JP5304374B2 - 電力変換システムのノイズ低減法 - Google Patents

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本発明は、電力変換装置が複数台並列運転されるような電力変換システムにおいて、電力変換装置のスイッチング周波数の位相差を調整することでノイズを低減する技術に関する。
電力変換装置(パワーエレクトロニクス機器)が発生する伝導ノイズ/放射ノイズが周辺機器を誤動作させる要因となっている。これは近年のパワーエレクトロニクス技術が家電製品等にまで適用されるなど、電力変換機器の広範な普及を背景として、様々な場面で生じている。
このため、電力変換機器が発生する伝導ノイズ/放射ノイズは、国内ではVCCI(Voluntary Control Council for Information Technology Equipment:情報処理装置等電波障害自主規制協議会)、国際的にはIEC(国際電気標準会議)のCISPR(Comite International Special des Perturbations Radioelectriques )等により限度値が設けられており、規制の対象となっている。一般的な電力変換機器の場合、伝導ノイズは150kHz〜30MHzの広範囲の周波数帯にわたって複数の規制値が設けられており、電力変換機器の仕様環境に応じた規制値を満足するように開発されている。
電力変換機器が発生する伝導ノイズを低減する手法は、種々提案されている。そのうち、従来から知られている手法について、以下、説明する。
(イ)スイッチング周波数の特定角度を並列運転台数Nで割ることで位相差を決定する方法がある。すなわち、
(a) キャリア周波数の位相角を2π/Nに設定して低減(例えば特許文献1参照)する例が知られている。すなわち、
マトリックスコンバータを複数台並列運転する場合、特許文献1では、スイッチング周波数の位相角を2π/Nに設定することで、ノイズ周期をN倍化することを開示している。例えば、N=2の場合には、2次,4次,‥となる。この方法は、マトリックスコンバータだけに限らず、種々の回路について提案されている。
(b) スイッチング周波数の位相角をπ/Nに設定して低減(例えば特許文献2参照)する例が知られている。すなわち、
交流電気車の制御法として、特許文献2では、スイッチング周波数の位相角をπ/Nに設定して高次高調波成分を除去することを開示している。例えば、N=2の場合には、2次、6次等を除去できる。
(ロ)また、電力変換装置が並列ではないものの、類似の技術としては3相PWMインバータにおいて、スイッチング周波数に位相差を持たせて、特定高調波成分を除去する技術が提案されている(特許文献3)。この特許文献3は、特許文献3の(8)式,(9)式で位相差を決定し、3相PWMインバータの出力に含まれる特定高調波成分を除去するものである。
このように従来においては、スイッチング周波数の位相差を決定することで、不要な高調波成分を除去する技術が提案されている。そして、除去すべき高調波成分は機器に応じて異なることから、どのように位相差を決定すべきかの方法が種々異なっている。
また、これらの技術は、リアクトルを流れる高調波成分の低減等による損失低減や小型化を目的としていることから、スイッチングリプル等の絶対値を小さくすることが主目的となる。このため、低減する高調波成分は比較的低次の次数(1次〜3次)を低減する技術
である。
特開2005-065356号公報(請求項2) 特開平10-229609号公報(段落0002〜0003) 特開2004-248419号公報(段落0015)
しかしながら、規制の対象となる伝導ノイズ、すなわち雑音端子電圧を満足しなければならない場合、これまでの位相差の決定方法では十分なノイズ低減効果が得られない課題がある。以下、その理由について説明する。
(1)ノイズレベルを減衰させたい周波数が、比較的高次の高調波成分に相当し、狙った高調波次数を自由に設定できない。
前述の特許文献で記載されている技術は、リアクトル等を流れる高調波成分の低減による損失低減や小型化を目的としているため、スイッチングリプル等の絶対値を小さくすることが主目的となり、低減する高調波成分は比較的低次の次数(1次〜3次)を低減する技術の開示に止まっている。
これに対して雑音端子電圧は、前述のように幅広い周波数帯域(一般に150kHz〜30MHz)にわたって規制値が設けられており、規制を満足するためには一般に150kHz以上の周波数帯のノイズを低減しなければならない。
