JP5305279B2 - 多孔性金属錯体及びその製造方法 - Google Patents

多孔性金属錯体及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は多孔性金属錯体及びその製造方法に関する。
近年、新しい多孔質材料として多孔性金属錯体が注目されている(例えば、下記非特許文献1を参照。)。多孔性金属錯体は金属錯体分子が集積することによって細孔構造が形成された構造体であり、集積型金属錯体とも呼ばれている(例えば、下記非特許文献2を参照。)。多孔性金属錯体によれば、ゼオライトや活性炭などの多孔質材料と比較して、より均一なミクロ孔を設計、制御できると考えられている。
「新版 錯体化学−基礎と最新の展開」、基礎錯体工学研究会、講談社、2002年発行 「集積型金属錯体−クリスタルエンジニアリングからフロンティアオービタルエンジニアリングへ」、北川進、講談社、2001年発行
これまでに報告されている多孔性金属錯体の多くは金属イオンとして亜鉛イオンや銅イオンといった遷移金属イオンを用いたものである。一方、典型金属イオンであるアルミニウムイオンを用いた多孔性金属錯体は、遷移金属を用いた場合に比べて報告例がほとんどなく、また、その合成法も未だ確立されていない。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、アルミニウムイオンを含む多孔性金属錯体であって、十分な水素吸蔵能を有する多孔性金属錯体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために、アルミニウムイオン(Al3+、以下同じ。)と下記式(1)〜(3)のいずれかで表される芳香族カルボン酸との配位結合によって構成される金属錯体を含み、該金属錯体の複数が集積して形成された細孔構造を有することを特徴とする多孔性金属錯体を提供する。


本発明の多孔性金属錯体においては、1グラム当たりの細孔容積が約0.1cm以上であり、温度303K、水素圧力10MPaの雰囲気下での水素吸蔵量が0.1重量%以上であることが好ましい。
また、本発明は、アルミニウムイオンと、上記式(1)〜(3)のいずれかで表される芳香族カルボン酸とを、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド及び水から選ばれる1種又は2種以上の溶媒に加えて反応液を調製する工程と、該反応液を100℃以上に加熱し、アルミニウムイオンと上記式(1)〜(3)のいずれかで表される芳香族カルボン酸との配位結合によって構成される金属錯体を含み、該金属錯体の複数が集積して形成された細孔構造を有する多孔性金属錯体を得る工程と、を備えることを特徴とする多孔性金属錯体の製造方法を提供する。
本発明によれば、アルミニウムイオンを含む多孔性金属錯体であって、常温で十分な水素吸蔵能を有する多孔性金属錯体及びその製造方法が提供される。特に、本発明の多孔性金属錯体は、常温(例えば303K)での水素吸蔵能に優れるものであり、水素吸蔵材料として有用である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明の多孔性金属錯体は、アルミニウムイオンと上記式(1)〜(3)のいずれかで表される芳香族カルボン酸との配位結合によって構成される金属錯体(以下、「本発明にかかる金属錯体」ともいう。)を含み、該金属錯体の複数が集積することによって形成された細孔構造を有する。
本発明の多孔性金属錯体において、配位子は上記式(1)〜(3)のいずれでもよいが、低温(例えば77K)での水素吸蔵能と常温(例えば303K)での水素吸蔵能とを両立できる点から、上記式(1)又は(2)で表される芳香族カルボン酸が好ましく、常温での水素吸蔵能の点からは式(2)で表される芳香族カルボン酸が特に好ましい。
