JP5297812B2 - 粉末金属コンポーネントの精密配置と低圧力再位置決め - Google Patents

Description

関連出願の相互参照
本願は２００６年１月６日に出願された米国仮特許出願第６０／７５６，７１３号の利益を主張する。

連邦政府委託研究に関する申立て
適用なし。

本発明は粉末金属コンポーネントに関し、特にエンジンや他の機械類のような用途で一般的である、ベアリングを受けるほぼ半円を規定するキャップでロッドと他のボルトを接続する主ベアリングキャップのようなベアリングキャップに関する。特に、本発明はキャップのボルト穴の周囲で突出し且つキャップが組み立てられる構造体内のカウンターボア（座ぐり）内に伸びるボスを有する焼結粉末金属ベアリングキャップに関する。

米国特許第６，０８６，２５８号はベアリングキャップの足部からベアリングキャップが組み立てられる構造体のカウンターボアに延長するボスを有する精密再位置決めベアリングキャップを記載している。変形がボスとカウンターボア間に生じる状態で、ベアリングキャップはまずボスがカウンターボア内に伸びるように押圧される。ベアリングキャップと構造体はそれらが互いに形成するベアリング穴の領域で機械加工され、ベアリングとこのベアリングにより軸支されるシャフトの組み立てを可能にするために分離される。その後、変形がベアリングキャップを構造体に圧入することにより生じる状態で、ベアリングキャップは構造体に再組み立てされ、ベアリングキャップと構造体が機械加工された同一位置に正確に互いに対して嵌合されるのを確実にする。

特許第６，０８６，２５８号は外円形表面を有し且つボスの周辺で離間した狭いリブ又は脊柱又は三角形リブを有するボスを含むボスの多数の異なる構造体を開示している。これらの構造体は、基礎又は組み立て構造体のカウンターボアに圧入される場合、ベアリングキャップを受入構造体に圧入するために大きな力を必要とし、機械加工後、２つの部品を分離するために別の大きな力を必要とする。これらの力は非常に大きいので、製造を実行不可能にし、且つ機械加工後に２個の部品を元に戻す場合に精密再組み立ての機会を減らす。従って、再組み立て位置決めボスを有するベアリングキャップの改良が必要とされる。

本発明はベアリング支持構造体にボルト止めされる型のベアリングキャップを提供し、この構造体において、キャップと構造体間にベアリングボアが画成され且つキャップを構造体に固着するためのボルト穴がキャップの足部を貫通し且つ構造体内に伸びている。キャップは少なくとも２つの足部を有し、少なくとも１つのボルト穴を有するボアの各側部の足部の１つは各足部を貫通して伸びている。キャップは焼結粉末金属であり、足部内のボルト穴の周辺の各足部から突出する一体ボスを有する。本発明において、各ボスはボスの外表面から放射状に伸びている複数のローブを有し、ボスの一方は２つのローブを有し、他方のボスは２つ以上のローブを有する。この構成はボスをカウンターボア内により小さい力で最初に挿入し、続いて引き抜くのを容易にする。

好ましい形態において、１つのボスの２つのローブは１８０度離間し、ベアリングボアの縦軸に平行である平面と交差するように向けられている。このように、２つのローブはカウンターボアに対して配置される足部を特定するように機能するが、他方の足部からより大きな範囲の足部の可能な間隔がベアリングキャップに対して適合可能な製造公差を緩和するのを可能にする。

さらに、本態様において、他方のボスの４個以上のローブはベアリングキャップのボスと支持構造体のカウンターボアの中心距離に対する中心の製造許容誤差を更に緩和するため４５度で位置決めできる。さらに、４５度で位置決めされると、ローブは支持構造体のより厚い部分でカウンターボアに圧入され、カウンターボアに嵌合されたキャップはよりきつくなる。更に、この位置で、カップのベアリングローブ内の油溝と一致しているローブは存在していない。

他の態様において、ボスとカウンターボア間の締嵌めは２５から３００ミクロンの範囲内にある。この範囲の締嵌めは妥当な挿入及び引抜力を与えるために最も好ましい。

他の態様において、組立構造又は基礎のカウンターボアに圧入されるボスを有するベアリングキャップにおいて、どのローブも１０個以上のボスを持たず、好ましくは、一方に２個のボス及び他方に４−１０個のボスがある。この態様との組み合わせにおいて、各ローブが１０−３０度間で周辺に伸びることが好ましい。また、各ローブが５−２５度にテーパー付けしていることが好ましい。典型的には、カウンターベア穴は先細りでないが、直線の切断側壁を有する。

他の態様において、各ローブはボスがさらにカウンターボア内に圧入されるように幅が減少する線接触に対してローブとカウンターベース間の接触領域を減少させる複合半径を与えられる。自由端で、ローブはローブの基部が接近するにつれて減少する比較的大きな半径を有する。

本発明のこれら及び他の目的と利点は詳細な記載及び図面から明らかであろう。

図１を参照すると、ベアリングキャップ１０が示され、図２はベアリングキャップ１０が組み立てられる支持構造体２０の一部を図示している。共に、ベアリングキャップ１０と構造体２０はベアリングボアを画成し、カップ１０内にベアリングボア半部１２を含み、構造体２０内にベアリングボア半部１４を含む。ボア半部１２は片側に油溝１３を有する。ボルト穴１６及び１８はベアリングキャップ１０を貫通して伸び、ボルト穴２２及び２４は構造体２０内に伸びている。ボルト穴１６及び１８はキャップ１０の足部２６及び２８を貫通して位置決めされ、足部の一方はボア半部１２の各側部にある。キャップ１０は焼結粉末金属であり、各足部２６及び２８はそれぞれ各構造体２０に面する面から伸びているボス３０及び３２を有する。ボス３０は構造体２０のカウンターボア３４内に受止められ、ボス３２は構造体２０のカウンターボア３６内に受止められる。

図３−図６を参照すると、ボス３０は９０度の角度間隔で離間した４個のローブ４０、４２、４４及び４６を有し、ボス３２は互いに１８０度離間した２個のローブ４８及び５０を有する。図３−図６の実施例において、２つのボスの各々はベアリングボア１２の縦軸５２に平行である面と交差するようにベアリングキャップに対して向けられた２個のローブを有する。ボス３０において、ローブ４２及び４６があり、ボス３２において、ボス３２の唯一のローブであるローブ４８及び５０である。ボス３０の他の２つのローブ４４及び４８は軸５２に直交する面と交差する。好ましくは、ボスの一方に４−１０個のローブがあり、他のボスに２個のみのローブがある。好ましくは、ローブはボス上に位置決めされ、ローブがある各位置で、それから１８０度離間した他のローブがある。これは対向するローブの外部表面間の有効直径の測定をより容易にするために好ましい。

図９はボス３０上のローブ４２、４４、４６及び４０の向きに対する更なる改良を図示している。この実施例において、足部２２６のボス２３０上の４個のローブ２４２、２４４、２４６及び２４８は図１−図７の第１実施例の向きから４５度回転した向きを有する。それにより、ボス２３０上の４個のローブ２４２、２４４、２４６及び２４８はそれらを貫通する軸がベアリングキャップの横及び縦軸から４５度回転するような向きを有する。他のボス上の４個のローブは第１実施例と同一方向に向いている。４５度の向きのボス２３０の４個のローブ２４２、２４４、２４６及び２４８はベアリングキャップのボスと支持構造体のカウンターボアの中心距離に対する中心の製造公差をさらに緩和する。さらに、４５度に位置決めされると、ローブ２４２、２４４、２４６及び２４８は支持構造体のより厚い区画のカウンターボアに圧入されるので、カウンターボアに嵌合されたキャップは支持構造体の応力に依存しない。また、この位置において、ローブはキャップのベアリングボア２１２内の油溝と一致していない。

図に示すように、各ローブはボスの近傍の表面からわずかに放射状に伸び、即ち、近傍の表面はボス間の表面である。ローブのみが各カウンターボア３４及び３６と接触し且つ当接する。好ましくは、各ローブは１０度から３０度の円弧に内在するような周辺範囲を有する。この範囲で、ローブはカウンターボアを変形させ及び／又はローブを最初に載置し又は取出すために実現不可能な又は過大な力を要求することなく精密に再位置決めできるのに充分にローブ自身を変形させる。また、各ローブは好ましくは５度から２５度の範囲で近傍のボルト穴の軸に向けてその基部から先細りしているのでカウンターボアに挿入でき、カウンターボアに更に押し込まれるとカウンターボアと接触し始める。ボスの近傍の表面は同様な量だけ先細りにできる。更に、図８に示されるように、ローブはローブの外表面がローブがカウンターボア内に更に圧入されるにつれてローブのカウンターボアとの接触領域を線接触に変形する複合半径を有するように形成可能である。図８に示されるように、足部１２６のボス１３０のローブ１４８の外表面の半径は自由端での丸め状態からボス１４８の基部の近傍の端部で尖頭状態に変化する。

組立構造体上にベアリングキャップを着座させるために必要な適切な力及び機械加工後にベアリングキャップを構造体から取出すための適切な力を有するように、ボスとカウンターボア間の締り嵌めが有効径で２５−３００ミクロンの範囲であることが好ましい。即ち、各ボスの有効径は嵌合するカウンターボアの直径より２５−３００ミクロンだけ大きな範囲にある。例えば、ボスの有効径を得るために、典型的にはボルト穴１６又は１８の直径より２．５−３ミリメータだけ大きい。ローブは典型的にはボスの周辺表面からほぼ少なくとも０．２５ミリメータだけ突出している。ボスの高さは典型的には約１．０ミリメータである。直径でのカウンターボアの締め代において、公称締め代は典型的には１５０ミクロンである。これは所望の押圧及び引抜き力を生じるためのボスの基部での締め代であり、本発明の精密配置の利益を実現する。

ベアリングキャップは粉末金属であり、通常の焼入れ粉末金属処理又は粉末金属射出成形のような他の粉末金属処理により製造できる。材料は組立構造体２０の材料を含む多くの要因に依存して相当に変化する。もし組立構造体が鋳造アルミ又は鍛造アルミのような比較的軟質材料であると、一般的により高張力な粉末金属が使用できる。例えば、もし組立構造体２０が、例えば、ほぼ３４，０００ｐｓｉの最大抗張力及びほぼ１９，０００ｐｓｉの降伏強度を有する鋳造アルミシリコン銅合金３１９であると、ベアリングキャップは、立法センチ当たり６．７グラムの密度で５０，０００ｐｓｉの最大抗張力及び４５，０００ｐｓｉの降伏強度を有する、ＦＣ−０２０５−４０のような種々の密度で広範囲の焼入れ粉末金属材料からなる。代案として、８０，０００ｐｓｉの最大抗張力を有するＦＬＣ−４６０８−７０ＨＴのような焼入れ硬化または熱処理粉末金属材料が使用できる。もし組立構造体２０が鋳鉄のような硬質接合材料であると、一般的には、組成又は密度で低圧縮降伏強度を有する任意の粉末金属材料が使用できる。例えば、もし構造体２０が８０，０００ｐｓｉの最大抗張力及び５５，０００ｐｓｉの降伏強度を有するダクタイル鋳鉄８０−５５−０６であると、ベアリングキャップは４８，０００ｐｓｉの最大抗張力及び４６，０００ｐｓｉの降伏強度を有する立方センチ当たり２．６グラム又はそれより軟質な粉末金属アルミ２０１４Ｔ６等級にできる。ベアリングキャップ用の他の接合材料は４０，０００ｐｓｉの最大抗張力及び降伏強度を有する立方センチ当たり６．３グラムのＰＣ−０２０５−３５粉末金属材料にできる。多くの他の粉末金属材料がベアリングキャップ用に使用できる。

本発明の好ましい実施例が相当詳細に説明された。記載された好ましい実施例の多くの改造及び変形は通常の当業者にとって明らかであろう。したがって、本発明は記載された実施例に限定されるべきでなく、特許請求の範囲により規定されるべきである。

図１は本発明を内蔵するベアリングキャップを示す側面図である。 図２はボルト穴と図１のベアリングキャップのボスを受けるためのボルト穴の周囲のカウンターボアを有する組立構造体を示す側面部分図である。 図３は図１のベアリングキャップの端面図である。 図４は図３の右足部を示す詳細端面図である。 図５は図３の左足部を示す詳細側面図である。 図６は図５の左足部を示す側面詳細図である。 図７はカウンターボア内へのボスの嵌合法を示すカウンターボアとボスを通して切断した断面図である。 図８は自由端部で丸められ、基端部で尖頭するように変化する変形ローブを示す斜視図である。 図９は４個のローブボスの変形４５度の方位を示す図である。

符号の説明

１０ ベアリングキャップ
１６、１８、２２、２４ ボルト穴
２０ 支持構造体（組立構造体）
２６、２８、１２６ 足部
３０、３２、１３０、２３０ ボス
３４、３６ カウンターボア
４０、４２、４４、４６、４８、５０、１４８、２４２、２４４、２４６、２４８ ローブ
２１２ ベアリングボア
２１３ 油溝

Claims (7)

1. ベアリング支持構造体にボルト止めされる型のベアリングキャップであり、前記キャップと前記構造体間にベアリング穴を画成し、前記キャップを前記構造体に固着するためのボルト穴が前記キャップの足部を貫通し且つ前記構造体内に延長し、前記キャップが少なくとも２つ前記足部を有し、各前記足部が前記ベアリング穴の各側部にあり、少なくとも１つの前記ボルト穴が各前記足部に設けられ、前記キャップが焼結粉末金属であり、前記足部内の前記ボルト穴の周囲の各前記足部から突出した一体ボスを有するベアリングキャップにおいて、
   各前記ボスは前記ボスの外表面から放射状に伸びる複数のローブを有し、前記ボスの一方は、前記ベアリング穴の縦軸に平行である平面と交差するように、１８０度離間し且つ前記ベアリングキャップに向いている２つの前記ローブを有し、
   前記ボスの他方は、各対のローブが各軸で整合するように、１８０度離間した各対のローブを備えた２対のローブから成る４つの前記ローブを有することを特徴とするベアリングキャップ。
2. 前記ボスとカウンターボア間の締り嵌めで前記ボスを受けるための前記カウンターボア付の穴を有する支持構造体を更に具備し、前記ボスと前記カウンターボア間の締り嵌めが２５−３００ミクロンの範囲であることを特徴とする請求項１記載のベアリングキャップ。
3. 各ローブは前記ローブが形成されている前記足部を貫通する前記ボルト穴の軸でその頂点を有する１０−３０度を張ることを特徴とする請求項１記載のベアリングキャップ。
4. 各ローブが前記ボスの基部から前記ボスの自由端の方向に半径方向で且つ内方向に５−２５度からテーパーしていることを特徴とする請求項１記載のベアリングキャップ。
5. 前記ローブの基部に向かって前記ローブとカウンターボア間の接触幅を減少させる前記ローブに複合半径があることを特徴とする請求項１記載のベアリングキャップ。
6. 前記両ボス上の前記ローブが前記ベアリングキャップの横軸と整合されていないことを特徴とする請求項１記載のベアリングキャップ。
7. 前記対のローブは、前記各ローブの軸が前記ベアリング穴の前記縦軸に対して４５度であるように、前記ボス上で指向されていることを特徴とする請求項１記載のベアリングキャップ。

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