JP6052663B2 - 多孔性金属錯体、多孔性金属錯体の製造方法、吸蔵材料及び光機能材料 - Google Patents

多孔性金属錯体、多孔性金属錯体の製造方法、吸蔵材料及び光機能材料 Download PDF

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本発明は、多孔性金属錯体、多孔性金属錯体の製造方法、吸蔵材料及び光機能材料に関するものである。
多孔性金属錯体は有機配位子を金属原子又はそのイオンによって連結することで構成される無限骨格構造をもつ化合物群の総称である。近年、この多孔性金属錯体が新しい多孔質材料として注目されている(非特許文献1)。
多孔性金属錯体は、金属錯体分子が集積することによって細孔構造が形成された構造体であり、集積型金属錯体とも呼ばれている(非特許文献2)。多孔性金属錯体は、ゼオライトや活性炭などの多孔質材料と比較して、より均一なミクロ孔を設計することができ、孔径を制御できると考えられている。
基礎錯体工学研究会,「新版 錯体化学−基礎と最新の展開」,講談社,2002年 北川進著,「集積型金属錯体−クリスタルエンジニアリングからフロンティアオービタルエンジニアリングへ」,講談社,2001年
これまで、ベンゼンジカルボン酸(テレフタル酸)やベンゼントリカルボン酸(トリメシン酸)などの化合物を配位子として用いた多孔性金属錯体がよく知られており、それらの多孔性金属錯体のガス吸蔵特性が知られている。しかし、それらの多孔性金属錯体のガス吸蔵特性は十分なものではなかった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、十分なガス吸蔵特性を有する新規な多孔性金属錯体、その製造方法及びそれを用いた吸蔵材料を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の一態様は、周期表第2族〜第13族から選択される1種の金属原子又はそのイオンと、下記一般式(1)で表され、金属原子又はそのイオンに対して配位結合を形成可能な非共有電子対を有する配位基を備えた配位子と、を含み、前記金属原子又はそのイオンと前記配位基との配位結合を有する多孔性金属錯体を提供する。
Figure 0006052663
(式中、Pは、下記(A)及び(B)からなる群から選ばれる1つの基、または下記(A)及び(B)からなる群から選ばれる2以上5以下の基が連結してなる2価の基、を表し、少なくとも1つのPは、下記(A)からなる群から選ばれる1つの基と下記(B)からなる群から選ばれる1つの基とを含む。Pが複数ある場合、複数のPは互いに同一でも異なっていてもよい。
(A)置換基を有していてもよい芳香族複素環化合物から、芳香環に結合する2つの水素原子を取り去って得られる2価の基
(B)置換基を有していてもよい芳香族炭化水素化合物から、芳香環に結合する2つの水素原子を取り去って得られる2価の基
Qは、置換基を有してもよいm価の芳香族炭化水素基を表す。
Rは、配位基であり、−CO 、−SO 、−OPO 2−、−OPO、−C≡N、ピリジル基、イミダゾリル基又はイミダゾレート基を表す。
mは3〜6の整数を表し、nは0または1である。複数存在するnは互いに同一であっても異なっていてもよい。ただし、複数存在するnの少なくとも1つは1である。)
本発明の一態様においては、前記一般式(1)におけるmが3であることが好ましい。
本発明の一態様においては、前記一般式(1)におけるQが、置換基を有してもよいベンゼン環であることが好ましい。
本発明の一態様においては、前記一般式(1)における全てのnが1であることが好ましい。
本発明の一態様においては、前記多孔性金属錯体に含まれる2つの金属原子又はそのイオンにそれぞれ配位することで、前記2つの金属原子又はそのイオンを架橋する補助配位子を更に含むことが好ましい。
本発明の一態様は、周期表第2族〜第13族から選択される1種の金属原子を含む金属塩と、下記一般式(2)で表され、金属原子又はそのイオンに対して配位結合を形成可能な基を備えた芳香族化合物とを、1種又は2種以上の極性溶媒を含む溶媒に溶解又は分散させた反応液を得る工程と、前記反応液を反応させる工程と、を備える多孔性金属錯体の製造方法を提供する。
Figure 0006052663
(式中、Pは、下記(A)及び(B)からなる群から選ばれる1つの基、または下記(A)及び(B)からなる群から選ばれる2以上5以下の基が連結してなる2価の基、を表し、少なくとも1つのPは、下記(A)からなる群から選ばれる1つの基と下記(B)からなる群から選ばれる1つの基とを含む。Pが複数ある場合、複数のPは互いに同一でも異なっていてもよい。
(A)置換基を有していてもよい芳香族複素環化合物から、芳香環に結合する2つの水素原子を取り去って得られる2価の基
(B)置換基を有していてもよい芳香族炭化水素化合物から、芳香環に結合する2つの水素原子を取り去って得られる2価の基
Qは、置換基を有してもよいm価の芳香族炭化水素基を表す。
は、−CO、−SO、−OPO 、−C≡N、ピリジル基、イミダゾリル基又は下記式(x−1)又は(x−2)で表される基を表す(ここで、Rは水素原子、アルカリ金属原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、複数ある場合は互いに同一であっても異なっていてもよい。下記式(x−1)又は(x−2)中、Maはアルカリ金属原子を表す)。
Figure 0006052663
mは3〜6の整数を表し、nは0または1を表す。複数存在するnは互いに同一であっても異なっていてもよい。ただし、複数存在するnの少なくとも1つは1である。)
本発明の一態様においては、前記反応液を反応させる工程では、60℃以上250℃以下の範囲で加熱して前記反応液を反応させることが好ましい。
本発明の一態様においては、前記一般式(2)におけるRが−COであり、かつ、Rが水素原子又はアルカリ金属原子であることが好ましい。
本発明の一態様においては、前記Rが水素原子であることが好ましい。
本発明の一態様においては、前記反応液を反応させる工程の後に、前記反応液に、多孔性金属錯体に含まれる2つの金属原子又はそのイオンにそれぞれ配位することで、前記2つの金属原子又はそのイオンを架橋しうる補助配位子を、溶解又は分散させて前記2つの金属原子又はそのイオンと反応させる工程を更に含むことが好ましい。
本発明の一態様においては、前記反応液を反応させる工程の前に、前記反応液に、多孔性金属錯体に含まれる2つの金属原子又はそのイオンにそれぞれ配位することで、前記2つの金属原子又はそのイオンを架橋しうる補助配位子を、溶解又は分散させる工程を更に含むことが好ましい。
本発明の一態様は、上述の多孔性金属錯体を含む吸蔵材料を提供する。
本発明の一態様は、上述の多孔性金属錯体を含む光機能材料を提供する。
本発明によれば、十分なガス吸蔵能を有する新規な多孔性金属錯体を提供することができる。また、本発明によれば多孔性金属錯体の製造方法を提供することができる。また本発明によれば、多孔性金属錯体からなる光機能材料を提供することが出来る。
