JP5301281B2 - 臓器特異的遺伝子、その同定方法およびその用途 - Google Patents
臓器特異的遺伝子、その同定方法およびその用途 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5301281B2 JP5301281B2 JP2008541037A JP2008541037A JP5301281B2 JP 5301281 B2 JP5301281 B2 JP 5301281B2 JP 2008541037 A JP2008541037 A JP 2008541037A JP 2008541037 A JP2008541037 A JP 2008541037A JP 5301281 B2 JP5301281 B2 JP 5301281B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- tissue
- gene
- organ
- specific
- expression
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12Q—MEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
- C12Q1/00—Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
- C12Q1/68—Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
- C12Q1/6876—Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes
-
- G—PHYSICS
- G16—INFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGY [ICT] SPECIALLY ADAPTED FOR SPECIFIC APPLICATION FIELDS
- G16B—BIOINFORMATICS, i.e. INFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGY [ICT] SPECIALLY ADAPTED FOR GENETIC OR PROTEIN-RELATED DATA PROCESSING IN COMPUTATIONAL MOLECULAR BIOLOGY
- G16B25/00—ICT specially adapted for hybridisation; ICT specially adapted for gene or protein expression
- G16B25/10—Gene or protein expression profiling; Expression-ratio estimation or normalisation
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12Q—MEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
- C12Q1/00—Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
- C12Q1/68—Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
- C12Q1/6876—Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes
- C12Q1/6881—Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes for tissue or cell typing, e.g. human leukocyte antigen [HLA] probes
-
- G—PHYSICS
- G16—INFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGY [ICT] SPECIALLY ADAPTED FOR SPECIFIC APPLICATION FIELDS
- G16B—BIOINFORMATICS, i.e. INFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGY [ICT] SPECIALLY ADAPTED FOR GENETIC OR PROTEIN-RELATED DATA PROCESSING IN COMPUTATIONAL MOLECULAR BIOLOGY
- G16B25/00—ICT specially adapted for hybridisation; ICT specially adapted for gene or protein expression
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12Q—MEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
- C12Q2600/00—Oligonucleotides characterized by their use
- C12Q2600/158—Expression markers
Landscapes
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
- Genetics & Genomics (AREA)
- Biophysics (AREA)
- Biotechnology (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
- Molecular Biology (AREA)
- Wood Science & Technology (AREA)
- Zoology (AREA)
- Analytical Chemistry (AREA)
- Immunology (AREA)
- Theoretical Computer Science (AREA)
- Spectroscopy & Molecular Physics (AREA)
- Medical Informatics (AREA)
- Evolutionary Biology (AREA)
- Bioinformatics & Computational Biology (AREA)
- Microbiology (AREA)
- Biochemistry (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Cell Biology (AREA)
- Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
Description
最近の再生医学(医療)の進展には目覚しいものがある。ヒト胚性幹細胞(ES細胞)の樹立法が確立されて以来、ES細胞や間葉系幹細胞(MSC)をはじめとする体性幹細胞から移植用の細胞・組織、さらには臓器そのものを、細胞工学的・発生工学的アプローチにより工業的に生産することが、現実的な目標として掲げられるようになった。実際に、血液、神経、心筋、肝臓、膵臓などでは、ES細胞からの分化誘導系が確立されつつあり、ES細胞を用いた治療手法も既に報告されている。
従って、ES細胞をはじめとする幹細胞からの分化誘導により発生した組織・臓器の毒性評価への利用が大いに望まれている。
さらに、本発明者らは、上記方法によっては特異的高発現遺伝子が抽出されない臓器もしくは組織(「臓器A」という)であっても、調べた個体の中での、(a)臓器Aにおける発現量および特異的高発現遺伝子(「遺伝子X」という)が抽出された別の臓器もしくは組織(「臓器B」という)における発現量のうちの最小値と、(b)臓器A、B以外の臓器および組織における発現量の最大値との比が1より大きい遺伝子が存在すれば、該遺伝子を臓器AおよびBにおける特異的高発現遺伝子(「遺伝子Y」という)として抽出し、未同定の臓器(組織)における遺伝子XおよびYの発現量を測定して、遺伝子Xの発現が基準値未満で且つ遺伝子Yの発現が基準値以上の場合に、該未同定の臓器(組織)を臓器Aであると同定することができることを見出した。
本発明者らは、これらの知見に基づいてさらに研究を重ねた結果、ラット、イヌおよびヒトにおいても同様に、臓器(組織)特異的高発現遺伝子セットの抽出、並びにそれらを組み合わせた特異的高発現遺伝子が抽出されない臓器(組織)の同定が可能であることを実証して、本発明を完成するに至った。
[1]以下の(1)〜(3)の工程を含んでなる、臓器もしくは組織特異的高発現遺伝子の抽出方法;
(1)2以上の個体につき、臓器もしくは組織ごとに所定の遺伝子群の発現量を測定する
(2)各遺伝子について、(a)全個体中での、ある特定の臓器もしくは組織における発現量の最小値および(b)全個体中での、それ以外の臓器および組織における発現量の最大値を取得する
(3)上記(a)/(b)比が1より大きい場合に、該遺伝子を該特定の臓器もしくは組織における特異的高発現遺伝子として抽出する
[2](a)/(b)比が2以上の場合に、その遺伝子を特定の臓器もしくは組織における特異的高発現遺伝子として抽出する、上記[1]記載の方法;
[3]上記[1]記載の方法により特異的高発現遺伝子が抽出されない臓器もしくは組織の同定方法であって、以下の工程を含んでなる方法;
(1)各遺伝子について、(a)全個体中での、該臓器もしくは組織における発現量および特異的高発現遺伝子が存在する他の特定の臓器もしくは組織における発現量のうちの最小値、並びに(b)全個体中での、上記(a)の各臓器もしくは組織以外の臓器および組織における発現量の最大値を取得する
(2)上記(a)/(b)比が1より大きい場合に、該遺伝子を上記(a)の各臓器もしくは組織における特異的高発現遺伝子として抽出する
(3)未同定の臓器もしくは組織における(i)該他の特定の臓器もしくは組織における特異的高発現遺伝子および(ii)上記(2)で抽出される特異的高発現遺伝子の発現量を測定する
(4)上記(i)および(ii)の特異的高発現遺伝子の発現量を指標として、該未同定の臓器もしくは組織を、該特異的高発現遺伝子が抽出されない臓器もしくは組織であると同定する
[4]臓器もしくは組織が哺乳動物由来である、上記[3]記載の方法;
[5]臓器もしくは組織がヒトまたはマウス由来である、上記[4]記載の方法;
[6]配列番号n(nは1〜35の整数)に示される各塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列またはその部分配列を含む35種の核酸から選ばれる1以上を含む、マウス脂肪組織特異的遺伝子発現解析ツール;
[7]配列番号n(nは36〜71の整数)に示される各塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列またはその部分配列を含む36種の核酸から選ばれる1以上を含む、マウス膀胱特異的遺伝子発現解析ツール;
[8]配列番号n(nは72〜502の整数)に示される各塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列またはその部分配列を含む431種の核酸から選ばれる1以上を含む、マウス血液特異的遺伝子発現解析ツール;
[9]配列番号n(nは503〜508の整数)に示される各塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列またはその部分配列を含む6種の核酸から選ばれる1以上を含む、マウス骨特異的遺伝子発現解析ツール;
[10]配列番号n(nは509〜754の整数)に示される各塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列またはその部分配列を含む246種の核酸から選ばれる1以上を含む、マウス脳特異的遺伝子発現解析ツール;
[11]配列番号n(nは755〜771の整数)に示される各塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列またはその部分配列を含む17種の核酸から選ばれる1以上を含む、マウス乳腺特異的遺伝子発現解析ツール;
[12]配列番号n(nは772〜823の整数)に示される各塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列またはその部分配列を含む52種の核酸から選ばれる1以上を含む、マウス結腸特異的遺伝子発現解析ツール;
[13]配列番号824に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列またはその部分配列を含む核酸、並びに/あるいは配列番号825に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列またはその部分配列を含む核酸を含む、マウス食道特異的遺伝子発現解析ツール;
[14]配列番号n(nは826〜848の整数)に示される各塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列またはその部分配列を含む23種の核酸から選ばれる1以上を含む、マウス心臓特異的遺伝子発現解析ツール;
[15]配列番号n(nは849〜992の整数)に示される各塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列またはその部分配列を含む144種の核酸から選ばれる1以上を含む、マウス肝臓特異的遺伝子発現解析ツール;
[16]配列番号n(nは993〜1135の整数)に示される各塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列またはその部分配列を含む143種の核酸から選ばれる1以上を含む、マウス肺特異的遺伝子発現解析ツール;
[17]配列番号n(nは1136〜4105の整数)に示される各塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列またはその部分配列を含む2970種の核酸から選ばれる1以上を含む、マウス膵臓特異的遺伝子発現解析ツール;
[18]配列番号n(nは4106〜4300の整数)に示される各塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列またはその部分配列を含む195種の核酸から選ばれる1以上を含む、マウス脾臓特異的遺伝子発現解析ツール;
[19]配列番号n(nは4301〜4329の整数)に示される各塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列またはその部分配列を含む29種の核酸から選ばれる1以上を含む、マウス胃特異的遺伝子発現解析ツール;
[20]配列番号n(nは4330〜8998の整数)に示される各塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列またはその部分配列を含む4669種の核酸から選ばれる1以上を含む、マウス精巣特異的遺伝子発現解析ツール;
[21]配列番号n(nは8999〜9139の整数)に示される各塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列またはその部分配列を含む141種の核酸から選ばれる1以上を含む、マウス胸腺特異的遺伝子発現解析ツール;
[22]配列番号n(nは9140〜9205の整数)に示される各塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列またはその部分配列を含む66種の核酸から選ばれる1以上を含む、マウス腎臓特異的遺伝子発現解析ツール;
[23]配列番号9206に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列またはその部分配列を含む核酸を含む、マウス膵臓および前立腺特異的遺伝子発現解析ツール;
などを提供する。
本発明は、臓器もしくは組織特異的高発現遺伝子の新規な抽出方法を提供する。該方法は、以下の (1)〜(3) の工程:
(1) 2以上の個体につき、臓器もしくは組織ごとに所定の遺伝子群の発現量を測定する工程;
(2) 各遺伝子について、(a) 全個体中での、ある特定の臓器もしくは組織における発現量の最小値および (b) 全個体中での、それ以外の臓器および組織における発現量の最大値を取得する工程;および
(3) 上記 (a)/(b) 比が1より大きい場合に、該遺伝子を該特定の臓器もしくは組織における特異的高発現遺伝子として抽出する工程
を含んでなることを特徴とする。
本発明の測定方法に供される生物個体数は2以上であれば特に制限はないが、好ましくは3以上、より好ましくは5以上、特に好ましくは10以上の個体について、臓器もしくは組織ごとに遺伝子群の発現量が調べられる。
測定対象となる臓器もしくは組織は対象となる生物により異なるが、例えば、哺乳動物の場合、脂肪組織、膀胱、血液、大腿骨、脳、脊髄、下垂体、甲状腺、胆嚢、骨髄、副腎、皮膚、血管、乳腺、結腸、食道、心臓、腎臓、肝臓、肺、膵臓、前立腺、骨格筋、脾臓、胃、精巣、胸腺、卵巣、胎盤、子宮等が挙げられるが、それらに限定されない。
例えば、上記のようにして調製したRNA画分から、逆転写反応によりT7プロモーター等の適当なプロモーターを導入したcDNAを合成し、さらにRNAポリメラーゼを用いてcRNAを合成する(この時ビオチンなどで標識したモノヌクレオチドを基質として用いることにより、標識されたcRNAが得られる)。この標識cRNAを上記DNAマイクロアレイと接触させてハイブリダイゼーション反応させ、アレイ上の各プローブに結合した標識量を測定することにより、各遺伝子の発現量を測定することができる。
次に、その中のある遺伝子iについて、調べた全個体の中での、(a)ある特定の臓器もしくは組織Aにおける発現量(EXP 1(i/A), ・・・EXP m(i/A))の最小値(Min[EXP 1-m(i/A)])と、(b)それ以外の臓器および組織(例えば、B〜Z)における遺伝子iの発現量の最大値(Max[EXP 1-m(i/B-Z)])との比((a)/(b))が1よりも大きい場合に、遺伝子iを臓器もしくは組織Aにおける特異的高発現遺伝子として抽出する。
上記の操作を、遺伝子1〜遺伝子nについて、臓器もしくは組織A〜Zごとに行うことにより、各臓器もしくは組織における特異的高発現遺伝子のセットが抽出される。
したがって、本発明はまた、上記のマウス、ラット、イヌもしくはヒトの臓器もしくは組織特異的高発現遺伝子の塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列またはその部分配列を含む核酸を含む、該各種動物の臓器もしくは組織特異的遺伝子発現解析ツールを提供する。
あるいは、該核酸は、適当な固相に固定化された状態で提供することもできる。固相としては、例えば、ガラス、シリコン、プラスチック、ニトロセルロース、ナイロン、ポリビニリデンジフロリド等が挙げられるが、これらに限定されない。また、固定化手段としては、予め核酸にアミノ基、アルデヒド基、SH基、ビオチンなどの官能基を導入しておき、一方、固相上にも該核酸と反応し得る官能基(例:アルデヒド基、アミノ基、SH基、ストレプトアビジンなど)を導入し、両官能基間の共有結合で固相と核酸を架橋したり、ポリアニオン性の核酸に対して、固相をポリカチオンコーティングして静電結合を利用して核酸を固定化するなどの方法が挙げられるが、これらに限定されない。
核酸プローブが固相に固定化された状態で提供される好ましい一例として、DNAマイクロアレイが挙げられる。DNAマイクロアレイは、核酸プローブを基板(ガラス、シリコンなど)上で1ヌクレオチドづつ合成するAffymetrix方式、もしくは予め調製された核酸プローブを基板上にスポッティングするStanford方式のいずれかにより作製することができる。
一方、リアルタイムRT−PCRは、PCRの増幅量をリアルタイムでモニタリングできるので、電気泳動が不要で、より迅速にマウス臓器(組織)特異的遺伝子の発現を解析可能である。通常、モニタリングは種々の蛍光試薬を用いて行われる。これらの中には、SYBR Green I、エチジウムブロマイド等の二本鎖DNAに結合することにより蛍光を発する試薬(インターカレーター)の他、上記プローブとして用いることができる核酸(但し、該核酸は増幅領域内で標的核酸にハイブリダイズする)の両端をそれぞれ蛍光物質(例:FAM、HEX、TET、FITC等)および消光物質(例:TAMRA、DABCYL等)で修飾したもの等が含まれる。
例えば、本発明の遺伝子解析ツールは、疾患モデル動物(マウス、ラット、イヌ)や薬剤を投与された動物(マウス、ラット、イヌもしくはヒト)から採取された各種臓器試料、あるいは薬剤に曝露された、動物組織の初代培養もしくはそれから誘導される培養物・株化細胞等を用いて、疾患マーカー遺伝子、薬理作用マーカー遺伝子あるいは薬剤毒性マーカー遺伝子を検出・同定する、さらには疾患メカニズム、薬理作用メカニズム、毒性作用メカニズムの解析に好ましく使用され得る。
まず、ある遺伝子i(i = 1〜n)について、調べた全個体(個体数 = m)の中での、(a)臓器もしくは組織Aにおける発現量(EXP 1(i/A), ・・・EXP m(i/A))および特異的高発現遺伝子のセットXが得られている臓器もしくは組織(Bという)における発現量(EXP 1(i/B), ・・・EXP m(i/B))のうちの最小値(Min[EXP 1-m(i/A,B)])と、(b)臓器A、B以外の臓器および組織(例えば、C〜Z)における遺伝子iの発現量の最大値(Max[EXP 1-m(i/C-Z)])との比((a)/(b))が1よりも大きい場合に、遺伝子iを臓器もしくは組織AおよびBにおける特異的高発現遺伝子として抽出する。この操作を遺伝子1〜nについて実施することにより、臓器もしくは組織AおよびB特異的高発現遺伝子のセットYが得られる。ここで、セットXに含まれる遺伝子とセットYに含まれる遺伝子との間には、一切重複はない。尚、(a)/(b)比は上記本発明の抽出方法と同様、1より大きな数値であれば任意に設定することができ、好ましくは1.5以上〜16以上、より好ましくは2以上〜8以上の範囲で適宜選択され得る。
次に、未同定の臓器もしくは組織における、臓器もしくは組織B特異的高発現遺伝子セットX(例えば、遺伝子x1, x2, ・・・xpを含む)に含まれる1種以上の遺伝子、並びに臓器もしくは組織AおよびB特異的高発現遺伝子のセットY(例えば、遺伝子y1, y2, ・・・yqを含む)に含まれる1種以上の遺伝子の発現量を測定する。未同定の臓器もしくは組織はセットXおよびYに含まれる遺伝子群が由来する生物種由来のものであれば、特に制限はなく、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒト、イヌ、ラットまたはマウス由来の臓器もしくは組織が挙げられる。
その結果、Xに含まれる遺伝子の発現が基準値未満であり、且つYに含まれる遺伝子の発現が基準値以上の場合には、該未同定の臓器(組織)は、臓器AまたはBのいずれかであるが、臓器Bではないことになるので、臓器Aであると同定することができる。
ここで各遺伝子の発現量における「基準値」とは、個々の遺伝子によって異なるが、例えば、遺伝子セットXに含まれる遺伝子xiについては、m匹(m≧2、好ましくはm≧5、より好ましくはm≧10)の哺乳動物個体における、臓器もしくは組織Bにおける発現量のうちの最小値(Min[EXP 1-m(xi/B)])、あるいは臓器B以外の臓器および組織(例えば、AおよびC〜Z)における該遺伝子の発現量の最大値(Max[EXP 1-m(xi/A,C-Z)])等が挙げられ、後者がより好ましい。一方、遺伝子セットYに含まれる遺伝子yiについては、m匹(m≧2、好ましくはm≧5、より好ましくはm≧10)のマウス個体における、臓器もしくは組織Aにおける発現量および臓器もしくは組織Bにおける発現量のうちの最小値(Min[EXP 1-m(yi/A,B)])、あるいは臓器A、B以外の臓器および組織(例えば、C〜Z)における該遺伝子の発現量の最大値(Max[EXP 1-m(yi/C-Z)])等が挙げられ、前者がより好ましい。
同様に、本発明の抽出方法により、ラットについては、(R24)配列番号10045に示される塩基配列を含む1種のラット回腸および空腸特異的高発現遺伝子、(R25)配列番号10046〜10048に示される各塩基配列を含む3種のラット腸間膜リンパ節および顎下リンパ節特異的高発現遺伝子、(R26)配列番号10049に示される塩基配列を含む1種のラット腸間膜リンパ節および顎下リンパ節および胸腺特異的高発現遺伝子(以上、(a)/(b)比を2以上に設定)、(R27)配列番号10050に示される塩基配列を含む1種のラット全大脳皮質(前頭葉+頭頂葉+側頭葉)特異的高発現遺伝子((a)/(b)比を4以上に設定)、(R28)配列番号10051〜10053に示される各塩基配列を含む3種のラット回腸および空腸および十二指腸特異的高発現遺伝子および(R29)配列番号10054〜10055に示される各塩基配列を含む2種のラット回腸および空腸および十二指腸および結腸特異的高発現遺伝子(以上、(a)/(b)比を8以上に設定)が得られた。また、イヌについては、(D26)配列番号11787〜11789に示される各塩基配列を含む3種のイヌ全十二指腸(粘膜+筋肉)特異的高発現遺伝子((a)/(b)比を8以上に設定)が得られた。さらに、ヒトについては、(H21)配列番号11979に示される塩基配列を含む1種のヒト右心房および右心室特異的高発現遺伝子((a)/(b)比を2以上に設定)、(H22)配列番号11980〜11981に示される各塩基配列を含む2種のヒト左心室および右心室特異的高発現遺伝子((a)/(b)比を4以上に設定)、(H23)配列番号11982〜11983に示される各塩基配列を含む2種のヒト左心房および右心房特異的高発現遺伝子並びに(H24)配列番号11984〜11986に示される各塩基配列を含む3種のヒト全心臓(左心房+右心房+左心室+右心室)特異的高発現遺伝子(以上、(a)/(b)比を8以上に設定)が得られた。
上記の各配列番号に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列またはその部分配列を含む核酸は、他のマウス、ラット、イヌもしくはヒトの臓器もしくは組織特異的遺伝子発現解析ツールを構成する核酸と同様にして調製することができる。
DNA :デオキシリボ核酸
cDNA :相補的デオキシリボ核酸
A :アデニン
T :チミン
G :グアニン
C :シトシン
RNA :リボ核酸
mRNA :メッセンジャーリボ核酸
dATP :デオキシアデノシン三リン酸
dTTP :デオキシチミジン三リン酸
dGTP :デオキシグアノシン三リン酸
dCTP :デオキシシチジン三リン酸
ATP :アデノシン三リン酸
EDTA :エチレンジアミン四酢酸
SDS :ドデシル硫酸ナトリウム
1. 使用データベース及びデータ抽出方法
Gene Logic社BioExpressから2006年4月21日に雄性C57BL/6マウスの遺伝子発現データを抽出した。抽出時に使用したパラメーターを表1に示す。なお、Mouse Genome 430 2.0 Arrayには45101個のプローブセットが含まれている。
抽出した遺伝子発現データはAvadis version3.3ソフトウェア(Strand Genomics社製)を用いて底2の対数変換を行った。それぞれのプローブセットの値からAFFX-GapdhMur/M32599_5_at、AFFX-GapdhMur/M32599_M_at、AFFX-GapdhMur/M32599_3_atの平均値を引いた値をLog-ratio値として算出した。Fold changeは2(Log-ratio値)とした。
組織特異的高発現遺伝子は以下の方法に従って抽出した。抽出した遺伝子発現データを用いて目的とする組織での遺伝子発現の最低のLog-ratio値から他組織での最高のLog-ratio値を引いた値が1以上(Fold change=2倍以上)を示すプローブセットを目的とする組織特異的高発現遺伝子とした。つまり、目的とする組織での最低の遺伝子発現値を示すサンプルは他の組織での最高の遺伝子発現値を示すサンプルより2倍以上高発現していることとなる。これを各組織・臓器について実施し、各臓器・組織の特異的高発現遺伝子を抽出した。特異的高発現遺伝子が得られない組織については他組織と組み合わせ、同様の抽出を行うことにより組み合わせた臓器・組織での特異的高発現遺伝子を抽出した。
1. 使用データ
Gene Logic社から導入した遺伝子発現データベースBioExpressから抽出した。抽出された臓器・組織は脂肪組織、膀胱、血液、大腿骨、脳、乳腺、結腸、食道、心臓、腎臓(左)、腎臓(右)、肝臓、肺、膵臓、前立腺、骨格筋、脾臓、胃、精巣、胸腺の計20臓器・組織であり、サンプル数は計72サンプルであった。C57BL/6マウスは39日齢〜9週齢であり、使用した臓器・組織のうち少ないものは1サンプル(膵臓)、多いものは5サンプル(脂肪組織、前立腺、骨格筋、精巣)であった。なお、Gene Logic社のBioExpress中にはマウスサンプルとして他系統が含まれているが、無処置のC57BL/6マウスから得られた各臓器の遺伝子発現データセット(サンプル)の数が最も多かったため、マウス系統としてC57BL/6を採用した。
上記した組織特異的高発現遺伝子の抽出方法を用いて、マウスの各臓器・組織特異的発現遺伝子を同定した。特異的発現プローブセットの個数は、脂肪組織35、膀胱36、血液431、大腿骨6、脳246、乳腺17、結腸52、食道2、心臓23、腎臓(左)0、腎臓(右)0、肝臓144、肺143、膵臓2970、前立腺0、骨格筋0、脾臓195、胃29、精巣4669、胸腺141であった(表2)。腎臓(左)、腎臓(右)、前立腺及び骨格筋については組織特異的発現プローブセットを得ることが出来なかったため、次の検討を行った。
実施例1で得られた各種臓器・組織特異的遺伝子と、本発明者らが以前に発表した方法(非特許文献1および図1参照)により得られた臓器・組織特異的遺伝子(比較例)のマウス各臓器・組織での発現を、ヒートマップを作成して比較した。図2は脂肪組織特異的遺伝子群、図3は心臓特異的遺伝子群、図4は肝臓特異的遺伝子群、図5は胸腺特異的遺伝子群、図6は胃特異的遺伝子群での両者の比較を示している(各図ともAが実施例1で得られた遺伝子群、Bが比較例で得られた遺伝子群の結果を示す)。いずれの臓器・組織遺伝子群においても、実施例1で得られたものは、ほぼすべてがその臓器・組織に発現が限局されているのに対し、比較例で得られた遺伝子群の中には、他の臓器・組織でも高発現している遺伝子が相当数存在した。このことから、本発明の臓器・組織特異的遺伝子抽出方法が、従来の方法に比べてより優れていることが示された。
実施例1で特異的高発現遺伝子を同定できなかった腎臓(左)、腎臓(右)、前立腺及び骨格筋について、他臓器・組織と組み合わせることによる特異的高発現遺伝子の同定を試みた。その結果、腎臓(左)及び腎臓(右)を組み合わせた場合に66プローブセットが腎臓(左右)で特異的に発現していることがわかった。また、前立腺については膵臓と組み合わせることにより1プローブセットが前立腺・膵臓で特異的に高発現していることがわかった(表3)。骨格筋については主に筋組織からなる心臓、もしくは単独で特異的遺伝子を取得できなかった前立腺と組み合わせた後に解析を試みたが、特異的高発現遺伝子は取得できなかった。
[材料と方法]
1. 使用データベース及びデータ抽出方法
Gene Logic社BioExpressから2007年7月24日に雄性Wistarラット2ヶ月齢の13臓器(膀胱、小脳、結腸、大脳皮質前頭葉、大脳皮質頭頂葉、大脳皮質側頭葉、食道、心臓、左腎臓、左精巣、肝臓、肺、胃)の遺伝子発現データを抽出した。抽出時に使用したパラメーター表4に示す。また、GeneLogic社BioExpressに無い14組織(脾臓、十二指腸、空腸、回腸、腸間膜リンパ節、顎下リンパ節、胸腺、膵臓、副腎、骨格筋、乳腺、大腿骨、前立腺、脂肪組織)及び血液については、雄性Wistarラット2ヶ月齢の3個体より採取、QIAGEN社のRNA抽出キットを用いてRNAを抽出し、Affymetrix社のプロトコールに従いRAE230 2.0 Arrayのデータを得た。なお、Rat Genome RAE230 2.0 Arrayには31099個のプローブセットが含まれている。
抽出した遺伝子発現データはAvadis version3.3ソフトウェア(Strand Genomics社製)を用いて底2の対数変換を行った。それぞれのプローブセットの値からGAPDHに対するプローブセットである1367557_s_atの値を引いた値をLog-ratio値として算出した。Fold changeは2(Log-ratio値)とした。
臓器・組織特異的高発現遺伝子は以下の方法に従って抽出した。抽出した遺伝子発現データを用いて、目的とする臓器・組織での遺伝子発現の最低のLog-ratio値から他臓器・組織での最高のLog-ratio値を引いた値が1 (2, もしくは3) 以上(Fold change=2 (4, もしくは8) 倍以上)を示すプローブセットを、目的とする組織特異的高発現遺伝子とした。つまり、目的とする組織での最低の遺伝子発現値を示すサンプルは、他の組織での最高の遺伝子発現値を示すサンプルより2 (4, もしくは8) 倍以上高発現していることとなる。これを各臓器・組織について実施し、各臓器・組織の特異的高発現遺伝子を抽出した。特異的高発現遺伝子が得られない組織については他組織と組み合わせ、同様の抽出を行うことにより組み合わせた臓器・組織での特異的高発現遺伝子を抽出した。
1. 使用データ
Gene Logic社から導入した遺伝子発現データベースBioExpressから抽出、実際にラットの各臓器・組織から抽出したRNAをマイクロアレイ解析して得た。抽出された臓器・組織は膀胱、小脳、結腸、大脳皮質前頭葉、大脳皮質頭頂葉、大脳皮質側頭葉、食道、心臓、左腎臓、左精巣、肝臓、肺、胃、脾臓、十二指腸、空腸、回腸、腸間膜リンパ節、顎下リンパ節、胸腺、膵臓、副腎、骨格筋、乳腺、大腿骨、前立腺、脂肪組織及び血液の計28臓器・組織であり、サンプル数は計118サンプルであった。使用した臓器・組織のうちは少ないものは3サンプル、多いものは10サンプルであった。
上記した臓器・組織特異的高発現遺伝子の抽出方法を用いて、ラットの各臓器・組織特異的発現遺伝子を同定した。Fold changeを1倍より大きい、2倍以上、4倍以上および8倍以上としたときの、各臓器・組織における特異的発現プローブセットの個数を表5(A)に、また、臓器・組織の組み合わせによる特異的発現プローブセットの個数を表5(B)にそれぞれ示す。
[材料と方法]
1. データ抽出取得方法
12ヶ月齢雄性beagle犬をネンブタール麻酔下で放血し、組織を摘出、QIAGEN社のRNA抽出キットを用いてRNAを抽出した。抽出したRNAを用いてAffymetrix社のプロトコールに従いCanain ver2.0 Arrayのデータを得た。
抽出した遺伝子発現データはAvadis version3.3ソフトウェア(Strand Genomics社製)を用いて底2の対数変換を行った。それぞれのプローブセットの値からGAPDHに対するプローブセットであるCfaAffx.23015.1.s1_x_at, CfaAffx.26731.1.s1_x_atおよびCfaAffx.13010.1.s1_x_atの平均値を対数変換した値を引きLog-ratio値として算出した。Fold changeは2(Log-ratio値)とした。
臓器・組織特異的高発現遺伝子は以下の方法に従って抽出した。抽出した遺伝子発現データを用いて、目的とする臓器・組織での遺伝子発現の最低のLog-ratio値から他臓器・組織での最高のLog-ratio値を引いた値が1 (2, もしくは3) 以上(Fold change=2 (4, もしくは8) 倍以上)を示すプローブセットを、目的とする組織特異的高発現遺伝子とした。つまり、目的とする組織での最低の遺伝子発現値を示すサンプルは、他の組織での最高の遺伝子発現値を示すサンプルより2 (4, もしくは8) 倍以上高発現していることとなる。これを各臓器・組織について実施し、各臓器・組織の特異的高発現遺伝子を抽出した。特異的高発現遺伝子が得られない組織については他組織と組み合わせ、同様の抽出を行うことにより組み合わせた臓器・組織での特異的高発現遺伝子を抽出した。
1. 使用データ
beagle犬の各臓器・組織から抽出したRNAをマイクロアレイ解析して得た。抽出された臓器・組織は脂肪、副腎、大動脈、膀胱、盲腸(粘膜)、盲腸(筋肉)、大脳皮質、結腸(粘膜)、結腸(筋肉)、十二指腸(粘膜)、十二指腸(筋肉)、精巣上体、心臓、回腸(粘膜)、回腸(筋肉)、空腸(粘膜)、空腸(筋肉)、腎臓(皮質)、腎臓(髄質)、肝臓、肺、腸間膜リンパ節、膵臓、下垂体、直腸(粘膜)、直腸(筋肉)、骨格筋、皮膚、脾臓、胃(粘膜)、胃(筋肉)、顎下リンパ節、精巣、胸腺、甲状腺の計35臓器・組織であり、サンプル数は計125サンプルであった。使用した臓器・組織のうちは少ないものは2サンプル、多いものは4サンプルであった。
上記した臓器・組織特異的高発現遺伝子の抽出方法を用いて、beagle犬の各臓器・組織特異的発現遺伝子を同定した。Fold changeを1倍より大きい、2倍以上、4倍以上および8倍以上としたときの、各臓器・組織における特異的発現プローブセットの個数を表6(A)に、また、臓器・組織の組み合わせによる特異的発現プローブセットの個数を表6(B)にそれぞれ示す。
[材料と方法]
1. 使用データベース及びデータ抽出方法
Gene Logic社BioExpressを用いて35歳から55歳の男性の31臓器組織の遺伝子発現データを2007年9月19日に抽出した(脂肪、大動脈、膀胱、胃体部、骨組織、盲腸、小脳、大脳、結腸、十二指腸、食道、心臓(左心房、右心房、左心室、右心室)、視床下部、回腸、空腸、腎臓、肝臓、肺、膵臓、前立腺、直腸、骨格筋、皮膚、脾臓、精巣、視床、甲状腺、静脈)。なお、採用した臓器・組織は病理学的検査で正常であるものとした。
抽出した遺伝子発現データはAvadis version3.3ソフトウェア(Strand Genomics社製)を用いて底2の対数変換を行った。それぞれのプローブセットの値からGAPDHに対するプローブセットである212581_x_at, 213453_x_atおよび217398_x_atの平均値を対数変換した値を引きLog-ratio値として算出した。Fold changeは2(Log-ratio値)とした。
臓器・組織特異的高発現遺伝子は以下の方法に従って抽出した。抽出した遺伝子発現データを用いて、目的とする臓器・組織での遺伝子発現の最低のLog-ratio値から他臓器・組織での最高のLog-ratio値を引いた値が1 (2, もしくは3) 以上(Fold change=2 (4, もしくは8) 倍以上)を示すプローブセットを、目的とする組織特異的高発現遺伝子とした。つまり、目的とする組織での最低の遺伝子発現値を示すサンプルは、他の組織での最高の遺伝子発現値を示すサンプルより2 (4, もしくは8) 倍以上高発現していることとなる。これを各臓器・組織について実施し、各臓器・組織の特異的高発現遺伝子を抽出した。特異的高発現遺伝子が得られない組織については他組織と組み合わせ、同様の抽出を行うことにより組み合わせた臓器・組織での特異的高発現遺伝子を抽出した。
1. 使用データ
Gene Logic社から導入した遺伝子発現データベースBioExpressから抽出した。抽出された臓器・組織は脂肪、大動脈、膀胱、胃体部、骨組織、盲腸、小脳、大脳、結腸、十二指腸、食道、心臓(左心房、右心房、左心室、右心室)、視床下部、回腸、空腸、腎臓、肝臓、肺、膵臓、前立腺、直腸、骨格筋、皮膚、脾臓、精巣、視床、甲状腺、静脈の計31臓器・組織であり、サンプル数は計100サンプルであった。使用した臓器・組織のうち少ないものは1サンプル、多いものは9サンプルであった。
上記した臓器・組織特異的高発現遺伝子の抽出方法を用いて、ヒトの各臓器・組織特異的発現遺伝子を同定した。Fold changeを1倍より大きい、2倍以上、4倍以上および8倍以上としたときの、各臓器・組織における特異的発現プローブセットの個数を表7(A)に、また、臓器・組織の組み合わせによる特異的発現プローブセットの個数を表7(B)にそれぞれ示す。
本出願は、日本で出願された特願2006-293324(出願日:平成18年10月27日)を基礎としており、そこに開示される内容は本明細書にすべて包含されるものである。また、ここで述べられた特許および特許出願明細書を含む全ての刊行物に記載された内容は、ここに引用されたことによって、その全てが明示されたと同程度に本明細書に組み込まれるものである。
Claims (4)
- 以下の(1)〜(3)の工程:
(1)5以上の個体につき、臓器もしくは組織ごとに所定の遺伝子群の発現量を測定する
(2)各遺伝子について、(a)全個体中での、ある特定の臓器もしくは組織における発現量の最小値および(b)全個体中での、それ以外の臓器および組織における発現量の最大値を取得する
(3)上記(a)/(b)比が2以上〜8以上の場合に、該遺伝子を該特定の臓器もしくは組織における特異的高発現遺伝子として抽出する
を含んでなる、臓器もしくは組織特異的高発現遺伝子の抽出方法であって、工程(1)において遺伝子群の発現量が測定される臓器もしくは組織は、脂肪組織、膀胱、血液、大腿骨、脳、脊髄、下垂体、甲状腺、胆嚢、骨髄、副腎、皮膚、血管、乳腺、結腸、食道、心臓、腎臓、肝臓、肺、膵臓、前立腺、骨格筋、脾臓、胃、精巣、胸腺、卵巣、胎盤、および子宮を含む、方法。 - 請求項1記載の方法により特異的高発現遺伝子が抽出されない臓器もしくは組織の同定方法であって、以下の工程を含んでなる方法。
(1)各遺伝子について、(a)全個体中での、該臓器もしくは組織における発現量および特異的高発現遺伝子が存在する他の特定の臓器もしくは組織における発現量のうちの最小値、並びに(b)全個体中での、上記(a)の各臓器もしくは組織以外の臓器および組織における発現量の最大値を取得する
(2)上記(a)/(b)比が1より大きい場合に、該遺伝子を上記(a)の各臓器もしくは組織における特異的高発現遺伝子として抽出する
(3)未同定の臓器もしくは組織における(i)該他の特定の臓器もしくは組織における特異的高発現遺伝子および(ii)上記(2)で抽出される特異的高発現遺伝子の発現量を測定する
(4)上記(i)および(ii)の特異的高発現遺伝子の発現量を指標として、該未同定の臓器もしくは組織を、該特異的高発現遺伝子が抽出されない臓器もしくは組織であると同定する - 臓器もしくは組織が哺乳動物由来である、請求項2記載の方法。
- 臓器もしくは組織がヒトまたはマウス由来である、請求項3記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008541037A JP5301281B2 (ja) | 2006-10-27 | 2007-10-26 | 臓器特異的遺伝子、その同定方法およびその用途 |
Applications Claiming Priority (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006293324 | 2006-10-27 | ||
JP2006293324 | 2006-10-27 | ||
JP2008541037A JP5301281B2 (ja) | 2006-10-27 | 2007-10-26 | 臓器特異的遺伝子、その同定方法およびその用途 |
PCT/JP2007/070944 WO2008050870A1 (fr) | 2006-10-27 | 2007-10-26 | Gène spécifique d'un organe, procédé d'identification de celui-ci et son utilisation |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013097995A Division JP2013188216A (ja) | 2006-10-27 | 2013-05-07 | 臓器特異的遺伝子、その同定方法およびその用途 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2008050870A1 JPWO2008050870A1 (ja) | 2010-02-25 |
JP5301281B2 true JP5301281B2 (ja) | 2013-09-25 |
Family
ID=39324654
Family Applications (2)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008541037A Expired - Fee Related JP5301281B2 (ja) | 2006-10-27 | 2007-10-26 | 臓器特異的遺伝子、その同定方法およびその用途 |
JP2013097995A Abandoned JP2013188216A (ja) | 2006-10-27 | 2013-05-07 | 臓器特異的遺伝子、その同定方法およびその用途 |
Family Applications After (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013097995A Abandoned JP2013188216A (ja) | 2006-10-27 | 2013-05-07 | 臓器特異的遺伝子、その同定方法およびその用途 |
Country Status (5)
Country | Link |
---|---|
US (2) | US8535880B2 (ja) |
EP (2) | EP2465932A3 (ja) |
JP (2) | JP5301281B2 (ja) |
SG (3) | SG175683A1 (ja) |
WO (1) | WO2008050870A1 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9504660B2 (en) | 2012-02-03 | 2016-11-29 | The Brigham And Women's Hospital, Inc. | Retinaldehyde mimetics and inhibitors of retinaldehyde dehydrogenase I in the treatment of disorders |
KR101472789B1 (ko) * | 2012-05-10 | 2014-12-15 | 한국수력원자력 주식회사 | 저준위 전리방사선에 민감한 유전자 검출 방법 및 상기 방법으로 검출된 유전자 |
TR201716517A2 (tr) * | 2017-10-26 | 2019-05-21 | Tuerkiye Bilimsel Ve Teknolojik Arastirma Kurumu Tuebitak | Yabanci doku tespi̇ti̇nde kullanilan bi̇r anali̇z yöntemi̇ ve anali̇z yöntemi̇nde kullanilan bi̇r pri̇mer-prob seti̇ |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004135552A (ja) * | 2002-10-16 | 2004-05-13 | Ngk Insulators Ltd | ヒトハウスキーピング遺伝子とヒト組織特異的遺伝子 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7879544B2 (en) | 2002-07-29 | 2011-02-01 | Hmgene Inc. | Methods of identifying adipocyte specific genes, the genes identified, and their uses |
JP4940704B2 (ja) | 2005-03-17 | 2012-05-30 | コニカミノルタオプト株式会社 | 撮像レンズ、撮像装置及び該撮像装置を備えた携帯端末 |
WO2007086515A1 (ja) | 2006-01-27 | 2007-08-02 | Takeda Pharmaceutical Company Limited | 遺伝子発現解析ツール |
-
2007
- 2007-10-26 SG SG2011078631A patent/SG175683A1/en unknown
- 2007-10-26 EP EP11155254A patent/EP2465932A3/en not_active Withdrawn
- 2007-10-26 WO PCT/JP2007/070944 patent/WO2008050870A1/ja active Application Filing
- 2007-10-26 US US12/447,446 patent/US8535880B2/en not_active Expired - Fee Related
- 2007-10-26 JP JP2008541037A patent/JP5301281B2/ja not_active Expired - Fee Related
- 2007-10-26 SG SG2011079027A patent/SG175687A1/en unknown
- 2007-10-26 SG SG2011079035A patent/SG175688A1/en unknown
- 2007-10-26 EP EP07830678A patent/EP2077327A4/en not_active Withdrawn
-
2013
- 2013-05-07 JP JP2013097995A patent/JP2013188216A/ja not_active Abandoned
- 2013-07-26 US US13/951,897 patent/US20140046047A1/en not_active Abandoned
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004135552A (ja) * | 2002-10-16 | 2004-05-13 | Ngk Insulators Ltd | ヒトハウスキーピング遺伝子とヒト組織特異的遺伝子 |
Non-Patent Citations (10)
Title |
---|
JPN6007008030; 宮本索 他: 'カニクイザルのDNAマイクロアレイ開発と臓器特異的高発現遺伝子の探索' 第33回 日本トキシコロジー学会学術年会 要旨集 Vol.31,Supplement, 20060610, p.S168(講演番号:P-116) * |
JPN6007008032; Gene Logicと遺伝子発現解析システムの販売に関して契約締結,2005.09.09,[検索日:2007.11.07]Internet< * |
JPN6007008035; Nucleic acids research. 1999, Vol.27, No.1, p.106-112 * |
JPN6007008037; FEBS letters. 2000, Vol.480, No.1, p.2-16 * |
JPN6007008040; Nucleic acids research. 2001, Vol.29, No.21, p.e102(page 8) * |
JPN6007008042; BMC genomics. 2006 Apr, Vol.7, No.86, p.11 * |
JPN6007008043; Gene expression patterns. 2005, Vol.5, No.5, p.619-628 * |
JPN6012035463; Genome biology. 2005(Epub:2005 Feb), Vol.6, No.3, p.R22.1-R22.9 * |
JPN6012055015; Genome biology. 2005, Vol.6, No.3, p.R22.1-22.9 * |
JPN6012055016; BMC Genomics. 2004, Vol.5, p.87(1-10) * |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPWO2008050870A1 (ja) | 2010-02-25 |
SG175683A1 (en) | 2011-11-28 |
EP2077327A1 (en) | 2009-07-08 |
US20140046047A1 (en) | 2014-02-13 |
US20090311701A1 (en) | 2009-12-17 |
SG175687A1 (en) | 2011-11-28 |
EP2465932A3 (en) | 2012-09-12 |
EP2077327A4 (en) | 2010-07-07 |
SG175688A1 (en) | 2011-11-28 |
JP2013188216A (ja) | 2013-09-26 |
US8535880B2 (en) | 2013-09-17 |
WO2008050870A1 (fr) | 2008-05-02 |
EP2465932A2 (en) | 2012-06-20 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6189600B2 (ja) | T細胞受容体v/d/j遺伝子内の反復配列によるクローン細胞の同定 | |
JP2002508664A (ja) | 複数の単一ヌクレオチド多型を単一の反応で検出する方法 | |
JP2003514538A (ja) | 哺乳動物毒物学的反応マーカー | |
WO2022134165A1 (zh) | 一种骨发育异常疾病的致病基因col1a2突变及其检测试剂 | |
KR101751932B1 (ko) | 신규한 dna 표지인자 및 이를 이용한 선별방법 | |
JP2004507206A (ja) | 診断上重要な組織特異的遺伝子 | |
KR20140118236A (ko) | 돼지의 유두 수 판단용 snp 마커 및 이의 용도 | |
JP5301281B2 (ja) | 臓器特異的遺伝子、その同定方法およびその用途 | |
JP2002523112A (ja) | 毒物学的反応マーカー | |
KR102235340B1 (ko) | 토종닭의 성장 형질을 예측하기 위한 snp 마커 세트 및 이의 용도 | |
JP2013176383A (ja) | 遺伝子発現解析ツール | |
KR101767644B1 (ko) | 차등 발현 유전자를 이용한 돼지의 산자수 예측용 조성물 및 예측방법 | |
KR101557071B1 (ko) | 한우의 육질 등급 예측용 유전자 마커 | |
US7091033B2 (en) | Array of toxicologically relevant canine genes and uses thereof | |
JP4616178B2 (ja) | 薬物の毒性予測方法 | |
KR101584601B1 (ko) | 한우의 근내지방도 예측용 유전자 마커 | |
CN1847257A (zh) | 一种与肥厚型心肌病中心肌肥厚程度相关的单核苷酸多态性及其用途 | |
JP2001512961A (ja) | イヌ科動物の遺伝子型決定のためのマイクロサテライト配列 | |
KR101796170B1 (ko) | 돼지의 산자수 예측용 igfbp 유전자의 snp 마커 및 이를 이용한 돼지 다산 개체 선발 방법 | |
KR101510164B1 (ko) | 한우의 육량 지수 예측용 유전자 마커 | |
KR20160053670A (ko) | 돼지의 근육 내 근섬유타입 ⅰ의 수준 판단용 snp 마커 및 이의 용도 | |
KR101546457B1 (ko) | 한우의 육량 지수 예측용 조성물 | |
KR101557069B1 (ko) | 한우의 육량 지수 예측용 유전자 마커 | |
KR101557072B1 (ko) | 한우의 근내지방도 예측용 유전자 마커 | |
JPH11221077A (ja) | 変異ヒトミトコンドリア遺伝子及び糖尿病遺伝子診断への応用 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20100909 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120710 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120907 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20120910 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20121023 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20121222 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20130205 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20130507 |
|
A911 | Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20130516 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20130604 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20130619 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |