JP5304621B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
一方、発熱制御層の温度がキュリー温度以上になると、発熱制御層の透磁率が低下し、磁束が強磁性体である発熱制御層により主発熱体層に導かれなくなり、それにより、誘導電流の発生が抑制され、主発熱体層における発熱が抑制される。
又、本発明の一形態に係る定着ベルト部材は、周回駆動される無端状の熱定着用の定着ベルト部材であって、前記の各発熱部材の製造方法により製造した発熱部材を有することとすることができる。
以下、本発明に係る一形態の画像形成装置の実施の形態を、タンデム型カラーデジタルプリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)に適用した場合を例にして説明する。
[1]プリンタの構成
先ず、本実施の形態に係るプリンタ1の構成について説明する。
同図に示すように、このプリンタ1は、画像プロセス部3、給紙部4、定着装置5、制御部60を備えている。
プリンタ1は、ネットワーク(例えばLAN)に接続され、外部の端末装置(不図示)や図示しない操作パネルから印刷指示を受け付けると、その指示に基づいてイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色のトナー像を形成し、これらを多重転写してフルカラーの画像を形成することにより、記録シートへの印刷処理を実行する。
画像プロセス部3は、作像部3Y、3M、3C、3K、露光部10、中間転写ベルト11、2次転写ローラ45などを有している。
作像部3Y、3M、3C、3Kの構成は、いずれも同様の構成であるため、以下、主として作像部3Yの構成について説明する。
現像器33Yは、感光体ドラム31Yに対向し、感光体ドラム31Yに帯電トナーを搬送する。
この露光走査により、帯電器32Yにより帯電された感光体ドラム31Y上に静電潜像が形成される。作像部3M、3C、3Kの各感光体ドラム上にも同様にして静電潜像が形成される。
各現像器により現像されて各感光体ドラム上に対応する色のトナー像が形成され
る。
形成されたトナー像は、作像部3Y、3M、3C、3Kの各1次転写ローラにより、中間転写ベルト11上の同じ位置に重ね合わされるように、中間転写ベルト11上にタイミングをずらして順次1次転写された後、2次転写ローラ45による静電力の作用により中間転写ベルト11上のトナー像が一括して記録シート上に2次転写される。トナー像が2次転写された記録シートは、さらに定着装置5に搬送され、記録シート上のトナー像(未定着画像)が、定着装置5において加熱及び加圧されて記録シートに熱定着された後、排出ローラ71により排紙トレイ72に排出される。
繰り出しローラ42、タイミングローラ44等の各ローラは、搬送モータ(不図示)を動力源とし、歯車ギヤやベルトなどの動力伝達機構(不図示)を介して回転駆動される。この搬送モータとしては、例えば、高精度の回転速度の制御が可能なステッピングモータが使用される。
給紙部4から2次転写位置46に搬送され、2次転写ローラ45により中間転写
ベルト11上のトナー像が一括して記録シート上に2次転写される。
[2]定着装置の構成
図2(a)は、定着装置5の構成を示す断面図である。同図に示すように、定着装置5は、定着ローラ50と、定着ベルト51と、加圧ローラ52と、磁束発生部54と、摺接部材55と、を有する。
定着ローラ50は、長尺で円筒状の芯金502の周囲を断熱層501で被覆されてなり、定着ベルト51の周回経路の内側に配されている。断熱層501は、定着ベルト51が発熱した熱を芯金502に逃がさないようにするための層である。
発熱調整層511は、電磁誘導作用により発熱し、温度により透磁率が変化することにより、発熱量を制御する層である。具体的には、発熱調整層511は、キュリー温度より低い温度では、磁束発生部54から発生する磁束は、発熱調整層511を透過せず、発熱調整層内に閉じ込められるため、当該層内に誘導電流(渦電流)が誘起されて発熱し、キュリー温度以上の温度では、透磁率が低下し、磁束が発熱調整層511を透過してしまうため、誘導電流の誘起が抑制されて発熱が抑制される層である。