また、本発明にかかる金属錯体の集積によって形成される細孔構造は、配位子である芳香族カルボン酸の種類に応じて所定の構造をとることができる。例えば、配位子が式(2)で表される芳香族カルボン酸である場合には、J.AM.CHEM.SOC.2005,127,12788−12789.に報告されている多孔性金属錯体[Tb(C2715)]と同様の構造、すなわち[Tb(C2715)]のTbをAlに置き換えた構造をとることができる。参考のため、単結晶X線構造解析による[Tb(C2715)]の結晶構造を図1に示す。
また、本発明の多孔性金属錯体においては、常温での水素吸蔵能の点から、1グラム当たりの細孔容積が0.1cm以上であることが好ましく、0.2cm以上であることがより好ましい。
本発明の多孔性金属錯体は、常温で十分な水素吸蔵能を有するものであり、水素吸蔵材料として有用である。温度303K、水素圧力10MPaの雰囲気下での水素吸蔵量は、0.1重量%以上であることが好ましく、0.2重量%以上であることがより好ましい。
次に、本発明の多孔性金属錯体の製造方法について詳述する。
本発明の多孔性金属錯体の製造方法(以下、便宜的に「第1の製造方法」という。)は、アルミニウムイオンと、上記式(1)〜(3)のいずれかで表される芳香族カルボン酸と、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド及び水から選ばれる1種又は2種以上の溶媒と、を含有する反応液を調製する工程(以下、便宜的に「第1の工程」という。)と、上記反応液を100℃以上に加熱し、アルミニウムイオンと下記式(1)〜(3)のいずれかで表される芳香族カルボン酸との配位結合によって構成される金属錯体を含み、該金属錯体の複数が集積して形成された細孔構造を有する多孔性金属錯体を得る工程(以下、便宜的に「第2の工程」という。)と、を備える。
アルミニウムイオンの原料としては、市販されているアルミニウム塩の大抵を適用することができるが、例えば硝酸アルミニウム9水和物が好適である。反応液中のアルミニウムイオンの濃度は、好ましくは0.4〜2.0mol/Lである。
一方、上記式(1)〜(3)で表される芳香族カルボン酸は、市販品を用いてもよいが、以下のようにして合成することができる。
例えば、式(2)で表される芳香族カルボン酸の合成方法としては以下の方法が挙げられる。先ず、4−ブロモアセトフェノン、硫酸及び二硫酸カリウムを混合し、その混合物を150〜200℃で16〜32時間攪拌する。撹拌後、混合物にエタノールを加えて5〜12時間加熱還流させ、還流後室温まで自然冷却する。冷却後に反応液中に沈殿物が生じるのでこれを濾取し、水を加えて更に0.5〜3.0時間加熱還流させる。還流後、反応液を室温まで自然冷却し、生じた沈殿物を濾取し、エタノールで洗浄して1,3,5−トリス(p−ブロモフェニル)ベンゼンを得る。次いで、アルゴンガス雰囲気下、1,3,5−トリス(p−ブロモフェニル)ベンゼンとテトラヒドロフランとの溶液を−78〜−60℃に冷却し、ブチルリチウムn−ヘキサン溶液を滴下して0.5〜3.0時間反応させる。その後、−65℃〜−60℃でCOガスを1時間バブリングさせ、反応混合物に1N−塩酸3.0を滴下し、析出した沈殿物を濾取して式(2)で表される芳香族カルボン酸の粗生成物を得る。粗生成物をテトラヒドロフラン、次いでヘキサンで洗浄し、減圧下で乾燥させることにより、式(2)で表される芳香族カルボン酸が得られる。
また、式(3)で表される芳香族カルボン酸の合成方法としては以下の方法が挙げられる。先ず、4−メトキシカルボニルフェニルボロン酸、トリ−(p−ブロモフェニル)ベンゼン、フッ化セシウム、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム及び1,2−ジメトキシエタンの混合物を、窒素雰囲気下で48〜72時間加熱還流させる。還流後、ロータリーエバポレーターで反応混合物を濃縮し、水を加え、クロロホルムで抽出し、飽和食塩水で洗浄する。