JP5303673B1 - 光ファイバ融着接続機 - Google Patents

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Abstract

【課題】小型化とメンテナンスの容易さとを両立できる光ファイバ融着接続機を提供する。
【解決手段】光ファイバ91の設置台ユニット30は、一対の位置決め溝部41,41の間であって光ファイバの融着接続部とレンズユニット50との間には、光透過性の保護部材55が一枚設けられ、保護部材55は、一対の電極棒24,24の間隔方向(Y方向)および位置決め溝部41の延在方向(X方向)に直交する法線を有する仮想面(XY平面)に沿って配置されるとともに、設置台本体31の第一主面33側に貫通孔45,45を塞ぐように組み込まれていることを特徴とする。
【選択図】図3

Description

この発明は、光ファイバ融着接続機に関するものである。
光ファイバ融着接続機としては、一対の光ファイバの端部を一対の電極棒間の放電加熱によって融着接続する装置(単心機)、あるいは複数対の光ファイバ(テープファイバ)の端部を一対の電極棒間の放電加熱によって一括融着接続する装置(多心機)が提供されている。
光ファイバ融着接続機は、光ファイバの心線の接続不良を防止するために、光ファイバの融着接続部を撮影して、光ファイバの心線の融着状態を検査することが行われている。このような光ファイバ融着接続機は、観察対象物である光ファイバの融着接続部と撮像装置との間にレンズユニットを備えている。このレンズユニットは、例えば、レンズ挿入用開口部から鏡筒内にレンズ群、間隔環、保護ガラス等を挿入し、位置決め用ねじ込み部材をねじ込み締め付けて固定した構造とされている。保護ガラスは、鏡筒内に塵埃や水分等が入らないように、鏡筒における光ファイバの融着接続部側の端部に、鏡筒の開口を閉塞した状態で例えば接着固定されている。
ところで、光ファイバ融着接続機の保護ガラスは、レンズを保護する目的で用いられるものであり、レンズの外側に設けられている。このため、保護ガラスは、光ファイバの融着接続時に高温で気化した光ファイバの心線ガラスの成分である、例えばシリカ等の物質が付着して汚損する。保護ガラスが汚損すると、光ファイバの融着接続部を良好に観察できず、光ファイバの融着状態を検査できないおそれがある。
保護ガラスに付着したシリカ等の汚れを除去するためには、定期的な保護ガラスの清掃が必要である。保護ガラスの清掃は、鏡筒が挿入配置されている貫通孔内に、例えば綿棒等を用いて、保護ガラスの汚れの除去状態を確認しながら行う。通常、保護ガラスは、光ファイバの心線を位置決め支持する一対の位置決め溝部の間の凹部内であって、凹部の底部よりも奥に形成された貫通孔内に配置される。したがって、保護ガラスの汚れの除去状態の確認がし難く、かつ綿棒等の貫通孔内への挿入が困難であり清掃作業もし難い。
このような問題を解決するため、例えば特許文献1に記載の光ファイバ融着接続機は、接続機本体内部に設けられて光ファイバの融着接続部の画像を捕捉する観察機構と、観察機構の画像取込部に配置される透明部を有する保護部材とを有している。保護部材は、接続機本体に対して着脱可能に取り付けられている。
特許文献1によれば、融着接続時に融着接続部で発生した、例えば、シリカ等の汚れが透明部に付着して汚損した場合にも、保護部材だけを極めて容易にかつ短時間に交換することができ、補修費などのコストを極力抑えることができるとされている。
特開2010−266566号公報
しかし、特許文献1に記載の光ファイバ融着接続機においては、以下の点で改善の余地がある。
保護部材は、接続機本体上に固定されるための固定部と、透明部が設けられたレンズを保護する保護板部とを有しており、固定部から接続機本体内部の観察機構に向かって、保護板部が斜め下方に延在されている。接続機本体には、観察機構の画像取込部付近に、保護部材の保護板部の設置スペース、および保護部材の着脱に伴う保護板部の移動を可能とするためのスペースを確保する必要がある。このため、光ファイバ融着接続機の小型化には不利であった。
しかも、光ファイバ融着接続機は、屋外の高所で使用されたり、狭小な作業スペースで使用されたりすることが多い。したがって、高所への持ち運びや狭小な作業スペース等を考慮すると、出来る限り光ファイバ融着接続機を小型化する必要がある。特に、光ファイバ融着接続機の大きさは、光ファイバの融着接続部を観察する観察機構(保護部材、レンズユニット、撮像装置およびこれらを設置するための設置台本体)の大きさに依存するところが多い。したがって、出来る限り観察機構を小型化する必要がある。
また、保護部材が汚損した場合には、保護部材表面に付着した汚れを拭き取る等して除去する場合がある。しかし、特許文献1に記載の保護部材の保護板部は、接続機本体内部の奥深くに位置するため、汚れの除去作業が行い難い。また、保護部材の汚れを拭き取るためだけに、光ファイバ融着接続機から保護部材を取り外すのは煩雑である。したがって、保護部材のメンテナンスが困難である。
そこで本発明は、前記課題に鑑みて、小型化とメンテナンスの容易さとを両立できる光ファイバ融着接続機の提供を目的としている。
上記の課題を解決するために、本発明では以下の構成を提供する。
