JP5294179B2 - 加速器による複数核種の同時製造方法及び装置 - Google Patents

加速器による複数核種の同時製造方法及び装置 Download PDF

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Description

本発明は、加速器による複数核種の同時製造方法及び装置に掛かり、特に、放射性薬剤として需要の大きいモリブデン99とテクネチウム99mのような、半減期の異なる複数の核種を効率良く製造することが可能な、加速器による複数核種の同時製造方法及び装置に関する。
1.モリブデン99とテクネチウム99m
世界的に核医学、画像診断分野で利用されているテクネチウム99m(Tc−99m、半減期6時間)は、核医学において利用される放射性同位元素のうち、7割以上を占める主役であり、また、モリブデン99(Mo−99、半減期66時間)の娘核種としても得られる核種である。放射性薬剤として必要となる核種はTc−99mであり、Mo−99はその原料にすぎない。
具体的なTc−99mの製法は、Mo−99の減衰によって生成したTc−99mを、生理食塩液などによって簡便に溶出・回収する手法が主流となっている。従って、Mo−99の製造量(放射能)がTc−99mの製造量(放射能)を支配する。このような特徴が、あたかも乳牛(Mo−99)から牛乳(Tc−99m)を搾るように見立てられることから、本機構は「ミルキング」あるいは「ジェネレータ」などと呼ばれ、商品化されたものが市販されている。
2.Mo−99の主製造法と特徴
現在市場に流通しているMo−99は、原子炉内生成物として得られたものを回収している。具体的には、高濃度に濃縮したウラニウム235(U−235;同位体濃縮度90%以上)の核分裂生成物が該当する(235U(n、f)99Mo)。世界的な市場供給を目的とし、本反応によるMo−99の製造を行っている原子炉は少数かつ偏在しており(カナダ、オランダ、ベルギー、フランス、南アフリカ等)、安定供給を考慮する場合、不安が残る。
また、原子炉特有の問題として、1)原子炉老朽化を含む潜在的運転リスク、2)高濃度ウラニウムを利用することに起因する核不拡散抵抗性への抵触(U−235を20%未満にする必要があるが、低濃度UからはMo−99を十分に得られない)、3)超長半減期核廃棄物の放射毒性と処理・廃棄物の扱い、などが挙げられる。従ってMo−99/Tc−99mの医学的利用における便益側面は多大であるものの、それに付随する問題の大きさも無視できない。市場では安定かつ大量の要求があるにもかかわらず、原子炉設置には多大な投資及び維持費が掛かるため容易に行えない。また核兵器開発が可能になることから、国によって設置制限があることも事実であり、Mo−99の安定供給は国際的な課題ともいえる。日本に限れば、原子炉は多数存在するものの、Mo−99の生産は行っておらず100%海外依存中であり、国内でのMo−99供給体制を整える重要性は以前から訴えられているが、上記した理由等で具体的な進展はない。
3.Mo−99の代替製法
一方で、Tc−99mの有用性から、別の核反応を用いたMo−99の製造法についての研究が広く進められている。具体的には、熱あるいは速中性子によるMo−98あるいはMo−100の放射化法がまず挙げられる(98Mo(n、γ)99Mo又は100Mo(n、2n)99Mo)。本反応は、原子炉あるいは加速器由来の中性子を用いるため、高濃縮ウラニウムを使用する必要がない。従って、特に規制面での課題はクリアされる。また加速器による製法に至っては、高額な原子炉関連の設備投資費や維持運転費を1/10程度あるいはそれ以下にすることが期待できる、廃棄物問題を考慮しなくて済むといったことだけでなく、生産の制御、つまり原子炉の臨界/停止は容易でないことに対して、加速器のオン/オフは非常に楽に行えるといった安全運用面の利点も挙げられる。
しかしながら、ここに示すような製法、具体的には中性子による放射化製法は、前記した核分裂由来のMo−99を直接得る場合と比較すると、収率面でおよそ1/10程度にしかならない欠点がある。また、Mo−98あるいはMo−100中にMo−99が生成する結果、同位体希釈が起きてしまい(=比放射能が低い)、実際の運用技術ではこれらを分離できない。従って、その後に行われる製剤化処理は、現在の標準となっている確立手法が適用できないという課題もある。但し、問題回避のための別法は開発されており、Tc−99m製剤を得ることは不可能ではない。
加速器による製法の別法として、ターゲットに中性子ではなく荷電粒子、具体的には陽子(プロトン)を照射する方法も研究はされているが、実用的なレベル(例えば医学利用できるほど大量の放射能を得た、あるいはそのための装置一式を実証した等)での報告はまだされていない。
さらに、未臨界の原子炉と、臨界を起こすに足りるだけの中性子供給源として加速器を用いるハイブリッド製法という例も報告されている。この場合のモリブデン照射法は、その他の原子炉法に準ずる。
加速器を用いた手法全般についての先行技術は、いずれの場合も、実用レベルの収量(放射能)を得たものではなく、コンセプトの検討あるいは検証で評価が終わっている。
即ち、非特許文献1は、エネルギー範囲68→8 MeV、非特許文献2は、22→10 MeVの陽子をMo−100に照射するとき、Tc−99m及びMo−99の生成量を見積もったものである。いずれの核種もエネルギーに応じた収率で得られるであろうことが書かれているものの、具体的な照射法や装置構成に関する記述はない。いわゆる実現可能性を探る試験的要素の先行論文であり、物理現象を調査した報告といえる。
非特許文献3、4には、製造する核種は異なるが、異種のターゲットを直列に配置して同時に照射することで、同時に放射性核種を製造することが記載されている。ターゲットとなる物質は、非特許文献3では、11C製造用の気体ターゲットと18F製造用の液体ターゲットであり、非特許文献4では、前段ターゲットとしての16O(p、pn)15O反応用の酸素ガスと、後段ターゲットとしての16O(p、α)13N反応用の水の組合せであり、[15O]CO、[15O]HOのような、15Oで標識された化合物や、13NH13O、13のような、13Nで標識された化合物を得ている。
