以下、本発明に係るインストルメントパネルの取付方法について、この取付方法を実施する取付装置との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係るインストルメントパネルの取付装置10が配置される作業ステーション12の斜視説明図である。
作業ステーション12は、自動車(車両)のボディ(車体)14を台車15に搭載してピッチ搬送する搬送ライン16を備える。取付装置10は、アシスト機18と、ボディ14の両側に配置される右側の作業ロボット20及び左側の作業ロボット22とを備え、ボディ14の車室14a内にインストルメントパネル(インパネ)24を自動的に組み付ける装置である。ボディ14は、生産工程における最終製品前のものであり、ドアや窓ガラス等が取り付けられる前段階のものである。
図2及び図3に示すように、インストルメントパネル24の長手方向(車幅方向)両側面には、このインストルメントパネル24をボディ14に取り付けるための側方固定孔25a、25bと、後述するインパネ把持手段78が係合する把持穴(基準把持部)26とが形成されている。側方固定孔25a、25bは、把持穴26よりも先端側で縦方向(H方向)に並列された貫通孔である。把持穴26は、縦方向に長い孔であり、インストルメントパネル24を把持する際の基準となるように正確な位置及び寸法で設けられている。把持穴26は、例えば複数のピン孔等であってもよい。
アシスト機18は、インパネ取り出しステーション28の上方に位置し、ボディ14の搬送方向(矢印T方向)に延在する第1枠体30を備える。図1及び図2に示すように、第1枠体30には、互いに対向して前進用シリンダ32と後退用シリンダ34とが配設される。第1枠体30は、矢印T方向に延在する一対のスライドレール38を有し、スライドレール38には、それぞれ複数のローラ40を介して第2枠体42が矢印T方向に進退可能に支持される。第2枠体42には、矢印B方向に互いに対向して搬入用シリンダ44と搬出用シリンダ46とが設けられる。
第2枠体42は、矢印B方向に延在する一対のスライドレール50を有し、スライドレール50には、それぞれ複数のローラ52を介して、第3枠体54が矢印B方向に進退可能に支持される。
第3枠体54には、第1板部材56と第2板部材58とが設けられる。第1板部材56には、前進用シリンダ32のロッド32aの先端部と、後退用シリンダ34のロッド34aの先端部とが固着される。第2板部材58には、搬入用シリンダ44のロッド44aの先端部と、搬出用シリンダ46のロッド46aの先端部とが固着される。
第3枠体54には、シリンダ60が鉛直方向に向かって配置されており、このシリンダ60から下方に延在するロッド(図示せず)がスライドガイド62の内部に配設される。シリンダ60のロッドの下端には、昇降端部64が連結されると共に、この昇降端部64には、水平方向に延在してアーム部66の一端が支持される。後述するように、アーム部66に支持されるインストルメントパネル24の矢印H方向の荷重、あるいは、インパネ把持手段78にかかる反力を感知するために、例えば、昇降端部64に力覚センサ67が設けられる(図2参照)。
アーム部66は、ベアリング(図示せず)を介して軸回りに回転自在であり、ロックシリンダ68を介して所定の回転角度位置に固定可能である。ロックシリンダ68は、スライドガイド62に支持されると共に、ロックシリンダ68から下方に延在するロッド68aがアーム部66に連結される(図2参照)。
図2に示すように、アーム部66には、一対のシリンダ70が互いに反対方向に向かって固定される。このシリンダ70から延在するロッド70aには、それぞれインパネ支持アーム(支持アーム)72が連結される。インパネ支持アーム72は、アーム部66に設けられたガイドレール74に沿って進退可能であると共に、それぞれの先端部には、インストルメントパネル24の各把持穴26に係合する結合部材(係合突起)76が設けられる。結合部材76は、把持穴26の穴形状に対応した縦方向に長い断面角形形状の突起である。
図4に示すように、インパネ支持アーム72の側面には、結合部材76の位置(中心位置)を示す基準ターゲット77が設けられている。基準ターゲット77は、例えば円及び十字の複合形状で画像識別可能なマーキングであり、作業ロボット20、22に搭載された撮影部(センシング手段)100(図2及び図5参照)によって明確に識別される色に着色されている。基準ターゲット77は、側方視で、結合部材76及び把持穴26と重なる位置、具体的には、結合部材76(及び把持穴26)の中心位置に設けられている。これにより、撮影部100は把持穴26の位置を正確に検出し、インストルメントパネル24の姿勢及び位置を正確に求めることができる。なお、基準ターゲット77は、例えば結合部材76の上下方向で並列に2つ設けてもよい。
把持穴26の位置を示す基準ターゲット77は、側方固定孔25a、25bの近傍に設けられることから、その誤差の少ない代替位置表示手段として利用可能であり、特に、樹脂部材特有の寸法誤差が存在し得るインストルメントパネル24において好適である。
図1及び図2に示すように、一対のシリンダ70及び一対のインパネ支持アーム72により、インパネ把持手段78が構成される。アーム部66の両端には、連結手段80を構成する操作レバー82がそれぞれ固着される。この操作レバー82は、略円柱状を有し、中央部分には、縮径した把持部84が形成される。
