(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態における内視鏡装置について、図面を参照して説明する。図1及び図2は、本発明の実施形態としての内視鏡装置1を示したものである。図1に示すように、内視鏡装置1は、被検体Sに挿入される内視鏡2と、内視鏡2の先端側に配置されたフード3を有する鍔部(第一の鍔部)4と、流体として圧縮空気F1を噴射可能な流体噴射手段(第一の流体噴射手段)5とを備えている。
内視鏡2は、被検体Sを観察可能な観察手段である図示しないCCD及び対物レンズ6を有する先端部7と、先端部7から基端側へ延びる細長の挿入部8と、挿入部8の基端側に設けられた操作部9と、操作部9に接続された本体部10とを備える。先端部7の先端面7aには、対物レンズ6とともに、先端部7及び挿入部8の内部に配設されたライトガイド11が露出している。一方、本体部10には、先端部7及び挿入部8の内部に配設された図示しない撮像ケーブルによって先端部7の内部に設けられたCCDと接続された表示部10aと、ライトガイド11と接続された光源部10bとを備える。このため、本体部10の光源部10bから供給される照明光によって先端部7の先端面7aに露出するライトガイド11から先端側を照明し、また、CCDによって撮像した被検体Sの画像を、本体部10の表示部10aに表示して被検体Sを観察することが可能である。
また、挿入部8は、可撓性を有して被検体Sに応じて湾曲可能な可撓管部8aと、可撓管部8aの先端側に設けられて、操作部9による操作のもと湾曲自在な湾曲部8bとで構成されている。操作部9には、ジョイスティック9aが配設されていて、これにより湾曲部8bを径方向に自在に湾曲させることが可能である。さらに、内視鏡2は、先端部7の先端面7aから挿入部8を経由して、操作部9の開口部9bまで連通するチャンネル2aを有している。
図1及び図2に示すように、鍔部4は、基端側が内視鏡2のチャンネル2aに挿通されているとともに、先端側が内視鏡2の先端部7の先端面7aから突出しているロッドであるガイドワイヤ15と、ガイドワイヤ15の先端15aに接続された上記のフード3とを備える。フード3は、ガイドワイヤ15の先端15aから外周側に張り出すとともに、先端面3aが曲面に形成された略半球状の部材である。図示しないが、フード3の基端側は凹面上に形成されている。また、フード3は、CCDによって先端側を観察可能に透明な部材によって形成されている。なお、フード3の外径について制限は無いが、内視鏡2の先端部7及び挿入部8の外径と略等しいか、若しくは、小さく設定することがより好ましい。このようにすることで、被検体Sが内視鏡2の先端部7及び挿入部8の外径よりも大きい内部空間を有してさえいれば、フード3の形状による制限を受けず、内視鏡2を挿入して観察することが可能であるからである。さらに、被検体Sから内視鏡2を引き抜く時に、内視鏡2が被検体Sに引っ掛からず引き抜きやすいからである。なお、被検体Sの内部空間の大きさが内視鏡2の外径に比べてかなり大きい場合には、その限りでは無い。
ガイドワイヤ15は、被検体Sの内部で進退させることが可能に一定の剛性を有するとともに、被検体Sに応じて湾曲可能な可撓性を有している。図1に示すように、ガイドワイヤ15の基端側は、チャンネル2aに挿通されて、操作部9の開口部9bから突出している。操作部9の開口部9bには、ストッパ16が設けられていて、ガイドワイヤ15を操作部9に対して固定した状態と、固定しない状態に切り替えることが可能である。より詳しくは、図3及び図4に示すように、ストッパ16は、外部とチャンネル2aとを連通する貫通孔9cに挿通された軸状の本体部16aと、本体部16aの貫通孔9cから外部に突出する一端部に形成されたフランジ部16bとを備える。ストッパ16の本体部16aには、環状の溝16cが形成されている。溝16cには、Oリング16dが外嵌されていて、Oリング16dによって貫通孔9cを気密に封止している。一方、チャンネル2a内において貫通孔9cと対向する位置には、凹部9dが形成されていて、ストッパ16の本体部16aの先端を突没させることが可能である。さらに、ストッパ16の本体部16aには、ガイドワイヤ15が挿通された挿通孔16eが形成されている。また、ストッパ16のフランジ部16bと、フランジ部16bと対向する操作部9の一面9eとの間には付勢手段としてバネ17が介装されていて、ストッパ16は、貫通孔9cから外部に向かって付勢されている。一方、操作部9の一面9eには、係止部材18が取り付けられていて、一端部18aがストッパ16のフランジ部16bをバネ17と対向して係止している。そして、ストッパ16のフランジ部16bが係止部材18に係止された状態では、本体部16aの挿通孔16eは、チャンネル2aとは偏心した位置に配置される。このため、挿通孔16eに挿通されたガイドワイヤ15は、ストッパ16と、チャンネル2aを形成する操作部9との間に挟み込まれた状態となり、すなわち、ガイドワイヤ15はチャンネル2aの内部で進退することが規制された状態となる。一方、ストッパ16を外部からバネ17と対向して押圧すれば、ストッパ16の先端が凹部9dに没した状態となり、本体部16aの挿通孔16eはチャンネル2aと同軸上に配置される。このため、ガイドワイヤ15はチャンネル2aの内部、すなわち内視鏡2に対して軸方向に進退可能な状態となる。
また、図1に示すように、流体噴射手段5は、圧縮空気F1を排出可能なエアコンプレッサー20と、エアコンプレッサー20から排出された圧縮空気F1を案内するエアチューブ21と、エアチューブ21の先端部に設けられ、圧縮空気F1の噴射の有無を切り替え可能なコック22とを備える。なお、流体噴射手段5のエアコンプレッサー20は、内視鏡2の本体部10と別体とされているが、本体部10にエアコンプレッサー20が内蔵されて、一体とする構成としても良い。
次に、この実施形態の内視鏡装置1の作用について、図1及び図2に示すように、被検体Sである管路S1に挿入する場合を例として説明する。まず、内視鏡2を、先端部7から管路S1の内部S2に押し込み挿入していく。この際、先端部7の基端側に配設された挿入部8が可撓性を有する可撓管部8aを備えることで、挿入部8は管路S1の形状に沿った形状になり挿入されていく。また、鍔部4において、フード3の先端面3aが曲面に形成されていることで、挿入抵抗を最小限に抑えることができる。そして、管路S1の内部S2に内視鏡2の挿入部8を一定の長さ分だけ配設させたら、次に、流体噴射手段5から噴射される圧縮空気F1によって内視鏡2を挿入させていく。本実施形態において圧縮空気F1によって内視鏡2を挿入させていく方法としては、鍔部4のフード3を先行して挿入させていく第一の方法と、鍔部4のフード3とともに内視鏡2を挿入させていく第二の方法とがある。以下の第一の方法と第二の方法とについて、順に説明する。
