JP5287599B2 - 電子機器 - Google Patents

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Description

本発明は、筐体内で回路基板に実装された電子部品を冷却装置により冷却する電子機器に係り、詳しくは電子部品としてDDR2・SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)、DDR3・SDRAM等のSDRAMを備えた電子機器に関する。
従来、電子機器では、製品の用途・種類により使用されていない時間が一定時間続くと、消費電力を抑えるための省エネルギー動作モードに移行するタイプのものが知られている。省エネルギー動作モードは、電子機器に装備されている一部のデバイス(電子部品)への電源供給を停止し、消費電力を低くするための動作モードである。
一般に省エネルギー動作モードへ移行した際には、省エネルギー動作モードから復帰したときに必要なデータをメモリデバイスであるSDRAMへ格納しておき、SDRAM以外の殆どのデバイスに対する電力供給を停止することにより、高い省エネルギー効果を得ている。このような高省エネルギー動作モードは、省エネルギー動作モードの中でも特にSuspend・To・RAM(以下、STRとする)と呼ばれている。
SDRAMは、構造上、格納していたデータが時間経過によって消失されてしまう特性がある(不揮発性でなく揮発性である)ため、リフレッシュと呼ばれるデータの上書き作業が必要である。通常動作時において、このリフレッシュ開始の信号はDRAMコントローラより送られるが、STR時にはリフレッシュ開始の信号が外部より与えられていなくても、自身でリフレッシュするセルフリフレッシュを行う。
因みに、ここでのDRAMコントローラに関連する周知技術としては、例えばページモード或いはノーマルモードを選択可能にしたDRAM制御装置(特許文献1参照)等が挙げられる。
ところで、STR中は、電子機器に搭載されている殆どのデバイス(電子部品)が停止状態となるため、電子機器内の温度は通常動作時よりも低くなるが、冷却ファン等の冷却装置が搭載された電子機器の場合にはSTRへ移行すると、その直後に冷却ファンが停止してしまうため、一時的に機器内の温度が上昇することがある。
上述したSDRAMは、特に動作温度が高いデバイスの1つとして知られ、動作温度に比例して高いリフレッシュレートが必要となる特性があるため、通常、最高動作温度時に問題のないリフレッシュレートを選択する必要がある。しかしながら、リフレッシュレートに比例して消費電力が上昇するため、常に最高動作温度でのリフレッシュレートで動作させると、消費電力が高くなってしまうという問題がある。
これに対し、リフレッシュレートが動作温度に対して十分な値でない場合には、STR直後に動作温度が高くなり、SDRAMの保証温度を超えると動作温度に対してリフレッシュの回数が足りなくなることにより、データが失われてしまう。
そこで、電子機器内の温度に合わせて適切なリフレッシュレートを可変にして選択して設定できれば、こうした問題を解消することができる。DRAMにおけるリフレッシュレートを可変にする技術は、既に開発されており、例えばセルフリフレッシュの制御として、外部の発振回路によってリフレッシュレートを可変させるようにした半導体記憶装置(特許文献2参照)、メモリコントローラ側でECC(Error Correcting Code)1ビットエラー訂正発生時に温度に応じて適切なリフレッシュ間隔を動的に短く設定する温度補償を行うメモリ制御方法、メモリシステム、およびプログラム(特許文献3参照)、測定温度に基づくリフレッシュリクエスト指示を受けたDRAMコントローラがDRAMセルアレイのリフレッシュサイクルを開始し、アレイの集積回路ダイ上のコントローラがリフレッシュサイクルを実行することでセルフ(自己)リフレッシュモードへ移行する電子システム(特許文献4参照)が挙げられる。
上述した特許文献2〜特許文献4に係る技術は、共通する基本機能として、温度センサを持たせてDRAMの温度を検出し、その温度センサで得られた温度情報に基づいて最適なリフレッシュレートを設定することにより、最も電力損失の少ないリフレッシュレートを選択することが可能となっている。
