JP5293212B2 - 車両の駆動力制御装置 - Google Patents
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Description
この車両の駆動力制御装置において、要求駆動力を示す負荷を検出する負荷検出手段を設ける。そして、前記駆動力制御手段は、アクセル開度と車速に応じてタイヤの駆動力の目標値を割り付ける駆動力デマンド制御と、アクセル開度と動力源の回転速度に応じて動力源の出力軸トルクの目標値を割り付けるトルクデマンド制御を、検出された負荷に応じて切り替える。
第1の発明において、前記駆動力制御手段は、アクセルオフのコースト時に駆動力デマンド制御とし、低中負荷域を駆動力デマンド制御とトルクデマンド制御をアクセル開度で補間する補間制御とし、高負荷域をトルクデマンド制御とする。
第2の発明において、前記駆動力制御手段は、低中負荷域を駆動力デマンド制御とし、高負荷域をトルクデマンド制御とする。
すなわち、有段変速機付車両の駆動力制御において、
・低負荷域では、車速変動時も駆動力段差の無いスムーズな走行がドライバーのコントロール性を向上し好まれる。
・一方、アクセルを踏み込んだ高負荷域では、有段変速機の場合、変速に伴って駆動力もリズム感をもって変化することが好まれる。
これに対し、低負荷域で「駆動力デマンド制御」を選択することで、タイヤの駆動力の目標値が、車速変動に対し駆動力段差を抑えるように割り付けられ、低負荷時に求められるスムーズさを実現できる。一方、高負荷域で「トルクデマンド制御」とすることで、動力源の出力軸トルクの目標値が、変速に伴って駆動力が変化するように割り付けられ、高負荷時に求められるリズム感を実現できる。
第1の発明では、コースト時に段差の無いスムーズさと右下がりの特性、低中負荷域時に駆動力段差を抑えたスムーズさ、高負荷域時に変速に伴って駆動力が変化するリズム感、という好ましい特性を併せて実現することができる。
第2の発明では、低中負荷域時に駆動力段差を抑えたスムーズさと共にコースト時の右下がりの特性、高負荷域時に変速に伴って駆動力が変化するリズム感、という好ましい特性を併せて実現することができる。
図1は、実施例1の制御装置が適用された後輪駆動によるFRハイブリッド車両(車両の一例)を示す全体システム図である。
実施例1におけるFRハイブリッド車両の制御系は、図1に示すように、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、インバータ3と、バッテリ4と、第1クラッチコントローラ5と、第1クラッチ油圧ユニット6と、ATコントローラ7と、第2クラッチ油圧ユニット8と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10と、を有して構成されている。なお、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、第1クラッチコントローラ5と、ATコントローラ7と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10とは、情報交換が互いに可能なCAN通信線11を介して接続されている。
まず、「駆動力制御の技術背景と課題」、「発明の概要」の説明を行い、続いて、実施例1のFRハイブリッド車両の駆動力制御装置における作用を、「駆動力制御作用」、「各負荷帯域で実現される駆動力特性」に分けて説明する。
一般に、トルク制御可能な動力源と変速機の組み合わせで駆動力を発生する車両では、駆動力または変速機入力トルクの目標値を元に各アクチュエータの制御目標値を求める制御が採用されている。
・低負荷域では車速変動時も駆動力段差の無いスムーズな走行がドライバーのコントロール性を向上し好まれる。
・一方、アクセルを踏み込んだ高負荷域では有段自動変速機の場合、変速に伴って駆動力もリズム感をもって変化することが好まれる。
・また、アクセルオフのコーストは、段差の無いスムーズな駆動力特性であると共に車速0の近傍では正のクリープ力が出て車速が高くなる程、負の減速駆動力が強くなる右下がりの特性が好まれる。
上記課題に対し、本発明は、図10(a),(b)に示すように、低負荷域を「駆動力デマンド制御(又はパワー制御)」とし、高負荷域を「トルクデマンド制御」とするという解決策を提案するものである(実施例1〜3)。
以下、図6に示すフローチャートを用い、駆動力制御作用を説明する。
アクセル足離しによるコースト時(アクセル開度=0)には、図6のフローチャートにおいて、ステップS101→ステップS102→ステップS104→ステップS105→ステップS106→ステップS107→ステップS113→ステップS114→ステップS115→エンドへと進む流れが繰り返される。すなわち、ステップS105→ステップS106→ステップS107において、車速とアクセル開度に依存してタイヤ駆動力の目標トルク(目標値)を制御する「駆動力デマンド制御」が実行される。
上記のように、実施例1の駆動力制御においては、図11に示すように、コースト時(負荷ゼロ)の「駆動力デマンド制御」と、0<アクセル開度<しきい値の時(低中負荷側)の補間制御と、アクセル開度≧しきい値の時(高負荷側)の「トルクデマンド制御」の3通りの制御を行うようにしている。
これに対し、「駆動力デマンド制御」が行われることで、タイヤ駆動力の目標値が、車速変動に対し駆動力段差を抑えるように割り付けられ、アクセルオフのコースト時に求められる特性、つまり、段差の無いスムーズな駆動力特性であると共に、車速0の近傍では正のクリープ力が出て車速が高くなる程、負の減速駆動力が強くなる右下がりの特性を実現することができる。
これに対し、低中負荷域では、「補間制御」が行われることで、低負荷であるほど、「駆動力デマンド制御」による影響度合いが大きく、車速変動に対し駆動力段差を抑えるように割り付けられる。そして、中負荷に移行するほど、「トルクデマンド制御」による影響度合いが増すことで、車速変動に対する駆動力段差の抑制効果が減じられるが、低中負荷域で求められる特性、つまり、車速変動時も駆動力段差を抑えたスムーズな走行が実現され、ドライバーのコントロール性を向上させることができる。
これに対し、高負荷域では「トルクデマンド制御」とすることで、動力源の出力軸トルクの目標値が、変速に伴って駆動力が変化するように割り付けられ、高負荷時に求められる変速に伴って駆動力が変化するリズム感を実現することができる。
実施例1のFRハイブリッド車両の駆動力制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
このため、低負荷時に求められる車速変動に対し駆動力段差の無いスムーズさと高負荷時に求められる変速に伴って駆動力が変化するリズム感を併せて実現することができる。
このため、コースト時に段差の無いスムーズさと右下がりの特性、低中負荷域時に駆動力段差を抑えたスムーズさ、高負荷域時に変速に伴って駆動力が変化するリズム感、という好ましい特性を併せて実現することができる。
したがって、電動モータの助力を得てコーストを滑らかな一本の線の駆動力に保つことができる。このため、コーストから低負荷域は「駆動力デマンド制御」とし、高負荷域は「トルクデマンド制御」という使い分けが可能となり、理想的な駆動力特性を得ることができる。
図12は、実施例2の統合コントローラ10にて実行される駆動力制御システムを示す図である。図13は、実施例2の統合コントローラ10にて実行される駆動力制御処理の流れを示すフローチャートである(駆動力制御手段)。以下、図12を参照しながら図13のフローチャートの各ステップについて説明する。
なお、他の構成は、実施例1と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
アクセル開度がしきい値未満の低中負荷域での走行時には、図13のフローチャートにおいて、ステップS201→ステップS202→ステップS204→ステップS205→ステップS206→ステップS207→ステップS208→ステップS209→エンドへと進む流れが繰り返される。すなわち、ステップS204→ステップS205→ステップS206において、車速とアクセル開度に依存してタイヤ駆動力の目標トルク(目標値)を制御する「駆動力デマンド制御」が実行される。
これに対し、「駆動力デマンド制御」が行われることで、タイヤ駆動力の目標値が、車速変動に対し駆動力段差を抑えるように割り付けられ、車速変動時も駆動力段差を抑えたスムーズな走行が実現され、ドライバーのコントロール性を向上させることができる。そして、コースト時に求められる負の減速駆動力が強くなる右下がりの特性も実現することができる。
これに対し、高負荷域では「トルクデマンド制御」とすることで、動力源の出力軸トルクの目標値が、変速に伴って駆動力が変化するように割り付けられ、高負荷時に求められる変速に伴って駆動力が変化するリズム感を実現することができる。
なお、他の作用は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
実施例2のFRハイブリッド車両の駆動力制御装置にあっては、実施例1の(1),(3)の効果に加え、下記に列挙する効果を得ることができる。
このため、低中負荷域時に駆動力段差を抑えたスムーズさと共にコースト時の右下がりの特性、高負荷域時に変速に伴って駆動力が変化するリズム感、という好ましい特性を併せて実現することができる。
このため、出力(=車速×駆動力)の一定性を保ったままで2つの制御の切り替えを行うことができ、出力段差の発生が抑えられ、駆動力特性のリニアリティを改善することができる。
このため、出力(=車速×駆動力)が一定のままで2つの制御の切り替えを行うことができ、出力段差の発生が無くなり、駆動力特性のリニアリティを大幅に改善することができる。
図17は、実施例3の統合コントローラ10にて実行される駆動力制御システムを示す図である。図18は、実施例3の統合コントローラ10にて実行されるアクセル開度しきい値生成処理の流れを示すフローチャートである。図19は、実施例3の統合コントローラ10にて実行される駆動力制御処理の流れを示すフローチャートである(駆動力制御手段)。以下、図17を参照しながら図18,図19のフローチャートの各ステップについて説明する。
ここで、路面勾配推定値は、例えば、車両に設けた傾斜センサから路面勾配を推定して求めるようにしても良いし、また、アクセル開度と車速の関係から路面勾配(走行抵抗)を推定するようにしても良い。
ここで、勾配−アクセル開度しきい値補正量は、ステップS303の右部に示すように、勾配が大きくなるほど正の補正量を与え、「駆動力デマンド制御」の領域を拡大するようにする。
ここで、スポーティ度は、例えば、スポーツ/エコの切り替えスイッチを有している場合は、スイッチ信号によりスポーティ度を推定しても良いし、また、ドライバーによるアクセル開度の変化度合いや頻度を監視してスポーティ度を推定しても良い。
ここで、スポーティ度−アクセル開度しきい値補正量は、ステップS306の右部に示すように、スポーティ度が大きくなるほど負の補正量を与え、「トルクデマンド制御」の領域を拡大するようにする。
なお、他の構成は、実施例1と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
最終アクセル開度しきい値を設定する際は、図18のフローチャートにおいて、ステップS301→ステップS302→ステップS303→ステップS304→ステップS305→ステップS306→ステップS307→ステップS308→エンドへと進む流れが繰り返される。すなわち、アクセル開度しきい値の初期値が、勾配補正されると共にスポーティ度補正され、最終アクセル開度しきい値が設定されることになる。
・例えば、登り坂では、高アクセル開度でも一定速を保ちたいという要求があるので、登り坂を検知した場合は、しきい値を高アクセル開度にするのが良い。
・一方、スポーティ走行時は、比較的低開度でもリズム感を高めたいので、ドライバーのスポーティ度を検知して、それによりしきい値を低くするのが良い。
なお、他の作用は、実施例1,2と同様であるので、説明を省略する。
実施例3のFRハイブリッド車両の駆動力制御装置にあっては、実施例1の(1),(3)の効果、および、実施例2の(4)〜(6)の効果に加え、下記に列挙する効果を得ることができる。
このため、走行状況により切り替え境界線を変化させることで、走行状況に応じた最適な駆動力制御とすることができる。
このため、勾配補正により「駆動力デマンド制御」の領域が拡大され、登坂路走行時にアップシフトしても駆動力が落ちなく、ハンチング防止となりスムーズな走行を行うことができる。
このため、スポーティ度補正により「トルクデマンド制御」の領域が拡大され、ドライバーがスポーティな走行を意図している時、ドライバーの意図に沿う変速のリズム感を重視した駆動力制御の切り替えを行うことができる。
MG モータ/ジェネレータ(電動モータ)
AT 自動変速機(有段変速機)
CL1 第1クラッチ
CL2 第2クラッチ
RL 左後輪(タイヤ)
RR 右後輪(タイヤ)
1 エンジンコントローラ
2 モータコントローラ
3 インバータ
4 バッテリ
5 第1クラッチコントローラ
6 第1クラッチ油圧ユニット
7 ATコントローラ
8 第2クラッチ油圧ユニット
9 ブレーキコントローラ
10 統合コントローラ
Claims (8)
- トルク制御可能な動力源と、変速比を有限な段数で制御可能な有段変速機の組み合わせによりタイヤに伝達する駆動力を制御する駆動力制御手段を備えた車両の駆動力制御装置において、
要求駆動力を示す負荷を検出する負荷検出手段を設け、
前記駆動力制御手段は、アクセル開度と車速に応じてタイヤの駆動力の目標値を割り付ける駆動力デマンド制御と、アクセル開度と動力源の回転速度に応じて動力源の出力軸トルクの目標値を割り付けるトルクデマンド制御を、検出された負荷に応じて切り替え、
アクセルオフのコースト時に駆動力デマンド制御とし、低中負荷域を駆動力デマンド制御とトルクデマンド制御をアクセル開度で補間する補間制御とし、高負荷域をトルクデマンド制御とする
ことを特徴とする車両の駆動力制御装置。 - トルク制御可能な動力源と、変速比を有限な段数で制御可能な有段変速機の組み合わせによりタイヤに伝達する駆動力を制御する駆動力制御手段を備えた車両の駆動力制御装置において、
要求駆動力を示す負荷を検出する負荷検出手段を設け、
前記駆動力制御手段は、アクセル開度と車速に応じてタイヤの駆動力の目標値を割り付ける駆動力デマンド制御と、アクセル開度と動力源の回転速度に応じて動力源の出力軸トルクの目標値を割り付けるトルクデマンド制御を、検出された負荷に応じて切り替え、
低中負荷域を駆動力デマンド制御とし、高負荷域をトルクデマンド制御とする
ことを特徴とする車両の駆動力制御装置。 - 請求項2に記載された車両の駆動力制御装置において、
前記駆動力制御手段は、駆動力デマンド制御を行う低中負荷域とトルクデマンド制御を行う高負荷域を分ける境界線を、所定のアクセル開度に対する目標値の線であり、かつ、駆動力デマンド制御側においてもトルクデマンド制御側においてもそれぞれ車速および動力源の回転速度に対し単調減少線としたことを特徴とする車両の駆動力制御装置。 - 請求項2に記載された車両の駆動力制御装置において、
前記駆動力制御手段は、駆動力デマンド制御を行う低中負荷域とトルクデマンド制御を行う高負荷域を分ける境界線を、所定のアクセル開度に対する目標値の線であり、かつ、駆動力デマンド制御側においてもトルクデマンド制御側においても略等価の等出力線としたことを特徴とする車両の駆動力制御装置。 - 請求項2から請求項4の何れか1項に記載された車両の駆動力制御装置において、
車両の走行状況を検知する走行状況検知手段を設け、
前記駆動力制御手段は、駆動力デマンド制御を行う低負荷とトルクデマンド制御を行う
高負荷を分ける境界線を、前記検知された走行状況に基づいて変化させることを特徴とする車両の駆動力制御装置。 - 請求項5に記載された車両の駆動力制御装置において、
車両が走行している路面の勾配を検知する路面勾配検知手段を有し、
前記走行状況検知手段は、車両の走行状況として、走行路面の勾配抵抗を検知することを特徴とする車両の駆動力制御装置。 - 請求項5に記載された車両の駆動力制御装置において、
ドライバーが定常的運転傾向にあるかスポーティな運転傾向にあるかを判定する運転傾向判定手段を有し、
前記走行状況検知手段は、車両の走行状況として、ドライバーの運転傾向を検知することを特徴とする車両の駆動力制御装置。 - 請求項1から請求項7の何れか1項に記載された車両の駆動力制御装置において、
前記車両の動力源は、内燃機関と電動モータの組み合わせで制御するハイブリッド機関であることを特徴とする車両の駆動力制御装置。
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