実施例1で合成した多孔性金属錯体(A)の熱重量測定の結果を示す図である。 実施例1で合成した多孔性金属錯体(A)の粉末X線回折図である。 実施例1で合成した多孔性金属錯体(A)の77Kにおける窒素の吸脱着等温線である。 実施例1で合成した多孔性金属錯体(A)の195Kにおける二酸化炭素の吸脱着等温線である。 実施例1で合成した多孔性金属錯体(A)の77Kにおける水素の吸脱着等温線である。 実施例1で合成した多孔性金属錯体(A)の単結晶X線結晶構造解析により得られたORTEP図である。 実施例1で合成した多孔性金属錯体(A)の吸収および発光スペクトルである。 実施例2で合成した多孔性金属錯体(B)の熱重量測定の結果を示す図である。 実施例2で合成した多孔性金属錯体(B)の粉末X線回折図である。 実施例2で合成した多孔性金属錯体(B)の77Kにおける窒素の吸脱着等温線である。 実施例2で合成した多孔性金属錯体(B)の単結晶X線結晶構造解析により得られたORTEP図である。
本実施形態の多孔性金属錯体は、周期表第2族〜第13族から選択される1種の金属原子又はそのイオンと、下記一般式(1)で表され、金属原子又はそのイオンに対して配位結合を形成可能な非共有電子対を有する配位基を備えた配位子と、を含み、前記金属原子又はそのイオンと前記配位基との配位結合を有するものである。
Figure 0006052663
(式中、Pは、下記(A)及び(B)からなる群から選ばれる1つの基、または下記(A)及び(B)からなる群から選ばれる2以上5以下の基が連結してなる2価の基、を表し、少なくとも1つのPは、下記(A)からなる群から選ばれる1つの基と下記(B)からなる群から選ばれる1つの基とを含む。Pが複数ある場合、複数のPは互いに同一でも異なっていてもよい。
(A)置換基を有していてもよい芳香族複素環化合物から、芳香環に結合する2つの水素原子を取り去って得られる2価の基
(B)置換基を有していてもよい芳香族炭化水素化合物から、芳香環に結合する2つの水素原子を取り去って得られる2価の基
Qは、置換基を有してもよいm価の芳香族炭化水素基を表す。
Rは、配位基であり、−CO 、−SO 、−OPO 2−、−OPO、−C≡N、ピリジル基、イミダゾリル基又はイミダゾレート基を表す。
mは3〜6の整数を表し、nは0または1である。複数存在するnは互いに同一であっても異なっていてもよい。ただし、複数存在するnの少なくとも1つは1である。)
また、本実施形態の多孔性金属錯体の製造方法は、周期表第2族〜第13族から選択される1種の金属原子を含む金属塩と、下記一般式(2)で表され、金属原子又はそのイオンに対して配位結合を形成可能な基を備えた芳香族化合物とを、1種又は2種以上の極性溶媒を含む溶媒に溶解又は分散させた反応液を得る工程と、前記反応液を反応させる工程と、を備える。
Figure 0006052663
(式中、Pは、下記(A)及び(B)からなる群から選ばれる1つの基、または下記(A)及び(B)からなる群から選ばれる2以上5以下の基が連結してなる2価の基、を表し、少なくとも1つのPは、下記(A)からなる群から選ばれる1つの基と下記(B)からなる群から選ばれる1つの基とを含む。Pが複数ある場合、複数のPは互いに同一でも異なっていてもよい。
(A)置換基を有していてもよい芳香族複素環化合物から、芳香環に結合する2つの水素原子を取り去って得られる2価の基
(B)置換基を有していてもよい芳香族炭化水素化合物から、芳香環に結合する2つの水素原子を取り去って得られる2価の基
Qは、置換基を有してもよいm価の芳香族炭化水素基を表す。
は、−CO、−SO、−OPO 、−C≡N、ピリジル基、イミダゾリル基又は下記式(x−1)又は(x−2)で表される基を表す(ここで、Rは水素原子、アルカリ金属原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、複数ある場合は互いに同一であっても異なっていてもよい。下記式(x−1)又は(x−2)中、Maはアルカリ金属原子を表す)。
Figure 0006052663
mは3〜6の整数を表し、nは0または1を表す。複数存在するnは互いに同一であっても異なっていてもよい。ただし、複数存在するnの少なくとも1つは1である。)
また、本実施形態の吸蔵材料は、上述の多孔性金属錯体を含むものである。
また、本実施形態の光機能材料は、上述の多孔性金属錯体を含むものである。
以下、順に説明する。
<多孔性金属錯体>
(芳香族化合物)
本実施形態の前記一般式(1)で表され、配位基を有する配位子について説明する。
一般式(1)中、Pは、下記(A)及び(B)からなる群から選ばれる1つの基、または下記(A)及び(B)からなる群から選ばれる2以上5以下の基が連結してなる2価の基、を表し、少なくとも1つのPは、下記(A)からなる群から選ばれる1つの基と下記(B)からなる群から選ばれる1つの基とを含む。Pが複数ある場合、複数のPは互いに同一でも異なっていてもよい。
(A)置換基を有していてもよい芳香族複素環化合物から、芳香環に結合する2つの水素原子を取り去って得られる2価の基
(B)置換基を有していてもよい芳香族炭化水素化合物から、芳香環に結合する2つの水素原子を取り去って得られる2価の基
なお、「(A)及び(B)からなる群から選ばれる2以上5以下の基が連結してなる2価の基」とは、(A)及び(B)からなる群から選ばれる2以上5以下の基が、それぞれの結合部位で直列に連結した結果、両末端の芳香環にそれぞれ1つずつ結合部位を有する2価の基のことを示す。
ここで(A)として表される2価の基における芳香族複素環としては、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、フラン環、チオフェン環、チアゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環等が挙げられる。本実施形態の多孔性金属錯体の合成が容易であることから、好ましくはピロール環、ピリジン環、フラン環、チオフェン環であり、より好ましくはフラン環、チオフェン環、ピロール環である。
また、(B)として表される2価の基における芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、が好ましい例として挙げられる。
前記一般式(1)において、Pが複数ある場合は、秩序だった細孔構造を形成し易いことから、複数のPが同一であるものが好ましい。
前記一般式(1)中、Qは置換基を有していてもよいm価の芳香族炭化水素基を表す。この芳香族炭化水素基を構成する芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、アントラキノン環等が挙げられる。
本実施形態の多孔性金属錯体の合成が容易であることから、Qを構成する芳香族炭化水素環として好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、アントラキノン環であり、より好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、アントラキノン環であり、さらに好ましくはベンゼン環、ナフタレン環であり、特に好ましくはベンゼン環である。
前記P及び前記Qが有していてもよい置換基としては、
フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;炭素数1〜4のアルキル基を有するシリル基;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、へキシル基、シクロへキシル基、ノルボニル基、ノニル基、シクロノニル基、デシル基、アダマンチル基、ドデシル基、シクロドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、ドコシル基等の炭素数1〜50の直鎖、分岐又は環状のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基等の全炭素数1〜50の直鎖、分岐又は環状のアルキル基を有するアルコキシ基;フェニル基、4−ブロモフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、4−ビフェニル基、2−メチルフェニル基、3−エテニルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、3,5−ジブロモフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、3,5−ジヒドロキシフェニル基、4−tert−ブチル−2,6−メトキシメチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−オクチルフェニル基、4−ドデシルフェニル基、4−メチルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アントリル基等の全炭素数6〜60のアリール基等が挙げられる。
本実施形態の多孔性金属錯体の合成が容易であることから、前記P及び前記Qが有していてもよい置換基として好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、tert−ブチル基、シクロへキシル基、ノルボニル基、アダマンチル基等の炭素数1〜20のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基等の炭素数1〜10の直鎖、分岐のアルコキシ基;フェニル基、4−ブロモフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、4−ビフェニル基、2−メチルフェニル基、3−エテニルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、3,5−ジブロモフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、3,5−ジヒドロキシフェニル基、4−tert−ブチル−2,6−メトキシメチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−オクチルフェニル基、4−ドデシルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アントリル基等の炭素数6〜30のアリール基であり、
より好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、シクロへキシル基、ノルボニル基、アダマンチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、4−ブロモフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、4−ビフェニル基、2−メチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−オクチルフェニル基、4−ドデシルフェニル基、2−ナフチル基、9−アントリル基であり、
さらに好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基である。
なお、これらの置換基の説明、例示は、本明細書中の「置換基」において、同様である。
前記一般式(1)中、Rは、多孔性金属錯体において金属原子又はそのイオンに対して配位結合を形成可能な非共有電子対を有する配位基であり、−CO 、−SO 、−OPO 2−、−OPO、−C≡N、ピリジル基、イミダゾリル基又はイミダゾレート基を表す。
ここで「ピリジル基」は、−CNで表される基であり、結合位が2位、3位、4位のいずれであってもよい。
また、「イミダゾリル基」は、−Cで表される基であり、結合位が1位、2位、4位のいずれであってもよい。
また、「イミダゾレート基」は、−Cで表される基であり、環を構成する3つの炭素原子および2つの窒素原子の計5つの原子で金属に配位する配位基である。
Rとして好ましくは−CO 、−SO 、−OPO 2−、−OPOであり、さらに好ましくは−CO 、−SO である。
前記一般式(1)中、mは3〜6の整数を表す。本実施形態の多孔性金属錯体の合成が容易であることから、mは3又は4であることが好ましく、3であることがさらに好ましい。
前記一般式(1)中、nは0または1である。複数存在するnは互いに同一であっても異なっていてもよい。ただし、複数存在するnの少なくとも1つは1である。本実施形態の多孔性金属錯体の合成が容易であることから、全てのnが1であることが好ましい。
前記一般式(1)で表される配位子としては、以下の式(1−a)〜(1−t)で表される配位子が好ましい。
Figure 0006052663
Figure 0006052663
Figure 0006052663
Figure 0006052663
Figure 0006052663
次に、前記一般式(1)で表される配位子の前駆体となる芳香族化合物(前記一般式(2)で表される芳香族化合物)の製造方法を説明する。
前記一般式(2)で表される芳香族化合物は、公知の如何なる方法で製造してもよいが、例えば、以下の方法で製造することができる。
前記一般式(2)で表される芳香族化合物は、下記一般式(3−a)、(3−b)で表されるような化合物と、下記一般式(4−a)〜(4−j)で表されるような化合物との、クロスカップリング反応によって合成することができる。下記一般式(3−a)、(3−b)で表される化合物は、上記一般式(2)におけるQに対応する化合物であり、下記一般式(4−a)〜(4−j)で表される化合物は、上記一般式(2)におけるPおよびRに対応する化合物である。
Figure 0006052663
上記一般式(3−a)、(3−b)において、Xはハロゲン原子、ニトロ基又は−OSOYで表される基(ここで、Yは置換されていても良い炭素数1〜6の直鎖、分岐又は環状のアルキル基)を表す。複数のXは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(4−a)〜(4−j)において、Rは−CO、−SO、−OPO 、−C≡N、ピリジル基、イミダゾリル基又は下記式(x−1)又は(x−2)で表される基を表す。
Figure 0006052663
ここで、Rは、上記一般式(2)におけるRに対応し、水素原子、アルカリ金属原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。Rが複数ある場合は互いに同一であっても異なっていてもよい。また、上記式(x−1)又は(x−2)中、Maはアルカリ金属原子を表す。
上記一般式(4−a)〜(4−j)において、Mは、−B(OY)、−Si(Y)、−Sn(Y)、−Z(Z)αを表す。
ここで、Yは水素原子又は置換されていても良い炭素数1〜6の直鎖、分岐又は環状のアルキル基を表し、2個のYは同一であっても異なっていても良く、2個のYが一緒になって環を形成してもよい。
