JP5304621B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、プリンタ、複写機等の画像形成装置が備える定着装置に関し、特に電磁誘導作用により加熱される定着装置用の発熱部材における発熱効率を高める技術に関する。
近年、プリンタ、複写機等の画像形成装置の定着装置用の発熱部材として、熱容量が小さく、短時間で昇温可能で、エネルギー消費が少ない定着ベルト等の発熱部材が使用されるようになってきている。例えば、特許文献1には、非磁性で低抵抗な材料(例えば、銅、銀等)からなる主発熱体層が、強磁性体のパーマロイからなる発熱制御層の上に積層された層を含む定着ベルトが、定着装置用の発熱部材として開示されている。
この定着ベルトは、電磁誘導作用により発熱し、発熱制御層の温度がキュリー温度より低い場合には、磁束が強磁性体である発熱制御層により主発熱体層に導かれ、それにより誘導電流(渦電流)が発生して主発熱体層が発熱する。
一方、発熱制御層の温度がキュリー温度以上になると、発熱制御層の透磁率が低下し、磁束が強磁性体である発熱制御層により主発熱体層に導かれなくなり、それにより、誘導電流の発生が抑制され、主発熱体層における発熱が抑制される。
これにより、簡易な構成で定着ベルトに自己温度制御機能をもたせることができ、熱定着時における定着ベルト上における非通紙領域における過昇温を有効に防止することができる。
特開2009−175190号公報
しかしながら、定着ベルトに含まれる発熱制御層の磁性は、圧延処理や熱処理や塑性加工等の加工を施すことにより、低下するため、発熱制御層を定着ベルトに組み込むための加工を行っている段階において、磁性が低下してしまい、その結果、完成後の定着ベルトにおいては、磁性が低下した分だけ、発熱制御層の透磁率が低下して発熱効率が低下してしまうという問題が生じる。
本発明は、上述のような問題に鑑みて為されたものであって、定着装置用の発熱部材の加工段階における磁性の低下を防止し、発熱部材における発熱効率の低下を防止することが可能な発熱部材の製造方法、当該製造方法により製造された発熱部材を用いた定着ベルト、定着装置、及び画像形成装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る発熱部材の製造方法は、電磁誘導作用により発熱し、温度により透磁率が変化し、その変化により、発熱量を制御することが可能な発熱制御層を含む定着装置用の発熱部材の製造方法であって、前記発熱制御層上に、前記発熱制御層の酸化を防止する酸化防止層を積層させた後、塑性加工する塑性加工工程と、前記塑性加工工程後、焼鈍処理をする焼鈍工程と、前記焼鈍処理後、前記発熱制御層上に積層された酸化防止層の表面を金属でメッキする金属メッキ工程と、を含み、前記酸化防止層は、前記発熱制御層を構成する材料に対する剥離強度が、前記発熱制御層を単体で焼鈍処理した場合に当該発熱制御層の表面に形成される酸化被膜の、前記材料に対する剥離強度よりも大きく、かつ、メッキされた前記金属に対する剥離強度が、前記酸化被膜の、対応する前記金属に対する剥離強度よりも大きい材料からなる。
前記発熱制御層は、パーマロイからなることとすることができる。前記パーマロイは、Cr、Mn、Moの何れかを含有していることとすることができる。又、前記金属メッキ工程においてメッキする金属は、Cu、Ni、Au、Ag、Al、Tiの何れかの金属であることとすることができる。
又、本発明の一形態に係る定着ベルト部材は、周回駆動される無端状の熱定着用の定着ベルト部材であって、前記の各発熱部材の製造方法により製造した発熱部材を有することとすることができる。
又、本発明の一形態に係る定着装置は、前記定着ベルト部材を備えることとすることができる。さらに本発明の一形態に係る画像形成装置は、前記定着装置を備えることとすることができる。
上記構成を備えることにより、発熱制御層の塑性加工工程後に、焼鈍処理が行われるので、加工による発熱制御層における磁性の低下を回復させることができる。さらに、焼鈍処理された発熱制御層は、金属でメッキされるので、焼鈍処理により低下した強度(硬度)を補強することができる。又、発熱制御層上には、酸化防止層が積層されるので、酸化被膜の形成が防止され、メッキされた金属が剥がれるのを有効に防止することができる。
ここで、前記酸化防止層は、銅、ニッケルの何れかの材料からなることとしてもよい。これにより、酸化防止層として、導電性が良好な金属材料が使用されるので、電磁誘導作用により発生する誘導電流が酸化防止層に流れて酸化防止層が発熱し、発熱効率を高めることができる。
プリンタ1の構成を示す図である。 定着装置5の構成を示す図である。 パーマロイにおけるニッケル(Ni)配合率とキュリー温度との対応関係を示す図である。 定着ベルト51の製造工程を示す図である。 金属に施した処理と、強度との関係を示す図である。
(実施の形態1)
以下、本発明に係る一形態の画像形成装置の実施の形態を、タンデム型カラーデジタルプリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)に適用した場合を例にして説明する。
[1]プリンタの構成
先ず、本実施の形態に係るプリンタ1の構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係るプリンタ1の構成を示す図である。
同図に示すように、このプリンタ1は、画像プロセス部3、給紙部4、定着装置5、制御部60を備えている。
プリンタ1は、ネットワーク(例えばLAN)に接続され、外部の端末装置(不図示)や図示しない操作パネルから印刷指示を受け付けると、その指示に基づいてイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色のトナー像を形成し、これらを多重転写してフルカラーの画像を形成することにより、記録シートへの印刷処理を実行する。
以下、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各再現色をY、M、C、Kと表し、各再現色に関連する構成要素の番号にこのY、M、C、Kを添字として付加する。
画像プロセス部3は、作像部3Y、3M、3C、3K、露光部10、中間転写ベルト11、2次転写ローラ45などを有している。
作像部3Y、3M、3C、3Kの構成は、いずれも同様の構成であるため、以下、主として作像部3Yの構成について説明する。
作像部3Yは、感光体ドラム31Yと、その周囲に配設された帯電器32Y、現像器33Y、1次転写ローラ34Y、および感光体ドラム31Yを清掃するためのクリーナ35Yなどを有しており、感光体ドラム31Y上にY色のトナー像を作像する。
現像器33Yは、感光体ドラム31Yに対向し、感光体ドラム31Yに帯電トナーを搬送する。
中間転写ベルト11は、無端状のベルトであり、駆動ローラ12と従動ローラ13に張架されて矢印C方向に周回駆動される。露光部10は、レーザダイオードなどの発光素子を備え、制御部60からの駆動信号によりY〜K色の画像形成のためのレーザ光Lを発し、作像部3Y、3M、3C、3Kの各感光体ドラムを露光走査する。
この露光走査により、帯電器32Yにより帯電された感光体ドラム31Y上に静電潜像が形成される。作像部3M、3C、3Kの各感光体ドラム上にも同様にして静電潜像が形成される。
各感光体ドラム上に形成された静電潜像は、作像部3Y、3M、3C、3Kの
各現像器により現像されて各感光体ドラム上に対応する色のトナー像が形成され
る。
形成されたトナー像は、作像部3Y、3M、3C、3Kの各1次転写ローラにより、中間転写ベルト11上の同じ位置に重ね合わされるように、中間転写ベルト11上にタイミングをずらして順次1次転写された後、2次転写ローラ45による静電力の作用により中間転写ベルト11上のトナー像が一括して記録シート上に2次転写される。トナー像が2次転写された記録シートは、さらに定着装置5に搬送され、記録シート上のトナー像(未定着画像)が、定着装置5において加熱及び加圧されて記録シートに熱定着された後、排出ローラ71により排紙トレイ72に排出される。
給紙部4は、記録シート(図1の符号Sで表す)を収容する給紙カセット41と、給紙カセット41内の記録シートを搬送路43上に1枚ずつ繰り出す繰り出しローラ42と、繰り出された記録シートを2次転写位置46に送り出すタイミングをとるためのタイミングローラ44などを備えている。給紙カセットは、1つに限定されず、複数であってもよい。
記録シートとしては、大きさや厚さの異なる用紙(普通紙、厚紙)やOHPシートなどのフィルムシートを利用できる。給紙カセットが複数ある場合には、異なる大きさ又は厚さ又は材質の記録シートを複数の給紙カセットに収納することとしてもよい。
繰り出しローラ42、タイミングローラ44等の各ローラは、搬送モータ(不図示)を動力源とし、歯車ギヤやベルトなどの動力伝達機構(不図示)を介して回転駆動される。この搬送モータとしては、例えば、高精度の回転速度の制御が可能なステッピングモータが使用される。
