以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態1)
本実施形態の情報管理方法は、集合住宅やオフィスビル・商業ビルのように1つの建物内に複数台の電力計測装置が配置された遠隔検針システムを用いることを想定している。
この遠隔検針システムでは集合住宅の住戸別に電気料金を課金するために、図1に示すように、電力計測装置3(31〜3n)が、各住戸に配設した電力線Lpの各電力供給状態を監視する監視手段として設けられる。電力計測装置3は瞬時電力を計測し、瞬時電力を積算することによって時間帯別に電力量を計量する。したがって、たとえば昼間時間と夜間時間のように料金単価の異なる時間帯における使用電力量を個別に計量することができる。
そして、遠隔検針システムは、各住戸における電力の使用量を遠隔で検針することを目的にしているから、電力計測装置3で計量した計量データ(監視データ)を通信により伝送する必要がある。ここでは、電力計測装置3で得られる計量データを伝送する通信路の一部に電力線Lpを用いて電力線搬送通信(PLC:Power Line Communication)による通信を行う。各住戸に設けた電力計測装置3の計量データは、たとえば建物を単位として親局1に集められる。親局1は、電力会社が管理するサーバ4との間でインターネットのようなネットワークNTを通して通信を行う。したがって、サーバ4では各住戸での電力の使用量を個別に取得することが可能になる。
各住戸に設けた電力計測装置3の計量データを親局1に伝送するために、各電力計測装置3には親局1との間で通信を行う端局2がそれぞれ付設される。端局2は電力線Lpに接続されており、通常は1組(単相3線)の電力線Lpから複数の住戸に給電するから、1組の電力線Lpに複数台の端局2が接続されることになる。また、電力線Lpの構成は、単相3線に限定されるものではなく、単相2線または3相3線等の他の構成であってもよい。
このように、電力計測装置3は各住戸での電力の使用量を計測しており、端局2は各電力計測装置3から計量データ(積算電力量)を取得するから、端局2は建物内の住戸毎に分散して配置される。一方、親局1は各端局2が取得した計量データを集めるために、建物の1箇所に配置され、例えば建物において電力系統の幹線や降圧トランスを収納している電気室に配置される。
そして親局1は、電力線通信部1aと、定期検針管理部1bと、端局情報管理部1cと、端局情報記憶部1dと、ネットワーク通信部1eとで構成され、電力線通信部1aを電力線Lpに接続して電力線搬送通信を行う。端局情報記憶部1dには、計量データの収集先の各端局2に関する情報である端局情報として、当該親局1の配下に収容している端局2の台数情報、各端局2の識別情報(アドレスや需要家番号)、各端局2が電力計測装置3から取得した計量データ等を格納している。
親局1は、配下に収容している全端局21〜2nを管理しており、端局情報管理部1cは、電力線Lpに接続されて動作する端局2の増減を管理する機能を有している。電力線Lpに新たに接続された端局2は、当該端局2に予め割り付けられている識別情報を親局1へ送信し、端局情報管理部1cは受信した識別情報を端局情報記憶部1dに格納する。そして、端局情報管理部1cは、端局情報記憶部1dに格納した各端局2の識別情報の数から、配下に収容している端局2の台数を管理している。
そして、システムの施工時および運用時において、作業者は施工および運用の成功の可否を判断するために、親局1の端局情報記憶部1dに格納している端局情報を確認する必要がある。そこで、作業者は、情報端末(施工運用用機器)5を建物内に準備して、端局21〜2nのうちいずれかの端局2(本実形態では端局2n)に接続する。
情報端末5は、電力線通信部5aと、管理通信部5bと、表示部5cと、入力部5dとで構成され、電力線通信部5aを、端局2を介して電力線Lpに接続して電力線搬送通信を行う。すなわち、各住戸に設けた端局2が、情報端末5を電力線Lpに接続する接続手段として機能する。そして、管理通信部5bは、電力線通信部5aを通して親局1や他の端局21〜2n−1と電力線搬送通信を行い、例えば親局1にアクセスして、端局情報記憶部1dに格納している各端局2の端局情報を取得することができる。この取得した端局情報は、表示部5cに表示され、作業者はこの表示内容を見て施工および運用の成功の可否を判断する。また、入力部5dの操作によって、情報端末5の動作を設定し、さらには親局1および各端局2の各種設定値が入力される。
次に、図2に示す通信シーケンスを用いて、上記親局1−端局2−情報端末5間の通信について説明する。
まず、親局1および端局2は、建物内の現場に順次設置されていくが、親局1は、その配下に端局2が通信可能に収容されて、各端局2の識別情報を端局情報記憶部1dに格納した後は、配下の全ての端局2に対して定期的にポーリングすることによって、各端局2が記憶している計量データ(積算電力量)を収集する遠隔検針を実行する。
具体的に、定期検針管理部1bは、定期的な遠隔検針の開始時刻になると、端局情報管理部1cを介して端局情報記憶部1dの端局情報にアクセスして、遠隔検針の実行対象となる端局2m(1≦m≦n)を特定する。次に、定期検針管理部1bは、電力線通信部1aを経由して対象の端局2mに対して検針要求を送信し、端局2mから計量データを含む検針応答を受信する(工程S1:第1の工程)。定期検針管理部1bは、受信した検針応答から計量データを取り出して、端局情報管理部1c経由で端局情報記憶部1dに格納する。定期検針管理部1bは、この検針要求の送信と検針応答の受信とを、配下に収容されている全ての端局21〜2nに対して行った後に、検針終了通知信号(監視データ収集終了の通知信号)を情報端末5へ送信する(工程S2:第2の工程)。この検針終了通知信号は、親局1から情報端末5に向けて発せられるものであるが、ユニキャスト送信である必要はなく、マルチキャスト送信であってもよい。
そして、親局1の定期検針管理部1bは、前回の定期的な遠隔検針から一定時間が経過して、次回の定期的な遠隔検針の開始が近付いてくれば、検針開始通知信号(監視データ収集開始の通知信号)を情報端末5へ送信する(工程S3:第3の工程)。この検針開始通知信号は、親局1から情報端末5に向けて発せられるものであるが、ユニキャスト送信である必要はなく、マルチキャスト送信であってもよい。
そして、本情報管理方法では、上記工程S2と工程S3との間の期間を、情報端末5が親局1および端局2と通信可能な通信許可期間Taとしており、この通信許可期間Taにおいて後述の送信要求工程Sa、情報返信工程Sb、情報受信工程Scを行うことで、情報端末5は親局1から端局情報を取得する。
まず、工程S2で親局1から送信された検針終了通知信号を受信した情報端末5では、通信許可期間Taが開始されたと認識して、通信管理部5bが親局1へ端局収容台数確認要求(端局情報の送信要求信号)を送信する送信要求工程Saを行う。次に、端局収容台数確認要求を受信した親局1では、端局情報管理部1cが端局情報記憶部1dから端局情報を読み出し、端局収容台数確認応答として情報端末5へ端局情報を送信する情報返信工程Sbを行う。次に、情報端末5では、通信管理部5bが端局情報を受信し、この端局情報を表示部5cに表示する情報受信工程Scを行う。そして、情報端末5の通信管理部5bは、工程S3で親局1から送信された検針開始通知信号を受信すると、通信許可期間Taが終了したと認識して、次回の検針終了通知信号を受信するまで通信動作を停止する。
情報返信工程Sbにおいて親局1から情報端末5へ送信される端局情報は、図3に示すフォーマットで構成され、親局1の配下に収容している端局2の台数(n台)を示す収容端局台数情報D1が先頭に格納され、続いてn台の端局21〜2nの各識別情報を示す収容端局ID情報D21〜D2nが格納されており、情報端末5の表示部5cには、端局2の台数や、各端局の識別情報が表示される。而して、作業者は、各住戸に設けた端局21〜2nのうち任意の端局2にのみ情報端末を接続することで、全ての端局21〜2nの端局情報を親局1から取得することができる。なお、親局1と情報端末5とが送受信可能な信号の長さに制限がある場合は、親機1が送信する端局情報を分割して、送信要求工程Saと情報返信工程Sbとを複数回繰り返す。
したがって、親局1は、端局21〜2nと離れた電気室等に設置されているが、作業者は、親局1から端局情報を取得するために親局1の設置場所まで赴く必要もない。
なお、情報端末5の入力部5dの操作によって、既に親局2の配下に収容されている設置済の端局2(全てまたは一部)の識別情報を通信管理部5bに予め入力しておき、情報受信工程Scでは、情報端末5の通信管理部5bが受信した端局情報のうち、通信管理部5bにまだ入力されていない端局2の識別情報に対応する端局情報のみを表示部5cに表示してもよい。
また、情報端末5は、接続した端局2nはもちろんのこと、他の端局21〜2n−1との間で電力線搬送通信を行って、各端局2が保持している情報(例えば、各端局に割り付けられている識別情報、各端局の計量データ等)を個別に取得することもできる。したがって、建物内に複数台の端局2が設置されていても、作業者は、各端局2の設置場所に赴いて、対象となる端局2に情報端末5を接続して情報を取得する作業を、端局2毎に繰り返す必要はない。
すなわち、遠隔検針システムにおいて、作業者は、建物内の親局1や端局2の設置場所を1台1台回る必要はなく、いずれか1台の端局2に情報端末5を接続するだけで、親局1、全ての端局21〜2nが保持している各情報を効率よく取得することができ、施工時および運用時の作業効率が向上して工数削減を図ることができる。例えば、親局1に収容されている端局2の台数を、親局1が設置された電気室内から離れた施工現場の住戸内で知ることができ、端局2の施工が成功したか否かを施工現場に居ながら判断することが可能になる。したがって、親局1に収容されている端局2の台数を確認するために親局1やサーバ4に作業者を配置する必要がなく、施工時の工数を削減することができる。
また、情報端末5は、検針終了通知信号を受信してから検針開始通知信号を受信するまでの期間を、親局1−端局2間での遠隔検針が行われない通信許可期間Taとして認識でき、この通信許可期間Ta中に端局情報の取得を行う。したがって、親局1−端局2間での定期遠隔検針中における通信トラフィックを増大させることなく、端局情報を取得することができる。情報端末5が通信許可期間Ta中に取得可能な端局情報としては、上述した端局2の台数情報、識別情報、計量データ以外に、例えば電力線Lpから各住戸への電力供給をオン・オフする開閉器の接点状態を監視する監視手段を設けた場合には、当該開閉器の接点状態を示す開閉器情報も含まれる。さらには、親機1、端局2の各動作に応じて設定されるパラメータ情報を親機1、端局2から取得してもよい。
また、情報端末5がいずれかの端局2に接続されて電力線搬送通信が可能になると、情報端末5の通信管理部5bは、自己の識別情報を含む参加通知信号を親局1へ送信する。親局1では、端局管理通知部1cが情報端末5の電力線搬送通信への参加を認識し、以降行われる情報端末5との通信には、参加通知信号に含まれる情報端末5の識別情報を用いる。さらに、情報端末5から参加通知信号を受信した親局1は、親局1−端局2間での定期遠隔検針が完了した後に、情報端末5による通信の発生が予見されるため、定期遠隔検針の完了後は親局1による送信動作を低減させて、通信許可期間Taにおける通信の衝突を減らすことができる。
さらに、情報端末5を電力線Lpに接続する接続手段として、各住戸に設けた端局2を用いており、集合住宅の各住戸に設置した端局2を接続手段として用いることで、システム構成の簡略化を図ることができる。また、各住戸内に配設された電力線Lpにコネクタを設けて、当該コネクタを接続手段として用いてもよい。この場合、情報端末5はコネクタを介して電力線Lpに接続される。
さらに、親局1の端局情報管理部1cは、端局情報記憶部1dに格納している端局情報を、ネットワーク通信部1eからネットワークNT経由でサーバ4へ提供する機能を有している(図2中の工程S10参照)。このとき、サーバ4からの端局情報要求時に端局情報をサーバ4に送信する構成、または端局情報管理部1cが能動的に端局情報をサーバ4に送信する構成のいずれであってもよい。
(実施形態2)
本実施形態の情報管理方法を用いる遠隔検針システムは、実施形態1と同様に図1に示される。実施形態1では、親局1が、情報端末5からの端局収容台数確認要求を受信し、この端局収容台数確認要求の応答として情報端末5へ端局情報を送信している。
しかし、本実施形態の親局1では、端局情報管理部1cが一定周期で端局情報記憶部1dから端局情報を読み出し、この読み出した端局情報を、いずれか1台の端局2に接続された情報端末5へ一定周期で送信する。
または、本実施形態の親局1では、端局情報管理部1cが端局情報記憶部1d内の端局情報を監視し、当該親局1の配下に収容している端局2の台数が増減した場合に、この台数増減後の端局情報を、いずれか1台の端局2に接続された情報端末5へ送信する。
したがって、親局1は、施工対象の端局2nとは離れた電気室等に設置されているが、作業者は、親局1から端局情報を取得するために親局1の設置場所まで赴く必要もない。
また、情報端末5は、接続した端局2nはもちろんのこと、他の端局21〜2n−1との間で電力線搬送通信を行って、各端局2が保持している情報(例えば、各端局に割り付けられている識別情報、各端局の計量データ等)を個別に取得することもできる。したがって、建物内に複数台の端局2が設置されていても、作業者は、各端局2の設置場所に赴いて、対象となる端局2に情報端末5を接続して情報を取得する作業を、端局2毎に繰り返す必要はない。
すなわち、遠隔検針システムにおいて、作業者は、建物内の親局1や端局2の設置場所を1台1台回る必要はなく、いずれか1台の端局2に情報端末5を接続するだけで、親局1、全ての端局21〜2nが保持している各情報を効率よく取得することができ、施工時および運用時の作業効率が向上して工数削減を図ることができる。
なお、他の構成は実施形態1と同様であり、説明は省略する。
(実施形態3)
本実施形態の情報管理方法を用いる遠隔検針システムは、実施形態1と同様に図1に示され、親局1−端局2−情報端末5間の通信について図4に示す通信シーケンスを用いて説明する。
まず、親局1および端局2は、建物内の現場に順次設置されていくが、親局1は、その配下に端局2が収容されて、各端局2の識別情報を端局情報記憶部1dに格納した後は、配下の全ての端局2に対して定期的にポーリングすることによって、各端局2が記憶している計量データ(積算電力量)を取得する遠隔検針を実行する。具体的に、定期検針管理部1bは、定期的な遠隔検針の開始時刻になると、端局情報管理部1cを介して端局情報記憶部1dの端局情報にアクセスして、遠隔検針の実行対象となる端局2m(1≦m≦n)を特定する。次に、定期検針管理部1bは、電力線通信部1aを経由して対象の端局2mに対して検針要求を送信し、端局2mから計量データを含む検針応答を受信する(工程S1:第1の工程)。定期検針管理部1bは、受信した検針応答から計量データを取り出して、端局情報管理部1c経由で端局情報記憶部1dに格納する。定期検針管理部1bは、この検針要求の送信と検針応答の受信とを、配下に収容されている全ての端局21〜2nに対して行った後に、検針終了通知信号(監視データ収集終了の通知信号)を情報端末5へ送信する(工程S2:第2の工程)。この検針終了通知信号は、親局1から情報端末5に向けて発せられるものであるが、ユニキャスト送信である必要はなく、マルチキャスト送信であってもよい。
そして、親局1の定期検針管理部1bは、前回の定期的な遠隔検針から一定時間が経過して、次回の定期的な遠隔検針の開始が近付いてくれば、検針開始通知信号(監視データ収集開始の通知信号)を情報端末5へ送信する(工程S3:第3の工程)。この検針開始通知信号は、親局1から情報端末5に向けて発せられるものであるが、ユニキャスト送信である必要はなく、マルチキャスト送信であってもよい。
そして、本情報管理方法では、上記工程S2と工程S3との間の期間を、情報端末5が通信可能な通信許可期間Taとしており、この通信許可期間Taにおいて後述の端局情報の消去要求工程Sdおよび情報消去工程Seおよび消去応答工程Sfを行うことで、所定の端局2を撤去した後で、情報端末5は親局1が保持する端局情報から撤去済の端局に対応する情報を消去する。なお、以下の説明では端局2nを撤去したものとする。
まず作業者は、端局2nを電力線Lpから撤去した後、端局2nの近傍に設置されている端局2n−1に情報端末5を接続する。そして、上記工程S1内のタイミングt1で作業者が情報端末5の入力部5dを操作し、撤去した端局2nの端局情報を親局1から消去するために、端局2nの識別情報を入力したとする。しかし、情報端末5が通信可能な通信許可期間Taではないため、情報端末5は通信動作を行わず、当該操作を記憶しておく。
そして、工程S2で親局1から送信された検針終了通知信号を受信した情報端末5では、通信許可期間Taが開始されたと認識して、通信管理部5bが、端局2nの端局情報の消去要求(端局情報の消去要求信号)を親局1へ送信する消去要求工程Sdを行う。消去要求工程Sdにおいて情報端末5から親局1へ送信される端局情報の消去要求は、図5に示すフォーマットで構成され、撤去された端局2nの識別情報を示す収容端局ID情報D3が格納されている。
次に、端局2nに対応する端局情報の消去要求を受信した親局1では、端局情報管理部1cが端局情報記憶部1dに格納している端局情報から、端局2nの識別情報に対応する情報のみを消去する情報消去工程Seを行う。そして情報消去工程Seが完了すると、端局情報管理部1cは、端局情報の消去応答(端局情報の消去応答信号)を情報端末5へ送信する消去応答工程Sfを行う。端局情報の消去応答を受信した情報端末5の通信管理部5bは、端局2nの端局情報が消去されたことを表示部5cに表示する。そして、情報端末5の通信管理部5bは、工程S3で親局1から送信された検針開始通知信号を受信すると、通信許可期間Taが終了したと認識して、次回の検針終了通知信号を受信するまで通信動作を停止する。
而して、作業者は、撤去した端局2nの近傍に設置されている端局2(例えば、集合住宅であれば、端局2nを撤去された住戸に隣り合う住戸に設置している端局2n−1)に情報端末5を接続することで、親局1が保持している端局情報を変更することができる。
また、撤去した端局2が複数台ある場合は、消去要求工程Sdにおいて情報端末5から親局1へ送信される端局情報の消去要求に、撤去された複数台の端局2の各識別情報を格納し、親局1の端局情報管理部1cは、情報消去工程Seにおいて、端局情報記憶部1dに格納している端局情報から、撤去された複数台の端局2の識別情報に対応する情報を消去する。
したがって、建物内の端局2を撤去した場合に、作業者は撤去した端局2の近くにある使用中の端局2に情報端末5を接続して親局1が保持している端局情報を消去できるので、親局1が保持している端局情報を変更するために親局1の設置場所まで赴く必要がない。また、情報端末5は、親局1が保持している情報はもちろんのこと、各端局2が保持している情報(例えば、各端局に割り付けられている識別情報、各端局の計量データ等)を、個別に変更することもできる。
すなわち、遠隔検針システムにおいて、作業者は、建物内の親局1や端局2の設置場所を1台1台回る必要はなく、いずれか1台の端局2に情報端末5を接続するだけで、親局1、全ての端局2が保持している各情報を効率よく変更することができ、施工時および運用時の作業効率が向上して工数削減を図ることができる。例えば、親局1に格納されている端局情報を、親局1が設置された電気室内から離れた施工現場の住戸内で消去することができ、端局2の撤去に要する全作業を施工現場に居ながら行うことが可能になる。したがって、親局1に格納している端局情報を消去するために親局1やサーバ4に作業者を配置する必要がなく、施工時の工数を削減することができる。
また、情報端末5は、検針終了通知信号を受信してから検針開始通知信号を受信するまでの期間を、親局1−端局2間での遠隔検針が行われない通信許可期間Taとして認識でき、この通信許可期間Ta中に端局情報等の各情報の変更を行う。したがって、親局1−端局2間での遠隔検針中における通信トラフィックを増大させることなく、各情報を変更することができる。
さらに、本実施形態の通信許可期間Taにおいて実施形態1の工程Sd〜Sfも併せて行い、親局1から端局情報を取得してもよい。
なお、他の構成は実施形態1と同様であり、説明は省略する。
(実施形態4)
本実施形態の情報管理方法を用いる遠隔検針システムは、実施形態1と同様に図1に示され、親局1によって端局2の初期設定を行う通信シーケンスを図6に示す。
まず、端局2は、当該端局が設置される物理的な位置の情報(設置場所情報)として、設置場所ID情報が各々割り振られる。設置場所ID情報は、例えば、端局2が設置された各住戸の住所等に関する情報であり、本システム内でユニークな値として管理される。そして、端局2はロータリースイッチ等で構成される設置場所ID設定手段を具備しており、端局2は、住戸への設置時に設置場所ID情報が設定される。なお、設置場所ID設定手段は、情報端末5によって各端局2に設定する構成でもよく、さらには端局2が取り付けられるベースユニット(図示無し)に設けてもよい。
親局1の端局情報記憶部1dは、図7に示す管理テーブルTB1を格納している。この管理テーブルTB1は、当該親局1の配下に収容している端局2の設置場所ID情報、端局2の識別情報、端局2の設定情報(端局2が計量データ伝送動作を行うために必要な端局情報)、当該端局2に組み合わされる電力計測装置3の識別情報を互いに対応付けており、端局情報管理部1cによって全端局2の各情報が管理されている。本実施形態において、管理テーブルTB1には、図7(a)に示すように、端局21aの設置場所ID情報[A21]、端局21の識別情報[B21a]、端局21の設定情報[C21]、端局21に組み合わされる電力計測装置31の識別情報[D31a]が互いに対応付けられ、さらに端局22の設置場所ID情報[A22]、端局22の識別情報[B22]、端局22の設定情報[C22]、端局22に組み合わされる電力計測装置32の識別情報[D32]が互いに対応付けられており、端局23、24、...についても同様に管理テーブルTB1にて各情報が対応付けられている。
そして、端局21a,22,23,...が各々動作してシステムが稼動している状態(工程S11)から、端局21aおよび電力計測装置31aを、例えば故障等の理由で別の端局21bおよび電力計測装置31bに交換する場合について以下説明する。
まず、端局21aおよび電力計測装置31aの動作を停止させた後に(工程S12)、新しい端局21bおよび電力計測装置31bと物理的に置き換えて、端局21bおよび電力計測装置31bに電源を投入して起動させる。起動後の端局21bは、ロータリースイッチ等で構成される設置場所ID設定手段を作業者に操作されることによって、端局21aと同じ設置場所ID情報[A21]を設定される。また、端局21bには識別情報[B21b]、電力計測装置31bには識別情報[D31b]が予め割り付けられている(工程S13)。しかし、端局21bは、設定情報がまだ設定されていない設定待ち状態であり、この設定待ち状態では、電力計測装置31bの計量データを親局1に伝送する際に、必要な情報を付加することができない。
そして、新規参入した端局21bは、設置場所ID情報[A21]を設定されると、自己の設置場所ID情報[A21]を付加した設定情報取得要求(認証要求)を親局1に送信する(認証要求工程S14)。設定情報取得要求を受信した親局1の端局情報管理部1cは、図7(a)の管理テーブルTB1を参照して、当該設定情報取得要求に付加された設置場所ID情報[A21]に既に設定情報が対応付けられているか否かを判定する認証処理を行う。この場合、設置場所ID情報[A21]には、交換前の端局21aの設定情報[C21]が既に対応付けられており、端局情報管理部1cは、設置場所ID情報[A21]に対応する設定情報[C21]を抽出して、図8に示すように、先頭の領域D41に設置場所ID情報[A21]を格納し、続く領域D42に設定情報[C21]を格納した設定情報取得応答(認証完了応答)を要求元の端局21bへ送信する(認証応答工程S15)。
設定情報取得応答を受信した端局21bは、設定情報[C21]を内部メモリに格納する情報設定動作を行う。そして、端局21bは電力計測装置31bの識別情報[D31b]を読み出し、自己の設置場所ID情報[A21]および識別情報[B21b]と電力計測装置31bの識別情報[D31b]とを親局1へ送信するとともに(工程S16)、設定情報[C21]に基づいて計量データ伝送動作を開始する(設定工程)。
親局1では、端局情報管理部1cが、受信した端局21bの識別情報[B21b]と電力計測装置31bの識別情報[D31b]とを設置場所ID情報[A21]に対応させて端局情報記憶部1dに格納し、管理テーブルTB1を更新する。更新後の管理テーブルTB1は、図7(b)に示すように、端局21bの設置場所ID情報[A21]、端局21bの識別情報[B21b]、端局21bの設定情報[C21]、端局21bに組み合わされる電力計測装置31bの識別情報[D31b]が互いに対応付けられ、以降はこの状態でシステムが定常動作を開始する。
このように、交換前の端局21aから交換後の端局21bへの設定情報の引継ぎを自動で行うので、作業者が交換前の端局21aから交換後の端局21bへ設定情報の引継ぎ作業を実施する必要がなく、端局交換時の工数および施工コストの削減が可能となる。
(実施形態5)
本実施形態では、情報端末5によって端局2の初期設定を行う通信シーケンスを図9に示す。なお、実施形態4と同様の構成には同一の符号を付して説明は省略する。
まず、複数台の端局21〜2nを各住戸に新規設置し、全ての端局21〜2nの電源を投入して起動させる。さらに起動後の端局21〜2nは、ロータリースイッチ等で構成される設置場所ID設定手段を作業者に操作されることによって、当該端局が設置される物理的な位置の情報(設置場所情報)として、設置場所ID情報[A21]〜[A2n]が各々設定される。しかし、端局21〜2nは、設定情報(端局2が計量データ伝送動作を行うために必要な端局情報)がまだ設定されておらず、設定待ち状態となる。この設定待ち状態の端局2は、電力計測装置31〜3nの計量データを親局1に伝送する際に、必要な情報を付加することができない。
次に、情報端末5をいずれか1台の端局2に接続し、電力線搬送通信が可能な状態としておく。情報端末5は、図10に示す管理テーブルTB2を格納しており、この管理テーブルTB2は、全ての端局21〜2nの各設置場所ID情報[A21]〜[A2n]に、当該端局に設定される設定情報[C21]〜[C2n]を対応付けて保持している。そして、作業者が情報端末5の入力部5dを操作することによって、いずれか1つの設置場所ID情報と、当該設置場所ID情報に対応付けた設定情報とを含む設定情報設定要求(図8参照)が全ての端局21〜2nに対してブロードキャスト送信される(設定要求工程S21)。
設定情報設定要求を受信した端局21〜2nのうち、設定情報設定要求に含まれる設置場所ID情報が自己の設置場所ID情報に一致する端局2は、設定情報設定要求に含まれる設定情報を内部メモリに格納する情報設定動作を行い、この設定情報に基づいて計量データ伝送動作を行う(認証設定工程)。設定情報設定要求に含まれる設置場所ID情報が自己の設置場所ID情報に一致しない端局2は、設定情報設定要求を破棄する。
そして、作業者が情報端末5の入力部5dを操作することによって、情報端末5は、端局21〜2nの各設置場所ID情報を含む設定情報設定要求を順次送信し、全ての端局21〜2nに対して設定情報の設定処理を行う。
したがって、端局2に接続した情報端末5の操作によって、全ての端局2の初期設定を自動で行うことができるので、工数の削減や、ヒューマンエラーによる施工ミスの防止を実現でき、施工コストを低減できる。
(実施形態6)
本実施形態では、情報端末5によって端局2の初期設定を行う通信シーケンスを図11に示す。なお、実施形態4と同様の構成には同一の符号を付して説明は省略する。
まず、複数台の端局21〜2nを各住戸に新規設置し、全ての端局21〜2nの電源を投入して起動させる。さらに起動後の端局21〜2nは、ロータリースイッチ等で構成される設置場所ID設定手段を作業者に操作されることによって、当該端局が設置される物理的な位置の情報(設置場所情報)として、設置場所ID情報[A21]〜[A2n]が各々設定される。しかし、端局21〜2nは、設定情報(端局2が計量データ伝送動作を行うために必要な端局情報)がまだ設定されておらず、設定待ち状態となる。この設定待ち状態の端局2は、電力計測装置31〜3nの計量データを親局1に伝送する際に、必要な情報を付加することができない。
次に、情報端末5をいずれか1台の端局2に接続し、電力線搬送通信が可能な状態としておく。情報端末5は、図10に示す管理テーブルTB2を格納しており、この管理テーブルTB2は、全ての端局21〜2nの各設置場所ID情報[A21]〜[A2n]に、当該端局に設定される設定情報[C21]〜[C2n]を対応付けて保持している。
そして、端局21〜2nは、自己の設置場所ID情報を含む設定情報取得要求を情報端末5へユニキャスト送信する(情報要求工程S31)。ここで、情報端末5が端局21からの設定情報取得要求を受信したとすると、情報端末5は、管理テーブルTB2を参照して、設定情報設定要求に含まれる設置場所ID情報[A21]に対応する設定情報[C21]を抽出し、設置場所ID情報[A21]および設定情報[C21]を含む設定情報取得応答を端局21へユニキャスト送信する(応答工程S32)。
設定情報取得応答を受信した端局21は、設定情報取得応答に含まれる設定情報[C21]を内部メモリに格納する情報設定動作を行い、この設定情報に基づいて計量データ伝送動作を行う(設定工程)。
そして端局2が設置されて設置場所ID情報が設定される毎に、当該設置された端局2から情報端末5へ設定情報取得要求がユニキャスト送信され、情報端末5から端局2へ設定情報取得応答がユニキャスト送信されることで、全ての端局2の初期設定が完了する。
したがって、端局2に接続した情報端末5によって、全ての端局2の初期設定を自動で行うことができるので、工数の削減や、ヒューマンエラーによる施工ミスの防止を実現でき、施工コストを低減できる。
(実施形態7)
本実施形態の情報管理方法を用いる遠隔検針システムは、実施形態1と同様に図1に示され、親局1−端局2−情報端末5間の通信について図12に示す通信シーケンスを用いて説明する。
まず、親局1および端局2は、建物内の現場に順次設置されていくが、親局1は、その配下に端局2が収容されて、各端局2の識別情報を端局情報記憶部1dに格納した後は、配下の全ての端局2に対して定期的にポーリングすることによって、各端局2が記憶している計量データ(積算電力量)を取得する遠隔検針を実行する。なお、この遠隔検針処理の工程S1,S2,S3は、実施形態1と同様であるので説明は省略する。
そして、本情報管理方法では、上記工程S2と工程S3との間の期間を、情報端末5が通信可能な通信許可期間Taとしており、この通信許可期間Taにおいて後述の通信許可提示工程Sgおよび診断要求工程Shおよび診断応答工程Siおよび診断結果通知工程Sjを行うことで、端局2の配下にある機器に異常が発生しているか否かを診断する。端局2の配下にある機器とは、例えば各住戸への電力供給をオン・オフする開閉器等の周辺機器である。なお、以下の説明では端局21に対して周辺機器の診断を行うものとする。
まず、工程S2で親局1から送信された検針終了通知信号を受信した情報端末5では、通信許可期間Taが開始されたと認識して、通信管理部5bが、通信許可期間Ta中である旨を表示部5cに表示する通信許可提示工程Sgを行う。そして、上記通信許可期間Ta内で作業者が情報端末5の入力部5dを操作すると、通信管理部5bが機器診断要求を端局21へ送信する診断要求工程Shを行う。診断要求工程Shにおいて情報端末5から端局2へ送信される機器診断要求は、図13に示すフォーマットで構成され、診断対象の機器の種別(開閉器等)を示す診断対象機器種別D51と、診断対象の機器の管理番号(例えば、開閉器毎に固有の識別番号)を示す周辺機器ID情報D52が格納されており、診断対象の周辺機器を指定している。
次に、機器診断要求を受信した端局21では、診断を受け付けた旨を知らせる機器診断応答を情報端末5へ送信する診断応答工程Siを行った後に、機器診断要求で指定された周辺機器の動作確認を開始する。そして、端局21は、周辺機器の動作確認完了後、機器診断結果通知を情報端末5へ送信する診断結果通知工程Sjを行う。診断結果通知工程Sjにおいて端局2から情報端末5へ送信される機器診断結果通知は、図14に示すフォーマットで構成され、診断対象の周辺機器の種別を示す診断対象機器種別D61と、診断対象の周辺機器の管理番号を示す周辺機器ID情報D62と、動作確認結果を示す診断結果D63とが格納されており、周辺機器の異常の有無が通知される。次に、機器診断結果通知を受信した情報端末5では、通信管理部5bが診断対象の周辺機器の動作確認結果を表示部5cに表示し、作業者に診断結果を提示する。
上記処理を通信許可期間Ta内で繰り返し行うことによって、複数台の端局2の周辺機器を診断することができる。すなわち、遠隔検針システムにおいて、作業者は、検査のために端局2の設置場所を1台1台回る必要はなく、いずれか1台の端局2に情報端末5を接続するだけで、複数台数の端局2の周辺機器を一箇所にいながら検査でき、保守コストを低減できる。
(実施形態8)
本実施形態の情報管理方法を用いる遠隔検針システムは、実施形態1と同様に図1に示され、親局1−端局2−情報端末5間の通信について図15に示す通信シーケンスを用いて説明する。
情報端末5の通信管理部5bは、電力線Lp上を伝送される電力線搬送通信の単位時間当たりのデータ量(トラフィック量)をモニタするトラフィック量監視機能を具備しており、情報端末5をいずれか1台の端局2に接続して電力線搬送通信が可能な状態にすると、通信管理部5bは、電力線搬送通信のトラフィック量をモニタする。
そして、端局2は、電力計測装置3またはその周辺機器の状態が変化するイベント発生毎にイベント発生通知を親局1へ送信する(工程Sk)。例えば、周辺機器である開閉器のオン・オフ状態が切り替わる毎に、開閉器オン・オフのイベント発生通知が親局1へ送信される。しかし、複数の端局21〜2nから同時期にイベント発生通知が送信された場合にはトラフィック量が増大し、親局1から端局2へ送信する検針要求が輻輳して失報する虞がある。
そこで、情報端末5の通信管理部5bは、上記イベント発生通知を含むトラフィック量をモニタしており、トラフィック量が予め決められた閾値を超えた場合に、トラフィック量の閾値オーバを示すトラフィック通知を親局1に対して送信する(通知工程Sm)。閾値オーバのトラフィック通知を受信した親局1は、定期検針管理部1bが端局21〜2nに対して検針要求を順次送信するときに、検針要求の送信間隔Tsを長くする(送信間隔調整工程Sn)。すなわち、検針要求の送信間隔Tsを長くすることによって、イベント発生通知によって増大したトラフィック量が、検診要求によってさらに増大することを抑制し、この状態でトラフィック量が低減するまで待機する。なお、送信間隔Tsを無限大として、トラフィック量が低減するまで検針要求の送信を停止してもよい。
その後、端局21〜2nからのイベント発生通知が減少して、トラフィック量が閾値を下回ると、情報端末5の通信管理部5bは、閾値オーバ解除を示すトラフィック通知を親局1に対して送信する(通知工程So)。閾値オーバ解除のトラフィック通知を受信した親局1は、検針要求の送信間隔Tsを短くして元に戻す。
ここで、トラフィック通知は、図16に示すフォーマットで構成され、通知内容を示す通知種別D71が格納されており、通知種別D71には「閾値オーバ」または「閾値オーバ解除」の情報が設定される。
したがって、遠隔検針システムにとって検針要求は重要な通信であり、このように重要な通信が輻輳によって失報する確率を低減して、通信の信頼性を向上させることができる。なお、トラフィック通知によって送信間隔を調整する通信は、検針要求の送信に限定されることはなく、他の情報の送信間隔であっても同様に行うことができる。
上記実施形態1乃至8では、本発明の情報管理方法を用いる遠隔監視システムとして、集合住宅の住戸別に電気料金を課金する遠隔検針システムを例示したが、オフィスビル・商業ビルの各テナント別に電気料金を課金する遠隔検針システムに適用しても同様の効果を得ることができる。また、空調機器や照明機器等の設備機器の遠隔監視システムに適用してもよい。