JP5305596B2 - 電気泳動表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電界等の作用により可逆的に視認状態を変化させることができる電気泳動表示層の紫外線等による劣化を防止した耐光性に優れた電気泳動表示装置に関する。
近年、薄型でフレキシブル性があり、消費電力の少ないフラットパネル表示装置として、電気泳動表示層を有する電気泳動表示装置が開発されている。
この種の電気泳動表示装置では、電気泳動表示層の白色粒子として用いる酸化チタン等が屋外などの使用により劣化し、着色してしまうと同時に、電気泳動性能が低下してしまうなどの問題があった。
これらの問題を解決する電気泳動表示装置等としては、例えば、第1の透明電極上に透明な第1の電極と、それと相対する第2の電極との間に、電気泳動粒子が液体中に分散された液体分散系を介在させ、前記第1および第2の電極間に電圧を印加することによって、前記電気泳動粒子の空間的分布状態に変化を生じせしめ、前記の第1の電極を通してみた液体分散系の反射色を変化させる電気泳動表示装置であって、前記第1の透明基板と対向して第2の透明基板を設け、それらの透明基板の間に、それら透明基板の屈折率にできるだけ近い屈折率を有する紫外線吸収性を有する透明体を介在させたことを特徴とする電気泳動表示装置(例えば、特許文献1参照)や、基板、この基板上に配置されたマイクロカプセル表示層、このマイクロカプセル表示層上に被着された、前記マイクロカプセル表示層に透明電極層を有する透明樹脂膜、この透明樹脂膜上に被着された透明保護膜、及び前記マイクロカプセル表示層及び透明樹脂膜の側面に形成されたシール樹脂層を具備し、前記透明保護膜は、紫外線吸収剤を含有することを特徴とするマイクロカプセル泳動式表示パネル(例えば、特許文献2参照)などが知られている。
しかしながら、これらの特許文献に記載される技術は、一定の効果を有するものの、その効果は十分ではなく、屋外での使用、特に太陽光のようなより強い光に曝露される環境下では長期使用等ができないといった課題を有している。また、上記各特許文献に記載されているような表示層に酸化チタン等の粒子を使用する電気泳動型表示装置の場合には、表示劣化がより顕著に現れるという課題を有しているのが現状である。
特開昭53−73098号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2006−189582号公報(特許請求の範囲、実施例等)
本発明は、上記従来の課題及び現状等に鑑み、これを解消しようとするものであり、屋外等の使用においても紫外線等による表示劣化がなく耐光性に優れた電気泳動表示装置を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記従来技術の課題等について鋭意検討した結果、透明な前面板に形成された光透過性の電極と、背面板に形成された電極が対向配置された基板電極間に電気泳動表示層を備えると共に、上記前面板上に光透過性の基材層群を備えた電気泳動表示装置において、上記光透過性の基材層群に、ある特定の波長における光透過性(光吸収性)を有する基材層を形成することにより、上記目的の電気泳動表示装置が得られることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(7)に存する。
(1) 透明な前面板に形成された光透過性の電極と、背面板に形成された電極が対向配置された基板電極間に電気泳動表示層を備えると共に、上記前面板上に光透過性の基材層群を備えた電気泳動表示装置であって、上記光透過性の基材層群には、400nm以下の各波長における光透過率が50%以下、更には390nm以下の各波長における光透過率が80%以下となる光透過層を有することを特徴とする電気泳動表示装置。
(2) 光透過性の基材層群は、450nm以上の各波長における光透過率が70%以上であることを特徴とする上記(1)記載の電気泳動表示装置。
(3) 光透過性の基材層群は、粘着性を有することを特徴とする上記(1)又は(2)記載の電気泳動表示装置。
(4) 粘着性を有する光透過性の基材層群は、粘着層を有し、該粘着層に400nm以下の各波長における光透過率が50%以下、更には390nm以下の各波長における光透過率が80%以下となる光透過性を備えることを特徴とする上記(3)記載の電気泳動表示装置。
