JP6704179B2 - 送電装置および無線電力伝送システム - Google Patents

送電装置および無線電力伝送システム Download PDF

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Description

本開示は、コイル間の異物を検出する異物検出装置を備え、かつ、非接触で電力を伝送する無線電力伝送のための送電装置に関する。
近年、携帯電話機や電気自動車などの移動性を伴う電子機器やEV機器において、無線充電を行うために、コイル間の誘導結合を用いた無線電力伝送技術の開発が進んでいる。無線電力伝送システムは、送電コイルを含む送電アンテナを有する送電装置と、受電コイルを含む受電アンテナを有する受電装置とを備える。無線電力伝送システムは、送電コイルによって生じた磁界を受電コイルが捕捉することにより、電極を直接に接触させることなく電力を伝送する。
特許文献1は、そのような無線電力伝送システムの一例を開示している。
米国特許出願公開第2012/0077537号明細書
しかし、かかる従来技術では、送電コイルと受電コイルとの間に異物が侵入した際、比較的長い時間間隔(例えば約数secの間隔)で送信される受電電力のデータを用いずに異物の侵入を検出することができなかった。受電電力のデータを用いずに異物の侵入を検出できる送電装置が望まれる。
本開示の一態様に係る送電装置は、受電共振器を備えた受電装置に対して非接触で交流の送電電力を伝送する送電装置であって、前記受電共振器と電磁的に結合して前記送電電力を伝送する送電共振器と、前記送電共振器に出力する前記送電電力を生成するインバータ回路と、前記受電装置から入力された、前記受電装置内の電圧の値を示す情報に基づき前記送電電力の電圧を決定する制御パラメータQを調整し、前記インバータ回路が出力する前記送電電力の大きさを制御する送電制御回路と、を備える。前記送電制御回路は、送電開始から所定の時間が経過し前記送電電力が所定の範囲に収束した状態において、第1単位時間の始点である第1の時刻t1における送電電力P(t1)、及び、前記第1単位時間の終点である第2の時刻t2における送電電力P(t2)を算出し、第2単位時間の始点である第3の時刻t3における前記送電電力の電圧を決定する制御パラメータQ(t3)、及び、前記第2単位時間の終点である第4の時刻t4における前記送電電力の電圧を決定する制御パラメータQ(t4)を保持し、電力差ΔP=P(t2)−P(t1)と制御パラメータの差ΔQ=Q(t4)−Q(t3)とを算出し、前記電力差ΔPが第1閾値以上の場合、かつ、前記制御パラメータの差ΔQの絶対値が第2閾値以上の場合、前記受電共振器と前記送電共振器との間に異物が存在すると判断し、前記インバータ回路に前記送電電力を減少させ、前記電力差ΔPが第1閾値未満の場合、又は、前記制御パラメータの差ΔQの絶対値が第2閾値未満の場合、前記受電共振器と前記送電共振器との間に異物が存在しないと判断し、前記インバータ回路から前記送電電力と同じ電力の電力送電を継続させる。
これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、又は、記録媒体で実現されてもよい。あるいは、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
本開示の一態様によれば、受電装置から長い定期的な間隔(例えば、約数secの間隔)で送信される受電電力のデータを用いずに、送電コイルと受電コイルとの間に異物が侵入したか否かを判断できる。また、送電コイルと受電コイルとの間の位置ずれと、異物侵入とを高い精度で見分ける送電装置を実現できる。
本開示の実施形態1に係る無線電力伝送システムの構成図である。 本開示の実施形態1に係るインバータ回路の構成例を示す図である。 本開示の実施形態1に係るインバータ回路の動作の一例を示す図である。 本開示の実施形態1に係るインバータ回路の動作の他の例を示す図である。 本開示の実施形態1の変形例に係る無線電力伝送システムの構成図である。 本開示の実施形態1に係る送電コイルと受電コイルの概略配置図である。 本開示の実施形態1に係る送電コイルと受電コイルの概略配置図である。 本開示の実施形態1に係る送電電力の時間変化を示す図である。 本開示の実施形態1に係る送電共振器および受電共振器の等価回路を示す図である。 本開示の実施形態1における動作を示すフローチャートである。 本開示の実施形態2に係る無線電力伝送システムの構成図である。 表示部を有する送電装置の例を示す図である。 本開示の実施例に係る、楕円の方程式によって閾値を決定する例を示す図である。 本開示の実施例に係る、一次方程式によって閾値を決定する例を示す図である。
(本開示の基礎となった知見)
本開示の実施形態を説明する前に、本開示の基礎となった知見を説明する。
まず、「異物」の定義を説明する。本開示において、「異物」とは、無線電力伝送システムにおける送電コイルもしくは異物検知用のコイル、又は受電コイルの近傍に位置したときに、コイル間で送電される電力に起因して発熱する、金属などの物体を意味する。
本発明者らは、「背景技術」の欄において記載した無線電力伝送システムに関し、以下の課題が生じることを見出した。
無線電力伝送システムにおいて、電力伝送を行う際に送電コイルと受電コイルとの間に金属などの異物が存在すると、異物に渦電流が発生し、加熱させるリスクを生じる。従って、安全かつ高い効率で無線電力伝送を行うためには、送電コイルと受電コイルとの間の異物を検出する機能を設けることが望まれる。
特許文献1の無線電力伝送システムでは、受電装置は、送電装置から受け取った電力(以下、「受電電力」と称することがある。)の値Pr1を示すデータを送電装置に送信する。送電装置は、そのときの送電電力の値Ps1を検知する。送電装置は、受電電力の値Pr1と送電電力の値Ps1とを用いて、伝送効率η(=受電電力Pr1/送電電力Ps1)を算出する。伝送効率ηが所定の閾値よりも低ければ、送電装置は送電コイルと受電コイルとの間に異物が存在すると判断する。
伝送効率ηは、効率が100%のときに1なので、伝送効率の変形式1−ηは、減少率を表す。そのため、伝送効率の変形式1−ηは、送電電力の値Ps1と受電電力の値Pr1との電力差ΔP1(=Ps1−Pr1)と実質的に同じ意味である。よって、特許文献1の上記方法は、送電電力の値Ps1と受電電力の値Pr1との電力差ΔP1(=Ps1−Pr1)が、所定の閾値ΔPth1を超えるとき、送電コイルと受電コイルとの間に異物が存在すると判断する方法であると言い換えることができる。
一方、無線で充電を行う機器の多くは、ワイヤレスパワーコンソーシアム(Wireless Power Consortium:WPC)が策定するQi規格に準拠した電力伝送を行う。Qi規格では、受電装置が感知した受電電力の値Pr2を示す情報(データ)を、約数秒(sec)の間隔で送電装置に伝送する。さらに、受電装置が感知した受電電力の電圧の値を示すデータを、約250ミリ秒(msec)の間隔で送電装置に伝送する。すなわち、受電装置は、電圧の値を受電電力の値よりも高い頻度で送電装置に通知する。ここで、「受電電力の電圧」とは、受電装置に伝送された電力(すなわち、電圧と電流との積)における電圧を意味する。この電圧を、以後、「受電電圧」と称することがある。Qi規格においては、この電圧は受電装置内の整流回路で整流された後の電圧である。
送電装置は、約数secの間隔で、受電装置が受電電力を感知した時の送電電力の値Ps2と伝送された受電電力の値Pr2との電力差ΔP2(=Ps2−Pr2)を算出する。この電力差ΔP2が所定の閾値ΔPth2を超えるとき、送電装置は送電コイルと受電コイルとの間に異物が存在すると判断する。
送電装置は、250msecの間隔で高速に伝送された受電電圧の値を、受電装置が要求する電圧(例えば、5V±0.04V)に収束させるように、受電装置に伝送する電力を調整する。その結果、約数百msec〜数secの間隔で、受電電圧は受電装置の要求する電圧に収束する。
このように、特許文献1に開示されたシステム又はQi規格に準拠したシステムでは、送電電力の値と受電電力の値との差ΔP1又はΔP2を用いて、送電コイルと受電コイルとの間に異物が存在するか否かを判断する。
しかしながら、本発明者らは、上述した送電電力の値と受電電力の値との差ΔP1又はΔP2を用いた従来の異物検出方法には、以下の課題が生じることを見出した。
まず、前提として、上記電力差ΔP1又はΔP2を拡大させる主な原因は2つある。1つ目は、送電コイルと受電コイルとが位置ずれを起こす場合である。位置ずれとは、送電コイルと受電コイルとの相対的な位置関係が、良好な電磁結合を実現できる関係(例えば両コイルが正対した状態)からずれることを意味する。2つ目は、送電コイルと受電コイルとの間に金属などの異物が侵入する場合である。
上述した特許文献1のシステムに当てはめて検討すると以下のようになる。特許文献1のシステムにおいて位置ずれが生じた場合、送電コイルと受電コイルとの電磁気的な結合が低下するため受電電力が低下する。よって、この場合、上記電力差ΔP1が拡大する。また、送電コイルと受電コイルとの間に異物が侵入した場合も、異物に電力を奪われるので受電電力が低下する。よって、この場合も上記電力差ΔP1が拡大する。
一方、上述したQi規格のシステムに当てはめて検討すると以下のようになる。Qi規格のシステムにおいても特許文献1のシステムと同様、位置ずれを起こした場合、及び、送電コイルと受電コイルとの間に異物が侵入した場合のいずれの場合も、上記と同じ理由により、受電電圧が低下する。
さらに、Qi規格のシステムでは、低下した受電電圧を元の電圧に戻すように、送電装置は送電電力を増加させる。その結果、位置ずれが生じる前の送電電力よりも、位置ずれが生じた後の送電電力の方が大きくなる。同様の理由で、送電コイルと受電コイルとの間に異物が侵入する前の送電電力よりも、送電コイルと受電コイルとの間に異物が侵入した後の送電電力の方が大きくなる。
Qi規格のシステムにおいて、受電電圧は、約数百msec〜数secの間隔で、受電装置の要求電圧に収束するように調整される。よって、約数百msec〜数secの間隔で、受電電力もほぼ一定になるように調整される。その結果、位置ずれが起こった後の受電電力は、位置ずれが起こる前の受電電力とほぼ同じ値になる。同様に、送電コイルと受電コイルとの間に異物が侵入した後の受電電力も、送電コイルと受電コイルとの間に異物が侵入する前の受電電力とほぼ同じ値になる。
以上のことから、位置ずれが生じる前後、及び、送電コイルと受電コイルとの間に異物が侵入する前後において、受電電力の値Pr2はほぼ一定であるのに対し、送電電力の値Ps2は増加する。そのため、送電電力の値Ps2と受電電力の値Pr2との電力差ΔP2(=Ps2−Pr2)が拡大する。このようなメカニズムにより、位置ずれが生じた場合も、異物が侵入した場合も、電力差ΔP2(=Ps2−Pr2)が拡大する。
しかしながら、本発明者らは、上述した特許文献1のシステムおよびQi規格のシステムのいずれにおいても、位置ずれが生じた場合の電力差ΔPcと、異物が侵入した場合の電力差ΔPoとが、ほぼ同じ値(ΔPc≒ΔPo)になる場合があることを発見した。即ち、上述した特許文献1のシステムでもQi規格のシステムでも、コイル間の位置ずれが生じた場合と、コイル間に異物が侵入した場合とを区別することができない場合があるという新たな課題を見出した。
一般的に、位置ずれが生じた場合、異物がない限り、ユーザの利便性を考慮して、送電電力の供給を停止せずに受電装置を駆動させることが望ましい。一方、送電コイルと受電コイルとの間に異物が侵入した場合は、過熱の虞があるので、安全性の観点から送電電力の供給を停止することが望ましい。
よって、位置ずれを起こした場合と、送電コイルと受電コイルとの間に異物が侵入した場合とを区別できることが望ましい。そのような区別ができないと、例えば異物が侵入することなく位置ずれが生じた場合に送電電力の供給を停止してしまい、ユーザの利便性を損ねてしまうという課題が生じる。
さらに、Qi規格のシステムにおいては、送電装置が受電電力の値を取得する間隔が、約数secと長い。そのため、異物が侵入した後の受電電力の値をすぐに取得できない虞がある。その場合、送電コイルと受電コイルとの間に異物がないと判断して送電を継続した後に侵入した異物をすぐに検出できない。その結果、当該異物を加熱してしまう虞がある。
従って、コイル間の位置ずれとコイル間への異物の侵入とを高い精度で見分ける送電装置が望まれる。また、受電装置から長い定期的な間隔(例えば、約数secの間隔)で通知される受電電力の値を用いずに、コイル間に異物が侵入したか否かを判断できる送電装置が望まれる。
以上の考察により、本発明者らは、以下に開示する各態様を想到するに至った。
本開示の一態様に係る送電装置は、
受電共振器を備えた受電装置に対して非接触で交流の送電電力を伝送する送電装置であって、
前記受電共振器と電磁的に結合して前記送電電力を伝送する送電共振器と、
前記送電共振器に出力する前記送電電力を生成するインバータ回路と、
前記受電装置から入力された、前記受電装置内の電圧の値を示す情報に基づき前記送電電力の電圧を決定する制御パラメータを調整し、前記インバータ回路が出力する前記送電電力の大きさを制御する送電制御回路と、を備え、
前記送電制御回路は、
送電開始から所定の時間が経過し前記送電電力が所定の範囲に収束した状態において、
第1単位時間の始点である第1の時刻t1における送電電力P(t1)、及び、前記第1単位時間の終点である第2の時刻t2における送電電力P(t2)を算出し、
第2単位時間の始点である第3の時刻t3における前記送電電力の電圧値V(t3)、及び、前記第2単位時間の終点である第4の時刻t4における前記送電電力の電圧値V(t4)を保持し、
電力差ΔP=P(t2)−P(t1)と電圧値の差ΔV=V(t4)−V(t3)とを算出し、
前記電力差ΔPが第1閾値以上の場合、かつ、前記電圧値の差ΔVが第2閾値以上の場合、前記受電共振器と前記送電共振器との間に異物が存在すると判断し、前記インバータ回路に前記送電電力を減少させ、
前記電力差ΔPが第1閾値未満の場合、又は、前記電圧値の差ΔVが第2閾値未満の場合、前記受電共振器と前記送電共振器との間に異物が存在しないと判断し、前記インバータ回路から前記送電電力と同じ電力の電力送電を継続させる。
送電コイルと受電コイルとの間に異物が侵入することなく位置ずれのみが生じた場合、異物が存在しないので、送電コイルのインピーダンス(負荷)の変動は小さい。一方、送電コイルと受電コイルとの間に異物が侵入した場合、異物が負荷となるため、インピーダンスの変動は大きい。
これらの物性によって、定性的には、電力差△Pが同じであっても、コイル間の位置ずれが生じたときよりもコイル間に異物が侵入したときの方がインピーダンス(負荷)の変動が大きく、送電電圧の変動も大きくなることが分かった。このことに着目して、本発明者らは、電力差△Pと電圧値の差(電圧差)ΔVの両方のパラメータを用いて評価することにより、位置ずれが生じたのか、異物がコイル間に侵入したのかを高い精度で見分けることができる方法を見出すに至った。
上記態様によると、電力差△Pと電圧差ΔVの両方のパラメータに基づいて評価することにより、位置ずれが生じた場合の電力差ΔPcと異物が侵入した場合の電力差ΔPoとが、ほぼ同じ値(ΔPc≒ΔPo)になる場合であっても、すなわち、電力差△Pが所定の閾値ΔPthに近い場合であっても、位置ずれが生じたのか、コイル間に異物が侵入したのかを高い精度で見分けることができる。
さらに、送電装置における電力差△Pと電圧差ΔVとに基づいて上記判断が行われるので、例えば約数secの長い間隔で受電装置から伝送される受電電力のデータを取得する必要がない。電力差ΔPと電圧差ΔVとの算出を、数secよりも十分に短い間隔(例えば、数msecの間隔)で行うことにより、送電コイルと受電コイルとの間に異物が侵入したか否かを直ちに判断することができる。
なお、送電装置における電圧Vの代わりに、電圧Vを決定する他の制御パラメータQを用いて同様の判定を行ってもよい。そのような制御パラメータは、例えば、インバータ回路から出力される電圧の出力時間比を決定するパラメータ、および当該電圧の周波数の少なくとも1つであり得る。ここで「出力時間比」とは、電圧がゼロではない値をもつ期間の周期に対する割合を意味する。出力時間比を決定するパラメータは、例えば、送電制御回路からフルブリッジ型のインバータ回路における2つのスイッチング素子に出力される2つのパルス信号の位相差、または各パルス信号のデューティ比であり得る。直流電源とインバータ回路との間にDC−DCコンバータが接続された態様においては、DC−DCコンバータの出力電圧を決定するパラメータであってもよい。制御パラメータQは、例えば送電電圧と受電電圧との差に基づいて送電制御回路によって決定され、メモリ等の記録媒体に記録(保持)された値であり得る。あるいは、制御パラメータQは、センサ回路によって計測された送電装置内の電圧または周波数等の値であってもよい。これらの各態様の具体例については後述する。
以下、本開示の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、いずれも包括的または具体的な例を示している。以下の実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。本明細書において説明される種々の態様は、矛盾が生じない限り互いに組み合わせることが可能である。また、以下の実施形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。以下の説明において、実質的に同じまたは類似する機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。
(実施形態1)
<構成>
図1は、本開示の実施形態1における無線電力伝送システムの構成を示す図である。この無線電力伝送システムは、送電装置1と受電装置6とを備えている。送電装置1は、無線で電力を伝送する機能を備えた装置である。送電装置1は、例えばQi規格に準拠した非接触充電を行う充電器であり得る。送電装置1は、送電装置1と受電装置6との間に侵入した異物1000を検出する機能を備えている。受電装置6は、送電装置1から伝送された電力を受け取って動作する電子機器または電気自動車などの電動機械であり得る。以下の説明では、一例として、受電装置2が送電装置1から伝送された電力によって充電される二次電池を備えた携帯情報端末であるものとする。
送電装置1は、直流電源0、インバータ回路10、送電共振器2、送電制御回路15、メモリ14、及び受信回路16を備えている。受電装置6は、受電共振器3、受電回路4、負荷5、及び送信回路7を備えている。
直流電源0は、直流電圧を出力する電源である。直流電源0は、例えば商用交流電圧を所定の直流電圧に変換するAC−DCコンバータを含むデバイスであり得る。インバータ回路10は、直流電源0から出力された直流電圧を交流電圧に変換する回路である。
送電共振器2および受電共振器3の各々は、コイル及びコンデンサを含む共振回路である。送電共振器2におけるコイルを「送電コイル」と称し、受電共振器3におけるコイルを「受電コイル」と称する。送電コイルと受電コイルとが対向した状態で、送電コイルから受電コイルへ電力が非接触で伝送される。各共振器は、不要であればコンデンサを含まなくても良い。すなわち、コイル自身が有する自己共振特性を利用して共振器を形成しても良い。
送電制御回路15(以下、単に「制御回路15」と称することがある。)は、送電装置1における送電動作および異物検出動作を制御する回路である。制御回路15は、インバータ回路10、受信回路16、メモリ14等の他の回路要素に接続されている。制御回路15は、後述する制御を実行するCPU、MPU等のプロセッサと、インバータ回路10における各スイッチング素子に入力する制御信号を生成するゲートドライバとの組み合わせによって実現され得る。メモリ14は、例えばDRAMまたはSRAM等の半導体メモリであり得る。メモリ14は、制御回路15が実行する制御プログラムや、制御回路15によって生成された各種のデータを格納する。
受電回路4は、受電共振器3から送られてきた交流電力を直流電力に変換して負荷5に供給する整流回路を備える。受電回路4は、受電装置6内における電圧等の値を検出する検出回路と、送信回路7に送信させる電圧等のデータを生成して送信回路7に送信させる制御回路とを備え得る。
送信回路7および受信回路16は、データの通信を行う回路である。受電装置6における送信回路7は、受電装置6内の電圧等のデータを、受電回路4の指示に従って所定の時間間隔で送信する。送電装置1における受信回路16は、送信回路7から送られてきた情報を受信する。
負荷5は、例えば二次電池または高容量キャパシタであり、受電回路4から出力された電力によって充電され得る。
直流電源0から入力された直流電力は、インバータ回路10によって交流電力に変換され、送電共振器2に供給される。送電共振器2に交流電力が入力されることによって発生する電磁界により、送電共振器2と受電共振器3とが電磁的に結合する。その結果、交流電力が送電共振器2から受電共振器3に伝送される。伝送された交流電力は、受電回路4に送られる。受電回路4は、送電された交流電力を直流電力に変換する。受電回路4によって変換された直流電力は、負荷5に供給される。本明細書において、送電装置1から伝送される交流電力のことを「送電電力」と称し、受電装置2が受け取る電力のことを「受電電力」と称する。
受電回路4は、例えば約250msecの間隔で、受電回路4が感知した受電電力の電圧の値を示すデータを送信回路7に伝送する。ここで、「受電電力の電圧」とは、受電回路4によって検出された受電装置6内の電圧(以下、「受電電圧」と称することがある。)を意味する。この電圧は、例えば、受電回路4によって整流された後の電圧(以下、「整流電圧」と称することがある。)であり得る。伝送された受電電圧の値を示すデータは、送電装置1の受信回路16によって取得される。制御回路15は、受電電圧のデータを取得する度に(例えば約数msec〜数百msecの間隔で)、受電電圧の値を受電装置6の要求電圧(例えば、5V±0.04V)に収束させるように、インバータ回路10から出力される送電電力を調整する。制御回路15は、この調整を、インバータ回路10に含まれる複数のスイッチング素子のスイッチングのタイミングを調整することによって行う。この調整の結果、受電電圧は、例えば約数msec〜数百msecごとに要求電圧に収束する。
図2は、インバータ回路10の具体的な構成の例を示す図である。この例におけるインバータ回路10は、フルブリッジ型のインバータ回路である。図2に示すように、インバータ回路10は、複数のスイッチング素子21、22、23、24を有する。より具体的には、インバータ回路10は、直流電源0の高電位側に接続されたスイッチング素子21及び23と、直流電源0の低電位側に接続されたスイッチング素子22及び24とを有する。これらの4つのスイッチング素子21〜24は、入力された電圧と同じ極性の電圧を導通時に出力する第1スイッチング素子対(スイッチング素子21と24)と、入力された電圧と逆の極性の電圧を導通時に出力する第2スイッチング素子対(スイッチング素子(22と23)とに分けられる。各スイッチング素子は、制御回路15から入力される制御信号(例えばパルス信号)によって導通(オン)・非導通(オフ)の状態が切り替えられる。
各スイッチング素子は、例えばIGBT(Insulated−Gate Bipolar Transistor)またはMOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor)等のトランジスタであり得る。制御回路15から入力される制御信号は、各素子のゲートに入力されるパルス電圧の信号であり得る。
送電共振器2と受電共振器3の共振周波数をf0とすると、各スイッチング素子のオン・オフの切り替え周波数、すなわち送電周波数は、f0に近い値に設定され得る。各スイッチング素子のオン・オフの周波数を変化させると、送電共振器2のインピーダンスが変化する。その結果、受電共振器3の出力電圧V2の大きさも変化する。したがって、制御回路15は、各スイッチング素子のオン・オフの切り替え周波数を変化させることにより、受電共振器3の出力電圧V2を変化させることができる。
図3Aは、スイッチング素子21〜24にそれぞれ入力される制御信号S1〜S4、インバータ回路10から出力される電圧V1、及び受電共振器3から出力される電圧V2の波形の一例を示す図である。図3Aにおいて、電圧V2については、不図示の平滑コンデンサ等で平滑化された後の波形が示されている。制御信号S1〜S4の各々について、電圧値が相対的に高い状態がオンの状態であり、電圧値が相対的に低い状態がオフの状態である。この例では、スイッチング素子21に入力される制御信号S1の位相と、スイッチング素子24に入力される制御信号S4の位相とが一致している。同様に、スイッチング素子22に入力される制御信号S2の位相と、スイッチング素子23に入力される制御信号S3の位相とが一致している。制御信号S1及びS4の位相は、制御信号S2及びS3の位相に対して半周期分ずれている。この例では、制御信号S1及びS4がオンのとき、電圧V1の値は約E0になり、制御信号S2及びS3がオンのとき、電圧V1の値は約−E0になる。受電共振器3から出力された平滑後の電圧V2の波形は、正弦波状になる。
図3Bは、制御信号S1〜S4、電圧V1、V2の波形の他の例を示す図である。この例では、制御信号S1及びS4の位相が互いにずれており、制御信号S2及びS3の位相も互いにずれている。これにより、受電電圧V2の振幅が、図3Aにおける例と比較して低減する。位相のずれの量(以下、「位相シフト量」と称することがある。)は様々な値を取り得るが、図3Bの例では、1/4周期としている。制御信号S1及びS2の位相は互いに逆であり、制御信号S3及びS4の位相は互いに逆である点は図3Aの例と同じである。このように、制御信号S4の位相を制御信号S1の位相に対してシフトさせ、制御信号S3の位相を制御信号S2の位相に対してシフトさせることにより、インバータ回路10から出力される電圧V1の絶対値が実質的にゼロ(0)になる期間が発生し、電圧V1の絶対値が約E0になる期間が短縮する。言い換えれば、電圧V1の出力時間比が減少する。出力時間比は、1周期のうち、絶対値が所定値(例えば、振幅の絶対値の数%〜20%程度)よりも大きくなる期間の割合である。電圧V1の出力時間比は、図3Aの例では約1(100%)であるが、図3Bの例では約0.5(50%)に低減している。このような位相シフトの結果、受電共振器3から出力される平滑後の電圧V2の振幅が低下する。したがって、受電回路4によって整流された後の電圧である整流電圧も低下する。
制御回路15は、制御信号S1及びS4の間の位相差、および制御信号S2及びS3の間の位相差を調整することにより、インバータ回路10から出力される電圧V1の出力時間比を調整することができる。このような調整により、負荷5に与えられる電圧の大きさを調整することができる。
なお、2つの制御信号の位相差を調整する代わりに、各制御信号のデューティ比を調整しても同様の制御が可能である。デューティ比は、1周期に対して、値が0(または0に近い所定値)よりも大きくなる期間の割合として定義される。図3Aに示す例では、制御信号S1〜S4のデューティ比は約50%である。このデューティ比を例えば25%に減少させることにより、図3Bに示す電圧V1、V2と同様の出力が得られる。したがって、制御回路15は、各制御信号のデューティ比を制御することによっても受電電圧を制御できる。
受電装置6の動作中は、動作状態に応じて負荷5のインピーダンスが変化し得る。負荷5のインピーダンスが変化すると、負荷5に印加される電圧も変化する。そのため、一定の電圧で駆動することが望まれる負荷5に給電する場合には、受電電圧が目標の電圧になるように制御する必要がある。そこで、本実施形態における制御回路15は、前述した送電周波数、または制御信号の位相シフト量もしくはデューティ比を、受電電圧に応じて調整する。言い換えれば、制御回路15は、各スイッチング素子のオン・オフの切り替え周波数、オン・オフのタイミングの位相シフト量、またはオン・オフのタイミングを決定する各パルス信号のデューティ比を制御パラメータQとして、受電共振器3の出力電圧の大きさ(即ち振幅)を制御する。
なお、ここではインバータ回路10がフルブリッジ型インバータであるものとして説明したが、2個のスイッチング素子と2個のコンデンサとを有するハーフブリッジ型インバータを用いてもよい。あるいは、1個のスイッチング素子と2個のインダクタと2個のコンデンサとを有するE級アンプを用いてもよい。ハーフブリッジ型インバータまたはE級アンプを用いた場合であっても、上記と同様に、送電周波数、または各制御信号のデューティ比を制御パラメータQとして、受電共振器3の出力電圧の大きさを制御することができる。
制御パラメータQは、上記の例に限定されず、送電装置1内の電圧または受電装置6内の電圧を決定するパラメータであればよい。制御パラメータQは、送電電圧の値そのものであってもよい。
図4は、本実施形態の変形例を示す図である。この例では、直流電源0とインバータ回路10との間に、DC−DCコンバータ18が接続されている。DC−DCコンバータ18は、直流電源0から出力された直流電圧を、異なる大きさの直流電圧に変換する。このような構成では、制御回路15は、DC−DCコンバータ18の昇圧比または降圧比を制御することによって受電電圧を制御してもよい。そのような制御は、例えば、DC−DCコンバータ18が有するスイッチング素子に入力されるパルス信号のオン・オフを制御することによって行われ得る。当該スイッチング素子のオン・オフのデューティ比または周波数を変化させることにより、DC−DCコンバータ18から出力される電圧の大きさを変化させることができる。これにより、インバータ回路10から出力される電圧の大きさも変化する。
このような態様においては、制御パラメータQは、DC−DCコンバータ18を制御する制御信号の周波数またはデューティ比であり得る。あるいは、DC−DCコンバータ18から出力される電圧の値そのものを制御パラメータQとしてもよい。
<異物検知のメカニズム>
次に、本実施形態における異物検知処理を具体的に説明する。
本実施形態の送電装置1は、上述したQi規格のシステムで用いられている送電電力と受電電力との電力差ΔP2ではなく、異なる時刻における送電電力の電力差ΔPと、電圧を決定する制御パラメータの差ΔQとに基づいて異物の検知を行う。より詳細には、送電制御回路15は、送電開始から所定の時間が経過し、送電電力が所定の範囲に収束した状態において、以下の処理を実行する。
(1)第1単位時間の始点である第1の時刻t1における送電電力P(t1)、及び、第1単位時間の終点である第2の時刻t2における送電電力P(t2)を算出する。
(2)第2単位時間の始点である第3の時刻t3における送電電力の電圧を決定する制御パラメータQ(t3)、及び、第2単位時間の終点である第4の時刻t4における送電電力の電圧を決定する制御パラメータQ(t4)を保持(例えばメモリ等に格納)する。
(3)電力差ΔP=P(t2)−P(t1)と制御パラメータの差ΔQ=Q(t4)−Q(t3)とを算出する。
(4)電力差ΔPが第1閾値以上の場合、かつ、制御パラメータの差ΔQの絶対値が第2閾値以上の場合、受電共振器3と送電共振器2との間に負荷(即ち異物)が存在すると判断し、インバータ回路10に送電電力を減少させる。
(5)前記電力差ΔPが第1閾値未満の場合、又は、前記制御パラメータの差ΔQの絶対値が第2閾値未満の場合、前記受電共振器と前記送電共振器との間に負荷が存在しないと判断し、前記インバータ回路から前記送電電力と同じ電力の電力送電を継続させる。
なお、上記(2)において、第2単位時間は、第1単位時間と異なっていてもよいし同じであってもよい。以下の説明では、簡単のため、第2単位時間が第1単位時間と同じ(即ち、t3=t1、t4=t2)であるものとする。また、上記(4)において、送電電力を減少させる動作には、送電を停止させる(即ち送電電力を0に減少させる)動作が含まれる。
異なる時刻における送電電力の電力差ΔPが生じる主な要因は2つある。1つ目は、送電コイルと受電コイルとの間で位置ずれが生じる場合である。2つ目は、送電コイルと受電コイルとの間に異物が侵入する場合である。
図5A及び図5Bは、1つ目の要因である位置ずれが生じる前後の送電コイル2aと受電コイル3aとの配置関係の例を概略的に示す図である。図5Aに示す初期状態では、送電装置1が有する充電台(即ち載置台)の上に受電装置6が静止している。この状態では、受電コイル3aの中心軸が、送電コイル2aの最外周の部分によって規定される充電可能領域の中央に位置している。すなわち、送電コイル2aと受電コイル3aとが正対している。この状態から、受電コイル3aが、軸に垂直な方向にスライドする場合を考える。図5Bに示すように、受電コイル3aは、その軸が充電可能領域の端部に達したところでスライドを停止するものとする。
図5Cは、図5Aに示す状態から図5Bに示す状態に至るまでの送電電力Pの時間変化の一例を示す図である。図5Aから図5Bに至る過程で、送電コイル2aと受電コイル3aとの間の結合係数が低下する。このため、受電コイル3aが受け取る電力は減少し、受電電圧も低下する。送電装置1の制御回路15は、この受電電圧の低下を補うように送電電圧および送電電力Pを増加させる。その結果、図5Cに示すように、送電電力Pは、受電コイル3aがスライドしている間、時間の経過とともに単調に増加する。受電コイル3aが停止した後は、結合係数は一定になるので、送電電力Pも一定の値に収束する。
ここで、送電電力Pの値は、例えば図1に示す直流電源0が出力する電力を測定して得られた値であり得る。直流電源0が出力する電力以外にも、例えばインバータ回路10が出力する電力を測定して得られた値のように、送電装置1内の他の箇所で測定して得られた電力の値であってもよい。同様に、後述する処理に用いられる送電電圧Vの値も、例えば図1に示す直流電源0が出力する電圧またはインバータ回路10が出力する電圧等の、送電装置1内の任意の箇所で測定して得られた電圧の値であってよい。送電電力Pおよび送電電圧Vの測定は、インバータ回路10または制御回路15が行ってもよいし、専用の測定器を用いて測定してもよい。
図5Cに示す第1の時刻t1は、送電装置1の電源が投入され、送電電力が所定の範囲内に収束した後、受電コイル3aが移動を開始する前の時刻である。第2の時刻t2は、第1の時刻t1から所定の時間が経過し、かつ、受電コイル3aが停止した後、単位時間あたりの送電電力の変化量が所定の範囲内(例えば、0.1W/秒)に収束した時刻である。つまり、第1の時刻t1と第2の時刻t2との間で、図5Cに●印で示されている電力Pが急激に変化する点が全て含まれるように、第1の時刻t1と第2の時刻t2とが設定されている。言い換えれば、時刻t1、t2は、受電装置6の移動によって変化する送電電力のプロファイルの全てを捉えられるように設定されている。
送電制御回路15は、第1の時刻t1における送電電力P(t1)と第2の時刻t2における送電電力P(t2)の値を取得すると、送電電力P(t1)と送電電力P(t2)とから送電電力の電力差ΔP=P(t2)−P(t1)を算出する。図5Cに示す例では、P(t2)>P(t1)であるので、ΔP>0となる。
ここで、本実施形態における電力差ΔPと、上述したQi規格のシステムにおける電力差ΔP2との関係について説明する。
本実施形態において、コイル間の位置ずれが生じると、受電電圧は一旦低下するが、送電電力の値Pを増加させることにより、受電装置の要求電圧に収束するように調整される。同様に、受電電力も位置ずれが生じると一旦低下するが、位置ずれが生じる前とほぼ同じ値になるように調整される。よって、増加した送電電力ΔPの値は、位置ずれによる受電電力の減少量に等しいといえる。このメカニズムは、Qi規格のシステムでも同様である。
従って、本実施形態における送電電力の電力差ΔP(=P(t2)−P(t1))と、Qi規格のシステムにおいて算出される送電電力の値Ps2と受電電力の値Pr2との電力差ΔP2(=Ps2−Pr2)とは、同等の値であるといえる。
一方、送電コイル3aと受電コイ2aとの間に異物が侵入した場合も、前述した位置ずれが生じた場合と同様に、一旦受電電力が減少し、減少した受電電力を元に戻すように調整される。その結果、P(t2)>P(t1)となり、ΔP>0となる。
よって、所定の閾値ΔPthを設定することにより、ΔP>ΔPthであるか否かに基づいて、送電コイルと受電コイルとの間に異物が侵入したか否かを判断することができる。そして、送電コイルと受電コイルとの間に異物が侵入した場合は、過熱の虞があるので、安全性の観点から、例えば送電電力の供給が停止される。
しかし、位置ずれが生じた場合でもΔP>ΔPthとなり得るので、異物が侵入したものと誤って判断してしまう可能性がある。実際には位置ずれが生じているにも関わらず、異物が侵入したものと誤って判断した場合、安全性の観点から、例えば送電電力の供給が停止されてしまう。位置ずれが生じた場合は、本来であれば、ユーザの利便性を考慮して、送電電力の供給を停止せずに、受電装置を駆動させ続けることが好ましい。しかし、ΔPのみに基づく制御では、そのような動作を実現することは困難である。
このように、位置ずれが生じた場合の電力差ΔPcと、送電コイルと受電コイルとの間に異物が侵入した場合の電力差ΔPoとに差異がない場合には、閾値ΔPthを設定したとしても、位置ずれの発生と異物の侵入とを判別できない。
一般的には、全ての場合で成り立つわけではないが、ΔPo>ΔPcとなる傾向がある。その理由は、以下のように説明することができる。
図6は、本開示における異物検知の動作メカニズムを説明するための送電共振器2および受電共振器3の等価回路図である。図6に示す例では、送電共振器2はコイルLpとキャパシタCpとを有する直列共振回路であり、受電共振器3はコイルLsとキャパシタCsとを有する直列共振回路である。送電共振器および受電共振器の各々は、この例に限らず、並列共振回路であってもよい。
ここで、送電電力をPtx、受電電力をPrx、送電コイルLpと受電コイルLsとの間の結合係数をk、送電コイルLp及び受電コイルLsのQ値の相乗平均をQmとする。すると、受電電力Prxは、以下の式(1)で表現できる。
Prx≒[1−2/(k×Qm)]×Ptx ・・・式(1)
式(1)より、位置ずれまたは異物の侵入によって結合係数kおよびQmの少なくとも一方が低下すると、受電電力が低下することがわかる。その場合、送電制御回路15は、失った電力を補うために、送電電力を増加させるように制御パラメータQを変化させる。
位置ずれが生じたときは、送電コイルLpと受電コイルLsとの間の結合係数kが主として低下する。一方、異物がコイル間に侵入したときは、送電コイルLpと受電コイルLsとの間の磁界が遮られることによる結合係数kの低下に加え、異物が侵入したことによるQmの低下の2つの効果が生じる。
したがって、位置ずれが生じた場合よりも異物が侵入した場合の方が、受電電力の低下量が大きい。その結果、位置ずれが生じたときよりも異物が侵入したときの方が、送電電力の増加量が大きくなる傾向があるといえる。
ところが、本発明者らは、位置ずれが生じた場合の電力差ΔPcと、コイル間に異物が侵入した場合の電力差ΔPoとが、ほぼ同じ値(ΔPc≒ΔPo)になることがあることを発見した。その場合、位置ずれが生じた場合とコイル間に異物が侵入した場合とを区別することができない。
本発明者らは、この新たな課題を解決するための方法を検討する過程で、以下のことを発見した。すなわち、位置ずれが生じた場合の送電電力の差ΔPcと、コイル間に異物が侵入した場合の送電電力の差ΔPoとが同じ場合でも、送電電圧Vに差が生じ得るということを発見した。
以下、表1を参照しながら、定性的にではあるが、上記現象について説明する。
Figure 0006704179
表1は、位置ずれが生じた場合と異物の侵入が生じた場合のそれぞれにおける、送電電力P(t1)、P(t2)、および電力差ΔPの値の一例を示している。より具体的には、位置ずれが生じて電力差ΔPcが1.25Wになった場合、および送電コイルと受電コイルとの間に異物が侵入して電力差ΔPoが1.25Wになった場合のそれぞれにおける送電電圧V、電流I、及び送電コイルでのインピーダンスR(=V/I)の変化を示している。
送電電力の電力差ΔPは、以下の式(2)で表される。
電力差ΔP=P(t2)−P(t1) = V(t2)×I(t2)−V(t1)×I(t1)
=[V(t2)]2/[R(t2)]−[V(t1)]2/[R(t1)] ・・・ 式(2)
表1のように、位置ずれが生じた場合も、異物が侵入した場合もP(t1)の値が例えば、1Wで同じである場合、式(2)の右辺より、[V(t1)]2/[R(t1)]の値が同じになる。一般に、位置ずれ及び異物侵入が生じる前のP(t1)の値は、位置ずれ及び異物侵入が生じた後のP(t2)より小さい。P(t2)と比較すると、位置ずれする前のP(t1)の値と異物侵入する前のP(t1)の値は、ほぼ等しいと言える。
よって、電力差ΔPは、[V(t2) ]2/R(t2)の変化に応じて変化することになる。
しかし、ここでは、電力差ΔPが同じである2つの場合を比較しているので、式(2)の右辺より[V(t2)]2/R(t2)も同じになる。この場合、V(t2)は、[V(t2)]2/R(t2)が一定となるように変化するので、R(t2)が大きい程大きくなる。
表1に示す例では、位置ずれが生じた場合のインピーダンスR(t2)は1Ωである。一方、異物が侵入した場合のインピーダンスR(t2)は2.25Ωである。このように、インピーダンスR(t2)は、位置ずれが生じた場合より異物が侵入した場合の方が大きくなっていることが分かる。
よって、電力差ΔPが同じ場合、V(t2)は、位置ずれが生じた場合(1.5V)より異物が侵入した場合(2.25V)の方が大きくなる。
ここで、R(t2)が大きくなることは、R(t1)からR(t2)への変化、すなわち送電コイルのインピーダンスRの変動も大きくなることを意味する。また、V(t2)が大きくなることは、V(t1)からV(t2)への変化、すなわち送電電圧Vの変動も大きくなることを意味する。
即ち、位置ずれが生じた場合においては、送電コイルと受電コイルとの間に異物がないので、送電コイルのインピーダンスの変動は小さい。一方、異物が侵入した場合においては、送電コイルと受電コイルとの間の異物が負荷となるため、インピーダンスの変動が大きくなる。
これらの物性により、定性的には、電力差△Pが同じであっても、位置ずれが生じたときよりも異物が侵入したときの方がインピーダンスRの変動が大きくなり、送電電圧Vの変動(単に、電圧値の差ΔVとも言う)も大きくなることが分かる。
このことに着目して、本発明者らは、電力差△Pと電圧値の差ΔVとの両方のパラメータで評価することにより、送電コイルと受電コイルとの位置ずれが生じたのか、送電コイルと受電コイルとの間に異物が侵入したのかを高精度で見分けることができる方法を見出すに至った。
ここで、送電電圧Vを決定する制御パラメータの差ΔQと、送電電圧の差ΔVとの間には、1対1の対応関係がある。よって、制御パラメータの差ΔQを送電電圧の差ΔVに置き換えることができる。
以上のように、電力差△Pと制御パラメータの差ΔQとの両方のパラメータで評価することにより、位置ずれが生じたのか、異物が侵入したのかを高い精度で見分けることができる。
<位置ずれ及び異物侵入を識別する動作のフローチャート>
図7は、本実施形態における位置ずれと異物侵入とを識別する動作の一例を示すフローチャートである。図7を参照しながら、本実施形態における位置ずれと異物侵入とを識別する動作を説明する。
まず、ユーザによる送電開始指令を受けると、送電制御回路15は、送電を開始するために、送電電圧を決定する制御パラメータQの初期値(例えば、送電周波数:100kHz、位相差:170度)をメモリ14から読み出す。そして、上記制御パラメータ値で送電を開始する(ステップS1)。
ここで、ユーザによる送電開始指令は、例えば、ユーザが直流電源0のスイッチをオンにすることによって送電制御回路15に送信される信号であり得る。あるいは、受電共振器3、受電回路4、負荷5を内蔵した受電装置6(端末)が、送電装置1の充電台の上に置かれることにより、送電制御回路15に送信される送電トリガであり得る。さらに、送電コイル2aと受電コイル3aとの位置合わせが完了したときに送電制御回路15に送信される信号であってもよい。
送電開始後、送電制御回路15は、送電しながら、上述したように負荷5への出力電圧が一定になるように制御パラメータQを調整する。その後、送電制御回路15は、送電電力が所定の範囲に収束し、定常状態となるまで待機する(ステップS2)。これにより、送電開始時の電圧や電力の初期変動による異物検出処理の誤判定を防ぐ効果がある。
その後、異物検出処理に移行する(ステップS3)。異物検知処理では、送電制御回路15は、送電電力P(t)のデータをサンプリング間隔Δtでメモリに逐次記録する。ただし、記憶領域は有限なので、たとえば、Δt=1秒、配列要素数を10として、現在から過去10秒前までのデータを記録する。このように所定の期間のデータのみを保持することでメモリ領域を節約することができる。記録の都度、送電制御回路15は、送電電力P(t)が増加したか否かを判定する(ステップS4)。送電電力P(t)が増加した場合、送電制御回路15は、その増加の直前の時刻を第1の時刻t1とし、P(t1)の値を変数P1に記録し、Q(t1)の値を変数Q1に記録する(ステップS5)。この時点では異物が侵入したのか、端末の位置がずれたのかを判定できない。
次に、静止状態検知処理(ステップS6)に移行する。静止状態検知処理では、送電制御回路15は、送電電力P(t)の時間的な変化が十分に小さくなったか否かを判断する。異物が送電コイルと受電コイルとの間に侵入した瞬間は、送電電力が増加するものの、侵入後異物がコイル間で静止すると、送電電力の増加はやがて停止し、定常状態に落ち着く。つまり送電電力P(t)の時間的変化が小さくなる。その時点をt2とし、送電制御回路15は、P(t2)の値を変数P2に記録し、Q(t2)の値を変数Q2に記録する(ステップS7)。
以上の処理が完了すると、変数P2とP1とを用いて、異物の侵入または位置ずれの発生の前後の電力差を計算できる。また、変数Q2とQ1とを用いて、異物の侵入または位置ずれの発生の前後の制御パラメータの差を計算できる。よって、送電制御回路15は、ΔP=P2−P1およびΔQ=Q2−Q1を計算する(ステップS8)。
続いて、異物判定処理(ステップS9)に移行する。異物判定処理では、送電制御回路15は、ΔPとΔQの少なくとも一方が、それぞれに関連付けられた所定範囲に収まっている場合には、位置ずれが生じていると判定する(ステップS12)。この場合、ステップS4に戻って送電を継続する。一方、ΔPとΔQの両方が、それぞれに関連付けられた所定範囲から外れている場合には、送電制御回路15は、異物が侵入していると判定する(ステップS10)。この場合、送電制御回路15は、送電を停止する(ステップS11)。
なお、受電端末の種類によって定常時の送電電力Pは異なり得る。また、位置ずれまたは異物侵入の程度によって制御パラメータQの挙動も異なり得る。そこで、ΔPとΔQを、それぞれ時間t1におけるP(t1)とQ(t1)の値で割った以下の正規化された評価パラメータX、Yを用いて判定してもよい。
X=ΔP/P(t1)
Y=ΔQ/Q(t1)
Xを第1の評価パラメータ、Yを第2の評価パラメータと呼ぶ。これらの評価パラメータを用いることにより、端末の種類、または位置ずれもしくは異物侵入の程度の差異に起因する制御パラメータの値のばらつきを抑制し、誤検知の確率をさらに低減することができる。この効果についての詳細は後述する実施例において説明する。
本実施形態では、送電電圧Vを決定する制御パラメータQを用いる例を説明したが、上述したように送電電圧V自体を用いてもよい。その場合でも、同様の処理により、位置ずれと異物侵入とを識別することができる。
以上のように、本実施形態によれば、送電電力の差△P、並びに、送電電圧の差ΔV及び制御パラメータの差ΔQのいずれか一方の2つのパラメータを用いて、位置ずれの発生及びコイル間への異物の侵入を評価する。これにより、位置ずれが生じた場合の電力差ΔPcと、送電コイルと受電コイルとの間に異物が侵入した場合の電力差ΔPoとが、ほぼ同じ値(ΔPc≒ΔPo)になる場合であっても、即ち、送電電力の差△Pが所定の閾値ΔPthに近い場合であっても、コイル間の位置ずれが生じたのか、コイル間に異物が侵入したのかを高い精度で見分けることができる。
本実施形態の異物検知方法では、送電装置1の側で送電電力の差△P、及び送電電圧の差ΔV若しくは制御パラメータの差ΔQを算出するので、受電装置6から受電電力のデータを取得する必要がない。つまり、受電電力のデータの取得のための時間的な制約(例えば、最大約数secの待機時間)がない。このため、送電装置1の側で任意に第1の時刻t1及び第2の時刻t2を設定できる。よって、タイミングを逃さず、送電コイルと受電コイルとの間に異物が侵入したか否かを判断できる。
(実施形態2)
図8は、実施形態2における無線電力伝送システムを示す概略構成図である。本実施形態は、送電装置1が制御パラメータQを測定するセンサ回路20(単にセンサとも呼ぶ)を備える点で、実施形態1とは異なる。
実施形態1では、送電制御回路15が制御パラメータQを変化させることにより、インバータ回路10の出力波形を変化させる。制御パラメータQは、前述のように、例えばインバータ回路10から出力される送電電圧の出力時間比を決定するパラメータおよび周波数のうちの少なくとも1つであり得る。送電電圧の出力時間比を決定するパラメータは、例えば、送電制御回路15からインバータ回路10に出力される2つのパルス信号の位相差、または各パルス信号のデューティ比であり得る。
しかし、送電電圧が目標値になるように制御パラメータQを変化させても、インバータ回路10がノイズや周囲温度の影響を受けて、目標電圧とは異なる電圧で動作する場合があり得る。
そこで、実施形態2では、制御パラメータQを測定するセンサ20を送電装置1内に設け、実際の制御パラメータQの値をセンサ20で測定して利用する。これにより、異物侵入時の制御パラメータQの変化量を正確に保持(例えばメモリに記録)することができる。
センサの出力をS(t)とすると、本実施形態における制御回路15は、第1の時刻t1におけるセンサ出力S(t1)と、第2の時刻t2におけるセンサ出力S(t2)とから、センサ出力の差ΔS=S(t2)−S(t1)を計算する。センサ出力の差ΔSを、上述した制御パラメータの差ΔQと置き換えることで、送電コイルと受電コイルとの位置ずれが生じたのか、送電コイルと受電コイルとの間に異物が侵入したのかを高い精度で見分けることができる。また、タイミングを逃さず、送電コイルと受電コイルとの間に異物が侵入したか否かを判断できる。
上述したように、受電端末の種類によっては定常時のセンサ出力Sは異なり得る。このため、Z=ΔS/S(t1)と正規化した評価パラメータを用いて判定を行ってもよい。このようにすることで、端末の種類に依存して制御パラメータの値に変化が生じることを抑制し、誤検知の確率を低減させることができる。
(他の実施形態)
これまでに説明した電力Pおよび制御パラメータQ等の取得時刻t1、t2(およびt3、t4)については、動的に変更してもよい。これにより、さらなる検出精度の向上を実現し得る。実施形態1および2に係る送電装置1は、受信回路16によって受電装置6から受け取った受電電力の値とその目標値との誤差が所定の値よりも小さく収束した時点を第2の時刻t2としてもよい。このようにすることで、送電電力の増加に伴う受電電力の増加量を確実に査定することができ、検出精度を向上させることができる。また、受電装置6から受け取った受電電力と目標値との誤差が所定の値よりも大きく変化した時点よりも以前の時刻を第1の時刻t1としてもよい。このようにすることで、電力変動が僅かである場合に異物検出処理における誤動作を起こす可能性を低減できる効果がある。
異物検出時に送電を停止した場合、ユーザの安全性を確保できるものの、改めて送電すると再度発熱の危険性が生じることとなる。この危険性は、本開示の実施形態における送電装置が異物を検出した際、異物を検出したことを示す判定フラグをメモリ等に記録し、電力P(t2)および制御パラメータQ(t2)をメモリに保持し続けることで回避できる。メモリには異物がかつて存在したことを示すデータが記録されているため、送電を停止した後も、異物が取り除かれるまでは送電を開始しないように制御することができる。これにより、使用者の安全性を確保できるという効果がある。異物が取り除かれないまま送電を万が一開始した場合においても、送電停止時に記録したデータを参照し、再送電時のP(t)およびQ(t)と比較することで、異物が依然として残留しているか否かを判定することができる。その結果、再送電後も直ちに再度送電停止処理を実行でき、発熱のリスクを低減できる。
磁界の分布は目に見えないため、送電装置1または受電装置6に表示部(LEDや液晶画面など)をさらに設け、送電を停止した際に表示部の状態を変更することで視覚的にユーザに危険を通知させてもよい。例えば、図9に示すように、送電装置1は表示部19(LED等のランプ)をさらに備えていてもよい。この例では、送電制御回路15は、例えば異物を検出して送電を停止する際、表示部19の表示状態(例えば、色または明るさ)を変更する制御を行う。これにより、ユーザは異物が侵入したことを知ることができ、安全性を向上させることができる。表示部19に代えて、受電装置6の表示部(例えば、LED等のランプまたはディスプレイ)の表示状態を変更してもよい。あるいは、送電装置1または受電装置6が備えるスピーカーから音声情報としてユーザに異物の存在を通知してもよい。
(実施例1)
次に、本開示の実施例を説明する。
送電コイル(外形12mm×50mm)と受電コイルとを正対させた状態を初期状態として、1)送電コイルと受電コイルとを水平に、0mm、6mm、12mmずらした場合、2)送電コイルと受電コイルとの間に以下の6種類の組み合わせで異物を侵入させた場合のそれぞれについて、電力差ΔPおよび電圧差ΔVを測定した。
受電コイルはAタイプ(φ32mm、SOC=40%)、Bタイプ(φ32mm、SOC=60%)、Cタイプ(40×30mm、SOC=70%)と、コイル形状および充電状態(State of Charge)について種々の条件のものを選定した。このため、前述のとおり、正規化処理を行い、端末の個体差を低減させた。金属異物として、直径15mmの鉄片と直径22mmのアルミリングを用いた。ここで、SOCは、充電される電池の残量を表す。コイル間で伝送されたエネルギーを最終的に消費するのは電池である。電池は残量によって負荷抵抗値が変化する。よって、本実施例では、電池の負荷抵抗値が変化しても本実施例の判別法を適用できることを示すため、異なるSOCで測定したデータを提示している。
測定結果を図10に示す。図中凡例のmoveは位置ずれが生じた場合の結果を、steelは異物(鉄片)が侵入した場合の結果を、aluminumは異物(アルミリング)が侵入した場合の結果を示している。横軸は正規化された電力差ΔPを、縦軸は正規化された電圧差ΔVを示している。
上述したように、定性的には、位置ずれが生じた場合の電力差ΔPは、異物が侵入した場合の電力差ΔPよりも小さいことが多い。このため、図10に示すように、例えばΔP<0.2ならば位置ずれが生じ、ΔP≧0.2ならば異物が侵入したと判定できる場合もある。
しかし、異物の大きさ、並びに送電コイル及び受電コイルの形状や材質によっては、位置ずれが生じたときの電力差ΔPと、異物が侵入したときの電力差ΔPとが同程度の値になる場合がある。
図10のa点(受電コイルC/move)とb点(受電コイルC/steel)の電力差ΔPは近接している。測定精度が悪ければ、a点とb点とがほぼ同じ電力差ΔPと判断され、a点およびb点が、位置ずれが生じた場合の結果なのか、異物が侵入した場合の結果なのかを区別できなくなる虞がある。
そこで、縦軸に電圧差ΔVのパラメータを加えることで、a点(受電コイルC/move)とb点(受電コイルC/steel)との間のユークリッド距離が増大する。その結果、より明確に両者を区別することが可能となる。
両者の区別の方法として、例えば図10において楕円の方程式で表される曲線部に囲まれた範囲内に測定値が存在する場合は端末の位置がずれたと判断して送電を継続し、それ以外の場合には異物が侵入したと判断して送電を停止する方法でもよい。
この範囲を規定する閾値の曲線は、電力差ΔPに対して制御パラメータの差ΔQ(例えば、電圧差ΔV)が一義的に決まる関数であってもよい。この範囲を規定する閾値の曲線は、曲線に限定されず、例えば図11に破線で示すように連続した直線(一次方程式)でもよい。直線を用いる場合、判定のための演算が簡略化され、処理を高速化できるという効果がある。また、閾値の範囲指定は、曲線および直線の組み合わせによって行ってもよい。
本開示の異物検出装置、無線送電装置及び無線電力伝送システムは、上記の実施形態に限定されず、例えば以下の項目に記載の構成を備える。
[項目1]
受電共振器を備えた受電装置に対して非接触で交流の送電電力を伝送する送電装置であって、
前記受電共振器と電磁的に結合して前記送電電力を伝送する送電共振器と、
前記送電共振器に出力する前記送電電力を生成するインバータ回路と、
前記受電装置から入力された、前記受電装置内の電圧の値を示す情報に基づき前記送電電力の電圧を決定する制御パラメータQを調整し、前記インバータ回路が出力する前記送電電力の大きさを制御する送電制御回路と、を備え、
前記送電制御回路は、
送電開始から所定の時間が経過し前記送電電力が所定の範囲に収束した状態において、
第1単位時間の始点である第1の時刻t1における送電電力P(t1)、及び、前記第1単位時間の終点である第2の時刻t2における送電電力P(t2)を算出し、
第2単位時間の始点である第3の時刻t3における前記送電電力の電圧を決定する制御パラメータQ(t3)、及び、前記第2単位時間の終点である第4の時刻t4における前記送電電力の電圧を決定する制御パラメータQ(t4)を保持し、
電力差ΔP=P(t2)−P(t1)と制御パラメータの差ΔQ=Q(t4)−Q(t3)とを算出し、
前記電力差ΔPが第1閾値以上の場合、かつ、前記制御パラメータの差ΔQの絶対値が第2閾値以上の場合、前記受電共振器と前記送電共振器との間に異物が存在すると判断し、前記インバータ回路に前記送電電力を減少させ、
前記電力差ΔPが第1閾値未満の場合、又は、前記制御パラメータの差ΔQの絶対値が第2閾値未満の場合、前記受電共振器と前記送電共振器との間に異物が存在しないと判断し、前記インバータ回路から前記送電電力と同じ電力の電力送電を継続させる、
送電装置。
上記態様によると、電力差△Pと制御パラメータの差ΔQの両方のパラメータに基づいて評価することにより、位置ずれが生じた場合の電力差ΔPcと異物が侵入した場合の電力差ΔPoとが、ほぼ同じ値(ΔPc≒ΔPo)になる場合であっても、すなわち、電力差△Pが所定の閾値ΔPthに近い場合であっても、位置ずれが生じたのか、コイル間に異物が侵入したのかを高い精度で見分けることができる。
さらに、送電装置における電力差△Pと制御パラメータの差ΔQとに基づいて上記判断が行われるので、例えば約数secの長い間隔で受電装置から伝送される受電電力のデータを取得する必要がない。電力差ΔPと制御パラメータの差ΔQとの算出を、数secよりも十分に短い間隔(例えば、数msecの間隔)で行うことにより、送電コイルと受電コイルとの間に異物が侵入したか否かを直ちに判断することができる。
[項目2]
前記第2の時刻t2は、前記第1の時刻t1から所定の時間経過後であって、前記送電電力が増加した後において、所定時間当りの送電電力の変化量が一定範囲内に収束した時点である、
項目1に記載の送電装置。
上記態様によると、
前記第2の時刻t2を、前記第1の時刻t1から所定の時間経過後であって、前記送電電力が増加した後において、所定時間当りの送電電力の変化量が一定範囲内に収束した時点とすることで、高い精度で前記送電共振器の送電コイルと前記受電共振器の受電コイルとの間に異物が侵入したと判断できる。また、前記電力差ΔPおよび制御パラメータの差ΔQを用いることで、送電コイルと受電コイルとの位置ずれと異物侵入とを高い精度で見分けることができる。
[項目3]
前記送電制御回路は、前記電力差ΔPが前記第1閾値以上であり、かつ、前記制御パラメータの差ΔQの前記絶対値が前記第2閾値以上の場合、前記インバータ回路に前記送電電力を停止させる、
項目1または2に記載の送電装置。
上記態様によると、
前記インバータ回路により送電電力を停止させることで、異物の過熱を防ぐことができる。
[項目4]
前記制御パラメータQは、前記インバータ回路から出力される電圧がゼロではない値をもつ期間の周期に対する割合である出力時間比を決定するパラメータ、および前記電圧の周波数のうちの少なくとも1つを含む、
項目1から3のいずれか1項に記載の送電装置。
上記態様によると、
制御パラメータQとして、前記インバータ回路から出力される電圧がゼロではない値をもつ期間の周期に対する割合である出力時間比を決定するパラメータ、および前記電圧の周波数の少なくとも一方を用いることにより、2つのコイルの位置ずれまたは異物の侵入をより高い精度で検出できる。
[項目5]
前記インバータ回路は、4つのスイッチング素子を有し、
前記4つのスイッチング素子は、入力された電圧と同じ極性の電圧を導通時に出力する第1スイッチング素子対と、入力された電圧と逆の極性の電圧を導通時に出力する第2スイッチング素子対とを含み、
前記送電制御回路は、前記4つのスイッチング素子の各々に、導通および非導通の状態を切り替えるパルス信号を出力し、
前記制御パラメータQは、前記送電制御回路から前記第1スイッチング素子対に出力される2つのパルス信号の位相差、および前記第2スイッチング素子対に出力される他の2つのパルス信号の位相差を含む、
項目1から4のいずれか1項に記載の送電装置。
上記態様によると、
制御パラメータQとして、スイッチング素子対に出力される2つのパルス信号の位相差を用いることにより、2つのコイルの位置ずれまたは異物の侵入をより高い精度で検出できる。
[項目6]
第1の評価パラメータX=ΔP/P(t1)及び第2の評価パラメータY=ΔQ/Q(t3)のそれぞれが、それぞれに関連付けられた所定の範囲から外れているとき、前記インバータ回路に前記送電電力を減少させる、
項目1から5のいずれか1項に記載の送電装置。
上記態様によると、
正規化することで、端末の種類や位置ずれの仕方による変化量の差を抑制し、誤検知の確率をさらに低減できる。
[項目7]
前記送電装置は表示部をさらに備え、
前記送電制御回路は、前記異物を検出し送電を停止する際、前記表示部の表示状態を変更する制御を行う、
項目4から6のいずれか1項に記載の送電装置。
上記態様によると、
ユーザは、送電が停止したことを前記表示部により知ることができるので、送電装置に異常が起こったことを知ることができる。
[項目8]
受電共振器を備えた受電装置に対して非接触で交流の送電電力を伝送する送電装置であって、
前記受電共振器と電磁的に結合して前記送電電力を伝送する送電共振器と、
前記送電共振器に出力する前記送電電力を生成するインバータ回路と、
前記受電装置から入力された、前記受電装置内の電圧の値を示す情報に基づき前記送電電力の電圧を決定する制御パラメータを調整し、前記インバータ回路が出力する前記送電電力の大きさを制御する送電制御回路と、を備え、
前記送電制御回路は、
送電開始から所定の時間が経過し前記送電電力が所定の範囲に収束した状態において、
第1単位時間の始点である第1の時刻t1における送電電力P(t1)、及び、前記第1単位時間の終点である第2の時刻t2における送電電力P(t2)を算出し、
第2単位時間の始点である第3の時刻t3における前記送電電力の電圧値V(t3)、及び、前記第2単位時間の終点である第4の時刻t4における前記送電電力の電圧値V(t4)を保持し、
電力差ΔP=P(t2)−P(t1)と電圧値の差ΔV=V(t4)−V(t3)とを算出し、
前記電力差ΔPが第1閾値以上の場合、かつ、前記電圧値の差ΔVが第2閾値以上の場合、前記受電共振器と前記送電共振器との間に異物が存在すると判断し、前記インバータ回路に前記送電電力を減少させ、
前記電力差ΔPが第1閾値未満の場合、又は、前記電圧値の差ΔVが第2閾値未満の場合、前記受電共振器と前記送電共振器との間に異物が存在しないと判断し、前記インバータ回路から前記送電電力と同じ電力の電力送電を継続させる、
送電装置。
上記態様によると、電力差△Pと電圧差ΔVの両方のパラメータに基づいて評価することにより、位置ずれが生じた場合の電力差ΔPcと異物が侵入した場合の電力差ΔPoとが、ほぼ同じ値(ΔPc≒ΔPo)になる場合であっても、すなわち、電力差△Pが所定の閾値ΔPthに近い場合であっても、位置ずれが生じたのか、コイル間に異物が侵入したのかを高い精度で見分けることができる。
さらに、送電装置における電力差△Pと電圧差ΔVとに基づいて上記判断が行われるので、例えば約数secの長い間隔で受電装置から伝送される受電電力のデータを取得する必要がない。電力差ΔPと電圧差ΔVとの算出を、数secよりも十分に短い間隔(例えば、数msecの間隔)で行うことにより、送電コイルと受電コイルとの間に異物が侵入したか否かを直ちに判断することができる。
[項目9]
前記送電制御回路は、前記電力差ΔPが前記第1閾値以上であり、かつ、前記電圧値の差ΔVが前記第2閾値以上の場合、前記インバータ回路に前記送電電力を停止させる、
項目8に記載の送電装置。
上記態様によると、
前記インバータ回路により送電電力を停止させることで、異物の過熱を防ぐことができる。
[項目10]
第1の評価パラメータX=ΔP/P(t1)及び第3の評価パラメータZ=ΔV/V(t3)のそれぞれが、それぞれに関連付けられた所定の範囲から外れているとき、前記インバータ回路に送電電力を減少させる、
項目8または9に記載の送電装置。
上記態様によると、
正規化することで、端末の種類や位置ずれの仕方による変化量の差を抑制し、誤検知の確率をさらに低減できる。
[項目11]
受電共振器を備えた受電装置に対して非接触で交流の送電電力を伝送する送電装置であって、
前記受電共振器と電磁的に結合して前記送電電力を伝送する送電共振器と、
前記送電共振器に出力する前記送電電力を生成するインバータ回路と、
前記受電装置から入力された、前記受電装置内の電圧の値を示す情報に基づき前記送電電力の電圧を決定する制御パラメータQを調整し、前記インバータ回路が出力する前記送電電力の大きさを制御する送電制御回路と、
前記制御パラメータQを計測するセンサ回路と、
を備え、
前記送電制御回路は、
送電開始から所定の時間が経過し前記送電電力が所定の範囲に収束した状態において、
第1単位時間の始点である第1の時刻t1における送電電力P(t1)、及び、前記第1単位時間の終点である第2の時刻t2における送電電力P(t2)を算出し、
第2単位時間の始点である第3の時刻t3における前記送電電力の電圧を決定する制御パラメータQ(t3)を計測することによって得られた計測値S(t3)、及び、前記第2単位時間の終点である第4の時刻t4における前記送電電力の電圧を決定する制御パラメータQ(t4)を計測することによって得られた計測値S(t4)を保持し、
電力差ΔP=P(t2)−P(t1)と前記制御パラメータの計測値の差ΔS=S(t4)−S(t3)とを算出し、
前記電力差ΔPが第1閾値以上の場合、かつ、前記制御パラメータの計測値の差ΔSの絶対値が第3閾値以上の場合、前記受電共振器と前記送電共振器との間に異物が存在すると判断し、前記インバータ回路に前記送電電力を減少させ、
前記電力差ΔPが第1閾値未満の場合、又は前記制御パラメータの計測値の差ΔSの絶対値が第3閾値未満の場合、前記受電共振器と前記送電共振器との間に異物が存在しないと判断し、前記インバータ回路から前記送電電力と同じ電力量の電力送電を継続させる、
送電装置。
上記態様によると、
前記インバータ回路は、ノイズや周囲温度の影響を受けて、目標とする制御パラメータとは異なる値で動作する場合がある。このような場合、制御パラメータQを測定するセンサ回路を備えることにより、異物侵入時の実際の制御パラメ−タの値の変化をメモリに記録することができるため、より高い精度で異物を検出できる。
[項目12]
前記制御パラメータQは、前記インバータ回路から出力される電圧がゼロではない値をもつ期間の周期に対する割合である出力時間比を決定するパラメータ、および前記電圧の周波数のうちの少なくとも1つを含む、
項目11に記載の送電装置。
上記態様によると、
制御パラメータQとして、前記インバータ回路から出力される電圧がゼロではない値をもつ期間の周期に対する割合である出力時間比を決定するパラメータ、および前記電圧の周波数の少なくとも一方を用いることにより、2つのコイルの位置ずれまたは異物の侵入をより高い精度で検出できる。
[項目13]
前記インバータ回路は、4つのスイッチング素子を有し、
前記4つのスイッチング素子は、入力された電圧と同じ極性の電圧を導通時に出力する第1スイッチング素子対と、入力された電圧と逆の極性の電圧を導通時に出力する第2スイッチング素子対とを含み、
前記送電制御回路は、前記4つのスイッチング素子の各々に、導通および非導通の状態を切り替えるパルス信号を出力し、 前記制御パラメータQは、前記送電制御回路から前記第1スイッチング素子対に出力される2つのパルス信号の位相差、および前記第2スイッチング素子対に出力される他の2つのパルス信号の位相差を含む、
項目11または12に記載の送電装置。
上記態様によると、
制御パラメータQとして、スイッチング素子対に出力される2つのパルス信号の位相差を用いることにより、2つのコイルの位置ずれまたは異物の侵入をより高い精度で検出できる。
[項目14]
第1の評価パラメータX=ΔP/P(t1)及び第4の評価パラメータY=ΔS/S(t3)のそれぞれが、それぞれに関連付けられた所定の範囲から外れているとき、前記インバータ回路に前記送電電力を減少させる、
項目11から13のいずれか1項に記載の送電装置。
上記態様によると、
正規化することで、端末の種類や位置ずれの仕方による変化量の差を抑制し、誤検知の確率をさらに低減できる。
[項目15]
項目1から14のいずれか1項に記載の送電装置と、
受電装置と、を備える、無線電力伝送システム。
本開示の送電装置及び送電装置を備えた無線電力伝送システムは、例えば、電気自動車、AV機器、電池、医療機器などへの充電あるいは給電を行う用途に広く適用可能である。本開示の実施形態によれば、送受電コイル間に存在する異物の過熱リスクを回避することができるとともに異物検知処理に伴う効率低下を低減することができる。
0 直流電源
1 送電装置
2 送電共振器
2a 送電コイル
3 受電共振器
3a 受電コイル
4 受電回路
5 負荷
6 受電装置
7 送信回路
10 インバータ回路
14 メモリ
15 送電制御回路
16 受信回路
18 DC−DCコンバータ
19 表示部
20 センサ回路
21〜24 スイッチング素子
1000 異物

Claims (15)

  1. 受電共振器を備えた受電装置に対して非接触で交流の送電電力を伝送する送電装置であって、
    前記受電共振器と電磁的に結合して前記送電電力を伝送する送電共振器と、
    前記送電共振器に出力する前記送電電力を生成するインバータ回路と、
    前記受電装置から入力された、前記受電装置内の電圧の値を示す情報に基づき前記送電電力の電圧を決定する制御パラメータQを調整し、前記インバータ回路が出力する前記送電電力の大きさを制御する送電制御回路と、を備え、
    前記送電制御回路は、
    送電開始から所定の時間が経過し前記送電電力が所定の範囲に収束した状態において、
    第1単位時間の始点である第1の時刻t1における送電電力P(t1)、及び、前記第1単位時間の終点である第2の時刻t2における送電電力P(t2)を算出し、
    第2単位時間の始点である第3の時刻t3における前記送電電力の電圧を決定する制御パラメータQ(t3)、及び、前記第2単位時間の終点である第4の時刻t4における前記送電電力の電圧を決定する制御パラメータQ(t4)を保持し、
    電力差ΔP=P(t2)−P(t1)と制御パラメータの差ΔQ=Q(t4)−Q(t3)とを算出し、
    記制御パラメータの差ΔQの絶対値が前記電力差ΔPによって定まる閾値以上の場合、前記受電共振器と前記送電共振器との間に異物が存在すると判断し、前記インバータ回路に前記送電電力を減少させ、
    記制御パラメータの差ΔQの絶対値が前記閾値未満の場合、前記受電共振器と前記送電共振器との間に異物が存在しないと判断し、前記インバータ回路から前記送電電力と同じ電力の電力送電を継続させる、
    送電装置。
  2. 前記第2の時刻t2は、前記第1の時刻t1から所定の時間経過後であって、前記送電電力が増加した後において、所定時間当りの送電電力の変化量が一定範囲内に収束した時点である、
    請求項1に記載の送電装置。
  3. 前記送電制御回路は、記制御パラメータの差ΔQの前記絶対値が前記値以上の場合、前記インバータ回路に前記送電電力を停止させる、
    請求項1または2に記載の送電装置。
  4. 前記制御パラメータQは、前記インバータ回路から出力される電圧がゼロではない値をもつ期間の周期に対する割合である出力時間比を決定するパラメータ、および前記電圧の周波数のうちの少なくとも1つを含む、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の送電装置。
  5. 前記インバータ回路は、4つのスイッチング素子を有し、
    前記4つのスイッチング素子は、外部の直流電源から入力された電圧と同じ極性の電圧を導通時に出力する第1スイッチング素子対と、前記直流電源から入力された電圧と逆の極性の電圧を導通時に出力する第2スイッチング素子対とを含み、
    前記送電制御回路は、前記4つのスイッチング素子の各々に、導通および非導通の状態を切り替えるパルス信号を出力し、
    前記制御パラメータQは、前記送電制御回路から前記第1スイッチング素子対に出力される2つのパルス信号の位相差、および前記第2スイッチング素子対に出力される他の2つのパルス信号の位相差を含む、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の送電装置。
  6. 前記送電制御回路は、さらに、
    第1の評価パラメータX=ΔP/P(t1)及び第2の評価パラメータY=ΔQ/Q(t3)を算出し、
    前記第2の評価パラメータYの値が、前記第1の評価パラメータXの値によって定まる所定の範囲から外れているとき、前記インバータ回路に前記送電電力を減少させる、
    請求項1から5のいずれか1項に記載の送電装置。
  7. 前記送電装置は表示部をさらに備え、
    前記送電制御回路は、前記異物を検出し送電を停止する際、前記表示部の表示状態を変更する制御を行う、
    請求項4から6のいずれか1項に記載の送電装置。
  8. 受電共振器を備えた受電装置に対して非接触で交流の送電電力を伝送する送電装置であって、
    前記受電共振器と電磁的に結合して前記送電電力を伝送する送電共振器と、
    前記送電共振器に出力する前記送電電力を生成するインバータ回路と、
    前記受電装置から入力された、前記受電装置内の電圧の値を示す情報に基づき前記送電電力の電圧を決定する制御パラメータを調整し、前記インバータ回路が出力する前記送電電力の大きさを制御する送電制御回路と、を備え、
    前記送電制御回路は、
    送電開始から所定の時間が経過し前記送電電力が所定の範囲に収束した状態において、
    第1単位時間の始点である第1の時刻t1における送電電力P(t1)、及び、前記第1単位時間の終点である第2の時刻t2における送電電力P(t2)を算出し、
    第2単位時間の始点である第3の時刻t3における前記送電電力の電圧値V(t3)、及び、前記第2単位時間の終点である第4の時刻t4における前記送電電力の電圧値V(t4)を保持し、
    電力差ΔP=P(t2)−P(t1)と電圧値の差ΔV=V(t4)−V(t3)とを算出し、
    記電圧値の差ΔVが前記電力差ΔPによって定まる閾値以上の場合、前記受電共振器と前記送電共振器との間に異物が存在すると判断し、前記インバータ回路に前記送電電力を減少させ、
    記電圧値の差ΔVが前記閾値未満の場合、前記受電共振器と前記送電共振器との間に異物が存在しないと判断し、前記インバータ回路から前記送電電力と同じ電力の電力送電を継続させる、
    送電装置。
  9. 前記送電制御回路は、記電圧値の差ΔVが前記値以上の場合、前記インバータ回路に前記送電電力を停止させる、
    請求項8に記載の送電装置。
  10. 前記送電制御回路は、さらに、
    第1の評価パラメータX=ΔP/P(t1)及び第3の評価パラメータZ=ΔV/V(t3)を算出し、
    前記第3の評価パラメータZの値が、前記第1の評価パラメータXの値によって定まる所定の範囲から外れているとき、前記インバータ回路に送電電力を減少させる、
    請求項8または9に記載の送電装置。
  11. 受電共振器を備えた受電装置に対して非接触で交流の送電電力を伝送する送電装置であって、
    前記受電共振器と電磁的に結合して前記送電電力を伝送する送電共振器と、
    前記送電共振器に出力する前記送電電力を生成するインバータ回路と、
    前記受電装置から入力された、前記受電装置内の電圧の値を示す情報に基づき前記送電電力の電圧を決定する制御パラメータQを調整し、前記インバータ回路が出力する前記送電電力の大きさを制御する送電制御回路と、
    前記制御パラメータQを計測するセンサ回路と、
    を備え、
    前記送電制御回路は、
    送電開始から所定の時間が経過し前記送電電力が所定の範囲に収束した状態において、
    第1単位時間の始点である第1の時刻t1における送電電力P(t1)、及び、前記第1単位時間の終点である第2の時刻t2における送電電力P(t2)を算出し、
    第2単位時間の始点である第3の時刻t3における前記送電電力の電圧を決定する制御パラメータQ(t3)を計測することによって得られた計測値S(t3)、及び、前記第2単位時間の終点である第4の時刻t4における前記送電電力の電圧を決定する制御パラメータQ(t4)を計測することによって得られた計測値S(t4)を保持し、
    電力差ΔP=P(t2)−P(t1)と前記制御パラメータの計測値の差ΔS=S(t4)−S(t3)とを算出し、
    記制御パラメータの計測値の差ΔSの絶対値が前記電力差ΔPによって定まる閾値以上の場合、前記受電共振器と前記送電共振器との間に異物が存在すると判断し、前記インバータ回路に前記送電電力を減少させ、
    記制御パラメータの計測値の差ΔSの絶対値が前記閾値未満の場合、前記受電共振器と前記送電共振器との間に異物が存在しないと判断し、前記インバータ回路から前記送電電力と同じ電力電力送電を継続させる、
    送電装置。
  12. 前記制御パラメータQは、前記インバータ回路から出力される電圧がゼロではない値をもつ期間の周期に対する割合である出力時間比を決定するパラメータ、および前記電圧の周波数のうちの少なくとも1つを含む、
    請求項11に記載の送電装置。
  13. 前記インバータ回路は、4つのスイッチング素子を有し、
    前記4つのスイッチング素子は、外部の直流電源から入力された電圧と同じ極性の電圧を導通時に出力する第1スイッチング素子対と、外部の直流電源から入力された電圧と逆の極性の電圧を導通時に出力する第2スイッチング素子対とを含み、
    前記送電制御回路は、前記4つのスイッチング素子の各々に、導通および非導通の状態を切り替えるパルス信号を出力し、
    前記制御パラメータQは、前記送電制御回路から前記第1スイッチング素子対に出力される2つのパルス信号の位相差、および前記第2スイッチング素子対に出力される他の2つのパルス信号の位相差を含む、
    請求項11または12に記載の送電装置。
  14. 前記送電制御回路は、さらに、
    第1の評価パラメータX=ΔP/P(t1)及び第4の評価パラメータY=ΔS/S(t3)を算出し、
    前記第4の評価パラメータYが、前記第1の評価パラメータXの値によって定まる所定の範囲から外れているとき、前記インバータ回路に前記送電電力を減少させる、
    請求項11から13のいずれか1項に記載の送電装置。
  15. 請求項1から14のいずれか1項に記載の送電装置と、
    受電装置と、を備える、無線電力伝送システム。
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