JP5290428B2 - 電子写真機器用現像部材およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真機器用現像部材およびその製造方法に関するものである。
近年、電子写真方式を採用する複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真機器が広く使用されている。
これら電子写真機器では、一般に、感光ドラム等の潜像担持体に潜像を形成し、この潜像にトナーを付着させて現像してトナー像として可視化する。そして、このトナー像を用紙等の記録媒体に転写することで画像が形成される。
このような電子写真機器において、潜像を現像する現像部材としては、従来、現像ロールが広く用いられている。現像ロールを用いた代表的な現像方法としては、例えば、以下のものが知られている。すなわち、現像ロール表面にトナー層形成用ブレードを押しつけ、摩擦によりトナーを帯電させる。帯電されたトナー層は、現像ロールの回転によって潜像担持体の表面に対向する位置まで搬送され、潜像担持体上の潜像を現像する。現像方式には、潜像担持体と現像ロールとが接触する接触型と、潜像担持体と現像ロールとが接触しない非接触型とが知られている。
最近では、特許文献1に記載されるように、現像ロール表面に形成した電極に電圧を印加し、これにより形成された電界によってトナーをロール表面上でホッピングさせつつ、現像ロールを回転させてトナーを現像領域まで搬送し、潜像担持体上の潜像を現像する技術も提案されている。
上記特許文献1には、絶縁体であるアクリル樹脂の筒体に設けた軸穴に電極軸を圧入し、この筒体の表面に溝部を切削にて形成した後、無電解めっきを施し、無電解めっきを施したロール周面を旋削して不要な導体膜を取り除くことにより表面電極を形成した現像ロールが開示されている。
特開2007−133387号公報
しかしながら、従来知られる電極付き現像部材は、以下のような問題があった。
すなわち、従来知られる電極付き現像部材は、電極材料として金属を用いているので、比較的低電圧でトナーを帯電させることができる。しかしながら、ロール主材料として樹脂を用いているので、ロール硬度が高く硬質である。
そのため、トナー層形成用ブレードや潜像担持体等の周辺部材との接触により、トナーにストレスがかかりやすく、トナーが劣化しやすいといった問題があった。トナーが劣化すると、カブリやフィルミングなどが発生し、画像不具合が生じやすくなる。
この従来技術に対し、ロール硬度を低下させるために、ロール主材料としてゴム弾性体を用いるともに、電極材料として樹脂に導電剤を添加した導電剤含有樹脂を用いることが考えられる。しかしながら、電極材料として導電剤含有樹脂等を用いると、電気抵抗が高くなり、比較的高電圧を印加しなければ、微小電界を発生させることができず、トナーの帯電性が悪くなるといった問題が懸念される。高電圧の印加は、電子写真機器の省電力化や高速化の妨げとなる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、本発明が解決しようとする課題は、トナーストレスを緩和することができ、かつ、比較的低電圧でトナーを帯電させることが可能な電子写真機器用現像部材、また、当該現像部材の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係る電子写真機器用現像部材は、以下の層構造(1)または(2)を備え、
(1)少なくとも1層以上のゴム弾性層と、このゴム弾性層の表面に積層された絶縁層とを備えた層構造
(2)ゴム弾性を有する絶縁層を備えた層構造
上記層構造の表面に、高分子塗膜よりなるパターン層と上記パターン層の表面に形成された金属材料よりなる電極層とを有するパターン電極を備えることを要旨とする。
ここで、上記電極層は、金属めっきより形成されていることが好ましい。
また、上記パターン層中または上記パターン層表面には、触媒金属が存在することが好ましい。この際、上記触媒金属は、担体に担持されていることが好ましい。
また、上記電極層の厚みは、50nm〜10μmの範囲内にあることが好ましい。
また、上記パターン層のパターン形状は、レーザー加工により形成されていることが好ましい。
また、上記層構造(1)、(2)の絶縁層は、レーザー反射性を有していることが好ましい。あるいは、上記層構造(1)、(2)の絶縁層は、当該絶縁層よりも下層がレーザー加工されるのを抑制可能な厚みを有していると良い。
また、上記パターン電極の表面は、被膜により覆われていることが好ましい。
本発明に係る電子写真機器用現像部材の製造方法は、以下の層構造(1)または(2)を形成する工程と、
(1)少なくとも1層以上のゴム弾性層と、このゴム弾性層の表面に積層された絶縁層とを備えた層構造
(2)ゴム弾性を有する絶縁層を備えた層構造
上記層構造の表面に、高分子塗膜よりなるパターン層を形成する工程と、上記パターン層の表面に金属材料よりなる電極層を形成する工程とを有することを要旨とする。
ここで、上記製造方法では、金属めっきにより電極層を形成することが好ましい。
また、上記製造方法では、触媒金属を含有する高分子塗膜よりなるパターン層、または、表面に触媒金属が付与された高分子塗膜よりなるパターン層を形成することが好ましい。
また、上記触媒金属を含有する高分子塗膜に含まれる高分子は、水溶性高分子であることが好ましい。
本発明に係る電子写真機器用現像部材は、ゴム弾性を有する層構造(1)または(2)の表面に、高分子塗膜よりなるパターン層とこのパターン層の表面に形成された金属材料よりなる電極層とを有するパターン電極を備えている。そのため、当該部材が柔軟になり、トナー層形成用ブレードや潜像担持体等、周辺部材との接触によるトナーストレスを従来よりも緩和することが可能になる。その結果、電子写真機器に組み込んだ際に、カブリ、フィルミングなどによる画像不具合を抑制することができる。また、パターン電極の電極層が金属材料よりなるので、パターン電極の表面抵抗が低くなる。そのため、比較的低電圧の印加により微小電界を発生させてトナーを帯電させることができる。したがって、電子写真機器の省電力化や高速化等に寄与することができる。
ここで、上記電極層が金属めっきより形成されている場合には、電極層が比較的薄くて低表面抵抗となる。そのため、電極層によるトナーストレスへの影響を少なくしやすくなるうえ、低電圧でのトナー帯電性を確保しやすくなる。
また、上記パターン層中または上記パターン層表面に触媒金属が存在する場合には、電極層を金属めっきにより形成することができる。この際、上記触媒金属が担体に担持されている場合には、パターン層と電極層との密着性が向上する。そのため、信頼性、耐久性を向上させることができる。
また、上記電極層の厚みが50nm〜10μmの範囲内にある場合には、電極層の連続性を保ちやすく、電極層によるトナーストレスへの影響も少なくしやすくなる。
また、上記パターン層のパターン形状がレーザー加工により形成されている場合には、パターン間の短絡等を防止しやすく、動作信頼性等に優れる。
また、上記層構造(1)、(2)の絶縁層が、レーザー反射性を有する場合には、パターン電極のパターン形状をレーザー加工により形成する際に、層構造(1)、(2)がほとんどレーザー加工されずに保護される。そのため、層構造(1)、(2)の表面がエッチングにより粗面化されるのを抑制することができる。
また、上記層構造(1)、(2)の絶縁層が、レーザー加工されるのを抑制可能な厚みを有する場合には、パターン電極のパターン形状をレーザー加工により形成する際に、層構造(1)、(2)がレーザー加工されるのを抑制することができる。そのため、層構造(1)、(2)の表面がエッチングにより粗面化されるのを抑制することができる。
また、上記パターン電極の表面が被膜により覆われている場合には、次の利点がある。すなわち、パターン電極の表面に被膜を形成した場合には、トナーの正規帯電極性側への摩擦帯電を促しやすい被膜材料を選択しやすくなる。そのため、トナーとパターン電極とが直接接する場合に比較して、トナー帯電を安定させやすくなり、高画質化に寄与しやすくなる。また、パターン電極が摩耗し難くなるので、電極形状を長期に亘って維持しやすい。そのため、耐久性にも優れる。
本発明に係る電子写真機器用現像部材の製造方法では、形成した上記ゴム弾性を有する層構造(1)または(2)の表面に、高分子塗膜よりなるパターン層を形成し、上記パターン層の表面に金属材料よりなる電極層を形成する。
そのため、トナーストレスを緩和可能な柔軟性を有し、かつ、比較的低電圧でトナーを帯電させることが可能な、上述の電子写真機器用現像部材を得ることができる。
ここで、上記製造方法において、金属めっきにより電極層を形成する場合には、比較的薄くて低表面抵抗の電極層を形成することができる。そのため、電極層によるトナーストレスへの影響を少なくしやすく、低電圧でのトナー帯電性を確保しやすい電子写真機器用現像部材が得られる。
また、上記製造方法において、触媒金属を含有する高分子塗膜よりなるパターン層を形成する場合には、金属めっきにより電極層を形成する際に、パターン層の表面(頂面)だけでなく、側面にも電極層を形成することができる。一方、表面(頂面)に触媒金属が付与された高分子塗膜よりなるパターン層を形成する場合には、金属めっきにより電極層を形成する際に、パターン層表面(頂面)にだけ選択的に電極層を形成することができる。そのため、電極パターンの狭ピッチ化を図るうえで有利である。
また、上記触媒金属を含有する高分子塗膜に含まれる高分子が水溶性高分子である場合には、金属めっき時のめっき発現性に優れる。そのため、電子写真機器用現像部材の生産性を向上させることができる。また、密着力に優れた電極層を有する電子写真機器用現像部材が得られる。これは、金属めっき時に、めっき浴中の水分によって高分子塗膜の表面がわずかに溶解し、触媒金属がより多く露出して金属めっきが析出しやすくなるためであると考えられる。
本実施形態に係る電子写真機器用現像部材の概略構成の一例を模式的に示した図である。 層構造(1)を有する電子写真機器用現像部材の断面の一例を模式的に示した図である。 層構造(2)を有する電子写真機器用現像部材の断面の一例を模式的に示した図である。 ラインアンドスペース形状のパターン電極(2電極型)を有するロール形状の電子写真機器用現像部材の一例を模式的に示した図である。 図4に示した電子写真機器用現像部材への交流電圧印加方法の一例を模式的に示した図である。 ラインアンドスペース形状の他のパターン電極(1電極型)を有するロール形状の電子写真機器用現像部材の一例を模式的に示した図である。 図6に示した電子写真機器用現像部材への交流電圧印加方法の一例を模式的に示した図である。 図2の電子写真機器用現像部材の変形例を示した図である。 図3の電子写真機器用現像部材の変形例を示した図である。 実施例2に係る現像ロールの製造時におけるレーザー加工後のロール体表面を示した写真である。 実施例2に係る現像ロールの製造時におけるめっき処理後のロール体表面を示した写真である。
以下、本実施形態に係る電子写真機器用現像部材(以下、「本現像部材」ということがある。)、および、その製造方法(以下、「本製造方法」ということがある。)について説明する。
1.本現像部材
本現像部材は、電子写真方式を採用する複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像を形成する電子写真機器の現像剤(トナーともいう。)搬送に用いられる部材である。
図1は、本現像部材の概略構成の一例を模式的に示した図である。図1(a)または(b)に示すように、本現像部材10は、特定の層構造(1)12、または、特定の層構造(2)14と、パターン電極16とを少なくとも有している。
本現像部材の形状は、特に限定されるものではない。本現像部材は、例えば、ロール形状(現像ロール)、ベルト形状(現像ベルト)等に形成されていても良い。本現像部材が組み込まれる電子写真機器の現像方式等を考慮して選択することが可能である。
本現像部材の形状としてロール形状を選択した場合には、例えば、軸体の外周に上記特定の層構造およびパターン電極を形成することができる。一方、本現像部材の形状としてベルト形状を選択した場合には、各種樹脂やゴム等を主材料とするベルト状基材の表面に上記特定の層構造およびパターン電極を形成することができる。また、ベルト状基材を用いず、ベルト状に形成された上記特定の層構造の表面にパターン電極が形成されていても良い。
以下では、本現像部材がロール形状である場合(本現像部材を現像ロールに適用した場合)を例に用いて説明を行う。なお、図2以降において、パターン電極16は、簡略化されて表示されており、図1に示すような積層状態は示されていない。
図2は、層構造(1)を有する現像部材の断面の一例を模式的に示した図である。図2に示すように、本現像部材10は、外形がロール形状に形成されている。本現像部材10は、軸体18の外周に層構造(1)12を備え、この層構造(1)12の表面にパターン電極16を有している。
軸体18は、導電性を有しておれば、何れの材質のものでも使用し得る。具体的には、鉄、ステンレス、アルミニウムなどの金属よりなる芯金、めっき等が施されて導電化されたプラスチック軸などを例示することができる。軸体18は、中実体、中空体の何れであっても良い。また必要に応じ、軸体18の表面には、接着剤、プライマーなどが塗布されていても良い。上記接着剤、プライマーなどは、必要に応じて導電化されていても良い。
図2に示すように、層構造(1)12は、ゴム弾性層12aと、ゴム弾性層12aの表面に積層された絶縁層12bとを備えている。
ゴム弾性層12aは、1層から構成されていても良いし、2層以上から構成されていても良い。好ましくは、小型化等の観点から、ゴム弾性層12aは、1層から構成されていると良い。また、ゴム弾性層12aは、ソリッド層であっても良いし、発泡層であっても良い。
ゴム弾性層12aを構成する主材料としては、例えば、ゴム弾性材料、ゴム弾性材料と樹脂材料との混合物などを例示することができる。
上記ゴム弾性材料としては、例えば、シリコーンゴム、EPDM、NBR、ヒドリンゴム、BR、IR、ウレタンゴムなどを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。これらのうち、好ましくは、耐ヘタリ性、セット性等の観点から、シリコーンゴムなどを好適に用いることができる。
また、上記樹脂材料としては、例えば、ウレタン樹脂、ウレタンシリコーン樹脂、ウレタンフッ素樹脂、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、アクリルフッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、PVDF、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等のエンジニアリングプラスチックなどを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
ゴム弾性層12aは、必要に応じて、導電剤(電子導電剤、イオン導電剤)、架橋剤、架橋促進剤、軟化剤(オイル)、発泡剤等の各種の添加剤を1種または2種以上含有していても良い。
なお、本現像部材10において、ゴム弾性層12aは、パターン電極16に電界を発生させる方式等を考慮して、導電性、非導電性を適宜選択し得る。例えば、パターン電極16の隣り合ったライン状電極16a、16bに別々の電圧を印加し、隣り合ったライン状電極16a、16b間で電界を発生させたい場合(図2、後述の図4、図5等も参照)には、ゴム弾性層12aは、導電性を有していても良いし、非導電性であっても良い。製造コスト等の観点から、この場合には、好ましくは、非導電性であると良い。
また例えば、パターン電極16の隣り合ったライン状電極16c全てに同じ電圧を印加し、ライン状電極16cとゴム弾性層12aとの間で電界を発生させたい場合(後述の図6、図7等も参照)には、ゴム弾性層12aは、導電性を有している必要がある。
ゴム弾性層12aの厚みは、本現像部材10に必要な柔軟性、本現像部材10の組み付けスペース等を考慮して決定することができる。
ゴム弾性層12aの厚み(ゴム弾性層12aが複数層からなる場合は全体の厚み、以下省略)の下限は、十分な柔軟性を確保する等の観点から、好ましくは、0.2mm以上、より好ましくは、0.5mm以上であると良い。一方、ゴム弾性層12aの厚みの上限は、ロール振れ精度等の観点から、好ましくは、6mm以下、より好ましくは、4mm以下であると良い。
一方、上記絶縁層12bは、その表面にパターン電極16が形成されるため、絶縁性を有している。層構造(1)12において、絶縁層12bは、1層から構成されていても良いし、2層以上から構成されていても良い。好ましくは、生産性、製造コスト等の観点から、絶縁層12bは、1層から構成されていると良い。
上記絶縁層12bは、絶縁性以外にも、レーザー光を実質的に反射してレーザー加工が困難となるように、レーザー反射性を有していると良い。
絶縁層12bがレーザー反射性を有しておれば、パターン電極16のパターン形状をレーザー加工により形成する際に、絶縁層12bの表面に達したレーザー光は、実質的に反射される。そのため、絶縁層12bよりも上層部分だけを選択的にレーザー加工することができ、層構造(1)12がほとんどレーザー加工されずに保護される。それ故、層構造(1)12がゴム弾性を発現しやすくなる。
また、上記とほぼ同様の効果は、絶縁層12bの厚みを、レーザー加工されるのを抑制可能な厚みとすることでも得ることができる。この場合、絶縁層12bの厚みは、レーザー光の波長、照射強度等に応じて、最適な範囲を選択すれば良い。
層構造(1)12は、ゴム弾性層12aを有しているので、絶縁層12bは、必ずしもゴム弾性を有している必要はない。もっとも、絶縁層12bが、ゴム弾性を有している場合には、当該現像部材10の柔軟性が向上し、トナーストレスを緩和しやすくなるため好ましい。
絶縁層12bを構成する主材料としては、例えば、ゴム弾性材料、樹脂材料、あるいは、これらの混合物などを例示することができる。レーザー反射性を付与する場合には、これらの各種材料にレーザー反射材料を含有させるなどすると良い。
上記ゴム弾性材料としては、例えば、シリコーンゴム、EPDM、NBR、ヒドリンゴム、BR、IR、ウレタンゴムなどを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
また、上記樹脂材料としては、例えば、ウレタン樹脂、ウレタンシリコーン樹脂、ウレタンフッ素樹脂、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、アクリルフッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、PVDF、ポリイミド系樹脂等のエンジニアリングプラスチックなどを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
また、上記レーザー反射材料は、レーザー加工に用いられるレーザー光の波長等によっても異なるが、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、シリカ、炭酸カルシウム、白色天然ゴム等の白色系材料などを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。また、上記ゴム弾性材料として、レーザー反射材料である白色天然ゴム等の白色ゴム単体を用いても良い。
なお、絶縁層12bにレーザー反射性を付与する場合、これらレーザー反射材料は、レーザー光の反射効率を良好にする観点から、絶縁層12bを構成する主材料の各種ポリマ成分100質量部に対して、5〜200質量部の範囲内とすることが好ましい。より好ましくは、5〜100質量部の範囲内であると良い。
上記絶縁層12bは、必要に応じて、架橋剤、カップリング剤、レベリング剤等の各種の添加剤を1種または2種以上含有していても良い。
絶縁層12bの厚みは、塗工形成性、レーザー反射性等を考慮して決定することができる。
絶縁層12bがレーザー反射性を有する場合、絶縁層12bの厚みの下限は、十分なレーザー反射性の確保、耐リーク性等の観点から、好ましくは、0.003mm以上、より好ましくは、0.005mm以上であると良い。また、絶縁層12bの厚みを、レーザー加工されるのを抑制可能な厚みとする場合、絶縁層12bの厚みの下限は、十分な層厚の確保、耐リーク性等の観点から、好ましくは、0.01mm以上、より好ましくは、0.05mm以上であると良い。
一方、絶縁層12bの厚みの上限は、電界発生の妨げとならないようにする等の観点から、好ましくは、1mm以下、より好ましくは、0.5mm以下であると良い。
以上においては、本現像部材が層構造(1)を有する場合について説明した。本現像部材は、上記層構造(1)に代えて以下に説明する層構造(2)を有していても良い。図3は、層構造(2)を有する現像部材の断面の一例を模式的に示した図である。
図3に示すように、本現像部材10は、軸体18の外周に層構造(2)14を備え、この層構造(2)14の表面にパターン電極16を有している。
層構造(2)14は、図2に示した層構造(1)12と比較して、ゴム弾性層12aを有していない点で大きく異なっている。すなわち、層構造(2)14は、絶縁層14bが、絶縁性以外に、ゴム弾性を有しており、ゴム弾性層としての役割も兼ねている。そのため、層構造(2)14では、ゴム弾性層12aを省略し、層構造の簡略化を図ることができる。したがって、本現像部材10の小型化(ロール形状の場合は細径化、ベルト形状の場合は薄肉化)、振れ精度等の寸法精度向上などに寄与することができる。
層構造(2)14において、絶縁層14bは、1層から構成されていても良いし、2層以上から構成されていても良い。好ましくは、生産性、製造コスト等の観点から、絶縁層14bは、1層から構成されていると良い。
上記絶縁層14bは、絶縁性、ゴム弾性以外にも、レーザー光を実質的に反射してレーザー加工が困難となるように、レーザー反射性を有していると良い。また、絶縁層14bの厚みが、レーザー加工されるのを抑制可能な厚みとされていても良い。なお、これらの理由については、層構造(1)12で説明した通りである。
絶縁層14bを構成する主材料としては、例えば、ゴム弾性材料、ゴム弾性材料と樹脂材料との混合物などを例示することができる。レーザー反射性を付与する場合には、これらの各種材料にレーザー反射材料を含有させるなどすると良い。なお、上記ゴム弾性材料、樹脂材料、レーザー反射材料、これらの割合等は、層構造(1)12で説明した通りである。
絶縁層14bの厚みは、塗工形成性、ゴム弾性、レーザー反射性等を考慮して決定することができる。
絶縁層14bがレーザー反射性を有する場合、絶縁層14bの厚みの下限は、十分なレーザー反射性の確保、耐リーク性等の観点から、好ましくは、0.003mm以上、より好ましくは、0.005mm以上であると良い。また、絶縁層14bの厚みを、レーザー加工されるのを抑制可能な厚みとする場合、絶縁層14bの厚みの下限は、十分な層厚の確保、耐リーク性等の観点から、好ましくは、0.01mm以上、より好ましくは、0.05mm以上であると良い。
一方、絶縁層14bの厚みの上限は、電界発生の妨げとならないようにする等の観点から、好ましくは、1mm以下、より好ましくは、0.5mm以下であると良い。
上述した層構造(1)12、または、層構造(2)14の表面に形成されるパターン電極16のパターン形状は、本現像部材10が組み込まれる電子写真機器の現像方式等を考慮して各種のパターンを選択し得る。上記パターン形状としては、具体的には、ラインアンドスペース形状などが挙げられる。
より具体的には、例えば、電子写真機器の現像方式が、トナーをホッピングによって電極上で往復移動させながら、当該現像部材の表面移動によって現像領域にトナーを搬送する方式等(特開2007−133387号公報に開示される方式等)である場合には、ラインアンドスペース形状等のパターン電極を好適に選択し得る。
なお、ライン幅、スペース幅は、使用するトナーの平均粒径、トナーのホッピング活性等を考慮して最適な範囲を選択すれば良い。ライン幅は、好ましくは、トナー平均粒径の2〜30倍、より好ましくは、トナー平均粒径の3〜20倍の範囲内にあると良い。スペース幅は、好ましくは、トナー平均粒径の2〜30倍、より好ましくは、トナー平均粒径の3〜20倍の範囲内にあると良い。
図4は、ラインアンドスペース形状のパターン電極(2電極型)を有するロール形状の現像部材の一例を模式的に示した図である。
図4において、パターン電極16は、ロール周方向に所定の間隔で並べられた、ロール長手方向に長い複数のライン状電極16a、16bより構成されている。奇数番目の各ライン状電極16aは、ロール一端部に形成された共通電極20aに接続されている。この共通電極20aは、導電性の第1軸体18aに接続されている。一方、偶数番目の各ライン状電極16bは、ロール他端部に形成された共通電極20bに接続されている。この共通電極20bは、導電性の第2軸体18bに接続されている。なお、第1軸体18aと第2軸体18bとは、現像部材10の内部で層構造材料により絶縁されている。
現像部材10によれば、図5に示すように、第1軸体18a、共通電極20aを介して、奇数番目の各ライン状電極16aにパルス電圧(図5では、プラス)を印加することができる。一方、第2軸体18b、共通電極20bを介して、偶数番目の各ライン状電極16bに上記とは異なるパルス電圧(図5では、マイナス)を印加することができる。このように、パターン電極16に所定のパルス電圧を印加すれば、発生した電界B1により、奇数番目の各ライン状電極16aと偶数番目の各ライン状電極16bとの間を往復するような運動(フレア)をトナー17に行わせることができる。
なお、図4では、共通電極20a、20bを用いたが、共通電極を用いることなく、奇数(偶数)番目の各ライン状電極16a(16b)と第1(第2)軸体18a(18b)とを、例えば、端部に設けたキャップ状の導電性部材等によりそれぞれ電気的に接続しても良い。
図6は、ラインアンドスペース形状の他のパターン電極(1電極型)を有するロール形状の現像部材の一例を模式的に示した図である。
図6において、パターン電極16は、ロール周方向に所定の間隔で並べられた、ロール長手方向に長い複数のライン状電極16cより構成されている。各ライン状電極16cは、ロール両端部に形成された共通電極20cに接続されている。共通電極20cには、図示しない導電性部材が接続されており、当該導電性部材を介して、パルス電圧を印加可能とされている。また、軸体18は、導電性を有しており、ロール内を貫いている。この軸体18には、上記とは異なるパルス電圧を印加可能とされている。軸体18の外周に設けられたゴム弾性層12aは、導電性を有している。
現像部材10によれば、図7に示すように、共通電極20cを介して、各ライン状電極16cにパルス電圧(図7では、プラス)を印加し、一方、軸体18に上記とは異なるパルス電圧(図7では、マイナス)を印加すれば、発生した電界B2により、各ライン状電極16cと各ライン状電極16bの間にある絶縁層12b表面との間を往復するような運動(フレア)をトナー17に行わせることができる。
上述した層構造(1)12、層構造(2)14において、絶縁層12、絶縁層14bは、白色系であることが好ましく、パターン電極16は黒色系であることが好ましい。この場合には、パターン電極16上の欠陥を発見しやすくなるため、当該現像部材10の信頼性を向上させることができるからである。
ここで、パターン電極16は、図1に示すように、高分子塗膜よりなるパターン層16Pと、パターン層16Pの表面に形成された金属材料よりなる電極層16Eとを有している。図1では、電極層16Eは、パターン層16Pの表面のうち、頂面にだけ形成されている場合を例示しているが、パターン層16Pの表面のうち、側面にも形成されていても良い。
パターン層16Pは、高分子塗膜より形成されている。そのため、高分子の弾性による柔軟性により、トナーにストレスを与え難く、かつ、下層の弾性変形にも追従しやすい。また、電極層16Eは、金属材料よりなるので低抵抗率となる。つまり、本願のパターン電極16は、弾性、導通性の機能をそれぞれパターン層16P、電極層16Eに持たせることで機能分離を図っていると言える。
パターン層16Pを主に構成する高分子材料としては、例えば、シリコーンゴム、EPDM、NBR、ヒドリンゴム、BR、IR、ウレタンゴム等の各種ゴム(エラストマー含む)、ウレタン樹脂、ウレタンシリコーン樹脂、ウレタンフッ素樹脂、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、アクリルフッ素樹脂、N−メトキシメチル化ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、PVDF、ポリイミド系樹脂等のエンジニアリングプラスチック、各種導電性ポリマーなどを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。中でもめっき発現性に優れる観点から、めっき液の含浸性が良い水溶性高分子材料がより好ましい。
パターン層16Pを構成しうる他の副材料として、例えば、レーザー吸収材を例示することができる。レーザー吸収材を含む場合には、パターン電極16のパターンを形作っているパターン層16Pのパターン形状をレーザー加工により簡易に形成することができる。パターン層16Pのパターン形状がレーザー加工により形成されている場合には、パターン間の短絡等を防止しやすく、動作信頼性上でも有利である。
なお、レーザー加工を用いると、パターン層16Pのエッジ部分やパターン層16P間の溝表面(パターン層16Pの下層表面)にレーザー光のスポット跡が波状に観察されることがある。すなわち、通常レーザー加工では、ある周波数で発振されているドット形状のレーザー光を、連続して重ねて打ち出すことが多くあり、波模様はドット形状の輪郭が残ったときに発生しやすい。但し、ドットの間隔を狭くしていくことで、波模様が見え難くなることもある。この痕跡を観察・確認することは、レーザー加工を用いたことを調査する有力な方法の1つである。
上記レーザー吸収材は、レーザー加工に用いられるレーザー光の波長等によっても異なるが、例えば、カーボンブラック等の黒色系材料などを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
また、パターン層16Pを構成しうる他の副材料として、例えば、導電剤を例示することができる。本願において、パターン電極16は、電極層16Eが導通性を担う。そのため、必ずしもパターン層16Pが導通性を有する必要がなく、導電剤の添加は任意である。もっとも、導電剤を添加した場合には、パターン層16Pにおいても導通性を確保することができ、パターン電極16全体として低抵抗化を図ることができる。そのため、低電圧でのトナー帯電性を確保しやすくなる。なお、レーザー吸収材、導電剤を別個に含有させるのではなく、レーザー吸収性の導電剤を含有させることもできる。
上記導電剤としては、例えば、炭素微粒子(カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、ピーポッド等)、イオン導電剤(第四級アンモニウム塩、ホウ酸塩、界面活性剤、金属イオン、ポリエチレンオキサイド等)、導電ポリマー、金属微粒子などを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
また、パターン層16Pを構成しうる他の副材料として、例えば、触媒金属を例示することができる。パターン層16P中に触媒金属が存在する場合には、電極層16Eを金属めっきにより好適に形成することができる。
また、上記触媒金属は、パターン層16Pの表面(頂面、頂面および側面など)に存在していても良い。この場合にもパターン層16P中に触媒金属が存在する場合と同様に、電極層16Eを金属めっきにより好適に形成することができる。
上記触媒金属としては、例えば、パラジウム、白金、銀などを例示することができる。これらのうち、好ましくは、触媒活性、汎用性等の観点から、パラジウムであると良い。
この際、上記触媒金属は、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、酸化チタン、シリカ等の担体に担持されていると良い。パターン層16Pと電極層16Eとの密着性が向上し、信頼性、耐久性を向上させることができるからである。但し、酸化チタン、シリカ等の白色材料に上記触媒金属を担持させる場合は、カーボンブラック等の黒色材料と併用して使用することになる。なお、触媒が担体に担持されているかは、透過型電子顕微鏡観察等により調査することができる。
パターン層16Pは、必要に応じて、架橋剤、カップリング剤、レベリング剤等の各種の添加剤を1種または2種以上含有していても良い。
上記パターン層16Pの厚みの下限は、生産性(コーティング性、耐研磨性)等の観点から、好ましくは、0.0001mm以上、より好ましくは、0.001mm以上、さらに好ましくは、0.005mm以上であると良い。パターン電極16の厚みの上限は、生産性(レーザー加工性)、柔軟性等の観点から、好ましくは、0.08mm以下、より好ましくは、0.05mm以下、さらに好ましくは、0.03mm以下であると良い。
次に、パターン電極16の電極層16Pは、金属めっきより好適に形成することができる。電極層16Pが比較的薄くて低表面抵抗となるため、電極層16Pによるトナーストレスへの影響を少なくしやすくなるうえ、低電圧でのトナー帯電性を確保しやすくなる利点があるからである。
上記金属めっきは、電解金属めっき、無電解金属めっきの何れでも良い。下層となるパターン層16Pの導電性の有無によって決定することができる。好ましくは、均一性、密着性等の観点から、上記金属めっきは、無電解金属めっきであると良い。
電極層16Eを構成する金属材料としては、例えば、ニッケル、銅、銀、パラジウム、金等を例示することができる。これら金属材料のうち、コスト、汎用性、反応性等の観点から、好ましくは、銅、ニッケル等であると良い。
なお、電極層16Eは、1層または2層以上から構成されていても良く、2層以上からなる場合、各層は、同種の金属材料から構成されていても良いし、異なる種類の金属材料から構成されていても良い。
上記電極層16Eの厚みの下限は、めっき膜の連続性、低表面抵抗等の観点から、好ましくは、30nm以上、より好ましくは、50nm以上、さらに好ましくは、100nm以上であると良い。電極層16Eの厚みの上限は、生産性、柔軟性等の観点から、好ましくは、20μm以下、より好ましくは、10μm以下、さらに好ましくは、5μm以下であると良い。
電極層16Eの体積抵抗率は、電極としての機能確保などの観点から、好ましくは、1×10Ω・cm以下、より好ましくは、1×10Ω・cm以下、さらに好ましくは、1×10−4Ω・cm以下に調整されていると良い。
なお、電極層16Eは、必ずしもレーザー加工により形成されている必要はなく、例えば、導電性材料を用いて、パターン層16Pの表面上にスクリーン印刷する等して電極層16Eが形成されていても良い。また、溶液状の導電性材料を用いて、インクジェット等により電極層16Eを描画しても良い。
本現像部材10は、基本的には、上述した構成を有している。図8に、図2の現像部材の変形例を、図9に、図3の現像部材の変形例を示す。これらの図に示すように、本現像部材10は、パターン電極16および/または層構造(1)12・層構造(2)14の表面に、被膜22が形成されていても良い。
上記被膜22を形成した場合には、トナーの正規帯電極性側への摩擦帯電を促しやすい被膜材料を選択しやすくなる。そのため、トナーとパターン電極16とが直接接する場合に比較して、トナー帯電を安定させやすくなり、高画質化に寄与しやすくなる。また、パターン電極16が摩耗し難くなるので、電極形状を長期に亘って維持しやすくなり、耐久性を向上させることができる。
図8、図9に示すように、被膜22は1層であっても良いし、2層以上から構成することもできる。また、被膜22は、好ましくは、トナーストレスを緩和しやすい観点から、弾性を有していると良い。
被膜22を構成する主材料としては、例えば、ゴム弾性材料、樹脂材料、あるいは、これらの混合物などを例示することができる。
上記ゴム弾性材料としては、例えば、シリコーンゴム、EPDM、NBR、ヒドリンゴム、BR、IR、ウレタンゴムなどを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
また、上記樹脂材料としては、例えば、ウレタン樹脂、ウレタンシリコーン樹脂、ウレタンフッ素樹脂、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、アクリルフッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、PVDF、ポリイミド系樹脂等のエンジニアリングプラスチック、紫外線硬化型樹脂などの各種の光硬化型樹脂などを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
被膜22を構成する主材料としては、トナー帯電の安定性などの観点から、好ましくは、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、アクリルフッ素樹脂、PVDFなどを好適に用いることができる。また、耐磨耗性などの観点から、好ましくは、ウレタン樹脂、ウレタンシリコーン樹脂、ウレタンフッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等のエンジニアリングプラスチックなどを好適に用いることができる。
被膜22は、必要に応じて、架橋剤、カップリング剤、レベリング剤、トナー帯電制御剤等の各種の添加剤を1種または2種以上含有していても良い。
被膜22の厚み(被膜22が複数層からなる場合は全体の厚み、以下省略)の下限は、耐磨耗性等の観点から、好ましくは、0.001mm以上、より好ましくは、0.005mm以上であると良い。一方、被膜22の厚みの上限は、電界発生の妨げ抑制等の観点から、好ましくは、0.05mm以下、より好ましくは、0.03mm以下、さらに好ましくは、0.02mm以下であると良い。
本現像部材10は、上述した構造を有している。上述した構造を有する本現像部材10のロール硬度は、柔軟性に優れ、トナーストレスを緩和しやすくなる等の観点から、AskerC硬度(荷重1kg)で、好ましくは、95度以下、より好ましくは、90度以下、さらに好ましくは、85度以下であると良い。なお、上記ロール硬度は、被膜22を有さない場合は、パターン電極16までが形成された状態で測定される当該部材のロール硬度、被膜22を有する場合には、被膜22までが形成された状態で測定される当該部材のロール硬度ということになる。
2.本製造方法
本製造方法は、上述した本現像部材を製造するのに好適な方法である。本製造方法は、基本的に、以下の第1工程、第2工程、第3工程を有している。以下、各工程について説明する。
(第1工程)
第1工程は、上述した層構造(1)または(2)を形成する工程である。
層構造(1)は、例えば、次のように形成することができる。すなわち、例えば、先ず、型成形法、押出成形法、研削加工等を用いて、ゴム弾性層形成材料を所定形状、所定厚みのゴム弾性層とする。好ましくは、パターン電極形成時のレーザー加工精度を向上させやすい等の観点から、平滑な表面を得やすい型成形法を用いると良い。
型成形法を用いて、軸体の外周に層構造(1)を形成するには、例えば、ロール形状のロール成形用金型の中空部に軸体を同軸的に設置し、ゴム弾性層形成材料を注入した後、加熱硬化させて脱型する等すれば良い。この際、型面を鏡面加工しておけば、平滑な表面を有するゴム弾性層が得られる。
ゴム弾性層を形成した後、ロールコート法、スプレーコート法、ディッピング法等の各種の塗工法を用いて、ゴム弾性層の表面に絶縁層形成材料を塗工し、乾燥(硬化または架橋)させる等して、絶縁層を形成する。この際、ゴム弾性層表面が平滑であるほど、その上に積層される絶縁層表面の平滑性も向上する。このようにして、層構造(1)を形成することができる。
一方、層構造(2)は、例えば、上述した層構造(1)における絶縁層の形成と同様にして形成することができる。
なお、ゴム弾性層、絶縁層を複数層から構成したい場合には、上記に準ずる操作を複数回行えば良い。
(第2工程)
第2工程は、上記形成した層構造の表面一面に、高分子塗膜よりなるパターン層を形成する工程である。
具体的には、例えば、ロールコート法、スプレーコート法、ディッピング法等の各種の塗工法を用いて、層構造表面のパターン電極形成領域に、パターン層形成材料を所定の厚みとなるようにベタ塗りで塗工し、乾燥(硬化または架橋)させる等すれば良い。
この際、パターン層形成材料としては、パターン層を主に構成する高分子材料と、触媒金属(触媒金属を担持させた担体)と、必要に応じて添加される架橋剤、導電剤等の添加剤とを少なくとも有機溶剤に分散混合させたパターン層形成材料<1>や、パターン層を主に構成する高分子材料と、必要に応じて添加される架橋剤、導電剤等の添加剤とを少なくとも有機溶剤に分散混合させたパターン層形成材料<2>などを用いることができる。
パターン層形成材料<1>により塗膜を形成した場合には、パターン電極として残す部分以外の箇所にレーザー光を順次照射し、レーザー光が照射された部分の塗膜を焼失させ、パターン層を形成すれば良い。
なお、レーザー加工の前、またはレーザー加工後と後述の電極層の形成前の間に、必要に応じて、塗膜表面を研磨、ブラスト処理等を行っても良い。塗膜表面を研磨した場合には、パターン層形成材料<1>中に含まれている触媒金属が露出しやすくなる。そのため、その後に電極層を無電解金属めっきにより形成する場合に有利となる。
一方、パターン層形成材料<2>により塗膜を形成した場合には、当該塗膜の表面に触媒金属を付与し、当該触媒金属付きの塗膜を上記と同様にしてレーザー加工することにより、パターン層を形成すれば良い。
上記において、層構造(1)、(2)の絶縁層が、レーザー反射性を有する場合には、パターン層の形成時に、層構造(1)、(2)がほとんどレーザー加工されずに保護される。そのため、ゴム弾性を発現しやすい現像部材を得やすくなる。
また、上記層構造(1)、(2)の絶縁層が、レーザー加工されるのを抑制可能な厚みを有する場合には、パターン層の形成時に、層構造(1)、(2)がレーザー加工されるのを抑制することができる。そのため、層構造(1)、(2)のゴム弾性が損なわれ難く、ゴム弾性を発現しやすい現像部材を得やすくなる。
上記にて用いるレーザー光は、高分子塗膜の種類、パターンのピッチ等を考慮して選択することができる。用いるレーザー光としては、例えば、Nd−YAGレーザー、エキシマレーザー、炭酸ガスレーザー、YVOレーザーなどを例示することができる。
(第3工程)
第3工程は、パターン層の表面に金属材料よりなる電極層を形成する工程である。
上記電極層の形成には、金属めっきを好適に用いることができる。すなわち、例えば、第2工程において、パターン層形成材料<1>を用いてパターン層を形成した場合、パターン層の表面のうち、頂面および側面に触媒が露出することになる。その後、パターン層の導電性の有無に合わせてパターン層の表面に金属めっき(電解金属めっき、無電解金属めっき)を行えば、電極層を形成することができる。これにより、パターン層の表面のうち、頂面および側面に金属めっきがなされる。
また、例えば、第2工程において、パターン層形成材料<2>を用いてパターン層を形成した場合、パターン層の表面(頂面)に付与された触媒金属を利用してパターン層の表面に無電解金属めっきを行えば、電極層を形成することができる。これにより、パターン層の表面のうち、頂面に金属めっきがなされる。
電極層は、他にも、導電性材料を用いて、パターン層の表面上にスクリーン印刷する等して形成したり、溶液状の導電性材料を用いてインクジェット等により描画して形成したりしても良い。
本製造方法は、基本的に、上記第1工程、第2工程、第3工程を有しているが、さらに、第4工程として、上記パターン電極を形成後、このパターン電極および層構造の表面に被膜を形成する工程を有していても良い。
具体的には、例えば、ロールコート法、スプレーコート法、ディッピング法等の各種の塗工法を用いて、形成したパターン電極および層構造の表面に、被膜形成材料を所定の厚みとなるように塗工し、乾燥(硬化または架橋)させる等すれば良い。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
本実施例では、実施例に係る電子写真機器用現像部材として、軸体の外周に、層構造(1)(ゴム弾性層+絶縁層)、パターン電極、被膜を順に有する電子写真機器用現像ロール、軸体の外周に、層構造(2)(ゴム弾性を有する絶縁層)、パターン電極、被膜を順に有する電子写真機器用現像ロール、軸体の外周に、層構造(2)(ゴム弾性を有する絶縁層)、パターン電極を順に有する電子写真機器用現像ロールを作製した。
なお、パターン電極は、いずれも1電極型であり、パターン層とパターン層の表面に形成された電極層とを有している。また、パターン電極の形成には2種類の方法を用いた(詳しくは後述する。)。
1.実施例に係る現像ロール構成材料の準備
(軸体)
外径8mm、長さ267mmの鉄製で、表面にNiめっきが施されている円柱状の軸体(1)を準備した。また、外径15mm、長さ267mmの鉄製で、表面にNiめっきが施されている円柱状の軸体(2)を準備した。
(層構造(1)のゴム弾性層形成材料)
導電性シリコーンゴム(信越化学工業(株)製、「KE−1950−20A/B」)100質量部と導電剤(電気化学工業(株)製、「電化アセチレンブラック」)20質量部とをニーダーで混練することにより、層構造(1)のゴム弾性層形成材料<1>を調製した。
導電性シリコーンゴム(信越化学工業(株)製、「KE−1950−40A/B」)100質量部と導電剤(電気化学工業(株)製、「電化アセチレンブラック」)20質量部とをニーダーで混練することにより、層構造(1)のゴム弾性層形成材料<2>を調製した。
導電性シリコーンゴム(信越化学工業(株)製、「KE−1950−70A/B」)100質量部と導電剤(電気化学工業(株)製、「電化アセチレンブラック」)20質量部とをニーダーで混練することにより、層構造(1)のゴム弾性層形成材料<3>を調製した。
(層構造(1)および層構造(2)の絶縁層形成材料)
アクリル樹脂(根上工業(株)製、「パラクロンW−248E」)100質量部と、架橋剤(日本ポリウレタン(株)製、「コロネートL」)10質量部と、レーザー反射材料(石原産業(株)製、「CR50」)10質量部とを、有機溶剤(MEK)に溶解することにより、層構造(1)の絶縁層形成材料<1>を調製した。
導電性シリコーンゴム(信越化学工業(株)製、「KE−1950−20A/B」)100質量部と、レーザー反射材料(石原産業(株)製、「CR50」)10質量部とを、ニーダーで混練することにより、層構造(2)の絶縁層形成材料<2>を調製した。
導電性シリコーンゴム(信越化学工業(株)製、「KE−1950−40A/B」)100質量部と、レーザー反射材料(石原産業(株)製、「CR50」)10質量部とを、ニーダーで混練することにより、層構造(2)の絶縁層形成材料<3>を調製した。
導電性シリコーンゴム(信越化学工業(株)製、「KE−1950−70A/B」)100質量部と、レーザー反射材料(石原産業(株)製、「CR50」)10質量部とを、ニーダーで混練することにより、層構造(2)の絶縁層形成材料<4>を調製した。
導電性シリコーンゴム(信越化学工業(株)製、「KE−1950−40A/B」)を、ニーダーで混練することにより、層構造(2)の絶縁層形成材料<5>を調製した。
(パターン層形成材料)
先ず、カーボンブラック(キャンカーブ社製、「サーマックスN990」)30gを、60質量%硝酸水溶液に50℃×10分間浸漬し、エッチング処理を行った。ろ過、水洗後、アミノカルボン酸系界面活性剤(奥野製薬工業(株)製、「コンディライザーSP」)に50℃×10分間浸漬し、表面調整を行った。次いで、ろ過、水洗後、スズ−パラジウムコロイド(奥野製薬工業(株)製、「OPC−80キャタリスト」)に25℃×10分間浸漬し、触媒吸着を行った。ろ過、水洗後10質量%の塩酸水溶液に25℃×10分間浸漬し、パラジウム触媒活性化を行った。次いで、ろ過、水洗、乾燥することにより、Pd担持カーボンを得た。
次に、ウレタン樹脂(日本ポリウレタン株式会社製、「ニッポラン5196」)100質量部と、架橋剤(日本ポリウレタン(株)製、「コロネートL」)20質量部と、Pd担持カーボン100質量部とを、有機溶剤(MEK)に分散混合した。これにより、パターン電極のパターン層の形成に用いるパターン層形成材料<1>を調製した。
ウレタン樹脂(日本ポリウレタン株式会社製、「ニッポラン5196」)100質量部と、架橋剤(日本ポリウレタン(株)製、「コロネートL」)20質量部と、カーボンブラック(キャンカーブ社製、「サーマックスN990」)20質量とを、有機溶剤(MEK)に分散混合することにより、パターン電極のパターン層の形成に用いるパターン層形成材料<2>を調製した。
水溶性N−メトキシメチル化ナイロン(帝国化学(株)製、「トレジンEF30T」100質量部と、クエン酸2質量部と、Pd担持カーボン100質量部とを、メタノール/水混合溶液に分散混合することにより、パターン電極のパターン層の形成に用いるパターン層形成材料<3>を調製した。
ポリアクリル酸(日本触媒(株)製、「アクアリックHL−415」100質量部と、メラミン(三和ケミカル(株)製、「ニカラックMS−21」)10質量部と、Pd担持カーボン100質量部とを、メタノール/水混合溶液に分散混合することにより、パターン電極のパターン層の形成に用いるパターン層形成材料<4>を調製した。
(めっき材料)
電極層を形成するめっき材料<1>として、無電解ニッケルめっき液(奥野製薬工業(株)製、「トップニコロンF153」)を準備した。
(被膜形成材料)
アクリル樹脂(根上工業(株)製、「パラクロンW−248E」)100質量部と、架橋剤(日本ポリウレタン(株)製、「コロネートL」)10質量部とを、有機溶剤(MEK)に溶解することにより、被膜形成に用いる被膜形成材料<1>を調製した。
2.実施例に係る現像ロールの作製
以上準備したロール構成材料を用い、以下の手順により、実施例1〜11に係る現像ロール、実施例12〜22に係る現像ロールを作製した。
2.1 パターン電極のパターン層中に金属Pdを含有する現像ロール
2.1.1 実施例1〜3、23、24に係る現像ロール(層構造(1)+パターン電極+被膜)
軸体(1)の外周面に接着剤を塗布した。その後、円筒状金型の中空部に、上記軸体(1)を同軸にセットし、円筒状金型と軸体(1)との間の空隙部に、上記調製したゴム弾性層形成材料(実施例1、23、24はゴム弾性層形成材料<1>、実施例2はゴム弾性層形成材料<2>、実施例3はゴム弾性層形成材料<3>をそれぞれ使用)を注入し、金型に蓋をして、これを180℃で5分間加熱した後、冷却、脱型した。これにより、軸体(1)の外周面に沿って、ゴム弾性層(厚み:4mm)を1層形成した。
次いで、ロールコート法を用いて、上記ゴム弾性層の表面に上記調製した絶縁層形成材料(実施例1〜3、23、24の何れも絶縁層形成材料<1>を使用)を所定の厚みでコーティングした後、乾燥および150℃で30分加熱処理することにより、ゴム弾性層の外周面に沿って、レーザー反射性を有する絶縁層(厚み:0.02mm、外観色:白色)を1層積層した。以上により、軸体(1)の外周に、層構造(1)を形成した。
次に、ロールコート法を用いて、上記層構造(1)の表面一面に、上記調製したパターン層形成材料(実施例1〜3の何れもパターン層形成材料<1>を使用、実施例23はパターン層形成材料<3>を使用、実施例24はパターン層形成材料<4>を使用)を所定の厚みでコーティングした後、乾燥および150℃で30分加熱処理することにより、層構造(1)の外周面に沿って、金属Pdを含有する樹脂塗膜(厚み:0.01mm、外観色:黒色)を1層形成した。なお、実施例1〜3における塗膜はウレタン樹脂塗膜であり、実施例23における塗膜はN−メトキシメチル化ナイロン樹脂塗膜であり、実施例24における塗膜はポリアクリル酸とメラミンとを含む樹脂塗膜である。
次に、レーザー加工装置((株)キーエンス製、「MD−S9900」)を用いて、上記樹脂塗膜をレーザー加工することにより、図6に示したようなラインアンドスペース形状のパターン層(1電極型)を形成した。図10に、実施例2に係る現像ロールの製造時におけるレーザー加工後のロール体表面写真を示す。図10によれば、レーザー加工後の層構造表面にレーザー光焦点の痕跡が波状に残っていることが分かる。なお、図10中、レーザー加工部分以外の部分は、パターン層表面(金属Pdを含有するウレタン樹脂塗膜の表面)である。
なお、形成したパターン層のライン幅は、0.1mm、スペース幅は、0.1mmである。また、上記レーザー加工の条件は、レーザーの種類:Nd−YAGレーザー、出力:21A、周波数:27kHz、照射スピード:1800mm/秒とした。
次に、上記パターン層を形成したロール体を上記めっき材料<1>に90℃×10分間浸漬し、パターン層の表面(頂面および側面)に無電解ニッケルめっき層よりなる電極層を形成した。形成した電極層の厚み(パターン層の頂面と電極層の頂面との距離)は3μmであった。これにより、Pdを含有する樹脂塗膜よりなるパターン層とこのパターン層の表面に形成された無電解めっきよりなる電極層とを有するパターン電極を形成した。図11に、実施例2に係る現像ロールの製造時におけるめっき処理後のロール体表面写真を示す。図11によれば、レーザー加工部分以外の部分、すなわち、図10におけるパターン層表面に、選択的に無電解めっきよりなる電極層が形成されていることが分かる。
次に、ロールコート法を用いて、上記パターン電極が形成されたロール体の表面に、上記調製した被膜形成材料(実施例1〜3、23、24の何れも被膜形成材料<1>を使用)を所定の厚みでコーティングした後、乾燥および150℃で30分加熱処理することにより、パターン電極が形成されたロール体の表面に沿って、被膜(厚み:0.01mm)を1層形成した。
以上により、実施例1〜3、23、24に係る現像ロールを作製した。
2.1.2 実施例4〜7に係る現像ロール(層構造(2)+パターン電極+被膜)
軸体(2)の外周面に接着剤を塗布した。その後、円筒状金型の中空部に、上記軸体(2)を同軸にセットし、円筒状金型と軸体(2)との間の空隙部に、上記調製した絶縁層形成材料(実施例4は絶縁層形成材料<2>、実施例5は絶縁層形成材料<3>、実施例6は絶縁層形成材料<4>、実施例7は絶縁層形成材料<5>をそれぞれ使用)を注入し、金型に蓋をして、これを180℃で5分間加熱した後、冷却、脱型した。これにより、軸体(2)の外周面に沿って、ゴム弾性およびレーザー反射性を有する絶縁層(厚み:0.5mm、外観色:白色)を1層積層した。以上により、軸体(2)の外周に、層構造(2)を形成した。
次に、ロールコート法を用いて、上記層構造(2)の表面一面に、上記調製したパターン層形成材料(実施例4〜7の何れもパターン層形成材料<1>を使用)を所定の厚みでコーティングした後、乾燥および150℃で30分加熱処理することにより、層構造(2)の外周面に沿って、金属Pdを含有するウレタン樹脂塗膜(厚み:0.01mm、外観色:黒色)を1層形成した。
次に、レーザー加工装置((株)キーエンス製、「MD−S9900」)を用いて、上記ウレタン樹脂塗膜をレーザー加工することにより、図6に示したようなラインアンドスペース形状のパターン層(1電極型)を形成した。
なお、形成したパターン層のライン幅は、0.1mm、スペース幅は、0.1mmである。また、上記レーザー加工の条件は、レーザーの種類:Nd−YAGレーザー、出力:21A、周波数:27kHz、照射スピード:1800mm/秒とした。
次に、上記パターン層を形成したロール体を上記めっき材料<1>に90℃×10分間浸漬し、パターン層の表面(頂面および側面)に無電解ニッケルめっき層からなる電極層を形成した。形成した電極層の厚み(パターン層の頂面と電極層の頂面との距離)は3μmであった。これにより、Pdを含有するウレタン樹脂塗膜よりなるパターン層とパターン層の表面に形成された無電解めっきよりなる電極層とを有するパターン電極を形成した。
次に、ロールコート法を用いて、上記パターン電極が形成されたロール体の表面に、上記調製した被膜形成材料(実施例4〜7の何れも被膜形成材料<1>を使用)を所定の厚みでコーティングした後、乾燥および150℃で30分加熱処理することにより、パターン電極が形成されたロール体の表面に沿って、被膜(厚み:0.01mm)を1層形成した。
以上により、実施例4〜7に係る現像ロールを作製した。
2.1.3 実施例8〜11に係る現像ロール(層構造(2)+パターン電極)
実施例4〜7に係る現像ロールの作製において、被膜を形成しなかった点以外は同様にして、実施例8〜11(実施例4〜7の構成に順に対応)に係る現像ロールを作製した。
2.2 パターン電極のパターン層表面に金属Pdが存在する現像ロール
2.2.1 実施例12〜14に係る現像ロール(層構造(1)+パターン電極+被膜)
軸体(1)の外周面に接着剤を塗布した。その後、円筒状金型の中空部に、上記軸体(1)を同軸にセットし、円筒状金型と軸体(1)との間の空隙部に、上記調製したゴム弾性層形成材料(実施例12はゴム弾性層形成材料<1>、実施例13はゴム弾性層形成材料<2>、実施例14はゴム弾性層形成材料<3>をそれぞれ使用)を注入し、金型に蓋をして、これを180℃で5分間加熱した後、冷却、脱型した。これにより、軸体(1)の外周面に沿って、ゴム弾性層(厚み:4mm)を1層形成した。
次いで、ロールコート法を用いて、上記ゴム弾性層の表面に上記調製した絶縁層形成材料(実施例12〜14の何れも絶縁層形成材料<1>を使用)を所定の厚みでコーティングした後、乾燥および150℃で30分加熱処理することにより、ゴム弾性層の外周面に沿って、レーザー反射性を有する絶縁層(厚み:0.02mm、外観色:白色)を1層積層した。以上により、軸体(1)の外周に、層構造(1)を形成した。
次に、ロールコート法を用いて、上記層構造(1)の表面一面に、上記調製したパターン層形成材料(実施例12〜14の何れもパターン層形成材料<2>を使用)を所定の厚みでコーティングした後、乾燥および150℃で30分加熱処理することにより、層構造(1)の外周面に沿って、ウレタン樹脂塗膜(厚み:0.01mm、外観色:黒色)を1層形成した。
次に、上記ウレタン樹脂塗膜表面を有するロール体を、アルカリ脱脂剤(奥野製薬工業(株)製、「エースクリーン850」)に40℃×5分間浸漬し、ウレタン樹脂塗膜の表面脱脂およびエッチング処理を行った。次いで、ウレタン樹脂塗膜表面を水洗した後、ロール体をアミノカルボン酸系界面活性剤(奥野製薬工業(株)製、「コンディライザーSP」)に50℃×10分間浸漬し、ウレタン樹脂塗膜表面調整を行った。次いで、ウレタン樹脂塗膜表面を水洗した後、ロール体をスズ−パラジウムコロイド(奥野製薬工業(株)製、「OPC−80キャタリスト」)に25℃×10分間浸漬し、ウレタン樹脂塗膜表面に触媒吸着を行った。次いで、ウレタン樹脂塗膜表面を水洗した後、ロール体を10質量%の塩酸水溶液に25℃×10分間浸漬し、ウレタン樹脂塗膜表面についてパラジウム触媒の活性化を行った。
次に、レーザー加工装置((株)キーエンス製、「MD−S9900」)を用いて、上記ウレタン樹脂塗膜をレーザー加工することにより、図6に示したようなラインアンドスペース形状のパターン層(1電極型)を形成した。
なお、形成したパターン層のライン幅は、0.1mm、スペース幅は、0.1mmである。また、上記レーザー加工の条件は、レーザーの種類:Nd−YAGレーザー、出力:21A、周波数:27kHz、照射スピード:1800mm/秒とした。
次に、上記パターン層を形成したロール体を上記めっき材料<1>に90℃×10分間浸漬し、パターン層の表面(頂面)に無電解ニッケルめっき層よりなる電極層を形成した。形成した電極層の厚み(パターン層の頂面と電極層の頂面との距離)は3μmであった。これにより、表面に金属Pdが存在するウレタン樹脂塗膜よりなるパターン層とこのパターン層の表面に形成された無電解めっきよりなる電極層とを有するパターン電極を形成した。
次に、ロールコート法を用いて、上記パターン電極が形成されたロール体の表面に、上記調製した被膜形成材料(実施例12〜14の何れも被膜形成材料<1>を使用)を所定の厚みでコーティングした後、乾燥および150℃で30分加熱処理することにより、パターン電極が形成されたロール体の表面に沿って、被膜(厚み:0.01mm)を1層形成した。
以上により、実施例12〜14に係る現像ロールを作製した。
2.2.2 実施例15〜18に係る現像ロール(層構造(2)+パターン電極+被膜)
軸体(2)の外周面に接着剤を塗布した。その後、円筒状金型の中空部に、上記軸体(2)を同軸にセットし、円筒状金型と軸体(2)との間の空隙部に、上記調製した絶縁層形成材料(実施例4は絶縁層形成材料<2>、実施例5は絶縁層形成材料<3>、実施例6は絶縁層形成材料<4>、実施例7は絶縁層形成材料<5>をそれぞれ使用)を注入し、金型に蓋をして、これを180℃で5分間加熱した後、冷却、脱型した。これにより、軸体(2)の外周面に沿って、ゴム弾性およびレーザー反射性を有する絶縁層(厚み:0.5mm、外観色:白色)を1層積層した。以上により、軸体(2)の外周に、層構造(2)を形成した。
次に、ロールコート法を用いて、上記層構造(2)の表面一面に、上記調製したパターン層形成材料(実施例4〜7の何れもパターン層形成材料<1>を使用)を所定の厚みでコーティングした後、乾燥および150℃で30分加熱処理することにより、層構造(2)の外周面に沿って、金属Pdを含有するウレタン樹脂塗膜(厚み:0.01mm、外観色:黒色)を1層形成した。
次に、レーザー加工装置((株)キーエンス製、「MD−S9900」)を用いて、上記ウレタン樹脂塗膜をレーザー加工することにより、図6に示したようなラインアンドスペース形状のパターン層(1電極型)を形成した。
なお、形成したパターン層のライン幅は、0.1mm、スペース幅は、0.1mmである。また、上記レーザー加工の条件は、レーザーの種類:Nd−YAGレーザー、出力:21A、周波数:27kHz、照射スピード:1800mm/秒とした。
次に、上記パターン層を形成したロール体を上記めっき材料<1>に90℃×10分間浸漬し、パターン層の表面(頂面および側面)に無電解ニッケルめっき層からなる電極層を形成した。形成した電極層の厚み(パターン層の頂面と電極層の頂面との距離)は3μmであった。これにより、Pdを含有するウレタン樹脂塗膜よりなるパターン層とパターン層の表面に形成された無電解めっきよりなる電極層とを有するパターン電極を形成した。
次に、ロールコート法を用いて、上記パターン電極が形成されたロール体の表面に、上記調製した被膜形成材料(実施例4〜7の何れも被膜形成材料<1>を使用)を所定の厚みでコーティングした後、乾燥および150℃で30分加熱処理することにより、パターン電極が形成されたロール体の表面に沿って、被膜(厚み:0.01mm)を1層形成した。
以上により、実施例15〜18に係る現像ロールを作製した。
2.2.3 実施例19〜22に係る現像ロール(層構造(2)+パターン電極)
実施例15〜18に係る現像ロールの作製において、被膜を形成しなかった点以外は同様にして、実施例19〜22(実施例15〜18の構成に順に対応)に係る現像ロールを作製した。
3.比較例に係る現像ロールの作製
3.1 比較例1に係る現像ロール
軸体(1)の外周面に接着剤を塗布した。その後、円筒状金型の中空部に、上記軸体(1)を同軸にセットし、円筒状金型と軸体(1)との間の空隙部に、比較用絶縁層形成材料[アクリル樹脂(住友化学(株)製、「スミペックスGL35」)]を注入し、金型に蓋をして、これを180℃で5分間加熱した後、冷却、脱型した。これにより、軸体(1)の外周面に沿って、アクリル樹脂製の絶縁層(厚み:4mm)を1層形成した。
次いで、上記絶縁層の表面に、ライン幅0.1mm、スペース幅0.1mmの溝を切削で形成した。次いで、溝切削を行ったロール表面に、上記めっき材料<1>による無電解ニッケルめっきを施し、その後、ロール外周を旋削することで不要なめっき膜を取り除いた。これにより、図6に示したようなラインアンドスペース形状のパターン電極(1電極型)を形成した。形成したパターン電極のライン幅は、0.1mm、スペース幅は、0.1mmである。
次いで、ロールコート法を用いて、上記パターン電極が形成されたロール体の表面に、上記調製した被膜形成材料(実施例で使用した被膜形成材料<1>)を所定の厚みでコーティングした後、乾燥および150℃で30分加熱処理することにより、パターン電極が形成されたロール体の表面に沿って、被膜(厚み:0.01mm)を1層形成した。
これにより、比較例1に係る現像ロールを作製した。
3.2 比較例2に係る現像ロール
比較例1に係る現像ロールの作製において、軸体(1)に代えて軸体(2)を用いた点以外は同様にして、比較例2に係る現像ロールを作製した。
3.3 比較例3に係る現像ロール
比較例1に係る現像ロールの作製において、被膜を形成しなかった点以外は同様にして、比較例3に係る現像ロールを作製した。
4.参考例に係る現像ロールの作製
参考例に係る現像ロールの作製に先立ち、アクリル樹脂(根上工業(株)製、「パラクロンW−248E」)100質量部と、架橋剤(日本ポリウレタン(株)製、「コロネートL」)10質量部と、導電剤(ライオン(株)製、「ケッチェンブラックEC−600JD」)20質量部とを、有機溶剤(MEK)に溶解することにより、パターン電極の形成に用いる導電剤含有樹脂塗膜形成材料<1>を調製した。
4.1 参考例1〜3に係る現像ロール(層構造(1)+パターン電極+被膜)
軸体(1)の外周面に接着剤を塗布した。その後、円筒状金型の中空部に、上記軸体(1)を同軸にセットし、円筒状金型と軸体(1)との間の空隙部に、上記調製したゴム弾性層形成材料(参考例1はゴム弾性層形成材料<1>、参考例2はゴム弾性層形成材料<2>、参考例3はゴム弾性層形成材料<3>をそれぞれ使用)を注入し、金型に蓋をして、これを180℃で5分間加熱した後、冷却、脱型した。これにより、軸体(1)の外周面に沿って、ゴム弾性層(厚み:4mm)を1層形成した。
次いで、ロールコート法を用いて、上記ゴム弾性層の表面に上記調製した絶縁層形成材料(参考例1〜3の何れも絶縁層形成材料<1>を使用)を所定の厚みでコーティングした後、乾燥および150℃で30分加熱処理することにより、ゴム弾性層の外周面に沿って、レーザー反射性を有する絶縁層(厚み:0.02mm、外観色:白色)を1層積層した。以上により、軸体(1)の外周に、層構造(1)を形成した。
次に、ロールコート法を用いて、上記層構造(1)の表面一面に、上記調製した導電剤含有樹脂塗膜形成材料(参考例1〜3の何れも導電剤含有樹脂塗膜形成材料<1>を使用)を所定の厚みでコーティングした後、乾燥および150℃で30分加熱処理することにより、層構造(1)の外周面に沿って、導電性を有するアクリル樹脂塗膜(厚み:0.01mm、外観色:黒色)を1層形成した。
次に、レーザー加工装置((株)キーエンス製、「MD−S9900」)を用いて、上記アクリル樹脂塗膜をレーザー加工することにより、図6に示したようなラインアンドスペース形状のパターン電極(1電極型)を形成した。
なお、形成したパターン電極のライン幅は、0.1mm、スペース幅は、0.1mmである。また、上記レーザー加工の条件は、レーザーの種類:Nd−YAGレーザー、出力:21A、周波数:27kHz、照射スピード:1800mm/秒とした。
次に、ロールコート法を用いて、上記パターン電極が形成されたロール体の表面に、上記調製した被膜形成材料(参考例1〜3の何れも被膜形成材料<1>を使用)を所定の厚みでコーティングした後、乾燥および150℃で30分加熱処理することにより、パターン電極が形成されたロール体の表面に沿って、被膜(厚み:0.01mm)を1層形成した。
以上により、参考例1〜3に係る現像ロールを作製した。
4.2 参考例4〜7に係る現像ロール(層構造(2)+パターン電極+被膜)
軸体(2)の外周面に接着剤を塗布した。その後、円筒状金型の中空部に、上記軸体(2)を同軸にセットし、円筒状金型と軸体(2)との間の空隙部に、上記調製した絶縁層形成材料(参考例4は絶縁層形成材料<2>、参考例5は絶縁層形成材料<3>、参考例6は絶縁層形成材料<4>、参考例7は絶縁層形成材料<5>をそれぞれ使用)を注入し、金型に蓋をして、これを180℃で5分間加熱した後、冷却、脱型した。これにより、軸体(2)の外周面に沿って、ゴム弾性およびレーザー反射性を有する絶縁層(厚み:0.5mm、外観色:白色)を1層積層した。以上により、軸体(2)の外周に、層構造(2)を形成した。
次に、ロールコート法を用いて、上記層構造(2)の表面一面に、上記調製した導電剤含有樹脂塗膜形成材料(参考例4〜7の何れも導電剤含有樹脂塗膜形成材料<1>を使用)を所定の厚みでコーティングした後、乾燥および150℃で30分加熱処理することにより、層構造(2)の外周面に沿って、導電性を有するアクリル樹脂塗膜(厚み:0.01mm、外観色:黒色)を1層形成した。
次に、レーザー加工装置((株)キーエンス製、「MD−S9900」)を用いて、上記アクリル樹脂塗膜をレーザー加工することにより、図6に示したようなラインアンドスペース形状のパターン電極(1電極型)を形成した。
なお、形成したパターン電極のライン幅は、0.1mm、スペース幅は、0.1mmである。また、上記レーザー加工の条件は、レーザーの種類:Nd−YAGレーザー、出力:21A、周波数:27kHz、照射スピード:1800mm/秒とした。
次に、ロールコート法を用いて、上記パターン電極が形成されたロール体の表面に、上記調製した被膜形成材料(参考例4〜7の何れも被膜形成材料<1>を使用)を所定の厚みでコーティングした後、乾燥および150℃で30分加熱処理することにより、パターン電極が形成されたロール体の表面に沿って、被膜(厚み:0.01mm)を1層形成した。
以上により、参考例4〜7に係る現像ロールを作製した。
4.3 参考例8〜11に係る現像ロール(層構造(2)+パターン電極)
参考例4〜7に係る現像ロールの作製において、被膜を形成しなかった点以外は同様にして、参考例8〜11(参考例4〜7の構成に順に対応)に係る現像ロールを作製した。
5.評価
(硬度測定)
実施例、比較例および参考例に係る現像ロールを作製した後、各ロール表面のAskerC硬度(荷重1kg)を測定した。なお、上記硬度は、ロール全体の硬度を測定していることになる。
(接触ばらつき)
各現像ロールの外周面に平面視1cm当たりの質量が0.25gの平板ガラスを載置し、その平板ガラスに、その平板ガラスの上方から軸体に向かって、軸方向の長さ1cm当たり0.15Nの荷重をかけた。そして、この平板ガラスに接触した部分の接触面積比を電子顕微鏡(400倍)で見て評価した。その結果、その接触面積比が80%以上のものをばらついていないとして○ 、接触面積比が50%以下のものをばらつきがあるとして×、接触面積比が50%を越え80%未満のものをほぼばらついていないとして△と評価した。
(画像のカブリ)
各現像ロールを、市販の実機(キヤノン(株)製、「レーザーショット LBP−2510」)の現像ロール周辺部材を模したベンチ試験機に組み込み、高温高湿(32℃、85%RH)の環境下で、30000枚相当のベンチ耐久(30時間空回転)を行った後、耐久トナーを回収し、実機(キヤノン(株)製、「レーザーショット LBP−2510」)のトナーと入れ替え、白画像を画出しし、感光ドラム表面上のトナーをテープに転写し、その濃度をマクベス濃度計を用いて測定した。その結果、マクベス濃度が0.11未満のものはカブリ現象(上記感光ドラム表面の白地部へのトナー付着)がほとんど発生していないとして◎ 、マクベス濃度が0.11以上0.20未満のものは少しカブリ現象が発生したとして○ 、マクベス濃度が0.20以上のものは明確なカブリ現象が発生したとして×と評価した。
なお、上記ベンチ試験機は、トナー劣化を促進するために用いる評価機である。また、実施例に係る現像ロールに進行波電界を発生させるための交流電圧を印加したときには、トナーのホッピング現象が生じることが確認されている。
(低電圧印加によるトナー帯電性)
・パターン電極の表面抵抗
パターン電極の表面抵抗率が1×10(Ω/□)が以下の場合、導通性に優れ、低電圧印加によるトナー帯電性に優れるとして○、パターン電極の表面抵抗率が1×10〜1×10(Ω/□)の範囲内にある場合、導通性が十分でなく、低電圧印加によるトナー帯電に不利であるとして△、パターン電極の表面抵抗率が1×10(Ω/□)以上の場合、導通性が悪く、トナー帯電に高電圧印加が必要になるとして×とした。
・絶縁層の厚み
絶縁層の厚みが0.5mm以下である場合、電界発生の妨げにならず有利であるとして○、絶縁層の厚みが0.5mm超1mm以下である場合、電界発生の妨げになる場合があり不利であるとして△、絶縁層の厚みが1mm超である場合、電界発生の妨げになり極めて不利であるとして×とした。
上記のパターン電極の表面抵抗と絶縁層の厚みの評価が両方とも○の場合を、トナー帯電性に優れるとして○、いずれか一方でも△となる場合を△、いずれか一方でも×となる場合を×と総合評価した。
(めっき発現性)
パターン層の表面に無電解めっきよりなる電極層を形成するにあたり、パターン層表面を研磨することなく、めっき材料に浸漬させた後、速やかに無電解めっきの析出が生じる場合をめっき発現性に優れるとして○、めっき材料に浸漬させた後、ある程度時間がかかるが無電解めっきの析出が生じる場合を、めっき発現性はあるとして△、めっき材料に浸漬させた後、いくら時間をかけても無電解めっきの析出が生じない場合を、めっき発現性がないとして×と評価した。
(めっき密着力)
パターン層の表面に形成された無電解めっきよりなる電極層表面に碁盤目状の傷を入れ、粘着テープ(テラオカ(株)製、ポリエステルフィルムテープ「631S」)を貼り付け、90°剥離(JIS K5400に準拠して測定)したときに、粘着テープにめっきが全く付着しない場合をめっき密着力に優れるとして○、粘着テープにめっきが一部付着した場合をめっき密着力が良好であるとして△、粘着テープにめっきが全面付着した場合をめっき密着力に劣るとして×と評価した。
表1〜7に、各現像ロールの層構成、用いた材料、評価結果等をまとめて示す。
Figure 0005290428
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表1〜7から以下のことが分かる。すなわち、比較例1〜3に係る現像ロールは、軸体とパターン電極との間にある絶縁層が樹脂よりなる。さらに、樹脂よりなる絶縁層に形成された切削溝内に無電解ニッケルめっきよりなるパターン電極が形成されている。そのため、パターン電極の抵抗率を低くすることができ、比較的低電圧でのトナー帯電性に有利であるものの、ロールの硬度が高く硬質である。それ故、トナー層形成用ブレードや感光ドラム等の周辺部材との接触により、トナーにストレスがかかりやすく、トナーが劣化し、カブリ等の画像不具合が発生しやすいことが分かる。
また、参考例1〜11に係る現像ロールは、ゴム弾性を有する層構造(1)または層構造(2)を有しており、これら層構造の表面に、導電剤含有樹脂塗膜よりなるパターン電極が形成されている。そのため、ロールの硬度が低く、柔軟になり、トナー層形成用ブレードや感光ドラム等の周辺部材との接触によるトナーストレスを緩和でき、カブリ等の画像不具合を抑制可能である。しかしながら、パターン電極の抵抗率が相対的に高いため、低電圧印加によりトナーを帯電させる上で不利であると言える。すなわち、高電圧の印加が必要になり、電子写真機器の省電力化や高速化を図る上で改善の余地があると言える。
これに対して、実施例1〜24に係る現像ロールは、ゴム弾性を有する層構造(1)または層構造(2)を有しており、これら層構造の表面に、樹脂等の高分子塗膜よりなるパターン層とこのパターン層の表面に形成された無電解めっき層よりなる電極層とを有するパターン電極を有している。
そのため、ロールの硬度が低く、柔軟になり、トナー層形成用ブレードや感光ドラム等の周辺部材との接触によるトナーストレスを緩和でき、カブリ等の画像不具合を抑制可能であることが分かる。また、パターン電極の電極層が金属材料よりなるので、パターン電極の表面抵抗が低くなり、比較的低電圧の印加により微小電界を発生させてトナーを帯電させることが可能であることが分かる。それ故、本発明に係る現像ロールによれば、電子写真機器の省電力化や高速化等に寄与することができると言える。
以上、本発明の実施形態、実施例について説明したが、本発明は上記実施形態、実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能なものである。
上記実施例では、本発明を現像ロールに適用した場合について示したが、本発明は現像ベルト等にも適用可能なものである。

Claims (10)

  1. 以下の層構造(1)または(2)を備えるとともに、
    (1)少なくとも1層以上のゴム弾性層と、このゴム弾性層の表面に積層された絶縁層とを備えた層構造
    (2)ゴム弾性を有する絶縁層を備えた層構造
    前記層構造の表面に、
    高分子塗膜よりなるパターン層と前記パターン層の表面に形成された金属材料よりなる電極層とを有するパターン電極を備えることを特徴とする電子写真機器用現像部材。
  2. 前記電極層は、金属めっきより形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子写真機器用現像部材。
  3. 前記パターン層中または前記パターン層表面に触媒金属が存在することを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真機器用現像部材。
  4. 前記触媒金属は、担体に担持されていることを特徴とする請求項3に記載の電子写真機器用現像部材。
  5. 前記電極層の厚みは、50nm〜10μmの範囲内にあることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電子写真機器用現像部材。
  6. 前記パターン電極の表面は、被膜により覆われていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電子写真機器用現像部材。
  7. 以下の層構造(1)または(2)を形成する工程と、
    (1)少なくとも1層以上のゴム弾性層と、このゴム弾性層の表面に積層された絶縁層とを備えた層構造
    (2)ゴム弾性を有する絶縁層を備えた層構造
    前記層構造の表面に、高分子塗膜よりなるパターン層を形成する工程と、
    前記パターン層の表面に金属材料よりなる電極層を形成する工程と、
    を有することを特徴とする電子写真機器用現像部材の製造方法。
  8. 金属めっきにより電極層を形成することを特徴とする請求項に記載の電子写真機器用現像部材の製造方法。
  9. 触媒金属を含有する高分子塗膜よりなるパターン層、または、表面に触媒金属が付与された高分子塗膜よりなるパターン層を形成することを特徴とする請求項7または8に記載の電子写真機器用現像部材の製造方法。
  10. 前記触媒金属を含有する高分子塗膜に含まれる高分子は、水溶性高分子であることを特徴とする請求項に記載の電子写真機器用現像部材の製造方法。
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