電力変換装置のスイッチング周波数は、高周波化の流れにあるものの、多くの機器が数10kHz以下である。例えば、電力変換機器の仕様環境でスイッチング周波数が20kHzの機器の場合、規制の対象周波数に含まれるのは8次高調波成分(160kHz)以降である。そして、低減したい次数はスイッチング周波数に応じて、変化することから(スイッチング周波数30kHzの場合には、5次高調波である150kHz)、所望の次数を低減する技術が必要となる。従来技術のように基準となる位相角2πやπと言う把握しやすい位相角の設定では、狙った高調波成分を低減することは困難である。
(2)幅広い周波数帯域でノイズを低減する必要がある。
雑音端子電圧は、前述のように幅広い周波数帯域(一般に150kHz〜30MHz)にわたって規制値が設けられており、そのすべての周波数帯域において、発生するノイズレベルを規制値以下としなければならない。すなわち、ある特定周波数成分を除去したとしても、その前後の次数の高調波成分は大きなノイズレベルであることから、幅広い周波数帯域のノイズレベルを低減するためには大きな効果が得られない。
例えば、前述の“キャリア周波数の位相角を2π/Nに設定して低減”する技術では、N=2の場合には2倍周期化するものの、2倍周期ごとに大きなノイズレベルのノイズが発生することになる。このように前後の周波数で大きなノイズレベルが発生してしまうと、規制を満足するために接続するノイズフィルタのサイズはほとんど変わらなくなってしまう。
ここまでの考察から本発明で解決すべき課題は、電力変換装置が複数台並列運転されるような電力変換システムのノイズ低減法において、スイッチング周波数に応じて狙った高次高調波次数および、その周辺の高調波成分を含めてノイズレベルを低減する技術を確立することにある。
上記課題を解決するために本発明は、少なくとも一つの半導体スイッチング素子を含む電力変換装置であり、前記電力変換装置を少なくとも2台以上の複数台を並列運転するとともに、前記複数台の電力変換装置のスイッチング周波数を同期させ、かつ適切な位相差を持たせて運転させる電力変換システムのノイズ低減法において、
前記適切な位相差として、並列台数N、前記電力変換システムが準拠すべきノイズ規格の下限周波数付近となるスイッチング周波数の最も小さい高調波成分の次数nにおいて、Nが奇数の場合には下記式1を充たす、Nが偶数の場合には下記式2を充たす、位相角αを設定することを特徴とする。
また上記において、位相角αを、おおよそ2π/(N×n)[rad.]に設定することを特徴とする。
また本発明は、少なくとも一つの半導体スイッチング素子を含む電力変換装置であり、前記電力変換装置を少なくとも2台以上の複数台を並列運転するとともに、前記複数台の電力変換装置のスイッチング周波数を同期させ、かつ適切な位相差を持たせて運転させる電力変換システムのノイズ低減法において、
前記適切な位相差として、並列台数N、前記電力変換システムが準拠すべきノイズ規格の下限周波数付近となるスイッチング周波数の最も小さい高調波成分の次数nにおいて、Nが奇数の場合には下記式3を充たす、Nが偶数の場合には下記式4を充たす、位相角αを設定することを特徴とする。
上記において、位相角αを、おおよそ2π/{(N+1)×n}[rad.]に設定することを特徴とする。
また本発明は、少なくとも一つの半導体スイッチング素子を含む電力変換装置であり、前記電力変換装置を少なくとも2台以上の複数台を並列運転するとともに、前記複数台の電力変換装置のスイッチング周波数を同期させ、かつ適切な位相差を持たせて運転させる
電力変換システムのノイズ低減法において、
前記適切な位相差として、並列台数N、ノイズレベルを低減したい高調波成分の次数nにおいて、Nが奇数の場合には下記式5を充たす、Nが偶数の場合には下記式6を充たす、位相角αを設定することを特徴とする。
本発明によれば、電力変換装置が複数台並列運転されるような電力変換システムのノイズ低減法において、スイッチング周波数に応じて狙った高次高調波次数および、その周辺の高調波成分を含めてノイズレベルを低減できるようになる。
これにより、所望の周波数のノイズレベルを低減できる低ノイズな電力変換システムを構築できる。また、ノイズフィルタを追加するような場合には、ノイズフィルタの小型化も同時に実現できる。