まず、第一の方法について説明する。図2に示すように、管路S1の内部に挿入部8が配設された状態で、管路S1の基端S3に流体噴射手段5のエアチューブ21の先端部を配置させる。ここで、図1において、ストッパ16を押圧して、鍔部4のガイドワイヤ15をチャンネル2a内で進退可能な状態としておく。次に、流体噴射手段5において、コック22の操作によって管路S1の内部S2にエアコンプレッサー20から圧縮空気F1を噴射させる。噴射された圧縮空気F1は、管路S1によって先端側へ案内されて、先端部7の先端側に配置されたフード3の基端側に噴射される。このため、鍔部4のフード3には、噴射される圧縮空気F1によって先端側へ推進力が与えられる。なお、フード3の基端面が凹状に形成されていることで、噴射された圧縮空気を効率的に推進力に変換させることができる。
そして、フード3が接続されたガイドワイヤ15がチャンネル2a内で進退可能であることで、圧縮空気F1によって与えられた推進力によって、図5に示すように、鍔部4を構成するフード3及びガイドワイヤ15は、内視鏡2に先行して、ガイドワイヤ15が自己の可撓性によって管路S1の形状に沿った形状になって先端側へ挿入されていくこととなる。次に、管路S1の基端S3において、挿入部8または操作部9を把持して内視鏡2を管路S1の先端側へ押し込んでいく。ここで、ストッパ16を押圧して鍔部4のガイドワイヤ15をチャンネル2a内で進退可能な状態とするとともに、ガイドワイヤ15が挿入部8とともに被検体Sの内部で移動しないように、ガイドワイヤ15の基端15bを把持しておく。このため、鍔部4を構成するフード3及びガイドワイヤ15が静止した状態のまま、内視鏡2を構成する先端部7及び挿入部8のみ、ガイドワイヤ15が内視鏡2の挿入の先導の役割をして先端側に位置するフード3に向かって挿入されていくこととなる。この際、内視鏡2のチャンネル2aにガイドワイヤ15が進退可能に挿通されていることで、ガイドワイヤ15をガイドとして、内視鏡2を、ガイドワイヤ15の湾曲状態に応じて変形させることができ、好適に挿入していくことができる。
次に、第二の方法について説明する。すなわち、図2に示すように、第一の方法同様に、管路S1の内部に挿入部8が配設された状態で、管路S1の基端S3に流体噴射手段5のエアチューブ21の先端部を配置させる。ここで、ストッパ16を押圧せずにガイドワイヤ15をストッパ16によって係止してチャンネル2a内部で進退不能な状態としておく。次に、流体噴射手段5によって圧縮空気F1を噴射させることで、圧縮空気F1はフード3の基端側に噴射され、これによりフード3に推進力が発生することとなる。ここで、ガイドワイヤ15がストッパ16によって係止されていることで、圧縮空気F1によって与えられた推進力は操作部9に伝達されて、内視鏡2全体は鍔部4のフード3とともに先端側に挿入されていくこととなる。なお、ストッパ16を押圧して一時的に内視鏡2に対して鍔部4のガイドワイヤ15が進退可能な状態とすれば、鍔部4のフード3と内視鏡2の先端部7との位置関係を調整することができる。このため、鍔部4のフード3を、内視鏡2の先端部7に対して好適な位置に配置して、圧縮空気F1によって推進力を発生させることができる。
以上のように、内視鏡2の先端部7の先端側に配置されたフード3を有する鍔部4と、流体噴射手段5とによって、上記の二通りの方法のいずれにおいても被検体Sに好適に挿入することができる。この際、圧縮空気F1が通過する管路S1は、圧縮空気F1を案内するための管路を内視鏡2の内部に配管する場合に比べて大きな断面積を確保することができるので、圧力損失を抑えて圧縮空気F1を噴射することができ、効果的に推進力を発生させることができる。ここで、鍔部4として、内視鏡2に対して、チャンネル2aにガイドワイヤ15を挿通させて先端15aにフード3を取り付けるのみであり、また、推進力を発生させる手段として、流体噴射手段5によって内視鏡2の基端側から圧縮空気F1を噴射させるのみであり、すなわち、流体を先端側に送るための管路などを内視鏡2に設ける必要が無い。このため、内視鏡2の挿入部8の可撓管部8aの可撓性を確保しつつ、必要な推進力を鍔部4のフード3に確実に伝達させて挿入することができ、挿入性の向上を図ることができ、すなわち、細く、複雑に曲がった管路でも、容易に挿入させることが可能となる。また、上記のように管路S1の内部S2に圧縮空気F1を噴射させることで、圧力損失を抑え、それ故に最小限の圧力で圧縮空気F1を噴射させれば良いため、装置全体が大型化してしまうのを防ぐことができる。
なお、本実施形態では、先端部7に設けられたCCDによって先端側を観察可能に、鍔部4のフード3は、透明な部材で形成されるものとしたが、これに限るものでは無い。内視鏡2の先端部7に対して鍔部4のフード3を離間させれば、先端部7とフード3との間で被検体Sを観察することが可能である。また、本実施形態のように、ストッパ16によって内視鏡2に対して鍔部4のガイドワイヤ15を着脱可能とすることで、観察する際に、内視鏡2の先端部7に対して鍔部4のフード3を離間させるものとしても良い。
また、本実施形態では、鍔部4のガイドワイヤ15は、内視鏡2のチャンネル2aに挿通されているものとしたが、これに限るものでは無い。図6は、この実施形態の変形例を示している。図6に示すように、この変形例の鍔部25は、内視鏡2の先端側に内視鏡2の外周面上で軸方向に沿って配設され、先端側が内視鏡2の先端部7の先端面7aから突出するガイドワイヤ26と、ガイドワイヤ26の先端26aに接続されたフード3とを備える。ガイドワイヤ26には、略C形のガイド部材27が、複数固定されている。ガイド部材27は、弾性的に拡径させて内視鏡2の先端部7及び挿入部8に外装可能であり、外装された状態で内視鏡2の軸方向に進退可能である。このように、鍔部25のガイドワイヤ26が内視鏡2の外周側に配設されていても、ガイド部材27によって内視鏡2に対して軸方向に進退可能であり、同様に、第一の方法または第二の方法によって内視鏡2を挿入していくことが可能である。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図7及び図8は、本発明の第2の実施形態を示したものである。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図7及び図8に示すように、この実施形態の内視鏡装置30は、さらに、被検体Sの入口側を気密に封止する封止手段31を備えている。封止手段31は、より詳しくは、圧縮空気を送出させることで拡径可能なバルーン32と、圧縮空気を排出可能なエアコンプレッサー33と、エアコンプレッサー33から排出された圧縮空気をバルーン32まで案内するエアチューブ34とを備える。なお、本実施形態では、エアコンプレッサー33は、封止手段31と、流体噴射手段5とで供用となっている。すなわち、エアコンプレッサー33には、切替スイッチ33aが設けられていて、封止手段31としてバルーン32に圧縮空気を排出する場合と、流体噴射手段5として圧縮空気を排出する場合とで切替可能となっている。