(5) 光透過性層の厚さが1〜200μmであることを特徴とする上記(1)〜(4)の何れか一つに記載の電気泳動表示装置
(6) 電気泳動表示層には、粒子を含有することを特徴とする上記(1)〜(5)の何れか一つに記載の電気泳動表示装置。
(7) 粒子が少なくとも酸化チタンであることを特徴とする上記(6)記載の電気泳動表示装置。
本発明によれば、屋外等の使用においても紫外線等による表示劣化がなく耐光性に優れた電気泳動表示装置が提供される。
以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
図1は、本発明の電気泳動表示装置の第1実施形態を示す縦断面図である。
本実施形態の電気泳動表示装置Aは、図1に示すように、透明な前面板10に形成された光透過性の電極11と、背面板20に形成された電極21が対向配置された基板電極11,21間に電気泳動表示層30を備えると共に、上記前面板10上に光透過性の基材層群40を備えたものである。
透明な前面板10は、電気泳動表示装置としての表示面となるように光透過性を有するものであれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、PET、塩化ビニル、ポリカーボネート等の透明樹脂フィルムや、透明ガラス等を挙げることができる。
この透明な前面板10としては、電気泳動表示層30を構成することとなる電気泳動表示用液や電子粉流体等により溶解したり、変質したりしない材質のもの、化学的・物理的特性等に応じて適宜最適なものを選択することができる。また、透明な前面板10は、電気泳動表示層30に用いる電気泳動表示用液等中の分散媒の揮発や、空気、水分等の透過を抑制・防止する材質であることが望ましい。
透明な前面板10に形成する光透過性の電極11としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)等の透明電極材料を用いて形成された電極を挙げることができる。
この光透過性の電極11は、例えば、PET等の透明樹脂フィルムや透明ガラスなどにITO等の透明導電性材料を塗工法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等の蒸着法等により形成することができる。また、この光透過性の電極11は、前面板10の全体に渡って均一に形成された、いわゆるベタ電極とすることが、コストの面で好ましいが、フォトエッチングのような従来から用いられている方法により、パターン形成したものを用いることを妨げるものではない。前面板10の電極構成は、背面板20の電極構成に応じて適宜組み合わせたり、選択することができるものである。
次に、背面板20としては、上記前面板と同様に、電気泳動表示層30を構成することとなる電気泳動表示用液や電子粉流体等の漏れ出しや、溶媒の揮発を抑制できる材質であれば特に限定されるものではないが、薄型の電気泳動表示装置を得る上では、例えば、樹脂フィルム、樹脂板、ガラス板、セラミックス板、金属板等の薄型の背面板を用いることが望ましい。なお、当該背面板20についても、分散媒の揮発や、空気、水分等の透過を高度に抑制・防止する目的で、ポリビニルアルコールやポリエチレンビニルアルコール等のガスバリア性フィルム等をラミネート法等により積層して用いたり、ガラスが割れたり、飛散するのを防止する目的で、ポリビニルブチラール等の樹脂フィルムを組み合わせて用いることも可能である。
また、背面板20に形成する電極21は、上記前面板の電極と同様に、ITO等の透明導電性材料を塗工法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等の蒸着法等により形成するや、導電性の金属材料を蒸着法等により形成することや、金属フィルム等を貼り付けることにより、形成することができる。更に、電極21が形成された基板20としては、液晶等で使用されているTFT(Thin Film Transistor)基板等を用いることを妨げるものではない。
本実施形態の電気泳動表示装置Aは、上記の透明な前面板10に形成された光透過性の電極11と背面板20に形成された電極21を対向配置させ、当該電極基板11,21間に電気泳動表示層30を封入し、上記前面板10の面上に、光透過性の基材層群40を形成することにより構成される。