クロロホルム溶液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通して溶液を濃縮し、1,4−ジオキサンを用いて再結晶を行うことによって1,3,5−トリス(p−(4−メトキシカルボニル)ビフェニル)ベンゼンを得る。得られた1,3,5−トリス(p−(4−メトキシカルボニル)ビフェニル)ベンゼンを水酸化ナトリウム、水/メタノール混合溶媒と混合し、その混合物を2〜4時間加熱還流させる。還流後、pHが1になるまで濃塩酸を加えて白色沈殿を得る。この白色沈殿を濾取し、水/メタノール及びクロロホルムで洗浄し、乾燥させることによって、式(3)で表される芳香族カルボン酸が得られる。
反応液中の式(1)〜(3)で表される芳香族カルボン酸の濃度は、好ましくは0.4〜2.0mol/Lである。
また、溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド及び水から選ばれる1種又は2種以上が用いられる。これらの中でも、N,N−ジメチルホルムアミド又はN,N−ジエチルホルムアミドのいずれかを単独で用いるか、あるいはN,N−ジメチルホルムアミド/水混合溶媒又はN,N−ジエチルホルムアミド/水混合溶媒を用いることが好ましい。
また、上記第2の工程における反応温度は、上記の通り100℃以上であることが好ましく、130℃〜180℃であることがより好ましい。反応温度が100℃未満であると、目的の多孔性金属錯体が生成しにくい傾向にある。また、反応温度が180℃を超えると、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド等の溶媒が分解しやすくなる。
また、上記第2の工程における反応時間は反応温度等の条件によっても異なるが、長時間であるほど好ましく、例えば5時間以上であることが好ましい。
上記の第2の工程において、反応液の加熱は空気雰囲気中で行うことができるが、反応容器としてはオートクレーブ等の密閉型反応容器を用いることが好ましい。なお、フラスコ等を用いて開放系で反応液の加熱を行っても多孔性金属錯体は生成するが、密閉型反応容器を用いる場合に比べて収率が低くなる傾向にある。
生成した本発明の多孔性金属錯体は、反応液から濾取し、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド等の溶媒で洗浄することができる。
また、本発明の多孔性金属錯体は、アルミニウムイオンと、上記式(1)〜(3)のいずれかで表される芳香族カルボン酸と、水、エタノール、メタノール、テトラヒドロフラン及び水/テトラヒドロフラン混合溶媒から選ばれる溶媒とを含む反応液を、塩基性条件下で撹拌する方法(以下、便宜的に「第2の製造方法」という。)によっても製造することができる。かかる第2の製造方法は、反応液の加熱を必要とせず、例えば室温で行うことができる。
上記第2の製造方法に用いる溶媒としては、水、エタノール、メタノール、テトラヒドロフラン及び水/テトラヒドロフラン混合溶媒を用いることができるが、中でもエタノールが最も好ましい。
また、上記第2の製造方法において、反応液を塩基性にする試薬としては、市販されている無機水酸化物塩、無機炭酸塩の大抵を本発明に適用でき、その他トリエチルアミンなどのアルキルアミンも適用できる。これら塩基性試薬の中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミンが経験上最も好ましい。試薬の使用量は、反応液のpHが7.5〜12.0となるように調整することが好ましい。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
(式(2)で表される芳香族カルボン酸の合成)
4−ブロモアセトフェノン(シグマアルドリッチ製)0.8kg、硫酸(40ml)および2硫酸カリウム1.2kgからなる混合物を180℃にて18時間攪拌した。撹拌後、混合物にエタノール3.0Lを加えて7時間加熱還流させ、還流後室温まで自然冷却させたところ、沈殿物が生じたのでこれを濾取した。濾取した沈殿物に水3.0Lを加えて1時間加熱還流させた後、反応液を室温まで自然冷却し、エタノール0.5Lで洗浄し、1,3,5−トリス(p−ブロモフェニル)ベンゼン0.58kgを得た。