一方、非特許文献5には、長い核種を2種類同時に作るため、MgとGaのターゲットを2連にして、Na−22とGe−68(→Ga−68)を作る、あるいは、RbとGaを同じように照射して、Sr−82(→Rb−82)とGe−68(→Ga−68)を作ることが記載されている。ここで→は、ジェネレータの娘核種であることを示す。
Lagunas-solar、 M.C. et al. (1991) Cyclotron production of NCA 99mTc and 99Mo. An alternative non-reactor supply source of instant 99mTc and 99Mo→99mTc generators. Appl. Radiat. Isot. 42(7)、 643-657 Beaver、 J.E. and Hupf、 H.B. (1971) Production of 99mTc on a medical cyclotron: A feasibility study. J. Nucl. Med. 12(11)、 739-741 Kim、 S.W.、 et al. (2007) A study on a tandem target for a simultaneous production of C-11 and F-18. J. Label. Compd. Radiopharm. 50、 567-568 Koh、 K. et al. (1983) External tandem target system for efficient production of short-lived positron emitting radionuclides. IEEE Trans. Nucl. Sci.NS-30、 3064-3066 G. F. Steyn, et al. (2008) Development of Tandem Targets for a Vertical Beam Target Station. 12th Workshop on Targetry and Target Chemistry, Seattle
自然界に7種類存在するモリブデン同位体のなかで、約10%に相当するMo−100のみを濃縮したMo−100ターゲットに陽子を照射することで、入射エネルギーに応じて放射性核種純度の高いMo−99及びあるいはTc−99mが生成することは古くから確認されている。しかし、現在においても荷電粒子を用いた製造は行われていない。この理由は、Mo−99とTc−99mのそれぞれの半減期が効率の良い製造に不向きであることや、同位体濃縮Mo−100が高価なことから市場においてコスト競争力が乏しいことなどが考えられる。
一方、非特許文献5に記載の技術では、目的核種を製造する際に、融解に対する補償のため、何らかの入れ物、ここではカプセル内部にターゲット物質を準備する必要がある。しかしながら、ターゲットを封じる作業(準備)は非常に面倒である。又、カプセルを構成する材質、そのものがビームエネルギーを吸収し、本来の核反応に必要なエネルギーを減弱してしまう(特に2段目に対して)。同時に、そのカプセル材質由来の雑核種が生成してしまうため、品質に悪影響を与える可能性がある。更に、2連のターゲットが揃って固定されているため、これらを同時に取り出す必要もあると思われる。
本発明は前記従来の問題点を解消するべくなされたもので、モリブデン99やテクネチウム99mのような、半減期の異なる複数の核種を効率良く製造可能とすることを課題とする。
本発明の目的製造核種の一例であるMo−99とTc−99mは、半減期が約10倍異なる。この差異を利用して照射運用法を最適化することで、最終的に利用したいTc−99mの、一定照射期間における総放射能生成量を増加させることが可能になる。
照射で生成する、ある核種の放射能は、その半減期Tにより決定され、
S=1−e−λt・・・(1)
λ=0.693/T・・・(2)
で表すことが出来る。ここで、Sは飽和率、λは崩壊定数(s−1)、tは照射時間(s)である。
飽和率とは、加速器による放射性核種の製造において、照射時間の長さに対して、放射能の生成と減衰を表したもので、S=1(100%)のときに、生成と減衰が平衡となる(長時間照射で1に近づく)。従って、一定時間を越えた場合の照射は、放射能の製造にほとんど寄与しない。一般的には照射時間は半減期(S=0.5)程度が妥当であり、およそ0.5半減期(S=0.23)から長くても2.5半減期照射(S=0.82)あたりが広く用いられる手法である。従って、大量製造をする場合には、ビーム電流値を増大させる以外、適切な方法はない。
Mo−100に陽子を照射することでMo−99(T=66[hr])を製造するには、上記理由から約3日〜5日間程度の照射が効率的であるが、Tc−99m(T=6[hr])に必要な照射期間は、図1(A)(B)に示す如くはるかに短い。実際、利用したい核種はTc−99mであることから、Mo−99を効率よく生成できるエネルギー領域の照射を利用して、Tc−99mの生成に向いたエネルギー領域の照射も同時に行い、かつ、生成したTc−99mをその必要照射期間周期で効率よく取り出すことが可能になれば、総量として得られるTc−99mはかなりの量になる。例えばTc−99mを必要とされる場所へ供給することを考えると、線源の輸送に時間を要さない距離の場所への供給はTc−99mで可能で利便であるが、線源の輸送に時間を要する場所へ供給するときは、Mo−99の物理的減衰がTc−99mのそれよりも抑えられることから、Mo−99での供給が効率的である。さらに、Mo−99があると、のべ1週間で当初のMo−99放射能の約1.7倍のTc−99mが得られる利点もある。よって、Tc−99mと併せてMo−99の製造需要のニーズに答えることが、この照射手法を研究した動機である。
図2(Scholten, B et al., Excitation functions for the cyclotron production of 99mTc and 99Mo., Appl. Radiat. Isot. 51 (1999) 69-80)に断面積(できやすさ)と照射エネルギーの関係を示す。図において半減期の短いTc−99mの効率的な照射エネルギー域が半減期の長いMo−99の効率的な照射エネルギー域より一部が重なるように低い方にずれている点に着目した。すなわち、Mo−100からモリブデン99を効率よく製造できる陽子の入射エネルギーは60−20MeVであり、一方、テクネチウム99mを効率よく製造できる陽子の入射エネルギーは30−20MeVである。
そこで、ターゲットの作りやすさを考慮し、Mo−99の製造に有効なエネルギー領域を40→20[MeV]、Tc−99mのそれを20→10[MeV]とし、図3(A)に示す如く、高エネルギー側にMo−99製造のための第1ターゲット11を置き、その下流に第1ターゲット11の通過に応じて減衰した残余エネルギーを持ったビーム10を衝突させるTc−99m用の第2ターゲット12を設置することで、本発明を実現することが可能になる。ビーム運用は、2段目のターゲット12をTc−99mの半減期である6時間照射周期で交換する点に、重要な意味がある。
ビームエネルギーの減衰は、入射エネルギー、通過する物質(ターゲット)の厚みと密度の計3つによって状況に応じて変化する。厚いもの、密度の高いものの方がビームをとめやすく、入射エネルギーが高いほどビームは止まりにくい(エネルギーが落ちにくい)。図3は、入射エネルギーを40MeV、ターゲットそれぞれの厚みを0.25mm(250μm)とした例であり、矢印の後ろの数字が、減衰して抜けてくるエネルギー、括弧内の数字が、そのターゲットで失われたエネルギーとなっている。
なおターゲットの段数は2段に限定されず、図3(B)に示すように11、12、13の3段としたり、図3(C)示す如く、11、12、13、14の4段としたり、それ以上の段数にすることも可能である。
また、図3に示す全てのターゲットは、生成核種が異なるにもかかわらず、同じMo−100でよく、準備作業の簡便化に貢献する。さらに、Mo−100を含む物質であれば、化学形は任意で構わず、例えば金属単体Mo−100や、金属酸化物であるMoOなどが利用できる。準備作業簡便化のために、全ての化学的組成は同一で構わない。もちろん、後に行う化学反応のために最良の化学形が望まれる場合、複数のターゲット間で化学的組成が異なることも一向に構わない。
本発明は前記知見に基づいてなされたものであり、直列に配置された複数の固体ターゲットに加速器からの粒子のビームを照射し、該ビームがターゲットの通過に応じて減衰したエネルギーで各ターゲットを反応させ、
さらに、ターゲットの照射時間に応じてターゲットを交換することで半減期の異なる複数の核種を効率よく得ることにより、前記課題を解決したものである。
ここで、半減期の長い核種を得るターゲットへの総照射量の照射が終了して回収するまでの間に、前記ビームの照射を継続しながら、あるいは一時停止し、半減期の短い核種を得るターゲットを順次交換して回収することができる。
又、前記交換に至るまでの照射時間を、製造核種の半減期の0.5倍〜2.5倍前後の周期とすることができる。
又、前記ターゲットの少なくとも一つの材質を、金属及び/又は金属酸化物とすることができる。
又、同一の化学組成及び/又は同位体存在比の前記ターゲットから半減期の異なる複数の核種を別々に得ることができる。
又、前記粒子を陽子とし、前記ターゲットをモリブデン100とすることができる。
又、製造される核種を、モリブデン99とテクネチウム99mとすることができる。
又、前記モリブデン99の製造に用いる陽子の入射エネルギーを60−20MeV、あるいは、前記テクネチウム99mの製造に用いる陽子の入射エネルギーを30−20MeVとすることができる。
又、陽子が衝突した際発生するリコイル中性子によって、ターゲットのモリブデン100を放射化させ、その結果、モリブデン99及び/又はテクネチウム99mを製造することができる。
又、前記複数のターゲットの少なくともいずれか一つを、ビーム照射中に入れ替えることができる。
又、前記ターゲットを回転体により支持し、ビーム軌道外にある軸を中心にして回転することで、回転体に支持されるある一つのターゲットが、ビームを受ける加熱状態と、ビームを受けない冷却状態とを取り得るようにすることができる。
又、前記ターゲットを、タービン状回転体外周の回転翼として支持することができる。
又、前記ターゲットを、ビーム軸に対して傾けることができる。
又、前記回転体を、ビームを挟んで複数設け、各回転体に支持されたターゲットが交互にビームに当たるようにすることができる。
又、前記回転体を、ターゲットの冷却に用いる流体により回転することができる。
又、前記ターゲットの冷却に用いる流体の一部を、前記回転体の内部に導き、該回転体の遠心力作用方向に延びる流路を経由して目的部位へ供給することができる。
又、前記ターゲットを、ターレット状回転体の回転平面上に支持することができる。
又、前記回転体とターゲットの周囲を冷却媒体で満たすことができる。
又、前記回転体を間欠回転運動させ、照射位置でターゲットを次々と所定時間停止させることができる。
又、前記回転体を往復回転運動させることができる。
本発明は、又、加速器からの粒子のビームを照射して順次通過させる、直列に配置された複数の固体ターゲットと、
ターゲットの通過に応じて減衰したエネルギーのビームで反応した各ターゲットを、各ターゲットの照射時間に応じて交換する手段とを備え、
半減期の異なる複数の核種を効率良く得るようにされていることを特徴とする加速器による複数核種の同時製造装置を提供するものである。
本発明によれば、放射性薬剤として需要の大きいモリブデン99とテクネチウム99mのような、半減期の異なる複数の核種を効率良く製造することが可能となる。
例えば、僅か170[μA]×2.5[日]照射で総量171[Ci]のTc−99mを得ることが可能になる。これは、同じ収量を得るために従来考えられていた方法、具体的には1[mA]級のビーム電流必要量を1/5以下にでき、また、照射時間も半分程度まで減らすことが可能になる。従って、本発明が及ぼす時間とエネルギーの節約効果は、極めて大きいものである。
同時に、荷電粒子照射によるTc−99m/Mo−99の製造法が確立することにより、世界的に必要とされるMo−99、つまり原子炉依存の製造体制を見直すことができる。これは、設備投資及び運転維持費を大きく減少させることができるだけでなく、核関連の政治的問題や廃棄物問題を完全に無視することも可能になる。さらに、ターゲットに用いる濃縮同位体Mo−100を回収再利用しつつ、コストが見合えば、民間レベルで同程度のMo−99生産能力をもった製造設備を設立することも不可能ではない。
本発明の作用を示すタイムチャート 断面積と照射エネルギーの関係を示す図 本発明の基本的な構成を示す側面図 本発明の第1実施形態の構成を示す、一部ブロック図を含む断面図 第1実施形態の処理手順を示す流れ図 第1実施形態で前段及び後段ターゲット部を共に下げた状態を示す断面図 同じく後段ターゲット部のみを下げた状態を示す断面図 同じく後段ターゲットの交換状態を示す断面図 同じくターゲット交換ロボットのアーム部の詳細を示す斜視図 本発明の第2実施形態の構成を示す断面図 本発明の実施形態で用いられている回転式ターゲットの基本的な構成を示す図 回転式ターゲットの作用を示す図 回転式ターゲットの変形例を示す図 同じく他の変形例を示す図 回転式ターゲットにおけるターゲット保持構造の一例を示す分解斜視図 同じく他の例を示す分解斜視図 同じく更に他の変形例を示す斜視図 同じく更に他の例を示す分解斜視図 本発明の第3実施形態の要部構成を示す斜視図 同じく第4実施形態の詳細構成を示す分解斜視図 同じく第1ターゲット部の断面図 本発明の第5実施形態の要部構成を示す斜視図 同じく第6実施形態の要部構成を示す斜視図 回転式ターゲットの変形例を示す斜視図 図24に示した変形例の原理を示す断面図 図24に示した変形例を採用した本発明の第7実施形態の第1ターゲット部を示す斜視図 回転式ターゲットの他の変形例を示す側面図 本発明の第8実施形態の要部構成を示す斜視図 第8実施形態の作用を示す側面図 回転体の交換方法を説明するための(A)斜視図及び(B)横断面図 同じくロボットハンドの接近状態を示す斜視図 同じく(A)開放時と(B)保持時の縦断面図 実施例1のタイムチャート 実施例2のタイムチャート 実施例3のタイムチャート 実施例3を実施するための構成例を示す図 実施例4のタイムチャート
以下図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明の第1実施形態は、図4に示す如く、加速器8から照射されるビーム10の上流側に配設される第1のターゲット(前段ターゲットとも称する)11が棚上に載置された前段ターゲット部20と、前段ターゲット11の下流側に載置される第2のターゲット(後段ターゲットとも称する)12が棚上に載置された後段ターゲット部40と、前段ターゲット部20を、例えばモータ22によって回転駆動される送りねじ21により上下動可能に保持すると共に、後段ターゲット部40をシリンダ41により上下動可能に保持するケーシング60と、前記加速器8を制御する加速器制御手段9と、噴射口50から噴射される冷却媒体を制御する冷却手段51と、前記モータ22により前段ターゲット部20を開閉する前段開閉手段23と、前記シリンダ41により後段ターゲット部40を開閉する後段開閉手段42と、入力手段61と、該入力手段61の出力により前記加速器制御手段9、冷却手段51、前段開閉手段23、後段開閉手段42を制御するコントローラ62とを備えている。
前記前段ターゲット11及び後段ターゲット12は共にMo−100とされ、前段ターゲット11からは主にMo−99、後段ターゲット12からはTc−99mを生成するようにされている。
以下図5を参照して、第1実施形態の動作を説明する。
まずステップ100で、ターゲット11、12を調整し、ステップ102で照射ポートへ設置する。具体的には、図6に示す如く、シリンダ41を縮めて後段ターゲット部40を下げると共にモータ22により前段ターゲット部20を下げて前段ターゲット11を装着し、次いで図7に示す如く第1ターゲット部20を上昇させることにより、前段ターゲット部20と後段ターゲット部40の間を空けて、後段ターゲット12を装着する。
次いで、ステップ104で関連機器を運転して照射準備をする。
次いでステップ106で40−60[MeV]の陽子を照射できる加速器8により照射を開始し、後段ターゲット12で生成されるTc−99mの半減期である6時間が経過した時点で、ステップ108で照射を一時停止し、ステップ110で、図8に示すような、ターゲット交換ロボット64のアーム65を用いて、図9に示す如く、後段ターゲット12を取り出し、ステップ112で化学処理を行なって、Tc−99mを回収する。
次いでステップ114に進んで新しい後段ターゲット12を設置し、ステップ116で照射を再開する。
そして再び後段ターゲット12の半減期である6時間が経過した時点で、ステップ118で照射を一時停止し、ステップ120乃至126でステップ110乃至116と同様の処理を行なう。
同様の処理を11回繰り返した時点で、ステップ138で照射を終了し、ステップ140で後段ターゲット12を取り出して、ステップ142で化学処理へ送ると共に、ステップ144で前段ターゲット11も取り出して、ステップ146で化学処理へ送る。
そして、ステップ148で関連機器を停止し、ステップ150で1サイクルの製造を終了する。このとき、ビーム電流値は、要求されるTc−99m及びMo−99の必要量に応じて決定すればよく、おおむね、100〜200[μA]程度が必要量と考えられる。
以上の工程間では、加熱を防ぐために後述するように冷却が適切に行われる。
このようにして、前段ターゲット11の半減期に到達するまで、後段ターゲット12の半減期である約6時間毎に後段ターゲット12を交換することにより、効率良くMo−99とTc−99mを製造することができる。
Tc−99mの必要量を170Ci/週(Mo−99の製造量で100Ci/週)とした場合で、照射電流は常用域の15μAと、チャレンジング領域の170μA、速中性子法で必要となる1mAの3種類で比較した結果を表1に示す。
Figure 0005294179
照射時間は現実的な6時間(Tc−99mの半減期)と、約半日となる12時間、Mo−99の半減期となる66時間、速中性子法で必要となる7日の4種類で比較した。
表中のMo−99収量Aは、前段ターゲット11単独で得られるエネルギー領域(40→20MeV)の製造量、総ミルキング量Bは、前段ターゲット11で製造したMo−99から1週間で得られる総Tc−99mの量(1日目−5日目)の値、単独Tc−99m収量Cは、後段ターゲット12単独で得られるエネルギー領域(20→10MeV)の製造量、総Tc−99m収量Dは、前段ターゲット11と後段ターゲット12の和(B+C)で与えられる値、単独Tc−99mとの比は(B+C)/Cである。
表1から明らかなように、後段ターゲット12を変えない単純2重照射では、単独Tc−99m収量Cが飽和して、1mAで7日間照射しても、総Tc−99m収量Dが543Ciに止まっていたのに対して、本発明による交換照射の場合には2404Ciとほぼ5倍の収量を得ることができた。一方、参考に示した速中性子法では171Ciであった。
次に、図10を参照して本発明の第2実施形態を説明する。
本実施形態は、後段ターゲット12をモータ44によって回転されるターレット43上に乗せて、該ターレット43の回転により後段ターゲット12の交換を可能として、照射途中での後段ターゲット12の入替を容易としたものである。
ターレット43上には、前段ターゲット11の交換周期に合わせて、例えば11個の後段ターゲット12を乗せることができる。
本実施例によれば、前段ターゲット11の照射途中で後段ターゲット12を外から交換する必要が無く、取扱が容易である。
又、照射中の発熱は、ビームエネルギーと電流値の積で表され、例えば40[MeV]×10[μA]=400[W]のように見積もられる。実用用途において必要とされるMo−99及びTc−99mを、核反応式100Mo(p、pn)99Mo及び100Mo(p、2n)99mTc)で表される反応で得ようとした場合、要求される電流値は1〜2[mA]、即ち発熱見積りは40〜80[kW]になる。なお、該核反応により発生したリコイル中性子も利用すれば、少なからずMo−99、Tc−99mの生成に貢献する。その場合、それによる発熱は発熱見積もりに大きな影響を与えることはない。ビームを受けるターゲット側で、この熱量を如何にして除去、分散させられるかで、照射系の成立が決定されることになる。一般的な冷却効率を持つ系での現実的な耐熱密度は、多くて数100[W/cm]と考えられており、例えば300[W/cm]とした場合、必要となるターゲット面積は100〜200[cm]に及ぶ。しかしながら、面積の広がりはターゲット準備量の増加を意味し、比放射能の低さを一段と低下させ、その後の処理への悪影響が懸念される。さらに、照射するビームを、準備した広いターゲット面積100〜200[cm]の全てに均等に分散するように拡散させるためには、もうひとつ技術的課題が増えてしまう。
これに対して、ターゲットを入替式(例えば図11に示す6枚の回転翼上にターゲット70を配置したタービン回転式)とすれば、ビーム径を広げることなく、実質的に広範囲に照射可能とすることができる。図11において、16はビームダクト、72は回転軸、74は回転体である。ここで回転体74は、中空として軽量化することができる。
また、図12に例示する如く、ビーム軌道上には、最大でも半円分のターゲットしか存在しないため、単位時間で見た場合のターゲット1枚あたりの発熱量を、半分にすることができる。これは、回転体の単位時間回転数がいくつであっても変わらない。
例えば、ターゲット1枚につき5MeVのエネルギーを吸収できる厚みがあり、100μAのビーム電流が与えられているとする。
回転体が図12(A)では毎秒1回転、図12(B)では毎秒2回転している。何回転していようとも、あるターゲット1枚から見れば、ビームが衝突できる機会(場所)は最大0≦θ≦πまでなので、発熱する時間も半分以下になる。
よって、Δ5(MeV)×100(μA)=500(W)=500(J/S)と単純な計算で与えられるターゲット1枚あたりの発熱量は、0.5secをかけることになり、無条件で半分の250(W)にすることができる。
回転体全体で考えると、与えられるビーム軸道上には常に何枚かのターゲットが存在しているため、単位時間、例えば1秒間あたりに発生する熱量に変化はなく、一定した放射能を生成できる。
なお、ターゲットを回転させる構成は図11に限定されず、図13に示すように、例えば6翼の回転体74A、74Bを対向配置したり、図14に示すように、例えば6翼の回転体74と12翼の回転体75をタンデム配置することができる。
前記ターゲットの保持構造としては、図15に示す如く、例えば厚さ5mm以下の単体金属モリブデン薄膜でなるターゲット70を、U字型のホルダ78に固定したり、図16に示す如く、金属酸化物、例えば三酸化モリブデンや粉末焼結体状のターゲット70を、放射化した時に邪魔にならないアルミニウムや金製の薄膜80で挟んで保持することができる。
又、ターゲットはいずれの照射法であれ、除熱が必要となる。但し、ビーム軌道上に冷却媒体が存在すると、それが水であれ気体であれ、厚みと密度の積に比例したビームエネルギー吸収能を持つ。即ち、意図した核反応を起こすために準備したエネルギーを冷却媒体に奪われ、目的となる反応を十分に遂行できなくなる恐れがある。そのため、ビーム軌道上にあるターゲットの冷却には通常、密度の低い、例えばヘリウムや空気が用いられる。例えば、図4に示した本発明の第1実施形態では、冷却手段51から示される流路の矢印に沿って冷媒が循環し矢印50部で主にターゲットを冷却する。また、冷媒を噴出させる機器(例えば噴出口)50を任意の位置及び数、照射装置内部に設置し、図17に示す如く、ターゲット70を冷却しつつ、回転体74の駆動力に用いることができる。ターゲットではなく、別に準備した専用の羽に噴出する方法も考えられる。強烈な放射線環境下が予想される照射装置付近において、電気的制御が必要となるモーター駆動と比較して、単純な機構で回転力が得られる意義は大きい。
また、たとえば水であっても、液体と気体(水蒸気)では密度が大きく異なるため、ビーム軌道上に水蒸気が存在する場合でも大きな支障は来たさない場合が多い。従って、少量の水の噴出であれば許容されるうえ、蒸発時の水の気化熱は、冷却の上で大きな効果が期待できる。上記の少量液体の噴出に、図18に示す如く、重力及び回転体の持つ遠心力が応用できる。ここで用いる回転駆動源は特に規定しないが、回転体中心に設けた冷却水貯水域74W下部に小径の穴74Xを任意に開け、水路を確保することができる。水路出口にはターゲットとなる回転翼が設けられ、ここへ向かって回転体中心から水が供給される。ターゲット自体は照射の影響で発熱しているため、少量の水はここで全て沸騰し、気化と同時に、ターゲットの熱を気化熱として奪うことができる。水量などの最適制御は、穴径、水路形状及び回転数など、総合して決定できる。冷却水の最終的な用途が「気化による除熱」であるため、多少の水漏れは機能に影響しない(どこからが水漏れで、どこからが意図した放水なのかは本質ではなく、多箇所から気化したほうが効率もよい)。さらに、本機能を構成する部品類の製造や組み立ては著しく容易になる利点もある。
気化した水分はもちろん、放出するヘリウム等に移動した熱は、系外へ逃がす必要がある。また、以上の構成を実現するために、物質(冷却媒体全部)としての回収・再利用が必要となる。従って、照射装置は、系全体の冷却のために設けた配管類を除き、密閉された空間である必要がある。
空間内部は、ビーム軌道を中心として、その左右あるいは任意に回転体を設けることが可能である。回転体上部には復水器を設け、気化した蒸気を液化回収する。おそらく全ての液体は回収できないため、内部空間をあらかじめ冷却水で満たすことも可能である。この場合、冷却水の一部をポンプなどで吸引し、回転体中心へ戻すことにより、一連の冷却水供給系が完成する。空間は、照射後にターゲットを取り出しやすくするよう、簡便な開閉構造とすることができる。
次に、上記のような発熱の問題を解決した本発明の第3実施形態の要部構成を図19に示す。
本実施形態は、加速器8から照射されるビーム10の上流側に配設された回転体74の周上に配設された、例えば6枚の上段ターゲット11を有する上段ターゲット部20と、該上段ターゲット部20の下流側に配設された、例えば円盤状の後段ターゲット12及び該後段ターゲット12を保持する支持体45でなる後段ターゲット部40を備えている。
第3実施形態の前段ターゲット部20の回転体を、2つの回転体74A、74Bの対向式とした本発明の第4実施形態の詳細構成を図20(分解斜視図)及び図21(前段ターゲット部の断面図)に示す。図において、28は、密閉用の蓋、50は、ターゲットを冷却するための冷却ノズル、52は復水器、54は回転体の冷却水供給系である。
又、第3実施形態の後段ターゲット部40を、モータ44により回転駆動されるターレット43による回転式とした本発明の第5実施形態を図22に示す。
また全てのターゲットをターレット式として3段のターゲット11、12、13を設けた本発明の第6実施形態を図23に示す。図において、23は、モータ24により回転される1段ターレット、80は3段ターレット部、83は、モータ84により回転される3段ターレットである。
なお、前記実施形態においては、タービン式回転体74上のターゲット70がビーム10に対して垂直に設けられていたが、図24に示す変形例に示すように、ビームに対して傾けて設けることもできる。ビームが垂直であると、ビーム10がターゲット70を通過する距離が、図25(A)に示す如く厚みt分だけであるのに対して、斜めにすると、図25(B)に示す如く、1/sinθだけ長くなり、L’=L×(1/sinθ)になるので、高価なターゲットを薄くしても、擬似的に厚く照射することができ、コストダウンを図ることができる。
上段ターゲットの互いに反対方向に回転する回転体74A、74Bに、ターゲット11A、11Bを図24に示したように斜めに配置した本発明の第7実施形態の前段ターゲット部20を図26に示す。
なお、ビームに対してターゲットを傾ける方法は、図24に示した方法に限定されず、図27に示すように、回転体74の回転軸72をビーム10に対して傾けても良い。
次に、回転体74上に前段ターゲット11と後段ターゲット12をまとめて配置した本発明の第8実施形態を図28に示す。
本実施形態においては、図において反時計回りに連続回転させてもいいが、図29(A)(B)(C)に示すように、二つのシリンダで構成されるシリンダ90でラックピニオンギヤーを介して回転体74を間欠回転運動させすることで、3組のターゲット11、12を入れ替えることもできる。ターゲット11、12はグループ1、グループ2及びグループ3の三組で構成されており、図29(A)に示す如くターゲットグループ1がビーム10の直射位置で停止して必要時間の照射を受けるとシリンダ90の一方が作動して瞬時に反時計方向に120度回転し、(B)に示すようにグループ2がビーム10の直射位置で停止する。同様にターゲットグループ2が必要時間の照射を受けるとシリンダ90の他方が瞬時に作動して再び反時計方向に120度回転し、(C)に示すようにグループ3がビーム10の直射位置で停止して必要時間の照射を受ける。照射の終了した各ターゲットは非照射位置において適宜に交換あるいは取り外しされる。
前記回転体74は、例えば次のようにして交換することができる。即ち、図30(A)に示すモータ76の回転軸保持部77の内側に、図30(B)に示す如く流体(例えば)空気圧によって内方に膨張するラバーグリップ78を設けておく。そして、図31のように、例えばロボットハンド66で回転体74を把持し、図32に示すように、ラバーグリップ78への空気圧をオンオフすることで、着脱することができる。
前段にMo−100を配置して半減期66時間のMo−99を生成し、後段も同じくMo100を配置して半減期6時間のTc−99mを生成するようにして、同じターゲットから半減期の異なる核種を別々に得るようにした実施例1のタイムチャートを図33に示す。
なお、ビーム照射間のインターバルは、短いほど前段の物理的減衰を抑えられるので好ましい。例えば10分程度で再照射可能である。ここで照射時間を半減期6時間とするのは、製造核種の半減期時間照射が収率面から効果的であるためである。なお、効率を考慮する必要がない場合には、照射時間は任意とすることができる。
Mo−99/Tc−99m製造中に、第3の別核種(この場合Zn−62)を製造するため、別のターゲット物質(この場合Cu)を照射するようにした例で、前段にMo−100を配置して半減期66時間のMo−99を生成する一方、後段ではMo−100とCu-natを交互に配置して、半減期6時間のTc−99mと半減期9時間のZu−62を交互に生成するようにした実施例2のタイムチャートを図34に示す。
数日〜1週間程度という比較的長い期間に渡り、連続ビームを出すことは、その他核種の製造スケジュールに大きな負荷を及ぼすことが懸念される。しかしながら、本発明によれば、比較的短時間の照射で賄えるものであれば例えば2段目に、長時間の照射が要求される場合には、例えば1段目に配置する一部のターゲットを、モリブデン以外のターゲットにすることで、それぞれ第3の核種を製造することも不可能ではない。
各ターゲットで入射エネルギーが均等になるよう、前段を回転式とし、Mo−100とZn−68を交互に配置して、半減期66時間のMo−99と半減期62時間のCu−67を1枚毎に生成するようにし、後段にはMo−100を配置して半減期6時間のTc−99mを生成するようにした実施例3のタイムチャートを図35に示す。
このように、生成する核種の半減期が近似し、且つ、利用するビームエネルギー域も同等であれば、連続的に照射するターゲットを2種以上にしても構わない。この場合、各ターゲット11A、11Bの配置は、回転体毎に同じターゲットを配置する図36(A)、同じ回転体でもターゲットを変える図36(B)のどちらでも構わない。貴重なマシンタイムを効率よく利用する手法として、本実施例は非常に有効となる。
前段Cu−natを配置して半減期9時間のZn−62を生成し、後段にGd−152を配置して半減期5.3日のTb−152gを生成するようにした実施例4のタイムチャートを図37に示す。
このように、実施例1−3とは逆に、前段ターゲットを交換して照射しても良い。
また、図33から図37に示した各タイムチャートにおいて、半減期の短いターゲットの最後のターゲットの照射終了時間は、照射ビームを有効利用するために半減期の長いターゲットの照射終了時間と合致するに設定している。
いずれにしても、エネルギー域と半減期が本発明で意図する構成と合致すれば、ターゲット/照射時間/生成核種/ビーム種/交換対象/交換時期は限定されない。
放射線医学、核医学、画像診断等で用いられる放射性薬剤として需要の大きいモリブデン99とテクネチウム99mのような、半減期の異なる複数の核種を効率良く製造して、安価に供給できる。
8…加速器
10…ビーム
11、11A、11B、12、13、14、70…ターゲット
20…前段ターゲット部
34、43、83…ターレット
24、44、84…モータ
40…後段ターゲット部
50…冷却ノズル
74、74A、74B…回転体
80…3段ターゲット部

Claims (40)

  1. 直列に配置された複数の固体ターゲットに加速器からの粒子のビームを照射し、該ビームがターゲットの通過に応じて減衰したエネルギーで各ターゲットを反応させ、
    さらに、ターゲットの照射時間に応じてターゲットを交換することで半減期の異なる複数の核種を効率よく得ることを特徴とする加速器による複数核種の同時製造方法。
  2. 半減期の長い核種を得るターゲットへの総照射量の照射が終了して回収するまでの間に、前記ビームの照射を継続しながら、あるいは一時停止し、半減期の短い核種を得るターゲットを順次交換して回収することを特徴とする請求項1に記載の加速器による複数核種の同時製造方法。
  3. 前記交換に至るまでの照射時間が、製造核種の半減期の0.5倍〜2.5倍前後の周期であることを特徴とする請求項2に記載の加速器による複数核種の同時製造方法。
  4. 前記ターゲットの少なくとも一つの材質が、金属及び/又は金属酸化物であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の加速器による複数核種の同時製造方法。
  5. 同一の化学組成及び/又は同位体存在比の前記ターゲットから半減期の異なる複数の核種を別々に得ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の加速器による複数核種の同時製造方法。
  6. 前記粒子が陽子であり、前記ターゲットがモリブデン100であることを特徴とする請求項4又は5に記載の加速器による複数核種の同時製造方法。
  7. 製造される核種が、モリブデン99とテクネチウム99mであることを特徴とする請求項6に記載の加速器による複数核種の同時製造方法。
  8. 前記モリブデン99の製造に用いる陽子の入射エネルギーが60−20MeV、あるいは、前記テクネチウム99mの製造に用いる陽子の入射エネルギーが30−20MeVであることを特徴とする請求項7に記載の加速器による複数核種の同時製造方法。
  9. 陽子が衝突した際発生するリコイル中性子によって、ターゲットのモリブデン100を放射化させ、その結果、モリブデン99及び/又はテクネチウム99mを製造することを特徴とする請求項7に記載の加速器による複数核種の同時製造方法。
  10. 前記複数のターゲットの少なくともいずれか一つを、ビーム照射中に入れ替えることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の加速器による複数核種の同時製造方法。
  11. 前記ターゲットを回転体により支持し、ビーム軌道外にある軸を中心にして回転することで、回転体に支持されるある一つのターゲットが、ビームを受ける加熱状態と、ビームを受けない冷却状態とを取り得るようにされていることを特徴とする請求項10に記載の加速器による複数核種の同時製造方法。
  12. 前記ターゲットが、タービン状回転体外周の回転翼として支持されていることを特徴とする請求項11に記載の加速器による複数核種の同時製造方法。
  13. 前記ターゲットが、ビーム軸に対して傾けられていることを特徴とする請求項12に記載の加速器による複数核種の同時製造方法。
  14. 前記回転体が、ビームを挟んで複数設けられ、各回転体に支持されたターゲットが交互にビームに当たるようにされていることを特徴とする請求項12乃至13のいずれかに記載の加速器による複数核種の同時製造方法。
  15. 前記回転体を、ターゲットの冷却に用いる流体により回転することを特徴とする請求項12乃至14のいずれかに記載の加速器による複数核種の同時製造方法。
  16. 前記ターゲットの冷却に用いる流体の一部を、前記回転体の内部に導き、該回転体の遠心力作用方向に延びる流路を経由して目的部位へ供給することを特徴とする請求項15に記載の加速器による複数核種の同時製造方法。
  17. 前記ターゲットが、ターレット状回転体の回転平面上に支持されていることを特徴とする請求項11に記載の加速器による複数核種の同時製造方法。
  18. 前記回転体とターゲットの周囲が冷却媒体で満たされていることを特徴とする請求項11乃至17のいずれかに記載の加速器による複数核種の同時製造方法。
  19. 前記回転体を間欠回転運動させ、照射位置でターゲットを次々と所定時間停止させることを特徴とする請求項11乃至18のいずれかに記載の加速器による複数核種の同時製造方法。
  20. 前記回転体を往復回転運動させることを特徴とする請求項11乃至18のいずれかに記載の加速器による複数核種の同時製造方法。
  21. 加速器からの粒子のビームを照射して順次通過させる、直列に配置された複数の固体ターゲットと、
    ターゲットの通過に応じて減衰したエネルギーのビームで反応した各ターゲットを、各ターゲットの照射時間に応じて交換する手段とを備え、
    半減期の異なる複数の核種を効率良く得るようにされていることを特徴とする加速器による複数核種の同時製造装置。
  22. 半減期の長い核種を得るターゲットへの総照射量の照射が終了して回収するまでの間に、前記ビームの照射を継続しながら、あるいは一時停止し、半減期の短い核種を得るターゲットを順次交換して回収するようにされていることを特徴とする請求項21に記載の加速器による複数核種の同時製造装置。
  23. 前記交換に至るまでの照射時間が、製造核種の半減期の0.5倍〜2.5倍前後の周期となるようにされていることを特徴とする請求項22に記載の加速器による複数核種の同時製造装置。
  24. 前記ターゲットの少なくとも一つの材質が、金属及び/又は金属酸化物であることを特徴とする請求項21乃至23のいずれかに記載の加速器による複数核種の同時製造装置。
  25. 同一の化学組成及び/又は同位体存在比の前記ターゲットから半減期の異なる複数の核種を別々に得るようにされていることを特徴とする請求項21乃至24のいずれかに記載の加速器による複数核種の同時製造装置。
  26. 前記粒子が陽子であり、前記ターゲットがモリブデン100であることを特徴とする請求項24又は25に記載の加速器による複数核種の同時製造装置。
  27. 製造される核種が、モリブデン99とテクネチウム99mであることを特徴とする請求項26に記載の加速器による複数核種の同時製造装置。
  28. 前記モリブデン99の製造に用いる陽子の入射エネルギーが60−20MeV、あるいは、前記テクネチウム99mの製造に用いる陽子の入射エネルギーが30−20MeVであることを特徴とする請求項27に記載の加速器による複数核種の同時製造装置。
  29. 陽子が衝突した際発生するリコイル中性子によって、ターゲットのモリブデン100を放射化させ、その結果、モリブデン99及び/又はテクネチウム99mを製造するようにされていることを特徴とする請求項27に記載の加速器による複数核種の同時製造装置。
  30. 前記複数のターゲットの少なくともいずれか一つを、ビーム照射中に入れ替えるための手段を備えたことを特徴とする請求項21乃至29のいずれかに記載の加速器による複数核種の同時製造装置。
  31. 前記ターゲットを回転体により支持し、ビーム軌道外にある軸を中心にして回転することで、回転体に支持されるある一つのターゲットが、ビームを受け加熱状態と、ビームを受けない冷却状態とを取り得るようにされていることを特徴とする請求項21に記載の加速器による複数核種の同時製造装置。
  32. 前記ターゲットが、タービン状回転体外周の回転翼として支持されていることを特徴とする請求項31に記載の加速器による複数核種の同時製造装置。
  33. 前記ターゲットが、ビーム軸に対して傾けられていることを特徴とする請求項22に記載の加速器による複数核種の同時製造装置。
  34. 前記回転体が、ビームを挟んで複数設けられ、各回転体に支持されたターゲットが交互にビームに当たるようにされている請求項31乃至33のいずれかに記載の加速器による複数核種の同時製造装置。
  35. 前記回転体が、ターゲットの冷却に用いる流体により回転するようにされていることを特徴とする請求項31乃至34のいずれかに記載の加速器による複数核種の同時製造装置。
  36. 前記ターゲットの冷却に用いる流体の一部を、前記回転体の内部に導き、該回転体の遠心力作用方向に延びる流路を経由して目的部位へ供給するようにされていることを特徴とする請求項35に記載の加速器による複数核種の同時製造装置。
  37. 前記ターゲットが、ターレット状回転体の回転平面上に支持されていることを特徴とする請求項31に記載の加速器による複数核種の同時製造方法。
  38. 前記回転体とターゲットの周囲が冷却媒体で満たされていることを特徴とする請求項31乃至37のいずれかに記載の加速器による複数核種の同時製造装置。
  39. 前記回転体が間欠回転運動を行い、照射位置でターゲットが次々と所定時間停止するようにされていることを特徴とする請求項31乃至38のいずれかに記載の加速器による複数核種の同時製造装置。
  40. 前記回転体が往復回転運動をおこなうようにされていることを特徴とする請求項31乃至38のいずれかに記載の加速器による複数核種の同時製造装置。
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