電極基板は、電極同士の接触によるショートを防止し、ムラのない均一な表示を得る等のために一定の電極基板間隔を保つように対向配置される。すなわち、対向配置される電極基板間隔は、従来より知られる液晶や電気泳動表示装置等で用いられている種々の手法により、当該間隔を一定に保つように、図1に示すように、スペーサー部材等の間隔保持材35により電極基板間隔を一定に保つように構成されている。また、一方の電極基板にフォトリソ法やナノインプリント法等により、一定の高さを有するリブを立てた後、もう一方の電極基板を貼り合わせる方法等により、電極基板間隔を一定に保つように構成することができる。
電気泳動表示層30を構成する電気泳動表示用液としては、従来より用いられている電気泳動表示用液、例えば、少なくとも1種類以上の電気泳動粒子及び分散液媒体を含有するものであれば良く、特に限定されるものではなく、本実施形態では、電気泳動粒子として、二酸化チタン及び分散液媒体を含有する電気泳動用表示液から構成されている。
電気泳動表示用液に用いる電気泳動粒子としては、白色の無機顔料粒子となる二酸化チタンや、有色の無機顔料粒子または上記二酸化チタン以外の無色(白色)の無機顔料粒子、有機顔料粒子、高分子微粒子等を用いることができ、これらは各単独(1種)又は2種以上を混合して用いることができる。また、親油性表面処理されている微粒子であってよいものである。好ましくは、平均粒子径が0.05〜20μmのものが用いられ、特に好ましくは、平均粒子径が0.1〜10μmのものが望ましい。また、これらの微粒子の合計含有量は、電気泳動表示用液全量に対して、好ましくは、3〜50重量%(以下、単に「%」という)、更に好ましくは、5〜35%とすることが望ましい。
分散液媒体としては、例えば、従来電気泳動表示に用いられている各種タイプのものを用いることができる。具体的には、芳香族系炭化水素、ヘキサン、シクロヘキサン、ケロシン、アイソパー、パラフィン系炭化水素等の脂肪族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、リン酸エステル類、フタル酸エステル類、カルボン酸エステル類、塩素化パラフィン、N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−ターシャリオクチルアニリン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの分散液媒体の含有量としては、用いる電気泳動粒子や分散剤種によって適宜決定されるが、電気泳動表示用液全量に対して、25〜85%となるように含有することが好ましく、更に好ましくは、30〜60%とすることが望ましい。また、上記分散液媒体に対して各種油溶性染料を溶解して着色して用いることが可能である。
更に、電気泳動表示用液には、適宜分散剤を添加することができるものであるが、用いる分散剤としては、慣用的に用いられる各種の分散剤、界面活性剤や高分子界面活性剤、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性系界面活性剤、高分子型界面活性剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、高級アルコール、高級脂肪酸、脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル、多塩基酸エステル、アルキルグリセリルエーテルとその脂肪酸エステル、レシチン誘導体、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸・リン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミド、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられ、これらは各単独(1種)又は2種以上を混合して用いることができる。
これらの分散剤の含有量としては用いる電気泳動粒子や溶媒種によって適宜決定されるが、電気泳動表示用液全量に対して、0.01〜50.0%となるように含有されることが好ましく、更に好ましくは、1〜30%となるように含有することが望ましい。
なお、電気泳動表示用液には、上記液体タイプの他、電気泳動粒子が空気中を移動する応答速度の速い電子粉流体であってもよいものである。
実施形態の電気泳動表示層30は、負帯電の白色の電気泳動粒子(酸化チタン粒子)、正帯電の黒色粒子(カーボンブラックで着色された樹脂粒子)、分散剤及び分散液媒体を含有する電気泳動用表示液から構成されている。