アルゴンガス雰囲気下、1,3,5−トリス(p−ブロモフェニル)ベンゼン0.58kgおよびテトラヒドロフラン7.2Lからなる溶液を−65℃まで冷却した。−65℃〜−60℃で1.6mol/Lブチルリチウムn−ヘキサン溶液(和光純薬工業製)2.1Lを滴下した。−65℃で1時間反応させた後、−65℃〜−60℃でCOガスを1時間バブリングさせた。この反応混合物に1N−塩酸2.5Lを滴下し、析出した沈殿物を濾取して式(2)で表される芳香族カルボン酸の粗生成物0.40gを得た。粗生成物をテトラヒドロフラン、次いでヘキサンで洗浄し、減圧下で乾燥させ、式(2)で表される芳香族カルボン酸0.29gを得た。
(多孔性金属錯体の合成)
上記の操作を複数回繰り返した後、得られた式(2)で表される芳香族カルボン酸1.0gを、硝酸アルミニウム9水和物0.86gおよびN,N−ジエチルホルムアミド(50mL)と共にポリテトラフルオロエチレン製のるつぼ(フロン工業(株)製)に入れ、るつぼをステンレスジャケットで密封した。ステンレスジャケットを150℃に温度調整したオイルバスに24時間浸した後、室温まで冷却させ、反応液中に生じた白色沈殿を濾取することにより、多孔性金属錯体1.4gを得た。
実施例1の多孔性金属錯体についてX線回折(XRD)及び熱重量分析(TG)を行った。得られたXRDチャートを図2に、TGチャートを図3に、それぞれ示す。また、図2には[Tb(C2715)]のX線回折パターンを併せて示す。図2に示したように、実施例1の多孔性金属錯体と[Tb(C2715)]とは回折パターンがほぼ一致していた。このことから、実施例1の多孔性金属錯体は、図1に示した[Tb(C2715)]と同様の構造、すなわち[Tb(C2715)]のTbをAlに置き換えた構造をとっていることが示唆された。また、TGにおける重量減少より、実施例1の多孔性金属錯体の組成は[Al(C2715)]・3DEF(DEFはN,N−ジエチルホルムアミドを表す。)であることが示唆された。なお、[Al(C2715)]・3DEFにおける3DEFについては、250℃にて10時間真空乾燥させることにより容易に除去されるものであり、この実験事実は図3に示すTGチャートからも支持される。
また、実施例1の多孔性金属錯体について、温度77Kにおける窒素吸着量及び細孔容積の測定を行った。これらの測定には日本ベル(株)製BELSORP−maxを用い、多孔性金属錯体の入ったサンプル管部分を液体窒素に浸した状態で測定を行った。得られた吸着等温線を図4に示す。また、実施例1の多孔性金属錯体1グラム当たりの細孔容積は1.11cmであった。
また、実施例1の多孔性金属錯体について、温度77K又は303Kにおける水素吸蔵量を測定した。水素吸蔵量は(株)レスカ製水素吸蔵量測定装置を用い、多孔性金属錯体の入ったサンプル管部分を液体窒素又は303Kの水槽に浸した状態で測定を行った。77Kにおける平衡圧力と水素吸蔵量との関係を図5に、303Kにおける平衡圧力と水素吸蔵量との関係を図6に、それぞれ示す。実施例1の多孔性金属錯体の場合、温度77K、水素圧力0.1MPaでの水素吸蔵量は1.76重量%であり、温度303K、水素圧力10MPaでの水素吸蔵量は0.60重量%であった。
[実施例2]
(多孔性金属錯体の合成)
式(1)で表される芳香族カルボン酸(ビフェニルジカルボン酸、東京化成工業製)0.55gを、硝酸アルミニウム9水和物0.86g及びN,N−ジエチルホルムアミド50mLと共にポリテトラフルオロエチレン製のるつぼ(フロン工業(株)製)に入れ、るつぼをステンレスジャケットで密封した。ステンレスジャケットを150℃に温度調整したオイルバスに24時間浸した後、室温まで冷却させ、反応液中に生じた白色沈殿を濾取することにより、多孔性金属錯体1.6gを得た。
このようにして得られた実施例2の多孔性金属錯体について、実施例1と同様にして、X線回折及び熱重量分析、温度77Kにおける窒素吸着量及び細孔容積の測定、並びに温度77K又は303Kにおける水素吸蔵量の測定を行った。XRDチャートを図7に、TGチャートを図8に、吸着等温線を図9に、77Kにおける平衡圧力と水素吸蔵量との関係を図10に、303Kにおける平衡圧力と水素吸蔵量との関係を図11に、それぞれ示す。実施例2の多孔性金属錯体1グラム当たりの細孔容積は0.77cmであった。また、実施例2の多孔性金属錯体の場合、温度77K、水素圧力0.1MPaでの水素吸蔵量は2.27重量%であり、温度303K、水素圧力10MPaでの水素吸蔵量は0.59重量%であった。
[実施例3]
(式(3)で表される芳香族カルボン酸の合成)
4−メトキシカルボニルフェニルボロン酸(東京化成工業製)10g、トリ−(p−ブロモフェニル)ベンゼン(シグマアルドリッチ社製)10g、フッ化セシウム(シグマアルドリッチ社製)15g、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(和光純薬工業製)0.83g及び1,2−ジメトキシエタン500mLの混合物を、窒素雰囲気下で25時間加熱還流させた。還流後、ロータリーエバポレーターで反応混合物を濃縮し、水250mLを加え、クロロホルム450mLで抽出し、飽和食塩水100mLで洗浄した。クロロホルム溶液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通した後、溶液を濃縮し、1,4−ジオキサンを用いて再結晶を行い1,3,5−トリス(p−(4−メトキシカルボニル)ビフェニル)ベンゼン8.5gを得た。
次に、得られた1,3,5−トリス(p−(4−メトキシカルボニル)ビフェニル)ベンゼン7.6gを、水酸化ナトリウム(和光純薬工業製)4.3g及び水/メタノール(v:v=1:1)200mLと混合し、その混合液を15時間加熱還流させた。還流後、pHが1になるまで濃塩酸を加えると白色沈殿が生じた。白色沈殿を濾取して水/メタノール(v:v=1:1)60mL及びクロロホルム20mLで洗浄し、乾燥させて、式(3)で表される芳香族カルボン酸6.3gを得た。
(多孔性金属錯体の合成)
このようにして得られた式(3)で表される芳香族カルボン酸1.5gを、硝酸アルミニウム9水和物0.86g及びN,N−ジエチルホルムアミド50mLと共にをのポリテトラフルオロエチレン製のるつぼ(フロン工業(株)製)に入れ、るつぼをステンレスジャケットで密封した。ステンレスジャケットを150℃に温度調整したオイルバスに24時間浸した後、室温まで冷却させ、反応液中に生じた白色沈殿を濾取することにより、多孔性金属錯体1.8gを得た。
このようにして得られた実施例3の多孔性金属錯体について、実施例1と同様にして、X線回折及び熱重量分析、温度77Kにおける窒素吸着量及び細孔容積の測定、並びに温度77K又は303Kにおける水素吸蔵量の測定を行った。XRDチャートを図12に、TGチャートを図13に、吸着等温線を図14に、77Kにおける平衡圧力と水素吸蔵量との関係を図15に、303Kにおける平衡圧力と水素吸蔵量との関係を図16に、それぞれ示す。実施例3の多孔性金属錯体1グラム当たりの細孔容積は0.90cmであった。また、実施例3の多孔性金属錯体の場合、温度77K、水素圧力0.1MPaでの水素吸蔵量は1.25重量%、温度303K、水素圧力10MPaでの水素吸蔵量は0.39重量%であった。
[比較例1]
(多孔性金属錯体の合成)
式(1)で表される芳香族カルボン酸(ビフェニルジカルボン酸、東京化成工業製)0.55gに代えてテレフタル酸(ベンゼン−1,4−ジカルボン酸)0.38gを用いたこと以外は実施例2と同様にして、多孔性金属錯体を合成した。