発熱制御層5111を構成する材料としては、定着温度と同程度のキュリー温度(例えば、目標とする定着温度が約180℃(170〜190℃)の場合には、150〜220℃、望ましくは180〜200℃の範囲内のキュリー温度)を有する材料を用いる。
又、発熱制御層511の体積抵抗率は、キュリー温度以上の温度において後述する摺接部材55の補助発熱層551よりも適度に体積抵抗率が大きくなるようにする。体積抵抗率は、キュリー温度より低い温度において、2〜200×10−8Ωm、望ましくは5〜100×10−8Ωmの範囲内のものとする。
発熱及び酸化防止層5112は、後述する定着ベルト51の製造方法において行われる焼鈍処理の際に、発熱制御層511の酸化を防止してその表面に酸化被膜が形成されるのを防止するとともに、磁束発生部54から発生する磁束が導かれることにより誘導電流が誘起されて発熱する層である。この層を設けることにより、発熱制御層511のみの場合に比較し、発熱効率を高めることができ、定着装置5のウォームアップ時間を短縮することができる(例えば、特開2009−151044号公報の段落9〜13参照)。
金属メッキ層512の厚さは、0.5〜40μmの範囲内であることが望ましい。0.5μmより薄くなると充分な強度が得られず、40μmを超えると、発熱調整層511で発生した熱を定着ベルト51の外周面まで到達させることが難しく伝熱効率が悪くなる。
図2(a)の説明に戻って、加圧ローラ52は、円筒状の芯金523の周囲に、弾性体層522を介して離型層521が積層されてなり、定着ベルト51の周回経路外側に配置され、定着ベルト51の外側から定着ベルト51を介して定着ローラ50を押圧して、定着ベルト51の外周面との間に周方向に所定幅を有する定着ニップ53nが形成される。
断熱層522は、厚さ3〜10mmの範囲内のシリコーンスポンジゴムの層である。断熱層522を、シリコーンスポンジゴムの層とシリコーンスポンジの層の2層で構成することとしてもよい。芯金523の材料としては、芯金502と同様の材料を用いることができる。
同図に示すように、摺接部材55は、補助発熱層551と、保護層552とを有し、保護層552が定着ベルト51と対向するように配されている。補助発熱層551は、定着ベルト51の温度がキュリー温度以上になったときに、定着ベルト51から漏れる磁束により渦電流を発生させて、磁束を打ち消す方向に働く逆起電力を生じさせ、定着ベルト51における発熱量を低下させるための層である。
[3]定着ベルトの製造方法
図4は、定着ベルト51の製造工程を示す図である。発熱制御層5111上に発熱及び酸化防止層5112を、電気鋳造メッキ加工することにより、積層して塑性加工をし、無端状のベルト層を発熱調整層511として形成する(図4(a)、(b)に示す工程)。
ここで、焼鈍処理とは、所定の温度で加熱した後、徐冷する処理のことをいう。
次に、金属メッキ層512を電解メッキする(図4(d)に示す工程)。さらに、金属メッキ層512の上に弾性層513、離型層514をこの順に被覆することにより、定着ベルト51を製造する(図4(e)に示す工程)。
又、発熱制御層5111を単体で焼鈍処理してしまうと、発熱制御層5111の表面に酸化被膜が形成され、その上に金属メッキ層512を電解メッキしても、電解メッキした金属メッキ層512がすぐに発熱制御層5111から剥がれてしまうという不具合が生じる。従って上記の製造工程では、発熱制御層5111の表面に酸化防止層(発熱及び酸化防止層5112)を積層させた状態で焼鈍処理を行うこととし、これにより、酸化被膜が形成されないようにして、電解メッキした金属メッキ層512が剥がれないようにしている。
実験は、発熱制御層5111としてパーマロイを使用し、パーマロイに積層させる酸化防止層として、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、銀(Ag)、ポリイミド(PI)をそれぞれ使用し、対照として、酸化防止層を積層させないパーマロイ単体を使用した。
調整した各サンプルを、230℃のオーブン内において250〜1000時間放置し、放置後のサンプルに剥離が認められるか否かを肉眼により確認した。
以上の実験結果より、酸化防止層を積層させることにより、積層させない場合に比較して剥離強度を高めることができることが確認された。
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
