JP5306191B2 - β‐ラクタマーゼ修飾体およびその調製方法 - Google Patents

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Description

発明の分野
細菌感染症には様々な抗生物質が使用されている。しかし、抗生物質は病原体を攻撃するだけでなく、正常な細菌嚢にも影響を及ぼしてしまう。例えば、患者の腸に有害な副作用を引き起こしてしまう。これらの副作用は、腸内に残留している抗生物質を分解可能な酵素を投薬することで低減できる。
本発明は、β‐ラクタム環を有する抗生物質による有害作用の防止および処理に利用できるメタロ‐β‐ ラクタマーゼ修飾体、あるいはその酵素の調製に関するものである。本発明は、β‐ ラクタマーゼ修飾体の調製方法、およびそれらの工程で利用できるヌクレオチド分子、ベクター、宿主細胞を開示する。
発明の背景
バクテリアにおいて、β‐ラクタマーゼ酵素はβ‐ラクタム抗生物質に対して主要な耐性機構を示す。β‐ラクタム抗生物質とは、ペニシリン、セファロスポリン、カルバペネム系などを示す。この酵素は、抗菌剤を無効化するために、β‐ラクタム環のアミド結合を不可逆的に加水分解する触媒として機能する。
分子構造の分類と触媒機構に基づきβ‐ラクタマーゼは、4つの分類、すなわちA、B、C、Dに分けることができる。分類A、C、Dは、酵素活性の中心にセリン残基を有し、β‐ラクタマーゼの大部分が属する(Ambler,1980)。上記分類に属する酵素は、全体として、ペニシリンあるいはセファロスポリンを失活させる。また、これら2つの抗生物質に対して、一方に優先性を示すこともある。
分類Bに属するβ‐ラクタマーゼは、酵素活性のための補因子として、1、2個程度の亜鉛イオンを必要とするメタロ酵素である。ブッシュ、ジャコビィ、マデイラスの機能分類によると、メタロ‐β‐ラクタマーゼは、3つの群より構成される(Bush,1998)。この分類体系は、主に、基質特性、EDTA感受性、セリン‐β‐ラクタマーゼ阻害剤耐性、に基づいている。亜鉛に配位する領域の構造的類似性に基づいて、メタロ‐β‐ラクタマーゼは3つの従属群、B1、B2、B3に分けられる(Galleniら,2001)。
従属群B1は、3つのヒスチジンと1つのシステインを活性中心である亜鉛に配位する残基として保持している。結晶構造としては、Bacillus cereusのBcII(Carfiら, 1995,1998a)、Bacteroides fragilisのCcrA(Carfiら,1998b)、Pseudomonas eruginosaのIMP-1(Conchaら,2000)に代表されるように、従属群B1に属する多数の酵素が解析されている。
B2ラクタマーゼは、代表的な亜鉛結合モチーフNXHXDの第1配座において、ヒスチジン残基の換わりに、アルギニン残基を備えたものである。近年、ガラウら(2005)によって従属群B2酵素(CphA)の第1配座の結晶構造が解明された。従属群B3は、多量体の構造(Walshら,2005)を有する酵素から構成される。
メタロ‐β‐ラクタマーゼは、例えばペニシリン、セファロスポリンなど、広範な基質特性を示す。さらに、クラブラン酸、スルバクタム、タゾバクタムのような従来の一般的なセリン‐β‐ラクタマーゼ阻害剤の作用に対して耐性を有する。さらに、メタロ‐β‐ラクタマーゼは、ほとんどのセリン‐β‐ラクタマーゼが有していない、メロペネムやイミペネムなどのカルバペネム加水分解能を有している。
メタロ‐β‐ラクタマーゼは、様々なバクテリアにおいて産生される。一般的には、Enterobacteriae属(例えば、Serratia marcescens、Klebsiella pneumoniae、Citrobacter freudii、Shigella fiexnerfなど)、Pseudomonas aeruginosa、Stenobacterium maltophila、Acinetobacter属、Bacteroides fragilis、Bacillus cereus、Flavobacteruim odoratum、Bacteroides fragilisによって発現される(Walshら,2005)。
β‐ラクタマーゼは、胃腸器官内の非吸収のβ‐ラクタム抗生物質を失活させる医薬蛋白として使用される。これにより、腸内正常細菌嚢の変質、β‐ラクタム耐性菌の過成長といったβ‐ラクタムが引き起こす有害作用を防止できる(国際公開第93/13795号パンフレット、国際公開第04/016248号パンフレット)。なお、小腸器官内で効果的なβ‐ラクタマーゼ処理を行うには、酵素は、胆汁酸存在下で腸内プロテアーゼに耐性を有するとともに、pH(5.5〜7.5)の広範囲で酵素活性を保持することが求められる。
犬やマウスをモデルとして、非経口的にアンピシリンを投薬する間、Bacillus licheniformisが産生するセリン‐β‐ラクタマーゼを使用することによって、標的酵素処理できることは確認されている(Harmoinenら,2004, Mentulaら,2004, Stiefelら,2003)。しかし、β‐ラクタマーゼ阻害剤の存在下でペニシリン、カルバペネム、セファロスポリンを加水分解する能力は乏しいので、この酵素の薬物としての使用は本質的に限定される。
したがって、様々なβ‐ラクタム抗生物質を用いて静脈内薬物治療を行っている入院患者の間で、β‐ラクタマーゼ処理の利用を広げるためには、β‐ラクタム抗生物質に広範な反応性を示すとともに、β‐ラクタマーゼ阻害剤に耐性を有する、新しいプロテアーゼが不可欠である。
メタロ‐β‐ラクタマーゼは、様々な種類のβ‐ラクタム抗生物質を失活させ、セリン‐β‐ラクタマーゼ阻害剤に耐性を有する。Bacillus cereus系統は、従属群B1に属するメタロ‐β‐ラクタマーゼを産生することで知られている。臨床的にBacillus cereus 98ME 1552株から単離され、準精製された遺伝子組み換えメタロ‐β‐ラクタマーゼ試料は、マウスモデルで、潜在的な病原菌の過成長を防止することが示された(Stiefelら,2005)。
