JP5293937B2 - 感光性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ポジ型感光性樹脂組成物及びそれから得られる硬化膜に関する。より詳しくは、本発明は、ディスプレイ材料の用途において好適なポジ型感光性樹脂組成物及びその硬化膜、並びに該硬化膜を用いた各種材料に関する。
一般に、薄膜トランジスタ(TFT)型液晶表示素子、有機EL(electroluminescent)素子、固体撮像素子などの光デバイスにおいて、保護膜や平坦化膜、絶縁膜等、様々な硬化膜がその用途に応じて使用されている。
例えば、素子表面が製造工程中に溶剤や熱に晒されるのを防ぐために設けられる保護膜は、保護する基板との密着性が高く耐溶剤性が高いだけでなく、透明性、耐熱性、さらには寸法安定性等の性能も良好であることが要求される。
またこのような保護膜を、カラー液晶表示装置や固体撮像素子に用いられるカラーフィルタの保護膜として使用する場合には、一般にその下地基板のカラーフィルタあるいはブラックマトリックス樹脂を平坦化する性能、すなわち平坦化膜としての性能を有することも要求される。
このような各種電子材料向けの種々の膜作製において、熱硬化あるいは光硬化することで耐熱性及び耐溶剤性を付与することができる性質を有するアクリル系樹脂が広く用いられている。
一般的な熱硬化の方法として、カルボキシル基を含有するアクリル樹脂にエポキシ系の架橋剤を添加する方法がよく知られており、また、エポキシ基とカルボキシル基をアクリル樹脂中に導入することで熱硬化させる方法(特許文献1参照)なども提案されている。
また、上記光デバイスにおいては、パターン形成された電極保護膜や平坦化膜、絶縁膜等も設けられている。このようにパターン形成された硬化膜を形成する材料としては、必要とするパターン形状を得るための工程数が少なく、しかも十分な平坦性を有するという特徴を持つところの感光性樹脂組成物が、従来より幅広く使用されている。
これらの膜には、耐熱性、耐溶剤性、長時間焼成耐性、メタルスパッタ耐性などのプロセス耐性に優れていること、下地との密着性が良好であること、使用目的に合わせた様々なプロセス条件でパターンを形成し得る広いプロセスマージンを有すること、加えて、高感度且つ高透明性であること並びに現像後の膜ムラが少ないこと等の諸特性が要求される。
斯かる要求特性の点から、これまで従来、上記の感光性樹脂組成物としてはナフトキノンジアジド化合物を含む樹脂が汎用されており、例えば、ベーク時に、エポキシ化合物が、光照射によってナフトキノンジアジド化合物から発生したカルボン酸と反応することにより熱硬化する機構を利用した、マイクロレンズ用感放射線性樹脂組成物(特許文献2)などの提案がある。
特開2000−103937号公報 特開平4−352101号公報
上述したように、各種電子材料向けの種々の用途において、ポストベーク時のカルボン酸(カルボキシル基)とエポキシ化合物との反応によって熱硬化(架橋)する機構を利用し、得られる硬化膜が幅広く利用されている。
しかしエポキシ架橋系を含む樹脂組成物(溶液)は、室温での反応性が高く、すなわち保存安定性が低いという問題があった。しかも、ポストベーク時のベーク温度によりパターン形状が変化しやすく、精密な温度制御が必要とされていた。
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであって、高い透過率を維持し、且つ、高感度であり、広いポストベーク温度範囲においてその温度の違いによるパターン形状等の変化が殆ど起きず、保存安定性にも優れたポジ型感光性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決するべく鋭意研究を行った結果、本発明を見出すに至った。
すなわち、第1観点として、下記(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)溶剤を含有するポジ型感光性樹脂組成物に関する。
(A)成分:側鎖に脂肪族水酸基を有するアルカリ可溶性アクリル重合体、
(B)成分:1,2−キノンジアジド化合物、
(C)成分:熱によりスルホン酸を発生する化合物、
(D)溶剤。
第2観点として、(A)成分のアルカリ可溶性アクリル重合体の数平均分子量がポリスチレン換算で2,000乃至30,000である、第1観点に記載のポジ型感光性樹脂組成物に関する。
第3観点として、(A)成分の100質量部に対して、5乃至100質量部の(B)成分を含有すること特徴とする、第1観点又は第2観点に記載のポジ型感光性樹脂組成物に関する。
第4観点として、(A)成分の100質量部に対して、0.1乃至30質量部の(C)成分を含有することを特徴とする、第1観点乃至第3観点のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物に関する。
第5観点として、(E)成分として、界面活性剤を更にポジ型感光性樹脂組成物中に1.0質量%以下含有する、第1観点乃至第4観点のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物に関する。
第6観点として、(F)成分として、密着促進剤を更にポジ型感光性樹脂組成物中に0.1乃至20質量部含有する、第1観点乃至第5観点のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物に関する。
第7観点として、第1観点乃至第6観点のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物を用いて得られる硬化膜に関する。
第8観点として、第7観点に記載の硬化膜を有する液晶表示素子に関する。
第9観点として、第7観点に記載の硬化膜からなる液晶ディスプレイ用アレイ平坦化膜に関する。
第10観点として、第7観点に記載の硬化膜からなる層間絶縁膜に関する。
中でも、本発明の最も好適な態様は以下の[1]〜[8]に示すとおりである。
[1]下記(A)成分100質量部に基づいて、5乃至100質量部の下記(B)成分、0.1乃至30質量部の下記(C)成分を含有し、これら成分が下記(D)溶剤に溶解されたポジ型感光性樹脂組成物。
(A)成分:側鎖に脂肪族水酸基を有するアルカリ可溶性アクリル重合体、
(B)成分:1,2−キノンジアジド化合物、
(C)成分:熱によりスルホン酸を発生する化合物、
(D)溶剤。
[2](A)成分のアルカリ可溶性アクリル重合体の数平均分子量がポリスチレン換算で2,000乃至30,000である、[1]に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
[3](E)成分として、界面活性剤を更にポジ型感光性樹脂組成物中に1.0質量%以下含有する、[1]又は[2]に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
[4](F)成分として、密着促進剤を更にポジ型感光性樹脂組成物中に0.1乃至20質量部含有する、[1]乃至[3]のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
[5][1]乃至[4]のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物を用いて得られる硬化膜。
[6][5]に記載の硬化膜を有する液晶表示素子。
[7][5]に記載の硬化膜からなる液晶ディスプレイ用アレイ平坦化膜。
[8][5]に記載の硬化膜からなる層間絶縁膜。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、十分に高感度であり、現像の際に未露光部の膜減りが無視できるほどに小さく、保存安定性に優れ、また透明性にも優れ、その上、膜形成後には溶剤耐性に優れ、特に硬化温度の違いによる形状の変化が小さいという効果が得られる。
また、本発明により、斯かるポジ型感光性樹脂組成物を用いて得られる硬化膜は、溶剤耐性に優れ、しかも硬化温度の変化によって形状の変化が殆ど起きない硬化膜となり、よってTFT型液晶素子のアレイ平坦化膜などの液晶又は有機ELディスプレイにおける各種の膜材料の用途、並びにマイクロレンズなどの用途にも好適であるという効果が得られる。
本発明の感光性樹脂組成物は、下記(A)成分の側鎖に脂肪族水酸基を有するアルカリ可溶性アクリル重合体、(B)成分のキノンジアジド化合物、(C)成分の熱によりスルホン酸を発生する化合物及び(D)溶剤を含有し、且つ、所望により(E)成分の界面活性剤及び(F)成分の密着促進剤、さらにその他添加剤を含有する組成物である。
以下、各成分の詳細を説明する。
<(A)成分>
(A)成分は、アクリル重合体の構造中に、脂肪族水酸基を有する側鎖(以下、単に特定側鎖とも称する)を持ち、且つポリスチレン換算数平均分子量(以下、数平均分子量と称す。)が2,000乃至30,000である、アルカリ可溶性アクリル重合体(以下、単にアクリル重合体とも称する)である。
本発明において、アクリル重合体とはアクリル酸及びメタクリル酸、並びにその塩やエステル(アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等)のアクリル系モノマー、及び所望によりスチレン等の不飽和二重結合を有するモノマーを用いて、単独重合もしくは共重合して得られた重合体を指す。
(A)成分のアルカリ可溶性アクリル重合体は、斯かる構造を有し、アルカリに可溶なアクリル重合体であればよく、アクリル重合体を構成する高分子の主鎖の骨格や、特定側鎖以外に有し得る側鎖の種類などについて特に限定されない。
然しながら、(A)成分のアルカリ可溶性アクリル重合体は、数平均分子量が30,000を超えて過大なものであると、現像残渣が発生し易くなり、感度が大きく低下する一方、数平均分子量が2,000未満で過小なものであると、熱硬化時に硬化不足になり溶剤耐性が低下したり、現像の際、未露光部の膜減りが相当量発生し、硬化不足になる場合がある。
上記のような特定側鎖を有するアクリル重合体((A)成分)を得る方法は、特に限定されないが、例えば、ラジカル重合等の重合方法によって、脂肪族水酸基を有するモノマーとアルカリ可溶性置換基を有するモノマーを共重合する方法が簡便である。ここで脂肪族水酸基を有するモノマーとアルカリ可溶性置換基を有するモノマーは、何れかがアクリル系モノマーであってもよいし、双方がアクリル系モノマーであってもよい。
アルカリ可溶性置換基としてはカルボキシル基及びフェノール性水酸基等が挙げられる。本発明においては特にアルカリ可溶性置換基としてカルボン酸基を有するモノマーを好適に用いることができる。
脂肪族水酸基を有するモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、カプロラクトン2−(アクリロイルオキシ)エチルエステル、カプロラクトン2−(メタクリロイルオキシ)エチルエステル、ポリ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート、ポリ(エチレングリコール)エチルエーテルメタクリレート、5−アクリロイルオキシ−6−ヒドロキシノルボルネン−2−カルボキシリック−6−ラクトン、5−メタクリロイルオキシ−6−ヒドロキシノルボルネン−2−カルボキシリック−6−ラクトン等が挙げられる。
カルボキシル基を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロ
トン酸、モノ−(2−(アクリロイルオキシ)エチル)フタレート、モノ−(2−(メタクリロイルオキシ)エチル)フタレート、N−(カルボキシフェニル)マレイミド、N−(カルボキシフェニル)メタクリルアミド、N−(カルボキシフェニル)アクリルアミド等が挙げられる。
また、本発明においては、特定側鎖を有するアクリル重合体を得る際に、前述の特定側鎖を有するモノマー及びカルボキシル基を有するモノマーと共重合可能な、非反応性官能基を有するモノマーを併用することができる。
非反応性官能基を有するモノマーの具体例としては、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、マレイミド化合物、アクリルアミド化合物、アクリロニトリル、マレイン酸無水物、スチレン化合物及びビニル化合物等が挙げられる。
以下、上記モノマーの具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
前記アクリル酸エステル化合物としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ベンジルアクリレート、ナフチルアクリレート、アントリルアクリレート、アントリルメチルアクリレート、フェニルアクリレート、グリシジルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−アミノエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、2−メチル−2−アダマンチルアクリレート、2−プロピル−2−アダマンチルアクリレート、8−メチル−8−トリシクロデシルアクリレート、及び、8−エチル−8−トリシクロデシルアクリレート等が挙げられる。
前記メタクリル酸エステル化合物としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、アントリルメタクリレート、アントリルメチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−アミノメチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、3−メトキシブチルメタクリレート、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート、γ−ブチロラクトンメタクリレート、2−プロピル−2−アダマンチルメタクリレート、8−メチル−8−トリシクロデシルメタクリレート、及び、8−エチル−8−トリシクロデシルメタクリレート等が挙げられる。
前記アクリルアミド化合物としては、例えば、N−(ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、等が挙げられる。
前記ビニル化合物としては、例えば、メチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルカルバゾール、アリルグリシジルエーテル、3−エテニル−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、及び、1,7−オクタジエンモノエポキサイド等が挙げられる。
前記スチレン化合物としては、例えば、スチレン、ヒドロキシスチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。
前記マレイミド化合物としては、例えば、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(ヒドロキシフェニル)マレイミド、及びN−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
上述のとおり、本発明に用いる特定側鎖を有するアクリル重合体を得る方法は特に限定されないが、例えば、特定側鎖を有するモノマー、カルボキシル基を有するモノマー、これら以外の共重合可能な非反応性官能基を有するモノマー及び所望により重合開始剤等を共存させた溶剤中において、50乃至110℃の温度下で重合反応させることにより、得られる。その際、用いられる溶剤は、特定側鎖を有するアクリル重合体を構成するモノマー及び特定側鎖を有するアクリル重合体を溶解するものであれば特に限定されない。具体例としては、後述する(D)溶剤に記載する溶剤が挙げられる。
このようにして得られる特定側鎖を有するアクリル重合体は、通常、溶剤に溶解した溶液の状態である。
また、上記のようにして得られた特定側鎖を有するアクリル重合体の溶液を、ジエチルエーテルや水等の撹拌下に投入して再沈殿させ、生成した沈殿物を濾過・洗浄した後、常圧又は減圧下で、常温あるいは加熱乾燥することで、特定側鎖を有するアクリル重合体の粉体とすることができる。このような操作により、特定側鎖を有するアクリル重合体と共存する重合開始剤や未反応モノマーを除去することができ、その結果、精製した特定側鎖を有するアクリル重合体の粉体を得られる。一度の操作で充分に精製できない場合は、得られた粉体を溶剤に再溶解して、上記の操作を繰り返し行えば良い。
本発明においては、上記特定側鎖を有するアクリル重合体の粉体をそのまま用いても良く、あるいはその粉体を、たとえば後述する(D)溶剤に再溶解して溶液の状態として用いても良い。
また、本発明においては、(A)成分のアクリル重合体は、複数種の特定側鎖を有するアクリル重合体の混合物であってもよい。
<(B)成分>
(B)成分である1,2−キノンジアジド化合物としては、水酸基又はアミノ基のいずれか一方かを有する化合物、又は水酸基及びアミノ基の両方を有する化合物であって、これらの水酸基又はアミノ基(水酸基とアミノ基の両方を有する場合は、それらの合計量)のうち、好ましくは10乃至100モル%、特に好ましくは20乃至95モル%が1,2−キノンジアジドスルホン酸でエステル化、またはアミド化された化合物を用いることができる。
前記水酸基を有する化合物としては例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、ハイドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ガリック酸メチル、ガリック酸エチル、1,3,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、4,4−イソプロプリデンジフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシフェニルスルホン、4,4−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフェノール、4,4’,4’
’−トリスヒドロキシフェニルエタン、1,1,1−トリスヒドロキシフェニルエタン、4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4,4’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,5−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)メチルなどのフェノール化合物、エタノール、2−プロパノール、4−ブタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−メトキシプロパノール、2−ブトキシプロパノール、乳酸エチル、乳酸ブチルなどの脂肪族アルコール類を挙げることができる。
また、前記アミノ基を含有する化合物としては、アニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、4−アミノジフェニルメタン、4−アミノジフェニル、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、などのアニリン類、アミノシクロヘキサンを挙げることができる。
さらに、水酸基とアミノ基両方を含有する化合物としては、例えば、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、4−アミノレゾルシノール、2,3−ジアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール、4,4’−ジアミノ−4’’−ヒドロキシトリフェニルメタン、4−アミノ−4’,4’’−ジヒドロキシトリフェニルメタン、ビス(4−アミノ−3−カルボキシ−5−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−アミノ−3−カルボキシ−5−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−アミノ−3−カルボキシ−5−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−カルボキシ−5−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンなどのアミノフェノール類、2−アミノエタノール、3−アミノプロパノール、4−アミノシクロヘキサノールなどのアルカノールアミン類を挙げることができる。
これらの1,2−キノンジアジド化合物は単独または2種以上の組み合わせで使用することができる。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物における(B)成分の含有量は、(A)成分の100質量部に対して、好ましくは5乃至100質量部、より好ましくは8乃至50質量部、更に好ましくは10乃至40質量部である。5質量部未満の場合、ポジ型感光性樹脂組成物の露光部と未露光部の現像液への溶解速度差が小さくなり、現像によるパターニングが困難である場合がある。また、100質量部を超えると、短時間での露光で1,2−キノンジアジド化合物が十分に分解されないため感度が低下する場合や、(B)成分が光を吸収してしまい硬化膜の透明性を低下させてしまう場合がある。
<C成分>
(C)成分である熱によりスルホン酸を発生する化合物としては、ポストベーク時に熱分解してスルホン酸を発生する化合物、すなわち130℃乃至220℃で熱分解しスルホン酸を発生する化合物であれば特に限定されるものではない。そのような化合物としては例えば、ビス(トシルオキシ)エタン、ビス(トシルオキシ)プロパン、ビス(トシルオキシ)ブタン、p−ニトロベンジルトシレート、o−ニトロベンジルトシレート、1,2.3−フェニレントリス(メチルスルホネート)、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム塩、p−トルエンスルホン酸モルフォニウム塩、p−トルエンスルホン酸エチルエステル、p−トルエンスルホン酸プロピルエステル、p−トルエンスルホン酸ブチルエステル、p−トルエンスルホン酸イソブチルエステル、p−トルエンスルホン酸メチルエステル、p−トルエンスルホン酸フェネチルエステル、シアノメチルp−トルエンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエチルp−トルエンスルホネート、2−ヒドロキシブチルp−トシレート、N−エチル−4−トルエンスルホンアミド、並びに下記化学式(1)乃至式(41)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005293937
Figure 0005293937
Figure 0005293937
Figure 0005293937
Figure 0005293937
本発明のポジ型感光性樹脂組成物における(C)成分の含有量は、(A)成分の100質量部に対して、好ましくは0.1乃至30質量部、より好ましくは0.5乃至20質量部、更に好ましくは1乃至10質量部である。0.1質量部未満の場合、熱硬化が進行せず溶剤耐性が不十分であったり、焼成後のパターン寸法が大きくなる場合がある。また、30質量部を超えると、プリベーク時に一部硬化が始まり露光部に残膜が発生したり、硬化後のパターンがシュリンクして小さくなる場合がある。
<(D)溶剤>
本発明に用いる(D)溶剤は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を溶解し、且つ所望により添加される後述の(E)成分乃至(F)成分などを溶解するものであり、斯様な溶解能を有する溶剤であれば、その種類及び構造などは特に限定されるものでない。
斯様な(D)溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエ
ーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ブタノン、3−メチル−2−ペンタノン、2−ペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、及びN−メチルピロリドン等が挙げられる。
これらの溶剤は、一種単独で、または二種以上の組合せで使用することができる。
これら(D)溶剤の中、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、2−ヘプタノン、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル等が、塗膜性が良好で安全性が高いという観点より好ましい。これら溶剤は、一般にフォトレジスト材料のための溶剤として用いられている。
<E成分>
(E)成分は、界面活性剤である。本発明のポジ型感光性樹脂組成物にあっては、その塗布性を向上させるという目的で、本発明の効果を損なわない限りにおいて、更に界面活性剤を含有することができる。
(E)成分の界面活性剤としては、特に制限されないが、例えば、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤などが挙げられる。この種の界面活性剤としては、例えば、(株)ジェムコ製、住友スリーエム(株)製、大日本インキ化学工業(株)製或いは旭硝子(株)製等の市販品を用いることができる。これら市販品は、容易に入手することができるので、好都合である。その具体的な例としては、エフトップEF301、EF303、EF352((株)ジェムコ製)、メガファックR30、R08、R90、BL20、R61、F171、F173、F471、F475、F479、F474、F477、F480、F482、F483、F484(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤が挙げられる。
(E)成分の界面活性剤は、一種単独で、または二種以上の組合せで使用することができる。
界面活性剤が使用される場合、その含有量は、ポジ型感光性樹脂組成物100質量%中に通常1.0質量%以下であり、好ましくは0.5質量%以下である。(E)成分の界面
活性剤の使用量が1.0質量%を超える量に設定されても、上記塗布性の改良効果は鈍くなり、経済的でなくなる。
<F成分>
(F)成分は、密着促進剤である。本発明のポジ型感光性樹脂組成物は現像後の基板との密着性を向上させる目的で、密着促進剤を添加してもよい。このような密着促進剤の具体例としては、トリメチルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、メチルジフェニルクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン等のクロロシラン類、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン、N,N’−ビス(トリメチルシリル)ウレア、ジ
メチルトリメチルシリルアミン、トリメチルシリルイミダゾール等のシラザン類、ビニルトリクロロシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−ピペリジニル)プロピルトリエトキシシラン等のシラン類、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、インダゾール、イミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、ウラゾール、チオウラシル、メルカプトイミダゾール、メルカプトピリミジン等の複素環状化合物や、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア等の尿素、またはチオ尿素化合物を上げることができる。
上記の密着促進剤は、例えば、信越化学工業(株)製、GE東芝シリコーン(株)製や東レ・ダウコーニング(株)製等の市販品の化合物を用いることもでき、これらの市販品は容易に入手可能である。
(F)成分として、前記密着性促進剤のうち1種又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
これらの密着促進剤の添加量は、(A)成分の100質量部に対して、通常、20質量部以下、好ましくは0.1乃至20質量部、より好ましくは0.5乃至10質量部である。20質量部以上用いると塗膜の耐熱性が低下する場合があり、また、0.1質量部未満では密着促進剤の十分な効果が得られない場合がある。
<その他添加剤>
更に、本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、レオロジー調整剤、顔料、染料、保存安定剤、消泡剤、または多価フェノール、多価カルボン酸等の溶解促進剤等を含有することができる。
<ポジ型感光性樹脂組成物>
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、(A)成分の側鎖に脂肪族水酸基を有するアルカリ可溶性アクリル重合体、(B)成分の1,2−キノンジアジド化合物、(C)成分の熱によりスルホン酸を発生する化合物及び(D)溶剤を含有し、且つ、それぞれ所望により、(E)成分の界面活性剤、(F)成分の密着促進剤、及びその他添加剤のうち一種以上を更に含有することができる組成物である。
中でも、本発明のポジ型感光性樹脂組成物の好ましい例は、以下のとおりである。
[1]:(A)成分100質量部に基づいて、5乃至100質量部の(B)成分、0.1乃至30質量部の(C)成分を含有し、これら成分が(D)溶剤に溶解されたポジ型感光性樹脂組成物。
[2]:上記[1]の組成物において、更に(E)成分を(A)成分100質量部に基づいて、1.0質量%以下含有するポジ型感光性樹脂組成物。
[3]:上記[1]又は[2]の組成物において、更に(F)成分を(A)成分100質量部に基づいて0.1乃至20質量部含有するポジ型感光性樹脂組成物。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物における固形分の割合は、各成分が均一に溶剤に溶解している限り、特に限定されるものではないが、例えば1乃至80質量%であり、また例えば5乃至60質量%であり、または10乃至50質量%である。ここで、固形分とは、ポジ型感光性樹脂組成物の全成分から(D)溶剤を除いたものをいう。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物の調製方法は、特に限定されないが、その調製法としては、例えば、(A)成分(特定側鎖を有するアクリル重合体)を(D)溶剤に溶解し、この溶液に(B)成分(1,2−キノンジアジド化合物)、(C)成分の熱によりスルホン酸を発生する化合物を所定の割合で混合し、均一な溶液とする方法、或いは、この調製
法の適当な段階において、必要に応じて(E)成分(界面活性剤)、(F)成分(密着促進剤)及びその他添加剤を更に添加して混合する方法が挙げられる。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物の調製にあたっては、(D)溶剤中における特定側鎖を有するアクリル重合体の重合反応によって得られる特定側鎖を有するアクリル重合体の溶液をそのまま使用することができ、この場合、この(A)成分の溶液に前記と同様に(B)成分、(C)成分などを入れて均一な溶液とする際に、濃度調整を目的としてさらに(D)溶剤を追加投入してもよい。このとき、特定側鎖を有するアクリル重合体の形成過程で用いられる(D)溶剤と、ポジ型感光性樹脂組成物の調製時に濃度調整のために用いられる(F)溶剤とは同一であってもよいし、異なってもよい。
而して、調製されたポジ型感光性樹脂組成物の溶液は、孔径が0.2μm程度のフィル
タなどを用いて濾過した後、使用することが好ましい。
<塗膜及び硬化膜>
本発明のポジ型感光性樹脂組成物を半導体基板(例えば、シリコン/二酸化シリコン被覆基板、シリコンナイトライド基板、金属例えばアルミニウム、モリブデン、クロムなどが被覆された基板、ガラス基板、石英基板、ITO基板等)の上に、回転塗布、流し塗布、ロール塗布、スリット塗布、スリットに続いた回転塗布、インクジェット塗布などによって塗布し、その後、ホットプレートまたはオーブン等で予備乾燥することにより、塗膜を形成することができる。その後、この塗膜を加熱処理することにより、ポジ型感光性樹脂膜が形成される。
この加熱処理の条件としては、例えば、温度70℃乃至160℃、時間0.3乃至60分間の範囲の中から適宜選択された加熱温度及び加熱時間が採用される。加熱温度及び加熱時間は、好ましくは80℃乃至130℃、0.5乃至10分間である。
また、ポジ型感光性樹脂組成物から形成されるポジ型感光性樹脂膜の膜厚は、例えば0.1乃至30μmであり、また例えば0.2乃至10μmであり、更に例えば0.2乃至5μmである。
上記で得られた塗膜上に、所定のパターンを有するマスクを装着して紫外線等の光を照射し、アルカリ現像液で現像することで、露光部が洗い出されて端面のシャープなレリーフパターンが得られる。
使用されうるアルカリ性現像液としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、コリンなどの水酸化第四級アンモニウムの水溶液、エタノールアミン、プロピルアミン、エチレンジアミンなどのアミン水溶液等のアルカリ性水溶液が挙げられる。さらに、これらの現像液には、界面活性剤などを加えることもできる。
上記の中、水酸化テトラエチルアンモニウム0.1乃至2.38質量%水溶液は、フォトレジストの現像液として一般に使用されており、本発明の感光性樹脂組成物においても、このアルカリ性現像液を用いて、膨潤などの問題をひき起こすことなく良好に現像することができる。
また、現像方法としては、液盛り法、ディッピング法、揺動浸漬法など、いずれも用いることができる。その際の現像時間は、通常、15乃至180秒間である。
現像後、ポジ型感光性樹脂膜に対して流水による洗浄を例えば20乃至90秒間行い、
続いて圧縮空気もしくは圧縮窒素を用いてまたはスピニングにより風乾することにより、基板上の水分が除去され、そしてパターン形成された膜が得られる。
続いて、斯かるパターン形成膜に対して、熱硬化のためにポストベークを行うことにより、具体的にはホットプレート、オーブンなどを用いて加熱することにより、耐熱性、透明性、平坦化性、低吸水性、耐薬品性などに優れ、良好なレリーフパターンを有する膜が得られる。
ポストベークとしては、一般に、温度140℃乃至250℃の範囲の中から選択された加熱温度にて、ホットプレート上の場合には5乃至30分間、オーブン中の場合には30乃至90分間処理するという方法が採られる。
而して、斯かるポストべークにより、目的とする、良好なパターン形状を有する硬化膜を得ることができる。
以上のように、本発明のポジ型感光性樹脂組成物により、保存安定性が高く、十分高感度であり且つ現像の際に未露光部の膜減りが非常に小さく、微細なパターンを有する塗膜を形成することができる。
また、この塗膜から得られる硬化膜は耐熱性、耐溶剤性に優れ、透明性が高いという特徴を有する。そのため、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイにおける各種の膜、例えば層間絶縁膜、保護膜、絶縁膜などと共に、TFT型液晶素子のアレイ平坦化膜等の用途で好適に用いることができる。
以下、実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものでない。
[実施例で用いる略記号]
以下の実施例で用いる略記号の意味は、次のとおりである。
MAA:メタクリル酸
MMA:メチルメタクリレート
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
CHMI:N−シクロヘキシルマレイミド
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
QD:α、α、α‘−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン1molと1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロリド1.5molとの縮合反応によって合成される化合物。
CL1:ダイセル化学工業(株)製 エポリードGT−401(脂環式エポキシ樹脂)
TAG1:式(41)で表される化合物
Figure 0005293937
TAG2:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製 PAG121(商品名)
2−メチル−α−[5−[[(p−トルエンスルフォニル)オキシ]イミノ]−(5H)−チエニリデン]ベンゼンアセトニトリル(前記式(2)で表される化合物)
TAG3:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製 CGI1397(商品名)
2−メチル−α−[5−[[(プロピルスルフォニル)オキシ]イミノ]−(5H)−チエニリデン]ベンゼンアセトニトリル(前記式(4)で表される化合物)
MPTS:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
R30:大日本インキ化学工業(株)製 メガファック R−30(商品名)
[数平均分子量及び重量平均分子量の測定]
以下の合成例に従い得られた特定側鎖を有するアクリル重合体の数平均分子量及び重量平均分子量を、日本分光(株)製GPC装置(Shodex(登録商標)カラムKF803LおよびKF804L)を用い、溶出溶媒テトラヒドロフランを流量1ml/分でカラム中に(カラム温度40℃)流して溶離させるという条件で測定した。なお、下記の数平均分子量(以下、Mnと称す。)及び重量平均分子量(以下、Mwと称す。)は、ポリスチレン換算値にて表される。
<合成例1>
特定側鎖を有するアクリル重合体を構成するモノマー成分として、MAA 10.9g、CHMI 35.3g、HEMA 25.5g、MMA 28.3gを使用し、ラジカル重合開始剤としてAIBN 5gを使用し、これらを溶剤PGMEA 150g中において温度60℃乃至100℃で重合反応させることにより、Mn3,800、Mw6,700である(A)成分の溶液(共重合体濃度:40.0質量%)を得た。(P1)
<合成例2>
特定側鎖を有するアクリル重合体を構成するモノマー成分として、MAA 12.9g、CHMI 35.3g、HEMA 25.5g、MMA 26.3gを使用し、ラジカル重合開始剤としてAIBN 5gを使用し、これらを溶剤PGMEA 150g中において温度60℃乃至100℃で重合反応させることにより、Mn4,100、Mw6,900である(A)成分の溶液(共重合体濃度:40.0質量%)を得た。(P2)
<実施例1乃至4及び比較例1乃至3>
次の表1に示す組成に従い、(A)成分の溶液に、(B)成分及び(C)成分、(D)溶剤、更に(E)成分及び(F)成分を所定の割合で混合し、室温で3時間撹拌して均一な溶液とすることにより、各実施例及び各比較例のポジ型感光性樹脂組成物を調製した。
Figure 0005293937
得られた実施例1乃至4並びに比較例1乃至3の各ポジ型感光性樹脂組成物について、それぞれ、組成物の保存安定性、塗膜の感度、膜減り(未露光部における)、熱硬化時のパターン寸法の変化、硬化膜の溶剤耐性を各々測定し、それらの評価を行った。
[感度の評価]
ポジ型感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度90℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い膜厚2.5μmの塗膜を形成した。膜厚はFILMETRICS製 F20を用いて測定した。この塗膜にキヤノン(株)製紫外線照射装置PLA−600FAにより365nmにおける光強度が5.5mW/cm2の紫外線を一定時間照射した。その後0.4質量%の水酸化テトラメチ
ルアンモニウム(以下、TMAHと称す)水溶液に60秒間浸漬することで現像を行った後、超純水で20秒間流水洗浄を行った。露光部において溶け残りのなくなる最低の露光量(mJ/cm2)を感度とした。
[膜減りの評価]
ポジ型感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度90℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い膜厚2.5μmの塗膜を形成した。この膜を0.4質量%TMAH水溶液に60秒間浸漬した後、超純水で20秒間流水洗浄を行った。次いで、この膜の厚さを測定することで、現像による未露光部の膜減り度合いを評価した。この評価における膜厚は、FILMETRICS製 F20を用いて測定した。
[保存安定性の評価]
ポジ型感光性樹脂組成物の調製後、23℃にて10日間保管後に再び上述の手順を用いて[感度の評価]を行った。保管前後の感度の変化量を%にて算出し、組成物の保存安定性を評価した。
[溶剤耐性の評価]
ポジ型感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度90℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い膜厚2.5μmの塗膜を形成した。この塗膜を230℃で30分加熱することによりポストベークを行い、膜厚2.1μmの硬化膜を形成した。この塗膜をNMP中に1分間室温にて浸漬させ、浸漬
前後の膜厚変化がないものを○、膜厚の減少が見られたものを×とした。
[パターン寸法変化の評価]
ポジ型感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度90℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い膜厚2.5μmの塗膜を形成した。この塗膜にキヤノン(株)製紫外線照射装置PLA−600FAにより365nmにおける光強度が5.5mW/cm2の紫外線を8μmのライン&スペースパタ
ーンのマスクを介して150mJ/cm2照射した。その後0.4質量%TMAH水溶液
に60秒間浸漬することで現像を行った後、超純水で20秒間流水洗浄を行い、パターンを形成した。作製したパターンを140℃のホットプレートにて3分間焼成した後続いて230℃のホットプレートにて15分間焼成したものと、140℃にて焼成せずに230℃にて15分間のみ焼成したものについて、夫々走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、焼成時間の違いによるパターン線幅の変化量を測定した。
[透過率の評価]
ポジ型感光性樹脂組成物を石英基板上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度110℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い膜厚2.5μmの塗膜を形成した。この塗膜にキヤノン(株)製紫外線照射装置PLA−600FAにより365nmにおける光強度が5.5mW/cm2の紫外線を120秒間照射した。その後、この膜
を温度230℃で30分間ホットプレート上においてポストベークを行い、硬化膜を形成した。この硬化膜を紫外線可視分光光度計((株)島津製作所製SHIMADSU UV−2550型番)を用いて、400nm波長の透過率を測定した。
[評価の結果]
以上の評価を行った結果を、次の表2に示す。
Figure 0005293937
表2に示す結果より判るように、実施例1乃至4のポジ型感光性樹脂組成物はいずれも高感度であり、未露光部におけるも非常に小さい値となった。さらに硬化膜形成後の溶剤耐性に優れ、焼成温度の違いによる線幅の変化が極めて小さいパターンが得られ、また高い透過率を有する硬化膜が得られた。
また、23℃10日保管後も感度の変化が見られず、組成物の保存安定性が高いとする結果が得られた。
一方、(C)成分(熱によりスルホン酸を発生する化合物)を含まない比較例1については、ポストベークにより熱硬化が起こらず、十分な溶剤耐性が得られず、パターン線幅の変化も大きいものとなった。
そして比較例2および3については、ポストベーク後には十分な溶剤耐性や高い透過率
を有する硬化膜が得られるものの、焼成温度の違いによりパターンの線幅に変化が生ずる結果となった。また、23℃にて10日間保管後感度が大きく低下した。
本発明によるポジ型感光性樹脂組成物は、薄膜トランジスタ(TFT)型液晶表示素子、有機EL素子等の各種ディスプレイにおける保護膜、平坦化膜、絶縁膜等の硬化膜を形成する材料として好適であり、特に、TFT型液晶素子の層間絶縁膜、カラーフィルターの保護膜、アレイ平坦化膜、反射型ディスプレイの反射膜下側の凹凸膜、有機EL素子の絶縁膜等を形成する材料としても好適であり、さらにマイクロレンズ材料などの各種電子材料としても好適である。

Claims (6)

  1. 下記(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)溶剤、(E)成分及び(F)成分からなるポジ型感光性樹脂組成物であって、
    下記(A)成分100質量部に基づいて、5乃至100質量部の下記(B)成分、0.1乃至30質量部の下記(C)成分を含有し、更に(A)成分の100質量部に基いて、1.0質量%以下の(E)成分、0.1乃至20質量部の(F)成分を含有し、これら成分が下記(D)溶剤に溶解されたポジ型感光性樹脂組成物。
    (A)成分:側鎖に脂肪族水酸基を有するアルカリ可溶性アクリル重合体、
    (B)成分:1,2−キノンジアジド化合物、
    (C)成分:熱によりスルホン酸を発生する化合物、
    (D)溶剤
    (E)成分:界面活性剤、
    (F)成分:密着促進剤
  2. (A)成分のアルカリ可溶性アクリル重合体の数平均分子量がポリスチレン換算で2,000乃至30,000である、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  3. 請求項1又は請求項に記載のポジ型感光性樹脂組成物を用いて得られる硬化膜。
  4. 請求項に記載の硬化膜を有する液晶表示素子。
  5. 請求項に記載の硬化膜からなる液晶ディスプレイ用アレイ平坦化膜。
  6. 請求項に記載の硬化膜からなる層間絶縁膜。
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