上記前面板10の面上には、分散媒の揮発や空気水分等の透過を高度に抑制及び防止する点、前面板のキズ防止の点、並びに、保存信頼性維持の点から、光透過性の基材層群40が形成されている。
本発明の光透過性の基材層群40には、光による表示劣化防止抑制の点から、400nm以下の各波長における光透過率が50%以下となる光透過層41を有する。更に好ましくは、この光透過層41の390nm以下の各波長における光透過率は80%以下、より好ましくは90%以下、380nm以下の各波長における光透過率は95%以下であることが望ましい。また、表示性能の点から450nm以上の各波長における光透過率が70%以上であるものが望ましく、より良い表示コントラストを発現するためには80%以上であることが望ましい(以下、これらの400nm以下の各波長における光透過率50%以下、及び450nm以上の各波長における光透過率70%以上を「各光透過特性」という)。
この基材層群40は、表示デバイスとしての構成の自由度を向上させる観点から、粘着性能を有していることが望ましく、本実施形態では、光透過層41の下面に粘着層42を有している。この光透過層41及び粘着層42を有する基材層群40も、上記特性の光透過率を有するもの、すなわち、上記と同様に400nm以下の各波長における光透過率が50%以下となり、また、450nm以上の各波長における光透過率が70%以上となるものである。この基材層群40に粘着性能を有することにより、機能性を付与するための保護フィルム等の選択性が多くなり、使用目的によってそれぞれの要求特性を備えた表示デバイスの作製が容易になる。例えば、保護フィルムとして使用する基材層群40の中で、必要なガスバリア、溶剤バリアの性能を有する基材層となる光透過層41の一方の面に、上記特性を有する粘着層42に上記各光透過特性を付与することにより、表示デバイスとしての必要かつ十分な表示耐久性を有するパネルを得ることが可能になる。
本実施形態となる上記各光透過特性を有する光透過層41の厚さとして、光透過性の観点から、1〜200μmが好ましく、更に好ましくは、12〜125μmが望ましい。この厚さが1μm未満より薄くなると、所望の光透過性を得ることが難しくなり、十分な表示劣化抑制性能が得られず、一方、200μmを越えると、表示性、とりわけ高コントラストな表示性能が得難くなる。
また、本実施形態で示される粘着層42に、上記各光透過特性を付与する場合には電気泳動表示装置の保持力維持・表示性能維持の点から、この粘着層の厚さは1〜100μmであることが好ましく、更に好ましくは、5〜50μmであることが望ましい。この厚さが1μm未満では、十分な接着力乃至粘着力に起因する保持力や表示劣化抑制性能が得られず、一方、100μmを越えると、表示性能を維持するための表示パネルの平滑性維持等の問題が生じる場合がある。
粘着層42として用いる材料としては、例えば、接着剤、粘着剤としてアクリル系エマルジョン型材料、アクリル系溶剤型材料、ウレタン系材料、エポキシ系材料、エステル系材料、ゴム系材料などの乾燥皮膜として光透過性を有する材料を少なくとも1種(各単独又は2種類以上の混合物)用いることができ、これらの材料に所定の光透過特性(光吸収性)を持つ材料を含有させて用いることができる。
本発明において、上述の光透過特性(光吸収特性)を持つ材料としては、例えば、ベンゾンフェノン、ベンゾトリアゾール、ベンゾエート系等の有機系材料、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、三酸化タングステン、チタン酸ストロンチウム、シリコンカーバイド等の無機材料が挙げられ、これらの材料は所定の光透過特性(光吸収特性)を発現するために、単独、または複数成分でのブレンド、有機無機ハイブリット化、高分子化、他成分との付加反応等による変性、ポリマーとの共重合化、各種基材材料とのブレンド等及び好適な量を含有せしめることにより、目的の光透過特性(光吸収特性)を発現させる形態で使用することができる。
一方、透明基材層となる光透過層41に上記各光透過特性を付与する場合には電気泳動表示装置の表示性能維持・デバイスとしての信頼性維持の点から基材層に用いる材質によって所定の厚さに制御することが必要である。例えば、フィルム材料に上記特性を付与する場合には、表示性能維持・デバイス作製時のハンドリング性の観点から、12〜200μmであること好ましく、更に好ましくは、25〜125μmであることが望ましい。この厚さが12ミクロン未満より薄くなると、各種バリア性能維持が不十分になったり、デバイス作製時のハンドリング性が極端に悪くなり、一方、200μmを越えると、表示性能でのコントラストの低下等の問題が発生することがある。
