JP5299718B2 - 高周波焼入れ管理システム - Google Patents

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Description

本発明は、ワークに対し所定の設定条件に従って焼入れがなされているかを確認することができる高周波焼入れ管理システムに関する。
ワークの硬度などの物性を向上させるため、ワークに対して高周波電力による焼入れ処理が施されている。図29は一般的な焼入れ処理の様子を模式的に示す外観図である。例えば、加熱対象のワーク50は、図示するように、棒状基部51に張出し部52を同軸状に備えて構成されているため、棒状基部51と張出し部52と断面略L字状になっている。加熱コイル61は鞍型コイルであり、半円周部61aの両端に一対の直線部61b,61bが接続されてなる。焼入れ処理を行う際には、先ず、図示しない保持手段にワーク50を保持させ、加熱コイル61の半円周部61aを張出し部52の上面側に位置し、かつ加熱コイル61の直線部61bが棒状基部51と平行に位置するように、加熱コイル61をワーク50に配置する。その際、加熱コイル61と張出し部52との距離が所定範囲内となっていることを確認する。その後、ワーク50を回転させながら、高周波インバータ62から加熱コイル61に高周波電力を投入し、焼入れ処理を施す。なお、図中の63は加熱コイル61と並列共振回路を構成する整合用コンデンサである。
焼入れ処理で用いられる公知の高周波焼入れ装置は、等価回路的に、高周波インバータの出力端子間に整合用のコンデンサと加熱コイルとが並列接続されて回路構成されている。焼入れの品質を保証するため、理想的には、加熱コイルに投入される有効電力(kW)を実際に計測し、この有効電力を基準に管理することが好ましいとされている。加熱コイルの等価回路は、インダクタンスと直列抵抗との直列接続で表される。加熱コイルで加熱されるワークが抵抗負荷となる。有効電力の監視方法は、加熱コイルの両端に生じる電圧(Vcoil)と加熱コイルに流れるコイル電流(Icoil)との位相差を測定し、式Pkw=cosφVcoilcoilから求める方法である。なお、cosφは力率(φは力率角である)である。
ところが、高周波焼入れの場合、力率の低い負荷が多く、計測対象となるコイル電圧とコイル電流との位相差が大きい。具体的には、コンデンサと加熱コイルとの並列回路のQは10程度である。力率はQの逆数と見積もることができ、Qが10の場合には力率は0.1であり、この時の力率角φは84°となる。したがって、VcoilとIcoilとを測定し、演算回路でこれらの値を積算して求めた有効電力は小さい。また、この演算回路は温度ドリフトの影響、周波数や位相差の変動の影響を受け易いので、演算回路の算出値に基づいて高周波焼入れ処理の有効電力を高精度で監視することができないのが現状である。
特開2002−317224号公報 特開2000−150126号公報 特開2003−231923号公報
そこで、従来、高周波発振器からの電圧一定制御にて出力制御を行う場合には、加熱コイルの電流を検出して、平均電流を求め電力監視することが考えられている(例えば特許文献1)。しかしながら、コイル電流は、正確には、コイルの有するインダクタンス成分と抵抗成分とを有する合成電流であるため、負荷が変動してもコイル電流の変動は小さく、感度が低い。このため、有効な電力監視を行うことができない。
高周波インバータからの出力電圧と出力電流を検出するか又は出力電力を検出することで監視することも考えられている(例えば特許文献2及び3)。この出力電力の検出には、出力電圧及び出力電流を検出してそれらの実効値を乗算することも含まれる。しかしながら、この監視方法では監視対象が高周波インバータからの出力電力、換言すれば、高周波インバータの出力端子間からみて負荷に投入された有効電力であるので、整合回路による損失や電力の伝送損失の影響を受け、負荷変動を敏感に検出することはできず、感度が鈍い。特に、高周波インバータから加熱コイルまでの距離が長いと、電力の伝送損失により、負荷変動の検出感度が低下してしまう。
一方、焼入れ対象となるワークと加熱コイルとの位置関係が所定範囲外となると、負荷変動により適切な焼入れ処理を行うことができない、という課題もある。以下、具体的に説明する。図29に示した焼入れ処理において、ワーク50は、必ずしも同一寸法ではなく、或る程度の許容範囲内の寸法を有しており、ワーク50と加熱コイル61との位置関係がワーク毎に異なる可能性があるため、ワーク50によらず同一の高周波電力を投入しても適切な焼入れ処理がなされている保証はない。つまり、ワーク50と加熱コイル61との位置関係において、特に張出し部52の上面53と加熱コイル61の半円周部61aとの距離が長くなると、ワーク50と加熱コイル61との間のギャップが増加しワーク50に高周波が投入され難くなる。そのため、ワーク毎に焼入れ処理の品質保証が十分図れていないのが現状である。
ところで、ワーク毎の焼入れ処理の品質管理は、高周波インバータと加熱コイルとの間の電気回路のみならず、焼入液の濃度や温度などにより変化する。またワーク毎に決められた設定条件通りに焼入れがなされているかを確認することができない。
本発明は、上記課題に鑑み、ワークに対し設定条件どおり焼入れがなされているかを確認することができる高周波焼入れ管理システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、高周波インバータにコンデンサと加熱コイルとが接続されて構成された高周波焼入れ装置に接続され、高周波インバータから加熱コイルに流す高周波によりワークを加熱すると共に該ワークへ焼入れ液を噴射してワークを冷却することで行う焼入れ処理を管理する高周波焼入れ管理システムであって、高周波焼入れ装置に関する設定条件データの出力により高周波焼入れ装置を制御する焼入れ制御部と、高周波インバータとコンデンサと加熱コイルとを含んで構成される電気回路における電気量を測定データとして計測し、焼入れ状態を監視する焼入れ監視部と、高周波焼入れ装置が焼入れ制御部から出力された設定条件データに基いてワーク焼入れした際にワークに噴射される焼入れ液の温度、流量、冷却能の何れか一つ又は複数のデータを高周波焼入れ装置におけるセンサから収集すると共に、焼入れ監視部から測定データを収集して、収集したセンサのデータと測定データとを関連付けて保存するデータ収集部と、を備えることを特徴とする。
また、上記目的を達成するために、本発明は、高周波インバータにコンデンサを介在して電流変成器の一次コイルが接続され、かつ電流変成器の二次コイルに加熱コイルが接続されて構成された高周波焼入れ装置に接続され、加熱コイル近傍に配置されているワークの焼入れを管理する高周波焼入れ管理システムであって、高周波焼入れ装置に関する設定条件データの出力により高周波焼入れ装置を制御する焼入れ制御部と、高周波インバータとコンデンサとの配線に電気的に接続した電流センサにより高周波インバータから流れる出力電流を計測し、かつ、加熱コイルに並列に接続された電圧センサにより加熱コイルに生じる電圧を計測することにより、焼入れ状態を監視する焼入れ監視部と、高周波焼入れ装置が焼入れ制御部から出力された設定条件データに基いてワークを焼入れした際の高周波焼入れ装置における各種センサのデータを収集すると共に、計測した出力電流、電圧の何れか一方又は双方を焼入れ監視部から測定データとして収集して、収集した各種センサのデータと測定データとを関連付けて保存するデータ収集部と、を備える。
上記構成において、焼入れ監視部が、高周波インバータの出力電流から実効値を算出し、加熱コイルに生じる電圧から実効値を算出して、算出した各実効値に基いて焼入れ処理を監視することが好ましい。
上記構成において、焼入れ監視部が、高周波インバータの出力電流から実効値を算出し、加熱コイルに生じる電圧から実効値を算出して、算出した各実効値から負荷インピーダンスを算出するようにしてもよい。
上記構成において、焼入れ監視部と焼入れ制御部とが互いに通信手段を経由して接続されていることが好ましい。
上記構成において、データ収集部が、焼入れ監視部及び/又は焼入れ制御部と通信手段を経由して接続されていることが好ましい。
本発明によれば、高周波インバータが焼入れ制御部により設定条件データに基いて出力制御され、その際焼入れ監視部が高周波インバータとコンデンサと加熱コイルとで構成される電気回路における電気量を計測し、データ収集部が、高周波焼入れ装置が焼入れ制御部から出力された設定条件データに基いてワークに焼入れを行った際の高周波焼入れ装置における各種センサのデータと、焼入れ監視部による計測データと、を収集する。よって収集したこれらのデータと各ワークに対する焼入れ条件とを対比することで、焼入れが適切に行われているかを容易に確認することができる。
本発明の第1実施形態に係る高周波焼入れ管理システムの構成図である。 図1に示す高周波焼入れ管理システムにおける高周波焼入れ装置の一部を模式的に示す図である。 図1に示す高周波焼入れ管理システムにおいて特に焼入れ監視部の内部構成の詳細も含めて示す構成図である。 図3における信号処理部内の電圧測定回路を示す図である。 (A)は負荷共振回路を示し、(B)は(A)に示す負荷共振回路に関し高周波インバータの周波数が負荷共振回路の共振周波数と一致して同期している場合の等価回路図である。 コイルギャップの変動が負荷インピーダンス変動として観測できる理由を説明するための模式的な回路図で、(A)は誘導加熱をモデル化した等価回路図、(B)はワークが存在しない状態での等価回路図、(C)は(B)に示す等価回路を並列回路で示したものである。 本発明の第2の実施形態の変形例を説明するための模式図である。 本発明における第1の実施形態の実施例1の結果を示し、(A)は加熱コイルにおける電圧に対応する信号波形、(B)は高周波インバータからの出力電流に対応する信号波形である。 本発明における第1の実施形態の実施例2の結果を示し、(A)は加熱コイルにおける電圧に対応する信号波形、(B)は高周波インバータからの出力電流に対応する信号波形である。 本発明における第1の実施形態の実施例3の結果を示し、(A)は加熱コイルにおける電圧に対応する信号波形、(B)は高周波インバータからの出力電流に対応する信号波形である。 本発明における第1の実施形態の比較例1の結果を示し、(A)は加熱コイルにおける電圧に対応する信号波形、(B)は図3に示す電流変成器の一次側の電流に対応する信号波形である。 本発明における第1の実施形態の比較例2の結果を示し、(A)は加熱コイルにおける電圧に対応する信号波形、(B)は図3に示す電流変成器の一次側の電流に対応する信号波形である。 本発明における第2の実施形態の実施例4に関し、加熱コイルとワークとの位置関係を示す図である。 本発明における第2の実施形態の実施例4の結果のうち、負荷インピーダンスのコイルギャップ依存性を示す図である。 本発明における第2の実施形態の実施例4の結果のうち、負荷インピーダンス変化率に対するコイルギャップ依存性を示す図である。 本発明における第2の実施形態の実施例4の結果のうち、高周波インバータからの出力電流のコイルギャップ依存性を示す図である。 本発明における第2の実施形態の実施例4の結果のうち、高周波インバータからの出力電流の変化率のコイルギャップ依存性を示す図である。 本発明における第2の実施形態の実施例4の結果のうち、コイルギャップdが1.5mmのときの波形を示し、(A)は負荷インピーダンスの波形、(B)は出力電流の波形を示す図である。 本発明における第2の実施形態の実施例4の結果のうち、コイルギャップdが2.1mmのときの波形を示し、(A)は負荷インピーダンスの波形、(B)は出力電流の波形を示す図である。 本発明における第2の実施形態の比較例3の結果のうち、コイル電圧のコイルギャップ依存性を示す図である。 本発明における第2の実施形態の比較例3の結果のうち、コイル電圧変化率に対するコイルギャップ依存性を示す図である。 本発明における第2の実施形態の比較例3の結果のうち、高周波インバータからの出力電流のコイルギャップ依存性を示す図である。 本発明における第2の実施形態の比較例3の結果のうち、高周波インバータからの出力電流の変化率のコイルギャップ依存性を示す図である。 本発明における第2の実施形態の比較例3の結果のうち、コイルギャップdが1.5mmのときの波形を示し、(A)はコイル電圧の波形、(B)は出力電流の波形を示す図である。 本発明における第2の実施形態の比較例3の結果のうち、コイルギャップdが2.1mmのときの波形を示し、(A)はコイル電圧の波形、(B)は出力電流の波形を示す図である。 図1に示すシステム構成とは異なる第1変形例に係る高周波焼入れ管理システムの構成図である。 図1に示すシステム構成とは異なる第2変形例に係る高周波焼入れ管理システムの構成図である。 図1に示すシステム構成とは異なる第3変形例に係る高周波焼入れ管理システムの構成図である。 一般的な焼入れ処理の様子を模式的に示す図である。
符号の説明
1,2,3,4,5:高周波焼入れ管理システム
3A,3B,3C:高周波焼入れシステム
10,10A,10B:高周波焼入れ装置
11:高周波インバータ
11a:センサ
12:整合用のコンデンサ
13,13A,13B:電流変成器
13a:一次電流側コイル
13b:二次電流側コイル
14,14A,14B,61:加熱コイル
15,15A,15B:ワーク(被加熱材)
16,16a,16b:切換機
20:焼入れ監視部
21:電流センサ
22,22A,22B:電圧センサ
22a,22b,22c,22d:電圧センサの端部
23:制御部
23a:電流検出部
23b:電圧検出部
23c:信号処理部
23d:判定部
23e:表示部
24:警告部
30:電圧測定回路
31:第1の演算増幅器
32:第2の演算増幅器
33:フィルター回路
34:入力抵抗
35:第1のダイオード
36:第2のダイオード
37,38,39,40,41:抵抗
42:コンデンサ
50:ワーク
51:棒状基部
52:張出し部
53:上面
61a:半円周部
61b:直線部
70:焼入れ制御部
71:入力部
72:記憶部
73:出力部
74:入出力制御部
80:データ収集部
90:データ編集部
100:第1の冷却系
101:冷却液用タンク
102,115流量センサ
103,114:ポンプ
110:第2の冷却系
111:ジャケット
112:回収部
113:タンク
113a:加熱部
116:温度センサ
117:測定部
以下、図面を参照しながら本発明を幾つかの実施形態について詳細に説明する。
〔第1の実施形態〕
図1は本発明の第1実施形態に係る高周波焼入れ管理システムの構成図であり、図2は図1に示す高周波焼入れ管理システムにおける高周波焼入れ装置の一部を模式的に示す図であり、図3は図1に示す高周波焼入れ管理システムにおいて特に焼入れ監視部の内部構成の詳細も含めて示す構成図である。
高周波焼入れ管理システム1は、高周波インバータ11、コンデンサ12、加熱コイル14などを有する高周波焼入れ装置10と、高周波インバータを設定条件データに基いて制御する焼入れ制御部70と、高周波焼入れ装置10における電気回路の電気量を測定データとして測定し焼入れを監視する焼入れ監視部20と、高周波焼入れ装置10が焼入れ制御部70から出力された設定条件データに基いてワーク15に焼入れを行った際の高周波焼入れ装置10における各種センサのデータを収集すると共に、焼入れ監視部20から測定データを収集し、収集した各種センサのデータと測定データとを関連付けて保存するデータ収集部80と、データ収集部80から各種センサのデータ及び測定データを入手して編集するデータ編集部90と、を備える。なお、データ収集部80は、焼入れ制御部70から設定条件データを収集し、前述した各種センサのデータ及び測定データと共に対として保存しても良い。
高周波焼入れ装置10は、図1及び図2に示すように、電気回路的に、高周波インバータ11と、高周波インバータ11の出力端子間、特に出力用ケーブルの出力間に接続される整合用のコンデンサ12と、ワーク15を誘導加熱する加熱コイル14と、整合用のコンデンサ12と加熱コイル14との間に介在される電流変成器13と、で構成されている。よって、高周波焼入れ装置10は、等価回路的に、整合用のコンデンサ12と加熱コイル14とが並列共振回路を含んで構成されている。
高周波インバータ11は電流型インバータであって、出力電圧の一定制御方式で駆動制御される。電流変成器13は、高周波インバータ11に対して整合用のコンデンサ12と並列接続される一次電流側コイル13aと、加熱コイル14と並列接続される二次電流側コイル13bと、で構成されている。
高周波焼入れ装置10は、加熱コイル14を内蔵した受け部(図示せず)にワーク15を配置した状態で、高周波インバータ11から加熱コイル14に対して高周波電流を供給することで、ワーク15の内部に渦電流を発生させてワーク15を加熱して焼入れ処理を行う。
高周波焼入れ装置10には各種センサが取り付けられている。各種センサとしては、図1に示すように高周波インバータ11からの出力時間及び出力強度をモニターするセンサ11a、ワーク15の位置、搬送速度、回転速度などを検出するセンサ(図示せず)、図2に示すように焼入液の流量を検出する流量センサ115や焼入液の温度を検出する温度センサ116などがあり、焼入液の冷却能や濃度などの測定部117なども含まれる。これらのセンサについて説明する。
センサ11aは、高周波インバータ11に内蔵されており、高周波インバータ11からの出力時間及び出力強度を検出する。
高周波焼入れ装置10には図示しない移動手段や回転手段が取り付けられており、移動手段は所定の位置から加熱コイル14に対しワークを移動し、回転手段はワークを加熱コイル14に対して回転する。よって、移動手段や回転手段によるワーク15の移動や回転が正確になされているかを検知するためのセンサ、具体的には位置センサ、回転センサ、速度センサなどが高周波焼入れ装置10には取り付けられている。
図1に示す高周波焼入れ装置10には、図2に示すように、加熱コイル14に冷却液を流す第1の冷却系100と、ワーク15に焼入液を噴射して回収する第2の冷却系110と、が備えられている。
第1の冷却系100の構成は例えば次の通りである。第1の冷却系100は、図2に示すように、冷却液用タンク101とポンプ103と加熱コイル14とが配管により接続されており、点線で示すワーク15を誘導加熱する際には加熱コイル14に冷却水を矢印の向きに流す。配管の途中には流量センサ102が取り付けられている。この流量センサ102は冷却液の流量を検出する。
第2の冷却系110の構成は例えば次の通りである。第2の冷却系110では、図2に示すように、ジャケット111が実線で示すワーク15のまわりに配備され、タンク113には焼入液が貯えられており、ポンプ114がタンク113から焼入液を汲み上げる。焼入液は、矢印で示すように、配管を経由してジャケット111に送出され、ジャケット111からワーク15に向けて噴射され、回収部112によりタンク113に戻される。タンク113には焼入液の温度を制御する加熱部113aが設けられ、タンク113内の焼入れ液の温度を検出する温度センサ116がタンク113に取り付けられている。ポンプ114とジャケット111との間の配管には流量センサ115が取り付けられている。また、焼入液の冷却能を測定するための測定部117が配備されており、測定部117はタンク113内の焼入液の冷却能を任意のタイミング又はリアルタイムで測定する。
焼入れ監視部20は、図3に示すように、高周波インバータ11の出力電流を検出する電流センサ21と、加熱コイル14における電圧を検出する電圧センサ22と、電流センサ21の検出信号と電圧センサ22の検出信号とに基づいて焼入れ監視を行う制御部23と、制御部23に対して各種制御情報を入力し、制御部23から警告信号を受ける警告部24と、を備えている。
電流センサ21は、高周波インバータ11と整合用のコンデンサ12との配線に電気的に接続され、高周波インバータ11の出力電流Ioを検出する。電圧センサ22は、両端に端子22a,22bを備え、加熱コイル14に並列接続されて加熱コイル14の電圧Vcoilを検出する。
制御部23は、電流センサ21からの検出信号の入力を受ける電流検出部23aと、電圧センサ22からの検出信号の入力を受ける電圧検出部23bと、電流検出部23a及び電圧検出部23bからの入力を受けてそれぞれ信号処理を行う信号処理部23cと、信号処理部23cで信号処理された結果の入力を受け、結果が所定の範囲内か否かを判定する判定部23dと、を含んでいる。判定部23dは、信号処理部23cで信号処理された結果を出力する表示部23eを備えている。
電流センサ21と電流検出部23aとは、検出した電流を電圧に変換するカレントトランスファー(変流器)で構成してもよい。このとき、電流センサ21にはロゴスキーコイルを用いることができ、電流検出部23aはロゴスキーコイルに生じる電圧から所定の範囲の電圧に変換する。カレントトランスファーは例えば出力電流500Armsを0.5Vrmsに変換する。
電圧センサ22と電圧検出部23bとは、検出した電圧を所定範囲の電圧に変換するポテンシャルトランスファー(変圧器)で構成してもよい。このとき、電圧センサ22には加熱コイル14の端子間に接続可能なプローブを用いることができる。電圧検出部23bはプローブで抽出した電圧を所定範囲の電圧に変換する。ポテンシャルトランスファーは例えばコイル電圧200Vrmsを10Vrmsに変換する。
信号処理部23cは、電流検出部23a及び電圧検出部23bからの信号を、それぞれ整流して実効値を算出すると共にフィルターでノイズを除去し、電流信号Si及び電圧信号Svを判定部23dに出力する。これにより、カレントトランスファーからの信号、例えば0.5Vrmsの信号を5Vの電圧信号に変換する一方、ポテンシャルトランスファーからの信号、例えば、10Vrmsの信号を5Vの電圧信号に変換する。
さらに、信号処理部23cは、後述するデータ収集部80からの要求があったとき、算出した電流信号及び電圧信号の実効値、即ち電流信号Si及び電圧信号Svをデータ収集部80に送出する。
判定部23dは、信号処理部23cから入力された電流信号Si及び電圧信号Svが適切であるか否かの判定を行う。即ち、判定部23dは、高周波インバータ11を制御する制御部(図示せず)から加熱同期信号Ssが入力されることにより、電流信号Si及び電圧信号Svの波形を取り出し、表示部23eに表示する。その際、判定部23dは予め設定されている上限,下限のしきい値も表示する。これにより、判定部23dは、高周波焼入れ装置10が動作中である状態で、電流信号Si、電圧信号Svが上限のしきい値を上回るか下限のしきい値を下回った場合には、判定NGとして当該波形を異常波形として記録する。また、判定部23dは、警告部24に対して警告信号を出力する。その際、判定部23dが警告信号を出力する際、表示部23eに、「NG」として警告表示を行ってもよい。
警告部24は、判定部23dからの警告信号に基づいて警告表示を行ったり、警告音を外部に発生させたり、また、高周波インバータ11の制御部(図示せず)に対して高周波電力の出力を停止するように指示する。
図3の信号処理部23c内部の回路構成について説明する。信号処理部23cには、電流検出部23aからの信号を処理する電流測定回路と、電圧検出部23bからの信号を処理する電圧測定回路とが別々に含まれている。電流測定回路も電圧測定回路も同様の回路構成であるので、以下では電圧測定回路を説明する。
図4は、図3における信号処理部23c内の電圧測定回路30を示す図である。電圧測定回路30は、第1の演算増幅器31と第2の演算増幅器32が縦続接続され、出力側にフィルター回路33が接続されている。第1の演算増幅器31には、入力抵抗34と、入力端子と出力端子に接続される第1のダイオード35と、出力端子に一端が接続される第2のダイオード36と、入力端子に一端が接続され他端が第2のダイオード36の他端に接続される抵抗37と、が接続されている。この第1の演算増幅器31は、所謂理想ダイオードであり、入力信号電圧の半波整流を行う。第1の演算増幅器31と第2の演算増幅器32とは、抵抗38で接続されている。第2の演算増幅器32は、入力端子と出力端子との間に抵抗39が接続された反転増幅器である。第2の演算増幅器32の入力端子は、抵抗40を介して、入力抵抗34の入力信号側と接続されている。第2の演算増幅器32の出力は、入力電圧信号の両波整流波形となる。この両波整流波形が、抵抗41及びコンデンサ42からなるローパス型のフィルター回路33に入力され、両波整流波のリップルが除去されて直流電圧に変換される。フィルター回路33の抵抗41及びコンデンサ42の値を設定することで、第2の演算増幅器32から出力される両波整流波の実効値が得られる。
図1に示す焼入れ制御部70及びデータ収集部80と焼入れ監視部20との関係について詳細に説明する。焼入れ制御部70、焼入れ監視部20及びデータ収集部80とは、互いに、通信手段(図示せず)により接続される。通信手段は、LANケーブル、RS232Cケーブルなどによる有線通信、無線LANなどの無線通信などが挙げられる。有線通信、無線通信におけるデータ通信の場合には、パラレル伝送、シリアル伝送の何れであってもよい。焼入れ制御部70と高周波インバータ11との間もこれらの通信手段で行っても良い。
焼入れ制御部70は、図1に示すように、設定条件データなどの入力情報を入力するための入力部71と、入力部71から入力された設定条件データを記憶する記憶部72と、設定条件データを出力する出力部73と、設定条件データの入出力制御を行う入出力制御部74と、を備える。設定条件データは、高周波焼入れ装置10における高周波インバータ11からの出力強度及び出力時間を設定するデータであり、出力電流、出力電圧、出力電力、出力時間などがある。この設定条件データには、ワーク15と加熱コイル14との位置関係を制御する制御データ、例えば、ワーク15の移動手段や回転手段などの制御データ、第1の冷却系100におけるポンプ103や第2の冷却系110におけるポンプ114の制御データなども含まれてよい。
焼入れ監視部20から焼入れ制御部70に対して測定データが送信される場合、又は焼入れ制御部70が出力部73から高周波インバータ11に対して設定条件データを出力した後に焼入れ監視部20に対してその際の測定データの送信要求に応じて焼入れ制御部70に対して測定データが送信される場合には、焼入れ監視部20が生成した測定データは焼入れ制御部70の記憶部72に、その設定条件データと組み合わされて保存される。
データ収集部80は、高周波焼入れ装置10が焼入れ制御部70から出力された設定条件データに基いてワークに焼入れを行った際、高周波焼入れ装置における各種センサ、例えば、センサ11a、ワーク15の位置、搬入速度、回転速度などの検出センサ(図示せず)、第1の冷却系100における流量センサ102、第2の冷却系110における流量センサ115、温度センサ116、測定部117などが検出したデータを受け取り、格納する。データ収集部80は、これらの高周波焼入れ装置10からの検出データと、焼入れ制御部70からワーク毎の設定条件データと、焼入れ処理毎に焼入れ監視部20が生成した測定データと、を収集し、内部の記憶部(図示せず)に格納する。
データ編集部90は、例えば汎用のコンピュータで構成される。データ編集部90は、データ収集部80から有線又は無線のLANを経由してワーク毎の設定条件データ及び測定データを読み込んで格納する。データ編集部90には例えば表計算ソフトウェアがツールとして格納されており、高周波焼入れ装置10からの検出データとワーク毎の設定条件データと測定データとを読み出しワーク毎に焼入れ品質を判定してその判定結果を人為的に入力する。データ収集部80とデータ編集部90とのデータのやり取りは例えばRS232Cによるデータ伝送のほか、データ収集部80のデータを別途用意したUSBメモリなどの記録媒体に格納し、その記録媒体をデータ編集部90に挿入して複製などしてもよい。
なお、焼入れ制御部70において、上述とは異なり、高周波焼入れ装置10からの検出データと設定条件データと測定データとが別々に何ら関係も持たずに格納されている場合には、例えばワーク毎に付けられている処理ナンバーや焼入れ処理日時などに基いて焼入れ制御部70から設定条件データと測定データとを取得し、これらの設定条件データ及び測定データと高周波焼入れ装置10から出力された検出データとを、焼入れ処理時間などの関連付けデータで対応させて、検出データと設定条件データと測定データとを組として格納する。
以下、図1に示す高周波焼入れ管理システム1による焼入れ監視について説明する。
焼入れ制御部70は設定条件データを高周波焼入れ装置10に出力する。すると、高周波焼入れ装置10において、高周波インバータ11は、入力された設定条件データに基いて高周波インバータ11から整合用のコンデンサ12及び電流変成器13を介して加熱コイル14に高周波電力を投入する。高周波焼入れ装置10内の移動手段が設定条件データに基いてワーク15を移動させ、高周波焼入れ装置10内の回転手段が設定条件データに基いてワーク15を回転させる。これらにより、ワーク15が加熱コイル14内に配置されて高周波焼入れされる。その際、電流センサ21が高周波インバータ11の出力電流Ioを検出し、電圧センサ22が加熱コイル14の電圧Vcoilを検出する。ワーク15の位置、搬入速度、回転速度を前述のセンサが検出し、第1の冷却系100内の流量センサ102が冷却水の流量を検出し、第2の冷却系110内の温度センサ116、流量センサ115が焼入液の温度や流量を検出する。これらの検出したデータは高周波焼入れ装置10からの検出データとして焼入れ制御部70又はデータ収集部80に出力される。
制御部23の電流検出部23aと電圧検出部23bは、電流センサ21、電圧センサ22からのそれぞれの検出信号をレベル調整し、電流信号Si及び電圧信号Svを信号処理部23cに出力する。よって、信号処理部23cが、電流検出部23a及び電圧検出部23bからそれぞれ入力された電流信号、電圧信号を整流して実効値を求め、電流信号Si及び電圧信号Svとして判定部23dに出力する。
判定部23dは、信号処理部23cからの電流信号Si及び電圧信号Svを加熱同期信号SSにより同期を取って波形の判定を行い、上限及び下限のしきい値と比較し、電流信号Si及び電圧信号Svが上限のしきい値を上回ったか否か及び/又は下限のしきい値を下回ったか否かの判定を行う。判定部23dは、電流信号Si及び電圧信号Svがしきい値から外れた場合には当該波形を記録し、警告信号を警告部24に出力する。
警告信号を受けた警告部24は、警告を表示し及び/又は警告音を発生する。よって、焼入れ作業者は、警告の表示や警告音を認知したとき、高周波焼入れに異常が発生したことを知ることができる。また、警告部24は、高周波焼入れ装置10の高周波インバータ11の出力動作を停止させてもよい。
以上のように、電流センサ21を用いて高周波インバータ11からの出力電流を検出し、電圧センサ22を用いて加熱コイル14に生じる電圧を検出し、電流センサ21の検出信号と電圧センサ22の検出信号とに基づいて焼入れ監視を行う。これにより、出力電圧が一定となるよう出力制御される高周波インバータ11からコンデンサ12を介して加熱コイル14に高周波電力が投入された際、高周波インバータ11からの出力電力の変動が直に出力電流に影響する。よって、電流センサ21を用いてこの出力電流をモニターすることで、高周波焼入れ処理において高周波インバータ11からの出力電力を監視することができる。一方、電圧センサ22を用いて加熱コイル14に生じる電圧をモニターすることで、高周波インバータ11から加熱コイル14までの伝送損失、及び/又はコンデンサ12と加熱コイル14との並列共振回路による整合損失により検出感度が高くなり、加熱コイル14の電圧変動を高い精度で検出することができる。
即ち、電力の伝送損失が小さい場合、負荷変動による出力電流の変動率がコイル電圧の変動率より大きいので、高周波インバータ11からの出力電流を電流センサ21で監視することが有効となる。一方、電力の伝送損失が大きい場合、負荷変動によるコイル電圧の変動率が高周波インバータ11からの出力電流の変動より大きいので、コイル電圧を電圧センサ22で監視することが有効となる。逆に、背景技術で説明した、高周波インバータの出力電流及び出力電圧を監視する方法において、高周波インバータの出力電圧を一定となるよう出力電力を制御する場合、負荷変動を検出することはできない。
図5(A)は負荷共振回路を示し、図5(B)は図5(A)に示す負荷共振回路に関し高周波インバータの周波数が負荷共振回路の共振周波数と一致して同期している場合の等価回路を示す図である。図3に示す誘導加熱の電気回路は、図5(A)に示すように、整合用コンデンサCpと負荷抵抗Rpと負荷インダクタンスLpとの並列接続に対し、高周波インバータと加熱コイルとの間の伝送損失及び整合損失を含めた抵抗Rxとが直列接続された回路で表される。図5(A)に示す負荷共振回路において高周波インバータの周波数が負荷共振回路の周波数と一致して同期している場合には、図5(A)に示す回路は、図5(B)に示す等価回路、即ち鈍抵抗化回路に書き直すことができる。なお、高周波インバータと加熱コイルとの間の伝送損失及び整合損失を含めた抵抗をRxとし、負荷抵抗をRpとし、高周波インバータからの出力電圧をV0=300V、出力電流Io=300Aとする。Rx、Rpが何れも0.5Ωであるとして説明を簡略化する。負荷変動により抵抗Rpが0.5Ωから0.55Ωに+10%変化すると、出力電圧一定制御のため、出力電圧VOが300Vで不変で、出力電流Ioは300Aから285.7Aに変化するので、出力電流の変化率も−4.8%であり、出力電力も−4.8%変化する。このとき、コイル電圧Vcoilは150V(=300A×0.5Ω)から157.1V(=285.7A×0.55Ω)に変化し、コイル電圧の変化率は+4.8%となる。つまり、高周波インバータからの出力電流の低下率とコイル電圧の増加率とがほぼ等しくなる。
上記回路構成において、伝送損失と整合損失を含めた抵抗Rxが0.4Ωで、負荷抵抗Rpが0.6Ωの場合、負荷抵抗Rpが変化率で+10%、即ち0.6Ωから0.66Ωに変化した場合を考えると、高周波インバータの出力電圧V0は300Vで不変で、出力電流Ioは300Aから283.0Aに変化するので、出力電流の変化率も−5.7%であり、出力電力も−5.7%変化する。このとき、コイル電圧Vcoilは180V(=300A×0.6Ω)から186.8V(=283.0A×0.66Ω)に変化し、コイル電圧の変化率は約+3.8%となる。つまり、高周波インバータからの出力電流の減少率の絶対値は、コイル電圧の増加率の絶対値と比べてより大きい。
上記回路構成において、逆に、伝送損失と整合損失を含めた抵抗Rxが0.6Ωで、負荷抵抗Rpが0.4Ωの場合、負荷抵抗Rpが変化率で+10%、即ち0.4Ωから0.44Ω変化した場合を考えると、高周波インバータの出力電圧VOは300Vで不変で、出力電流Ioは300Aから288.5Aに変化するので、出力電流の変化率も−3.8%であり、出力電力も−3.8%変化する。このとき、コイル電圧Vcoilは120V(=300A×0.4Ω)から126.9V(=288.5A×0.44Ω)に変化し、コイル電圧の変化率は約+5.7%となる。つまり、高周波インバータからの出力電流の減少率の絶対値は、コイル電圧の増加率の絶対値と比べてより小さい。
以上のことから、従来のように、高周波インバータの出力電流及び出力電圧を監視する方法では、伝送損失及び整合損失が増加するに従い、例えば伝送損失及び整合損失を含めた抵抗Rxと負荷抵抗Rpとの比率が0.4:0.6、0.5:0.5、0.6:0.4となるに従い、高周波インバータからの出力電流Ioの変化率は、−5.7%、−4.8%、−3.8%となり、負荷抵抗 p の変化率に比例して変化せず、負荷抵抗Rpの変動に対して感度が悪いことが分かる。
これに対し、本実施形態のように、コイル電圧Vcoilと高周波インバータからの出力電流Ioとの何れもモニターして監視することで、伝送損失の影響を排除した負荷変動を監視することができる。なぜなら、伝送損失及び整合損失の割合が小さい場合、負荷抵抗の変動は、コイル電圧の変動率の方よりも出力電流の変化率の方に大きく影響するため、高周波インバータからの出力電流の変化を監視することが好ましいからである。逆に、伝送損失及び整合損失の割合が大きい場合、負荷抵抗の変動は、出力電流の変化率の方よりコイル電圧の変動率の方に大きく影響するので、コイル電圧の変化を監視することが好ましいからである。つまり、コイル電圧Vcoilと高周波インバータからの出力電流Ioとの両方を監視することで、回路の電力損失の影響を排除した監視方法を確立することができる。
以上のようにして焼入れ処理が行われた後、データ収集部80は、所定のワークに対する焼入れ処理に関するデータを収集する。即ち、データ収集部80は焼入れ制御部70に対し、処理ナンバーや焼入れ処理日時などの検索データと共に設定条件データ、測定データ及び検出データの送信要求を行う。すると、焼入れ制御部70の入出力制御部74は、検索データに基いて設定条件データ、測定データ及び検出データを記憶部72から特定しデータ収集部80に出力する。このようにして、データ収集部80が設定条件データ、測定データ及び検出データを収集する。
これ以外にも、データ収集部80が焼入れ制御部70に対し設定条件データ、測定データ及び検出データを一括して送信するように要求し、データ収集部80が設定条件データ、測定データ及び検出データを収集し、焼入れ処理日時などの関連付けデータに基いて設定条件データ、測定データ及び検出データを関連付けてデータベース化して保存しても良い。
また、データ収集部80は、上記のような通信手段のみならず、焼入れ制御部70の記憶部72に格納されている設定条件データ、測定データ及び検出データをカードやCD−ROMのような記録媒体に一旦格納し、データ収集部80にその記録媒体を挿入することで収集してもよい。
また、検出データが高周波焼入れ装置10からデータ収集部80に直接入力される場合には、設定条件データ及び測定データのみを焼入れ制御部70から入手するようにしてもよい。
以上説明したように、データ収集部80が設定条件データ、測定データ及び検出データを関連付けてデータベース化して保存する。保存された設定条件データ、測定データ及び検出データは、データ収集部80にて焼入れ処理を特定する情報を入力することによって検索して読み出すことができる。従って、所望の焼入れ処理に関する設定条件データとこれに関連する測定データ及び検出データをいつでも容易に且つ迅速に取り出し、焼入れ処理に関する管理を確実に行うことができる。また、データ収集部80が保存している設定条件データ、測定データ及び検出データを、必要に応じて、カードやCD−ROMなどの媒体に記憶させ、図1に示すデータ編集部90に取り込み、データ編集部90で表計算ソフトウェアなどを用いて人為的に確認することができる。
〔第2の実施形態〕
第2の実施形態では、焼入れ監視部20において、高周波焼入れの際、高周波インバータから出力された出力電流で加熱コイル電圧を割って求めた値、即ち負荷インピーダンスを監視することで、高周波焼入れ処理の正常性を監視する。第2の実施形態に係る焼入れ監視部を組み込んだ高周波焼入れ管理システム1の構成は、第1の実施形態を示す図1の場合と同様である。すなわち、第2の実施形態に係る高周波焼入れ監視装置、具体的にはインピーダンス監視装置を組み込んだ高周波焼入れ管理システム1は、図1に示すように、高周波焼入れ装置10と焼入れ監視部20と焼入れ制御部70とデータ収集部80とで構成される。
高周波焼入れ装置10は、図1及び図3に示すように、等価回路的に、整合用のコンデンサ12と加熱コイル14とが並列共振回路を含んで構成されている。第2の実施形態では、高周波焼入れ装置10は整合用のコンデンサと加熱コイルとが直列共振回路であってもよい。高周波インバータ11は、第1の実施形態と同様電流型インバータであるが、第1の実施形態と異なり、出力される高周波の電力が一定となるよう、電力一定制御方式で駆動制御される。電流変成器13が、高周波インバータ11に対して整合用のコンデンサ12と並列接続される一次側電流コイル13aと、加熱コイル14と並列接続される二次電流側コイル13bとで構成されている点は、第1の実施形態の場合と同様である。
高周波焼入れ装置10は、加熱コイル14を内蔵した受け部(図示せず)にワーク15を配置した状態で、高周波インバータ11から加熱コイル14に対して高周波電流を供給することで、ワーク15の内部に渦電流を発生させてワーク15を加熱して焼入れ処理を行う。その他の構成は図1乃至図3と同様である。
焼入れ監視部20は、高周波インバータ11の出力電流を検出する電流センサ21と、加熱コイル14における電圧を検出する電圧センサ22と、電流センサ21の検出信号と電圧センサ22の検出信号とから負荷インピーダンスを算出しこの負荷インピーダンスに基づいて焼入れ管理を行う制御部23と、制御部23に対して各種制御情報を入力し制御部23から警告信号を受ける警告部24と、を備えている。
電流センサ21は、高周波インバータ11と整合用のコンデンサ12との配線に電気的に接続され、高周波インバータ11の出力電流Ioを検出する。電圧センサ22は、両端に端子22a,22bを備え、加熱コイル14に並列接続されて加熱コイル14の電圧Vcoilを検出する。
制御部23は、電流センサ21からの検出信号の入力を受ける電流検出部23aと、電圧センサ22からの検出信号の入力を受ける電圧検出部23bと、電流検出部23aからの入力を受けて出力電流に関する実効値を求めると共に電圧検出部23bからの入力を受けてコイル電圧に関する実効値を求める信号処理部23cと、信号処理部23cから求めた出力電流及びコイル電圧に関する各実効値から負荷インピーダンスを算出し、負荷インピーダンスが基準範囲内か否かを判定する判定部23dと、を含んでいる。判定部23dは、信号処理部23cで信号処理された結果を出力する表示部23eを備えている。
電流センサ21と電流検出部23aとは、検出した電流を電圧に変換するカレントトランスファー(変流器)で構成してもよい。電圧センサ22と電圧検出部23bとは、検出した電圧を所定範囲の電圧に変換するポテンシャルトランスファー(変圧器)で構成してもよい。これらの点は第1の実施の形態と同様である。
信号処理部23cは、電流検出部23a及び電圧検出部23bからの信号を、それぞれ整流して実効値を算出すると共にフィルターでノイズを除去し、電流信号Si及び電圧信号Svを判定部23dに出力する。この点は第1の実施形態と同様であり、信号処理部23cには、電流検出部23aからの信号を処理する電流測定回路と、電圧検出部23bからの信号を処理する電圧測定回路と、が別々に含まれている。電流測定回路、電圧測定回路の具体的な構成は第1の実施形態と同様である。よって、カレントトランスファーからの信号、例えば0.5Vrmsの信号を5Vの電圧信号に変換する一方、ポテンシャルトランスファーからの信号、例えば、10Vrmsの信号を5Vの電圧信号に変換する。
判定部23dは、信号処理部23cから入力された電流信号Si及び電圧信号Svに基づいてコイル電圧を出力電流で割り、この算出した負荷インピーダンスが規定範囲内であるか否かを判定する。具体的には、先ず、高周波インバータ11を制御する制御部(図示せず)から加熱同期信号Ssが入力されることにより、信号処理部23cから入力された電流信号Si及び電圧信号Svの値をサンプリングする。次に、サンプリングした電圧値をサンプリングした電流値で割り、所定の比例定数を乗算することで、コイル電圧に対する出力電流、即ち負荷インピーダンスを算出する。算出した結果をグラフィックに表示部23eに表示する。その際、算出した負荷インピーダンスが基準範囲内であるか否かの判定を行う。判定部23dは、算出した負荷インピーダンスが基準範囲内であった場合には焼入れ処理がOKと判断し、算出した負荷インピーダンスが基準範囲外であった場合には焼入れ処理がNGと判断して警告部24に対して警告信号を表示する。
なお、判定部23dは、高周波インバータ11の制御部(図示せず)から加熱同期信号Ssが入力されることで切り出した電流信号Si及び電圧信号Svの何れかの波形を表示部23eに出力できるようにしてもよい。その際、判定部23dは予め設定されている上限下限のしきい値も表示する。これにより、判定部23dは、高周波焼入れ装置10が動作中である状態で、電流信号Si及び電圧信号Svが上限のしきい値を上回ったり下限のしきい値を下回ったりした場合には、判定がNGであると判定し、当該波形を異常波形として記録する。
判定部23dは、警告部24に対して警告信号を出力する。その際、判定部23dが警告信号を出力する際、表示部23eに、「NG」として警告表示を行ってもよい。
警告部24は、判定部23dからの警告信号に基づいて警告表示を行ったり、警告音を外部に発生したり、また、高周波インバータ11の制御部(図示せず)に対して高周波電力の出力を停止するように指示する。
高周波焼入れ管理システム1を用いて焼入れ処理を行う際の焼入れ監視について説明する。高周波焼入れ装置10において、高周波インバータ11から整合用のコンデンサ12及び電流変成器13を介して加熱コイル14に高周波電力を投入する。これにより、加熱コイル14内に配置されたワーク15が加熱され、高周波焼入れされる。その際、焼入れ監視部20において、電流センサ21が高周波インバータ11の出力電流Ioを検出し、電圧センサ22が加熱コイル14の電圧Vcoilを検出する。
制御部23の電流検出部23a及び電圧検出部23bは、電流センサ21、電圧センサ22からのそれぞれの検出信号をレベル調整し、電流信号Si及び電圧信号Svを信号処理部23cに出力する。よって、信号処理部23cが、電流検出部23a及び電圧検出部23bからそれぞれ入力された電流信号、電圧信号を整流して実効値を求め、電流、電圧の各実効値を電流信号Si及び電圧信号Svとして判定部23dに出力する。
判定部23dは、信号処理部23cからの電流信号Siと電圧信号Svとの入力を受け、電流信号Si及び電圧信号Svについて加熱同期信号SSにより同期を取って波形を取得する。そして、判定部23dは、各波形から電流の実効値と電圧の実効値とのデータ列を得、その後、電流の実効値を電圧の実効値で割ることで負荷インピーダンスを算出し、算出した負荷インピーダンスが規定の範囲内か範囲外かの判定を行う。判定部23dは、負荷インピーダンスがしきい値から外れた場合には、そのデータ列を取得して記録し、警告信号を警告部24に出力する。
その際、判定部23dは、電流の実効値と上限及び下限のしきい値とを比較し、電流信号Siが上限のしきい値を上回ったか、下限のしきい値を下回ったか、の判定を行うようにしてもよい。電流信号Siがしきい値から外れた場合には、その波形を記録し、警告信号を警告部24に出力する。これにより、後述するように、負荷インピーダンスの監視では判定できない高周波インバータ11からの出力の変動を監視することができる。
警告信号を受けた警告部24は、警告を表示しまたは警告音を発生させる。よって、焼入れ作業者は、警告の表示や警告音を認知したとき、高周波焼入れに異常が発生したことを知ることができる。また、警告部24は、高周波焼入れ装置10の高周波インバータ11の出力動作を停止させてもよい。
以上のように、電流センサ21を用いて高周波インバータ11からの出力電流を検出し、電圧センサ22を用いて加熱コイル14に生じる電圧を検出し、電流センサ21の検出信号と電圧センサ22の検出信号とから負荷インピーダンスを算出して、算出した負荷インピーダンスに基づいて焼入れ管理を行う。これにより、出力電力が一定となるよう出力制御される高周波インバータ11からコンデンサ12を介して加熱コイル14に高周波電力が投入された際、高周波インバータ11からの出力電流の変動率が小さく、かつ加熱コイル14に生じるコイル電圧の変動率が小さい場合であっても、焼入れ対象となるワークと加熱コイルとの位置関係が基準範囲から外れると、即ち、後述する図13に示すようにワーク50と加熱コイルとの間のギャップd(これを以下、コイルギャップdという)が大きくなると負荷インピーダンスの変動として検出することができる。よって、高周波焼入れ処理の品質管理を容易にかつ高い精度で行うことができる。
ここで、高周波焼入れ処理において、高周波インバータ11からの出力電流の変動率が小さく、かつ加熱コイル14に生じるコイル電圧の変動率が小さい場合であっても、コイルギャップdの変化が負荷インピーダンスの変動として現れる理由について説明する。
図6は、コイルギャップdの変動が負荷インピーダンス変動として観測できる理由を説明するための模式的な回路図であり、(A)は誘導加熱をモデル化した等価回路図、(B)はワークが存在しない状態での等価回路図、(C)は(B)に示す等価回路を並列回路で示した図である。
誘導加熱の電気回路のうち高周波インバータ11から加熱コイル14までの電気回路は、伝送損失Rxを省略すると図6(A)に示すように抵抗R1と自己インダクタンスL1との直列接続に対し整合用コンデンサCpが並列接続されている点で表され、ワーク15は自己インダクタンスL2と抵抗R2との並列接続で示され、加熱コイル14にワーク15が配置される状況が相互インダクタンスとしてモデル化することができる。ここで、R1とはコイル導線の抵抗成分、R2は加熱対象の抵抗成分、L1は加熱コイル14のインダクタンス成分、L2は加熱対象のインダクタンス成分、Mは相互インダクタンスであり、加熱コイル14とワーク15とのギャップにより変化する。なお、相互インダクタンスMは、自己インダクタンスL1と自己インダクタンスL2との結合係数をkとすると、k=M/(L1×L2)1/2の関係を満たす。このとき整合用コンデンサCpの両端から見た負荷インピーダンスは、リアクタンス成分ωLeと抵抗成分Reとの和で示される。なお、Le=L1(1−k2)、Re=R1+A・R2である。ここで、Aは前述の結合係数k、負荷形状、加熱周波数で定まる係数である。
ワーク15と加熱コイル14とのギャップdが増加すると、負荷の結合が弱くなる。極限的な状況として、k=0、Re=R1まで負荷の結合が弱くなり、Le=L1となる。即ち、図6(A)の等価回路は図6(B)のように書き換えることができる。よって、ギャップが増加すると、Leが増加し、Reが減少する。
さらに、図6(B)の直列等価回路を図6(C)の並列等価回路に変換することができる。なお、Ze=Re+jwLeであるので、アドミタンスYeはYe=1/Zeであるから、次式で表される。
Ye=Gp+jBp
但し、Gp、Bpは次式の通りである。
Gp=Re/(Re2+(ωLe)2
Bp=ωLe/(Re2+(ωLe)2
ここで、Rp=1/Gp、|Xp|=1/|Bp|であり、Rp、|Xp|は次式で表される。
Rp=(Re2+(ωLe)2)/Re
|Xp|=(Re2+(ωLe)2)/(ωLe)
焼入れ応用ではωLe2>>Re2であるため、次式が成り立つ。
Rp=(ωLe)2/Re
|Xp|≒ωLe
なお、ωが高周波インバータ11から出力される高周波の角周波数である。
高周波インバータの周波数が負荷共振回路のそれと一致して同期している場合には、負荷インピーダンスZoは、
o=Rp=(ωLe)2/Re
となる。
つまり、上記の近似式から、ワーク15と加熱コイル14とのギャップdが増加すると、負荷の結合が弱くなり、Leが増加し、Reが減少し、負荷インピーダンスZoが大きくなる。しかも、負荷インピーダンスZoの変化率は、Le、Reそれぞれの変化率と比べて大きい。
よって、高周波インバータ11からの出力電力を一定としてコイルギャップdが増加すると、高周波インバータ11からの出力電流が小さくなる一方、コイル電圧は大きくなる。従って、出力電流の減少率が小さくても、コイル電圧の増加率が小さくても、出力電流に対するコイル電圧比、すなわち、負荷インピーダンスが増加する。よって、コイルギャップdが増加すると、負荷インピーダンスの変動に直接現れる。
以上のことから、高周波焼入れ処理において、高周波インバータ11の出力電力が一定となるよう制御している場合、負荷インピーダンスの変動を判定部23dで監視し、負荷インピーダンスの変動がしきい値の上限及び下限に収まっていることを確認することで、高周波焼入れ監視を効率的に行うことができる。また、制御部23が電流センサ21からの検出信号に基づいて高周波インバータ11からの出力電流を算出し、この出力電流の変動がしきい値の上限及び下限に収まっていることを確認することが好ましい。これにより、ギャップが許容範囲であるか否かを負荷インピーダンスをモニターすることで確認することができ、かつ高周波インバータ11からの出力電流の変動をモニターすることで、焼入れに必要なエネルギーが投入されていることを確認でき、質の高い焼入れの管理を行うことができる。
このように焼入れ監視部20により生成された測定データは、第1の実施形態の場合と同様、焼入れ制御部70における記憶部72に格納される。よって、データ収集部80は、第2の実施形態においても第1の実施形態の場合と同様に、通信手段を介して設定条件データ、測定データ及び検出データを焼入れ制御部70に対して要求する。これを受けて、焼入れ制御部70は、この焼入れ処理に関する設定条件データ、測定データ及び検出データを通信手段を介してデータ収集部80に対して送信する。よって、データ収集部80は、設定条件データ、測定データ及び検出データを受信して、受信した設定条件データ、測定データ及び検出データを互いに関連付けてデータベース化して保存する。
このようにデータベース化して保存された設定条件データ、測定データ及び検出データは、データ収集部80にて焼入れ処理を特定する情報を入力することによって検索して読み出すことができる。また、データ編集部90が、人為的な指令に基いて、データ収集部80から設定条件データ、測定データ及び検出データを入手して表計算ソフトウェアを用いて画面に表示する。それにより、作業者が画面に表示された表を見て確認することができるつまり、第2の実施形態においても、所望の焼入れ処理に関する設定条件データ並びにこれに関連する測定データ及び検出データを、いつでも容易に且つ迅速に、取り出すことができる。よって、第2の実施形態においても焼入れ処理に関する管理を確実に行うことができる。
第2の実施形態の変形例を説明する。
は、本発明の第2の実施形態の変形例を説明するための模式図である。なお、図29と同一の部材には同一の符号を付してある。図7に例えば点線で示すように、コイル電圧としてコイルの半円周部61aの両端部の電圧を検出するように電圧センサ22の端部22c,22dを配置する。これにより、コイルギャップdの変動を効率的に負荷インピーダンスに反映させることができる。
この変形例のように、加熱コイル61がワーク50の焼入れ対象領域に対して所定のギャップdを有するように配置される半円周部61aを備え、図7に点線で示すように、電圧センサ22の両端部22c,22dが半円周部61a間の電圧を検出するように半円周部61aの両端部に接続されることが好ましい。これにより、実線で示すように電圧センサ22の両端部22a,22bを直線部61b,61bを介して接続している場合よりも、点線で示すように電圧センサ22の端部22c,22dを半円周部61aの両端部に接続した方がコイルギャップの変動率を高感度に検出することができ、より精度の高い焼入れ監視を行うことができる。
以上のことから、高周波電力が一定となるよう制御されている場合、コイルギャップdが増加すると負荷インピーダンスが大きくなり、この負荷インピーダンスの変動を元に、焼入れ処理が正しくなされているかの判定を行うことができる。
第2の実施形態に係る高周波焼入れ管理システム1は、図1及び図3に示した高周波焼入れ装置10に対してのみ適用されるものではなく、等価回路的に、整合用のコンデンサと加熱コイルとでなる共振回路及び高周波インバータを含んで構成される高周波焼入れ装置に対して適用可能である。例えば電流変成器13は省略されてもよい。
以下、第1の実施形態に対応する実施例1乃至3及び比較例1乃至2と、第2の実施形態に対応する実施例4及び比較例3について説明する。
図1に示した高周波焼入れ管理システム1を用いて負荷の評価試験を行った。
高周波インバータ11として、直流電圧で一定制御されることで、周波数25kHzの高周波を出力するものを用いた。並列共振タイプの負荷回路として、10μFの整合用のコンデンサ12、巻線比6:1の電流変成器13を用いた。加熱コイル14が内蔵されてワーク15を受ける鞍型受け部には、内径40mmで幅4mmのものを用いた。ワーク15には外形33mm、肉厚5.5mmの丸パイプを用いた。実施例1では、ワーク15を、鞍型受け部の端面とワークの外形とのギャップが標準値の4mmとなるよう設置した。高周波インバータ11の出力電力を設定ボリュームの50%とし、1秒間出力するように高周波インバータ11の出力を設定した。判定部23dに対し、予めコイル電圧Vcoilと電流Ioの基準範囲を設定した。具体的には、予め、ワーク15を鞍型受け部に対して標準状態で配置後ワーク15の焼入れを行い、電流センサ21及び電圧センサ22により電流信号Si及び電圧信号Svの各波形を取り込んだ。そして、品質が所定の範囲であることを確認し、取り込んだ波形をそれぞれ基準波形として、各基準波形に沿って縦軸電圧値及び横軸時間について上限と下限を設定した。本実施例では、電圧Vcoilにおける上下限の設定値を±4.3%(±50mV)とし、時間軸設定値を±4.8%(±48ms)とし、電流Ioにおける上下限の設定値を±3.8%(±20mV)とし、時間軸設定値を±4.8%(±48ms)とした。
図8は第1の実施形態における実施例1の結果を示し、(A)は加熱コイル14における電圧に対応する信号波形で、(B)は高周波インバータ11からの出力電流に対応する信号波形である。図中、実線は各波形を示し、点線はしきい値の範囲の上限と下限を示している。実施例1では、ギャップが基準値の4mmであるので、図8から分かるように、波形はしきい値の上限と下限のほぼ中央に収まっており、判定部23dの判定はOKであった。なお、高周波インバータ11における出力電力、出力電圧は、それぞれ18kW、290Vであった。加熱コイル14の電圧Vcoilの信号は1.157V(1.157×200/5VのVcoilに相当)であり、高周波インバータ11の出力電流Ioの信号は0.529V(0.529×500/5AのIoに相当)であった。
実施例2では、鞍型受け部の端面とワーク15の外形とのギャップが6mmとなるようワーク15を配置した以外は、実施例1と同様にした。
図9は第1の実施形態における実施例2の結果を示し、(A)は加熱コイル14における電圧に対応する信号波形で、(B)は高周波インバータ11からの出力電流に対応する信号波形である。図中、実線は各波形を示し、点線はしきい値の範囲の上限と下限を示している。実施例2では、ギャップが基準値の4mmより広いので、図9から分かるように、電流の波形はしきい値の上限と下限のほぼ中央より下限側であるが、しきい値の範囲内であり、判定部23dの判定はOKであった。なお、高周波インバータ11における出力電力、出力電圧は、それぞれ18kW、290Vであった。加熱コイル14の電圧Vcoilの信号は1.172V(1.172×200/5VのVcoilに相当)であり、高周波インバータ11の出力電流Ioの信号は0.520V(0.520×500/5AのIoに相当)であった。
実施例3では、鞍型受け部の端面とワーク15の外形とのギャップが7mmとなるようワーク15を配置した以外は、実施例1と同様にした。
図10は第1の実施形態における実施例3の結果を示し、(A)は加熱コイル14における電圧に対応する信号波形、(B)は高周波インバータ11からの出力電流に対応する信号波形である。図中、実線は各波形を示し、点線はしきい値の範囲の上限と下限を示している。実施例3では、ギャップが基準値の4mmよりさらに広い7mmであるので、図10から分かるように、電流の信号波形はしきい値の下限から部分的にはみ出しており、焼入れ処理としてはNGである。なお、高周波インバータ11における出力電力、出力電圧は、それぞれ17kW、290Vであった。加熱コイル14の電圧Vcoilの信号は1.162V(1.162×200/5VのVcoilに相当)であり、高周波インバータ11の出力電流Ioの信号は0.500V(0.500×500/5AのIoに相当)であった。
(比較例1)
比較例について説明する。
比較例では、高周波焼入れ管理システム1において高周波インバータ11と整合用のコンデンサ12との間の配線に結合されていた電流センサ21を、図3に破線で示すように、電流変成器13の一次側に接続することで、電流センサ21で変成器の一次電流Ictrl-1を検出するようにした。
実施例1〜3と同様、高周波インバータ11の出力電力を設置ボリュームの50%とし、1秒間出力するように高周波インバータ11の出力を設定した。判定部23dに対し、電圧Vcoilにおける上限及び下限の設定値を±4.3%(±50mV)とし、時間軸設定値を±4.8%(±48ms)とし、電流Ioにおける上限及び下限の設定値を±3.8%(±125mV)とし、時間軸設定値を±4.8%(±48ms)とした。電流Ioにおける上限及び下限の設定は、電流の計測対象が高周波インバータ11の出力電流Ioから電流変成器13の一次電流Icrtl-1に変更したため、上下限の設定値を同じ範囲(%)にしても、電流値が大きくなるからである。
比較例1では、鞍型受け部とワークとのギャップを、実施例1と同様、4mmとした。
図11は第1の実施形態の比較例1の結果を示し、(A)は加熱コイル14における電圧に対応する信号波形で、(B)は電流変成器13の一次側電流に対応する信号波形である。図中、実線が波形を示し、点線はしきい値の範囲の上限と下限を示している。
比較例1では、ギャップが基準値の4mmであるので、図11から分かるように、電流、電圧の各信号波形は、何れもしきい値の上限と下限のほぼ中央であり、判定部23dの判定はOKであった。なお、高周波インバータ11における出力電力、出力電圧は、それぞれ18kW、290Vであった。加熱コイル14の電圧Vcoilの信号は1.170V(1.170×200/5VのVcoilに相当)であり、一次電流Icrtl-1の信号は、3.287V(3.287×500/5AのIcrtl-1に相当)であった。
(比較例2)
比較例2では、鞍型受け部とワークとのギャップを7mmとした以外は比較例2と同様に焼入れを行った。
図12は第1の実施形態の比較例2の結果を示し、(A)は加熱コイル14における電圧に対応する信号波形、(B)は電流変成器13の一次側電流に対応する信号波形である。図中、実線が波形を示し、点線はしきい値の範囲の上限と下限を示している。
比較例2では、ギャップが基準の4mmより広いにも拘らず、図12から分かるように、電圧の信号波形、電流変成器13の一次側電流の信号波形は、何れもしきい値の上限と下限のほぼ中央でしきい値の範囲内であった。よって、判定部23dでは、「OK」の判定となってしまう。なお、高周波インバータ11における出力電力、出力電圧は、それぞれ17kW、290Vであった。加熱コイル14の電圧Vcoilの信号は1.166V(1.166×200/5VのVcoilに相当)であり、一次電流Icrtl-1の信号は、3.281V(3.281×500/5AのIcrtl-1に相当)であった。
Figure 0005299718
表1は実施例1〜3と比較例1及び2の結果を示す図表である。高周波焼入れ管理システム1において、実施例1〜3のように高周波インバータ11と整合用のコンデンサ12との間の配線に電流センサ21を電気的に接続した場合と、比較例1及び2のように電流変成器13の一次側に電気的に接続した場合と、を比較すると次のことが分かる。
実施例1〜3のように高周波インバータ11からの出力電流Ioを検出した場合には、ギャップを基準の4mm、6mm、7mmと順に広げると、電流センサ21で検出した出力電流Ioの信号Siは電圧換算で0.529V、0.520V、0.500Vと変化する。ギャップが基準の4mmの場合との変化率を求めると、ギャップが6mmでは約−1.7%、ギャップが7mmでは約−5.5%となり、判定部23dは、しきい値の上限下限の±3.8%(電圧換算で±20mV)の範囲から外れたことが判定できる。
これに対し、比較例1及び2のようにギャップを基準の4mmから7mmに広げると、出力電力(メータ指示値)は18kWから17kWとなり、検出される電流の信号Siは約−5.5%の変化があるにも拘らず、判定部23dにおける電流Icrtl-1は、ギャップ4mmの場合とほぼ同じ値になってしまう。これはしきい値の範囲内であり、判定部23dにより「OK」の判定を出してしまう。よって、比較例1及び2のように、電流変成器13の一次側の電流を検出することで、高周波焼入れの監視を精度良く行うことができない。
この理由について考察すると、比較例では監視対象が一次電流Ictrl-1であるため、等価回路的に、並列抵抗に流れる実効電流分と並列インダクタンスに流れる無効電流分のベクトル合成(=(IR 2 +IL 2 1/2)により与えられる。従って、ワーク15と加熱コイル14のギャップの僅かな変化では、インダクタンスの変化が少なく、共振の鋭さQが4〜5以上であれば実効電流分が変化したとしても、上記ベクトル合成全体はあまり大きく変化しないためと考えられる。
一方、本発明では実効電流分のみを検出するため、ギャップの変化に伴い並列抵抗の変化が検出電流に直接に比例して反映される。それ故、監視電流の変化を容易に検出することができる。
図1に示した高周波焼入れ管理システム1を用いて負荷の評価試験を行った。加熱コイルとして鞍型コイルを用い、焼入れ処理物としてワークを用いた。図13は、第2の実施形態における実施例4に関し、加熱コイル61とワーク50としての棒状部材との位置関係を示す図である。なお、図29と同一又は対応する部材には同一の符号を付してある。
加熱対象のワーク50は、図示するように、棒状基部51に張出し部52を同軸状に備えて構成されているため、棒状基部51と張出し部52とが断面略L字状になっている。加熱コイル61の直線部61bに対向する部分の寸法をaとし、加熱コイル61の半円周部61aに対向する部分の寸法をbとした。また、加熱コイル61の半円周部61aとワーク50の上面53との距離、即ちコイルギャップをdとした。高周波インバータ11として、周波数10kHzの高周波を出力し、かつ出力電力が負荷によらず一定制御できるものを用いた。並列共振タイプの負荷回路として、4.15μFを4個並列接続した整合用のコンデンサ12、巻線比8:1の電流変成器13を用いた。
コイルギャップdをそれぞれ、1.5、1.7、1.9、2.1、2.3、2.5mmとなるようワークに対して加熱コイル61を配置して、各コイルギャップdにおいて、ワーク50を軸回りに500rpm回転させながら、高周波電力を150kW、5.5秒間投入して焼入れ処理を行った。
実施例4では、判定部23dに対し、予め負荷インピーダンスの基準範囲を数値入力により設定した。負荷インピーダンスの基準範囲として、上限を1.78Ω、下限を1.712Ωとした。さらに、高周波インバータからの出力電流を測定した。出力電流Ioの基準範囲は上限を290A、下限を250Aとした。
実施例4の結果について説明する。図14は第2の実施形態における実施例4の結果のうち、負荷インピーダンスのコイルギャップ依存性を示す図、図15は第2の実施形態の負荷インピーダンス変化率に対するコイルギャップ依存性を示す図、図16は第2の実施形態の高周波インバータからの出力電流のコイルギャップ依存性を示す図、図17は第2の実施形態の高周波インバータからの出力電流の変化率のコイルギャップ依存性を示す図である。横軸は何れもコイルギャップであり、図14の縦軸は負荷インピーダンス、図15の縦軸は負荷インピーダンスの変化率、図16の縦軸は高周波インバータからの出力電流、図17の縦軸は高周波インバータからの出力電流の変化率を示す。なお、各値の変化率は、コイルギャップdでの値をf(d)とすると、(f(d)−f(1.5))/f(1.5)を100倍して求めた。
負荷インピーダンスは、図14から分かるように、コイルギャップdが標準値の1.5mmでは1.752Ωであるが、dが増加すると直線的に増加し、dが2.1mmでは基準範囲の上限を超えることが分かる。負荷インピーダンスの変化率は、図15から分かるように、dが2.1で約1.8%増加し、dが2.5mmでは2.6%まで増加する。
高周波インバータからの出力電流は、図16から分かるように、コイルギャップdが標準値の1.5mmでは約267Aであるが、dが増加すると直線的に減少し、dが2.5mmでは約262Aまで減少することが分かる。出力電流の変化率は、図17から分かるように、dが2.5mmでは約1.9%減少する。
図18は、第2の実施形態における実施例4の結果のうち、コイルギャップdが1.5mmのときの波形を示し、(A)は負荷インピーダンスの波形、(B)は出力電流の波形を示す図である。図19は、第2の実施形態における実施例4の結果のうち、コイルギャップdが2.1mmのときの波形を示し、(A)は負荷インピーダンスの波形、(B)は出力電流の波形を示す図である。コイルギャップdが1.5mm、2.1mmの何れの場合においても、負荷インピーダンスは、高周波焼入れ開始により急激に増加した後に僅かに減少し、その後は増加することが分かる。これに対応し、出力電流は、高周波焼入れ開始により急激に増加した後にわずかに増加し、その後やや減少することが分かる。コイルギャップdが1.7mm、1.9mm、2.3mm、2.5mmでも同様な傾向であった。
以上の結果から、コイルギャップdに対する負荷インピーダンスの変化率は、コイルギャップdに対する出力電流の変化率より、絶対値比較で大きいことが分かる。よって、高周波焼入れ処理を行う場合には、負荷インピーダンス計測により監視することが好ましいことが分かる。なお、高周波インバータからの出力電流Ioを監視することで、高周波インバータ11の安定度を推察することができる。
(比較例3)
次に比較例3を示す。
比較例3では、実施例4とは異なり負荷インピーダンスにより監視を行わず、コイル電圧と高周波インバータからの出力電流とを計測して監視する点で異なる。その他の条件は実施例4と同一である。
焼入れ監視に際し、判定部23dに対し、予めコイル電圧Vcoilと電流Ioの基準範囲を設定した。具体的には、予め、ワーク50を既定の標準状態で配置後ワーク50の焼入れを行い、電流センサ21及び電圧センサ22により電流信号Si及び電圧信号Svの各波形を取り込んだ。そして、品質が所定の範囲であることを確認し、取り込んだ波形をそれぞれ基準波形として、各基準波形に沿って縦軸電圧値及び横軸時間について上限と下限を設定した。その際、コイル電圧Vcoilの上限を61V、下限を55Vとし、出力電流Ioの上限を290A、下限を250Aとした。
比較例3の結果について説明する。図20は第2の実施形態における比較例3の結果のうち、コイル電圧のコイルギャップ依存性を示す図、図21は第2の実施形態における比較例3の結果のうち、コイル電圧変化率に対するコイルギャップ依存性を示す図、図22は第2の実施形態における比較例3の結果のうち、高周波インバータからの出力電流のコイルギャップ依存性を示す図、図23は第2の実施形態における比較例3の結果のうち、高周波インバータからの出力電流の変化率のコイルギャップ依存性を示す図である。横軸は何れもコイルギャップであり、図20の縦軸はコイル電圧、図21の縦軸はコイル電圧の変化率、図22の縦軸は高周波インバータからの出力電流、図23の縦軸は高周波インバータからの出力電流の変化率を示す。変化率の算出は実施例と同様である。
コイル電圧は、図20から分かるように、コイルギャップdが標準値の1.5mmでは58.8Vであるが、dが増加すると直線的に増加し、dが2.5mmでは約59.2Vであることが分かる。コイル電圧の変化率は、図21から分かるように、dが2.5mmでは0.68%まで増加する。
高周波インバータからの出力電流は、図22から分かるように、コイルギャップdが標準値の1.5mmでは約268.4Aであるが、dが増加すると直線的に減少し、dが2.5mmでは約263Aまで減少することが分かる。出力電流の変化率は、図23から分かるように、dが2.5mmでは約1.9%減少する。
図24は、第2の実施形態における比較例3の結果のうち、コイルギャップdが1.5mmのときの波形を示し、(A)はコイル電圧の波形、(B)は出力電流の波形を示す図である。図25は、第2の実施形態における比較例3の結果のうち、コイルギャップdが2.1mmのときの波形を示し、(A)はコイル電圧の波形、(B)は出力電流の波形を示す図である。図中、実線は各波形を示し、点線はしきい値の範囲の上限と下限を示している。コイルギャップdが1.5mmでは、図24から分かるように、波形がしきい値の上限と下限のほぼ中央に収まっているのに対して、コイルギャップdが2.1では、図25から分かるように、電圧波形は概ねしきい値の上限と下限の中央近傍に収まったが、電流波形はしきい値内に収まっていなかった。よって、コイルギャップdが1.5mmでは判定部23dの判定はOKであるが、コイルギャップdが2.1mmでは判定部23dの判定はNGであった。なお、コイルギャップdを変えないで誘導加熱を開始すると、コイル電圧Vcoil、出力電流Ioが変化するのは、ワークが加熱により誘導加熱し難くなることに起因していると考えられる。
比較例3の結果から、コイルギャップdが1mm増加すると、出力電流Ioは約2%減少し、コイル電圧Vcoilは約0.7%増加する。この変化率は実施例4の負荷インピーダンスの変化率と比較すると小さい。
以上説明したように、実施例4と比較例3とを比べると、出力電流Io、コイル電圧Vcoilを監視するよりも、負荷インピーダンスを監視するほうが有効であることが分かった。なお、ワークとして棒状部材を例に説明したが、ワークが軸部に対して交わる方向に接続部を有するような、例えばフランジや鍔部近傍を焼入れ処理する際の監視手段として有効である。なぜなら、ワークにおける焼入れ対象領域と加熱コイルとの距離が大きくなるに従い、図13に示すように、直線部分による焼入れ処理状況には変化が見られないが、半円周部分による焼入れ処理状況は悪くなるからである。
図1に示すシステムの変形例について説明する。第1変形例は、図1に示すシステム構成のうち焼入れ制御部70と焼入れ監視部20とデータ収集部80との関係が異なる場合であり、第2変形例は、図1に示す高周波焼入れ装置10と焼入れ監視部20と焼入れ制御部70との組が複数あり、それらの組とデータ収集部80とがLANなどの通信手段で接続されている場合であり、第3変形例は、高周波焼入れ装置が一つの高周波インバータ11で複数のワークに対し焼入れする場合である。これらの変形例の何れも、上述したように焼入れ監視部20が高周波インバータ11から出力される電流とコイル電圧とをモニタリングしても、焼入れ監視部20が負荷インピーダンスを演算しその負荷インピーダンスをモニタリングしてもよい。以下、第1変形例〜第3変形例について詳細に説明する。
〔第1変形例〕
図26は、図1に示すシステム構成とは異なる第1変形例に係る高周波焼入れ管理システム2の構成図である。図1に示すシステムとは異なり、データ収集部80は焼入れ制御部70と焼入れ監視部20とにそれぞれ通信手段で接続されている。この場合には、データ収集部80は、焼入れ監視部20から測定データを収集し、焼入れ制御部70から設定条件データを収集し、高周波焼入れ装置10から検出データを収集し、収集した測定データと設定条件データと検出データとを処理日時などの関連付けデータにより関係付けてデータベース化する。その際、データ収集部80から焼入れ監視部20、焼入れ制御部70及び高周波焼入れ装置10にそれぞれ送信要求を行っても良いし、所定のタイミングで焼入れ監視部20、焼入れ制御部70及び高周波焼入れ装置10からそれぞれ自動的に送信されるようにしてもよい。なお、前述のように検出データが高周波焼入れ装置10から焼入れ制御部70に対して出力される場合には、データ収集部80は、焼入れ制御部70から測定データと検出データとを収集する。
〔第2変形例〕
図27は、第2変形例に係る高周波焼入れ管理システム3の構成図である。焼入れ管理システム3では、高周波焼入れ装置10、焼入れ監視部20、焼入れ制御部70の組が複数備えられ、LANなどの通信手段が各組における焼入れ制御部70とデータ収集部80とを接続している。つまり、一組の高周波焼入れシステム3A,3B,3Cが一つのデータ収集部80で統括されている。この場合、LANは、焼入れ制御部70を相互に接続してデータ収集部80に対し設定条件データ、測定データ及び検出データを送信する。この第2変形例では、データ収集部80は、例えばシーケンサ制御により、各焼入れ制御部70に焼入れ処理に関する設定条件データ、測定データ及び検出データの送信を要求する。焼入れ制御部70は、かかる要求に対し通信手段を介して焼入れ監視部20から測定データを受信し、この測定データを設定条件データ及び検出データと合わせて、LANを介してデータ収集部80に送出する。よって、データ収集部80は、各焼入れ制御部70から、設定条件データと測定データと検出データとを受け取り関連付けてデータベース化して保存することで、これらのデータの一元管理ができる。
なお、第1変形例で説明したように、LANが各組の焼入れ監視部20及び焼入れ制御部70をそれぞれ接続しており、データ収集部80に設定条件データ、測定データ及び検出データを関連付けてデータベース化して保存しても良い。
〔第3変形例〕
図28は、第3変形例に係る高周波焼入れ管理システム4の構成図である。高周波焼入れ管理システム4は、前述した高周波焼入れ管理システム1,2,3と比べて高周波焼入れ装置10Aが異なる。高周波焼入れ装置10Aは、図28に示すように、電気回路的に、一つの高周波インバータ11と、高周波インバータ11の出力端子間に接続される一つの整合用のコンデンサ12と、ワーク15A,15Bをそれぞれ誘導加熱する複数の加熱コイル14A,14Bと、整合用のコンデンサ12と各加熱コイル14A,14Bとの間にそれぞれ介在する複数の電流変成器13A,13Bと、複数の電流変成器13A,13Bの一次入力側と一つの整合用のコンデンサ12との間にそれぞれ介在する複数の切換機16a,16bと、で構成されている。電流変成器13A,13Bは、何れも高周波インバータ11に対して整合用のコンデンサ12と並列接続される一次電流側コイル13aと、加熱コイル14A,14Bにそれぞれ並列接続される二次電流側コイル13bと、で構成されている。以下の説明では、図28に示すように、加熱コイル14A,14Bと電流変成器13A,13Bと切換機16a,16bは2つずつ備えている場合を説明するが、加熱コイルや電流変成器は3つ以上備え、それに対応するように切換器が接続されている場合でも同様である。一方の加熱コイル14Aと一方の電流変成器13Aにおける二次電流側コイル13bとが直列接続され、一方の電流変成器13Aにおける一次電流側コイル13aが一方の切換機16aを介して整合用のコンデンサ12に並列接続されている。同様に、他方の加熱コイル14Bと一方の電流変成器13Bにおける二次電流側コイル13bとが直列接続され、他方の電流変成器13Bにおける一次電流側コイル13aが他方の切換機16bを介して整合用のコンデンサ12に並列接続されている。よって、一方のワーク15Aを焼入れ処理する際には、一方の切換機16aをONにし、他方の切換機16bをOFFにすればよく、同様に、他方のワーク15Bを焼入れ処理する際には、一方の切換機16aをOFFにし、他方の切換機16bをONにすればよい。切換機16a,16bは例えば図示しないスイッチ制御部により設定条件データに基いて制御される。第3変形例として図示した例においても、高周波焼入れ装置10Aは、等価回路的に、整合用のコンデンサ12と加熱コイル14A,14Bとが並列共振回路を含んでいる。
高周波焼入れ装置10Aが、図28に示すように、複数のワーク15A,15Bを一台の高周波インバータ11で誘導加熱する場合には、焼入れ監視部20は、高周波インバータ11の出力電流を検出する一つの電流センサ21と、各加熱コイル14A,14Bにおける電圧を検出する複数の電圧センサ22A,22Bと、電流センサ21の検出信号と電圧センサ22A,22Bの検出信号とに基づいて焼入れ監視を行う制御部23と、制御部23に対して各種制御情報を入力し、制御部23から警告信号を受ける警告部24と、を備えている。つまり、焼入れ監視部20は、一つの電流センサ21と、加熱コイル14A,14Bの数と同数の電圧センサ22A,22Bと、を有する。
高周波焼入れ装置10Aは、焼入れ制御部70から設定条件データとして高周波インバータ11の出力制御信号と切換機16のスイッチング制御信号の入力を受けると、この設定条件データに従って高周波インバータ11から高周波が出力されると共に切換機16a,16bのスイッチングがなされる。一つの電流センサ21が高周波インバータ11と整合用のコンデンサ12との間の閉回路に接続されており、各電圧センサ22A,22Bが加熱コイル14A,14Bと二次電流側コイル13b,13bとの間の閉回路にそれぞれ接続される。よって、焼入れ監視部20には電流センサ21からの検出信号と各電圧センサ22A,22Bからの検出信号とが入力され、従って、各焼入れ処理に関する測定データが入力される。
そこで、第3変形例に係る高周波焼入れ管理システム3においても、データ収集部80が、焼入れ制御部70から設定条件データを入手し、焼入れ制御部70を経由して焼入れ監視部20から測定データを入手し、高周波焼入れ装置10Aから直接又は焼入れ制御部70を介して検出データを入手し、設定条件データ、測定データ及び検出データをワーク15A,15B毎に関連付けて焼入れ処理毎にデータベース化して保存する。なお、第1変形例のように、データ収集部80が直接焼入れ監視部20から測定データを入手してもよい。それ以外のデータのやり取りについては前述と同様であるので、説明を省略する。
図1、図26乃至図28に示す何れの高周波焼入れ管理システム1〜4の何れにおいても、データ収集部80には、焼入れ制御部70から入手した設定条件データと、焼入れ監視部20から直接又は間接的に入手した測定データと、高周波焼入れ装置10Aから直接又は間接的に入手した検出データと、が一元的にデータベース化されて保存される。ここで、焼入れ制御部70、データ収集部80、焼入れ監視部20におけるデータ項目について一例を挙げる。
焼入れ制御部70には、設定条件データとして、焼入れ処理ナンバー、焼入れ日時、焼入れ時間、焼入れ開始時におけるワークの位置情報、ワークの加熱コイルへの送り速度、高周波インバータ11の出力設定値、ワークの冷却液噴射の有無に関する指令情報、ワークの回転速度などが格納される。
データ収集部80に格納されるデータ、即ち検出データとしては、焼入れ制御部70から高周波焼入れ装置10,10Aに設定条件データが出力される結果として、高周波焼入れ装置10,10Aの各種センサ、例えばセンサ11a、流量センサ102,115、温度センサ116、測定部117から出力されるデータなどがある。ここで、各種センサには高周波焼入れ装置10,10Aに取り受けられる各種計器も含まれる。検出データの項目としては、例えば、焼入れ処理ナンバー、焼入れ日時、焼入れ時間、焼入れ開始時におけるワークの位置情報、高周波インバータ11の出力電力、焼入液の流量、ワークの回転数などがある。
焼入れ監視部20に格納されるデータとしては、電流センサ21,電圧センサ22からの検出信号をサンプルするためのトリガーの日時、電流センサ21及び電圧センサ22の実効値の瞬時値や時系列値、判定部23dでの判定結果などがある。信号処理部23cがインピーダンスを求めた場合には、焼入れ監視部20に格納されるデータには、インピーダンスの瞬時値や時系列値、インピーダンスによる判定部23dでの判定結果なども含まれる。
よって、データ編集部90には、焼入れ制御部70、データ収集部80及び焼入れ監視部20が格納しているデータが集められ、表計算ソフトウェアなどにより、データ類が人為的に確認される。その際データが人為的に編集され、焼入れ処理毎に、焼入れ時間、焼入れ開始時のワークの位置、高周波電力、焼入液の流量、ワークの回転数が整理され、これらのデータが人為的に確認される。もちろん、焼入れ処理ナンバーを除いた各データ項目には許容範囲となる条件が設定されることで、焼入れ処理毎に、焼入れの品質を管理することもできる。
以上のように、データ収集部80が、例えば或るワークの焼入れ処理に関する設定条件データと、高周波インバータ11と加熱コイル14との間に構成される電気回路における電気量の測定データ、加熱コイル14用冷却水の流量データ、焼入液の流量データ、温度データ、冷却能データなどの各種の検出データとを、データベース化する。しかも、焼入れ処理毎に、設定条件データと測定データと検出データとが関連付けて保存される。よって、データ収集部80から保存されているデータを読み出すことにより、焼入れ条件と実際に焼入れされているときの各種の状態とをワーク毎に関連付け、総合的な焼入れ管理を行うことができる。
本発明は、発明の要旨を変更しない範囲で変更することができる。例えば、データ編集部90では、焼入れ制御部70に格納されている設定条件データと焼入れ監視部20が測定した測定データとを関連付けてデータベース化してもよい。
図1や図28に示す高周波焼入れ装置10,10Aにおける電気回路の構成は一例であって、任意に変更してもよい。また、高周波焼入れ装置10,10Aに設ける各種センサは図2などに示す以外のものであってもよい。


Claims (7)

  1. 高周波インバータにコンデンサと加熱コイルとが接続されて構成された高周波焼入れ装置に接続され、上記高周波インバータから上記加熱コイルに流す高周波によりワークを加熱すると共に該ワークへ焼入れ液を噴射してワークを冷却することで行う焼入れ処理を管理する高周波焼入れ管理システムであって、
    上記高周波焼入れ装置に関する設定条件データの出力により上記高周波焼入れ装置を制御する焼入れ制御部と、
    上記高周波インバータとコンデンサと加熱コイルとを含んで構成される電気回路における電気量を測定データとして計測し、焼入れ状態を監視する焼入れ監視部と、
    上記高周波焼入れ装置が上記焼入れ制御部から出力された設定条件データに基いてワーク焼入れした際に上記ワークに噴射される焼入れ液の温度、流量、冷却能の何れか一つ又は複数のデータを上記高周波焼入れ装置におけるセンサから収集すると共に、上記焼入れ監視部から測定データを収集して、収集した上記センサのデータと測定データとを関連付けて保存するデータ収集部と、
    を備える、高周波焼入れ管理システム。
  2. 高周波インバータにコンデンサを介在して電流変成器の一次コイルが接続され、かつ上記電流変成器の二次コイルに加熱コイルが接続されて構成された高周波焼入れ装置に接続され、上記加熱コイル近傍に配置されているワークの焼入れを管理する高周波焼入れ管理システムであって、
    上記高周波焼入れ装置に関する設定条件データの出力により上記高周波焼入れ装置を制御する焼入れ制御部と、
    上記高周波インバータと上記コンデンサとの配線に電気的に接続した電流センサにより上記高周波インバータから流れる出力電流を計測し、かつ、上記加熱コイルに並列に接続された電圧センサにより上記加熱コイルに生じる電圧を計測することにより、焼入れ状態を監視する焼入れ監視部と、
    上記高周波焼入れ装置が上記焼入れ制御部から出力された設定条件データに基いてワークを焼入れした際の上記高周波焼入れ装置における各種センサのデータを収集すると共に、計測した出力電流、電圧の何れか一方又は双方を上記焼入れ監視部から測定データとして収集して、収集した各種センサのデータと測定データとを関連付けて保存するデータ収集部と、
    を備える、高周波焼入れ管理システム。
  3. 前記測定データが、前記高周波インバータの出力電流と前記加熱コイルに生ずる電圧とから演算した負荷インピーダンスを含んでいる、請求又は2に記載の高周波焼入れ管理システム。
  4. 前記焼入れ監視部が、前記高周波インバータの出力電流から実効値を算出し、前記加熱コイルに生じる電圧から実効値を算出して、算出した各実効値に基いて焼入れ処理を監視する、請求1又は2に記載の高周波焼入れ管理システム。
  5. 前記焼入れ監視部が、前記高周波インバータの出力電流から実効値を算出し、前記加熱コイルに生じる電圧から実効値を算出して、算出した各実効値から負荷インピーダンスを算出する、請求1又はに記載の高周波焼入れ管理システム。
  6. 前記焼入れ監視部と前記焼入れ制御部とが互いに通信手段を経由して接続されている、請求1乃至5の何れかに記載の高周波焼入れ管理システム。
  7. 前記データ収集部が、前記焼入れ監視部及び/又は前記焼入れ制御部と通信手段を経由して接続されている、請求1乃至6の何れかに記載の高周波焼入れ管理システム。
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