JP5302471B2 - 誘導加熱調理器 - Google Patents

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Description

本発明は、調理容器を誘導加熱する誘導加熱調理器に関し、特に大型の鍋を加熱可能な誘導加熱調理器に関する。
近年、鍋などの調理容器を加熱コイルにより誘導加熱する誘導加熱調理器が普及している。従来の誘導加熱調理器には、複数の加熱コイルを備えるものがある。例えば、特許文献1に記載の誘導加熱調理器は、3つの加熱コイルを備えている。従来、鍋は、一つの加熱コイルに対向するトッププレート上に載置され、一つの加熱コイルにより、加熱されている。
特開2007−18786号公報
しかしながら、鍋底のサイズが加熱コイルの外径サイズよりも大きい場合、一つの加熱コイルで鍋を加熱すると、加熱分布に偏りが生じ、調理性能が損なわれるという問題があった。加熱分布に偏りが生じないようにして大型の鍋を加熱する方法として、一つの鍋を複数の加熱コイルで加熱することが考えられる。しかし、従来の誘導加熱調理器に設けられていた複数の加熱コイルは、それぞれが単独で鍋を加熱するように構成されているため、互いに離れた位置に設けられていた。そのため、一つの加熱コイルの外径サイズよりも大きな底面サイズを持つ大型の鍋であっても、複数の加熱コイル上にまたがるようにして載置することができない場合があった。よって、従来の誘導加熱調理器では、複数の加熱コイルで一つの大型の鍋を加熱することができないため、一つの加熱コイルの外径サイズよりも大きな底面サイズを持つ大型の鍋を、加熱分布に偏りが生じず、調理性能を損なうことなく、加熱することができなかった。
本発明は、上記問題を解決するものであって、一つの加熱コイルの外径サイズよりも大きな底面サイズを持つ大型の鍋を加熱分布に偏りが生じず、調理性能を損なうことなく加熱する、誘導加熱調理器を提供することを目的とする。
本発明の誘導加熱調理器は、調理容器を載置するトッププレートと、トッププレートの下方に配置され、調理容器を単独で加熱可能な、異なる円心を有する、第1及び第2の加熱コイルと、第1の加熱コイルより小さく且つ第1の加熱コイルの半径方向の大きさが第1の加熱コイルの円周方向の大きさより小さく、第1及び第2の加熱コイルの間に配置されて、少なくとも第1の加熱コイルと共同でのみ動作して調理容器を加熱する補助コイルと、第1の加熱コイルに電力を供給する第1のインバータと、補助コイルに電力を供給する第2のインバータと、第1及び第2のインバータの出力を制御する制御部と、第1の加熱コイルに対する制御命令を入力するために設けられた操作部と、第1の加熱コイルに対向するトッププレート上に調理容器が載置されているかどうかを判別する第1の鍋載置判別部と、第2の加熱コイルに対向するトッププレート上に調理容器が載置されているかどうかを判別する第2の鍋載置判別部と、第1の加熱コイルと第2の加熱コイルとの間に対向するトッププレート上の領域に調理容器が載置されているかどうかを判別する第3の鍋載置判別部と、を有する。制御部は、第1の鍋載置判別部と第3の鍋載置判別部がともに調理容器が載置されていると判別した場合に、操作部から入力された制御命令に基づいて、第1の加熱コイルの電力量と補助コイルの電力量とが使用者によって設定された火力設定に対応し、且つ、補助コイルの電力量が第1の加熱コイルの電力量より予め定められた割合で小さい値となるように、第1のインバータ及び第2のインバータの動作を連携させて制御する。
本発明の誘導加熱調理器によれば、単独で加熱可能な加熱コイルの近傍に、その加熱コイルと共同で加熱動作を行う補助コイルを新たに設けることによって、一つの加熱コイルの外径サイズよりも大きな底面サイズを持つ大型の鍋を加熱分布に偏りが生じず、調理性能を損なうことなく加熱することができる。
本発明の実施形態1の誘導加熱調理器の構成を示すブロック図 図1のトッププレートの上面図 (a)は通常の大きさの鍋が載置された例を示す図、(b)は円形状の大鍋が載置された例を示す図、(c)はオーバル形状の大鍋が載置された例を示す図 本発明の実施形態1の誘導加熱調理器の動作を示すフローチャート 本発明の実施形態1の第1のインバータと第2のインバータの動作を連携させる場合の図であって、(a)は火力設定、(b)は第1の加熱コイルの加熱電力、(c)は補助コイルの加熱電力をそれぞれ示す図 第1のインバータと第2のインバータの動作を連携させる場合の図であって、(a)は火力設定、(b)は第1の加熱コイルの加熱電力、(c)は第2の加熱コイルの加熱電力をそれぞれ示す図 第1の加熱コイルと第2の加熱コイルと補助コイルの加熱電力の値を示す図 連携動作時の電力比一定の例を示す図であって、(a)は火力設定、(b)は第1の加熱コイルの加熱電力、(c)は補助コイルの加熱電力をそれぞれ示す図 本発明の実施形態2の誘導加熱調理器の構成を示すブロック図 本発明の実施形態2の誘導加熱調理器の動作を示すフローチャート 本発明の実施形態3の誘導加熱調理器の構成を示すブロック図 図11の第3の電気的特性測定部の内部構成を示す図 入力電流及びコイル電流の特性図 本発明の実施形態3の誘導加熱調理器の動作を示すフローチャート 本発明の実施形態4の誘導加熱調理器の構成を示すブロック図 本発明の実施形態4の誘導加熱調理器の動作を示すフローチャート 本発明の実施形態4の第1のインバータと第2のインバータの動作を連携させる場合の図であって、(a)は火力設定、(b)は第1の加熱コイルの加熱電力、(c)は補助コイル及び第2の加熱コイルの加熱電力をそれぞれ示す図
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
《実施形態1》
1.1 誘導加熱調理器の構成
図1に、本発明の実施形態1の誘導加熱調理器の構成を示す。本実施形態の誘導加熱調理器は、機器上面にトッププレート1を有する。トッププレート1は、ガラスなどの電気絶縁物からなり、光を透過する。鍋10などの調理容器は、トッププレート1上に載置される。
