JP5626545B2 - 加熱コイルとワークとの位置関係を判定する方法 - Google Patents

加熱コイルとワークとの位置関係を判定する方法 Download PDF

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Description

本発明は、加熱コイルとワークとの位置関係を判定する方法に関する。
ワークの硬度などの物性を向上させるため、ワークに対して高周波電力による焼入れ処理が施されている。図24は一般的な焼入れ処理の様子を模式的に示す外観図である。例えば、加熱対象のワーク50は、図示するように、棒状基部51に張出し部52を同軸状に備えて構成されているため、棒状基部51と張出し部52とが断面略L字状になっている。加熱コイル61は鞍型コイルであり、半円周部61aの両端に一対の直線部61b,61bが接続されてなる。焼入れ処理を行う際には、先ず、図示しない保持手段にワーク50を保持させ、加熱コイル61の半円周部61aを張出し部52の上面側に位置し、かつ加熱コイル61の直線部61bが直軸部52と平行に位置するように、加熱コイル61をワーク50に配置する。その際、加熱コイル61と張出し部52との距離が所定範囲内となっていることを確認する。その後、ワーク50を回転させながら、高周波インバータ62から加熱コイル61に高周波電力を投入する。これにより、焼入れ処理を施す。なお、図中の63は加熱コイル61と並列共振回路を構成する整合用コンデンサである。
焼入れ処理で用いられる公知の高周波焼入れ装置は、等価回路的に、高周波インバータの出力端子間に整合用のコンデンサと加熱コイルとが並列接続されて回路構成されている。焼入れの品質を保証するため、理想的には、加熱コイルに投入される有効電力(kW)を実際に計測し、この有効電力を基準に管理することが好ましいとされている。加熱コイルの等価回路は、インダクタンスと直列抵抗との直列接続で表される。さらに、加熱コイルで加熱されるワークが抵抗負荷となっている。有効電力の監視方法は、加熱コイルの両端に生じる電圧(Vcoil)と加熱コイルに流れるコイル電流(Icoil)との位相差を測定し、式Pkw=cosφVcoilcoilから求める方法である。なお、cosφは力率(φは力率角である)である。
しかしながら、高周波焼入れの場合、力率の低い負荷が多く、計測対象となるコイル電圧とコイル電流との位相差が大きい。具体的には、コンデンサと加熱コイルとの並列回路のQは10程度である。力率はQの逆数と見積もることができ、Qが10の場合には力率は0.1であり、この時の力率角φは84°となる。したがって、VcoilとIcoilとを測定し、演算回路でこれらの値を積算して求めた有効電力は小さい。また、この演算回路は温度ドリフトの影響、周波数や位相差の変動の影響を受け易いので、演算回路の算出値に基づいて高周波焼入れ処理の有効電力を高精度で監視することができないのが現状である。
特開2002−317224号公報 特開2000−150126号公報 特開2003−231923号公報
そこで、従来、高周波発振器からの電圧一定制御にて出力制御を行う場合には、加熱コイルの電流を検出して、平均電流を求め電力監視することが考えられている(例えば特許文献1)。しかしながら、コイル電流は、正確には、コイルの有するインダクタンス成分と抵抗成分とを流れる合成電流である。このため、負荷が変動してもコイル電流の変動は小さく、感度が低い。したがって、有効な電力監視を行うことができない。
また、高周波インバータからの出力電圧と出力電流を検出するか又は出力電力を検出することで監視することも考えられている(例えば特許文献2及び3)。この出力電力の検出には、出力電圧及び出力電流を検出してそれらの実効値を乗算することも含まれる。しかしながら、この監視方法では監視対象が高周波インバータからの出力電力、換言すれば、高周波インバータの出力端子間からみて負荷に投入された有効電力であるので、整合回路による損失や電力の伝送損失の影響を受け、負荷変動を敏感に検出することはできず、感度が鈍い。特に、高周波インバータから加熱コイルまでの距離が長いと、電力の伝送損失により、負荷変動の検出感度が低下してしまう。
一方、焼入れ対象となるワークと加熱コイルとの位置関係が所定範囲外となると、負荷変動により適切な焼入れ処理を行うことができない、という課題もある。以下、具体的に説明する。図24に示した焼入れ処理において、ワーク50は、必ずしも同一寸法ではなく、或る程度の許容範囲内の寸法を有しているため、ワーク50と加熱コイル61との位置関係がワーク毎に異なる可能性があるにも拘らず、ワーク50によらず同一の高周波電力を投入しても適切な焼入れ処理がなされている保証はない。つまり、ワーク50と加熱コイル61との位置関係、特に張出し部52の上面53と加熱コイル61の半円周部61aとの距離が長くなると、ワーク50と加熱コイル61との間のギャップが増加しワーク50に高周波が投入され難くなる。そのため、ワーク毎に焼入れ処理の品質保証が十分図れていないのが現状である。
本発明は、上記課題に鑑み、加熱コイルとワークとの位置関係を判定する方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の加熱コイルとワークとの位置関係を判定する方法は、高周波インバータにコンデンサを介在して電流変成器の一次側が接続され、電流変成器の二次側に加熱コイルが接続された装置を用いて、加熱コイルによりワークを加熱するに当たり、高周波インバータからの出力電流と加熱コイルに生じる電圧とを検出し、検出された電圧を検出された出力電流で割って負荷インピーダンスを求め、負荷インピーダンスの値が閾値の上限及び下限の範囲に収まっているか否かに応じて、ワークと加熱コイルとのギャップが許容範囲内か否かを判定する。
上記構成において、負荷インピーダンスの値が閾値の上限及び下限の範囲に収まっているか否かは、高周波インバータから出力が開始されてから停止するまでの間に亘って判断する。
上記構成において、ワークが、軸部と、該軸部から張り出した張出部とを同軸状に有しており、ワークの張出部に対して鞍型の加熱コイルを対向するように配置し、ワークの張出部と加熱コイルとの対向する部分の距離がギャップとして許容範囲内か否かを判定する。
上記構成において、負荷インピーダンスの値についての閾値の上限及び下限は、ワークを標準状態に配置して高周波インバータから電力を加熱コイルに投入して、高周波インバータからの出力電流と加熱コイルに生じる電圧とを検出して負荷インピーダンスに関する基準波形を求め、この求めた基準波形に沿って設定する。
上記構成において、高周波インバータの出力は高周波電力が一定となるよう制御する。
本発明によれば、高周波インバータからの出力電流と加熱コイルに生じる電圧とを検出し、検出された出力電流を検出された電圧で割って負荷インピーダンスを求め、負荷インピーダンスの値が閾値の上限及び下限の範囲に収まっているか否かに応じて、ワークと加熱コイルとのギャップが許容範囲内か否かを判定する。これにより、品質を確保することができる。
実施形態に係る高周波焼入れ監視装置を組み込んだ高周波焼入れシステムの構成図である。 図1における信号処理部内の電圧測定回路を示す。 (A)は負荷共振回路を示し、(B)は(A)に示す負荷共振回路に関し高周波インバータの周波数が負荷共振回路の共振周波数と一致して同期している場合の等価回路図である。 コイルギャップの変動が負荷インピーダンス変動として観測できる理由を説明するための模式的な回路図で、(A)は誘導加熱をモデル化した等価回路図、(B)はワークが存在しない状態での等価回路図、(C)は(B)に示す等価回路を並列回路で示したものである。 第2の実施形態の変形例を説明するための模式図である。 実施例1の結果を示し、(A)は加熱コイルにおける電圧に対応する信号波形、(B)は高周波インバータからの出力電流に対応する信号波形である。 実施例2の結果を示し、(A)は加熱コイルにおける電圧に対応する信号波形、(B)は高周波インバータからの出力電流に対応する信号波形である。 実施例3の結果を示し、(A)は加熱コイルにおける電圧に対応する信号波形、(B)は高周波インバータからの出力電流に対応する信号波形である。 比較例1の結果を示し、(A)は加熱コイルにおける電圧に対応する信号波形、(B)は図1に示す電流変成器13の一次側の電流に対応する信号波形である。 比較例2の結果を示し、(A)は加熱コイルにおける電圧に対応する信号波形、(B)は図1に示す電流変成器13の一次側の電流に対応する信号波形である。 加熱コイルとワークとの位置関係を示す図である。 実施例4の結果のうち、負荷インピーダンスのコイルギャップ依存性を示す図である。 実施例4の結果のうち、負荷インピーダンス変化率に対するコイルギャップ依存性を示す図である。 実施例4の結果のうち、高周波インバータからの出力電流のコイルギャップ依存性を示す図である。 実施例4の結果のうち、高周波インバータからの出力電流の変化率のコイルギャップ依存性を示す図である。 実施例4の結果のうち、コイルギャップdが1.5mmのときの波形を示し、(A)は負荷インピーダンスの波形、(B)は出力電流の波形を示す図である。 実施例4の結果のうち、コイルギャップdが2.1mmのときの波形を示し、(A)は負荷インピーダンスの波形、(B)は出力電流の波形を示す図である。 比較例3の結果のうち、コイル電圧のコイルギャップ依存性を示す図である。 比較例3の結果のうち、コイル電圧変化率に対するコイルギャップ依存性を示す図である。 比較例3の結果のうち、高周波インバータからの出力電流のコイルギャップ依存性を示す図である。 比較例3の結果のうち、高周波インバータからの出力電流の変化率のコイルギャップ依存性を示す図である。 比較例3の結果のうち、コイルギャップdが1.5mmのときの波形を示し、(A)はコイル電圧の波形、(B)は出力電流の波形を示す図である。 比較例3の結果のうち、コイルギャップdが2.1mmのときの波形を示し、(A)はコイル電圧の波形、(B)は出力電流の波形を示す図である。 一般的な焼入れ処理の様子を模式的に示す図である。
以下、図面を参照しながら本発明の最良の形態を詳細に説明する。
〔第1の実施形態〕
第1の実施形態に係る高周波焼入れ監視装置は、高周波インバータからの出力電流と加熱コイルの両端に生じる電圧を監視することで高周波焼入れの品質を保証するものである。図1は、第1の実施形態に係る高周波焼入れ監視装置を組み込んだ高周波焼入れシステムの構成を示す図である。高周波焼入れシステム1は、高周波焼入れ装置10と高周波焼入れ監視装置20とで構成される。
高周波焼入れ装置10は、電気回路的に、高周波インバータ11と、高周波インバータ11の出力端子間に接続される整合用のコンデンサ12と、ワーク15を誘導加熱する加熱コイル14と、整合用のコンデンサ12と加熱コイル14との間に介在される電流変成器13と、で構成されている。よって、高周波焼入れ装置10は、等価回路的に、整合用のコンデンサ12と加熱コイル14とが並列共振回路を含んで構成されている。
ここで、高周波インバータ11は電流型インバータであって、出力電圧の一定制御方式で駆動制御される。電流変成器13は、高周波インバータ11に対して整合用のコンデンサ12と並列接続される一次コイル13aと、加熱コイル14と並列接続される二次コイル13bと、で構成されている。
高周波焼入れ装置10は、加熱コイル14を内蔵した受け部(図示せず)にワーク15を配置した状態で、高周波インバータ11から加熱コイル14に対して高周波電流を供給することで、ワーク15の内部に渦電流を発生させてワーク15を加熱して焼入れ処理を行う。
高周波焼入れ監視装置20は、高周波インバータ11の出力電流を検出する電流センサ21と、加熱コイル14における電圧を検出する電圧センサ22と、電流センサ21の検出信号と電圧センサ22の検出信号とに基づいて焼入れ管理を行う制御部23と、制御部23に対して各種制御情報を入力し、制御部23から警告信号を受ける警告部24と、を備えている。
電流センサ21は、高周波インバータ11と整合用のコンデンサ12との配線に電気的に接続され、高周波インバータ11の出力電流Iを検出する。電圧センサ22は、両端に端子22a,22bを備え、加熱コイル14に並列接続され、加熱コイル14の電圧Vcoilを検出する。
制御部23は、電流センサ21からの検出信号の入力を受ける電流検出部23aと、電圧センサ22からの検出信号の入力を受ける電圧検出部23bと、電流検出部23a及び電圧検出部23bからの入力を受けてそれぞれ信号処理を行う信号処理部23cと、信号処理部23cで信号処理された結果の入力を受け、結果が所定の範囲内か否かを判定する判定部23dと、を含んでいる。判定部23dは、信号処理部23cで信号処理された結果を出力する表示部23eを備えている。
電流センサ21と電流検出部23aとは、検出した電流を電圧に変換するカレントトランスファー(変流器)で構成してもよい。このとき、電流センサ21にはロゴスキーコイルを用いることができ、電流検出部23aはロゴスキーコイルに生じる電圧から所定の範囲の電圧に変換する。カレントトランスファーは例えば出力電流500Armsを0.5Vrmsに変換する。
電圧センサ22と電圧検出部23bとは、検出した電圧を所定範囲の電圧に変換するポテンシャルトランスファー(変圧器)で構成してもよい。このとき、電圧センサ22には加熱コイル14の端子間に接続可能なプローブを用いることができる。電圧検出部23bはプローブで抽出した電圧を所定範囲の電圧に変換する。ポテンシャルトランスファーは例えばコイル電圧200Vrmsを10Vrmsに変換する。
信号処理部23cは、電流検出部23a及び電圧検出部23bからの信号を、それぞれ整流して実効値を算出すると共にフィルターでノイズを除去し、電流信号S及び電圧信号Sを判定部23dに出力する。これにより、カレントトランスファーからの信号、例えば0.5Vrmsの信号を5Vの電圧信号に変換する一方、ポテンシャルトランスファーからの信号、例えば、10Vrmsの信号を5Vの電圧信号に変換する。
判定部23dは、信号処理部23cから入力された電流信号S及び電圧信号Sが適切であるか否かの判定を行う。即ち、判定部23dは、高周波インバータ11を制御する制御部(図示せず)から加熱同期信号Sが入力されることにより、電流信号S及び電圧信号Sの波形を取り出し、表示部23eに表示する。その際、判定部23dは予め設定されている上限下限のしきい値も表示する。これにより、判定部23dは、高周波焼入れ装置10が動作中である状態で、電流信号S、電圧信号Sが上限のしきい値を上回ったり下限のしきい値を下回った場合には、判定NGとして当該波形を異常波形として記録する。また、判定部23dは、警告部24に対して警告信号を出力する。その際、判定部23dが警告信号を出力する際、表示部23eに、「NG」として警告表示を行ってもよい。
警告部24は、判定部23dからの警告信号に基づいて警告表示を行ったり、警告音を外部に発生させたり、また、高周波インバータ11の制御部(図示せず)に対して高周波電力の出力を停止するように指示する。
図1の信号処理部23c内部の回路構成について説明する。信号処理部23cには、電流検出部23aからの信号を処理する電流測定回路と、電圧検出部23bからの信号を処理する電圧測定回路とが別々に含まれている。電流測定回路も電圧測定回路も同様の回路構成であるので、以下では電圧測定回路を説明する。
図2は、図1における信号処理部23c内の電圧測定回路30を示す図である。
電圧測定回路30は、第1の演算増幅器31と第2の演算増幅器32が縦続接続され、出力側にフィルター回路33が接続されている。第1の演算増幅器31には、入力抵抗34と、入力端子と出力端子に接続される第1のダイオード35と、出力端子に一端が接続される第2のダイオード36と、入力端子に一端が接続され他端が第2のダイオード36の他端に接続される抵抗37と、が接続されている。この第1の演算増幅器31は、所謂理想ダイオードであり、入力信号電圧の半波整流を行う。第1の演算増幅器31と第2の演算増幅器32とは、抵抗38で接続されている。第2の演算増幅器32は、入力端子と出力端子との間に抵抗39が接続された反転増幅器である。第2の演算増幅器32の入力端子は、抵抗40を介して、入力抵抗34の入力信号側と接続されている。第2の演算増幅器32の出力は、入力電圧信号の両波整流波形となる。この両波整流波形が、抵抗41及びコンデンサ42からなるローパス型のフィルター回路33に入力され、両波整流波のリップルが除去されて直流電圧に変換される。フィルター回路33の抵抗41及びコンデンサ42の値を設定することで、第2の演算増幅器32から出力される両波整流波の実効値が得られる。
以下、図1に示す高周波焼入れシステム1による焼入れ監視について説明する。
高周波焼入れ装置10において、高周波インバータ11から整合用のコンデンサ12及び電流変成器13を介して加熱コイル14に高周波電力を投入する。これにより、加熱コイル14内に配置されたワーク15が加熱され、高周波焼入れされる。その際、高周波焼入れ監視装置20において、電流センサ21が高周波インバータ11の出力電流Iを検出し、電圧センサ22が加熱コイル14の電圧Vcoilを検出する。
制御部23の電流検出部23a、電圧検出部23bは、電流センサ21、電圧センサ22からのそれぞれの検出信号をレベル調整し、電流信号S及び電圧信号Sを信号処理部23cに出力する。よって、信号処理部23cが、電流検出部23a、電圧検出部23bからそれぞれ入力された電流信号、電圧信号を整流して実効値を求め、電流信号S及び電圧信号Sとして判定部23dに出力する。
判定部23dは、信号処理部23cからの電流信号S及び電圧信号Sを加熱同期信号Sにより同期を取って波形の判定を行い、上限及び下限のしきい値と比較し、電流信号S及び電圧信号Sが上限のしきい値を上回ったり、下限のしきい値を下回ったか否かの判定を行う。判定部23dは、電流信号S及び電圧信号Sがしきい値から外れた場合には当該波形を記録し、警告信号を警告部24に出力する。
警告信号を受けた警告部24は、警告を表示したり警告音を発生させる。よって、焼入れ作業者は、警告の表示や警告音を認知したとき、高周波焼入れに異常が発生したことを知ることができる。また、警告部24は、高周波焼入れ装置10の高周波インバータ11の出力動作を停止させてもよい。
以上のように、電流センサ21を用いて高周波インバータ11からの出力電流を検出し、電圧センサ22を用いて加熱コイル14に生じる電圧を検出し、電流センサ21の検出信号と電圧センサ22の検出信号とに基づいて焼入れ管理を行う。これにより、出力電圧が一定となるよう出力制御される高周波インバータ11からコンデンサ12を介して加熱コイル14に高周波電力が投入された際、高周波インバータ11からの出力電力の変動が直に出力電流に影響する。よって、電流センサ21を用いてこの出力電流をモニターすることで、高周波焼入れ処理において高周波インバータ11からの出力電力を監視することができる。一方、電圧センサ22を用いて加熱コイル14に生じる電圧をモニターすることで、高周波インバータ11から加熱コイル14までの伝送損失、コンデンサ12と加熱コイル14との並列共振回路による整合損失により検出感度が高くなり、加熱コイル14の電圧変動を高い精度で検出することができる。
即ち、電力の伝送損失が小さい場合、負荷変動による出力電流の変動率がコイル電圧の変動率より大きいので、高周波インバータ11からの出力電流を電流センサ21で監視することが有効となる。一方、電力の伝送損失が大きい場合、負荷変動によるコイル電圧の変動率が、高周波インバータ11からの出力電流の変動より大きいので、コイル電圧を電圧センサ22で監視することが有効となる。逆に、背景技術で説明した、高周波インバータの出力電流及び出力電圧を監視する方法において、高周波インバータの出力電圧を一定となるよう出力電力を制御する場合、負荷変動を検出することはできない。以下、この点について詳説する。
図3(A)は負荷共振回路を示し、(B)は(A)に示す負荷共振回路に関し高周波インバータの周波数が負荷共振回路の共振周波数と一致して同期している場合の等価回路を示す図である。図1に示す誘導加熱の電気回路は、図3(A)に示すように、整合用コンデンサCと負荷抵抗Rと負荷インダクタンスLとの並列接続に対し、高周波インバータと加熱コイルとの間の伝送損失及び整合損失を含めた抵抗Rとが直列接続された回路で表される。図3(A)に示す負荷共振回路において高周波インバータの周波数が負荷共振回路の周波数と一致して同期している場合には、図3(A)に示す回路は、図3(B)に示す等価回路、即ち鈍抵抗化回路に書き直すことができる。なお、高周波インバータと加熱コイルとの間の伝送損失及び整合損失を含めた抵抗をRとし、負荷抵抗をRとし、高周波インバータからの出力電圧をV=300V、出力電流I=300Aとする。Rx、Rが何れも0.5Ωであるとして説明を簡略化する。負荷変動により抵抗Rが0.5Ωから0.55Ωに+10%変化すると、出力電圧一定制御のため、出力電圧Vが300Vで不変で、出力電流Iは300Aから285.7Aに変化するので、出力電流の変化率も−4.8%であり、出力電力も−4.8%変化する。このとき、コイル電圧Vcoilは150V(=300A×0.5Ω)から157.1V(=285.7A×0.55Ω)に変化し、コイル電圧の変化率は+4.8%となる。つまり、高周波インバータからの出力電流の低下率とコイル電圧の増加率とがほぼ等しくなる。
上記回路構成において、伝送損失と整合損失を含めた抵抗Rが0.4Ωで、負荷抵抗Rが0.6Ωの場合、負荷抵抗Rが変化率で+10%、即ち0.6Ωから0.66Ωに変化した場合を考えると、高周波インバータの出力電圧Vは300Vで不変で、出力電流Iは300Aから283.0Aに変化するので、出力電流の変化率も−5.7%であり、出力電力も−5.7%変化する。このとき、コイル電圧Vcoilは180V(=300A×0.6Ω)から186.8V(=283.0A×0.66Ω)に変化し、コイル電圧の変化率は約+3.8%となる。つまり、高周波インバータからの出力電流の減少率の絶対値は、コイル電圧の増加率の絶対値と比べてより大きい。
上記回路構成において、逆に、伝送損失と整合損失を含めた抵抗Rが0.6Ωで、負荷抵抗Rが0.4Ωの場合、負荷抵抗Rが変化率で+10%、即ち0.4Ωから0.44Ω変化した場合を考えると、高周波インバータの出力電圧Vは300Vで不変で、出力電流Iは300Aから288.5Aに変化するので、出力電流の変化率も−3.8%であり、出力電力も−3.8%変化する。このとき、コイル電圧Vcoilは120V(=300A×0.4Ω)から126.9V(=288.5A×0.44Ω)に変化し、コイル電圧の変化率は約+5.7%となる。つまり、高周波インバータからの出力電流の減少率の絶対値は、コイル電圧の増加率の絶対値と比べてより小さい。
以上のことから、従来のように、高周波インバータの出力電流及び出力電圧を監視する方法では、伝送損失及び整合損失が増加するに従い、例えば伝送損失及び整合損失を含めた抵抗Rと負荷抵抗Rとの比率が0.4:0.6、0.5:0.5、0.6:0.4となるに従い、高周波インバータからの出力電流Iの変化率は、−5.7%、−4.8%、−3.8%となり、負荷抵抗Rの変化率に比例して変化せず、負荷抵抗Rの変動に対して感度が悪いことが分かる。
これに対し、本実施形態のように、コイル電圧Vcoilと高周波インバータからの出力電流Iとの何れもモニターして監視することで、伝送損失の影響を排除した負荷変動を監視することができる。なぜなら、伝送損失及び整合損失の割合が小さい場合、負荷抵抗の変動は、コイル電圧の変動率の方よりも出力電流の変化率の方に大きく影響するため、高周波インバータからの出力電流の変化を監視することが好ましいからである。逆に、伝送損失及び整合損失の割合が大きい場合、負荷抵抗の変動は、出力電流の変化率の方よりコイル電圧の変動率の方に大きく影響するので、コイル電圧の変化を監視することが好ましいからである。つまり、コイル電圧Vcoilと高周波インバータからの出力電流Iとの両方を監視することで、回路の電力損失の影響を排除した監視方法を確立することができる。
〔第2の実施形態〕
第2の実施形態では、高周波焼入れの際、加熱コイル電圧を高周波インバータから出力された出力電流で加熱コイル電圧を割って求めた値、即ち負荷インピーダンスを監視することで、高周波焼入れ処理の正常性を監視する。第2の実施形態に係る焼入れ監視装置を組み込んだ高周波焼入れシステムの構成は、第1の実施形態を示す図1の場合と同様である。すなわち、第2の実施形態に係る高周波焼入れ監視装置具体的にはインピーダンス監視装置を組み込んだ高周波焼入れシステムは、図1に示すように、高周波焼入れ装置10と焼入れ監視装置20とで構成される。
高周波焼入れ装置10は、図1に示すように、等価回路的に、整合用のコンデンサ12と加熱コイル14とが並列共振回路を含んで構成されている。第2の実施形態では、高周波焼入れ装置10は整合用のコンデンサと加熱コイルとが直列共振回路であってもよい。高周波インバータ11は、第1の実施形態と同様電流型インバータであるが、第1の実施形態と異なり、出力される高周波の電力が一定となるよう、電力一定制御方式で駆動制御される。電流変成器13が、高周波インバータ11に対して整合用のコンデンサ12と並列接続される一次コイル13aと、加熱コイル14と並列接続される二次コイル13bとで構成されている点は、第1の実施形態の場合と同様である。
高周波焼入れ装置10は、加熱コイル14を内蔵した受け部(図示せず)にワーク15を配置した状態で、高周波インバータ11から加熱コイル14に対して高周波電流を供給することで、ワーク15の内部に渦電流を発生させてワーク15を加熱して焼入れ処理を行う。
焼入れ監視装置20は、高周波インバータ11の出力電流を検出する電流センサ21と、加熱コイル14における電圧を検出する電圧センサ22と、電流センサ21の検出信号と電圧センサ22の検出信号とから負荷インピーダンスを算出し、この負荷インピーダンスに基づいて焼入れ管理を行う制御部23と、制御部23に対して各種制御情報を入力し、制御部23から警告信号を受ける警告部24と、を備えている。
電流センサ21は、高周波インバータ11と整合用のコンデンサ12との配線に電気的に接続され、高周波インバータ11の出力電流Iを検出する。電圧センサ22は、両端に端子22a,22bを備え、加熱コイル14に並列接続され、加熱コイル14の電圧Vcoilを検出する。
制御部23は、電流センサ21からの検出信号の入力を受ける電流検出部23aと、電圧センサ22からの検出信号の入力を受ける電圧検出部23bと、電流検出部23aからの入力を受けて出力電流に関する実効値を求めると共に電圧検出部23bからの入力を受けてコイル電圧に関する実効値を求める信号処理部23cと、信号処理部23cから求めた出力電流及びコイル電圧に関する各実効値から負荷インピーダンスを算出し、負荷インピーダンスが基準範囲内か否かを判定する判定部23dと、を含んでいる。判定部23dは、信号処理部23cで信号処理された結果を出力する表示部23eを備えている。
電流センサ21と電流検出部23aとは、検出した電流を電圧に変換するカレントトランスファー(変流器)で構成してもよい。電圧センサ22と電圧検出部23bとは、検出した電圧を所定範囲の電圧に変換するポテンシャルトランスファー(変圧器)で構成してもよい。これらの点は第1の実施の形態と同様である。
信号処理部23cは、電流検出部23a及び電圧検出部23bからの信号を、それぞれ整流して実効値を算出すると共にフィルターでノイズを除去し、電流信号S及び電圧信号Sを判定部23dに出力する。この点は第1の実施形態と同様であり、信号処理部23cには、電流検出部23aからの信号を処理する電流測定回路と、電圧検出部23bからの信号を処理する電圧測定回路と、が別々に含まれている。電流測定回路、電圧測定回路の具体的な構成は第1の実施形態と同様である。よって、カレントトランスファーからの信号、例えば0.5Vrmsの信号を5Vの電圧信号に変換する一方、ポテンシャルトランスファーからの信号、例えば、10Vrmsの信号を5Vの電圧信号に変換する。
判定部23dは、信号処理部23cから入力された電流信号S及び電圧信号Sに基づいてコイル電圧を出力電流で割り、この算出した負荷インピーダンスが規定範囲内であるか否かを判定する。具体的には、先ず、高周波インバータ11を制御する制御部(図示せず)から加熱同期信号Sが入力されることにより、信号処理部23cから入力された電流信号S及び電圧信号Sの値をサンプリングする。次に、サンプリングした電圧値をサンプリングした電流値で割り、所定の比例定数を乗算することで、コイル電圧に対する出力電流、即ち負荷インピーダンスを算出する。算出した結果をグラフィックに表示部23eに表示する。その際、算出した負荷インピーダンスが基準範囲内であるか否かの判定を行う。判定部23dは、算出した負荷インピーダンスが基準範囲内であった場合には焼入れ処理がOKと判断し、算出した負荷インピーダンスが基準範囲外であった場合には焼入れ処理がNGと判断して警告部24に対して警告信号を表示する。
なお、判定部23dは、高周波インバータ11の制御部(図示せず)から加熱同期信号Sが入力されることで切り出した電流信号S及び電圧信号Sの何れかの波形を表示部23eに出力できるようにしてもよい。その際、判定部23dは予め設定されている上限下限のしきい値も表示する。これにより、判定部23dは、高周波焼入れ装置10が動作中である状態で、電流信号S及び電圧信号Sが上限のしきい値を上回ったり下限のしきい値を下回ったりした場合には、判定がNGであると判定し、当該波形を異常波形として記録する。
判定部23dは、警告部24に対して警告信号を出力する。その際、判定部23dが警告信号を出力する際、表示部23eに、「NG」として警告表示を行ってもよい。
警告部24は、判定部23dからの警告信号に基づいて警告表示を行ったり、警告音を外部に発生したり、また、高周波インバータ11の制御部(図示せず)に対して高周波電力の出力を停止するように指示する。
高周波焼入れシステム1を用いて焼入れ処理を行う際の焼入れ監視について説明する。
高周波焼入れ装置10において、高周波インバータ11から整合用のコンデンサ12及び電流変成器13を介して加熱コイル14に高周波電力を投入する。これにより、加熱コイル14内に配置されたワーク15が加熱され、高周波焼入れされる。その際、高周波焼入れ監視装置10において、電流センサ21が高周波インバータ11の出力電流Iを検出し、電圧センサ22が加熱コイル14の電圧Vcoilを検出する。
制御部23の電流検出部23a、電圧検出部23bは、電流センサ21、電圧センサ22からのそれぞれの検出信号をレベル調整し、電流信号S及び電圧信号Sを信号処理部23cに出力する。よって、信号処理部23cが、電流検出部23a、電圧検出部23bからそれぞれ入力された電流信号、電圧信号を整流して実効値を求め、電流、電圧の各実効値を電流信号S及び電圧信号Sとして判定部23dに出力する。
判定部23dは、信号処理部23cからの電流信号Sと電圧信号Sとの入力を受け、電流信号S及び電圧信号Sについて加熱同期信号Sにより同期を取って波形を取得する。そして、判定部23dは、各波形から電流の実効値と電圧の実効値とのデータ列を得、その後、電流の実効値を電圧の実効値で割ることで負荷インピーダンスを算出し、算出した負荷インピーダンスが規定の範囲内か範囲外かの判定を行う。判定部23dは、負荷インピーダンスがしきい値から外れた場合には、そのデータ列を取得して記録し、警告信号を警告部24に出力する。
その際、判定部23dは、電流の実効値と上限及び下限のしきい値とを比較し、電流信号Sが上限のしきい値を上回ったか、下限のしきい値を下回ったか、の判定を行うようにしてもよい。電流信号Sがしきい値から外れた場合には、その波形を記録し、警告信号を警告部24に出力する。これにより、後述するように、負荷インピーダンスの監視では判定できない高周波インバータ11からの出力の変動を監視することができる。
警告信号を受けた警告部24は、警告を表示しまたは警告音を発生させる。よって、焼入れ作業者は、警告の表示や警告音を認知したとき、高周波焼入れに異常が発生したことを知ることができる。また、警告部24は、高周波焼入れ装置10の高周波インバータ11の出力動作を停止させてもよい。
以上のように、電流センサ21を用いて高周波インバータ11からの出力電流を検出し、電圧センサ22を用いて加熱コイル14に生じる電圧を検出し、電流センサ21の検出信号と電圧センサ22の検出信号とから負荷インピーダンスを算出して、算出した負荷インピーダンスに基づいて焼入れ管理を行う。これにより、出力電力が一定となるよう出力制御される高周波インバータ11からコンデンサ12を介して加熱コイル14に高周波電力が投入された際、高周波インバータ11からの出力電流の変動率が小さく、かつ加熱コイル14に生じるコイル電圧の変動率が小さい場合であっても、焼入れ対象となるワークと加熱コイルとの位置関係が基準範囲から外れると、即ち、図11に示すようにワーク50と加熱コイルとの間のギャップd(これを以下、コイルギャップdという)が大きくなると負荷インピーダンスの変動として検出することができる。よって、高周波焼入れ処理の品質管理を容易にかつ高い精度で行うことができる。
ここで、高周波焼入れ処理において、高周波インバータ11からの出力電流の変動率が小さく、かつ加熱コイル14に生じるコイル電圧の変動率が小さい場合であっても、負荷インピーダンスの変動として現れる理由について説明する。
図4は、コイルギャップdの変動が負荷インピーダンス変動として観測できる理由を説明するための模式的な回路図であり、(A)は誘導加熱をモデル化した等価回路図、(B)はワークが存在しない状態での等価回路図、(C)は(B)に示す等価回路を並列回路で示した図である。
誘導加熱の電気回路のうち図1(A)に示す高周波インバータ11から加熱コイル14までの電気回路は、伝送損失Rを省略すると抵抗R1と自己インダクタンスL1との直列接続に対し整合用コンデンサCpが並列接続されている点で示され、ワーク15は自己インダクタンスL2と抵抗R2との並列接続で示され、加熱コイル14にワーク15が配置される状況が相互インダクタンスとしてモデル化することができる。ここで、R1とはコイル導線の抵抗成分、R2は加熱対象の抵抗成分、L1は加熱コイル14のインダクタンス成分、L2は加熱対象のインダクタンス成分、Mは相互インダクタンスであり、加熱コイル14とワーク15とのギャップにより変化する。なお、相互インダクタンスMは、自己インダクタンスL1と自己インダクタンスL2との結合係数をkとすると、k=M/(L1×L2)1/2の関係を満たす。このとき整合用コンデンサCpの両端から見た負荷インピーダンスは、リアクタンス成分ωLeと抵抗成分Reとの和で示される。なお、Le=L1(1−k)、Re=R1+A・R2である。ここで、Aは前述の結合係数k、負荷形状、加熱周波数で定まる係数である。
ワーク15と加熱コイル14とのギャップdが増加すると、負荷の結合が弱くなる。極限的な状況として、k=0、Re=R1まで負荷の結合が弱くなり、Le=L1となる。即ち、図4(A)の等価回路は図4(B)のように書き換えることができる。
よって、ギャップが増加すると、Leが増加し、Reが減少する。
さらに、図4(B)の直列等価回路を図4(C)の並列等価回路に変換することができる。なお、Ze=Re+jwLeであるので、アドミタンスYeはYe=1/Zeであるから、次式で表される。
Ye=Gp+jBp
但し、Gp、Bpは次式の通りである。
Gp=Re/(Re+(ωLe)
Bp=ωLe/(Re+(ωLe)
ここで、Rp=1/Gp、|Xp|=1/|Bp|であり、Rp、|Xp|は次式で表される。
Rp=(Re+(ωLe))/Re
|Xp|=(Re+(ωLe))/(ωLe)
焼入れ応用ではωLe>>Reであるため、次式が成り立つ。
Rp=(ωLe)/Re
|Xp|≒ωLe
なお、ωが高周波インバータ11から出力される高周波の角周波数である。
高周波インバータの周波数が負荷共振回路のそれと一致して同期している場合には、負荷インピーダンスZは、
=R=(ωLe)/Re
となる。
つまり、上記の近似式から、ワーク15と加熱コイル14とのギャップdが増加すると、負荷の結合が弱くなり、Leが増加し、Reが減少し、負荷インピーダンスZが大きくなる。しかも、負荷インピーダンスZの変化率は、Le、Reそれぞれの変化率と比べて大きい。
よって、高周波インバータ11からの出力電力を一定としてコイルギャップdが増加すると、高周波インバータ11からの出力電流が小さくなる一方、コイル電圧は大きくなる。従って、出力電流の減少率が小さくても、コイル電圧の増加率が小さくても、出力電流に対するコイル電圧比、すなわち、負荷インピーダンスが増加する。よって、コイルギャップdが増加すると、負荷インピーダンスの変動に直接現れる。
以上のことから、高周波焼入れ処理において、高周波インバータ11の出力電力が一定となるよう制御している場合、負荷インピーダンスの変動を判定部23dで監視し、負荷インピーダンスの変動がしきい値の上限及び下限に収まっていることを確認することで、高周波焼入れ監視を効率的に行うことができる。また、制御部23が電流センサ21からの検出信号に基づいて高周波インバータ11からの出力電流を算出し、この出力電流の変動がしきい値の上限及び下限に収まっていることを確認することが好ましい。これにより、ギャップが許容範囲であるか否かを負荷インピーダンスをモニターすることで確認することができ、かつ高周波インバータ11からの出力電流の変動をモニターすることで、焼入れに必要なエネルギーが投入されていることを確認でき、質の高い焼入れの管理を行うことができる。
第1の実施形態に係る高周波焼入れ監視装置は、図1に示した高周波焼入れ装置10に対してのみ適用されるものではなく、等価回路的に、整合用のコンデンサと加熱コイルとでなる並列共振回路及び高周波インバータを含んで構成される高周波焼入れ装置に対して適用可能である。例えば電流変成器13は省略されてもよい。
第2の実施形態の変形例を説明する。
図5は、本発明の変形例を説明するための模式図である。なお、図24と同一の部材には同一の符号を付してある。図5に示すように、コイル電圧としてコイルの半円周部61aの両端部22c,22dの電圧を検出するように配置する。これにより、コイルギャップdの変動を効率的に負荷インピーダンスに反映させることができる。
この変形例のように、加熱コイル61がワーク50の焼入れ対象領域に対して所定のギャップdを有するように配置される半円周部61aを備え、図5に点線で示すように、電圧センサ22の両端部22c,22dが半円周部61a間の電圧を検出するように半円周部61aの両端部に接続されることが好ましい。これにより、実線で示すように電圧センサ22の両端部22a,22bを直線部61b,61bを介して接続している場合よりも、点線で示すように電圧センサ22の端部22c,22dを半円周部61aの両端部に接続した方がコイルギャップの変動率を高感度に検出することができ、より精度の高い焼入れ監視を行うことができる。
以上のことから、高周波電力が一定となるよう制御されている場合、コイルギャップdが増加すると負荷インピーダンスが大きくなり、この負荷インピーダンスの変動を元に、焼入れ処理が正しくなされているかの判定を行うことができる。
第2の実施形態に係る高周波焼入れ監視装置は、図1に示した高周波焼入れ装置10に対してのみ適用されるものではなく、等価回路的に、整合用のコンデンサと加熱コイルとでなる共振回路及び高周波インバータを含んで構成される高周波焼入れ装置に対して適用可能である。例えば電流変成器13は省略されてもよい。
以下、第1の実施形態に対応する実施例1乃至3及び比較例1乃至2と、第2の実施形態に対応する実施例4及び比較例3について説明する。
図1に示した高周波焼入れシステム1を用いて負荷の評価試験を行った。
高周波インバータ11として、直流電圧で一定制御されることで、周波数25kHzの高周波を出力するものを用いた。並列共振タイプの負荷回路として、10μFの整合用のコンデンサ12、巻線比6:1の電流変成器13を用いた。加熱コイル14が内蔵されてワーク15を受ける鞍型受け部には、内径40mmで幅4mmのものを用いた。ワーク15には外形33mm、肉厚5.5mmの丸パイプを用いた。実施例1では、ワーク15を、鞍型受け部の端面とワークの外形とのギャップが標準値の4mmとなるよう設置した。高周波インバータ11の出力電力を設置ボリュームの50%とし、1秒間出力するように高周波インバータ11の出力を設定した。判定部23dに対し、予めコイル電圧Vcoilと電流Iの基準範囲を設定した。具体的には、予め、ワーク15を鞍型受け部に対して標準状態で配置後ワーク15の焼入れを行い、電流センサ21及び電圧センサ22により電流信号S及び電圧信号Sの各波形を取り込んだ。そして、品質が所定の範囲であることを確認し、取り込んだ波形をそれぞれ基準波形として、各基準波形に沿って縦軸電圧値及び横軸時間について上限と下限を設定した。本実施例では、電圧Vcoilにおける上下限の設定値を±4.3%(±50mV)とし、時間軸設定値を±4.8%(±48ms)とし、電流Iにおける上下限の設定値を±3.8%(±20mV)とし、時間軸設定値を±4.8%(±48ms)とした。
図6は実施例1の結果を示し、(A)は加熱コイル14における電圧に対応する信号波形であり、(B)は高周波インバータ11からの出力電流に対応する信号波形である。図中、実線は各波形を示し、点線はしきい値の範囲の上限と下限を示している。実施例1では、ギャップが基準値の4mmであるので、図6から分かるように、波形はしきい値の上限と下限のほぼ中央に収まっており、判定部23dの判定はOKであった。なお、高周波インバータ11における出力電力、出力電圧は、それぞれ18kW、290Vであった。加熱コイル14の電圧Vcoilの信号は1.157V(1.157×200/5VのVcoilに相当)であり、高周波インバータ11の出力電流Iの信号は0.529V(0.529×500/5AのIに相当)であった。
実施例2では、鞍型受け部の端面とワーク15の外形とのギャップが6mmとなるようワーク15を配置した以外は、実施例1と同様にした。
図7は実施例2の結果を示し、(A)は加熱コイル14における電圧に対応する信号波形で、(B)は高周波インバータ11からの出力電流に対応する信号波形である。図中、実線は各波形を示し、点線はしきい値の範囲の上限と下限を示している。実施例2では、ギャップが基準値の4mmより広いので、図7から分かるように、電流の波形はしきい値の上限と下限のほぼ中央より下限側であるが、しきい値の範囲内であり、判定部23dの判定はOKであった。なお、高周波インバータ11における出力電力、出力電圧は、それぞれ18kW、290Vであった。加熱コイル14の電圧Vcoilの信号は1.172V(1.172×200/5VのVcoilに相当)であり、高周波インバータ11の出力電流Iの信号は0.520V(0.520×500/5AのIに相当)であった。
実施例3では、鞍型受け部の端面とワーク15の外形とのギャップが7mmとなるようワーク15を配置した以外は、実施例1と同様にした。
図8は実施例3の結果を示し、(A)は加熱コイル14における電圧に対応する信号波形、(B)は高周波インバータ11からの出力電流に対応する信号波形である。図中、実線は各波形を示し、点線はしきい値の範囲の上限と下限を示している。実施例3では、ギャップが基準値の4mmよりさらに広い7mmであるので、図8から分かるように、電流の信号波形はしきい値の下限から部分的にはみ出しており、焼入れ処理としてはNGである。なお、高周波インバータ11における出力電力、出力電圧は、それぞれ17kW、290Vであった。加熱コイル14の電圧Vcoilの信号は1.162V(1.162×200/5VのVcoilに相当)であり、高周波インバータ11の出力電流Iの信号は0.500V(0.520×500/5AのIに相当)であった。
(比較例1)
比較例について説明する。
比較例では、高周波焼入れシステム1において高周波インバータ11と整合用のコンデンサ12との間の配線に結合されていた電流センサ21を、図1に破線で示すように、電流変成器13の一次側に接続することで、電流センサ21で変成器の一次電流Ictrl−1を検出するようにした。
実施例1〜3と同様、高周波インバータ11の出力電力を設置ボリュームの50%とし、1秒間出力するように高周波インバータ11の出力を設定した。判定部23dに対し、電圧Vcoilにおける上限及び下限の設定値を±4.3%(±50mV)とし、時間軸設定値を±4.8%(±48ms)とし、電流Iにおける上限及び下限の設定値を±3.8%(±125mV)とし、時間軸設定値を±4.8%(±48ms)とした。電流Iにおける上限及び下限の設定は、電流の計測対象が高周波インバータ11の出力電流Iから電流変成器13の一次電流Icrtl−1に変更したため、上下限の設定値を同じ範囲(%)にしても、電流値が大きくなるからである。
比較例1では、鞍型受け部とワークとのギャップを、実施例1と同様、4mmとした。
図9は比較例1の結果を示し、(A)は加熱コイル14における電圧に対応する信号波形で、(B)は電流変成器13の一次側電流に対応する信号波形である。図中、実線が波形を示し、点線はしきい値の範囲の上限と下限を示している。
比較例1では、ギャップが基準値の4mmであるので、図9から分かるように、電流、電圧の各信号波形は、何れもしきい値の上限と下限のほぼ中央であり、判定部23dの判定はOKであった。なお、高周波インバータ11における出力電力、出力電圧は、それぞれ18kW、290Vであった。加熱コイル14の電圧Vcoilの信号は1.170V(1.170×200/5VのVcoilに相当)であり、一次電流Icrtl−1の信号は、3.287V(3.287×500/5AのIcrtl−1に相当)であった。
(比較例2)
比較例2では、鞍型受け部とワークとのギャップを7mmとした以外は比較例2と同様に焼入れを行った。
図10は比較例2の結果を示し、(A)は加熱コイル14における電圧に対応する信号波形、(B)は電流変成器13の一次側電流に対応する信号波形である。図中、実線が波形を示し、点線はしきい値の範囲の上限と下限を示している。
比較例2では、ギャップが基準の4mmより広いにも拘らず、図10から分かるように、電圧の信号波形、電流変成器13の一次側電流の信号波形は、何れもしきい値の上限と下限のほぼ中央でしきい値の範囲内であった。よって、判定部23dでは、「OK」の判定となってしまう。なお、高周波インバータ11における出力電力、出力電圧は、それぞれ17kW、290Vであった。加熱コイル14の電圧Vcoilの信号は1.166V(1.166×200/5VのVcoilに相当)であり、一次電流Icrtl−1の信号は、3.281V(3.281×500/5AのIcrtl−1に相当)であった。
Figure 0005626545
表1は実施例1〜3と比較例1及び2の結果を示す図表である。高周波焼入れシステム1において、実施例1〜3のように高周波インバータ11と整合用のコンデンサ12との間の配線に電流センサ21を電気的に接続した場合と、比較例1及び2のように電流変成器13の一次側に電気的に接続した場合と、を比較すると次のことが分かる。
実施例1〜3のように高周波インバータ11からの出力電流Iを検出した場合には、ギャップを基準の4mm、6mm、7mmと順に広げると、電流センサ21で検出した出力電流Iの信号Sは電圧換算で0.529V、0.520V、0.500Vと変化する。ギャップが基準の4mmの場合との変化率を求めると、ギャップが6mmでは約−1.7%、ギャップが7mmでは約−5.5%となり、判定部23dは、しきい値の上限下限の±3.8%(電圧換算で±20mV)の範囲から外れたことが判定できる。
これに対し、比較例1及び2のようにギャップを基準の4mmから7mmに広げると、出力電力(メータ指示値)は18kWから17kWとなり、検出される電流の信号Sは約−5.5%の変化があるにも拘らず、判定部23dにおける電流Icrtl−1は、ギャップ4mmの場合とほぼ同じ値になってしまう。これはしきい値の範囲内であり、判定部23dにより「OK」の判定を出してしまう。よって、比較例1及び2のように、電流変成器13の一次側の電流を検出することで、高周波焼入れの監視を精度良く行うことができない。
この理由について考察すると、比較例では監視対象が一次電流Ictrl−1であるため、等価回路的に、並列抵抗に流れる実効電流分と並列インダクタンスに流れる無効電流分のベクトル合成(=(IR 2 +IL 2 1/2)により与えられる。従って、ワーク15と加熱コイル14のギャップの僅かな変化では、インダクタンスの変化が少なく、共振の鋭さQが4〜5以上であれば実効電流分が変化したとしても、上記ベクトル合成全体はあまり大きく変化しないためと考えられる。
一方、本発明では実効電流分のみを検出するため、ギャップの変化に伴い並列抵抗の変化が検出電流に直接に比例して反映される。それ故、監視電流の変化を容易に検出することができる。
図1に示した高周波焼入れシステム1を用いて負荷の評価試験を行った。加熱コイルとして鞍型コイルを用い、焼入れ処理物としてワークを用いた。図11は、加熱コイル61とワーク50としての棒状部材との位置関係を示す図である。なお、図24と同一又は対応する部材には同一の符号を付してある。
加熱対象のワーク50は、図示するように、棒状基部51に張出し部52を同軸状に備えて構成されているため、棒状基部51と張出し部52とが断面略L字状になっている。加熱コイル61の直線部61bに対向する部分の寸法をaとし、加熱コイル61の半円周部61aに対向する部分の寸法をbとした。また、加熱コイル61の半円周部61aとワーク50の上面53との距離、即ちコイルギャップをdとした。高周波インバータ11として、周波数10kHzの高周波を出力し、かつ出力電力が負荷によらず一定制御できるものを用いた。並列共振タイプの負荷回路として、4.15μFを4個並列接続した整合用のコンデンサ12、巻線比8:1の電流変成器13を用いた。
コイルギャップdをそれぞれ、1.5、1.7、1.9、2.1、2.3、2.5mmとなるようワークに対して加熱コイル61を配置して、各コイルギャップdにおいて、ワーク50を軸回りに500rpm回転させながら、高周波電力を150kW、5.5秒間投入して焼入れ処理を行った。
実施例4では、判定部23dに対し、予め負荷インピーダンスの基準範囲を数値入力により設定した。負荷インピーダンスの基準範囲として、上限を1.78Ω、下限を1.712Ωとした。さらに、高周波インバータからの出力電流を測定した。出力電流Iの基準範囲は上限を290A、下限を250Aとした。
実施例4の結果について説明する。図12は実施例4の結果のうち、負荷インピーダンスのコイルギャップ依存性を示す図、図13は負荷インピーダンス変化率に対するコイルギャップ依存性を示す図、図14は高周波インバータからの出力電流のコイルギャップ依存性を示す図、図15は高周波インバータからの出力電流の変化率のコイルギャップ依存性を示す図である。横軸は何れもコイルギャップであり、図12の縦軸は負荷インピーダンス、図13の縦軸は負荷インピーダンスの変化率、図14の縦軸は高周波インバータからの出力電流、図15の縦軸は高周波インバータからの出力電流の変化率を示す。なお、各値の変化率は、コイルギャップdでの値をf(d)とすると、(f(d)−f(1.5))/f(1.5)を100倍して求めた。
負荷インピーダンスは、図12から分かるように、コイルギャップdが標準値の1.5mmでは1.752Ωであるが、dが増加すると直線的に増加し、dが2.1mmでは基準範囲の上限を超えることが分かる。負荷インピーダンスの変化率は、図13から分かるように、dが2.1で約1.8%増加し、dが2.5mmでは2.6%まで増加する。
高周波インバータからの出力電流は、図14から分かるように、コイルギャップdが標準値の1.5mmでは約267Aであるが、dが増加すると直線的に減少し、dが2.5mmでは約262Aまで減少することが分かる。出力電流の変化率は、図15から分かるように、dが2.5mmでは約1.9%減少する。
図16は、コイルギャップdが1.5mmのときの波形を示し、(A)は負荷インピーダンスの波形、(B)は出力電流の波形を示す図である。図17は、コイルギャップdが2.1mmのときの波形を示し、(A)は負荷インピーダンスの波形、(B)は出力電流の波形を示す図である。コイルギャップdが1.5mm、2.1mmの何れの場合においても、負荷インピーダンスは、高周波焼入れ開始により急激に増加した後に僅かに減少し、その後は増加することが分かる。これに対応し、出力電流は、高周波焼入れ開始により急激に増加した後にわずかに増加し、その後やや減少することが分かる。コイルギャップdが1.7mm、1.9mm、2.3mm、2.5mmでも同様な傾向であった。
以上の結果から、コイルギャップdに対する負荷インピーダンスの変化率は、コイルギャップdに対する出力電流の変化率より、絶対値比較で大きいことが分かる。よって、高周波焼入れ処理を行う場合には、負荷インピーダンス計測により監視することが好ましいことが分かる。なお、高周波インバータからの出力電流Iを監視することで、高周波インバータ11の安定度を推察することができる。
(比較例3)
次に比較例3を示す。
比較例3では、実施例4とは異なり負荷インピーダンスにより監視を行わず、コイル電圧と高周波インバータからの出力電流とを計測して監視する点で異なる。その他の条件は実施例4と同一である。
焼入れ監視に際し、判定部23dに対し、予めコイル電圧Vcoilと電流Iの基準範囲を設定した。具体的には、予め、ワーク50を既定の標準状態で配置後ワーク50の焼入れを行い、電流センサ21及び電圧センサ22により電流信号S及び電圧信号Sの各波形を取り込んだ。そして、品質が所定の範囲であることを確認し、取り込んだ波形をそれぞれ基準波形として、各基準波形に沿って縦軸電圧値及び横軸時間について上限と下限を設定した。その際、コイル電圧Vcoilの上限を61V、下限を55Vとし、出力電流Ioの上限を290A、下限を250Aとした。
比較例3の結果について説明する。図18はコイル電圧のコイルギャップ依存性を示す図、図19はコイル電圧変化率に対するコイルギャップ依存性を示す図、図20は高周波インバータからの出力電流のコイルギャップ依存性を示す図、図21は高周波インバータからの出力電流の変化率のコイルギャップ依存性を示す図である。横軸は何れもコイルギャップであり、図18の縦軸はコイル電圧、図19の縦軸はコイル電圧の変化率、図20の縦軸は高周波インバータからの出力電流、図21の縦軸は高周波インバータからの出力電流の変化率を示す。変化率の算出は実施例と同様である。
コイル電圧は、図18から分かるように、コイルギャップdが標準値の1.5mmでは58.8Vであるが、dが増加すると直線的に増加し、dが2.5mmでは約59.2Vであることが分かる。コイル電圧の変化率は、図19から分かるように、dが2.5mmでは0.68%まで増加する。
高周波インバータからの出力電流は、図20から分かるように、コイルギャップdが標準値の1.5mmでは約268.4Aであるが、dが増加すると直線的に減少し、dが2.5mmでは約263Aまで減少することが分かる。出力電流の変化率は、図21から分かるように、dが2.5mmでは約1.9%減少する。
図22は、コイルギャップdが1.5mmのときの波形を示し、(A)はコイル電圧の波形、(B)は出力電流の波形を示す図である。図23は、コイルギャップdが2.1mmのときの波形を示し、(A)はコイル電圧の波形、(B)は出力電流の波形を示す図である。図中、実線は各波形を示し、点線はしきい値の範囲の上限と下限を示している。コイルギャップdが1.5mmでは、図22から分かるように、波形がしきい値の上限と下限のほぼ中央に収まっているのに対して、コイルギャップdが2.1では、図23から分かるように、電圧波形は概ねしきい値の上限と下限の中央近傍に収まったが、電流波形はしきい値内に収まっていなかった。よって、コイルギャップdが1.5mmでは判定部23dの判定はOKであるが、コイルギャップdが2.1mmでは判定部23dの判定はNGであった。なお、コイルギャップdを変えないで誘導加熱を開始すると、コイル電圧Vcoil、出力電流Iが変化するのは、ワークが加熱により誘導加熱し難くなることに起因していると考えられる。
比較例3の結果から、コイルギャップdが1mm増加すると、出力電流Iは約2%減少し、コイル電圧Vcoilは約0.7%増加する。この変化率は実施例4の負荷インピーダンスの変化率と比較すると小さい。
以上説明したように、実施例4と比較例3とを比べると、出力電流I、コイル電圧Vcoilを監視するよりも、負荷インピーダンスを監視するほうが有効であることが分かった。なお、ワークとして棒状部材を例に説明したが、ワークが軸部に対して交わる方向に接続部を有するような、例えばフランジや鍔部近傍を焼入れ処理する際の監視手段として有効である。なぜなら、ワークにおける焼入れ対象領域と加熱コイルとの距離が大きくなるに従い、図12に示すように、直線部分による焼入れ処理状況には変化が見られないが、半円周部分による焼入れ処理状況は悪くなるからである。
1:高周波焼入れシステム
10:高周波焼入れ装置
11:高周波インバータ
12:整合用のコンデンサ
13:電流変成器
13a:一次電流側コイル
13b:二次電流側コイル
14:加熱コイル
15:ワーク(被加熱材)
20:高周波焼入れ監視装置(インピーダンス監視装置)
21:電流センサ
22:電圧センサ
22a,22b,22c,22d:端部
23:制御部
23a:電流検出部
23b:電圧検出部
23c:信号処理部
23d:判定部
23e:表示部
24:警告部
30:電圧測定回路
31:第1の演算増幅器
32:第2の演算増幅器
33:フィルター回路
34:入力抵抗
35:第1のダイオード
36:第2のダイオード
37,38,39,40,41:抵抗
42:コンデンサ
50:ワーク
51:棒状基部
52:張出し部
53:上面
61:加熱コイル
61a:半円周部
61b:直線部

Claims (5)

  1. 高周波インバータにコンデンサを介在して電流変成器の一次側が接続され、上記電流変成器の二次側に加熱コイルが接続された装置を用いて、上記加熱コイルによりワークを加熱するに当たり、
    上記高周波インバータからの出力電流と上記加熱コイルに生じる電圧とを検出し、検出された電圧を検出された出力電流で割って負荷インピーダンスを求め、負荷インピーダンスの値が閾値の上限及び下限の範囲に収まっているか否かに応じて、上記ワークと上記加熱コイルとのギャップが許容範囲内か否かを判定する、加熱コイルとワークとの位置関係を判定する方法。
  2. 前記負荷インピーダンスの値が閾値の上限及び下限の範囲に収まっているか否かは、前記高周波インバータから出力が開始されてから停止するまでの間に亘って判断する、請求項1に記載の加熱コイルとワークとの位置関係を判定する方法。
  3. 前記ワークが、軸部と、該軸部から張り出した張出部とを同軸状に有しており、
    前記ワークの張出部に対して鞍型の前記加熱コイルを対向するように配置し、
    前記ワークの張出部と前記加熱コイルとの対向する部分の距離が前記ギャップとして許容範囲内か否かを判定する、請求項1に記載の加熱コイルとワークとの位置関係を判定する方法。
  4. 前記負荷インピーダンスの値についての閾値の上限及び下限は、ワークを標準状態に配置して前記高周波インバータから電力を前記加熱コイルに投入し前記高周波インバータからの出力電流と前記加熱コイルに生じる電圧とを検出して負荷インピーダンスに関する基準波形を求め、この求めた基準波形に沿って設定する、請求項1に記載の加熱コイルとワークとの位置関係を判定する方法。
  5. 前記高周波インバータの出力は高周波電力が一定となるよう制御する、請求項1に記載の加熱コイルとワークとの位置関係を判定する方法。
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