次に、この実施形態の内視鏡装置30の作用について、図8に示すように、被検体Sである管路S10に挿入する場合を例として説明する。管路S10は、挿入口S11、S12と、二箇所の入口を有する管路であり、分岐S13によって両挿入口S11、S12から管路先端部S14まで連絡している。そして、このような場合、まず、一方の挿入口S11を選択して、管路S10の内部に内視鏡2の挿入部8を配設するともに、挿入口S11に流体噴射手段5のエアチューブ21の先端部を配置させる。次に、他方の挿入口S12に、封止手段31のバルーン32を配置する。そして、エアコンプレッサー33によってバルーン32に圧縮空気を送出してバルーン32を拡径させ、管路S10の内面に密着させることで、他方の挿入口S12を気密に封じた状態にする。次に、エアコンプレッサー33の切替スイッチ33aを切り替えて、流体噴射手段5として、コック22の操作によって一方の挿入口S11から圧縮空気F1を噴射させる。これにより、ストッパ16を解除した状態では、上記の第一の方法によって、ストッパ16によってガイドワイヤ15を係止した状態では、上記の第二の方法によって内視鏡2を挿入していくことができる。ここで、他方の挿入口S12を封止手段31によって気密に封止していることで、エアチューブ21の先端部から噴射した圧縮空気F1は、分岐S13から他方の挿入口S12へ漏洩せずに、管路先端部S14側へ流入していく。このため、効率良く、かつ、確実に、圧縮空気F1によって推進力を発生させて、内視鏡2を管路先端部S14側に挿入していくことができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図9から図12は、本発明の第3の実施形態を示したものである。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図9に示すように、この実施形態の内視鏡装置40は、内視鏡2と、内視鏡2の先端側に配置されたフード41を有する鍔部(第一の鍔部)42と、流体として圧縮空気F1を噴射可能な第一の流体噴射手段44と、フード41から外周側の所定の方向へ流体である圧縮空気F2を噴射する第二の流体噴射手段45とを備える。なお、第一の流体噴射手段44は、第1の実施形態で説明した流体噴射手段5と同様の構成であるので説明を省略する。
鍔部(第一の鍔部)42は、基端側が内視鏡2のチャンネル2aに挿通されているとともに、先端側が内視鏡2の先端部7の先端面7aから突出しているロッドであるガイドチューブ43と、ガイドチューブ43の先端43aに接続された上記のフード41とを備える。ガイドチューブ43は、被検体Sの内部で進退させることが可能に一定の剛性を有するとともに、被検体Sに応じて湾曲可能な可撓性を有している略管状の部材である。また、ガイドチューブ43は、先端43aが先端部7の先端面7aから突出しているとともに、基端43bが操作部9の開口部9bから突出して配設されている。
また、図10に示すように、フード41は、第1の実施形態同様に、先端面41aが曲面に形成されるとともに、基端側に凹部41bが形成された略半球状で、透明な材質で形成されている。また、フード41の凹部41bの底面41cには、接続口41dが軸方向に形成されている。接続口41dにはガイドチューブ43の先端43aが嵌入されていて、これによりフード41はガイドチューブ43に接続されている。
図10及び図11に示すように、フード41の先端面41aには、外周側に向かって開口する複数の送出孔41eが周方向に複数配列して形成されている。各送出孔41eは、それぞれ、接続口41dと連通している。また、ガイドチューブ43の内部には、送出孔41eと対応して複数のエアチューブ46が配設されている。ここで、本実施形態の場合、フード41の送出孔41eと、エアチューブ46とは、それぞれ3つずつ設けられている。そして、エアチューブ46の先端46aは、接続口41dの内部において、対応する各送出孔41eに嵌入されていて、これにより送出孔41eを介してフード41の外周側と連通している。また、複数のエアチューブ46の各基端46bは、ガイドチューブ43の基端43bから突出し、それぞれ流体排出部47に接続されている。流体排出部47は、流体として圧縮空気F2を排出するポンプ48aと、ポンプ48aから排出された圧縮空気F2の圧力を調整するレギュレータ48bとを有し、所定の圧力で圧縮空気F2を送出可能である。レギュレータ48bからは、継手48cを介して各エアチューブ46に圧縮空気F2を送出可能となっている。また、継手48cと各エアチューブ46との間には、開閉自在なバルブ48dがそれぞれ設けられている。各バルブ48dは、バルブ制御部48eと電気的に接続されている。バルブ制御部48eには、電源48faが電気的に接続されているとともに、ジョイスティック49が接続されている。すなわち、流体排出部47においては、ジョイスティック49による操作及びバルブ制御部48eによる制御のもと、各バルブ48dを開閉させて所定のエアチューブ46に圧縮空気F2を送出し、エアチューブ46を介して対応する送出孔41eからフード41の外周側の所定の方向に圧縮空気F2を噴射させることが可能であり、すなわち、流体排出部47、エアチューブ46、及び、送出孔41eによって第二の流体噴射手段45を構成している。
次に、この実施形態の内視鏡装置40の作用について、図12に示すように、被検体Sである管路S20に挿入する場合を例として説明する。管路S20は、第一の管路S21と、第二の管路S22と、第三の管路S23とが分岐S24によって接続されている。そして、管路S20において、内視鏡2を、第一の管路S21から分岐S24を経由して第二の管路S22に挿入していくものとする。この場合、まず、上記同様に第一の方法また第二の方法のいずれかにより、第一の流体噴射手段44によって、鍔部42のフード41が分岐S24に達するまでフード41及び内視鏡2を挿入していく。次に、第二の流体噴射手段45において流体排出部47のポンプ48aを駆動させる。そして、ジョイスティック49を操作することでバルブ48dのいずれかを開放させて、所望の送出孔41eから圧縮空気F2を噴射させる。ここでは、第二の管路S22側へフード41を挿入していくので、第二の管路S22と反対側に向く送出孔41eから選択的に圧縮空気F2を噴射させる。このため、圧縮空気F2を噴射させた反力によって、フード41は第二の管路S22側に誘導されることとなり、鍔部42のフード41及び内視鏡2を第二の管路S22へ容易に挿入していくことができる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図13から図15は、本発明の第4の実施形態を示したものである。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図13に示すように、この実施形態の内視鏡装置50は、内視鏡2と、鍔部(第一の鍔部)51と、流体として圧縮空気を噴射可能な図示しない流体噴射手段(第一の流体噴射手段)とを備える。鍔部51は、内視鏡2のチャンネル2aに挿通されて先端側が内視鏡2の先端部7の先端面7aから突出するロッドであるガイドチューブ52と、ガイドチューブ52の先端52aに接続されたフード53と、フード53の外周側に張り出して被検体Sを押圧可能な押圧手段54とを備える。ガイドチューブ52は、被検体Sの内部で進退させることが可能に一定の剛性を有するとともに、被検体Sに応じて湾曲可能な可撓性を有している略管状の部材である。そして、図示しないが、ガイドチューブ52の基端は、操作部9の開口部9bから突出し、エアコンプレッサーと接続されている。
また、図14に示すように、フード53は、略円柱状のフード本体55と、フード本体55とガイドチューブ52の先端52aとを接続する接続管56とを備える。フード本体55は、先端面55aが曲面に形成されているとともに、基端側には凹部55bが形成されている。そして、凹部55bの底面55cには接続口55dが軸方向に形成されている。フード本体55において、接続口55dと外周面55eとの間には、送出孔55fが形成されている。また、接続口55dにおいて先端側には、雌ネジ55gが形成されている。一方、図14及び図15に示すように、接続管56には、先端外周面に雌ネジ55gに螺合可能な雄ネジ56aが形成されているとともに、雄ネジ56aよりも基端側にはOリング56bが外嵌されている。また、雄ネジ56aが形成されている範囲の一部には、内周側まで連通する通気孔56cが形成されている。そして、フード本体55において接続口55dに接続管56を挿入し、フード本体55の雌ネジ55gに接続管56の雄ネジ56aを螺合することで、フード本体55と接続管56とは一体となっている。また、この状態で、Oリング56bによって接続口55dは気密に封止されているとともに、接続管56と送出孔55fとは、通気孔56cによって連通している。また、接続管56の基端外周面には、略環状の凸部56dが形成されているとともに、凸部56dを覆うようにしてガイドチューブ52の先端52aが外嵌されている。そして、ガイドチューブ52の先端52aの外周面を糸巻き接着56eによって締付けて固定していることで、接続管56とガイドチューブ52とは気密に接続されている。
また、フード本体55の外周面55eには、可撓性を有する、例えばゴムなどで形成された筒部材57が外装されている。筒部材57は、先端側外縁57a及び基端側外縁57bにおいて、外周面から糸巻き接着57cによってフード本体55に締め付けて固定されている。このため、フード本体55の外周面55eと筒部材57との間には、送出孔55fと連通する空間57dが形成されている。このため、図示しないエアコンプレッサーによってガイドチューブ52、接続管56及び送出孔55fを介して空間57dに圧縮空気を送出すれば、筒部材57は、膨張して外周側へ張り出して被検体Sを押圧することができ、すなわち、図示しないエアコンプレッサー及び筒部材57によって押圧手段54を構成している。そして、このように押圧手段54で被検体Sを押圧することで、被検体Sに対して鍔部51のフード53を固定することができる。このため、第一の方法で、圧縮空気によってフード53を挿入した後に、ガイドチューブ52をガイドとして内視鏡2を挿入する際に、内視鏡2とともに鍔部51を構成するガイドチューブ52及びフード53が追従して移動してしまうのを防ぐことができ、挿入性を向上させることができる。
図16から図18は、この実施形態の第1の変形例を示している。図16から図18に示すように、この変形例の内視鏡装置60において、鍔部61のガイドベルト62は、略管状で内部に押圧手段54の空間57dを膨張させるための圧縮空気を送出可能な管路62bを有するとともに、外形が断面略矩形の帯状の部材である。また、フード本体55の接続口55dも対応して断面略矩形に形成されていて、ガイドベルト62の先端部62aが挿入されている。また、フード本体55には、ネジ穴55hが外周側から接続口55dの先端まで形成されていて、ガイドベルト62は、ネジ穴55hに螺合された固定ネジ55iで挟み込まれることによってフード本体55に固定されている。ガイドベルト62の内部で圧縮空気を送る管路62bは、先端部62aにおいてフード本体55の送出孔55fと対応する位置で開口部62cを形成し、送出孔55fと連通している。また、ガイドベルト62の先端部62aにおいて、開口部62cの先端側及び基端側のそれぞれには、Oリング62dが外嵌されていて、接続口55dとガイドベルト62との間の隙間を気密に封止している。
また、内視鏡2の先端部7において、チャンネル2aと径方向に連通する位置には、先端面7aに開口する凹部7bが形成されている。先端部7の凹部7bには、チャンネル2aに挿通されたガイドベルト62と略平行に配設された軸部材で、外周面にネジ状に歯63aが形成されたウォーム63が設けられている。また、先端部7の内部には、ウォーム63を回転させるモータ64が配設されている。モータ64と、挿入部8の基端側に設けられた操作部とは、電線65で接続されていて、これにより操作部によってモータ64のON/OFF、回転方向を切り替えることが可能である。また、モータ64には、図示しない電磁クラッチが設けられていて、駆動しないときには軸回りに自由に回転可能である。また、ガイドベルト62において、ウォーム63の外周面と当接する一面の全面には、歯62eが形成されていて、ウォーム63の歯63aと噛合している。このため、モータ64を回転駆動させることにより、その回転方向に応じてガイドベルト62を軸方向に進退させることが可能である。
この変形例の内視鏡装置60では、流体噴射手段によって圧縮空気を噴射させれば、鍔部61のフード53に推進力が与えられる。この際、モータ64を駆動させないことで、ウォーム63は自由に回転可能であり、それ故に、フード53に与えられた推進力によってフード53及びガイドベルト62は先端側に挿入されていくこととなる。次に、上記同様に、押圧手段54で被検体Sを押圧して被検体Sに対して鍔部61のフード53を固定する。この状態で、モータ64を駆動させてウォーム63を回転させれば、フード53及びガイドベルト62は、その回転方向に応じて、内視鏡2の先端部7の内部に相対的に引き込まれる。この際、フード53は、押圧手段54によって被検体Sに対して固定されているので、フード53に対して内視鏡2の方が引き込まれることとなり、すなわち内視鏡2は先端側に挿入されていくこととなる。このように、先端部7に駆動源となるウォーム63及びモータ64を設けていることで、動力によって内視鏡2を挿入することもできる。また、ウォーム63が先端部7に設けられていて、内視鏡2を先端側で牽引するようにして挿入させることができるので、基端側からの押し込み挿入に比べて挿入性を向上させることができる。なお、エアコンプレッサー20から圧縮空気F1を噴射させる時に連動させて、フード53及びガイドベルト62を先方に送るようモータ64を駆動してウォーム63を回転させても良い。このように、圧縮空気F1による推進力とともにモータ64の駆動力によってフード53及びガイドベルト62を先端側へ送るようにすることで、より確実に送り込むことができる。この場合さらに、エアコンプレッサー20による圧縮空気F1を噴射する噴射量(噴射圧力)に応じて、モータ64によるフード53及びガイドベルト62の送り出すスピードを変えることで、より効率良く挿入可能となる。
図19及び図20は、この実施形態の第2の変形例を示している。図19及び図20に示すように、この変形例の内視鏡66では、ウォーム63の歯63aとガイドベルト62とは通常噛み合っている。一方、図示しないスイッチを押してカム用モータ67を駆動させることで、シャフト68を中心としてモータ64を支持するカム69が回転し、これによりモータ64とともにウォーム63が変位してガイドベルト62から離間するようになる。このようにウォーム63をガイドベルト62から離間させることが可能な構造として、選択的にフード53を自由に進退可能な状態にすることで、圧縮空気F1による挿入を、抵抗をより少なくして行うことができる。
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。図21及び図22は、本発明の第5の実施形態を示したものである。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図21及び図22に示すように、この実施形態の内視鏡装置70は、内視鏡2と、内視鏡2の先端側に配置されたフード71を有する第一の鍔部72と、内視鏡2の外周面に設けられ外周側に張り出す第二の鍔部73と、流体として圧縮空気F1を噴射可能な流体噴射手段(第一の流体噴射手段)5とを備える。第一の鍔部72は、基端側が内視鏡2のチャンネル2aに挿通されるとともに、先端側が内視鏡2の先端部7の先端面7aから突出するロッドであるガイドワイヤ74と、ガイドワイヤ74の先端74aに接続された略球状の上記フード71とを備える。また、第二の鍔部73は、内視鏡2を構成する先端部7または挿入部8に外嵌されたフード76と、フード76よりも先端側に配置され、フード76を内視鏡2に対して軸方向に係止する固定部材77とを備える。フード76は、略筒状の部材で、外嵌される先端部7及び挿入部8の外径と略等しく設定された固定部76aと、固定部76aから基端側に向かって拡径した本体部76bとを有する。固定部76a及び本体部76bには、軸方向に連続して切欠き76cが形成されていて、切欠き76cを開口させることで、内視鏡2にフード76を外嵌させることが可能である。また、固定部材77も同様に、略筒状で切欠き77aが形成された断面略C形の部材であり、金属などの弾性材で形成されている。また、固定部材77は、内径がフード76の固定部76aの外径よりも小さく設定されていて、切欠き77aを開口させて固定部76aに外嵌させることで、弾性的に復元して外側から締め付けてフード76の固定部76aを内視鏡2に対して軸方向に固定することが可能である。
この内視鏡装置70では、流体噴射手段5によって圧縮空気F1を噴射させれば、圧縮空気F1の一部は、第二の鍔部73のフード76に噴射されるとともに、圧縮空気F1の他の一部は、第二の鍔部73のフード76の外周側を通過して、第一の鍔部72のフード71に噴射される。このため、第一の鍔部72のフード71に圧縮空気F1を噴射させて推進力を発生させることにより、上記第一の方法または第二の方法で内視鏡2を挿入させるとともに、第二の鍔部73のフード76でも推進力を発生させ、推進力を固定部材77を介して内視鏡2に伝達させて内視鏡2を挿入させることができ、挿入性の向上を図ることができる。また、本実施形態では、第一の鍔部72のフード71を略球状のものとしたが、このように基端側に凹部を有しない形状としても圧縮空気F1が噴射されることにより推進力を発生させることができる。また、第二の鍔部73がフード76と固定部材77とで構成されているので、固定部材77を外嵌させる位置を変化させることで、第二の鍔部73を、内視鏡2において軸方向に好適な位置で固定することができる。
図23及び図24は、この実施形態の変形例を示している。図23に示すように、この変形例の内視鏡装置80は、内視鏡2と、内視鏡2の先端側に配置されたフード81を有する第一の鍔部82と、内視鏡2の外周面に設けられ外周側に張り出す複数の第二の鍔部83と、流体として圧縮空気F1を噴射可能な流体噴射手段(図示せず)とを備える。本変形例において、第二の鍔部83は、内視鏡2の軸方向に異なる位置に二つ設けられている。図24に示すように、各第二の鍔部83は、略筒状のフード84と、フード84を内視鏡2に対して固定する固定手段85とを備える。フード84は、内視鏡2に外装される固定部84aと、固定部84aから基端側へ拡径する本体部84bとを備える。固定部84aの外周面には雄ネジ84cが形成されている。また、固定手段85は、内視鏡2に外嵌された略環状でゴムなどの弾性変形可能な材質で形成された環状部材86と、環状部材86に外嵌された略環状のキャップ87とを有する。キャップ87の先端内周面には、内周側に突出する内フランジ87aが形成されている。また、キャップ87の内周面には、フード84の固定部84aの雄ネジ84cに螺合可能な雌ネジ87bが形成されている。そして、環状部材86を外嵌した状態のキャップ87をフード84に螺合させれば、環状部材86は、フード84の固定部84aの端部と、キャップ87の内フランジ87aとの間で挟み込まれて径方向に膨出することになる。このため、キャップ87は、環状部材86によって内視鏡2の外周面に固定されることとなり、すなわち、固定手段85のキャップ87に螺合されたフード84が内視鏡2に固定された状態となる。