しかしながら、こうした技法では、冷却装置が実装された電子機器での使用条件下、即ち、冷却装置の冷却ファンが回転しており、且つ筐体内の温度が高い状態でSTRへ移行する場合を想定すると、冷却ファンが停止してしまうことにより、一時的に筐体内の温度が上昇し、DRAMの動作温度が保証範囲外になってしまうという問題がある。因みに、STR中のDRAMはセルフリフレッシュモードで動作しており、外部からリフレッシュレートを変更することが不可能であるため、DRAMの動作温度が保証範囲外になることを回避できず、こうした場合にデータが損失されてしまう危険性を解消できないという難点がある。
本発明は、このような問題点を解決すべくなされたもので、その技術的課題(目的)は、冷却装置の冷却機能による筐体内の温度変化に拘わらず、適切なリフレッシュレートを設定でき、筐体内の回路基板に実装された電子部品に含まれるSDRAMにおけるデータ損失を適確に防止できる電子機器を提供することにある。
本発明は、上記技術的課題を解決したものであり、揮発性記憶手段(SDRAM)を含む電子部品を実装した回路基板と、揮発性記憶手段(SDRAM)の温度情報を検出する温度センサと、電子部品を冷却する冷却装置と、を筐体内に配備して成り、揮発性記憶手段(SDRAM)は、高省エネルギー動作モードで動作するセルフリフレッシュ機能を持つ電子機器において、揮発性記憶手段(SDRAM)がセルフリフレッシュのモードへ移行する前に温度センサにより測定した温度情報に基づいて当該セルフリフレッシュのモード時のリフレッシュレートを決定するためのモードレジスタであるセルフリフレッシュ温度レンジの値を決定する温度レンジ決定手段を備え、揮発性記憶手段(SDRAM)は、温度レンジ決定手段により決定されたセルフリフレッシュ温度レンジの値に応じて設定されたリフレッシュレートに従ってセルフリフレッシュのモードへ移行することを特徴とする。
本発明の電子機器によれば、筐体内の回路基板に実装された電子部品に含まれるSDRAMについて、高省エネルギー動作モードにあって、セルフリフレッシュモードの動作が行われる前に温度レンジ決定手段により温度センサの温度情報に基づいてセルフリフレッシュのモード時のリフレッシュレートを決定するためのモードレジスタであるセルフリフレッシュ温度レンジ(Self−Refresh・Temperature・Range/以下、SRTとする)の値を設定し、この後にSDRAMのセルフリフレッシュモードの動作へ移行させるため、冷却装置の冷却機能による筐体内の温度変化に拘わらず、適切なリフレッシュレートを設定でき、SDRAMにおけるデータ損失を適確に防止することができる。
本発明の実施例1に係る電子機器で適用されるSDRAMの動作温度の設定値の変更を説明するための機器動作時間条件に対する動作温度の対応関係を示したタイミングチャートである。 本発明の実施例1に係る電子機器の基本構成を示したブロック図である。 図2に示す電子機器の要部となるSDRAM制御システムの細部構成を示したブロック図である。 図3に示すSDRAM制御システムによるSDRAM制御の動作処理を示したフローチャートである。 図2に示す電子機器に備えられるディスプレイの表示画面上に表示されるSRT設定値の変更条件についての処理設定画面を例示した模式図である。
以下に、本発明の電子機器について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例1に係る電子機器で適用されるSDRAMの動作温度の設定値の変更を説明するための機器動作時間条件に対する動作温度の対応関係を示したタイミングチャートである。
最初に、本発明に係る技術的概要を説明すれば、高省エネルギー動作モードで動作するセルフリフレッシュ機能を持つSDRAMが自身でリフレッシュを行うセルフリフレッシュモード移行前のシステムの動作状態には、例えば図1中の機器動作時間条件として、機器動作中から機器動作終了までの時間経過で示される使用期間t3があるが、ここでは使用期間t3を1つの条件としてこれが或る閾値を超えた場合にSRTの設定値を変更(SDRAMの動作温度の設定値を変更)するか否かを判断することができる。
図1中の機器動作終了後に示される期間t1は、SRTの設定値を変更する条件を一旦満たした後、条件を満たさなくなってからの経過時間を示すものである。又、期間t2は、SRTの設定値の変更に要する所要時間を示すものである。
図1中の動作温度特性におけるA点は、電子機器が搭載する冷却装置の冷却ファンが動作中のときに相当する通常動作モードにあって、CPUの稼動率が90%のときの温度を示している。B点は、その後に電子機器がSTRモードへ移行して冷却ファンが停止したときの温度を示している。その後のB点からC点までが冷却ファンの停止によって筐体内の温度が上昇し、SDRAMの温度が上昇することを示している。
図1を参照してSRTの設定値の変更を時間経過で説明すれば、A点ではSRTの設定値を変更する条件である機器動作についての使用期間t3が閾値を超えると共に、CPUの稼働率が90%に到達しているが、その後にCPU3の稼働率が90%以下となり、SRTの設定値を変更する条件を満たさなくなる。しかし、更にその後は、STR移行条件が満たされていれば、期間t1分の時間経過後にB点でSRTへ移行するため、このタイミングの時間経過で再びSRTの設定値を変更する条件が満たされたとき、SDRAMのSRTの設定値を変更することができる。SDRAMのSRTの設定値の変更は、A点からC点までの期間t2分の時間を要して行われる。
SDRAMのSRTの設定値を変更するとき、DRAMコントローラによりSDRAMへプリチャージコマンドを入力し、SDRAMをアクティブモードからアイドルモードに移行させる。その状態でモードレジスタのSRTの設定値を0から1へ変更し、その後にSRTへ移行する。SRTの設定値を1に変更設定することによって、SRT中のセルフリフレッシュ動作温度を95度まで保証することができる。
以上に説明したSRTの設定値の変更は、CPUからの制御の指示で説明すれば、システムの動作状態が所定の条件(機器動作についての使用期間t3が閾値を超えると共に、CPU3の稼働率が90%に到達している条件)を満たしている間か、或いは所定の条件を満たさなくなってから所定の時間内(上述した例に該当する)のときに、DRAMコントローラを介してSDRAMの動作温度の設定値(SRTの設定値)を変更する指示を行うと共に、変更された設定値に基づいてセルフリフレッシュの動作へ移行(SRTへ移行)する指示を行う処理に該当する。因みに、ここで説明したCPU、DRAMコントローラ、及びSDRAMの組み合わせは、後述するようにSDRAM制御システムを構成するものである。
尚、SRTの設定値の変更条件について、上述した機器動作についての使用期間t3が閾値を超えていること、CPU3の稼働率が90%に到達していることの諸点は、何れも動作条件とみなすことができ、図1中に示される期間t1<期間t2の関係は時間条件とみなすことができる。
但し、以下に説明する本発明の電子機器では、SRTの設定値変更の条件として、機器動作状況として使用期間t3を用いると共に、CPU3の稼働率に代えてSDRAMの周辺温度を検出した結果の温度情報を用いる。
図2は、本発明の実施例1に係る電子機器の基本構成を示したブロック図である。この電子機器は、互いに接続されるグラフィック/メモリコントローラ2a及びI/Oコントローラ2bを備えたチップセットとして構成されるDRAMコントローラ2を備え、DRAMコントローラ2におけるグラフィック/メモリコントローラ2aに接続された構成部分として、CPU3と、専用のDDR3インターフェース(I/F)4を介して接続されたDDR3・SDRAM(DIMM)によるSDRAM1と、を備えている。その他、グラフィック/メモリコントローラ2aに接続される周辺構成部分として、ユーザーインターフェースを介して接続されたディスプレイ7が付設されている。
また、この電子機器は、DRAMコントローラ2におけるI/Oコントローラ2bに接続された構成部分として、専用のSATAインターフェース(I/F)6を介して接続されたSATA(HDD)5と、専用のI2Cインターフェース(I/F)11を介して接続された温度センサ10と、Etheret(登録商標)インターフェース(I/F)8と、USB2.0インターフェース(I/F)9と、を備えて構成されている。
このうち、SDRAM1、DRAMコントローラ2、CPU3を含む電子部品は、回路基板に実装された上、SDRAM1の温度情報を検出する温度センサ10や電子部品を冷却する冷却装置と共に筐体内に配備され、これによって電子機器が作成される。温度センサ10は、複数の機能を持ったIC(例えばDRAMコントローラ2やCPU3)の1機能として組み込むことも可能である。
CPU3は、SDRAM1がセルフリフレッシュのモードへ移行する前に温度センサ10により測定した温度情報に基づいてセルフリフレッシュのモード時のリフレッシュレートを決定するためのモードレジスタであるSRTの設定値を決定する温度レンジ決定機能を持つ。即ち、CPU3は、温度レンジ決定手段として働き、DRAMコントローラ2のグラフィック/メモリコントローラ2aを指示してSDRAM1のSRTの設定値を変更する。これにより、SDRAM1は、CPU3の温度レンジ決定機能により決定されたSRTの設定値に応じて設定されたリフレッシュレートに従ってセルフリフレッシュのモードへ移行する。
SATA(HDD)5は、SRT値を変更設定するための温度閾値を記憶した記憶手段である。CPU3は、SDRAM1がセルフリフレッシュのモードへ移行する前に温度センサ10により検出した温度情報をSATA(HDD)5の温度閾値と比較した結果に応じて、冷却装置の冷却機能を継続して働かせる(冷却ファンの回転を継続させることを示す)ように動作制御する温度制御手段として働く。これにより、SDRAM1は、CPU3で制御された冷却機能により筐体内の温度が下げられた状態であって、且つSRTの値が1に設定された状態でセルフリフレッシュのモードへ移行する。
DRAMコントローラ2は、温度センサ10により測定される温度情報についての温度閾値を冷却装置の使用環境による冷却機能の変化に応じて変更する温度閾値設定機能を持つ。即ち、DRAMコントローラ2におけるグラフィック/メモリコントローラ2aは、温度閾値設定手段として働き、必要に応じてSDRAM1のSRTの設定値を変更する。この温度閾値設定機能を働かせるためには、SATA(HDD)5の温度閾値をUSB2.0インターフェース(I/F)9やRS−232等の外部インターフェースと別途用意したパーソナルコンピュータ(PC)とを接続ケーブルで接続し、SRTの設定値を変更するための温度閾値について、パーソナルコンピュータ(PC)から設定値変更用コマンドをDRAMコントローラ2及びCPU3に伝送することにより、温度閾値を任意の値に変更して設定すれば良い。また、ユーザインターフェースやI/Oコントローラ2bを経由するEtheretインターフェース(I/F)8から指示制御や、電子機器に付設された設定値変更用ディップスイッチ等を用いても、同様に温度閾値を任意の値に変更設定することが可能である。
電子機器において、STRモード移行時に冷却装置の冷却機能(冷却ファン)の停止後の筐体内又はそのSDRAM1周辺温度上昇は、設置場所の使用環境に依存するもので、例えば暑い環境下では殆どなく、寒い環境下では少ないものの、僅かに現れる。このため、温度情報変更機能は、電子機器の設置後にSRT値変更条件の温度値を調整することにより、SRT値変更条件を精度高くするために有効である。
また、グラフィック/メモリコントローラ2aは、温度レンジ決定機能によるSRT値を変更する機能の有効、無効を切り替える切替機能(切替手段)を有する。切替機能を働かせるための具体例についても、先に説明した温度情報変更機能の場合と同様な手段を例示できる。即ち、ここでの切替機能は、温度閾値を任意の値に変更設定した後に、それを実際に機能させるか否かの機能に他ならない。
この切替機能は、電子機器の設置場所(地域や温度環境)の温度状況により、動作状況に拘わらず、常時SDRAM1の動作温度が85度以下となり、SRT値を1に設定(変更設定)する必要がない場合、SRT値の切り替え機能をオフとすることで無駄な条件判断処理をなくし、CPU3やDRAMコントローラ2の処理負担を軽減させるために有効である。
ディスプレイ7に接続されるユーザーインターフェースは、温度センサ10で得られる温度情報に基づいてCPU3の温度レンジ決定機能によりSRT値を変更するときの温度値の指示設定(変更を含む)、並びにグラフィック/メモリコントローラ2aの切替機能によるCPU3の温度レンジ決定機能でのSRT値の変更機能の有効、無効の切り替えを指示制御する。このユーザーインターフェースは、上述したディスプレイ7を接続する構成とする以外、キーボード、マウス、タッチパネル、液晶及び各種ボタンが備えられた操作部等を具備した構成とすることができる。
図5は、ディスプレイ7の表示画面上に表示されるSRT設定値の変更条件についての処理設定画面を例示した模式図である。ここでは、SRT設定値変更条件として、ユーザが省エネモード移行時に温度センサ10からの温度情報が50度(℃)以上ならSRT値を変更するSRT値自動変更機能(この温度値は任意に指定することができる)が表示され、またSRT値自動変更機能を無効にする機能についても選択指定できるように表示した様子を示している。
即ち、ユーザーインターフェースを備えることにより、SRT値の設定値や温度値の設定値を変更するために回路基板に専用の設定値変更用スイッチや設定値を変更するためのそれらの値を記録した記録媒体等の特別な構成を用意する必要がなく、設定値の設定変更を簡易に行わせるために有効である。
I/Oコントローラ2bを経由するEtheretインターフェース(I/F)8は、温度センサ10による温度情報に基づいてCPU3の温度レンジ決定機能によりSRT値を変更するときの温度値の指示設定(変更を含む)、並びにグラフィック/メモリコントローラ2aの切替機能によるCPU3の温度レンジ決定機能でのSRT値の変更機能の有効、無効の切り替えをEtheret(ネットワーク)を介して制御する。
ここでは、Etheretインターフェース(I/F)8を例示しているが、一般的なネットワークインターフェースとしてローカルエリアネットワーク(LAN)やインターネットにアクセス可能な状態を得ておき、電子機器にアクセスするためのパーソナルコンピュータ(PC)によりネットワーク経由で電子機器へ設定値変更用コマンドを送信することにより、CPU3の温度レンジ決定機能によりSRT値を変更するときの温度値の指示設定(変更を含む)、並びにグラフィック/メモリコントローラ2aの切替機能によるCPU3の温度レンジ決定機能でのSRT値の変更機能の有効、無効の切り替えの指示設定を変更することができる。
即ち、ネットワークインターフェースを備えることにより、電子機器の設置場所まで出向くことなく、利用者や設置者以外のユーザが遠隔から設定値を設定変更するために有効である。
更に、DRAMコントローラ2やCPU3おける内部、或いはその他の箇所に時刻を計測して時刻情報を取得する時刻計測手段(タイマやクロック素子)を備えるようにし、グラフィック/メモリコントローラ2aの切替機能により時刻計測手段で得られた時刻情報が予め設定された条件時間を満たすか否かに応じて温度レンジ決定機能でのSRT値の変更機能の有効、無効を切り替えるようにすることも可能である。電子機器には、時刻計測手段として、リアルタイムクロック(RTC)素子を備える場合を例示できる。この場合、リアルタイムクロック素子から時刻情報を読み取り、例えば13時になったらSRT値変更機能を有効とし、15時になった時点でSRT値変更機能を無効とする場合を例示できる。
即ち、この時刻計測手段で得られた時刻情報に基づいて温度レンジ決定機能でのSRT値の変更機能の有効、無効を切り替える機能は、電子機器の設置場所(地域や温度環境)の時間帯により、例えば深夜等の特別な時間帯の場合、動作状況に拘わらず、常時SDRAM1の動作温度が85度以下となり、この時間帯ではSRT値を1に設定(変更設定)する必要がないため、SRT値の切り替え機能をオフとすることで無駄な条件判断処理をなくし、CPU3やDRAMコントローラ2の処理負担を軽減させるために有効である。
図3は、上述した電子機器の要部となるSDRAM制御システムの細部構成を示したブロック図である。
このSDRAM制御システムは、上述したDRAMコントローラ2に対して接続されたSDRAM1、及びCPU3を含む構成のものである。
SDRAM1は、高省エネルギー動作モード(SRT)で動作するセルフリフレッシュ機能を持つもので、ここではDDR3・SDRAMを用いるものとする。その他、SDRAM1には、DDR2・SDRAM、Mobil RAM等、SRTと同等の機能であるSRF(High Temperature Self−Refresh Rate Enable)やTCSR(Temperature Compensated Self Refresh)等のDRAMの規格を有するものを適用することができる。SRFは、DDR2・SDRAMにおいてSRTと同様の機能を果たすレジスタであり、そのレジスタの設定値によってセルフリフレッシュレートを変更することが可能である。また、TCSRも同様に、Mobil RAMにおいてセルフリフレッシュレートを決定するレジスタであり、温度情報を設定することによりセルフリフレッシュレートを決定することができる。
DRAMコントローラ2は、SDRAM1にDDR3インターフェース(I/F)4を介して接続され、セルフリフレッシュ移行時における動作温度の設定値を温度レンジが異なるものとして可変設定するための制御(SRTの設定値の制御)を行うものである。CPU3は、SDRAM1によりセルフリフレッシュの動作が行われる前にデバイスの動作温度に相関性を持つ機器動作状態に応じて制御の指示を行う。DRAMコントローラ2は、CPU3の制御の指示に従ってSDRAM1の動作温度の設定値を変更してからセルフリフレッシュの動作を行わせる。
尚、SDRAM1は、DDR2・SDRAMである場合には専用のDDR2インターフェース(I/F)を介してDRAMコントローラ2との間の接続が行われる構成となるが、図3に例示したDDR3・SDRAMのSDRAM1の場合には、DRAMコントローラ2から専用のDDR3インターフェース(I/F)4を介して各種信号が種別のピンCK,/CK、CKE、/CS、ODT、/RAS,/CAS,/WE、DM、BA0−BA2、A0−A13、/RSET、DQ、DQS,/DQS、TDQS,/TDQSを経由して伝送される。
何れにしても、SDRAM1のモードレジスタには、SRTが設定項目として存在するため、本発明では電子機器の動作状態に応じて、温度センサ10で得られた温度情報に基づいてCPU3及びDRAMコントローラ2の働きでSRTの設定値を変更することにより、SDRAM1の動作温度の設定値を変更する。SDRAM1のモードレジスタの設定次第でセルフリフレッシュ動作中のリフレッシュレートが変化する。
具体的に云えば、SDRAM1のモードレジスタが低リフレッシュレートとなる0で設定された場合には、動作保証温度が0度〜85度の温度範囲となり、高リフレッシュレートとなる1で設定された場合には、動作保証温度が0度〜95度の温度範囲となる。
通常リフレッシュレートは、デバイスの動作温度が高い程、高いレートが必要となり、デバイスの動作温度が低い場合にはリフレッシュレートも低くすることが可能である。リフレッシュレートが高い場合には、デバイスの動作温度が高ければ、低い場合でも同様であるようにリフレッシュ動作の観点からは問題ないが、消費電力が高くなってしまうという問題がある。
そこで、本願発明の電子機器におけるSDRAM制御システムでは、回路基板に実装されたSDRAM1の温度を検出するための温度センサ10で得られた温度情報に基づいて適切なリフレッシュレートを設定し、こうした問題を解決する。
図4は、上述したSDRAM制御システムによるSDRAM制御の動作処理(CPU3の制御の指示)を示したフローチャートである。但し、ここでのSDRAM制御システムのCPU3には、SDRAM1周辺の温度を検出した温度センサ10からの温度情報が入力され、この温度情報が電子機器の筐体内に配備される冷却装置(冷却ファン)の冷却機能の影響を被る条件下を想定するものとする。
SDRAM制御の動作処理では、まず電子機器のシステム待機状態にあって、CPU3が操作無し時間をカウントしたカウント値やユーザからの指示によりSTR移行条件を満たすか否かの判定(ステップS1)を行い、SRT移行条件を満たしていなければ、システム待機状態に戻るが、SRT移行条件を満たしていれば、機器動作状態の使用期間t3が閾値を超えていることを要件とし、温度センサ10から得られたSDRAM1の温度情報(温度)はSRT値変更条件を満たすか否かの判定(ステップS2)を行う。この結果、SRT値変更条件を満たしていれば、SRT値変更(ステップS3)の処理を行ってからSTRモードへ移行(ステップS4)するが、SRT値変更条件を満たしていないときにもSTRモードへ移行(ステップS4)する。
上述したSRT値変更条件を満たすか否かの判定(ステップS2)は、CPU3のDRAMコントローラ2を介在した処理により、温度センサ10で検出された温度情報(温度値)がSATA(HDD)5等の記憶媒体に記憶されたSRT設定値の変更条件を満たすか否かを判断することにより行う。SATA(HDD)5等(フラッシュメモリでも良い)の記憶媒体には、SRTの設定値の変更条件を満たす場合と満たさない場合との温度閾値が記憶されている。
具体的には、STRの設定値の変更条件が70℃であった場合、CPU3が温度センサ10によって検出された温度値と70℃とを比較し、検出された温度値が70℃を越えていればSRT値変更(ステップS3)を行ってからSTRモードへ移行(ステップS4)し、70℃以下であればSRT値変更(ステップS3)を行わずにSTRモードへ移行(ステップS4)する。
因みに、SRT値変更条件を満たさない場合にSTRモードへ移行(ステップS4)するとき、DRAMコントローラ2によりSDRAM1へCKE、CS、ODT、/RAS,/CAS,/WEによって構成されるセルフリフレッシュモードコマンドを送信することにより、SDRAM1はセルフリフレッシュモードへ移行する。また、SRT値変更(ステップS3)の場合、DRAMコントローラ2によりSDRAM1へプリチャージコマンドを入力させ、SDRAM1をアクティブモードからアイドルモードへ移行させた状態でモードレジスタのSRTの設定値を1へ変更した後、セルフリフレッシュモードへ移行する。但し、ここでセルフリフレッシュモードへ移行する前にCPU3が冷却装置の冷却ファンを回転し続け、温度センサ10からの温度情報(温度値)が記憶媒体に保存された温度閾値(70℃)以下になったか否かを判断し、温度閾値(70℃)以下のときにセルフリフレッシュモードへ移行するようにしても良い。ここでの温度閾値70℃は、先のSTRの設定値の変更条件としての温度閾値70℃とは別な設定値(例えばもう少し低い温度)にすることも可能である。
この後、CPU3は復帰要求がきたか否かの判定(ステップS5)を行い、復帰要求がきていなければこの処理の前に戻って復帰要求が来るまで待機するが、復帰要求が来たら復帰処理(ステップS6)を行った後、システム待機状態へ移行する。
ところで、上述した図4のSDRAM制御の動作処理において、SRT値変更条件を満たすか否かの判定(ステップS2)の結果、SRT値変更条件を満たしている場合の以後の処理手順は、直ちにSTRモードへ移行(ステップS4)するのではなく、SRT値を1に設定するようにしてから冷却装置の冷却ファンをしばらく回しておき、筐体内の温度を下げてからSRT値を1に設定した状態でセルフリフレッシュモードへ移行するようにしても良い。
要するに、筐体内の温度が高い状態でSTRに移行しなければならない場合、SRT値変更(ステップS3)のみならず、冷却装置の冷却ファンをしばらく回し続けて筐体内温度を下げた後、SDRAM1の保障範囲の高いSRT値を1に設定した状態でセルフリフレッシュを行うようにすることが望ましい。これにより、冷却ファンを停止して再び筐体内温度が上昇してしまうような環境に電子機器が設置されていたとしても、SDRAM1の保障範囲の高いSRT値=1の設定状態でセルフリフレッシュが行われるため、データの損失を確実に防止できる。尚、冷却ファンを回し続ける時間制御については、CPU3が温度センサ10で検出したSDRAM1周辺の温度(筐体内の温度)に基づいて予測したり、計算により求めることが可能である。
上述した実施例1に係る電子機器では、STRモードへ移行する前に温度センサ10が筐体内のSDRAM1の温度情報を知ることにより、冷却装置の冷却機能(冷却ファン)が停止した後の筐体内のSDRAM1周辺の温度変化(温度上昇)を推測すること、即ち、SDRAM1の動作保証温度が動作保証温度範囲外となることを推測することができるので、SDRAM1の動作温度が動作保証温度範囲外となることが推測された場合にはSDRAM1のモードレジスタのSRT値を1に設定することにより、保証温度範囲が拡張されるようになる。この結果、通常動作時(SRT値=0の場合)では、動作保証温度範囲外でのセルフリフレッシュ動作により記憶手段に記憶されたデータが損失されてしまう条件下でも、SRT値を1に設定することでデータの損失を回避することができる。
SDRAM1では、モードレジスタにSRTが設定項目としてあるため、上述した設定を行うことによりセルフリフレッシュ動作中のリフレッシュレートが変化する。本実施例1の場合、低リフレッシュレートのSRT値=0の場合には、0度から85度までの動作保障温度範囲としており、高リフレッシュレートのSRT値=1の場合には、0度から95度までの動作保障温度範囲としている。
1 SDRAM
2 DRAMコントローラ
2a グラフィック/メモリコントローラ
2b I/Oコントローラ
3 CPU
4 DDR3インターフェース(I/F)
5 SATA
6 SATAインターフェース(I/F)
7 ディスプレイ
8 Ethernet(登録商標)インターフェース(I/F)
9 USB2.0インターフェース(I/F)
10 温度センサ
11 ICインターフェース(I/F)
特開平4−254985号公報 特開2005−222574号公報 特開2008−251066号公報 特表2008−522345号公報

Claims (7)

  1. 揮発性記憶手段を含む電子部品を実装した回路基板と、前記揮発性記憶手段の温度情報を検出する温度センサと、前記電子部品を冷却する冷却装置と、を筐体内に配備して成り、前記揮発性記憶手段は、高省エネルギー動作モードで動作するセルフリフレッシュ機能を持つ電子機器において、
    前記揮発性記憶手段が前記セルフリフレッシュのモードへ移行する前に前記温度センサにより測定した前記温度情報に基づいて当該セルフリフレッシュのモード時のリフレッシュレートを決定するためのモードレジスタであるセルフリフレッシュ温度レンジの値を決定する温度レンジ決定手段を備え、
    前記揮発性記憶手段は、前記温度レンジ決定手段により決定された前記セルフリフレッシュ温度レンジの値に応じて設定された前記リフレッシュレートに従って前記セルフリフレッシュのモードへ移行することを特徴とする電子機器。
  2. 請求項1記載の電子機器において、前記セルフリフレッシュ温度レンジの値を変更設定するための温度閾値を記憶した記憶手段と、前記揮発性記憶手段が前記セルフリフレッシュのモードへ移行する前に前記温度センサにより検出した前記温度情報を前記記憶手段の前記温度閾値と比較した結果に応じて、前記冷却装置の冷却機能を継続して働かせるように動作制御する温度制御手段と、を備え、
    前記揮発性記憶手段は、前記温度制御手段により前記筐体内の温度が下げられた状態であって、且つ前記セルフリフレッシュ温度レンジの値が1に設定された高リフレッシュレートでセルフリフレッシュを行う状態で前記セルフリフレッシュのモードへ移行することを特徴とする電子機器。
  3. 請求項1又は2記載の電子機器において、前記温度センサにより測定される前記温度情報に基づいてセルフリフレッシュ温度レンジの値を変更する際の前記温度閾値を変更可能に設定する温度閾値設定手段を備えたことを特徴とする電子機器。
  4. 請求項3記載の電子機器において、前記温度レンジ決定手段による前記セルフリフレッシュ温度レンジの値を変更する機能の有効、無効を切り替える切替手段を備えたことを特徴とする電子機器。
  5. 請求項4記載の電子機器において、前記温度レンジ決定手段により前記セルフリフレッシュ温度レンジの値を変更するときの前記温度値の指示設定、並びに前記切替手段による当該温度レンジ決定手段での前記セルフリフレッシュ温度レンジの値の変更機能の有効、無効の切り替えを指示制御するユーザーインターフェースを備えたことを特徴とする電子機器。
  6. 請求項4記載の電子機器において、前記温度レンジ決定手段により前記セルフリフレッシュ温度レンジの値を変更するときの前記温度値の指示設定、並びに前記切替手段による当該温度レンジ決定手段での前記セルフリフレッシュ温度レンジの値の変更機能の有効、無効の切り替えをネットワークを介して指示制御するネットワークインターフェースを備えたことを特徴とする電子機器。
  7. 請求項4記載の電子機器において、時刻を計測して時刻情報を取得する時刻計測手段を備え、前記切替手段は、前記時刻計測手段により得られた前記時刻情報が予め設定された条件時間を満たすか否かに応じて前記温度レンジ決定手段での前記セルフリフレッシュ温度レンジの値の変更機能の有効、無効を切り替えることを特徴とする電子機器。
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