図2に、トッププレート1の上面図を示す。トッププレート1の下方に、単独で鍋10を加熱可能な、第1の加熱コイル2a、第2の加熱コイル2b、及び第3の加熱コイル2cと、他の加熱コイルと共同で鍋10を加熱可能な補助コイル2dとが設けられている。補助コイル2dは、第1の加熱コイル2aの近傍(本実施形態では、第1の加熱コイル2aと第2の加熱コイル2bとの間)に設けられており、第1の加熱コイル2aと共同で鍋10を加熱する。第1の加熱コイル2a、第2の加熱コイル2b、第3の加熱コイル2c、及び補助コイル2dは、高周波電流を供給されることによって高周波磁界を発生し、トッププレート1上に載置された鍋10を加熱する。本実施形態において、第1の加熱コイル2a、第2の加熱コイル2b、及び第3の加熱コイル2cは円形状であり、補助コイル2dは楕円形状である。第1の加熱コイル2a、第2の加熱コイル2b、第3の加熱コイル2c、及び補助コイル2dは、それぞれ異なる円心を有する。
図1に戻り、誘導加熱調理器は、さらに、第1の加熱コイル2aに高周波電流を供給する第1のインバータ3aと、第2の加熱コイル2b及び補助コイル2dに高周波電流を供給する第2のインバータ3bと、第3の加熱コイル2cに高周波電流を供給する第3のインバータ3cと、第1のインバータ3a、第2のインバータ3b、及び第3のインバータ3cの出力を制御する制御部7とを備える。トッププレート1の使用者側に、加熱の開始/停止や火力設定を指示する制御命令がそれぞれ割り当てられた複数のスイッチで構成される操作部5が設けられている。制御部7は、使用者から操作部5を介して入力された制御命令に基づいて、第1のインバータ3a、第2のインバータ3b、及び第3のインバータ3cの出力を制御し、加熱の開始/停止や火力設定などを行う。
誘導加熱調理器は、第2のインバータ3bの出力側に、切替部11を有する。切替部11は、第2のインバータ3bから出力される高周波電流が、第2の加熱コイル2b又は補助コイル2dのいずれか一方に供給されるように、接続を切り替える。
誘導加熱調理器は、さらに、第1の加熱コイル2aに対向するトッププレート1上に鍋10が載置されているかどうかを判別する第1の鍋載置判別部4aと、第2の加熱コイル2bに対向するトッププレート1上に鍋10が載置されているかどうかを判別する第2の鍋載置判別部4bと、第1の加熱コイル2aと第2の加熱コイル2bとの間に対向するトッププレート1上に鍋10が載置されているかどうかを判別する第3の鍋載置判別部4dと、第3の加熱コイル2cに対向するトッププレート1上に鍋10が載置されているかどうかを判別する第4の鍋載置判別部4cと、を有する。これらの鍋載置判別部4a〜4dの判別結果は、制御部7に出力される。制御部7は、入力された判別結果に基づいて、切替部11の接続を切り替え、且つインバータ3a〜3cを制御する。第1の鍋載置判別部4a、第2の鍋載置判別部4b、第3の鍋載置判別部4d、第4の鍋載置判別部4cは、それぞれ、第1の光検出部6a、第2の光検出部6b、第3の光検出部6d、第4の光検出部6cが検出する外乱光に基づいて、鍋10が載置されているかどうかを判別する。これらの光検出部6a〜6bは、トッププレート1の下方に設けられている。
図2を参照して、光検出部6a〜6bの具体的な載置場所を説明する。第1の鍋載置判別部4aに対応する第1の光検出部6aは、トッププレート1の下方で且つ第1の加熱コイル2aの外縁の内側に設けられる。第2の鍋載置判別部4bに対応する第2の光検出部6bは、トッププレート1の下方で且つ第2の加熱コイル2bの外縁の内側に設けられる。第3の鍋載置判別部4dに対応する第3の光検出部6dは、トッププレート1の下方で且つ第1の加熱コイル2aと第2の加熱コイル2bとの間の領域600内に設けられる。第4の鍋載置判別部4cに対応する第4の光検出部6cは、トッププレート1の下方で且つ第3の加熱コイル2cの外縁の内側に設けられる。
光検出部6a〜6bに対向するトッププレート1上に鍋が載置されている場合、その鍋によって外乱光の入射が遮られるため、光検出部6a〜6bは外乱光を検出しない。一方、光検出部6a〜6bに対向するトッププレート1上に鍋が載置されていない場合は、外乱光が光検出部6a〜6bに到達する。第1〜第4の鍋載置判別部4a〜4dは、光検出部6a〜6bが外乱光を検出しているかどうかに基づいて、トッププレート1上に鍋が載置されているかどうかを判別する。
以下、本明細書において、第1の加熱コイル2aに対向するトッププレート1上の領域に鍋が載置されていることを「第1の加熱コイル2a上に鍋が載置されている」という。同様に、第2の加熱コイル2bに対向するトッププレート1上の領域に鍋10が載置されていることを「第2の加熱コイル2b上に鍋が載置されている」という。さらに、第1の加熱コイル2aと第2の加熱コイル2bとの間に対向するトッププレート1上の領域に鍋10が載置されていることを「第1の加熱コイル2aと第2の加熱コイル2bとの間に鍋が載置されている」という。
図2に示すように、操作部5は、単独で加熱可能な加熱コイル2a〜2cにそれぞれ対応させて設けられた操作部5a〜5cを含む。補助コイル2dは単独で加熱動作を行うように設定されていないため、補助コイル2d専用の操作部は設けられていない。
1.2 誘導加熱調理器の動作
1.2.1 鍋載置の判別
図3(a)、(b)、(c)に、種々の大きさの鍋がトッププレート1上に載置される例を示す。図3(a)は、通常の大きさの2つの鍋10a、10bが第1の加熱コイル2a及び第2の加熱コイル2b上に載置される例を示している。この場合、第1の加熱コイル2aの外縁内に設けられた第1の光検出部6a及び第2の加熱コイル2bの外縁内に設けられた第2の光検出部6bは外乱光を検出しないため、第1の鍋載置判別部4a及び第2の鍋載置判別部4bは、それぞれ第1の加熱コイル2a及び第2の加熱コイル2b上に鍋10a、10bが載置されていると判断する。一方、第3の光検出部6dの上には、鍋10a、10bが載置されていないため、外乱光がトッププレート1を通って第3の光検出部6dに到達する。これにより、第3の鍋載置判別部4dは、加熱コイル2a、2bの間に対向するトッププレート1上には、鍋が載置されていないと判断する。よって、制御部7は、各鍋載置判別部4a、4b、4dからの出力に基づき、加熱コイル2a、2b上に載置された鍋10a、10bが別個の鍋であると判断し、第1の加熱コイル2aによる鍋10aの加熱と、第2の加熱コイル2bによる鍋10bの加熱とが、それぞれ独立して行われるように制御する。具体的には、制御部7は、第1のインバータ3aの動作と第2のインバータ3bの動作が独立するように制御すると共に、第2のインバータ3bから出力される高周波電流が第2の加熱コイル2bに供給されるように、切替部11を第2の加熱コイル2bに接続する。このとき、制御部7は、操作部5aから入力される制御命令に基づいて第1のインバータ3aを制御し、操作部5bから入力される制御命令に基づいて第2のインバータ3bを制御する。