・ 本実施の形態に係る定着ベルトの製造方法においては、電気鋳造メッキ加工することにより、発熱制御層5111と発熱及び酸化防止層5112とを積層させることとしたが、両者を圧延加工することにより、クラッド化して両層を積層させて板材とした後、絞り加工、スピニング加工、DI加工(ドローイング・アイアニング加工)などの塑性加工をして無端状のベルト層を発熱調整層511として形成することとしてもよい。
(2)本実施の形態においては、発熱調整層511において、酸化防止層として、発熱機能を兼ねるものを用いたが、酸化防止機能のみを有するものを用いることとしてもよい。例えば、発熱調整層を、発熱制御層5111と、酸化防止機能のみを有し、発熱機能を有しない材料(例えば、ポリイミド(Pi)樹脂)からなる酸化防止層とから構成することとしてもよい。
(3)本実施の形態における金属メッキ層512の材料としては、銅(Cu)を用いることもできるが、銅と弾性層513の材料との接着性が良好でないため、この場合には、さらに、銅層の上に、弾性層513の材料との接着性がよい材料(例えば、ニッケル(Ni)等)を積層した構成とするのが望ましい。これにより、銅を金属メッキ層512として用いた場合においても、弾性層513との接着性を良好にすることができる。このような構成の定着ベルトは、金属メッキ層512を電解メッキする工程(図4(d)に示す工程)を行った後、さらにニッケル(Ni)を電解メッキし、その後、弾性層513、離型層514をこの順に被覆する工程(図4(e)に示す工程)を行うように、本実施の形態に係る定着ベルトの製造方法を変形することにより、製造することができる。
3 画像プロセス部
3Y〜3K 作像部
4 給紙部
5 定着装置
10 露光部
11 中間転写ベルト
12 駆動ローラ
13 従動ローラ
31Y 感光体ドラム
32Y 帯電器
33Y 現像器
34Y 1次転写ローラ
35Y クリーナ
41 給紙カセット
42 繰り出しローラ
43 搬送路
44 タイミングローラ
45 2次転写ローラ
46 2次転写位置
50 定着ローラ
51 定着ベルト
52 加圧ローラ
53n 定着ニップ
54 磁束発生部
60 制御部
71 排出ローラ
72 排紙トレイ
Claims (8)
- 電磁誘導作用により発熱し、温度により透磁率が変化し、その変化により、発熱量を制御することが可能な発熱制御層を含む定着装置用の発熱部材の製造方法であって、
前記発熱制御層上に、前記発熱制御層の酸化を防止する酸化防止層を積層させた後、塑性加工する塑性加工工程と、
前記塑性加工工程後、焼鈍処理をする焼鈍工程と、
前記焼鈍処理後、前記発熱制御層上に積層された酸化防止層の表面を金属でメッキする金属メッキ工程と、
を含み、
前記酸化防止層は、前記発熱制御層を構成する材料に対する剥離強度が、前記発熱制御層を単体で焼鈍処理した場合に当該発熱制御層の表面に形成される酸化被膜の、前記材料に対する剥離強度よりも大きく、かつ、メッキされた前記金属に対する剥離強度が、前記酸化被膜の、対応する前記金属に対する剥離強度よりも大きい材料からなる
ことを特徴とする発熱部材の製造方法。 - 前記酸化防止層は、銅、ニッケルの何れかの材料からなる
ことを特徴とする請求項1記載の発熱部材の製造方法。 - 前記発熱制御層は、パーマロイからなる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の発熱部材の製造方法。 - 前記パーマロイは、Cr、Mn、Moの何れかを含有している
ことを特徴とする請求項3記載の発熱部材の製造方法。 - 前記金属メッキ工程においてメッキする金属は、Cu、Ni、Au、Ag、Al、Tiの何れかの金属である
ことを特徴とする請求項3記載の発熱部材の製造方法。 - 周回駆動される無端状の熱定着用の定着ベルト部材であって、
請求項1から5の何れかに記載の製造方法により製造した発熱部材を有する
ことを特徴とする定着ベルト部材。 - 請求項6に記載の定着ベルト部材を備える
ことを特徴とする定着装置。 - 請求項7に記載の定着装置を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
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