫瘍内注射、切除腫瘍床への注射、局所投与または全身投与が意図される。数時間から数日にわたって、例えば副甲状腺の部位にある病変部位へのカテーテルによる連続かん流を実施することも望ましい場合がある。
特定の態様において、薬剤は経皮投与され得る。経皮的組成物は、クリーム剤、ローション剤、エアゾール剤および/または乳剤の形態を取ることができ、この目的に関する当技術分野において常用である、マトリックスまたはリザーバー型の経皮パッチ中に含有させることができる。
いくつかの態様において、多形体は経口的に投与される。
特定の例示的な態様において、医薬品製剤(pharmaceutical preparation)は、単位投薬形態に調製される。このような形態において、調剤は、適量の活性成分、例えば、所望の目的を達成するために有効な量の活性成分を含有する適当な大きさの単位用量に細分される。投薬形態に関するガイダンスは、日常的に利用できる単位用量のSensipar(登録商標)から得られ得る。例えば、単位用量は、単回投薬形態中に、10 mg、20 mg、30 mg、40 mg、50 mg、60 mg、70 mg、80 mg、90 mg、100 mg、110 mg、120 mg、130 mg、140 mg、150 mg、160 mg、170 mg、180 mg、190 mg、200 mg、210 mg、220 mg、230 mg、240 mg、250 mg、260 mg、270 mg、280 mg、290 mg、300 mgを含有する単位用量であり得る。単回単位投薬形態は、単位用量あたり30 mg、60 mg、または90 mgを含有すると考えられる。
調剤の単位用量中にある活性化合物の量は、特定の用途に従って、約0.01 mg〜約1000 mg、例えば、約0.01 mg〜約750 mg、約0.01 mg〜約500 mg、および約0.01 mg〜約250 mgで変更または調整され得る。
ある特定の対象の治療に用いる実際の投与量は、患者が必要とする量および治療する状態の重症度に応じて変更してもよい。特定の状態に対する適切な投薬計画の決定は、当業者の範囲内である。便宜上、総投与量を、必要とする日の間、いくつかに分割して投与してもよい。
本発明の化合物および/またはその薬学的に許容される塩の投与量および投与頻度は、治療する症状の重症度だけでなく、患者の年齢、状態および大きさ等の因子を考慮して、担当する臨床医の判断に従って調整されると考えられる。経口投与に関する、代表的な推奨される一日投薬計画は、1〜4日用量において約0.4 mg/日〜約1000 mg/日の範囲であり得る。
本発明の特定の局面において、本発明の多形体組成物を、カルシウム擬態薬により治療される疾患の治療に有用である、1種またはそれ以上の他の治療剤と組み合わせて投与してもよいことが、意図される。
HPTの治療に対して、多形体をビタミンD、ビタミンD関連類似体およびステロイド、ならびにカルシウムブロッカー等と組み合わせて投与してもよい。ビタミンDは、ビタミンD受容体に対する親和性を有するセコステロイドのファミリーに対する総称であり、カルシウム代謝およびリン代謝の生理的調節に関与している。Harrison's Principles of Internal Medicine: 第11巻, 「Disorders of Bone and Mineral Metabolism」, E. Braunwald et al., (eds.), 1987, McGraw-Hill, New York, 335章, pp.1860-1865、Stumpf et al., 1979, Science 206:1188-90、および Holick, 1995, Bone 17:107S-11Sを参照されたい。ビタミンDは、一連の複雑な作用および合成の機構を提示する。コレカルシフェロール(ビタミンD3)は、紫外線照射の後の皮膚で7-デヒドロコレステロールから合成される。ビタミンD3の類似体であるビタミンD2は、食べ物から摂取することができる。ビタミンD2の2回の連続的な水酸化が、完全な生物活性に必要である。肝臓で起こる最初の水酸化は、25-ヒドロキシコレカルシフェロールの形成をもたらし、一方、2番目の水酸化は腎臓で起こり、ビタミンD:1α,25-ジヒドロキシコレカルシフェロール(カルシトリオールとしても知られる)の最も強力な生物代謝産物の形成をもたらす。
通常、活性ビタミンD化合物は、例えば、少なくとも1日当り0.12μg/kgの用量(70 kgの人に8.4μg)で、1週間に1回投与され得る。薬学的組成物は、経口、静脈内、筋肉内、局所、経皮、舌下、鼻腔内、腫瘍内、または他の調剤の形態で投与され得る。このような組成物は、5〜100μgの活性ビタミンD化合物を含んでもよい。ビタミンDステロイドを含む組成物のさらなる説明に関して、当業者は米国特許出願第20050101576号を参照する。
多形体を、他のカルシウム擬態剤、例えば、米国特許第5,688,938号、同第5,763,569号、同第5,858,684号、同第5,962,314号、同第6,001,884号、同第6,011,068号、同第6,031,003号、同第6,211,244号、同第6,313,146号、同第6,908,935号、および同第7,176,322号、AU 1,400,801および国際公開公報第01/34562号に開示されているカルシウム擬態剤等と組み合わせて投与してもよい。多形体が上皮小体癌の患者における高カルシウム血症の治療に用いられる、これらの態様において、多形体を、癌腫の治療に用いられる任意の抗腫瘍的介入と組み合わせて投与してもよい。抗腫瘍的介入としては、放射線療法、化学療法および副甲状腺の外科的切除までも挙げられるが、これらに限定されない。従来の抗腫瘍剤としては、ゲムシタビン、パクリタキセル(Taxol(登録商標))、5-フルオロウラシル(5-FU)、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標))、テモゾロマイド、またはビンクリスチンが挙げられる。抗腫瘍剤は、通常、多くの各種薬剤、すなわち、アルキル化剤、代謝拮抗物質、天然物およびそれらの誘導体、ホルモンおよびステロイド(合成類似体を含む)、ならびに合成物質に分類される。これらの分類にある化合物の例を以下に挙げる。
本発明の多形体IIIと組み合わせて用いるための例示的なアルキル化剤(ナイトロジェン・マスタード、エチレンイミン誘導体、スルホン酸アルキル、ニトロソウレアおよびトリアゼンを含む)としては、ウラシルマスタード、クロルメチン、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標))、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスフォルアミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、およびテモゾロマイドが挙げられる。有用であり得る代謝拮抗物質、例えば、葉酸拮抗薬、ピリミジン類似体、プリン類似体およびアデノシンデアミナーゼ阻害剤としては、メトトレキサート、5-フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、リン酸フルダラビン、ペントスタチン、およびゲムシタビンが挙げられる。用いられ得る他の化学療法剤としては、ビンカアルカロイド、抗腫瘍性抗生物質、酵素、リンホカインおよびエピポドフィロトキシンが挙げられ、これらは、例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、パクリタキセル(パクリタキセルはTaxol(登録商標)として市販されている)、ミトラマイシン、デオキシコホルマイシン、マイトマイシン-C、L-アスパラギナーゼ、インターフェロン(とりわけIFN-α)、エトポシド、およびテニポシド等の化合物により例示される。
併用療法は、例えば、17α-エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベストロール、テストストロン、プレドニゾン、フルオキシメステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、テストラクトン、酢酸メゲストロール、タモキシフェン、メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、クロロトリアニセン、ヒドロキシプロゲステロン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ロイプロリド、フルタミド、トレミフェン、およびゾラデックス等のホルモンおよびステロイドも伴ってもよい。用いることができる他の薬剤としては、シスプラチン、カルボプラチン、ヒドロキシウレア、アムサクリン、プロカルバジン、ミトタン、ミトキサントロン、レバミゾール、およびヘキサメチルメラミンが挙げられる。
化学療法剤を投与するための方法は、当業者に公知である。さらに、それらの投与は、標準的な文献に記載されている。例えば、多くの化学療法剤の投与は、「Physicians' Desk Reference (PDR)」、例えば2006年版(Medical Economics Company, Montvale, N.J. 07645-1742, USA)に記載されており、この開示は参照により本明細書に組み入れられる。
付加的な治療剤を伴う治療に加えて、多形体の効果を増加させる治療剤であり得る。例えば、Sensipar(登録商標)がシトクロムP450 2D6により代謝されることは公知である。シトクロムP450 2D6の活性を阻害する薬剤との多形体の同時投与は、多形体の有効性の増強に有用であり得る。例示的な阻害剤としては、例えば、ケトコナゾール、エリスロマイシン、イトラコナゾールおよびフルコナゾール等が挙げられる。シトクロムP450 2D6の阻害剤なしで投与される、多形体、またはさらにSensipar(登録商標)の投与量と比較すると、シトクロムP450 2D6阻害剤との多形体の同時投与は、多形体のより低い投与量を治療的に有効なものにする。このような同時投与の間、多形体の投与量を最適化するために、血清カルシウムレベルを測定することができる。
前記で論じたHPT、癌腫または他の高カルシウム血症関連障害に加えて、本発明の組成物は種々の他の障害の治療にも用いられ得ることも意図される。上で述べたように、腎臓関連障害は、本発明のシナカルセットの形態IIIの組成物を伴う治療的介入に、特に適し得る。特定の態様において、本発明の組成物は、有足細胞機能障害の治療または予防に有用であり得る。例えば、シナカルセットの形態IIIを主成分とした組成物は、有足細胞関連疾患または障害を治療するために用いられ得ることが意図される。いくつかの態様において、有足細胞関連疾患は有足細胞の欠乏である。別の局面において、疾患または障害は、足突起の幅の増加に現れ得る。さらなる局面において、有足細胞関連疾患または障害は、スリット膜の長さの消失または減少として現れ得る。別の局面において、有足細胞関連疾患または障害は、有足細胞密度の減退であり得る。有足細胞関連疾患は、例えば、機械的ストレス(mechanical stress)、虚血、酸素供給不足、毒性物質、内分泌障害、感染症、造影剤、機械的外傷、細胞毒性薬、投薬、炎症、放射線、感染症、免疫系機能障害、遺伝性疾患、臓器不全、臓器移植、または尿路疾患により引き起こされる、有足細胞傷害に起因する可能性がある。他の局面において、有足細胞関連疾患または障害は、ネフリン、ポドシン、FAT-1、CD2AP、Neph1、インテグリン類、インテグリン結合キナーゼ、システインに富む分泌タンパク質酸(secreted protein acid rich in cysteine)、Rho GTPase類、-アクチニン-4、シナプトポジン(synaptopodin)、サイクリン依存性キナーゼ5、ポドカリキシン、hic-5、GLEPP、TRPC6、デンドリン、デスミン、スネール(snail)、ノッチ(notch)、シナプトポジン、HSP27、lamb4、ポドカリキシン、NHERF2、エズリン(Ezrin)、ジストログリカン類、3 1 インテグリンコラーゲン 4型またはWnt-4の異常発現または機能が原因である可能性がある。別の局面において、有足細胞関連疾患または障害は、例えば、微量アルブミン尿またはマクロアルブミン尿(macroalbumiuria)等のタンパク尿である可能性がある。さらなる局面において、有足細胞疾患は尿細管萎縮である可能性がある。
本発明の組成物で治療され得るもう一つの腎臓関連障害は、多発性嚢胞腎である。
さらなる態様において、本発明のシナカルセットの形態IIIの組成物を、血管石灰化の治療のために用いてもよい。血管石灰化は、慢性腎不全の重大で潜在的に重篤な合併症である。血管石灰化の2種の特徴的パターンが特定されており(Proudfoot, D & Shanahan, C. Herz 26: 245-51, 2001)、尿毒症患者に存在することは両方の種類に共通する(Chen, N. & Moe, S. Semin Nephrol 24: 61-8, 2004)。第一に、中膜石灰化は、平滑筋細胞の骨芽細胞様細胞への形質転換と同時に、血管の中膜中で起こり、さらに他方、アテローム発生は、脂質を持ったマクロファージおよび内膜過形成に付随する。米国特許出願公開第2006276534号は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。上記出願は、様々な種類の血管石灰化の検出および監視の方法の例証を提供する。このような方法は、血管石灰化の治療におけるシナカルセットの形態IIIの組成物の有効性および使用を試験するために、本発明とともに容易に用いられ得る。例示的な態様において、本発明の組成物は、内壁石灰化、アテローム硬化性石灰化、閉塞性動脈疾患(カルシフィラキシーまたはカルシフィック・ウレミック・アルテリオロパシー(calcific uremic arteriolopathy)とも称される)を治療するために用いられ得る。本明細書で用いられる「血管石灰化」は、血管中での細胞外基質ヒドロキシアパタイト(リン酸カルシウム)結晶の沈積物の形成、成長または沈積を意味する。血管石灰化は、冠状血管、心臓弁膜、大動脈および他の血管の石灰化を包含する。この用語は、アテローム硬化性石灰化および内壁石灰化を含む。
血管石灰化の治療において、シナカルセットの形態IIIの組成物を、血管石灰化の治療的介入に対して通常用いられる任意の薬剤と併用してもよい。このような薬剤としては、シナカルセットの他の形態を含む他のカルシウム擬態薬が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、用いることができるカルシウム擬態化合物としては、例えば、欧州特許第933 354号および同1 235 797号;国際公開番号WO 01/34562, WO 93/04373, WO 94/18959, WO 95/11221, WO 96/12697, WO 97/41090;米国特許第5,688,938号、同第5,763,569号、同第5,962,314号、同第5,981,599号、同第6,001,884号、同第6,011,068号、同第6,031,003号、同第6,172,091号、同第6,211,244号、同第6,313,146号、同第6,342,532号、同第6,362,231号、同第6,432,656号、同第6,710,088号、同第6,908,935号;および米国特許出願公開第2002/0107406号(それぞれ参照により本明細書に組み入れられる)に開示されたカルシウム擬態化合物が挙げられるが、これらに限定されない。シナカルセットの形態IIIとともに使用するための付加的な化合物としては、例えば、ビタミンDステロールおよび/またはRENAGEL(登録商標)が挙げられる。
さらに付加的な態様において、本発明の組成物は、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群および他の腸障害、例えば、リンパ球性大腸炎、コラーゲン蓄積大腸炎、便流変更性大腸炎(diversion colitis)、子宮内膜症、コーステックかん腸誘導性大腸炎(caustic enema-induced colitis)、薬物誘導性虚血性大腸炎、NSAID誘導性潰瘍、非特異的潰瘍、宿便性潰瘍、孤立性直腸潰瘍、チフリティス(typhilitis)、深在性嚢胞性大腸炎、腸壁嚢胞状気腫、およびマラコプラキア等の治療または予防のために使用され得る。
腸関連障害の治療において、シナカルセットの形態IIIは、1種またはそれ以上の他のカルシウム擬態薬および/またはこのような腸疾患の治療ために用いられる1種またはそれ以上の他の薬剤と併用してもよい。例えば、シナカルセットの形態IIIは、1種またはそれ以上の他の薬物治療と併用してもよい。例えば、便秘型IBSの患者に対して、排便をもたらすために浸透圧性緩下剤を用いることができる。これらの緩下剤としては、例えば、酸化マグネシウム乳濁液等の高張食塩液、例えば、ラクツロースおよびソルビトール等の低吸収性糖類、およびポリエチレングリコールを含有する等張電解質溶液が挙げられる。下痢型IBSに対して、アヘン剤を主成分とする薬剤、例えば、ロペラミド、イモジウム、胆汁酸捕捉薬、H2受容体アゴニストおよびプロトンポンプ阻害剤に分類される制酸薬等を用いることができる。疼痛型IBSに対して、本発明の方法は、鎮痙剤、例えば、コリン作用性神経機能を遮断する薬(例えば、ジサイクロミン、プリフィニウム、シメトロピウム、ザミフェナシン)、カルシウム流出を予防する薬剤(例えば、ジラチアゼム(dilatiazem)、ピナベリウム、オクチルオニウム、ペパーミント油)、および直腸平滑筋弛緩薬、ならびに不明の経路で作用する薬剤等との同時投与と一緒に実行することができる。他の鎮痙剤としては、メベベリンおよびトリメブチンが挙げられる。別の局面において、本発明のシナカルセットの形態IIIの化合物および組成物は、抗うつ剤、例えば、三環系に分類される薬剤、例えば、アミトリプチリン(amitriotyline)、トリミプラミン、デシプラミン、ノルトリプチリン(nortriotyline)、フルフェナジン等;選択的セロトニン再取り込み阻害剤、例えば、パロキセチン、シタロプラム、ミアンセリン;またはセロトニン受容体拮抗剤、例えば、オンダンセトロン(ondansertron)、グラニセトロン、アロセトロン(alosertron)、または 5HT4受容体拮抗剤SB-207266-AとともにIBSの治療に用いることができる。
さらに別の態様において、シナカルセットの形態IIIの組成物は、他の薬物療法、例えば、消化管運動賦活調整剤療法、例えば、テガセロド、例えばドンペリドン等の末梢ドーパミン受容体拮抗剤等;ホルモン治療(例えば、ゴナドトロピン放出ホルモン、例えばロイプロリド等;精神安定剤、例えばフェナグリコドール、メプロバメート、ヘテロニウムとアモバルビタール、プロパンテリンとフェノバルビタール、クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、メダゼパム、およびアルプラゾラム等)と併せて腸疾患を治療するために用いられ得る。別の局面において、本発明は、例えば、腸疾患における内臓痛覚過敏を鈍らせる薬剤等の他の薬物療法、例えば、κ-オピオイド化合物、α2-アドレナリン受容体拮抗剤(例えば、ヨヒンビン、リダミジン)、ニューロキニン-1(NK1)受容体拮抗剤、ソマトスタチン類似体(例えば、オクトレオチド)、またはオキシトシンと併せて腸疾患を治療するための方法を提供する。さらなる局面において、本発明の方法は、心理療法、認知療法、生体自己制御法およびストレス低減法、ならびに催眠術と併せて行うことができる。一局面において、本発明の化合物および組成物は、イトプリド、サレズタント、レンザプリド、ルビプロストン、またはダイノジェン(dynogen)と併せて用いることができる。
本発明のシナカルセットの形態IIIの組成物は、腸液の平衡、分泌および吸収の障害の治療にも用い得る。これに関して、腸液の平衡を調節するための方法の指導を提供する国際公開公報第2007/027548号は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。特定の態様において、本発明のシナカルセットの形態IIIの組成物は、腸運動の異常として現れる下痢または他の障害の治療に用い得る。下痢は、浸透圧性下痢、分泌性下痢、滲出性下痢または高速輸送性下痢(rapid transit diarrhea)であってもよい。それは急性または慢性であってもよい。それは、種々の感染作用物質の1種またはそれ以上(例えば、大腸菌(E. coli.)、赤痢菌(Shigella)、サルモネラ菌(Salmonella)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、ビブリオコレラ(Vibrio cholera)、コレラ毒素、エルトール(El tor)、ランブル鞭毛虫症(Giardiasis)、赤痢アメーバ(Entamoeba histolyca)、クリプトスポリジウム・パルバム(Cryptosporidium parvum)、ノーフォークウイルス(Norfolk viruses)、ロタウイルス(Rotaviruses)、アデノウイルス(Adenoviruses)、カルシシウイルス(Calciciviruses)、アストロウイルス(Astroviruses)またはエンテロウイルス(Enteroviruses))に暴露されて引き起こされ得る。下痢は、cAMPもしくはcGMPの変化により、または抗生物質、抗炎症剤、カフェイン、ステロイド、薬および下剤等に暴露した結果として、引き起こされ得る。下痢は、吸収不良または消化不良によっても引き起こされ得る。さらに他の態様において、それはラクターゼ欠損症または短腸症候群により引き起こされ得る。下痢は、消化管手術、例えば、腹部手術が原因であるか、または化学療法、放射線治療、炎症もしくは中毒性外傷により引き起こされることもあり得る。
腸液の平衡の障害の治療において、本発明のシナカルセットの形態IIIの組成物は、このような障害に対して通常用いられる1種またはそれ以上の他の薬剤、例えば止瀉薬と併用してもよい。
HPT、癌腫または他の高カルシウム血症関連障害の治療に対するものである、併用療法のいずれかにおいて、多形体は、それが併用されている第二の薬剤とともに併行してまたは連続して投与され得る。
治療の方法は、(a) 少なくとも本明細書に開示される多形体IIIの治療的有効量と、(b) 患者がそれで治療される第二の治療剤を、併行してまたは連続してそれを必要とする患者に投与する段階を含むと考えられる。例えば、癌腫の治療に関して、第二の治療剤は前記で論じた抗腫瘍剤であると考えられる。治療される状態がHPTである場合、第二の治療剤は、例えば、ビタミンDまたはカルシウム結合剤等であってもよい。
本発明の多形体の投与量および投与頻度、ならびに第二の治療剤(例えば、化学療法剤および/また放射線療法および/または高カルシウム血症を治療するための他の薬剤)は、治療する疾患の重症度だけでなく患者の年齢、状態および大きさ等の因子を考慮して、担当臨床医(医師)の判断に従って調整されると考えられる。本発明の多形体の投薬計画は、前期で論じたiPTHおよび/または血清カルシウムレベルを下げるための、1、2、3または4の分割用量での10 mg〜2000 mg/日、10〜1000 mg/日、10〜600 mg/日、約10 mg〜約300 mg/日の経口投与であり得る。間欠治療法(例えば、3週間のうち1週間または4週間のうち3週間)も用いてもよい。
第二の治療剤は、当技術分野で周知の治療手順に従って投与することができる。ビタミンDステロイドもしくは化学療法剤、および/または放射線療法の投与を、治療する疾患ならびに該疾患での化学療法剤および/または放射線療法の公知の効果に応じて変更することができることは、がん療法分野の当業者に明らかであると考えられる。また、習熟した臨床医の知識に従って、治療手順(例えば、投与量および投与の時間)は、投与する治療剤(すなわち、抗腫瘍剤または放射線)の患者での実際の効果を考慮して、かつ投与した治療剤への疾患の実際の反応を考慮して、変更することができる。
上述したように、本発明の方法、本発明の多形体は、併行してまたは連続して第二の治療剤とともに投与される。従って、例えば、第二の治療剤および多形体が、同時に、または本質的に同時に投与されるべきであることは必要ではない。
さらに、一般に、本発明の多形体および第二の治療剤は、同じ薬学的組成物で投与される必要はなく、異なる物理的および化学的特性のため、異なった経路により投与される必要がある場合がある。例えば、本発明の多形体は経口的に投与され、その良好な血中レベルをもたらし、かつ維持し得るが、一方、化学療法剤は静脈内投与され得る。可能であれば、同じ薬学的組成物における投与の様式および投与の妥当性の決定は、習熟した医師の知識の十分に範囲内である。初回投与は、当技術分野で公知の確立された手順に従って行うことができ、次いで、実際の効果に基づいて、投与量、投与の様式および投与の時間が、習熟した医師により修正される。
多形体/第二の治療剤の組み合わせの特定の選択は、担当医師の診断、ならびに担当医師の患者の状態の判断および適切な治療手順によって決まると考えられる。
多形体、および第二の治療剤が同時に、または本質的に同時に投与されない場合、多形体および第二の治療剤の投与の順番は重要ではないかもしれない。従って、本発明の多形体を最初に投与し、続いて第二の治療剤(例えば、化学療法剤および/または放射線)を投与してもよいし、または第二の治療剤を最初に投与し、続いて多形体を投与してもよい。単一の治療手順の間、この交互投与を繰り返してもよい。治療手順中の投与の順番、およびそれぞれの治療剤の反復投与の回数の決定は、治療する疾患および患者の状態の評価の後、習熟した医師の知識の十分に範囲内である。
開業医師は、治療が進むにつれて、個々の患者の必要性に従って治療の成分(治療剤−すなわち、本発明の多形体および第二の治療剤−例えば、化学療法剤または放射線)の投与のためのそれぞれの手順を修正することができる。治療が投与した投与量で有効であるかどうかを判断する場合、担当臨床医は、iPTH、血清カルシウムレベル、血清リンレベルを監視し、患者の麻痺性骨疾患(adynamic bone disease)を(例えば、標準的なNichols IRMAを用いて)監視するだけでなく、対象の一般的な健康、および例えば、疾患関連症状、例えば不安、うつ、悪心、嘔吐、骨折、腎結石の緩和等のより明確な表れを考慮すると考えられる。疾患関連症状の緩和および全身状態における改善は、治療の効果を判断するのを助けるためにも用いることができる。
特定の態様において、本発明は、本発明の多形体を投与するためのキットを提供し、該キットは、容器中に多形体の組成物、使用説明書および多形体の投与のための道具を含む。キットは、例えば、付加的な治療用組成物、投与前に多形体を混合するための薬学的担体または希釈剤、多形体の有効性を測定するためのアッセイ構成要素(例えば、iPTH、血清カルシウムおよび血清リン等のレベルを測定するためのアッセイ構成要素)、ならびに多形体の有効性を試験するための血清を取得するための道具等の、1種またはそれ以上の付加的構成要素も任意で含んでもよい。
実施例
以下の実施例は、限定よりもむしろ例証を目的とする。
実施例1
多形体IIIは、以下の方法で得ることができる。形態Iの昇華は形態IIIの形成をもたらす。形態Iの物質での昇華を、コールド・フィンガー・サブリメイション装置を使用して、実験室規模で実行した。装置をシリコンオイルバスに浸して、かつコールド・フィンガーを水冷した。この系を真空下で密閉した。真空は、最後の固体が収集されるまで開放しなかった。該固体を、光学顕微鏡法を介して観察し、かつXRPD分析により特徴づけした。
実施例2
実施例1で得られた結晶の特徴づけを以下の通り進めた。
約0.45×0.35×0.13 mm の容量を有するC22H23ClF3Nの無色プレートを、無作為の方向でガラス繊維上に置いた。予備試験およびデータ収集は、Nonius KappaCCD回折計でMo Kα放射線(λ = 0.71073Å)を用いて実行した。精密化は、SHELX97(Sheldrick, G.M., SHELX97, A Program for Crystal Structure Refinement, University of Gottingen, Germany (1997))を用いたLINUX PCで実行した。結晶図は、プログラムORTEP(Johnson, J Appl Cryst 30:565 (1997))、CAMERON(Watkin et al., Chemical Crystallography Laboratory, University of Oxford: Oxford (1996))、およびMercury(Bruno et al., Acta Crystallogr. B58:389 (2002))を用いて得た。
データ収集のための格子定数(cell constant)および方向変換行列(orientation matrix)を、2°<θ<25°の範囲で10737の反射の取り付け角を用いた、最小二乗法での精密化から得た。DENZO/SCALEPACK(Otwinowski et al., Methods Enzymol 276:307 (1997))からの精密化したモザイク性(mosaicity)は、悪い結晶品質を示す1.17°であった。空間群を、プログラムXPREP(Bruker, XPREP in SHELXTL version 6.12, Bruker AXS, Inc. Madison, WI: USE (2002))により測定した。系統的欠如はなく、空間群はP 1(no. 1)であることが測定された。
データは、150±1 Kの温度で、50.18°の最大2θ値まで収集した。フレームはDENZO-SMN(Otwinowski et al., Methods Enzymol 276:307 (1997))で積分した。
全部で10737の反射を収集し、該反射の6229が一意的であった。ローレンツおよび偏光補正をデータに適用した。線吸収係数は、Mo Kα放射線に対して2.13 cm-1であった。SCALEPACK(Otwinowski et al., Methods Enzymol 276:307 (1997))を用いた経験的な吸収補正を適用した。透過係数は0.883〜0.974の範囲であった。等価反射(equivalent reflection)の強度を平均化した。平均化のためのアグリーメント・ファクタ(agreement factor)は、強度に基づいて13.8%であった。
形態IIIの構造は、SIR2004(Burla et al., J Appl Cryst 38:381 (2005))を用いた直接法により解析した。続く差フーリエ合成により、残りの原子が配置された。水素原子は精密化に含まれたが、それらが結合する原子上に乗ることは抑制された。構造は、以下の関数を最小化することによって完全マトリクス最小二乗法で精密化された。

Figure 0005309014
重さwは、1/[σ2(F0 2)+(0.0981P)2+(0.8406P)] として定義され、式中P=(F0 2+2 FC 2)/3である。
散乱因子は、「International Tables for Crystallography」 vol. C, Kluwer Academic Publishers: Dordrecht, The Netherlands (1992), 表 4.2.6.8 および6.1.1.4から取った。精密化に用いた6229の反射のうち、Rの計算にはF0 2>2σ(F0 2)での反射のみを用いた。全部で4198の反射を計算に用いた。精密化の最終サイクルは490の可変パラメータを含み、以下の単純(unweighted)および加重アグリーメント・ファクタに収束した(最大パラメータシフトはその推定標準偏差と等しかった)。

Figure 0005309014
実測の単位重量の標準偏差は1.03であった。最終の差フーリエにおける最高ピークは0.31e/Å3の高さを有した。最小の負ピークは-0.33e/Å3の高さを有した。絶対構造の決定のための因子(Flack, Acta Cryst A39:876 (1983))は、0.2(1)に精密化された。
Cu放射線に関して、計算で得たXRPDパターン(図1)は、PowderCell 2.3、ならびに単結晶データ図1から得られた原子座標、空間群および単位格子のパラメータを用いて作成した。
充填図(packing diagram)は、CAMERON(Watkin et al., Chemical Crystallography Laboratory, University of Oxford: Oxford (1996))モデリングソフトウェアを用いて作成した。水素結合は破線で表す。追加の図は、Mercury 1.3モデリングソフトウェアを用いて作成した。
粉末X線回折(XRPD)分析を、120°の2θ範囲をもつCPS(曲線位置高感度型)検出器を備え付けた、Inel XRG-3000回折計を使用して実行した(図2および図3)。実時間データを、0.03°2θの分解能において約4°2θで開始するCu-Kα放射線を用いて収集した。管電圧および管電流を40 kVおよび30 mAにそれぞれ設定した。モノクロメーター・スリットを5 mm×160 μmに設定した。パターンは2.5〜40°2θにわたり表示される。試料を1 mmの薄壁ガラスキャピラリーに詰めることにより、試料を分析用に準備した。それぞれのキャピラリーを、データ取得中キャピラリーを回転するように動力化されているゴニオメーターのヘッドに固定した。試料を5分間分析した。機器の校正は、ケイ素参照標準を用いて実行した。図2は、形態IIIに関して測定したXRPDパターンを示し、図3は、純粋な形態I(上部)、形態Iと形態IIIの混合物(真ん中)、および純粋な形態III塩酸シナカルセットのXRPDパターンの比較を示す。
形態IIIのXRPDパターンは、以下の主要な回折線(°2θ)を示した。
12.3402、14.4334、15.3545、16.443、16.6942、17.6152、18.2013、18.6618、19.4992、19.9178、20.2946、20.5877、21.7599、21.9692、22.4297、24.0206、および25.0672。
三斜晶系格子パラメータおよび計算で得た体積は、a = 7.178(4)、b = 11.367(4)、c = 13.712(5)Å、α= 71.546(15)、β= 77.004(17)、γ= 87.93(2)°、V = 1033.3(7) Å3である。Z = 2および393.88の式量に関して、計算で得た密度は1.266 g/cm3である。空間群はP 1であることが測定された。結晶データの要約および結晶学的データの収集パラメータを、本明細書の最後にある表1に与える。
通常、0.02〜0.06の範囲にあるR-値は、最も確実に決定された構造に対して値がつけられる(Glusker et al. Crystal Structure Analysis: A Primer, 2nd Ed., Oxford University Press: New York, 1985, p. 97)。0.086(8.6%)のR-値は指示範囲外であるとはいえ、構造は、分子の絶対立体化学を決定するのに十分な分解能ではないが、構造を決定するのに十分な特性のあるものと考えられる。
シナカルセットHClの形態IIIのORTEP(Johnson, J. Appl. Cryst. 1997, 30, 565)図を図4に示す。単結晶構造は、図5にみられる提案された構造と同じである。図5に示される非対称単位は、2個の分子および対応する塩素アニオンを含有する。結晶学は、物質が化学量論的な塩であることを裏付ける。
a、bおよびcの結晶軸の方向に沿って見た充填図を、それぞれ図6〜8に示す。水素原子をこれらの図に示す。分子間の水素結合相互作用は、プロトン化アミン(N112およびN212)と塩素イオン(Cl1およびCl2)との間で起こる。塩素イオンは、約3.15ÅのCl N水素結合相互作用を有する、隣接したアミンプロトンとの2つの相互作用を示す。シナカルセットHClの形態IIIで観測される一次元水素結合ネットワークの図を、図9に示す。
形態Iおよび形態IIIの結晶構造から得た分子の比較を図10に示す。形態Iの分子は、形態IIIの分子のひとつと非常に道理にかなった重なりを有するが、第二の形態IIIの分子上にあるトリフルオロメチル基は、形態Iの分子に対して約180°回転している。図11に示すように、形態Iおよび形態IIの充填は非常に類似しているが、トリフルオロメチル基の回転が、形態IIIの結晶構造中の層へスタッキングを転移させる。
図1は、単結晶データから得られた、シナカルセットHClの形態IIIの計算で得たXRPDパターンを示す。シナカルセットHClの形態IIIの実験で得たXRPDパターンを図2に示す。シナカルセットHClの形態IIIの、計算で得たXRPDパターンと実験で得たXRPDパターンとの比較を図3に示す。実験で得たパターン中の全てのピークは、計算で得たXRPDパターンで表され、バルク物質(bulk material)が単相であると思われることを示唆する。ピーク位置のわずかな移動は、実験で得た粉末パターンが室温で収集され、単結晶データが150Kで収集されたという事実に起因すると思われる。構造の特性を改善するために、単結晶分析では低温が用いられる。この仮定を試すために、形態IIIの結晶および形態Iの結晶を室温で指数化した。その単位格子のデータを表2に総括する。シナカルセットHClに関する、計算で得たXRPDパターンと、室温での単位格子のデータとの比較。シナカルセットHClの形態IIIおよび形態Iに関する、計算で得たXRPDパターンと、室温での単位格子のデータとの比較は、それらそれぞれの実験で得たパターンとのより良好な一致を示す。
分子の絶対立体配置は、結晶によるX線異常散乱分析により決定することができる。次いで、異常散乱の強度における違いを、それぞれのエナンチオマーに関して計算で得た散乱強度と比較する。その結果、これらの測定および計算で得た強度は、パラメータ、Flack因子(FlackおよびBernardinelli, Acta Cryst. 1999, A55, 908;FlackおよびBernardinelli, J. Appl Cryst. 2000, 33, 1143)に適合し得る。構造を解明後、データの質をその転換識別力(inversion-distinguishing power)に関して評価するべきであり、これは、Flackパラメータの標準不確実性(standard uncertainty)試験で行われる。シナカルセットHClの形態IIIに関して、十分な転換識別力/脆弱な転換識別力として分類される標準不確実性、(u)は0.1に等しい。この大きさのエラーは、化合物が本当にエナンチオピュア(enantiopure)であることを示すため、および絶対構造決定が有効であることを証明するために、先験的な生物学的、化学的または物理的証拠を必要とすることを意味する。解明した構造の立体配置が正しい場合、Flack因子、x(u)は、統計変動内の0近くであり、通常|x|<2uであるべきである。逆モデルが正しい場合、xは1近くであると考えられる。図4に示すシナカルセットHClの形態IIIの構造に関する測定Flack因子は0.2であり、0.1の標準不確実性を伴う(表1)。従って、図4のモデルの絶対立体配置は正しい。この構造は、C211に配置された1個のキラル中心を含有する(図4のORTEP図を参照)。シナカルセットHClの形態IIIは、R配置として帰属されている(SSCI notebook照会番号2163-08)。これは、図5に提案された立体配置と矛盾しない。
本発明の新しい多形体のさらなる特徴づけを、位置パラメータおよびそれらの推定標準偏差(下記表3)、異方性温度因子係数(下記表4)、結合距離(下記表5)、結合角度(下記表6)ならびにねじれ角度(下記表7)の表に提示する。
本明細書に提示したデータは、シナカルセットの分子構造を確認するために測定されたシナカルセットHClの形態IIIの単結晶構造を示す。空間群はP 1(no. 1)であることが測定された。シナカルセットHClの形態IIIの構造は、a-結晶軸に沿って走る一次元の鎖をもたらす塩素イオンに水素結合している分子から構成される。実験で得たパターンにおける全てのピークは、計算で得たXRPDパターンで表されたが、計算で得たXRPDパターンの顕著な移動が観測された。形態Iおよび形態IIIの結晶を室温で指数化し、室温データを用いて作成した、計算で得たXRPDパターンは、実験で得たパターンに一致し、バルク物質がほとんど単相であると思われることを示唆する。
特性データの表
(表1)シナカルセットHClの多形体IIIに関する結晶データおよびデータ収集パラメータ
Figure 0005309014
a Otwinowski Z. & Minor, W. Methods Enzymol., 1997, 276, 307.
b Flack,H. D. Acta Cryst., 1983 A39, 876.
