JP5292128B2 - 走査プローブ顕微鏡およびこれを用いた試料の観察方法 - Google Patents

走査プローブ顕微鏡およびこれを用いた試料の観察方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5292128B2
JP5292128B2 JP2009042242A JP2009042242A JP5292128B2 JP 5292128 B2 JP5292128 B2 JP 5292128B2 JP 2009042242 A JP2009042242 A JP 2009042242A JP 2009042242 A JP2009042242 A JP 2009042242A JP 5292128 B2 JP5292128 B2 JP 5292128B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sample
field light
measurement probe
plasmon
scanning probe
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009042242A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010197208A (ja
Inventor
俊彦 中田
正浩 渡辺
隆史 井上
貴志夫 日高
誠 岡井
誠之 廣岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP2009042242A priority Critical patent/JP5292128B2/ja
Priority to US12/712,745 priority patent/US8407811B2/en
Publication of JP2010197208A publication Critical patent/JP2010197208A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5292128B2 publication Critical patent/JP5292128B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01QSCANNING-PROBE TECHNIQUES OR APPARATUS; APPLICATIONS OF SCANNING-PROBE TECHNIQUES, e.g. SCANNING PROBE MICROSCOPY [SPM]
    • G01Q60/00Particular types of SPM [Scanning Probe Microscopy] or microscopes; Essential components thereof
    • G01Q60/18SNOM [Scanning Near-Field Optical Microscopy] or apparatus therefor, e.g. SNOM probes
    • G01Q60/22Probes, their manufacture, or their related instrumentation, e.g. holders
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01QSCANNING-PROBE TECHNIQUES OR APPARATUS; APPLICATIONS OF SCANNING-PROBE TECHNIQUES, e.g. SCANNING PROBE MICROSCOPY [SPM]
    • G01Q70/00General aspects of SPM probes, their manufacture or their related instrumentation, insofar as they are not specially adapted to a single SPM technique covered by group G01Q60/00
    • G01Q70/08Probe characteristics
    • G01Q70/10Shape or taper
    • G01Q70/12Nanotube tips

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Radiology & Medical Imaging (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Nanotechnology (AREA)
  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)
  • Microscoopes, Condenser (AREA)

