以下、本発明による熱交換器、これを備えた熱電発電装置、及び熱交換器の製造方法について図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図1は、本発明の第1実施形態に係る熱交換器を備えた熱電発電装置の縦断面図、図2は、本発明の第1実施形態に係る熱交換器を備えた熱電発電装置の横断面図である。
本実施形態の熱電発電装置1は、例えば車両に搭載され、排気ガスからの熱エネルギを回収する回収器として利用される熱交換器(熱交換器)2を備え、内燃機関の排気管(排気通路)3に接続されて使用される。熱電発電装置1は、熱交換器2で回収した熱エネルギを電気エネルギに変換する熱電発電素子4を備えている。
この熱電発電装置1には、排気管3に接続され、内燃機関からの排気ガスを熱交換器2に流入させる入口配管5、熱交換器2を通過した排気ガスを流出させる出口配管6が設けられている。入口配管5の熱交換器2側の端部中央には、頂部が流れ方向の前方に向けられたコーン部7が形成され、熱交換器2に流入する排気ガスの流れが外側に案内されて分岐される。一方、出口配管6の熱交換器2側の端部中央には、頂部が流れ方向の後方に向けられたコーン部8が形成され、熱交換器2から流出する排気ガスの流れが中央に案内されて集合される。
熱電発電素子4は、プレート状を成し、熱交換器2の外壁を構成すると共に排気通路の外壁を構成する天板部材9である高温部材と、内部流体として冷却媒体である冷却水が流通する低温部材10との間に配置されている。また、熱電発電素子4及び低温部材10は、弾性部材を有する押圧手段11によって、熱交換器2側に押し付けられて保持されている。そして、熱電発電素子4の一方の面は、天板部材9である高温部材に密着し、熱電発電素子4の他方の面は、低温部材10に密着し、高温部材9と低温部材10との間の温度差を利用して発電する。
熱交換器2は、排気通路の外壁を構成すると共に当該熱交換器2の外壁を構成する天板部材9と、排気通路内に配置され、排気ガスの熱エネルギを天板部材9に伝達するハニカム構造を有する伝熱構造体(フィン部)12とを備えている。また、天板部材9及び伝熱構造体12は、セラミックによって形成され、高い熱伝導性、耐食性を有し軽量化が図られている。また、天板部材9及び伝熱構造体12の外形は、管路の軸線Xと直交する方向に切った横断面において、正六角形を成している。なお、天板部材9及び伝熱構造体12の外形は、その他の形状でもよく、例えば、円形、四角形、八角形等でもよい。また、伝熱構造体12の外形と、天板部材10の外形とが異なる形状であってもよい。
ここで、伝熱構造体12及び天板部材10は、図2に示すように、排気通路の軸線X周り方向である軸周方向Yに複数(本実施形態では6個)に分割して配置されている。伝熱構造体12及び天板部材9は、軸周方向Yにおいて分割位置が同じとされ、本実施形態では、6等分とされている。なお、分割して配置された伝熱構造体12を伝熱フィンユニット13と記し、分割して配置された天板部材9を天板部材ユニット14と記す。
図3は、伝熱フィンユニット及び天板部材ユニットを有するユニット部材を示す斜視図である。図3に示すように、伝熱フィンユニット13及び天板部材ユニット14は、台形状の外形を有し、一体化されてユニット部材15を構成している。
このユニット部材15は、台形状の外形を有し、伝熱フィンユニット13の下底側の面に、天板部材ユニット14の上底側の面が接合されている。そして、伝熱フィンユニット13の軸周方向における側壁13aと、天板部材ユニット14の軸周方向における側壁14aとは、連続する平坦面を形成している。そして、伝熱フィンユニット13の側壁13a及び天板部材ユニット14の側壁14aは、ユニット部材15の相対移動を可能とする平坦面を構成している。
伝熱フィンユニット13は、格子状に配置された複数の伝熱フィン(壁体)16を備えるハニカム構造を有している。このハニカム構造は、伝熱フィンユニット13の上底側の面及び下底側の面と直交する方向Zに延在する第1の伝熱フィン16aと、伝熱フィンユニット13の上底側の面及び下底側の面と平行(図示上下方向)であり、第1の伝熱フィン16aと直交する第2の伝熱フィン(軸周方向に延在する伝熱フィン)16bと、を有している。そして、内部流体である排気ガスは、第1の伝熱フィン16a及び第2の伝熱フィン16bと接触しながら伝熱フィンユニット13内を通過する。
また、軸周方向Yに延在する第2の伝熱フィン16bの剛性は、軸周方向Yと交差する方向Z(管路軸法線方向)に延在する第1の伝熱フィン16aの剛性より小さいことが好ましい。例えば、第2の伝熱フィン16bの板厚を第1の伝熱フィン16aの板厚より薄くしてもよく、第2の伝熱フィン16bに切欠き部を形成してもよい。これにより、ハニカム構造を有する伝熱フィンユニット13において、第2の伝熱フィン16bの剛性を、第1の伝熱フィン16aの剛性より小さくすることで、天板部材ユニット14への伝熱において有効な第1の伝熱フィンに作用する応力を低減させる。例えば、第2の伝熱フィン16bにクラックが生じるようにしてもよい。
天板部材ユニット14の板厚(管路軸法線Z方向の厚さ)は、伝熱フィン16より厚肉とされている。このように、天板部材ユニット14を伝熱フィン16より厚肉とすることで、天板部材ユニット14の強度を、伝熱フィン16より大きくする。
また、伝熱フィンユニット13は、接合層17を介して、天板部材ユニット14に接合されている。この接合層17は、例えば、けい素(Si)もしくは炭化けい素から成り、十分な密着強度を有し、伝熱フィンユニット13及び天板部材ユニット14間の界面熱抵抗は、十分小さくされている。
このように接合されて一体化されたユニット部材15は、図2に示すように、軸周方向Yに複数配置され、横断面において環状に配置されて、伝熱構造体12を構成している。また、伝熱構造体12の分割位置は、伝熱構造体12の中心から放射状にのみ形成されている。そして、ユニット部材15は、隣接する側壁13a,14a同士が緩衝層18を介して接合されている。この緩衝層18は、例えば、けい素を含む無機接着剤、セラミック繊維を含有するマット部材等により構成することにより、隣接するユニット部材15に伝達する応力を緩和することができ、伝熱構造体12及び天板部材9に生じる応力を低減させることができる。
また、隣接する天板部材ユニット14同士を接合する緩衝層18の剛性は、隣接する伝熱フィンユニット13同士を接合する緩衝層18の剛性より大きいことが好ましく、これにより、天板部材ユニット14より強度が小さい伝熱フィンユニット13に大きな応力が発生することが防止される。例えば、緩衝層18を構成する材料や、緩衝層18の厚さを変化させることで、その剛性を変化させることができる。
また、熱電発電素子4、低温部材10、及び押圧手段11は、ユニット部材15に対して、例えば1つずつ配置されている。
次に、このように構成された熱交換器2を製造する方法について説明する。図4は、本実施形態に係る熱交換器の製造工程を示す工程図である。本実施形態に係る熱交換器2を製造する方法では、まず、セラミック製のハニカム構造体である伝熱フィンユニット13を成形する伝熱フィンユニット成形工程を行う(S1)。例えば、炭化けい素(SiC)を主成分とするセラミックス原料粉末を、押し出し成形によって、薄肉の壁体である伝熱フィン16が格子状に配置された伝熱フィンユニット(多孔体、DFP用)13に成形する。これにより、排気ガスが流れる貫通孔が軸線方向Zに沿って形成される。
続いて、伝熱フィンユニット成形工程によって成形された伝熱フィンユニット13を焼成する伝熱フィンユニット焼成工程を行う(S2)。次に、伝熱フィンユニット焼成工程によって焼成された伝熱フィンユニット13にSiを含浸させるSi含浸工程(S3)を行う。
また、セラミック製の天板部材ユニット14を成形する天板部材ユニット成形工程を行う(S4)。例えば、炭化けい素(SiC)+けい素(Si)を主成分とするセラミックス原料粉末を用いて、押し出し成形を行い、緻密体である天板部材ユニット14を成形する。続いて、天板部材ユニット成形工程によって成形された天板部材ユニット14を焼成する天板部材ユニット焼成工程を行う(S5)。次に、天板部材ユニット焼成工程によって焼成された天板部材ユニット14にSiを含浸させるSi含浸工程(S4)を行う。
ステップ3,6のSi含浸工程の後に、伝熱フィンユニット13と天板部材ユニット14とを接合する接合工程を行う(S7)。例えば、Si又は炭化けい素を主成分とする接合層17を介して、伝熱フィンユニット13と天板部材ユニット14とを接合して、ユニット部材15を作成する。
次に、接合工程によって作成された複数のユニット部材15を軸周方向Yに配置して、熱交換器2を組み立てる組立工程を行う(S8)。ここでは、例えば、無機ファイバー又はセラミック粒子を少なくとも含む緩衝層18を介して、複数のユニット部材15の側壁(傾斜面)同士を接合する。そして、外形が正六角形である熱交換器2を製造する。なお、複数の天板部材ユニット14同士のみを接合し、複数の伝熱フィンユニット13同士を接合しない構成としてもよい。
次に、熱交換器2を備えた熱電発電装置1の作用について説明する。本実施形態に係る熱交換器2を備えた熱電発電装置1では、図1に示すように、内燃機関から排出された排気ガスが排気管3、入口配管5内を流れ、伝熱構造体12(伝熱フィンユニット13)内に流入する。排気ガスの熱エネルギは、伝熱構造体12の伝熱フィン16によって吸熱される。そして、伝熱構造体12内を通過した排気ガスは、出口配管6、排気管3内を流れ、系外に排出される。また、伝熱フィン16に伝達された熱エネルギは、天板部材9(天板部材ユニット14)に伝達され、熱電発電素子4に伝達される。熱電発電素子4は、天板部材ユニット14及び低温部材10の温度差を利用して発電する。
また、このような熱交換器2では、伝熱構造体12が、図2に示すように、複数の伝熱フィンユニット13として軸周方向Yにおいて分割して配置されているため、隣接する伝熱フィンユニット13同士の拘束力を緩和することができる。そのため、伝熱構造体12に生じる応力が緩和される。その結果、伝熱フィン16に割れが発生する虞が低減され、信頼性の向上されたセラミック製の伝熱構造体12を備えた熱交換器2を提供することができる。
また、天板部材ユニット14の板厚が、伝熱フィン16a,16bの板厚より大きくされ、天板部材ユニット14の内側に伝熱フィンユニット13が接合されているため、伝熱フィン16より強度が大きい天板部材ユニット14によって荷重を受けることができ、天板部材9より強度が小さい伝熱フィン16に生じる応力を低減させることができる。
また、天板部材9が、伝熱構造体12の分割位置である伝熱フィンユニット13の端部位置と同じ位置で分割された複数の天板部材ユニット14によって構成されているため、伝熱フィンユニット13及び天板部材ユニット14を一体としたユニット部材15として製造することが可能となり、熱交換器2の組み立てを簡素化すことができる。また、各ユニット部材15が同じ形状とされているため、低コスト化を図ることができる。
また、本発明の熱交換器2の製造方法によれば、ハニカム構造体である複数の伝熱フィンユニット13を軸周方向Yに配置して、伝熱構造体12を組み立てるため、伝熱フィンユニット13(ユニット部材15)同士の拘束力を緩和させ、伝熱フィン16に発生する応力を緩和することが可能な伝熱構造体12を製造することができる。
次に、本発明の第2実施形態に係る熱交換器の製造方法について説明する。図5は、第2実施形態に係る熱交換器の製造工程を示す工程図である。なお、第1実施形態に係る熱交換器の製造方法と同様な説明については省略する。
まず、セラミック製のハニカム構造体である伝熱フィンユニット13を成形する伝熱フィンユニット成形工程を行う(S1)。また、セラミック製の天板部材ユニット14を成形する天板部材ユニット成形工程を行う(S4)。例えば、炭化けい素を主成分とするセラミックス原料粉末を用いて、押し出し成形を行い、多孔体である天板部材ユニット14を成形する。
次に、天板部材ユニット成形工程によって成形された天板部材ユニット14を伝熱フィンユニット成形工程によって成形された伝熱フィンユニット13に接合する接合工程を行う(S12)。例えば、ペースト状の炭化けい素を塗布することで形成された接合層17を介して、伝熱フィンユニット13と天板部材ユニット14とを接合して、ユニット部材15を作成する。
続いて、接合工程によって接合された伝熱フィンユニット13及び天板部材ユニット14を焼成する焼成工程を行う(S13)。次に、焼成工程によって焼成された複数のユニット部材15を軸周方向Yに配置して、熱交換器2を組み立てる組立工程を行い(S8)、熱交換器2を得ることができる。
このような熱交換器2の製造方法によれば、第1実施形態と同様に、重量、強度、コスト、成形性を高い次元にて両立することが可能な熱交換器2を製造することができる。また、Si含浸工程を省略しているため、Siを削減して低コスト化が図られた熱交換器2を製造することができる。
次に、本発明の第3実施形態に係る熱交換器について図6を参照して説明する。なお、第1実施形態に係る熱交換器2と同様の説明は省略する。図6に示すように、第3実施形態に係る熱交換器21が、第1実施形態に係る熱交換器1と違う点は、外形が異なる点であり、六角形の外形に代えて八角形の外形とした点である。
この熱交換器21は、外形が八角形である伝熱構造体22と、この伝熱構造体22の外周に配置され、外形が八角形である天板部材(外壁)23とを備えている。伝熱構造体22は、軸周方向Yに複数(8個)に分割して配置された伝熱フィンユニット24を有し、天板部材23は、軸周方向Yに複数(8個)に分割して配置された天板部材ユニット25を有している。
そして、伝熱フィンユニット24及び天板部材ユニット25は、軸周方向Yにおいて同じ位置で分割され、伝熱フィンユニット24の外面に天板部材ユニット25の内面が接合されて、ユニット部材26を構成している。このように構成された第3実施形態に係る熱交換器21であっても、第1実施形態に係る熱交換器2と同様な作用効果を奏する。
次に、本発明の第4実施形態に係る熱交換器について図7を参照して説明する。なお、第1実施形態に係る熱交換器2と同様の説明は省略する。図7に示すように、第4実施形態に係る熱交換器31が、第1実施形態に係る熱交換器1と違う点は、外形が異なる点であり、六角形の外形に代えて四角形の外形とした点である。
この熱交換器31は、外形が四角形である伝熱構造体32と、この伝熱構造体32の外周に配置され、外形が四角形である天板部材(外壁)33とを備えている。伝熱構造体32は、軸周方向Yに複数(4個)に分割して配置された伝熱フィンユニット34を有し、天板部材33は、軸周方向Yに複数(4個)に分割して配置された天板部材ユニット35を有している。
そして、伝熱フィンユニット34及び天板部材ユニット35は、軸周方向Yにおいて同じ位置で分割され、伝熱フィンユニット34の外面に天板部材ユニット35の内面が接合されて、ユニット部材36を構成している。このように構成された第4実施形態に係る熱交換器31であっても、第1実施形態に係る熱交換器2と同様な作用効果を奏する。
次に、本発明の第5実施形態に係る熱交換器について図8を参照して説明する。なお、第1実施形態に係る熱交換器2と同様の説明は省略する。図8は、第5実施形態に係る熱交換器のユニット部材を示す正面図である。第5実施形態に係る熱交換器が、第1実施形態に係る熱交換器2と違う点は、伝熱フィン16が格子状に配置された伝熱フィンユニット13を有するユニット部材15に代えて、伝熱フィン41が放射状に配置された伝熱フィンユニット42を有するユニット部材43を備える点である。
伝熱フィンユニット42は、排気通路の中央から外方へ放射状に延在する複数の伝熱フィン41を備えている。また、伝熱フィンユニット42は、台形状の外形を有し、上底側(排気通路の中央側)の壁体であり、伝熱フィン42より高い放射率を有する高放射部材44と、天板部材ユニット14に接合された下底側(排気通路の外方側)の壁体であり、伝熱フィン42より高い吸収率を有する高受熱部材(高放射受熱部材)45とを備えている。
高放射部材44は、高い放射率(吸収率)を有し、排気ガスからの熱エネルギを効率良く吸収する。また、高放射部材44は、吸収した熱エネルギを効率良く放射して、高受熱部材45に伝達する。
高受熱部材45は、高い吸収率(放射率)を有し、高放射部材44から放射された熱エネルギを効率良く吸収する。また、排気ガスからの熱エネルギを効率良く吸収する。そして、高受熱部材45に伝達された熱エネルギは、天板部材ユニット14に伝達され、熱電発電素子によって電気エネルギに変換される。
このように構成された伝熱フィンユニット42を有する熱交換器であっても、第1実施形態に係る熱交換器2と同様な作用効果を奏する。更に、伝熱フィンユニット42では、排気通路の中央付近の温度の高い部分に、低温外周部に向けて放射伝熱する高放射部材44を備え、低温外周部に高受熱部材45を備える構成であるため、排気ガスの熱エネルギを効率良く回収することができる。
次に、本発明の第6実施形態に係る熱交換器について図9を参照して説明する。なお、第1実施形態に係る熱交換器2と同様の説明は省略する。図9は、第6実施形態に係る熱交換器のユニット部材を示す正面図である。第6実施形態に係る熱交換器が、第1実施形態に係る熱交換器2と違う点は、ユニット部材51の構成が異なる点であり、厚肉部材をT字型とした点である。
ユニット部材51は、複数の伝熱フィンを有するハニカム構造体である伝熱フィンユニット52と、T字型を成す厚肉部材である天板部材ユニット53とを備えている。天板部材ユニット53は、Z軸と交差する外壁を構成する天板部53aと、この天板部53aの内面側から排気通路の中心へ突出する突出部である吸熱フィン部53bとを有している。すなわち、天板部材ユニット53は、排気通路の軸線X方向から視て、Y軸方向に延びる天板部53aと、Z軸方向に延びる吸熱フィン部53bとによって、T字型を成している。
吸熱フィン部53bは、天板部53aのY軸方向の中央から突出し、伝熱フィンユニット52は、Y軸方向に分割されて、吸熱フィン部53bのY軸方向の両側に配置されている。そして、伝熱フィンユニット52は、天板部53aの内面、及び吸熱フィン部53bの側面に接合されている。
このように構成されたT字型の天板部材ユニット53を有する熱交換器であっても、第1実施形態と同様な作用効果を奏する。更に、天板部材ユニット53では、厚肉の吸熱フィン部53aによって、伝熱フィンユニット52をY軸方向から支持しているため、熱交換器の強度を向上させることが可能となる。また、排気ガスの熱エネルギを、吸熱フィン部53aを介して、天板部53aに伝達することができ、熱エネルギの回収効率が向上されている。
次に、本発明の第7実施形態に係る熱交換器について図10を参照して説明する。なお、第1実施形態に係る熱交換器2と同様の説明は省略する。図10は、第7実施形態に係る熱交換器のユニット部材を示す正面図である。図10(a)では、比較のため、第1実施形態のユニット部材15を示し、図10(b)では、第7実施形態のユニット部材を示している。第7実施形態に係る熱交換器が、第1実施形態に係る熱交換器2と違う点は、ユニット部材61の構成が異なる点であり、伝熱フィン62の配置が異なる点である。
ユニット部材61は、複数の伝熱フィン62を有するハニカム構造体である伝熱フィンユニット63と、外壁を構成する厚肉部材である天板部材ユニット14とを備えている。また、伝熱フィン62は、Z軸方向に延在する第1の伝熱フィン62aと、Y軸方向に延在し第1の伝熱フィン62bと、を備えている。そして、Z軸方向に延在する第1の伝熱フィン62aは、Y軸方向に延在する第2の伝熱フィン62bの配置間隔d2より小さい間隔d1で配置されている。
このように構成された伝熱フィンユニット63を有する熱交換器であっても、第1実施形態と同様な作用効果を奏する。更に、伝熱フィンユニット63では、第1の伝熱フィン62aの配置間隔d1が第2の伝熱フィン62bの配置間隔d2より小さくされているため、Z軸方向に伝達される熱容量より、Y軸方向に伝達される熱容量を小さくすることができる。また、第2の伝熱フィン62bの配置間隔d2を大きくすることで、伝熱フィンユニット63のY軸方向(軸周方向)の剛性を、Z軸方向の剛性より低くすることができ、緩衝層18と接触するユニット部材61の側壁63a,14aの拘束を低下させることができる。その結果、伝熱フィンユニット63に作用する熱応力を低減することができ、伝熱フィン62に割れが発生する虞が低減される。
次に、本発明の第8実施形態に係る熱交換器について図11を参照して説明する。なお、第1実施形態に係る熱交換器2と同様の説明は省略する。図11に示すように、第8実施形態に係る熱交換器71が、第1実施形態に係る熱交換器21と違う点は、軸周方向Yに分割して配置された天板部材9に代えて、軸周方向Yに分割されていない一体物の天板部材72を備える点である。この天板部材72は、六角形の枠型を成し、その内側に複数の伝熱フィンユニット13が接合層17を介して接合されている。なお、隣接する伝熱フィンユニット13同士は、緩衝層18を介して接合されていてもよく、未接合のままでもよい。このように形成された熱交換器71であっても、第1実施形態と同様な作用効果を有する。
次に、本発明の熱交換器のコーン部材の変形例について図12を参照して説明する。図12は、コーン部材の変形例を示す斜視図である。図12(a)では、半円状のコーン部材81、図12(b)では、円錐状のコーン部材82、図12(c)では、多角錘状のコーン部材83を示している。これらのコーン部材81〜83は、その頂部81a〜83aが軸線方向Xの外側に向けられて配置されている。また、コーン部材81〜83の底部81b〜83bは、伝熱構造体の中央に接合されている。そして、内部流体である排気ガスは、入口側のコーン部材81〜83によって排気通路の外周側に案内され、伝熱構造体に流入し、伝熱構造体の貫通孔を通過した排気ガスは、出口側のコーン部材81〜83によって排気通路の外周側から中央側へ集合される。このようなコーン部材81〜83によって排気ガスの流れを案内することで、排気ガスの流れを好適に分散/集合させることができ、効率良く伝熱フィンに接触させることで、熱エネルギの回収効率を向上させることができる。
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、熱交換器を、内燃機関の排気ガスから熱エネルギを回収する回収器として説明しているが、例えば、工場、その他の輸送機器において、流体からの排熱を回収する熱交換器として適用してもよい。また、伝熱構造体内を流れる内部流体を加熱するための熱交換器としてもよい。
また、上記実施形態では、伝熱構造体と、天板部材とを別々に構成しているが、伝熱構造体及び天板部材を一体として形成してもよい。また、天板部材の板厚は、伝熱フィンの板厚と同じとしてもよい。
また、上記実施形態では、伝熱構造体の中央には、内部流体が流れない構成としているが、中央に伝熱フィンユニットを配置して、内部流体が流通可能な構成としてもよい。
また、セラミック製の伝熱構造体、及び天板部材は、多孔質体でもよく、緻密体でもよい。例えば、多孔質体のセラッミク材とすることで、熱交換器全体の弾性率を低下させ、熱変形・応力集中を緩和させることができる。
また、上記熱交換器を製造する方法は、第1実施形態に記載の製造方法でもよく、第2実施形態に記載の製造方法でもよい。また、その他の製造方法によって、上記熱交換器を製造してもよい。
また、上記実施形態では、伝熱構造体の中心点と、外形の角とを結ぶ直線上に、伝熱構造体の分割位置が形成されているが、その他の位置で分割されていてもよい。例えば、伝熱構造体の中心点と、外形の辺の中央とを結ぶ直線に沿って、伝熱構造体を分割してもよい。
また、上記実施形態では、複数の伝熱部材ユニットを軸周方向Yに配置して伝熱構造体を形成しているが、伝熱構造体を成形後、複数に分割してもよい。
また、軸周方向において隣接する伝熱フィンユニット同士は、当該伝熱フィンユニットに作用する応力を緩和可能な緩衝層を介して接合され、天板ユニット同士を接合する緩衝層の剛性は、伝熱フィンユニット同士を接合する緩衝層の剛性より大きいことが好ましい。これにより強度が大きい天板部材ユニットによって大きい荷重を受けることができ、天板部材ユニットより強度が小さい伝熱フィンユニットに大きな応力が発生することを防止できる。
また、伝熱フィンユニットは、異なる方向に延在する複数の伝熱フィンによって構成されたハニカム構造体を有し、軸線と交差する横断面において、管路の中央から外側へ延在する伝熱フィンである第1の伝熱フィンの剛性は、第1の伝熱フィンと交差する伝熱フィンである第2のフィンの剛性より大きいことが好ましい。これにより強度が大きい天板部材ユニットによって大きい荷重を受けることができ、天板部材ユニットより強度が小さい伝熱フィンユニットに大きな応力が発生することを防止できる。
また、伝熱フィンユニットは、管路の中央部から外壁側へ放射状に延びる伝熱フィンと、管路の中央部側に配置され、伝熱フィンより高い放射率を有する高放射部材と、管路の外壁側に配置され、伝熱フィンより高い吸収率を有する高受熱部材と、を備えることが好ましい。これにより周囲より高温である管路の中央部から発生する輻射熱を、天板部材に対して有効に伝達することができる。
1…熱電発電装置、2,21,31,71…熱交換器、3…排気管、4…熱電発電素子、9,23,33,72…天板部材、12,22,32…伝熱構造体、13,24,34,42,52,63…伝熱フィンユニット、14,25,35,53…天板部材ユニット、15,26,36,43,51,61…ユニット部材、16,41,62…伝熱フィン、16a,62a…第1の伝熱フィン、16b,62b…第2の伝熱フィン、17…接合層、18…緩衝層、44…高放射部材、45…高受熱部材。