JP5296336B2 - セラミック複合装甲板の製造方法及び取付方法 - Google Patents

セラミック複合装甲板の製造方法及び取付方法 Download PDF

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Description

本発明は、セラミックタイルと高強度繊維強化樹脂板からなる複合装甲板を船舶の操舵室や、車両のエンジン室、内装部等に容易に取り付けることができるセラミック複合装甲板の製造方法及び取付方法に関する。
一般に、船舶、車両等における弾丸等の飛翔体に対する乗員の保護、燃料タンクやエンジン等の重要機器の破損防止のために、高張力鋼板が装甲板として使用されている。このような高張力鋼板は、現場において、船体、車体が完成してから、溶接又は鋼板を適切な寸法に溶断した後、ボルト、リベット等により締結されて取り付けられるものである。(例えば、特許文献1参照。)。
特開平8−320198号公報
しかしながら、船舶では、完成寸法の躯体の歪みや組み付け部品の寸法誤差の集積により、設計寸法からずれることが多い。したがって、予め図面寸法どおりに製作した装甲板であっても、現場での取り付けが不可能となり、再び鋼板を溶断やレーザー切断によって寸法を修正しなければならない場合があった。
このように寸法を修正した場合には、溶断の熱により高張力鋼板の機械的性質が劣化してしまい、また、高張力鋼板は溶断時に発生する水素により遅れ割れが発生することがあった。さらに、操舵室の壁等は配管、柱等があり、また、取り付け面は曲面形状が多く作業が困難であることが多かった。
そこで、現場での取り付け作業において、寸法調整の必要がなく、機械的性質等が劣化することのない信頼性の高い装甲板が求められている。
そこで、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、高強度繊維強化樹脂板を被取付対象物において取付箇所の内壁又は外壁を形取りし、これにセラミックタイルを貼り付けることで、現場での作業が可能で、装甲板の機械的性質を変化させることなく容易かつ確実に、壁面に装着可能な装甲板を製造することができることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明のセラミック複合装甲板の製造方法は、高強度繊維強化樹脂板を、被取付対象物の内壁又は外壁に合わせて形状寸法を形取り切断し、切断された高強度繊維強化樹脂板の表面に、その形状に合わせてセラミックタイルを敷き詰めて接合することを特徴とするものである。
また、本発明のセラミック複合装甲板の取付方法は、高強度繊維強化樹脂板を、被取付対象物の内壁又は外壁に合わせて形状寸法を形取り切断し、切断された高強度繊維強化樹脂板の表面に、その形状に合わせてセラミックタイルを敷き詰めて接合してなるセラミック複合装甲板を、被取付対象物の形取りした位置に合わせて取り付けることを特徴とするものである。
本発明のセラミック複合装甲板の製造方法によれば、船舶、車両等の内壁又は外壁の形状を問わずに、容易に防弾領域を形成できる装甲板を製造することができる。
本発明のセラミック複合装甲板の取付方法によれば、船舶、車両等の内壁又は外壁の形状を問わずに、容易に防弾領域を形成できる装甲板を寸法調整等の作業を行わずに、確実かつ容易に取り付けることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
上記目的を達成するために、本発明は、船舶、車両等の被取付対象物において、その取付部となる内壁又は外壁に高強度繊維強化樹脂板を合わせて、切断箇所をマーキングした後、そのマーキングに沿って切断して、装着寸法を正確に形取りするものである。
この形取りについて、例えば、船舶の室内内壁に取り付けるセラミック複合装甲板を製造する場合を例に、以下図面を参照しながら説明する。
図1は、船舶の操舵室内の側面内壁を形取りした高強度繊維強化樹脂板の正面図であり、この高強度繊維強化樹脂板1は、複数枚の高強度繊維強化樹脂板1a〜1fから構成されるものである。このとき、操舵室の窓に相当する箇所には装甲板を取り付けたときに覆わないように窓部2が形成されている。
このように形取りを行うためには、適当な大きさの高強度繊維強化樹脂板を被取付対象物の内壁又は外壁に合わせて、その外形をマーキングして正確に形取りすることで行う。
このとき、外壁のように空間に余裕がある場合には、一枚の高強度繊維強化樹脂板で壁一面分の形取りを行うこともできるし、図で示したように複数枚の高強度繊維強化樹脂板を組み合わせて、壁一面分の形取りを行うようにしても良い。内壁の場合には、室内で空間に余裕がないため、壁一面分を一枚の高強度繊維強化樹脂板で形取りするのは困難である。よって、図1のように複数枚の高強度繊維強化樹脂板を組み合わせて取り付けるものとし、壁一面に隙間無く装甲板を配置できるように形取りするものである。また、一度形取りした高強度繊維強化樹脂板は、さらに次の作業を効率的に行うためにさらに切断して、適宜作業のしやすい寸法にしてもよい。
なお、本発明で用いる高強度繊維強化樹脂板は、高強度繊維に、樹脂を含浸又はコーティングし、さらに加熱硬化させて得られるものである。
ここで高強度繊維としては、その比引張強度が0.1×10m以上であり、比引張弾性率が3.0×10m以上である繊維が挙げられ、例えば、アラミド繊維、ガラス繊維、高延伸高密度ポリエチレン繊維、カーボン繊維、芳香族ポリエステル繊維、高強度ナイロン繊維及びポリベンゾオキサゾール繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これによって、高強度繊維強化樹脂板を含む複合装甲板の耐衝撃性を向上させることができ、耐防弾性能を向上させることができる。なお、特に上述した数値範囲の要件を満足しない場合においては、十分な耐防弾性能を得ることができない場合がある。
このような高強度繊維としては、例えば、
1)アラミド繊維:デュポン社製商品名ケブラー29、比引張強度0.22×10m、比引張弾性率5.3×10m、
2)カーボン繊維:東レ社製商品名トレカT300、比引張強度0.22×10m、比引張弾性率14.2×10m、
3)高強度ポリエチレン繊維:東洋紡社製ダイニーマ、比引張強度0.29×10m、比引張弾性率13.5×10m、
などを挙げることができる。
一方、本発明に用いる、これら高強度繊維に含浸又はコーティングする樹脂としては、熱硬化性樹脂では、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂及びポリウレタン樹脂等が、熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアセテート、ポリエーテルサルファイド、ポリフェニルサルファイド、ポリエーテル、エーテルケトン等、更には熱可塑性ポリウレタン、スチレン、ブタジエンゴム、二トリルゴム、アクリルニトリルスチレン(AS)樹脂、ネオプレン等の合成ゴム又はエラストマー等が挙げられる。
高強度繊維強化樹脂板は、高強度繊維からなる織布に樹脂を含浸若しくはラミネートし、シート状にしたプリプレグ又は高強度繊維を平行に引き揃えて樹脂を含浸若しくはラミネートしてシート状にしたプリプレグを用い、これを積層成形した積層板として得ることもできる。この際、積層板は、プリプレグの内部に含まれる高強度繊維の向きが互いに異なるようにして(例えば、直交するようにして)積層して構成することができ、このようにすれば、積層板の縦横方向等の強度差を少なくすることができる。
この高強度繊維強化樹脂板を製造するには、熱硬化性樹脂の場合、高強度繊維に熱硬化性樹脂を含浸又はコーティングしてプリプレグを作製し、このプリプレグを複数枚重ね、加熱加圧する圧縮成形法、あるいはプリプレグを作らないハンドレイアップ法などがある。樹脂含有率は5〜80質量%の範囲であればよいが、通常は5〜50質量%、好ましくは8〜30質量%である。
一方、熱可塑性樹脂の場合、高強度繊維と熱可塑性樹脂フィルム或いは織布などのシート状物とを交互に複数枚童ね合わせて加熱、加圧する圧縮成形法や、樹脂を予め溶融しておきその樹脂を高強度繊維に付着させる方法もある。熱可塑性樹脂の含有率も熱硬化性樹脂と同じである。
また、高強度繊維強化樹脂板が高延伸高密度ポリエチレン繊維樹脂板であった場合には、形取りする際の樹脂板の切断がカッター等でも行うことができ、切断作業が比較的容易であるため、現場での作業に特に適する。この樹脂板に用いる高延伸高密度ポリエチレン樹脂板としては、具体的には、スペクトラシールドPCRw(ハネウェル社製、商品名)等が挙げられ、また、高延伸高密度ポリエチレン繊維布であるダイニーマFRCサイバーメッシュ(東洋紡績株式会社製、商品名)等に樹脂を含浸して樹脂板としたものを用いることもできる。
このように形取りして得られた高強度繊維強化樹脂板に、その形状に合わせてセラミックタイルを敷き詰めて接合することでセラミック複合装甲板を製造することができる。具体的には、図2に示したように、高強度繊維強化樹脂板11a,11bの片側の表面に、セラミックタイル12を樹脂板の形状に合わせて、セラミックタイル12同士の間に隙間をなるべく生じないように敷き詰めて接合するようにすればよい。図2は、パーツとしてのセラミック複合装甲板の斜視図である。
ここで用いられるセラミックタイルは、アルミナ、窒化珪素、炭化珪素、ジルコニア及びボロンカーバイドの少なくとも一種を含み、そのビッカース硬度が10GPa以上であり、曲げ強度が300MPa以上であり、曲げ弾性率が200GPa以上であることが好ましい。この場合、目的とする複合装甲板の防弾特性を十分に向上させることができる。一方、上述した要件を満足しない場合は、防弾性に対する信頼性を損なう場合がある。このような要件を満足するセラミックタイルの具体例としては、以下に挙げるようなものがある。
1)アルミナ:商品名A471(京セラ社製);ビッカース硬度11.8GPa、曲げ強度390MPa、曲げ弾性率280GPa
2)炭化珪素:商品名SC1000(京セラ社製);ビッカース硬度23.0GPa、曲げ強度450MPa、曲げ弾性率440GPa
3)窒化珪素:商品名SN220(京セラ社製);ビッカース硬度13.9GPa、曲げ強度610MPa、曲げ弾性率290GPa
なお、ビッカース硬度、曲げ強度、曲げ弾性率はJIS−R1610に準じて行う。
ここで、セラミックタイルは、厚さが1〜15mm、主表面の面積が400〜25000mmの任意の外形からなる板状を呈することが好ましい。この厚さは、防弾強度と、それに伴う重量増大とをバランスさせるために要求されるものである。より好ましくは、3〜10mmである。ここで、四角形や三角形においては、一辺が100mm以下であることが好ましく、30〜50mmであることが特に好ましい。
また、主表面の面積が400〜25000mmなる条件は、複合装甲板を構成するセラミックタイルの個数と、セラミックタイルが着弾したことに起因する、セラミックタイルの破壊に起因した損壊面積の大きさとを考慮したものである。すなわち、複合装甲板を製造する際には、一般に単一のセラミックタイルからではなく、複数のセラミックタイルをタイル状に貼り合わせて製造するが、セラミックタイルの主表面の面積が上述した範囲よりも小さいと、使用するセラミックタイル(タイル)の数が極端に多くなり、複合装甲板を製造する際の作業性が極めて悪くなる。一方、セラミックタイルの主表面の面積が上述した範囲よりも大きくなると、1発目の着弾でセラミックタイルの1つが破壊されてしまった場合、その欠損部分の面積が極めて大きくなってしまい、続く銃弾が欠損部分に着弾して、複合装甲板がその防弾性という特性を奏することができない場合が生じやすいからである。
なお、セラミックタイルの形状は、三角形、四角形(正方形、矩形、台形、平行四辺形等)、六角形やその他の形状等の任意の形状でよいが、高強度繊維強化樹脂板の表面に敷き詰めることができるように形状を組み合わせやすい、三角形、四角形又は六角形であることが好ましい。セラミックタイルを上述したようにして複数タイル状に配列して用いる場合、簡易に最密充填の状態とすることができるためである。すなわち、セラミックタイルの抜けがなく、目的とする複合装甲板の耐弾性を損なうことがなくなるためである。但し、複数のセラミックタイルを配列させて用いる場合、最密充填させた場合でも隣接するセラミックタイル間の隙間を皆無にすることは事実上困難であり、例えば最大で0.8mm、好ましくは0.3mm程度の隙間が生じてしまう。
また、セラミックタイルを六角形とした場合、最密充填方法は1種類しかないが、四角形とした場合、最密充填方法は、格子状配列とすることもできるし、「十字」状交差部を少しずらした、例えば、千鳥配列とすることができる。三角形は、同形状のものを2枚組み合わせて四角形を形成することができるため、四角形と同様に考えられる。
また、複合装甲板の使用上の観点から、セラミックタイルは、表面粗さが3〜10μmであり、接着シートとの非接合面の角部が、0.1〜0.5のC面又はR面であることが好ましい。
セラミックタイルを敷き詰めるとは、高強度繊維強化樹脂板の表面に形成したセラミックタイルにおいて、隣接するセラミックタイル同士が互いの辺を接触して固定されるようにできるだけ隙間を生じないように一面に敷くことをいい、このように敷き詰められると装甲板には全面にセラミックタイル及び高強度繊維強化樹脂板の積層されたものが構成されることになる。これにより、セラミックタイルが隙間を生じないようにしながら装甲板として形成されるので、製品信頼性の高い装甲板を容易に製造することができる。
また、高強度繊維強化樹脂板にセラミックタイルを敷き詰めた後、接合してセラミックタイルを接合し、固定するが、この接合には接着シートや接着剤等により行えばよい。このとき、例えば、接着シートや接着剤としては、エラストマーを有する熱硬化性樹脂組成物を用いて形成されるものを挙げることができ、熱硬化性樹脂組成物としては、(A)少なくとも一種のエポキシド化合物と、(B)エポキシ用硬化剤と、(C)エポキシ用硬化促進剤と、(D)エラストマーと、(E)無機充填材と、を含み、(D)エラストマーの含有量が、樹脂組成物中に40〜80質量%であることを特徴とするものが挙げられる。
ここで接着シートは、その硬化状態において、弾性変形率が20〜60%であり、圧縮弾性率が10〜10Paであることが必要である。弾性変形率および圧縮弾性率が上述した範囲よりも小さくなると、接着強度、特に吸湿後の接着強度を大きく損なう。また、弾性変形率および圧縮弾性率が上述した範囲よりも大きくなると、防弾性、特にセラミック接合部の信頼性を損なうため好ましくない。
また、セラミックタイルとの接着強度が1.0kN/m以上であることが必要である。接着強度がこの要件を満足しないと、被弾した際にセラミックタイルの大きく飛散してしまい、防弾性を劣化させてしまう原因となる。
なお、弾性変形率および圧縮弾性率は微小硬度計により測定するが、試験装置としては、島津製作所社製、ダイナミック超微小硬度計DUH−201を例示することができる。測定条件は、試験モード、負荷−除荷試験などの定法を採用することができる。接着強度に関しては、JIS−C6471により確認することができる。
また、この接着シートは、エラストマーを有する熱硬化性樹脂組成物を含むことが好ましく、特に(A)少なくとも一種のエポキシド化合物、(B)エポキシ用硬化剤、(C)エポキシ用硬化促進剤、(D)エラストマー及び(E)無機充填剤を含み、(D)エラストマーの含有量が、全樹脂組成物に対して40〜80重量%であるような組成を有することが好ましい。上記要件を満足しない場合は、砲弾に対する耐衝撃性を損ない、接着強度不足によって砲弾によるセラミックタイルの飛散が生じてしまう場合がある。この場合、特に(D)エラストマーの含有量が、全樹脂組成物に対して40〜80重量%なる要件を満足することが肝要である。
なお、同様の理由から、(A)少なくとも一種のエポキシド化合物はビフェニル型エポキシ樹脂であることが好ましい。また、(B)エポキシ用硬化剤はジヒドロキシジフェニルスルホンであることが好ましい。さらに、(E)無機充填剤は水酸化アルミニウムであることが好ましい。
また、(D)エラストマーは、常温でゴム弾性を有する合成ゴム又はゴム変性高分子化合物であることが好ましく、特には、アクリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンメチルアクリレートアクリロニトリルゴム、ブタジエンゴム、カルボキシル含有アクリロニトリルブタジエンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ポリビニルブチラールの群のうちから選ばれた少なくとも一種のゴムであることが好ましい。また、合成ゴムは、官能基として水酸基及びカルボキル基を含むことが好ましい。これによって、砲弾に対する耐衝撃性を増大させることができるとともに、接着強度も増強され砲弾によるセラミックタイルの飛散を効果的に抑制することができる。
さらに、合成ゴムは、ガラス転移温度(Tg)が−30〜20℃であり、重量平均分子量(Mw)が20万〜80万であり、酸価が5〜12KOHmg/gであることが好ましい。ガラス転移温度及び重量平均分子量が上述した範囲よりも小さいと、耐熱性を損なってしまい好ましくない。また、上述した範囲よりも大きいと樹脂粘度が増大してしまい、複合装甲板製造時の作業性を損なってしまうので好ましくない。なお、酸価が上記範囲内であることにより、合成ゴムを含む接着シートの接着性及び硬化性を装甲板として実用できるような範囲に設定することができる。
上述のような物理特性を満足する合成ゴムとしては、例えば、アクリル系合成ゴム、ナガセケムテックス社製SG−708−6T (ガラス転移温度:6℃、重量平均分子量:70万、酸価:8.0KOHmg/g)、アクリロ二トリルブタジエン系合成ゴム、日本ゼオン社製ニポール1072(ガラス転移温度:−24℃、重量平均分子量:34万、酸価:12.0KOHmg/g)を挙げることができる。
上記接着シートは、上述したような材料組成の原材料物質をプロピレングリコールモノメチルエーテル等の好適な有機溶剤で希釈して、キャリアフィルム上に塗布し、加熱乾燥するという通常の方法によりフィルム状接着剤として得ることができる。
そして、上述したセラミックタイル及び高強度繊維強化樹脂板を用いて、実用的な複合装甲板を得るには、着弾側にセラミックタイルを配置し、その後面に高強度繊維強化樹脂板を、接着シートを介して密着配置させることが好ましい。これによって、複合装甲板の防弾性能を向上させることができる。また、さらに着弾時に飛散するセラミックタイルの破片による2次災害を防止すべく、表面側に設けたセラミックタイルの表面において、高強度繊維を用いたプリプレグ、あるいは上述したような接着シート、その他保護シートを設けることが好ましい。
上述のような構成の装甲板を作るために接着シートを用いた場合には、定法により加熱加圧により熱圧成形させ、複合成形体を製造しうるものである。好ましい製造条件は以下に示すようなものである。
成形温度:100〜200℃
成形圧力:0.1〜13MPa
成形時間:1〜200分
そして、このように得られたセラミック複合装甲板を、図3に示したように形取りした被取付対象物に、形取りした位置に合わせて取り付けるが、このとき、内壁又は外壁への取り付けは、ボルト、押さえ板、接着剤、接着シート、リベット等により内壁又は外壁へ固定すればよい。このようにして、隙間無く防弾領域を満足するセラミック複合装甲板を船舶、車両等の内壁又は外壁面に容易に確実に取り付けることができる。
また、上述したように、セラミック複合装甲板のセラミックタイル側を着弾側(図3においては壁側)になるように設置し、固定することが好ましい。なお、図3は、操舵室内へ取り付けたときのセラミック複合装甲板の概略透視図である。ここでは、複数枚のパーツとして得られたセラミック複合装甲板21a〜fをそれぞれ形取りした位置に合わせて配置し、内壁面に取り付けた状態を示し、このとき、セラミック複合装甲板21a〜fは、それぞれ隣接する装甲板間において隙間を生じないように、壁一面に固定される。
なお、上記の記載では、一面にセラミックタイルを敷き詰めた場合について説明したが、場所によっては、柱や配管により一部装甲板を設けることができない部分がある場合があるため、そのときには、図4に示したように、柱や配管部分にはそのためのスペースを確保できるように、高強度繊維強化樹脂板の柱部32や配管部分42を切断しておき、セラミックタイルの接合箇所を柱や配管を避けたものとして、セラミック複合装甲板31,41等とすればよい。この図4は、柱や配管が設けられた壁面を取付対象とするセラミック複合装甲板の正面図である。
また、曲面を形成する壁に装着するセラミック複合装甲板の場合には、図5に示したように、取り付けたい壁面と略同一の曲率半径で曲面を形成する高強度繊維強化樹脂板を用いることで取り付けが容易で、信頼性の高いセラミック複合装甲板とすることができる。図5は、被取付対象物の壁面が曲面である場合のセラミック複合装甲板の平面図である。このセラミック複合装甲板51は、高強度繊維強化樹脂板52が壁面の形状に沿って合わせられた曲面を形成するものであり、その表面にセラミックタイル53が敷き詰められたものであるため、取り付ける壁が曲面であっても確実に、かつ、容易に取り付けられるものである。
ここで、高強度繊維強化樹脂板52はその表面が曲面であり、セラミックタイルは、その表面が平面である通常のタイルであるため、これらの間には、その接合する面の曲率の違いにより隙間が生じることとなるが、このように隙間を生じるような場合には、両者の接合を接着シートや接着剤により行い、高強度繊維強化樹脂板とセラミックタイルとの間を樹脂で埋めるようにして隙間を生じさせないようにすればよい。
図1に示したように、船舶の操舵室内の左側内壁に高延伸高密度ポリエチレン繊維フィルムを30層積層してなる強度繊維強化樹脂板を合わせて採寸、切断線をマーキングし、このマーキングした切断線に沿ってウォータージェットにより切断して、高強度繊維強化樹脂板1a〜fを作成した。この高強度繊維強化樹脂板1a〜fは、組み合わせて内壁一面を形取りした高強度繊維強化樹脂板1となる。
次に、この高強度繊維強化樹脂板1a〜fのそれぞれ片面にセラミックタイルを接着フィルムを介して隙間がなるべく生じないように敷き詰めて仮貼りした。仮貼りしたセラミックタイルを敷き詰めた高強度繊維強化樹脂板をプレスにより110℃、125kg/cmで加熱、加圧してセラミックタイルを接合、固定し、セラミック複合装甲板を製造した。
得られたセラミック複合装甲板を、操舵室内の形取りした内壁面に形取りした通りに配置して、ボルトにより固定し、操舵室内の左側壁面一面に取り付けた。高強度繊維強化樹脂板を、直接被取付対象物の内壁面に合わせて形取りしているため、寸法誤差がなく、内壁面一面にセラミック複合装甲板を取り付けることができ、隙間無く防弾領域を形成することができた。
なお、この実施例で、セラミック複合装甲板を製造するために用いた材料の特徴は以下の通りある。
高強度繊維強化樹脂板:スペクトラシールド PCRw(厚さ0.35mm、ハネウェル社製、商品名;ポリウレタン樹脂をスペクトラ繊維布に含浸、硬化させたもの)
セラミックタイル:アルミナセラミック A471M(京セラ株式会社製、商品名)
接着シート:TFA−880(京セラケミカル株式会社製、商品名)
船舶の操舵室内の側面内壁を形取りした高強度繊維強化樹脂板の正面図である。 パーツとしてのセラミック複合装甲板の斜視図である。 操舵室内へ取付けたときのセラミック複合装甲板の概略図である。 柱や配管が設けられた壁面を取付対象とするセラミック複合装甲板の正面図である。 被取付対象物の壁面が曲面であるセラミック複合装甲板の平面図である。
符号の説明
1…高強度繊維強化樹脂板、2…窓部、11a,11b…セラミック複合装甲板、12…セラミックタイル、21…セラミック複合装甲板、22…窓部

Claims (4)

  1. 高強度繊維強化樹脂板を、被取付対象物の内壁又は外壁に合わせて該被取付対象物と同じ外形寸法に形取り切断し、前記切断された高強度繊維強化樹脂板の表面に、その形状に合わせてセラミックタイルを隙間が生じないように、接着シートを介して敷き詰めて仮貼りした後、成形温度100〜200℃、成形圧力0.1〜13MPaに加熱、加圧して接合することを特徴とするセラミック複合装甲板の製造方法。
  2. 前記高強度繊維強化樹脂板が、高延伸高密度ポリエチレン繊維樹脂板であることを特徴とする請求項1記載のセラミック複合装甲板の製造方法。
  3. 高強度繊維強化樹脂板を、被取付対象物の内壁又は外壁に合わせて該被取付対象物と同じ外形寸法に形取り切断し、前記切断された高強度繊維強化樹脂板の表面に、その形状に合わせてセラミックタイルを隙間が生じないように、接着シートを介して敷き詰めて仮貼りした後、成形温度100〜200℃、成形圧力0.1〜13MPaに加熱、加圧することで接合してなるセラミック複合装甲板を、前記被取付対象物の形取りした位置に合わせて取り付け、固定することを特徴とするセラミック複合装甲板の取付方法。
  4. 前記セラミック複合装甲板を、前記被取付対象物にボルトで取り付け、固定することを特徴とする請求項3記載のセラミック複合装甲板の取付方法。
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