は置換されていても良い炭素数1〜6の直鎖、分岐又は環状のアルキル基を表し、3個のYは同一であっても異なっていても良い。
は置換されていても良い炭素数1〜6の直鎖、分岐又は環状のアルキル基を表し、3個のYは同一であっても異なっていても良い。
はリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、銅又は亜鉛のイオンを表し、Zは塩化物イオン、臭化物イオン又はヨウ化物イオンを表す。
なお、αは0以上の整数である。
前記クロスカップリング反応は、上記一般式(3−a)、(3−b)で表される化合物および上記一般式(4−a)〜(4−j)で表される化合物を、これらの化合物を分解しない適切な溶媒に溶解させて行うことが好ましい。溶媒としては、トルエン、キシレン、ベンゼン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド及びこれらの混合溶媒が挙げられる。
前記クロスカップリング反応に用いる触媒としては鉄錯体、ニッケル錯体、ルテニウム錯体、パラジウム錯体、白金錯体などが挙げられる。
前記クロスカップリング反応は、好ましくは60℃以上150℃以下、より好ましくは80℃以上120℃以下で行われる。クロスカップリング反応の反応時間は、好ましくは5分以上100時間以下、より好ましくは1時間以上48時間以下、特に好ましくは5時間以上24時間以下である。なお、反応温度及び反応時間は、触媒、溶媒の組み合わせにより調整することができる。
(金属原子又はそのイオン)
次に、本実施形態の多孔性金属錯体に含まれる金属原子及びそのイオンについて説明する。
本実施形態の金属原子又はそのイオンとは、周期表第2族〜第13族から選択される金属原子又はそのイオンである。
具体的には、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、亜鉛、カドミウム、水銀、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウムの原子またはイオンである。
前記一般式(1)で表される配位子と錯体形成をしやすいため、好ましくは、マグネシウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、銅、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウムの原子またはイオンであり、
より好ましくは、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、クロム、鉄、銅、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウムの原子またはイオンである。
(補助配位子)
本実施形態における多孔性金属錯体は、前記一般式(1)で表される配位子以外に多孔性金属錯体を形成するために必要な配位子(以下、補助配位子と称することがある)を有していてもよい。
補助配位子は、本実施形態の多孔性金属錯体に含まれる2つの金属原子又はそのイオン、例えば多孔性金属錯体の1分子当たりに含まれる2つの金属原子又はそのイオン、にそれぞれ配位することで、前記2つの金属原子又はそのイオンを架橋する配位子である。補助配位子は、金属原子又はそのイオンに配位可能な2以上の原子又は基を含み、2つの金属原子又はそのイオンに配位して架橋し、多孔性金属錯体の格子(骨格)の一部を構成する。
例えば、前記一般式(1)で表される配位子と上述の金属原子又はそのイオンとを反応させて得られる生成物が、面方向に広がりを有する板状(層状)の結晶構造となる場合、補助配位子を加え、層間を補助配位子で架橋することにより、多孔性金属錯体とすることができる。
ここで補助配位子としては、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、2,2’−ビピリジル、3,3’−ビピリジル、4,4’−ビピリジル、トリエチレンジアミンのような、孤立電子対を有する窒素原子を2つ有する化合物や、シュウ酸(エタン二酸)、マロン酸(プロパン二酸)、コハク酸(ブタン二酸)、フタル酸(ベンゼン−1,2−ジカルボン酸)、イソフタル酸(ベンゼン−1,3−ジカルボン酸)、テレフタル酸(ベンゼン−1,4−ジカルボン酸)のようなカルボキシ基を2つ有する化合物を挙げることができる。
取り扱いが容易であることから、好ましくはピラジン、4,4’−ビピリジル、トリエチレンジアミン、シュウ酸、テレフタル酸であり、より好ましくはピラジン、4,4’−ビピリジル、トリエチレンジアミンである。
(多孔性金属錯体の構造)
本実施形態における多孔性金属錯体は、結晶構造中に複数の細孔が規則正しく形成された構造を有している。本実施形態における多孔性金属錯体の製造方法について詳しくは後述するが、得られた金属錯体が「多孔性」であるか否かは、次の2つの条件のいずれかを満たすか否かを確認することにより判断できる。
(条件1)
まず、多孔性金属錯体は結晶性を示す傾向(つまり、規則正しい繰返し単位を有する傾向)がある。そのため、本実施形態の多孔性金属錯体は、粉末X線回折(XRD)の測定によって、回折ピーク(2θ)を与える。すなわち、後述の製造方法により製造した金属錯体が多孔性を有する場合、XRDの測定によって回折ピークを与える傾向がある。
本実施形態における多孔性金属錯体は、0.1°以上12°以下に2θの回折ピークが観測されるものが好ましい。さらに、2θの回折ピークが0.1°以上10°以下に観測されるものがより好ましく、0.1°以上8°以下に観測されるものがさらに好ましく、0.1°以上7°以下に観測されるものが特に好ましい。
(条件2)
また、後述の製造方法により製造した金属錯体が多孔性を示す場合、物質の表面積が非常に広いものとなることから、多孔性金属錯体を77Kにおける窒素の吸脱着等温線の測定から算出したBET比表面積が非常に大きい値を示す。具体的には、後述の製造方法により製造した金属錯体が多孔性を有する場合、BET比表面積の測定によって5m−1以上の値となる傾向がある。
多孔性金属錯体は、BET比表面積が5m−1以上20000m−1以下であるものが好ましい。さらに、BET比表面積が50m−1以上20000m−1以下であるものがより好ましく、100m−1以上20000m−1以下であるものがさらに好ましく、200m−1以上20000m−1以下であるものがよりさらに好ましい。
以上のような多孔性金属錯体は、十分なガス吸蔵特性を有する。
<多孔性金属錯体の製造方法>
本実施形態の多孔性金属錯体は、前記一般式(2)で表される芳香族化合物と周期表第2族〜第13族から選択される1種の金属原子を含む金属塩とを、1種又は2種以上の極性溶媒を含む溶液又は分散液(以下、反応液と称する)を調製する工程(第1の工程)と、前記反応液を反応させる工程(第2の工程)とを備える製造方法によって得ることができる。
ここで、反応液は、分散液であっても反応の進行と共に分散した反応基質を消費し、目的とする多孔性金属錯体を得ることができる。しかし、反応が進行しやすいことから、反応液は溶液であることが望ましい。
本実施形態の多孔性金属錯体の原料である前記一般式(2)の芳香族化合物において、Rは、前記一般式(1)におけるRとなる基である。すなわち、Rは、錯形成の反応中に金属原子又は金属イオンに対して配位結合を形成可能な基である。