図3(b)は、円形上の1つの大鍋10cが第1の加熱コイル2a及び補助コイル2d上に載置される例を示している。この場合、第1の加熱コイル2aの外縁内に設けられた第1の光検出部6aは外乱光を検出しないため、第1の鍋載置判別部4aは、第1の加熱コイル2a上に鍋10cが載置されていると判断する。同様に、第1の加熱コイル2aと第2の加熱コイル2bとの間に設けられた第3の光検出部6dは外乱光を検出しないため、第3の鍋載置判別部4dは、第1の加熱コイル2aと第2の加熱コイル2bとの間に鍋10cが載置されていると判断する。一方、第2の加熱コイル2bの外縁内に設けられた第2の光検出部6bの上には鍋10cが載置されていないため、第2の光検出部6bはトッププレート1を通って到達した外乱光を検出する。よって、第2の鍋載置判別部4bは、第2の光検出部6bからの出力に基づき、第2の加熱コイル2b上に鍋10cが載置されていないと判断する。この場合、第1の加熱コイル2aと補助コイル2dとで鍋10cが加熱される。具体的には、制御部7は、第1のインバータ3aの動作と第2のインバータ3bの動作が連携するように制御すると共に、第2のインバータ3bから出力される高周波電流が補助コイル2dに供給されるように、切替部11を補助コイル2dに接続する。このとき、制御部7は、操作部5aから入力された制御命令に基づいて、第1のインバータ3a及び第2のインバータ3bを制御する。
図3(c)は、オーバル形状の1つの大鍋10dが加熱コイル2a、2b、及び補助コイル2d上にまたがって載置される例を示している。この場合、第1の加熱コイル2aの外縁内に設けられた第1の光検出部6aと、第1の加熱コイル2aと第2の加熱コイル2bとの間に設けられた第3の光検出部6dと、第2の加熱コイル2bの外縁内に設けられた第2の光検出部6bとは、全て、外乱光を検出しない。よって、第1、第2、第3の鍋載置判別部4a、4b、4dは、それぞれ鍋が載置されていることを判別する。この場合、第1の加熱コイル2a及び第2の加熱コイル2bの双方で一つの鍋10dが加熱される。具体的には、制御部7は、第1のインバータ3aの動作と第2のインバータ3bの動作とを連携させると共に、第2のインバータ3bから出力される高周波電流が第2の加熱コイル2bに供給されるように、切替部11を第2の加熱コイル2bに接続する。このとき、制御部7は、操作部5a及び/又は操作部5bを介して入力される制御命令に基づいて、第1のインバータ3a及び第2のインバータ3bの両方を制御する。好ましくは、操作部5aから加熱開始の制御命令が入力されたときは、操作部5aから入力される制御命令に基づいて、第1のインバータ3a及び第2のインバータ3bの両方を制御する。また、操作部5bから加熱開始の制御命令が入力されたときは、操作部5bから入力される制御命令に基づいて、第1のインバータ3a及び第2のインバータ3bの両方を制御する。
以下、本実施形態においては、第1の加熱コイル2aと第2の加熱コイル2bと補助コイル2dを用いた加熱制御に関連する動作について説明する。
図4に、本実施形態の誘導加熱調理器の動作フローを示す。図4は、使用者が第1の加熱コイル2aに対応する操作部5aを操作して、加熱開始の指示を入力した場合の動作を一例として示している。制御部7は、操作部5aから加熱開始の指示が入力されたかどうかを判断する(S601)。加熱開始が指示されると(S601でYes)、第1の鍋載置判別部4aは、第1の光検出部6aが外乱光を検出しているかどうかに基づいて、第1の加熱コイル2a上に鍋が載置されているかどうかを判別する(S602)。
加熱開始が指示されても、第1の加熱コイル2a上に鍋が載置されていない場合(S602でNo)、制御部7は加熱を行わない。第1の加熱コイル2a上に鍋が載置されている場合(S602でYes)、第3の鍋載置判別部4dは、第3の光検出部2dが外乱光を検出しているかどうかに基づいて、第1の加熱コイル2aと第2の加熱コイル2bとの間に鍋が載置されているかどうかを判断する(S603)。
第1の加熱コイル2aと第2の加熱コイル2bとの間に鍋が載置されていない場合(S603でNo、図3(a)参照)、制御部7は、第1のインバータ3aを単独で動作させて、第1の加熱コイル2aで鍋を加熱する(S605)。
第1の加熱コイル2aと第2の加熱コイル2bとの間に鍋が載置されている場合(S603でYes)、第2の鍋載置判別部4bは、第2の光検出部6bが外乱光を検出しているかどうかに基づいて、第2の加熱コイル2b上に鍋が載置されているかどうかを判断する(S604)。
第2の加熱コイル2b上に鍋が載置されていない場合(S604でNo、図3(b)参照)、制御部7は、第2のインバータ3bから出力される高周波電流が補助コイル2dに供給されるように切替部11の接続を切り替えて、第1のインバータ3aと第2のインバータ3bとを連携させて動作させる。これにより、第1の加熱コイル2aと補助コイル2dとにより、鍋が加熱される(S606)。
第2の加熱コイル2b上にも鍋が載置されている場合(S604でYes、図3(c)参照)、制御部7は、第2のインバータ3bから出力される高周波電流が第2の加熱コイル2bに供給されるように切替部11の接続を切り替えて、第1のインバータ3aと第2のインバータ3bとを連携させて動作させる。これにより、第1の加熱コイル2aと第2の加熱コイル2bとにより、鍋が加熱される(S607)。
制御部7は、操作部5aが操作されて加熱終了の指示が入力されたかどうかを判断する(S608)。加熱終了の指示が入力されると(S608でYes)、制御部7は、加熱を終了させる。
1.2.2 インバータの制御
図5を用いて、第1の加熱コイル2aと補助コイル2dの両方で一つの鍋を加熱する際の、第1のインバータ3aと第2のインバータ3bの連携動作について説明する。図5(a)は、操作部5a又は操作部5bを介して使用者により設定される火力設定(W)を示している。図5(b)、(c)は、第1のインバータ3a及び第2のインバータ3bを連携動作させる場合の、第1の加熱コイル2aの加熱電力(W)と補助コイル2dの加熱電力(W)をそれぞれ示している。制御部7は、第1の加熱コイル2aと補助コイル2dの加熱電力量が使用者によって設定された火力設定に対応し、且つ、第1の加熱コイル2aと補助コイル2dの電力比が常に略一定(A’/A≒B’/B)となるように、第1のインバータ3aと第2のインバータ3bとを連携動作させる。