第一の発明は、少なくとも一対の光ファイバの端部を融着接続する光ファイバ融着接続機であって、前記光ファイバの端部同士を対向させて設置する設置台ユニットを備え、前記設置台ユニットは、設置台本体と、設置台本体の第一主面側に互いに離間して設けられ、前記光ファイバの端部同士を対向させて位置決め支持する少なくとも一対の位置決め溝部と、前記設置台本体の前記第一主面側に互いに離間して設けられ、前記少なくとも一対の位置決め溝部の延在方向と交差する方向に沿って配置された一対の電極棒と、前記一対の位置決め溝部の間において、前記設置台本体の前記第一主面側および前記第一主面とは反対側の第二主面側を連通する貫通孔内に組み込まれた一組もしくは二組のレンズユニットと、前記設置台本体に固定され、前記レンズユニットを介して前記光ファイバの融着接続部を撮像する一組もしくは二組の撮像装置と、を有し、前記貫通孔は、第一貫通孔と、該第一貫通孔よりも前記第二主面側に形成されて前記第一貫通孔よりも拡径した第二貫通孔と、を有する段付き孔に形成され、前記第二貫通孔の内部に、鏡筒を設けることなく前記レンズユニットを直接挿入配置し、前記少なくとも一対の位置決め溝部の間であって前記光ファイバの融着接続部と前記レンズユニットとの間には、光透過性の保護部材が一枚設けられ、前記保護部材は、前記一対の電極棒の間隔方向および前記位置決め溝部の前記延在方向に直交する法線を有する仮想面に沿って配置されるとともに、前記設置台本体の前記第一主面側に前記貫通孔を塞ぐように組み込まれており、前記第二貫通孔に組み込まれた前記レンズユニットは、その中心軸が前記保護部材の配置面に直交せずに傾斜して形成されていることを特徴とする光ファイバ融着接続機を提供する。
第二の発明は、少なくとも一対の光ファイバの端部を融着接続する光ファイバ融着接続機であって、前記光ファイバの端部同士を対向させて設置する設置台ユニットを備え、前記設置台ユニットは、設置台本体と、前記設置台本体の第一主面側に互いに離間して設けられ、前記光ファイバの端部同士を対向させて位置決め支持する少なくとも一対の位置決め溝部と、前記少なくとも一対の位置決め溝部の間において、前記設置台本体の前記第一主面側および前記第一主面とは反対側の第二主面側を連通する一対の貫通孔内にそれぞれ組み込まれた二組のレンズユニットと、前記設置台本体にそれぞれ固定され、前記二組のレンズユニットを介して前記光ファイバの融着接続部を撮像する二組の撮像装置と、を有し、前記一対の貫通孔は、それぞれ第一貫通孔と、該第一貫通孔よりも前記第二主面側に形成されて前記第一貫通孔よりも拡径した第二貫通孔と、を有する段付き孔に形成され、一対の前記第二貫通孔の内部に、鏡筒を設けることなく前記二組のレンズユニットをそれぞれ直接挿入配置し、前記第一貫通孔を塞ぐように、光透過性の保護部材を前記設置台本体の前記第一主面側に配置していることを特徴とする光ファイバ融着接続機を提供する。
第三の発明は、第一の発明または第二の発明の光ファイバ融着接続機であって、前記少なくとも一対の位置決め溝部は、前記設置台本体に対して相対移動不能に設けられていることを特徴とする光ファイバ融着接続機を提供する。
第四の発明は、第一の発明の光ファイバ融着接続機であって、前記レンズユニットは、二組設けられており、それぞれ前記第二貫通孔に組み込まれた二組の前記レンズユニットについての挟角は、70°以下に設定されていることを特徴とする光ファイバ融着接続機を提供する。
第五の発明は、第二の発明の光ファイバ融着接続機であって、前記一対の第二貫通孔に組み込まれた前記二組のレンズユニットの挟角は、70°以下に設定されていることを特徴とする光ファイバ融着接続機を提供する。
第六の発明は、第一の発明または第二の発明の光ファイバ融着接続機であって、前記レンズユニットを構成するレンズは、少なくとも一方面が非球面に形成された非球面レンズであることを特徴とする光ファイバ融着接続機を提供する。
本発明によれば、保護部材は、一対の電極棒の間隔方向および溝部の延在方向に直交する法線を有する仮想面に沿って配置されており、貫通孔を覆って設置台本体に組み込まれているので、前記仮想面の法線方向、すなわち保護部材の厚さ方向に設置台本体および設置台ユニットを小型化できる。したがって、保護部材が斜め下方に延在された従来技術と比較して、光ファイバ融着接続機の小型化ができる。
また、本発明では、保護部材は、第一主面側に組み込まれているので、保護部材の表面に容易にアクセスできる。これにより、光ファイバの端部の融着接続時に、光ファイバの心線ガラスの成分であるシリカ等が飛散し、保護部材の表面に付着して汚損が発生した場合であっても、汚れの除去作業を容易に行うことができる。したがって、保護部材のメンテナンスを容易にできる。
このように、本発明によれば、光ファイバ融着接続機の小型化と保護部材のメンテナンスの容易さを両立できる。
実施形態の光ファイバ融着接続機の斜視図である。 設置台ユニットの斜視図である。 図2におけるA−A線に沿った断面図である。
以下、実施形態の光ファイバ融着接続機(以下、単に「融着接続機」という。)について図面を参照して説明する。
図1は、実施形態の融着接続機1の斜視図である。なお、図1において、融着接続される一対の光ファイバ91(91a,91b)を2点鎖線で図示している。また、図1において、後述する風防カバー60を開いた状態で図示している。
図1に示すように、融着接続機1は、一対の光ファイバの91a,91bの端部である心線ガラス部92a,92bを融着接続する装置である。なお、融着接続される一対の光ファイバ91a,91bの端部は、予め被覆材が除去されており、光ファイバ91a,91bの心線ガラス部92a,92bが露出されている。
融着接続機1は、装置本体10が外観箱形に形成されており、例えば設置面Fに載置されて使用される。融着接続機1の装置本体10は、融着接続機1を作動させるための操作部95と、光ファイバ91a,91bの心線ガラス部92a,92bを画像表示等するモニター装置97とを有している。
