JP5296736B2 - 入射波の波高及び波向き推定方法、自動航路又は/及び船位維持制御方法、自動航路又は/及び船位維持制御システム及び船舶と洋上構造物 - Google Patents

入射波の波高及び波向き推定方法、自動航路又は/及び船位維持制御方法、自動航路又は/及び船位維持制御システム及び船舶と洋上構造物 Download PDF

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Description

本発明は、自動航路又は/及び船位維持制御システムを備えた船舶における、入射波の波高及び波向き推定方法、自動航路又は/及び船位維持制御方法、自動航路又は/及び船位維持制御システム及び船舶と洋上構造物に関する。
自動位置保持システム(DPS:Dynamic Positioning System)は、海洋における調査研究や開発作業に従事する船舶・海洋構造物を、錨で留める代わりに、推進用プロペラやスラスタをコンピュータで制御することにより、潮流、風,波等の外乱によって生じる外力及びモーメントに抗して、洋上の定点に船体位置を自動保持する装置であり、通常、目標位置と現在位置の偏差及び目標方位と現在方位の偏差をゼロにするようにスラスタ等のアクチュエータをフィードバック制御して、船体を定点に保持させようとしている。
この自動位置保持システムは、作業船、調査船、海洋構造物等で、石油を始めとする海底資源の採掘や海洋調査等、海洋開発のニーズが増すと共に、その対象水域はますます深くなる状況にあり、錨を使用できない海域で威力を発揮している。
特に、ライザー堀削船の場合は、ライザーの安全性の観点から許容される船体位置の偏差の最大量が厳しく規制され、船体位置の偏差が許容値を超える場合は、ライザー切り離しなどの非常措置を行う必要がある。そのため、ライザー堀削船を含めて自動位置保持を行う場合には、操業の安全性の確保や稼働率の向上、さらには、自動位置保持制御を行うオペレータの負担軽減のために、位置保持の精度を向上させることが求められている。この自動位置保持システムでは、船体位置の偏差を許容値以下に納めるために、船体位置の偏差の最大量を小さくすることが重要である。
また、海洋調査船などでは、広水域の情報を効率よく得るためには、特定の航路を外れることなく、一定の航行速度で航行することが重要となる。
船体に働く波力は、波周期で変動する波浪強制力(モーメントを含む)と定常的に船体に作用する波漂流力(モーメントを含む)に分けて考えることができる。波浪強制力は船体動揺を与えるが、船体を移動する力にはならないので自動位置保持制御では、2次的な要素として扱われる。一方、波漂流力は波の進行方向に船体を押し流す力であるため、波による変動波漂流力が大きく影響することが知られており、航路維持又は/及び船位維持制御の精度を向上させるためには、この変動波漂流力を考慮して自動航路又は/及び船位維持制御を行うことが重要である。
この変動波漂流力は、海が穏やかで波浪階級が低い低海象時には、力の程度が小さいため定常力として取り扱って実質上は問題ないが、波漂流力の大きさは波高の2乗に比例するため、海が荒れて波浪階級が高い高海象時には波漂流力の変動幅が著しく大きくなり、船体を急激に移動させるので、航路又は船体位置の偏差に大きな影響が生じる。この波漂流力を考慮すると、最近観測されている、台風の接近や大型低気圧の通過に遭遇する場合等の高海象時に、船体が急に押し流されて、船体位置の偏差量が急に大きくなる現象を合理的に説明できることが分かっている。
通常、海洋の不規則波はエネルギーが周波数の狭い範囲に集中しているので、個々の波の周期が略同一で振幅が緩やかに変動している状態となる。高海象時には、変動波漂流力の程度が大きくなり、この力を受けて船体が移動するので、航路又は船体位置の偏差への影響は大きい。そのため、航路又は船体位置の偏差が発生してから、この偏差を減ずるための推力を発生するフィードバック制御では、大きな偏差が生じるような場合では、航路又は/及び船位維持制御における精度を向上させるには限界がある。
この問題を解決して、高海象時の航路又は/及び船位維持精度を向上するためには、船体に作用する時々刻々の波漂流力を打ち消す力をプロペラやスラスタで発生する制御技術の開発が必要となる。そのためには、波漂流力の評価が課題となるが、実船では波漂流力そのものを物理量として計測することはできないため、何らかの手段で波漂流力を推定する必要がある。
これに関連して、長周期の波漂流力を推定するものとして、洋上において、推力発生装置を制御して船体位置及び船首方位を所定の位置及び方位に保持する自動船位保持制御方法であって、船体に作用する作用力及び作用モーメントに関して、波浪によって生じる長周期の変動波漂流力及び変動波漂流モーメントの少なくとも一方を含む長周期変動力及び長周期変動モーメントを推定し、この推定した長周期変動力及び長周期変動モーメントに対して推力発生装置が発生する制御力及び制御モーメントをフィードファワード制御して船位保持する制御を行う自動船位保持制御方法及び自動船位保持装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、洋上の船体の船体位置及び船首方位を保持するための自動船位保持制御方法において、船体の運動から船体に入射する波を推定して、この推定した波から波漂流力及び波漂流モーメントの少なくとも一方を算出して、この算出した波漂流力及び波漂流モーメントの少なくとも一方に対してフィードファワード制御を行う制御を含む船位保持制御を行う自動船位保持制御方法及び自動船位保持装置が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
この制御方法では、ピッチ代表周期を基に、計測されたピッチと計測されたロールの計測応答比から、予め用意した波入射角推定用テーブルを用いて波入射角(波向き)を推定している。しかしながら、船体の形状等によっては、波向きの推定が難しい場合があるという問題がある。
特開2006−297977号公報 特開2006−297976号公報
本発明は、上述の状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、航路を指示航路に維持した自動航路維持制御又は/及び船体を指示位置に維持する船位維持制御を行っている状態において、入射波の波高と波向きを精度良く推定できる入射波の波高及び波向き推定方法を提供することにある。
また、更なる目的は、自動航路又は/及び船位維持制御における船体の位置偏差と方位偏差が小さくすることができる自動航路又は/及び船位維持制御方法、自動航路又は/及び船位維持制御システム及び船舶と洋上構造物を提供することにある。
上記の目的を達成するための入射波の波高及び波向き推定方法は、航行中の航路維持又は/及び停船時の船位維持のための自動航路又は/及び船位維持制御方法で用いる入射波の波高及び波向き推定方法において、船体運動のピッチ運動とヨウ運動を測定し、測定したピッチ運動とヨウ運動の周期と振幅比と位相差から、予め設定されたピッチ運動とヨウ運動の周期と振幅比と位相差と入射波の波向きとの関係を示すデータを基に、入射波の波向きを推定すると共に、計測されたピッチ運動と推定された波向きから入射波の波高を推定することを特徴とする方法である。
この方法によれば、波向きはピッチ運動とヨウ運動の振幅比と位相差から、一方、波高はピッチ運動の振幅から推定するので、比較的簡単な方法で、入射波の波向きと波高を精度よく推定することができる。なお、ここでいう「船体」は、観測船等の航行を主とする船のみならず、切掘基地等の洋上構造物も含む。要するに自動航路又は/及び船位維持制御方法を行う浮上体であればよい。また、航行中は航路を維持し、停止中(停船中)は船位を維持する。この停止中の船位維持制御は、所謂、DPS(Dynamic Positioning System)等の位置保持制御に対応する制御となる。
また、上記の入射波の波高及び波向き推定方法において、測定されたピッチ運動のピーク周期から出会い波周期を算出し、測定されたピッチ運動とヨウ運動のクロススペクトラムの位相差から、船体に対する出会い波の入射方向の左右の象限を判定し、測定されたピッチ運動から算出したピッチ運動の伝達関数と、測定されたヨウ運動から算出したヨウ運動の伝達関数との振幅比から出会波の波向きを推定し、前記出会い波周期とピッチ運動のゼロクロス周期又はピーク間周期の振幅から波高を推定し、出会波の波周期と出会波の波方向を船体の航行速度で修正して入射する波の波周期と波向きを推定するように構成すると、波向きと波高を精度よくかつ迅速に推定できる。
つまり、波向きは急激に変化しないので、現在までの比較的長い計測データの時系列を用いたクロススペクトラムから精度良く推定でき、一方、波高は一波一波で異なるので、ピッチ運動のゼロクロス周期又はピーク間周期(ピークtoピークの周期)の振幅から推定することでその波が通過した時点でその波の波高を推定して、時々刻々の波によって発生する波漂流力に対する応答性を高めることができる。
上記の入射波の波高及び波向き推定方法において、ピッチ運動とヨウ運動の替わりに、ピッチ運動とヨウ運動に換算可能な、それぞれ2箇所以上で計測した上下加速度の測定値と左右加速度の測定値を用いると、高価な方位ジャイロや角速度計を用いずに比較的安価な加速度計で波高と波向きを推定することができる。
なお、上下加速度の計測位置と左右加速度の計測位置は、同じ位置でも別の位置でもよいが、ヒーブ運動やスェイ運動の成分を排除してピッチ運動とヨウ運動に換算できるようにそれぞれ2箇所以上のデータを計測することが重要である。また、これらの計測位置は、船体の重心に近い位置は避けて、船首部又は船尾部とするのが好ましい。
また、上下加速度と左右加速度から実際にピッチ運動とヨウ運動を算出して、ピッチ運動とヨウ運動の振幅比と位相差を用いて波向きを推定してもよいが、上下加速度と左右加速度の振幅比と位相差から、予め設定した上下加速度と左右加速度の振幅比と位相差と波向きの関係を示すデータから波向きを推定し、上下加速度の振幅と、予め設定した波向きと上下加速度の振幅と波高との関係を示すデータから波高を推定してもよい。
また、上記の目的を達成するための自動航路又は/及び船位維持制御方法は、航行中の航路維持又は/及び停船時の船位維持のための自動航路又は/及び船位維持制御方法において、上記の入射波の波高及び波向き推定方法を用いて、入射波の波高と波向きを推定し、この推定した入射波の波高と波向きから、この入射波から受けた波漂流力及び波漂流力モーメントの少なくとも一方を推定し、この推定された波漂流力及び波漂流力モーメントの少なくとも一方を補償するために、この推定された波漂流力に対応した制御力及びこの推定された波漂流力モーメントに対応した制御モーメントの少なくとも一方に対応した制御力及び制御モーメントの少なくとも一方を発生する制御を行うことを特徴とする方法である。
この方法によれば、入射波の波高と波向きを精度よく推定できるので、入射波から受けた波漂流力及び波漂流力モーメントを精度よく推定して、船体の航路偏差又は船位偏差が大きくなる前に、船体が受けた波漂流力及び波漂流力モーメントを打ち消す制御力及び制御モーメントを発生して、船体の航路偏差又は位置偏差が大きくなることを防止することができる。
また、上記の目的を達成するための自動航路又は/及び船位維持制御システムは、航行中の航路維持又は/及び停船時の船位維持のための自動航路又は/及び船位維持制御システムにおいて、少なくともピッチを含む船体の運動を計測する船体運動検出手段と、船体運動のピッチ運動とヨウ運動を測定し、測定したピッチ運動とヨウ運動の周期と振幅比と位相差から、予め設定されたピッチ運動とヨウ運動の周期と振幅比と位相差と入射波の波向きとの関係を示すデータを基に、入射波の波向きを推定すると共に、計測されたピッチ運動と推定された波向きから入射波の波高を推定する入射波の波高及び波向き推定手段と、前記波高及び波向き推定手段で推定した波高と波向きとから、この入射波から受けた波漂流力及び波漂流力モーメントの少なくとも一方を推定する波漂流力推定手段と、前記波漂流力推定手段で推定された波漂流力及び波漂流力モーメントの少なくとも一方を補償するために、この推定された波漂流力に対応した制御力及びこの推定された波漂流力モーメントに対応した制御モーメントの少なくとも一方を発生させる補償制御力発生手段を備えて構成される。
この自動航路又は/及び船位維持制御システムによれば、波向き及び波高推定手段から、入射波の波高と波向きを精度よく推定でき、波漂流力推定手段で入射波から受けた波漂流力及び波漂流力モーメントを精度よく推定して、船体の航路偏差又は/及び船位偏差が大きくなる前に、補償制御力発生手段により、船体が受けた波漂流力及び波漂流力モーメントに対応した制御力及び制御モーメントを発生して、船体の航路偏差又は船位偏差が大きくなることを防止することができる。
また、上記の目的を達成するための船舶と洋上構造物は、上記の自動航路又は/及び船位維持制御システムを備えて構成される。この構成によれば、自動航路又は/及び船位維持制御を行っている船舶又は洋上構造物が入射波によって受けた波漂流力及び波漂流モーメントを推定して、この力及びモーメントに対応した制御力及び制御モーメントの発生により、位置偏差が大きくなる前に、船舶又は洋上構造物が航路又は船位から外れるのを抑制して、航路偏差又は繊維偏差を小さくすることができる。
言い換えると、従来の制御方法では、定常力補償制御力によって波による力に対して対抗しているが、安定した制御を実現するためにはカルマンフィルターの時定数はある程度大きくとる必要があり、外力変動に対する応答性はさほど高くない。そのため、高海象時に大波を受けた場合は、急激に大きな波漂流力が船体に作用した時に、この定常補償制御力だけでは波漂流力の変動に対抗できずに、位置偏差が生じることとなる。
これに対して、本発明では、高海象時の最大航路偏差又は船位偏差を低減するために、波漂流力によって航路偏差又は船位偏差が生じることを予測し、それに対応する波漂流力補償力を制御力の一部として航路偏差又は船位偏差が大きくなる前に発生する。このような制御は位置に対するフィードフォワード制御と呼ばれるが、本発明では、波漂流力を打ち消す力を発揮することから、波漂流力補償制御という。この波漂流力補償制御を実現するためには、時々刻々の波漂流力の評価が必要であるが、実船では波漂流力を物理量として計測することは困難であるので、波浪及び波漂流力の推定方法が課題となる。
この船体に作用する変動波漂流力の推定には、船体運動から波及び波漂流力を推定する手法を用い、波の推定には、ピッチ運動とヨウ運動の計測値を用いて、ピッチ運動とヨウ運動の振幅比と位相差から、出会い波の波向きを推定し、船速と波向きと、ゼロクロス周期又はピッチ間周期から入射波の波向きと波の周波数を推定し、これらとピッチ運動とから波高を推定する。なお、ピッチ運動とヨウ運動の替りにピッチ運動とヨウ運動に換算可能な上下加速度と左右加速度を用いることができる。
つまり、本発明では、ピッチ運動とヨウ運動の振幅比と位相差、又は、上下加速度と左右加速度から換算したピッチ運動とヨウ運動の振幅比と位相差から波向きを推定し、ピッチ運動から波高を推定する。あるいは、上下加速度と左右加速度の振幅比と位相差から波抜きを推定し、上下加速度から波高を推定する。
本発明の入射波の波高及び波向き推定方法によれば、自動航路又は/及び船位維持制御を行っている状態において、入射波の波高と波向きを精度良く推定できる。また、本発明の自動航路又は/及び船位維持制御方法、自動航路又は/及び船位維持制御システム及び船舶と洋上構造物によれば、自動航路又は/及び船位維持制御において、船体又は洋上構造物の航路偏差又は船位偏差を小さくすることができる。
本発明に係る変動波漂流力推定制御の流れを示す図である。 本発明に係る自動航路又は/及び船位維持制御の流れを示す図である。 ピッチ運動とヨウ運動の位相差と波向きの関係を示した図である。 ピッチ運動とヨウ運動の振幅比と波向きの関係を示した図である。
以下、図面を参照して本発明に係る実施の形態の入射波の波高及び波向き推定方法、自動航路又は/及び船位維持制御方法、自動航路又は/及び船位維持制御システム、及び、船舶と洋上構造物について説明する。
本発明に係る実施の形態の入射波の波高及び波向き推定方法は、図1に示すような制御の構成に基づいて行なわれる方法であり、また、自動航路又は/及び船位維持制御方法は、本発明に係る実施の形態の入射波の波高及び波向き推定方法を用いる方法である。また、本発明に係る実施の形態の自動航路又は/及び船位維持制御システム1は本発明に係る実施の形態の自動航路又は/及び船位維持制御方法を実施するシステムであり、図2に示すような制御の構成を持っている。更に、本発明に係る実施の形態の船舶と洋上構造物は本発明に係る実施の形態の自動航路又は/及び船位維持制御システムを備えて構成される。
最初に、本発明に係る実施の形態の入射波の波高及び波向き推定方法とこれを用いる変動波漂流力の推定について説明する。本発明においては、この変動波漂流力の推定を、図1に示すような制御フローの構成図に基づいて行う。
この変動波漂流力の推定の制御は図1に示すような変動波漂流力推定制御手段S100のような構成をした制御フローの構成に従って行なわれる。最初に、船体応答計測手段S101で、船体応答(船体運動)を計測し、時系列データ手段S102で時系列データを記憶する。この船体運動としては、船体の前後方向のサージ(Surge)運動と、左右方向のスウェイ(Sway)運動と、上下方向のヒーブ(Heave)運動と、船首上下揺れのピッチ(Pitch)運動と、横揺れのロール(Roll)運動と、船首左右揺れのヨウ(Yaw)運動とがある。
これらのサージ運動、スウェイ運動、ヒーブ運動は、複数の位置で加速度を計測し、それを船体の重心位置に換算し、更に、重心位置の加速度を時間に関して2回積分することにより、容易に求めることができる。また、直接GPSで計測することもできる。
また、船体の重心周りの角度変化に関するピッチ運動、ロール運動、ヨウ運動は、傾斜計、方位ジャイロあるいは角速度計等で検出した検出値を時間に関して1回又は2回積分することにより、容易に求めることができる。
これらの船体運動で、本発明の入射する波の波高及び波向きの推定に関係するのはピッチ運動とヨウ運動であり、一方、自動航路又は/及び船位維持制御に直接関係するのは、サージ運動、スウェイ運動とヨウ運動である。
次に、クロススペクトム算出手段S103で、時系列データ記憶手段S102で記憶されたピッチ運動とヨウ運動の時系列データに高速フーリエ変換(FFT)を施して、ピッチ運動とヨウ運動のクロススペクトラムを算出する。また、同時にパワースペクトラム算出手段S104で、ピッチ運動のパワースペクトラムを算出する。
次に、伝達関数算出手段S105で、ピッチ運動とヨウ運動のクロススペクトラムから、ピッチ運動とヨウ運動の間の伝達関数(応答関数)、即ち、振幅比と位相差を算出する。
次に、波向き推定手段S106で、予め設定され、記憶されている船体応答データベースD1の「ピッチ運動とヨウ運動の振幅比と位相差と波向きの関係のデータ」に基づいて、伝達関数算出手段S105で得られた「ピッチ運動とヨウ運動の振幅比と位相差」から「波向き」を算出する。
より詳細には、図3に示すような「ピッチ運動とヨウ運動の位相差(太い実線A:ピッチ運動に対するヨウ運動の位相差)と波向きとの関係のデータ」に基づいて、ピッチ運動とヨウ運動の位相差(太い実線A)から、入射してくる波が、船体の水平面において、どの象限にあるかを判定する。なお、図3は、船速がゼロでスペクトラムのピーク周期が10.4sの場合を示す。
なお、ここでは、波向きを船体の正面から波を0°とし、右舷側から波が入射する場合を正とする。また、船体中心の座標系で前をX軸の正に、右舷側をY軸の正とすると、水平面の座標軸X,Yの各象限は、船体に関して、右舷側前方の第1象限(0°から90°)、右舷側後方の第2象限(90°〜180°)、左舷側後方の第3象限(180°から270°:−90°〜−180°)、左舷側前方の第4象限(270°から360°:0°から−90°)となる。
なお、このピッチ運動とヨウ運動の船体応答の位相関係は、同一象限内で符号が一定となるため、容易に象限の特定をすることができる。但し、象限の境目の0°、90°、180°、270°(−90°)ではクロススペクトラムがゼロとなるが、ゼロとなる前の波向きから象限のどの境目の波向きであるかは容易に判定できる。
また、参考までに、図3にピッチ運動とロール運動の位相差(細い点線B)と波向きの関係を示すが、波向きがどの象限にあるかの判定には、ピッチ運動とヨウ運動の位相差(太い実線A)と波向きの関係の方がよいことが分かる。
更に、伝達関数算出手段S105で算出した「ピッチ運動とヨウ運動の振幅比(ピッチ運動の振幅に対するヨウ運動の振幅:(ヨウ運動の振幅)/(ピッチ運動の振幅))」から船体応答データベースD1に記憶された図4に示すような「ピッチ運動とヨウ運動の振幅比(太い実線A)と波向きとの関係のデータ」に基づいて、入射波の波向きを推定する。更に、波向きとピッチ運動の振幅から入射波の波高を推定する。なお、図4は、船速がゼロでピーク周期が10.4sの場合を示す。
また、参考までに、図4にピッチ運動とロール運動の位相差(細い点線B)と波向きの関係を示すが、波向きの判定には、ピッチ運動とヨウ運動の位相差(太い実線A)と波向きの関係の方が、変化が穏やかで分かり易いので、判定用のデータとして適していることが分かる。また、模型試験と数値シミュレーションの結果もよく一致している。
一方、波周期推定手段S107において、ピッチ運動のパワースペクトラムのピーク周期、又は、ピッチ運動の時系列データのゼロクロス周期、又は、ピーク間周期(ピークtoピークの周期)に基づいて出会い波周期を算出し、この出会い波の波周期と波向きと船速から入射する波の波周期を算出する。
また、波高推定手段S108において、時々刻々のピッチ運動の大きさ、あるいは、ゼロクロス周期の間の振幅、ピーク間周期の間の振幅等からピッチ運動の振幅を算出する。次に、船体応答データベースD1に記憶されたピッチの応答関数から、入射波の波向きと波周期に合う応答関数を選出し、このピッチ応答関数の振幅の逆数をピッチ運動の振幅に掛け算することにより、時々刻々の波の高さ、あるいは、ゼロクロス周期の間の波高、ピーク間周期の間の波高を算出する。
次に、波漂流力推定手段S109において、波向き推定手段S106で推定した入射波の波向きと、波周期推定手段S107で推定した波周期と、波高推定手段S108で推定した波高とから、波漂流力データベースD2に記憶された船速毎の「入射する波の波向きと変動波漂流力(変動波漂流モーメントを含む)のデータ」に基づいて変動波漂流力及び変動波漂流モーメントを算出する。
より詳細には、船体に作用する波力及びモーメントは、波周期で変動する波浪強制力及び波浪強制モーメントと、定常的に船体に作用する波漂流力及び波漂流モーメントに分けて考えることができる。波浪強制力及び波浪強制モーメントは船体動揺を与えるが、船体を移動させる力とはならないため、自動航路又は/及び船位維持制御では、2次的な要素として扱われる。
一方、波漂流力は船体をある方向へ移動させる力となり、波漂流モーメントは針路を変更させるため、自動航路又は/及び船位維持制御では重要である。この波漂流力及び波漂流モーメントは、定常波漂流力及び定常波漂流モーメントと、変動波漂流力及び変動波漂流モーメントに分けて考えることができる。従来の自動航路又は/及び船位維持制御では、主に、定常波漂流力及び定常波漂流モーメントのみが考慮されていた。この定常波漂流力及び定常波漂流モーメントは、非常に長い周期成分を持ち、また、大きさも小さい。
しかし、高海象時において突発的に生じる位置偏差を合理的に説明するためには、波による外力として変動波漂流力及び変動波漂流モーメントを考慮することが必要と考えられるので、この実施の形態では、変動波漂流力及び変動波漂流モーメントを、規則波中の定常波漂流力を用いて、「Hsuらの方法」に従って近似的に算出して用いている。なお、「Hsuらの方法」でなく「Pinksterの方法」を用いることも考えられる。
「Hsuらの方法」では、不規則波をゼロクロスの間の半波長ごとに周期及び波高の変化する規則波の連なりとみなし、その半波長の間にそれぞれの規則波に対応する定常波漂流力が作用するものと考え、変動波漂流力及び変動波漂流モーメントを時間に関するステップ関数として与える。変動波漂流力及び変動波漂流モーメントは、「波周期と波向きと規則波中の波漂流力係数と波漂流モーメント係数の関係」を予め設定して記憶しておくことで、容易に算出できる。
つまり、算出された波向きから「波周期と波向きと規則波中の波漂流力係数と波漂流モーメント係数の関係」を示すデータに基づいて、波漂流力係数と波漂流モーメント係数を算出し、これらに波高を掛け算して、波漂流力(サージ力、スェイ力)と波漂流モーメント(ヨウモーメント)を算出する。
これらの図1に示すような一連の制御により、ピッチ運動とヨウ運動から、入射波の波向きと波高を推定し、この推定された波向きと波高から変動波漂流力及び変動波モーメントを推定する。なお、波向きは一般的に変化が穏やかであるので、比較的長時間の時系列データをFFT変換して得られるクロススペクトラムやパワースペクトラムから得られるデータに基づいて算出することで推定精度を向上し、変動波漂流力の大きさに関係する波高は、時系列データから直接推定して時間遅れを少なくしている。
次に、上記で算出された変動波漂流力及び変動波漂流モーメントを使用する本発明の実施の形態の自動航路又は/及び船位維持制御方法及びそのシステムについて説明する。
この洋上の船体の航路又は船位(方位を含む)を維持するための自動航路又は/及び船位維持制御方法及びそのシステムでは、制御中は、風に対抗する力はフィードバックではなく、風向風速計からフィードフォワードで求め、また、潮流に対抗する力もフィードバックではなく、潮流計からフィードフォワードで求める。なお、これらの外力は、現在、過去の一定時間、例えば、10分〜30分の平均値を考える。
また、波漂流力及び波漂流モーメントに対抗するために、上記の変動波漂流力の推定で、算出された変動波漂流力及び変動波漂流モーメントを用いて、時々刻々、又は、半波遅れ、又は、一波遅れではあるが、入射波によって受けた波漂流力及び波漂流モーメントに対応する制御力を発生して、フィードフォワード制御を行う。
次に、本発明に係る実施の形態の自動航路又は/及び船位維持制御方法及びそのシステムについて、図2を参照しながら説明する。図2に示すように、この自動航路又は/及び船位維持制御システム1は、風向・風速検出手段(風向・風速センサ)C11、風圧力算出手段C12、潮流検出手段(潮流センサ)C21、潮流力算出手段C22、船位検出手段(位置センサ)C31、第2の制御力算出手段C32、運動検出手段(動揺センサ)C41、波漂流力算出手段(第3の制御力算出手段)C42、第4の制御力算出手段C51、制御力発生手段C61を備えて構成される。
自動航路又は船位維持制御を行う場合には、風向・風速検出手段C11によって風速・風向を測定し、この風速・風向から、予め実験や計算等で得られて記憶されている「風速・風向と風圧力、風モーメントの関係」を示すデータに基づいて、風圧力算出手段C12により風圧力及び風圧モーメントを算出する。
また、潮流検出手段C21によって潮流の流向・流速を測定し、この潮流の流向・流速と予め実験や計算等で得られて記憶されている「潮流の流向・流速と潮流力、潮流モーメントの関係」を示すデータに基づいて、潮流力算出手段C22により潮流力及び潮流モーメントを算出する。この潮流力及び潮流モーメントを風圧力及び風圧モーメントに加えて、外力に対するフィードフォワード制御用の第1の制御力及び制御モーメントとする。
なお、図2には特に図示していないが、必要に応じて、ライザーや係留索による力とモーメントを算出する。これらの力及びモーメントを、風圧力及び風圧モーメントと潮流力及び潮流モーメントの和に加え合わせて、外力及びモーメントである第1の制御力及び制御モーメントを算出する。
また、第2の制御力算出手段C32による第2の制御力の算出は、例えば、GPS等の船位を測定する位置情報検出手段(位置センサ)C31によって、船体の観測位置及び航行中は航路の偏差又は停止中は船位の偏差を算出する。この航路の偏差又は船位の偏差を基に、この航路の偏差又は船位の偏差をゼロにするための第2の制御力及び制御モーメントを算出する。この第2の制御力及び制御モーメントの算出では、通常、積分制御(I制御)を用いたフィードバック制御やカルマンフィルターを使用するが、別の方法を用いてもよく、本発明ではどのような方法を用いるかは問わない。
また、図1に示したような制御により、動揺センサC41(図1の船体応答計測手段S101に対応)でピッチ運動とヨウ運動を測定し、波漂流力算出手段C42(図1のS102〜S109に対応)で、変動波漂流力及び変動波漂流モーメントである第3の制御力及び制御モーメントを算出する。
次に、第4の制御力算出手段C51において、風圧力算出手段C12と潮流力算出手段C22で算出された外力及びモーメントの第1の制御力及び制御モーメントと、第2の制御力算出手段C32で算出された第2の制御力及び制御モーメントと、波漂流力算出手段C42で、算出された波漂流力及び波漂流モーメントである第3の制御力および制御モーメントをそれぞれ加算して、第4の制御力及び制御モーメントを算出する。更に、この第4の制御力及び制御モーメントを発生するように、推力分配則を基に、推進器、スラスタ等の制御力発生装置に対する指令値を算出する。
制御力発生装置C61は、第4の制御力算出手段C51で算出された指令値に基づいて、推進器、スラスタ等において、それぞれの指令値に従った制御力と制御モーメントを発生する。この制御力と制御モーメントにより、船体の航路維持又は船位維持がなされる。
この自動航路又は/及び船位維持御方法、自動航路又は/及び船位維持御システム1では、フィードバック制御等に相当する第2の制御力及び制御モーメントに、フィードフォワード制御に相当する第1の制御力及び制御モーメントと、変動波漂流力及び変動波漂流モーメントの第3の制御力及び制御モーメントを加えて、第4の制御力及び制御モーメントを算出している。そのため、風圧力及び風圧モーメント等の波以外の外力を補償する外力補償制御力及び外力補償制御モーメントに加えて、変動波漂流力及び変動波漂流モーメントを補償する変動波漂流力補償制御力及び変動波漂流モーメント補償制御モーメントを発生させて、これらに関係するフィードフォワード制御を加味した航路維持制御又は船位維持制御を行う。
なお、この第2の制御力及び制御モーメントに関する制御では、自船の航路の偏差又は船位の偏差の大きさに基づいて、第2の制御力及び制御モーメントを算出するので、航路の偏差又は船位の偏差の変動が生じなければ、この第2の制御力及び制御モーメントは発生しないことになる。
これに対して、フィードフォワード制御で用いる外力補償制御力及び外力補償制御モーメントと変動波漂流力補償制御力及び変動波漂流モーメント補償制御モーメント、即ち、第1と第3の制御力及び制御モーメントは、安定した制御を実現するために、航路の偏差又は船位の偏差の有無やその大きさに関わらず、外乱に対抗した補償力と補償モーメントを発生する制御力及び制御モーメントである。
このフィードフォワード制御における、風圧や潮流やライザーや係留索による外力及びモーメントに対する補償力及び補償モーメントに関しては、風向風速計等の外力センサC11、C21で検出している相対風向、相対風速等のデータを基に、現在船体が受けている風圧力等の外力及びモーメントをリアルタイムで推定できるので、航路の偏差又は船位の偏差(方位の偏差を含む)が生じる前に、この外力及びモーメントに対抗する第1の制御力及び制御モーメントを発生することができる。
一方、変動波漂流力補償制御力及び変動波漂流モーメント補償制御モーメントに関しては、入射波によって生じたピッチ運動とヨウ運動から推定した波向きと、ピッチ運動の振幅と波向きと波周期から推定した波高を用いるため、時々刻々、又は、入射波の波周期の半分以上の遅れ(具体的には、時系列データのゼロクロス間、又は、ピークtoピーク間の半波長分の位相の遅れ)を持って、発生させることになる。しかしながら、多少の時間遅れがあっても、航路の偏差又は船位の偏差が大きくなる前に、入射波によって船体に作用した力及びモーメントを打ち消す力及びモーメント、つまり、補償する力及びモーメントを発生させることができるので、船体の移動を減少させることができる。
また、本発明に係る実施の形態の船舶と洋上構造物は、上記の自動航路又は/及び船位維持制御システム1を備えて構成される。
従って、上記の入射波の波高及び波向き推定方法によれば、自動位航路又は船位維持制御を行っている状態において、入射波の波高と波向きを精度良く推定できる。また、上記の自動航路又は/及び船位維持制御方法、自動航路又は/及び船位維持制御システム及び船舶と洋上構造物によれば、自動航路又は船位維持制御において、船体又は洋上構造物の、航路の偏差若しくは船位の偏差を小さくすることができる。
本発明者らは、上記の入射波の波高及び波向き推定方法に関して、模型試験と数値シミュレーション計算を行い、波向きに対してピッチ運動とヨウ運動の振幅比と位相差が強い相関関係があることを確認し、そして、ピッチ運動とヨウ運動の振幅比と位相差から、この時の船体に入射波の波向きを推定し、ピッチ運動の振幅とこの波向きから波高を推定し、この波高から波漂流力を推定したシミュレーション計算を行った。その結果、模型試験の結果とシミュレーション結果は良く一致し、この方法で波漂流力を推定することができることが分かった。
本発明の入射波の波高及び波向き推定方法は、上記のように、自動航路又は船位維持制御を行っている状態において、入射波の波高と波向きを精度良く推定できるので、観測船、ライザー堀削船、洋上構造物の自動航路又は/及び船位維持制御方法及び自動航路又は/及び船位維持制御システムに利用することができる。
また、本発明の自動航路又は/及び船位維持制御方法、自動航路又は/及び船位維持制御システム及び船舶と洋上構造物は、自動航路維持制御又は自動船位維持制御における船体の航路の偏差又は船位偏差を小さくすることができるので、自動航路又は/及び船位維持制御を必要とする観測船、ライザー堀削船、洋上構造物等に利用することができる。
1 自動航路又は/及び船位維持制御システム
C11 風向・風速検出手段(風向・風速センサ)
C12 風圧力算出手段
C21 潮流検出手段(潮流センサ)
C22 潮流力算出手段
C31 位置センサ船位検出手段(位置センサ)
C32 第2の制御力算出手段
C41 運動検出手段(動揺センサ)
C42 波漂流力算出手段
C51 第4の制御力算出手段
C61 制御力発生手段
D1 船体応答データベース
D2 波漂流力データベース
S100 変動波漂流力推定制御手段
S101 船体応答計測手段
S102 時系列データ記憶手段
S103 クロススペクトラム算出手段
S104 パワースペクトラム算出手段
S105 伝達関数算出手段
S106 波向き推定手段
S107 波周期推定手段
S108 波高推定手段
S109 変動波漂流力推定手段

Claims (6)

  1. 航行中の航路維持又は/及び停船時の船位維持のための自動航路又は/及び船位維持制御方法で用いる入射波の波高及び波向き推定方法において、
    船体運動のピッチ運動とヨウ運動を測定し、測定したピッチ運動とヨウ運動の周期と振幅比と位相差から、予め設定されたピッチ運動とヨウ運動の周期と振幅比と位相差と入射波の波向きとの関係を示すデータを基に、入射波の波向きを推定すると共に、計測されたピッチ運動と推定された波向きから入射波の波高を推定することを特徴とする入射波の波高及び波向き推定方法。
  2. 測定されたピッチ運動のピーク周期から出会い波周期を算出し、測定されたピッチ運動とヨウ運動のクロススペクトラムの位相差から、船体に対する出会い波の入射方向の左右の象限を判定し、測定されたピッチ運動から算出したピッチ運動の伝達関数と、測定されたヨウ運動から算出したヨウ運動の伝達関数との振幅比から出会波の波向きを推定し、前記出会い波周期とピッチ運動のゼロクロス周期又はピーク間周期の振幅から波高を推定し、出会波の波周期と出会波の波方向を船体の航行速度で修正して入射する波の波周期と波向きを推定することを特徴とする請求項1記載の入射波の波高及び波向き推定方法。
  3. ピッチ運動とヨウ運動の替わりに、ピッチ運動とヨウ運動に換算可能な、それぞれ2箇所以上で計測した上下加速度の測定値と左右加速度の測定値を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の入射波の波高及び波向き推定方法。
  4. 航行中の航路維持又は/及び停船時の船位維持のための自動航路又は/及び船位維持制御方法において、請求項1記載の入射波の波高及び波向き推定方法を用いて、入射波の波高と波向きを推定し、この推定した入射波の波高と波向きから、この入射波から受けた波漂流力及び波漂流力モーメントの少なくとも一方を推定し、この推定された波漂流力及び波漂流力モーメントの少なくとも一方を補償するために、この推定された波漂流力に対応した制御力及びこの推定された波漂流力モーメントに対応した制御モーメントの少なくとも一方に対応した制御力及び制御モーメントの少なくとも一方を発生する制御を行うことを特徴とする自動航路又は/及び船位維持制御方法。
  5. 航行中の航路維持又は/及び停船時の船位維持のための自動航路又は/及び船位維持制御システムにおいて、少なくともピッチを含む船体の運動を計測する船体運動検出手段と、
    船体運動のピッチ運動とヨウ運動を測定し、測定したピッチ運動とヨウ運動の周期と振幅比と位相差から、予め設定されたピッチ運動とヨウ運動の周期と振幅比と位相差と入射波の波向きとの関係を示すデータを基に、入射波の波向きを推定すると共に、計測されたピッチ運動と推定された波向きから入射波の波高を推定する入射波の波高及び波向き推定手段と、
    前記波高及び波向き推定手段で推定した波高と波向きとから、この入射波から受けた波漂流力及び波漂流力モーメントの少なくとも一方を推定する波漂流力推定手段と、
    前記波漂流力推定手段で推定された波漂流力及び波漂流力モーメントの少なくとも一方を補償するために、この推定された波漂流力に対応した制御力及びこの推定された波漂流力モーメントに対応した制御モーメントの少なくとも一方を発生させる補償制御力発生手段を備えたことを特徴とする自動航路又は/及び船位維持制御システム。
  6. 請求項5記載の自動航路又は/及び船位維持制御システムを備えたことを特徴とする船舶及び洋上構造物。
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