Description

本発明は、走査プローブ顕微鏡技術および、これを用いた試料観察方法に適用して有効な技術に関する。
微細立体形状の計測技術として走査プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microscope)が知られている。その中でも原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)は、先端のとがった探針を制御して接触力を非常に小さな値に保ちながら試料表面を走査する観察技術であり、原子オーダの微細立体形状が計測できる技術として、広く用いられている。しかし、この原子間力顕微鏡は試料表面の反射率分布や屈折率分布といった光学的性質を測定することはできない。
一方、45nmノード以降の極微細半導体デバイスでは、高速化のために歪シリコンの適用が予定されており、微小領域における応力分布の測定が歩留まり管理上不可欠とされる。また、さらなる微細化のためには、不純物原子の分布状況をナノメートルオーダの分解能できめ細かく管理することが要求されている。応力分布や不純物分布などの物性情報は、原子間力顕微鏡や寸法管理に用いられているCD−SEM(測長SEM(Scanning Electron Microscope))では測定不可能である。ラマン分光計測法等の光学的手法の検討がされているが、通常のラマン分光顕微鏡では空間分解能が不足している。
また、異物検査や欠陥検査で検出された異物や欠陥の発生要因を特定するため、レビューSEMと呼ばれる電子顕微鏡で異物や欠陥の分類作業が行われているが、形状や凹凸情報のみに頼る手法のため、分類性能に限界がきている。こちらも、光学情報を付加することにより分類性能の向上が期待できるが、やはり通常の光学顕微鏡やレーザ走査顕微鏡では空間分解能が不足している。
これらの課題を解決し、試料表面の光学的性質や物性情報を高分解能で測定する手段として、近接場走査顕微鏡(SNOM:Scanning Near−field Optical Microscope)が知られる。この顕微鏡は、非特許文献1に開示されているように、数十nmの微小開口から漏れる近接場光を、開口と試料との間隙を同じく数十nmに保ったままで走査することにより(開口プローブ)、光の回折限界を超えて開口と同じ大きさの数十nmの分解能で、試料表面の反射率分布や屈折率分布といった光学的性質を測定するものである。同様の手法として、非特許文献2には、金属探針に外部から光を照射して、探針の微小先端部で散乱した数十nmの大きさの近接場光を走査する(散乱プローブ)方法も開示されている。
また、微小スポット光により金属表面に励起させた表面プラズモンが、金属表面を伝搬していくことが非特許文献3に記載されている。
また、特許文献1には、ファイバ先端に微小な球形レンズを形成して微小スポット光を形成する方法が開示されている。
また、特許文献2には、カーボンナノチューブ内部にフォトルミネセンス、エレクトロルミネセンスを発現するV、Y、Ta、Sb等の金属カーバイトや、ZnS蛍光体、CaS蛍光体を充填し、微小スポット光を得る方法が開示されている。
特表2006−515682号公報 特開2002−267590号公報
Japanese Journal of Applied Physics,Vol.31,pp.L1302−L1304(1992) Optics Letters,Vol.19,pp.159−161(1994) 分光研究、第54巻、第4号、pp.225〜237(2005)
しかし、上記した近接場走査顕微鏡は測定分解能が数十nmオーダであり、nmオーダの分解能を有する原子間力顕微鏡や電子顕微鏡に比べ一桁以上分解能が不足している。また測定の再現性が極めて低いという工業応用にとっては致命的ともいえる問題も抱えている。すなわち、上記の方法のうち、開口プローブを用いる方法では、開口を安定に形成することが極めて困難であり、実用上数十nmが限界とされている。また、試料上を走査する際にプローブが試料に衝突して開口が損傷したり磨耗して、次第に開口が広がってしまい、測定画像の再現性が低下してしまう。
一方、金属探針を用いる散乱プローブは、開口プローブに比べ分解能が高いとされるが、外部照明光が探針の根元や試料表面で散乱して背景雑音となったり、開口プローブと同様、試料上を走査する際にプローブが試料に衝突して先端部が損傷あるいは磨耗して、測定分解能が低下し十分な再現性が得られないという課題を有していた。
また、ファイバ先端に微小な球形レンズを形成する方法も原理的に分解能は数十nmオーダ以上であり、さらに試料上を走査する際に球形レンズが試料に衝突して損傷したり磨耗し、次第にスポット光が大きくなりその形状が劣化し、測定画像の再現性が低下してしまう。
また、カーボンナノチューブ内部にフォトルミネセンス、エレクトロルミネセンスを発現する発光粒子を充填する方法も、粒子径がナノメートルオーダになると発光効率が極端に低下し、高いSN比での近接場光画像を得ることが困難である。
そこで本発明では、プローブと試料の双方にダメージを与えることなく、ナノメートルオーダの分解能でかつ高い再現性と高いSN比で、試料表面の光学情報及び凹凸情報を測定することを可能とする走査プローブ顕微鏡を提供することを目的とする。
また、本発明の別の目的は、半導体試料の応力分布や不純物分布などの物性情報や、異物や欠陥の分類に寄与する光学情報や凹凸情報をナノメートルオーダの分解能で測定し、製造プロセス条件にフィードバックすることで、信頼性の高い半導体デバイスの高歩留まり生産を実現することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
すなわち、代表的なものの概要は、走査プローブ顕微鏡を、内部に金属構造物が埋め込まれた測定探針と、この測定探針を支持するカンチレバーと、このカンチレバーを駆動して測定探針を検査対象試料に対して相対的に3次元的に走査するカンチレバー駆動手段と、カンチレバーの変形を検出する変位検出手段と、測定探針と検査対象試料の表面との間に近接場光を発生させて検査対象試料表面の近接場光画像を取得する近接場光画像取得手段とを備えて構成したことを特徴とする。
そして、さらに、変位検出手段でカンチレバーの変形を検出して得た信号を処理して検査対象試料の表面の原子間力顕微鏡画像(AFM画像)を作成するAFM画像作成手段を備えて構成したことを特徴とする。
そして、さらに、近接場光画像取得手段において、測定探針の一端にプラズモンを励起するプラズモン励起手段を備えたものである。具体的には、測定探針の入射端に伝搬光からプラズモンを励起し、このプラズモンを測定探針の出射端まで伝搬させ、近接場光として出力させるプラズモン励起部を備えて構成したことを特徴とする。
また、走査プローブ顕微鏡を用いた試料の観察方法において、内部に金属構造物が埋め込まれた測定探針を支持するカンチレバーを駆動して測定探針を検査対象試料に対して相対的に3次元的に走査し、この3次元的な走査によるカンチレバーの変形を光学的に検出し、測定探針を用いて検査対象試料の表面の近接場光画像を取得するようにしたことを特徴とする。
そして、さらに、カンチレバーの変形を検出して得た信号を処理して検査対象試料の表面の原子間力顕微鏡画像(AFM画像)も作成するようにしたことを特徴とする。
そして、さらに、近接場光画像を取得するために、測定探針の一端にプラズモンを励起するものである。具体的には、測定探針の入射端に伝搬光からプラズモンを励起し、このプラズモンを測定探針の出射端まで伝搬させ、近接場光として出力させるようにしたことを特徴とする。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
すなわち、代表的なものによって得られる効果は、プローブと試料の双方にダメージを与えることなく、ナノメートルオーダの分解能でかつ高い再現性と高いSN比で、試料表面の光学情報、分光情報、凹凸情報の測定が可能になる。その結果、半導体試料の応力分布や不純物分布などの物性情報や分光情報、表面凹凸情報の測定が可能になる。また、異物や欠陥の分類に寄与する光学情報や凹凸情報を測定できるので異物・欠陥分類性能が向上する。また、これらの測定結果を半導体製造プロセス条件にフィードバックすることで、信頼性の高い半導体デバイスの高歩留まり生産が可能になるという効果を奏する。
本発明の実施の形態1におけるプラズモン増強近接場プローブの正面の断面図である。 本発明の実施の形態1における別のプラズモン増強近接場プローブの正面の断面図である。 本発明の実施の形態1におけるさらに別のプラズモン増強近接場プローブの正面の断面図である。 本発明の実施の形態1におけるプラズモン励起部の斜視図である。 本発明の実施の形態1におけるプラズモン励起部の側面の断面図(a)とカンチレバーの背面から見た断面図(b)である。 本発明の実施の形態1のプラズモン励起部における、ナノチューブのチップへの固定方法と、励起されたTMモード・プラズモンをナノチューブに導く原理を示す断面図である。 本発明の実施の形態1における走査プローブ顕微鏡の概略の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1における試料表面を計測する手順を示すフロー図である。 本発明の実施の形態1において、ナノチューブのステップイン走査を示す試料の断面図及びカンチレバーの斜視図である。 本発明の実施の形態1において、ナノチューブ−試料間接触力と近接場光の測定タイミングとの関係(接触力(a)、近接場光検出強度(b))を示すグラフである。 本発明の実施の形態1の検出光学系の変形例1における走査プローブ顕微鏡の概略の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1の計測部及び検出光学系の変形例1におけるプラズモン増強近接場プローブの正面の断面図である。 本発明の実施の形態1の計測部及び検出光学系の変形例1における走査プローブ顕微鏡の概略の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1の計測部及び検出光学系の変形例2における走査プローブ顕微鏡の概略の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1の検出光学系の変形例2における走査プローブ顕微鏡の概略の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1の検出光学系の変形例3における走査プローブ顕微鏡の概略の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1の計測部の変形例1における走査プローブ顕微鏡の概略の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1において、各種材料と各光源波長に対する反射光強度の組み合わせデータを示す概略図である。 本発明の実施の形態1の計測部の変形例1における走査プローブ顕微鏡をコンタクトホールなどの深穴底の残膜検出に適用した例を示す深穴の断面図と、プラズモン増強近接場プローブの正面の断面図である。 本発明の実施の形態1の計測部の変形例2における走査プローブ顕微鏡の概略の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態2のプラズモン励起部における、ナノチューブのチップへの固定方法と、励起されたTMモード・プラズモンをナノチューブに導く原理を示す断面図である。 本発明の実施の形態3のプラズモン励起部における、ナノチューブのチップへの固定方法と、励起されたTMモード・プラズモンをナノチューブに導く原理を示す断面図である。 本発明の実施の形態4のプラズモン励起部における、ナノチューブのチップへの固定方法と、励起されたTMモード・プラズモンをナノチューブに導く原理を示す断面図である。 本発明の実施の形態4において、直径4nmの金ナノ粒子を充填した外径20nmのカーボンナノチューブの上端部に波長886nmの点光源を配置した時の、カーボンナノチューブ内部及び表面近傍の電界分布を、計算機シミュレーションにより求めたものである。
<実施の形態の概要>
金属の微粒子に光を照射すると金属内の自由電子が集団的に振動する表面プラズモンが発生し、照射した光により金属粒子の表面に発生するエバネッセント光がこの表面プラズモンとカップリングしてプラズモン共鳴を起こし、光吸収を起こすと共に局所的に著しく増強された電場を発生することが知られている。本発明の実施の形態は、この局所的に著しく増強された電場(近接場光)をその先端部に生成するプローブを作成し、このプローブを用いて試料表面の光学的状態を観察、または計測するものである。
本発明の実施の形態のプローブは、内部に金属構造物が埋め込まれた測定探針から成り、詳細は各実施の形態で後述するが、例えば、カーボンナノチューブもしくは金属ナノチューブで形成し、このカーボンナノチューブもしくは金属ナノチューブの内部に金粒子(金ナノ粒子)もしくは銀粒子(銀ナノ粒子)もしくは金ロッド(金ナノロッド)もしくは銀ロッド(銀ナノロッド)を埋め込んだものである。または、カーボンナノチューブもしくは金属ナノチューブで形成し、検査対象試料の表面に近づけるカーボンナノチューブもしくは金属ナノチューブの先端部を先鋭化し、この先端部に金粒子(金ナノ粒子)もしくは銀粒子(銀ナノ粒子)を埋め込んだものである。
本発明の実施の形態の走査プローブ顕微鏡は、詳細は各実施の形態で後述するが、例えば、前述した内部に金属構造物が埋め込まれた測定探針(ナノチューブ1)と、この測定探針を支持するカンチレバー(201)と、このカンチレバーを駆動して測定探針を検査対象試料に対して相対的に3次元的に走査するカンチレバー駆動手段(XYZ圧電素子アクチュエータ204)と、カンチレバーの変形を検出する変位検出手段(4分割ポジションセンサ209)と、測定探針と検査対象試料の表面との間に近接場光を発生させて検査対象試料表面の近接場光画像を取得する近接場光画像取得手段(計測部2000)とを備えて構成する。