(表2)シナカルセットHClの形態Iおよび形態IIIに関する室温での単位格子データ
Figure 0005309014
(表3)シナカルセットHClの形態IIIに関する位置パラメータおよびそれらの推定標準偏差
Figure 0005309014
Figure 0005309014
Figure 0005309014
水素が構造因子の計算に関与したが、精密化されていない。
Ucq = (1/3)SiSjUija* ia* jai.aj
(表4)異方性温度因子係数−シナカルセットHClの形態IIIに関するU値
Figure 0005309014
Figure 0005309014
Figure 0005309014
異方性温度因子の式は以下の通りである:
exp[-2p h2a*2U(1,1) + k2b*2U(2,2) + l2c*2U(3,3) + 2hka*b*U(1,2) + 2hla*c*U(1,3) + 2klb*c*U(2,3)]
式中、a*、b*およびc*は逆格子定数である。
(表5)シナカルセットHClの形態IIIに関するオングストロームでの結合距離の表
Figure 0005309014
括弧内の数字は最小有効数字での推定標準偏差である。
(表6)シナカルセットHClの形態IIIに関する度での結合角度の表
Figure 0005309014
括弧内の数字は最小有効数字での推定標準偏差である。
(表7)シナカルセットHClの形態IIIに関する度でのねじれ角度の表
Figure 0005309014
Figure 0005309014
Figure 0005309014
本明細書で開示および主張した全ての組成物および/または方法は、本発明の開示に照らして過度の実験なしで、製造および実行することができる。本発明の組成物および方法を特定の態様に関して記載してきたが、本発明の概念、精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の、組成物および/または方法の変化ならびに方法の工程または一連の工程における変化をもたらすことができることは、当業者には明らかであると考えられる。より具体的には、化学的のみならず生理学的にも関連する特定の薬剤が、同じまたは同様の結果を達成しつつ、本明細書に記載の薬剤に代替され得ることは明らかであると考えられる。当業者に明らかである全てのこのような同様の代替および改良は、添付の特許請求の範囲により定義される、本発明の精神、範囲および概念の範囲内であると見なされる。
本明細書の全体にわたって引用した文献は、それらが、本明細書で示したものに例示的な手順または他の詳細の補足を与えるという範囲で、全て参照により本明細書に具体的に組み入れられる。
塩酸シナカルセットの形態IIIの計算で得たXRPDパターンを示す。 塩酸シナカルセットの形態IIIの実験で得たXRPDパターンを示す。 形態I(上部のトレース)、形態Iと形態IIIの混合物(真ん中のトレース)、および形態III(下部のトレース)の実験で得たXRPDの比較を示す。 シナカルセットHClの形態IIIのORTEP図を示す。原子は50%の確率の異方性熱楕円(anisotropic thermal ellipsoid)で表した。 シナカルセットの形態IIIの提案される分子構造を示す。 a-結晶軸の方向から見たシナカルセットの形態IIIの充填図を示す。 b-結晶軸の方向から見たシナカルセットの形態IIIの充填図を示す。 c-結晶軸の方向から見たシナカルセットの形態IIIの充填図を示す。 シナカルセットの形態IIIの水素結合ネットワークを示す。水素結合は青色の破線として表す。 図10A〜10Bは、形態IIIの結晶構造中の2個のシナカルセット分子(赤色および黄色)とのシナカルセットの形態Iの分子(青色)のオーバーレイを示す。 a-結晶軸の方向から見た形態Iおよび形態IIIの充填図の概要を示す。

Claims (12)

16.69;17.61;19.49;20.29;および20.58の回折角2θにピークを有するCu Kα放射線を用いた粉末X線回折(XRPD)パターンを有する、塩酸N-[1-(R)-(-)-(1-ナフチル)エチル]-3-[-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-1-アミノプロパンの結晶性多形体を調製する方法であって、以下の工程を含む方法:
a. シナカルセットの多形体形態Iを190℃で溶融し、それから非晶質形態をドライアイスとアセトンの冷浴中で30分間急冷する工程;
b. 急冷した非晶質形態を粉砕して、急冷した非晶質形態の粒径を小さくする工程;および
c. 工程(b)で、急冷し、大きさを小さくした非晶質の粒子を、90℃3.5時間加熱する工程。
大きさを小さくした粒子38μmの粒径を有する、請求項1記載の方法。
大きさを小さくした粒子125μmの粒径を有する、請求項1記載の方法。
XRPDパターンが、12.34;14.43;15.35;16.44;18.20;18.66;19.91;21.75;21.96;22.42;24.02;および25.06からなる群より選択される少なくとも1つの回折角2θのピークをさらに含む、請求項1記載の方法
XRPDパターンが、12.34;14.43;15.35;16.4;16.69;17.61;18.20;18.66;19.49;19.91;20.29;20.58;21.75;21.96;22.42;24.02;および25.06に少なくとも回折角2θのピークを含む、請求項1記載の方法
XRPDパターンが、12.34;14.43;15.35;16.44;16.69;17.61;18.20;18.66;19.49;19.91;20.29;20.58;21.75;21.96;22.42;24.02;および25.06に回折角2θのピークを含む、請求項1記載の方法
該結晶性多形体が、以下のいずれかに示されるXRPDパターンを含む、請求項1記載の方法:
Figure 0005309014
Figure 0005309014
Figure 0005309014
該結晶性多形体が、以下に示される位置パラメータを有する、請求項1記載の方法:
Figure 0005309014
Figure 0005309014
Figure 0005309014
該結晶性多形体が、以下に示される異方性温度因子係数を有する、請求項1記載の方法:
Figure 0005309014
Figure 0005309014
Figure 0005309014
該結晶性多形体が、以下に示される結合距離特性を有する、請求項1記載の方法:
Figure 0005309014
該結晶性多形体が、以下に示される結合角特性を有する、請求項1記載の方法:
Figure 0005309014
該結晶性多形体が、以下に示されるねじれ角特性を有する、請求項1記載の方法:
Figure 0005309014
Figure 0005309014
Figure 0005309014
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