第2枠体42には、インパネ把持手段78が固定された第3枠体54をB方向(車幅方向)について位置調整をする調整手段(車幅方向調整手段)85が設けられる。調整手段85は、搬入用シリンダ44、搬出用シリンダ46、第2枠体42の位置を計測するリニアエンコーダ89とサーボ弁(図示せず)と、ブレーキ86とを有して構成される。サーボ弁は、搬入用シリンダ44及び搬出用シリンダ46に対する供給流体量を調整し、第2枠体42を高精度に位置決めする。調整手段85は流体手段に限らず、例えばボールねじ機構等を用いてもよい。調整手段85を構成するブレーキ86は、第3枠体54の矢印B方向両端に設けられ、第2枠体42に延設されたスライドレール50の両面に近接して配置されると共に、該スライドレール50を挟持することで第3枠体を任意の位置に停止させるディスクブレーキ型である。なお、調整手段として、搬入用シリンダ44及び搬出用シリンダ46や作業ロボット20、22を用いてもよい。また、ブレーキ86は、スライドレールを挟持する構成以外、例えば、専用のブレーキレールを設け、これを挟持するようにしてもよい。
第1枠体30の矢印T方向先端縁部及び先端部には、投入位置検出用の第1リミットスイッチ88aと、前進端検出用の第2リミットスイッチ88bとが設けられる。第1枠体30の矢印T方向後端部には、原位置検出用の第3リミットスイッチ88cが設けられる。第2枠体42の矢印B方向両端には、送り端位置検出用の第4リミットスイッチ88dと、戻り端位置検出用の第5リミットスイッチ88eとが設けられる。
アシスト機18は、インパネ把持手段78を介してインパネ取り出しステーション28からインストルメントパネル24を把持して取り出し、自動搬送して車室14a内に投入した後、作業ロボット20によるインストルメントパネル24のボディ14への組み付け作業時に、該インストルメントパネル24の重量を保持するアシスト機能(自重補償機能)を有する。このため、インストルメントパネル24を車室14aで所定の姿勢や位置にセットする際に、作業ロボット20、22に付与されるインストルメントパネル24の荷重負担が有効に軽減される。これにより、作業ロボット20、22を良好に小型化することができ、取付装置10全体の小型化及び簡素化が容易に図られると共に、インストルメントパネル24の取付作業が迅速に且つ効率的に遂行可能になる。
右側の作業ロボット20及び左側の作業ロボット22は、同様に構成されており、以下に、作業ロボット20の構成について説明し、作業ロボット22には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図2に示すように、作業ロボット20(22)は、旋回自在なロボット本体90を備え、このロボット本体90を構成するアーム92の先端部に手首部94が設けられる。手首部94には、ハンド部96、ナットランナユニット98、撮影部100、及び第1変位計112が装着されている。
ハンド部96は、図示しないアクチュエータを介して開閉自在な一対の爪部102を備え、インパネ把持手段78の操作レバー82と連結手段80を構成すると共に、ボルト150(図1参照)を把持する手段も構成している。
ナットランナユニット98は、手首部94の先端に装着される一対のロッドレスシリンダ103a、103bを備える。ロッドレスシリンダ103a、103bには、スライダ104a、104bを介してナットランナ106a、106bが装着される。
図1に示すように、作業ロボット20及び作業ロボット22に近接して、インストルメントパネル24をボディ14に取り付けるためのボルト150を収容するボルトストック部152と、該ボルトストック部152から取り出される2本のボルト150を整列させるプリセット台154とが設けられる。
図2に示すように、撮影部100はカメラ108を備える。カメラ108は、インパネセット確認や取付位置のずれ確認等に用いられるCCD型やCMOS型等のセンシング手段(画像センサ)を構成する。
図1及び図5に示すように、ボディ14には、インストルメントパネル24を取り付けるための取付ブラケット110が左右に設けられている。取付ブラケット110は、ボディ14のAピラー119の下方部に設けられており、車幅軸方向(矢印B方向)に略直交する面(T・H平面)を有し、側面に開口したインパネ取付孔111a、111bが設けられている。インパネ取付孔111a、111bは、インストルメントパネル24の側方固定孔25a、25bに対応して縦方向に並列しており、ボルト150が挿通可能で且つカメラ108で撮像可能なように、ボディ14の側方又はその近傍に設けるとよい。
すなわち、搬送されたボディ14の左右側方近傍に、各作業ロボット20、22の各カメラ108が取付ブラケット110を撮像可能に配置されることで、各カメラ108により、ボディ14の左右両側でインパネ取付孔111a、111b及び基準ターゲット77の周辺を撮像することができる。
図1に示すように、インパネ取り出しステーション28には、該インパネ取り出しステーション28に保持されたインストルメントパネル24を計測する第2変位計116が設けられている。
本実施形態の場合、作業ロボット20、22に設けられた一対の前記第1変位計112により、作業ステーション12に搬入されたボディ14の左右両側対称位置に設けられた車体側測定基準部120の車幅方向位置の計測が行われる(図7参照)。同様に、インパネ取り出しステーション28に設けられた一対の前記第2変位計116により、ボディ14の車室14a内に搬入される前のインストルメントパネル24の左右両側対称位置に設けられたインパネ側測定基準部122の車幅方向位置の計測が行われる(図7参照)。
車体側測定基準部120は、ボディ14のAピラー119の下方部におけるドアヒンジ取付面(取付ブラケット110の表面)であり、第1変位計112での確実な計測を考慮して、例えば縦横30mm程度の平面が確保されていればよい。車体側測定基準部120は、車幅軸方向(矢印B方向)に略直交する面(T・H平面)を有する部分であることが望ましく、ドアヒンジ取付面以外にも、例えば、Aピラー119の下方部で、インストルメントパネル24が取り付けられる位置と同じ程度の高さのボディ面124(図1参照)としてもよい。
インパネ側測定基準部122は、インストルメントパネル24における側方部で、車幅側方軸に略直交する平面部であり、第2変位計116での確実な計測を考慮して、例えば縦横30mm程度の平面が確保されていればよい。インパネ側測定基準部122は、第2変位計116の計測専用に設けてもよいし、インストルメントパネル24における側方の適当な部分を選んで用いてもよい。
第1変位計112及び第2変位計116としては、レーザ変位計や接触式変位計を用いればよい。なお、第1変位計112としては、作業ロボット20、22の手首部94に設けられることや、計測の容易さ等を考慮すると、非接触式で高精度の計測が可能なレーザ変位計がより好適である。
図6は、取付装置10の制御系統の構成を示すブロック説明図である。図6に示すように、取付装置10の制御系統は、第1変位計112及び第2変位計116からの計測情報(位置情報)が入力されるインターフェース130と、作業ロボット20、22の各カメラ108で撮影した画像情報が入力される画像処理装置132と、インターフェース130及び画像処理装置132から入力される情報(位置情報及び画像情報)に所定の演算処理を行う演算部134と、演算部134からの演算結果が入力されると共に、入力された演算結果及び予めティーチングされたプログラムに基づき、アシスト機18及び作業ロボット20、22を駆動制御する主制御装置136とを有する。
次に、演算部134が主に実施する2つの演算処理について説明する。
第1に、演算部134は、図7に示すように、第1変位計112からの位置情報によりボディ中心位置C1を求め、第2変位計116からの位置情報によりインパネ中心位置C2とを求め、さらにボディ中心位置C1とインパネ中心位置C2の間の中心差ΔCを求める演算処理を実施する。
この場合、ボディ中心位置C1は、作業ステーション12に搬入されたボディ14の左右両側の車体側測定基準部120を各第1変位計112で計測して得られるボディ左距離L1及びボディ右距離R1から、平面視でのボディ14の車幅方向に関する中心位置として算出される。同様に、インパネ中心位置C2は、車室14a内への搬入前にインパネ取り出しステーション28上にあるインストルメントパネル24の左右両側のインパネ側測定基準部122を各第2変位計116で計測して得られるインパネ左距離L2及びインパネ右距離R2から、平面視でのインストルメントパネル24の車幅方向に関する中心位置として算出される。
そこで、主制御装置136では、演算部134から中心差ΔCが主制御装置136に供給されると、車幅方向調整部138により、アシスト機18における調整手段85や作業ロボット20、22を適宜駆動制御し、中心差ΔCを解消するために、インストルメントパネル24の車幅方向位置を調整する。
第2に、演算部134は、図8A及び図8Bに示すように、撮影部100を構成するカメラ108で撮影された画像情報が画像処理装置132から供給されると、比較部140において、撮影情報と予め所定の記憶手段に記憶している位置データ142とを比較し、その位置ずれ量を求める演算処理を実施する。
この場合、位置データ142は、図8Aに示すように、インストルメントパネル24がボディ14の所定の取付位置に位置決めされた状態を示す基準位置データ(マスターデータ)であり、インパネ取付孔111a、111b及び基準ターゲット77の相互の基準位置関係を示すものでもある。図8Aに示すように、インパネ取付孔111a、111bの基準位置データをインパネ取付孔基準位置111aM、111bMと称し、基準ターゲット77の基準位置データを基準ターゲット基準位置77Mと称する。
比較部140は、カメラ108で撮像した画像情報である画像データ144(図8B参照)から得られる実際のインパネ取付孔111a、111b及び基準ターゲット77の位置を、図8Aの位置データ142に示されるインパネ取付孔基準位置111aM、111bM及び基準ターゲット基準位置77Mの位置と比較し、比較結果としてその位置ずれ量(位置ずれ方向も含む)を算出する。
すなわち、図8Bに示すように、演算部134では、例えばテンプレートマッチングにより、得られた画像データ144のインパネ取付孔111a、111bのインパネ取付孔基準位置111aM、111bMに対する位置ずれ量(A1x、A1y)、(A2x、A2y)と、基準ターゲット77の基準ターゲット基準位置77Mに対する位置ずれ量(Bx、By)とをそれぞれ求める。
そこで、比較部140において、求めた位置ずれ量(A1x、A1y)、(A2x、A2y)、(Bx、By)が、位置データ142にて予め設定された許容ずれ範囲(所定近接範囲)RA1、RA2、RBの範囲内にあるか否かを比較・判定する。各位置ずれ量が許容ずれ範囲内にある場合には、演算部134は、インストルメントパネル24の側面視(車体前後方向)でのセット位置がOKであることを主制御装置136に供給する。一方、各位置ずれ量の少なくとも一つが許容ずれ範囲外にある場合には、演算部134は、インストルメントパネル24の側面視(車体前後方向)でのセット位置がNGであることを主制御装置136に供給する。従って、主制御装置136では、前後方向調整部146により、アシスト機18及び作業ロボット20、22を適宜駆動制御し、各位置ずれ量(A1x、A1y)、(A2x、A2y)、(Bx、By)が許容ずれ範囲(所定近接範囲)RA1、RA2、RBの範囲内となるように、インストルメントパネル24の車体前後方向位置(角度姿勢及び車体上下方向位置を含む)を調整する(図8B参照)。これにより、同時に、インストルメントパネル24の側方固定孔25a、25bも図8B中の矢印D1、D2に示すように調整され、インパネ取付孔111a、111bに一致する。
なお、位置データ142は、図8Aに示すような画像形式以外、例えば数値データやベクトルデータ等であってもよい。
例えば、図9A及び図9Bに示すように、インパネ取付孔111a、111bを基準として基準ターゲット77の位置をベクトルVA、VBで表すこともできる。この場合、比較部140は、先ず、カメラ108で撮像した画像データ144a(図9B参照)から得られる実際のインパネ取付孔111a、111b及び基準ターゲット77の位置を、位置データ142a(図9A参照)に示されるインパネ取付孔基準位置111aM、111bM及び基準ターゲット基準位置77Mの位置と比較し、比較結果としてその位置ずれ量(位置ずれ方向も含む)を算出する。
すなわち、図9Bに示すように、演算部134では、例えばテンプレートマッチングにより、得られた画像データ144aについて、インパネ取付孔111a、111b及び基準ターゲット77の位置座標(T0、H0)をそれぞれ求める。図9Bでは、インパネ取付孔111a、111bがインパネ取付孔基準位置111aM、111bMに一致している場合を例示している。そこで、インパネ取付孔111a、111b(インパネ取付孔基準位置111aM、111bM)を基準としたベクトルVA、VBの指し示す基準ターゲット基準位置77Mの位置と、実際の基準ターゲット77の位置との差ベクトルΔVを求める。この差ベクトルΔVが基準ターゲット77のずれ量及びずれ方向を示している。
そこで、比較部140において、求めた差ベクトルΔVが、位置データ142aにて予め設定された許容ずれ範囲(所定近接範囲)RBの範囲内にあるか否かを比較・判定する。図8A及び図8Bに示す場合と同様に、差ベクトルΔVが許容ずれ範囲RB外にある場合には、演算部134は、インストルメントパネル24の側面視(車体前後方向)でのセット位置がNGであることを主制御装置136に供給し、前後方向調整部146の制御下に、アシスト機18及び作業ロボット20、22を適宜駆動制御し、実際のインパネ取付孔111a、111b及び基準ターゲット77が図9Aに示す基準位置関係(つまり、ベクトルVA及びVBで示される相関的な位置関係)となるように、インストルメントパネル24の車体前後方向位置及び姿勢を調整する(図9B参照)。
次に、基本的には以上のように構成される取付装置10を用いたインストルメントパネルの取付方法について、図10のフローチャートに基づいて説明する。
先ず、アシスト機18の動作について説明すると、このアシスト機18では、工程開始前に所定の原位置に待機していたインパネ把持手段78が、インパネ取り出しステーション28に配置されているインストルメントパネル24上に移動し位置決めされる。そして、シリンダ60が駆動されることにより、図示しないロッドを介して昇降端部64が下降する。
昇降端部64には、インパネ把持手段78が装着されており、インパネ把持手段78は、インパネ取り出しステーション28上のインストルメントパネル24に対向して配置される。その際、ロックシリンダ68が付勢されており、ロッド68aの伸縮動作が規制されるため、アーム部66は、回動不能に支持される。
この状態で、シリンダ70、70が駆動され、ロッド70a、70aが互いに近接する方向に移動することによってインパネ支持アーム72、72がインストルメントパネル24の両側部に当接する。従って、結合部材76が、インストルメントパネル24の各把持穴26に挿入されると共に、インパネ把持手段78は、インストルメントパネル24を把持する(ステップS1)。
ステップS2では、インパネ取り出しステーション28上にあるインストルメントパネル24の車幅方向位置の計測を行う。すなわち、図6及び図7に示すように、インパネ取り出しステーション28の両側に配置された第2変位計116により、インストルメントパネル24の長手方向両側のインパネ側測定基準部122を計測し、得られるインパネ左距離L2とインパネ右距離R2とから、インストルメントパネル24の平面視でのインパネ中心位置C2を演算部134で算出し(図7参照)、所定の記憶手段に記憶しておく。
次いで、シリンダ60が逆方向に駆動されることにより、インパネ把持手段78は、インストルメントパネル24を把持した状態で上昇し、所定の高さ位置に配置され、インパネ取り出しステーション28から取り出される(ステップS3)。
ステップS4では、前進用シリンダ32が駆動され、ロッド32aが矢印T方向に進出すると、このロッド32aに固着されている第1板部材56は、矢印T方向に押圧される。このため、第2枠体42は、ローラ40の回転作用下に、スライドレール38に沿って矢印T方向に所定の位置まで移動し、第1リミットスイッチ88aがオンされる際に、ブレーキ86が作動され第2枠体42の移動が停止される。これにより、インストルメントパネル24が車室14a内への投入姿勢に変化される所定位置に位置決めされる。
ステップS5では、この停止位置で、作業ロボット20のハンド部96を構成する一対の爪部102により、インパネ把持手段78に設けられている一方の操作レバー82を把持する。その際、操作レバー82の略中央側には、小径な把持部84が形成されており、一対の爪部102が把持部84を把持することにより、操作レバー82の所定の位置を確実に把持することができる。そこで、ロックシリンダ68がオフされて大気開放された状態で、作業ロボット20は、ハンド部96が所定の方向に旋回、回転及び移動等の動作を行う。これにより、操作レバー82を介してアーム部66の角度位置が調整される。
すなわち、図12に示すように、作業ロボット20は、ハンド部96の移動作用下に、インパネ把持手段78を矢印R1方向に旋回させてインストルメントパネル24の角度を所定の投入姿勢に姿勢変換させる。この際、アーム部66を支持する昇降端部64に設けられた力覚センサ67により、アーム部66の回動時に該力覚センサ67によって検知される反力が0又は微少量に近似するように、ロックシリンダ68が制御される。
このようにインストルメントパネル24が前記投入姿勢に変換された後、ロックシリンダ68が付勢されてロッド68aの伸縮動作が規制され、アーム部66が保持される。
そこで、ステップS6では、前進用シリンダ32の駆動作用下に、第2枠体42が矢印T方向に移動し、第2リミットスイッチ88bがオンされる際に、ブレーキ86が作用してアシスト操作開始位置に移動する。続いて、搬入用シリンダ44の駆動作用下に、第3枠体54が矢印B方向に移動し、インストルメントパネル24がボディ14の車室14a内に自動的に投入されると共に、第4リミットスイッチ88dがオンされる際に、ブレーキ86が作用して車室14a内の所定位置に配置される(インパネ自動搬送モード)。
具体的には、アシスト機18では、図13に示すように、搬入用シリンダ44の駆動作用下に、ロッド44aの先端部に固着される第2板部材58が矢印B方向に押圧される。このため、第3枠体54は、第2枠体42のスライドレール50に沿って矢印B方向に移動し、インストルメントパネル24が自動的に車室14a内に投入される。
次いで、ステップS7において、インパネ把持手段78の両側の操作レバー82がそれぞれ作業ロボット20、22のハンド部96によって把持される。各操作レバー82の各ハンド部96による把持が完了するまでは当該ステップS7が繰り返される(ステップS7のNO)。各操作レバー82が各ハンド部96により把持されたと判断されると(ステップS7のYES)、続いてステップS8が実行される。
ステップS8において、アシスト機18は、インパネ自動搬送モードからインパネアシスト搬送モードに切り換えられると共に、アシスト機18のアシスト作用下に、作業ロボット20、22は、インストルメントパネル24を把持するインパネ把持手段78を左右両側から操作して、車室14a内に配置されたインストルメントパネル24の角度をボディ14(取付ブラケット110)に取り付けるための所定のセット姿勢に変化させる。
すなわち、ロックシリンダ68がオフされて大気開放された状態で、作業ロボット20、22は、図12に示すようにハンド部96が所定の方向に旋回、回転及び移動等の動作を行う。これにより、操作レバー82を介してアーム部66の角度位置が調整される。従って、インストルメントパネル24は、姿勢が変化され、前記セット姿勢に配置された後、ロックシリンダ68が付勢されてロッド68aの伸縮動作が規制され、アーム部66が保持される。
このようにインストルメントパネル24が車室14a内で所定のセット姿勢に姿勢変換されると、次に、ステップS9におけるインパネセット操作が実行される。
ここで、ステップS9のインパネセット操作について、図11のフローチャートを参照して説明する。このインパネセット操作では、先ず、インストルメントパネル24の車幅方向位置を補正し、次に、インストルメントパネル24の車体前後方向位置を補正し、これにより、インストルメントパネル24を正確に且つ迅速にボディ14に取付可能なセット位置に配置する。
先ず、ステップS91〜S93において、インストルメントパネル24の車幅方向位置を補正する。
ステップS91では、ボディ14の車幅方向位置の計測を行う。すなわち、インストルメントパネル24を把持したインパネ把持手段78を左右両側から操作する作業ロボット20、22に搭載された各第1変位計112により、ボディ14の左右両側の車体側測定基準部120を計測し、得られるボディ左距離L1とボディ右距離R1とから、演算部134によりボディ14の平面視でのボディ中心位置C1を算出する(図7参照)。
続いて、ステップS92において、ステップS2で算出したインパネ中心位置C2と、ステップS91で算出したボディ中心位置C1とについて、その中心差ΔC(図7参照)を算出する。
そこで、ステップS93では、求めた中心差ΔCが演算部134から主制御装置136に供給されることにより、車幅方向調整部138の制御下に、調整手段85を駆動制御して、インパネ中心位置C2をボディ中心位置C1に一致又は略一致させて中心差ΔCを所定の許容範囲内にするため、インストルメントパネル24の車幅方向位置を補正する。
具体的には、車幅方向調整部138は、主制御装置136から供給されるリニアエンコーダ89の信号を参照しつつ調整手段85を駆動制御し、ブレーキ86を開放させた状態で、中心差ΔCが0(又は所定の許容範囲内)となるようにインストルメントパネル24の車幅方向位置を調整する。そして、中心差ΔCが実質的に0になった時点でブレーキ86を作用させ、第2枠体42の位置を固定する。勿論、最初の計測時に得られた中心差ΔCが0である場合には、調整手段85によるインストルメントパネル24の車幅方向位置の調整(ステップS93)は省略可能である。
なお、中心差ΔCを解消すべくインストルメントパネル24の車幅方向位置を調整する手段は、調整手段85以外であってもよく、例えば、作業ロボット20、22を用いてもよい。この場合、アシスト機18によりインストルメントパネル24の重量が保持されているため、作業ロボット20、22の重量負担は少ないため、高精度な調整が可能である。
次に、ステップS94〜S96において、インストルメントパネル24の車体前後方向位置を補正する。
ステップS94では、ボディ14へのインストルメントパネル24の取付位置周辺の画像撮影(センシング)を行う。すなわち、インストルメントパネル24を把持したインパネ把持手段78を左右両側から操作する作業ロボット20、22に搭載された各カメラ108により、図5に示すようにインパネ取付孔111a、111b及び基準ターゲット77を側方から撮像して画像データ144(車体右側の場合、図8A及び図8B参照)を取得し、これらの位置を算出する(センシング工程)。
続いて、ステップS95において、比較部140は、ステップS94で取得した実際のインパネ取付孔111a、111b及び基準ターゲット77の位置と、位置データ142のインパネ取付孔基準位置111aM、111bM及び基準ターゲット基準位置77Mの位置とを比較し、比較結果として図8Bに示すように各位置ずれ量(A1x、A1y)、(A2x、A2y)、(Bx、By)を算出する(比較工程)。さらに、この結果により、実際のインパネ取付孔111a、111b及び基準ターゲット77が、インパネ取付孔基準位置111aM、111bM及び基準ターゲット基準位置77Mと一致、つまり許容ずれ範囲RA1、RA2、RB範囲内にあるか否かを判定する。
そこで、ステップS96では、カメラ108によるセンシング制御下に、実際のインパネ取付孔111a、111b及び基準ターゲット77を、許容ずれ範囲RA1、RA2、RB範囲内にするべく、前後方向調整部146の制御下に、アシスト機18及び作業ロボット20、22が適宜駆動制御する。これにより、インストルメントパネル24の車体前後方向位置(角度も含む)を調整し(図8B参照)、同一のボルト150で共に締結されるインパネ取付孔111a、111bと側方固定孔25a、25bとを一致させる。勿論、最初の計測時に得られたインパネ取付孔111a、111b及び基準ターゲット77が、全て許容ずれ範囲RA1、RA2、RB範囲内にある場合には、インストルメントパネル24の車体前後方向位置の調整(ステップS96)は省略可能である。
なお、上記の説明は、ボディ14の右側における処理について例示したが左側についても同時並行的に実行される。厳密にはインストルメントパネル24の右方部と左方部は独立的に調整することはできないが、実際上はインストルメントパネル24が樹脂の長尺形状材であることから僅かな弾性を有しており、実質的には左右独立的な調整が可能である。
設計条件によっては、ステップS91〜S93による車幅方向位置の補正と、ステップS94〜S96による車体前後方向位置の補正を、それぞれ誤差がなくなるまで何度か繰り返して行ってもよい。
このようなステップS9(S91〜S96)が完了すると、次に、ステップS10において、インストルメントパネル24がボディ14の所定の取付位置に確実にセットされたか否かを判定する。
この判定は、例えば、作業ロボット20、22のカメラ108による画像認識等によって実施すればよい。その結果、例えばインパネ取付孔111aと側方固定孔25aとがずれている等、インストルメントパネル24がボディ14に正しくセットされていないと判断された場合には(ステップS10のNO)、ステップS9に戻り、再度インパネセット操作を実行する。この再セット操作では、セット不良と判断された箇所に関する工程のみ(例えば、ステップS94〜S96)を再度実行すればよい。一方、インストルメントパネル24がボディ14に正しくセットされていると判断された場合には(ステップS10のYES)、続いてステップS11を実行する。
ステップS11では、インパネ把持手段78によるインストルメントパネル24の把持作用が解除される。具体的には、各シリンダ70(図2参照)がインストルメントパネル24の把持時とは逆方向に駆動され、一対のインパネ支持アーム72がインストルメントパネル24の両側部から離間する方向に移動する。このため、結合部材76が把持穴26から離脱し、インストルメントパネル24の把持作用が解除される。
ステップS12では、車外への搬出位置にインパネ把持手段78を移動させる。すなわち、主制御装置136の制御下に、作業ロボット20、22を駆動すると共に、必要に応じてアシスト機18を駆動して、インパネ支持アーム72等がボディ14や取り付けたインストルメントパネル24に干渉せずに、インパネ把持手段78を車室14a内から車外へと円滑に搬出可能な位置へと当該インパネ把持手段78を移動させる。
ステップS13では、作業ロボット20、22によるインパネ把持手段78の把持を解除する。作業ロボット20、22によるインパネ把持手段78の把持解除が完了するまでは当該ステップS13が繰り返され(ステップS13のNO)、把持解除が完了すると(ステップS13のYES)、次にステップS14a、S14bが実行される。
ステップS14aは、アシスト機18の動作に関する工程であり、アシスト機18がインパネアシスト搬送モードからインパネ自動搬送モードに変更されると共に、搬出用シリンダ46の駆動作用下に、第3枠体54が矢印B方向と反対方向に移動し、インパネ把持手段78が車室14a外へと自動的に搬出される。
ステップS14bは、上記ステップS14aと同時並行的に実施される工程であり、インパネ把持手段78の把持を解除した作業ロボット20、22により、所定の取付位置にセットされたインストルメントパネル24をボディ14にボルト締結する。
すなわち、先ず、図14に示すように、作業ロボット20、22の手首部94に装着されているハンド部96は、ボルトストック部152に収容されているボルト150を把持し、プリセット台154上に立位姿勢で整列させる。次いで、プリセット台154では、図15に示すように、立位姿勢で整列されているボルト150が回転され、ナットランナユニット98の各ナットランナ106a、106bに対応して位相合わせが行われる。その後、各ナットランナ106a、106bにより、それぞれボルト150が保持される。
そこで、主制御装置136の制御下に、必要に応じてカメラ108によりセンシングしつつ、作業ロボット20、22が駆動され(図5も参照)、各ナットランナ106a、106bに保持されているボルト150が、ボディ14の左右両側のインパネ取付孔111a、111b及びこれに対応して位置決めされたインストルメントパネル24の側方固定孔25a、25bを介してボディ14側の図示しないナット等に対して締結され、インストルメントパネル24がボディ14に組み付けられる。
より具体的には、ロッドレスシリンダ103a、103bを介して、ナットランナ106a、106bが後退位置に配置されており、例えば、前記ロッドレスシリンダ103aが駆動されて、前記ナットランナ106aが前進する。そして、ナットランナ106aの回転作用下に、このナットランナ106aに保持されているボルト150が、インパネ取付孔111a及び側方固定孔25aに対して締結される。その際、ナットランナ106bは、作業に干渉しない位置に退避している。ナットランナ106aによりボルト締め付け作業が終了すると、ロッドレスシリンダ103aが駆動されて、前記ナットランナ106aが後退する。一方、ロッドレスシリンダ103bが駆動されて、前記ナットランナ106bが前進し、前記ナットランナ106bの回転作用下に、インパネ取付孔111b及び側方固定孔25bに対してボルト150が締結される。勿論、ナットランナ106a、106bによるボルト150の締結を同時に実施してもよい。なお、ボディ14側又はインストルメントパネル24側の取付孔のいずれか一方が車幅方向(矢印B方向)に長い長孔になっていると、調整後の組み付けが容易である。
このようにインストルメントパネル24のボディ14への取り付けが完了すると、主制御装置136の制御下に、アシスト機18は所定の原位置へと移動して、次の作業対象であるボディ14へのインストルメントパネル24の取付作業へと移行される(ステップS15)。
以上のように、本実施形態に係るインストルメントパネルの取付装置10及び取付方法によれば、第1変位計112によってボディ14の左右一対の車体側測定基準部120の車幅方向位置としてボディ左距離L1及びボディ右距離R1を計測すると共に、第2変位計116によってインストルメントパネル24の左右一対のインパネ側測定基準部122の車幅方向位置としてインパネ左距離L2及びインパネ右距離R2を計測している。そして、これらのパラメータからボディ14及びインストルメントパネル24の平面視の中心位置C1、C2と、その中心差ΔCを求め、該中心差ΔCを実質的に0とするようにインストルメントパネル24の車幅方向位置を調整する。
従って、取り付けられたインストルメントパネル24の左右両側とボディ14との間の隙間を略均一にすることができ、高精度な取り付けが可能となると共に、インストルメントパネル24の建付け品質が向上し、外観も向上する。また、一連のインストルメントパネル24の取付作業は、取付装置10を用いて自動的に行われることから基本的に作業者の負担はなく、作業効率が高い。
車体側測定基準部120は、車両のボディのAピラー119の下方部におけるドアヒンジ取付面や取付位置と同じ高さのボディ面にすることにより、側方から第1変位計112による計測が容易で且つ正確に行われる。また、車体側測定基準部120は、インストルメントパネル24が取り付けられる箇所に十分近く、しかも略同じ高さの箇所であることから、該インストルメントパネル24と取付部との間の部品点数は少なく、溶接等による累積誤差がほとんどない。
ボディ14は、搬送ライン16上の搬送に伴う位置誤差があり得るが、第1変位計112による計測及びその後の調整により該誤差を吸収することができる。
インストルメントパネル24の位置は第2変位計116によって直接的に計測されることから、樹脂材特有の寸法誤差がある場合であっても、中心差ΔCを0にするように調整可能である。
第1変位計112及び第2変位計116による計測は、それぞれインストルメントパネル24の取付工程中に1回だけ行ってもよいし、必要に応じて複数回行ってもよく、例えば、第1変位計112による計測をインストルメントパネル24の調整中にリアルタイムで行い、中心差ΔCが0となるようにフィードバック制御をしてもよい。
しかも、本実施形態に係るインストルメントパネルの取付装置10及び取付方法によれば、インパネ取付孔111a、111b及び基準ターゲット77の位置を側方からカメラ108により計測及びセンシングして、その位置が、予め位置データ142に設定・記憶された基準位置データに一致するように、インパネ支持アーム72を調整することにより、側方固定孔25a、25bの車体前後方向での位置(車体上下方向も含む)が適切に補正され、インパネ取付孔111a、111bと同軸状に自動調整される。この際、インストルメントパネル24が所定のセット位置にあるか否かをカメラ108を用いた画像処理(センシング)によって、車室14a内にインストルメントパネル24を仮置きした後、再度インストルメントパネル24を持ち上げるといった作業が不要であり、インストルメントパネル24のセット状態の確認を定量的に行うことができるため、インストルメントパネル24の自動搭載を一層円滑に実行することができる。また、側方固定孔25a、25bとインパネ取付孔111a、111bを正確に同軸調整できるため、インパネ取付孔111a、111bを無駄に大径にすることなく、インストルメントパネル24を高精度に位置決め及び取り付けることができる。
特に、図8Bから諒解されるように、インパネ取付孔111a、111bと同軸状に設定すべき側方固定孔25a、25bは、通常、取付ブラケット110の陰になって直接的に視認することはできないものであるが、基準ターゲット77の位置に基づいてインストルメントパネル24の位置及び向きを調整することにより、側方固定孔25a及び25bを正しい位置にセットすることができる。これらの操作は、基本的には全て自動的に行われることから、効率的であって、作業者の負担が少ない。
また、インパネ支持アーム72は、基準把持部の把持穴26に係合する結合部材76を有することから、インパネ支持アーム72によるインストルメントパネル24の把持位置(姿勢)が正確に規定され、インストルメントパネル24を正確且つ確実に把持することができる。
基準ターゲット77は、側方視で、基準把持部となる把持穴26及び結合部材76と重なる位置に設けられていることから、これらの位置が正確に検出され、インストルメントパネル24の姿勢を正確に求めることができる。
インパネ取付孔111a、111bは複数(上記例では2つ)設けられていることから、インストルメントパネル24を確実に固定することができると共に、基準ターゲット77が1つであっても該基準ターゲット77と共にセンシングすることにより、インストルメントパネル24の姿勢を正確に求めることができる。勿論、基準ターゲット77を2つ設定してもよく、インパネ取付孔を1つにしてもよい。
インパネ取付孔111a、111b、把持穴26、インパネ支持アーム72、基準ターゲット77、位置データ142、及び撮影部100は、それぞれボディ14を基準とした左右側方に設けられていることから、ボディ14に対して左右部からインストルメントパネル24を正確且つ確実に固定することができる。なお、位置データ142については、実質的には同じデータを対称変換することにより左右で共用してもよい。
インパネ支持アーム72は、作業ロボット20、22によって直接又は間接的に把持されている。作業ロボット20、22は動作の自由度が高く、インストルメントパネル24の姿勢調整に適する。また、インパネ支持アーム72は、自重補償機能によってインストルメントパネル24の重量がキャンセルされていることから、作業ロボット20、22の重量負担が軽減され、より高精度な調整が可能となる。
また、センシング手段として撮影部100(カメラ108)を用いることにより、非接触計測が可能であって、インパネ取付孔111a、111bと基準ターゲット77との位置関係の把握及びフィードバック制御が容易となっている。
なお、ステップS9で説明したインパネセット操作としては、設計条件や取付条件等によっては、車幅方向の位置決め(ステップS91〜S93)及び車体前後方向の位置決め(ステップS94〜S96)のいずれか一方の工程のみを実行してもよい。この場合には、不要な工程の実施に要する各構成要素を省略すれば、装置全体として簡素化及び低コスト化が可能となる。
勿論、車幅方向の位置決め(ステップS91〜S93)及び車体前後方向の位置決め(ステップS94〜S96)の両工程を実行することにより、インストルメントパネル24をより精度よくボディ14に取り付けることができる。特に、上記実施形態で説明したように、先に車幅方向の位置決め(ステップS91〜S93)を行い、次に車体前後方向の位置決め(ステップS94〜S96)を実行すれば、車体前後方向の位置決め及びその位置補正時に、インストルメントパネル24の左右側部がボディ14に干渉することを有効に回避することができるため、好適である。
本発明は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。