JP5308394B2 - 制動制御装置 - Google Patents
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Description
そこで、本構成では、液の吐出量を変化させた場合に、調圧弁を通過する液の循環流量が変化することに注目し、調圧弁を流通する液の循環流量を把握して、この循環流量に基づいて目標となる差圧を得るための電流値を演算し、調圧弁への印加電流を制御する制御手段を備えた。
この結果、例えば、ポンプからの液の吐出量を変化させた場合でも、調圧弁を流通する液の循環流量は、そのときの液の特性や調圧弁の個別特性を最も反映したパラメーターとなるため、ホイールシリンダ液圧の制御精度を向上することができる。
また、本構成のように、ポンプから吐出されるブレーキ液のみでホイールシリンダ液圧を発生させる場合、調圧弁の上流側と下流側との差圧がホイールシリンダ液圧となる。従って、上述のように差圧を適切に制御することにより、ホイールシリンダ液圧の制御精度を向上することができる。
このような制御を繰り返し行うことで、調圧弁を最適に制御することができ、良好な制動感覚を発揮する制動制御装置を得ることができる。
この制動制御装置は、図1に示すように、ブレーキペダル6(本発明のブレーキ操作部材に相当)、ブレーキ操作量センサ50(本発明のブレーキ操作量検出手段に相当)、マスタシリンダ2、ストローク制御弁51、ストロークシミュレータ52、ブレーキ操作量センサ50の測定値に応じた液圧を各車輪のホイールシリンダ3に付与する液圧回路4などが備えられている。四つの各車輪、即ち、右前輪FR、左前輪FL、右後輪RR及び左後輪RLに対して夫々ホイールシリンダ3FR,3FL,3RR,3RLを設けている。
マスタシリンダ2の夫々の液圧室5a,5bと液圧回路4とを接続する流路41,42が備えられている。また、マスタシリンダ2には、マスタシリンダ2にブレーキ液を供給したり、マスタシリンダ2の余剰のブレーキ液を貯留するマスタリザーバ7を備える。このマスタリザーバ7からは、液圧回路4に向けて直接流路43が設けられている。
つまり、液圧室5aと前輪FRに対応するホイールシリンダ3FRとを接続するべく、流路41に接続される流路44が備えられている。この流路44には、第1常開制御弁12が備えられている。第1常開制御弁12は、非通電時には連通状態、通電時には遮断状態となる二位置弁であり、この第1常開制御弁12によって流路44の連通・遮断状態が制御される。
上述の調圧弁8a〜8dは、印加される電流に応じてその開度を変化させ、流通する液の流量を制御する。
制御手段24は、回転速度センサ25、ホイールシリンダ液圧センサ28、ブレーキ操作量センサ50などの検出信号に基づいて、調圧弁8、第1常開制御弁12、第2常開制御弁14、第1常閉制御弁17、第2常閉制御弁18、モータ23の夫々の作動を制御することにより、各ホイールシリンダ3に付与するホイールシリンダ液圧を制御するように構成してある。
通常ブレーキ時においては、第1、第2常開制御弁12,14への通電は共にONされ、第1、第2常閉制御弁17,18への通電も共にONされる。これにより、第1、第2常開制御弁12,14は共に遮断状態、第1、第2常閉制御弁17,18は共に連通状態とされる。
循環流量Qrに基づくこれら相関関係の選択、および、当該選択した関係に基づく印加電流Iと差圧Pdとの制御は、制御手段24が行う。例えば、モータ23(モータ23a,23bの総称)の回転速度を減少させて循環流量Qrを減少させつつ差圧Pdをある値Pd(1)に保つ場合、循環流量QrがQr(1)、Qr(2)、Qr(3)と減少していくと、印加電流IをI(1)、I(2)、I(3)と増加させて、調圧弁8の開度を小さくする。モータ23が停止して循環流量Qrがゼロとなる場合には、差圧PdをPd(1)に保つために、印加電流をI(4)として調圧弁8を完全に閉状態とする。このように、目標とする差圧Pdが同じ場合であっても、循環流量Qrが大きい場合には、差圧Pdが発生し易いため、印加電流Iを低減して調圧弁8の開度を開く側に制御する。一方、循環流量Qrが小さくなる場合には差圧が発生し難くなるため、印加電流Iを増大させて調圧弁8の開度を閉じ側に制御する。
そのため、本実施形態では、モータ23を停止する場合の印加電流Iと差圧Pdとの関係として、図3の各直線のうち最も右側の直線を設定してある。例えば、差圧Pd(1)を保持する場合には、印加電流IをI(4)に設定する。これにより、調圧弁8を完全に遮断されてQrがゼロとなる。
制御手段24は、ホイールシリンダ液圧センサ28が検出したホイールシリンダ液圧Pw及びブレーキ操作量センサ50が検出した操作量Sを取得する。制御手段24は、取得した操作量Sに基づいて、制御する調圧弁8の差圧Pdの値を決定する。(♯01)。
異常時には、制御手段24から制御信号が出力できなくなるか、もしくは、各種弁やモータ23a,23bが正常に駆動されない可能性がある。従って、各種弁やモータ23a,23bに対する通電がOFFにされる。
さらに、モータ23a,23bへの通電が共にOFFとなり、ポンプ19a〜19dによるブレーキ液の吸入・吐出も停止される。
(1)上述の実施形態において、ホイールシリンダ液圧センサ28a〜28dは必ずしも備える必要はない。この場合、ブレーキ操作が行われた後、マスタシリンダ液圧とホイールシリンダ液圧とが安定した定常状態となった後に循環流量Qrが演算される。つまり、定常状態においては、液圧ポンプ19から吐出された液が全て調圧弁8を流通して循環することになる。このため、液圧ポンプ19からの吐出流量Qpと循環流量Qrとが等しくなる。従って、モータ23の回転速度に基づいて吐出流量Qpを演算することにより、循環流量Qrを演算することができる。
即ち、図3に示したごとく、四本の実線の他に、さらに印加電流Iの大きい側に破線で示す補正線を設定する。液圧ポンプ19が停止した状態で、仮に調圧弁8の遮断程度が緩いと、ブレーキ液は調圧弁8でリークする。その場合、Pd(1)を維持することができず、また、液圧ポンプ19が停止しているため差圧Pdを再びPd(1)に戻すこともできない。このような事態を防止するためには、調圧弁8の閉状態を確実に維持する必要がある。そこで、モータ23を停止する場合には、通常、調圧弁8が完全に閉状態となる位置よりもさらに閉じ側に制御する。つまり、制御手段24により、図3の右端の実線に対して印加電流Iがαだけ多くなるように補正制御する。これにより、調圧弁8をより確実に遮断することができる。
また、必ずしも、モータ23の回転速度がゼロの場合にのみ印加電流Iを補正制御する必要はなく、循環流量Qrが漸減するに従って印加電流Iの補正量を漸増させるように構成しても良い。
フルード温度は、種々の方法によって計測することができる。例えば液圧回路4のブレーキ液の流路に温度センサを設けて、フルード温度を直に検出することができる。また、液圧回路4の近傍に温度センサを設けて、ここからフルード温度を推算しても良い。さらに、調圧弁8の作動時間に基づいてフルード温度を推算しても良いし、エンジンシステムなど、液圧回路4以外のシステムで検出又は推定された温度に基づいてフルード温度を推算しても良い。
循環流量Qrは、フルード温度の変化に伴う体積や粘度の変化によって変化する。したがって、上述のごとく検出又は推算したフルード温度に基づいて循環流量Qrを補正することにより、正確に循環流量Qrを演算することができる。
4 液圧回路
6 ブレーキペダル
8 調圧弁
19 ポンプ
24 制御手段
25 回転速度センサ
27 マスタシリンダ液圧センサ
28 ホイールシリンダ液圧センサ
Pd 差圧
Pm マスタシリンダ液圧
Pw ホイールシリンダ液圧
Qp 吐出流量
Qr 循環流量
Claims (7)
- ドライバによって操作されるブレーキ操作部材と、
前記ブレーキ操作部材の操作量を検出するブレーキ操作量検出手段と、
各車輪に配設されたホイールシリンダに対してホイールシリンダ液圧を供給する液圧回路と、
前記ホイールシリンダ液圧が前記ブレーキ操作量検出手段の検出結果に応じた値となるようモータの回転により駆動され、吐出するブレーキ液のみで前記ホイールシリンダ液圧を発生可能に前記液圧回路に液圧を発生させるポンプと、
前記ポンプから吐出されるブレーキ液の一部を前記ポンプに循環させるべく前記液圧回路の一部を共有する状態に設けた循環流路と、
前記循環流路に設けられ、前記液圧回路の前記ホイールシリンダ側に接続する上流側と下流側との差圧を調節可能な調圧弁と、
前記調圧弁を流通するブレーキ液の循環流量に基づき、目標となる前記差圧が得られる電流値を演算して前記調圧弁への印加電流を制御する制御手段と、を備えた制動制御装置。 - 前記制御手段は、前記循環流量に基づき、前記循環流量毎に異なる前記印加電流と前記液圧との相関関係の中から一つの相関関係を決定し、当該決定した相関関係に基づいて前記調圧弁への印加電流を制御する請求項1に記載の制動制御装置。
- 前記モータの回転速度を検出する回転速度検出手段を備え、前記検出された回転速度に基づいて前記循環流量を演算する請求項1または2に記載の制動制御装置。
- 前記モータの回転速度を検出する回転速度検出手段を備え、前記制御手段は、ブレーキ操作が行われた後、前記ホイールシリンダ液圧が安定した状態で、前記検出された回転速度に基づいて前記循環流量を演算する請求項1または2に記載の制動制御装置。
- 前記モータの回転速度を検出する回転速度検出手段を備えると共に、前記ホイールシリンダ液圧を検出するホイールシリンダ液圧検出手段を備え、前記制御手段は、前記検出された回転速度と前記ホイールシリンダ液圧の変化量とに基づいて前記循環流量を演算する請求項1〜4の何れか一項に記載の制動制御装置。
- 前記ブレーキ液の温度に基づいて、前記制御手段は、前記循環流量を補正する請求項1〜5の何れか一項に記載の制動制御装置。
- 前記制御手段は、前記モータが停止される場合、前記印加電流を、前記調圧弁が閉じる側に補正する請求項1〜6の何れか一項に記載の制動制御装置。
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