具体的には、金属原子又は金属イオンに対して配位結合を形成可能な基は、−CO、−SO及び−OPO であり、非共有電子対を有する基は−C≡N、ピリジル基、又はイミダゾリル基である。ここで、Rは、水素原子、アルカリ金属原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、複数ある場合は互いに同一であっても異なっていてもよい。
前記Rは、好ましくは−CO、−SO及び−OPO であり、さらに好ましくは−CO及び−SOである。
また前記Rは、多孔性金属錯体において、陽イオンである金属イオンと相互作用するため、陰イオンとなりやすいものが好ましい。例えば、Rが−COの場合、−CO となりやすいものが好ましく、その観点からRは水素原子又はアルカリ金属原子であることがより好ましい。また、無機塩が生成せず、除去する工程が簡潔になるため、Rは水素原子である(Rがカルボキシ基である)ことがさらに好ましい。
本実施形態の多孔性金属錯体の原料として用いられる金属塩とは、前記金属原子を通常陽イオンとして有する塩を表す。陽イオンの価数は、多孔性金属錯体を形成するには前述の芳香族化合物を複数有する必要があることから2〜6が好ましく、2〜4がより好ましく、2〜3がさらに好ましい。
金属塩は金属原子が通常陽イオンであることから、金属塩全体として電気的に中性にする陰イオンを有する。
このような陰イオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、酸化物イオン、硫化物イオン、水酸化物イオン、水素化物イオン、亜硫酸イオン、リン酸イオン、シアン化物イオン、酢酸イオン、炭酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸水素イオン、トリフルオロ酢酸イオン、チオシアン化物イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン、テトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ホウ酸イオン、アセチルアセトナート、メトキシド、エトキシド、イソプロポキシドなどのアルコキシドが挙げられる。
溶解度が高く、本実施形態の製造方法において好適に使用できることから、好ましくは塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、酸化物イオン、水酸化物イオン、リン酸イオン、シアン化物イオン、酢酸イオン、炭酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸水素イオン、トリフルオロ酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、アセチルアセトナート、メトキシド、エトキシド、イソプロポキシドなどのアルコキシドであり、より好ましくは塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオンである。
また、陰イオンが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
また、金属塩は上記の陰イオンのほかに、溶媒和して溶媒和塩を形成する分子を配位子として有していてもよい。
前記分子としては、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、アセトン、クロロホルム、アセトニトリル、ベンゾニトリル、トリエチルアミン、ピリジン、ピラジン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、4,4’−ビピリジン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、メチルエチルエーテル、1,4−ジオキサンなどが挙げられ、
好ましくは水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドである。また、前記分子が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
前記第1の工程において、前記一般式(2)で表される芳香族化合物と周期表第2族〜第13族から選択される1種の金属原子又はイオンを含む金属塩のモル比率は、収率が高くなることから、好ましくは0.5〜3.0であり、さらに好ましくは0.8〜2.5である。
前記第1の工程において、反応液中の前記一般式(2)で表される芳香族化合物の反応液の濃度は、溶解度が高く反応液が溶液となること、および収率が高くなることから、好ましくは1mmol/L以上1000mmol/L以下であり、さらに好ましくは10mmol/L以上500mmol/L以下である。
前記第1の工程において、反応液中の周期表第2族〜第13族から選択される1種の金属原子又はイオンを含む金属塩の反応液の濃度は、溶解度が高く反応液が溶液となること、および収率が高くなることから、好ましくは1mmol/L以上1000mmol/L以下であり、さらに好ましくは10mmol/L以上500mmol/L以下である。
前記第1の工程において、反応液を構成する溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどの極性溶媒が挙げられる。
反応における金属塩と芳香族化合物の溶解性を確保し易いことから、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、水、メタノール、エタノールが好ましい。
なお、前記一般式(2)で表される芳香族化合物において、Rがエステル結合を有する場合には、上述の反応液を構成する溶媒に、Rが有するエステル結合を加水分解させるための水を混在させるものとする。
前記第2の工程において、反応温度は、前記一般式(2)で表される芳香族化合物及び周期表第2族〜第13族から選択される1種の金属原子又はそのイオンを含む金属塩の種類に応じて、適宜調節すればよい。反応温度は、通常、室温以上300℃以下であるが、60℃以上250℃以下で加熱して反応させることが好ましく、80℃以上220℃以下の範囲で加熱して反応させることがより好ましく、100℃以上200℃以下の範囲で加熱して反応させることが更に好ましい。60℃以上で加熱して反応させることで、金属錯体の収率がより向上し、250℃以下で加熱して反応させることで、溶媒の分解がより抑制される。
前記第2の工程において、反応液の反応は空気雰囲気下で行なうことができる。また、開放系で反応液の反応を行なうこともできるが、溶媒の沸点以上の温度に加熱して反応させることができるため、オートクレーブ等の密閉型反応容器を用いることが好ましい。密閉型反応容器を用いて溶媒の沸点以上の温度に加熱すると、前記容器内は加圧環境となり、高温高圧下で反応を行うこととなる。
前記第2の工程において、反応容器の加熱はオイルバスやオーブン等で行うことができる。また、マイクロ波や超音波を照射することによっても行うことができる。
