JPH09303983A - ステレオ型ヒートパイプ放熱器 - Google Patents

ステレオ型ヒートパイプ放熱器

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JPH09303983A
JPH09303983A JP8149662A JP14966296A JPH09303983A JP H09303983 A JPH09303983 A JP H09303983A JP 8149662 A JP8149662 A JP 8149662A JP 14966296 A JP14966296 A JP 14966296A JP H09303983 A JPH09303983 A JP H09303983A
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heat
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pipe
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来のステレオヒートパイプ放熱器が期待値
より放熱能力が低く、重量も大きく、コスト高である点
を改善し、更にその機能の高度化を図る。 【構成】 軽金属を押出成型してなる多孔扁平管ヒート
パイプの曲げ加工と一括溶接法により、ヒートパイプ風
洞を外殻体とし、洞内に薄形のプレートヒートパイプフ
ィン群が配接された、新規な構造の多面体ステレオヒー
トパイプ放熱器を一括形成することに成功した。 【効果】 この放熱器は従来のものより放熱能力が大幅
に増加し、小型軽量化されただけでなく、簡易な構造と
製造法に依る大幅なコスト低減を可能にした。このステ
レオヒートパイプ放熱器は姿勢依存性が無いので筐体内
部での放熱器自身及び発熱素子、部品の実装自由度が改
善され高密度実装が容易になった。また風洞の垂直装着
を可能にし密閉筐体内における発熱素子の自然空冷を可
能にした。更に発熱素子の多面実装をも可能にした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はヒートパイプ応用放熱器
に関するものであり、特に長尺のヒートパイプのコンテ
ナが蛇行屈曲せしめられて立体的な熱輸送回路を形成し
て構成されてあるステレオ型ヒートパイプ放熱器に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来型ヒートパイプは良好な熱輸送手段
ではあるがその熱輸送経路は一般にパイプ軸心に沿った
線方向の一次元熱輸送であり、これを二次元の面熱輸送
に換えるには平板状フィンとの組み合わせによって実施
する必要があった。また流体との熱交換、または流体相
互間の熱交換の場合の如く三次元熱交換を必要とする場
合の従来型ヒートパイプの適用例としては図11、図1
2、図13の如き例(a)、(b)、(c)がある。
【0003】図11、例(a)、従来型ヒートパイプ3
1に直交して挿着された平板状フィン群33−nにより
放熱部を立体的に構成して三次元熱交換を実施する例で
ある。図において32−2は発熱素子、32−3は受熱
ブロック、34は対流風である。本例は33−nを受熱
フィン群として、逆に受熱ブロック32−3及び発熱素
子32−2を加熱する場合もある。
【0004】図12、例(b)、他の例としては従来型
細管ヒートパイプ群31−nを平行並列に立体配置して
所謂多管式熱交換器の如く構成し三次元熱交換を実施す
る場合もあった。図において32−2は発熱素子、32
−3は受熱ブロック、34は対流風である。
【0005】図13、例(c)、更に他の例として6面
体金属受熱ブロック32−3の中に立体格子状に交叉連
結された細径トンネル群36−nを削孔した後、各トン
ネル開口部を封止キャップ群38−nにより密閉して3
次元構造の細径トンネルヒートパイプコンテナを形成
し、格子間隙に貫通孔群を形成して冷却風流路群37−
nとした半導体素子冷却用のステレオ型ヒートパイプ放
熱器の実験例が発表されている。図において32−2は
発熱素子である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述の各適用例におい
て例(a)の場合は平板状フィンは金属間熱伝導により
熱量を拡散するものであるから、ヒートパイプとフィン
の接着部らの距離が離れるに従いフィン温度が急激に低
下し、従ってフィン面積の増加に従ってフィン効率が低
下し、熱交換効率も低下し、交換熱量の増加に従ってフ
ィンが級数的に大型化する点が問題であった。従って三
次元熱交換のために平板状フィン群33−nを使用する
場合はこの傾向は更に増大し、熱交換部の大容積化及び
重量の増加が問題点となっていた。
【0007】例(b)の場合は受放熱共に流体の三次元
熱交換を行う場合はあまり問題とならないが、局部にお
いて受熱した熱量を三次元熱交換で放熱する如き場合に
は、そのままでは局部受熱が不可能であり、受熱部に大
型の受熱ブロック32−3を装着し、これを介して受熱
する必要があり、輸送する熱量の大きさの割合に装置が
全体的に大型化し重量が増大する点が問題であった。
【0008】例(c)の場合実験結果の発表データによ
ると、冷却風流路群37−nの内面積が余りに小さく、
熱交換面積が極端に不足している事に起因して、周囲の
細径トンネルヒートパイプ群36−nの作用によって単
位面積当たりの熱交換能力は極めて大きいにも拘らず、
業界がこの種の放熱器に期待する放熱器の熱抵抗性能
0.25℃/W以下に対してこの放熱器の熱抵抗値は
2.0℃/Wと極端に悪く、実用化の可能性は極めて少
ないものと思われた。またこの実験例の構造は製作に多
大の時間を要することが推定され、コスト高の点から実
用化は殆ど不可能であると判断された。
【0009】然し例(c)の実験例は冷却風流路群37
−nの熱交換面積を通常の放熱器の熱交換面積に近づけ
ることが可能であるならば、このような三次元構造ヒー
トパイプは極めて高い性能を発揮するであろうことを示
唆していた。また数多くの封止部突起を無くする事が出
来れば三次元構造ヒートパイプとしての他の効果である
複数発熱素子の実装も可能であることを示唆していた。
然しこのような複数発熱素子の実装を可能にするには通
常ヒートパイプの適用では姿勢依存性が大きいことから
困難なことが推測された。
【0010】従来技術においては従来型ヒートパイプに
よる三次元熱交換には上述の如き問題点があったが実用
上は殆ど未解決のままに容認されてきた。然し近来の半
導体技術の目覚ましい進歩は半導体素子自身の小型化及
び発熱量の増大をし、更に半導体素子応用機器における
部品実装の立体実装化、高密化、及び機器の大幅な小型
化を促し、最早従来型ヒートパイプによる三次元熱交換
構造では対処出来なくなりつつある。現在業界では前述
実験例の三次元構造ヒートパイプの如きステレオ型ヒー
トパイプ放熱器についてその発熱素子の実装自由度の拡
大、受放熱能力の増大等が強く要望されている。
【0011】
【課題を解決する為の手段】従来技術における(c)の
実験例からトンネルヒートパイプに換えて蛇行細径トン
ネル内蔵のプレートヒートパイプを用いて構成すること
が3次元構造ヒートパイプ(以下ステレオヒートパイプ
と称する)の製作上最も適切であると考察された。これ
は小容積化と小重量化が要求されるステレオヒートパイ
プにおいて、その冷却用対流の流れ方向に直交する放熱
器断面積を一定とした場合の、ヒートパイプの断面積を
最小にすることを可能にし冷却対流の流路の断面積を最
大にすることを可能にする。これはステレオヒートパイ
プを適用する放熱器の放熱性能を最大に改善することを
意味する。
【0012】ステレオヒートパイプを構成する為のヒー
トパイプの第一の必要条件は必要な形状に屈曲せしめて
適用し、立体的に構成する事の出来る柔軟性且つ可撓性
を有する薄形ヒートパイプである事であり、このような
薄形ヒートパイプはステレオヒートパイプの構成を容易
ならしめ且つ対流の流れ方向に対する抵抗断面積を縮小
せしめる。またこれは適正な重量の、且つ適正な価格の
ステレオヒートパイプを構成する事を可能ならしめる。
【0013】ステレオヒートパイプを構成する為のヒー
トパイプの第二の必要条件は如何なる保持姿勢でも良好
に作動する姿勢依存性の少ないヒートパイプである事で
ある。ステレオヒートパイプはそのある部分ではボトム
ヒートになり、他の部分では水平ヒートになり、更に他
の部分ではトップヒートになるので、どの部分でも良好
に作動する即ち姿勢依存性の少なさが要求される。従来
型ヒートパイプでは上記第一第二何れの条件をも満足せ
しめる事は不可能であった。
【0014】本発明者が発明し実用化した蛇行細径トン
ネルプレートヒートパイプ(特願平5−241916号
及び特願平7−65311号及び特願平7−23315
1号)はステレオヒートパイプを構成する為の第一第二
の条件を完全に満足せしめ、業界の要望する各種のステ
レオヒートパイプの構成を容易ならしめる。
【0015】特願平5−241916号に係るプレート
形ヒートパイプは蛇行細溝のパターンを薄肉プレートの
面上に形成し、このプレートを積層接着して、蛇行細径
トンネルを内蔵したプレートを形成し、これをヒートパ
イプコンテナとして構成するもので、良好な曲げ加工性
及び姿勢依存性の極めて少ないその機能は上記第一第二
の条件を完全に満足せしめる。従って特願平5−241
916号に係る径プレート形ヒートパイプは本発明のス
テレオヒトパイプ式放熱器を構成するのに適したプレー
トヒートパイプである。然しこのプレート形ヒートパイ
プはその構成上大型化が困難であり、また大量生産の場
合以外は比較的製造コストが高価になる問題点が有り実
用化に際しては適用範囲が小型放熱器分野または高級放
熱器分野に限定されるものであった。
【0016】特願平7−65311号及び特願平7−2
33151号に係る蛇行細径トンネルプレートヒートパ
イプは特願平5−241916号に比較して、長さ及び
大きさに制限がない、製造コストが安い等の点から実用
上の効果が高いものとなる。この扁平管プレートヒート
パイプは柔軟性軽金属を押出し成型してなる多孔扁平管
を素材として形成される。図1にこの素材となる多孔扁
平管1を斜視図にて示す。3−nは多孔を形成する貫通
細孔、2−nは各貫通細孔3−nの隔壁である。図2は
蛇行細径トンネルプレートヒートパイプの一部を断面で
表した平面図である。図において多孔扁平管1の貫通細
孔3−nの隔壁2−nはその端末においてひとつおきに
切除されて隔壁切除部4−n、5−nとして封入作動液
移動のターン部になっている。多孔扁平管1の両端末は
隔壁切除部4−n、5−nの一部を残して圧潰部6−
1、6−2において圧潰され他のち溶接封止部7−1、
7−2として封止されてある。このようにして貫通細孔
群3−nは一条の蛇行細径トンネルとして形成され、所
定量の二相凝縮性作動液を封入の後溶接封止部8−1に
おいて溶接封止され蛇行細径トンネル内蔵のプレートヒ
ートパイプとなる。このように形成された蛇行細径トン
ネル内蔵の扁平管プレートヒートパイプは如何なる形状
にも自在に屈曲成型することの可能な柔軟性と可撓性を
有するものであり、ステレオヒートパイプ構成用ヒート
パイプとしての第一の必要条件を完全に満足する。
【0017】またこのような蛇行細径トンネル内蔵のプ
レートヒートパイプは本発明者が発明し実用化した特許
第1881122号(ループ型細管ヒートパイプ)、特
許第1967738号(ループ型細管ヒートパイプ)、
及び特開平4−251189号(マイクロヒートパイ
プ)の応用である蛇行細径トンネルヒートパイプを内蔵
しているから、それらの発明に係るヒートパイプの優れ
たヒートパイプ特性を完全に備えている。即ち如何なる
保持姿勢でも良好に作動する姿勢依存性の極めて少ない
ヒートパイプである。即ちこの細径トンネル内蔵のプレ
ートヒートパイプはステレオヒートパイプを構成する為
の第二の必要条件を完全に満足する。
【0018】上記の通りであるから特願平7−6531
1号及び特願平7−233151号に係る、柔軟性軽金
属を押出し成型してなる多孔扁平管を主素材として形成
される蛇行細径トンネルを内蔵したプレートヒートパイ
プを適用することによりステレオヒートパイプを容易に
構成することが出来る。
【0019】本発明の基本的な構成について以下に説明
する。ステレオ型ヒートパイプ式放熱器は立体的な熱輸
送回路を有するヒートパイプであって、ヒートパイプの
受熱部と放熱部の相互間を結ぶ熱輸送経路となる細管ヒ
ートパイプコンテナが、複数の局部的受熱面から大表面
積放熱部に立体的に展開される熱輸送回路を備え、また
は細管コンテナが立体的に展開して構成された大表面受
熱部から複数の局部的放熱面に集約される熱輸送回路を
備えて構成される。図3はこの様なステレオ型ヒートパ
イプ放熱器の構成の一例を示す斜視図であって、その基
本的な構成の説明図である。図の如くこの放熱器の外周
は、蛇行細径トンネルを内蔵するプレートヒートパイプ
11が、その蛇行屈曲により、ステレオ型ヒートパイプ
放熱器の各熱量授受面1−2、1−3、1−4、1−5
に相当する複数平面を有し、且つ他の対向する対平面
(開口面)が熱媒流体の流入流出面として形成されてあ
る風洞構造の外殻体として形成されてあり、それと共に
この外殻体を形成するプレートヒートパイプ11の両内
平面相互間と、必要によってはこのプレートヒートパイ
プ11が外殻体の内部に延長される部分11−1の両平
面をも含む各平面の相互間は、相互に並列に対向する平
面対向構造として形成されてあり、この平面対向構造を
形成する蛇行細径トンネル内蔵のプレートヒートパイプ
11を第一の構成要素とし、このプレートヒートパイプ
11の対向する並列平面間を往復蛇行(螺旋蛇行を含
む)して両平面間を伝熱的に接続する、長尺可撓性の蛇
行ヒートパイプ11−1、11−2を第二の構成要素と
し、図の如く第一及び第二の構成要素が伝熱的に組み合
わせられてあるか、または第一及び第二の構成要素の組
み合わせ体が一連の長尺プレートヒートパイプにより一
体構成されてあるかして、立体的熱輸送回路が構成され
てある構造を本発明の基本的な構造としている。図にお
いて13−1、13−2、13−3、13−4は発熱素
子で、12−1、12−2、12−3、12−4は各発
熱素子13とステレオ型ヒートパイプ放熱器の熱量授受
面1−2、1−3、1−4、1−5との間の伝熱を良好
ならしめる為の熱拡散プレートである。
【0020】
【作用】
(1)このようなステレオ型ヒートパイプ放熱器の特徴
は、図3に示す如く六面体の中の二面を対流風15の流
路として適用し、残りの四面は全て受熱面として任意に
適用し、発熱素子13−1、13−2、13−3、13
−4を同時または選択的に実装することが出来る。然も
装着面及び装着位置による性能の差異は極めて少ない。
このように本発明のステレオ型ヒートパイプ放熱器は従
来のヒートパイプ放熱器に比較して発熱素子の実装自由
度が飛躍的に高くなる。
【0021】(2)蛇行細管ヒートパイプは受熱部から
次の受熱部に至る距離が長い場合及びその間にターン部
がある場合は作動液の管内圧力損失が増加し熱抵抗が著
しく増加する。本発明のステレオ型ヒートパイプ放熱器
に於て、第二構成要素の蛇行ヒートパイプは全て短い距
離でターンを繰り返し、ターン部は全て受熱部となる。
受熱部では作動液の管内圧力損失はキャンセルされ、新
しい作動エネルギーが供給され、細管ヒートパイプの作
動はターン毎に活性化され増幅される。従って第二構成
要素の蛇行ヒートパイプの作動は同一長さの同一サイズ
のプレートヒートパイプと比較して極めて活発で高性能
になる。同様な理由から発熱素子装着面に対向する面に
第二の発熱素子が装着されてある場合はその部分のター
ン部が加熱され、ターン部の活性化作用及び増幅作用は
更に強化される。この様であるから通常のヒートパイプ
放熱器とは異なり、本発明のステレオ型ヒートパイプ放
熱器は発熱素子装着数が多くなる程性能が向上すると云
う従来のヒートパイプ放熱器には見られない優れた特長
がある。
【0022】(3)図3における矢印15の如く冷却用
対流風は全て第一の構成要素の蛇行細径トンネル内蔵の
プレートヒートパイプ11で形成される風洞構造内(外
殻内)を流れる。この風洞構造部はヒートパイプである
から風洞としての性能と同時に放熱フィンとしての役目
をも兼ねて発揮する。また本発明のステレオ型ヒートパ
イプ放熱器は放熱器に複数配設された各発熱素子13−
1、13−2、13−3、13−4の共通放熱部即ち共
通風洞として、図3に於て破線で示した風洞14の一部
として適用することが出来る。従って筐体内における冷
却対流風流路の配設容積を最小にとどめスペースを有効
に活用することが出来る大きな利点がある。
【0023】(4)本発明のステレオ型ヒートパイプ放
熱器には複数の発熱素子が自由度高く実装することが出
来るが、この放熱器自身もその実装自由度が極めて高
い。従来型のヒートパイプは保持姿勢により大幅に性能
が変化し、特にトップヒート姿勢の場合は使用不能状態
に至るまで性能が低下するので、筐体内の装着姿勢が限
定され、従って冷却風洞の取付け位置、取付け方向も限
定されるものであった。それに対し本発明のステレオ型
ヒートパイプ放熱器は如何なる装着姿勢でも性能が全く
変化しない。従ってこの放熱器と連結一体化されてある
冷却風洞14の筐体内における装着姿勢も自由度が高
く、水平、垂直、傾斜、何れの方向に装着しても良い。
更にその装着方向のまま、風洞の軸を中心に如何なる角
度に回転せしめて取りつけても良い。この様に取付け姿
勢の自由度が高いから更に取り付け位置の自由度も高い
ことになり、隣接実装部品の位置形状に合わせて風洞配
置を決定出来ることを意味し、本発明ステレオヒートパ
イプ式放熱器の実装上有利な点となる。
【0024】(5)上述の如く冷却風洞14の取り付け
姿勢が自由であるから冷却風洞14を図4、に例示の如
く垂直に保持することが出来ることは本発明ステレオ型
ヒートパイプ放熱器1−6、1−7の大きな特長であ
る。その効果は以下の通りである。(a)隣接する筐体
内の実装部品との干渉が殆ど無くなるから装着位置及び
実装設計の自由度が高くなり高密度実装を容易ならしめ
る。(b)複数のステレオ型ヒートパイプ放熱器を同一
の垂直風洞に1−6、1−7の如く直列配置出来るから
実装の立体化を容易にする。(c)垂直風洞14は他の
実装部品とスペース的に干渉することが少なく、また風
洞14が小型化されるから、風洞経路の周囲に十分な余
裕スペースが生じる。図示は省略してあるが、このスペ
ースを利用して消音装置を配設することが出来る。これ
により騒音の発生無く強力なファンを使用して高性能化
することが出来る。(d)垂直風洞14は強力な煙突効
果を発生するから、図5に例示の如く自然対流冷却を効
果的に実施することが出来る。従来は風洞を垂直配設す
ることが不可能であったから密閉筐体内における自然対
流冷却は極めて困難とされてきた。図において矢印15
−1は強制対流風、矢印15−2は自然対流風を示して
いる。
【0025】(6)本発明のステレオヒートパイプ式放
熱器の性能には姿勢依存性が無いから、筐体壁内外の如
何なる部分に、如何なる姿勢で装着しても性能には変わ
りが無い。従って筐体外壁面の何れの面にもに自由に且
つ有効に装着することが可能であり、これはその装着部
に対応する筐体内壁面に、発熱素子を直接実装し、熱抵
抗最小にて筐体外に熱量を排出することを可能にする。
また同時に、筐体内スペースを最大に利用して、高密度
高性能実装を可能にするものである。図6にこの様な実
装状態を示す。図において1はステレオ型ヒートパイプ
放熱器、13は発熱素子、14は風洞、17は冷却ファ
ン、18−1は筐体側壁面、18−2は筐体天井壁面、
18−3は筐体底壁面である。この様な筐体内スペース
の有効利用は従来型ヒートパイプ応用の放熱器では全く
不可能であった。
【0026】(7)本発明のステレオ型ヒートパイプ放
熱器における第二の構成要素の細管ヒートパイプ11−
1、11−2は放熱フィン群の役目をする。然しこれは
プレートヒートパイプであるから蛇行ピッチは通常の非
ヒートパイプ放熱器のフィン群のフィンピッチの如く小
ピッチに形成することは不可能である。然しこのフィン
群はヒートパイプであるからフィン効率が100%であ
り、その全表面積が高温熱交換部として作用するから、
それが極めて疎なピッチであっても通常の非ヒートパイ
プ放熱器よりはるかに高い放熱能力を発揮する。更にフ
ィンピッチが極めて大きいから、冷却対流の圧力損失が
通常フィン群の数分の一と極めて小さく、冷却ファンの
対流発生能力に大きな余裕が発生する。従ってその余裕
能力に依って流量流速を自在に制御し、放熱器の放熱能
力を制御することが出来る。また蛇行ピッチが大きいか
ら、その蛇行のピッチ間に更に精細フィン群を装着し
て、更に強力な強制対流冷却専用のステレオ型ヒートパ
イプ放熱器を構成することも出来る。この様に多彩な適
用形態を有することは本発明ステレオヒートパイプ式放
熱器の大きな効果である。
【0027】
【実施例】
[第一実施例] 図3は本発明のステレオヒートパイプ
式放熱器の基本的構成を示す図面であると同時に本発明
の第一実施例の説明図をも兼ねている。図において第一
の構成要素であり、ステレオヒートパイプの風洞構造の
外殻体として形成される蛇行細径トンネル内蔵のプレー
トヒートパイプ11と、第二の構成要素であり、第一の
構成要素で形成される並列平面間を蛇行して伝熱的に接
続する細管ヒートパイプ11−2、11−3とは、何れ
も多孔扁平管により形成された蛇行細径トンネルを内蔵
したプレートヒートパイプが適用されている。多孔扁平
管が適用されたプレートヒートパイプ11、11−2、
11−3は他の種類のプレートヒートパイプに比較して
卓越した柔軟性と可撓性を備えているから図示の如く二
次成形し、自由自在に曲げ成形して適用することが出来
る。またこのプレートヒートパイプ11、11−2、1
1−3はこのような二次成形加工によってもその性能を
悪化せしめられることのない機能を有する。これ等の構
成要素により構成された放熱器は図の如く六面体の立体
構造に形成されてある。その中の対向する二面は矢印で
示されてある対流風15の流入流出路であり、他の四面
は複数同時または選択的に何れの面も受熱面1−1、1
−2、1−3、1−4として適用出来るよう構成されて
ある。このように構成されてある本実施例の放熱器は基
本構造に説明したようなステレオ型ヒートパイプ放熱器
の全ての特長を備えている。図7は本実施例の構成を簡
略化して表した断面略図であり、第一及び第二の構成要
素をより簡略化して表すため総てを線図で示してある。
本実施例は特に大容量強力なステレオ型ヒートパイプ放
熱器の例を示しており、その為第一の構成要素である蛇
行細径トンネル内蔵のプレートヒートパイプ11の一部
11−1は風洞構造の外殻体の内部に延長せしめられ、
その両平面は外殻体の内表面と共に表面積が拡大された
平面対向構造部を構成している。また第一の構成要素で
ある蛇行細径トンネル内蔵プレートヒートパイプ11、
11−1は特に容量の大きいものが適用されてあること
を示す為特に太線で表示されてある。
【0028】[第二実施例] 図8は本発明のステレオ
型ヒートパイプ放熱器の第二実施例の構成を示す断面略
図である。第一実施例では第一構成要素と第二構成要素
とは夫々独立したプレートヒートパイプ11、11−1
及び11−2、11−3で形成されてあり、それらが伝
熱的に接続されてステレオヒートパイプとして構成され
るものであるのに対して、本第二実施例では第一構成要
素と第二構成要素とは多孔扁平管で形成された蛇行細径
トンネルを内蔵する一条の長尺プレートートパイプ11
により連続一体化されて構成されてあることを特徴とし
ている。この様な構成は製造工程の短縮に依るコスト低
減の効果がある。また二種類のプレートヒートパイプを
伝熱的に接続構成することに依り発生する熱量損失を低
下せしめて熱輸送性能を向上せしめる効果がある。更に
また軽量化小型化の効果も大きい。然し本実施例におい
ては第一構成要素と第二構成要素は全く同一の多孔扁平
管コンテナにより連続一体化して形成される必要がある
から、第二構成要素部となる部分が冷却フィンとしての
効果を失わない程度の小ピッチ蛇行を与えることが出来
るよう多孔扁平管コンテナの全体を薄形の多孔扁平管を
適用して構成する必要がある。従って本実施例では厚形
大容量のプレートヒートパイプを適用することが出来な
いから、ある程度以上に大容量化せしめることは困難で
ある。
【0029】[第三実施例] 図9は本発明の第三実施
例及び第四実施例の説明図であり線図から成る断面略図
で示してある。本実施例においては第二の構成要素の蛇
行ヒートパイプは蛇行(螺旋蛇行を含む)細管ヒートパ
イプ11−4、11−5であり、この蛇行ヒートパイプ
が第一の構成要素の平面対向部の両平面間を往復蛇行せ
しめられ、両平面間を伝熱的に接続して構成されてあ
る。この伝熱的接続はろう接、溶接、挿接、圧入等に依
って為される。本実施例図は螺旋蛇行細管ヒートパイプ
が適用されてある例を示してあり、その特徴は他の例に
比較して蛇行部の形成が簡易且つ容易でありしたがって
低コストに成る点がメリットである。またこの構成は螺
旋ピッチを精細化することによりプレートヒートパイプ
を適用した第一実施例及び第二実施例より伝熱面積を拡
大せしめて放熱性能を向上させることが出来る。然しそ
の反面冷却対流風の圧力損失が若干増加する欠点もあ
る。
【0030】[第四実施例] 本発明のステレオ型ヒー
トパイプが適用される雰囲気が悪く、粉塵や油分ミスト
等の付着により第二の構成要素の蛇行ヒートパイプの表
面の汚染が著しく、比較的短期間毎に清掃の必要ある場
合がある。図9の説明図に例示の本発明の第四実施例は
その対策として案出されたものであり、本実施例のステ
レオ型ヒートパイプの断面略図を線図により例示してあ
る。その基本構成は主要放熱面積となる第二の構成要素
の蛇行ヒートパイプとしては、弾性金属の細管を素材と
してバネ性を与えて形成された蛇行(螺旋蛇行を含む)
弾性細管ヒートパイプが適用されてあり、この蛇行ヒー
トパイプが第一の構成要素の蛇行細径トンネル内蔵のプ
レートヒートパイプが並列対向する平面間に着脱自在に
且つ弾性的に圧入挿接されて構成される。図9において
はその一例として蛇行ヒートパイプは螺旋蛇行弾性細管
ヒートパイプ11−4、11−5が適用されてある。こ
の蛇行ヒートパイプは清掃時には簡単な治具の助けによ
り極めて容易に着脱することが可能であり、ステレオ型
ヒートパイプの放熱性能を常に良好に維持することが出
来る点に特徴がある。
【0031】[第五実施例] 図10は本発明の第五実
施例の説明図であり、本実施例のステレオ型ヒートパイ
プの断面略図を線図により例示してある。図において第
二の構成要素の蛇行ヒートパイプ11は蛇行細径トンネ
ル内蔵のプレートヒートパイプであり、このプレートヒ
ートパイプ11の蛇行に依り二次的に形成される並列平
面対向部の間隙に、所定の種類の精細フィン群が、ろう
接、溶接、圧入、弾性的圧入等の手段に依り配設されて
あることを特徴としている。図10においてはこの、精
細フィン群としては蛇行コルゲートフィン16が装着さ
れてある。精細フィン群は蛇行細線フィンであっても良
く、または非ループ型蛇行細管ヒートパイプフィンであ
っても良く、それらのフィンの蛇行は通常の蛇行でも、
螺旋蛇行であっても良い。それらのフィン群はプレート
ヒートパイプ11の蛇行に依り二次的に形成される並列
平面対向部の間隙に装着することが可能な精細フィン群
であれば如何なるフィン群であっても良い。またその装
着方法はろう接、溶接、何れの手段であっても良い。更
に精細フィン群は上記各種フィン群が弾性金属で形成さ
れたスプリングフィン群が着脱自在に挿接圧入されたも
のであっても良い。本発明にかかるステレオ型ヒートパ
イプはそれ自身極めて放熱性能の良い放熱器ではある
が、その並列平面対向部の間隙に蛇行して装着される第
二構成要素の蛇行ピッチは十分に大きいので、第二構成
要素がプレートヒートパイプであればそれにさらに二次
的に並列平面対向部が形成されるから、この間隙に精細
フィンを装着してステレオ型ヒートパイプの放熱能力を
更に倍増せしめることが出来る。然しこの様な本実施例
の高性能放熱器は余りにフィン間隙が狭くなり、対流風
の圧力損失が増加するので自然空冷用放熱器としては不
適当となる。
【0032】
【発明の効果】蛇行細径トンネルヒートパイプを内蔵し
た、柔軟性及び可撓性に富むプレートヒートパイプを素
材として適用することにより、それを多面体に屈曲成形
し、風洞状外殻体を有し、その内部に放熱部が配設され
てあり、この放熱部に充分な風量の冷却対流風を低圧力
損失で送入排出せしめることの可能な構造の高性能ステ
レオ型ヒートパイプ放熱器の製作に成功した。その構造
上で寄与する点はプレートヒートパイプの柔軟可撓性に
あった。性能上で寄与する点はプレートヒートパイプの
薄形化と内蔵する蛇行細径トンネルヒートパイプに姿勢
依存性が無いことにあった。完成したステレオ型ヒート
パイプに姿勢依存性が全く無い点は筐体内部における発
熱素子、部品の実装自由度の拡大と実装の高密度化に貢
献し、機器の小型化軽量化に貢献する。また風洞の垂直
装着を可能にすることにより密閉筐体内における自然空
冷を可能にする点は実装技術の革新に貢献するものと信
ぜられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成素材となる多孔扁平金属管の構造
を示す斜視図である。
【図2】本発明の主要構成要素となる蛇行細径トンネル
ヒートパイプを内蔵するプレートヒートパイプの構造を
示す一部断面の平面図である。
【図3】本発明のステレオ型ヒートパイプ放熱器の基本
的構造を示す斜視図であり、且つ本発明の第一実施例を
示す斜視図である。
【図4】本発明のステレオ型ヒートパイプ放熱器の適用
例を示す説明図である。
【図5】本発明のステレオ型ヒートパイプ放熱器の他の
適用例を示す説明図である。
【図6】本発明のステレオ型ヒートパイプ放熱器の更に
その他の適用例を示す説明図である。
【図7】本発明のステレオ型ヒートパイプ放熱器の第一
実施例の構造を線画略図で示す断面説明図である。
【図8】本発明のステレオ型ヒートパイプ放熱器の第二
実施例の構造を線画略図で示す断面説明図である。
【図9】本発明のステレオ型ヒートパイプ放熱器の第三
実施例および第四実施例共通の図面であり、それらの構
造を線画略図で示す断面説明図である。
【図10】本発明のステレオ型ヒートパイプ放熱器の第
五実施例の構造を線画略図で示す断面説明図である。
【図11】従来型のヒートパイプによる三次元熱交換の
一例を示す斜視図である。
【図12】従来型のヒートパイプによる三次元熱交換の
他の一例を示す斜視図である。
【図13】従来型のステレオ型ヒートパイプ放熱器の構
造例を示す側面図である。
【符号の説明】
1 多孔扁平管 1−1 熱量授受面 1−6 ステレオ型ヒートパイプ放熱器 2 隔壁 3 貫通細孔 4 隔壁切除部 5 隔壁切除部 6 圧潰部 7 溶接封止部 8 作動液注入孔 8−1 溶接封止部 11 第一構成要素プレートヒートパイプ 11−1 延長部 11−2 第二構成要素細管ヒートパイプ 11−4 螺旋蛇行細管ヒートパイプ 12 熱拡散プレート 13 発熱素子 14 風洞 15 対流風 15−1 強制対流風 15−2 自然対流風 16 蛇行コルゲートフィン 17 冷却ファン 18 筐体壁 18−1 筐体側壁面 18−2 筐体天井壁面 18−3 筐体底壁面

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒートパイプの受熱部と放熱部の相互間
    を結ぶ熱輸送経路となる細管コンテナが、複数の局部的
    受熱面から大表面積放熱部に立体的に展開される熱輸送
    回路を備え、または細管コンテナが立体的に展開して構
    成された大表面受熱部から複数の局部的放熱面に集約さ
    れる熱輸送回路を備えたステレオ型ヒートパイプ放熱器
    であって、この放熱器の外周は、蛇行細径トンネルを内
    蔵するプレートヒートパイプが、その蛇行屈曲により、
    ステレオ型ヒートパイプ放熱器の各熱量授受面に相当す
    る複数平面を有し、且つ他の対向する対平面(開口面)
    が熱媒流体の流入流出面として形成されてある風洞構造
    の外殻体として形成されてあり、それと共にこの外殻体
    を形成するプレートヒートパイプの両内平面相互間と、
    必要によってはこのプレートヒートパイプが外殻体の内
    部に延長される部分の両平面をも含む各平面の相互間
    は、相互に並列に対向する平面対向構造として形成され
    てあり、この平面対向構造を形成する蛇行細径トンネル
    内蔵のプレートヒートパイプを第一の構成要素とし、こ
    のプレートヒートパイプの対向する並列平面間を往復蛇
    行(螺旋蛇行を含む)して両平面間を伝熱的に接続す
    る、長尺可撓性の蛇行ヒートパイプを第二の構成要素と
    し、第一及び第二の構成要素が伝熱的に組み合わせられ
    てあるか、または第一及び第二の構成要素の組み合わせ
    体が一連の長尺プレートヒートパイプにより一体構成さ
    れてあるかして、立体的熱輸送回路が構成されてあるこ
    とを特徴とするステレオ型ヒートパイプ放熱器。
  2. 【請求項2】 第一の構成要素をなす蛇行細径トンネル
    内蔵のプレートヒートパイプ及び第二の構成要素をなす
    蛇行ヒートパイプが何れも多孔扁平管により形成された
    蛇行細径トンネル内蔵のプレートヒートパイプであり、
    これ等を構成要素として構成された放熱器は六面体の立
    体構造であり、その中の対向する二面が熱媒流体の流入
    流出流路であり、他の四面は複数同時または選択的に何
    れの面も受熱面として適用出来るよう構成されてあるこ
    とを特徴とする請求項1に記載のステレオ型ヒートパイ
    プ放熱器。
  3. 【請求項3】 第一の構成要素と第二の構成要素は一条
    の多孔扁平管で形成された蛇行細径トンネル内蔵の長尺
    プレートヒートパイプにより連続一体化されて構成され
    てあることを特徴とする請求項1に記載のステレオ型ヒ
    ートパイプ放熱器。
  4. 【請求項4】 第二の構成要素の蛇行ヒートパイプは蛇
    行(螺旋蛇行を含む)細管ヒートパイプであり、この蛇
    行ヒートパイプが第一の構成要素の平面対向部の両平面
    間を往復蛇行せしめられ、両平面間を伝熱的に接続して
    構成されてあることを特徴とする請求項1に記載のステ
    レオ型ヒートパイプ放熱器。
  5. 【請求項5】 第二の構成要素の蛇行ヒートパイプは弾
    性金属の細管を素材としてバネ性を与えて形成された蛇
    行(螺旋蛇行を含む)弾性細管ヒートパイプであり、こ
    の蛇行ヒートパイプが第一の構成要素の蛇行細径トンネ
    ル内蔵のプレートヒートパイプが並列対向する平面間に
    着脱自在に且つ弾性的に圧入挿接されて構成されてある
    ことを特徴とする請求項1に記載のステレオ型ヒートパ
    イプ放熱器。
  6. 【請求項6】 第二の構成要素の蛇行ヒートパイプは蛇
    行細径トンネル内蔵のプレートヒートパイプであり、こ
    のプレートヒートパイプが蛇行して形成される並列平面
    対向部の間隙に、所定の種類の精細フィン群がろう接、
    溶接、圧入、弾性的圧入等の手段に依り配設されてある
    ことを特徴とする請求項1に記載のステレオ型ヒートパ
    イプ放熱器。
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