図6を用いて、第1の加熱コイル2aと第2の加熱コイル2bの両方で一つの鍋を加熱する際の、第1のインバータ3aと第2のインバータ3bの連携動作について説明する。図6(a)は、操作部5a又は操作部5bを介して使用者により設定される火力設定(W)を示している。図6(b)、(c)は、第1のインバータ3a及び第2のインバータ3bを連携動作させる場合の、第1の加熱コイル2aの加熱電力(W)と第2の加熱コイル2bの加熱電力(W)をそれぞれ示している。制御部7は、第1の加熱コイル2aと第2の加熱コイル2bの加熱電力量が使用者によって設定された火力設定に対応し、且つ、第1の加熱コイル2aと第2の加熱コイル2bの電力比が常に略一定(A’/A≒B’/B)となるように、第1のインバータ3aと第2のインバータ3bとを連携動作させる。
図7に、第1のインバータ3a及び第2のインバータ3bを単独動作させる場合の第1の加熱コイル2a及び第2の加熱コイル2bの加熱電力量と、第1のインバータ3a及び第2のインバータ3bを連携動作させる場合の第1の加熱コイル2a及び第2の加熱コイル2bの加熱電力量と、第1のインバータ3a及び第2のインバータ3bを連携動作させる場合の第1の加熱コイル2a及び補助コイル2dの加熱電力量と、をそれぞれ示す。第1のインバータ3a及び第2のインバータ3bの単独動作時、第1の加熱コイル2aと第2の加熱コイル2bの加熱電力量は、個別に、火力設定に対応した値に設定される。例えば、火力設定「1」のときの第1の加熱コイル2aと第2の加熱コイル2bの加熱電力量は共に150Wである。また、火力設定「8」のときは、第1の加熱コイル2aの加熱電力量が3000Wであり、第2の加熱コイル2bの加熱電力量は1400Wである。
これに対し、第1のインバータ3a及び第2のインバータ3bの連携動作時の第1の加熱コイル2aと第2の加熱コイル2bの加熱電力量は、電力比(第2の加熱コイル2b/第1の加熱コイル2a)が常に略一定(ここでは、「約1/2」)となるように、火力設定に応じて設定される。例えば、火力設定が「1」のとき、第1の加熱コイル2aの加熱電力量は100Wで、第2の加熱コイル2bの加熱電力量は50Wである。火力設定が「8」のとき、第1の加熱コイル2aの加熱電力量は2000Wで、第2の加熱コイル2bの加熱電力量は1000Wである。このように、火力設定「1」と「8」の場合で、電力比は一定である。
同様に、第1のインバータ3a及び第2のインバータ3bの連携動作時の第1の加熱コイル2aと補助コイル2dの加熱電力量は、電力比(補助コイル2d/第1の加熱コイル2a)が常に略一定(ここでは、「約1/5」)となるように、火力設定に応じて設定される。例えば、火力設定が「1」のとき、第1の加熱コイル2aの加熱電力量は125Wで、第2の加熱コイル2bの加熱電力量は25Wである。火力設定が「8」のとき、第1の加熱コイル2aの加熱電力量は2500Wで、補助コイル2dの加熱電力量は500Wである。このように、火力設定「1」と「8」の場合で、電力比は一定である。
1.3 まとめ
本実施形態の誘導加熱調理器は、単独で加熱可能な第1の加熱コイル2aと第2の加熱コイル2bとの間に、第1の加熱コイル2aと共同で加熱動作を行う補助コイル2dを新たに設けている。よって、第1の加熱コイル2aよりも底面サイズが大きく、且つ第1の加熱コイル2aと第2の加熱コイル2bの両方にまたがるほど底面サイズが大きくない鍋(図3(b)参照)を、第1の加熱コイル2aと補助コイル2dの両方を用いて加熱することが可能となる。これにより、一つの加熱コイルの外径サイズよりも大きな底面サイズを持つ大型の鍋を、加熱分布に偏りが生じず、調理性能を損なうことなく加熱することができる。
また、鍋の底面サイズが、第1の加熱コイル2aと第2の加熱コイル2bの両方にまたがるほど大きい場合には、第1の加熱コイル2aと第2の加熱コイル2bの両方を用いて、鍋を加熱している(図3(c)参照)。よって、より大きな底面サイズを持つ大型の鍋についても加熱分布に偏りが生じず、調理性能を損なうことなく加熱することができる。
1.4 変形例
なお、本実施形態においては、連携動作時に、第1の加熱コイル2aと補助コイル2dの電力比が常に略一定となるように、それぞれの電力量を決定しているが、火力設定が小さいときは電力量を低く抑えることが難しい。そのため、火力設定が小さいときは、加熱コイルへの電力供給時間を低減することによって所定時間当たりの電力量を下げても良い。図8に、電力供給時間を低減する場合の例を示している。図8(a)は使用者により設定された火力設定を示し、図8(b)は第1の加熱コイル2aの加熱電力を示し、図8(c)は補助コイル2dの加熱電力を示している。図8(a)〜(c)では、100W未満の電力量に抑えることが難しい場合について例示している。火力設定が「3」のとき(時刻t1〜t2)の補助コイル2dの電力量は100Wであるため、第2のインバータ3bは100Wの電力を補助コイル2dに供給し続ける。一方、火力設定が「2」に変更されると(時刻t2)、補助コイル2dの電力量を50Wまで下げなければならない(図8参照)。そこで、所定時間当たりの合計の電力量が50Wになるように、第2のインバータ3bは、補助コイル2dに電力を供給する時間を50%にしている(時間t2〜t3)。すなわち、補助コイル2dに電力を供給する時間と供給しない時間とを設けている。これにより、時間t2〜t3の見かけ上の電力量が50Wになる。このように、所定の電力量(振幅)に抑えることが難しい場合は、電力供給時間(幅)を低減することによって、見かけ上の電力量が所定量になるように制御しても良い。補助コイル2dへの電力供給と同様に、第2の加熱コイル2bに対する電力供給についても、電力供給時間を低減することによって、見かけ上の電力量が所定量になるように制御しても良い。
なお、本実施形態においては、連携動作時の第1の加熱コイル2aと補助コイル2dの加熱電力の電力比は、常に略一定であったが、必ずしも常に略一定にする必要はなく、例えば、火力設定が大きくなるほど電力比が大きくなるようにしてもよい。同様に、連携動作時の第1の加熱コイル2aと第2の加熱コイル2bの加熱電力の電力比についても、火力設定に応じて可変にしてもよい。
なお、連携動作時において、火力設定に応じた電力比を設定せずに、第1のインバータ3aと第2のインバータ3bの動作タイミングを合わせるだけでもよい。例えば、制御部7は、加熱のオン/オフの指示がされたタイミングに応じて、第1の加熱コイル2aと補助コイル2dによる加熱を同時に開始し及び同時に停止するように、第1のインバータ3aと第2のインバータ3bの動作タイミングを合わせるだけでもよい。また、火力設定の変更のタイミングに応じて、第1の加熱コイル2aと補助コイル2dの電力量の変更のタイミングを合わせるだけでもよい。第1の加熱コイル2aと第2の加熱コイル2bの両方で加熱動作する場合についても、同様に、第1のインバータ3aと第2のインバータ3bの動作タイミングを合わせるだけでもよい。
なお、第1のインバータ3aの動作周波数と第2のインバータ3bの動作周波数が異なる場合、その差が可聴音となり、使用者に聞こえてしまう。よって、第1のインバータ3aと第2のインバータ3bとを同時に動作させる場合、制御部7は、第1のインバータ3aと第2のインバータ3bの動作周波数が同一となるように制御することが好ましい。
《実施形態2》
本発明の実施形態2では、鍋の温度上昇に基づいた鍋載置の判別方法について説明する。図9に、本発明の実施形態2の誘導加熱調理器の構成を示す。本実施形態の誘導加熱調理器は、図1の第1の光検出部6a、第2の光検出部6b、第3の光検出部6d、及び第4の光検出部6cの代わりに、第1の温度検出部8a、第2の温度検出部8b、第3の温度検出部8d、及び第4の温度検出部8cを備える。第1の鍋載置判別部4a、第2の鍋載置判別部4b、第3の鍋載置判別部4d、第4の鍋載置判別部4cは、それぞれ、第1の温度検出部8a、第2の温度検出部8b、第3の温度検出部8d、及び第4の温度検出部8cが検出する所定時間内の温度上昇量に基づいて、鍋が載置されているかどうかを判別する。これ以外の点について、本実施形態の誘導加熱調理器は、実施形態1の誘導加熱調理器と同一である。
温度検出部8a〜8dは、例えば、鍋10から放射される赤外線を検出する赤外線センサ、又はトッププレート1を介して鍋10の温度を検出するサーミスタである。温度検出部8a〜8dは、実施形態1の光検出部6a〜6dと同様の位置に設けられる(図2参照)。具体的には、第1の鍋載置判別部4aに対応する第1の温度検出部8aは、トッププレート1の下方で且つ第1の加熱コイル2aの外縁の内側に設けられる。第2の鍋載置判別部4bに対応する第2の温度検出部8bは、トッププレート1の下方で且つ第2の加熱コイル2bの外縁の内側に設けられる。第3の鍋載置判別部4dに対応する第3の温度検出部8dは、トッププレート1の下方で且つ第1の加熱コイル2aと第2の加熱コイル2bとの間の領域600内に設けられる。第4の鍋載置判別部4cに対応する第4の温度検出部8cは、トッププレート1の下方で且つ第3の加熱コイル2cの外縁の内側に設けられる。
本実施形態においては、温度検出部8a〜8dの検出温度に基づいて鍋の載置を判断するため、制御部7は、加熱開始の指示が入力されたときに、加熱開始の指示が入力された操作部5に対応するインバータを駆動して加熱コイルに高周波電流を供給する。例えば、第1の加熱コイル2a用の操作部5aを介して加熱開始が指示されると、制御部7は、第1のインバータ3aを制御して、第1の加熱コイル2aに高周波電流を供給する。
図10に、本実施形態の誘導加熱調理器の動作フローを示す。図10は、図4と同様に、使用者が第1の加熱コイル2aに対応する操作部5aを操作して、加熱開始の指示を入力した場合の動作を一例として示している。制御部7は、操作部5aから加熱開始の指示が入力されたかどうかを判断する(S1001)。加熱開始が指示されると(S1001でYes)、制御部7は、第1のインバータ3aを駆動して第1の加熱コイル2aで加熱を開始する(S1002)。
加熱開始後、第1の加熱コイル2a上に鍋が載置されていれば、第1の温度検出部8aの検出温度が上昇する。第1の鍋載置判別部4aは、所定時間内における第1の温度検出部8aの検出温度が所定値以上に上昇したかどうかに基づいて、第1の加熱コイル2a上に鍋が載置されているかどうかを判別する(S1003)。
第1の温度検出部8aの検出温度が所定値以上に上昇していない場合(S1003でNo)、第1の鍋載置判別部4aは、第1の加熱コイル2a上に鍋が載置されていないと判断する。この場合、制御部7は、第1のインバータ3aの出力を停止させることによって、第1の加熱コイル2aによる加熱を停止させる(S1010)。
第1の温度検出部8aの検出温度が所定値以上に上昇している場合(S1003でYes)、第1の鍋載置判別部4aは、第1の加熱コイル2a上に鍋が載置されていると判断する。第3の鍋載置判別部4dは、所定時間内における第3の温度検出部8dの検出温度が所定値以上に上昇したかどうかに基づいて、第1の加熱コイル2aと第2の加熱コイル2bとの間に鍋が載置されているかどうかを判別する(S1004)。
第3の温度検出部8dの検出温度が所定値以上に上昇していない場合(S1004でNo)、第3の鍋載置判別部8dは、第1の加熱コイル2aと第2の加熱コイル3bとの間に鍋が載置されていないと判断する。よって、制御部7は、第1の加熱コイル2a上にのみ鍋が載置されていると判断し(図3(a)参照)、第1のインバータ3aを単独で動作させて、第1の加熱コイル2aで鍋を加熱する(S1006)。
第3の温度検出部8dの検出温度が所定値以上に上昇している場合(S1004でYes)、第2の鍋載置判別部4bは、所定時間内における第2の温度検出部8bの検出温度が所定値以上に上昇したかどうかに基づいて、第2の加熱コイル2b上に鍋が載置されているかどうかを判別する(S1005)。
第2の温度検出部8dの検出温度が所定値以上に上昇していない場合(S1005でNo)、第2の鍋載置判別部4bは、第2の加熱コイル2b上に鍋が載置されていないと判断する。この場合、制御部7は、第1の加熱コイル2aと補助コイル2d上に鍋が載置されていると判断し(図3(b)参照)、第2のインバータ3bから出力される高周波電流が補助コイル2dに供給されるように切替部11の接続を切り替えて、第1のインバータ3aと第2のインバータ3bとを連携させて動作させる。これにより、第1の加熱コイル2aと補助コイル2dとにより、鍋が加熱される(S1007)。
第2の温度検出部8dの検出温度が所定値以上に上昇している場合(S1005でYes)、第2の鍋載置判別部4bは、第2の加熱コイル2b上に鍋が載置されていると判断する。この場合、制御部7は、第1の加熱コイル2aと第2の加熱コイル2b上にまたがるようにして鍋が載置されていると判断し(図3(c)参照)、制御部7は、第2のインバータ3bから出力される高周波電流が第2の加熱コイル2bに供給されるように切替部11の接続を切り替えて、第1のインバータ3aと第2のインバータ3bとを連携させて動作させる。これにより、第1の加熱コイル2aと第2の加熱コイル2bとにより、鍋が加熱される(S1008)。
制御部7は、操作部5aが操作されて加熱終了の指示が入力されたかどうかを判断する(S1009)。加熱終了の指示が入力されると(S1009でYes)、制御部7は、加熱を停止させる(S1010)。
温度検出部8a〜8dを備えた本実施形態の誘導加熱調理器における鍋載置の判別後のインバータの動作制御は、実施形態1と同一である。本実施形態の誘導加熱調理器によれば、実施形態1と同様の効果が得られる。
《実施形態3》
本発明の実施形態3では、インバータ及びコイルに流れる電流による鍋の電気的特性に基づいた鍋載置の判別方法について説明する。図11に、本発明の実施形態3の誘導加熱調理器の構成を示す。本実施形態の誘導加熱調理器は、図1の第1の光検出部6a、第2の光検出部6b、第3の光検出部6d、及び第4の光検出部6cの代わりに、第1の電気的特性測定部9a、第2の電気的特性測定部9b、第3の電気的特性測定部9d、及び第4の電気的特性測定部9cを備える。第1の鍋載置判別部4a、第2の鍋載置判別部4b、第3の鍋載置判別部4d、第4の鍋載置判別部4cは、それぞれ、第1の電気的特性測定部9a、第2の電気的特性測定部9b、第3の電気的特性測定部9d、及び第4の電気的特性測定部9cが測定する、鍋10の電気的特性に基づいて、鍋が載置されているかどうかの判別と鍋の材質の判別とを行う。すなわち、本実施形態において、第1の鍋載置判別部4a、第2の鍋載置判別部4b、第3の鍋載置判別部4d、第4の鍋載置判別部4cは、鍋10の電気的特性に基づいて鍋が載置されているかどうかを判別する機能と、鍋10の電気的特性に基づいて鍋の材質を判別する鍋材質判別部としての機能とを有する。制御部7は、第1の鍋載置判別部4aと第3の鍋載置判別部4dとが判別した鍋の材質に基づいて、第1の加熱コイル2aと補助コイル2dとの上に載置された鍋が同一の鍋か別々の鍋かを判断する。また、制御部7は、第1の鍋載置判別部4aと第2の鍋載置判別部4b、好ましくはさらに第3の鍋載置判別部4dとが判別した鍋の材質に基づいて、第1の加熱コイル2aと第2の加熱コイル2bとの上に載置された鍋が同一の鍋か別々の鍋かを判断する。これ以外の点について、本実施形態の誘導加熱調理器は、実施形態1の誘導加熱調理器と同一である。
図12に、第3の電気的特性測定部9dの構成を示す。第1の電気的特性測定部9a、第2の電気的特性測定部9b、及び第4の電気的特性測定部9cの構成は、第3の電気的特性測定部9dと同一である。第3の電気的特性測定部9dは、交流電源11から第2のインバータ3bに流れる入力電流Iinを検出する入力電流検出部91と、第2のインバータ3bから補助コイル2dに流れるコイル電流ILを検出するコイル電流検出部92とを含む。第3の鍋載置判別部4dは、入力電流Iin及びコイル電流ILの検出値に基づいて、第1の加熱コイル2aと第2の加熱コイル2bとの間に鍋10が載置されているかどうかと、鍋10が載置されている場合にはその鍋10の材質とを判別する。
図13に、補助コイル2d上に鍋が載置されているときと載置されていないときのコイル電流IL−入力電流Iinの特性の範囲と、鍋Aの電気的特性であるコイル電流IL−入力電流Iinの特性と、鍋Aと異なる材質の鍋Bの電気的特性であるコイル電流IL−入力電流Iinの特性と、を示している。鍋が補助コイル2d上に載置されているときと載置されていないときとでは、所定の動作周波数で第2のインバータ3bを駆動したときの、コイル電流IL−入力電流Iinの特性の範囲が異なる。つまり、鍋がないときは範囲130内に特性が含まれ、鍋があるときは範囲130以外の範囲に特性が含まれる。図13に示す、鍋A、Bのコイル電流IL−入力電流Iinの特性の値は、範囲130以外の鍋ありの範
囲内に含まれているため、この特性から鍋があることが分かる。このように、鍋の電気的特性として入力電流Iin及びコイル電流ILの値を検出することによって、補助コイル2d上に鍋が載置されているかどうかを判別することができる。これにより、第1の加熱コイル2aと第2の加熱コイル2bとの間に鍋が載置されているかどうかを判別できる。また、コイル電流IL−入力電流Iinの特性は、鍋A、Bの材質によっても異なる。よって、コイル電流IL−入力電流Iinの特性値を検出することによって、鍋の材質を特定できる。これにより、複数の電気的特性測定部、例えば、第1の電気的特性測定部9aと第3の電気的特性測定部9dとから測定される電気的特性を比較することによって、より具体的には電気的特性に基づいて特定した鍋の材質を比較することによって、第1の加熱コイル2a上に載置されている鍋と、第1の加熱コイル2aと第2の加熱コイル2bとの間に載置されている鍋とが同一の鍋か別々の鍋かを判別することができる。なお、鍋の電気的特性として、コイル電流IL−入力電流Iinを示したが、これ以外にも、コイル電圧−入
力電流Iinなど他の電気的特性であってもよい。
図14に、本実施形態の誘導加熱調理器の動作フローを示す。図14は、図4と同様に、使用者が第1の加熱コイル2aに対応する操作部5aを操作して、加熱開始の指示を入力した場合の動作を一例として示している。制御部7は、操作部5aから加熱開始の指示が入力されると、第1のインバータ3aを駆動して第1の加熱コイル2aを通電する。第1の電気的特性測定部9aは、コイル電流IL及び入力電流Iinを鍋の電気的特性として
測定し、第1の鍋載置判別部4aは測定された鍋の電気的特性に基づいて、第1の加熱コイル2a上に鍋が載置されているかどうかと鍋の材質の種類(鍋種)とを判別する(S1401)。なお、鍋種の判別と鍋が載置されているかどうかの判別は共に同一の電気的特性を用いて行えるため、鍋種を判定することにより鍋が載置されているかどうかが分かる。
制御部7は、第1の鍋載置判別部4aの判別結果が、第1の加熱コイル2a上に鍋が載置されていることを示しているかどうかを判断する(S1402)。第1の鍋載置判別部4aの判別結果が第1の加熱コイル2a上に鍋が載置されていないことを示していれば(S1402でNo)、制御部7は、第1のインバータ3aの駆動を停止して第1の加熱コイル2aの動作を停止させる(S1411)。
第1の鍋載置判別部4aの判別結果が第1の加熱コイル2a上に鍋が載置されていることを示していれば(S1402でYes)、制御部7は、第2のインバータ3bの出力が補助コイル2dに供給されるように切替部11の接続を切り替えて、第2のインバータ3bを駆動して補助コイル2dを通電する。第3の電気的特性測定部9dは、コイル電流IL及び入力電流Iinを電気的特性として測定し、第3の鍋載置判別部4dは測定された電気的特性に基づいて、補助コイル2d上の鍋の種類を判定する(S1403)。
制御部7は、第1の鍋載置判別部4aと第3の鍋載置判別部4dの鍋種の判別結果が同一かどうかを判断する(S1404)。なお、鍋種の判別と鍋が載置されているかどうかの判別は共に同一の電気的特性を用いて行えるため、鍋種を判定することにより鍋が載置されているかどうかが分かる。すなわち、第3の鍋載置判別部4dが判別した鍋の種類が第1の加熱コイル2a上に載置されていると判定された鍋の種類と同一であれば、補助コイル2d上にも第1の加熱コイル2a上に載置された鍋と同一の材質の鍋が載置されていると判断することができる。これにより、第1の加熱コイル2a上と補助コイル2d上に同一の鍋が載置されていると判断できる。第1の鍋載置判別部4aと第3の鍋載置判別部4dの鍋種の判別結果が同一でなければ(S1404でNo)、制御部7は、第1の加熱コイル2aと補助コイル2dとをまたがるようにして、一つの鍋が載置されていないと判断し(図3(a)参照)、第1のインバータ3aを制御して第1の加熱コイル2aで鍋を加熱する(S1405)。
第1の鍋載置判別部4aと第3の鍋載置判別部4dの鍋種の判別結果が同一であれば(S1404でYes)、制御部7は、第2のインバータ3bの出力が第2の加熱コイル2bに供給されるように切替部11を切り替えて、第2のインバータ3bを駆動して第2の加熱コイル2bを通電する。第2の電気的特性測定部9bは、コイル電流IL及び入力電流Iinを電気的特性として測定し、第2の鍋載置判別部4bは測定された電気的特性に基づいて、第2の加熱コイル2b上の鍋の種類を判定する(S1406)。
制御部7は、第1の鍋載置判別部4aと第2の鍋載置判別部4bの鍋種の判別結果が同一かどうかを判断する(S1407)。ここで、第2の鍋載置判別部4bが判別した鍋の種類が第1の加熱コイル2a上に載置されていると判定された鍋の種類と同一であれば、第2の加熱コイル2b上にも第1の加熱コイル2a上に載置された鍋と同一の鍋が載置されていると判断することができる。第1の鍋載置判別部4aと第2の鍋載置判別部4bの鍋種の判別結果が同一でなければ(S1407でNo)、制御部7は、第1の加熱コイル2aと補助コイル2dの上にのみ、鍋が載置されていると判断する(図3(b)参照)。この場合、制御部7は、第2のインバータ3bの出力が補助コイル2dに供給されるように切替部11の接続を切り替えて、第1のインバータ3aと第2のインバータ3bの動作が連携するように制御する。これにより、第1の加熱コイル2aと補助コイル2dとにより、鍋は加熱される(S1408)。
第1の鍋載置判別部4aと第3の鍋載置判別部4dの鍋種の判別結果が同一であり(S1404でYes)且つ第1の鍋載置判別部4aと第2の鍋載置判別部4bの鍋種の判別結果が同一であれば(S1407でYes)、制御部7は、第1の加熱コイル2aと補助コイル2dと第2の加熱コイル2bの上にまたがるようにして、1つの鍋が載置されていると判断する(図3(c)参照)。この場合、制御部7は、切替部11の接続をそのまま、すなわち、第2のインバータ3bの出力が第2の加熱コイル2bに供給される状態を維持して、第1のインバータ3aと第2のインバータ3bの動作が連携するように制御する。これにより、第1の加熱コイル2aと第2の加熱コイル2bとにより、鍋は加熱される(S1409)。
制御部7は、操作部5aが操作されて加熱終了の指示が入力されたかどうかを判断する(S1410)。加熱終了の指示が入力されると(S1410でYes)、制御部7は、加熱を停止させる(S1411)。
電気的特性測定部9a〜9dを備えた本実施形態の誘導加熱調理器における鍋載置の判別後のインバータの動作制御は、実施形態1と同一である。本実施形態の誘導加熱調理器によれば、実施形態1と同様の効果が得られる。
なお、実施形態1〜実施形態3の鍋載置の判別方法は、任意に組み合わせることができる。例えば、第1の鍋載置判別部4aが、第1の電気的特性測定部9aの測定結果に基づいて第1の加熱コイル2a上に鍋が載置されているかどうかを判別し、第2の鍋載置判別部4bが、第2の電気的特性測定部9bの測定結果に基づいて第2の加熱コイル2b上に鍋が載置されているかどうかを判別し、第3の鍋載置判別部4dが第3の光検出部6dの検出結果に基づいて、補助コイル2d上に鍋が載置されているかどうかを判別しても良い。
《実施形態4》
本発明の実施形態4では、第2のインバータ2bと補助コイル2dへの他の電力供給方法について説明する。図15に、本発明の実施形態4の誘導加熱調理器の構成を示す。本実施形態の誘導加熱調理器は、実施形態1の切替部11と異なる切替部12を備えている。実施形態1の切替部11は、第2の加熱コイル2bと補助コイル2dのいずれか一方に電力供給を切り替えるものであったが、実施形態4の切替部12は、接続を切り替えることにより、第2の加熱コイル2bと補助コイル2dのいずれか一方への電力供給と、第2の加熱コイル2b及び補助コイル2dの両方への電力供給とを可能にする。