前記第2の工程において、反応時間は、1分以上1週間以下であることが好ましく、1時間以上120時間以下であることがより好ましく、2時間以上72時間以下であることがさらに好ましい。なお、反応温度及び反応時間については、前記一般式(2)で表される芳香族化合物及び周期表第2族〜第13族から選択される1種の金属原子又はそのイオンを含む金属塩の種類によって選択できる。また、製造された多孔性金属錯体は、本実施形態の工程では析出しやすい傾向にあり、濾別等で分離し、必要に応じて洗浄操作や乾燥操作を行うことで、単離精製することができる。
補助配位子を用いる場合、補助配位子は、前記一般式(2)で表される芳香族化合物と上述の金属原子又はそのイオンを含む金属塩とを含む反応液を反応させる工程の後に、前記反応液に溶解又は分散させて、上述の金属原子又はそのイオンと補助配位子とを反応させることとしてもよい。
また、前記一般式(2)で表される芳香族化合物と上述の金属原子又はそのイオンを含む金属塩とを含む反応液を反応させる工程の前に、前記反応液に補助配位子を加え、補助配位子の共存下で反応液を反応させることとしてもよい。
補助配位子を添加するタイミングは、多孔性金属錯体に含まれる金属原子又はそのイオンや前記一般式(2)で表される芳香族化合物の種類に応じて、適宜選択することができる。
以上のような多孔性金属錯体の製造方法によれば、液相で反応させることにより錯形成を促進し、目的とする多孔性金属錯体を容易に製造することができる。
<吸蔵材料>
本実施形態の多孔性金属錯体を吸蔵材料として用いるためには、多孔性金属錯体内に存在する溶媒分子などを除くための前処理をすることが望ましい。前記溶媒分子は、上述の製造時に用いた反応液に由来するものである。
前記前処理は、多孔性金属錯体を加熱することにより行うことができる。加熱温度は、溶媒分子の沸点を考慮すると、好ましくは15℃以上250℃以下であり、さらに好ましくは20℃以上230℃以下である。また、上述の前処理として、多孔性金属錯体を超臨界二酸化炭素により洗浄してもよい。超臨界二酸化炭素を用いた前処理では、加熱処理よりも効果的に溶媒分子の除去を行うことができる。
本実施形態の吸蔵材料は、多孔性金属錯体を単体で用いてもよいが、添加物を加えて用いてよい。ここで添加物とは、シリカ、アルミナ、ゼオライト、活性炭、本実施形態以外の多孔性金属錯体などの多孔質材料、パラジウムや白金などの金属単体、前記金属単体を活性炭に担持したものである。
本実施形態の吸蔵材料に吸蔵される成分の状態としては、液体であってもよいが気体であることが好ましい。
本実施形態の多孔性金属錯体は、窒素、二酸化炭素、水素、酸素、一酸化炭素、炭素数1〜4の炭化水素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、水蒸気等のガスに対してガス吸蔵能を示し、中でも窒素、二酸化炭素、水素に対して優れたガス吸蔵能を示す。したがって、本実施形態の吸蔵材料によれば、窒素、二酸化炭素、水素等のガスの吸蔵・貯蔵が有効に実現可能となる。
<光機能材料>
本実施形態の多孔性金属錯体は、紫外線を吸収して紫外線よりも長波長の光を発する。そのため、本実施形態の多孔性金属錯体は、光機能材料として用いることができ、発光材料、太陽電池材料、有機EL材料、フォトクロミック材料として用いることが考えられる。
<その他>
また、本実施形態の多孔性金属錯体は細孔構造を有しているため、ガスの吸蔵材のほか、医薬品などの貯蔵材料、サイズや拡散速度の異なる分子の吸蔵材料や分離材料、ナノ空間を反応場とする触媒材料としての利用が期待される。また、配位子骨格は少なくとも1つの複素環基を有する配位子によって構成され、多孔性金属錯体全体に共役が広がっていることから、有機EL材料、トランジスタ材料、太陽電池材料及び有機物や水の光分解触媒材料としても用いることが可能である。
また、本実施形態の多孔性金属錯体は、レドックス反応を触媒する固体触媒等の用途に好適である。具体的には、過酸化水素の分解触媒、芳香族化合物の酸化重合触媒、排ガス・排水浄化用触媒、色素増感太陽電池の酸化還元触媒層、二酸化炭素還元触媒、改質水素製造用触媒、酸素センサー等の用途が挙げられる。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。また、実施例における分析及び評価は以下のものを用いて行った。
(1)熱重量測定(TG)
装置:(株)リガク製 示差熱天秤Thermo plus EVO II TG8120
雰囲気:窒素
昇温速度:5℃min−1
(2)粉末X線回折(XRD)の測定
装置:ブルカー・エイエックスエス(株)製 D8 DISCOVER with GADDS
X線管球:Cu−Kα
X線出力:40kV−40mA
露光時間:600秒
分解能:0.02°
測角範囲:4−40.2°
(3)吸脱着等温線の測定
装置:日本ベル(株)製 BELSORP-max
平衡時間:窒素 300秒(P/P: 0〜1.0)
二酸化炭素 300秒(P/P: 0〜1.0)
水素 300秒(P/P: 0〜1.0)
(4)単結晶X線構造解析
装置:(株)リガク製 CCD単結晶自動X線構造解析装置 Saturn 724+
<合成例1>
(芳香族化合物(a)の合成)
芳香族化合物(a)を以下の反応式(10)に従って合成した。
Figure 0006052663
窒素雰囲気下において、1,3,5−トリス(4−ブロモフェニル)ベンゼン1.63g(3.00mmol)、5−カルボキシチオフェン−2−ボロン酸5.16g(30.0mmol)、炭酸カリウム6.23g(45.1mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム354mg(0.31mmol)と120mLのN,N−ジメチルホルムアミド/水(3:1(体積比))の混合物を調製し、その混合物を100℃で48時間攪拌した。得られた溶液を室温まで冷却した後、不溶物をろ過によって除去し、クロロホルムを用いて分液操作を行った。得られた水層部分に塩酸をpHが1になるまで加え、沈殿を得た。この沈殿を濾取し、水、エタノール及びクロロホルムで洗浄し、乾燥させることによって、芳香族化合物(a)を得た(760mg、1.1mmol、37%)。
また、1,3,5−トリス(4−ブロモフェニル)ベンゼンのかわりに、1,3,5−トリス(4−ヨードフェニル)ベンゼン2.05g(3.00mmol)を用いて同様の手法により芳香族化合物(a)を得た(980mg、1.4mmol、48%)。
1H NMR (DMSO-d6, 500 MHz, δ/ppm): 7.64 (d, 3JHH = 4.0 Hz, 3H, ArH), 7.74 (d, 3JHH = 4.0 Hz, 3H, ArH), 7.85 (d, 3JHH = 8.5 Hz, 6H, ArH), 7.96 (d, 3JHH = 8.5 Hz, 6H, ArH), 7.98 (s, 3H, ArH), 13.0 (br s, 3H, CO2H).
13C NMR (DMSO-d6, 125 MHz, δ/ppm): 124.43 (CH), 124.75 (CH), 126.37 (CH), 128.02 (CH), 132.27 (C), 133.63 (C), 134.33 (CH), 140.18 (C), 140.82 (C), 149.24 (C), 162.86 (C).
HRMS-ESI (m/z): [M-H]- calcd for C39H23O6S3, 683.0662; found 683.0686.