光透過層41として用いるフィルム材料としては、例えば、PET、PEN、PC、PAR、TAC、PES、COP、PVDC、EVOH、PVA、PAN、ONY等の単層フィルムや多層フィルム、シリカやアルミナ等の蒸着フィルムが用いることができ、また、これらの材料に上記所定の光透過性(光吸収性)を持つ材料を含有させて用いることができる。
このように構成される本実施形態の電気泳動表示装置Aでは、透明な前面板10に形成された光透過性の電極11と、背面板20に形成された電極21が対向配置された基板電極間に、例えば、二酸化チタンを含有する電気泳動用表示液から構成された白黒表示を行う電気泳動表示層30を備えたものであり、上記前面板10に、粘着層42付き透明樹脂フィルム層41を有する上記各光透過特性、すなわち、400nm以下の各波長における光透過率が50%以下、更には390nm以下の各波長における光透過率が80%以下となり、450nm以上の各波長における光透過率が70%以上の基材層群40が形成されているので、太陽光による表示層の材料成分の変性、劣化を抑制することができるため、屋外等の使用においても紫外線等による表示劣化がなく、耐光性に優れた電気泳動表示装置が得られることになる。
図2は、本発明の電気泳動表示装置の第2実施形態を示す縦断面図である。
本実施形態の電気泳動表示装置Bは、図2に示すように、光透過性の基材層群が、上記各光透過特性を有する粘着層40aから形成されている点でのみ、上記第1実施形態の電気泳動表示装置Aと相違するものである。なお、図2中、上記第1実施形態と同様の構成は、同一の図示符号を示してその説明を省略する。また、この粘着層の厚さは、上記実施形態と同様に、好ましくは、1〜100μm、更に好ましくは、5〜50μmに設定されている。
このように構成される本実施形態の電気泳動表示装置Bは、上記第1実施形態と同様に、屋外等の使用においても紫外線等による表示劣化がなく耐光性に優れた電気泳動表示装置が得られるものとなる。
また、本実施形態の電気泳動表示装置Bでは、最上面に上記各光透過特性を有する光透過特性(光吸収特性)を持つ材料を含有した粘着層40aを形成しているので、店頭などのウィンドウガラスのガラス面の裏面(視覚する方向の裏面)側に接着し、接着した反対側となるガラス面の表面側に、広告内容等の表示を油性インキが充填された筆記具等を用いて赤色等の有彩色の表示部すれば、赤色以外の有彩色表示部以外のバックラウンドは電気泳動表示装置Bにより、黒色(又は白色)による表示内容とすることができ、また、白表示(又は黒表示)を交互に変化させることにより、ガラス面に観者の視線、興味を強く引くことができる広告表示媒体機能を発揮できる電気泳動表示装置が得られることとなる。更に、この標章等の広告内容を表示した表示部を消し具等で消去して、別の広告内容等を筆記具等で表示することにより、簡単に表示内容や広告内容を変更することができる。
従って、本実施形態の電気泳動表示装置Bは、紫外線等による表示劣化がなく耐光性に優れたものであり、しかも、店頭のカウンタ広告の他、例えば、駅や空港などでのメッセージボード、ホテルや旅館などでのウェルカムボードなどの屋外等での表示媒体として好適に用いることができるものとなる。
本発明の電気泳動表示装置は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の技術思想の範囲内で種々変更することができる。
例えば、背面基板にも透明性を有する基板を使用し、前面のみならず背面にも上述光吸収特性有する光透過性基板層群を具備することにより、両面から視認可能な情報表示媒体として使用しても良いものである。
また、それらを立体的に組み合わせて配置することで、様々な角度から多様な情報を視認できる情報表示媒体として使用しても良いものである。
次に、本発明を実施例及び比較例により更に詳述するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〜2及び比較例1〜2〕
下記各工程により、各電気泳動表示装置を得た。なお、各電気泳動表示装置は、用いた基材層群40が異なるものであり、他は共通の構成となるものである。
