JP2004507206A - 診断上重要な組織特異的遺伝子 - Google Patents
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Abstract
本発明は、細胞および/または組織に特異的である複数のポリヌクレオチドを含む組成物に関する。これらのポリヌクレオチドまたはその一部を参照として用い、代謝または発生のプロセス、治療、病態、疾患、または障害を明らかにする発現プロファイルの作成した。
Description
【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、細胞および/または組織に特異的な複数のポリヌクレオチドを含む組成物に関する。これらのポリヌクレオチドを用いて、代謝または発生のプロセスを明確にしたり、これらのプロセスを導いて、症状、疾患、または障害を調べたり、その進行をモニタリングしたり、或いは治療プロトコルの有効度を評価およびモニタリングすることが可能である。
【0002】
(背景技術)
アレイ技術によって、一塩基遺伝子多型の発現、または多数の関連遺伝子や非関連遺伝子の発現プロファイルを得る単純な方法が実現される。1つの遺伝子の発現を調べる場合、アレイを用いて特定の遺伝子またはその変異体の発現を検出する。発現プロファイルを検査すると、どの遺伝子が、組織特異的であるか、細胞型や組織への分化を導くか、ハウスキーピング機能を行っているか、シグナル伝達カスケードの一部として機能するか、或いは特定の遺伝的な素因、症状、疾患、または障害を特徴付けるかを調べる際の基準がアレイから分かる。
【0003】
遺伝子発現のプロファイル化は、特に疾患の診断や予後の精度の改善に適している。しかしながら、特定の疾患における特定の遺伝子の発現が有意であるか否かを決定するために、その疾患プロセスでどの遺伝子が発現されるかを較べるべく、基準となる組織や細胞に特異的な遺伝子のセットを準備すると便利である。例えば、脳腫瘍で発現するレベルおよび配列の両方を、正常な脳組織で発現するレベルおよび配列と比較するとよい。このような比較は、新規の配列とともに特定の組織や細胞に特異的な遺伝子の基準セットを組み込んだ1つのアレイにおいて、或いはそれぞれが既知の基準セットの少なくとも幾つかのサブセットを含む複数のアレイにおいて行うことができる。
【0004】
本発明は、このような組織や細胞に特異的な遺伝子の基準セットを提供することで当分野のニーズに応えることができる。このような基準セットの全て或いはその一部を用いて発現プロファイルを作成し、その作成プロファイルを用いて、代謝または発生のプロセスを明らかにしたり、そのプロセスを導いて、症状、疾患、または障害を調べたり、その進行をモニタリングしたり、或いは治療プロトコルの有効度を評価およびモニタリングすることが可能である。
【0005】
(発明の概要)
本発明は、発現プロファイルを作成するべく、複数の組織や細胞に特異的であってアレイに使用可能なポリヌクレオチドを提供する。このプロファイルを用いて、正常な組織における、特定の代謝または発生のプロセスの間の、またはヒトの症状、疾患、または障害の開始、進行、または治療の間のポリヌクレオチドの発現を決定することが可能である。一実施例では、これらのポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:1−416から選択される。
【0006】
本発明は、組織または細胞に特異的であって、(a)心臓の細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:209−218およびそれらの断片であるSEQ ID NO:1−10、(b)骨格筋細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:219−249およびそれらの断片であるSEQ ID NO:11−41、(c)子宮細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:250−251およびそれらの断片であるSEQ ID NO:42−43、(d)卵巣細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:252−256およびそれらの断片であるSEQ ID NO:44−48、(e)胃の細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:257−263およびそれらの断片であるSEQ ID NO:49−55、(f)腸の細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:264−283およびそれらの断片であるSEQ ID NO:56−75、(g)肺細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:284−293およびそれらの断片であるSEQ ID NO:76−85、(h)肝細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:294−345およびそれらの断片であるSEQ ID NO:86−137、(i)腎細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:346−356およびそれらの断片であるSEQ ID NO:138−148、(j)膵臓細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:357−374およびそれらの断片であるSEQ ID NO:149−166、および(k)脳細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:375−416およびそれらの断片であるSEQ ID NO:167−208から選択される複数のポリヌクレオチドを提供する。一実施態様では、これらの複数のポリヌクレオチドが基板に固定される。
【0007】
別の実施例では、複数のポリヌクレオチドの発現を用いてある組織における発現を検出する。一実施態様では、この組織は、脳、心臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、または膵臓の組織に分化する胚性幹細胞である。第2の実施態様では、この組織は、癌、免疫、または炎症の疾患と診断された、或いは法医学的検査を行う病変した脳、心臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、卵巣、膵臓、小腸、胃、または子宮から採取した組織である。第3の実施態様では、転移癌の原発巣(point of origin)を決定する。
【0008】
別の実施例では、これらのポリヌクレオチドを用いて、分子または化合物をスクリーニングしてリガンドを同定するハイスループットのアッセイを行う。このアッセイは、特異的な結合が許容される条件下で、ポリヌクレオチドを分子または化合物と結合させるステップと、特異的な結合を検出して、これらのポリヌクレオチドに特異的に結合するリガンドを同定するステップとを含む。スクリーニングする分子または化合物は、DNA分子、RNA分子、PNA、擬態、ペプチド、およびタンパク質から選択される。
【0009】
別の実施例では、本発明は、SEQ ID NO:212、228、233、259、271、287、316−319、324、370、379、380、383、410、および412、またはそれらの断片であるSEQ ID NO:4、20、25、51、63、79、108−111、116、162、171、172、175、202、および204から選択された実質的に精製されたポリヌクレオチドを提供する。一実施態様では、SEQ ID NO:212、228、233、259、271、287、316−319、324、370、379、380、383、410、および412、またはそれらの断片であるSEQ ID NO:4、20、25、51、63、79、108−111、116、162、171、172、175、202、および204から選択されて実質的に精製されたポリヌクレオチドを発現ベクターに導入して、その発現ベクターで宿主細胞を形質転換し、タンパク質が発現する条件下でこの宿主細胞を培養し、この宿主細胞からタンパク質を回収してタンパク質またはその断片を得る。
【0010】
第3の実施例では、本発明は或るタンパク質またはその断片を提供する。一実施態様では、このタンパク質を用いて、多数の分子または化合物をスクリーニングしてこのタンパク質に特異的に結合する少なくとも1つのリガンドを同定するハイスループットのアッセイを行う。このアッセイは、特異的な結合が許容される条件下で、このタンパク質を分子または化合物と結合させるステップと、このような特異的な結合を検出して、このタンパク質に特異的に結合するリガンドを同定するステップとを含む。第2の実施態様では、このタンパク質を用いてリガンドを精製する。この方法は、特異的な結合が許容される条件下で、このタンパク質をサンプルと結合させるステップと、この結合したタンパク質を回収するステップと、このタンパク質を前記リガンドから分離して、精製されたリガンドを得るステップとを含む。スクリーニングまたは精製される前記分子または化合物が、DNA分子、RNA分子、PNA、擬態、ペプチド、タンパク質、アゴニスト、アンタゴニスト、抗体またはそれらの断片、免疫グロブリン、インヒビター、薬物成分、および薬剤から選択され得る。これらの任意の分子または化合物を、診断または治療目的に利用することが可能である。
【0011】
(発明の記載について)
(定義)
用語「アレイ」は、ハイブリダイズ可能なポリヌクレオチを規則正しく配列したものを指す。基板1cm2当たりに、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも100、さらに好ましくは少なくとも1,000、最も好ましくは10,000のポリヌクレオチドが存在する。ポリヌクレオチドの最大数に制限はないが、その数は少なくとも10,000である。さらに、ハイブリダイズしたそれぞれのヌクレオチドからの信号は個々に識別される。
【0012】
用語「ポリヌクレオチド」はヌクレオチド鎖を指す。ヌクレオチド鎖の長さは、好ましくは約15〜10,000ヌクレオチドであり、より好ましくは約400〜6,000ヌクレオチドである。用語「プローブ」は、標的ポリヌクレオチドとハイブリダイズしてハイブリダイゼーション複合体を形成することが可能なヌクレオチドである。大抵の場合、整列させるとプローブの配列と標的ポリヌクレオチドの配列は相補的(不一致がない)である。最大10%の不一致がある場合もある。
【0013】
用語「断片」は、有用な特性を有するインサイト社クローンまたはポリヌクレオチドの任意の部分である。有用な断片は、リガンドを同定したり精製するためのハイブリダイゼーション技術、或いは複製、転写、または翻訳の調節をする治療薬とし用いることが可能である。
【0014】
「リガンド」は、ポリヌクレオチドやタンパク質の相補的な部位に特異的に結合する任意の薬剤、分子、または化合物を指す。このようなリガンドは、ポリヌクレオチドやタンパク質を安定化させたり、その活性を調節したりし、核酸、タンパク質、炭水化物、脂肪、および脂質を含む無機物質や有機物質の少なくとも1つからなる。
【0015】
用語「精製された」は、自然環境から除去、分離、或いは単離され、天然では結合しているその他の物質が少なくとも60%、好ましくは90%除去された任意の分子または化合物を指す。
【0016】
用語「特異的結合」は、分子の側鎖などの特定の構造に依存する2つの分子間の正確で特殊な相互作用を指す。例えば、2つの一本鎖の核酸間の水素結合や、エピトープまたはタンパク質とアゴニスト、アンタゴニスト、または抗体との間の結合がある。
【0017】
用語「サンプル」は、その最も広い意味で用いられる。ポリヌクレオチドを含むサンプルは、体液(細胞からの抽出物、細胞から単離した染色体、オルガネラ、または膜)、溶液内に存在する或いは基板に結合したゲノムDNA、RNA、またはcDNAや、細胞、組織、組織プリント、フィンガープリント、髪等を含む。
【0018】
用語「部分」は任意の目的に用いられるタンパク質の任意の部分を指すが、特に、分子や化合物をスクリーニングしてその部分に特異的に結合するものを同定し、抗体を生産するために用いられるものを指す。
【0019】
句「タンパク質をコードするポリヌクレオチド」は、当分野で周知の分析方法で同定された保存されたタンパク質モチーフやドメインをコードする配列と殆ど一致する配列を指す。このような分析手段の例には、PFAMなどの隠れマルコフモデル(HMM)(Krogh (1994) J Mol Biol 235 : 1501−1531 ; Sonnhamer ら (1988) Nucl Acids Res 26 : 320−322)、BLAST(Basic Local Alignment Search Tool ; Altschul (1993) J Mol Evol 36 : 290−300 ; および Altschul ら (1990) J Mol Biol 215 : 403−410)、またはBLIMPS(Henikoff ら (1998) Nucl Acids Res 26 : 309−12)などのその他の分析手段がある。さらに、「タンパク質をコードするポリヌクレオチド」は、ヒト代謝プロセス、病状、疾患、障害において発現される、或いはそれらに関連するポリヌクレオチドを指す場合もある。
【0020】
本明細書では、「細胞特異的」は2つ以上の組織において統計的に有意なレベルで発生するポリヌクレオチドと定義する。組織間の共通性は、特定の組織の一部である或いはその組織に存在すると推定される細胞型、例えば血液細胞、神経細胞、および内皮細胞などに起因し得る。
【0021】
(発明)
本発明は、複数の組織や細胞に特異的であって、発現プロファイルを作成するためにアレイに使用可能なポリヌクレオチドを提供する。この発現プロファイルによって、正常な組織における、特定の代謝または発生のプロセスの間、または症状、疾患、または障害の開始、進行、または治療の間のこれらのポリヌクレオチドの発現を明確にすることが可能である。これらのポリヌクレオチドは、脳、心臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、卵巣、膵臓、小腸、胃、または子宮の細胞や組織に通常に発現する既知および新規の遺伝子である。これらのポリヌクレオチドの発現を、アレイ上のその他の既知或いは新規の遺伝子の発現と比較することができる。全基準セットであるこれらの複数のポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:1−416を含む。組織または細胞に特異的な基準セットは、(a)心臓の細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:209−218およびそれらの断片であるSEQ ID NO:1−10、(b)骨格筋細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:219−249およびそれらの断片であるSEQ ID NO:11−41、(c)子宮細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:250−251およびそれらの断片であるSEQ ID NO:42−43、(d)卵巣細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:252−256およびそれらの断片であるSEQ ID NO:44−48、(e)胃の細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:257−263およびそれらの断片であるSEQ ID NO:49−55、(f)腸の細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:264−283およびそれらの断片であるSEQ ID NO:56−75、(g)肺細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:284−293およびそれらの断片であるSEQ ID NO:76−85、(h)肝細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:294−345およびそれらの断片であるSEQ ID NO:86−137、(i)腎細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:346−356およびそれらの断片であるSEQ ID NO:138−148、(j)膵臓細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:357−374およびそれらの断片であるSEQ ID NO:149−166、および(k)脳細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:375−416およびそれらの断片であるSEQ ID NO:167−208から選択することができる。これらの複数のポリヌクレオチドは、基板、好ましくはマイクロアレイに配列したり、プローブとして用いる。
【0022】
本発明は、SEQ ID NO:212、228、233、259、271、287、316−319、324、370、379、380、383、410、および412、またはそれらの断片であるSEQ ID NO:4、20、25、51、63、79、108−111、116、162、171、172、175、202、および204から選択された実質的に精製されたポリヌクレオチドを提供する。これらのポリヌクレオチドを発現ベクターに導入して、その発現ベクターで宿主細胞を形質転換し、タンパク質が発現する条件下でこの宿主細胞を培養し、この宿主細胞からタンパク質を回収してタンパク質またはその断片を生産することが可能である。
【0023】
マイクロアレイを用いて、多数の新規の標的ポリヌクレオチドの大規模な遺伝子分析または遺伝子発現分析を行うことができる。これらの標的ポリヌクレオチドは、発生或いは分化の或るステージの哺乳動物細胞または組織から、またはサイトカイン、成長因子、および薬剤などの既知の分子や化合物で処置して、または処置する前若しくは処置した後の既知または未知の症状、疾患、障害をもつ哺乳動物から採取或いは生検するなどして当分野で周知の方法で準備した。これらの複数のポリヌクレオチドは、特に、胚性幹細胞の脳、心臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、または膵臓の組織への分化を決定したり、病変した脳、心臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、卵巣、膵臓、小腸、胃、または子宮の組織を生検して癌が転移癌であるか原発性の癌であるかを決定する際に有用である。これらの複数のポリヌクレオチドを、癌、免疫疾患、および神経疾患の診断用いることが可能である。
【0024】
発生ステージ、治療、症状、障害、または疾患に関連する新規の遺伝子プロファイルを確立するために、標的ポリヌクレオチドをプローブポリヌクレオチドとハイブリダイズさせる。次に、この遺伝子プロファイルを用いて、既知および新規の遺伝子の発現の変化が癌、免疫疾患、および神経疾患などに関連するような診断、予後、治療のモニタリングを行うことができる。場合によっては、遺伝子プロファイルを用いた、癌、免疫疾患、および神経疾患などの症状、障害、または疾患に対する疾病素質を検査することもできる。
【0025】
本発明のポリヌクレオチドをマイクロアレイ上のハイブリダイズ可能なポリヌクレオチドとして用いる場合、基板上の指定の位置に各ポリヌクレオチドが位置するようにこれらのポリヌクレオチドを規則正しく配列する。プローブポリヌクレオチドが基板上の指定の位置に存在するため、ハイブリダイゼーションのパターンおよび強度を、その他の既知および新規のポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションのパターンおよび強度と比較し、発現プロファイルを作成することができる。このようなプロファイルは、細胞および組織特異的な既知および新規の遺伝子の発現レベルについてみると、特定の代謝プロセス、発生ステージ、治療、症状、障害、疾患、または疾患のステージに相関し得る。
【0026】
これらの複数のポリヌクレオチドを用いて、少なくとも1つのこれらのポリヌクレオチドに特異的に結合する分子や化合物の同定および精製を行うことができる。これらの分子は、サンプルから同定したり、或いはmRNA、cDNA、およびゲノム断片などを含む多数の分子や化合物からハイスループット方式で同定することができる。通常は、これらの分子や化合物は、特定の診断または治療に有用である。
【0027】
サンプルの核酸分子がハイブリダイゼーションのバックグラウンドを高める場合、妨害している分子を除去するのが望ましい。このような分子を除去するための或る方法では、固定したプローブポリヌクレオチドにサンプルをハイブリダイズさせ、ハイブリダイゼーション複合体を形成しなかった分子を洗い流す。その後、ハイブリダイゼーション複合体を分離させて、固定したプローブポリヌクレオチドに特異的に結合した分子を遊離させる。
【0028】
ポリヌクレオチドプローブを選択する方法
ポリヌクレオチドの選択には様々な方法がある。その一般的な方法の中には、血液や骨髄などの特定の細胞型や組織に発現する、特定のモチーフやドメイン、またはシグナルペプチドの存在などの共通の機能的特性を有する、文献に記載されている特定の症状、障害、または疾患に関連する遺伝子からプローブを選択する方法がある。
【0029】
プローブは重複せず特定の遺伝子に対して1つのプローブのみが存在するようにするのが好ましい。しかしながら、コントロール配列は、特にそれらの重複のために選択され得る。
【0030】
ポリヌクレオチドの組成は、ハイブリダイゼーション技術で操作してそれらの性能を最適化することが可能である。ポリヌクレオチドの選択は、コンピュータアルゴリズムを用いて配列を検査して潜在的な二次構造をもたない断片を識別し、最適化することができる。Vector NTIソフトウエア(Informax, N. Bethesda MD)またはLASERGENEソフトウエア(DNASTAR, Madison WI)に用いられているようなコンピュータアルゴリズムが、当分野でよく知られている。これらのプログラムは、核酸配列を検索してステムループ構造および縦列反復配列を探し出し、配列のGC含量を分析する。哺乳動物のアレイでは、GC含量が60%を超えるこれらの配列を排除され得る。別法では、ポリヌクレオチドプローブがそれらに相補的な標的と最適にハイブリダイズするか否かを決定して、実験的条件下でポリヌクレオチドを最適化することが可能である。
【0031】
極めて多数の重複していないポリヌクレオチドが必要な場合は、ポリヌクレオチドをクラスター配列または構築配列と比較して、各ポリヌクレオチドが異なった遺伝子に由来することを確認する。特定の遺伝子に対する長い或いは異なったプローブを得るために、インサイト社クローンから得た部分的なヌクレオチド配列を用いてXL−PCRキット(Applied Biosystems, Foster City CA)または当分野で周知のその他の方法で物理的に伸長することが可能である。
【0032】
ポリヌクレオチドプローブ
ポリヌクレオチドプローブには、DNA、cDNA、mRNA、またはペプチド核酸や分枝DNAなどの任意のRNA様物質またはDNA様物質を用いることができる。これらは、センス鎖若しくはアンチセンス鎖である。標的が二本鎖の場合、プローブはセンス鎖或いはアンチセンス鎖の何れかとすることができる。標的が一本鎖の場合は、プローブは標的に相補的な一本鎖とする。
【0033】
一実施例では、ポリヌクレオチドプローブはcDNAである。cDNAのサイズは様々な長さにすることができるが、好ましくは15〜10,000ヌクレオチド、より好ましくは60〜4000ヌクレオチド、最も好ましくは200〜600ヌクレオチドである。
【0034】
別の実施例ではプローブはプラスミドである。この場合、目的のcDNA配列が挿入配列である。ベクターDNAおよび調節配列を除いたcDANのサイズは15〜10,000ヌクレオチドと様々であるが、好ましくは60〜4000ヌクレオチド、最も好ましくは200〜600ヌクレオチドである。
【0035】
ポリヌクレオチドプローブは、当分野で周知の様々な合成方法や酵素的な方法で作製することができる。プローブは、その全て或いは一部を当分野で周知の化学的方法(Caruthersら(1980) Nucleic Acids Symp Ser (7) : 215−233)で合成することができる。別法では、プローブは、in vitro または in vivoでの転写によって酵素或いは組換えにより作製することができる。
【0036】
当分野で周知の方法で、プローブにヌクレオチド類似体を組み入れることができる。唯1つ必要なことは、プローブに組み込まれるヌクレオチド類似体が標的のヌクレオチドと塩基対を形成しなければならないことである。例えば、所定のグアニンヌクレオチドを、シトシン残基と塩基対を形成するヒポキサンチンで置換することができる。しかしながら、これらの塩基対は、グアニンとシトシンとの間の結合より不安定である。別法では、アデニンヌクレオチドを、アデニンとチミジンとの結合より強い塩基対を形成する2,6−ジアミノプリンで置換することができる。
【0037】
さらに、プローブは化学的或いは酵素的に誘導されたヌクレオチドを含み得る。通常の化学修飾には、アシル基、アルキル基、アリル基、またはアミノ基での誘導体化が含まれる。
【0038】
プローブは、基板上で合成できる。基板表面での合成は、Baldeschweilerら(PCT/W095/251116)によって記述されたピエゾ式印刷装置(piezoelectric printing apparatus)または化学結合法によって行うことができる。別法では、基板上でのプローブの合成は、Hellerら(米国特許第5, 605, 662号)によって記述されたように試薬を加えて制御する自己アドレス指定可能な電子装置(self−addressable electronic device)を用いて行うことができる。
【0039】
相補的DNA(cDNA)を基板上に配置して固定することができる。プローブは、化学結合法やUVなどによる共有結合的方法によって固定することができる。このような或る方法では、cDNAを、エポキシドまたはアルデヒド基を含むように修飾したガラス基板に結合させる。別の方法では、cDNAプローブをポリリシンでコーティングした表面に配置し、次にShalonら(PCT/W095/35505 ; 言及することを以って本明細書の一部とする)によって記述されたようにUVクロスリンクする。更なる方法では、DNAを溶液から基板の所定の位置に電気的な方法(Hellerら、前出)で活発に移動させる。別法では、プローブ、クローン、プラスミド、または細胞をフィルター上に配置することもできる。後者の場合、細胞を溶解し、タンパク質および細胞成分を分解し、DNAをUVクロスリンクでフィルターに結合させる。
【0040】
さらに、プローブを基板に直接結合させるのではなく、リンカーを介して基板に結合させてもよい。リンカーは、結合したプローブを露出させるように通常は6〜50原子の長さである。リンカーには、エチレングリコールオリゴマー、ジアミン、2酸などが好適である。基板表面の反応基がリンカーの末端基と反応し、リンカーが基板に結合される。リンカーの他方の末端がプローブに結合される。
【0041】
プローブ合成用の試薬を基板表面上に連続的に供給して、或いは基板表面に予備作製したDNA断片を供給して、プローブを基板上に固定することができる。このようなディスペンサーには、例えばマイクロピペットがある。マイクロピペットは、基板に対して該マイクロピペットの位置を制御するロボットシステムを備えている。複数のディスペンサーを用いて、効果的に反応領域に溶液を供給することもできる。
【0042】
サンプルの準備
サンプル分析をするために、標的を含むサンプルを準備する。サンプルは標的を含む任意のサンプルであって、任意の体液(血液、尿、唾液、粘液、胃液など)、培養細胞、生検材料、またはその他の組織や法医学的資料から得られる。
【0043】
DNAまたはRNAは、当分野で周知の様々な方法に従ってサンプルから得ることができる。例えば、核酸の精製方法は、Tijssen (1993) (Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology : Hybridization With Nucleic Acid Probes, Part I. Theory and Nucleic Acid Preparation, Elsevier Science, New York NY)に記載されている。例えば、全RNAはTRIZOL試薬(Life Technologies, Gaithersburg MD)で単離し、mRNAはオリゴd (T)カラムクロマトグラフィーまたはガラスビーズで単離する。別法では、標的がmRNAに由来する場合、標的として、mRNAから逆転写されたDNA、そのDNAから転写されたRNA、そのDNAから増幅されたDNA、その増幅されたDNAから転写されたRNAなどである。標的がDNAに由来する場合、標的はDNAから増幅されたDNA、DNAから逆転写されたRNAを用いることができる。更なる別法では、標的を2つ以上の方法で準備する。
【0044】
標的を増幅する場合、サンプルにおいて核酸を増幅し、転写物の低い存在量を含む核酸の相対存在量を維持するのが望ましい。全mRNAは、逆転写酵素と、オリゴd(t)からなるプライマーと、一本鎖DNA鋳型を提供するファージT7プロモーターをコードする配列とを用いて逆転写により増幅する。第二鎖DNAを、DNAポリメラーゼ、およびDNA/RNAハイブリッドの分解を助けるRNA分解酵素で重合させる。二本鎖DNAを合成した後、Van Gelderら(USPN 5, 545, 522)によって記載されたように、T7 RNAポリメラーゼを加え、第二鎖DNA鋳型からRNAを転写する。RNAは、in vitro、in situ、またはin vivoで増幅することができる(Eberwine, USPN 5, 514, 545)。
【0045】
増幅および標識化によってサンプル内における転写物の実際の存在量が変らないように、量的制御を行うことが望ましい。このために、サンプルに所定量のコントロール核酸を加え、プローブはコントロール核酸と特異的にハイブリダイズするコントロールプローブを含む。ハイブリダイゼーションおよびプロセシングの後、ハイブリダイゼーション信号がサンプルに加えたコントロール核酸の量を正確に反映する。
【0046】
ハイブリダイゼーションの前に、サンプルの核酸を断片化することが望ましい。断片化することによって、二次構造、およびサンプル内の核酸同士或いは非相補的なプローブとのクロスハイブリダイゼーションが減少し、ハイブリダイゼーションを恒常させることができる。機械的或いは化学的な方法で核酸を断片化することができる。
【0047】
1或いは複数の標識成分で核酸を標識して、ハイブリダイゼーション複合体の検出および定量ができるようにする。標識成分には、分光学的、光化学的、生化学的、生物電子工学的、免疫化学的、電気的、光学的、化学的方法で検出できる組成物を含む。標識成分は、32P、33P、35Sなどのラジオアイソトープ、化学発光化合物、標識結合タンパク質、重金属原子、蛍光マーカーや染料などの分光学的マーカー、磁気標識、結合酵素、質量分析タグ、スピン標識、電子供与体および受容体などがある。
【0048】
好ましい染料は、キノリン色素、トリアリルメタン色素、フタレイン、アゾ染料、シアニン色素などである。蛍光マーカーの吸光度は、好ましくは約300nmを超え、より好ましくは400nmを超え、通常は吸収される光の波長より少なくとも10nm大きい波長で光が放出される。好ましい蛍光マーカーは、フルオレセイン、フィコエリトリン、ローダミン、およびCy3およびCy5などである。
【0049】
標識化は、ニックトランスレーションまたは5’または3’末端標識反応によって、ポリメラーゼ連鎖反応やin vitro転写反応などの増幅反応の際に行われる。例えば、標識したヌクレオチドをin vitro転写反応に用いる。増幅ステップの後に標識を組み入れる場合、或いは増幅ステップがない場合は、標識を、ターミナルトランスフエラーゼまたはキナーゼを用いて標的ポリヌクレオチドの5’末端に繋ぎ、T4 RNAリガーゼの存在下で標識したオリゴヌクレオチドとともに一晩インキュベートする。
【0050】
別法では、ハイブリダイゼーションでプローブ/標的複合体が形成された後に、標識成分を組み込むこともできる。一実施態様では、上記したように増幅ステップで最初にビオチンを組み込む。ハイブリダイゼーションの後、結合しなかった核酸を洗い流すと、基板に結合して残っているビオチンは、プローブとハイブリダイズした標的に結合しているビオチンのみとなる。別の実施態様では、標識成分を、予備形成された標的/プローブ複合体の中に挿入して組み込む。この場合、ソラレン結合色素などのインターカレーション色素を用いることができる。
【0051】
スクリーニングアッセイ
プローブまたはポリヌクレオチドを用いて分子や化合物のライブラリをスクリーニングして、特異的な結合親和性を調べることができる。ライブラリには、生物系においてポリヌクレオチドの複製、転写、または翻訳などの活性を調節するDNA分子、RNA分子、PNA、ペプチド、転写因子などのタンパク質、エンハンサー、リプレッサー、およびその他の有機或いは無機リガンドを用いることができる。アッセイには、特異的な結合が許容される条件下でプローブと分子や化合物のライブラリとを結合させるステップ、およびプローブと特異的に結合するリガンドの特異的な結合を検出するステップとが含まれる。
【0052】
同様に、プローブから転写され翻訳されたタンパク質およびその一部を用いて、様々なスクリーニングアッセイの内の任意のアッセイを用いて分子や化合物のライブラリをスクリーニングする。タンパク質およびその一部は、溶液中に遊離した状態、非生物基板または生物基板と結合した状態、または細胞表面上に支持された状態、或いは細胞内に位置し得る。このタンパク質とリガンドとの間の特異的な結合を測定することができる。スクリーニングするライブラリの種類によってアッセイを用いて、このタンパク質と特異的に結合するDNA、RNA、PNA、アゴニスト、アンタゴニスト、抗体、免疫グロブリン、インヒビター、擬態、ペプチド、タンパク質、薬剤、またはその他のリガンドを同定できる。
【0053】
リガンドの精製
プローブを用いてサンプルからリガンドを精製することができる。プローブを用いてリガンドを精製する方法は、特異的な結合が許容される条件下で、このプローブとサンプルとを結合させるステップと、結合したタンパク質を回収するステップと、適切な物質を用いて精製したリガンドからポリヌクレオチドを分離するステップとを含む。
【0054】
同様に、コードされたタンパク質またはその一部を用いて、サンプルからリガンドを精製することができる。タンパク質またはその一部を用いてリガンドを精製する方法は、特異的な結合が許容される条件下で、このタンパク質またはその一部とサンプルとを結合させるステップと、このタンパク質とリガンドとの間の特異的な結合を検出するステップと、結合したタンパク質を回収するステップと、適切な物質を用いて精製したリガンドからポリヌクレオチドを分離するステップとを含む。
【0055】
ハイブリダイゼーションおよび検出
ハイブリダイゼーションによって、変性したポリヌクレオチドと変性した相補的な標的とが塩基対を形成して安定した二本鎖になる。ハイブリダイゼーションの方法は当分野で周知である(前出のAusubelによるunits 2. 8−2. 11, 3. 18−3. 19 および 4. 6−4. 9を参照)。相補的なプローブと標的とが完全にハイブリダイズする、すなわち各塩基がその相補的な塩基と相互作用しなければならないハイブリダイゼーションの条件を選択することができる。別法では、プローブと標的との不一致が最大約10%であるがなおハイブリダイズ可能なハイブリダイゼーションの条件を選択することができる。プレハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーション、および洗浄液における塩濃度を変えて、或いはハイブリダイゼーションおよび洗浄の温度を変えて、好適な条件を選択することができる。数種類の基質を用いて、プレハイブリダイゼーション溶液およびハイブリダイゼーション溶液にホルムアミドを加えて温度を下げることができる。
【0056】
ある程度の不一致を含んだプローブ配列と標的配列とのハイブリダイゼーションが許容される低いストリンジェンシー(緩衝液:5×SSC,1%SDS、60℃)で、ハイブリダイゼーションを行ってプローブ/標的複合体を形成することができる。続く洗浄は、高いストリンジェンシー(緩衝液:0.2×SSC,0.1%SDS、45℃(中間のストリンジェンシー)か或いは68℃(高いストリンジェンシー)の何れか)で行い、完全に相補的な配列を含むプローブ/標的複合体のハイブリダイゼーションのみを残した。バックグラウンド信号は、SDS、Sarcosyl、またはTRITON X−100溶液(Sigma−Aldrich, St. Louis MO)などの界面活性剤、サケ精子などのブロッキング剤を用いて低減させることができる。
【0057】
ハイブリダイゼーションの特異性は、所定量サンプルに加えられた標的配列とコントロールプローブとのハイブリダイゼーションを比較して評価することができる。コントロールプローブは、対応する標的に対して1或いは複数の配列不一致を有し得る。このようにして、相補的なプローブのみが標的にハイブリダイズしたのか、或いは不一致ハイブリッド二本鎖が形成されたのかを評価することが可能である。
【0058】
ハイブリダイゼーション反応は、完全なハイブリダイゼーション方式或いはディファレンシャルハイブリダイゼーション方式で行うことができる。完全なハイブリダイゼーション方式の場合、あるサンプルからのプローブをマイクロアレイのプローブとハイブリダイズさせて、ハイブリダイゼーション複合体が形成された後に信号を検出する。信号の強度は、サンプルのプローブのレベルに相関する。ディファレンシャルハイブリダイゼーション方式の場合は、異なって発現する2つの生体サンプルにおける遺伝子のセットを分析する。2つのサンプルからそれぞれプローブを調製し、異なった標識成分を標識する。2つの標識した標的の混合物をマイクロアレイのプローブにハイブリダイズさせ、2つの異なった標識から放出される信号を別々に検出できる条件下で信号を検査する。2つの生体サンプルに由来するプローブが実質的に同数ハイブリダイズしたマイクロアレイの標的は、顕著な合成蛍光色を示す(Shalon, PCT/W095/35505)。好適な実施例では、標識は、lissamine結合ヌクレオチド類似体およびフルオレセイン結合ヌクレオチド類似体などの顕著な放射スペクトルを有する蛍光標識である。別の実施例では、Cy3およびCy5フルオロフォア(Amersham Pharmacia Biotech, Piscataway NJ)を用いる。
【0059】
ハイブリダイゼーションの後、マイクロアレイを洗浄してハイブリダイズしなかったポリヌクレオチドを除去し、ハイブリダイズ可能なアレイプローブと標的との間の複合体の形成を検査する。複合体の形成を検出する方法は、当分野では周知である。好適な実施例では、プローブを蛍光標識し、複合体の形成を示唆する蛍光レベルおよびパターンを、蛍光顕微鏡、好ましくは共焦点蛍光顕微鏡で測定する。アルゴンイオンレーザーで蛍光標識を励起し、その発光を光電子増倍管に向け、発光した量を検出および定量する。検出した信号が、マイクロアレイの各位置におけるプローブ/標的複合体の量に比例する。蛍光顕微鏡をコンピュータ制御されたスキャナーに接続して、ハイブリダイゼーション強度を示す量的な二次元イメージを生成することができる。スキャンしたイメージを検査して、ハイブリダイズしたプローブの存在/発現レベルを決定する。
【0060】
2つ以上のマイクロアレイを類似の条件下で使用する場合、通常は、マイクロアレイの蛍光強度をハイブリダイゼーション強度におけるばらつきを考慮して標準化する。好適な実施例では、個々のポリヌクレオチドプローブ/標的複合体のハイブリダイゼーション強度は、マイクロアレイのそれぞれに含まれる内部標準化対照からの強度を用いて標準化する。
【0061】
発現プロファイル
本発明のポリヌクレオチドを用いた発現プロファイルについて記載する。新規遺伝子の発現の変化を検出する発現プロファイルの一部として、参照セットを用いることができる。これらの新規遺伝子の転写物は、特定の代謝応答、治療、症状、障害、または疾患において変化する。これらの新規遺伝子には、発現の変化が癌、免疫疾患、神経疾患などに相関する遺伝子が含まれる。
【0062】
発現プロファイルは、複数の検出可能なハイブリダイゼーション複合体を含む。それぞれの複合体は、1或いは複数のプローブと1或いは複数の相補的な標的とのハイブリダイゼーションによって形成される。少なくとも1つのプローブ、好ましくは複数のプローブが、相補的な標的とハイブリダイズして少なくとも1つ、好ましくは複数の複合体を形成する。複合体は、少なくとも1つの標識成分を組み込むことにより検出される。発現プロファイルは、代謝プロセス、治療、症状、障害、または疾患の特徴を示す特有の発現パターンを表す「スナップショット(snapshot)」を提供する。
【0063】
ハイブリダイゼーション実験を実施し、マイクロアレイから信号を検出した後、それらの発現パターンに基づいて特定のプローブを識別して選択する。このようなプローブを用いて遺伝子の完全長の配列をクローニングし、密接に関連する相同体を同定するため、リガンドを精製するため、またはタンパク質を作り出すためにライブラリをスクリーニングすることができる。
【0064】
本発明の有用性
本発明の複数のポリヌクレオチドをマイクロアレイのハイブリダイズ可能なエレメントとして用いることができる。このようなマイクロアレイは、例えば、診断、予後および治療計画、並びに癌、免疫疾患、神経疾患などの症状、障害、疾患に対する薬剤の発見および開発などの様々な目的に利用することができる。
【0065】
発現プロファイル
一実施態様では、マイクロアレイを用いて疾患の進行をモニタリングする。正常な組織または細胞と病変した組織または細胞との遺伝子発現における差異を評価して一覧表を作成することができる。遺伝子発現パターンにおける変化を分析して、患者が症状を示す前の早期に疾患を診断することができる。本発明を用いて予後を明確にし、治療計画を立てることができる。また、本発明を用いて治療の効果を評価することができる。既知の副作用を伴う治療の場合は、マイクロアレイを用いて治療計画に微調整を加えることができる。治療の成功を示す遺伝子発現パターンにおける変化が生じるように薬用量を決定することができる。好ましくない副作用の発生に関連する発現パターンは回避する。この方法は、患者の改善が十分でないことが分かるまで、或いは副作用が出るまで治療計画を変えないで待つ方法に比べ、より高感度であってかつ迅速に対応することができる。
【0066】
別法では、ヒト疾患モデル動物を用いて、特定の病態、障害または疾患、或いは病態、障害、または疾患の治療に関連する発現プロファイルを特徴付ける。これらのモデル動物において、マイクロアレイを用いて実験的な治療計画を検査し、現プロファイルを作成し、その発現プロファイルの経過を追う。さらに、モデル動物から採取した培養細胞や組織を用いて、マクロアレイで多数の薬剤候補を迅速にスクリーニングし、同じ発現パターンを有する分子は類似の治療効果を持つであろうと予想して、既知の治療薬に類似の発現プロファイルを有する分子を探すことができる。従って、本発明は、薬剤の分子モードの作用を迅速に決定することができる。
【0067】
胚性幹細胞
齧歯類或いはヒトの胚から単離した胚性幹細胞(ES細胞)は、胚組織を形成する能力を保持している。マウス129/SvJ細胞株などのES細胞をC57BL/6マウス株の胚盤胞に導入すると、正常な発生を再開し、生まれてくる動物の組織を形成する。マウスにおけるこのプロセスの方法は、当分野で周知である。まず、cDNAをベクターに導入し、次にES細胞をこのベクターで形質転換し、形質転換細胞を同定してマウス細胞胚盤胞に微量注入し、この胚盤胞を外科的に偽妊娠雌に移植する。得られるキメラ子孫は遺伝子形質が決められたマウスであり、交配によってヘテロ接合系またはホモ接合系を作り出すことができる。
【0068】
また、ES細胞を用いてパーキンソン病、発作、およびその他の神経疾患の治療を行う(The Scientist, 14 (18) : lff ; September 2000)。また、製薬会社は、肝臓疾患、特にα1−アンチトリプシ欠損症、腎臓疾患、特に腎嚢胞、および膵臓疾患、特に糖尿病の疾患に的を絞っている。近い将来、神経系や内臓への外傷性の障害は、ES細胞から分化した細胞や組織を移植して治療することが可能であろう。本発明を用いて、脳、心臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、卵巣、膵臓、小腸、胃、または子宮の組織に分化するプロセスの発生経路を特徴付けることが可能である。
【0069】
ノックアウト分析
遺伝子ノックアウト分析では、ある領域がネオマイシン・ホスホトランスフェラーゼ遺伝子などの非天然の介在配列を含むように酵素で改変する(neo ; Capecchi (1989) Science 244:1288−1292)。改変遺伝子で培養したES細胞を形質転換する。その後、改変遺伝子が相同組換えで内在性ゲノムに組み込まれる。この挿入配列は、内在性遺伝子の転写及び翻訳を阻害する。
【0070】
ノックイン分析
ES細胞を用いて、ノックインヒト化モデル動物すなわち遺伝子組換えヒト疾患モデル動物を作り出すことができる。ノックイン技術を用いて、ヒト遺伝子のある領域を動物ES細胞に導入し、ヒトの配列を動物細胞のゲノムに組み込む。潜在的な薬剤を用いて遺伝子組換え子孫或いは近交系を処置して分析し、ヒトに類似した病態の進行および治療についての情報を取得する。
【0071】
上記したように、本明細書の配列表に示されているcDNAおよびそれらをコードしたタンパク質の使用方法は、既知の技術を用いたが、当業者に周知の技術に限定されることを意図したものではない。さらに、本発明のcDNAを、まだ確立されていない分子生物学技術に利用することができる。但し、新規の技術が、当業者が周知している例えばトリプレット遺伝子コードおよび特定の塩基対相互作用などのヌクレオチド配列の特性に依存する場合に限る。同様に、言及した方法は、当業者には周知であろうcDNAの取得方法、構築方法、および発現方法を2つ以上の組み合わせた方法を含み得る。本発明はまた、上記した特定の方法論、プロトコル、および試薬に限定されるものではなく、その他の様々な方法論、プロトコル、および試薬を含むことを理解されたい。本願に用いた用語は特定の実施例を説明するのが目的であって、本発明の範囲を限定することを意図したものではなく、本発明は請求の範囲によってのみ規定される。本発明を例示するために実施例を後述するが、本発明を制限するものではない。
【0072】
(実施例)
例示目的で、BRAINON01 cDNAライブラリの準備方法およびシークエンシング方法を記載する。LIFESEQデータベース(Incyte Genomics)におけるライブリのその他のcDNAの準備およびシークエンシングは、時間の経過とともに変化してきた。徐々に変化してきたものは、例えば、ライブラリの作製および分析の際に利用したキットやプラスミド、および装置などである。
【0073】
1 cDNA ライブラリの作製
BRAINON01標準化cDNAライブラリは、26歳の白人男性が脳の右前頭頭頂部にグレード4のオリゴ星状細胞腫があると診断された後、大脳髄膜の切除術の際に採取された癌性脳組織から作製された。腫瘍には放射線治療が施されていた(5800rads)。患者には、片側麻痺、てんかん、眼瞼の下垂症、および一般的な片頭痛の症状があり、Dilantin(商標) (Parke−Davis, Morris Plains NJ)の投薬を受けていた。
【0074】
凍結組織をPOLYTRONホモジナイザー(PT−3000; Brinkmann Instruments, Westbury, NY)を用いて、グアニジニウムイソチオシアネート溶液中でホモジナイズして溶解した。この溶解物をStratagene RNA 単離プロトコル(Stratagene, San Diego CA)に従って酸性フェノール(pH 7.4)で抽出した。このRNAを等倍量の酸性フェノールで抽出し、0.3 M酢酸ナトリウムおよび2.5倍量のエタノールで沈殿させ、DEPC処理水で再懸濁し、37℃で25分間DNアーゼで処置した。このRNAを、フェノール(pH 8.7)で再び抽出し、初回と同様に酢酸ナトリウムおよびエタノールで再び沈殿させた。このmRNAをOLIGOTEXキット(Qiagen, Chatsworth CA)で単離し、cDNAライブラリを作製した。
【0075】
このmRNAを、SUPERSCRIPTプラスミドシステム(Life Technologies)を用いて推奨プロトコルに従って処置した。cDNAをSEPHAROSE CL4Bカラム (Amersham Pharmacia Biotech)上で分画し、400 bpを超えるcDNAをPSPORT Iプラスミド(Life Technologies)に結合させた。この組み換えプラスミドで、DH5αコンピテント細胞(Life Technologies)を形質転換し、BRAINOT03ライブラリを作製した。
【0076】
2 cDNA ライブラリの標準化
DH12Sコンピテント細胞(Life Technologies)を電気穿孔法で形質転換した後、カルベニシリン (25mg/L)およびメチシリン(1mg/ml)を用いた選択培養液で、BRAINOT03ライブラリの独立した4.9×106個のクローンを増殖させた。OD600=0.2に達するまで培養液を、DU−7分光光度計(Beckman Coulter, Fullerton CA)でモニタリングし、5倍過剰のヘルパーファージM13K07 (Vieira et al. (1987) Methods Enzymol 153 : 3−11)で重感染させた。
【0077】
高発現したcDNAの数を減らすために、以下の変更点を除いてSoaresら(1994, Proc Natl Acad Sci 91 : 9928−9932)の手順に従って1回標準化した。その変更点は、(1)プライマー伸長反応におけるプライマー:鋳型の割合を2:1から10:1,2に下げ、(2)400〜1000ヌクレオチドの長いプライマー伸長生成物が生成されるように、ddNTPの濃度を150 μMに下げ、(3)ハイブリダイゼーションのアニーリング時間を13時間から48時間に延長した。一本鎖環状DNAをヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーで精製し、ランダムプライミングにより部分的な二本鎖にしてから、このcDNAを電気穿孔法でDH10B コンピテント細胞(Life Technologies)に形質転換し、BRAINON01標準化ライブラリを作製した。
【0078】
3 cDNA クローンの単離およびシークエンシング
プラスミドDNAを細菌細胞から放出させ、REAL Prep 96 プラスミドキット(Qiagen)を用いて精製した。このキットを利用することにより、96穴プレートにおいてマルチチャネル試薬ディスペンサーを用いて同時に96のサンプルを精製することができる。以下の変更点を除いて推奨プロトコルに従った。その変更点は、(1)細菌を、25 mg/Lのカルベニシリンと0.4%のグリセロールを含む1 mlの滅菌TERRIFIC BROTH (BD Biosciences, Sparks MD)で培養し、(2)培養液を接種して19時間インキュベートし、0.3 mlの溶解緩衝液で溶解し、(3)イソプロパノール沈殿の後、プラスミドDNAペレットを0.1 mlの蒸留水に懸濁した。
【0079】
このcDNAは、MICROLAB 2200システム(Hamilton, Reno NV) と共にDNA ENGINEサーマルサイクラー(PTC200 ; MJ Research, Waltham MA)を用いて調製した。cDNAは、ABI PRISM 377 DNAシークエンシングシステム(Applied Biosystems)を用いて、SangerおよびCoulson (1975 ; J Mol Biol 94 : 441f)の方法によってシークエンシングした。殆どの配列は、標準ABIプロトコルおよびキット(Applied Biosystems)を用いて、0.25〜1.0倍量の溶液でシークエンシングした。別法では、ある配列は、Amersham Pharmacia Biotech社の溶液および色素を用いてシークエンシングした。
【0080】
4 マイクロアレイ用の配列の選択
インサイト社クローンを非重複Unigeneクラスター(Unigene データベース(build 46), NCBI ; Shuler (1997) J Mol Med 75 : 694−698)にマッピングし、最も高いBLASTアラインメント(少なくとも同一性が90%、オーバーラップが100 bp)を有する5’クローンを選択して評価し、マイクロアレイの作製に用いた。UNIGEM Vマイクロアレイ(Incyte Genomics)は、アノテーションの付いた4,610の遺伝子とアノテーションの付いていない2,184のクラスターとからなる7,075のアレイエレメントを含む。表1は、BLAST分析によって作成された本発明のSEQ ID NO:1―416に対するGenBankのリリース119のアノテーションが示されている。
【0081】
5 ポリヌクレオチドおよびタンパク質の相同性検索
BLASTは、与えられた配列とデータベースの配列との間の類似したセグメントを探し出し、全ての類似性の統計的有意性を評価し、ユーザーが選択可能な有意性の閾値を満たす配列のみを報告する。BLASTは、核酸配列とアミノ酸配列の両方のアラインメントを作成して配列類似性を決定する。
【0082】
分析の基本単位は、ハイスコアセグメントペアー(HSP)である。HSPは、任意の2つの配列セグメントからなる。但し、配列の長さは同一であって、それらのアラインメントは局所的に最大であり、アラインメントスコアがユーザーの設定した有意性の閾値を満たしている。
【0083】
検索の基準は、
(%配列同一性×%最大BLASTスコア)/100
として定義される積スコアである。
【0084】
積スコアは、BLASTスコアに反映される配列一致長さ及び2配列間の同一性の両方を考慮している。BLASTスコアは、HSPにおけるそれぞれの塩基の一致は+5のスコア、不一致は−4のスコアとして計算する。例えば、積スコアが40の場合、その一致は1〜2%誤差の範囲内で正確であり、70ではその一致は正確であろう。相同な分子は通常、積スコアが15〜40の範囲であるが、それより低いスコアでも関連分子が同定される場合もある。任意のHSPに対するP値は、少なくとも高いスコアを有する同じデータベースの配列に対して観察されるHSPの数との予想される発生頻度との関数である。
【0085】
配列同一性のパーセントは、2或いはそれ以上のアミノ酸配列同士または核酸配列同士を比較して求める。パーセント同一性は、LASERGENEソフトウエア(DNASTAR)の構成要素であるMEGALIGNプログラムを用いて決定することができる。2つのアミノ酸配列間のパーセント類似性は、配列Aと配列Bとの間の一致する残基の合計数を、配列Aの長さから配列Aおよび配列Bにおけるギャップ残基の数を差引いた数で除し、それに100を乗じたものである。2つのアミノ酸配列間の相同性の低い或いは相同でないギャップは、配列決定のパーセント同一性の計算には含めないものとする。
【0086】
保存されたタンパク質モチーフを有する配列は、BLOCKS検索プログラムを用いて検索することができる。このプログラムは、Swiss−ProtおよびPROSITEデータベースに含まれている配列情報を分析でき、ゲノム或いはcDNA配列から翻訳された特徴付けられていないタンパク質を分類する際に有用である(Bairochら (1997) Nucleic Acids Res 25 : 217−221 ; Attwoodら (1997) J Chem Inf Comput Sci 37 : 417−424)。PROSITEデータベースは、配列の著しい多様性のためにモチーフを用いた分析では検出されなかった機能的または構造的ドメインを同定するための情報源として有用である。重み付けマトリクスを用いて、一致の偶然の分布の基準を得るべく、これらのドメインをSwiss−Protデータベースに対して較正する。
【0087】
PRINTSデータベースをBLIMPS検索プログラムを用いて検索して、タンパク質ファミリー「フィンガープリント」を得ることができる。PRINTSデータベースは、配列アラインメント内の保存されたモチーフのグループを利用して様々なタンパク質ファミリーの特徴的なシグネチャ(signatute)を作り出すことで、PROSITEデータベースを補完する。BLOCKSおよびPRINTS分析の場合、局所的類似性のカットオフスコアは、>1300で強く、1000−1300で暗示的であり、全体の類似性のカットオフスコアは、p<exp−3であり、強度(相関性の程度)は、>1300で強く、1000−1300で弱い。
【0088】
6 cDNA クローンの伸長
F、R、またはTとデザインされた配列表の核酸配列のあるものは、元のクローンインサートの好適な断片を、その断片から設計したオリゴヌクレオチドプライマーを用いて伸長して作製した。一方のプライマーは既知の配列の5’の伸長を開始するために合成し、他方のプライマーは既知の配列の3’の伸長を開始するために合成した。開始プライマーは、OLIGOソフトウエア(Molecular Insights, Cascade CO)またはその他の適当なプログラムを用いて、約22〜約30のヌクレオチドの長さ、約50%以上のGC含量で、約68〜72℃の温度で標的配列にアニールするように設計した。ヘアピン構造及びプライマー−プライマー二量体を形成するヌクレオチドのストレッチは排除した。
【0089】
選択されたヒトcDNAライブラリを用いてこの配列を伸長した。2段階以上の伸長が必要な場合は、追加の或いは入れ子状の組みになったプライマーを設計する。
【0090】
PCR法を用いた当分野で周知の方法で、高い忠実度の増幅を得た。DNA ENGINE サーマルサイクラー(MJ Research)を用いて96穴プレートでPCR法を実施した。反応混合液には、鋳型DNA及び200 nmolの各プライマー、反応緩衝液(Mg2 +、(NH4)2SO4、β−メルカプトエタノールを含む)、Taq DNAポリメラーゼ(Amersham Pharmacia Biotech)、ELONGASE酵素(Life Technologies)、Pfu DNAポリメラーゼ(Stratagene)が含まれている。プライマーの組、PCI AとPCI Bに対して以下のパラメーターで増幅を行った。
ステップ1 94℃で3分間
ステップ2 94℃で15秒
ステップ3 60℃で1分間
ステップ4 68℃で2分間
ステップ5 ステップ2、3、及び4を20回繰り返す
ステップ6 68℃で5分間
ステップ7 4℃で保管。
別法では、プライマーの組、T7とSK+(Stratagene)に対して以下のパラメーターで増幅を行った。
ステップ1 94℃で3分間
ステップ2 94℃で15秒
ステップ3 57℃で1分間
ステップ4 68℃で2分間
ステップ5 ステップ2、3、及び4を20回繰り返す
ステップ6 68℃で5分間
ステップ7 4℃で保管。
【0091】
各穴のDNA濃度は、100μlのPICOGREEN定量試薬(1×TEに溶解した0.25% v/v; (Molecular Probes, Eugene OR)) 及び0.5μlの希釈していないPCR産物を、DNAがその試薬と結合できるように不透明な蛍光計プレート(Corning Costar, Acton MA)の各穴に分注して決定する。このプレートをFluoroskan II (Labsystems Oy, Helsinki, Finland)でスキャンしてサンプルの蛍光を測定し、DNAの濃度を定量する。反応混合液の5〜10μlのアリコットを1%のアガロースミニゲル上で電気泳動させて分析し、どの反応がより長い配列の伸長に成功したかを決定する。
【0092】
伸長した配列を脱塩及び濃縮してから384穴プレートに移し、CviJIコレラウィルスエンドヌクレアーゼ(Molecular Biology Research, Madison WI)で消化し、pUC 18ベクター(Amersham Pharmacia Biotech)に再連結する前に音波処理または別の方法で切断した。ショットガンシークエンシングのために、消化したヌクレオチドを0.6〜0.8%の濃度のアガロースゲル上で分離させ、断片を切断し、寒天をAGARACE (Promega)で消化した。T4リガーゼ(New England Biolabs, Beverly MA)を用いて伸長したクローンをpUC 18ベクター(Amersham Pharmacia Biotech)に再連結し、Pfu DNAポリメラーゼ(Stratagene)で制限部位の延び出しを処理してから、コンピテント大腸菌細胞に形質転換した。形質転換細胞を抗生物質を含む培地で選択し、それぞれのコロニーを取り出して、LB/2Xカルベニシリン培養液の入った384穴プレートで、37℃で一晩培養した。
【0093】
この細胞を溶解して、Taq DNAポリメラーゼ(Amersham Pharmacia Biotech)及びPfu DNAポリメラーゼ(Stratagene)を用いて以下の手順でDNAを増幅した。
ステップ1 94℃で3分間
ステップ2 94℃で15秒
ステップ3 60℃で1分間
ステップ4 72℃で2分間
ステップ5 ステップ2、3、及び4を29回繰り返す
ステップ6 72℃で5分間
ステップ7 4℃で保管。
上記したようにPICOGREEN試薬(Molecular Probes)でDNAを定量した。DNA回収率の悪いサンプルは、上記した条件で再び増幅した。サンプルを20%のジメチルサルホサイド(dimethysulphoxide)(1:2, v/v)で希釈し、DYENAMICエネルギー転移シークエンシングプライマーとDYENAMIC DIRECTキット(Amersham Pharmacia Biotech)若しくはABI PRISM BIGDYE ターミネーターキット(Applied Biosystems)を用いてシークエンシングした。
【0094】
7 標的ポリヌクレオチドのための mRNA
標的ポリヌクレオチドを準備するためのmRNAまたは組織は、Biochain Institute (San Leandro CA)、International Institute for Advanced Medicine (Exeter PA)、およびOncormed (Gaithersburg MD)から入手した。RNAは、上記した抽出プロトコルおよび精製手順で組織サンプルから抽出した。
【0095】
8 マイクロアレイの準備、標的の標識化、ハイブリダイゼーション分析
基板の準備
プローブポリヌクレオチドは、インサートに隣接したベクター配列に相補的なプライマーを用いてPCRを30サイクル行って細菌ベクターから増幅し、SEPHACRYL−400ビーズ(Amersham Pharmacia Biotech)で精製した。精製したポリヌクレオチドを、スライドガラス(Corning Science Products, Corning NY)上に機械的に配置した。このスライドガラスは、0.05%のアミノプロピルシラン(Sigma−Aldrich)で予めコーティングして硬化されたものである。マイクロアレイをSTRATALINKER UVクロスリンカー(Stratagene)でUV照射した。
【0096】
標的の準備
表2に示されているそれぞれのmRNAを、標準的なプロトコルに従ってdCTP−Cy3またはdCTP−Cy5 (Amersham Pharmacia Biotech)の存在下でNMLV逆転写酵素を用いて逆転写した。37℃でインキュベートした後、0.5 M水酸化ナトリウムで反応を停止させ、85℃にしてRNAを分解した。標的ポリヌクレオチドを、CHROMASPIN 30カラム(Clontech, Palo Alto CA)およびエタノール沈殿で精製した。
【0097】
ハイブリダイゼーション
Cy3およびCy5のそれぞれで標識した標的ポリヌクレオチド各0.2 mgを含むハイブリダイゼーション混合液を65℃に加熱し、UNIGEM Vマイクロアレイ(Incyte Genomics)の表面に分注した。このマイクロアレイをカバーガラスで覆い、60℃でインキュベートした。マイクロアレイを、45℃、中程度のストリンジェンシーの緩衝液(1xSSCおよび0. 1% SDS)および高ストリンジェンシーの緩衝液(0.1xSSC)で連続洗浄してから乾燥させた。
【0098】
検出
共焦点レーザー顕微鏡を用いて、蛍光標識したハイブリダイゼーション複合体を検出した。励起波長は、Cy3に対しては488 nm、Cy5に対しては632 nmとした。各蛍光体に付き1回スキャンし、それぞれのアレイを2回スキャンした。Cy3およびCy5の最大発光波長はそれぞれ、565 nmおよび650 nmとした。発光した光は波長によって、2つの光電子増倍管に分離した。光電子増倍管の出力がディジタル化されてイメージとして表示される。信号の強度が、リニア20色変換(linear 20 color transformation)を用いて強い信号を表す赤と弱い信号を表す青で表される。各プローブに対する蛍光信号をまとめて、GEMTOOLS発現分析ソフトウエア(Incyte Genomics)を用いてその信号強度に対応する数値を算出する。
【0099】
9 データの分析および結果
UNIGEM Vマイクロアレイ上の7,075の遺伝子の内、3,627すなわち51%の遺伝子が30全てのサンプルにおいて有意なレベルで発現した。信号とバックグラウンドの比率が2.5を超え、かつ両方のプローブに対してハイブリダイゼーション領域が40%を超えた場合を有意性があるとした。全てのデータを変換して、様々な遺伝子発現値を2を底とする対数で表すようにした。
【0100】
分散分析( ANOVA )
それぞれの遺伝子に対して、群の変数として組織の種類を用いてANOVA分析を行った。既知の種類に属するサンプルにおける測定値がそれらの種類に関連するか否かをANOVAで調べた。ANOVAは、組織種類間の分散(Vb)と組織種類内の分散(Vw)とを比較する。VbをVwで除した比率(F比)を、等しい自由度(DF)の集団を調べるためにF分布表と比べ、F比の確率が得られる。
【0101】
ANOVA 計算
【0102】
【数1】
【0103】
ここで、Xiはサンプル個々の値、Xgは種類の平均値、Nはサンプルの個数、kは種類の数、Ngは種類におけるサンプルの個数、XTは集団の平均値である。
【0104】
帰無仮説によれば、サンプル間の測定値のばらつきが偶然の一致のみによる場合、種類内の分布および種類間のばらつきは等しい。従って、遺伝子発現と組織の種類との間に有意な関連がない場合は、ANOVAによって得られる確率は1に等しい。逆に、遺伝子発現と組織の種類との関連性が高い場合は、サンプル間の分散の幅が種類間の分散の幅より著しく大きいため、ANOVAによって得られる確率が小さい。表3に示されている340の遺伝子のデータを用いて表4を作成した。表4は、ANOVA確率値が10−5以下のアノテーションから選択された各遺伝子を示す。
【0105】
遺伝子アノテーション
選択基準を組織種類内の測定値の分散幅の小さいものとしたため(上述)、これらの測定値を要約して各組織種類内の測定値の平均とすることができる。さらに、各遺伝子における組織種類間の差異を強調するために、ある組織の平均と全ての組織の平均との差を計算した。その式および値を表5に示した。
【0106】
これらの平均値との差から、平均値との差が最も大きい組織をその遺伝子の第1の関連組織とした。平均値との差が少なくとも1.5以上ある組織をある遺伝子の関連組織とした。可能な場合は、平均値との差が2番目、3番目、および4番目に大きい組織をそれぞれ、第2の関連組織、第3の関連組織、および第4の関連組織とした。
【0107】
10 本ポリヌクレオチドおよび本タンパク質と特異的に結合する分子のスクリーニング
本ポリヌクレオチドまたはそれらの断片、および本タンパク質およびそれらの一部をそれぞれ、32P−dCTP、Cy3−dCTP、Cy5−dCTP (Amersham Pharmacia Biotech)、またはBIODIPYまたはFITC (Molecular Probes)で標識する。基板上に予め配置した候補分子または候補化合物を、標識した核酸またはアミノ酸の存在下でインキュベートする。ポリヌクレオチド若しくはタンパク質の何れかが結合する条件下でインキュベートした後、基板を洗浄し、特異的な結合または複合体の形成を示す標識が残っている基板上の全ての位置をアッセイする。結合した分子は、配置された基板上の位置によって同定される。異なった濃度の核酸またはタンパク質で得たデータを用いて、標識した核酸若しくはタンパク質と分子との親和性を計算する。小容量のアッセイで極めて少量の検査化合物を用いたハイスループットのスクリーニング方法の全てが、Burbaum他による米国特許第5,876,946号に記載されている。
【0108】
本明細書で言及した全ての特許および文献は、言及することを以って本明細書の一部とする。当業者であれば、本発明の範囲および概念から逸脱することなく、本発明の上述の方法およびシステムの様々な変更が可能であることを理解できよう。本発明は特定の好適な実施例を用いて説明してきたが、請求の範囲が特定の実施例によって不当に制限されるものではないことを理解されたい。実際に、本発明を実施するために記載した方法の様々な変更は、分子生物学および関連分野の技術者には明白であり、上記の請求の範囲に含まれるものとする。
【0109】
(配列表および表の簡単な説明)
本願の開示のある部分は、著作権保護が適用される資料を含む。この著作権の所有者は、米国特許局で閲覧できる特許となった出願書類や記録などの任意の特許書類や特許の開示のFAXによる複製には異論はないが、その他については著作権を行使する。
【0110】
配列表は、様々なcDNAクローンのインサートのシークエンシングおよび伸長によって得たポリヌクレオチドを編集したものである。各配列は、配列識別番号(SEQ ID NO若しくはSEQ ID)または由来するクローン番号(インサイト社ID)によって識別される。
【0111】
表1の各列は左からそれぞれ、断片の配列識別番号(SEQ ID)、およびそのcDNA識別番号、伸長したポリヌクレオチドのSEQ ID、およびそのcDNA識別番号、組織名、GenBankにおける相同ポリヌクレオチドの少なくともある断片に関連する説明を示す。これらの説明は、配列表の配列を用いてBLAST分析で入手した。
【0112】
表2は、UNIGEM Vマイクロアレイ(Incyte Genomics Palo Alto CA)にハイブリダイズさせるための標的ポリヌクレオチドを作製するために用いたRNAの由来を示す。各列はそれぞれ、各ドナーの分かっている由来番号、組織、年齢、人種/性、死因、病態または疾患を示す。
【0113】
表3は、実験に用いた各組織における各クローンのデータを示す。各列は、クローンIDおよび由来番号の付いた組織を示す。組織には、心臓、骨格筋、子宮、胃、小腸、肺、肝臓、腎臓、膵臓、脾臓、および脳の組織が含まれる。これらのデータは、GEMTOOLSソフトウエア(Incyte Genomics)を用いて作成した。
【0114】
表4は、データの分散分析(ANOVA)を表す。各列は、クローンID、Var. Betw(組織間の分散)、Var. Within(組織内の分散)、F(値)、および確率が示されている。これらの値は、バッチANOVA (Sokal and Rohlf (1969) Biometry ; the Principles and Practice of Statistics in Biological Research, WH Freeman, San Francisco CA) 及びエクセル98 ソフトウエア(Microsoft, Seattle WA)を用いて作成した。
【0115】
表5は、組織にわたるポリヌクレオチドの細胞特異性および組織特異性を示す。この組織の中には、心臓、骨格筋、子宮、胃、小腸、肺、肝臓、腎臓、膵臓、脾臓、および脳の組織が含まれる。細胞および組織特異的なグループは、平均値{平均(組織)−平均(セット全体)}を用いて作成し、グループ分けにはエクセル98ソフトウエア(Microsoft)を用いた。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
【表22】
【表23】
【表24】
【表25】
【表26】
【表27】
【表28】
【表29】
【表30】
【表31】
【表32】
【表33】
【表34】
【表35】
【表36】
【表37】
【表38】
【表39】
【表40】
【表41】
【表42】
【表43】
【表44】
【表45】
【表46】
【表47】
【表48】
【表49】
【表50】
【表51】
(発明の技術分野)
本発明は、細胞および/または組織に特異的な複数のポリヌクレオチドを含む組成物に関する。これらのポリヌクレオチドを用いて、代謝または発生のプロセスを明確にしたり、これらのプロセスを導いて、症状、疾患、または障害を調べたり、その進行をモニタリングしたり、或いは治療プロトコルの有効度を評価およびモニタリングすることが可能である。
【0002】
(背景技術)
アレイ技術によって、一塩基遺伝子多型の発現、または多数の関連遺伝子や非関連遺伝子の発現プロファイルを得る単純な方法が実現される。1つの遺伝子の発現を調べる場合、アレイを用いて特定の遺伝子またはその変異体の発現を検出する。発現プロファイルを検査すると、どの遺伝子が、組織特異的であるか、細胞型や組織への分化を導くか、ハウスキーピング機能を行っているか、シグナル伝達カスケードの一部として機能するか、或いは特定の遺伝的な素因、症状、疾患、または障害を特徴付けるかを調べる際の基準がアレイから分かる。
【0003】
遺伝子発現のプロファイル化は、特に疾患の診断や予後の精度の改善に適している。しかしながら、特定の疾患における特定の遺伝子の発現が有意であるか否かを決定するために、その疾患プロセスでどの遺伝子が発現されるかを較べるべく、基準となる組織や細胞に特異的な遺伝子のセットを準備すると便利である。例えば、脳腫瘍で発現するレベルおよび配列の両方を、正常な脳組織で発現するレベルおよび配列と比較するとよい。このような比較は、新規の配列とともに特定の組織や細胞に特異的な遺伝子の基準セットを組み込んだ1つのアレイにおいて、或いはそれぞれが既知の基準セットの少なくとも幾つかのサブセットを含む複数のアレイにおいて行うことができる。
【0004】
本発明は、このような組織や細胞に特異的な遺伝子の基準セットを提供することで当分野のニーズに応えることができる。このような基準セットの全て或いはその一部を用いて発現プロファイルを作成し、その作成プロファイルを用いて、代謝または発生のプロセスを明らかにしたり、そのプロセスを導いて、症状、疾患、または障害を調べたり、その進行をモニタリングしたり、或いは治療プロトコルの有効度を評価およびモニタリングすることが可能である。
【0005】
(発明の概要)
本発明は、発現プロファイルを作成するべく、複数の組織や細胞に特異的であってアレイに使用可能なポリヌクレオチドを提供する。このプロファイルを用いて、正常な組織における、特定の代謝または発生のプロセスの間の、またはヒトの症状、疾患、または障害の開始、進行、または治療の間のポリヌクレオチドの発現を決定することが可能である。一実施例では、これらのポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:1−416から選択される。
【0006】
本発明は、組織または細胞に特異的であって、(a)心臓の細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:209−218およびそれらの断片であるSEQ ID NO:1−10、(b)骨格筋細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:219−249およびそれらの断片であるSEQ ID NO:11−41、(c)子宮細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:250−251およびそれらの断片であるSEQ ID NO:42−43、(d)卵巣細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:252−256およびそれらの断片であるSEQ ID NO:44−48、(e)胃の細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:257−263およびそれらの断片であるSEQ ID NO:49−55、(f)腸の細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:264−283およびそれらの断片であるSEQ ID NO:56−75、(g)肺細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:284−293およびそれらの断片であるSEQ ID NO:76−85、(h)肝細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:294−345およびそれらの断片であるSEQ ID NO:86−137、(i)腎細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:346−356およびそれらの断片であるSEQ ID NO:138−148、(j)膵臓細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:357−374およびそれらの断片であるSEQ ID NO:149−166、および(k)脳細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:375−416およびそれらの断片であるSEQ ID NO:167−208から選択される複数のポリヌクレオチドを提供する。一実施態様では、これらの複数のポリヌクレオチドが基板に固定される。
【0007】
別の実施例では、複数のポリヌクレオチドの発現を用いてある組織における発現を検出する。一実施態様では、この組織は、脳、心臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、または膵臓の組織に分化する胚性幹細胞である。第2の実施態様では、この組織は、癌、免疫、または炎症の疾患と診断された、或いは法医学的検査を行う病変した脳、心臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、卵巣、膵臓、小腸、胃、または子宮から採取した組織である。第3の実施態様では、転移癌の原発巣(point of origin)を決定する。
【0008】
別の実施例では、これらのポリヌクレオチドを用いて、分子または化合物をスクリーニングしてリガンドを同定するハイスループットのアッセイを行う。このアッセイは、特異的な結合が許容される条件下で、ポリヌクレオチドを分子または化合物と結合させるステップと、特異的な結合を検出して、これらのポリヌクレオチドに特異的に結合するリガンドを同定するステップとを含む。スクリーニングする分子または化合物は、DNA分子、RNA分子、PNA、擬態、ペプチド、およびタンパク質から選択される。
【0009】
別の実施例では、本発明は、SEQ ID NO:212、228、233、259、271、287、316−319、324、370、379、380、383、410、および412、またはそれらの断片であるSEQ ID NO:4、20、25、51、63、79、108−111、116、162、171、172、175、202、および204から選択された実質的に精製されたポリヌクレオチドを提供する。一実施態様では、SEQ ID NO:212、228、233、259、271、287、316−319、324、370、379、380、383、410、および412、またはそれらの断片であるSEQ ID NO:4、20、25、51、63、79、108−111、116、162、171、172、175、202、および204から選択されて実質的に精製されたポリヌクレオチドを発現ベクターに導入して、その発現ベクターで宿主細胞を形質転換し、タンパク質が発現する条件下でこの宿主細胞を培養し、この宿主細胞からタンパク質を回収してタンパク質またはその断片を得る。
【0010】
第3の実施例では、本発明は或るタンパク質またはその断片を提供する。一実施態様では、このタンパク質を用いて、多数の分子または化合物をスクリーニングしてこのタンパク質に特異的に結合する少なくとも1つのリガンドを同定するハイスループットのアッセイを行う。このアッセイは、特異的な結合が許容される条件下で、このタンパク質を分子または化合物と結合させるステップと、このような特異的な結合を検出して、このタンパク質に特異的に結合するリガンドを同定するステップとを含む。第2の実施態様では、このタンパク質を用いてリガンドを精製する。この方法は、特異的な結合が許容される条件下で、このタンパク質をサンプルと結合させるステップと、この結合したタンパク質を回収するステップと、このタンパク質を前記リガンドから分離して、精製されたリガンドを得るステップとを含む。スクリーニングまたは精製される前記分子または化合物が、DNA分子、RNA分子、PNA、擬態、ペプチド、タンパク質、アゴニスト、アンタゴニスト、抗体またはそれらの断片、免疫グロブリン、インヒビター、薬物成分、および薬剤から選択され得る。これらの任意の分子または化合物を、診断または治療目的に利用することが可能である。
【0011】
(発明の記載について)
(定義)
用語「アレイ」は、ハイブリダイズ可能なポリヌクレオチを規則正しく配列したものを指す。基板1cm2当たりに、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも100、さらに好ましくは少なくとも1,000、最も好ましくは10,000のポリヌクレオチドが存在する。ポリヌクレオチドの最大数に制限はないが、その数は少なくとも10,000である。さらに、ハイブリダイズしたそれぞれのヌクレオチドからの信号は個々に識別される。
【0012】
用語「ポリヌクレオチド」はヌクレオチド鎖を指す。ヌクレオチド鎖の長さは、好ましくは約15〜10,000ヌクレオチドであり、より好ましくは約400〜6,000ヌクレオチドである。用語「プローブ」は、標的ポリヌクレオチドとハイブリダイズしてハイブリダイゼーション複合体を形成することが可能なヌクレオチドである。大抵の場合、整列させるとプローブの配列と標的ポリヌクレオチドの配列は相補的(不一致がない)である。最大10%の不一致がある場合もある。
【0013】
用語「断片」は、有用な特性を有するインサイト社クローンまたはポリヌクレオチドの任意の部分である。有用な断片は、リガンドを同定したり精製するためのハイブリダイゼーション技術、或いは複製、転写、または翻訳の調節をする治療薬とし用いることが可能である。
【0014】
「リガンド」は、ポリヌクレオチドやタンパク質の相補的な部位に特異的に結合する任意の薬剤、分子、または化合物を指す。このようなリガンドは、ポリヌクレオチドやタンパク質を安定化させたり、その活性を調節したりし、核酸、タンパク質、炭水化物、脂肪、および脂質を含む無機物質や有機物質の少なくとも1つからなる。
【0015】
用語「精製された」は、自然環境から除去、分離、或いは単離され、天然では結合しているその他の物質が少なくとも60%、好ましくは90%除去された任意の分子または化合物を指す。
【0016】
用語「特異的結合」は、分子の側鎖などの特定の構造に依存する2つの分子間の正確で特殊な相互作用を指す。例えば、2つの一本鎖の核酸間の水素結合や、エピトープまたはタンパク質とアゴニスト、アンタゴニスト、または抗体との間の結合がある。
【0017】
用語「サンプル」は、その最も広い意味で用いられる。ポリヌクレオチドを含むサンプルは、体液(細胞からの抽出物、細胞から単離した染色体、オルガネラ、または膜)、溶液内に存在する或いは基板に結合したゲノムDNA、RNA、またはcDNAや、細胞、組織、組織プリント、フィンガープリント、髪等を含む。
【0018】
用語「部分」は任意の目的に用いられるタンパク質の任意の部分を指すが、特に、分子や化合物をスクリーニングしてその部分に特異的に結合するものを同定し、抗体を生産するために用いられるものを指す。
【0019】
句「タンパク質をコードするポリヌクレオチド」は、当分野で周知の分析方法で同定された保存されたタンパク質モチーフやドメインをコードする配列と殆ど一致する配列を指す。このような分析手段の例には、PFAMなどの隠れマルコフモデル(HMM)(Krogh (1994) J Mol Biol 235 : 1501−1531 ; Sonnhamer ら (1988) Nucl Acids Res 26 : 320−322)、BLAST(Basic Local Alignment Search Tool ; Altschul (1993) J Mol Evol 36 : 290−300 ; および Altschul ら (1990) J Mol Biol 215 : 403−410)、またはBLIMPS(Henikoff ら (1998) Nucl Acids Res 26 : 309−12)などのその他の分析手段がある。さらに、「タンパク質をコードするポリヌクレオチド」は、ヒト代謝プロセス、病状、疾患、障害において発現される、或いはそれらに関連するポリヌクレオチドを指す場合もある。
【0020】
本明細書では、「細胞特異的」は2つ以上の組織において統計的に有意なレベルで発生するポリヌクレオチドと定義する。組織間の共通性は、特定の組織の一部である或いはその組織に存在すると推定される細胞型、例えば血液細胞、神経細胞、および内皮細胞などに起因し得る。
【0021】
(発明)
本発明は、複数の組織や細胞に特異的であって、発現プロファイルを作成するためにアレイに使用可能なポリヌクレオチドを提供する。この発現プロファイルによって、正常な組織における、特定の代謝または発生のプロセスの間、または症状、疾患、または障害の開始、進行、または治療の間のこれらのポリヌクレオチドの発現を明確にすることが可能である。これらのポリヌクレオチドは、脳、心臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、卵巣、膵臓、小腸、胃、または子宮の細胞や組織に通常に発現する既知および新規の遺伝子である。これらのポリヌクレオチドの発現を、アレイ上のその他の既知或いは新規の遺伝子の発現と比較することができる。全基準セットであるこれらの複数のポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:1−416を含む。組織または細胞に特異的な基準セットは、(a)心臓の細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:209−218およびそれらの断片であるSEQ ID NO:1−10、(b)骨格筋細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:219−249およびそれらの断片であるSEQ ID NO:11−41、(c)子宮細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:250−251およびそれらの断片であるSEQ ID NO:42−43、(d)卵巣細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:252−256およびそれらの断片であるSEQ ID NO:44−48、(e)胃の細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:257−263およびそれらの断片であるSEQ ID NO:49−55、(f)腸の細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:264−283およびそれらの断片であるSEQ ID NO:56−75、(g)肺細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:284−293およびそれらの断片であるSEQ ID NO:76−85、(h)肝細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:294−345およびそれらの断片であるSEQ ID NO:86−137、(i)腎細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:346−356およびそれらの断片であるSEQ ID NO:138−148、(j)膵臓細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:357−374およびそれらの断片であるSEQ ID NO:149−166、および(k)脳細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:375−416およびそれらの断片であるSEQ ID NO:167−208から選択することができる。これらの複数のポリヌクレオチドは、基板、好ましくはマイクロアレイに配列したり、プローブとして用いる。
【0022】
本発明は、SEQ ID NO:212、228、233、259、271、287、316−319、324、370、379、380、383、410、および412、またはそれらの断片であるSEQ ID NO:4、20、25、51、63、79、108−111、116、162、171、172、175、202、および204から選択された実質的に精製されたポリヌクレオチドを提供する。これらのポリヌクレオチドを発現ベクターに導入して、その発現ベクターで宿主細胞を形質転換し、タンパク質が発現する条件下でこの宿主細胞を培養し、この宿主細胞からタンパク質を回収してタンパク質またはその断片を生産することが可能である。
【0023】
マイクロアレイを用いて、多数の新規の標的ポリヌクレオチドの大規模な遺伝子分析または遺伝子発現分析を行うことができる。これらの標的ポリヌクレオチドは、発生或いは分化の或るステージの哺乳動物細胞または組織から、またはサイトカイン、成長因子、および薬剤などの既知の分子や化合物で処置して、または処置する前若しくは処置した後の既知または未知の症状、疾患、障害をもつ哺乳動物から採取或いは生検するなどして当分野で周知の方法で準備した。これらの複数のポリヌクレオチドは、特に、胚性幹細胞の脳、心臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、または膵臓の組織への分化を決定したり、病変した脳、心臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、卵巣、膵臓、小腸、胃、または子宮の組織を生検して癌が転移癌であるか原発性の癌であるかを決定する際に有用である。これらの複数のポリヌクレオチドを、癌、免疫疾患、および神経疾患の診断用いることが可能である。
【0024】
発生ステージ、治療、症状、障害、または疾患に関連する新規の遺伝子プロファイルを確立するために、標的ポリヌクレオチドをプローブポリヌクレオチドとハイブリダイズさせる。次に、この遺伝子プロファイルを用いて、既知および新規の遺伝子の発現の変化が癌、免疫疾患、および神経疾患などに関連するような診断、予後、治療のモニタリングを行うことができる。場合によっては、遺伝子プロファイルを用いた、癌、免疫疾患、および神経疾患などの症状、障害、または疾患に対する疾病素質を検査することもできる。
【0025】
本発明のポリヌクレオチドをマイクロアレイ上のハイブリダイズ可能なポリヌクレオチドとして用いる場合、基板上の指定の位置に各ポリヌクレオチドが位置するようにこれらのポリヌクレオチドを規則正しく配列する。プローブポリヌクレオチドが基板上の指定の位置に存在するため、ハイブリダイゼーションのパターンおよび強度を、その他の既知および新規のポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションのパターンおよび強度と比較し、発現プロファイルを作成することができる。このようなプロファイルは、細胞および組織特異的な既知および新規の遺伝子の発現レベルについてみると、特定の代謝プロセス、発生ステージ、治療、症状、障害、疾患、または疾患のステージに相関し得る。
【0026】
これらの複数のポリヌクレオチドを用いて、少なくとも1つのこれらのポリヌクレオチドに特異的に結合する分子や化合物の同定および精製を行うことができる。これらの分子は、サンプルから同定したり、或いはmRNA、cDNA、およびゲノム断片などを含む多数の分子や化合物からハイスループット方式で同定することができる。通常は、これらの分子や化合物は、特定の診断または治療に有用である。
【0027】
サンプルの核酸分子がハイブリダイゼーションのバックグラウンドを高める場合、妨害している分子を除去するのが望ましい。このような分子を除去するための或る方法では、固定したプローブポリヌクレオチドにサンプルをハイブリダイズさせ、ハイブリダイゼーション複合体を形成しなかった分子を洗い流す。その後、ハイブリダイゼーション複合体を分離させて、固定したプローブポリヌクレオチドに特異的に結合した分子を遊離させる。
【0028】
ポリヌクレオチドプローブを選択する方法
ポリヌクレオチドの選択には様々な方法がある。その一般的な方法の中には、血液や骨髄などの特定の細胞型や組織に発現する、特定のモチーフやドメイン、またはシグナルペプチドの存在などの共通の機能的特性を有する、文献に記載されている特定の症状、障害、または疾患に関連する遺伝子からプローブを選択する方法がある。
【0029】
プローブは重複せず特定の遺伝子に対して1つのプローブのみが存在するようにするのが好ましい。しかしながら、コントロール配列は、特にそれらの重複のために選択され得る。
【0030】
ポリヌクレオチドの組成は、ハイブリダイゼーション技術で操作してそれらの性能を最適化することが可能である。ポリヌクレオチドの選択は、コンピュータアルゴリズムを用いて配列を検査して潜在的な二次構造をもたない断片を識別し、最適化することができる。Vector NTIソフトウエア(Informax, N. Bethesda MD)またはLASERGENEソフトウエア(DNASTAR, Madison WI)に用いられているようなコンピュータアルゴリズムが、当分野でよく知られている。これらのプログラムは、核酸配列を検索してステムループ構造および縦列反復配列を探し出し、配列のGC含量を分析する。哺乳動物のアレイでは、GC含量が60%を超えるこれらの配列を排除され得る。別法では、ポリヌクレオチドプローブがそれらに相補的な標的と最適にハイブリダイズするか否かを決定して、実験的条件下でポリヌクレオチドを最適化することが可能である。
【0031】
極めて多数の重複していないポリヌクレオチドが必要な場合は、ポリヌクレオチドをクラスター配列または構築配列と比較して、各ポリヌクレオチドが異なった遺伝子に由来することを確認する。特定の遺伝子に対する長い或いは異なったプローブを得るために、インサイト社クローンから得た部分的なヌクレオチド配列を用いてXL−PCRキット(Applied Biosystems, Foster City CA)または当分野で周知のその他の方法で物理的に伸長することが可能である。
【0032】
ポリヌクレオチドプローブ
ポリヌクレオチドプローブには、DNA、cDNA、mRNA、またはペプチド核酸や分枝DNAなどの任意のRNA様物質またはDNA様物質を用いることができる。これらは、センス鎖若しくはアンチセンス鎖である。標的が二本鎖の場合、プローブはセンス鎖或いはアンチセンス鎖の何れかとすることができる。標的が一本鎖の場合は、プローブは標的に相補的な一本鎖とする。
【0033】
一実施例では、ポリヌクレオチドプローブはcDNAである。cDNAのサイズは様々な長さにすることができるが、好ましくは15〜10,000ヌクレオチド、より好ましくは60〜4000ヌクレオチド、最も好ましくは200〜600ヌクレオチドである。
【0034】
別の実施例ではプローブはプラスミドである。この場合、目的のcDNA配列が挿入配列である。ベクターDNAおよび調節配列を除いたcDANのサイズは15〜10,000ヌクレオチドと様々であるが、好ましくは60〜4000ヌクレオチド、最も好ましくは200〜600ヌクレオチドである。
【0035】
ポリヌクレオチドプローブは、当分野で周知の様々な合成方法や酵素的な方法で作製することができる。プローブは、その全て或いは一部を当分野で周知の化学的方法(Caruthersら(1980) Nucleic Acids Symp Ser (7) : 215−233)で合成することができる。別法では、プローブは、in vitro または in vivoでの転写によって酵素或いは組換えにより作製することができる。
【0036】
当分野で周知の方法で、プローブにヌクレオチド類似体を組み入れることができる。唯1つ必要なことは、プローブに組み込まれるヌクレオチド類似体が標的のヌクレオチドと塩基対を形成しなければならないことである。例えば、所定のグアニンヌクレオチドを、シトシン残基と塩基対を形成するヒポキサンチンで置換することができる。しかしながら、これらの塩基対は、グアニンとシトシンとの間の結合より不安定である。別法では、アデニンヌクレオチドを、アデニンとチミジンとの結合より強い塩基対を形成する2,6−ジアミノプリンで置換することができる。
【0037】
さらに、プローブは化学的或いは酵素的に誘導されたヌクレオチドを含み得る。通常の化学修飾には、アシル基、アルキル基、アリル基、またはアミノ基での誘導体化が含まれる。
【0038】
プローブは、基板上で合成できる。基板表面での合成は、Baldeschweilerら(PCT/W095/251116)によって記述されたピエゾ式印刷装置(piezoelectric printing apparatus)または化学結合法によって行うことができる。別法では、基板上でのプローブの合成は、Hellerら(米国特許第5, 605, 662号)によって記述されたように試薬を加えて制御する自己アドレス指定可能な電子装置(self−addressable electronic device)を用いて行うことができる。
【0039】
相補的DNA(cDNA)を基板上に配置して固定することができる。プローブは、化学結合法やUVなどによる共有結合的方法によって固定することができる。このような或る方法では、cDNAを、エポキシドまたはアルデヒド基を含むように修飾したガラス基板に結合させる。別の方法では、cDNAプローブをポリリシンでコーティングした表面に配置し、次にShalonら(PCT/W095/35505 ; 言及することを以って本明細書の一部とする)によって記述されたようにUVクロスリンクする。更なる方法では、DNAを溶液から基板の所定の位置に電気的な方法(Hellerら、前出)で活発に移動させる。別法では、プローブ、クローン、プラスミド、または細胞をフィルター上に配置することもできる。後者の場合、細胞を溶解し、タンパク質および細胞成分を分解し、DNAをUVクロスリンクでフィルターに結合させる。
【0040】
さらに、プローブを基板に直接結合させるのではなく、リンカーを介して基板に結合させてもよい。リンカーは、結合したプローブを露出させるように通常は6〜50原子の長さである。リンカーには、エチレングリコールオリゴマー、ジアミン、2酸などが好適である。基板表面の反応基がリンカーの末端基と反応し、リンカーが基板に結合される。リンカーの他方の末端がプローブに結合される。
【0041】
プローブ合成用の試薬を基板表面上に連続的に供給して、或いは基板表面に予備作製したDNA断片を供給して、プローブを基板上に固定することができる。このようなディスペンサーには、例えばマイクロピペットがある。マイクロピペットは、基板に対して該マイクロピペットの位置を制御するロボットシステムを備えている。複数のディスペンサーを用いて、効果的に反応領域に溶液を供給することもできる。
【0042】
サンプルの準備
サンプル分析をするために、標的を含むサンプルを準備する。サンプルは標的を含む任意のサンプルであって、任意の体液(血液、尿、唾液、粘液、胃液など)、培養細胞、生検材料、またはその他の組織や法医学的資料から得られる。
【0043】
DNAまたはRNAは、当分野で周知の様々な方法に従ってサンプルから得ることができる。例えば、核酸の精製方法は、Tijssen (1993) (Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology : Hybridization With Nucleic Acid Probes, Part I. Theory and Nucleic Acid Preparation, Elsevier Science, New York NY)に記載されている。例えば、全RNAはTRIZOL試薬(Life Technologies, Gaithersburg MD)で単離し、mRNAはオリゴd (T)カラムクロマトグラフィーまたはガラスビーズで単離する。別法では、標的がmRNAに由来する場合、標的として、mRNAから逆転写されたDNA、そのDNAから転写されたRNA、そのDNAから増幅されたDNA、その増幅されたDNAから転写されたRNAなどである。標的がDNAに由来する場合、標的はDNAから増幅されたDNA、DNAから逆転写されたRNAを用いることができる。更なる別法では、標的を2つ以上の方法で準備する。
【0044】
標的を増幅する場合、サンプルにおいて核酸を増幅し、転写物の低い存在量を含む核酸の相対存在量を維持するのが望ましい。全mRNAは、逆転写酵素と、オリゴd(t)からなるプライマーと、一本鎖DNA鋳型を提供するファージT7プロモーターをコードする配列とを用いて逆転写により増幅する。第二鎖DNAを、DNAポリメラーゼ、およびDNA/RNAハイブリッドの分解を助けるRNA分解酵素で重合させる。二本鎖DNAを合成した後、Van Gelderら(USPN 5, 545, 522)によって記載されたように、T7 RNAポリメラーゼを加え、第二鎖DNA鋳型からRNAを転写する。RNAは、in vitro、in situ、またはin vivoで増幅することができる(Eberwine, USPN 5, 514, 545)。
【0045】
増幅および標識化によってサンプル内における転写物の実際の存在量が変らないように、量的制御を行うことが望ましい。このために、サンプルに所定量のコントロール核酸を加え、プローブはコントロール核酸と特異的にハイブリダイズするコントロールプローブを含む。ハイブリダイゼーションおよびプロセシングの後、ハイブリダイゼーション信号がサンプルに加えたコントロール核酸の量を正確に反映する。
【0046】
ハイブリダイゼーションの前に、サンプルの核酸を断片化することが望ましい。断片化することによって、二次構造、およびサンプル内の核酸同士或いは非相補的なプローブとのクロスハイブリダイゼーションが減少し、ハイブリダイゼーションを恒常させることができる。機械的或いは化学的な方法で核酸を断片化することができる。
【0047】
1或いは複数の標識成分で核酸を標識して、ハイブリダイゼーション複合体の検出および定量ができるようにする。標識成分には、分光学的、光化学的、生化学的、生物電子工学的、免疫化学的、電気的、光学的、化学的方法で検出できる組成物を含む。標識成分は、32P、33P、35Sなどのラジオアイソトープ、化学発光化合物、標識結合タンパク質、重金属原子、蛍光マーカーや染料などの分光学的マーカー、磁気標識、結合酵素、質量分析タグ、スピン標識、電子供与体および受容体などがある。
【0048】
好ましい染料は、キノリン色素、トリアリルメタン色素、フタレイン、アゾ染料、シアニン色素などである。蛍光マーカーの吸光度は、好ましくは約300nmを超え、より好ましくは400nmを超え、通常は吸収される光の波長より少なくとも10nm大きい波長で光が放出される。好ましい蛍光マーカーは、フルオレセイン、フィコエリトリン、ローダミン、およびCy3およびCy5などである。
【0049】
標識化は、ニックトランスレーションまたは5’または3’末端標識反応によって、ポリメラーゼ連鎖反応やin vitro転写反応などの増幅反応の際に行われる。例えば、標識したヌクレオチドをin vitro転写反応に用いる。増幅ステップの後に標識を組み入れる場合、或いは増幅ステップがない場合は、標識を、ターミナルトランスフエラーゼまたはキナーゼを用いて標的ポリヌクレオチドの5’末端に繋ぎ、T4 RNAリガーゼの存在下で標識したオリゴヌクレオチドとともに一晩インキュベートする。
【0050】
別法では、ハイブリダイゼーションでプローブ/標的複合体が形成された後に、標識成分を組み込むこともできる。一実施態様では、上記したように増幅ステップで最初にビオチンを組み込む。ハイブリダイゼーションの後、結合しなかった核酸を洗い流すと、基板に結合して残っているビオチンは、プローブとハイブリダイズした標的に結合しているビオチンのみとなる。別の実施態様では、標識成分を、予備形成された標的/プローブ複合体の中に挿入して組み込む。この場合、ソラレン結合色素などのインターカレーション色素を用いることができる。
【0051】
スクリーニングアッセイ
プローブまたはポリヌクレオチドを用いて分子や化合物のライブラリをスクリーニングして、特異的な結合親和性を調べることができる。ライブラリには、生物系においてポリヌクレオチドの複製、転写、または翻訳などの活性を調節するDNA分子、RNA分子、PNA、ペプチド、転写因子などのタンパク質、エンハンサー、リプレッサー、およびその他の有機或いは無機リガンドを用いることができる。アッセイには、特異的な結合が許容される条件下でプローブと分子や化合物のライブラリとを結合させるステップ、およびプローブと特異的に結合するリガンドの特異的な結合を検出するステップとが含まれる。
【0052】
同様に、プローブから転写され翻訳されたタンパク質およびその一部を用いて、様々なスクリーニングアッセイの内の任意のアッセイを用いて分子や化合物のライブラリをスクリーニングする。タンパク質およびその一部は、溶液中に遊離した状態、非生物基板または生物基板と結合した状態、または細胞表面上に支持された状態、或いは細胞内に位置し得る。このタンパク質とリガンドとの間の特異的な結合を測定することができる。スクリーニングするライブラリの種類によってアッセイを用いて、このタンパク質と特異的に結合するDNA、RNA、PNA、アゴニスト、アンタゴニスト、抗体、免疫グロブリン、インヒビター、擬態、ペプチド、タンパク質、薬剤、またはその他のリガンドを同定できる。
【0053】
リガンドの精製
プローブを用いてサンプルからリガンドを精製することができる。プローブを用いてリガンドを精製する方法は、特異的な結合が許容される条件下で、このプローブとサンプルとを結合させるステップと、結合したタンパク質を回収するステップと、適切な物質を用いて精製したリガンドからポリヌクレオチドを分離するステップとを含む。
【0054】
同様に、コードされたタンパク質またはその一部を用いて、サンプルからリガンドを精製することができる。タンパク質またはその一部を用いてリガンドを精製する方法は、特異的な結合が許容される条件下で、このタンパク質またはその一部とサンプルとを結合させるステップと、このタンパク質とリガンドとの間の特異的な結合を検出するステップと、結合したタンパク質を回収するステップと、適切な物質を用いて精製したリガンドからポリヌクレオチドを分離するステップとを含む。
【0055】
ハイブリダイゼーションおよび検出
ハイブリダイゼーションによって、変性したポリヌクレオチドと変性した相補的な標的とが塩基対を形成して安定した二本鎖になる。ハイブリダイゼーションの方法は当分野で周知である(前出のAusubelによるunits 2. 8−2. 11, 3. 18−3. 19 および 4. 6−4. 9を参照)。相補的なプローブと標的とが完全にハイブリダイズする、すなわち各塩基がその相補的な塩基と相互作用しなければならないハイブリダイゼーションの条件を選択することができる。別法では、プローブと標的との不一致が最大約10%であるがなおハイブリダイズ可能なハイブリダイゼーションの条件を選択することができる。プレハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーション、および洗浄液における塩濃度を変えて、或いはハイブリダイゼーションおよび洗浄の温度を変えて、好適な条件を選択することができる。数種類の基質を用いて、プレハイブリダイゼーション溶液およびハイブリダイゼーション溶液にホルムアミドを加えて温度を下げることができる。
【0056】
ある程度の不一致を含んだプローブ配列と標的配列とのハイブリダイゼーションが許容される低いストリンジェンシー(緩衝液:5×SSC,1%SDS、60℃)で、ハイブリダイゼーションを行ってプローブ/標的複合体を形成することができる。続く洗浄は、高いストリンジェンシー(緩衝液:0.2×SSC,0.1%SDS、45℃(中間のストリンジェンシー)か或いは68℃(高いストリンジェンシー)の何れか)で行い、完全に相補的な配列を含むプローブ/標的複合体のハイブリダイゼーションのみを残した。バックグラウンド信号は、SDS、Sarcosyl、またはTRITON X−100溶液(Sigma−Aldrich, St. Louis MO)などの界面活性剤、サケ精子などのブロッキング剤を用いて低減させることができる。
【0057】
ハイブリダイゼーションの特異性は、所定量サンプルに加えられた標的配列とコントロールプローブとのハイブリダイゼーションを比較して評価することができる。コントロールプローブは、対応する標的に対して1或いは複数の配列不一致を有し得る。このようにして、相補的なプローブのみが標的にハイブリダイズしたのか、或いは不一致ハイブリッド二本鎖が形成されたのかを評価することが可能である。
【0058】
ハイブリダイゼーション反応は、完全なハイブリダイゼーション方式或いはディファレンシャルハイブリダイゼーション方式で行うことができる。完全なハイブリダイゼーション方式の場合、あるサンプルからのプローブをマイクロアレイのプローブとハイブリダイズさせて、ハイブリダイゼーション複合体が形成された後に信号を検出する。信号の強度は、サンプルのプローブのレベルに相関する。ディファレンシャルハイブリダイゼーション方式の場合は、異なって発現する2つの生体サンプルにおける遺伝子のセットを分析する。2つのサンプルからそれぞれプローブを調製し、異なった標識成分を標識する。2つの標識した標的の混合物をマイクロアレイのプローブにハイブリダイズさせ、2つの異なった標識から放出される信号を別々に検出できる条件下で信号を検査する。2つの生体サンプルに由来するプローブが実質的に同数ハイブリダイズしたマイクロアレイの標的は、顕著な合成蛍光色を示す(Shalon, PCT/W095/35505)。好適な実施例では、標識は、lissamine結合ヌクレオチド類似体およびフルオレセイン結合ヌクレオチド類似体などの顕著な放射スペクトルを有する蛍光標識である。別の実施例では、Cy3およびCy5フルオロフォア(Amersham Pharmacia Biotech, Piscataway NJ)を用いる。
【0059】
ハイブリダイゼーションの後、マイクロアレイを洗浄してハイブリダイズしなかったポリヌクレオチドを除去し、ハイブリダイズ可能なアレイプローブと標的との間の複合体の形成を検査する。複合体の形成を検出する方法は、当分野では周知である。好適な実施例では、プローブを蛍光標識し、複合体の形成を示唆する蛍光レベルおよびパターンを、蛍光顕微鏡、好ましくは共焦点蛍光顕微鏡で測定する。アルゴンイオンレーザーで蛍光標識を励起し、その発光を光電子増倍管に向け、発光した量を検出および定量する。検出した信号が、マイクロアレイの各位置におけるプローブ/標的複合体の量に比例する。蛍光顕微鏡をコンピュータ制御されたスキャナーに接続して、ハイブリダイゼーション強度を示す量的な二次元イメージを生成することができる。スキャンしたイメージを検査して、ハイブリダイズしたプローブの存在/発現レベルを決定する。
【0060】
2つ以上のマイクロアレイを類似の条件下で使用する場合、通常は、マイクロアレイの蛍光強度をハイブリダイゼーション強度におけるばらつきを考慮して標準化する。好適な実施例では、個々のポリヌクレオチドプローブ/標的複合体のハイブリダイゼーション強度は、マイクロアレイのそれぞれに含まれる内部標準化対照からの強度を用いて標準化する。
【0061】
発現プロファイル
本発明のポリヌクレオチドを用いた発現プロファイルについて記載する。新規遺伝子の発現の変化を検出する発現プロファイルの一部として、参照セットを用いることができる。これらの新規遺伝子の転写物は、特定の代謝応答、治療、症状、障害、または疾患において変化する。これらの新規遺伝子には、発現の変化が癌、免疫疾患、神経疾患などに相関する遺伝子が含まれる。
【0062】
発現プロファイルは、複数の検出可能なハイブリダイゼーション複合体を含む。それぞれの複合体は、1或いは複数のプローブと1或いは複数の相補的な標的とのハイブリダイゼーションによって形成される。少なくとも1つのプローブ、好ましくは複数のプローブが、相補的な標的とハイブリダイズして少なくとも1つ、好ましくは複数の複合体を形成する。複合体は、少なくとも1つの標識成分を組み込むことにより検出される。発現プロファイルは、代謝プロセス、治療、症状、障害、または疾患の特徴を示す特有の発現パターンを表す「スナップショット(snapshot)」を提供する。
【0063】
ハイブリダイゼーション実験を実施し、マイクロアレイから信号を検出した後、それらの発現パターンに基づいて特定のプローブを識別して選択する。このようなプローブを用いて遺伝子の完全長の配列をクローニングし、密接に関連する相同体を同定するため、リガンドを精製するため、またはタンパク質を作り出すためにライブラリをスクリーニングすることができる。
【0064】
本発明の有用性
本発明の複数のポリヌクレオチドをマイクロアレイのハイブリダイズ可能なエレメントとして用いることができる。このようなマイクロアレイは、例えば、診断、予後および治療計画、並びに癌、免疫疾患、神経疾患などの症状、障害、疾患に対する薬剤の発見および開発などの様々な目的に利用することができる。
【0065】
発現プロファイル
一実施態様では、マイクロアレイを用いて疾患の進行をモニタリングする。正常な組織または細胞と病変した組織または細胞との遺伝子発現における差異を評価して一覧表を作成することができる。遺伝子発現パターンにおける変化を分析して、患者が症状を示す前の早期に疾患を診断することができる。本発明を用いて予後を明確にし、治療計画を立てることができる。また、本発明を用いて治療の効果を評価することができる。既知の副作用を伴う治療の場合は、マイクロアレイを用いて治療計画に微調整を加えることができる。治療の成功を示す遺伝子発現パターンにおける変化が生じるように薬用量を決定することができる。好ましくない副作用の発生に関連する発現パターンは回避する。この方法は、患者の改善が十分でないことが分かるまで、或いは副作用が出るまで治療計画を変えないで待つ方法に比べ、より高感度であってかつ迅速に対応することができる。
【0066】
別法では、ヒト疾患モデル動物を用いて、特定の病態、障害または疾患、或いは病態、障害、または疾患の治療に関連する発現プロファイルを特徴付ける。これらのモデル動物において、マイクロアレイを用いて実験的な治療計画を検査し、現プロファイルを作成し、その発現プロファイルの経過を追う。さらに、モデル動物から採取した培養細胞や組織を用いて、マクロアレイで多数の薬剤候補を迅速にスクリーニングし、同じ発現パターンを有する分子は類似の治療効果を持つであろうと予想して、既知の治療薬に類似の発現プロファイルを有する分子を探すことができる。従って、本発明は、薬剤の分子モードの作用を迅速に決定することができる。
【0067】
胚性幹細胞
齧歯類或いはヒトの胚から単離した胚性幹細胞(ES細胞)は、胚組織を形成する能力を保持している。マウス129/SvJ細胞株などのES細胞をC57BL/6マウス株の胚盤胞に導入すると、正常な発生を再開し、生まれてくる動物の組織を形成する。マウスにおけるこのプロセスの方法は、当分野で周知である。まず、cDNAをベクターに導入し、次にES細胞をこのベクターで形質転換し、形質転換細胞を同定してマウス細胞胚盤胞に微量注入し、この胚盤胞を外科的に偽妊娠雌に移植する。得られるキメラ子孫は遺伝子形質が決められたマウスであり、交配によってヘテロ接合系またはホモ接合系を作り出すことができる。
【0068】
また、ES細胞を用いてパーキンソン病、発作、およびその他の神経疾患の治療を行う(The Scientist, 14 (18) : lff ; September 2000)。また、製薬会社は、肝臓疾患、特にα1−アンチトリプシ欠損症、腎臓疾患、特に腎嚢胞、および膵臓疾患、特に糖尿病の疾患に的を絞っている。近い将来、神経系や内臓への外傷性の障害は、ES細胞から分化した細胞や組織を移植して治療することが可能であろう。本発明を用いて、脳、心臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、卵巣、膵臓、小腸、胃、または子宮の組織に分化するプロセスの発生経路を特徴付けることが可能である。
【0069】
ノックアウト分析
遺伝子ノックアウト分析では、ある領域がネオマイシン・ホスホトランスフェラーゼ遺伝子などの非天然の介在配列を含むように酵素で改変する(neo ; Capecchi (1989) Science 244:1288−1292)。改変遺伝子で培養したES細胞を形質転換する。その後、改変遺伝子が相同組換えで内在性ゲノムに組み込まれる。この挿入配列は、内在性遺伝子の転写及び翻訳を阻害する。
【0070】
ノックイン分析
ES細胞を用いて、ノックインヒト化モデル動物すなわち遺伝子組換えヒト疾患モデル動物を作り出すことができる。ノックイン技術を用いて、ヒト遺伝子のある領域を動物ES細胞に導入し、ヒトの配列を動物細胞のゲノムに組み込む。潜在的な薬剤を用いて遺伝子組換え子孫或いは近交系を処置して分析し、ヒトに類似した病態の進行および治療についての情報を取得する。
【0071】
上記したように、本明細書の配列表に示されているcDNAおよびそれらをコードしたタンパク質の使用方法は、既知の技術を用いたが、当業者に周知の技術に限定されることを意図したものではない。さらに、本発明のcDNAを、まだ確立されていない分子生物学技術に利用することができる。但し、新規の技術が、当業者が周知している例えばトリプレット遺伝子コードおよび特定の塩基対相互作用などのヌクレオチド配列の特性に依存する場合に限る。同様に、言及した方法は、当業者には周知であろうcDNAの取得方法、構築方法、および発現方法を2つ以上の組み合わせた方法を含み得る。本発明はまた、上記した特定の方法論、プロトコル、および試薬に限定されるものではなく、その他の様々な方法論、プロトコル、および試薬を含むことを理解されたい。本願に用いた用語は特定の実施例を説明するのが目的であって、本発明の範囲を限定することを意図したものではなく、本発明は請求の範囲によってのみ規定される。本発明を例示するために実施例を後述するが、本発明を制限するものではない。
【0072】
(実施例)
例示目的で、BRAINON01 cDNAライブラリの準備方法およびシークエンシング方法を記載する。LIFESEQデータベース(Incyte Genomics)におけるライブリのその他のcDNAの準備およびシークエンシングは、時間の経過とともに変化してきた。徐々に変化してきたものは、例えば、ライブラリの作製および分析の際に利用したキットやプラスミド、および装置などである。
【0073】
1 cDNA ライブラリの作製
BRAINON01標準化cDNAライブラリは、26歳の白人男性が脳の右前頭頭頂部にグレード4のオリゴ星状細胞腫があると診断された後、大脳髄膜の切除術の際に採取された癌性脳組織から作製された。腫瘍には放射線治療が施されていた(5800rads)。患者には、片側麻痺、てんかん、眼瞼の下垂症、および一般的な片頭痛の症状があり、Dilantin(商標) (Parke−Davis, Morris Plains NJ)の投薬を受けていた。
【0074】
凍結組織をPOLYTRONホモジナイザー(PT−3000; Brinkmann Instruments, Westbury, NY)を用いて、グアニジニウムイソチオシアネート溶液中でホモジナイズして溶解した。この溶解物をStratagene RNA 単離プロトコル(Stratagene, San Diego CA)に従って酸性フェノール(pH 7.4)で抽出した。このRNAを等倍量の酸性フェノールで抽出し、0.3 M酢酸ナトリウムおよび2.5倍量のエタノールで沈殿させ、DEPC処理水で再懸濁し、37℃で25分間DNアーゼで処置した。このRNAを、フェノール(pH 8.7)で再び抽出し、初回と同様に酢酸ナトリウムおよびエタノールで再び沈殿させた。このmRNAをOLIGOTEXキット(Qiagen, Chatsworth CA)で単離し、cDNAライブラリを作製した。
【0075】
このmRNAを、SUPERSCRIPTプラスミドシステム(Life Technologies)を用いて推奨プロトコルに従って処置した。cDNAをSEPHAROSE CL4Bカラム (Amersham Pharmacia Biotech)上で分画し、400 bpを超えるcDNAをPSPORT Iプラスミド(Life Technologies)に結合させた。この組み換えプラスミドで、DH5αコンピテント細胞(Life Technologies)を形質転換し、BRAINOT03ライブラリを作製した。
【0076】
2 cDNA ライブラリの標準化
DH12Sコンピテント細胞(Life Technologies)を電気穿孔法で形質転換した後、カルベニシリン (25mg/L)およびメチシリン(1mg/ml)を用いた選択培養液で、BRAINOT03ライブラリの独立した4.9×106個のクローンを増殖させた。OD600=0.2に達するまで培養液を、DU−7分光光度計(Beckman Coulter, Fullerton CA)でモニタリングし、5倍過剰のヘルパーファージM13K07 (Vieira et al. (1987) Methods Enzymol 153 : 3−11)で重感染させた。
【0077】
高発現したcDNAの数を減らすために、以下の変更点を除いてSoaresら(1994, Proc Natl Acad Sci 91 : 9928−9932)の手順に従って1回標準化した。その変更点は、(1)プライマー伸長反応におけるプライマー:鋳型の割合を2:1から10:1,2に下げ、(2)400〜1000ヌクレオチドの長いプライマー伸長生成物が生成されるように、ddNTPの濃度を150 μMに下げ、(3)ハイブリダイゼーションのアニーリング時間を13時間から48時間に延長した。一本鎖環状DNAをヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーで精製し、ランダムプライミングにより部分的な二本鎖にしてから、このcDNAを電気穿孔法でDH10B コンピテント細胞(Life Technologies)に形質転換し、BRAINON01標準化ライブラリを作製した。
【0078】
3 cDNA クローンの単離およびシークエンシング
プラスミドDNAを細菌細胞から放出させ、REAL Prep 96 プラスミドキット(Qiagen)を用いて精製した。このキットを利用することにより、96穴プレートにおいてマルチチャネル試薬ディスペンサーを用いて同時に96のサンプルを精製することができる。以下の変更点を除いて推奨プロトコルに従った。その変更点は、(1)細菌を、25 mg/Lのカルベニシリンと0.4%のグリセロールを含む1 mlの滅菌TERRIFIC BROTH (BD Biosciences, Sparks MD)で培養し、(2)培養液を接種して19時間インキュベートし、0.3 mlの溶解緩衝液で溶解し、(3)イソプロパノール沈殿の後、プラスミドDNAペレットを0.1 mlの蒸留水に懸濁した。
【0079】
このcDNAは、MICROLAB 2200システム(Hamilton, Reno NV) と共にDNA ENGINEサーマルサイクラー(PTC200 ; MJ Research, Waltham MA)を用いて調製した。cDNAは、ABI PRISM 377 DNAシークエンシングシステム(Applied Biosystems)を用いて、SangerおよびCoulson (1975 ; J Mol Biol 94 : 441f)の方法によってシークエンシングした。殆どの配列は、標準ABIプロトコルおよびキット(Applied Biosystems)を用いて、0.25〜1.0倍量の溶液でシークエンシングした。別法では、ある配列は、Amersham Pharmacia Biotech社の溶液および色素を用いてシークエンシングした。
【0080】
4 マイクロアレイ用の配列の選択
インサイト社クローンを非重複Unigeneクラスター(Unigene データベース(build 46), NCBI ; Shuler (1997) J Mol Med 75 : 694−698)にマッピングし、最も高いBLASTアラインメント(少なくとも同一性が90%、オーバーラップが100 bp)を有する5’クローンを選択して評価し、マイクロアレイの作製に用いた。UNIGEM Vマイクロアレイ(Incyte Genomics)は、アノテーションの付いた4,610の遺伝子とアノテーションの付いていない2,184のクラスターとからなる7,075のアレイエレメントを含む。表1は、BLAST分析によって作成された本発明のSEQ ID NO:1―416に対するGenBankのリリース119のアノテーションが示されている。
【0081】
5 ポリヌクレオチドおよびタンパク質の相同性検索
BLASTは、与えられた配列とデータベースの配列との間の類似したセグメントを探し出し、全ての類似性の統計的有意性を評価し、ユーザーが選択可能な有意性の閾値を満たす配列のみを報告する。BLASTは、核酸配列とアミノ酸配列の両方のアラインメントを作成して配列類似性を決定する。
【0082】
分析の基本単位は、ハイスコアセグメントペアー(HSP)である。HSPは、任意の2つの配列セグメントからなる。但し、配列の長さは同一であって、それらのアラインメントは局所的に最大であり、アラインメントスコアがユーザーの設定した有意性の閾値を満たしている。
【0083】
検索の基準は、
(%配列同一性×%最大BLASTスコア)/100
として定義される積スコアである。
【0084】
積スコアは、BLASTスコアに反映される配列一致長さ及び2配列間の同一性の両方を考慮している。BLASTスコアは、HSPにおけるそれぞれの塩基の一致は+5のスコア、不一致は−4のスコアとして計算する。例えば、積スコアが40の場合、その一致は1〜2%誤差の範囲内で正確であり、70ではその一致は正確であろう。相同な分子は通常、積スコアが15〜40の範囲であるが、それより低いスコアでも関連分子が同定される場合もある。任意のHSPに対するP値は、少なくとも高いスコアを有する同じデータベースの配列に対して観察されるHSPの数との予想される発生頻度との関数である。
【0085】
配列同一性のパーセントは、2或いはそれ以上のアミノ酸配列同士または核酸配列同士を比較して求める。パーセント同一性は、LASERGENEソフトウエア(DNASTAR)の構成要素であるMEGALIGNプログラムを用いて決定することができる。2つのアミノ酸配列間のパーセント類似性は、配列Aと配列Bとの間の一致する残基の合計数を、配列Aの長さから配列Aおよび配列Bにおけるギャップ残基の数を差引いた数で除し、それに100を乗じたものである。2つのアミノ酸配列間の相同性の低い或いは相同でないギャップは、配列決定のパーセント同一性の計算には含めないものとする。
【0086】
保存されたタンパク質モチーフを有する配列は、BLOCKS検索プログラムを用いて検索することができる。このプログラムは、Swiss−ProtおよびPROSITEデータベースに含まれている配列情報を分析でき、ゲノム或いはcDNA配列から翻訳された特徴付けられていないタンパク質を分類する際に有用である(Bairochら (1997) Nucleic Acids Res 25 : 217−221 ; Attwoodら (1997) J Chem Inf Comput Sci 37 : 417−424)。PROSITEデータベースは、配列の著しい多様性のためにモチーフを用いた分析では検出されなかった機能的または構造的ドメインを同定するための情報源として有用である。重み付けマトリクスを用いて、一致の偶然の分布の基準を得るべく、これらのドメインをSwiss−Protデータベースに対して較正する。
【0087】
PRINTSデータベースをBLIMPS検索プログラムを用いて検索して、タンパク質ファミリー「フィンガープリント」を得ることができる。PRINTSデータベースは、配列アラインメント内の保存されたモチーフのグループを利用して様々なタンパク質ファミリーの特徴的なシグネチャ(signatute)を作り出すことで、PROSITEデータベースを補完する。BLOCKSおよびPRINTS分析の場合、局所的類似性のカットオフスコアは、>1300で強く、1000−1300で暗示的であり、全体の類似性のカットオフスコアは、p<exp−3であり、強度(相関性の程度)は、>1300で強く、1000−1300で弱い。
【0088】
6 cDNA クローンの伸長
F、R、またはTとデザインされた配列表の核酸配列のあるものは、元のクローンインサートの好適な断片を、その断片から設計したオリゴヌクレオチドプライマーを用いて伸長して作製した。一方のプライマーは既知の配列の5’の伸長を開始するために合成し、他方のプライマーは既知の配列の3’の伸長を開始するために合成した。開始プライマーは、OLIGOソフトウエア(Molecular Insights, Cascade CO)またはその他の適当なプログラムを用いて、約22〜約30のヌクレオチドの長さ、約50%以上のGC含量で、約68〜72℃の温度で標的配列にアニールするように設計した。ヘアピン構造及びプライマー−プライマー二量体を形成するヌクレオチドのストレッチは排除した。
【0089】
選択されたヒトcDNAライブラリを用いてこの配列を伸長した。2段階以上の伸長が必要な場合は、追加の或いは入れ子状の組みになったプライマーを設計する。
【0090】
PCR法を用いた当分野で周知の方法で、高い忠実度の増幅を得た。DNA ENGINE サーマルサイクラー(MJ Research)を用いて96穴プレートでPCR法を実施した。反応混合液には、鋳型DNA及び200 nmolの各プライマー、反応緩衝液(Mg2 +、(NH4)2SO4、β−メルカプトエタノールを含む)、Taq DNAポリメラーゼ(Amersham Pharmacia Biotech)、ELONGASE酵素(Life Technologies)、Pfu DNAポリメラーゼ(Stratagene)が含まれている。プライマーの組、PCI AとPCI Bに対して以下のパラメーターで増幅を行った。
ステップ1 94℃で3分間
ステップ2 94℃で15秒
ステップ3 60℃で1分間
ステップ4 68℃で2分間
ステップ5 ステップ2、3、及び4を20回繰り返す
ステップ6 68℃で5分間
ステップ7 4℃で保管。
別法では、プライマーの組、T7とSK+(Stratagene)に対して以下のパラメーターで増幅を行った。
ステップ1 94℃で3分間
ステップ2 94℃で15秒
ステップ3 57℃で1分間
ステップ4 68℃で2分間
ステップ5 ステップ2、3、及び4を20回繰り返す
ステップ6 68℃で5分間
ステップ7 4℃で保管。
【0091】
各穴のDNA濃度は、100μlのPICOGREEN定量試薬(1×TEに溶解した0.25% v/v; (Molecular Probes, Eugene OR)) 及び0.5μlの希釈していないPCR産物を、DNAがその試薬と結合できるように不透明な蛍光計プレート(Corning Costar, Acton MA)の各穴に分注して決定する。このプレートをFluoroskan II (Labsystems Oy, Helsinki, Finland)でスキャンしてサンプルの蛍光を測定し、DNAの濃度を定量する。反応混合液の5〜10μlのアリコットを1%のアガロースミニゲル上で電気泳動させて分析し、どの反応がより長い配列の伸長に成功したかを決定する。
【0092】
伸長した配列を脱塩及び濃縮してから384穴プレートに移し、CviJIコレラウィルスエンドヌクレアーゼ(Molecular Biology Research, Madison WI)で消化し、pUC 18ベクター(Amersham Pharmacia Biotech)に再連結する前に音波処理または別の方法で切断した。ショットガンシークエンシングのために、消化したヌクレオチドを0.6〜0.8%の濃度のアガロースゲル上で分離させ、断片を切断し、寒天をAGARACE (Promega)で消化した。T4リガーゼ(New England Biolabs, Beverly MA)を用いて伸長したクローンをpUC 18ベクター(Amersham Pharmacia Biotech)に再連結し、Pfu DNAポリメラーゼ(Stratagene)で制限部位の延び出しを処理してから、コンピテント大腸菌細胞に形質転換した。形質転換細胞を抗生物質を含む培地で選択し、それぞれのコロニーを取り出して、LB/2Xカルベニシリン培養液の入った384穴プレートで、37℃で一晩培養した。
【0093】
この細胞を溶解して、Taq DNAポリメラーゼ(Amersham Pharmacia Biotech)及びPfu DNAポリメラーゼ(Stratagene)を用いて以下の手順でDNAを増幅した。
ステップ1 94℃で3分間
ステップ2 94℃で15秒
ステップ3 60℃で1分間
ステップ4 72℃で2分間
ステップ5 ステップ2、3、及び4を29回繰り返す
ステップ6 72℃で5分間
ステップ7 4℃で保管。
上記したようにPICOGREEN試薬(Molecular Probes)でDNAを定量した。DNA回収率の悪いサンプルは、上記した条件で再び増幅した。サンプルを20%のジメチルサルホサイド(dimethysulphoxide)(1:2, v/v)で希釈し、DYENAMICエネルギー転移シークエンシングプライマーとDYENAMIC DIRECTキット(Amersham Pharmacia Biotech)若しくはABI PRISM BIGDYE ターミネーターキット(Applied Biosystems)を用いてシークエンシングした。
【0094】
7 標的ポリヌクレオチドのための mRNA
標的ポリヌクレオチドを準備するためのmRNAまたは組織は、Biochain Institute (San Leandro CA)、International Institute for Advanced Medicine (Exeter PA)、およびOncormed (Gaithersburg MD)から入手した。RNAは、上記した抽出プロトコルおよび精製手順で組織サンプルから抽出した。
【0095】
8 マイクロアレイの準備、標的の標識化、ハイブリダイゼーション分析
基板の準備
プローブポリヌクレオチドは、インサートに隣接したベクター配列に相補的なプライマーを用いてPCRを30サイクル行って細菌ベクターから増幅し、SEPHACRYL−400ビーズ(Amersham Pharmacia Biotech)で精製した。精製したポリヌクレオチドを、スライドガラス(Corning Science Products, Corning NY)上に機械的に配置した。このスライドガラスは、0.05%のアミノプロピルシラン(Sigma−Aldrich)で予めコーティングして硬化されたものである。マイクロアレイをSTRATALINKER UVクロスリンカー(Stratagene)でUV照射した。
【0096】
標的の準備
表2に示されているそれぞれのmRNAを、標準的なプロトコルに従ってdCTP−Cy3またはdCTP−Cy5 (Amersham Pharmacia Biotech)の存在下でNMLV逆転写酵素を用いて逆転写した。37℃でインキュベートした後、0.5 M水酸化ナトリウムで反応を停止させ、85℃にしてRNAを分解した。標的ポリヌクレオチドを、CHROMASPIN 30カラム(Clontech, Palo Alto CA)およびエタノール沈殿で精製した。
【0097】
ハイブリダイゼーション
Cy3およびCy5のそれぞれで標識した標的ポリヌクレオチド各0.2 mgを含むハイブリダイゼーション混合液を65℃に加熱し、UNIGEM Vマイクロアレイ(Incyte Genomics)の表面に分注した。このマイクロアレイをカバーガラスで覆い、60℃でインキュベートした。マイクロアレイを、45℃、中程度のストリンジェンシーの緩衝液(1xSSCおよび0. 1% SDS)および高ストリンジェンシーの緩衝液(0.1xSSC)で連続洗浄してから乾燥させた。
【0098】
検出
共焦点レーザー顕微鏡を用いて、蛍光標識したハイブリダイゼーション複合体を検出した。励起波長は、Cy3に対しては488 nm、Cy5に対しては632 nmとした。各蛍光体に付き1回スキャンし、それぞれのアレイを2回スキャンした。Cy3およびCy5の最大発光波長はそれぞれ、565 nmおよび650 nmとした。発光した光は波長によって、2つの光電子増倍管に分離した。光電子増倍管の出力がディジタル化されてイメージとして表示される。信号の強度が、リニア20色変換(linear 20 color transformation)を用いて強い信号を表す赤と弱い信号を表す青で表される。各プローブに対する蛍光信号をまとめて、GEMTOOLS発現分析ソフトウエア(Incyte Genomics)を用いてその信号強度に対応する数値を算出する。
【0099】
9 データの分析および結果
UNIGEM Vマイクロアレイ上の7,075の遺伝子の内、3,627すなわち51%の遺伝子が30全てのサンプルにおいて有意なレベルで発現した。信号とバックグラウンドの比率が2.5を超え、かつ両方のプローブに対してハイブリダイゼーション領域が40%を超えた場合を有意性があるとした。全てのデータを変換して、様々な遺伝子発現値を2を底とする対数で表すようにした。
【0100】
分散分析( ANOVA )
それぞれの遺伝子に対して、群の変数として組織の種類を用いてANOVA分析を行った。既知の種類に属するサンプルにおける測定値がそれらの種類に関連するか否かをANOVAで調べた。ANOVAは、組織種類間の分散(Vb)と組織種類内の分散(Vw)とを比較する。VbをVwで除した比率(F比)を、等しい自由度(DF)の集団を調べるためにF分布表と比べ、F比の確率が得られる。
【0101】
ANOVA 計算
【0102】
【数1】
【0103】
ここで、Xiはサンプル個々の値、Xgは種類の平均値、Nはサンプルの個数、kは種類の数、Ngは種類におけるサンプルの個数、XTは集団の平均値である。
【0104】
帰無仮説によれば、サンプル間の測定値のばらつきが偶然の一致のみによる場合、種類内の分布および種類間のばらつきは等しい。従って、遺伝子発現と組織の種類との間に有意な関連がない場合は、ANOVAによって得られる確率は1に等しい。逆に、遺伝子発現と組織の種類との関連性が高い場合は、サンプル間の分散の幅が種類間の分散の幅より著しく大きいため、ANOVAによって得られる確率が小さい。表3に示されている340の遺伝子のデータを用いて表4を作成した。表4は、ANOVA確率値が10−5以下のアノテーションから選択された各遺伝子を示す。
【0105】
遺伝子アノテーション
選択基準を組織種類内の測定値の分散幅の小さいものとしたため(上述)、これらの測定値を要約して各組織種類内の測定値の平均とすることができる。さらに、各遺伝子における組織種類間の差異を強調するために、ある組織の平均と全ての組織の平均との差を計算した。その式および値を表5に示した。
【0106】
これらの平均値との差から、平均値との差が最も大きい組織をその遺伝子の第1の関連組織とした。平均値との差が少なくとも1.5以上ある組織をある遺伝子の関連組織とした。可能な場合は、平均値との差が2番目、3番目、および4番目に大きい組織をそれぞれ、第2の関連組織、第3の関連組織、および第4の関連組織とした。
【0107】
10 本ポリヌクレオチドおよび本タンパク質と特異的に結合する分子のスクリーニング
本ポリヌクレオチドまたはそれらの断片、および本タンパク質およびそれらの一部をそれぞれ、32P−dCTP、Cy3−dCTP、Cy5−dCTP (Amersham Pharmacia Biotech)、またはBIODIPYまたはFITC (Molecular Probes)で標識する。基板上に予め配置した候補分子または候補化合物を、標識した核酸またはアミノ酸の存在下でインキュベートする。ポリヌクレオチド若しくはタンパク質の何れかが結合する条件下でインキュベートした後、基板を洗浄し、特異的な結合または複合体の形成を示す標識が残っている基板上の全ての位置をアッセイする。結合した分子は、配置された基板上の位置によって同定される。異なった濃度の核酸またはタンパク質で得たデータを用いて、標識した核酸若しくはタンパク質と分子との親和性を計算する。小容量のアッセイで極めて少量の検査化合物を用いたハイスループットのスクリーニング方法の全てが、Burbaum他による米国特許第5,876,946号に記載されている。
【0108】
本明細書で言及した全ての特許および文献は、言及することを以って本明細書の一部とする。当業者であれば、本発明の範囲および概念から逸脱することなく、本発明の上述の方法およびシステムの様々な変更が可能であることを理解できよう。本発明は特定の好適な実施例を用いて説明してきたが、請求の範囲が特定の実施例によって不当に制限されるものではないことを理解されたい。実際に、本発明を実施するために記載した方法の様々な変更は、分子生物学および関連分野の技術者には明白であり、上記の請求の範囲に含まれるものとする。
【0109】
(配列表および表の簡単な説明)
本願の開示のある部分は、著作権保護が適用される資料を含む。この著作権の所有者は、米国特許局で閲覧できる特許となった出願書類や記録などの任意の特許書類や特許の開示のFAXによる複製には異論はないが、その他については著作権を行使する。
【0110】
配列表は、様々なcDNAクローンのインサートのシークエンシングおよび伸長によって得たポリヌクレオチドを編集したものである。各配列は、配列識別番号(SEQ ID NO若しくはSEQ ID)または由来するクローン番号(インサイト社ID)によって識別される。
【0111】
表1の各列は左からそれぞれ、断片の配列識別番号(SEQ ID)、およびそのcDNA識別番号、伸長したポリヌクレオチドのSEQ ID、およびそのcDNA識別番号、組織名、GenBankにおける相同ポリヌクレオチドの少なくともある断片に関連する説明を示す。これらの説明は、配列表の配列を用いてBLAST分析で入手した。
【0112】
表2は、UNIGEM Vマイクロアレイ(Incyte Genomics Palo Alto CA)にハイブリダイズさせるための標的ポリヌクレオチドを作製するために用いたRNAの由来を示す。各列はそれぞれ、各ドナーの分かっている由来番号、組織、年齢、人種/性、死因、病態または疾患を示す。
【0113】
表3は、実験に用いた各組織における各クローンのデータを示す。各列は、クローンIDおよび由来番号の付いた組織を示す。組織には、心臓、骨格筋、子宮、胃、小腸、肺、肝臓、腎臓、膵臓、脾臓、および脳の組織が含まれる。これらのデータは、GEMTOOLSソフトウエア(Incyte Genomics)を用いて作成した。
【0114】
表4は、データの分散分析(ANOVA)を表す。各列は、クローンID、Var. Betw(組織間の分散)、Var. Within(組織内の分散)、F(値)、および確率が示されている。これらの値は、バッチANOVA (Sokal and Rohlf (1969) Biometry ; the Principles and Practice of Statistics in Biological Research, WH Freeman, San Francisco CA) 及びエクセル98 ソフトウエア(Microsoft, Seattle WA)を用いて作成した。
【0115】
表5は、組織にわたるポリヌクレオチドの細胞特異性および組織特異性を示す。この組織の中には、心臓、骨格筋、子宮、胃、小腸、肺、肝臓、腎臓、膵臓、脾臓、および脳の組織が含まれる。細胞および組織特異的なグループは、平均値{平均(組織)−平均(セット全体)}を用いて作成し、グループ分けにはエクセル98ソフトウエア(Microsoft)を用いた。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
【表22】
【表23】
【表24】
【表25】
【表26】
【表27】
【表28】
【表29】
【表30】
【表31】
【表32】
【表33】
【表34】
【表35】
【表36】
【表37】
【表38】
【表39】
【表40】
【表41】
【表42】
【表43】
【表44】
【表45】
【表46】
【表47】
【表48】
【表49】
【表50】
【表51】
Claims (19)
- SEQ ID NO:1−416から選択された複数の細胞および組織に特異的なポリヌクレオチドまたはそれらの相補配列。
- (a)心臓の細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:209−218およびそれらの断片であるSEQ ID NO:1−10と、
(b)骨格筋細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:219−249およびそれらの断片であるSEQ ID NO:11−41と、
(c)子宮細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:250−251およびそれらの断片であるSEQ ID NO:42−43と、
(d)卵巣細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:252−256およびそれらの断片であるSEQ ID NO:44−48と、
(e)胃の細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:257−263およびそれらの断片であるSEQ ID NO:49−55と、
(f)腸の細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:264−283およびそれらの断片であるSEQ ID NO:56−75と、
(g)肺細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:284−293およびそれらの断片であるSEQ ID NO:76−85と、
(h)肝細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:294−345およびそれらの断片であるSEQ ID NO:86−137と、
(i)腎細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:346−356およびそれらの断片であるSEQ ID NO:138−148と、
(j)膵臓細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:357−374およびそれらの断片であるSEQ ID NO:149−166と、
(k)脳細胞に特異的なポリヌクレオチドであるSEQ ID NO:375−416およびそれらの断片であるSEQ ID NO:167−208とからなるグループの少なくとも1つから選択されることを特徴とする請求項1に記載のポリヌクレオチドのサブセット。 - 前記ポリヌクレオチドが基板に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
- サンプルにおける或るポリヌクレオチドの発現を検出するためのハイスループットの方法であって、
(a)ハイブリダイゼーション複合体が形成される条件下で、請求項1のポリヌクレオチドと前記サンプルの前記核酸とをハイブリダイズするステップと、
(b)そのハイブリダイゼーション複合体を検出するステップとを含み、
前記ハイブリダイゼーション複合体の存在が、前記サンプルにおける前記ポリヌクレオチドの発現を示唆することを特徴とする検出方法。 - ハイブリダイゼーションの前に前記サンプルの前記核酸を増幅することを特徴とする請求項4に記載の方法。
- ハイブリダイゼーション複合体の形成が、脳、心臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、または膵臓の組織からなる群から選択された組織への胚性幹細胞の分化を示唆することを特徴とする請求項4に記載の方法。
- 分子または化合物をスクリーニングしてリガンドを同定するハイスループットの方法であって、
(a)特異的な結合が許容される条件下で、請求項1のポリヌクレオチドを分子または化合物と結合させるステップと、
(b)特異的な結合を検出して、前記組成物に特異的に結合するリガンドを同定するステップとを含むことを特徴とする方法。 - 前記分子または化合物が、DNA分子、RNA分子、ペプチド核酸、擬態、ペプチド、およびタンパク質から選択されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
- SEQ ID NO:212、228、233、259、271、287、316−319、324、370、379、380、383、410、および412、またはそれらの断片から選択され単離されたポリヌクレオチド。
- 前記断片がそれぞれ、SEQ ID NO:4、20、25、51、63、79、108−111、116、162、171、172、175、202、および204であることを特徴とする請求項9に記載のポリヌクレオチド。
- 請求項9に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
- 請求項11に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
- タンパク質を生産する方法であって、
(a)タンパク質が発現する条件下で、請求項12に記載の宿主細胞を培養するステップと、
(b)培養した前記宿主細胞から前記タンパク質を回収するステップとを含むことを特徴とするタンパク質の生産方法。 - 請求項13に記載の方法によって生産されたタンパク質。
- 分子または化合物のライブラリをスクリーニングして、或るタンパク質に特異的に結合する少なくとも1つのリガンドを同定するハイスループットの方法であって、
(a)特異的な結合が許容される条件下で、請求項14のタンパク質を前記ライブラリと結合させるステップと、
(b)前記タンパク質と分子または化合物との間の特異的な結合を検出して、前記タンパク質に特異的に結合するリガンドを同定するステップとを含むことを特徴とする方法。 - 前記ライブラリが、DNA分子、RNA分子、ペプチド核酸、擬態、ペプチド、タンパク質、アゴニスト、アンタゴニスト、抗体またはそれらの断片、免疫グロブリン、インヒビター、薬物成分、および薬剤から選択されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
- サンプルからリガンドを精製する方法であって、
(a)特異的な結合が許容される条件下で、請求項14のタンパク質をサンプルと結合させるステップと、
(b)その結合したタンパク質を回収するステップと、
(c)前記タンパク質を前記リガンドから単離して、精製されたリガンドを得るステップとを含むことを特徴とする方法。 - 請求項14に記載のタンパク質および医薬用担体を含む組成物。
- 請求項14に記載のタンパク質に特異的に結合する精製された抗体。
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