記録シートは、中間転写ベルト11上のトナー像の移動タイミングに合わせて
給紙部4から2次転写位置46に搬送され、2次転写ローラ45により中間転写
ベルト11上のトナー像が一括して記録シート上に2次転写される。
[2]定着装置の構成
図2(a)は、定着装置5の構成を示す断面図である。同図に示すように、定着装置5は、定着ローラ50と、定着ベルト51と、加圧ローラ52と、磁束発生部54と、摺接部材55と、を有する。
定着ローラ50と加圧ローラ52は、芯金502、523の軸方向両端部が図示しないフレームの軸受部に回転自在に軸支される。加圧ローラ52は、駆動モータ(不図示)からの駆動力が伝達されることにより矢印B方向に回転駆動される。この加圧ローラ52の回転に伴って定着ベルト51と定着ローラ50が矢印A方向に従動回転する。
定着ローラ50は、長尺で円筒状の芯金502の周囲を断熱層501で被覆されてなり、定着ベルト51の周回経路の内側に配されている。断熱層501は、定着ベルト51が発熱した熱を芯金502に逃がさないようにするための層である。
断熱層501の材料としては、熱伝導率が低く、耐熱性及び弾性を有するゴム材や樹脂材のスポンジ体(断熱構造体)を用いるのが望ましい。定着ベルト51のたわみを許容し、ニップ幅を広くすることができるからである。断熱層501を、ソリッド体とスポンジ体との2層構造にしてもよい。シリコーンスポンジ材を断熱層501として用いる場合には、その厚さを1〜10mmとするのが望ましい。さらに望ましくは、2〜7mmとするのがよい。
この場合、断熱層501の硬度は、アスカーC硬度(SRIS0101(日本ゴム協会標準規格)に規定されたデュロメータ(スプリング式硬度計)によって測定された硬度)で20〜60度とするのが望ましい。さらに望ましくは、30〜50度の範囲内とするのがよい。そして定着ローラ50全体としての硬度は、アスカーC硬度で30〜90度の範囲内であることが望ましい。芯金502は、定着ローラ50を支持する部材であり、耐熱性と強度を有する材料から構成される。芯金502の材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス等を用いることができる。
図2(b)は、定着ベルト51の構成を示す部分断面図である。定着ベルト51は、無端の円筒状のベルトであり、同図に示すように、発熱調整層511、金属メッキ層512、弾性体層513、離型層514が、この順に積層されてなる。各層は、互いに接着されている。
発熱調整層511は、電磁誘導作用により発熱し、温度により透磁率が変化することにより、発熱量を制御する層である。具体的には、発熱調整層511は、キュリー温度より低い温度では、磁束発生部54から発生する磁束は、発熱調整層511を透過せず、発熱調整層内に閉じ込められるため、当該層内に誘導電流(渦電流)が誘起されて発熱し、キュリー温度以上の温度では、透磁率が低下し、磁束が発熱調整層511を透過してしまうため、誘導電流の誘起が抑制されて発熱が抑制される層である。
発熱調整層511は、発熱制御層5111と発熱及び酸化防止層5112とから構成される。なお、発熱制御層5111のみでも発熱調整層511として機能することができる。
発熱制御層5111を構成する材料としては、定着温度と同程度のキュリー温度(例えば、目標とする定着温度が約180℃(170〜190℃)の場合には、150〜220℃、望ましくは180〜200℃の範囲内のキュリー温度)を有する材料を用いる。
ここでは、当該材料としてパーマロイを使用している。図3は、パーマロイにおけるニッケル(Ni)配合率とキュリー温度との対応関係を示す図である。同図に示すように、パーマロイにおけるニッケル(Ni)の配合率を変化させることにより、キュリー温度を変化させることができるので、当該配合率を調整することにより、目標とするキュリー温度を有するパーマロイを生成することができる。又、パーマロイをクロム(Cr)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)等を含む合金とすることによってもキュリー温度の調整が可能である。
キュリー温度より低い温度での発熱制御層511における比透磁率は、例えば、50〜2000、望ましくは100〜1000の範囲内のものとする。
又、発熱制御層511の体積抵抗率は、キュリー温度以上の温度において後述する摺接部材55の補助発熱層551よりも適度に体積抵抗率が大きくなるようにする。体積抵抗率は、キュリー温度より低い温度において、2〜200×10−8Ωm、望ましくは5〜100×10−8Ωmの範囲内のものとする。
なお、発熱制御層5111の厚さは、20〜200μm、望ましくは30〜70μmの範囲内とするのが好ましい。
発熱及び酸化防止層5112は、後述する定着ベルト51の製造方法において行われる焼鈍処理の際に、発熱制御層511の酸化を防止してその表面に酸化被膜が形成されるのを防止するとともに、磁束発生部54から発生する磁束が導かれることにより誘導電流が誘起されて発熱する層である。この層を設けることにより、発熱制御層511のみの場合に比較し、発熱効率を高めることができ、定着装置5のウォームアップ時間を短縮することができる(例えば、特開2009−151044号公報の段落9〜13参照)。
発熱及び酸化防止層5112としては、発熱制御層5111に比べて体積抵抗率が小さく、酸化防止(防錆)作用のある材料を用いることができる。例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)等の導電性を有する金属を用いることができる。望ましくは、銅(Cu)、銀(Ag)、等の非磁性の材料を用いるのが好ましい。ここで、「非磁性」とは、反磁性又は常磁性のことをいう。磁性体の材料の場合に比較して電力制御範囲が広く、発熱制御層5111がキュリー温度を超えたときに、自層内に磁束が導かれないようにすることができるので、発熱調整層511における発熱抑制効果を高めることができるからである。
金属メッキ層512は、後述する定着ベルト51の製造方法において行われる焼鈍処理によって強度(硬度)が劣化した発熱調整層511の強度を補強するための層である。金属メッキ層512の材料としては、例えば、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、銀(Ag)、等の金属を用いることができる。
金属メッキ層512の厚さは、0.5〜40μmの範囲内であることが望ましい。0.5μmより薄くなると充分な強度が得られず、40μmを超えると、発熱調整層511で発生した熱を定着ベルト51の外周面まで到達させることが難しく伝熱効率が悪くなる。
弾性層513は、記録シート上のトナー像に均一かつ柔軟に熱を伝えるための層である。弾性層513を設けることにより、トナー像が押しつぶされたり、トナー像が不均一に溶融されたりするのを防止し、画像ノイズの発生を防止することができる。弾性層513の材料としては、耐熱性と弾性とを有するゴム材や樹脂材を用いる。例えば、シリコンゴム、フッ素ゴム等の耐熱性エラストマーを材料として用いることができる。
また、上記の材料に,熱伝導性や補強等を目的とした各種の充填材を混入したものでもよい。そのうち熱伝導性の向上のために充填される粒子の例としては、ダイヤモンド、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、大理石、ガラス等が挙げられる。実用的には,シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、酸化ベリリウム等が好ましい。
弾性層513の厚さは、10〜800μm、さらに望ましくは100〜300μmの範囲内のものとする。弾性層513の厚さが10μm未満では厚さ方向の十分な弾力性を得ることが難しい。また,この厚さが800μmを超えていると,発熱調整層511で発生した熱を定着ベルト51の外周面まで到達させることが難しく,伝熱効率が悪いので好ましくない。
弾性層513の硬度は、JIS(日本工業規格)硬度で1〜80度、さらに望ましくは5〜30度の範囲内のものとする。この範囲内の硬度であれば、弾性層513の強度の低下や密着性の低下を防止しつつ、安定した定着性を確保できる。硬度がこの範囲内となるシリコンゴムとして、例えば、1成分系、2成分系、または3成分系以上のシリコンゴム、LTV(Low Temperature Vulcanizable:低温加硫)型、RTV(Room Temperature Vulcanizable:常温加硫)型、又はHTV(High Temperature Vulcanizable:高温加硫)型のシリコンゴム、縮合型又は付加型のシリコンゴム等が使用できる。本実施の形態では、JIS硬度10度で厚さ200μmのシリコンゴムを使用している。
離型層514は、定着ベルト51の最外層をなし、定着ベルト51と記録シートとの離型性を高めるための層である。離型層514の材料としては、定着温度での使用に耐えられるとともにトナーに対する離型性に優れたものを使用することができる。例えば、シリコンゴムやフッ素ゴム、あるいはPFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体)、PTFE(四フッ化エチレン)、FEP(四フッ化エチレン・六フッ化エチレン共重合体)、PFEP(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体)等のフッ素樹脂を使用することができる。あるいは,これらを混合したものを使用することとしてもよい。
離型層514の厚さは5〜100μm、望ましくは10〜50μmの範囲内のものとするのがよい。また,離型層514と弾性層513との接着力を向上させるために、プライマー等による接着処理を行ってもよい。又、離型層514の中に、必要に応じて、導電材、耐摩耗材、良熱伝導材等をフィラーとして添加することとしもよい。
図2(a)の説明に戻って、加圧ローラ52は、円筒状の芯金523の周囲に、弾性体層522を介して離型層521が積層されてなり、定着ベルト51の周回経路外側に配置され、定着ベルト51の外側から定着ベルト51を介して定着ローラ50を押圧して、定着ベルト51の外周面との間に周方向に所定幅を有する定着ニップ53nが形成される。
離型層521は、離型層514と同様に、加圧ローラ52と記録シートとの離型性を高めるための層であり、離型層514と同様の材料及び厚さで構成することができる。
断熱層522は、厚さ3〜10mmの範囲内のシリコーンスポンジゴムの層である。断熱層522を、シリコーンスポンジゴムの層とシリコーンスポンジの層の2層で構成することとしてもよい。芯金523の材料としては、芯金502と同様の材料を用いることができる。
磁束発生部54は、定着ベルト51の周回経路外側であって、定着ベルト51を挟んで加圧ローラ52と相対する位置を基準とした場合に、当該位置から定着ベルト51の周回方向のやや上流側に、定着ベルト51の周回方向に沿うように配置される。磁束発生部54は、図示しないコイルボビンと、励磁コイル541と、コア542と、裾コア543等を有する。
励磁コイル541は、定着ベルト51に含まれている発熱調整層511を加熱するための磁束を発生させるものであり、図示しないコイルボビンに巻かれている。励磁コイル541から発生される交番磁束は、コア542及び裾コア543により定着ベルト51に導かれ、定着ベルト51の発熱調整層511の、主に磁束発生部54に対向する部分を貫き、この部分に渦電流を発生させて発熱調整層511を発熱させ、定着ベルト51を加熱する。定着ベルト51の昇温により、定着ニップ53nで定着ベルト51に接触している加圧ローラ52も昇温する。
摺接部材55は、定着ベルト51を挟んで磁束発生部54と対向するように、定着ベルトの内周面の一部に沿って配され、当該内周面に沿う領域が湾曲した曲面となっている。摺接部材55は、定着ベルト51の内周面と接触していてもよい。図2(c)は、摺接部材55の構成を示す部分断面図である。
同図に示すように、摺接部材55は、補助発熱層551と、保護層552とを有し、保護層552が定着ベルト51と対向するように配されている。補助発熱層551は、定着ベルト51の温度がキュリー温度以上になったときに、定着ベルト51から漏れる磁束により渦電流を発生させて、磁束を打ち消す方向に働く逆起電力を生じさせ、定着ベルト51における発熱量を低下させるための層である。
補助発熱層551は、非磁性材でも磁性材でも構わないが,どちらかというと非磁性材の方が望ましい。比透磁率は0.99〜2.0、望ましくは0.99〜1.1の範囲内とする。補助発熱層551としては,電気抵抗率の低い材料を用いる。補助発熱層551の体積抵抗率は,1.0〜10.0×10-8Ωm、望ましくは1.0〜2.0×10-8Ωmの範囲内のものとする。特に本形態では,補助発熱層551には、高温において発熱制御層5111よりも低抵抗である材料を用いる。補助発熱層551の厚さは、0.1〜4mm、望ましくは0.4〜2mmの銅製とするとよい。あるいは,上記の比透磁率及び体積抵抗率の範囲内であれば,鉄、SUS、アルミ等の材質のものを用いることもできる。ここで,本発明における「高温」とは,発熱制御層5111のキュリー温度を超えた温度範囲のことをいう。
保護層552は、補助発熱層551を摩擦磨耗から保護するための層である。PFEやPTFEを含有する低摩擦材料を使用するのが望ましく、厚さは、10〜50μm程度とするのがよい。
[3]定着ベルトの製造方法
図4は、定着ベルト51の製造工程を示す図である。発熱制御層5111上に発熱及び酸化防止層5112を、電気鋳造メッキ加工することにより、積層して塑性加工をし、無端状のベルト層を発熱調整層511として形成する(図4(a)、(b)に示す工程)。
次に、発熱調整層511を、700〜1200℃の真空若しくは窒素ガス置換した炉において0.5〜2時間、焼鈍処理し、発熱制御層5111を構成する磁性体の結晶粒を肥大化させて、その磁性を回復させる(図4(c)に示す工程)。
ここで、焼鈍処理とは、所定の温度で加熱した後、徐冷する処理のことをいう。
次に、金属メッキ層512を電解メッキする(図4(d)に示す工程)。さらに、金属メッキ層512の上に弾性層513、離型層514をこの順に被覆することにより、定着ベルト51を製造する(図4(e)に示す工程)。
上記の製造工程において、電解メッキは、焼鈍処理によって低下した金属の強度(硬度)を補強するために行われる。図5は、金属に施した処理と、強度との関係を示す図である。同図では、パーマロイ、ニッケル(Ni)、銅(Cu)の各金属について、以下に示す各種類の試験サンプルを調整し、調整した各試験サンプルについてビッカース硬度を測定した。同図の符号41は、図4(d)に示す電界メッキ工程(金属メッキ層512は、ニッケル(Ni)を使用し、メッキの厚さは20μmとした。)を行った後の試験サンプルを、符号42は、図4(b)に示す塑性加工工程を行った後の試験サンプルを、符号43は、図4(c)に示す焼鈍処理工程を行った後の試験サンプルを示す。
同図に示すように、ビッカース硬度は、何れの金属においても、焼鈍処理工程により、塑性加工時よりも低下し、電解メッキ工程において金属メッキ層512を電解メッキすることにより、塑性加工時よりも有意に上昇した。このように、電解メッキすることにより、焼鈍処理によって低下した金属の硬度を充分補強することができる。
又、発熱制御層5111を単体で焼鈍処理してしまうと、発熱制御層5111の表面に酸化被膜が形成され、その上に金属メッキ層512を電解メッキしても、電解メッキした金属メッキ層512がすぐに発熱制御層5111から剥がれてしまうという不具合が生じる。従って上記の製造工程では、発熱制御層5111の表面に酸化防止層(発熱及び酸化防止層5112)を積層させた状態で焼鈍処理を行うこととし、これにより、酸化被膜が形成されないようにして、電解メッキした金属メッキ層512が剥がれないようにしている。
酸化防止層を積層させた場合と、積層させない場合のそれぞれについて、金属メッキ層512に対する剥離強度を調べた実験結果は、以下に示すとおりである。
実験は、発熱制御層5111としてパーマロイを使用し、パーマロイに積層させる酸化防止層として、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、銀(Ag)、ポリイミド(PI)をそれぞれ使用し、対照として、酸化防止層を積層させないパーマロイ単体を使用した。
焼鈍処理したパーマロイと酸化防止層との各積層体又は焼鈍処理したパーマロイ単体に、金属メッキ層512としてNiを電解メッキし、さらに弾性層513、離型層514をこの順に被覆することにより、試験用サンプル及び対照サンプルを調整した。
調整した各サンプルを、230℃のオーブン内において250〜1000時間放置し、放置後のサンプルに剥離が認められるか否かを肉眼により確認した。
対照サンプルについては、放置直後に剥離が認められたが、試験サンプルについては、銀を除いて、1000時間まで剥離が認められなかった。銀については、250時間まで剥離が認められなかった。
以上の実験結果より、酸化防止層を積層させることにより、積層させない場合に比較して剥離強度を高めることができることが確認された。
[4]変形例
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
・ 本実施の形態に係る定着ベルトの製造方法においては、電気鋳造メッキ加工することにより、発熱制御層5111と発熱及び酸化防止層5112とを積層させることとしたが、両者を圧延加工することにより、クラッド化して両層を積層させて板材とした後、絞り加工、スピニング加工、DI加工(ドローイング・アイアニング加工)などの塑性加工をして無端状のベルト層を発熱調整層511として形成することとしてもよい。
(2)本実施の形態においては、発熱調整層511において、酸化防止層として、発熱機能を兼ねるものを用いたが、酸化防止機能のみを有するものを用いることとしてもよい。例えば、発熱調整層を、発熱制御層5111と、酸化防止機能のみを有し、発熱機能を有しない材料(例えば、ポリイミド(Pi)樹脂)からなる酸化防止層とから構成することとしてもよい。
この発熱調整層を用いる場合においても、実施の形態における定着ベルトの製造方法と同様の製造方法により、当該発熱調整層を有する定着ベルトを製造することができる。この場合、電解メッキ工程(図4(d)に示す工程)において、金属メッキ層512として、誘導電流が流れることにより発熱する発熱層を電解メッキすることとしてもよい。電荷メッキ用の発熱層としては、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)等の導電性の金属を用いることができる。これにより、定着ベルトの発熱効率を高めることができる。但し、銅を用いる場合には、以下の点について留意すべきである。
(3)本実施の形態における金属メッキ層512の材料としては、銅(Cu)を用いることもできるが、銅と弾性層513の材料との接着性が良好でないため、この場合には、さらに、銅層の上に、弾性層513の材料との接着性がよい材料(例えば、ニッケル(Ni)等)を積層した構成とするのが望ましい。これにより、銅を金属メッキ層512として用いた場合においても、弾性層513との接着性を良好にすることができる。このような構成の定着ベルトは、金属メッキ層512を電解メッキする工程(図4(d)に示す工程)を行った後、さらにニッケル(Ni)を電解メッキし、その後、弾性層513、離型層514をこの順に被覆する工程(図4(e)に示す工程)を行うように、本実施の形態に係る定着ベルトの製造方法を変形することにより、製造することができる。
プリンタ、複写機等の画像形成装置が備える定着装置に関し、特に電磁誘導作用により加熱される定着装置用の発熱部材における発熱効率を高める技術として利用できる。
1 プリンタ
3 画像プロセス部
3Y〜3K 作像部
4 給紙部
5 定着装置
10 露光部
11 中間転写ベルト
12 駆動ローラ
13 従動ローラ
31Y 感光体ドラム
32Y 帯電器
33Y 現像器
34Y 1次転写ローラ
35Y クリーナ
41 給紙カセット
42 繰り出しローラ
43 搬送路
44 タイミングローラ
45 2次転写ローラ
46 2次転写位置
50 定着ローラ
51 定着ベルト
52 加圧ローラ
53n 定着ニップ
54 磁束発生部
60 制御部
71 排出ローラ
72 排紙トレイ

Claims (8)

  1. 電磁誘導作用により発熱し、温度により透磁率が変化し、その変化により、発熱量を制御することが可能な発熱制御層を含む定着装置用の発熱部材の製造方法であって、
    前記発熱制御層上に、前記発熱制御層の酸化を防止する酸化防止層を積層させた後、塑性加工する塑性加工工程と、
    前記塑性加工工程後、焼鈍処理をする焼鈍工程と、
    前記焼鈍処理後、前記発熱制御層上に積層された酸化防止層の表面を金属でメッキする金属メッキ工程と、
    を含み、
    前記酸化防止層は、前記発熱制御層を構成する材料に対する剥離強度が、前記発熱制御層を単体で焼鈍処理した場合に当該発熱制御層の表面に形成される酸化被膜の、前記材料に対する剥離強度よりも大きく、かつ、メッキされた前記金属に対する剥離強度が、前記酸化被膜の、対応する前記金属に対する剥離強度よりも大きい材料からなる
    ことを特徴とする発熱部材の製造方法。
  2. 前記酸化防止層は、銅、ニッケルの何れかの材料からなる
    ことを特徴とする請求項1記載の発熱部材の製造方法。
  3. 前記発熱制御層は、パーマロイからなる
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の発熱部材の製造方法。
  4. 前記パーマロイは、Cr、Mn、Moの何れかを含有している
    ことを特徴とする請求項3記載の発熱部材の製造方法。
  5. 前記金属メッキ工程においてメッキする金属は、Cu、Ni、Au、Ag、Al、Tiの何れかの金属である
    ことを特徴とする請求項3記載の発熱部材の製造方法。
  6. 周回駆動される無端状の熱定着用の定着ベルト部材であって、
    請求項1から5の何れかに記載の製造方法により製造した発熱部材を有する
    ことを特徴とする定着ベルト部材。
  7. 請求項6に記載の定着ベルト部材を備える
    ことを特徴とする定着装置。
  8. 請求項7に記載の定着装置を備える
    ことを特徴とする画像形成装置。
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