なお、以下では、一対の光ファイバ91a,91bが延在する融着接続機1の幅方向をX方向とし、一方の光ファイバ91aが配置される側を+X側とし、他方の光ファイバ91bが配置される側を−X側とする。また、水平面上でX方向と交差する方向をY方向とし、モニター装置97が設置された前側を+Yとし、反対側(後側)を−Y側とする。また、X方向およびY方向と直交する方向をZ方向とし、上側を+Z側とし、下側を−Z側とする。以下では、必要に応じてXYZの直交座標系を用いて説明する。
融着接続機1の装置本体10は、一対の光ファイバ91a,91bの心線ガラス部92a,92b同士を加熱融着するための一対の電極棒24,24と、一対の電極棒24,24の互いに対向する先端間の領域(空間)である放電部の+X側および−X側に設けられた一対の被覆クランプ15,15と、を備えている。また、装置本体10は、各被覆クランプ15,15の−Z側に設けられた一対の可動ステージ22,22と、一対の可動ステージ22,22の間において光ファイバ91a,91bの心線ガラス部92a,92bを設置する設置台ユニット30と、を備えている。これら一対の電極棒24,24、一対の被覆クランプ15,15、一対の可動ステージ22,22および設置台ユニット30は、装置本体10の風防カバー60により覆われている。以下に、装置本体10の各構成部品の詳細について説明をする。
一対の電極棒24,24は、それぞれY方向に沿って延在しており、Y方向に互いに離隔させた状態で対向して設けられている。互いに対向する一対の電極棒24,24の先端は、先細り形状に形成されており、一対の電極棒24,24の先端間の放電によって、光ファイバ91a,91bの心線ガラス部92a,92b同士を加熱および融着している。
一対の被覆クランプ15,15は、−Z側に配置されたクランプ下部材16と、このクランプ下部材16に対してヒンジにより結合されて開閉自在に設けられたクランプ上部材17との間に、光ファイバ91の被覆部を把持固定する。
一対の可動ステージ22,22は、それぞれ被覆クランプ15の−Z側に設けられて被覆クランプ15が固定されている。
一対の可動ステージ22,22は、それぞれ不図示の動力源(ステージ用動力源)の駆動力により、設置台ユニット30に対してX方向に沿って、被覆クランプ15ごと移動可能となっている。これにより、一対の可動ステージ22,22は、光ファイバ91a,91bの融着時に、被覆クランプ15,15に把持された状態で光ファイバ91a,91bをX方向に沿って移動させて、光ファイバ91a,91bの心線ガラス部92a,92b同士を近接させている。なお、ステージ用動力源としては、電磁力によって駆動して動力を発生するものが好ましく、例えば電動モータ、電磁石、ソレノイド等を好適に採用できる。
風防カバー60は、略バスタブ状に形成されており、装置本体10の(+Z,+Y)側の角部近傍に設けられたヒンジ機構61を介して装置本体10に対して回動可能に枢着されている。
風防カバー60は、例えば手動により開閉操作可能に構成されている。なお、風防カバー60は、電動により開閉操作可能に構成されていてもよい。
風防カバー60を開くことにより(図1の状態)、装置本体10の内部が外側に露出される。これにより、融着接続機1に光ファイバ91a,91bが装着可能となっている。
また、風防カバー60を閉じることにより、装置本体10が+Z側から覆われて、光ファイバ91a,91bの心線ガラス部92a,92bや電極棒24,24、被覆クランプ15,15、可動ステージ22,22、設置台ユニット30等が、風防カバー60の内側に位置する状態となる。これにより、電極棒24,24間の放電部に風が到達することがないので、光ファイバ91a,91bの心線ガラス部92a,92bを安定して融着できる。
風防カバー60の内側には、一対のファイバクランプ63,63がX方向に並んで設けられている。
一対のファイバクランプ63,63は、略立方体状に形成されており、風防カバー60を開いた状態(図1の状態)において、X方向から見て+Z側に平坦面を有している。一対のファイバクランプ63,63は、後述する一対の位置決め支持部40,40の位置決め溝部41,41に対応した位置に形成されている。これにより、一対のファイバクランプ63,63は、風防カバー60を閉じたとき、位置決め溝部41,41内に載置された光ファイバ91a,91bの心線ガラス部92a,92bを+Z側から押さえ込んで位置決めすることができる。
また、風防カバー60の内側には、一対のファイバクランプ63,63を挟んで+Y側および−Y側に、一対の撮像用光源65,65が設けられている。撮像用光源65,65は、後述するカメラ70(図3参照、請求項の「撮像装置」に相当。)により光ファイバ91a,91bの心線ガラス部92a,92bを撮像する際に、光を照射している。撮像用光源65,65としては、例えば発光ダイオード等を好適に用いることができる。
(設置台ユニット)
図1に示すように、一対の被覆クランプ15,15の間には、光ファイバ91a,91bの心線ガラス部92a,92b同士を対向させて設置する設置台ユニット30が設けられている。
図2は、設置台ユニット30の斜視図である。なお、図2において、光ファイバ91および電極棒24を二点鎖線で図示している。
図3は、図2のA−A線に沿った断面図である。なお、図3では、説明を分かり易くするために、風防カバー60(図1参照)を閉じた状態を図示しており、風防カバー60に設けられたファイバクランプ63および一対の撮像用光源65,65を図示している。
図2に示すように、設置台ユニット30は、例えばプラスチック等によりブロック状に形成されている。
図3に示すように、設置台ユニット30は、主に設置台本体31と、一対の位置決め支持部40,40(図2参照)と、二組のレンズユニット50,50と、二組のカメラ70,70と、保護部材55とにより形成されている。融着接続機1は、光ファイバ91の端部の心線ガラス部92(図3では、光ファイバ91bの心線ガラス部92bのみ図示)を一対の撮像用光源65,65で2方向から照らし、二組のレンズユニット50,50と二組のカメラ70,70とにより、それぞれの方向から光ファイバ91の心線ガラス部92における融着接続部を2軸で撮像する、いわゆる2軸観察を実現している。以下に、設置台ユニット30を構成する各部材について詳述する。
(設置台本体)
図3に示すように、設置台本体31は、図2のA−A線に沿った断面視で、−Z側に短辺を有し+Z側に長辺を有する略等足台形状に形成されており、+Z側に略平坦な第一主面33を有し、−Z側に略U字形状の第二主面34を有している。
図2に示すように、設置台本体31の第一主面33側には、Z方向から見て略矩形枠状に形成された枠体のY方向両側に、一対の電極棒設置部35,35が形成されている。一対の電極棒設置部35,35には、それぞれY方向に沿って電極棒位置決め溝35aが延在形成されている。一対の電極棒位置決め溝35a,35a内には、一対の電極棒24,24がY方向に間隔方向を有した状態で、それぞれ互いに離間して配置されている。
(位置決め支持部)
また、設置台本体31の第一主面33側には、Y方向に沿って形成され略平行に並んだ壁状の一対の位置決め支持部40,40が、一対の電極棒設置部35,35の間に形成されている。一対の位置決め支持部40,40は、設置台本体31に対して相対移動不能に設けられている。
一対の位置決め支持部40,40の+Z側には、それぞれX方向に沿って位置決め溝部41,41が延在形成されている。図3に示すように、位置決め溝部41は、X方向から見て+Z側に開口を有する略V字形状に形成されている。
図2に示すように、一対の位置決め溝部41,41内には、それぞれ光ファイバ91a,91bの端部である心線ガラス部92a,92bが載置される。そして、図3に示すように、風防カバー60(図1参照)を閉じることにより、光ファイバ91a,91bの心線ガラス部92a,92b(図2参照)は、ファイバクランプ63,63により、+Z側から−Z側に向かって一対の位置決め溝部41,41内に押し込まれる。これにより、一対の光ファイバ91a,91bは、それぞれの中心軸がX方向に沿う同一直線(仮想直線)に一致するように、高精度に位置合わせされる。したがって、光ファイバ91a,91bの心線ガラス部92a,92b同士を精度よく融着できる。なお、位置決め溝部41の形状は、光ファイバ91a,91bの心線ガラス部92a,92bを高精度に位置決め可能なものであれば良く、略V字形状に限定されない。位置決め溝部41の形状としては、例えば略円弧形状(断面半円状)や略U字形状、略台形状等であってもよい。
(貫通孔)
図2に示すように、設置台本体31の第一主面33側には、一対の電極棒設置部35,35の間の領域に、+Z側に開口37aを有し、−Z側に底部37bを有する凹部37が形成されている。
図3に示すように、凹部37の底部37bには、一対の位置決め支持部40,40の間であって一対の電極棒設置部35,35の間に、設置台本体31の第一主面33側および第二主面34側を連通する二個の貫通孔45(45a,45b)が形成されている。
二個の貫通孔45a,45bは、Y方向に並んで形成されている。
+Y側に配置された一方の貫通孔45a(以下、「+Y側貫通孔45a」という。)は、X方向から見て、中心軸Oaが第一主面33側から第二主面34側に向かって、(−Y,+Z)側から(+Y,−Z)側に傾斜するように形成されている。
−Y側に配置された他方の貫通孔45b(以下、「−Y側貫通孔45b」という。)は、X方向から見て、中心軸Obが第一主面33側から第二主面34側に向かって、(+Y,+Z)側から(−Y,−Z)側に傾斜するように形成されている。
貫通孔45a,45bは、後述する保護部材55の屈折率を考慮して形成されており、二組のカメラ70,70が貫通孔45a,45bを介して融着接続部の融着状態を観察できるように設けられる。なお、保護部材55による屈折はわずかである。したがって、図3では、分かり易くするために保護部材55による屈折の図示を省略し、中心軸Oa,Obがそれぞれ光ファイバ91の心線ガラス部92と交差するように図示している。
+Y側貫通孔45aの中心軸Oaおよび−Y側貫通孔45bの中心軸Obは線対称に配置されており、中心軸Oaと中心軸Obとの挟角αは、例えば60°になるように形成されている。
+Y側貫通孔45aと−Y側貫通孔45bとは、中心軸Oa,Obの傾斜方向以外は同様に形成されている。したがって、以下では、+Y側貫通孔45aについてのみ説明をし、−Y側貫通孔45bについては説明を省略する。
+Y側貫通孔45aは、第一貫通孔46aと、第一貫通孔46aよりも第二主面34側に形成されて第一貫通孔46aよりも拡径した第二貫通孔47aと、により段付き孔に形成されている。第一貫通孔46aと第二貫通孔47aとの間には、段部48aが形成されており、後述するレンズユニット50が段部48aに突き当てられた状態で、第二貫通孔47a内に組み込まれている。また、第一貫通孔46aの第一主面33側には、後述する保護部材55が組み込まれている。
(レンズユニット)
レンズユニット50は、複数枚(本実施形態では2枚)のレンズ51,51とレンズ51,51の間に配置されるスペーサ53と、ストッパ54と、により構成されている。
レンズ51は、平面視で略円形状に形成されており、直径が第二貫通孔47a,47bの内径と略同一か若干小さくなるように形成されている。レンズ51は、いわゆる非球面レンズであり、両主面が中心軸Oa,Ob方向に若干隆起した、球面ではない曲面に形成されている。非球面レンズは、レンズユニット50の小型化、特にレンズユニット50の軸長の短縮化を考えた場合、レンズ51の枚数を削減でき、かつレンズ51自体を薄く形成できるため有効である。
なお、非球面レンズの両主面の隆起はわずかである。したがって、図3では、非球面レンズによる効果を分かりやすくするために、各レンズ51の両主面を模式的に平坦に図示している。
スペーサ53は、平面視で略リング状に形成されており、レンズ51と同様に、直径が第二貫通孔47a,47bの内径よりも若干小さくなるように形成されている。スペーサ53の中心には、軸方向に貫通する貫通孔が形成されている。
ストッパ54は、平面視で略リング状に形成されている。ストッパ54は、例えば外周面に雄ネジが刻設されており、第二貫通孔47a,47b内に螺着可能に形成されている。ストッパ54の中心には、スペーサ53と同様に軸方向に貫通する貫通孔が形成されている。
上述のように形成されたレンズ51およびスペーサ53は、第二貫通孔47a,47b内にそれぞれ挿入され、ストッパ54は、第二貫通孔47a,47b内に螺着される。これにより、二組のレンズユニット50,50が第二貫通孔47a,47b内に組み込まれる。
具体的に二組のレンズユニット50,50は、それぞれ第二貫通孔47a,47b内に、第一主面33側から第二主面34側に向かってレンズ51、スペーサ53、レンズ51、ストッパ54の順に並んでおり、貫通孔45a,45b内に挿入配置されている。なお、二組のレンズユニット50,50は、第二貫通孔47a,47b内に貫通孔45a,45bの中心軸Oa,Obと同心となるように組み込まれる。したがって、貫通孔45a,45bの中心軸Oa,Obは、二組のレンズユニット50,50の中心軸と一致しており、挟角αは、二組のレンズユニット50,50の中心軸の挟角αと一致している。
レンズ51およびスペーサ53は、それぞれ直径が第二貫通孔47a,47bの内径と略同一か若干小さくなるように形成されているので、第二貫通孔47a,47b内に容易に挿入配置できる。また、ストッパ54は、第二貫通孔47a,47b内に螺着されることにより、レンズユニット50を構成するレンズ51およびスペーサ53を、第二主面34側から第一主面33側に向かって押さえ込むことができる。したがって、ストッパ54は、レンズ51を段部48a,48bに突き当てた状態で第二貫通孔47a,47b内に保持できる。
ところで、一般にレンズユニットは、レンズおよびスペーサを外周側から覆って軸方句および径方向に固定するための鏡筒を備えている。これに対して、本実施形態によれば、第二貫通孔47a,47b内にレンズ51、スペーサ53およびストッパ54を挿入してレンズユニット50を組み込んでいるので、レンズの径方向外側に鏡筒を設けることなくレンズユニット50を形成できる。したがって、レンズユニット50を径方向に小型化できる。
本実施形態の融着接続機1は、光ファイバ91の心線ガラス部92を2軸で撮像する2軸観察を実現している。したがって、二組のレンズユニット50,50は、中心軸Oa,Obが所定角度の挟角αを有した状態で設置される必要がある。
ところで、設置台本体31のY方向の寸法を小型化するには、二組のレンズユニット50,50の挟角αを狭くすることが有効である。しかし、従来の鏡筒を有するレンズユニットは、挟角αを狭くすると鏡筒が互いに干渉するため、二組のレンズユニット50,50の挟角αを狭くするのには限りがあった。
これに対して、本実施形態のレンズユニット50は、従来の一般的なレンズユニットと異なり鏡筒を備えていないため、従来の一般的なレンズユニットよりも径方向に小径化できる。したがって、二組のレンズユニット50,50を、互いに干渉することなく、かつ鏡筒のスペース分だけ従来技術よりも互いに近接させて配置できる。これにより、二組のレンズユニット50,50の挟角αを従来の一般的なレンズユニットよりも狭く設定でき、二組のレンズユニット50,50が組み込まれた設置台本体31をY方向に小型化することができるので、融着接続機1を小型化できる。なお、二組のレンズユニット50,50の挟角αは、従来の一般的な鏡筒を有するレンズユニットの挟角が90°であるのに対して、例えば70°以下とすることが可能であり、本実施形態では例えば60°とされている。
また、設置台本体31のZ方向の寸法を小型化するには、二組のレンズユニット50,50を+Z側に配置することが有効である。しかし、従来の鏡筒を有するレンズユニットは、挟角αを保持したまま+Z側に移動させると、鏡筒が互いに干渉するため、二組のレンズユニット50,50を+Z側に配置するのには限りがあった。すなわち、従来の鏡筒を有するレンズユニットは、鏡筒が互いに干渉しないように設置台本体31の−Z側に配置される必要があり、設置台本体31のZ方向の寸法が大型化する傾向にあった。
これに対して、本実施形態のレンズユニット50は、従来の一般的なレンズユニットよりもレンズユニット50を径方向に小径化することで、挟角αを有した状態で互いに干渉することなく、かつ従来技術のレンズユニットよりも+Z側に配置することができる。したがって、二組のレンズユニット50,50が組み込まれた設置台本体31をZ方向に小型化することができるので、融着接続機1を小型化できる。
さらに、本実施形態では、レンズユニット50を構成するレンズ51は、非球面レンズとされている。これにより、レンズ51の厚みを抑制できるので、レンズユニット50の中心軸Oa,Ob方向の長さを短縮できる。したがって、二組のレンズユニット50,50が組み込まれた設置台本体31をZ方向にも小型化することができるので、融着接続機1をさらに小型化できる。
(カメラ)
二組のカメラ70,70は、それぞれ貫通孔45a,45bの第二主面34側において、貫通孔45a,45bの中心軸Oa,Ob上に設けられている。
二組のカメラ70,70は、例えば不図示のボルト等により、設置台本体31に固定されている。カメラ70は、例えばCCD(Charge Coupled Device:電気結合デバイス)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補型金属酸化膜半導体)等の撮像素子を備えたものが好適に採用される。
二組のカメラ70,70は、レンズユニット50を介して、光ファイバ91の心線ガラス部92を2軸観察している。カメラ70による撮像画像は、融着接続機1(図1参照)内に設けられた不図示の画像処理装置により解析されて、光ファイバ91の心線ガラス部92の端面状態等が自動計測される。また、撮像画像は、モニター装置97(図1参照)に表示される。作業者は、この撮像画像から光ファイバ91の心線ガラス部92における融着接続部の融着状態の良し悪しを判断する。
(保護部材)
保護部材55は、平面視略矩形状に形成された板状部材であり、光透過性を有する例えばガラス等の材料により形成されている。
保護部材55は、設置台本体31の第一主面33側において、第一主面33側に形成された凹部37内に組み込まれている。
保護部材55は、凹部37の底部37bに接した状態で、一対の電極棒24,24の間隔方向であるY方向および位置決め溝部41の延在方向であるX方向に直交するZ方向に沿って法線を有するXY平面(請求項の「仮想面」に相当。)に沿って配置されるとともに、貫通孔45a,45bを覆うように設けられている。光透過性を有する材料で保護部材55を形成することにより、二組のカメラ70,70は、レンズユニット50,50、貫通孔45a,45bおよび保護部材55を介して、光ファイバ91の心線ガラス部92における融着接続部を2軸観察できる。
保護部材55は、凹部37の底部37bに、例えば接着剤等により貼付される。これにより、保護部材55は、融着接続される光ファイバ91の心線ガラス部92よりも−Z側であって、貫通孔45a,45bの+Z側に配置される。しかも、板状の保護部材55が凹部37の底部37bに密着した状態で設けられているので、設置台本体31がZ方向に大型化するのが抑制される。
光ファイバ91a,91bの心線ガラス部92a,92b(図2参照)を融着接続すると、高温で気化した光ファイバ91の心線ガラスの成分である、例えばシリカ等の物質が飛散する。このとき、飛散したシリカ等の物質は、光ファイバ91の心線ガラス部92の−Z側に設けられた保護部材55の+Z側表面56に付着する。これにより、保護部材55のさらに−Z側に設けられたレンズユニット50に直接シリカ等の物質が付着するのを防止できるので、レンズユニット50の汚損を防止できる。
しかも、保護部材55は、第一主面33側に組み込まれているので、風防カバー60(図1参照)を開いた状態では、設置台本体31の第一主面33側において、+Z側に露出している。したがって、保護部材55の+Z側表面56に付着したシリカ等の物質を容易に拭き取ることが可能である。
(効果)
本実施形態によれば、保護部材55は、一対の電極棒24,24の間隔方向(Y方向)および位置決め溝部41,41の延在方向(X方向)に直交する法線を有する仮想面(XY平面)に沿って設置台本体31に配置されており、貫通孔45a,45bを覆って設置台本体31に組み込まれているので、前記仮想面の法線方向、すなわち保護部材55の厚さ方向(Z方向)に設置台本体31および設置台ユニット30を小型化できる。
また、本実施形態では、保護部材55は、第一主面33側に組み込まれているので、風防カバー60を開いた状態とすることで、保護部材55の+Z側表面56に容易にアクセスできる。これにより、光ファイバ91a,91bの心線ガラス部92a,92bの融着接続時に、光ファイバ91a,91bの心線ガラスの成分であるシリカ等が飛散し、保護部材55の+Z側表面56に付着して汚損が発生した場合であっても、保護部材55の+Z側表面56の汚れの除去作業を容易に行うことができる。したがって、保護部材55のメンテナンスを容易にできる。
このように、本実施形態によれば、融着接続機1の小型化と保護部材55のメンテナンスの容易さを両立できる。
また、本実施形態では、貫通孔45a,45bの第二貫通孔47a,47b内にレンズユニット50を組み込むことにより、レンズユニット50を構成するレンズ51の径方向外側に、従来技術のようにレンズを固定するための鏡筒を設ける必要がない。したがって、従来の一般的なレンズユニットと異なり、鏡筒を備えていないため径方向に小径化できる。また、二組のレンズユニット50,50を、互いに干渉することなく、かつ鏡筒のスペース分だけ従来技術よりも互いに近接させて配置できるので、二組のレンズユニット50,50の挟角αを狭くできる。これにより、二組のレンズユニット50,50が組み込まれた設置台本体31をY方向に小型化することができる。
また、レンズユニット50を径方向に小径化することで、二組のレンズユニット50,50が挟角αを有した状態で互いに干渉することなく、従来技術のレンズユニットよりも設置台本体31の+Z側に配置することができる。これにより、二組のレンズユニット50,50が組み込まれた設置台本体31をZ方向に小型化することができる。