1)用いた基板10、20
前面板10、背面板20:PETフィルム(100μm)
基板間距離:50μm
2)用いた電極
前面電極:ITO(100Ω/□)
上記前面板10に前面電極をスパッタリング法により形成した。
背面電極:アルミニウム箔
3)電気泳動表示用液の調製
下記組成となる電気泳動表示用液を用いた。
黒粒子:カーボンブラック内包アクリル粒子 10重量部
白粒子:チタンカップリング剤により親油化処理した酸化チタン粒子 20重量部
分散剤:ソルビタントリオレート 3重量部
ヒドロキシエチルラウリルアミン 3重量部
分散媒:ノルマルパラフィン(新日本石油社製) 30重量部
SAS296(ジアリルアルカン、新日本石油化学社製) 34重量部
4)光透過性の基材層群40
下記表1に示す各基材層群40(基材層41+粘着層42、粘着層付き透明樹脂フィルム)を用いた。
5)電気泳動表示装置の作製
上記電極付き前面板と上記電極付き背面板を50μm厚のPETフィルムをレーザー加工により一辺を残した額縁状でライン/スペースが50μm/500μmの正方形の開口部が形成されたスペーサを介して対向配置させ、この空間内に上記配合で調製した電気泳動表示用液を封入することにより、電気泳動表示媒体を作製した。なお、シール部にはUV硬化型材料を使用した。この電気泳動表示媒体に上記のとおり光透過性の基材層群40を固定した。
得られた各電気泳動表示装置について、下記方法により耐光性を評価し、また、400nm以下となる400nm、390nm、350nmの各波長における光透過率、並びに、400nm以上となる450nmの波長における光透過率を測定した。
これらの結果を下記表1及び図3に示す。
(耐光性の評価方法)
電気泳動表示装置を2週間屋外に設置し、初期との表示性を目視にて比較し、下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:初期と表示性に変化がない。
○:コントラストの若干低下しているが、表示性能に問題がない。
△:コントラストが低下している。
×:表示性が著しく悪化している。
(各波長における光透過率の測定方法)
分光光度計(日立製作所製 UV3300)を用いて各波長(図3:300〜600nm、表1:350nm、390nm、400nm、450nm)における光透過率を測定した。
Figure 0005305596
上記表1の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1及び2は、本発明の範囲外となる比較例1及び2に較べて、屋外の使用においても紫外線等による表示劣化がなく耐光性に優れた電気泳動表示装置であることが判明した。
本発明の電気泳動表示装置の第1実施形態を示す部分縦断面図である。 本発明の電気泳動表示装置の第2実施形態を示す部分縦断面図である。 各波長(300〜600nm)における光透過率の関係を示す特性図である。
電気泳動表示装置
10 前面板
11 電極
20 背面板
21 電極
30 電気泳動表示層
40 基材層群
41 光透過層
42 粘着層

Claims (5)

  1. 透明な前面板に形成された光透過性の電極と、背面板に形成された電極が対向配置された基板電極間に電気泳動表示層を備えると共に、上記前面板上に光透過性の基材層群を備えた電気泳動表示装置であって、
    上記光透過性の基材層群には、400nm以下の各波長における光透過率が50%以下で、層の厚さが1〜200μmである光透過性層を有し、該光透過性の基材層群は、450nm以上の各波長における光透過率が70%以上であることを特徴とする電気泳動表示装置。
  2. 光透過性の基材層群は、粘着性を有することを特徴とする請求項1記載の電気泳動表示装置。
  3. 粘着性を有する光透過性の基材層群は、粘着層を有し、該粘着層に400nm以下の各波長における光透過率が50%以下となる光透過性を備えることを特徴とする請求項2記載の電気泳動表示装置。
  4. 電気泳動表示層には、粒子を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の電気泳動表示装置。
  5. 粒子が少なくとも酸化チタンであることを特徴とする請求項4記載の電気泳動表示装置。
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