この変形例の内視鏡装置では、第二の鍔部83を複数備えることで、圧縮空気F1によって推進力を発生させる手段をさらに増やすことができ、より効率的に内視鏡2を挿入することができる。また、第二の鍔部83は、キャップ87とフード84とが螺合された状態を緩めることにより容易に固定された状態を解除して内視鏡2の軸方向に移動させることができるとともに、再度締め付けることで、容易に内視鏡2の軸方向に好適な位置で固定することができる。
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。図25から図28は、本発明の第6の実施形態を示したものである。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図25に示すように、この実施形態の内視鏡装置90は、内視鏡2と、内視鏡2の先端側に配置されたフード91を有する第一の鍔部92と、内視鏡2の挿入部8の外周側に同心状に配設された略筒状で可撓性を有する複数の外装チューブ93として、第一の外装チューブ94、第二の外装チューブ95、第三の外装チューブ96、及び、第四の外装チューブ97とを備えている。各外装チューブ93は、例えば、樹脂で形成されているが、コイルシースとすることで、外周側に位置する被検体に対して滑り性の向上を図ることもできる。最も内周側に位置する第一の外装チューブ94は、内視鏡2の挿入部8に対して軸方向に進退可能に外装されている。また、第一の外装チューブ94より外周側の各外装チューブ93は、内周側に位置する他の外装チューブ93に対して軸方向に進退可能に配設されている。また、各外装チューブ93は、外周側に位置する他の外装チューブ93よりも長く設定されていて、それぞれ、基端が外周側の他の外装チューブ93より突出した状態となっている。そして、各外装チューブ93の基端には、内周側に配設された他の外装チューブ93に対して着脱可能に固定する固定手段98が設けられている。
図26に示すように、固定手段98は、内周側に位置する外装チューブ93A(93)または内視鏡2の挿入部8に対し外嵌された略環状で、ゴムなどの弾性変形可能な材質で形成された環状部材99と、環状部材99に外嵌された略環状のキャップ100とを備える。各外装チューブ93の基端外周面には、雄ネジ93aが形成されている。また、キャップ100の内周面には、雄ネジ93aに螺合可能に雌ネジ100aが形成されている。また、キャップ100の基端内周面には、内周側に突出する内フランジ100bが形成されている。そして、外周側に位置する外装チューブ93B(93)の雄ネジ93aに、固定手段98のキャップ100の雌ネジ100aを螺合し締め付けることで、環状部材99は、外周側に位置する外装チューブ93Bの基端とキャップ100の内フランジ100bとの間に挟み込まれて径方向に膨出することになる。このため、固定手段のキャップ100は、環状部材99によって内周側に位置する外装チューブ93Bまたは内視鏡2の挿入部8の外周面に固定されることとなり、内周側に位置する外装チューブ93Aまたは内視鏡2の挿入部8に対して外周側に位置する外装チューブ93Bを、固定手段98を介して固定することができる。
そして、各固定手段98のキャップ100を締め付けて固定した状態では、図示しない流体噴出手段(第一の流体噴出手段)からの圧縮空気によって、あるいは、基端から押し込むことによって、内視鏡2及び各外装チューブ93を一体として挿入していくことができる。このため、一体とした状態では、外装チューブ93によって挿入部8の剛性を高めた状態とすることができ、一定の深さまでは、良好な挿入性のもと挿入していくことが可能である。一方、図27に示すように、固定手段98のキャップ100を緩めて固定を解除した状態では、同様の方法によって、外周側の外装チューブ93に対して内周側の外装チューブ93または内視鏡2の挿入部8だけを挿入していくことができる。このため、被検体との間に生じる挿入抵抗により、挿入不可能となった場合には、外周側に位置する外装チューブ93の固定を解除して、内周側に位置する外装チューブ93及び内視鏡2のみを挿入させていくことができる。
図28は、各固定手段98の固定を順次解除しながら、被検体Sとして、複数箇所に曲部S31a、S31b、S31c、S31dを有する管路S30に内視鏡2を挿入する場合の説明図である。例えば、図28に示すように、基端側の曲部S31a、S31bを通過するまで、第一の外装チューブ94と、第二の外装チューブ95と、内視鏡2の挿入部8とを一体として挿入することができたが、曲管S31bを通過したところで、第二の外装チューブ95の外周面と、管路S30、特に曲部S31a、S31bが接触することにより生ずる挿入抵抗により挿入不能となったとする。なお、第三の外装チューブ96及び第4の外装チューブ97については省略している。この場合、第一の外装チューブ94と第二の外装チューブ95との固定を解除し、第一の外装チューブ94及び内視鏡2のみを一体としてさらに挿入していく。なお、挿入の方法としては、流体噴射手段(第一の流体噴射手段)から圧縮空気を噴射することによる第一の方法若しくは第二の方法、または、押し込みによって挿入する方法のいずれでも良い。この際、第一の外装チューブ94は、曲部S31bまで第二の外装チューブ95の内部を通過していて、第二の外装チューブ95との間で外装チューブ93を形成する材質に応じた一定の滑り性を確保することができるとともに、第二の外装チューブ95で形成された曲線状の経路を通過することとなる。このため、第二の外装チューブ95に案内されて、好適に挿入していくことができる。そして、第一の外装チューブ94と内視鏡2とを一体として挿入した結果、曲部S31c、S31dを通過したところで同様に挿入不能となった場合でも、さらに固定手段98による内視鏡2の挿入部8と第一の外装チューブ94との固定を解除することで、内視鏡2のみを好適に挿入していくことができる。