このようにして得られた比較例1の多孔性金属錯体について、実施例1と同様にして、温度77Kにおける窒素吸着量及び細孔容積の測定、並びに温度303Kにおける水素吸蔵量の測定を行った。吸着等温線を図17に、303Kにおける平衡圧力と水素吸蔵量との関係を図18に、それぞれ示す。比較例1の多孔性金属錯体1グラム当たりの細孔容積は0.52cmであった。また、比較例1の多孔性金属錯体の場合、温度303K、水素圧力10MPaでの水素吸蔵量は0.37重量%であった。
単結晶X線構造解析による[Tb(C2715)]の結晶構造を示す図である。 実施例1で得られた多孔性金属錯体及び[Tb(C2715)]のX線回折パターンを示すXRDチャートである。 実施例1で得られた多孔性金属錯体のTGチャートである。 実施例1で得られた多孔性金属錯体の吸着等温線を示すグラフである。 実施例1で得られた多孔性金属錯体について測定された、77Kにおける平衡圧力と水素吸蔵量との関係を示すグラフである。 実施例1で得られた多孔性金属錯体について測定された、303Kにおける平衡圧力と水素吸蔵量との関係を示すグラフである。 実施例2で得られた多孔性金属錯体のX線回折パターンを示すXRDチャートである。 実施例2で得られた多孔性金属錯体のTGチャートである。 実施例2で得られた多孔性金属錯体の吸着等温線を示すグラフである。 実施例2で得られた多孔性金属錯体について測定された、77Kにおける平衡圧力と水素吸蔵量との関係を示すグラフである。 実施例2で得られた多孔性金属錯体について測定された、303Kにおける平衡圧力と水素吸蔵量との関係を示すグラフである。 実施例3で得られた多孔性金属錯体のX線回折パターンを示すXRDチャートである。 実施例3で得られた多孔性金属錯体のTGチャートである。 実施例3で得られた多孔性金属錯体の吸着等温線を示すグラフである。 実施例3で得られた多孔性金属錯体について測定された、77Kにおける平衡圧力と水素吸蔵量との関係を示すグラフである。 実施例3で得られた多孔性金属錯体について測定された、303Kにおける平衡圧力と水素吸蔵量との関係を示すグラフである。 比較例1で得られた多孔性金属錯体の吸着等温線を示すグラフである。 比較例1で得られた多孔性金属錯体について測定された、303Kにおける平衡圧力と水素吸蔵量との関係を示すグラフである。

Claims (5)

  1. アルミニウムイオンと下記式(3)で表される芳香族カルボン酸との配位結合によって構成される金属錯体を含み、該金属錯体の複数が集積して形成された細孔構造を有することを特徴とする多孔性金属錯体。
  2. アルミニウムイオンと下記式(2)で表される芳香族カルボン酸との配位結合によって構成される金属錯体を含み、該金属錯体の複数が集積して形成された細孔構造を有することを特徴とする多孔性金属錯体。
  3. アルミニウムイオンと下記式(1)で表される芳香族カルボン酸との配位結合によって構成される金属錯体を含み、該金属錯体の複数が集積して形成された細孔構造を有することを特徴とする多孔性金属錯体。
  4. 1グラム当たりの細孔容積が0.1cm以上であり、温度303K、水素圧力10MPaの雰囲気下での水素吸蔵量が0.1重量%以上であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の多孔性金属錯体。
  5. アルミニウムイオンと、下記式(1)〜(3)のいずれかで表される芳香族カルボン酸と、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド及び水から選ばれる1種又は2種以上の溶媒と、を含有する反応液を調製する工程と、
    前記反応液を100℃以上に加熱し、アルミニウムイオンと下記式(1)〜(3)のいずれかで表される芳香族カルボン酸との配位結合によって構成される金属錯体を含み、該金属錯体の複数が集積して形成された細孔構造を有する多孔性金属錯体を得る工程と、
    を備えることを特徴とする多孔性金属錯体の製造方法。


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