<実施例1>
(多孔性金属錯体(A)の合成)
芳香族化合物(a)103mg(150μmol)を、硝酸ランタン(III)六水和物70.5mg(163μmol)及びN,N−ジメチルホルムアミド7.5mLと共にポリテトラフルオロエチレン製のるつぼに入れ、るつぼをステンレスジャケットで密封した。ステンレスジャケットを120℃に温度調整したオイルバスで48時間加熱攪拌した後、室温まで冷却させ、反応液中に生じた沈殿を濾取することにより、粉末状の多孔性金属錯体(A)を得た。
(多孔性金属錯体(A)の熱重量測定)
得られた多孔性金属錯体(A)について熱重量測定(TG)を行った。図1は熱重量測定の結果を示す図である。図に示すように、約140℃まで昇温する際に低分子成分の脱離による重量変化があった後は、約400℃を超えるまで重量変化がほぼ見られず、多孔性金属錯体(A)は熱的に安定であることが分かった。
(多孔性金属錯体(A)の粉末X線回折測定)
得られた多孔性金属錯体(A)の粉末についてX線回折(XRD)を行った。図2は多孔性金属錯体(A)の粉末X線回折図である。得られた回折図では、0.1°以上7°以下に回折ピークが観測され、多孔性金属錯体(A)が「多孔性」であることが確認できた。また、得られた回折図は、不純物のピークによる乱れがなく構造の規則性が確認でき、得られた多孔性金属錯体(A)の粉末が高純度であることが分かった。
2θ(°): 4.7, 5.6, 7.5, 9.1, 11.0, 11.5, 14.3
(多孔性金属錯体(A)の吸脱着等温線測定)
得られた多孔性金属錯体(A)について吸脱着等温線の測定を行った。図3は、77Kにおける窒素の吸脱着等温線、図4は、195Kにおける二酸化炭素の吸脱着等温線、図5は、77Kにおける水素の吸脱着等温線である。各図において、実線が吸着等温線を示し、破線が脱着等温線を示す。
77Kにおける窒素吸着等温線から求められた多孔性金属錯体(A)のBET比表面積は、1086m−1であり、200m−1以上20000m−1以下であることから、多孔性金属錯体(A)が「多孔性」であることが確認できた。また、同窒素吸着等温線において、P/Pが0.2の時の窒素吸蔵量は309mL(STP)g−1であった。
また、得られた多孔性金属錯体(A)は、二酸化炭素および水素についても、吸脱着が可能であり、これらの気体の貯蔵にも利用可能であることが分かった。
(多孔性金属錯体(A)の単結晶構造解析)
芳香族化合物(a)13.7mg(20μmol)を、安息香酸24.4mg(200μmol)、20mM硝酸ランタン(III)/N,N−ジメチルホルムアミド溶液1.0mL(20μmol)と共にガラス製のバイアルに入れ、バイアルをステンレスジャケットで密封した。ステンレスジャケットをオーブンに入れ10時間かけて120℃に昇温し、120℃で48時間保持した後、10時間かけて室温まで冷却させ、反応液中に生じた単結晶を回収した。
得られた多孔性金属錯体(A)の単結晶について、単結晶X線結晶構造解析を行った。図6は、多孔性金属錯体(A)の単結晶X線結晶構造解析により得られたORTEP図である。図に示すように、多孔性金属錯体(A)には、芳香族化合物(a)に由来する構造が含まれていることがわかった。
C42H28LaNO7S3, FW 893.74, monoclinic, Cc, a = 32.314(17) Å, b = 23.992(12) Å, c = 8.225(4) Å, β = 101.060(7)°, V = 6258(6) Å3, Z = 4, ρ = 0.815 mm-1, T = 223(2) K, θmax = 25.00°, Rint = 0.0531, R1 (I>2σ(I)) = 0.0868, wR2 (all data) = 0.2601, GOF = 1.049
(多孔性金属錯体(A)の光物性)
多孔性金属錯体(A)の粉末について紫外可視吸収および発光スペクトルを測定した。図7は、多孔性金属錯体(A)の紫外線吸収および発光スペクトルである。図において、実線が吸収スペクトルを示し、破線が発光スペクトルを示す。測定の結果、342nmを極大とする吸収が観測された。また、多孔性金属錯体(A)を320nmで励起させ発光スペクトルを測定したところ、457nmを極大とする発光が観測された。
<合成例2>
(芳香族化合物(b)の合成)
芳香族化合物(b)を以下の反応式(11)に従って合成した。
Figure 0006052663
窒素雰囲気下において、1,3,5−トリス(5−ブロモ−2−チエニル)ベンゼン842mg(1.50mmol)、4−カルボキシフェニルボロン酸2.50g(15.0mmol)、炭酸カリウム3.12g(22.6mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム175mg(0.15mmol)と60mLのN,N−ジメチルホルムアミド/水(3:1(体積比))の混合物を調製し、その混合物を100℃で48時間攪拌した。得られた溶液を室温まで冷却した後、不溶物をろ過によって除去し、クロロホルムを用いて分液操作を行った。得られた水層部分に塩酸をpHが1になるまで加え、沈殿を得た。この沈殿を濾取し、水、エタノール及びクロロホルムで洗浄し、DMSOより再結晶を行うことによって、芳香族化合物(b)を得た(712mg、1.04mmol、69%)。
1H NMR (DMSO-d6, 500 MHz, 80 ℃, δ/ppm): 7.71 (d, 3JHH = 4.0 Hz, 3H, ArH), 7.80 (d, 3JHH = 4.0 Hz, 3H, ArH), 7.85 (d, 3JHH = 8.5 Hz, 6H, ArH), 7.93 (s, 3H, ArH), 8.01 (d, 3JHH = 8.5 Hz, 6H, ArH), -COOH not observed.
13C NMR (DMSO-d6, 150 MHz, 80 ℃, δ/ppm): 121.20 (CH), 124.86 (CH), 126.11 (CH), 126.15 (CH), 129.62 (C), 129.79 (CH), 134.90 (C), 137.04 (C), 142.00 (C), 142.42 (C), 166.37 (C).
HRMS-DART (m/z): M+ calcd for C39H24O6S3, 684.0730; found 684.0715.