しかし、本発明者は、このメタロ‐β‐ラクタマーゼ試料にはβ‐ラクタマーゼ変異体が含まれていて、この変異体が製造工程における医薬蛋白の収量を減少し、製造工程の次の処理単位へ移行するまでの処理工程を複雑化させ、臨床試験で一定の結果を産出することを難しくしていることに着目した。なお、当然ながら、臨床試験で一定の結果が得られないと薬事登録に負の印象を残すことになる。
本発明は、メタロ‐β‐ラクタマーゼの組み換え体製造に伴う、異型アミノ末端を減少させる手段を提供する。さらに、本発明は、実質的に単一の型で生成される医薬成分として製造用に利用可能な、メタロ‐β‐ラクタマーゼ修飾体を提供する。
発明の概要
本発明は、次の一般式で表されるメタロ‐β‐ラクタマーゼ修飾体を提供する。
NH‐K‐T‐E‐ΔBL‐COOH (I)
式中、Kはリジン、Tはスレオニン、Eはグルタミン酸、ΔBLは予測されうる二次構造において、第1のαヘリックスの前に4つのβストランドを配置するようにアミノ鎖末端を切断されたメタロ‐β‐ラクタマーゼである。
さらに本発明は、上記メタロ‐β‐ラクタマーゼ修飾体蛋白質をコードしているヌクレオチド配列を有する、ヌクレオチド分子を提供する。同様に、上記ヌクレオチド分子を含む発現ベクター、および、ヌクレオチド分子によってコードされているメタロ‐β‐ラクタマーゼを発現できる宿主細胞を提供する。
本発明は、次の一般式で表されるメタロ‐β‐ラクタマーゼ修飾体を提供する。
NH‐E‐ΔBL‐COOH (II)
式中、EおよびΔBLは上記と同様に定義される。
本発明は、メタロ‐β‐ラクタマーゼ修飾体の調製方法を提供する。この調製方法では、宿主細胞を、次の一般式で表されるメタロ‐β‐ラクタマーゼを発現可能な条件下で培養する。
NH‐K‐T‐E‐ΔBL‐COOH (I)
式中、Kはリジン、Tはスレオニン、Eはグルタミン酸、ΔBLは予測されうる二次構造において、第1のαヘリックスの前に4つのβストランドを配置するようにアミノ鎖末端を切断されたメタロ‐β‐ラクタマーゼである。
次に、翻訳後修飾により次の一般式で表されるメタロ‐β‐ラクタマーゼ修飾体を生じさせる。
NH‐E‐ΔBL‐COOH (II)
式中、EおよびΔBLは上記と同様に定義される。
そして、任意的に、得られた翻訳修飾後蛋白質を分離および精製する。
本発明のさらなる概要としては、式IIで表されるメタロ‐β‐ラクタマーゼ修飾体を含む医薬成分、式IIで表されるメタロ‐β‐ラクタマーゼ修飾体の薬剤としての用途、腸管内で有害作用を引き起こすβ‐ラクタム抗生物質を除去するために用いられる式IIで表される薬剤の製造用のメタロ‐β‐ラクタマーゼ修飾体、を提供する。
さらに、本発明は、式IIで表されるメタロ‐β‐ラクタマーゼ修飾体、又はその医薬成分を含有するものを、それらを必要とする人へ適量投薬することによって、腸管内で有害作用を引き起こすβ‐ラクタム抗生物質の処理する方法を提供する。本発明の具体例としては、従属項により開示されている。本発明のさらなる詳細と利点は、以下の図面、発明の詳細な説明、実施例で明らかにする。
発明の詳細な説明
用いられるメタロ‐β‐ラクタマーゼは、メタロ‐β‐酵素の全長をコードしている全長メタロ‐β‐ラクタマーゼの遺伝子コンストラクトを有しているBacillus subtilisの産生システムより生成される。詳細な質量分析によれば、このメタロ酵素は、アミノ鎖末端配列が異型である様々な変異体を含んでいる事が明らかになる。
アミノ末端配列の変異は、宿主細胞のプロテアーゼによって翻訳後修飾された結果であると解されている。メタロ酵素のアミノ酸配列に見られる変異は、Bacillus subtilisの産生システムにおいて生成される酵素の処理工程を複雑化させるとともに、このような影響が規則的に見込まれるため医薬蛋白質としての利用を低減する。
したがって、分子生物学的な手法によりメタロ‐β‐ラクタマーゼ酵素のアミノ鎖末端配列の変異を減少させる研究がなされてきた。
アミノ末端領域は、酵素の触媒特性に非必須の影響を及ぼすと予見されている。加えて、組み換え蛋白質をバクテリアの細胞の外側に分泌するようなBacillus subtilisの産生システムにおいて、アミノ末端領域は、プロテアーゼによる翻訳後修飾を受けるとみられる。
アミノ末端領域における微少な変異を減らすために、予見されている領域をコードするヌクレオチド配列は、PCR法によって除去される。しかし、単なる欠失は、アミノ末端の異型を著しく減少させるわけではない。驚くべきことに、欠失は翻訳後修飾を介助するために生成された、ジペプチドの挿入を引き起こし、アミノ末端が一定に修飾されたメタロ‐β‐ラクタマーゼの単一の変異体を導く。
本発明は、全体として、医薬蛋白質として有用であるβ‐ラクタマーゼ修飾体、および組み替えβ‐ラクタマーゼ中間生成物に関する。組み換えβ‐ラクタマーゼ中間生成物は、切断およびアミノ末端にジペプチドの挿入が行われることにより産成する、これより、β‐ラクタマーゼ変異体の数を低減する。
上記の修飾体は、副作用を引き起こすβ‐ラクタム(クラブラン酸、スルバクタム、タゾバクタムのような周知のβ‐ラクタマーゼ阻害剤の存在下又は非存在下における、セファロスポリン、カルバペネム、ペニシリン)を除去するためのβ‐ラクタマーゼ処理において、薬剤基質として利用できる同型の組み換え酵素の産生を促進する。
特に、本発明は、Bacillus subtilisの産生システムにおいて、アミノ末端の異型を低減するために、アミノ末端領域で行われる切断とジペプチドの挿入が行われる、活性メタロ‐β‐ラクタマーゼの所定の位置で生じる、翻訳後修飾に関連する。
以下、メタロ‐β‐ラクタマーゼを、B群のβ‐ラクタマーゼ、すなわち少なくとも活性するために二価の金属イオン(Zn2+)を必要とするβ‐ラクタマーゼとして説明する。
ブッシュ、ジャコビィ、マデイラスの機能分類によると(Bush, 1998)、メタロ‐β‐ラクタマーゼは、3つの群より構成される。亜鉛に配位する領域の構造類似性に基づいて、メタロ‐β‐ラクタマーゼは、従属群B1、B2、B3に分けることができる(Galleniら, 2001)。