(第7の実施形態)
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。図29から図31は、本発明の第7の実施形態を示したものである。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図29及び図30に示すように、この実施形態の内視鏡装置110において、内視鏡111は、先端部112の先端側に光学アダプタ113が着脱可能に取り付けられている。より詳しくは、先端部112の外周面において軸方向の一部には雄ネジ112aが形成されている。先端部112の内部には、観察手段であるCCD114と、照明手段であるライトガイド115と、基端側から先端側へ流体である圧縮空気を送る第一の送気管116及び第二の送気管117とが配設されている。CCD114及びライトガイド115は、先端部112の先端面112bに露出している。また、第一の送気管116及び第二の送気管117は、先端部112の先端面112bに開口している。第一の送気管116は、基端側において図示しない流体噴射手段と接続されていて、流体である圧縮空気F1を内視鏡2の先端部112まで案内して先端面112bから噴射させることが可能である。また、第二の送気管117は、基端側において図示しないコンプレッサーと接続されていて、同様に圧縮空気を先端面112bまで案内することが可能である。また、第一の送気管116及び第二の送気管117のそれぞれの先端開口部116a、117aには、Oリング116b、117bがそれぞれ外嵌されていて、その一部は先端面112bから先端側に突出している。
また、光学アダプタ113は、アダプタ本体118と、アダプタ本体118を先端部112に着脱可能に接続する略筒状の接続リング119とを備える。アダプタ本体118の基端外周面には、外周側に突出する基端フランジ部118aが形成されている。また、接続リング119の先端部は、アダプタ本体118に外装されていて、先端内周面には内周側に突出するストッパフランジ119aが形成されている。そして、接続リング119は、基端フランジ部118aとストッパフランジ119aとが係合することで、アダプタ本体118に対して軸方向に抜け落ちないようになっている。また、接続リング119の内周面には、軸方向の一部に雌ネジ119bが形成されている。そして、接続リング119の雌ネジ119bを、先端部112の雄ネジ112aに螺合することによって、アダプタ本体118は、基端フランジ部118aが接続リング119のストッパフランジ119aに係止されるとともに、基端面118bが先端部112の先端面112bに当接した状態となり、これにより光学アダプタ113は先端部112に接続された状態となっている。
また、光学アダプタ113のアダプタ本体118の内部には、対物レンズ120及びカバーガラス121が基端面118b及び先端面118cに露出するようにして軸方向に配設されている。光学アダプタ113を先端部112に接続した状態において、対物レンズ120はCCD114と同軸上に、また、カバーガラス121はライトガイド115と同軸上になるように、それぞれ配設されていて、これにより、ライトガイド115からカバーガラス121を介して先端側を照明し、CCD114によって対物レンズ120を介して被検体を観察することが可能である。また、光学アダプタ113のアダプタ本体118には、基端面118bから先端面118cまで連通する第一の貫通孔118dと、基端面118bから内部で外周側に屈曲し、外周面118eまで連通する第二の貫通孔118fとを備える。光学アダプタ113を先端部112に接続した状態において、第一の貫通孔118dは第一の送気管116と同軸上に、また、第二の貫通孔118fは第二の送気管117と同軸上になるように形成されている。そして、光学アダプタ113が先端部112に接続された状態では、Oリング116b、117bがアダプタ本体118の基端面118bに押し潰されることで、第一の送気管116と第一の貫通孔118d、及び、第二の送気管117と第二の貫通孔118fの間を気密に封止している。
また、光学アダプタ113は、アダプタ本体118の外周面118eに外装された環状部材122と、環状部材122に外装された略環状のバルーン123とを備える。環状部材122には、アダプタ本体118の第二の貫通孔118fと連通する貫通孔122aが形成されている。また、バルーン123は、ゴムなどの弾性変形可能な材質で形成されていて、環状部材122を軸方向に覆うように配設されている。そして、バルーン123の先端側外縁及び基端側外縁のそれぞれに略環状のカシメ部材124が外嵌されている。このため、バルーン123は、カシメ部材124によって、外部に対して環状部材122が位置する内部が気密となるようにして、アダプタ本体118の外周面118eに固定されている。
図31に示すように、この実施形態の内視鏡装置110では、流体噴射手段による圧縮空気F1を内視鏡111の内部を通してフード3に噴射させて推進力を与えることができる。このように流体噴射手段による圧縮空気F1を内視鏡2の内部に配設された第一の送気管116を通したとしても、一定の径を有していれば圧力損失を抑えて効果的にフード3に推進力を与えることができる。また、図示しないコンプレッサーから圧縮空気F3を送出することで、圧縮空気F3は第二の送気管117から第二の貫通孔118fを介してバルーン123の内部に送り込まれる。このため、バルーン123は外周側に張り出すこととなり、管路などの被検体において先端側を気密に封止することができる。このため、流体噴射手段によって噴射された圧縮空気F1が基端側へ漏出してしまうことがなく、少ない圧縮空気F1でも効果的にフード3に推進力を発生させることができる。
(第8の実施形態)
次に、本発明の第8の実施形態について説明する。図32及び図33は、本発明の第8の実施形態を示したものである。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図32及び図33に示すように、この実施形態の内視鏡装置130において、内視鏡131は、先端部112の先端側に光学アダプタ132が着脱可能に取り付けられている。光学アダプタ132は、アダプタ本体133と、ストッパフランジ119aでアダプタ本体133の基端フランジ部133aを係止してアダプタ本体133を先端部112に固定する接続リング119とを備えている。アダプタ本体133の先端面133bには、軸方向基端側に向かって固定用穴134が形成されている。固定用穴134は、先端側の入口部分に雌ネジ134aが形成されているとともに、基端には金属で形成された止め部134bが設けられている。また、内視鏡装置130において、鍔部(第一の鍔部)135は、略棒状で剛性を有するロッド136と、ロッド136の先端部に固定されたフード137とを備える。フード137の形状の詳細については、第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。フード137には、基端側から先端側に貫通孔137aが形成されていて、ロッド136の先端部が挿通されている。ロッド136の先端にはネジ穴136aが形成されていて、このネジ穴136aに固定用ネジ136bをフード137の先端側から螺合することで、フード137はロッド136の先端部に固定されている。また、ロッド136の基端部には、第一の雄ネジ136cと、第二の雄ネジ136dとが軸方向に間隔を有して形成されている。そして、鍔部135のロッド136は、第二の雄ネジ136dがアダプタ本体133の固定用穴134の雌ネジ134aに螺合された状態で、基端が止め部134bを押圧するまで締め込むことで、アダプタ本体133の先端面133bから突出した状態で、光学アダプタ132のアダプタ本体133に固定されている。
この実施形態の内視鏡装置130では、図示しない流体噴射手段から圧縮空気を噴射させることで、フード137に推進力を与えて、第二の方法によって内視鏡131を挿入していくことができる。また、内視鏡装置130において、鍔部135のロッド136は、第二の雄ネジ136dが螺合された状態で止め部134bを押圧していることで、止め部134bとの間に摩擦が生じていて、螺合されて光学アダプタ132に固定された状態をより確実に保つことができる。また、鍔部135のロッド136は、第二の雄ネジ136dよりも基端側に第一の雄ネジ136cを有している。このため、第二の雄ネジ136dと固定用穴134の雌ネジ134aとの螺合が何らかの原因により解除されたとしても、固定用穴134の雌ネジ134aに第一の雄ネジ136cが係止されることで、鍔部135のロッド136が光学アダプタ132から脱落してしまうのを防ぐことができる。
図34は、この実施形態の変形例を示している。図34に示すように、この変形例の内視鏡装置140では、光学アダプタ132のアダプタ本体133に、固定用穴141として基端面133cから先端面133bまで貫通する貫通孔が形成されている。固定用穴141の先端側の入口にはロッド136の第一の雄ネジ136c及び第二の雄ネジ136dが螺合可能な雌ネジ141aが形成されている。また、内視鏡装置140において、先端部112の先端面112bには、光学アダプタ132の固定用穴141と同軸上で、第一の雄ネジ136cを螺合可能なネジ穴112cが形成されている。そして、鍔部135のロッド136は、先端部112に光学アダプタ132が固定された状態において、第二の雄ネジ136dが光学アダプタ132の固定用穴141の雌ネジ141aに螺合しているとともに、第一の雄ネジ136cが先端部112のネジ穴112cに螺合していることで、光学アダプタ132及び先端部112に固定されている。この変形例では、鍔部135のロッド136は先端部112にも固定されていることで、何らかの原因で先端部112から光学アダプタ132の接続リング119が取り外れてしまったとしても、鍔部135のロッド136が脱落してしまうおそれが無い。
なお、本実施形態及び変形例においては、鍔部135のロッド136は、先端部112に固定された光学アダプタ132に固定されるものとしたが、光学アダプタ132を接続せずに先端部112に直接固定するものとしても良い。
(第9の実施形態)
次に、本発明の第9の実施形態について説明する。図35及び図36は、本発明の第9の実施形態を示したものである。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図35及び図36に示すように、この実施形態の内視鏡装置150において、鍔部151は、光学アダプタ132のアダプタ本体133に着脱可能な有底筒状のキャップ152と、キャップ152の先端側に形成された底部152aから先端側に突出するようにして固定されたロッド153と、ロッド153の先端に固定されたフード154とを備える。なお、フード154の形状については、第1の実施形態と同様であるので、その詳細を省略する。キャップ152の底部152aには、光学アダプタ132の対物レンズ120、カバーガラス121、及び、チャンネル2aと対応して貫通孔152b、152c、152dが形成されている。また、キャップ152の基端内周面には、内周側に突出する内フランジ152eが形成されている。また、光学アダプタ132において、アダプタ本体133の先端外周面には、略環状の止めリング155が外嵌固定されている。さらに、止めリング155と接続リング119との間には、略環状のカシメ部材156が外嵌固定されている。そして、止めリング155、カシメ部材156、及び、接続リング119によって、環状の凹部157が形成されている。そして、鍔部151は、キャップ152の基端側から先端部112に固定された光学アダプタ132を挿入してキャップ152の内フランジ152eが光学アダプタ132の凹部157に嵌合することで、光学アダプタ132に固定されている。
この実施形態の内視鏡装置150では、鍔部151のキャップ152を光学アダプタ132に外嵌させて、光学アダプタ132の凹部157にキャップ152の内フランジ152eを係合させるだけである。このため、光学アダプタや先端部にネジ穴などを設けれる必要が無く、様々なアダプタや内視鏡の先端部に対応可能である。なお、本実施形態では、キャップ152の内フランジ152eを係合して光学アダプタ132に鍔部151を固定するものとしたが、これに限るものでは無い。例えば、キャップをゴム材の有底筒状の部材として、光学アダプタ132に外嵌させて、キャップと光学アダプタとの間に生じる摩擦によって光学アダプタ132に対して鍔部を固定するものとしても良い。また、キャップの外周面から内周面に貫通するネジ穴を設けて、このネジ穴に固定用ネジを内周側に位置する光学アダプタに当接するまで螺合することで固定するものとしても良い。あるいは、キャップの内周面に雌ネジを形成するとともに、光学アダプタの外周面に雄ネジを形成して、互いに螺合することで固定するものとしても良い。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。