<実施例2>
(多孔性金属錯体(B)の合成)
芳香族化合物(b)27mg(40μmol)を、25mM硝酸ランタン(III)/N,N−ジメチルホルムアミド溶液2.0mL(50μmol)と共にポリテトラフルオロエチレン製のるつぼに入れ、るつぼをステンレスジャケットで密封した。ステンレスジャケットをオーブンに入れ10時間かけて120℃に昇温し、120℃で48時間保持した後、10時間かけて室温まで冷却させ、反応液中に生じた沈殿を濾取することにより、粉末状の多孔性金属錯体(B)を得た。
(多孔性金属錯体(B)の熱重量測定)
得られた多孔性金属錯体(B)について熱重量測定(TG)を行った。図8は熱重量測定の結果を示す図である。図に示すように、約140℃まで昇温する際に低分子成分の脱離による重量変化があった後は、約500℃を超えるまで重量変化がほぼ見られず、多孔性金属錯体(B)は熱的に安定であることが分かった。
(多孔性金属錯体(B)の粉末X線回折測定)
得られた多孔性金属錯体(B)についてX線回折(XRD)を行った。図9は多孔性金属錯体(B)の粉末X線回折図である。得られた回折図では、0.1°以上7°以下に回折ピークが観測され、多孔性金属錯体(B)が「多孔性」であることが確認できた。また、得られた回折図は、不純物のピークによる乱れがなく構造の規則性が確認でき、得られた多孔性金属錯体(B)の粉末が高純度であることが分かった。
2θ(°): 4.8, 5.6, 7.6, 9.0, 10.8, 11.7, 14.0
(多孔性金属錯体(B)の吸脱着等温線測定)
得られた多孔性金属錯体(B)について吸脱着等温線の測定を行った。図10は、77Kにおける窒素の吸脱着等温線である。図において、実線が吸着等温線を示し、破線が脱着等温線を示す。
77Kにおける窒素吸着等温線から求められた多孔性金属錯体(B)のBET比表面積は、1213m−1であり、200m−1以上20000m−1以下であることから、多孔性金属錯体(B)が「多孔性」であることが確認できた。た。また、同窒素吸着等温線において、P/Pが0.2の時の窒素吸蔵量は345mL(STP)g−1であった。
(多孔性金属錯体(B)の単結晶構造解析)
芳香族化合物(b)6.8mg(10μmol)を、酢酸4.2mg(70μmol)、20mM硝酸ランタン(III)/N,N−ジメチルホルムアミド溶液0.5mL(10μmol)、N,N−ジメチルホルムアミド0.5mLと共にガラス製のバイアルに入れ、バイアルをステンレスジャケットで密封した。ステンレスジャケットをオーブンに入れ10時間かけて120℃に昇温し、120℃で120時間保持した後、10時間かけて室温まで冷却させ、反応液中に生じた単結晶を回収した。
得られた多孔性金属錯体(B)の単結晶について、単結晶X線結晶構造解析を行った。図11は、多孔性金属錯体(B)の単結晶X線結晶構造解析により得られたORTEP図である。図に示すように、多孔性金属錯体(B)には、芳香族化合物(b)に由来する構造が含まれていることがわかった。
C39H23LaO7S3, FW 838.66, monoclinic, Cc, a = 33.741(9) Å, b = 23.667(6) Å, c = 8.129(2) Å, β = 103.816(4)°, V = 6303(3) Å3, Z = 4, ρ = 0.805 mm-1, T = 223(2) K, θmax = 25.00°, Rint = 0.0606, R1 (I>2σ(I)) = 0.0953, wR2 (all data) = 0.3032, GOF = 1.113
<比較例1>
2,5−チオフェンジカルボン酸と硝酸インジウム(III)を用いた多孔性金属錯体が、J. Am. Chem. Soc. 2008, 130, 12882-12883に報告されている。この報告によれば、この多孔性金属錯体の窒素吸蔵量は、P/Pが0.2の時に82mL(STP)g−1である。
実施例1で合成した多孔性金属錯体(A)、実施例2で合成した多孔性金属錯体(B)及び比較例1として示した文献における多孔性金属錯体の窒素吸蔵量について、結果を下記表1に示す。
Figure 0006052663
表1に示すとおり、複数の複素環を有する配位子を備えた実施例1,2の多孔性金属錯体では、複素環を一つだけ有する配位子を備えた比較例1の多孔性金属錯体と比べて、窒素吸蔵量が多かった。
これらの結果から、本発明の有用性が確かめられた。
本発明により提供される新規な多孔性金属錯体は十分なガス吸蔵能を有する。このことから、本発明によれば性能の高い吸蔵材料を提供できる。また新規な多孔性金属錯体の製造方法を提供することができる。さらに、本発明により提供される多孔性金属錯体は、光機能材料として用いることができる。

Claims (8)

  1. 周期表第2族〜第13族から選択される1種の金属原子又はそのイオンと、下記一般式(1)で表され、金属原子又はそのイオンに対して配位結合を形成可能な非共有電子対を有する配位基を備えた配位子と、を含み、前記金属原子又はそのイオンと前記配位基との配位結合を有する多孔性金属錯体。
    Figure 0006052663
    (式中、Pは、2,5−チオフェニレン及び1,4−フェニレンが連結した2価の基を表す。
    Qは、前記Pが1,3,5位に結合する1,3,5−置換ベンゼン環を表す。
    Rは、−CO 表す。
    mは3であり、全てのnは1である。)
  2. 前記多孔性金属錯体に含まれる2つの金属原子又はそのイオンにそれぞれ配位することで、前記2つの金属原子又はそのイオンを架橋する補助配位子を更に含む、請求項1に記載の多孔性金属錯体。
  3. 周期表第2族〜第13族から選択される1種の金属原子を含む金属塩と、下記一般式(2)で表され、金属原子又はそのイオンに対して配位結合を形成可能な基を備えた芳香族化合物とを、1種又は2種以上の極性溶媒を含む溶媒に溶解又は分散させた反応液を得る工程と、前記反応液を反応させる工程と、を備える多孔性金属錯体の製造方法。
    Figure 0006052663
    (式中、Pは、2,5−チオフェニレン及び1,4−フェニレンが連結した2価の基を表す。
    Qは、前記Pが1,3,5位に結合する1,3,5−置換ベンゼン環を表す。
    は、−CO Hを表す
    mは3であり、全てのnは1である。)
  4. 前記反応液を反応させる工程では、60℃以上250℃以下の範囲で加熱して前記反応液を反応させる、請求項に記載の多孔性金属錯体の製造方法。
  5. 前記反応液を反応させる工程の後に、前記反応液に、多孔性金属錯体に含まれる2つの金属原子又はそのイオンにそれぞれ配位することで、前記2つの金属原子又はそのイオンを架橋しうる補助配位子を、溶解又は分散させて前記2つの金属原子又はそのイオンと反応させる工程を更に含む、請求項3または4に記載の多孔性金属錯体の製造方法。
  6. 前記反応液を反応させる工程の前に、前記反応液に、多孔性金属錯体に含まれる2つの金属原子又はそのイオンにそれぞれ配位することで、前記2つの金属原子又はそのイオンを架橋しうる補助配位子を、溶解又は分散させる工程を更に含む、請求項からのいずれか1項に記載の多孔性金属錯体の製造方法。
  7. 請求項1または2に記載の多孔性金属錯体を含む吸蔵材料。
  8. 請求項1または2に記載の多孔性金属錯体を含む光機能材料。
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