そして、さらに、変位検出手段でカンチレバーの変形を検出して得た信号を処理して検査対象試料の表面のAFM画像を作成するAFM画像作成手段(画像形成ユニット410)を備えて構成する。
そして、さらに、近接場光画像取得手段において、測定探針の一端にプラズモンを励起するプラズモン励起手段(プラズモン励起部200)と、プラズモン励起手段によりプラズモンが励起された状態で測定探針の他端を検査対象試料の表面に近づけることにより測定探針の他端と検査対象試料の表面との間に発生する近接場光を検出する近接場光検出光学系(検出光学系4000)と、近接場光検出光学系で近接場光を検出して得た信号を処理して検査対象試料の表面の近接場光画像を得る近接場光画像処理系(制御部6000)とを備えて構成する。
また、本発明の実施の形態の試料の観察方法は、前述した走査プローブ顕微鏡を用いて、測定探針を検査対象試料に対して相対的に3次元的に走査し、この3次元的な走査によるカンチレバーの変形を光学的に検出し、測定探針を用いて検査対象試料の表面の近接場光画像を取得する。
以下、前述した実施の形態の概要に基づき、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、各図において、断面図であっても、図示内容を分かり易くするために断面表記を省略する場合がある。
<実施の形態1>
本発明の実施の形態1を、図1〜図20に基づいて説明する。
まず、本実施の形態におけるプラズモン増強近接場プローブの構成を、図1〜図3に基づいて説明する。本実施の形態では、図1に示すように、多層構造カーボンナノチューブ(CNT:Carbon nanotube)、あるいは金属ナノチューブ、あるいは絶縁体としての性質を示すボロンナイトライド(BN)ナノチューブなどのナノチューブ1の下端部を円錐状に先鋭化すると共に、内部空洞部分の上端部、内部、及び下端部に金(Au)の球形の金ナノ粒子2(2a、2c、及び2b)を充填しプラズモン増強近接場プローブを構成する。
例えば、カーボンナノチューブなどのナノチューブ1の両端に電圧を印加し、印加電圧を大きくしていくと、やがて電流は飽和域に至る。さらに印加電圧を大きくすると、電流が階段状に減少し、ナノチューブ1は外層から一枚ずつはがされ細くなっていき、最終的にナノチューブ1中央で切断される。このプロセスにより、ナノチューブ1の先端部を先鋭化させることができる。また、金ナノ粒子2の充填方法は、例えば高圧電流印加や加熱により両端を開放したナノチューブ1と金ナノ粒子2を真空室内に入れて、加熱反応させることにより、毛細管現象を応用することにより、金ナノ粒子2をナノチューブ1内部に包含させることが可能である。この毛細管現象については、例えば、web上(http://www1.accsnet.ne.jp/〜kentaro/yuuki/nanotube/nanotube2.htmi)で公開されているような技術を応用することができる。
本実施の形態では、ナノチューブ1の長さは1μm、外径は20nm、空洞部分の内径は4nmとした。金ナノ粒子2a、2c、及び2bの直径は4nmである。ここで、プラズモンを発生させる限界の金属粒子径が1nm以上であるとされており、金ナノ粒子2の直径が1nm以上であれば本発明の目的を達成できる。本実施の形態においては、比較的安定して製造が可能な金ナノ粒子径の限界として4nmにした。しかし、本発明では、金ナノ粒子2の直径を4nmに限定するものではなく、1nm〜20nm程度の範囲の直径であれば、本発明の目的は達成できる。この場合、金ナノ粒子2の直径に応じてナノチューブ1の外径も変える必要が有る。また、以下の実施の形態では金属粒子として金を用いた場合について説明するが、他の種類の金属、例えば銀ナノ粒子であっても同様な効果を得ることができる。
ナノチューブ1の上端部に何らかの手段により表面プラズモン740を導くことができれば、この表面プラズモン740は、破線矢印7a及び7bに示すように、ナノチューブ1の表面及び内部に充填された金ナノ粒子2a、2c、2bを上端部から下端部へと伝搬していく。ナノチューブ1の下端部は円錐状に先鋭化されているので、電場強度が局所的に増強され、ナノチューブ1の下端部の金ナノ粒子2bに強い局在プラズモンが励起される。この局在プラズモンは試料10の表面構造と相互作用して強い共鳴現象を生じ、微小な近接場光8を発生させる。この近接場光8のスポット径は、金ナノ粒子2bが試料10に最接近した時に、金ナノ粒子2bとほぼ同じ大きさの4nmとなる。すなわち、本プローブを、試料上を相対的に2次元走査することにより、例えば試料10の異なる反射率の領域11及び12を4nmの光学分解能で識別することが可能になる。実際には、近接場光8と試料10との相互作用により伝搬光が生じるので、この伝搬光を検出することで、試料10表面の光学特性や分光特性を4nmの光学分解能で画像化することができる。尚、原子間力顕微鏡では、領域11及び12を識別することはできない。
プラズモン増強近接場プローブの構成は図1に限定されるものではなく、図2のような構成も可能である。すなわち、金ナノ粒子2(2a、2c、2b)の代わりに、金ナノロッド702をナノチューブ1内に充填し、ナノチューブ1の上端部に表面プラズモン740を導くことにより、上記と同様の原理により、微小な近接場光8を発生させることが可能である。金ナノロッド702の代わりに銀ナノロッドを用いることも可能であり、また一様に充填するのではなく、複数個のナノロッドをナノメートルからサブナノメートルの間隔を設けて数珠状に配列することも可能である。
さらに、図3のような構成も可能である。すなわち、図1に示すように、金ナノ粒子2を一様に充填する代わりに、ナノチューブ1の上端部と下端部のみに金ナノ粒子2a、2bを充填し、ナノチューブ1の上端部に表面プラズモン740を導くことにより、上記と同様の原理により、微小な近接場光8を発生させることが可能である。この場合も、金ナノ粒子2の代わりに銀ナノ粒子を用いても、同様の効果が得られる。
次に、ナノチューブ1の上端部に表面プラズモン740を励起するプラズモン励起部の構成を、図4〜図5に基づいて説明する。図4にプラズモン励起部200の全体構成を示す。例えばSiから成るカンチレバー201の先端に同様にSiから成る三角錐状のチップ730が形成されており、その先端にナノチューブ1が固定されている。カンチレバー201の背面201sに伝搬光である励起光5a、5bを集束して照射する。
この様子を図5(a)に示す、カンチレバー201及びチップ730を側方から見た断面図を用いて、詳細に説明する。カンチレバー201及びチップ730がSiから成る場合、励起光5a、5bは、例えば波長886nmの近赤外レーザ光を用い、NA(Numerical Aperture:開口数)0.2で集束してカンチレバー201の背面201sに照射する。偏光方向5pはP偏光であり、集束角735は約23°である。入射角736は、表面反射による光量損失を抑えるため、ブリュースター角である75°近辺にするのが望ましい。入射した励起光は、屈折して三角錐状のチップ730の稜線730wに集束する。集束角737は約6°となる。稜線730wに対する入射角738は臨界角である約16°以上に設定することが望ましい。チップ730の表面には金の薄膜730f、730rがコートされている。
図5(b)はチップ730をカンチレバー201の背面から見た断面図である。稜線730wを挟む二つの斜面のなす角度は50°、プラズモンの発生効率を考慮して、稜線730wに沿った金の薄膜730fの膜厚は50nm程度、稜線730wを挟む二つの斜面の金の薄膜730sの膜厚はそれよりも薄い10nm程度にすることが望ましい。稜線730wの幅は本実施の形態の場合、100nmとした。図5(a)に示すように、稜線730wへのP偏光の励起光の照射により、金の薄膜730fの表面に沿ってTM(Transverse Magnetic)モード・プラズモン(表面プラズモンとも記す)740が励起され、チップ730の先端に固定されたナノチューブ1に向かって伝播していく。プラズモンが励起される共鳴ディップ入射角738の許容範囲はたかだか2〜3°であるので、励起光の集束角737の範囲は上述の通り、その2倍の約6°程度が望ましい。
次に、本プラズモン励起部200における、ナノチューブ1のチップ730への固定方法と、励起されたTMモード・プラズモン740をナノチューブ1に導く原理を、図6に基づいて説明する。図6に示すように、電子ビーム照射により金ドット750aを3個形成し、これをバインダとしてナノチューブ1をチップ730の先端に溶融固着する。ここで、ナノチューブ1の入射端の金ドットは、ナノチューブ1をチップ730に固定するためだけでなく、TMモード・プラズモン740に対する集光アンテナの役目を果たし、その直径D、高さHを最適化することで、最大の結合効率を得ることができる。例えば、直径20nmのナノチューブへのプラズモンの結合効率を考慮すると、金ドット750aの直径D及び高さHは、概ねナノチューブ1の直径20nmと同じ大きさが望ましい。本実施の形態では、ナノチューブ1の固定のための十分な強度を確保し、かつできるだけ高い結合効率が得られるように、ナノチューブ1の直径の約2倍であるD=40nm、H=40nm、またその間隔はP=250nmとする。
これにより、TMモード・プラズモン740は、図1〜図3に示すナノチューブ1の入射端の金ナノ粒子2a、あるいは金ナノロッド702の上端部に効率よく結合し、さらに破線矢印7a及び7bに示すように、ナノチューブ1の表面及び内部に充填された金ナノ粒子2c、2b、あるいは金ナノロッド702を、上端部から下端部に伝搬していき、最終的にナノチューブ1の下端部から近接場光8が出力される。
尚、図6において、ナノチューブ1に結合しなかったTMモード・プラズモン740は、チップ730の先端で近接場光となり、これがナノチューブ1の先端部で生じる近接場光8に対する背景雑音となる。この背景雑音の影響を避けるため、チップ730の先端とナノチューブ1の先端との距離Lは、チップ先端部の大きさ以上、例えば数十〜数百nm以上離すことが望ましい。
本実施の形態では、カンチレバー201とチップ730はSiから成るとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばSiから成るカンチレバー201とチップ730も適用可能である。この場合、励起光として例えば波長532nmの可視光を用いることができる。波長532nmの可視レーザ光をNA(Numerical Aperture:開口数)0.1で集束してカンチレバー201の背面201sに照射する。偏光方向5pはP偏光であり、集束角735は約11.5°である。入射角736は、表面反射による光量損失を抑えるため、ブリュースター角である63°近辺にするのが望ましい。入射した励起光は、屈折して三角錐状のチップ730の稜線730wに集束する。集束角737は約5.7°となる。稜線730wに対する入射角738は臨界角である約30°以上に設定することが望ましい。
本プローブでは、ナノチューブ1の上端部から下端部に向かうプラズモンと逆方向に反射するプラズモンが干渉して定在波が生じ、定在波の節(強度の弱い部分)と腹(強度の強い部分)が存在する。節と腹の位置は励起光5a、5bの波長に依存する。従って、ナノチューブ1の長さLは、レーザ光の波長に応じて定在波の腹がナノチューブ1の下端部と一致するように調整することが望ましい。
図7に、本プローブと本プラズモン励起部200を搭載した走査プローブ顕微鏡の構成を示す。走査プローブ顕微鏡は、試料を載置してXYZの3次元方向に移動可能なステージ部1000と、ナノチューブ1を駆動して試料を計測し、得られた信号を処理して画像を生成する計測部2000、ナノチューブ1先端と試料との間に近接場光を発生させるための光を照射する照明光学系3000、近接場光から伝搬光に変換された光を集光して検出する検出光学系4000、試料上の被測定部を観察し位置決めするための試料モニタ光学系5000及び全体を制御する制御部6000とを備えて構成される。
ステージ部1000は、試料を載置してXYZの3次元方向に移動可能なXYZステージ100とドライバ101とを備えている。試料10はXYZステージ100上に載置され、ドライバ101で駆動されて検出光学系4000を介して試料モニタ光学系5000で試料10の表面を観察しながら所望の測定位置に位置決めされる。
計測部2000は、カンチレバー201の背面にレーザ光(波長886nm)を集光してナノチューブ1にプラズモンを励起・伝搬するプラズモン励起部200と、圧電素子アクチュエータ202、XYZ圧電素子アクチュエータ204、カンチレバー201の背面にレーザ光(波長405nm)208を照射する半導体レーザ206、カンチレバー201からの反射光を検出する4分割ポジションセンサ209、及び半導体レーザ206を制御する駆動回路207を備えている。
試料モニタ光学系5000は、図示していない駆動手段により検出光学系4000の光路中に出し入れ可能なミラー500と、結像レンズ330を透過してミラー500で反射された光の像を撮像する撮像カメラ501を備えている。試料10を載置したXYZステージ100をドライバ101で駆動して試料10の所望の測定位置をナノチューブ1の下に設定するときには、ミラー500を図示していない駆動手段で駆動して検出光学系4000の光路中に挿入して試料10からの反射光の光路を撮像カメラ501の方向に曲げ、撮像カメラ501で試料表面の光学像を観察する。試料10の所望の測定位置がプローブ(ナノチューブ1)の下に位置決めされると、ミラー500を図示していない駆動手段で駆動して検出光学系4000の光路中から退避させる。
ナノチューブ1は、図4、図5(a)、図6に示すように、Siから成るカンチレバー201の先端に形成された同じSiから成る三角錐状のチップ730の先端に固定されている。このカンチレバー201はZ方向に微小振動させるための圧電素子アクチュエータ202に固定され、さらにXYZ方向に微動走査させるXYZ圧電素子アクチュエータ204に固定される。
照明光学系3000は、波長886nmの半導体レーザ300、ビームモニタ光学系3100、ビーム整形光学系305、偏光板307、ビームスプリッタ315、対物レンズ320を備えて構成されている。この構成において、半導体レーザ300から発射されてビームモニタ光学系3100のビームスプリッタ302を透過した光301は、ビーム整形光学系305でビーム形状が円形の平行光306に変換され、さらに偏光板307を透過した後にビームスプリッタ315に入射し、円形状の反射領域316bで反射され、対物レンズ320により集束光(励起光とも記す)5a、5bとしてプラズモン励起部200のカンチレバー201の背面にP偏光として照射され、ナノチューブ1の上端部にTMモード・プラズモン740が励起される。
ビームモニタ光学系3100では、半導体レーザ300から出射した光が、透過率:反射率=96:4のビームスプリッタ302で2分割され、反射光303はホトダイオード等の光電変換素子304で受光され電気信号に変換される。この信号は、制御部6000中の全体制御ユニット420に送られ、半導体レーザ300からの出射光の強度変動のモニタリングに使われ、出射光の強度が変動した場合には、半導体レーザ300の出力を制御して強度を一定にする。
計測部2000においては、上記に説明したように、プラズモン励起部200で励起されたTMモード・プラズモン740が、図1〜図3に示すナノチューブ1の入射端の金ナノ粒子2a、あるいは金ナノロッド702の上端部に伝搬し、さらに破線矢印7a及び7bに示すように、ナノチューブ1の表面及び内部に充填された金ナノ粒子2c、2b、あるいは金ナノロッド702を、上端部から下端部に伝搬していく。ナノチューブ1の下端部は円錐状に先鋭化されているので、電場強度が局所的に増強され、ナノチューブ1の下端部の金ナノ粒子2b、あるいは金ナノロッド702下端部に強い局在プラズモンが励起される。この局在プラズモンは試料10の表面構造と相互作用して強い共鳴現象を生じ、微小な近接場光8を発生させる。試料10の表面構造と相互作用した近接場光8からの反射光は、伝搬光9a、9bに変換される。
試料10から反射した伝搬光9a、9bを検出する検出光学系4000は、対物レンズ320、ビームスプリッタ315、結像レンズ330および光電変換素子340を備えて構成されている。
この検出光学系4000において、伝搬光9a、9bを対物レンズ320で集光して平行光とした後、ビームスプリッタ315の輪帯透過領域316aを透過させ、透過光90a、90bを結像レンズ330でホトダイオードや光電子増倍管等の光電変換素子340の受光面上に集光し、光電変換する。
計測部2000の画像形成ユニット410では、光電変換素子340からの検出信号を、圧電素子アクチュエータ202を駆動するドライバ203の制御信号とXYZ圧電素子アクチュエータ204を駆動するドライバ205の制御信号とを生成する走査制御ユニット400からの制御信号を用いて処理して2次元近接場光画像を生成し、また4分割ポジションセンサ209からの出力を圧電素子アクチュエータ202とXYZ圧電素子アクチュエータ204とを駆動するドライバ203、205の制御信号を用いて処理してAFM画像を生成する。
画像形成ユニット410で生成された2次元近接場光画像及びAFM画像は制御部6000中の全体制御ユニット420に送られ、ディスプレイ等の出力ユニット430の出力画面にそれぞれの画像が別々の画面に、又は、同じ画面上に表示される。
ここで、光てこの原理を用いてカンチレバー201の先端部に固定されたプローブであるナノチューブ1が試料10に接触しているときの接触力の求め方について説明する。カンチレバー201の背面には、駆動回路207によって駆動された半導体レーザ206からのレーザ光(波長405nm)208が照射され、その反射光が4分割ポジションセンサ209で受光される。ドライバ205でXYZ圧電素子アクチュエータ204を駆動してカンチレバー201を下降させ、チップ730の先端部に固定されたナノチューブ1を試料10に接触させる。この状態でカンチレバー201を更に下降させると、カンチレバー201の傾きが変化してカンチレバー201の背面に照射されているレーザの反射方向が変化し、4分割ポジションセンサ209上のレーザの入射位置が変化して4分割ポジションセンサ209からの出力信号が変化する。この変化した信号を、予め求めておいた4分割ポジションセンサ209からの出力信号とカンチレバー201の傾きとの関係に基づく接触力のデータと比較して、接触力を求めることができる。
次に、試料の表面を計測する手順について、図8を用いて説明する。先ず、XYZステージ100を駆動して、試料10の測定領域をカンチレバー201のチップ730先端部に取り付けられたナノチューブ1の下部に位置させる(S2001)。次に、図9に示すように、試料10の測定領域において、ナノチューブ1と試料表面との接触の状態(接触力)を4分割ポジションセンサ209からの出力信号でモニタしながら、カンチレバー201をXYZ圧電素子アクチュエータ204により下降させていき(Z方向走査511)(S2002)、所定の設定接触力になった時点で下降を停止する(S2003)。
下降点512において近接場光の測定を行った後(S2004)、カンチレバー201を上昇させ(Z方向走査513)(S2005)、4分割ポジションセンサ209からの出力信号に基づいて、ナノチューブ1が完全に試料10から離脱したならば(S2006)、測定領域の計測が終了したか否かを判定し(S2007)、終了していない場合(No)にはXYZ圧電素子アクチュエータ204を駆動してカンチレバー201を次の測定点に移動させる(X走査514)(S2009)。X走査における移動量(送りピッチ)は、観察において必要とする分解能に応じて決められる。次の測定点において、再度カンチレバー201を下降させ、近接場光の測定を行う(S2002〜S2006)。
以上のステップイン動作を、XYZ圧電素子アクチュエータ204により2次元の測定領域(XY領域)に渡って繰り返し行った後、測定を完了する(S2007)。ここで、上記2次元の測定領域を測定する方法は、テレビにおけるラスタスキャンと同じように走査する。このときのY方向への送りピッチ(隣り合う走査の間隔)は、観察において必要とする分解能に応じて決められる。
ドライバ205によって駆動されるXYZ圧電素子アクチュエータ204のXYZ方向走査、ドライバ203によって駆動される圧電素子アクチュエータ202の振動制御、XYZステージ100による試料10の位置決めは、計測部2000の走査制御ユニット400により統括制御され、またナノチューブ1と試料10との接触力の制御、及び近接場光の測定は、総て制御部6000中の全体制御ユニット420により統括制御される。走査制御ユニット400からXYZ圧電素子アクチュエータ204のXYZ走査信号が、また全体制御ユニット420から近接場光測定信号が、各々画像形成ユニット410に送られ、2次元近接場光画像及びAFM画像が生成されて、全体制御ユニット420を介してディスプレイ等の出力ユニット430に出力される(S2008)。
ナノチューブ−試料間接触力と近接場光の測定タイミングとの関係を、図10に示す。図10(a)の接触力変化曲線520に示すように、ナノチューブ1が上昇して試料10から退避するに従い、接触力は押し込み方向から引き込み方向に以降し、試料10から離脱する瞬間に接触力は最大となる。離脱後、次の測定点に移動し再び試料10に接近する間は、接触力をまったく受けない状態となる。ナノチューブ1が再び接近し始め、試料10に接触した瞬間に押し込み方向の力が加わり、設定接触力に達した時点で、カンチレバー201は下降を停止する。
一方、図10(b)の検出光強度曲線530に示すように、ナノチューブ1が上昇して試料10から退避するに従い、近接場光検出強度は徐々に低下し、試料10から離脱した後、退避動作から接近動作に変化する瞬間T時点で最小値Iとなる。その後、ナノチューブ1が再び接近し始め、金ナノ粒子2bあるいは金ナノロッド702下端部が試料10に接触した瞬間に近接場光検出強度は最大値Iとなり、設定接触力が維持される間は、この強度Iは維持される。接触している任意の時間Tでの最大値Iと最小値Iとの差分ΔI=I−Iを測定点における反射光強度として、全体制御ユニット420に記憶する。以上の動作を2次元の測定領域に渡って繰り返し行うことにより、2次元領域の試料表面の反射率分布を金ナノ粒子径あるいは金ナノロッド径4nmとほぼ同じ光学分解能で測定することが可能となる。設定接触力は1nN以下、好ましくは、サブnN〜pNで実行することが望ましい。
尚、本実施の形態では、カンチレバー201のZ方向への微小振動は行わず、設定接触力となるための下降及び上昇動作のみとした。但し、接触力の検知は、上記光てこ方式に限定されるものではなく、圧電素子アクチュエータ202によりカンチレバーをサブナノメートルオーダの振幅、MHzオーダの周波数でZ方向に微小振動させ、振動振幅あるいは振動周波数の変化から、検知することも可能である。
尚、励起光5a、5bの波長は886nmに固定するのではなく、励起されたTMモード・プラズモン740が損失なく、すなわち高い結合効率でナノチューブ1に伝播する波長に微調整することが望ましい。例えば白色レーザを用いて、最適なカップリング波長を選択して励起光に用いる、あるいは白色レーザ光を励起光に用いて、最適なカップリング波長のみを、光電変換素子340の直前に設置した波長選択フィルタにより選択的に検出することが望ましい。
図1〜図3及び図10に示すように、本実施の形態によれば、AFM画像と近接場光画像の同時取得が可能であるばかりでなく、ナノチューブ1の下端部に露出した金ナノ粒子2bあるいは金ナノロッド702下端部と試料10との間でスポット径4nmの近接場光8を常に安定に発生させることができ、さらにこのナノチューブ1を低接触力で試料10に接触させた、すなわち金ナノ粒子2bあるいは金ナノロッド702下端部が試料10に接触した瞬間の近接場光8を検出することにより、近接場光8の安定検出が可能となる。その結果、2次元近接場光画像の分解能が向上し、かつ画像再現性を飛躍的に向上させることが可能となる。
[検出光学系4000の変形例1]
本実施の形態の検出光学系4000の変形例1を、図11に基づいて説明する。図11は、本変形例における走査プローブ顕微鏡の構成を示したものである。本走査プローブ顕微鏡において、検出光学系4000以外の構成とその機能は前述した図7に示した実施の形態のそれと同じであるので、説明を省略する。
前述した図6において、ナノチューブ1に結合しなかったTMモード・プラズモン740は、チップ730の先端で近接場光となり、これがナノチューブ1の先端部で生じる近接場光8に対する背景雑音となるので、チップ730の先端とナノチューブ1の先端との距離Lは、チップ先端部の大きさ以上、例えば数十〜数百nm以上離すことが望ましいとした。これだけでは背景雑音の抑制が十分でない場合は、図11に示すように、光電変換素子340の直前の、ナノチューブ1の先端と共役な位置(結像位置)にピンホール745pを設けた遮光板745を設置することにより、ナノチューブ1の先端の近接場光8から変換された伝搬光757だけを選択的に通過させ、チップ730の先端の近接場光から変換された伝搬光を遮光することが可能となる。
前述した図1〜図3及び図10に示したように、本変形例によれば、AFM画像と近接場光画像の同時取得が可能であるばかりでなく、ナノチューブ1の下端部に露出した金ナノ粒子2bあるいは金ナノロッド702下端部と試料10との間でスポット径4nmの近接場光8を常に安定に発生させることができ、さらにこのナノチューブ1を低接触力で試料10に接触させた、すなわち金ナノ粒子2bあるいは金ナノロッド702下端部が試料10に接触した瞬間の近接場光8を検出することにより、近接場光8の安定検出が可能となる。その結果、2次元近接場光画像の分解能が向上し、かつ画像再現性を飛躍的に向上させることが可能となる。また、チップ730の先端からの背景光を抑制することができるので、SN比の高い近接場光画像を得ることが可能となる。
[計測部2000及び検出光学系4000の変形例1]
本実施の形態の計測部2000及び検出光学系4000の変形例1を、図12及び図13に基づいて説明する。図12は、本変形例におけるプラズモン増強近接場プローブの構成を示したものである。ナノチューブ1は多層構造カーボンナノチューブ、あるいは金属ナノチューブ、あるいは絶縁体としての性質を示すボロンナイトライド(BN)ナノチューブであり、下端部を円錐状に先鋭化した構成となっている。カンチレバー201、チップ730を含めたプラズモン励起部200の構成と機能は前述した図4〜図6に示すものと同様である。
本変形例では、図12に示すように、ナノチューブ1の上端部に、金ナノ粒子ではなく、フォトルミネセンス、エレクトロルミネセンスを発現するV、Y、Ta、Sb等の金属カーバイトや、ZnS蛍光体、CaS蛍光体、CdSe(コア)/ZnS(外殻)等の蛍光粒子790を充填し、下端部には前述した実施の形態と同様金ナノ粒子2bを充填する。図2あるいは図1に示すと同様、ナノチューブ1の途中に金ナノロッド、あるいは金ナノ粒子を充填しても構わない。
図13は、本プローブを搭載した走査プローブ顕微鏡の構成を示したものである。本走査プローブ顕微鏡の基本構成とその機能は、前述した図7に示した実施の形態における走査プローブ顕微鏡と同様であるが、検出光学系4000において、近接場光を検出するホトダイオードや光電子増倍管等の光電変換素子340の直前に、上記蛍光粒子790が発する蛍光波長±10nmの透過帯域を有する波長選択フィルタ755を配置した点が異なる。
すなわち、前述した図5(a)に示すように、励起光5a、5bによって励起されたTMモード・プラズモン740は、チップ730の先端に向かって伝播する。このTMモード・プラズモン740は、図12に示すナノチューブ1の上端部に充填された蛍光粒子790を励起して、励起光5a、5bとは異なる波長の蛍光が発生し、蛍光と同じ波長の微小なスポット光が誘起される。この微小スポット光は、ナノチューブ1に表面プラズモンを励起し、この表面プラズモンは、破線矢印791a及び791bに示すように、ナノチューブ1を上端部から下端部に伝搬していく。ナノチューブ1の下端部は円錐状に先鋭化されているので、電場強度が局所的に増強され、ナノチューブ1の下端部の金ナノ粒子2bに強い局在プラズモンが励起される。この局在プラズモンは試料10の表面構造と相互作用して強い共鳴現象を生じ、蛍光と同じ波長の微小な近接場光795を発生させる。
この近接場光795のスポット径は、金ナノ粒子2bが試料10に最接近した時に、金ナノ粒子2bとほぼ同じ大きさの4nmとなる。すなわち、本プローブにより4nmの光学分解能が得られる。近接場光795の反射光は、図13に示すように、伝搬光9a及び9bとして対物レンズ320により集光され平行光(透過光)90a、90bとなる。平行光90a、90bは、ビームスプリッタ315の輪帯透過領域316aを透過し、透過光は結像レンズ330を介し、波長選択フィルタ755で蛍光波長成分760のみが抽出され、ホトダイオードや光電子増倍管等の光電変換素子340で光電変換される。以降の処理は、前述した図7に示した実施の形態における走査プローブ顕微鏡と同様である。
尚、本変形例では、蛍光粒子790を用いたが、これに限定されることは無く、例えば非線形光学結晶などを用い、入射光の1/2の波長の近接場光を生成することも可能である。
本変形例によれば、AFM画像と近接場光画像の同時取得が可能であるばかりでなく、ナノチューブ1の下端部の金ナノ粒子2bと試料10との間でスポット径4nmの近接場光795を常に安定に発生させることができ、さらにこのナノチューブ1を低接触力で試料10に接触させた、すなわち金ナノ粒子2bが試料10に接触した瞬間の近接場光795を検出することにより、近接場光795の安定検出が可能となる。その結果、2次元近接場光画像の分解能が向上し、かつ画像再現性を飛躍的に向上させることが可能となる。
さらに、本変形例によれば、前述した図6において、ナノチューブ1に結合しなかったTMモード・プラズモン740よってチップ730の先端で発生する近接場光が励起光5a、5bの波長そのものであるのに対し、ナノチューブ1の下端部で発生する近接場光795は励起光5a、5bとは異なる蛍光波長となる。すなわち、背景雑音となるチップ730の先端で発生する近接場光を波長分離して、ナノチューブ1の下端部で発生する近接場光795のみを検出できるため、SN比の高い近接場光画像を得ることが可能となる。同様に、半導体レーザ300から出射したレーザ光による途中の光路やナノチューブ自身での散乱光等、背景雑音を大幅に低減させることが可能となり、SN比の高い近接場光画像を得ることが可能となる。
[計測部2000及び検出光学系4000の変形例2]
本実施の形態の計測部2000及び検出光学系4000の変形例2を、前述した図5(a)及び図6と、図14に基づいて説明する。前述した図5(a)及び図6に示すように、励起光5a、5bによって励起されたTMモード・プラズモン740は、チップ730の先端に向かって伝播し、ナノチューブ1の入射端の金ドット750a、及び入射端の金ナノ粒子2a、あるいは金ナノロッド702の上端部と結合して、表面プラズモン(破線矢印7a及び7b)として、ナノチューブ1の上端部から下端部に向かって伝搬し、ナノチューブ1の下端部から近接場光8が出力される。試料10の表面構造と相互作用した近接場光8からの反射光は、伝搬光9a、9bに変換される。前述した図7に示した実施の形態における走査プローブ顕微鏡では、この伝搬光9a、9bを検出することで、近接場光画像を得た。
一方、試料10の表面構造と相互作用した近接場光8の一部は再び表面プラズモン741として、同じ経路を逆向きに伝播する。本変形例では、この逆向きの表面プラズモン741を検出することで、近接場光画像を得る。例えば、逆向きの表面プラズモン741はナノチューブ1の入射端の金ドット750aと再結合して、伝搬光として強い散乱光742a、742b(図14参照)を生じるので、この散乱光742a、742bを検出すればよい。また、この逆向きの表面プラズモン741はさらに伝搬して、カンチレバー201とチップ730が成すコーナ部730cで、同様に伝搬光として強い散乱光742a、742bを生じるので、この散乱光742a、742bを検出してもよい。図14は、これらの散乱光を検出する手段を搭載した、本変形例における走査プローブ顕微鏡の構成を示したものである。本走査プローブ顕微鏡において、検出光学系4000以外の構成とその機能は前述した図7に示した実施の形態のそれと同じであるので、説明を省略する。
図14において、光電変換素子340の直前の、ナノチューブ1の入射端の金ドット750aと共役な位置(結像位置)に、あるいはカンチレバー201とチップ730が成すコーナ部730cと共役な位置(結像位置)に、ピンホール745pを設けた遮光板745を設置することにより、試料10の表面構造と相互作用した近接場光8に対する反射光(伝搬光)757だけを選択的に通過させ、それ以外の部分からの外乱光を遮光することが可能となる。
前述した図1〜図3及び図10に示すように、本変形例によれば、AFM画像と近接場光画像の同時取得が可能であるばかりでなく、ナノチューブ1の下端部に露出した金ナノ粒子2bあるいは金ナノロッド702下端部と試料10との間でスポット径4nmの近接場光8を常に安定に発生させることができ、さらにこのナノチューブ1を低接触力で試料10に接触させた、すなわち金ナノ粒子2bあるいは金ナノロッド702下端部が試料10に接触した瞬間の近接場光8を検出することにより、近接場光8の安定検出が可能となる。その結果、2次元近接場光画像の分解能が向上し、かつ画像再現性を飛躍的に向上させることが可能となる。また、試料10の表面構造と相互作用した近接場光8に対する反射光以外の外乱光を抑制することができるので、SN比の高い近接場光画像を得ることが可能となる。
[検出光学系4000の変形例2]
本実施の形態の検出光学系4000の変形例2を、図15に基づいて説明する。図15は、本変形例における走査プローブ顕微鏡の構成を示したものである。本走査プローブ顕微鏡の基本構成とその機能は、前述した図7に示した実施の形態における走査プローブ顕微鏡と同様であるが、近接場光の検出部分に分光器611を配置した点が異なる。すなわち、ナノチューブ1の下端部で出射し試料10で反射された近接場光8は、伝搬光9a、9bに変換されて対物レンズ320で平行光90a、90bとなり、結像レンズ330で分光器611の入射面に、ミラー610を介して集光される。
分光器611では、全体制御ユニット420からの制御信号に基づき、伝搬光の中から所望の波長の光が選択されて、ホトダイオードや光電子増倍管等の光電変換素子612の受光面上に集光され、光電変換される。この検出信号は全体制御ユニット420に送られ、特定波長の2次元近接場光画像が形成される。前述した図7に示した実施の形態及びその変形例では、入射レーザ光の波長と同一の波長を検出していたのに対し、本変形例では、入射レーザ光から波長シフトした近接場光を検出することが可能である。例えば、歪シリコンを用いた半導体素子の微小場の応力分布を、ラマン分光を応用してナノメートルの分解能で画像化することが可能である。その場合、ナノチューブ1の接触によって試料自身に微弱な変形が生じラマンシフトが発生しないよう、ナノチューブ1と試料10間の接触力はサブnN〜pNオーダ以下に設定するのが望ましい。
また、半導体レーザ300の代わりに、ブロードな波長帯域を有するLED等の光源を用いれば、波長帯域内の任意の波長の2次元近接場光画像の検出も可能である。また、分光器611を、CCD1次元センサ等のアレイセンサを用いた全波長一括検出タイプのものに変更すれば、2次元近接場分光画像を得ることができ、ナノメートル分解能で試料10の分光分析が可能となる。
前述した図7に示した実施の形態及びその変形例と同様、本変形例によれば、AFM画像と近接場光画像の同時取得が可能であるばかりでなく、近接場光8を常に安定に発生させることができ、また近接場光8の安定検出が可能となる。その結果、2次元近接場光画像の分解能が向上し、かつ画像再現性を飛躍的に向上させることが可能となる。さらに、ナノメートルオーダの分解能での近接場分光画像の検出が可能となり、ナノメートル分解能で試料10の分光分析が可能となる。
[検出光学系4000の変形例3]
本実施の形態の検出光学系4000の変形例3を、図16に基づいて説明する。図16では、光源に波長630nm、520nm、430nm近傍の3色の光を発する白色レーザ620を用い、近接場光の検出部分に色分離の干渉フィルタ625r、625g、625bを配置した。白色レーザ620から出射したレーザ光によりナノチューブ1と試料10との間に近接場光8を発生させ、その反射光が伝搬光9a、9bとして対物レンズ320、ビームスプリッタ315を透過して結像レンズ330に達するまでは、前述した図7を用いて説明した実施の形態と同じである。
結像レンズ330に達した平行光90a、90bは、ミラー610を介して結像レンズ330で集光された後、リレーレンズ615で平行光となり、さらにダイクロイックミラー621(波長600nm以上は透過、それ以下は反射)と干渉フィルタ625r(透過中心波長630nm)により、波長630nmの光が抽出される。この光は集光レンズ631により、ホトダイオードや光電子増倍管等の光電変換素子641の受光面上に集光され、光電変換される。ダイクロイックミラー621で反射された光は、ダイクロイックミラー622(波長480nm以上は反射、それ以下は透過)と干渉フィルタ625g(透過中心波長520nm)により、波長520nmの光が抽出される。この光は集光レンズ632により、ホトダイオードや光電子増倍管等の光電変換素子642の受光面上に集光され、光電変換される。ダイクロイックミラー622を透過した光は、ミラー623で反射された後、干渉フィルタ625b(透過中心波長430nm)により、波長430nmの光が抽出される。この光は集光レンズ633により、ホトダイオードや光電子増倍管等の光電変換素子643の受光面上に集光され、光電変換される。
3波長の検出信号は全体制御ユニット420に送られ、3波長の2次元近接場光画像が形成される。また、この3波長信号を合成することにより、ナノメートル分解能のカラー画像を生成することも可能である。
本変形例によれば、AFM画像と近接場光画像の同時取得が可能であるばかりでなく、近接場光8を常に安定に発生させることができ、また近接場光8の安定検出が可能となる。その結果、2次元近接場光画像の分解能が向上し、かつ画像再現性を飛躍的に向上させることが可能となる。さらに、本変形例によれば、例えば、現在SEMを用いて、モノクロ画像のみから欠陥分類を行っている半導体用欠陥レビューを、ナノメートル分解能のAFM画像とカラー画像にて実行することが可能となり、欠陥分類精度が格段に向上する。
[計測部2000の変形例1]
本実施の形態の計測部2000の変形例1を、図17〜図19に基づいて説明する。図17は、本実施の形態における計測部2000の変更部分を示したものである。本構成では、前述した図16に示した構成に図18の表441に示す半導体材料−分光反射率データセットを格納したメモリユニット440を更に備えた構成となっている(図17においては、前述した図16に記載した構成と共通する部分を大幅に省略して記載してある)。すなわち、図18に示すように、半導体製造に使用されるSiやSiOなどの各種材料と各光源波長λ=630nm、λ=520nm、λ=430nmに対する反射光強度の組み合わせデータ(I11、I21、I31)、(I12、I22、I32)、(I13、I23、I33)・・・・を予めメモリユニット440に格納しておき、得られた3波長の検出光強度を表441に照合することにより、試料10を構成する材料の判別をナノメートル空間分解能で実行できる。もちろん、波長は3波長に限定されるものではなく、4波長、5波長と増やすことにより、材料分析精度は向上する。
図19は、本変形例における走査プローブ顕微鏡をコンタクトホールなどの深穴底の残膜検出に適用した例を示すものである。直径30nm程度のコンタクトホール801の内部にナノチューブ1を挿入し、穴底に低接触力で接触した瞬間の分光信号を取得し、その分光信号を予めメモリユニット440に格納しておいた膜厚と分光強度との関係に照合することにより、残膜802の有無及びその材質情報を得ることができる。
本変形例によれば、AFM画像と近接場光画像の同時取得が可能であるばかりでなく、近接場光8を常に安定に発生させることができ、また近接場光8の安定検出が可能となる。その結果、2次元近接場光画像の分解能が向上し、かつ画像再現性を飛躍的に向上させることが可能となる。さらに、本変形例によれば、ナノメートル分解能での材料分析や、ナノメートルオーダの大きさの微小異物や汚染の分析が可能になる。
[計測部2000の変形例2]
本実施の形態の計測部2000の変形例2を、図20に基づいて説明する。図20は、本変形例における走査プローブ顕微鏡の構成を示したものである。本走査プローブ顕微鏡の基本構成とその機能は、前述した図7に示した実施の形態における走査プローブ顕微鏡と同様であるが、カンチレバー201をZ方向に微小振動させる点が異なる。ドライバ203によって圧電素子アクチュエータ202を駆動し、カンチレバー201をZ方向に一定周波数fで微小振動させ、近接場光8、795に強度変調をかける。一定周波数fの駆動信号を参照信号として、ロックインアンプ450で光電変換素子340の検出信号から周波数fの成分のみを抽出することにより、近接場光8、795の情報を感度よく検出することが可能である。ロックインアンプ450からの出力信号は全体制御ユニット420に送られる。以降の処理は、前述した図7に示した実施の形態における走査プローブ顕微鏡と同様である。
本変形例によれば、AFM画像と近接場光画像の同時取得が可能であるばかりでなく、ナノチューブ1の下端部の金ナノ粒子2bと試料10との間でスポット径4nmの近接場光8を常に安定に発生させることができ、さらにこのナノチューブ1を低接触力で試料10に接触させた、すなわち金ナノ粒子2bが試料10に接触した瞬間の近接場光8を検出することにより、近接場光8の安定検出が可能となる。その結果、2次元近接場光画像の分解能が向上し、かつ画像再現性を飛躍的に向上させることが可能となる。また、近接場光8をロックイン検出することにより、SN比の高い近接場光画像を得ることが可能となる。
<実施の形態2>
本発明の実施の形態2を、図21に基づいて説明する。図21は、本実施の形態のプラズモン励起部200における、ナノチューブ1のチップ730への固定方法と、励起されたTMモード・プラズモン740をナノチューブ1に導く原理を示したものである。前述した実施の形態1のプラズモン励起部では、電子ビーム照射により金ドット750aを3個形成し、これをバインダとしてナノチューブ1をチップ730の先端に溶融固着することとした。また、固定のための十分な強度を確保し、かつ直径20nmのナノチューブへのプラズモンの結合効率を考慮して、前述した実施の形態1ではD=40nm、H=40nm、またその間隔はP=250nmとした。
本実施の形態では、ナノチューブ1の入射端の金ドット750aは、直径20nmのナノチューブ1へのプラズモンの結合効率を考慮して、D=40nm、H=40nmとする。これに対し、残りの2つのドットはD=40nm、H=40nmとする一方、これらのドットでのプラズモン損失を最小限に抑えるため、その材質を誘電体とする誘電体ドット750bとする。例えば、SiOやSi、あるいは金属としての性質が低いタングステン(W)などを用いる。3つのドットの間隔は、P=250nmとする。
これにより、TMモード・プラズモン740は、前述した図1〜図3に示すナノチューブ1の入射端の金ナノ粒子2a、あるいは金ナノロッド702の上端部に効率よく結合し、また、破線矢印7a及び7bに示すように、ナノチューブ1の表面及び内部に充填された金ナノ粒子2c、2b、あるいは金ナノロッド702を、上端部から下端部に伝搬していく過程において、2つの誘電体ドット750bでのプラズモンの損失や不要な散乱を抑制することができる。その結果、最終的にナノチューブ1の下端部から効率よく近接場光8を出力させることができる。
本プラズモン励起部200を搭載した走査プローブ顕微鏡の構成とその機能は、前述した図7に示す実施の形態1のそれと同じであるので、説明を省略する。
本実施の形態によれば、前述した実施の形態1と同様、前述した図1〜図3及び図10に示すように、AFM画像と近接場光画像の同時取得が可能であるばかりでなく、ナノチューブ1の下端部に露出した金ナノ粒子2bあるいは金ナノロッド702下端部と試料10との間でスポット径4nmの近接場光8を常に安定にかつ効率よく発生させることができ、さらにこのナノチューブ1を低接触力で試料10に接触させた、すなわち金ナノ粒子2bあるいは金ナノロッド702下端部が試料10に接触した瞬間の近接場光8を検出することにより、近接場光8の安定検出が可能となる。その結果、2次元近接場光画像の分解能が向上し、かつ画像再現性を飛躍的に向上させることが可能となる。
<実施の形態3>
本発明の実施の形態3を、図22に基づいて説明する。図22は、本実施の形態のプラズモン励起部200における、ナノチューブ1のチップ730への固定方法と、励起されたTMモード・プラズモン740をナノチューブ1に導く原理を示したものである。前述した実施の形態1のプラズモン励起部では、電子ビーム照射により金ドット750aを3個形成し、これをバインダとしてナノチューブ1をチップ730の先端に溶融固着することとした。また、固定のための十分な強度を確保し、かつ直径20nmのナノチューブへのプラズモンの結合効率を考慮して、前述した実施の形態1ではD=40nm、H=40nm、またその間隔はP=250nmとした。
本実施の形態では、ナノチューブ1の入射端の金ドット750aは、直径20nmのナノチューブ1へのプラズモンの結合効率を考慮して、D=40nm、H=40nmとする。これに対し、残りの2つの金ドット751aは、これらのドットでのプラズモン損失を最小限に抑えるため、その形状をナノチューブ1の直径20nmに比べ、極端に大きくする。例えば、D=200nm、H=200nmとする。
これにより、TMモード・プラズモン740は、前述した図1〜図3に示すナノチューブ1の入射端の金ナノ粒子2a、あるいは金ナノロッド702の上端部に効率よく結合し、また、破線矢印7a及び7bに示すように、ナノチューブ1の表面及び内部に充填された金ナノ粒子2c、2b、あるいは金ナノロッド702を、上端部から下端部に伝搬していく過程において、2つの金ドット751aでのプラズモンの損失を抑制することができる。その結果、最終的にナノチューブ1の下端部から効率よく近接場光8を出力させることができる。
本プラズモン励起部200を搭載した走査プローブ顕微鏡の構成とその機能は、前述した図7に示す実施の形態1のそれと同じであるので、説明を省略する。
本実施の形態によれば、前述した実施の形態1と同様、前述した図1〜図3及び図10に示すように、AFM画像と近接場光画像の同時取得が可能であるばかりでなく、ナノチューブ1の下端部に露出した金ナノ粒子2bあるいは金ナノロッド702下端部と試料10との間でスポット径4nmの近接場光8を常に安定にかつ効率よく発生させることができ、さらにこのナノチューブ1を低接触力で試料10に接触させた、すなわち金ナノ粒子2bあるいは金ナノロッド702下端部が試料10に接触した瞬間の近接場光8を検出することにより、近接場光8の安定検出が可能となる。その結果、2次元近接場光画像の分解能が向上し、かつ画像再現性を飛躍的に向上させることが可能となる。
<実施の形態4>
本発明の実施の形態4を、図23及び図24に基づいて説明する。図23は、本実施の形態のプラズモン励起部200における、ナノチューブ1のチップ730への固定方法と、励起されたTMモード・プラズモン740をナノチューブ1に導く原理を示したものである。前述した実施の形態1のプラズモン励起部では、電子ビーム照射により金ドット750aを3個形成し、これをバインダとしてナノチューブ1をチップ730の先端に溶融固着することとした。また、固定のための十分な強度を確保し、かつ直径20nmのナノチューブへのプラズモンの結合効率を考慮して、前述した実施の形態1ではD=40nm、H=40nm、またその間隔はP=250nmとした。
本実施の形態では、ナノチューブ1の入射端の金ドット750aは、直径20nmのナノチューブ1へのプラズモンの結合効率を考慮して、D=40nm、H=40nmとする。これに対し、残りの金ドット750aあるいは誘電体ドット(タングステンドット)750bは、ナノチューブ1内部で生じるプラズモンの定在波の節(強度の弱い部分)と腹(強度の強い部分)の位置を考慮して配置する。すなわち、前述した実施の形態1でも述べたように、本プローブでは、ナノチューブ1の上端部から下端部に向かうプラズモンと逆方向に反射するプラズモンが干渉して定在波が生じ、定在波の節(強度の弱い部分)と腹(強度の強い部分)が存在する。
図24は、直径4nmの金ナノ粒子を充填した外径20nmのナノチューブ(カーボンナノチューブ)1の上端部に波長886nmの点光源860を配置した時の、カーボンナノチューブ1内部及び表面近傍の電界分布を、計算機シミュレーションにより求めたものである。拡大図870に示すように、カーボンナノチューブ1の下端部に金ナノ粒子とほぼ同じ大きさの近接場光が生じていることが判る。一方、カーボンナノチューブの上端部から約2/3の付近で、電界強度が低下するプラズモン定在波の節880が存在することが判る。すなわち、この節880が存在する、上端部から距離P離れた位置に、金ドット750aあるいは誘電体ドット(タングステンドット)750bを形成することにより、ドット750aあるいは750bでのプラズモンの損失や不要な散乱を抑制することができる。ドット750aあるいは750bの大きさは、ナノチューブ1の入射端の金ドット750aと同様、D=40nm、H=40nmとし、またその材質は金、あるいは誘電体材料であるSiOやSi、あるいは金属としての性質が低いタングステン(W)などを用いる。
これにより、TMモード・プラズモン740は、前述した図1〜図3に示すナノチューブ1の入射端の金ナノ粒子2a、あるいは金ナノロッド702の上端部に効率よく結合し、また、破線矢印7a及び7bに示すように、ナノチューブ1の表面及び内部に充填された金ナノ粒子2c、2b、あるいは金ナノロッド702を、上端部から下端部に伝搬していく過程において、ドット750a、750bでのプラズモンの損失や不要な散乱を抑制することができる。その結果、最終的にナノチューブ1の下端部から効率よく近接場光8を出力させることができる。
本プラズモン励起部200を搭載した走査プローブ顕微鏡の構成とその機能は、前述した図7に示す実施の形態1のそれと同じであるので、説明を省略する。
本実施の形態によれば、前述した実施の形態1と同様、前述した図1〜図3及び図10に示すように、AFM画像と近接場光画像の同時取得が可能であるばかりでなく、ナノチューブ1の下端部に露出した金ナノ粒子2bあるいは金ナノロッド702下端部と試料10との間でスポット径4nmの近接場光8を常に安定にかつ効率よく発生させることができ、さらにこのナノチューブ1を低接触力で試料10に接触させた、すなわち金ナノ粒子2bあるいは金ナノロッド702下端部が試料10に接触した瞬間の近接場光8を検出することにより、近接場光8の安定検出が可能となる。その結果、2次元近接場光画像の分解能が向上し、かつ画像再現性を飛躍的に向上させることが可能となる。
<実施の形態1〜4の効果>
以上説明したように、本実施の形態によれば、AFMとあわせてナノメートルオーダの光学分解能を有する走査プローブ顕微鏡が実現できる。その結果、半導体試料の応力分布や不純物分布などの物性情報の測定が可能になり、また異物や欠陥の分類に寄与する光学情報や凹凸情報を測定できるので異物・欠陥分類性能が向上する。また、ナノメートル分解能での材料分析や、ナノメートルオーダの大きさの微小異物や汚染の分析が可能になる。これらの測定結果を半導体製造プロセスにフィードバックすることで、信頼性の高い半導体デバイスの高歩留まり生産が可能になる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
本発明は、走査プローブ顕微鏡技術および、これを用いた試料観察方法に利用可能である。
1…ナノチューブ、2a、2b、2c…金ナノ粒子、5a、5b…励起光(集束光)、5p…偏向方向、8、795…近接場光、9a、9b…伝搬光、10…試料、11、12…領域、90a、90b…透過光(平行光)、
100…XYZステージ、101…ドライバ、
200…プラズモン励起部、201…カンチレバー、201s…背面、202…圧電素子アクチュエータ、203、205…ドライバ、204…XYZ圧電素子アクチュエータ、206…半導体レーザ、207…駆動回路、208…レーザ光、209…4分割ポジションセンサ、
300…半導体レーザ、301…光、302…ビームスプリッタ、303…反射光、304、340、612、641、642、643…光電変換素子、305…ビーム整形光学系、306…平行光、307…偏光板、315…ビームスプリッタ、316a…輪帯透過領域、316b…反射領域、320…対物レンズ、330…結像レンズ、
400…走査制御ユニット、410…画像形成ユニット、420…全体制御ユニット、430…出力ユニット、440…メモリユニット、450…ロックインアンプ、
500…ミラー、501…撮像カメラ、511、513…Z方向走査、512…下降点、514…X走査、520…接触力変化曲線、530…検出光強度曲線、
610…ミラー、611…分光器、615…リレーレンズ、620…白色レーザ、621、622…ダイクロイックミラー、623…ミラー、625r、625g、625b…干渉フィルタ、631、632、633…集光レンズ、
702…金ナノロッド、730…チップ、730c…コーナ部、730f、730r、730s…薄膜、730w…稜線、735、737…集束角、736、738…入射角、740、741…TMモード・プラズモン(表面プラズモン)、742a、742b…散乱光、745…遮光板、745p…ピンホール、750a、751a…金ドット、750b…誘電体ドット、755…波長選択フィルタ、757…伝搬光、760…蛍光波長成分、790…蛍光粒子、
801…コンタクトホール、802…残膜、860…点光源、870…拡大図、880…節、
1000…ステージ部、2000…計測部、3000…照明光学系、3100…ビームモニタ光学系、4000…検出光学系、5000…試料モニタ光学系、6000…制御部。

Claims (16)

  1. プラズモンが伝搬する測定探針と、前記測定探針を支持するカンチレバーと、
    前記カンチレバーに設けられ、前記測定探針を固定し、前記測定探針を固定する面の膜厚が前記面を挟む面の膜厚よりも厚くなるようにプラズモンが伝搬する薄膜がコートされたチップと、
    前記カンチレバーを駆動して前記測定探針を検査対象試料に対して相対的に3次元的に走査するカンチレバー駆動手段と、
    前記カンチレバーの変形を検出する変位検出手段と、
    前記チップに励起光を照射して、プラズモンを励起させ、前記測定探針へ向けて伝搬させることにより、前記測定探針と前記検査対象試料の表面との間に近接場光を発生させて前記検査対象試料の表面の近接場光画像を取得する近接場光画像取得手段とを備えたことを特徴とする走査プローブ顕微鏡。
  2. 請求項1に記載の走査プローブ顕微鏡において、
    前記変位検出手段で前記カンチレバーの変形を検出して得た信号を処理して前記検査対象試料の表面の原子間力顕微鏡画像を作成する原子間力顕微鏡画像作成手段を更に備えたことを特徴とする走査プローブ顕微鏡。
  3. 請求項1又は2に記載の走査プローブ顕微鏡において、
    前記測定探針へ前記プラズモンが伝搬された状態で前記測定探針の他端を前記検査対象試料の表面に近づけることにより前記測定探針の他端と前記検査対象試料の表面との間に発生する近接場光を検出する近接場光検出光学系と、
    前記近接場光検出光学系で前記近接場光を検出して得た信号を処理して前記検査対象試料の表面の近接場光画像を得る近接場光画像処理系とを備えて構成したことを特徴とする走査プローブ顕微鏡。
  4. 請求項1又は2に記載の走査プローブ顕微鏡において、
    前記測定探針をカーボンナノチューブもしくは金属ナノチューブで形成し、前記カーボンナノチューブもしくは金属ナノチューブの内部に金粒子もしくは銀粒子もしくは金ロッドもしくは銀ロッドを埋め込んだことを特徴とする走査プローブ顕微鏡。
  5. 請求項1又は2に記載の走査プローブ顕微鏡において、
    前記測定探針をカーボンナノチューブもしくは金属ナノチューブで形成し、前記検査対象試料の表面に近づける前記カーボンナノチューブもしくは金属ナノチューブの先端部を先鋭化し、前記先端部に金粒子もしくは銀粒子を埋め込んだことを特徴とする走査プローブ顕微鏡。
  6. 請求項3に記載の走査プローブ顕微鏡において、
    前記測定探針の長さは、前記プラズモンの波長に応じて最大強度の近接場光が得られるように調整されることを特徴とする走査プローブ顕微鏡。
  7. 請求項3又は6に記載の走査プローブ顕微鏡において、
    前記測定探針に前記測定探針の直径と同程度の大きさで少なくとも1個以上の構造物を設けて前記測定探針を前記カンチレバーに固定し、前記プラズモンを前記構造物を介して前記測定探針に結合し、前記測定探針の一端にプラズモンを励起することを特徴とする走査プローブ顕微鏡。
  8. 請求項3又は6又は7の何れか1項に記載の走査プローブ顕微鏡において、
    前記プラズモン励起手段は、複数波長を発振するレーザを光源とし、前記測定探針の一端に複数波長のプラズモンを励起し、前記近接場光検出光学系は前記測定探針の他端と前記検査対象試料の表面との間に発生する近接場光を波長分離して検出し、前記近接場光画像処理系において前記波長分離して検出したそれぞれの信号を処理して合成することにより前記検査対象試料の表面のカラーの近接場光画像を得ることを特徴とする走査プローブ顕微鏡。
  9. プラズモンが伝搬する測定探針を支持するカンチレバーを駆動して前記測定探針を検査対象試料に対して相対的に3次元的に走査し、
    前記3次元的な走査による前記カンチレバーの変形を検出し、
    前記カンチレバーに設けられ、前記測定探針を固定し、前記測定探針を固定する面の膜厚が前記面を挟む面の膜厚よりも厚くなるようにプラズモンが伝搬する薄膜がコートされたチップに励起光を照射してプラズモンを励起させ、
    前記プラズモンを前記チップから前記測定探針へ向けて伝搬させて前記測定探針と前記検査対象試料の表面との間に近接場光を発生させ、
    前記検査対象試料の表面の近接場光画像を取得することを特徴とする走査プローブ顕微鏡を用いた試料の観察方法。
  10. 請求項9に記載の走査プローブ顕微鏡を用いた試料の観察方法において、
    前記カンチレバーの変形を検出して得た信号を処理して前記検査対象試料の表面の原子間力顕微鏡画像を作成することを特徴とする走査プローブ顕微鏡を用いた試料の観察方法。
  11. 請求項9に記載の走査プローブ顕微鏡を用いた試料の観察方法において、
    前記測定探針へ前記プラズモンが伝搬された状態で前記測定探針の他端を前記検査対象試料の表面に近づけることにより前記測定探針の他端と前記検査対象試料の表面との間に発生する近接場光を検出し、
    前記近接場光を検出して得た信号を処理して前記検査対象試料の表面の近接場光画像を得ることを特徴とする走査プローブ顕微鏡を用いた試料の観察方法。
  12. 請求項9乃至11の何れか1項に記載の走査プローブ顕微鏡を用いた試料の観察方法において、
    前記測定探針として、内部に金粒子もしくは銀粒子もしくは金ロッドもしくは銀ロッドが埋め込まれたカーボンナノチューブもしくは金属ナノチューブを用いて前記近接場光を検出することを特徴とする走査プローブ顕微鏡を用いた試料の観察方法。
  13. 請求項9乃至11の何れか1項に記載の走査プローブ顕微鏡を用いた試料の観察方法において、
    前記測定探針をカーボンナノチューブもしくは金属ナノチューブで形成し、前記検査対象試料の表面に近づける前記カーボンナノチューブもしくは金属ナノチューブの先端部を先鋭化し、前記先端部に金粒子もしくは銀粒子を埋め込んだことを特徴とする走査プローブ顕微鏡を用いた試料の観察方法。
  14. 請求項11に記載の走査プローブ顕微鏡を用いた試料の観察方法において、
    前記測定探針の長さは、前記プラズモンの波長に応じて最大強度の近接場光が得られるように調整されることを特徴とする走査プローブ顕微鏡を用いた試料の観察方法。
  15. 請求項11又は14に記載の走査プローブ顕微鏡を用いた試料の観察方法において、
    前記測定探針を、前記測定探針の直径と同程度の大きさで少なくとも1個以上の構造物で前記カンチレバーに固定し、
    前記プラズモンを前記構造物を介して前記測定探針に結合し、前記測定探針の一端にプラズモンが励起されることを特徴とする走査プローブ顕微鏡を用いた試料の観察方法。
  16. 請求項11又は14又は15の何れか1項に記載の走査プローブ顕微鏡を用いた試料の観察方法において、
    前記測定探針の一端にプラズモンを励起する手段は複数波長を発振するレーザを光源とし、前記測定探針の他端と前記検査対象試料の表面との間に発生する近接場光を波長分離して検出し、前記波長分離して検出して得た信号を処理することにより前記検査対象試料の表面のカラーの近接場光画像を得ることを特徴とする走査プローブ顕微鏡を用いた試料の観察方法。
JP2009042242A 2009-02-25 2009-02-25 走査プローブ顕微鏡およびこれを用いた試料の観察方法 Expired - Fee Related JP5292128B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009042242A JP5292128B2 (ja) 2009-02-25 2009-02-25 走査プローブ顕微鏡およびこれを用いた試料の観察方法
US12/712,745 US8407811B2 (en) 2009-02-25 2010-02-25 Scanning probe microscope and method of observing sample using the same

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009042242A JP5292128B2 (ja) 2009-02-25 2009-02-25 走査プローブ顕微鏡およびこれを用いた試料の観察方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010197208A JP2010197208A (ja) 2010-09-09
JP5292128B2 true JP5292128B2 (ja) 2013-09-18

Family

ID=42632098

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009042242A Expired - Fee Related JP5292128B2 (ja) 2009-02-25 2009-02-25 走査プローブ顕微鏡およびこれを用いた試料の観察方法

Country Status (2)

Country Link
US (1) US8407811B2 (ja)
JP (1) JP5292128B2 (ja)

Families Citing this family (26)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5033609B2 (ja) * 2007-03-12 2012-09-26 株式会社日立製作所 走査プローブ顕微鏡およびこれを用いた試料の観察方法
JP5216509B2 (ja) * 2008-03-05 2013-06-19 株式会社日立製作所 走査プローブ顕微鏡およびこれを用いた試料の観察方法
US8201268B1 (en) * 2008-11-13 2012-06-12 Optonet Inc. Integrated high index contrast sub-wavelength optical transforming tip (HICSWOTT) for near-field scanning optical microscope
KR20140009366A (ko) 2011-02-23 2014-01-22 알에이치케이 테크놀로지 인코포레이티드 통합형 현미경 및 이와 관련된 방법과 장치
JP5345169B2 (ja) * 2011-03-25 2013-11-20 株式会社東芝 マスク検査装置及びマスク検査方法
JP5802417B2 (ja) * 2011-04-04 2015-10-28 株式会社日立製作所 走査プローブ顕微鏡およびこれを用いた測定方法
JP5745460B2 (ja) * 2011-05-30 2015-07-08 株式会社日立ハイテクノロジーズ 熱アシスト磁気ヘッド素子の検査方法及びその装置
JP2014013160A (ja) * 2012-07-04 2014-01-23 Hitachi Ltd 走査プローブ顕微鏡
US9103784B1 (en) * 2012-11-16 2015-08-11 Iowa State University Research Foundation, Inc. Fluorescence axial localization with nanometer accuracy and precision
US9383386B2 (en) * 2013-03-14 2016-07-05 Oxford Instruments Asylum Research, Inc. Optical beam positioning unit for atomic force microscope
WO2015033681A1 (ja) * 2013-09-05 2015-03-12 株式会社日立製作所 走査プローブ顕微鏡およびこれを用いた試料の観察方法
JP2017150814A (ja) * 2014-05-22 2017-08-31 株式会社日立製作所 走査プローブ顕微鏡およびこれを用いた試料の観察方法
US9910066B2 (en) * 2014-05-25 2018-03-06 Horiba Instruments, Inc. Systems and methods for non-destructive surface chemical analysis of samples
WO2016067398A1 (ja) * 2014-10-29 2016-05-06 株式会社日立製作所 走査プローブ顕微鏡およびこれを用いた試料の観察方法
KR101655020B1 (ko) 2015-03-17 2016-09-06 경희대학교 산학협력단 플라즈몬 나노 입자의 공명 산란 광을 이용한 초고분해능 이미지 획득 시스템 및 방법
US9568495B2 (en) * 2015-05-20 2017-02-14 AIST-NT, Inc. Systems and methods for non-destructive surface chemical analysis of samples
US9835870B2 (en) * 2015-06-05 2017-12-05 Vasily N. Astratov Super-resolution microscopy methods and systems enhanced by dielectric microspheres or microcylinders used in combination with metallic nanostructures
KR101765387B1 (ko) * 2015-06-24 2017-08-23 서강대학교산학협력단 금속 코아 간 초미세 보이드를 가지는 나노 갭 구조체 및 이를 이용한 분자 검출 장치 및 방법, 선택적 에칭을 통한 상기 나노 갭 구조체의 제조 방법
RU2615708C1 (ru) * 2016-01-18 2017-04-07 Федеральное государственное бюджетное образовательное учреждение высшего профессионального образования "Рязанский государственный радиотехнический университет" Сканирующий зонд атомно-силового микроскопа с нанокомпозитным излучающим элементом, легированным квантовыми точками и магнитными наночастицами структуры ядро-оболочка
CN105891548A (zh) * 2016-04-12 2016-08-24 中国人民解放军国防科学技术大学 基于离子溅射技术的纳米尺度光学亚表面损伤检测方法
JP6949573B2 (ja) * 2017-06-21 2021-10-13 株式会社日立製作所 近接場走査プローブ顕微鏡、走査プローブ顕微鏡用プローブおよび試料観察方法
RU184332U1 (ru) * 2018-01-10 2018-10-22 Федеральное государственное бюджетное образовательное учреждение высшего образования "Рязанский государственный радиотехнический университет" Сканирующий зонд атомно-силового микроскопа с отделяемым телеуправляемым нанокомпозитным излучающим элементом, легированным квантовыми точками и магнитными наночастицами структуры ядро-оболочка
RU2681258C1 (ru) * 2018-01-24 2019-03-05 Федеральное государственное бюджетное образовательное учреждение высшего образования "Рязанский государственный радиотехнический университет" Сканирующий зонд атомно-силового микроскопа с разделяемым телеуправляемым нанокомпозитным излучающим элементом, легированным квантовыми точками и магнитными наночастицами структуры ядро-оболочка
RU2716861C1 (ru) * 2019-07-09 2020-03-17 Федеральное государственное бюджетное образовательное учреждение высшего образования "Рязанский государственный радиотехнический университет имени В.Ф. Уткина" Сканирующий зонд атомно-силового микроскопа с отделяемым телеуправляемым нанокомпозитным излучающим элементом, легированным апконвертирующими и магнитными наночастицами структуры ядро-оболочка
RU192810U1 (ru) * 2019-07-15 2019-10-02 Федеральное государственное бюджетное образовательное учреждение высшего образования "Рязанский государственный радиотехнический университет имени В.Ф. Уткина" Сканирующий зонд атомно-силового микроскопа с отделяемым телеуправляемым нанокомпозитным излучающим элементом, легированным апконвертирующими и магнитными наночастицами структуры ядро-оболочка
RU2716850C1 (ru) * 2019-07-18 2020-03-17 Федеральное государственное бюджетное образовательное учреждение высшего образования "Рязанский государственный радиотехнический университет имени В.Ф. Уткина" Сканирующий зонд атомно-силового микроскопа с разделяемым телеуправляемым нанокомпозитным излучающим элементом, легированным апконвертирующими и магнитными наночастицами структуры ядро-оболочка

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001291258A (ja) * 2000-03-31 2001-10-19 Toshiba Corp 近接場光ヘッド、近接場光ヘッドの作製方法ならびに光情報記録再生装置
JP4437619B2 (ja) * 2001-03-14 2010-03-24 株式会社リコー 近接場光用のプローブ及びその作製方法、並びに近接場光学顕微鏡、光メモリの情報記録再生方式
JP3760196B2 (ja) * 2002-06-27 2006-03-29 独立行政法人科学技術振興機構 赤外光集光装置
IL152675A0 (en) 2002-11-06 2004-08-31 Integrated simulation fabrication and characterization of micro and nanooptical elements
JP2005083857A (ja) * 2003-09-08 2005-03-31 Yoshikazu Nakayama ナノチューブプローブ及び製造方法
WO2006113192A2 (en) * 2005-04-06 2006-10-26 Drexel University Functional nanoparticle filled carbon nanotubes and methods of their production
JP2007064812A (ja) * 2005-08-31 2007-03-15 Hitachi Kyowa Engineering Co Ltd 検査装置用プローブおよびその製造法
JP4544150B2 (ja) * 2005-12-16 2010-09-15 トヨタ自動車株式会社 近接場光プローブ
JP5033609B2 (ja) * 2007-03-12 2012-09-26 株式会社日立製作所 走査プローブ顕微鏡およびこれを用いた試料の観察方法
JP5216509B2 (ja) * 2008-03-05 2013-06-19 株式会社日立製作所 走査プローブ顕微鏡およびこれを用いた試料の観察方法

Also Published As

Publication number Publication date
US20100218287A1 (en) 2010-08-26
JP2010197208A (ja) 2010-09-09
US8407811B2 (en) 2013-03-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5292128B2 (ja) 走査プローブ顕微鏡およびこれを用いた試料の観察方法
JP5216509B2 (ja) 走査プローブ顕微鏡およびこれを用いた試料の観察方法
JP5033609B2 (ja) 走査プローブ顕微鏡およびこれを用いた試料の観察方法
Lucas et al. Invited review article: combining scanning probe microscopy with optical spectroscopy for applications in biology and materials science
US5894122A (en) Scanning near field optical microscope
JP6039775B2 (ja) プラズモン評価方法、プラズモン評価装置、および光ピックアップ
US10877065B2 (en) Near field scanning probe microscope, probe for scanning probe microscope, and sample observation method
WO2015033681A1 (ja) 走査プローブ顕微鏡およびこれを用いた試料の観察方法
JP4009197B2 (ja) 走査型近接場光学顕微鏡
KR101274030B1 (ko) 광대역 초연속 스펙트럼을 이용한 근접장 흡수 측정 시스템 및 그 측정 방법
US9417262B2 (en) Scanning probe microscope and sample observation method using same
JP4498081B2 (ja) 散乱型近接場顕微鏡およびその測定方法
WO2015178201A1 (ja) 走査プローブ顕微鏡およびこれを用いた試料の観察方法
WO2016067398A1 (ja) 走査プローブ顕微鏡およびこれを用いた試料の観察方法
WO2014045646A1 (ja) 走査プローブ顕微鏡およびこれを用いた試料の観察方法
Umakoshi Near-field optical microscopy toward its applications for biological studies

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110812

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120913

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120925

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121122

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121211

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130207

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130305

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130418

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130514

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130610

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5292128

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees