JP5300822B2 - ポンプ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば自動車の油圧パワーステアリング装置の油圧源として用いられるポンプ装置に関する。
自動車の油圧パワーステアリング装置に適用される従来のポンプ装置としては、例えば以下の特許文献1に記載されたものが知られている。
概略を説明すれば、このポンプ装置は、電磁弁によって構成される可変オリフィスの開度を調整することによってポンプ吐出流量を制御するようになっている。ここで、前記電磁弁には、非操舵時に前記可変オリフィスの流路断面積が最小となるように、すなわち当該可変オリフィスを構成するスプール弁が最後退状態となるように当該スプール弁を後退方向へと常時付勢するスプリングが配設されており、操舵時には、電磁力によって進出移動するアーマチュアが前記スプリングのばね力に抗してスプール弁を押圧移動させることで前記可変オリフィスの流路断面積を拡大させ、これによってポンプ吐出流量が増大する構造となっている。
特開2010−190071号公報
ところで、前記スプリングは、その性質上、特に入力荷重の低い低荷重領域では、入力荷重と撓み変位量の関係(以下、「ばね特性」という。)が安定せず、撓み変位量のばらつきが大きくなってしまうが、かかる点について、前記従来のポンプ装置では何ら考慮されていない。このため、前記従来のポンプ装置にあっては、前記スプール弁の良好な位置制御を行うことができず、ポンプ吐出流量にばらつきを生じるおそれがある。
本発明は、かかる技術的課題に鑑みて案出されたものであって、ポンプ吐出流量のばらつきを抑制し得るポンプ装置を提供するものである。
本発明は、とりわけ、アーマチュアと弁体とによって構成される可動部材が、その両端側に対向配置される第1スプリング及び第2スプリングによって付勢されるように構成したことを特徴としている。
本発明によれば、第1、第2スプリングにより相互のばね特性が安定しない領域を相殺することができるため、可動部材の良好な位置制御が可能となり、ポンプ吐出流量のばらつきの抑制に供される。
本発明に係るポンプ装置のシステム構成図である。 図1に示す電磁弁の構成を示す図であってアーマチュアが最も後退した状態を表す当該電磁弁の縦断面図である。 図1に示す電磁弁の構成を示す図であってアーマチュアが最も進出した状態を表す当該電磁弁の縦断面図である。 アーマチュアの変位量と第1、第2スプリングにそれぞれ作用する荷重の関係を表すグラフである。 コイルへの通電量に応じたアーマチュアの変位量と第1、第2スプリングの付勢力のつり合いの関係を表すグラフである。
以下に、本発明に係るポンプ装置の実施形態を、図面に基づいて詳述する。なお、下記の実施形態では、このポンプ装置を、従来と同様に、自動車の油圧パワーステアリング装置に適用したものを示している。
図1は、本発明に係るポンプ装置と当該ポンプ装置が適用される油圧パワーステアリング装置の概略を表した図である。
すなわち、本発明に係るポンプ装置(以下、単に「ポンプ」という。)10が適用されるパワーステアリング装置1は、一端側がステアリングホイールSWと一体回転可能に連係され、運転者からの操舵入力を行う入力軸2と、一端側が後記のラック・ピニオン機構4を介して図外の転舵輪に連係されると共に、他端側が入力軸2の他端側にて図外のトーションバーを介して相対回転可能に連結され、入力軸2からの操舵入力に基づく前記トーションバーの捩れ変形の反力により操舵出力を行う出力軸3と、該出力軸3と転舵輪との間に介装され、その内部に隔成された後記の一対の圧力室P1,P2に作用する液圧に基づき出力軸3の操舵出力をアシストするパワーシリンダ5と、該パワーシリンダ5に供給するための作動液を貯留するリザーバタンク6と、該リザーバタンク6内に貯留された作動液を吸い上げ、これをパワーシリンダ5内の一対の圧力室P1,P2へと圧送するポンプ10と、前記トーションバーの捩れ変形により入力軸2と出力軸3とが相対回転することによって開閉し、この両軸2,3の相対回転量(前記トーションバーの捩れ量)に応じてパワーシリンダ5に供給する作動液の流量を制御するコントロールバルブ7と、から主として構成されている。
前記ラック・ピニオン機構4は、出力軸3の一端部外周に形成された図外のピニオン歯と当該出力軸3の一端部にほぼ直交するように配置されるラック軸8の軸方向の所定範囲に形成される図外のラック歯とが噛合してなるもので、出力軸3の回転方向に応じてラック軸8が図1中の左右方向へ移動するようになっている。そして、このラック軸8が左右方向へ移動することで、該ラック軸8の両端に連係された図外のナックルが押し引きされて、これによって前記転舵輪の向きが変更されることとなる。
前記パワーシリンダ5は、ほぼ円筒状に形成されたシリンダチューブ5aにピストンロッドとしてのラック軸8が軸方向に沿って貫装され、該ラック軸8の外周に固定された図外のピストンによってシリンダチューブ5a内に一対の圧力室である第1圧力室P1及び第2圧力室P2が隔成されている。そして、これらの圧力室P1,P2に作用する液圧に基づいてラック軸8に対する推進力が発生し、これによって操舵出力がアシストされるようになっている。具体的には、前記両圧力室P1,P2が第1〜第4配管9a〜9dをもってコントロールバルブ7を通じてリザーバタンク6及びポンプ10に接続されていて、コントロールバルブ7を介してポンプ10から吐出された作動液を前記両圧力室P1,P2の一方の圧力室へと選択的に供給すると共に、他方の圧力室内の作動液をリザーバタンク6へと還流するようになっている。
前記ポンプ10は、いわゆる可変容量形ベーンポンプであって、内部にほぼ円柱状の空間であるポンプ要素収容部11aを有するポンプハウジング11と、該ポンプハウジング11に回転自在に支持され、図外のエンジンによる駆動力をもって回転駆動される駆動軸12と、ポンプ要素収容部11a内に収容配置され、駆動軸12によって図1中の反時計方向に回転駆動されることで作動液を吸入すると共に吸入した作動液を吐出するといったポンプ作用を行うポンプ要素13と、ポンプ要素収容部11a内にてポンプ要素13の外周側に駆動軸12の軸心に対し偏心(移動)可能に設けられ、この偏心量に基づいてポンプ要素13の1回転あたりの吐出流量である固有吐出量を可変にするほぼ円環状のカムリング14と、ポンプハウジング11内に設けられ、内部に摺動自在に配置された弁体15aの軸方向位置に基づいて後記の第1、第2流体圧室21a,21bの差圧を変化させることによりカムリング14の偏心量を制御する制御弁15と、ポンプハウジング11に取り付け固定され、後記の電子コントローラ30から出力される制御電流に基づいて後記の第1、第2圧力室15b,15cの差圧を変化させることにより前記固有吐出量を制御する電磁弁16と、を備えている。
前記ポンプ要素13は、カムリング14の内周側に回転自在に収容配置され、駆動軸12によって回転駆動されるロータ17と、該ロータ17の外周部に径方向へ沿って放射状に切欠形成された複数のスロット内にそれぞれ出没自在に収容保持され、ロータ17の回転時に外方へ飛び出してカムリング14の内周面に摺接することでカムリング14とロータ17の間に形成される空間に複数のポンプ室20を隔成するほぼ矩形板状のベーン18と、から構成されている。
前記カムリング14は、外周部に切欠形成された横断面ほぼ半円状の支持溝を介して揺動支点ピン22により支持され、該揺動支点ピン22を支点として図1中の左右方向へ揺動自在となっている。そして、このカムリング14が同図中の左右方向へと揺動することによって前記各ポンプ室20の容積が増減し、これによって、ポンプ吐出流量(固有吐出量)が変化するようになっている。また、カムリング14の外周側には、揺動支点ピン22と径方向においてほぼ対向する位置にシール部材23が配置されており、このシール部材23と揺動支点ピン22とによって、当該カムリング14の外周側において、このカムリング14の揺動制御に供する図1中の左側の第1流体圧室21aと右側の第2流体圧室21bとが隔成されている。そして、このカムリング14は、第2流体圧室21b内に配置されたコイルばね24によって第1流体圧室21a側、つまりカムリング14の偏心量が最大となる側に常時付勢されている。
前記制御弁15は、ポンプハウジング11の内部に形成された弁穴11b内に摺動自在に収容された弁体15aによって当該弁穴11b内が図1中の左側の第1圧力室15bと右側の第2圧力室15cとに隔成されている。そして、第1圧力室15bには電磁弁16の上流側の液圧が作用し、第2圧力室15cには電磁弁16の下流側の液圧が作用するようになっている。すなわち、吐出側のポンプ室20に接続される吐出通路25が第1吐出通路25aと第2吐出通路25bとに分岐形成されていて、第1吐出通路25aは第1圧力室15bに接続され、該第1圧力室15bには吐出圧が作用するようになっている一方、第2吐出通路25bはその途中に配置された電磁弁16の下流側において外部に開口すると共に第2圧力室15cに接続され、該第2圧力室15c及び外部には電磁弁16において減圧された液圧が作用するようになっている。かかる構成から、弁体15aが図1中の左側に位置する場合には、第1流体圧室21aには吸入圧である低圧が導入されることによって、カムリング14はコイルばね24のばね力により押圧されて最大偏心状態に保持される一方、弁体15aが同図中の右側に位置する場合には、第1流体圧室21bには吐出圧である高圧が導入されることによって、カムリング14はコイルばね24のばね力に抗して偏心量が減少する方向へと移動することとなる。
前記電磁弁16は、車載されたECUである電子コントローラ30(本発明に係る操舵速度取得手段に相当)に接続されていて、該電子コントローラ30に入力される操舵角や車速、エンジン回転数等の各情報に基づき第2吐出通路25bの流路断面積を変化させて当該電磁弁16の上流側と下流側との差圧、つまり制御弁15における前記両圧力室15b,15cの差圧を可変制御することによって当該制御弁15の弁体15aの軸方向位置を制御し、これによりカムリング14の偏心量を制御することで、前記固有吐出量が制御されることとなる。
前記電子コントローラ30は、車載のバッテリ31からイグニッションスイッチ32を介して電力が供給されるようになっていると共に、当該電子コントローラ30には、運転者による操舵角を検出する舵角センサ33、車両速度を検出する車速センサ34及びエンジンの回転数を検出するエンジン回転センサ35が接続されていて、該各センサ33,34,35からの情報が入力されるようになっている。そして、これら各センサ33,34,35からの情報に基づいて算出されたPWMデューティをもって、電磁弁16が駆動されることとなる。
図2及び図3は、電磁弁の構造を示す縦断面図である。なお、図2は後記の可変オリフィス60の流路断面積が最小となる状態を、図3は後記の可変オリフィス60の流路断面積が最大となる状態を、それぞれ表している。
すなわち、この電磁弁16は、ポンプハウジング11に外部から穿設されて底部側において第2吐出通路25bの下流端側に接続されたバルブボディ収容孔11cに嵌挿され、第2吐出通路25bの一部を構成するほぼ筒状のバルブボディ41と、該バルブボディ41の内周側に軸方向へ摺動自在に収容された弁体42と、一端部がポンプハウジング11に取付固定され、他端部内周側に一端側へと延出する円筒状の第1コア51を有する磁性材からなるケーシング43と、該ケーシング43の一端側内周に収容固定され、第1コア51と対向する端部側に当該第1コア51と対峙するように突設された円筒状の第2コア52を有する磁性材からなるコア部材44と、ケーシング43の他端側内周に収容され、前記両コア51,52に対し軸方向に跨るように外嵌する円筒状のコイルユニット45と、第1コア51の内周側に軸方向移動可能に収容され、第2コア52と対峙するように配置された磁性材からなるアーマチュア46と、コイルユニット45の内周側において前記両コア51,52を接続すると共に、その内周部においてアーマチュア46を摺動自在に支持する非磁性材からなるスリーブ47と、アーマチュア46に固定され、第2コア52の内周部を通じ弁体42側へ延出する非磁性材からなるロッド48と、ケーシング43の他端部に貫通形成された後記のプラグ収容孔60内に軸方向移動可能に収容される封止部材たるプラグ49と、該プラグ49とアーマチュア46との軸方向間に介装され、該アーマチュア46を第2コア52側へと付勢する第1スプリング61と、バルブボディ41と弁体42との軸方向間に介装され、該弁体42を第1コア51側へと付勢する第2スプリング62と、を備えている。
なお、前記両スプリング61,62をもって弁体42とアーマチュア46とはロッド48を介して一体となって移動可能に構成され、かかる一体移動可能に設けられた弁体42とアーマチュア46とによって本発明に係る可動部材が構成されている。
前記バルブボディ41は、例えばステンレスやアルミニウム等の非磁性材料によって形成されてなり、一端側がバルブボディ収容孔11c内に収容される一方、他端側がコア部材44に設けられた後記のバルブ収容部44b内に収容されると共に当該バルブ収容部44bの孔縁にカシメ固定されている。そして、このバルブボディ41の一端側には、第2吐出通路25bのバルブボディ収容孔11cより下流側の通路(以下、「下流側通路」と称す。)54に臨む位置に、環状の括れ部41aが縮径形成されていて、この括れ部41aとバルブボディ収容孔11cとの間に外側環状通路55aが画成されている一方、その内周部にも、前記括れ部41aに対応する軸方向位置に、環状の切欠溝41bが設けられていて、この切欠溝41bと弁体42との間に内側環状通路55bが画成されている。さらに、前記括れ部41a及び切欠溝41bが設けられたバルブボディ41の周壁には、バルブボディ41の内外周を連通することにより第2吐出通路25bの一部を構成する複数の通路構成孔56が、周方向の所定位置に径方向へ沿って貫通形成されていて、当該各通路構成孔56によって前記両環状通路55a,55bが相互に連通するようになっている。
また、前記バルブボディ41の他端側内周には、第2スプリング62が収容保持されるスプリング保持部41cが、段部41dを介して段差状に拡径形成されている。これにより、弁体42の他端側に外挿される第2スプリング62の一端が段部41dに着座しつつ、軸方向のほぼ全体がスプリング保持部41c内に収容保持されるようになっている。
前記弁体42は、例えばステンレスやアルミニウム等の非磁性材料によって形成されてなり、一端が開口形成されて他端が閉塞されたほぼ円筒状を呈し、その内周側に、第2吐出通路25bのバルブボディ収容孔11cよりも上流側の通路(以下、「上流側通路」と称す。)53に臨む内部通路57が構成されている。そして、この弁体42の一端側周壁には、当該弁体42の軸方向位置によらず全体が内側環状通路55bと常にオーバーラップするように設けられて固定オリフィスとして機能する複数の第1弁孔58と、当該弁体42の軸方向位置に応じて内側環状通路55bに対するオーバーラップ量(開口面積)が変化するように設けられ、この内側環状通路55bとの間で可変オリフィス60を構成する複数の第2弁孔59と、がそれぞれ周方向の所定位置に径方向に沿って貫通形成されている。かかる構成によって、両図中に矢印で示すように、上流側通路53からバルブボディ収容孔11c内へと流入した作動液は、内部通路57から前記各弁孔58,59を通じて内側環状通路55bへと流入し、該内側環状通路55bから前記各通路構成孔56を介して外側環状通路55aへ流入した後、該外側環状通路55aから下流側通路54を介して第2圧力室15cないし外部へと導かれることとなる。
ここで、前記各第2弁孔59の前記各通路構成孔56とのオーバーラップ量に基づく可変オリフィス60の流路断面積は、後述するような非操舵状態では、図2に示すように、弁体42がほぼ最後退して、当該各第2弁孔59がバルブボディ41の内周部に設けられたランド部41eによってほとんど閉塞され、当該可変オリフィス60の流路断面積が最小となる。一方で、後述するような操舵状態のうち最も操舵アシスト力が必要な状態(後記の最大制御電流I5が通電された状態)では、図3に示すように、弁体42が最進出して、第2弁孔59が全開となり、当該可変オリフィス60の流路断面積が最大となる。
前記弁体42の他端部には、段差状に拡径形成されたフランジ部42aが設けられていて、このフランジ部42aの内側部に第2スプリング62の他端が着座するようになっている。このような構成に基づき、弁体42は、第2スプリング62によってアーマチュア46側へと常時付勢されて、コア部材44に有する後記のロッド挿通孔44eを介して後記のバルブ収容部44bへと臨むロッド48の一端に弾接するようになっている。また、弁体42の他端側周壁には、後記のバルブ収容部44bに臨む所定の軸方向位置に、当該弁体42の内外周を連通する、つまり内部通路57と後記の第1背圧室R1とを連通する連通孔42bが、径方向に沿って貫通形成されており、これによって内部通路57を流通する作動液の一部をバルブ収容部44b内へと逃がすようになっている。
前記ケーシング43は、例えば鉄等の磁性金属材料によって形成され、その一端部に拡径状に形成されたフランジ部43aを介してポンプハウジング11に図外の複数のボルトによって取付固定されている。そして、このケーシング43の一端側内周には、コア部材44の一端側に設けられた基部44aの外径とほぼ同一の内径に設定された当該コア部材44の保持固定に供するコア部材保持部43bが形成されていて、このコア部材保持部43b内にコア部材44の基部44aが挿入・カシメされることにより、該コア部材44がケーシング43に保持固定されるようになっている。一方で、このケーシング43の他端側内周には、コア部材保持部43bに対し段部43cを介して段差縮径状に形成され、コイルユニット45の外径よりも若干大きい内径に設定されたコイルユニット収容部43dが形成されていて、このコイルユニット収容部43d内に、その内周面から所定の径方向隙間を空けるかたちでコイルユニット45全体が収容されている。
前記第1コア51は、ケーシング43の他端部内側面からコア部材44側へ向かって軸線方向に沿って突出形成されることにより、当該ケーシング43に一体形成されている。また、この第1コア51は、その外径がコイルユニット45(後記のボビン45a)の内径より僅かに小さく設定されていて、コイルユニット45の内周側に収容されると共に、その収容状態において当該コイルユニット45との間に微小の径方向隙間(サイドギャップ)が形成されるようになっている。そして、この第1コア51の内周側には、スリーブ47に係る後記の小径部47bを収容保持するスリーブ保持部51aが形成されており、該スリーブ保持部51aをもって、その内周側のスリーブ47と一緒にコイルユニット45に発生した磁界の磁路を構成しつつ、当該スリーブ47(小径部47b)を介してアーマチュア46を摺動自在に支持するようになっている。さらに、この第1コア51の基端部には、段差径状に形成された軸方向孔たるプラグ収容孔43bが軸線方向に沿って貫通形成されている。このプラグ収容孔43bには、その内端側に構成された小径部に、プラグ49の先端側外周部に有する雄ねじ部49aが螺合する雌ねじ部60aが形成されていて、かかる構造によって、プラグ49の軸方向位置を、前記雄ねじ部49aの軸方向範囲内で自由に変更することが可能となっている。
前記コア部材44は、例えば鉄等の磁性金属材料によって形成されてなり、一端側の基部44aに対して他端側の第1コア51が段差状に縮径形成されていて、基部44aの外側面がポンプハウジング11の外側面に当接すると共に基部44aの内側面がケーシング43の段部43c及びコイルユニット45の一端面(コア部材44側の端面)に当接するかたちで、第1コア51の軸方向全体がコイルユニット45内周側に収容され、かつ、基部44aの軸方向全体がコア部材収容部43b内周側に収容保持される構成となっている。さらに、前記基部44aの内周側には、該基部44aの外側面に開口形成され、バルブボディ41の他端部と一緒に弁体42の他端部を収容するバルブ収容部44bが穿設されていて、このバルブ収容部44bの底部側には、当該バルブ収容部44bと弁体42の他端面との間に、連通孔42bを通じ内部通路57を流通する作動液の一部が導入される第1背圧室R1が画成されている。
前記第2コア52は、コア部材44の内側部に一体形成され、基部44aの内側面において第1コア51と同軸となるように突出形成されている。ここで、この第2コア52は、第1コア51よりも若干小さい外径に設定されることで、その外周に嵌着されるスリーブ47と共にコイルユニット45の内周側に収容されて、その収容状態において、コイルユニット45(後記のボビン45a)とスリーブ47との間に、微小の径方向隙間(サイドギャップ)が形成されるようになっている。
また、前記第2コア52の先端中央部に、これに対向するアーマチュア46の一端部に対応する形状に設定された凹部52aが穿設されている。この凹部52aは、後記のコイル45bへの後述するスタンバイ電流I0の通電時に、当該第2コア52とアーマチュア46との軸方向間にいわゆるエアギャップ(メインギャップ)を形成する一方、後記のコイル45bへの前記スタンバイ電流I0よりも大きい制御電流の通電時には、当該通電によって発生した磁気吸引力により当該第2コア52に引きつけられたアーマチュア46の一端部が当該凹部52aに嵌合状態に収容され、その内側壁によってアーマチュア46の径方向移動が規制されるようになっている。さらに、かかる第2コア52の先端部外周には、円錐状のテーパ部52bが設けられていて、該テーパ部52bによってアーマチュア46の移動に伴う磁気吸引力の変化が抑制され、当該磁気吸引力を一定とする特性が維持されるようになっている。
また、前記第2コア52の先端側内周部には、ロッド48の一端側をバルブ収容部44bへ臨ませるロッド挿通孔52cが軸線方向に沿って貫通形成されている。このロッド挿通孔52cは、ロッド48の外径より若干大きい内径に設定されていて、弁体42の軸方向移動に際して、当該ロッド挿通孔52cを通じて第1背圧室R1内に充填された作動液をメインギャップ側へ逃がすことが可能となっており、これによって、当該作動液中における弁体42の軸方向移動が確保されている。ここで、ロッド挿通孔52cの内周部には、樹脂材等からなる円筒状のスリーブ50が嵌挿されていて、このスリーブ50によってロッド48の軸方向移動の円滑化が図られている。
前記コイルユニット45は、第1、第2コア51,52に跨るように軸方向に沿って延設され、コア部材44と対向する一端側が第2コア52外周に嵌着されるスリーブ47の一端側に外嵌すると共に、他端側が第1コア51に外嵌するボビン45aと、該ボビン45aの外周面に巻回されたコイル45bと、から主として構成されており、コイル45bは、図外のハーネスを介して電子コントローラ30に接続されている。
前記アーマチュア46は、例えば鉄等の磁性金属材料により形成されてなり、第1コア51(スリーブ保持部51a)の内径よりも若干小さい外径を有する円筒状を呈し、スリーブ保持部51a内において第1コア51とほぼ同軸上に配置されている。また、このアーマチュア46の内周部には、ロッド48との連結に供するロッド連結孔46aが軸線方向に沿って貫通形成されていて、該ロッド連結孔46a内にロッド48の他端側が挿入・カシメされることでアーマチュア46とロッド48とが連結され、これらの両部材46,48が一体的に移動可能な構造となっている。また、アーマチュア46の外周部には、一連の切欠部46bが複数設けられていて、これら各切欠部46bをもって、アーマチュア46の外周側に、前記メインギャップとアーマチュア46他端側の第2背圧室R2とを連通する呼吸通路(図示外)が構成されるようになっている。かかる構成から、アーマチュア46の軸方向移動に伴い、前記メインギャップ内に充填された作動液を、前記呼吸通路を通じて第2背圧室R2へ逃がすことが可能となっており、これによって、当該作動液中におけるアーマチュア46の軸方向移動が確保されている。
前記スリーブ47は、軸方向において段差径状に形成されていて、一端側の大径部47aが第2コア52の外周に嵌着される一方、他端側の小径部47bが第1コア51のスリーブ保持部51a内に嵌挿されている。このとき、当該スリーブ47は、一端が第2コア52の内側面に、他端が第1コア51のスリーブ保持部51aの内端面に、それぞれ当接するよう配置されることにより、ケーシング43とコア部材44に挟持された状態となっている。そして、前記小径部47bはアーマチュア46の外径とほぼ同一の内径に設定されることで、アーマチュア46が、第1コア51の内周側において当該小径部47bの内周壁にガイドされるようにして軸方向移動することが可能となっており、かかる構成によって、コイル45bへの通電時には、当該通電によって発生する磁界に基づいて第2コア52側へと吸引されることによって、その一端がスリーブ50の端面に当接するまでの範囲内において軸方向移動するようになっている。また、前記小径部47bの先端部は段部47cを介して段差縮径状に形成されていて、この段部47cが、アーマチュア46の最大後退位置の規制に供するストッパとして機能するようになっている。
前記ロッド48は、例えばステンレスやアルミニウム等の非磁性材料によりほぼ棒状に形成されていて、他端側がアーマチュア46のロッド連結孔46a内に圧入されることによって当該アーマチュア46に固定されている。そして、前述のような構成に基づき、アーマチュア46が第1スプリング61によって第2コア52側へと常時付勢されると共に、弁体42が第2スプリング62によって第1コア51側へと常時付勢されていることから、ロッド48の一端は弁体42の他端面にほぼ常に弾接した状態となり、これによって、弁体42とアーマチュア46とロッド48とが一体となって軸方向移動するようになっている。
前記プラグ49は、段差径状に形成されたいわゆるボルト状を呈し、先端側(一端側に)有する小径状の軸部49bの外周に、プラグ収容孔60の雌ねじ部60aに対応する雄ねじ部49aが設けられていて、かかるねじ構造により、ケーシング43に対し軸方向へ相対移動可能に設けられており、これによって、第1スプリング61のセット荷重(予圧)を調整することが可能となっている。一方、このプラグ49の他端側に有する大径状の頭部49cには、その外周にシール部材63が嵌着されていて、このシール部材63によって、第2背圧室R2内の作動液のプラグ収容孔60を通じた外部への漏出が抑制されている。
前記第1スプリング61は、プラグ収容孔60の内径よりも小さい外径に設定された金属製のコイルばねであって、アーマチュア46とプラグ49との軸方向間に所定の予圧をもって弾装されることで、そのばね荷重によってアーマチュア46を第2コア52に接近する方向へ常時付勢するようになっている。具体的には、一端側が、アーマチュア46の他端側から突出するロッド48の他端部外周に嵌合するかたちで当該ロッド48の他端部に支持されつつアーマチュア46の他端面に着座する一方、他端側が、プラグ49の軸部49a先端に突設された凸部49cの外周に嵌合するかたちで当該凸部49cに支持されつつプラグ49の軸部49a端面に着座するようになっている。
前記第2スプリング62は、金属製のコイルばねであり、バルブボディ41と弁体42の軸方向間に所定の予圧をもって弾装されることで、そのばね荷重によって弁体42をバルブボディ41から離間する方向へと常時付勢し、これによって、弁体42及びロッド48を介してアーマチュア46を第2コア52から離間する方向へ常時付勢するようになっている。具体的には、全体が弁体42の外周に外挿されることによって当該弁体42に支持されつつ、一端側がバルブボディ41のスプリング保持部41c内に収容され、該スプリング保持部41cの段部41dに着座する一方、他端側が弁体42のフランジ部42aの内側面に着座するようになっている。
このように、前記電磁弁16では、それぞれ相反する方向にばね荷重を発生させる一対の第1、第2スプリング61,62を配置し、これら両スプリング61,62に予圧をかけることによって本発明に係る可動部材MP(弁体42及びアーマチュア46)を弾持する構成とすることで、当該両スプリング61,62のばね荷重のつり合いをもって、可動部材MPの軸方向移動が規制されるようになっている。
そして、本実施形態に係る電磁弁16では、パワーステアリング装置1の非操舵状態に相当する前記可動部材MPの軸方向移動量がゼロの状態において、当該可動部材MPが、前記両スプリング61,62に発生するばね荷重のつり合いに基づき、図2に示すような軸方向位置(初期位置)に留まるように構成されている。すなわち、この電磁弁16では、可動部材MPは、その初期位置にて、弁体42が、対向するコア部材44(バルブ収容部44bの内端部)に当接せず、さらに、アーマチュア46も、対向するスリーブ47の段部47cに当接しない、いわゆるフローティング状態(本発明に係る中立状態)となるように構成されている。
図4は、前記可動部材MPの軸方向位置と第1、第2スプリング61,62にそれぞれ発生するばね荷重L1,L2との関係を表したグラフである。なお、図中において、細実線は第1スプリング61のばね荷重L1を、太実線は第2スプリング62のばね荷重L2を、それぞれ示すと共に、仮想線(二点鎖線)は、可動部材MPに作用するばね荷重L0であって、前記両スプリング61,62のばね荷重L1,L2の合力を示している。
この図に示すように、金属製のコイルばねである第1、第2スプリング61,62はいずれも、自由状態から収縮を開始する初期荷重領域及び収縮量の限界付近の収縮限界領域においては、ばね特性が不安定となってしまう(以下、「不安定領域BZ」という。)。そこで、本発明に係る電磁弁16では、前記両スプリング61,62により相互の不安定領域BZを打ち消し合わせるように構成することで、ばね特性が安定する範囲(以下、「安定領域GZ」という。)内で前記両スプリング61,62を使用することを可能としている。なお、この際、可動部材MPに作用するばね荷重L0は、前記両スプリング61,62にそれぞれ発生するばね荷重L1,L2の合計値(合力)となる。
すなわち、前記電磁弁16では、コイル45bに対して後述するスタンバイ電流I0が通電された前記初期位置においては、第1、第2スプリング61,62のばね荷重L1,L2が相互につり合っており、可動部材MPに作用するばね荷重L0は相殺されてゼロとなる。そして、かかる初期状態から制御電流が増大し、当該コイル45bに発生した磁界によってアーマチュア46に作用する磁気吸引力に基づいて当該アーマチュア46が第2コア52側へと軸方向移動すると、第1スプリング61は伸長し当該第1スプリング61のばね荷重L1は減少していく一方で、第2スプリング62は収縮し当該第2スプリング62のばね荷重L2は増大していき、当該両スプリング61,62のばね荷重L1,L2の合力に基づき、可動部材MPに作用するばね荷重L0が増大することとなる。
この際、前記両スプリング61,62は、前述のような構成に基づいていずれも安定領域GZの範囲内で伸縮(弾性変形)することから、図4に示すように、当該両スプリング61,62に発生するばね荷重L1,L2はいずれも線形的に安定して変化することとなり、これによって、可動部材MPに作用するばね荷重L0も線形的に変化することとなる。このように、本実施形態に係る電磁弁16では、第1、第2スプリング61,62に作用させた予圧によって相互の不安定領域BZを相殺し、当該両スプリング61,62の安定領域GZにおける使用を可能としたことにより、可動部材MPに作用するばね荷重L0の安定した変化が得られ、これによって、当該可動部材MPを良好に制御することに供される。
図5は、前記コイル45bに通電される制御電流によって発生する磁気吸引力と、該磁気吸引力に基づく可動部材MPの軸方向移動量と、の関係を表したグラフである。なお、図中において、複数の実線はコイル45bに通電される制御電流I0〜I5に基づく磁気吸引力F0〜F5をそれぞれ示し、線が太いほど通電量が大きいことを表している。なお、当該各実線が上下にずれて表示されているのは、可動部材MPの進退動において生じるヒステリシスによるものである。一方、仮想線(二点鎖線)は、第1、第2スプリング61,62に発生したばね荷重L1,L2の合力に相当する、前記可動部材MPに作用するばね荷重L0を示しており、当該仮想線と前記各実線との交点が可動部材MPに作用するばね荷重L0のつり合い位置を表している。
すなわち、本実施形態では、前記電子コントローラ30により算出され出力される操舵速度信号が所定値以下となる非操舵状態においては、該電子コントローラ30からコイル45bに対して、アーマチュア46を僅かに軸方向移動させることが可能な程度の微小な制御電流であるスタンバイ電流I0(本発明に係る第1の電流値に相当)が通電されている。この状態では、アーマチュア46は、ほとんど軸方向移動(進出)せず、弁体42の位置制御に影響を与えない程度に、軸方向にて僅かに振動した状態となっている。そして、この状態から、前記操舵速度信号が所定値を超えると、当該操舵速度信号に応じて前記スタンバイ電流I0より大きな制御電流I1〜I5(本発明に係る第2の電流値に相当)がコイル45bに通電され、当該制御電流I1〜I5に応じた磁気吸引力F1〜F5に基づいてアーマチュア46が進出することとなる。なお、このアーマチュア46の進出時においてコイル45bへの通電が遮断された際には、アーマチュア46は、可動部材MPに作用するばね荷重L0に基づき、このばね荷重L0がゼロとなる前記初期位置まで後退することとなる。
ここで、前述のように、前記非操舵状態となる初期状態において前記スタンバイ電流I0を通電させてアーマチュア46を微振動させておくことで、当該非操舵状態から前記操舵状態へと移行した際、アーマチュア46は、スリーブ47に対し、静止状態から静止摩擦力に抗して相対移動するのではなく、摺動状態から動摩擦力に抗して相対移動することとなるので、アーマチュア46の進出に伴う摩擦抵抗を低減することが可能となり、電磁弁16の応答性の向上に供されることとなる。
また、本実施形態のように、前記一対の第1、第2スプリング61,62によって可動部材MPを軸方向両側から弾持する構成として、非操舵状態となる前記初期位置において、可動部材MPが軸方向において物理的に規制されない前記フローティング状態となるように構成したことにより、当該初期位置にて可動部材MPに余剰なばね荷重が作用せず、アーマチュア46に作用する磁気吸引力を、全て可動部材MPの軸方向移動に費やすことが可能となる。かかる観点からも、電磁弁16の応答性向上に貢献することができる。
換言すれば、従来では、弁体側に単一のスプリングを配置することによってアーマチュアの軸方向移動を規制しており、このスプリングにおいて安定したばね特性を得るべく、このスプリングに予圧をかけることで当該スプリングを前記安定領域で使用することとしていた。しかしながら、この場合には、前記初期位置でアーマチュアを後退側へ押し付けることによってスプリングに予圧を発生させるようになっていることから、非操舵状態から操舵状態へ移行する際、アーマチュアに作用する磁気吸引力の一部が前記予圧に係る押圧力に対抗することに費やされることとなり、コイルへの通電量に応じた電磁弁の十分な応答性が得られなかった。これに対し、本実施形態では、前記初期位置で前記両スプリング61,62のばね荷重がつり合った状態となっていることから、非操舵状態から操舵状態へと移行する際に、アーマチュア46に作用する磁気吸引力の全てを可動部材MPの軸方向移動へとリニアに変換することが可能となり、電磁弁16の高い応答性が得られることとなる。
また、前記可動部材MPの位置制御についても、前述のような構成をもって前記両スプリング61,62を安定領域GZで使用可能としたことから、図5中にプロットした可動部材MPの軸方向移動量にも表されるように、当該可動部材MPを、コイル45bに通電される制御電流I0〜I5に応じて軸方向へリニアに移動させることができ、この結果、可動部材MP(弁体42)の位置制御を良好に、かつ、精度良く行うことに供される。
以上のように、本実施形態では、一対の第1、第2スプリング61,62によって可動部材MPを軸方向両側から弾性支持する構成としたことで、当該両スプリング61,62のばね荷重L1,L2によって、相互のスプリング61,62の不安定領域BZを相殺することが可能となり、これら両スプリング61,62をいずれも安定領域GZで使用することができる。これにより、可動部材MPの良好な位置制御が可能となって、ポンプ吐出流量のばらつきを抑制することができる。
しかも、本実施形態では、非操舵状態である前記初期状態において可動部材MPが前記フローティング状態となるように構成したことから、アーマチュア46に作用する磁気吸引力の全てを可動部材MPの軸方向移動へリニアに変換することが可能となり、これによって、コイル45bへの通電量に応じた電磁弁16の高い応答性を確保することができる。
さらに、前記電磁弁16では、可動部材MPを構成するアーマチュア46と弁体42とを別体に構成したことから、前記PWM制御につき、コイル45bへの通電のON・OFFを切り換える際に生ずるイナーシャの影響を低減することができ、当該通電の切り換え時における可動部材MP(アーマチュア46)の発振の抑制に供される。
すなわち、可動部材MPを一体に構成した場合、当該可動部材MPの重量が比較的大きくなることから、前記PWM制御によってコイル45bへの通電を切り換える際、この可動部材MPの移動方向の切り換え時に生ずるイナーシャの影響が大きくなってしまい、当該可動部材MPが前記通電の切り換えに追従できずに発振してしまうおそれがある。これに対し、本実施形態では、アーマチュア46と弁体42とを分離したことから、前記磁気吸引力により直接駆動されるのはアーマチュア46のみとなり、当該駆動対象の重量が比較的小さくなることから、前記PWM制御によるコイル45bへの通電の切り換え時に生ずるイナーシャの影響が低減され、該イナーシャに基づくアーマチュア46の発振を抑制することができる。
また、前記電磁弁16では、第1スプリング61の外径がプラグ収容孔60の内径よりも小さく設定されていることから、ケーシング43の他端側に配置される当該第1スプリング61について、前記プラグ収容孔60を介してその取付位置により近いケーシング43の他端側から組み付けることが可能となり、当該第1スプリング61の組み付け作業の容易化に供される。
さらには、前記第1スプリング61の他端を軸方向移動可能に設けたプラグ49に着座させる構成としたことにより、このプラグ49の軸方向位置を調整することで、前記両スプリング61,62の予圧や可動部材MPの軸方向位置等を調整することが可能となる。かかる構造によって、電磁弁16の組立後においても前記両スプリング61,62の予圧等の調整を行うことができ、当該電磁弁16の品質や歩留まりの向上にも寄与できる。
本発明は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば前記実施形態のような可変容量形ポンプのほか、電磁弁によってポンプ吐出流量を制御する固定容量形ポンプにも適用することができる。
また、前記可動部材MPについては、前述のようにアーマチュア46と弁体42とを分離して構成することが望ましいが、これら両者42,46を一体として可動部材MPを構成した場合であっても、当該可動部材MPの発振抑制に係る作用効果を除き、本発明の特異な作用効果を十分に発揮することができる。
前記実施形態から把握される特許請求の範囲に記載した以外の技術的思想について以下に説明する。
(1)請求項1に記載のポンプ装置において、
前記電磁弁は、その内部に前記コイルを収容し、軸方向一方側端部に軸方向孔を有するケーシングと、前記軸方向孔を閉塞する封止部材とを備え、
前記第1スプリングは、その外径が前記軸方向孔の内径より小さく設定され、該軸方向孔を介して前記ケーシング内に挿入可能に構成されていることを特徴とするポンプ装置。
かかる構成によれば、ケーシング内において軸方向一方側に配置される第1スプリングにつき、前記軸方向孔を介してその取付位置により近い軸方向一方側から組み付けることが可能となるため、当該第1スプリングの組み付け作業の容易化に供される。
(2)前記(1)に記載のポンプ装置において、
前記第1スプリングは、コイルスプリングによって構成され、軸方向一方側端部が前記封止部材と弾接するように設けられると共に、
前記封止部材は、前記電磁弁に対し、その軸方向取付位置が調整可能に設けられていることを特徴とするポンプ装置。
かかる構成によれば、封止部材の軸方向位置を調整することで、第1スプリングないし第2スプリングの予圧や可動部材の軸方向位置等についての調整を行うことができる。これにより、電磁弁の組立後においても前記両スプリングの予圧等の調整が行えることとなり、当該電磁弁の品質や歩留まりの向上にも寄与できる。
10…ポンプ(ポンプ装置)
11…ポンプハウジング
13…ポンプ要素
16…電磁弁
42…弁体
45b…コイル
46…アーマチュア
51…第1コア
52…第2コア
61…第1スプリング
62…第2スプリング
MP…可動部材

Claims (3)

  1. 車両に搭載されるパワーステアリング装置に作動液を供給するポンプ装置であって、
    内部にポンプ要素収容部を有するポンプハウジングと、
    前記ポンプ要素収容部内に収容され、作動液を吸入及び吐出するポンプ要素と、
    前記ポンプ要素から前記パワーステアリング装置に供給される作動液の流量を可変制御する電磁弁と、を備え、
    前記電磁弁は、通電されることによって磁界を発生するコイルと、
    前記コイルの軸方向一端側に配置され、当該コイルの発生する磁界の磁路を形成する磁性材料からなる第1コアと、
    前記コイルの軸方向他端側に配置され、当該コイルの発生する磁界の磁路を形成する磁性材料からなる第2コアと、
    前記コイルの発生する磁界によって軸方向に駆動制御される磁性材料からなるアーマチュアと、該アーマチュアの軸方向移動に伴って軸方向移動することで作動液の通流する流路断面積を可変制御して前記パワーステアリング装置に供給される作動液の流量を可変制御する弁体とから構成される可動部材と、
    前記可動部材を前記コイルの軸方向一方側から他方側へ付勢する第1スプリングと、
    前記可動部材を前記コイルの軸方向他方側から一方側へ付勢する第2スプリングと、を有することを特徴とするポンプ装置。
  2. 前記アーマチュアと前記弁体とが分離形成され、それぞれ別々に軸方向へ移動可能に構成されると共に、
    前記第1スプリングは前記アーマチュアを、前記第2スプリングは前記弁体を、それぞれ付勢するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のポンプ装置。
  3. 前記コイルは、前記パワーステアリング装置の有する操舵速度を検出又は推定する操舵速度取得手段の出力信号である操舵速度信号が所定値以下となる非操舵状態のときに第1の電流値が供給され、前記操舵速度信号が前記所定値を超える操舵状態のときに前記第1の電流値より大きい第2の電流値が供給されることによって前記アーマチュアを駆動制御すると共に、
    前記可動部材は、前記第1スプリングと前記第2スプリングとによって付勢されることで前記弁体の軸方向一方側端部と前記アーマチュアの軸方向他方側端部とが当接し、かつ、前記非操舵状態において当該可動部材の軸方向両側がいずれも軸方向に対向する部材と当接しない中立状態に保持されるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のポンプ装置。
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