JP5295085B2 - プラズマ処理装置 - Google Patents

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この発明は、プラズマ処理装置、例えば、基板をエッチングするエッチング装置や基板の表面に薄膜を形成する成膜装置等、高周波電力が供給された高周波アンテナにより生成されるプラズマを利用して対象物に各種の処理を施すプラズマ処理装置に関する。
従来から、例えば特許文献1に記載のように、磁束密度が「0」となるゼロ磁場領域をプラズマ中に形成するプラズマエッチング装置が知られている。このような装置によれば、プラズマ中における電子がプラズマ空間の磁場勾配に従ってゼロ磁場領域へと移動するため、ゼロ磁場領域を形成しない装置と比べてより高密度のプラズマを生成することができる。上記プラズマエッチング装置は、円筒状の真空容器の外周に巻かれた3段の磁場コイルを有しており、上段及び下段の磁気コイルに同方向の電流が供給されて且つ、これら磁場コイルに供給された電流とは反対向きの電流が中段の磁場コイルに供給されることによって容器の周方向に沿ったループ状のゼロ磁場領域が同容器内に形成される。また、このプラズマエッチング装置は、上記3段の磁気コイルと同様、容器の外周に巻かれた高周波アンテナを有している。より詳細には、この高周波アンテナは1本の線路からなる2重巻のループ形状をなし、該ループ間に中段の磁気コイルが位置するかたちで上記容器の外周と磁気コイルとの間に配設されている。こうしたプラズマエッチング装置によれば、磁場コイルに供給する電流値を調整することによりゼロ磁場領域の径が変更可能になることから、高周波アンテナによって誘起されるプラズマのエッチング対象における密度分布を変更することができ、ひいてはエッチング速度の均一性が向上可能にもなる。
特開平8−311667号公報
ところで、上記プラズマエッチング装置では、エッチング処理に由来する生成物や副産物等が真空容器の内表面に付着し、容器内でのエッチング処理が実行される都度、このような付着物が同内表面に堆積する。
一方、上述のようなプラズマエッチング装置においては、真空容器の外周に巻かれた高周波アンテナによって容器内にプラズマが生成される際に、これら高周波アンテナとプラズマとが誘導結合しているとともに容量結合してもいる。そのため、高周波アンテナの内側に位置する真空容器の内表面となる領域には、特に高い負の電圧が印加されて、プラズマ中の正イオンが特に引き込まれることになり、こうした正イオンの衝撃により該領域への付着物の堆積が抑制される。
これに対し、高周波アンテナの内側に位置する真空容器の内表面の領域よりも上記磁気コイルの段方向における上下の領域には、上述のようなエッチング処理に由来する各種物質が付着する。この付着物は、エッチング処理の実行時には容器内の温度の変化や容器内の圧力の変化が繰り返されることにより、上記内表面から剥離する虞がある。そしてこの剥離した付着物は、真空容器内に配置された基板上に落下して、エッチング処理面に付着し、このプラズマエッチング装置での処理を通じて製造される製品の歩留りを悪化させることになる。
また、この付着物が付着している真空容器の内表面付近では、真空容器内に形成される上記ゼロ磁場領域の範囲、あるいは、プラズマ中に含まれる活性種の組成等に影響し、プラズマの状態を経時的に変化させる虞がある。
なお、こうした問題は、上述のようなプラズマエッチング装置に限り生じるものではなく、筒状の容器と、その外周に巻かれた高周波アンテナとを有し、該高周波アンテナによって誘起されたプラズマを用いて基板に各種処理を施す装置、例えば上記磁場コイルを有していないプラズマエッチング装置や、CVD装置等の成膜装置においても概ね共通して生じるものである。
この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、筒状をなす真空容器の内表面において、プラズマ処理の実施に伴う付着物の堆積を抑制可能なプラズマ処理装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、誘電体からなる筒状の周壁部を有して内部に処理対象物を収容する真空容器と、前記周壁部の外周面との間に隙間を有して前記周壁部の外周に沿って配設され、高周波電力が供給されるコイル状の高周波アンテナと、前記周壁部の外周面に巻き付けられた容量結合電極とを備え、前記容量結合電極は、前記周壁部の中心軸線と平行な方向と前記周壁部の外周面の周方向とに周期性を有して前記周壁部の外周面と前記高周波アンテナとの隙間を前記外周面に沿って繰り返し横切るかたちの周回線路を有し、該周回線路に高周波電力が供給されることによって前記真空容器内のプラズマに前記周回線路が容量的に結合されるプラズマ処理装置をその要旨とする。
上記構成によれば、高周波アンテナと真空容器内のプラズマとの間に容量結合が生じることはもとより、容量結合電極と上記プラズマとの間にも容量結合が生じる。そのため、真空容器における周壁部の内周面のうちで、高周波アンテナとプラズマとの間の高周波電力の伝送路となる領域、及び容量結合電極とプラズマとの間の高周波電力の伝送路となる領域に、それらの周囲と比較して高い負の電位が付与されるようになる。つまり、真空容器における周壁部の内周面のうち、高周波アンテナの近傍だけでなく、これ以外の領域、正確には上記容量結合電極の近傍も、それらの周囲と比較して多くの正イオンによってスパッタされることとなる。それゆえに、真空容器の周壁部に高周波アンテナのみが搭載される構成と比較して、プラズマ処理の実施に伴う付着物の堆積がより広範囲にわたり抑制されることとなる。
また高周波電力が高周波アンテナに供給されるとき、該高周波アンテナを流れる高周波電流の方向と垂直な面内、すなわち高周波アンテナが延びる方向と垂直な面内には、該高周波アンテナが中心となる環状の磁力線が形成されるようになる。そして高周波アンテナが延びる方向と垂直な面内では、該高周波アンテナを挟んで相対向する位置に、互いに反対向きとなるような磁場が誘起されるようになる。そのため高周波アンテナの近傍、例えば周壁部の外周面と高周波アンテナとの隙間の周りにも、その隙間を挟んで相対向する位置に、互いに略反対向きとなるような磁場が誘起されるようになる。そして高周波アンテナが延びる方向の全体にわたり、上述するような磁場が誘起されることになる。
ここで、周壁部の外周面に沿って上記隙間を繰り返し横切るように導電性の線路が配置されると、該隙間を挟んで相対向する位置に配置された線路には、互いに反対向きの磁場が透過して、互いに反対向きの電場が該線路に誘起されることになる。そのため、こうした線路を透過する反対向きの磁力線の本数が該線路において異なるようになると、一つの方向の電場の影響が該線路において大きくなって該誘導電場に即した電流が線路上に流れ
ることになってしまう。その結果、該高周波アンテナに供給された高周波電力の一部が、該線路とプラズマとの誘導結合により消費されたり、該線路とプラズマとの間の容量結合が失われたりすることとなる。この点、周壁部の中心軸線と平行な方向と、周壁部の外周面の周方向とにそれぞれ周期性を有して上記隙間を外周面に沿って線路が横切る構成であれば、上記隙間を挟んで相対向する位置で上述するような誘導電場が互いに相殺されることとなる。それゆえに高周波アンテナに供給された高周波電力の損失を抑えつつ、該線路とプラズマとの間を確実に容量的に結合することができる。
したがって、容量結合電極に供給された高周波電力のうち、プラズマ生成に寄与する電力量が減少して、プラズマ密度が低下することを抑制しつつも、上述のような付着物の堆積を抑制する効果が得られるようになる。
なお、ここでいう周壁部の内周面に付与される負の電位とは上述のように、高周波アンテナあるいは容量結合電極と真空容器内のプラズマとの容量結合に起因するものであり、真空容器内にプラズマが生成されることにより、該プラズマに含有される電子が周部の内周面に衝突することに起因する負の電位、いわゆるセルフバイアス電位よりも高い電位のことである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のプラズマ処理装置において、前記周回線路は前記周壁部の外周面上において正弦波状をなすことをその要旨とする。
上記構成によれば、周回線路を有する容量結合電極が、周壁部の中心軸線と平行な方向と同周壁部の外周面の周方向とに周期性を有することになり、当該容量結合電極の線路上の誘導電場は、正弦波の1周期内にて確実に相殺されることになる。ゆえに、高周波アンテナに供給された高周波電力が容量結合電極の線路によって消費されることを抑制し、該線路とプラズマとの間の容量結合を実現させることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置において、前記周回線路は、前記周壁部の中心軸線と平行な方向と前記周壁部の外周面の周方向とに周期性を有する構造単位が前記周壁部の外周面の周方向に2つ以上繰り返されてなることを要旨とする。
上記構成によれば、周回線路を構成する構造単位において誘導電場が相殺されて、このような構造単位が外周面の周方向に繰り返されることになる。そのため、構造単位が周方向に繰り返される分、周回線路の密度を周壁部の外周面上において高くすることができ、上述のように付着物の堆積を抑制できる領域がより広範囲になる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置において、前記容量結合電極は、前記周回線路の半周期内において該周回線路から分岐する有端の分岐線路を更に有し、前記分岐線路は、前記周回線路に半周期毎に設けられて且つ、前記周回線路を前記周壁部の外周面の周方向に変位させた線路の形状と重なるように配置されることをその要旨とする。
上記構成によれば、真空容器内のプラズマと容量結合する容量結合電極が、周回線路から分岐する有端の分岐線路を有するようにしているため、上記周壁部近傍においては、周回線路とプラズマとの容量結合に加え、分岐線路とプラズマとの容量結合が生じるようにもなる。つまり、周壁部の内周面において、上記セルフバイアス電位よりも高い負電位が付与される領域が拡大され、ひいては、周壁部の内周面において、上記付着物の堆積を抑制可能な領域が拡大されることになる。加えて、上記構成では、こうした分岐線路が、周回線路の半周期毎に設けられるとともに、周回線路を周壁部の周方向に変位させた線路と重なるように配置されている。つまり、該分岐線路は、周回線路が有する周期性の一部を
有することになり、分岐線路同士、特に、ある分岐線路とその半周期前あるいは半周期先に設けられた分岐線路とは、互いに反対向きの誘導電場を受けやすくなる。それゆえ、上記周回線路と同様、分岐線路においても高周波アンテナに供給された高周波電力の消費が抑制され、該分岐線路と真空容器内のプラズマとの間が容量的に結合しやすくなる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置において、前記容量結合電極は、前記周壁部の外周面の径方向から見て、前記高周波アンテナと重畳しない領域の線路の幅が前記高周波アンテナと重畳する領域の線路の幅よりも広いことをその要旨とする。