本発明の第1の実施形態に係る電力変換システムの構成を示す図である。 本発明の実施形態にかかる電力変換装置の具体例を示す図である。 ある電力変換装置単体が動作したときのノイズ電流波形の模式図である。 本発明の第1の実施形態に係る電力変換装置の並列運転台数2のときのノイズ電流波形の模式図である。 本発明の第1の実施形態に係る電力変換装置の並列運転台数Nのときのノイズ電流の模式図である。 本発明の第2の実施形態に係る高調波成分の次数nと式7との関係を示す図である。 一括のノイズフィルタを追加した本発明の第3の実施形態に係る電力変換システムの構成を示す図である。 本発明の第4の実施形態に係る高調波成分の次数nと式7との関係を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
[実施形態1]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電力変換システムの構成を示す図である。図1の場合、LISN(Line Impedance Stabilizing Network:擬似電源回路網)10に個別の電力変換装置(Power converter)20がN台並列に接続されている。このとき電力変換装置20としては、図2(a)に示したハーフブリッジインバータ21や、図2(b)に示したフライバックコンバータ22などを想定しており、半導体スイッチングにより電力を変換する機器であれば、回路構成はいかなるものでも良い。そして、図1に示す制御回路30
によりN台の電力変換装置20のスイッチング周期を同期させるとともに、各電力変換装置20は適切な位相差により運転される。ここで、図1では、制御回路30を一つしか記載していないものの、この構成に限定されるものではない。電力変換装置20が個別に持っている制御回路のうちマスターやスレーブを切り替えることで、実現する方法も考えられる。なお、LISN(擬似電源回路網)には、FCC(Federal Communications Commission)によって指定されたV型などがある。
図1に示した電力変換システムの構成において、以下、電力変換装置間の位相差の適切な設定方法について説明する。図3は、ある電力変換装置単体が動作したときのノイズ電流波形の模式図を示すものである。一般に雑音端子電圧の規格を満足するためには、浮遊容量を介して流れるコモンモード成分のノイズを抑制することが難しい。このため、図3のノイズ電流波形は半導体スイッチングに伴い流れる瞬間的な電流パルスを想定した模式図である。
最初に、並列運転台数が2台のときについて説明する。図4は電力変換装置の並列運転台数2のときのノイズ電流波形の模式図である。それぞれの電力変換装置20から個別にノイズ電流が流出することから、2台分のパルス電流が流れていることを想定している。このとき、パルスの振幅を1、パルス間角度をα、パルス幅をβとして、フーリエ級数展開により高調波成分の各次数nの振幅an(フーリエ級数展開のsin成分の振幅bn=0になる)を計算すると次の式7となる。ここで、図4は時間ではなく1周期2π[rad.]に対して計算している。
そして、基準として位相角0[rad.]のときの各次数の振幅an0を求めると次の式8となる。
ここで、an/an0を求めると、位相角0[rad.]のときのノイズレベルを基準とした場合における位相角を変化させたときの比を求めることができ、次の式9となる。
上記式9により、位相角αを適切に設定することで、任意の高調波次数nを低減できるようになる。また、同時に以下のことも明らかになった。すなわち、
(A)位相角0[rad.]で動作させたときが最も大きなノイズを発生する。つまり、上記式9はかならず1以下の値となることから、0[rad.]で動作させたときが最もノイズが大きいものになる。
(B)任意のノイズ波形において上記式9は成立する。
図3、図4に示した波形を決定する要因(振幅、パルス幅)に関する項は、上記式7及び式8には反映されているものの、上記式9になると位相角αと高調波次数nのみの関数となっている。このことから、同一周期のノイズ波形ならばその形状に依らず上記式9の
関係を満足することがわかる。
このとき、雑音端子電圧を低減するための位相角αの設定法について説明する。スイッチング周波数が30kHzのとき、一般的な雑音端子電圧の規制下限周波数の150kHzとなるのは、5次高調波成分(n=5)である。このとき、上記式9が0となるような位相角αで動作させることで、5次高調波成分を大幅に低減できるようになる。
次に、上記式9に相当する位相角αと高調波次数nおよび電力変換装置の並列運転台数Nの関係式を導出する。Nが奇数台の場合におけるノイズ電流の模式図を図5(a)に、偶数台の場合におけるノイズ電流の模式図を図5(b)に示す。図5を基に上記関係式を導出すると、次の式10(奇数台)および式11(偶数台)となる。
上記式10及び式11より、前述の(A)(B)は、並列運転台数Nの数を規定せずに満足することが確認できる。
したがって、並列運転台数N、電力変換システムが準拠すべきノイズ規格の下限周波数付近となる最も小さい高調波次数n0において、Nが奇数の場合には次の式12を、Nが偶数の場合には次の式13を充たす位相角αを設定することで、所望の高次高調波成分n0を大幅に低減できるようになる。なお、設定できる位相角αは0≦α≦2π/N[rad.]となる。
以上のように本発明の第1の実施形態によれば、電力変換装置が複数台並列運転されるような電力変換システムにおいて、スイッチング周波数に応じて所望の高次高調波次数を大幅に低減できるようになる。これにより、所望の周波数のノイズレベルを低減できる低ノイズな電力変換システムを構築できる。また、規制対象の下限周波数付近の最低次数n0とすることでノイズフィルタを追加するような場合には、ノイズフィルタの小型化も同時に実現できる。
[実施形態2]
上記した本発明の第1の実施形態に係る電力変換システムによれば、並列運転台数Nに応じた所望の高次高調波成分n0のノイズレベルを大幅に低減できるようになる。しかしながら、雑音端子電圧の規格を満足するためには、所望の高次高調波成分n0だけでなく、周辺の次数についても出来る限り低減できていることが望ましい。そして、上記式12及び式13を満足する位相角αは、1つではないことから、どの位相角に設定すべきかを明確にすることが望まれる。
そこで本発明の第2の実施形態に係る電力変換システムでは、位相角αをおおよそ2π/(N×n)[rad.]に設定するものである。ここで、2π/(N×n)[rad.]は、上記式12及び式13の両方を満足し、かつ最も小さな位相角αとなる。
以下、最も小さな位相角αとするのが望ましい理由について説明する。ここでは例として並列運転台数N=2、低減したい所望の高次高調波成分n0=6とする。
並列運転台数N=2、低減したい所望の高次高調波成分n0=6のとき、上記式13を満足する位相角は3種(π/6 [rad.]、π/2 [rad.]、5π/6 [rad.])ある。このとき、次数nに対して上記式9を求めると図6となる。図6より、上記3種すべての演算結果において、n=6の条件では0となり、ノイズレベルが大幅に低減できることが理解される。しかしながら、図6に示した3種の演算結果のうち、最も雑音端子電圧の低減に有利なのは、π/6 [rad.]の結果である。これは、n=6の周辺の高次高調波成分が最も小さいことによる。この傾向は、並列運転台数Nおよび高次高調波次数nによらず、同様の傾向を示す。
このことから、位相角αを上記式12及び式13の両方を満足し、かつ最も小さな位相角となる2π/(N×n)[rad.]におおよそ設定すると良いことが判った。
以上のように本発明の第2の実施形態に係る電力変換システムによれば、電力変換装置が複数台並列運転されるような電力変換システムにおいて、スイッチング周波数に応じて狙った高次高調波次数、および、その周辺の高調波成分を含めて低減できるようになる。これにより、所望の周波数のノイズレベルを低減できる低ノイズな電力変換システムを構築できる。また、ノイズフィルタを追加するような場合には、ノイズフィルタの小型化も同時に実現できる。
[実施形態3]
上記した本発明の第2の実施形態に係る電力変換システムにおいては、所望の周波数を、雑音端子電圧の規制下限周波数(一般的に150kHz)付近となる最低次数n0により決定する周波数とした。そして最低次数n0により決定した所望の周波数において、式9による演算結果を0にすることでノイズレベルを低減することとした。
しかしながら、雑音端子電圧の規格を満足するためには、ノイズレベルを規制値以下とすれば良く、ゼロにする必要はない。また、規制の対象となる下限周波数以下のノイズレベルはいくら大きくても規格遵守には関係がない。図6のπ/6 [rad.]の結果によると、n=4のときとn=8のときのノイズレベルは同様の値となっている。n=8のノイズレベルが1よりも十分小さいこと(0.5であり、ノイズレベルに換算すると6dBのノイズ低減効果が得られることを意味する)は望ましいものの、n=5のノイズレベルは、低減しなくても良いことになる。
このことに鑑みて、本発明の第3の実施形態に係る電力変換システムは以下のようにして位相角αを決定するものである。すなわち、次の式14(奇数台並列時)、次の式15(偶数台並列時)、を満足するように決定するものである。
ここで、上記式14は上記式10から、上記式15は上記式11から求めている。そして、1以下の条件とは、電力変換装置単体(並列運転ではない)で動作させたときのノイズレベル以下となる条件である。
このように設定した際におけるノイズフィルタを小型化できる理由について説明する。例えば、図7に示すように、電力変換装置20の並列運転時において電力供給ラインに一括のノイズフィルタ40を追加した場合について想定する。このとき、ノイズフィルタ定数を決定する最も大きなノイズ成分は規制下限周波数(150kHz)である。これは、ノイズフィルタ減衰特性の特徴に起因し、周波数が高いほど大きな減衰量となるためである。
このことから、150kHz以上のノイズレベルが1台運転時のN倍になるとそれだけ大きな減衰特性のフィルタ定数が必要になる。それに対し、上記式14、上記式15の条件を満足するように設定すれば、1台運転時と同様な回路定数を選定しても、規格を満足できる可能性があることになる。このことから、上記式14及び式15に基づいて動作位相角を決定することで、ノイズフィルタを小型化できるようになる。
以上のように本発明の第3の実施形態に係る電力変換システムによれば、電力変換装置が複数台並列運転されるような電力変換システムにおいて、電源供給ラインに一括のノイズフィルタを追加し且つ上記式14及び式15に基づいて動作位相角を決定することで、スイッチング周波数に応じて所望の高次高調波次数を規格準拠のために必要なレベルまで低減できるようになる。
[実施形態4]
上記した本発明の第3の実施形態に係る電力変換システムにより、並列運転台数Nに応じた所望の高次高調波成分n0のノイズレベルを規格準拠に必要なレベルまで低減できるようになる。しかしながら、雑音端子電圧の規格を満足するためには、所望の高次高調波成分n0だけでなく、周辺の次数についても出来る限り低減できていることが望ましい。そして、上記式14及び式15を満足する位相角αは、1つではないことから、どの位相角に設定すべきかを明確にすることが望まれる。
そこで本発明の第4の実施形態に係る電力変換システムでは、位相角αをおおよそ2π/{(N+1)×n}[rad.]に設定するものである。ここで、2π/{(N+1)×n}[rad.]は、上記式14及び式15の両方を満足し、かつ最も小さな位相角αとなる。
以下、最も小さな位相角αとするのが望ましい理由について説明する。ここでは例として並列運転台数N=2、低減したい所望の高次高調波成分n0=6とする。
並列運転台数N=2、低減したい所望の高次高調波成分n0=6のとき、上記式13が1となる位相角は6種(π/9 [rad.]、2π/9 [rad.]、4π/9 [rad.]、5π/9 [rad.]、7π/9 [rad.]、8π/9 [rad.])ある。このとき、次数nに対して上記式9を求めると図8となる。図8より、すべての演算結果において、n=6の条件では1となり、ノイズレベルを電力変換装置
単体(並列運転ではない)運転時のレベルに低減できることを示している。しかしながら、図8に示した6種の演算結果のうち、最も雑音端子電圧の低減に有利なのは、π/9 [rad.](= 2π/((2+1)×6)[rad.])の結果である。これは、n=6以上の高次高調波成分が最も小さいことによる。すなわち、π/9 [rad.]に設定するとn=12まで電力変換装置単体(並列運転ではない)運転時のノイズレベル以下となり、最も幅広い連続した周波数帯域で規格準拠に必要なレベルまで低減できるようになる。この傾向は、並列運転台数Nおよび高次高調波次数nによらず、同様の傾向を示す。
このことから、位相角αを上記式14及び式15の両方を満足し、かつ最も小さな位相角となる2π/{(N+1)×n}[rad.]におおよそ設定すると良いことが判った。
以上のように本発明の第4の実施形態に係る電力変換システムによれば、電力変換装置が複数台並列運転されるような電力変換システムにおいて、スイッチング周波数に応じて狙った高次高調波次数および、その周辺の高調波成分を含めて低減できるようになる。これにより、所望の周波数のノイズレベルを低減できる低ノイズな電力変換システムを構築できる。また、ノイズフィルタを追加するような場合には、ノイズフィルタの小型化も同時に実現できる。
[実施形態5]
上記した本発明の第1ないし第4の実施形態に係る電力変換システムでは、一般的に伝導ノイズの規制値を満足することが難しい規制下限周波数を基に、低減すべき高次高調波次数を決定する方法を示した。しかしながら、電力変換装置によっては、予期せぬ共振等により大幅にノイズが上昇する周波数が発生する場合がある。この周波数は一般的に数MHz付近に存在するが、このような大幅にノイズが上昇する周波数に合わせて低減すべき高次高調波成分n0を決定しても良い。
すなわち、並列運転台数N、ノイズレベルを低減したい高調波成分の次数nにおいて、Nが奇数の場合には上記式12を、Nが偶数の場合には上記式13を充たす位相角αと設定することで、所望の高次高調波成分のノイズを大幅に低減できるようになる。
以上のように本発明の第5の実施形態に係る電力変換システムによれば、電力変換装置が複数台並列運転されるような電力変換システムにおいて、スイッチング周波数に応じて狙った高次高調波次数および、その周辺の高調波成分を含めて低減できるようになる。これにより、所望の周波数のノイズレベルを低減できる低ノイズな電力変換システムを構築できる。また、ノイズフィルタを追加するような場合には、ノイズフィルタの小型化も同時に実現できる。
本発明の電力変換システムは、図1においては、電源系統に対して電力変換装置が並列運転される構成としているが、これにとどまるものではない。すなわち本発明の電力変換システムは、電源系統ではなく同一の負荷に供給するために電力変換装置を並列接続する場合でも適用できる。また、電源系統に対して、電力変換装置が並列接続され、同一の負荷に電力を供給する場合でも適用できる。
10 LISN(擬似電源回路網)
20 電力変換装置
21 ハーフブリッジインバータ
22 フライバックコンバータ
30 制御回路
40 ノイズフィルタ(一括)

Claims (5)

  1. 少なくとも一つの半導体スイッチング素子を含む電力変換装置であり、前記電力変換装置を少なくとも2台以上の複数台を並列運転するとともに、前記複数台の電力変換装置のスイッチング周波数を同期させ、かつ適切な位相差を持たせて運転させる電力変換システムのノイズ低減法において、
    前記適切な位相差として、並列台数N、前記電力変換システムが準拠すべきノイズ規格の下限周波数付近となるスイッチング周波数の最も小さい高調波成分の次数nにおいて、Nが奇数の場合には下記式16を充たす、Nが偶数の場合には下記式17を充たす、位相角αを設定することを特徴とする電力変換システムのノイズ低減法。
  2. 請求項1の電力変換システムのノイズ低減法において、
    位相角αを、おおよそ2π/(N×n)[rad.]に設定することを特徴とする電力変換システムのノイズ低減法。
  3. 少なくとも一つの半導体スイッチング素子を含む電力変換装置であり、前記電力変換装置を少なくとも2台以上の複数台を並列運転するとともに、前記複数台の電力変換装置のスイッチング周波数を同期させ、かつ適切な位相差を持たせて運転させる電力変換システムのノイズ低減法において、
    前記適切な位相差として、並列台数N、前記電力変換システムが準拠すべきノイズ規格の下限周波数付近となるスイッチング周波数の最も小さい高調波成分の次数nにおいて、Nが奇数の場合には下記式18を充たす、Nが偶数の場合には下記式19を充たす、位相角αを設定することを特徴とする電力変換システムのノイズ低減法。
  4. 請求項3の電力変換システムのノイズ低減法において、
    位相角αを、おおよそ2π/{(N+1)×n}[rad.]に設定することを特徴とする電力変換システムのノイズ低減法。
  5. 少なくとも一つの半導体スイッチング素子を含む電力変換装置であり、前記電力変換装置を少なくとも2台以上の複数台を並列運転するとともに、前記複数台の電力変換装置の
    スイッチング周波数を同期させ、かつ適切な位相差を持たせて運転させる電力変換システムのノイズ低減法において、
    前記適切な位相差として、並列台数N、ノイズレベルを低減したい高調波成分の次数nにおいて、Nが奇数の場合には下記式20を充たす、Nが偶数の場合には下記式21を充たす、位相角αを設定することを特徴とする電力変換システムのノイズ低減法。
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