図16に本実施形態の誘導加熱調理器の動作フローを示す。図16は、ステップS1607のみが図4のステップS607と異なる。それ以外のステップにおいて、図16は図4と同一である。異なるステップについて説明する。本実施形態の誘導加熱調理器においては、制御部7は、第1の加熱コイル2aと、第1の加熱コイル2aと第2の加熱コイル2bとの間と、第2の加熱コイル2bとの上に鍋が載置されていることを判断すると(S1602〜S1604でYes)、第2のインバータ3bから第2の加熱コイル2bと補助コイル2dの両方に電力が供給されるように切替部12の接続を切り替えて、第1のインバータ3aと第2のインバータ3bを互いの動作が連携するように制御する。これにより、第1の加熱コイル2aと補助コイル2dと第2の加熱コイル2bの3つのコイルで、一つの鍋が加熱される(S1607、図3(c)参照)。
図17を用いて、第1の加熱コイル2aと補助コイル2dと第2の加熱コイル2bの3つのコイルで一つの鍋を加熱する際の、第1のインバータ3aと第2のインバータ3bの連携動作について説明する。図17(a)は、操作部5a又は操作部5bを介して使用者により設定される火力設定を示している。図17(b)は、第1の加熱コイル2aの加熱電力を示している。図17(c)は、補助コイル2dと第2の加熱コイル2bの合計の加熱電力を示している。第1のインバータ3aと第2のインバータ3bとを連携動作させる場合、制御部7は、第1の加熱コイル2aの加熱電力と、補助コイル2d及び第2の加熱コイル2bの合計の加熱電力との電力比が、使用者によって設定された火力設定に対応して、常に略一定(A’/A≒B’/B)となるように、第1のインバータ3aと第2のインバータ3bとを連携動作させる。なお、実施形態1の変形例で示すように、電力比は必ずしも一定にする必要はなく、また電力比を設定しないようにすることも可能である。
本実施形態の誘導加熱調理器によれば、実施形態1の誘導加熱調理器と同様の効果が得られる。
なお、本実施形態の切替部12を設ける構成は、実施形態2及び実施形態3の誘導加熱調理器にも適用できる。
なお、実施形態1から実施形態4において、補助コイル2dは、第1の加熱コイル2aと共に一つの鍋を加熱したが、さらに、第2の加熱コイル2bと共に一つの鍋を加熱できるようにしてもよい。例えば、操作部5bから第2の加熱コイル2bにおける加熱開始が指示されたときに、第2の加熱コイル2bと補助コイル2d上に鍋が載置されていることを検知した場合、第2の加熱コイル2bと補助コイル2dとでその鍋を加熱してもよい。
なお、実施形態1から実施形態4においては、第1の加熱コイル2aと第2の加熱コイル2bとの間に補助コイル2dを配置したが、補助コイル2dの配置場所は実施形態1〜実施形態4に限定されない。例えば、補助コイル2dを第2の加熱コイル2bと第3の加熱コイル2cとの間に設けてもよい。また、補助コイル2dを第1の加熱コイル2aと第2の加熱コイル2bとの間と、第2の加熱コイル2bと第3の加熱コイル2cとの間の両方に設けても良い。この場合における鍋載置の判別及びインバータの連携動作は、実施形態1から実施形態4と同様の方法で実現できる。
本発明は、一つの加熱コイルの外径サイズよりも大きな底面サイズを持つ鍋を加熱分布に偏りが生じず、調理性能を損なうことなく加熱することができるため、大型の鍋を加熱する誘導加熱調理器に有用である。
1 トッププレート
2a 第1の加熱コイル
2b 第2の加熱コイル
2c 第3の加熱コイル
2d 補助コイル
3a 第1のインバータ
3b 第2のインバータ
3c 第3のインバータ
4a 第1の鍋載置判別部
4b 第2の鍋載置判別部
4c 第4の鍋載置判別部
4d 第3の鍋載置判別部
5、5a、5b、5c 操作部
6a 第1の光検出部
6b 第2の光検出部
6c 第4の光検出部
6d 第3の光検出部
7 制御部
8a 第1の温度検出部
8b 第2の温度検出部
8c 第4の温度検出部
8d 第3の温度検出部
9a 第1の電気的特性測定部
9b 第2の電気的特性測定部
9c 第4の電気的特性測定部
9d 第3の電気的特性測定部
10 鍋
11 切替部
12 切替部
91 入力電流検出部
92 コイル電流検出部

Claims (4)

  1. 調理容器を載置するトッププレートと、
    前記トッププレートの下方に配置され、前記調理容器を単独で加熱可能な、異なる円心を有する、第1及び第2の加熱コイルと、
    第1の加熱コイルより小さく且つ前記第1の加熱コイルの半径方向の大きさが前記第1の加熱コイルの円周方向の大きさより小さく、前記第1及び第2の加熱コイルの間に配置されて、少なくとも前記第1の加熱コイルと共同でのみ動作して前記調理容器を加熱する補助コイルと、
    前記第1の加熱コイルに電力を供給する第1のインバータと、
    前記補助コイルに電力を供給する第2のインバータと、
    前記第1及び第2のインバータの出力を制御する制御部と、
    前記第1の加熱コイルに対する制御命令を入力するために設けられた操作部と、
    前記第1の加熱コイルに対向するトッププレート上に調理容器が載置されているかどうかを判別する第1の鍋載置判別部と、
    前記第2の加熱コイルに対向するトッププレート上に調理容器が載置されているかどうかを判別する第2の鍋載置判別部と、
    前記第1の加熱コイルと前記第2の加熱コイルとの間に対向するトッププレート上の領域に調理容器が載置されているかどうかを判別する第3の鍋載置判別部と、
    を有し、
    前記制御部は、前記第1の鍋載置判別部と前記第3の鍋載置判別部がともに調理容器が載置されていると判別した場合に、前記操作部から入力された前記制御命令に基づいて、前記第1の加熱コイルの電力量と前記補助コイルの電力量とが使用者によって設定された火力設定に対応し、且つ、前記補助コイルの電力量前記第1の加熱コイルの電力量より予め定められた割合で小さい値となるように、前記第1のインバータ及び前記第2のインバータの動作を連携させて制御する誘導加熱調理器。
  2. 前記制御部は、前記第1のインバータ及び前記第2のインバータの動作を連携させて制御する場合、前記第1の加熱コイルの電力量と前記第2の加熱コイルの電力量との合計が、前記第1のインバータを単独で動作させる場合の前記第1の加熱コイルの電力量と等しくなるように制御する、請求項1に記載の誘導加熱調理器。
  3. 前記予め定められた値が略一定である請求項1に記載の誘導加熱調理器。
  4. 前記予め定められた値が前記火力設定に応じて可変である請求項1に記載の誘導加熱調理器。
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