JP5299150B2 - 遠心圧縮機 - Google Patents
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Description
ここで、羽根車で圧縮されたガスは、羽根車口金部の口金ラビリンスシール、羽根車段間の中間段ラビリンスシール、および最終段の羽根車の直後に設けられたバランスピストンラビリンスシールによって、外部などの低圧部に対してシールされている。
これらのラビリンスシールにおいて、ラビリンスシールの漏れガスの流速が円周方向成分を持った状態でロータの軸が径方向に変位すると、ロータとラビリンスシール間に体積変化が生じるためにラビリンスシール内の漏れガスの円周方向圧力分布に不平衡が生じ、ロータの不安定振動を引き起こす流体力(以降、不安定流体力と称す)が発生する。
そこで、この不安定流体力を低減する方法として、例えば、特許文献2に開示されているように、ラビリンスシールの途中から内方のロータに向けて高圧の流体を噴きこみ、漏れガスの円周方向成分を相殺する方法が知られている。
<<第1実施形態>>
図1は、本発明に係る第1実施形態の遠心圧縮機20の全体構造を示す要部切り欠き縦断面図である。
<遠心圧縮機20の構成>
図1に示す遠心圧縮機20は、その機体を覆う静止体のケーシング1と、ケーシング1内に回転可能に設けられた回転軸2およびこの回転軸2に装着され回転によって気体を圧縮する複数段、例えば7段の羽根車3(3a〜3g)を有する回転体のロータ4とを備えている。
ロータ4の回転軸2は、吸込側(図1中の吸込流路5の側)端部および吐出側(図1中の吐出流路8の側)端部に設けられラジアル荷重を受けるラジアル軸受9を介し、ケーシング1に回転可能に両持ち支持されている。
また、回転軸2の吐出側(図1中の吐出流路8の側)端部にはモータ等の駆動機(図示せず)が連結されており、この駆動機によってロータ4が回転駆動されている。
上述したロータ4の回転により、気体が、図1の矢印α1のように吸込流路5から吸い込まれ、羽根車3aの回転によってディフューザ6を用いて圧縮され、戻り流路7から次段の羽根車3bの内径部に吸い込まれ順次複数段の羽根車3(3b〜3g)の回転によりディフューザ6を用いて圧縮されることを繰り返し、最終段の羽根車3gから流出する圧縮された気体が、最終的に吐出流路8から図1の矢印α2のように吐出される構成である。
図2は、図1に示す遠心圧縮機20のA部拡大図である。
図2に示すように、各段の羽根車3(3g)の口金21とケーシング1との隙間には、複数の環状平行歯12hおよび環状平行溝12mを有する羽根車口金シール12が設けられている。これにより、羽根車3(3g)から図2の矢印β1のように出た気体が、その近傍の隙間(クリアランスc1)を通って羽根車3(3g)の入口側3g1に戻ることを、複数の環状平行歯12hおよび環状平行溝12mによって抑制している。
なお、羽根車口金シール12の複数の環状平行歯12hおよび環状平行溝12mは、図2に示す横断面を有してロータ4周りに環状に形成されている。
図2に示すように、前段の羽根車3(3f)(図1参照)と後段の羽根車3(3g)(図2参照)との間におけるロータ4の中間段22の部分とケーシング1との隙間には、複数の環状平行歯13hおよび環状平行溝13mを有する中間段シール13が設けられている。この中間段シール13の複数の環状平行歯13hおよび環状平行溝13mによって、戻り流路7の気体がその隙間(クリアランスc2)を通って前段の羽根車3(3f)の出口側3f2に戻ることを抑制している。
なお、中間段シール13の複数の環状平行歯13hおよび環状平行溝13mは、図2に示す横断面を有してロータ4周りに環状に形成されている。
図2に示すロータ4のバランスピストン11とケーシング1との隙間には、多数の環状平行歯18および環状平行溝19を有するバランスピストン部ラビリンスシール14が設けられている。このバランスピストン部ラビリンスシール14(以下、ラビリンスシール14と称す)の多数の環状平行歯18および環状平行溝19によって、最終段の羽根車3gから出た高圧の気体が、ケーシング1とバランスピストン11との間から低圧部Tに漏れるのを抑制している。
図3に示すように、ラビリンスシール14は、軸方向に沿って円筒形状を半分に分割した半割れ構造としており、対称な2つの部品により構成している。図3には、その一方の部品を示しており、その他方の部品は、図3に示す部品に対称な形状に形成されている。そこで、図3に示す一方のラビリンスシール14について説明を行い、図示しない他方のラビリンスシール14の説明は、省略する。
図3に示すラビリンスシール14は、バランスピストン11(図1、図2参照)に対向する内径側の内周面に、多数の環状平行歯18と多数の環状平行溝19とが図2に示す横断面を有して、ロータ4周りに環状に形成されている。
また、ラビリンスシール14の外周部には、ラビリンスシール14とバランスピストン11(図2参照)との間に高圧気体を導くための高圧導入部25が、矩形状の横断面を有した凹部として環状に形成されている。
ケーシング1のなかには、半割れ構造の部品ダイアフラムがあり、この半割れ構造の部品ダイアフラムに、同じく半割れ構造のラビリンスシール14をスライドさせていき、ラビリンスシール14が周方向にずれないようにボルトで留める。
なお、図2、後記の図5においては、ケーシング1の分割ラインは省略して示している。
ラビリンスシール14の高圧導入部25に高圧気体が導かれた場合、ラビリンスシール14は図2の下方向への力、すなわちロータ4に近づく向きの力を受けるため、支持構造23a、23bのそれぞれの下面23a1、23b1がケーシング1に当接し、ラビリンスシール14を支持構造23a、23bでケーシング1に支持することになる。
このラビリンスシール14の流体噴出口24は、ラビリンスシール14の外径側に形成される環状の高圧導入部25と連通している(図2参照)。
これにより、図1に示す吐出流路8の吐出圧に近い高圧の気体が、コレクタ8cから、ケーシング1の高圧導入流路27(図2参照)を通って、ラビリンスシール14の外周部の環状の高圧導入部25に導かれる。そして、高圧導入部25に導入された高圧気体が、流体噴出口24から、バランスピストン11とラビリンスシール14との間に噴出され、漏れ高圧気体の動きを妨げることで漏れ高圧気体のバランスピストン11の円周方向流速を低減している。
そこで、本遠心圧縮機20では、高圧導入部25への高圧の気体の圧力でのラビリンスシール14の内径側への撓みを抑制するため、図2、図3に示すように、ラビリンスシール14より強度が高い鋼材のシール変形防止リング26を、ラビリンスシール14の環状平行溝19に埋設して設置し、ラビリンスシール14の変形を抑制している。
図4において、横軸のシール変形防止リング26の軸方向設置位置はラビリンスシール14の軸方向の全長をLとして表し、縦軸のラビリンスシール14の変形量(シール変形量)は、最大変形量を1として比で表している。
本第1実施形態の遠心圧縮機20では、高圧導入部25の軸方向中央位置25cから低圧側T(図1、図2参照)にラビリンスシール14の全長の約0.04倍(0.04L)の位置(図4中、符号25c1で示す)にシール変形防止リング26を設置している。
また、シール変形防止リング26の設置位置をラビリンスシール14の環状平行溝19の部分とすることにより、ラビリンスシール14の環状平行歯18の枚数および軸方向の環状平行歯18の間の距離を変えることなく、最小限の加工でシール変形防止リング26を設置することができる。
次に、第2実施形態の遠心圧縮機を説明する。
第2実施形態の遠心圧縮機は、図5に示すように、高圧導入部25をシール支持構造23aよりも高圧側(図1の吸込流路5側)に設けた場合のシール変形防止リング26の設置を示すものである。
なお、図5は、第2実施形態の高圧導入部25をシール支持構造23aよりも高圧側に設けた場合のラビリンスシール14の近傍の縦断面拡大図である。
図5に示す遠心圧縮機の場合、高圧導入部25が高圧側(図1の吸込流路5側)のシール支持構造23aよりも高圧側に設けられるため、高圧気体が、高圧導入流路27を介して、シール支持構造23aよりも高圧側(図1の吸込流路5側)の高圧導入部25に導入され、流体噴出口24から、バランスピストン11とラビリンスシール14との間に噴出される。
図6は、シール変形防止リング26の軸方向設置位置(横軸)とラビリンスシール14の変形量(縦軸)(シール変形量)の関係を表した図である。
図6より、シール変形防止リング26の設置位置を、高圧導入部25の軸方向中央位置25cを中心として、高圧側にシール全長Lの0.15倍の長さだけ離れた範囲内にすることにより、効果的にラビリンスシール14の変形を防止できることが分る。
このシール変形防止リング26の軸方向設置位置は、高圧導入部25の軸方向中央位置25cから高圧側にシール全長Lの約0.11倍である。
すなわち、図6におけるラビリンスシール14の変形量の最も大きな位置14pに最も近いシール変形防止リング26を設置できる環状平行歯18を避けた環状溝部19が、高圧導入部25の軸方向中央位置25cから高圧側にシール全長Lの約0.11倍、すなわち0.11Lの位置にある。
第1、第2実施形態の遠心圧縮機20は、ケーシング1と、該ケーシング1に回転可能に設置された回転軸と該回転軸に装着され回転により流体を圧縮する羽根車3とを有するロータ4と、ケーシング1内の静止部とロータ4との間を流体が高圧側から低圧側に漏れることを防止するラビリンスシール14と、該ラビリンスシール14内において漏れ流体のロータ4の円周方向流速を低減するための高圧流体を噴出する流体噴出口24と、ラビリンスシール14の外径側に配置され流体噴出口24に連通して高圧流体を導入する高圧導入部25とを備える遠心圧縮機であって、ラビリンスシール14の内径側にラビリンスシール14の変形に抗するシール変形防止リング26を設けている。
上記構成によれば、ラビリンスシール14にシール変形防止リング26を設けることにより、ラビリンスシール14の環状平行歯18の先端とロータ4との隙間の減少を抑制し、ラビリンスシール14とロータ4との間の不安定流体力の増加、および、ラビリンスシール14の環状平行歯18のロータ4への接触を回避し、ロータ4を安定化することができる。
また、シール変形防止リング26を分割構造としたので、製造、組立てが容易である。
なお、前記実施形態では、ラビリンスシール14をアルミニウム合金とし、シール変形防止リング26を鋼材とした場合を例示したが、シール変形防止リング26にラビリンスシール14より強度が高い材料を用いれば、ラビリンスシール14、シール変形防止リング26の母材はアルミニウム合金、鋼に限定されないのは勿論である。
2 回転軸
3(3a、3b、…、3g) 羽根車
4 ロータ
11 バランスピストン(ロータ)
14 バランスピストン部ラビリンスシール(シール)
18 環状平行歯(凸状の歯部)
19 環状平行溝(凹状の溝部)
20 遠心圧縮機
23 シール支持構造(シール支持点)
23a 高圧側のシール支持構造(高圧側のシール支持点)
23b 低圧側のシール支持構造(低圧側のシール支持点)
24 流体噴出口(高圧流体の噴出口)
25 高圧導入部
25c 高圧導入部の軸方向中央位置
26 シール変形防止リング(リング)
L シール全長
Claims (7)
- ケーシングと、
該ケーシングに回転可能に設置された回転軸および該回転軸に装着され回転によって流体を圧縮する羽根車を有するロータと、
前記ケーシング内の静止部と前記ロータとの間を前記流体が高圧側から低圧側に漏れることを防止するシールと、
該シール内に設けられ、前記漏れ流体の前記ロータ円周方向の流速を低減するための高圧流体の噴出口と、
前記シールの外径側に形成され、前記噴出口に連通して前記高圧流体を導入する高圧導入部と、
前記シールの内径側に設けられ、前記高圧流体による前記シールの内径側への変形に抗する前記シールよりも強度が高いリングとを備えたことを特徴とする遠心圧縮機。 - 請求項1記載の遠心圧縮機において、
前記高圧導入部が、前記ケーシングに前記シールが支持されるシール支持点間にある場合、前記リングを高圧側の前記シール支持点と低圧側の前記シール支持点との間に設置する
ことを特徴とする遠心圧縮機。 - 請求項2記載の遠心圧縮機において、
前記リングの設置位置を、軸方向に前記高圧導入部の軸方向中央位置を中心として前後に前記シール全長の0.15倍の長さだけ離れた範囲内にする
ことを特徴とする遠心圧縮機。 - 請求項1記載の遠心圧縮機において、
前記高圧導入部が、前記ケーシングに前記シールが支持されるシール支持点間よりも高圧側にある場合、前記リングを高圧側の前記シール支持点よりも高圧側に設置する
ことを特徴とする遠心圧縮機。 - 請求項4記載の遠心圧縮機において、
前記リングの設置位置を、軸方向に前記高圧導入部の軸方向中央位置を中心として高圧側に前記シール全長の0.15倍の長さだけ離れた範囲内にする
ことを特徴とする遠心圧縮機。 - 請求項1記載の遠心圧縮機において、
前記シールは、前記ロータに対向する内周面に凹状の溝部と凸状の歯部とを有し、
前記リングは、前記凹状の溝部に設ける
ことを特徴とする遠心圧縮機。 - 請求項1記載の遠心圧縮機において、
前記リングを、分割して構成した
ことを特徴とする遠心圧縮機。
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