JP5296555B2 - 環状スルホニウム塩の製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、環状スルホニウム塩、環状スルホニウム塩の製造方法およびグルコシダ−ゼ阻害剤に関するものである。さらに、この発明は、特にコタラノールおよびその類縁体の環状スルホニウム塩ならびにその製造方法、およびその製造方法によって製造されるコタラノールならびにその類縁体の環状スルホニウム塩に関するものである。また、この発明は、それらを用いたグルコシダ−ゼ阻害剤に関するものである。
糖加水分解酵素であるグルコシダ−ゼの糖分解作用を阻害する物質であるグルコシダ−ゼ阻害剤を用いることにより、腸内などにおける糖分の消化吸収を抑制できる。そこで、糖尿病の治療薬あるいは予防薬としてのグルコシダ−ゼ阻害剤の有用性が期待されている。このようなグルコシダ−ゼ阻害剤に用いられる化合物の例として硫黄原子が3価の価数を示す環状スルホニウム塩(チアシクロペンタン誘導体)が知られている。
例えば、特開2002−179673号公報(特許文献1)の請求項8、Tetrahedron Letters,Vol..41,No.34,pp.6615−6618(2000)(非特許文献1)、Journal of Organic Chemistry,Vol.66,No.7,pp.2312−2317(2001)(非特許文献2)などには、グルコシダ−ゼ阻害作用を有する化合物として、下記構造式(5)で表される環状スルホニウム塩が開示されている。
Figure 0005296555
一方、Tetrahedron Letters,Vol.38,No.48,pp.8367−8370(1997)(非特許文献3)およびBioorganic Medicinal Chemistry,Vol.10,No.5,pp.1547−1554(2002)(非特許文献4)には、インドの伝統医学で用いられてきた薬用植物のサラシアレティクラ−タ(Salacia reticlata)やサラシアオブロンガ(Salacia oblonga)に薬理本態性物質として含まれているサラシノール(salacinol)が、強いグルコシダ−ゼ阻害剤であることが開示され、さらに該サラシノールの構造式が開示されている。環状スルホニウム塩(5)は、該サラシノールと同様な構造を有し、かつ、同様なグルコシダ−ゼ阻害作用を有するものである。また、特開2002−51735号公報(特許文献2)などには、サラシノールを含有することを
特徴とする抗糖尿病食品が開示されている。
他方、下記構造式(6)で表されるコタラノール(kotalanol)は、サラシノールと共に薬用植物のサラシアレティクラ−タ(Salacia reticlata)やサラシアオブロンガ(Salacia oblonga)に含有されているグルコシダ−ゼ阻害剤である。Chemical & Pharmaceutical Bulletin,Vol.46,No.3,pp.1339−1340(1998)(非特許文献5)には、コタラノールのマルタ−ゼおよびサッカラ−ゼ阻害作用は、サラシノールのそれに比べて強いことが開示されている。しかしながら、単離収率はサラシノールに比べてきわめて低く、例えば、サラシアレティクラ−タ(Salacia reticlata)からの単離収率は、サラシノールが0.025%であるのに対してコタラノールはわずか0.0002%であるにすぎない。
Figure 0005296555
糖尿病予防薬や治療薬を必要とする人々の数は多く、わが国においても人口の約1割強に達するといわれている。したがって、天然薬物からの精製でこれら多くの人達に薬物を供給することが困難であるため、入手容易な原料を用いる有機合成によって、サラシノールより強力なグルコシダ−ゼ阻害作用をもつコタラノールやコタラノールと同様の薬効を有する薬剤が製造され、供給可能になることが望まれる。
そのためには、コタラノールの立体化学を解明すると共に、その立体構造を有するコタラノールを化学合成することが必要である。
コタラノールの構造式は、この発明者らの研究結果によれば、上記構造式(6)のように示されている(非特許文献5)が、コタラノールの3価硫黄上の硫酸陰イオンをもつヘプチトール側鎖部および硫黄原子の立体化学は判明していない。このヘプチトール側鎖部には不斉炭素が5個存在するので、32種類の異性体が考えられる。
そこで、この発明者らは、水酸基が保護されたヘプチトール環状硫酸エステルを32種類製造して、炭素原子4個と硫黄原子1個の環状構造を骨格としてもつチオ糖とのカップリング反応により化合物とし、次にこの化合物の水酸基の脱保護を行ってコラタノール類縁体を提供するとともに、コタラノールの側鎖部の立体化学を明らかにするものである。
特開2002−179673号公報(請求項8) 特開2002−51735号公報(段落番号0008など)
Tetrahedron Letters,Vol.41,No.34,pp.6615−6618(2000) Journal of Organic Chemistry,Vol.66,No.7,pp.2312−2317(2001) Tetrahedron Letters,Vol.38,No.48,pp.8367−8370(1997) Bioorganic Medicinal Chemistry,Vol.10,No.5,pp.1547−1554(2002) Chemical & Pharmaceutical Bulletin,Vol.46,No.3,pp.1339−1340(1998)
この発明は、コタラノールの3価硫黄上の硫酸陰イオンをもつヘプチトール側鎖部の立体化学の解明と、コタラノールやコタラノールと同様な、またはより優れたグルコシダ−ゼ阻害効果を有する環状スルホニウム塩を有機合成によって製造する製造法を提供することを目的とするものである。
請求項1に係る発明では、環状スルホニウム塩の製造方法において、D−キシロース、D−リボース、D−アラビノース、D−リキソース、L−キシロース、L−リボース、L−アラビノースおよびL−リキソースから選ばれる五炭糖あるいはその誘導体から得られる構造式(2):
Figure 0005296555
(式中、R 1 およびR 2 はそれぞれ水素原子あるいは水酸基の保護基を表し、該水酸基の保護基が、−C(CH 3 ) 2 −、−CH(CH 3 )−ならびに−CHAr−(式中、Arはフェニル基または置換フェニル基を意味する)から選ばれる環状アセタ−ル保護基、−CH 2 OR 3‘ (式中、R 3’ は−CH 2 OCH 3 もしくは−CH 2 CH 3 OCH 3 を意味する)で表されるアルコキシアルキル基からなるエ−テル型保護基またはSiR 4 3 もしくはSiR 4 2 R 5 (式中、R 4 およびR 5 はそれぞれ、−CH 3 もしくは−C(CH 3 ) 3 で表されるアルキル基または−Phで表されるアリ−ル基を意味する)で表されるシリルエ−テル型保護基を意味する)
で表される水酸基が保護されたあるいはR 1 およびR 2 が無保護のヘプチトール環状硫酸エステルを合成する工程と、得られたヘプチトール環状硫酸エステル(2)と、構造式(7’):
Figure 0005296555
(式中、R は、水素原子あるいは水酸基の保護基を意味し、該水酸基の保護基が、−CH 2 Ar(式中Arはフェニル基または置換フェニル基を意味する)から選ばれるアリールメチル保護基あるいは−CH 2 OR (式中、R は−CH 2 OCH 3 もしくは−CH 2 CH 3 OCH 3 を意味する)で表されるアルコキシアルキル基からなるエ−テル型保護基またはSiR 3 もしくはSiR 2 R (式中、R およびR はそれぞれ、−CH 3 もしくは−C(CH 3 ) 3 で表されるアルキル基または−Phで表されるアリ−ル基を意味する)で表されるシリルエ−テル型保護基を意味する)
で表されるチオ糖とのカップリング反応により、構造式(8’):
Figure 0005296555
で表される水酸基が保護されたあるいはR 1 およびR 2 が無保護の環状スルホニウム塩を得るカップリング工程と、更に前記水酸基が保護された環状スルホニウム塩の水酸基の脱保護工程とによって、構造式(1):
Figure 0005296555
で表される環状スルホニウム塩(1)を得ることとした
また、請求項2に係る発明では、環状スルホニウム塩の製造方法において、
構造式(7):
Figure 0005296555
(式中、Rは、水素原子あるいは水酸基の保護基を意味し、該水酸基の保護基が、−CH2Ar(式中Arはフェニル基または置換フェニル基を意味する)から選ばれるアリールメチル保護基あるいは−CH2OR(式中、Rは−CH2OCH3もしくは−CH2CH3OCH3を意味する)で表されるアルコキシアルキル基からなるエ−テル型保護基またはSiR 3もしくはSiR 2R(式中、RおよびRはそれぞれ、−CH3もしくは−C(CH3) 3で表されるアルキル基または−Phで表されるアリ−ル基を意味する)で表されるシリルエ−テル型保護基を意味する)
で表されるチオ糖と、D−キシロース、D−リボース、D−アラビノース、D−リキソース、L−キシロース、L−リボース、L−アラビノースおよびL−リキソースから選ばれる五炭糖あるいはその誘導体から得られる構造式(2):
Figure 0005296555
(式中、R1およびR2はそれぞれ水素原子あるいは水酸基の保護基を表し、該水酸基の保護基が、−C(CH3)2−、−CH(CH3)−ならびに−CHAr−(式中、Arはフェニル基または置換フェニル基を意味する)から選ばれる環状アセタ−ル保護基、−CH2OR3‘(式中、R3’は−CH2OCH3もしくは−CH2CH3OCH3を意味する)で表されるアルコキシアルキル基からなるエ−テル型保護基またはSiR4 3もしくはSiR4 2R5(式中、R4およびR5はそれぞれ、−CH3もしくは−C(CH3) 3で表されるアルキル基または−Phで表されるアリ−ル基を意味する)で表されるシリルエ−テル型保護基を意味する)
で表される水酸基が保護されたあるいはR1およびR2が無保護のヘプチトール環状硫酸エステルとをカップリング反応させて構造式(8):
Figure 0005296555
(式中、R1、R2およびR3は前記と同じ意味を有する)
で表される水酸基が保護された環状スルホニウム塩(8)を得、次いで得られた該環状スルホニウム塩(8)の保護基を脱保護基することによって構造式(6):
Figure 0005296555
で表される環状スルホニウム塩(6)を得ることを特徴とする。
また、請求項3に係る発明では、環状スルホニウム塩の製造方法において、
構造式(7):
Figure 0005296555
(式中、R は、水素原子あるいは水酸基の保護基を意味し、該水酸基の保護基が、−CH 2 Ar(式中Arはフェニル基または置換フェニル基を意味する)から選ばれるアリールメチル保護基あるいは−CH 2 OR (式中、R は−CH 2 OCH 3 もしくは−CH 2 CH 3 OCH 3 を意味する)で表されるアルコキシアルキル基からなるエ−テル型保護基またはSiR 3 もしくはSiR 2 R (式中、R およびR はそれぞれ、−CH 3 もしくは−C(CH 3 ) 3 で表されるアルキル基または−Phで表されるアリ−ル基を意味する)で表されるシリルエ−テル型保護基を意味する)
で表されるチオ糖と、D−キシロース、D−リボース、D−アラビノース、D−リキソース、L−キシロース、L−リボース、L−アラビノースおよびL−リキソースから選ばれる五炭糖あるいはその誘導体から得られる(2a、2d):
Figure 0005296555
(式中、MOMは保護基を意味する。なお、構造式(2a)では波線で表した置換基OMOMがα配置であり、構造式(2d)ではそれがβ配置である。)
で表される水酸基が保護されたヘプチトール環状硫酸エステル(2a、2d)とをカップリング反応させて構造式(8a、8d):
Figure 0005296555
(式中、MOMは保護基を意味する。なお、構造式(8a)では波線で表した置換基OMOMがα配置であり、構造式(8d)ではそれがβ配置である。)
で表される水酸基が保護された環状スルホニウム塩(8a、8d)を得、次いで得られた該環状スルホニウム塩(8a、8d)の保護基を脱保護基することによって構造式(6a、6d):
Figure 0005296555
(なお、構造式(6a)では波線で表した水酸基がα配置であり、構造式(6d)ではそれがβ配置である。)
で表される環状スルホニウム塩(6a、6d)をそれぞれ得ることとした。
コタラノールやコタラノールと同様な、またはより優れたグルコシダ−ゼ阻害効果を有する環状スルホニウム塩を有機合成によって製造する製造法を提供することができる。
この発明に係る環状スルホニウム塩は、構造式(1):
Figure 0005296555
で表され、かつ、特定の立体化学を有するものである。
更に具体的には、この発明に係る環状スルホニウム塩は、下記立体化学で表される構造式(6):
Figure 0005296555
で表される。なお、ここでは、説明を簡単にするため便宜上、そのヘプチル基の5個の不斉炭素位置の立体化学は省略しているが、この発明においては、特段の説明がない限り、かかる立体化学を包含しているものとする。
この発明において、上記構造式(1)および(6)で表される環状スルホニウム塩は、例えば、D−キシロース、D−リボース、D−アラビノース、D−リキソース、L−キシロース、L−リボース、L−アラビノースおよびL−リキソースから選ばれる5単糖あるいはその誘導体から構造式(2):
Figure 0005296555
(式中、RおよびRはそれぞれ水素原子あるいは水酸基の保護基を表し、該水酸基の保護基が、−C(CH、−CH(CH)−ならびに−CHAr−(式中、Arはフェニル基または置換フェニル基を意味する)から選ばれる環状アセタ−ル保護基、−CHOR(式中、Rは−CHOCHもしくは−CHCHOCHを意味する)で表されるアルコキシアルキル基からなるエ−テル型保護基またはSiR もしくはSiR (式中、RおよびRはそれぞれ、−CHもしくは−C(CHで表されるアルキル基または−Phで表されるアリ−ル基を意味する)で表されるシリルエ−テル型保護基を意味する。)
で表される水酸基が保護されたヘプチトール環状硫酸エステルを合成するヘプチトール環状硫酸エステル合成工程と、得られたヘプチトール環状硫酸エステル(2)と、構造式(7’):
Figure 0005296555
(式中、Rは、水素原子あるいは水酸基の保護基を意味し、水酸基の保護基は、−C(CH、−CH(CH)−ならびに−CHAr−(式中、Arはフェニル基または置換フェニル基を意味する)から選ばれる環状アセタ−ル保護基、−CHOR(式中、Rは−CHOCHもしくは−CHCHOCHを意味する)で表されるアルコキシアルキル基からなるエ−テル型保護基またはSiR もしくはSiR (式中、RおよびRはそれぞれ、−CHもしくは−C(CHで表されるアルキル基または−Phで表されるアリ−ル基を意味する)で表されるシリルエ−テル型保護基を意味する)
で表されるチオ糖とのカップリング反応により、構造式(8’):
Figure 0005296555
で表される水酸基が保護された環状スルホニウム塩を得るカップリング工程と、更に前記水酸基が保護された環状スルホニウム塩の保護基を脱離する保護基脱保護工程とによって製造することができる。
具体的には、この発明の環状スルホニウム塩の製造方法は、反応式(1):
Figure 0005296555
で表される。
つまり、この発明に係る環状スルホニウム塩の製造方法は、上記反応式(1)に示すように、炭素原子4個と硫黄原子1個の環状構造を骨格としてもつチオ糖(7)と、D−キシロース、D−リボース、D−アラビノース、D−リキソース、L−キシロース、L−リボース、L−アラビノースあるいはL−リキソースなどの5単糖またはその誘導体から合成したヘプチトール環状硫酸エステル(2)とをカップリングして水酸基が保護された環状スルホニウム塩(8)を得るカップリング工程(A)と、得られた水酸基が保護された
環状スルホニウム塩(8)の保護水酸基の脱保護を行い環状スルホニウム塩(6)とする脱保護工程(B)とからなっている。
更に具体的には、この発明の環状スルホニウム塩の製造方法は、下記反応式(2a)または(2b)において、上記5単糖またはその誘導体からヘプチトール環状硫酸エステル(2)を合成するヘプチトール環状硫酸エステル工程と、前記ヘプチトール環状硫酸エステル(2)と炭素原子4個と硫黄原子1個の環状構造を骨格としてもつチオ糖(7)をカップリングさせて水酸基が保護された環状スルホニウム塩とするカップリング工程(C)と、前記水酸基が保護された環状スルホニウム塩の水酸基の脱保護を行い環状スルホニウム塩(6)とする脱保護工程(D)とを有することからなっている。
(反応式2a)
Figure 0005296555
(反応式2b)
Figure 0005296555
(反応式3c)
Figure 0005296555
(式中、OMOMは保護基を意味し、Rは前記と同じ意味を有する)。
つまり、この発明の水酸基が保護された環状スルホニウム化合物(8)の製造法は、水酸基が保護されたヘプチトール環状硫酸エステル(2)と、上記チオ糖(7)をカップリングさせて、水酸基が保護された環状スルホニウム塩とするカップリング工程(C)を有することからなつている。なお、この発明において、ヘプチトール環状硫酸エステルの保護基には、イソプロピリデン基とメトキシメチル基(MOM)が好ましい。
上記カップリング工程(C)によって得られた環状スルホニウム塩(8)は、続いての脱保護工程(D)において、その保護基が脱保護されて環状スルホニウム塩(6)が製造される。
この発明の具体例として、コタラノール類縁体の合成工程を次の化学反応式(3a)、(3b)または(3c)に示す。なお、この合成工程はこの発明の例示であって、この発明で製造されるコタラノール類縁体の立体化学が下記化学反応式(6)に示す化学式中のヘプチトール環状硫酸エステルの立体化学によって制限されるものではない。
(反応式3a)
Figure 0005296555
(反応式3b)
Figure 0005296555
(反応式3c)
Figure 0005296555
上記化学反応式(3a)、(3b)または(3c)において、例えば、化合物(7)は炭素原子4個と硫黄原子1個の環状構造を骨格としてもつチオ糖、つまり、1,4−ジデオキシ−1,4−エピチオ−D−アラビニトールを意味し、上記化合物(2a)、(2b)、(2c)、(2d)および(2g)などを含む化合物(2)は水酸基が保護されたヘプチトール環状硫酸エステルをそれぞれ意味する。これらをカップリングさせて、水酸基が保護された環状スルホニウム塩(8a)、(8b)、(8c)、(8d)および(8g)などを含む環状スルホニウム塩(8)をそれぞれ得て、次に水酸基の保護基の脱保護を行ってコタラノール類縁体(6a)、(6b)、(6c)、(6d)および(6g)などを含むコタラノール類縁体(6)を得る。
上記反応式(3a)、(3b)または(3c)に示すように、化合物(8)は、化合物(2)と1,4−デオキシ−1,4−エピチオ−D−アラビニトール(7)とのカップリング反応により合成することができる。
このカップリング反応に用いる塩基としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸アンモニウムなどの炭酸塩を用いるのがよく、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウムなどが好ましい。反応に用いる塩基の量については、化合物(2)のモル数に対して、同モル数以下がよいが、約10〜50%が好ましい。
反応溶媒としては、例えば、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロイソプロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、1,1,2,2,3,3,3−ヘプタフルオロ−1−プロパノールなどがよく、より好ましくは、1,1,1,3,3,3−ヘキサフル
オロイソプロパノール、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロイソプロパノールなどが好ましい。反応温度は室温から100℃までがよく、40〜80℃の範囲が好ましい。反応時間は24〜72時間の範囲がよい。
上記カップリング工程(C)によって得られた化合物(8)の保護基を、保護基脱離に慣用されている常法に従ってそれぞれ脱保護することによって化合物(6)を得ることができる。
化合物(8)の保護基の脱保護反応に使用される脱保護試薬としては、例えば、トリフルオロ酢酸水溶液、トリクロロ酢酸水溶液、トリブロモ酢酸水溶液、トリヨード酢酸水溶液、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、希硫酸、希塩酸などを使用することができる。好ましくは、トリフルオロ酢酸水溶液、トリクロロ酢酸水溶液、トリブロモ酢酸水溶液、トリヨード酢酸水溶液であり、さらに好ましくは、トリフルオロ酢酸水溶液、トリクロロ酢酸水溶液等を使用するのがよい。なお、トリフルオロ酢酸水溶液を使用する場合、その濃度は約30%が望ましい。反応温度は室温から100℃までがよい。反応時間は30分〜4時間の範囲がよい。
一方、この発明に用いられる水酸基が保護されたヘプチトール環状硫酸エステル(2)は、例えば、下記化学式(4)に示すように製造可能である。なお、この合成工程はこの発明の例示であって、この発明で製造されるヘプチトール環状硫酸エステルの立体化学を制限するものではない。
(反応式4)
Figure 0005296555
(式中、Bnはベンジル基を、TBSはtert−ブチルジメチルシリル基を、MOMはメトキシメチル基を表す)。
この製造方法を用いれば、例えば、D−キシロースを出発原料として、水酸基が保護されたヘプチトール環状硫酸エステル(2)を収率よく製造することができる。本反応(反応式4)にて得られる水酸基が保護されたヘプチトール環状硫酸エステル(2)としては
、例えば、2,4−O−イソプロピリデン−5,6,7−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−L−アロ−ヘプチトール1,3−環状硫酸エステル(2a)、4,6−O−イソプロピリデン−1,2,3−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−D−グルコ−ヘプチトール5,7−環状硫酸エステル(2b)、4,6−O−イソプロピリデン−1,2,3−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−D−マンノ−ヘプチトール5,7−環状硫酸エステル(2c)および4,6−O−イソプロピリデン−1,2,3−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−D−アロ−ヘプチトール5,7−環状硫酸エステル(2d)などが挙げられる。
上記ヘプチトール環状硫酸エステル(2)は、上記化学反応式(4)によって得ることができる。つまり、例えば、出発原料としてD−キシロースを使用して、アセトンと硫酸などの酸の存在下反応させた(工程i)後、希塩酸などの酸と反応させ(工程ii)、続いてtert−ブチルジメチルクロロシランなどのシラン化化合物と反応させること(工程iii)によって、5−O−tert−ブチルジメチルクロロシリル−1,2−O−イソプロピリデン−α−D−キシロフラノース(9a)を得る。なお、各工程に使用される化学反応、試薬、反応条件、操作条件等はいずれも当該技術分野においては慣用されているものであるから、ここには詳細な記載を省略する。以下、特段の定めがない限り同じである。
次いで、上記化合物(9a)の残存する水酸基を酸化(工程iv)後、還元し(工程v)、さらにtert−ブチルジメチルクロロシリル基を脱保護した(工程vi)後、2個の水酸基をベンジル基で保護することによって(工程vii)、3,5−ジ−O−ベンジル−1,2−O−イソプロピリデン−α−D−リボフラノース(10a)を得る。
続いて、上記で得られた化合物(10a)のイソプロピリデン基を脱保護(工程viii)して、3,5−ジ−O−ベンジル−α−および−β−D−リボフラノース(11a)とする。
さらに、上記で得られた化合物(11a)の増炭反応(工程ix)により、tert−ブチル(E)−5,7−ジ−O−ベンジル−2,3−ジデオキシ−D−リボ−ヘプト−4−エノエ−ト(E−12a)およびそのZ型異性体(Z−12a)を得る。
次に、上記で得られた一方の化合物(E−12a)の水酸基をイソプロピリデン基で保護(工程x)して得られるtert−ブチル(E)−5,7−ジ−O−ベンジル−2,3−ジデオキシ−4,6−O−イソプロピリデン−D−リボ−ヘプト−2−エノエ−ト(E−13a)のエステル基を還元し(工程xi)、(E)−5,7−ジ−O−ベンジル−2,3−ジデオキシ−4,6−O−イソプロピリデン−D−リボ−ヘプト−2−エニト−ル(E−14a)を得る。
さらに、上記で得られた化合物(E−14a)の二重結合を酸化(工程xii)して、1,3−ジ−O−ベンジル−2,4−O−イソプロピリデン−D−グリセロ−L−アロ−ヘプチトール(15a)および5,7−ジ−O−ベンジル−4,6−O−イソプロピリデン−D−グリセロ−D−グルコ−ヘプチトール(15b)とした後、それぞれの3個の水酸基を保護(工程xiii)して、1,3−ジ−O−ベンジル−2,4−O−イソプロピリデン−5,6,7−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−L−アロ−ヘプチトール(16a)および5,7−ジ−O−ベンジル−4,6−O−イソプロピリデン−1,2,3−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−D−グルコ−ヘプチトール(16b)をそれぞれ得る。
このようにして得られた化合物(16a)および(16b)のベンジル基を脱保護(工
程xiv)して、2,4−O−イソプロピリデン−5,6,7−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−L−アロ−ヘプチトール(17a)および4,6−O−イソプロピリデン−1,2,3−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−D−グルコ−ヘプチトール(17b)とし、続いて得られた化合物(17a)および(17b)を硫酸エステル化(工程xv)することによって、ヘプチトール環状硫酸エステル(2)を製造することができる。
他方、上記で得られた化合物(Z−12a)を使用しても、同様にしてヘプチトール環状硫酸エステル(2)を得ることができる。
つまり、化合物(Z−12a)の水酸基をイソプロピリデン基で保護(工程x)して得られるtert−ブチル(Z)−5,7−ジ−O−ベンジル−2,3−ジデオキシ−4,6−O−イソプロピリデン−D−リボ−ヘプト−2−エノエ−ト(Z−13a)のエステル基を還元(工程xi)し、(Z)−5,7−ジ−O−ベンジル−2,3−ジデオキシ−4,6−O−イソプロピリデン−D−リボ−ヘプト−2−エニト−ル(Z−14a)を得る。
次に、上記で得られた化合物(Z−14a)の二重結合を酸化(工程xii)して、5,7−ジ−O−ベンジル−4,6−O−イソプロピリデン−D−グリセロ−D−マン−ヘプチトール(15c)および5,7−ジ−O−ベンジル−4,6−O−イソプロピリデン−D−グリセロ−D−アロ−ヘプチトール(15d)とした後、それぞれの3個の水酸基を保護(工程xiii)して、5,7−ジ−O−ベンジル−4,6−O−イソプロピリデン−1,2,3−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−D−マン−ヘプチトール(16c)および5,7−ジ−O−ベンジル−4,6−O−イソプロピリデン−1,2,3−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−D−アロ−ヘプチトール(16d)を得る。
さらに、上記で得られた化合物(16c)および(16d)のベンジル基を脱保護(工程xiv)して、4,6−O−イソプロピリデン−1,2,3−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−D−マンノ−ヘプチトール(17c)および4,6−O−イソプロピリデン−1,2,3−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−D−アロ−ヘプチトール(17d)を得ることができる。このようにして得られた化合物(17c)および(17d)をそれぞれ硫酸エステル化(工程xv)することによって、同様にヘプチトール環状硫酸エステル(2c,2d)を得ることができる。
上記のようにして得られた水酸基が保護された環状スルホニウム塩(2)の水酸基の保護基を常法に従って脱保護(工程xvi)を行うことによってコタラノール類縁体(6)を得ることができる。
例えば、反応式(4)に従って、D−キシロースを出発原料として水酸基が保護されたヘプチトール環状硫酸エステル(2)、つまり、2,4−O−イソプロピリデン−5,6,7−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−L−アロ−ヘプチトール1,3−環状硫酸エステル(2a)、4,6−O−イソプロピリデン−1,2,3−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−D−グルコ−ヘプチトール5,7−環状硫酸エステル(2b)、4,6−O−イソプロピリデン−1,2,3−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−D−マンノ−ヘプチトール5,7−環状硫酸エステル(2c)および4,6−O−イソプロピリデン−1,2,3−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−D−アロ−ヘプチトール5,7−環状硫酸エステル(2d)を工程(i)〜(xvi)によって合成することができる。ここで、工程(i)〜(xvi)について詳細に説明する。
反応工程(i)は、D−キシロースとアセトンによるアセタール生成反応である。使用
することができる酸としては、例えば、濃硫酸、パラトルエンスルホン酸および濃塩酸などが用いられるが、濃硫酸およびパラトルエンスルホン酸が好ましい。また、生成した水を除去するための脱水剤としては、例えば、無水硫酸銅(II)、無水硫酸マグネシウム、無水硫酸ナトリウム等が用いられるが、無水硫酸銅(II)を用いるのが好ましい。反応温度は室温および30〜50℃の範囲で行うことができるが、室温がより好ましい。反応時間は10〜14時間の範囲内で行うのがよい。
反応工程(ii)は副生成物の分解反応である。使用する酸は、0.01%〜1%の塩酸を用いるのがよい。反応温度は、室温および30〜50℃の範囲で行うことができるが、室温がより好ましい。反応時間は1〜2時間の範囲内で行うのがよい。
反応工程(iii)は、反応(i)で得られたアセタール化合物のtert−ブチルジメチルクロロシラン等のシリル化剤によるシリル化反応である。使用する塩基としては、例えば、イミダゾール、ピリジン、トリエチルアミンおよびN−メチルピペリジンなどを用いることができるが、イミダゾール、ピリジンを用いるのが好ましい。溶媒は、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒およびテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒を用いることができるが、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒であるのが好ましくい。反応温度は−10℃〜30℃付近で行うことができるが、0℃〜20℃付近であるのが好ましい。反応時間は、1〜6時間の範囲内で行うことができるが、1〜2時間の範囲内で行うのが好ましい。
反応工程(iv)は、5−O−tert−ブチルジメチルシリル−1,2−O−イソプロピリデン−α−D−キシロフラノース(9a)の酸化反応である。この酸化反応に使用することができる酸化剤としては、例えば、オキザリルクロリド((COCl))、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ピリジニウムクロロクロメート(PCC)、コリンズ試薬(クロム酸およびピリジン)のような緩和な酸化剤を用いることができるが、オキザリルクロリド((COCl))、ジメチルスルホキシド(DMSO)などが好ましい。溶媒は、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素などの塩素系有機溶媒を用いるのがにいが、ジクロロメタンを用いるのが好ましい。反応温度は、−60℃〜−20℃付近で行うことができるが、−60℃付近で行うのが好ましい。反応時間は1〜6時間の範囲内で行うことができるが、約1〜2時間の範囲内で行うのがよい。反応後に用いる塩基としては、例えば、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ピリジン、イミダゾールなどを用いることができるが、トリエチルアミン、トリメチルアミンなどを用いるのが好ましい。
反応工程(v)は、反応(iv)により生成した化合物(ケトン体)の立体選択的還元反応である。使用できる還元剤としては、例えば、水素化ホウ素ナトリム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素カリウム、シアン化水素化ホウ素ナトリム、ボラン・THF錯体、ボラン・ジメチルスルフィド錯体などを用いることができるが、水素化ホウ素ナトリム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素カリウム、シアン化水素化ホウ素ナトリムなどを用いるのが好ましい。溶媒については、例えば、エタノール・水溶媒、メタノール・水溶媒などのアルコール・水溶媒、エタノール、メタノールなどのアルコールを用いることができるが、エタノール・水溶媒、メタノール・水溶媒などのアルコール・水溶媒を用いるのが好ましい。反応温度は、−30℃〜室温付近で行うことができるが、好ましくは、−30℃〜−10℃付近であるのが好ましい。反応時間は1〜8時間の範囲内で行うことができるが、2〜3時間の範囲内で行うのが好ましい。
反応工程(vi)はtert−ブチルジメチルシリル基の脱保護反応である。脱保護に用いる試薬としては、0.1%〜1%塩酸などの希塩酸、フッ化水素、テトラブチルアン
モニウムフルオライドなどの4級アニモニウムハライド、酢酸などのカルボン酸および三フッ化ホウ素(BF)などのルイス酸が用いられるが、希塩酸を用いるのが好ましい。溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、ジブロピルエーテルなどのエーテル系溶媒を用いることができるが、好ましくは、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテルを用いるのが好ましい。反応温度は、室温〜50℃の範囲で行うことができるが、室温付近であるのが好ましい。反応時間は、30分〜4時間の範囲内で行うことができるが、好ましくは30分〜1時間である。
反応工程(vii)は、水酸基のベンジル化(ベンジル基での保護)反応である。ベンジル化剤としては、例えば、フッ化ベンジル、塩化ベンジル、臭化ベンジル、ヨウ化ベンジルなどのハロゲン化ベンジルを用いるのがよいが、塩化ベンジル、臭化ベンジル、ヨウ化ベンジルなどを用いるのが好ましい。塩基としては、例えば、水素化ナトリウム、水素化リチウム、水素化カリウムなどの水素化アルカリ金属、ナトリウムアミド、リチウムアミド、カリウムアミドなどのアルカリ金属アミド、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、ブチルリチウムなどのアルキルリチウムなどが用いるのがよいが、水素化ナトリウム、水素化リチウム、水素化カリウムなどの水素化アルカリ金属を用いるのが好ましい。溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒およびテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒などを用いることができるが、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒を用いるのが好ましい。反応温度は、−10℃〜30℃付近で行うことができるが、0℃付近が好ましい。反応時間は、1〜7時間の範囲内で行うことができるが、好ましくは1〜5時間である。
反応工程(viii)は、化合物(10)のイソプロピリデン基の脱保護して3,5−ジ−O−ベンジル−α−および−β−D−リボフラノース(11a)を合成する反応である。この脱保護反応には、0.5%硫酸(希硫酸)、希塩酸、p−トルエンスルホン酸、テトラブチルアンモニウムフルオライドなどの4級アニモニウムハライド、酢酸などのカルボン酸、三フッ化ホウ素(BF)などのルイス酸などが用いられるが、0.5%硫酸(希硫酸)、希塩酸、p−トルエンスルホン酸などが好ましい。溶媒としては、例えば、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒を用いることができるが、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランを用いるのが好ましい。反応温度は、80〜還流温度(101℃)付近で行うことができるが、還流温度であるのが好ましい。反応時間は、1〜5時間の範囲内で行うことができるが、2〜4時間であるのが好ましい。
化合物(11a)からのtert−ブチル(E)および(Z)−5,7−ジ−O−ベンジル−2,3−デオキシ−4,6−O−イソプロピリデン−D−リボ−ヘプト−2−エノエート(E−13aおよびZ−13a)の合成法である反応工程(ix)および(x)について説明する。
反応工程(ix)は、化合物(11)にリンイリドを反応(ウィッティヒ反応)させる増炭反応である。リンイリドとしては、例えば、PhP=CHCOt−Buなどを用いることができる。溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素などのクロロメタン類、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、ヘキサクロロエタンなどのクロロエタン類などが用いられるが、クロロメタン類が好ましい。反応温度は還流温度で行うのが良い。反応時間は、0.5〜3時間であるのがよい。
反応工程(x)は、反応工程(ix)で生成した化合物(E−13aおよびZ−13a
)の水酸基の保護反応(イソプロピリデン基での保護)である。水酸基を保護(イソプロピリデン基での保護)する試薬としては、例えば、2,2−ジメトキシプロパンなどを用いるのがよい。酸としては、例えば、p−トルエンスルホン酸、濃硫酸および濃塩酸などが用いられるが、p−トルエンスルホン酸、濃硫酸などが好ましい。溶媒としては、例えば、アセトンなどを用いるのがよい。反応温度は、室温〜50℃の範囲で行うことができるが、室温がより好ましい。反応時間は、1〜4時間の範囲内で行うことができるが、1〜2時間の範囲内で行うのがよい。
化合物(E−13aおよびZ−13a)からの(E)および(Z)−5,7−ジ−O−ベンジル−2,3−デオキシ−4,6−O−イソプロピリデン−D−リボ−ヘプト−2−エニトール(E−14aおよびZ−14a)の合成法である反応工程(xi)について説明する。
反応工程(xi)は、化合物(E−13aおよびZ−13a)のエステル基のアルコールへの還元反応である。還元剤としては、例えば、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAL)、トリtert−ブトキシアルミニウムヒトリドおよび水素化アルミニウムリチウムなどが用いられるが、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAL)、トリtert−ブトキシアルミニウムヒトリドが好ましい。溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒を用いることができるが、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンが好ましい。反応温度は、−60℃〜40℃の範囲で行うことができる。反応時間は、1〜9時間の範囲内で行うことができるが、5〜7時間であるのが好ましい。
次に、化合物(E−14aおよびZ−14a)からの1,3−ジ−Oベンジル−2,4−O−イソプロピリデン−D−グリセロ−L−アロ−ヘプチトール(15a)、5,7−ジ−O−ベンジル−4,6−O−イソプロピリデン−D−グリセロ−D−グルコ−ヘプチトール(15b)、5,7−ジ−O−ベンジル−4,6−O−イソプロピリデン−D−グリセロ−D−マンノ−ヘプチトール(15c)および5,7−ジ−O−ベンジル−4,6−O−イソプロピリデン−D−グリセロ−D−アロ−ヘプチトール(15d)の合成法である反応工程(xii)について説明する。
反応工程(xii)は、化合物(E−14aおよびZ−14a)の2重結合の酸化反応である。使用することができる酸化剤としては、例えば、四酸化オスミウム、過マンガン酸カリウムなどが用いられるが、好ましくは四酸化オスミウムを用いるのがよい。塩基としては、例えば、N−メチルモルホリンN−オキシド(NMO)および水酸化ナトリウムなどが用いられるが、N−メチルモルホリンN−オキシド(NMO)を用いるのがよい。溶媒としては、例えば、アセトン・水、ジオキサン・水およびTHF・水などが用いられるが、アセトン・水、ジオキサン・水などがよい。反応温度は、還流温度および30〜55℃の範囲で行うことができるが、還流温度が好ましい。反応時間は、1〜5時間の範囲であればよいが、2〜3時間が好ましい。
化合物(15a、15b、15cおよび15d)からの1,3−ジ−O−ベンジル−2,4−O−イソプロピリデン−5,6,7−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−L−アロ−ヘプチトール(16a)、5,7−ジ−O−ベンジル−4,6−O−イソプロピリデン−1,2,3−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−D−グルコ−ヘプチトール(16b)、5,7−ジ−O−ベンジル−4,6−O−イソプロピリデン−1,2,3−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−D−マンノ−ヘプチトール(16c)および5,7−ジ−O−ベンジル−4,6−O−イソプロピリデン−1,2,3−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−D−アロ−ヘプチトール(16d)の合成法である反応工程(xiii)および(xiv)について説明する。
反応工程(xiii)は、化合物(15a,15b,15cおよび15d)のそれぞれの3個の水酸基のメトキシメチルクロリドによる保護反応である。塩基としては、例えば、ジイソプロピルエチルアミン、ジイソプロピルメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミンおよびピリジンが用いられるが、好ましくは、ジイソプロピルエチルアミン、ジイソプロピルメチルアミン、トリエチルアミンなどを用いることができるが、ジイソプロピルエチルアミン、ジイソプロピルメチルアミンなどが好ましい。溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒などを用いることができるが、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒が好ましい。反応温度は、室温〜70℃付近で行うことができるが、50℃〜70℃付近が好ましい。反応時間は、0.1〜3時間の範囲がよいが、1時間程度が好ましい。
続いて、化合物(16a、16b、16cおよび16d)からの2,4−O−イソプロピリデン−5,6,7−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−L−アロ−ヘプチトール(17a)、4,6−O−イソプロピリデン−1,2,3−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−D−グルコ−ヘプチトール(17b)、4,6−O−イソプロピリデン−1,2,3−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−D−マンノ−ヘプチトール(17c)および4,6−O−イソプロピリデン−1,2,3−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−D−アロ−ヘプチトール(17d)の合成法である反応工程(xiv)について説明する。
反応工程(xiv)は、化合物(16a,16b,16cおよび16d)のベンジル基の脱保護反応である。脱保護反応の条件としては、H/Pd−C(パラジウム炭素)、炭酸水素ナトリウム、Na/NHおよびテトラメチルシリルヨーダイドなどが用いられるが、好ましくは、H/Pd−C(パラジウム炭素)、炭酸水素ナトリウムなどを用いるのがよい。溶媒としては、例えば、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒などを用いることができるが、好ましくは1,4−ジオキサン、ジメトキシエタンなどを用いるのがよい。反応温度は、室温〜70℃付近で行うことができるが、50℃〜60℃付近が好ましい。
次は、化合物(17a、17b、17cおよび17d)からの2,4−O−イソプロピリデン−5,6,7−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−L−アロ−ヘプチトール1,3−環状硫酸エステル(2a)、4,6−O−イソプロピリデン−1,2,3−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−D−グルコ−ヘプチトール5,7−環状硫酸エステル(2b)、4,6−O−イソプロピリデン−1,2,3−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−D−マンノ−ヘプチトール5,7−環状硫酸エステル(2c)および4,6−O−イソプロピリデン−1,2,3−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−D−アロ−ヘプチトール5,7−環状硫酸エステル(2d)の合成法である反応工程(xv)について説明する。
この反応工程(xv)は、化合物(17a、17b、17cおよび17d)の環状亜硫酸エステル化反応である。環状亜硫酸エステル化試薬としては、例えば、塩化チオニル、臭化チオニルおよびヨウ化チオニルなどを用いることができるが、好ましくは、塩化チオニル、臭化チオニルなどである。填基としては、例えば、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ピリジンおよびイミダゾールなどを用いることができるが、好ましくは、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ピリジンなどがよい。溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルムおよび四塩化炭素などのクロロメタン類、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、ヘキサクロロエタンなどのクロロエタン類が挙げられるが、ジクロロメタン、クロロホルムおよび四塩化炭素などのクロ
ロメタン類が好ましい。反応温度は、−20℃〜20℃付近であればよく、行うことができる。好ましくは、−10℃〜10℃付近が好ましい。反応時間は、20分〜3時間の範囲内がよいが、30分程度が好ましい。
さらに、反応工程(xvi)は、反応工程(xv)で得られた化合物(17a、17b、17cおよび17d)の環状亜硫酸エステルの、過ヨウ素酸ナトリウムおよび塩化ルテニウムによる酸化反応であり、目的とする環状硫酸エステル(2a、2b、2cおよび2d)を合成することができる。反応条件として、例えば、過ヨウ素酸ナトリウム、塩化ルテニウムn−水和物、炭酸水素ナトリウムなどを用いるのがよい。溶媒としては、例えば、四塩化炭素・アセトニトリル・水(1:1:1)の混合溶媒を用いるのがよい。反応温度は、−10℃〜40℃の範囲内で行うことができるが、0℃〜室温の範囲が好ましい。
上記合成経路のそれぞれの工程における好ましい条件の例を以下に示す。
(工程i) アセトン、濃硫酸、無水硫酸銅(II)、室温、12時間
(工程ii) 0.1%塩酸、室温、1.5時間
(工程iii) TBSCl、イミダゾ−ル、DMF、0℃、1時間
(工程iv) (COCl)、DMSO、CHCl、−60℃、1.5時間その後NEt
(工程v) NaBH、EtOH、H、−20℃、2.5時間
(工程vi) 0.2%aq.塩酸、THF、室温
(工程vii) BnBLNaH、DMF、0℃
(工程viii) 0.5%希硫酸、ジオキサン、還流温度
(工程ix) PhP=CHCO Bu、CHCl、還流温度
(工程x) (CHC(CH、ρ−TsOH、アセトン
(工程xi) DIBAL、THF、−60℃〜室温
(工程xii) OsO、NMO、アセトン、HO、還流温度
(工程xiii) MOMCl、PrNEt、DMF、60℃
(工程xiv) H、Pd−C、NaHCO、1,4−ジオキサン、60℃
(工程xv) SOCl、NEt、CHCl、0℃
(工程xvi) NalO、RuCl、n−HO、NaHCO、CHCN、CCl、HO、0℃〜室温
この発明に用いられる水酸基が保護されたヘプチトール環状硫酸エステル(2e−1)、(2e−2)、(2f−1)および(2f−2)は、例えば、下記化学式(5)に示すように製造することができる。
Figure 0005296555
(式中、Bnはベンジル基を、TBSはtert−ブチルジメチルシリル基を、MOMはメトキシメチル基を表す)。
これらのヘプチトール環状硫酸エステル(2e−1)、(2e−2)、(2f−1)および(2f−2)は、上記化学式(5)の各工程に対応する工程における反反応での反応試薬、反応条件などと実質的に同様にして製造することができる。
上記化学反応式(5)のそれぞれの工程における好ましい条件の例を以下に示す。
(工程i) TBDPSCl,イミダゾール,DMF,0℃−室温
(工程ii) アセトン、濃硫酸、無水硫酸銅(II)、室温、1時間
(工程iii) TBAF,THF−HO,50℃,3時間
(工程iv) BnBr,NaH,DMF,0℃
(工程v) 1%希硫酸,ジオキサン,還流温度
(工程vi) PhP=CHCO Bu,CHCl,還流温度
(工程vii) (CHC(CH,ρ−TsOH,アセトン
(工程viii) MOMCl,PrNEt,DMF,60℃
(工程ix) DIBAL,THF,―60℃〜室温
(工程x) OSO,NMO,アセトン,HO,還流温度
(工程xi) H,Pd−C,NaHCO,1,4−ジオキサン,60℃
(工程xii) SOCl,NEt,CHCl,0℃
(工程xiii) NalO,RuCl・n−HO,NaHCO,CHCN,CCl,HO,0℃〜室温
この発明に用いられる水酸基が保護されたヘプチトール環状硫酸エステル(2)のうちヘプチトール環状硫酸エステル(2g)および(2h)は、例えば、下記化学反応式(6)によって製造することができる。
(反応式6)
Figure 0005296555
(式中、Bnはベンジル基を、TBSはtert−ブチルジメチルシリル基を、MOMはメトキシメチル基を表す)。
これらのヘプチトール環状硫酸エステル(2g)および(2h)は、例えば、上記化学式(6)の各工程に対応する工程における反反応での反応試薬、反応条件などと実質的に同様にして製造することができる。
上記化学反応式(5)のそれぞれの工程における好ましい条件の例を以下に示す。
(工程i) アセトン、濃硫酸、無水硫酸銅(II)、室温、12時間
(工程ii) 0.1%塩酸、室温、1.5時間
(工程iii) BnBr,NaH,DMF,0℃
(工程iv) 1%希硫酸,ジオキサン,還流温度
(工程v) PhP=CHCO Bu,CHCl,還流温度
(工程vi) (CHC(CH,ρ−TsOH,アセトン
(工程vii) DIBAL,THF,―60℃〜室温
(工程viii) OsO,NMO,アセトン,HO,還流温度
(工程ix) MOMCl,PrNEt,DMF,60℃
(工程x) H,Pd−C,NaHCO,1,4−ジオキサン,60℃
(工程xi) SOCl,NEt,CHCl,0℃,
(工程xii) NalO,RuCl・n―HO,NaHCO,CHCN,CCl,HO,0°〜室温
さらに、この発明は上記環状スルホニウム塩(1)および/または(6)を含有するグルコシダ−ゼ阻害剤および該グルコシダ−ゼ阻害剤を含有する抗糖尿病剤または抗糖尿病食品をも提供することができる。
この発明に係る環状スルホニウム塩は、単独でまたは薬理学的に許容し得る担体などと混合して慣用されている製剤化技術にしたがってグルコシダ−ゼ阻害剤として製剤化することができる。また、この発明のグルコシダ−ゼ阻害剤は、特に抗糖尿病剤として適用することができる。これらの製剤はいずれも、哺乳動物、例えば、ヒト、サルやイヌ、ネコ等のペットなどに経口的にもしくは非経口的に投与することができる。
これら製剤中における環状スルホニウム塩の含量は、環状スルホニウム塩の種類、製剤の種類などによって異なるが、例えば1〜90重量%、好ましくは5〜80重量%であるのがよい。
この発明の製剤は、例えば、舌下錠、糖衣錠、フィルムコーティング錠剤等もしくは二重錠、多層錠等の錠剤、ソフトカプセル、マイクロカプセル等のカプセル剤、顆粒剤、散剤、トローチ剤、軟膏剤等の外用剤、坐剤などの固形製剤として、またシロップ剤、乳剤、懸濁剤等などの経口剤、皮下、静脈、筋肉、腹腔内注射剤等の注射剤点滴剤、点眼剤、吸入剤などの液状製剤として投与することができる。これらの製剤は、経口的あるいは非経口的に安全に投与できる。
また、この発明において製剤化に使用することができる薬理学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機もしくは無機担体を用いることができる。固形製剤化に使用できる担体としては、例えば、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤など、また液状製剤化に使用できる担体としては、例えば、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤などが挙げられる。また必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤などの添加物も使用することができる。
この発明の固形製剤の成形に使用できる賦形剤としては、例えば、ぶどう糖、乳糖、白糖、D−マンニトール、D−ソルビトール、デンプン、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アラビアゴム、プルラン、カオリン、結晶セルロース、、ケイ酸、リン酸カリウム、カカオ脂、硬化植物油等が挙げられる。結合剤としては、例えば、ショ糖、トレハロース、デキストリン、デンプン、ゼラチン、アラビアゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、トラガント末などが挙げられる。滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、
タルク、コロイドシリカなどが挙げられる。崩壊剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
この発明の液状製剤の成形に使用できる溶剤としては、例えば、注射用水、生理的食塩水、リンゲル液、アルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油、綿実油などが挙げられる。溶解補助剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、トレハロース、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなどが挙げられる。懸濁化剤としては、例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン等の界面活性剤;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子;ポリソルベート類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが挙げられる。等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール、D−ソルビトール、ブドウ糖などが挙げられる。緩衝剤としては、例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液などが挙げられる。無痛化剤としては、例えば、ベンジルアルコールなどが挙げられる。
この発明の環状スルホニウム塩製剤の成形に際して、必要に応じて添加できる防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが挙げられる。抗酸化剤としては、例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸塩などが挙げられる。着色剤としては、例えば、食用赤色色素、食用黄色色素、食用青色色素等の食用色素、β−カロチン、クロロフィル、ベンガラ、黄色三二酸化鉄等の天然色素などが挙げられる。甘味剤としては、例えば、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、アスパルテーム、ステビアなどが挙げられる。
この発明の化合物および本発明の医薬の投与量は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状などによっても異なるが、例えば成人の糖尿病患者に経口投与する場合、有効成分である本発明化合物を通常1回量として約0.01〜100mg/kg体重、好ましくは0.05〜30mg/kg体重、さらに好ましくは0.1〜10mg/kg体重であり、この量を1日1回〜3回投与するのが望ましい。
この発明に係る環状スルホニウム塩製剤は、例えば、抗糖尿病薬剤として糖尿病ならびに糖尿病性合併症、高脂血症、動脈硬化などのの予防もしくは治療などに適用することができる。かかる糖尿病としては、例えば、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病などが挙げられ、また、糖尿病性合併症、例えば、神経障害、腎症、網膜症、白内障、骨減少症、糖尿病性高浸透圧昏睡、呼吸器感染症、尿路感染症、消化器感染症、皮膚組織感染症、下肢感染症等の感染症、糖尿病性壊疽、大血管障害、脳血管障害、末梢血行障害等の血管障害などが挙げられる。また、高脂血症としては、例えば、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL血症、食後高脂血症などが挙げられる。
この発明に係る環状スルホニウム塩製剤は、糖尿病治療剤、糖尿病性合併症治療剤、抗高脂血症剤、降圧剤、利尿剤、抗血栓剤、化学療法剤、免疫療法剤、抗肥満剤などの併用薬剤と組み合わせて用いることができる。
かかる併用薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができ、併用薬剤との配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状などにより適宜選択することができる。例えば投与対象がヒトである場合、この発明の製剤の活性成分である環状スルホニウム塩1重量部に対し、併用薬剤を0.01〜100重量部用いればよい。
かかる併用薬剤として使用できる糖尿病治療剤としては、例えば、ウシ、ブタの膵臓から抽出された動物インスリン製剤、遺伝子組替えヒトインスリン製剤等のインスリン製剤、インスリン亜鉛、プロタミンインスリン亜鉛、ピオグリタゾン、ロシグリタゾンもしくはその塩酸塩、マレイン酸塩等の塩、レグリキサン、ネトグリタゾンなどのインスリン抵抗性改善剤、ボグリボース、アカルボース、ミグリトール、エミグリテート等のその他のα−グルコシダーゼ阻害剤、フェンホルミン、メトホルミン、ブホルミンもしくは塩酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩等のそれらの塩などのビグアナイド剤などが挙げられる。
糖尿病性合併症治療剤としては、例えば、トルレスタット、エパルレスタット、ゼナレスタット、ゾポルレスタット、ミナルレスタット、フィダレスタット等のアルドース還元酵素阻害剤、NGF、NT−3、BDNF等の神経栄養因子およびその増加薬、ピマゲジン、ピラトキサチン、N−フェナシルチアゾリウム等のAGE阻害剤、チアプリド、メキシレチン等の脳血管拡張剤などが挙げられる。
抗高脂血症剤としては、例えば、セリバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、イタバスタチン、ロスバスタチン、ピタバスタチンもしくはそれらのナトリウム塩などのコレステロール合成阻害剤であるスタチン系化合物、ベザフィブラート、クロフィブラート、シムフィブラート、クリノフィブラート等のフィブラート系化合物、アバシマイブ、エフルシマイブ等のACAT阻害剤、ニコモール、ニセリトロール等のプロブコール、ニコチン酸系薬剤などが挙げられる。
降圧剤としては、例えば、カプトプリル、エナラプリル、デラプリル等のアンジオテンシン変換酵素阻害剤、カンデサルタン シレキセチル、ロサルタン、エプロサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、タソサルタン等のアンジオテンシンII拮抗剤、マニジピン、ニフェジピン、アムロジピン、エホニジピン、ニカルジピン等のカルシウム拮抗剤、レブクロマカリム等のカリウムチャンネル開口薬、クロニジンなどが挙げられる。
利尿剤としては、例えば、サリチル酸ナトリウムテオブロミン、サリチル酸カルシウムテオブロミン等のキサンチン誘導体、エチアジド、シクロペンチアジド、トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド等のチアジド系製剤、スピロノラクトン、トリアムテレン等の抗アルドステロン製剤、アセタゾラミド等の炭酸脱水酵素阻害剤、クロルタリドン等のクロルベンゼンスルホンアミド系製剤などが挙げられる。
抗血栓剤としては、例えば、ヘパリンナトリウム、ヘパリンカルシウム等のヘパリン類、ワルファリンカリウム等のワルファリン類、アルガトロバン等の抗トロンビン剤、ウロキナーゼ、チソキナー等の血栓溶解薬、塩酸チクロピジン等の血小板凝集抑制薬などが挙げられる。
化学療法剤としては、例えば、サイクロフォスファミド、イフォスファミド等)、代謝拮抗剤(例、メソトレキセート、5−フルオロウラシル等のアルキル化剤、マイトマイシン、アドリアマイシン等の抗癌性抗生物質、ビンクリスチン、ビンデシン、タキソール等の植物由来抗癌剤、シスプラチン、カルボプラチン等の白金製剤、エトポキシドなどが挙げられる。免疫療法剤としては、例えば、レンチナン、シゾフィラン、クレスチン等免疫
増強剤、ムラミルジペプチド誘導体、ピシバニール等の微生物もしくは細菌成分、インターフェロン、IL−1、IL−2、IL−12等のインターロイキン等のサイトカイン、顆粒球コロニー刺激因子、エリスロポエチン等のコロニー刺激因子などが挙げられる。
抗肥満剤としては、例えば、デキスフェンフルラミン、フェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、アンフェプラモン、デキサンフェタミン、マジンドール等の中枢性抗肥満薬、レプチン、CNTF(毛様体神経栄養因子)等のペプチド性食欲抑制薬、リンチトリプト等のコレシストキニンアゴニストなどが挙げられる。
併用薬剤としては、好ましくはインスリン製剤、インスリン抵抗性改善剤、α−グルコシダーゼ阻害剤などが好ましい。
また、この発明に係る抗糖尿病食品は、この発明のグルコキシダーゼ阻害剤を、食品に使用される各種成分と混合して調製することができる。かかる食品の形態としては特に制限されるものではないが、例えば、固形食品、クリーム状ないしジャム状の半流動食品、ゲル状食品、飲料等のあらゆる形態が可能である。
この発明に係る抗糖尿病食品を飲料として摂取する場合には、環状スルホニウム塩に加えて、所望により各種の糖類、電解質、栄養素、ビタミン類、香料、着色料、風味物質、合成甘味料などを添加配合してもよい。糖類としては、例えば、ブドウ糖、ショ糖などが挙げられる。電解質としては、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、塩素イオン、マグネシウムイオン、リン、有機酸などが挙げられる。ナトリウムイオンとしては、例えば、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、乳酸ナトリウムなど、カリウムイオンとしては、例えば、塩化カリウム、硫酸カリウム、リン酸カリウムなど、塩素イオンとしては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウムなど、またマグネシウムイオンとしては、例えば、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムなどから供給することができる。また、リンとしては、例えば、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等のリン酸とアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属との塩などから供給できる。有機酸としては、例えば、乳酸、乳酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、アミノ酸、アルギニン酸、グルコン酸などが挙げられる。
また、ビタミン類としては、例えば、水溶性であっても脂溶性のビタミン、パルミチン酸レチノール、トコフェロール、チアミン、リボフラビン、アスコルビン酸ナトリウム、コレカルシフェロール、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、葉酸、ビオチンなどが挙げられる。着色料、風味物質、合成甘味料などとしても、食品に通常使用されているものであれば、いずれも使用することができる。また、これらの添加物は単独でも、また2種以上を組み合わせて使用することができる。
さらに、ゼリーの場合には、上記成分に加えて、さらにゲル化剤として、寒天、ゼラチン、カラギナン、ジェランガム、キサンタンガム、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、その他通常使用される増粘多糖類の1種または2種以上を添加することができる。ゲル化剤の配合割合は、ゼリー菓子100重量部に対して約2重量部以下であるのがよい。
この発明の食品を調製する場合、その調製方法は特に限定されるものではなく、環状スルホニウム塩を含む全量を同時に混合してもよく、あるいは各成分を別個に混合して調製してもよい。
この発明における環状スルホニウム塩の投与量または摂取量は、インスリン誘発低血糖に起因する脳障害を予防、改善するのに有効な量であって、用法、患者の年齢、性別その
他の条件、疾患の程度等に応じて適宜決定されるが、通常、環状スルホニウム塩を1日当たり約100〜1000mg、好ましくは500〜1000mg程度投与または摂取するのがよい。また、この発明の食品は1日に1〜4回に分けて摂取することができる。
以下、実施例を挙げて本発明の環状スルホニウム塩を説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではなく、以下の実施例はこの発明を例示的にかつ具体的に説明するものであって、この発明がこの実施例によって一切制限されるものではない。
実施例1:
D−キシロースから7工程を経て75%の収率で合成した3,5−ジ−O−ベンジル−1,2−O−イソプロピリデン−α−D−リボフラノース(10a)(22.9g,61.9mmol)、1,4−ジオキサン(170ml)および0.5%硫酸(510ml)の混合物を3時間加熱還流して3,5−ジ−O−ベンジル−α−および−β−D−リボフラノース(11)(20.5g)を得た。この化合物(19.8g)を、ジクロロメタン(60ml)中、tert−ブトキシエチレンフェニルホスホラン(29.6g,78.8mmol)と1時間加熱還流することによりtert−ブチル(E)−5,7−ジ−O−ベンジル−2,3−ジデオキシ−D−リボ−ヘプト−2−エノエ−ト(E−12a)(18.7g;収率73%)および(Z)−5,7−ジ−O−ベンジル−2,3−ジデオキシ−D−リボ−ヘプト−2−エノエ−ト(Z−12a)(3.8g:収率15%)を得た。
化合物(E−12a)および(Z−12a)についての融点、比旋光度および赤外線吸収スペクトルの結果は以下の通りである。
Figure 0005296555
化合物(E−12a)および(Z−12a)についてのH−NMRの結果は以下の通りである。
Figure 0005296555
化合物(E−12a)および(Z−12a)についての13C−NMRの結果は以下の通りである。
Figure 0005296555
化合物(E−12a)および(Z−12a)についての質量分析FAB(Fast Atom Bombardment)−MSおよびHR−FAB−MS)の測定結果は以下の通りである。
Figure 0005296555
実施例2:
実施例1で得られた化合物(E−12a)(12g,28mmol)、2,2−ジメトキシプロパン(34.3ml,280mmol)、p−トルエンスルホン酸(24mg)およびアセトン(120ml)の混合物を室温にて1.5時間撹拝することにより、無色固体14.3gを得た。少量のこの固体をn−ヘキサンより再結晶し、(E)−5,7−ジ−O−ベンジル−2,3−ジデオキシ−4,6−O−イソプロピリデン−D−リボ−ヘプト−2−エノエ−ト(E−13a)の分析用サンプルとした。
この方法に従って、実施例1で得られた化合物(Z−12a)(1.7g,4.0mmol)より無色固体1.87gを得た。少量のこの固体をn−ヘキサンより再結晶し、(Z)−5,7−ジ−O−ベンジル−2,3−ジデオキシ−4,6−O−イソプロピリデン−D−リボ−ヘプト−2−エノエ−ト(Z−13a)の分析用サンプルとした。
化合物(E−13a)および(Z−13a)についての融点、比旋光度および赤外線吸収スペクトルの結果は以下の通りである。
Figure 0005296555
化合物(E−13a)および(Z−13a)についてのH−NMRの結果は以下の通りである。
Figure 0005296555
化合物(E−13a)および(Z−13a)についての13C−NMRの結果は以下の通りである。
Figure 0005296555
化合物(E−13a)および(Z−13a)についての質量分析FAB(Fast Atom Bombardment)−MSおよびHR−FAB−MS)の測定結果は以下の通りである。
Figure 0005296555
実施例3:
実施例2で得られた粗製の化合物(E−13a)(14.2g)およびテトラヒドロフラン(190ml)の混合物に、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAL)の1Mトルエン溶液(64ml,64mmol)を−78℃で加えた後、室温で6時間撹拝することにより(E)−5,7−ジ−O−ベンジル−2,3−ジデオキシ−4,6−O−イソプロピリデン−D−リボ−ヘプト−2−エニト−ル(E−14a)を得た(10.3g;Z−12から収率93%)。
この方法に従って、粗製の化合物(Z−13a)(1.8g)より無色固体1.53gを得た。少量のこの固体をn−ヘキサンおよび酢酸エチルの混合物より再結晶し(Z)−5,7−ジ−O−ベンジル−2,3−ジデオキ−4,6−O−イソプロピリデン−D−リボ−ヘプト−2−エニト−ル(Z−14a)の分析用サンプルとした。
化合物(E−14a)および(Z−14a)についての融点、比旋光度および赤外線吸収スペクトルの結果は以下の通りである。
Figure 0005296555
化合物(E−14a)および(Z−14a)についてのH−NMRの結果は以下の通りである。
Figure 0005296555
化合物(E−14a)および(Z−14a)についての13C−NMRの結果は以下の通りである。
Figure 0005296555
化合物(E−14a)および(Z−14a)についての質量分析FAB(Fast Atom Bombardment)−MSおよびHR−FAB−MS)の測定結果は以下の通りである。
Figure 0005296555
実施例4:
実施例3で得られた化合物(E−14a)(6.2g,15.6mmol)、0.045M四酸化オスミウム水溶液(17.2ml,0.78mmol)、N−メチルモルホリンN−オキシド(3.65g,31.2mmol)、アセトン(55ml)および水(5ml)の混合物を2.5時間加熱還流することにより、油状物質6.9gを得た。少量のこの混合物をカラムクロマトグラフィ−により分離し1,3−ジ−O−ベンジル−2,4
−O−イソプロピリデン−D−グリセロ−L−アロ−ヘプチトール(15a)および5,7−ジ−O−ベンジル−4,6−O−イソプロピリデン−D−グリセロ−D−グリコ−ヘプチトール(15b)の分析用サンプルとした。
この方法に従って、粗製の化合物(Z−14a)(1.5g)から油状物質1.68gを得た。少量のこの混合物をカラムクロマトグラフィ−により分離し、5,7−ジ−O−ベンジル−4,6−O−イソプロピリデン−D−グリセロ−D−マンノ−ヘプチトール(15c)および5,7−ジ−O−ベンジル−4,6−O−イソプロピリデン−D−グリセロ−D−アロ−ヘプチトール(15d)の分析用サンプルとした。
化合物(15a)、(15b)、(15c)および(15d)についての比旋光度および赤外線吸収スペクトルの結果は以下の通りである。
Figure 0005296555
化合物(15a)、(15b)、(15c)および(15d)についてのH−NMRの結果は以下の通りである。
Figure 0005296555
化合物(15a)、(15b)、(15c)および(15d)についての13C−NMRの結果は以下の通りである。
Figure 0005296555
化合物(15a)、(15b)、(15c)および(15d)についての質量分析FAB(Fast Atom Bombardment)−MSおよびHR−FAB−MS)の測定結果は以下の通りである。
Figure 0005296555
実施例5:
実施例4で得られた化合物(15a)および(15b)の混合物(6.9g)、メトキシメチルクロリド(MOMCl,14.6ml,192mmol),ジイソブチルエチルアミン(55.6ml,319mmol)、およびジメチルホルムアミド(200ml)を60℃で1時間反応させることにより1,3−ジ−O−ベンジル−2,4−O−イソプロピリデン−5,6,7−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−L−アロ−ヘプチトール(16a)(6.0g;E−14から収率68%)および5,7−ジ−O−ベンジル−4,6−O−イソプロピリデン−1,2,3−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−D−グルコ−ヘプチトール(16b)(2.0g;E−14から収率23%)を得た。
この方法に従って、化合物(15a)および(15b)の混合物(925mg)から、5,7−ジ−O−ベンジル−4,6−O−イソプロピリデン−1,2,3−トリ−O−メトキシメチル−D−グクセロ−D−マンノ−ヘプチトール(16c)(527mg;Z−12から収率45%)および5,7−ジ−O−ベンジル−4,6−O−イソプロピリデン−1,2,3−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−D−アロ−ヘプチトール(16d)(489mg;Z−12から収率42%)を得た。
これらの化合物(16a)、(16b)、(16c)および(18d)についての沸点、比旋光度および赤外線吸収スペクトルの結果は以下の通りである。
Figure 0005296555
化合物(16a)、(16b)、(16c)および(16d)についてのH−NMRの結果は以下の通りである。
Figure 0005296555
化合物(16a)、(16b)、(16c)および(18d)についての13C−NMRの結果は以下の通りである。
Figure 0005296555
化合物(16a)、(16b)、(16c)および(16d)についての質量分析FAB(Fast Atom Bombardment)−MSおよびHR−FAB−MS)の測定結果は以下の通りである。
Figure 0005296555
実施例6:
実施例5で得られた化合物(16a)の(2.85g,5.05mmol)を1,4−ジオキサン(45ml)中、炭酸水素ナトリウム(400mg)の存在下、パラジウム炭素を用いて接触還元することにより、2,4−O−イソプロピリデン−5,6,7−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−L−アロ−ヘプチトール(17a)(1.87g;収率96%)を得た。
この方法に従って、化合物(16b)(864mg,1.53mmol)、化合物(16c)(287mg,0.51mmol)および化合物(16d)(275mg,0.49mmol)から、それぞれ上記構造式で表される4,6−O−イソプロピリデン−1,2,3−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−D−グリコ−ヘプチトール(17b)(567mg;収率%%)、4,6−O−イソプロピリデン−1,2,3−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−D−マンノ−ヘプチトール(17c)(179mg;収率92%)、および4,6−O−イソプロピリデン−1,2,3−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−D−アロ−ヘプチトール(17d)(170mg;収率91%)を得た。
化合物(17a)、(17b)、(17c)および(17d)についての沸点、比旋光度および赤外線吸収スペクトルの結果は以下の通りである。
Figure 0005296555
化合物(17a)、(17b)、(17c)および(17d)についてのH−NMRの結果は以下の通りである。
Figure 0005296555
化合物(17a)、(17b)、(17c)および(17d)についての13C−NMRの結果は以下の通りである。
Figure 0005296555
化合物(17a)、(17b)、(17c)および(17d)についての質量分析FAB(Fast Atom Bombardment)−MSおよびHR−FAB−MS)の測定結果は以下の通りである。
Figure 0005296555
実施例7:
実施例6で得られた化合物(17a)(1.0g,2.6mmol)およびトリエチルアミン(0.9ml,6.5mmol)、塩化チオニル(250μ1,3.4mmol)およびジクロロメタン溶液(20ml)を0℃で30分開攪拌することにより得られる油状物質1.3gを、炭酸水素ナトリウム(800mg,9.5mmol)の存在下、四塩化炭素(20ml)アセトニトリル(20ml)および水(20ml)の混合液中、過ヨウ素酸ナトリウム(1.67g,7.8mmol)および塩化ルテニウムn−水和物(100mg)により酸化することにより、2,4−O−イソプロピリデン−5,6,7−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−L−アロ−ヘプチトール1,3−環状硫酸エステル(2a)(593mg;収率51%)を得た。
この方法に従って、化合物(17b)(539mg,1.4mmol)、化合物(17c)(154mg,0.4mmol)および化合物(17d)(148mg,0.39mmol)から、4,6−O−イソプロピリデン−1,2,3−トリ−O−メトキシメチル−D−グクセロ−D−グルコ−ヘプチトール5,7−環状硫酸エステル(2b)(356mg;収率57%)、4,6−O−イソプロピリデン−1,2,3−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−D−マンノ−ヘプチトール5,7−環状硫酸エステル(2c)(134mg;収率78%)、および4,6−O−イソプロピリデン−1,2,3−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−D−アロ−ヘプチトール5,7−環状硫酸エステル(2d)(74mg;収率47%)をそれぞれ得た。
化合物(2a)、(2b)、(2c)および(2d)についての比旋光度および赤外線吸収スペクトルの結果は以下の通りである。
Figure 0005296555
化合物(2a)、(2b)、(2c)および(2d)についてのH−NMRの結果は以下の通りである。
Figure 0005296555
化合物(2a)、(2b)、(2c)および(2d)についての13C−NMRの結果は以下の通りである。
Figure 0005296555
化合物(2a)、(2b)、(2c)および(2d)についての質量分析FAB(Fast Atom Bombardment)−MSおよびHR−FAB−MS)の測定結果は以下の通りである。
Figure 0005296555
実施例8:
D−アラビノースから4工程51%の収率で合成した上記構造式10bの構造を有する3,5−ジ−O−ベンジル−1,2−O−イソプロピリデン−α−D−アラビノフラノース(16.0g,43.2mmol)を用いて、上記実施例1と同様にして、上記構造式E−12bで表されるtert−ブチル(E)−5,7−ジ−O−ベンジル−2,3−ジデオキシ−D−アラビノ−ヘプト−2−エノエートおよび上記構造式Z−12bで表されるtert−ブチル(Z)−5,7−ジ−O−ベンジル−2,3−ジデオキシ−D−アラビノ−ヘプト−2−エノエートの混合物16.5g(10bから収率89%)を得た。これを再結晶してE−12b(9.8g,53%)を得た。また、母液から化合物E−12bおよびZ−12bの混合物(6.7g,36%)を得た。化合物E−12bおよびZ−12bについて、融点、比旋光度、赤外線吸収スペクトル、H−NMR、13C−NMRスペクトルの測定を行った結果を以下に示す。
Figure 0005296555
実施例9:
実施例8で得られた化合物E−12b(4.86g,11.4mmol)を用いて、上記実施例2と同様にして、油状物質5.32gを得た。少量の油状物質カラムクロマトグラフィーにより精製し、上記構造式E−13b−1で表されるtert−ブチル(E)−5,7−ジ−O−ベンジル−2,3−ジデオキシ−4,6−O−イソプロピリデン−D−アラビノ−ヘプト−2−エノエートの分析用サンプルとした。化合物E−13b−1について、H−NMR、13C−NMRスペクトルの測定を行った結果を以下に示す。
Figure 0005296555
Figure 0005296555
実施例10:
実施例9で得られた化合物E−13b−1(5.3g)を用いて、上記実施例3と同様にして、上記構造式E−14b−1で表される(E)−5,7−ジ−O−ベンジル−2,3−ジデオキシ−4,6−O−イソプロピリデン−D−アラビノ−ヘプト−2−エニトール3.8gを得た。さらに、実施例4および5にしたがって、上記構造式16e−1で表される5,7−ジ−O−ベンジル−4,6−O−イソプロピリデン−1,2,3−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−D−ガラクト−ヘプチトール2.68g,(E−10bから収率59%)および上記構造式16f−1で表される1,3−ジ−O−ベンジル−2,4−O−イソプロピリデン−5,6,7−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−L−グロ−ヘプチトール0.37g(E−10bから収率8%)を得た。化合物16e−1について、H−NMR、13C−NMRスペクトルの測定を行った結果を以下に示す。
Figure 0005296555
実施例11:
実施例10で得られた化合物16e−1(2.86g,5.07mmol)を用いて、上記実施例6と同様にして、上記構造式17e−1で表される4,6−O−イソプロピリデン−1,2,3−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−D−ガラクト−ヘプチトール1.81g(収率93%)を得た。化合物17e−1について、H−NMR、13C−NMRスペクトルの測定を行った結果を以下に示す。
Figure 0005296555
実施例12:
実施例11で得られた化合物17e−1(711mg,1.9mmol)を用いて、上記実施例7と同様にして、上記構造式2e−1で表される4,6−O−イソプロピリデン−1,2,3−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−D−ガラクト−ヘプチトール5,7−環状硫酸エステル68.6mg(収率8%)を得た。化合物2e−1について、13C−NMRスペクトルの測定を行った結果を以下に示す。
Figure 0005296555
実施例13:
実施例8で得られた化合物E−12b(9.2g21.5mmol)を用いて、上記実施例5と同様にして、油状物質11.6gを得た。少量の油状物質カラムクロマトグラフィーにより精製し、上記構造式E−13b−2で表されるtert−ブチル(E)−5,7−ジ−O−ベンジル−2,3−ジデオキシ−4,6−ジ−O−メトキシメチル−D−アラビノ−ヘプト−2−エノエートの分析用サンプルとした。化合物E−13b−2について、比旋光度、赤外線吸収スペクトル、H−NMR、13C−NMRスペクトル、質量分析FAB(Fast Atom Bombartmemt)−MSおよびHR−FAB−MSの測定を行った結果を以下に示す。
Figure 0005296555
実施例14
実施例13で得られた化合物E−13b−2(11.1g)を用いて、上記実施例3と同様にして、油状物質9.63gを得た。少量の油状物質をカラムクロマトグラフィーにより精製し、上記構造式E−14b−2で表される(E)−5,7−ジ−O−ベンジル−2,3−ジデオキシ−4,6−ジ−O−メトキシメチル−D−アラビノ−ヘプト−2−エニトールの分析用サンプルとした。化合物E−14b−2について、比旋光度、赤外線吸収スペクトル、H−NMR、13C−NMRスペクトル、質量分析FAB(Fast Atom Bombartmemt)−MSおよびHR−FAB−MSの測定を行った結果を以下に示す。
Figure 0005296555
Figure 0005296555
実施例15:
実施例14で得られた化合物E−14b−2(9.5g)を用いて、上記実施例4と同
様にして、上記構造式15e−2で表される5,7−ジ−O−ベンジル−4,6−ジ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−D−ガラクト−ヘプチトールおよび上記構造式16f−2で表される1,3−ジ−O−ベンジル−2,4−ジ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−L−グロ−ヘプチトールの混合物10.4gを得た。さらに、上記実施例5と同様にして、上記構造式16e−2で表される5,7−ジ−O−ベンジル−1,2,3,4,6−ペンタ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−D−ガラクト−ヘプチトール7.99g(E−12bから収率61%)および上記構造式16f−2で表される1,3−ジ−O−ベンジル−2,4,5,6,7−ペンタ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−L−グロ−ヘプチトール2.64g(E−12bから収率20%)を得た。化合物16e−2および16f−2について、比旋光度、赤外線吸収スペクトル、H−NMR、13C−NMRスペクトル、質量分析FAB(Fast Atom Bombartmemt)−MSおよびHR−FAB−MSの測定を行った結果を以下に示す。
Figure 0005296555
実施例16:
実施例15で得られた化合物16e−2(3.06g,5.0mmol)を用いて、上記実施例6と同様にして、上記構造式17e−2で表される1,2,3,4,6−ペンタ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−D−ガラクト−ヘプチトール2.08g(収率96%)を得た。化合物17e−2について、比旋光度、赤外線吸収スペクトル、H−NMR、13C−NMRスペクトルの測定を行った結果を以下に示す。
Figure 0005296555
実施例17:
実施例16で得られた化合物17e−2(304mg,0.7mmol)を用いて、上
記実施例7と同様にして、上記構造式2e−2で表される1,2,3,4,6−ペンタ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−D−ガラクト−ヘプチトール5,7−環状硫酸エステル337mg(収率97%)を得た。化合物2e−2について、赤外線吸収スベクトル、H−NMR、13C−NMRスペクトル、の測定を行った結果を以下に示す。
Figure 0005296555
実施例18:
D−キシロースを化7に示す反応iおよびiiと同様に処理した後、ベンジル化して87%の収率で得た上記構造式10cの構造を有する3,5−ジ−O−ベンジル−1,2−O−イソプロピリデン−α−D−キシロフラノース(23.0g,62mmol)を用いて、上記実施例1と同様にして、上記構造式E−12cで表されるtert−ブチル(E)−5,7−ジ−O−ベンジル−2,3−ジデオキシ−D−キシロ−ヘプト−2−エノエートおよび上記構造式Z−12cで表されるtert−ブチル(Z)−5,7−ジ−O−ベンジル−2,3−ジデオキシ−D−キシロ−ヘプト−2−エノエートの混合物23.1g(10cから収率87%)を得た。これを再結晶してE−12c(14.6g,55%)を得た。また、母液から化合物E−12cおよびZ−12cの混合物(8.6g,32%)を得た。この混合物を少量カラムクロマトグラフィーにより精製して、Z−12cの分析用サンプルを得た。化合物E−12cおよびZ−12cついて、融点、比旋光度、赤外線吸収スペクトル、H−NMR、13C−NMRスペクトル、質量分析FAB(Fast Atom Bombartmemt)−MSおよびHR−EAB−MSの測定を行った結果を以下に示す。
Figure 0005296555
実施例19:
実施例18で得られた化合物E−12c(14.5g,33.9mmol)を用いて、上記実施例2と同様にして、油状物質16gを得た。少量の油状物質をカラムクロマトグラフィーにより精製し、上記構造式E−13cで表されるtert−ブチル(E)−5,7−ジ−O−ベンジル−2,3−ジデオキシ−4,6−O−イソプロピリデン−D−キシロ−ヘプト−2−エノエートの分析用サンプルとした。化合物E−13cについて、融点、比旋光度、赤外線吸収スペクトル、H−NMR、13C−NMRスペクトル、質量分析FAB(Fast Atom Bombartmemt)−MSおよびHR−FAB−MSの測定を行った結果を以下に示す。
Figure 0005296555
Figure 0005296555
実施例20:
実施例19で得られた化合物E−13c(16g)を用いて、上記実施例3と同様にして、上記構造式E−14cで表される(E)−5,7−ジ−O−ベンジル−2,3−ジデオキシ−4,6−O−イソプロピリデン−D−キシロ−ヘプト−2−エニトール13.2g(収率92%)を得た。化合物E−13cについて、比旋光度、赤外線吸収スペクトル、H−NMR、13C−NMRスペクトル、質量分析FAB(Fast Atom Bombartmemt)−MSおよびHR−FAB−MSの測定を行った結果を以下に示す。
Figure 0005296555
実施例21:
実施例20で得られた化合物E−14c(12.4g,31.2mmol)を用いて、上記実施例4と同様にして、上記構造式15gで表される5,7−ジ−O−ベンジル−4,6−O−イソプロピリデン−D−グリセロ−L−ガラクト−ヘプチトールおよび上記構造式15hで表される5,7−ジ−O−ベンジル−4,6−O−イソプロピリデン−メソ−グリセロ−イド−ヘプチトールの混合物13.2gを得た。さらにこの混合物から、上記実施例5と同様にして、化合上記構造式16gで表される5,7−ジ−O−ベンジル−4,6−O−イソプロピリデン−1,2,3−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−L−ガラクト−ヘプチトール9.95g,(E−14cから収率56%)および上記構造式16hで表される1,3−ジ−O−ベンジル−2,4−O−イソプロピリデン−5,6,7−トリ−O−メトキシメチル−メソ−グリセロ−イド−ヘプチトール2.9g(E−14cから収率17%)を得た。化合物16gおよび16hについて、比旋光度、赤外線吸収スペクトル、H−NMR、13C−NMRスペクトル、質量分析FAB(Fast Atom Bombartmemt)−MSおよびHR−FAB−MSの測定を行った結果を以下に示す。
Figure 0005296555
Figure 0005296555
実施例22:
実施例21で得られた化合物16g(2.93g,5.20mmol)を用いて、上記実施例6と同様にして、上記構造式17gで表される4,6−O−イソプロピリデン−1,2,3−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−L−ガラクト−ヘプチトール1.91g(収率96%)を得た。化合物17gについて、比旋光度、赤外線吸収スペクトル、H−NMR、13C−NMRスペクトル、質量分析FAB(Fast Atom Bombartmemt)−MSおよびHR−FAB−MSの測定を行った結果を以下に示す。
Figure 0005296555
実施例23:
実施例22で得られた化合物17g(740mg,1.93mmol)を用いて、上記実施例7と同様にして、上記構造式2gで表される4,6−O−イソプロピリデン−1,2,3−トリ−O−メトキシメチル−D−グリセロ−L−ガラクト−ヘプチトール5,7−環状硫酸エステル580mg(収率68%)を得た。化合物2gについて、融点、比旋光度、赤外線吸収スペクトル、H−NMR、13C−NMRスペクトル、質量分析FAB(Fast Atom Bombartmemt)−MSおよびHR−FAB−MSの測定を行った結果を以下に示す。
Figure 0005296555
実施例24:
実施例7で得られた化合物(2a)(200mg,0.45mmol)、1,4−ジデオキシ−1,4−エピチオ−D−アラビニトール(7)(51.7mg,0.35mmol)、炭酸カリウム(15mg,0.11mmol)および1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIR,0.5ml)の混合物を,60℃で42時間攪拌することにより水酸基が保護された環状スルホニウム塩(8a)(187mg;収率91%)を得た。
この方法に従って、化合物(2b)(300mg,0.67mmol)、化合物(2c)(130mg,0.29mmol)および化合物(2d)(73mg,0.16mmol)から、それぞれ上記構造式で表される水酸基が保護された環状スルホニウム塩(8b)(278mg;収率90%)、上記構造式で表される水酸基が保護された環状スルホニ
ウム塩(8c)(135mg;収率85%)および上記構造式で表される水酸が基保護された環状スルホニウム塩(8d)(72mg;収率81%)を得た。
化合物(8a)、(8b)、(8c)および(8d)についての融点、比旋光度、赤外線吸収スペクトル、H−NMR、13C−NMR、質量分析FAB(Fast Atom Bombardment)−MSおよびHR−FAB−MS)の測定結果は以下の通りである。
Figure 0005296555
Figure 0005296555
Figure 0005296555
Figure 0005296555
Figure 0005296555
実施例25:
実施例24で得られた化合物(8a)(158mg)と30%トリフルオロ酢酸水溶液(15ml)の混合物を50℃で2時間撹拝することにより、上記構造式(6a)で表される環状スルホニウム塩88mg(収率75%)を得た。
この方法に従って、化合物(8b)(112mg,0.19mmol)、化合物(8c)(78mg,0.134mmol)および化合物(8b)(41mg,0.071mmo
l)から、環状スルホニウム塩(6b)(65.3mg;収率85%)、環状スルホニウム塩(6c)(53mg;収率85%)および環状スルホニウム塩(6d)(27mg;収率90%)をそれぞれ得た。
化合物(6a)、(6b)、(6c)および(6d)についての比旋光度および赤外線吸収スペクトルの結果は以下の通りである。
Figure 0005296555
化合物(6a)、(6b)、(6c)および(6d)についてのH−NMRの結果は以下の通りである。
Figure 0005296555
Figure 0005296555
化合物(6a)、(6b)、(6c)および(6d)についての13C−NMRの結果は以下の通りである。
Figure 0005296555
化合物(6a)、(6b)、(6c)および(6d)についての質量分析FAB(Fast Atom Bombardment)−MSおよびHR−FAB−MS)の測定結果は以下の通りである。
Figure 0005296555
実施例26:
実施例23で得られた化合物2g(300mg,0.673mmol)を用いて、実施例24と同様にして、上記構造式8gで表される水酸基保護された環状スルホニウム塩107mg(収率53%)を得た。化合物8gについて、比旋光度、赤外線吸収スペクトル、H−NMR、13C−NMRスペクトル、質量分析FAB(Fast Atom Bombartmemt)−MSおよびHR−FAB−MSの測定を行った結果を以下に示す。
8g:Colorless amorphous.[α] 24−25.0(c=1.17,CHOH).IR(nujol):3364,1262,1207,1153,1107,1026cm−1
8g:H NMR(CDOD.)(chemical shift):1.45/1.52[each 3H,s,(CHC],3.35/3.37/3.39(each 3H,s,OCHOCH),3.76(1H,dd,J=9.8,6.7Hz,H−7’a),3.77−3.89(3H,m,H−1a,H−1b and H−7’b),3.88(1H,dd,J=13.4,3.6Hz,H−1’a),3.91(1H,dd,J=11.0,8.6Hz,H−5a),3.94(1H,br t−like,J=6.7Hz,H−6’),3.97−4.00(1H,m,H−4),4.01(1H,dd,J=13.4,7.9Hz,H−1’b),4.03(1H,dd,J=11.0,5.5Hz,H−5b),4.07(2H,br s−like,H−4’ and H−5’),4.39(1H,br dd−like,J=ca.1.5Hz,H−3),4.54−4.58(2H,m,H−2’including br s−like signal due to H−3’ at δ4.56),4.59−4.61(1H,m,H−2),4.61/4.63(each 1H,d,J=6.5Hz,OCHOCH),4.67/4.71(each 1H,d,J=6.5Hz,OCHOCH
),4.79/4.92(each 1H,d,J=6.7Hz,OCHOCH).
8g:13C NMR(CDOD.)(chemical shift):19.5/29.5[(CHC],50.2(C−1’),51.2(C−1),55.8/56.1/56.2(OCHOCH),60.9(C−5),68.8(C−7’),70.1/72.2(C−2’ and C−3’),72.6(C−4’),73.4(C−4),77.4(C−6’),78.0(C−5’),79.2(C−2),79.8(C−3),97.9/99.1/100.4(OCHCH),101.2[(CHC].
8g:FABMS m/z:597[M+H](pos.),FABHRMS m/z:597.1865(C214115 requires 597.1887).
実施例27:
実施例26で得られた化合物8g(48.6mg,0.082mmol)を用いて、上記実施例25と同様にして、上記構造式6gで表される環状スルホニウム塩31mg(収率93%)を得た。化合物69について、比旋光度、赤外線吸収スペクトル、H−NMR、13C−NMRスペクトル、質量分析FAB(Fast Atom Bombartmemt)−MSおよびHR−FAB−MSの測定を行った結果を以下に示す。
6g:Colorless solid[α] 24−27.3(c=1.06,HO).IR(nujol):3348,1257,1219,1072cm−1
6g:H NMR(DO.)(chemical shift):3.64(1H,dd,J=10.3,7.2Hz,H−7’a),3.66(1H,dd,J=10.3,4.6Hz,H−7’b),3.73(1H,dd,J=9.5,1.4Hz,H−5’),3.83(1H,dd,J=13.0,3.2Hz,H−1a),3.85(1H,dd,J=13.0,2.2Hz,H−1b),3.89−3.93(2H,m,H−5a and H−6’),3.93−3.96(2H,m,H−1’a and H−1’b),4.00(1H,br dd,J=8.9,5.2Hz,H−4),4.04(1H,dd,J=10.8,5.2Hz,H−5b),4.09(1H,dd,J=9.5,1.2Hz,H−4’),4.37(1H,dd−like,J=ca.2.2,1.2Hz,H−3),4.57−4.61(1H,m H−2’),4.62(1H,dt−like,J=ca.3.2,2.2Hz,H−2),4.70(1H,dd,J=5.1,1.2Hz,H−3’).
6g:13C NMR(DO.)(chemical shift):51.1(C−1’),51.4(C−1),60.9(C−5),65.0(C−7’),69.1(C−2’),70.1(C−4’),70.7(C−5’),71.4(C−6’),73.4(C−4),78.7(C−3’),79.4(C−2),79.6(C−3).
6g:FABMS m/z:423[M−H](Neg.),FABHRMS m/z:423.0617(C122312S requires 425.0788).
これらの化合物のH−NMRおよび13C−NMRスペクトルデ−タは、コタラノール(1)のものとは一致しなかったことから、コタラノールのジアステレオマ−のひとつと判明した。
実施例28:
実施例25で得られた化合物(6a)、(6b)、(6c)ならびに(6d)および実施例27で得られた化合物(6g)について、α−グコシダーゼ阻害活性を次のようにして調べた。
この実験では、ラット小腸刷子緑膜小胞を0.1Mマレイン酸緩衝液(pH6.0)に懸濁して、この懸濁液をα−グコシダーゼ(シュクラーゼ、マルターゼおよびイソマルタ
ーゼ)として使用した。
基質としてのシュクロース(74mM)、マルトース(74mM)またはイソマルトース(7.4mM)溶液0.1mlに、各種濃度の供試化合物溶液0.05mlを加え、37℃で2〜3分間予備加温した。これに酵素液を加えて30分間反応させ、水を加えて、沸騰水浴中で2分間加熱し、酵素を失活させた。これとは別に、各供試化合物溶液に酵素液を加え、直ちに沸騰水浴中で2分間加熱して酵素を失活させて、これをブランクとした。精製したD−グルコースの量をグルコースオキシダーゼ法により測定した。基質および供試化合物は、0.1Mマレイン酸緩衝液(pH6.0)に溶解して使用した。得られた値から50%阻害濃度(IC50)を算出した。
Figure 0005296555
上記表に示された結果から分かるように、この発明の化合物(6a)、(6b)、(6c)ならびに(6d)は、シュクラーゼおよびマルターゼ阻害活性を示すものの、それらの阻害活性は天然コタラノールよりも低かった。しかし、これらのイソマルターゼ阻害活性については、なかでも化合物(6a)ならびに(6d)は天然コタラノールと同等以上であった。このことからも、これらの化合物はコタラノールのジアステレオマ−のひとつとあると判明した。
この発明により、コタラノールの類縁体を入手容易な材料から人工的に合成し、供給することが可能となった。さらに、原料の立体化学を変更することにより、本合成経路は天然から微量しか得られなかったコタラノールの合成を可能にすることも明らかになった。また、この発明に係るコタラノールの類縁体もグルコシダーゼ阻害活性を有することを確認した。

Claims (3)

  1. D−キシロース、D−リボース、D−アラビノース、D−リキソース、L−キシロース、L−リボース、L−アラビノースおよびL−リキソースから選ばれる五炭糖あるいはその誘導体から得られる構造式(2):
    Figure 0005296555
    (式中、R 1 およびR 2 はそれぞれ水素原子あるいは水酸基の保護基を表し、該水酸基の保護基が、−C(CH 3 ) 2 −、−CH(CH 3 )−ならびに−CHAr−(式中、Arはフェニル基または置換フェニル基を意味する)から選ばれる環状アセタ−ル保護基、−CH 2 OR 3‘ (式中、R 3’ は−CH 2 OCH 3 もしくは−CH 2 CH 3 OCH 3 を意味する)で表されるアルコキシアルキル基からなるエ−テル型保護基またはSiR 4 3 もしくはSiR 4 2 R 5 (式中、R 4 およびR 5 はそれぞれ、−CH 3 もしくは−C(CH 3 ) 3 で表されるアルキル基または−Phで表されるアリ−ル基を意味する)で表されるシリルエ−テル型保護基を意味する)
    で表される水酸基が保護されたあるいはR 1 およびR 2 が無保護のヘプチトール環状硫酸エステルを合成する工程と、得られたヘプチトール環状硫酸エステル(2)と、構造式(7’):
    Figure 0005296555
    (式中、R は、水素原子あるいは水酸基の保護基を意味し、該水酸基の保護基が、−CH 2 Ar(式中Arはフェニル基または置換フェニル基を意味する)から選ばれるアリールメチル保護基あるいは−CH 2 OR (式中、R は−CH 2 OCH 3 もしくは−CH 2 CH 3 OCH 3 を意味する)で表されるアルコキシアルキル基からなるエ−テル型保護基またはSiR 3 もしくはSiR 2 R (式中、R およびR はそれぞれ、−CH 3 もしくは−C(CH 3 ) 3 で表されるアルキル基または−Phで表されるアリ−ル基を意味する)で表されるシリルエ−テル型保護基を意味する)
    で表されるチオ糖とのカップリング反応により、構造式(8’):
    Figure 0005296555
    で表される水酸基が保護されたあるいはR 1 およびR 2 が無保護の環状スルホニウム塩を得るカップリング工程と、更に前記水酸基が保護された環状スルホニウム塩の水酸基の脱保護工程とによって、構造式(1):
    Figure 0005296555
    で表される環状スルホニウム塩(1)を得ることを特徴とする環状スルホニウム塩の製造方法。
  2. 構造式(7):
    Figure 0005296555
    (式中、Rは、水素原子あるいは水酸基の保護基を意味し、該水酸基の保護基が、−CH2Ar(式中Arはフェニル基または置換フェニル基を意味する)から選ばれるアリールメチル保護基あるいは−CH2OR(式中、Rは−CH2OCH3もしくは−CH2CH3OCH3を意味する)で表されるアルコキシアルキル基からなるエ−テル型保護基またはSiR 3もしくはSiR 2R(式中、RおよびRはそれぞれ、−CH3もしくは−C(CH3) 3で表されるアルキル基または−Phで表されるアリ−ル基を意味する)で表されるシリルエ−テル型保護基を意味する)
    で表されるチオ糖と、D−キシロース、D−リボース、D−アラビノース、D−リキソース、L−キシロース、L−リボース、L−アラビノースおよびL−リキソースから選ばれる五炭糖あるいはその誘導体から得られる構造式(2):
    Figure 0005296555
    (式中、R1およびR2はそれぞれ水素原子あるいは水酸基の保護基を表し、該水酸基の保護基が、−C(CH3)2−、−CH(CH3)−ならびに−CHAr−(式中、Arはフェニル基または置換フェニル基を意味する)から選ばれる環状アセタ−ル保護基、−CH2OR3‘(式中、R3’は−CH2OCH3もしくは−CH2CH3OCH3を意味する)で表されるアルコキシアルキル基からなるエ−テル型保護基またはSiR4 3もしくはSiR4 2R5(式中、R4およびR5はそれぞれ、−CH3もしくは−C(CH3) 3で表されるアルキル基または−Phで表されるアリ−ル基を意味する)で表されるシリルエ−テル型保護基を意味する)
    で表される水酸基が保護されたあるいはR1およびR2が無保護のヘプチトール環状硫酸エステルとをカップリング反応させて構造式(8):
    Figure 0005296555
    (式中、R1、R2およびR3は前記と同じ意味を有する)
    で表される水酸基が保護された環状スルホニウム塩(8)を得、次いで得られた該環状スルホニウム塩(8)の保護基を脱保護基することによって構造式(6):
    Figure 0005296555
    で表される環状スルホニウム塩(6)を得ることを特徴とする環状スルホニウム塩の製造方法。
  3. 構造式(7):
    Figure 0005296555
    (式中、R は、水素原子あるいは水酸基の保護基を意味し、該水酸基の保護基が、−CH 2 Ar(式中Arはフェニル基または置換フェニル基を意味する)から選ばれるアリールメチル保護基あるいは−CH 2 OR (式中、R は−CH 2 OCH 3 もしくは−CH 2 CH 3 OCH 3 を意味する)で表されるアルコキシアルキル基からなるエ−テル型保護基またはSiR 3 もしくはSiR 2 R (式中、R およびR はそれぞれ、−CH 3 もしくは−C(CH 3 ) 3 で表されるアルキル基または−Phで表されるアリ−ル基を意味する)で表されるシリルエ−テル型保護基を意味する)
    で表されるチオ糖と、D−キシロース、D−リボース、D−アラビノース、D−リキソース、L−キシロース、L−リボース、L−アラビノースおよびL−リキソースから選ばれる五炭糖あるいはその誘導体から得られる(2a、2d):
    Figure 0005296555
    (式中、MOMは保護基を意味する。なお、構造式(2a)では波線で表した置換基OMOMがα配置であり、構造式(2d)ではそれがβ配置である。)
    で表される水酸基が保護されたヘプチトール環状硫酸エステル(2a、2d)とをカップリング反応させて構造式(8a、8d):
    Figure 0005296555
    (式中、MOMは保護基を意味する。なお、構造式(8a)では波線で表した置換基OMOMがα配置であり、構造式(8d)ではそれがβ配置である。)
    で表される水酸基が保護された環状スルホニウム塩(8a、8d)を得、次いで得られた該環状スルホニウム塩(8a、8d)の保護基を脱保護基することによって構造式(6a、6d):
    Figure 0005296555
    (なお、構造式(6a)では波線で表した水酸基がα配置であり、構造式(6d)ではそれがβ配置である。)
    で表される環状スルホニウム塩(6a、6d)をそれぞれ得ることを特徴とする環状スルホニウム塩の製造方法。
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