さらに、従来の一般的なレンズユニットと異なり、鏡筒を備えていないので、融着接続機1の低コスト化ができる。
また、レンズ51およびスペーサ53等を貫通孔45a,45bに直接挿入配置しているので、鏡筒にレンズ51およびスペーサ53等を組み付けてレンズユニットを構成した後、レンズユニットを貫通孔45a,45bに挿入配置する一般的な従来の構成よりも、組付作業の短縮化および簡素化ができる。
また、本実施形態では、レンズユニット50のレンズ51は、非球面レンズとされており、凸球面レンズの場合よりもレンズ51を薄型化できる。これにより、レンズユニット50の中心軸Oa,Ob方向の長さを短縮できるので、二組のレンズユニット50,50が組み込まれた設置台本体31をZ方向にさらに小型化することができる。
したがって、融着接続機1の小型化ができる。
また、本実施形態では、保護部材55が設置台本体31の第一主面33側に組み込まれて貫通孔45a,45bを閉塞しているので、貫通孔45a,45b内に塵埃や水分等が入り込むのを防止できる。したがって、塵埃や水分等がレンズ51に付着するのを防止できる。
しかも、一枚の保護部材55で二個の貫通孔45a,45bを閉塞し、二組のレンズユニット50,50を保護している。したがって、二枚の保護部材55を設け、二枚の保護部材55によって二個の貫通孔45a,45bをそれぞれ閉塞し、二組のレンズユニット50,50をそれぞれ保護する構成よりも、融着接続機1の低コスト化ができる。
なお、この発明の技術範囲は上記実施の形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
融着接続機1の形状は、実施形態の形状に限定されることはない。また、例えば、操作部95やモニター装置97、風防カバー60等の形状や位置等は実施形態に限定されることはない。
本実施形態では、一対の光ファイバ91a,91bを一対の電極棒間の放電加熱によって融着接続する、いわゆる単心機を例に説明をしたが、本発明の適用は、単心機に限定されることはない。複数本の光ファイバ(テープファイバ)を一対の電極棒間の放電加熱によって一括融着接続する、いわゆる多心機にも本発明を適用できる。
本実施形態では、鏡筒を有していないレンズユニット50を例に説明したが、鏡筒を有するレンズユニットを採用してもよい。ただし、レンズユニット50を小径化でき、二組のレンズユニット50,50の挟角αを狭く設定できる点、および設置台本体31の+Z側に二組のレンズユニット50,50を配置でき設置台本体31を小型化できる点で、鏡筒を有していないレンズユニット50に優位性がある。
本実施形態の融着接続機1は、一対の位置決め支持部40,40が、設置台本体31に対して相対移動不能に設けられていた。これに対して、光ファイバ91a,91bの心線の位置合わせにさらなる精度が要求される場合には、一対の位置決め支持部40,40は、設置台本体31に対して相対移動可能に設けてもよい。ただし、一対の位置決め支持部40,40を相対移動可能とするには、例えばモータおよびカムや、モータおよびマイクロメータ等により構成される駆動機構が必要となり、融着接続機1が大型化する傾向にある。したがって、光ファイバ91a,91bの心線の位置合わせにそれほど精度が要求されず、とりわけ融着接続機1の小型化が要求される場合には、本実施形態の態様が効果的である。
本実施形態の融着接続機1は、レンズユニット50のレンズ51の両主面が球面ではない曲面となるように形成された非球面レンズを採用していた。これに対して、レンズユニット50のレンズ51の一方の主面のみが球面ではない曲面となるように形成された非球面の凸レンズを採用してもよい。また、レンズの両面もしくは一方面が凸球面に形成された凸球面レンズを採用してもよい。ただし、非球面レンズを採用することにより、レンズ51自体を薄く形成できるとともに、球面レンズに比べてレンズ51の枚数を削減できる。したがって、レンズユニット50の軸長を抑制でき、融着接続機1の小型化ができる点で、本実施形態に優位性がある。
また、本実施形態の融着接続機1は、レンズユニット50が2枚のレンズ51を備えていたが、レンズの枚数は本実施形態に限定されない。レンズの枚数は、レンズユニット50の軸長や、要求される融着接続機1の大きさ、撮像精度等に応じて適宜設定される。
本実施形態の融着接続機1は、二組のレンズユニット50,50の挟角αが、例えば60°に設定されていた。これに対して、二組のレンズユニット50,50の挟角αは、60°に限定されることはない。例えば、光ファイバ91a,91bの心線の位置合わせにさらなる精度が要求され、高い撮像精度が要求される場合には、二組のレンズユニット50,50の挟角αを例えば90°としてもよい。ただし、本実施形態では、二組のレンズユニット50,50は、鏡筒を有していないため、鏡筒に相当するスペース分だけさらに二組のレンズユニット50,50を近接させて、挟角αをより狭くする(例えば70°以下)ことが可能である。したがって、高い撮像精度が要求されず、とりわけ融着接続機1の小型化が要求される場合には、実施形態の態様が効果的である。この場合、挟角αは50°から70°程度が好ましい。これにより、所望の撮像精度を満足しつつ、融着接続機1の小型化を実現できる。
本実施形態の融着接続機1は、一対の貫通孔45a,45b、二組のレンズユニット50,50および二組のカメラ70,70を備えており、光ファイバ91a,91bの心線ガラス部92a,92bを2軸で撮像する2軸観察を実現していた。これに対して、一個の貫通孔、一組のレンズユニットおよび一組のカメラを設け、1軸で撮像してもよい。ただし、2軸観察を行うことにより、高い撮像精度を確保できる点で本実施形態に優位性がある。
本実施形態では、一対の被覆クランプ15,15が、それぞれ一対の可動ステージ22,22に対して固定された、いわゆる被覆クランプ方式の融着接続機1を例に説明したが、本発明の適用は、被覆クランプ方式の融着接続機1に限定されることはない。一対の被覆クランプが融着接続機に対して着脱可能に形成されており、光ファイバが一対の被覆クランプにより把持された状態で融着接続機に載置される、いわゆるファイバホルダ方式の融着接続機1にも本発明を適用できる。
本実施形態の融着接続機1は、設置台本体31の第一主面33側であって、一対の貫通孔45a,45bの+Z側に保護部材55が組み込まれていた。これに対して、例えば、設置台本体31の第一主面33側であって、一対の貫通孔45a,45b内に、それぞれ保護部材が組み込まれていてもよい。
1・・・融着接続機(光ファイバ融着接続機) 24・・・電極棒 30・・・設置台ユニット 31・・・設置台本体 33・・・第一主面 34・・・第二主面 41・・・位置決め溝部 45,45a,45b・・・貫通孔 46,46a,46b・・・第一貫通孔 47,47a,47b・・・第二貫通孔 50・・・レンズユニット 51・・・レンズ 55・・・保護部材 70・・・カメラ(撮像装置) 91,91a,91b・・・光ファイバ 92,92a,92b・・・心線ガラス部(端部、融着接続部) Oa,Ob・・・中心軸 α・・・挟角。

Claims (6)

  1. 少なくとも一対の光ファイバの端部を融着接続する光ファイバ融着接続機であって、
    前記光ファイバの端部同士を対向させて設置する設置台ユニットを備え、
    前記設置台ユニットは、
    設置台本体と、
    設置台本体の第一主面側に互いに離間して設けられ、前記光ファイバの端部同士を対向させて位置決め支持する少なくとも一対の位置決め溝部と、
    前記設置台本体の前記第一主面側に互いに離間して設けられ、前記少なくとも一対の位置決め溝部の延在方向と交差する方向に沿って配置された一対の電極棒と、
    前記一対の位置決め溝部の間において、前記設置台本体の前記第一主面側および前記第一主面とは反対側の第二主面側を連通する貫通孔内に組み込まれた一組もしくは二組のレンズユニットと、
    前記設置台本体に固定され、前記レンズユニットを介して前記光ファイバの融着接続部を撮像する一組もしくは二組の撮像装置と、
    を有し、
    前記貫通孔は、第一貫通孔と、該第一貫通孔よりも前記第二主面側に形成されて前記第一貫通孔よりも拡径した第二貫通孔と、を有する段付き孔に形成され、
    前記第二貫通孔の内部に、鏡筒を設けることなく前記レンズユニットを直接挿入配置し、
    前記少なくとも一対の位置決め溝部の間であって前記光ファイバの融着接続部と前記レンズユニットとの間には、光透過性の保護部材が一枚設けられ、
    前記保護部材は、前記一対の電極棒の間隔方向および前記位置決め溝部の前記延在方向に直交する法線を有する仮想面に沿って配置されるとともに、前記設置台本体の前記第一主面側に前記貫通孔を塞ぐように組み込まれており、
    前記第二貫通孔に組み込まれた前記レンズユニットは、その中心軸が前記保護部材の配置面に直交せずに傾斜して形成されていることを特徴とする光ファイバ融着接続機。
  2. 少なくとも一対の光ファイバの端部を融着接続する光ファイバ融着接続機であって、
    前記光ファイバの端部同士を対向させて設置する設置台ユニットを備え、
    前記設置台ユニットは、
    設置台本体と、
    前記設置台本体の第一主面側に互いに離間して設けられ、前記光ファイバの端部同士を対向させて位置決め支持する少なくとも一対の位置決め溝部と、
    前記少なくとも一対の位置決め溝部の間において、前記設置台本体の前記第一主面側および前記第一主面とは反対側の第二主面側を連通する一対の貫通孔内にそれぞれ組み込まれた二組のレンズユニットと、
    前記設置台本体にそれぞれ固定され、前記二組のレンズユニットを介して前記光ファイバの融着接続部を撮像する二組の撮像装置と、
    を有し、
    前記一対の貫通孔は、それぞれ第一貫通孔と、該第一貫通孔よりも前記第二主面側に形成されて前記第一貫通孔よりも拡径した第二貫通孔と、を有する段付き孔に形成され、
    一対の前記第二貫通孔の内部に、鏡筒を設けることなく前記二組のレンズユニットをそれぞれ直接挿入配置し、
    前記第一貫通孔を塞ぐように、光透過性の保護部材を前記設置台本体の前記第一主面側に配置していることを特徴とする光ファイバ融着接続機。
  3. 前記少なくとも一対の位置決め溝部は、前記設置台本体に対して相対移動不能に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の光ファイバ融着接続機。
  4. 前記レンズユニットは、二組設けられており、
    それぞれ前記第二貫通孔に組み込まれた二組の前記レンズユニットについての挟角は、70°以下に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ融着接続機。
  5. 前記一対の第二貫通孔に組み込まれた前記二組のレンズユニットの挟角は、70°以下に設定されていることを特徴とする請求項2に記載の光ファイバ融着接続機。
  6. 前記レンズユニットを構成するレンズは、少なくとも一方面が非球面に形成された非球面レンズであることを特徴とする請求項1または2に記載の光ファイバ融着接続機。
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