上記構成では、周回線路、あるいは周回線路と分岐線路とからなる容量結合電極のうち、それの高周波アンテナと重畳していない領域の幅を、高周波アンテナと重畳する領域よりも広くするようにしている。これにより、プラズマと容量結合する電極の面積が高周波アンテナと重畳していない領域で拡大され、この容量結合により負の電位が付与される上記周壁部の内周面の面積も拡大される。そのため、該周壁部の内周面のうち、上記プラズマに起因する付着物が堆積する領域をより効果的に縮小することができるようになる。
本発明に係るプラズマ処理装置をプラズマエッチング装置として具現化した一実施の形態の概略構成を示す概略構成図。 プラズマエッチング装置が備える誘電体円筒部と容量結合電極との斜視構造を示す斜視図。 (a)誘電体円筒部及び容量結合電極を切断線Lcpで切り開いた構造を示す展開図(b)容量結合電極を構成する単位構造を拡大して示す拡大図。 他の実施の形態に係るプラズマエッチング装置が備える誘電体円筒部及び容量結合電極を切断線Lcpで切り開いた構造を示す展開図。 他の実施の形態に係るプラズマエッチング装置が備える誘電体円筒部及び容量結合電極を切断線Lcpで切り開いた構造を示す展開図。 他の実施の形態に係るプラズマエッチング装置が備える誘電体円筒部及び容量結合電極を切断線Lcpで切り開いた構造を示す展開図。 他の実施の形態に係るプラズマエッチング装置が備える誘電体円筒部及び容量結合電極を切断線Lcpで切り開いた構造を示す展開図。
以下、本発明に係るプラズマ処理装置をプラズマエッチング装置として具現化した一実施の形態について、図1〜図3を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係るプラズマエッチング装置の概略構成を示している。同図1に示されるように、プラズマエッチング装置10が有する金属円筒部11には、この金属円筒部11よりも縮径された誘電体円筒部12が、これら金属円筒部11及び誘電体円筒部12各々の中心を通る軸線が中心軸線Cとして一致するように積載されている。誘電体円筒部12は、筒状の誘電体であって、プラズマエッチング装置10における周壁部を構成している。誘電体円筒部12の形成材料には石英の他、石英よりも比誘電率の高誘電率材料を用いることができる。高誘電率材料としては、例えば、高純度透光性アルミナセラミックス、高純度透光性イットリアセラミックス、及び高純度窒化アルミニウムセラミックス等の高純度透光性セラミックスが挙げられる。
金属円筒部11の下側開口部には、円環状の底板13が取り付けられており、他方、誘電体円筒部12の上側開口部には、これを封止する天板14が取り付けられている。加えて、金属円筒部11の周壁を径方向に貫通する孔には、金属円筒部11の筒内及び誘電体円筒部12の筒内を排気するための排気管15が連結されており、該排気管15には、例
えばターボ分子ポンプを備える排気装置16が接続されている。
上記金属円筒部11と底板13とに囲まれた空間である基板載置領域11aには、底板13の開口の全体に渡り設けられた絶縁部材13aを介して該開口を封止するように、円柱状の基板ステージ21が配設されている。この基板ステージ21上には、これと同径に形成されて、プラズマエッチング装置10の処理対象である基板Sが載置される静電チャック22が積載されている。該静電チャック22の基板載置面とこれに載置される基板Sとの間には、当該プラズマエッチング装置10にてプラズマエッチング処理が実行されるときに、静電チャック22に載置された基板Sを冷却するためのヘリウムガス等が供給される冷却部が設けられている。また、静電チャック22に内設された基板電極には、例えば13.56MHzの高周波電力を基板Sに印可するバイアス用高周波電源23が、伝送路のインピーダンスと負荷であるプラズマのインピーダンスとの整合を取る整合回路24を介して接続されている。
上記誘電体円筒部12の外側には、該誘電体円筒部12の筒内であるプラズマ生成領域12aにプラズマを誘起する高周波アンテナ31が設けられている。この高周波アンテナ31は、誘電体円筒部12の外周面に沿って二重に巻き回されている。つまり、該高周波アンテナ31は、天板14の側に巻き回された第1コイル31aとこれよりも上記金属円筒部11の側に巻き回された第2コイル31bとから構成されている。また、誘電体円筒部12の外側であって且つ、高周波アンテナ31よりも誘電体円筒部12の側には、上記プラズマ生成領域12aに生成されたプラズマと容量結合する容量結合電極32が巻き付けられている。こうした高周波アンテナ31と容量結合電極32とには、これらに高周波電力を供給する高周波電源33が接続されている。
更に、これら容量結合電極32及び高周波アンテナ31よりも外側には、上段コイル34u、中段コイル34m、及び下段コイル34bを備える磁場コイル34が、上記誘電体円筒部12の外周に沿って設けられている。この磁場コイル34は、上段コイル34uと中段コイル34mとの間に上記高周波アンテナ31の第1コイル31aが挟まれるように、他方、中段コイル34mと下段コイル34bとの間に同高周波アンテナ31の第2コイル31bが挟まれるように配置されている。上記磁場コイル34を構成する各々のコイル34u,34m,34bには、電流供給部35u,35m,35bがそれぞれ接続されている。また、上段コイル34uと下段コイル34bには同一の向きで且つ同大の電流が電流供給部35u及び35bから供給され、他方、中段コイル34mには、これら上段コイル34u及び下段コイル34bに供給される電流とは反対向きで且つ任意の大きさの電流が電流供給部35mから供給される。
上記天板14のプラズマ生成領域12a側の面には、当該プラズマエッチング装置10でのプラズマエッチング処理に用いられる各種ガスを該プラズマ生成領域12a内に均一に供給するためのシャワープレート41が設けられている。このシャワープレート41には、上記各種ガスの流量を調量しつつプラズマ生成領域12aの側に供給するガス供給部42が接続されている。
こうしたプラズマエッチング装置10にて上記基板Sにエッチング処理が実行される際には、まず、処理の対象となる基板Sがプラズマエッチング装置10に形成された搬入口から真空容器内に搬入され、静電チャック22の基板載置面に載置される。次いで、所定の流量に調量された八フッ化シクロブタン(C)等のエッチングガスが、ガス供給部42から真空容器内に供給される。その後、電流供給部35u,35m,35bからの電流が磁場コイル34に供給されて、プラズマ生成領域12aにおける上記中段コイル34mを含む平面上に環状のゼロ磁場領域が形成される。これに伴い、高周波電源33から高周波アンテナ31に電力が供給されると、それの第1コイル31a及び第2コイル31
bには、該高周波アンテナ31における高周波電流の流通方向と垂直な面内に、これら第1及び第2コイル31a,31bを中心に環状の磁力線B(図1の二点鎖線)が形成される。そして高周波アンテナ31の2つのコイル31a,31bの周りに誘起された磁場がプラズマ生成領域12a内に誘導電場を形成し、これによりエッチングガスを原料としたプラズマが生成される。つまり、プラズマ生成領域12aには、誘導結合によるプラズマが生成される。この際、プラズマ中の電子は磁場勾配に従って移動する、つまりプラズマ中の電子は上記ゼロ磁場領域に向けて移動する。そのため、ゼロ磁場領域に近い程そのプラズマ密度が高く、該ゼロ磁場領域からの距離が大きくなる程そのプラズマ密度が低くなるという密度分布でプラズマが生成される。
また、高周波電流の流通方向と垂直な面内においては、高周波アンテナ31を挟んで相対向する位置に、互いに反対向きとなるような磁場が誘起される。そのため、高周波アンテナ31の近傍となる、例えば誘電体円筒部12の外周面と当該高周波アンテナ31との隙間の周りにも、この隙間を挟んで相対向する位置に、互いに略反対向きの磁場が誘起されるようになる。
そして、静電チャック22に内設された基板電極に、バイアス用高周波電源23から例えば13.56MHzの高周波電力が供給されることで、基板Sにプラズマに対して負のバイアス電圧が印加される。こうして基板Sにバイアス電圧が印加されると、プラズマに含有される正イオンをはじめとする各種励起種がエッチャントとして基板Sに向かって飛行し、基板Sを所定の形状にエッチングする。なお、こうしたエッチャントによるエッチング時には、基板Sに対するエッチャントの衝突時に該エッチャントが有する熱が基板Sに付与されて、その温度が上昇する。そのため、ドライエッチング処理時には、例えばその開始時から、基板Sの温度上昇を抑制するヘリウムガスが基板Sの裏面と静電チャック22の基板載置面との間に供給される。
このようなエッチング処理が実行されると、これによる生成物や副産物等が真空容器の内表面に付着するようになり、しかもこうした各種物質の付着は、エッチング処理が実行される都度繰り返され、真空容器の内表面には次第に付着物が堆積するようになる。
一方、上記プラズマエッチング装置10においては、誘電体円筒部12の外周に巻かれた高周波アンテナ31と、プラズマ生成領域12aに生成されるプラズマとが誘導結合されることに加え、容量的にも結合されている。この高周波アンテナ31と真空容器内のプラズマとの間の容量結合によれば、上記誘電体円筒部12の内表面のうち、高周波アンテナ31の内側となる領域に、他の領域よりも高い負の電圧が印加されるようになる。すなわち、誘電体円筒部12の内表面のうち、高周波アンテナ31の内側となる領域には、プラズマ中の正イオンが特に引き込まれることになり、こうした正イオンの衝撃により同領域への上記付着物の堆積が抑制されるようになる。
これに対し、誘電体円筒部12の内表面のうち、高周波アンテナ31の内側となる領域以外の領域には、上述のようなエッチング処理由来の各種物質が付着することになり、該エッチング処理の繰り返しにより、次第にその量が増大することになる。他方、エッチング処理の実行時には真空容器内の温度の変化や容器内の圧力の変化が繰り返されるとともに、こうして堆積した付着物は、これらの変化を受けることで上記内表面から剥離し、真空容器内に収容された基板Sを汚染する虞がある。
そこで、本実施の形態においては、上記誘電体円筒部12の外周面と高周波アンテナ31との隙間を横切るように配置された容量結合電極32を設けるようにしている。これにより、高周波アンテナ31と真空容器内のプラズマとによる容量結合に加え、容量結合電極32とプラズマとの容量結合によっても、誘電体円筒部12の内周面にこれのバイアス
電圧よりも高い負電位が印加されるようになる。つまり、該誘電体円筒部12の内周面においてプラズマに含有される正イオンによりスパッタされる領域が拡大されるようになる。
なお、誘電体円筒部12の形成材料として上記高誘電率材料を用いることにより、高周波アンテナ31に供給された高周波電力が、誘電体円筒部12をより効率的に透過するようになる。これにより、プラズマ生成領域12a内に生成されるプラズマの密度が高くなる。その結果、誘電体円筒部12をスパッタ可能な正イオンの密度も高くなることから、該誘電体円筒部12の内周面への堆積物の付着を抑制する効果が向上される。
次に、この容量結合電極32の構造、及び、該容量結合電極32と真空容器内のプラズマとの容量結合の詳細について、図2及び図3を参照して以下に説明する。
図2は、上記誘電体円筒部12と、これに巻き付けられた容量結合電極32との斜視構造を示している。同図2に示されるように、例えば石英からなる誘電体円筒部12の外周面12bには、その全周に渡り、アルミニウムや銅等の導電性材料の線材によって形成された容量結合電極32が巻き付けられている。該容量結合電極32は、誘電体円筒部12の中心軸線Cと平行な方向である方向DP、及び同誘電体円筒部12の外周面の周方向である方向Dθに周期性を有する形状である。なお、該容量結合電極32は、誘電体円筒部12の外周面12bに巻き付けられた状態で、上記高周波アンテナ31と共々、その外側からこれらの配設位置を固定する部材により位置決めされた上で固定されている。
図3(a)は、これら誘電体円筒部12及び容量結合電極32を、上記方向DPと平行な切断線Lcpで切り開いて展開した構造を実線にて示すとともに、同切断線Lcpにおいて切り開いた上記高周波アンテナ31の展開構造を二点差線にて示している。同図3(a)に示されるように、誘電体円筒部12の外周面12b上に設けられた容量結合電極32は、高周波アンテナ31側から見て、第1コイル31a及び第2コイル31bと複数回交差するとともに、誘電体円筒部12の外周面12bの全周に渡り、連続的に成形された周回線路32aを有している。また、該容量結合電極32は、こうした周回線路32aから分岐して、高周波アンテナ31側から見て、第1コイル31a及び第2コイル31bのいずれか一方と交差する分岐線路32bを有している。これら周回線路32aと分岐線路32bとから構成される容量結合電極32は、これを構成する最小単位である電極単位構造32Uを3つ有している。なお、上記容量結合電極32を構成する電極単位構造32Uの個数は3つに限らず、例えば誘電体円筒部12の直径等に応じて、1以上の任意の数とすることが可能である。
図3(b)は、上記容量結合電極32が有する電極単位構造32Uの1つを拡大して示している。同図3(b)に示されるように、電極単位構造32Uを構成する周回線路32aは、2つの周回平行要素A1,A2、及び2つの周回斜め要素A3,A4から構成されている。詳述すると、周回線路32aは、高周波アンテナ31側から見て、上記第2コイル31bの下側に配置されて該第2コイル31bと平行な周回平行要素A1と、上記第1コイル31aの上側に配置されて該第1コイル31aと平行な周回平行要素A2とを有している。また周回線路32aは、高周波アンテナ31側から見て、周回平行要素A1とのなす角度が角度θ1(θ1<90)になるように、周回平行要素A1の先端から周回平行要素A2の基端に向けて延びる周回斜め要素A3を有し、該周回斜め要素A3によって周回平行要素A1の先端と周回平行要素A2の基端とが接続されている。さらにまた周回線路32aは、高周波アンテナ31側から見て、隣接する他の電極単位構造32Uの周回平行要素A1とのなす角度が角度θ2(θ2>90)になるように、該周回平行要素A1の基端から周回平行要素A2の先端に向けて延びる周回斜め要素A4を有し、該周回斜め要素A4によって他の電極単位構造32Uの周回平行要素A1の基端と周回平行要素A2の先端とが接続されている。
なお、本実施の形態においては、周回平行要素A1,A2における方向Dθの端を基端とし、方向Dθとは反対方向の端を先端とする。また本実施の形態における角度θ1及び角度θ2は、周回平行要素A1を含む直線を基準として左回りに規定されるものであって、例えば角度θ1が45度とされ、角度θ2が135度とされている。
上記周回斜め要素A3には、分岐平行要素B1及び分岐斜め要素B3を有する2本の分岐線路32bが接続され、また上記周回斜め要素A4には、分岐平行要素B2及び分岐斜め要素B4を有する分岐線路32bが接続されている。これら分岐線路を構成する各分岐平行要素B1,B2及び各分岐斜め要素B3,B4のうち、2つの分岐平行要素B1は、上記周回平行要素A1を含む直線上に配置されており、他方、2つの分岐平行要素B2は、上記周回平行要素A2を含む直線上に配置されている。また、2つの分岐斜め要素B3は、上記周回斜め要素A3上の異なる2点から分岐し、且つ、上記周回斜め要素A4と平行をなすように配置されている。また2つの分岐斜め要素B4は、上記周回斜め要素A4上の異なる2点から分岐し、且つ、上記周回斜め要素A3と平行をなすように配置されている。
ちなみに、これら各要素のうち、各平行要素A1,A2,B1,B2はその方向Dθの長さLa、つまり、上記高周波アンテナ31と平行な方向における長さLaが20mmである。また第2コイル31bの下側に配置される周回平行要素A1及び分岐平行要素B1と、第1コイル31aの上側に配置される周回平行要素A2及び分岐平行要素B2との間の方向DPにおける距離Lbは110mmである。また、上述したような各要素を含んで構成される周回線路32a及び分岐線路32bは、その線路幅Lcが3mmである。また、こうした容量結合電極32は、例えば1mmの厚さを有するアルミニウム板から切出し形成される。
先にも示した図3(a)のように、本実施の形態では、上記容量結合電極32はこうした電極単位構造32Uを3つ有してなる。つまり、誘電体円筒部12の外周面12bの周方向である方向Dθにおいて120度進行する毎に1周期をなすような周期性を有している。加えて、同容量結合電極32は、誘電体円筒部12の中心軸線Cと平行な方向である方向Dθにおいて凡そ半周期進行する毎に、方向DPにおいて周回平行要素A1と周回平行要素A2とが往来する。つまり、容量結合電極32は、方向DPにおいても周期性を有した形状である。
ここで上述ように、上記高周波アンテナ31に高周波電力が供給されるときには、該高周波アンテナ31を流れる高周波電流の方向においては、高周波アンテナ31を中心に右回りの磁力線Bが形成されるようになる。つまり、上記高周波電流の方向と垂直な面内においては、高周波アンテナ31を挟んで相対向する位置に、互いに反対向きとなるような磁場が誘起されるようになる。より詳細には、先の図3(a)に示されるように、高周波アンテナ31が有する第1コイル31aを挟んで方向DPにおいて相対向する位置に、互いに反対向きとなる磁場が誘起されるとともに、第2コイル31bについても同様に、これを挟んで方向DPにおいて相対向する位置に、互いに反対向きとなる磁場が誘起される。そのため高周波アンテナ31の近傍、例えば誘電体円筒部12の外周面12bと高周波アンテナ31との隙間の周りにも、その隙間を挟んで相対向する位置に、互いに略反対向きとなるような磁場が誘起されるようになる。そして高周波アンテナ31の周方向においては、上述するような磁場が高周波アンテナ31の方向Dθの全体にわたり誘起されることになる。
上記容量結合電極32は、こうした誘電体円筒部12の外周面と高周波アンテナ31との隙間を該誘電体円筒部12の外周面に沿って横切るように配置される。そのため、該隙
間を挟んで相対向する容量結合電極32上の位置には、上述するような互いに反対向きの磁場によって互いに反対向きの電場が誘起されることになる。例えば、先に示した図3(a)及び図3(b)に記載のように、容量結合電極32上において、上記各平行要素A1,B1と各平行要素A2,B2とが高周波アンテナ31を挟んで相対向する位置に配置される。そのため、各平行要素A1,B1に誘起される電場E1と、周回平行要素A2,B2に誘起される電場E2とは互いに反対の向きとなる。そのため、容量結合電極32が有する周回線路32a及び分岐線路32bが高周波アンテナ31を流れる高周波電流の方向と垂直な方向、及び平行な方向等に偏った形状を有する場合、偏った側における電場の影響が容量結合電極32において支配的となって電場E1あるいは電場E2に即した電流が周回線路32a上に流れることになる。その結果、高周波アンテナ31に供給された高周波電力の一部が容量結合電極32とプラズマとの誘導結合により消費される、あるいは、こうした誘導結合により容量結合電極32とプラズマとの間の容量結合が失われることとなる。
この点、当該容量結合電極32は、誘電体円筒部12の中心軸線Cと平行な方向である上記方向DPと、同誘電体円筒部12の外周面の周方向である方向Dθとにそれぞれ周期性を有して上記隙間を横切る構成であることから、上記隙間を挟んで相対向する位置で上述するような電場E1と電場E2とが互いに相殺されることとなる。それゆえに高周波アンテナ31に供給された高周波電力の損失を抑えつつ、容量結合電極32とプラズマとの間の容量結合を確実に実現させることが可能となる。したがって、高周波電力のうちプラズマ生成に寄与する電力量が減少して、プラズマ密度が低下することを抑制しつつも、上述のような付着物の堆積を抑制する効果が得られるようになる。
また、容量結合電極32が有する周回線路32aにおいては、上記周回平行要素A1と周回平行要素A2との距離が一定に保たれている。しかも互いに隣接する周回斜め要素A3と周回斜め要素A4とは、これらが接続された周回平行要素A1あるいは周回平行要素A2の方向Dθの中点を通り、上記中心軸線Cと平行な直線を対象軸とする線対称の関係を有している。すなわち、容量結合電極32の周回線路32aは、外周面12b上において正弦波状を呈している。このような方向DPと方向Dθとに周期性を有する周回線路32aであれば、当該周回線路32aに誘起される電場が周回線路32aの1周期内にて確実に相殺されることになる。それゆえに、上記高周波アンテナ31に供給された高周波電力が周回線路32aによって消費されることを抑制し、該周回線路32aとプラズマとの容量結合を実現させることができる。
一方、周回線路32aを構成する周回斜め要素A3からは分岐線路32bを構成する分岐斜め要素B3が分岐し、また、周回線路32aを構成する周回斜め要素A4からは分岐線路32bを構成する分岐斜め要素B4が分岐している。つまり、周回線路32aからは、その半周期内において例えば2本の分岐線路32bが分岐するとともに、こうした分岐線路32bは、電極単位構造32Uの半周期毎に繰り返し周回線路32aから分岐している。
このように、本実施の形態では、容量結合電極32は周回線路32aに加えて、同周回線路32aから分岐する分岐線路32bを有することから、上記誘電体円筒部12の近傍においては、周回線路32aとプラズマとの容量結合が生じる領域に加え、分岐線路32bとプラズマとの容量結合が生じる領域が存在するようになる。つまり、誘電体円筒部12の内周面において、上記セルフバイアス電位よりも高い負電位が付与される領域が拡大され、ひいては、同誘電体円筒部12の内周面において、上記付着物の堆積が抑制されることになる。
しかも、上記分岐線路32bを構成する線路要素のうち、分岐斜め要素B3は周回線路
32aを構成する周回斜め要素A4と平行をなすように、また、同分岐線路32bを構成する分岐斜め要素B4は周回線路32aを構成する周回斜め要素A3と平行をなすように配置されている。つまり、周回線路32aを上記方向Dθに変位させた仮想的な線路と、上記分岐斜め要素B3,B4とが重なることになるように、分岐斜め要素B3,B4が構成されている。換言すれば、こうした分岐線路32bは、これの分岐基である周回線路32aが有する周期性の一部を有することになり、分岐線路32b同士、特に、一つの分岐線路32bと該分岐線路32bの半周期前あるいは半周期先に配置された他の分岐線路32bとには、互いに反対向きの誘導電場が生じる可能性が高くなる。それゆえ、上記周回線路32aと同様、分岐線路32bにおいても高周波アンテナ31に供給された高周波電力の消費が抑制され、該分岐線路32bと真空容器内のプラズマとの容量結合が実現されやすくなる。
以上説明したように、本実施の形態に係るプラズマエッチング装置によれば、以下に列挙する効果が得られるようになる。
(1)誘電体円筒部12の外周面と高周波アンテナ31との隙間に導電性の容量結合電極32を設けることにした。これにより、高周波アンテナ31と真空容器内のプラズマとの間に容量結合が生じることはもとより、容量結合電極32と上記プラズマとの間にも容量結合が生じる。そのため、真空容器における誘電体円筒部12の内周面のうちで、高周波アンテナ31とプラズマとの間の高周波電力の伝送路となる領域と、容量結合電極32とプラズマとの間の高周波電力の伝送路となる領域との両方に、それらの周囲と比較して高い負の電位が付与されるようになる。つまり、誘電体円筒部12の内周面のうち、高周波アンテナ31の近傍だけでなく、これ以外の領域、正確には上記容量結合電極32の近傍も、それらの周囲と比較して多くの正イオンによってスパッタされることとなる。それゆえに、誘電体円筒部12に高周波アンテナ31のみが搭載される構成と比較して、プラズマ処理の実施に伴う付着物の堆積が該誘電体円筒部12の内周面において抑制されることとなる。
(2)容量結合電極32を、誘電体円筒部の中心軸線Cと平行な方向である方向DPと、同誘電体円筒部12の外周面の周方向である方向Dθとにそれぞれ周期性を有しつつ上記隙間を誘電体円筒部12の外周面に沿って横切る構成とした。これにより、上記隙間を挟んで相対向する位置において誘導電場が互いに相殺されることとなる。それゆえに高周波アンテナ31に供給された高周波電力の損失を抑えつつ、容量結合電極32とプラズマとの間の容量結合を確実に実現させることが可能となる。したがって、高周波電力のうちプラズマ生成に寄与する電力量が減少して、プラズマ密度が低下することを抑制しつつも、上述のような付着物の堆積を抑制する効果が得られるようになる。
(3)容量結合電極32が有する周回線路32aを外周面12b上において正弦波状とした。これにより、こうした周回線路32a有する容量結合電極32は、誘電体円筒部12の中心軸線Cと平行な方向である方向DPと、同誘電体円筒部12の外周面12bの周方向である方向Dθとに周期性を有することになり、当該容量結合電極32の周回線路32a上の誘導電場は、正弦波の1周期内にて確実に相殺されることになる。それゆえに、高周波アンテナ31に供給された高周波電力が容量結合電極32の周回線路32aによって消費されることを抑制し、該周回線路32aとプラズマとの間を確実に容量的に結合することができる。
(4)中心軸線Cと平行な方向DPと、外周面12bの周方向と平行な方向Dθとに周期性を有する電極単位構造32Uが方向Dθに沿って複数連接されるかたちに周回線路32aが構成されて、その電極単位構造32Uの繰り返し数を3とした。このような構成によれば、周回線路32aを構成する電極単位構造32Uにおいて誘導電場が相殺されて、該電極単位構造32Uが方向Dθに繰り返される分、周回線路32aの密度を外周面12
b上において高くすることができ、上述のような付着物の堆積を抑制する効果がより広範囲にわたって得られるようになる。
(5)容量結合電極32が、周回線路32aから分岐する有端の分岐線路32bを有するようにした。これにより、上記誘電体円筒部12の近傍においては、周回線路32aとプラズマとによる容量結合が生じる領域に加え、分岐線路32bとプラズマによる容量結合が生じる領域が存在するようになる。つまり、誘電体円筒部12の内周面において、上記セルフバイアス電位よりも高い負電位が付与される領域が拡大され、ひいては、同誘電体円筒部12の内周面において、上記付着物の堆積が抑制されることになる。
(6)周回線路32aの半周期毎に分岐線路32bが設けられるとともに、周回線路32aを方向Dθに変位させた仮想的な線路と該分岐線路32bとが重なるようにした。つまり、該分岐線路32bは、これの分岐基である周回線路32aが有する周期性の一部を有することになり、分岐線路32b同士、特に、一つの分岐線路32bと該分岐線路32bの半周期前あるいは半周期先に設けられた他の分岐線路32bとには、互いに反対向きの誘導電場が生じる可能性が高くなる。それゆえ、上記周回線路32aと同様、分岐線路32bにおいても高周波アンテナ31に供給された高周波電力の消費が抑制され、該分岐線路32bと真空容器内のプラズマとの間が容量的に結合しやすくなる。
なお、上記実施の形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・誘電体円筒部12は金属円筒部11に積層され、該金属円筒部11にて区画される基板載置領域に基板Sを載置する基板ステージ21を設けるようにした。これに限らず、金属円筒部11を割愛して、誘電体円筒部12により区画されるプラズマ生成領域12a中に基板ステージ21を配設するようにしてもよい。
・プラズマ生成領域12aにゼロ磁場領域が生成されることを前提としたが、これに限らず、上記磁場コイル34及びこれに電流を供給する電流供給部35u,35m,35bが割愛されてゼロ磁場領域が生成されない構成であってもよい。
・容量結合電極32が有する周回線路32aから分岐する分岐線路32bの数は、同周回線路32aの半周期において2本とした。これに限らず、分岐線路32bの数は任意に設定することができる。例えば、図4に示されるように、容量結合電極32は周回線路32aを有するとともに、この周回線路32aからはその半周期において、4本の分岐線路32bがする構成であってもよい。ただし、上記第1コイル31aに平行な線路要素同士、及び上記第2コイル31bに平行な線路要素同士は、互いに離間して設けられる必要がある。
・容量結合電極32を構成する各線路32a,32bの線路幅Lcを3mmとした。これに限らず、例えば図5に示されるように、容量結合電極32を構成する周回線路32a及び分岐線路32bの線路幅Lcを10mmとするようにしてもよく、高周波コイル32による誘導電場が容量結合電極32に誘起されない範囲であれば、これら線路幅Lcは任意に設定可能である。
・容量結合電極32を構成する各線路32a,32bの線路幅は全て3mmとした。これに限らず、例えば図6に示されるように、容量結合電極32が有する周回線路32a及び分岐線路32bのうち、上記高周波アンテナ31に平行な各平行要素の線路幅Lc2を10mmとし、その他の各斜め要素の線路幅Lc1を3mmとしてもよい。これにより、
(7)真空容器内のプラズマと容量結合する容量結合電極32の面積が高周波アンテナ31の上側及び下側で相対的に拡大される。そのため、高周波アンテナ31に同じ高周波電力が供給される上では、誘電体円筒部12の内周面に対する付着物の堆積をより効果的
に抑制することができるようになる。
といった効果が得られるようになる。
・また、上記のように、線路幅を拡大する領域としては、上記第1コイル31aと平行な線路、及び第2コイル31bと平行な線路に限らず、当該容量結合電極が有する線路要素のうち、上記誘電体円筒部12の外周面の径方向から見て、高周波アンテナ31と重畳しない領域としてもよい。
・加えて、上記線路幅Lc1に対する線路幅Lc2の拡大割合は、上述のように「Lc1:Lc2=3:10」に限らず、任意に設定可能である。
・周回線路32aを方向Dθに変位させた仮想的な線路と分岐線路32bとが重なるように、分岐斜め要素B4を周回斜め要素A3と平行とするとともに、分岐斜め要素B3を周回斜め要素A4と平行とするようにした。これに限らず、高周波コイル32による誘導電場が分岐線路32bに誘起されないかたちであれば、周回線路32aを方向Dθに変位した仮想的な線路と分岐線路32bとが重ならないようにしてもよい。
・周回線路32aの半周期毎に分岐線路32bを設けるようにしたが、例えば、周回線路32aの1周期毎、あるいは複数周期毎に分岐線路32bを設けるようにしてもよい。
・容量結合電極32は、周回線路32aとこれを分岐基とする分岐線路32bとを有するようにしたが、分岐線路32bを割愛してもよい。この分岐線路32bを割愛した構成としては、例えば図7に示されるように、容量結合電極32が周回線路32aのみからなって且つ、該周回線路32aが、上記方向DPと平行な線路要素と上記方向Dθと平行な線路要素との繰り返しからなるようにしてもよい。
・また、容量結合電極32を構成する周回線路32aが正弦波状をなすようにしたが、これに限らず、例えば先の図7に示されるように周回線路32aが矩形波状をなすようにしてもよいし、若しくは、三角波状、鋸歯状等、要するに上記方向DP及び方向Dθにおいて周期性を有する形状であればよい。
・誘電体円筒部12の構成材料は、石英や高誘電率材料に限らず、例えばアルミナ等の他の誘電体であってもよい。
・プラズマ処理装置をプラズマエッチング装置10として具現化したが、これに限らず、例えば、CVD装置等の成膜装置として具現化することも可能である。
10…プラズマエッチング装置、11…金属円筒部、11a…基板載置領域、12…誘電体円筒部、12a…プラズマ生成領域、12b…外周面13…底板、13a…絶縁部材、14…天板、15…排気管、16…排気装置、21…基板ステージ、22…静電チャック、23…バイアス用高周波電源、24…整合回路、31…高周波アンテナ、31a…第1コイル、31b…第2コイル、32…容量結合電極、32a…周回線路、32b…分岐線路、32U…電極単位構造、33…放電用高周波電源、34…磁場コイル、34u…上段コイル、34m…中段コイル、34b…下段コイル、35u,35m,35b…電流供給部、41…シャワープレート、42…ガス供給部、S…基板。

Claims (5)

  1. 誘電体からなる筒状の周壁部を有して内部に処理対象物を収容する真空容器と、
    前記周壁部の外周面との間に隙間を有して前記周壁部の外周に沿って配設され、高周波電力が供給されるコイル状の高周波アンテナと、
    前記周壁部の外周面に巻き付けられた容量結合電極とを備え、
    前記容量結合電極は、
    前記周壁部の中心軸線と平行な方向と前記周壁部の外周面の周方向とに周期性を有して前記周壁部の外周面と前記高周波アンテナとの隙間を前記外周面に沿って繰り返し横切るかたちの周回線路を有し、該周回線路に高周波電力が供給されることによって前記真空容器内のプラズマに前記周回線路が容量的に結合されるプラズマ処理装置。
  2. 前記周回線路は、前記周壁部の外周面上において正弦波状をなす
    ことを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  3. 前記周回線路は、前記周壁部の中心軸線と平行な方向と前記周壁部の外周面の周方向とに周期性を有する構造単位が前記周壁部の外周面の周方向に2つ以上繰り返されてなる
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置において、
    前記容量結合電極は、
    前記周回線路の半周期内において該周回線路から分岐する有端の分岐線路を更に有し、
    前記分岐線路は、
    前記周回線路の半周期毎に設けられて且つ、前記周回線路を前記周壁部の外周面の周方向に変位させた線路の形状と重なるように配置される
    ことを特徴とするプラズマ処理装置。
  5. 前記容量結合電極は、
    前記周壁部の外周面の径方向から見て、前記高周波アンテナと重畳しない領域の線路の幅が前記高周波アンテナと重畳する領域の線路の幅よりも広い
    請求項1〜4のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
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