本発明における、メタロ‐β‐ラクタマーゼは、好ましくは従属群B1に属する。この従属群は、3つのヒスチジン残基と1つのシステイン残基が配意している亜鉛を活性中心として有している。なお、従属群に関する詳細は、本明細書、発明の背景に記載されている。
メタロ‐β‐ラクタマーゼは、αβ/βα構造の4つの類似層を有する広範な蛋白質スーパーファミリーに属する。このポリペプチド鎖は、2つのドメインに分けられ、以下の順番でそれぞれストランドおよびヘリックスを構成している。
β1 β2 β3β4 β5 α1 β6 α2 β7 α3 β8 β9 β10 β11 α4 β12 α5(Carfiら, 1995 1998a, Gallenrら, 2001)。
本発明のメタロ‐β‐ラクタマーゼは、第2のβストランドの直前のアミノ鎖末端を切断される。第1と第2のβストランドの間、特に上記の結晶構造では、第1と第2のβストランドの間のアミノ酸Eの手前が切断されると好ましい。
2004年、ガラウらは、アンブラーがセリンベタラクタマーゼ(Ambler,1980)を対象に行ったβ‐ラクタマーゼの番号振り分け(ABL)に相同する形で、分類Bに属するβ‐ラクタマーゼを対象に、規格となる番号振り分け表(BBL)を発表した。
BBLの番号振り分け表は、元来のアミノ酸配列において、低次の同一性を有する様々なメタロ‐β‐ラクタマーゼ群内での保存領域を発見するために、X線構造解析による周知構造のアライメントより派生したものである。
ガラウらの研究により、第1の保存断片は、Bacillus cereus BcIIのメタロ‐β‐ラクタマーゼにおいて、第2のβ‐シートの構造を形成していることが明らかになったBacillus cereus BcIIのメタロ‐β‐ラクタマーゼに関しては、1995年および1998年aのカーフィらの論文によって詳述されている。
したがって、B. cereusのメタロ‐β‐ラクタマーゼのβ1‐シートは、すべてのメタロ酵素群に含まれているわけではないので、酵素において非必須の機能を発現している。しかし、すべてのメタロ‐β‐ラクタマーゼのアミノ末端領域は、二次構造で第1のαヘリックスの手前に配置される4層のβ‐シートを形成する断片を有している。これより、メタロ‐β‐ラクタマーゼの切断部位は、元来β1が存在しているか否かに拘らず、予見される二次構造で、1つのβストランドが取り除かれ、αヘリックスの前面に4つのβストランドが配置される部位と定義されてもよい。
現在の慣習において、アミノ酸は1つの文字でコードされ、使用される。すなわち、Aはアラニン、Rはアルギニン、Nはアスパラギン、Dはアスパラギン酸、Cはシステイン、Eはグルタミン酸、Qはグルタミン、Gはグリシン、Hはヒスチジン、Iはイソロイシン、Lはロイシン、Kはリジン、Mはメチオニン、Fはフェニルアラニン、Pはプロリン、Sはセリン、Tはスレオニン、Wはトリプトファン、Yはチロシン、Vはバリンである。アミノ酸配列は、アミノ末端を左側、カルボキシル末端を右側として表記される。なお、NH‐および‐COOHは、記載してもよいし、省略してもよい。
本発明のある具体例によると、宿主細胞は、次の一般式(I)で表されるβ‐ラクタマーゼを発現可能な発現ベクターを用いて形質転換される。
NH‐K‐T‐E‐ΔBL‐COOH (I)
式中、Kはリジン、Tはスレオニン、Eはグルタミン酸、ΔBLはメタロ‐β‐ラクタマーゼ蛋白質である。メタロ‐β‐ラクタマーゼ蛋白質は、第2のβストランドの前のアミノ鎖末端を切断され、以下の公式IIで表される蛋白質となる。
NH‐E‐ΔBL‐COOH (II)
上記蛋白は、一般式Iの蛋白質において翻訳後修飾が行われた結果形成される。一般式Iの蛋白質は、通常、EΔBLをコードしているDNA配列に、KTをコードしているDNA配列を結合することによって産生される。ここでは、EΔBLは、Bacillus、特に、B. cereusのメタロ‐β‐ラクタマーゼであり、第2のβストランドのグルタミン酸残基Eの直前で切断される。特に、このヌクレオチドコンストラクトは、後述する配列番号2の94−756ヌクレオチド配列を構成する。
強固な構造がないアミノ末端領域の長さは、メタロ‐β‐ラクタマーゼ群と各々の従属群内で変動する。
Bacillus sppのメタロ‐β‐ラクタマーゼもまた、第2のβストランドより前のアミノ鎖末端配列に変異を有しているが、ほとんどの酵素は+12の位置でグルタミン酸が保存されている(表1参照)。結果的に、Eに隣接する位置での切断および挿入が、周知のBacillusのメタロ‐β‐ラクタマーゼでは適用される。この場合、当然、最初の11のアミノ末端のアミノ酸が、生成する成熟メタロ‐β‐ラクタマーゼのN末端から削除される。
本発明を適用したある具体例によれば、β‐ラクタマーゼはアミノ酸KTとEの間、とりわけVIKNとEあるいはVMKNとEの間で切断される。
Figure 0005306191
Bacillus spのメタロ‐β‐ラクタマーゼとP2Aの関係においてアミノ鎖配列の比較
本発明を適用したある具体例によれば、E−ΔBLは、配列番号3の6〜221のアミノ酸残基の配列と、少なくとも70、80、90、95、98あるいは99%同一性を有する。
配列同一性は、1997年アルチュールらによって開発されたBLAST(Basic Local Alignment Search Tools)を使用して特定してもよい。
特に、E−ΔBLは、配列番号1として示されている配列や、β‐ラクタマーゼ活性型変異体や、それらの断片、を有しているメタロ‐β‐ラクタマーゼの断形体である。例えば、B. cereusのメタロ‐β‐ラクタマーゼBcIIの断形体である。なお、E−ΔBLは、配列番号1のアミノ酸残基12〜15や、12〜19や、12〜23と同じ配列を有すると共に、アミノ鎖の+13の位置はT(スレオニン)またはA(アラニン)であると好ましい。
特定のアミノ酸配列で“変異”を有するアミノ酸配列とは、特定のアミノ酸配列が同一ではなく、少なくともアミノ酸の所定の変化を含んでいることを指し示す。所定の変化とは、例えば、欠失、置換、反転、挿入などであり、元のアミノ酸配列から生成される蛋白質と比べて、生体内活性に影響を及ぼさないものである。なお、この場合生体内活性とは、β‐ラクタマーゼ活性のことである。変異は、例えば、同一の系統、種、属の対立形質変異、又は突然変異などが生じた結果生成したポリペプチドの可能性もある。
「断片」とは、例えばβ‐ラクタマーゼ活性のような、所望の生体内活性を有するのに十分な長さを有する、あるアミノ酸配列の一部とする。換言すれば、例えば、断片は開示されている、あるβ‐ラクタマーゼの配列の一部である。
NH‐K‐T‐E‐ΔBL‐COOHをコードしているヌクレオチドコンストラクトは、発現ベクターに導入され、宿主細胞を形質転換させてもよい。このとき、宿主細胞は、導入された蛋白質を発現可能な条件下で培養され、この蛋白質に翻訳後修飾を施し、結果NH‐E‐ΔBL‐COOHを生成する。これにより、実質的に純粋な型、すなわち、少なくとも90%、好ましくは95%、さらに好ましくは99%の単一の型であるNH‐E‐ΔBL‐COOHのメタロ‐β‐ラクタマーゼが得られる。発現された蛋白質の翻訳後修飾とは、例えば、宿主細胞のプロテアーゼにより触媒されるジペプチドKTの切断である。
宿主としては、バクテリア、酵母、菌類の細胞といった真核生物や原核生物の細胞を使用できる。バクテリアの宿主としては、例えばEscherichia coliが用いられる。なお、Bacillus spp、特にB. licheniformisやB. subtilisを宿主とするとより好ましい。
ある好適な具体例としては、NH‐K‐T‐E‐ΔBL‐COOHは、シグナルペプチドを有する蛋白質として発現し、それによって、蛋白質は培地内に分泌されるとともに、シングルペプチドは初期に切断される。このとき、切断されるシグナルペプチドはジペプチドである。
少数の他の変化として、脱アミド、酸化、ジスルフィド結合の構造破損、異性化、スクシンイミデーション、非ジスルフィド化、クロスリンキング、メイラード反応、脱グリコシルなどがあり、生成あるいは貯蔵過程で蛋白質内に生じることがある。これらは、生体内活性に影響を及ぼさない限り許容される。
β‐ラクタマーゼ修飾体NH‐E‐ΔBL‐COOHは、メタロ‐β‐ラクタマーゼを産生することが可能なバクテリアから起こりうる。このバクテリアとしては、例えばEnterobacteriae属(Serratia marcescens、Klebsiella pneumoniae、Cifrobacter freudii、Shigella flexneri)、Pseudomonas aeruginosa、Stenobacterium maltophila、Acinetobacter属、Bacteroides fragilis、Bacillus cereus、Flavobacteruim odoratum、Bacteroides fragilis、が挙げられる。
上記の酵素は、第2のβストランドより前の位置で成熟酵素蛋白質のアミノ鎖末端を切断され、アミノ酸のN末端がEになる。妥当なE残基がない場合、バクテリアからΔBLの部分だけ得られ、一方、トリペプチドKTEはΔBLの前に結合し、NH‐K‐T‐E‐ΔBL‐COOH蛋白質に帰着する。
β‐ラクタマーゼ修飾体は、好ましくはBacillus、とりわけB. cereusから生じることが好ましい。特にB. cereusのβ‐ラクタマーゼは、非修飾の成熟β‐ラクタマーゼにおいても、最初の11のN末端アミノ酸が欠失されるからである。
本発明のβ‐ラクタマーゼ修飾体は、医薬成分として、医薬的に許容される範囲内で賦形剤や担体と混合されてもよい。腸内で有害作用を引き起こすβ‐ラクタムを処理するためにβ‐ラクタマーゼ修飾体は、1つ以上β‐ラクタム抗生物質を使用している人へ経口的に適量投薬される。β‐ラクタマーゼ製剤は、抗生物質を用いた治療の前に投薬しても、同時に投薬しても、後に投薬してもよい。これは、セリン‐β‐ラクタマーゼ阻害剤に非感受性であるからであり、いつでも除去できるからである。
本発明は以下の実施例に限定されるものではない。上記の具体例や、以下の実施例は理解を容易にするためのものであり、本発明に属する範囲内で様々な変更や修正が可能である。
(実施例1、物質と方法(バクテリアの系統および増殖条件))
バクテリア系統およびこれらに関連するジェノタイプ、フェノタイプを表2に示す。
Figure 0005306191
バクテリア系統およびこれらに関連するジェノタイプ、フェノタイプ
バクテリアは、全体として、37度でフラスコ振とうを行いながら、複合体の培地であるルリア培地にて培養された(1リットルにつき酵母菌抽出液5グラム、トリプトン10g、塩化ナトリウム10g)。ルリア培地には、媒体を選択するために適切な抗生物質が添加された。適切な抗生物質が添加された合成培地は、発酵に用いられた。この改変された合成培地は、Bacillus subtilisコンピテント細胞を産生するために、使用された。これらの培地の詳細な組成は、国際公開第03/040352号パンフレットにて詳述されている。
(DNA技術)
サンブックやラッセルらによると、レストリクション、アガロースゲル電気泳動、ライゲーションなどに例示されるDNA技術が実施された。染色体DNAは、マーマー法によって分離された。プラスミドDNAは、製造者からの説明によればキアゲンプラスミドメディキットによって分離された。(キアゲンプラスミド精製ハンドブック,1999)。ただし、ペプチドグリカン層を分解するために、リゾチーム(1mg/ml)処理がプロトコルに加えられた。リゾチームは、緩衝剤P1に追加され、細胞は30分間の間37度に保温された。PCRは、全体として、国際公開第03/040352号パンフレットにて描写されているプロトコルに基づいて実行された。
(メタロ‐β‐ラクタマーゼのアミノ末端領域における各々の型の評価。)
精製されたメタロ‐β‐ラクタマーゼ試料は、アミノ酸配列のN末端の特定、質量分析による定量のために、逆層クロマトグラフィーにかけられた。これにより、この酵素は、0.1%トリフルオロ酢酸と0.075%トリフルオロ酢酸‐アセトニトリルに基づいて、60分間で0%から100%の直線的な勾配に分画された。
メタロ‐β‐ラクタマーゼのNH末端配列型は、アプライドバイオシステムズの494A蛋白質配列特定装置を用い、自動操作のエドマン分解によって特定された。
メタロ‐β‐ラクタマーゼ型の質量分析は、四重極/飛行時間(Q-TOF)形装置によって実行された。メタロ‐β‐ラクタマーゼ変異体は、試料の相対的な比率を評価でき、比較可能なイオン化ポテンシャルを提供すると想定する。
β‐ラクタマーゼ遺伝子のヌクレオチド配列は、自動化されたDNA配列特定装置を用いて、ジデオキシ法によって特定された。
(実施例2:Bacillus cereus 98ME1552のメタロ‐β‐ラクタマーゼ遺伝子の全長ヌクレオチド配列)
全長メタロ‐β‐ラクタマーゼ遺伝子の特定は、順次、PCRおよびベクター断片技術を用いて行われた。構造遺伝子の所定の部分は、PCRによって増幅された。ここでは、Bacillus cereus 569/Hのメタロ‐β‐ラクタマーゼ遺伝子のSQKVEKTVIコード領域(順方向プライマー)およびHTLDLLコード領域(逆方向プライマー)でハイブリダイゼーションするようにプライマーを作成し、臨床分離株B. cereus 98ME1552から分離された染色体DNAを鋳型としてPCRが行われた。また、双方のプライマーは、Hind III制限酵素部位を保有している。増幅されたDNA断片は(およそ700bp)は、Hind IIIによって制限酵素処理され、分泌ベクターpKTH141のHind III部位で結合された。ここでは、Bacillus subtilis 1H6140コンピテント細胞が、核酸連結物質配合物を用いて形質転換された。メタロ‐β‐ラクタマーゼを発現するクローンを宿しているプラスミドは、DNAシークエンシングにより確認された。このプラスミドをpRSH314と命名した。
国際公開第03/04052号パンフレットに記載されている通りに調製されたB. subtilis RS303コンピテント細胞を、pRSH314を用いて形質転換し、B. subtilis RS314系統とした。メタロ‐β‐ラクタマーゼ遺伝子の完全長DNA配列は次のベクター断片技術を使用することによって得られるPCR断片から特定された。
Bacillus cereus 98ME1552の染色体DNAを制限酵素Hind IIIによって制限酵素処理すると共に、Hind IIIによって制限酵素処理したベクター断片と結合させた。得られたベクター断片ライブラリーを、PCR反応によってスクリーニングした。このPCR反応は、pRSH314の700bpより得られるDNA配列から作成された開始プライマー、MEBLSQ-F(5'-AGGAAATGTTGCGGATGC)、およびEBLSQ-R(5'-CCTTCGTTAATTTGTTATCCC)を用いた。
MEBLSQ-Fプライマーを用いてベクター断片ライブラリーのPCRスクリーニングを行うと、およそ1000bpの断片(MEBL1断片)が生成された。また、MEBLSQ-Rプライマーを用いた場合、およそ1100bpの断片MEBLSQ-R(MEBL2断片)が生成された。MEBL1断片およびMEBL2断片は、電気泳動後のアガロースゲルより精製された。双方の断片のヌクレオチド配列は、DNAシークエンシングによって特定され、その結果、B. cereus 98ME1552の完全長メタロ‐β‐ラクタマーゼ遺伝子が得られた。B. cereus 98ME1552のメタロラクタマーゼ遺伝子の完全長ヌクレオチドおよび推定されるアミノ酸配列を図1に示す。また、このアミノ酸配列を配列番号1として記載する。このオープンリーディングフレームは257のアミノ酸のポリペプチドをコードしていて、ポリペプチドのアミノ末端配列(30アミノ酸残基)は、バクテリアのシグナルペプチドとしての典型的な特色を示す。シグナルペプチドとは、所定の分泌経路経由で細胞膜を横切り、タンパク質の分泌を促す働きをする。予測されるシグナルペプチド切断部位は、−30の位置でアラニンの後ろである(図1参照)。227アミノ酸残基の成熟蛋白質において、分子量と等電点の値は、それぞれ、24877.3Daおよび6.0と算出される。98ME1552のメタロ‐β‐ラクタマーゼ配列は、相同蛋白質を探すために、BLAST検索において探索鋳型として使用された。BLAST探索は、スイス生命情報科学研究所のSIB BLASTネットワークサービス(http://www.expasy.org/tools/blast/)を用いて実行される。この検索は、NCBI BLASTP2.2.13プログラムを使用するデータベースに基づく(Altschulら, 1997)UniProtKB Knowledgeとは異なる。すなわち、NCBI BLASTP2.2.13プログラムは、ギャップペナルティ11およびギャップ伸張ペナルティ1が課せられ、BLOSUM62アルゴリズムを用いている。98ME1552のメタロ‐β‐ラクタマーゼをBLAST検索すると、群Bの従属群B1に属する他のβ‐ラクタマーゼとの間で最も高い類似度スコアが得られた。故に、98ME1552のβ‐ラクタマーゼは、他のB. cereusのβ‐ラクタマーゼに対して高度な相同性(90%以上)を示すと期待される。様々なS. cereusメタロ‐β‐ラクタマーゼの構造アラインメントによると、S. cereus 98ME 1552ラクタマーゼにおけるアミノ酸置換は、酵素の機能に非必須の領域内に存在すると予測される。
(実施例3、Bacillus subtilis内でのB. cereus 98ME 1552のメタロ‐β‐ラクタマーゼ遺伝子のクローニングと発現)
ベクター断片ライブラリーから得られたDNA配列に基づき、完全長メタロ‐β‐ラクタマーゼをコードしているDNAを挿入するために、新しいプライマーBLC1-F
(5'-CGCGAAGCTTCCGAACAAAAGCTAGAGCAAATAGTAATC)、およびBLC1-R
(5'-GCCGAAGCTTTTATTTTAATAAATCCAATGTATGTAAAAGTAATCCC)を作成した。このプライマーもまた、Hind Ill部位を末端に保有していて、B cereus 98ME1552の精製された染色体DNAが、鋳型として使われた。およそ0.7kbに増幅されたPCR断片は、Hind IIIによって制限酵素処理され、pKTH141分泌ベクターのHind III部位と結合された。Bacillus subtilis RS303コンピテント細胞は、核酸連結物質配合物によって形質転換された。1つの陽性クローンはRS315と命名し、宿している発現コンストラクトをpRSH315と命名した。
発現コンストラクトpRSH315を分離し、その挿入範囲をシークエンシングした。メタロ‐β‐ラクタマーゼ遺伝子クローンのヌクレオチド配列および推定されるアミノ酸配列と、このベクター断片ライブラリーは一致した。特定されたDNA配列は、フレーム内の、Hind IIIクローニング部位であるBacillus amyloliquefaciensのアルファアミラーゼの31アミノ酸長鎖シグナル配列をコードしているヌクレオチド配列と、B. cereus 98ME1552の完全長メタロ‐β‐ラクタマーゼ遺伝子間を明らかにした(図2参照)。シグナルペプチドは−1の位置のアラニン(A)と+1の位置のグルタミン(Q)のペプチド結合を切断すると予測される。成熟メタロ‐β‐ラクタマーゼはNH末端は、遺伝子コンストラクトの中のHind IIIクローニング部位より生じるトリペプチドにより伸張し、NH‐QASとなる。そのため、成熟メタロ‐β‐ラクタマーゼ修飾体に基づいて推定されたアミノ酸配列は230のアミノ酸残基となる。
(実施例4:Bacillus subtilisの産生システムから得られるメタロ‐β‐ラクタマーゼ変異体のアミノ末端のアミノ酸配列の特定)
更なる評価のために、組み換えメタロ‐β‐ラクタマーゼを、合成培地においてフラスコ振とうや発酵を用いて培養した。分泌されたメタロ‐β‐ラクタマーゼは、培養液の上澄みから効果的に得られた。その酵素は、濃縮された上澄み培養液をイオンクロマトグラフィーにかけることで精製された。酵素活性は2つの分画で観察された。精製された酵素の分画は、NH末端のシークエンシングおよび質量分析がなされた。この解析により、双方の分画を構成している異型酵素の、アミノ末端の違いを明らかにされた。様々な酵素の型とそれらの相対的な比率を表3に記載する。すべての酵素型は、推定されたアミノ酸配列からみると、NH末端領域に様々な長さの欠失を有する。全体として、オクタペプチドNH2-QASEQKLEが、すべての酵素で欠失されるように思われる。分画2の短い方の酵素では、上記に加えてペンタペプチドIVIKNを欠失している。NH末端領域でみられるわずかな変異は、様々な宿主プロテアーゼが作用する翻訳後修飾によって説明される。
Figure 0005306191
推定されたアミノ末端配列、解析されたアミノ酸配列、および断形メタロ‐β‐ラクタマーゼ体の解析された質量
(実施例5、Bacillus subtilisの産生システムにおける、Bacillus cereus 98ME1552のメタロ‐β‐ラクタマーゼの欠失型の構造およびそのアミノ鎖末端変異)
NH末端の異型を減らすために、メタロ‐β‐ラクタマーゼ遺伝子の可変領域NH2-EQKLEQIVIKNをコードしているDNA配列はPCRによって欠失された。PCRでは、次にストップコドンTAAが続く、ETGTISISQをコードする配列とハイブリダイゼーションする順方向プライマー、およびGLLLHTLDLLKをコードする配列とハイブリダイゼーションする逆方向プライマーが用いられた。また、B. cereus 98ME1552の全長メタロ‐β‐ラクタマーゼ遺伝子が、鋳型として使用された。なお、双方のプライマーはHind III部位を保有する。
得られたおよそ0.7kbのPCR断片は、pKTH141分泌ベクターのHind III部位でクローニングされ、B. subtilis RS303コンピテント系統を用いて核酸連結物質配合物によって形質転換された。NH末端の欠失は、陽性クローンから分離される発現コンストラクトの挿入されたメタロ‐β‐ラクタマーゼ遺伝子をDNAシークエンシングすることで確認された。この形質転換体系統をBacillus subtilis RS317と命名し、その発現コンストラクトをpRSH317と名付けた。
断形メタロ‐β‐ラクタマーゼ体は生成能を有するBacillus subtilis宿主において産生された。この酵素は培養上澄み液を、単一の酵素を1分画として溶出するイオン交換クロマトグラフィーにかけることで精製された。酵素分画は、NH末端のシークエンシングおよび質量分析がなされた。その結果、断形メタロ‐β‐ラクタマーゼ体は、異型アミノ末端を有する蛋白質として示された(表4。)。主な酵素変異体は、Hind III部位に最初のトリペプチドQASが含まれている推定されたアミノ配列と同一のアミノ末端配列を有していた。わずかな変異体は、ジペプチドQA‐の欠失を持っていると分かった。アミノ末端が封鎖されている場合は、ある変異体を生じていてもアミノ酸配列を検出できなかった。産生過程においては、ピログルタミル残基が形成されグルタミン残基が環化した結果、アミノ鎖末端の封鎖を生じるおそれがある。結果としては、アミノ末端を欠失させても、基本的にアミノ末端の異型を低減することはない。
Figure 0005306191
特定されたアミノ酸配列、および断形メタロ‐β‐ラクタマーゼ体の質量
(実施例6、KTをコードする配列が挿入されたBacillus cereus 98ME1552の断形メタロ‐β‐ラクタマーゼ体の構造)
翻訳後修飾を避けるために、メタロ‐β‐ラクタマーゼ分子の切断が、
NH2-EQKLEQIVIKN領域のDNA配列の欠失と共に、3'-Hind IIIクローニング部位の下流に設置されているKTジペプチドをコードしている配列の挿入を引き起こすように形成した。
メタロ‐β‐ラクタマーゼ修飾体の遺伝子は、KTをコードしているDNA配列を含んでいる順方向プライマーを除いた、上記実施例5の方法において作成された。そのPCR断片を、Hind IIIで切断し、pKTH141分泌ベクターのHind III部位で結合させると共に、核酸連結物質配合物を用いて、B. subtilis RS303コンピテント細胞を形質転換させた。発現コンストラクトにおいて、メタロ‐β‐ラクタマーゼ修飾体の遺伝子の正確なヌクレオチド配列が、DNAシークエンシングによって確認された。ある陽性のクローンをBacillus subtilis RS318と命名し、その発現コンストラクトをpRSH318と名付けた。pRSH318由来のB. cereus 98ME1552のβ‐ラクタマーゼのヌクレオチド配列と推定されたアミノ酸配列を図3に示し、この配列のそれぞれを配列番号2と配列番号3とする。
上記足早に説明したように、断形メタロ‐β‐ラクタマーゼ体は、産生され、精製され、解析される。このメタロ酵素の活性は、カラムより単一のシグナルピークで検出される。この単一の分画は、同一のアミノ鎖末端であるグルタミン酸残基を有するメタロ‐β‐ラクタマーゼを含んでいる(NH‐E、表5参照)。したがって、KTジペプチドの挿入が、翻訳後修飾を制御し、結果として均一なアミノ末端アミノ酸配列を生じる。このメタロ‐β‐ラクタマーゼ切断体をP2A蛋白質と命名した。
Figure 0005306191
推定されたアミノ鎖末端配列、特定されたアミノ酸配列、および切断型メタロ‐β‐ラクタマーゼ分子の質量
(実施例7、P2Aメタロ‐β‐ラクタマーゼの酵素反応パラメーター)
P2A酵素の触媒作用の性質の多様性は、セリン‐β‐ラクタマーゼ阻害剤の存在下もしくは非存在下で、ペニシリン系統、第2世代、第3世代セファロスポリン、カルバネム(メロペネム)などの様々なタイプのβ‐ラクタムで研究された。この酵素の反応パラメーターKcatおよびKは、ハーネスウルフプロットによって初速度から特定された。この反応は、pH7.0、温度30℃の10mMリン酸塩緩衝剤内において実行され、この反応のキュベット(1ml)は、おおよそ5ピコモルの酵素をすべての反応において含んでいた。(メロペネム測定における1.7ピコモルを除く。)様々なβ‐ラクタム基質の加水分解は、分光光度的に各々の基質に特異な波長ごとに記録された。
3回の独立した測定より得られた平均値を示している、酵素反応パラメーター(Kcat、K、Kcat/K)を、表6に記録する。
Figure 0005306191
P2Aメタロ‐β‐ラクタマーゼの酵素反応パラメーターの値
(実施例8、人回腸粥状液に対するP2Aたんぱく質の安定性)
小腸内標的β‐ラクタマーゼ処理において、腸管内プロテアーゼ耐性は、薬剤基質としてのP2A蛋白質の適用可能性に影響を与える最も重要な因子の1つである。小腸内プロテアーゼ作用に対するメタロ‐β‐ラクタマーゼの感受性は、人回腸粥状液を含む管に、様々な量の活性酵素を加えることで試された。メタロ‐β‐ラクタマーゼの加水分解は、様々な時間点で回腸試料のβ‐ラクタマーゼ活性を測定することで計測された。メロペネムが、活性測定において基質として利用された。
4回の独立した実験から得られた結果とその平均値を、表7に示す。P2A酵素は、人回腸粥状液内でも分解しにくい、半減期55分(平均値)の蛋白質であることが明らかになった。実験系の間で、半減期は高変位で観察された。しかし、人小腸粥状液内でのP2Aの半減期は、腸器官内で有害作用を引き起こすβ‐ラクタム残基を除去するために、P2A酵素処理に利用するのに適している。
Figure 0005306191
ヒト回腸粥状液内でのP2Aメタロ‐β‐ラクタマーゼ半減期(試験管内)
参考文献
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B. cereus 98ME1552における‐β‐ラクタマーゼ遺伝子の完全長ヌクレオチド配列および推定されるアミノ酸配列を示す図。 B. cereus 98ME1552における発現コンストラクトpRSH315由来の‐β‐ラクタマーゼ遺伝子の完全長ヌクレオチド配列および推定されるアミノ酸配列を示す図。Bacillus amyloliquefaciensにおける31アミノ酸残基長鎖シグナル配列切断部位は、−1の位置のアラニンと+1の位置のグルタミン酸の間であると予測される。Hind IIIクローニングサイトより生じるトリペプチドNH‐QASによるNH末端の伸張は、太字で示してある。 B. cereus 98ME1552における発現コンストラクトpRSH318由来の‐β‐ラクタマーゼ遺伝子の完全長ヌクレオチド配列および推定されるアミノ酸配列を示す図。Bacillus amyloliquefaciensにおける31アミノ酸残基長鎖シグナル配列切断部位は、−1の位置のアラニンと+1の位置のグルタミン酸の間であると予測される。Hind IIIクローニングサイトより生じるトリペプチドNH‐QASによるNH末端の伸張およびKTの挿入は、太字で示してある。

Claims (24)

  1. 次の一般式、すなわち
    NH2‐K‐T‐E‐ΔBL‐COOH
    で表され、B1従属群に属するメタロ‐β‐ラクタマーゼ修飾体蛋白質をコードしているヌクレオチド配列を含む単離ヌクレオチド分子において、式中、
    Kはリジンであり、
    Tはスレオニンであり、
    E−ΔBLはメタロ‐β‐ラクタマーゼ蛋白質であって、該蛋白質の予測されうる二次構造の第1のαヘリックスの前に4つのβストランドを配置するようにアミノ鎖末端がグルタミン酸残基の直前で切断されたメタロ‐β‐ラクタマーゼ蛋白質であると共に、
    E−ΔBLはそのアミノ末端が配列番号1の+12〜+23のアミノ酸残基であり、+13のアミノ酸残基に対応する位置はスレオニンかアラニンであることを特徴とする単離ヌクレオチド分子。
  2. 請求項1に記載のヌクレオチド分子において、配列番号2の94〜756のヌクレオチド配列を含むヌクレオチド分子。
  3. 請求項1に記載のヌクレオチド分子を有する発現ベクター。
  4. 請求項1に記載のヌクレオチド分子によってコードされているメタロ‐β‐ラクタマーゼ修飾体蛋白質を発現可能な宿主細胞。
  5. 請求項4に記載の宿主細胞において、前記メタロ‐β‐ラクタマーゼ修飾体蛋白質を分泌する宿主細胞。
  6. 請求項4または5に記載の宿主細胞において、前記宿主細胞はバチルス属[Bacillus spp]である宿主細胞。
  7. 請求項6に記載の宿主細胞において、前記宿主細胞はバチルス・リケニフォルミス[B. licheniformis]あるいはバチルス・サブチリス[B. subtilis]である宿主細胞。
  8. 次の一般式、すなわち
    NH2‐E‐ΔBL‐COOH
    で表され、B1従属群に属するメタロ‐β‐ラクタマーゼ修飾体蛋白質において、式中、
    E−ΔBLはメタロ‐β‐ラクタマーゼ蛋白質であって、該蛋白質の予測されうる二次構造の第1のαヘリックスの前に4つのβストランドを配置するようにアミノ鎖末端がグルタミン酸残基の直前で切断されたメタロ‐β‐ラクタマーゼ蛋白質であると共に、
    E−ΔBLはそのアミノ末端が配列番号1の+12〜+23のアミノ酸残基であり、+13のアミノ酸残基に対応する位置はスレオニンかアラニンであることを特徴とするメタロ‐β‐ラクタマーゼ修飾体蛋白質。
  9. 請求項8に記載のメタロ‐β‐ラクタマーゼ修飾体蛋白質において、前記切断されたβ‐ラクタマーゼは、バチルス属[Bacillus spp]に由来するものであるメタロ‐β‐ラクタマーゼ修飾体蛋白質。
  10. 請求項9に記載のメタロ‐β‐ラクタマーゼ修飾体蛋白質において、前記切断されたβ‐ラクタマーゼは、バチルス・セレウス[B. cereus]に由来するものであるメタロ‐β‐ラクタマーゼ修飾体蛋白質。
  11. 請求項9に記載のメタロ‐β‐ラクタマーゼ修飾体蛋白質において、前記E‐ΔBLは成熟メタロ‐β‐ラクタマーゼのアミノ末端の当初の11のアミノ酸を欠失させることによって得られるものであるメタロ‐β‐ラクタマーゼ修飾体蛋白質。
  12. 請求項8に記載のメタロ‐β‐ラクタマーゼ修飾体蛋白質において、前記E‐ΔBLの配列は、配列番号3の6〜221のアミノ酸残基の配列と少なくとも95%以上の同一性を有するメタロ‐β‐ラクタマーゼ修飾体蛋白質。
  13. 請求項12に記載のメタロ‐β‐ラクタマーゼ修飾体蛋白質において、前記E‐ΔBLの配列は、配列番号1の配列を有するメタロ‐β‐ラクタマーゼの断形体、またはβ‐ラクタマーゼ活性を有する変異体またはそれらの断片であるメタロ‐β‐ラクタマーゼ修飾体蛋白質。
  14. 請求項8に記載のメタロ‐β‐ラクタマーゼ修飾体蛋白質において、前記E‐ΔBLは、遺伝子組換的手段による、メタロ‐β‐ラクタマーゼのアミノ酸KNとアミノ酸Eとの間の切断によって得られるものであるメタロ‐β‐ラクタマーゼ修飾体蛋白質。
  15. 次の一般式、すなわち
    NH2‐K‐T‐E‐ΔBL‐COOH
    で表され、B1従属群に属するメタロ‐β‐ラクタマーゼ蛋白質を発現可能な条件下で請求項7に記載の宿主細胞を培養する工程であって、式中、
    Kはリジンであり、
    Tはスレオニンであり、
    E−ΔBLはメタロ‐β‐ラクタマーゼ蛋白質であって、該蛋白質の予測されうる二次構造の第1のαヘリックスの前に4つのβストランドを配置するようにアミノ鎖末端がグルタミン酸残基の直前で切断されたメタロ‐β‐ラクタマーゼ蛋白質であると共に、
    E−ΔBLはそのアミノ末端が配列番号1の+12〜+23のアミノ酸残基であり、+13のアミノ酸残基に対応する位置はスレオニンかアラニンである工程と、
    次の一般式、すなわち
    NH2‐E‐ΔBL‐COOH
    で表されるメタロ‐β‐ラクタマーゼ修飾体蛋白質を翻訳後修飾により生じさせる工程(式中、E−ΔBLは上記と同様に定義される)と、
    を含むメタロ‐β‐ラクタマーゼ修飾体蛋白質の調製方法。
  16. 請求項15に記載の方法において、前記翻訳後修飾された得られた蛋白質を分離および精製する工程をさらに含む方法。
  17. 請求項15または16に記載の方法において、前記メタロ‐β‐ラクタマーゼ蛋白質はシグナル配列を含む型で発現され、該シグナル配列により宿主細胞から前記蛋白質を分泌する方法。
  18. 請求項15、16または17に記載の方法において、前記蛋白質はバチルス属[Bacillus spp]によって産生される方法。
  19. 請求項18に記載の方法において、前記蛋白質はバチルス・リケニフォルミス[B. licheniformis]あるいはバチルス・サブチリス[B. subtilis]によって産生される方法。
  20. 請求項8に記載のメタロ‐β‐ラクタマーゼ修飾体蛋白質を含む医薬成分。
  21. 請求項8に記載の、薬剤として利用されるメタロ‐β‐ラクタマーゼ修飾体蛋白質。
  22. 腸器官内で有害作用を引き起こすβ‐ラクタム抗生物質を除去するための薬剤を製造する際の請求項8に記載のメタロ‐β‐ラクタマーゼ修飾体蛋白質の使用。
  23. 請求項22に記載の使用において、前記β‐ラクタム抗生物質はセファロスポリン、カルバペネム、ペニシリンからなる群より選択されると共に、セリン‐β‐ラクタマーゼ阻害剤の有無に拘らず除去される使用。
  24. B1従属群に属する同型メタロ‐β‐ラクタマーゼ酵素製剤の製造方法であって、
    a)次の一般式、すなわち
    NH2‐K‐T‐E‐ΔBL‐COOH
    で表される蛋白質を発現する発現コンストラクトを調製する工程であって、式中、
    Kはリジンであり、
    Tはスレオニンであり、
    E−ΔBLはメタロ‐β‐ラクタマーゼ蛋白質であって、該蛋白質の予測されうる二次構造の第1のαヘリックスの前に4つのβストランドを配置するようにアミノ鎖末端がグルタミン酸残基の直前で切断されたメタロ‐β‐ラクタマーゼ蛋白質であると共に、
    E−ΔBLはそのアミノ末端が配列番号1の+12〜+23のアミノ酸残基であり、+13のアミノ酸残基に対応する位置はスレオニンかアラニンである工程と、
    b)前記発現コンストラクトにてバチルス属[Bacillus spp]の宿主細胞を形質転換する工程と、
    c)培養された前記バチルス属[Bacillus spp]の宿主細胞によって製造されたメタロ‐β‐ラクタマーゼ酵素製剤を分離する工程であって、
    培養された前記バチルス属[Bacillus spp]の宿主細胞によって製造されたメタロ‐β‐ラクタマーゼ酵素製剤は、メタロ‐β‐ラクタマーゼ非修飾体を遺伝子にコードしている発現コンストラクトにて形質転換された宿主細胞から、同様の条件下で製造された切断していないメタロ‐β‐ラクタマーゼ製剤より多くの同型を有する工程と、
    を含むことを特徴とする同型メタロ‐β‐ラクタマーゼ酵素製剤の製造方法。
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