JP5287432B2 - 多段プレス装置及びそれを用いた被成形体の成形方法 - Google Patents
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そこで、上記問題を解決すべく、特許文献1には、複数のプレス型を備え、さらにカシメ装置を備えたプレス装置が提案されている。
すなわち、複数のプレス型を並べて配設することから、もともとプレス装置自体が大型となり、装置を設置できる広いスペースが必要であった。そのため、さらにカシメ装置を追加することにより、装置はさらに大型となり、その分設置スペースが増大するという結果を招いていた。
少なくとも1つの上記プレス型は、上記被成形体に複数の付属部品をカシメ固定するためのカシメ装置を備えており、
該カシメ装置は、上記プレス型の内部に組み込まれた複数組のダイ及びポンチを有すると共に、上記プレス型を閉じた状態において、上記ポンチの先端部に設けられたカシメ凸部を上記ダイの先端部に設けられたカシメ凹部内に向かって押し込むことにより、上記被成形体に上記付属部品をカシメ固定することができるよう構成されており、
上記被成形体は、車両のエンジンルームを覆う開閉可能なフードの裏面部分に配設されるフードインナーであることを特徴とする多段プレス装置にある(請求項1)。
上記複数のプレス型を鉛直方向に一度に閉じることにより、上記複数の被成形体を一度にまとめてプレス成形するプレス工程と、
上記カシメ装置を備えた上記プレス型において、上記カシメ装置により上記被成形体に上記付属部品をカシメ固定するカシメ工程とを有し、
該カシメ工程では、上記プレス型を閉じた状態において、上記カシメ装置の上記ポンチの先端部に設けられたカシメ凸部を上記ダイの先端部に設けられたカシメ凹部内に向かって押し込むことにより、上記被成形体に上記付属部品をカシメ固定し、
上記被成形体は、車両のエンジンルームを覆う開閉可能なフードの裏面部分に配設されるフードインナーであることを特徴とする被成形体の成形方法にある(請求項2)。
すなわち、各工程(複数のプレス工程とカシメ工程)を別々の装置で行う場合には、インライン方式の生産ラインにこれらを組み込むことは困難である。そのため、ロット生産とせざるを得ず、プレス成形した上記被成形体をストックしておく場所(材庫スペース)の確保や上記被成形体の工程間における運搬が必要となり、これにカシメ工程を加えるとサイクルタイムも延びてしまう。
この場合には、上記被成形体に対してプレス成形を行った後、続けて上記付属部品のカシメ固定を行うことができる。そのため、工程間の時間短縮を図ることができ、生産効率をさらに高めることができる。また、上記プレス型を閉じた状態(下死点)において上記被成形体及び上記付属部品を保持した状態となるため、この状態で上記付属部品のカシメ固定を行うことにより、上記被成形体に対して上記付属部品を精度良くカシメ固定することができる。
この場合には、上記カシメ装置を用いてカシメ固定することで上記付属部品の取り付けを容易に行うことができるという本発明の効果を有効に発揮することができる。例えば、上記プレス型に複数の上記カシメ装置を組み込んでおけば、複数の上記付属部品を同時にカシメ固定することができ、生産効率をさらに高めることができる。
また、上記付属部品は、上記被成形体に対して複数箇所においてカシメ固定しておくことが好ましい。これにより、上記被成形体に対して上記付属部品を十分かつ確実に取り付けることができる。
ここで、上記フードインナーは、複雑な形状・構造を有しているため、通常、金属板等に対して複数回のプレス成形を行って所望の形状に成形したり、複数の付属部品(例えば、フードロック、フードヒンジ等)を取り付けたりして製造される。そのため、上記多段プレス装置を用いることにより、上記フードインナーを効率よく製造することができる。
本例の多段プレス装置1は、図1〜図11に示すごとく、上段プレス型3及び下段プレス型4を鉛直方向に並べて配置し、上段プレス型3及び下段プレス型4を鉛直方向に一度に閉じることにより、複数の被成形体8を一度にまとめてプレス成形可能に構成されたものである。そして、下段プレス型4は、被成形体8に対して複数の付属部品81をカシメ固定するためのカシメ装置5を備えている。
以下、これを詳説する。
また、下段プレス型4の下型42は、枠体22の底板222の上に固定されている。
また、上段プレス型3には、被成形体8を穴抜加工するための穴抜装置6が組み込まれている。この穴抜装置6は、上段プレス型3を閉じた状態において、被成形体8の所定の位置に穴抜加工を行うことができるよう構成されており、上型31には、穴抜刃部61が設けられており、下型32には、穴抜刃部61及びスクラップを逃がすための穴抜凹部62が設けられている。穴抜刃部61は、上下動可能に構成されている。
また、上段プレス型3においてプレス成形された被成形体8は、搬送手段(図示略)により下段プレス型4に搬送されるよう構成されている。
また、下段プレス型4には、被成形体8に付属部品81をカシメ固定するための複数のカシメ装置5が組み込まれている。なお、図3には、1つのカシメ装置5のみを図示してある。
本例においてプレス成形する被成形体8は、自動車のエンジンルームを覆う開閉可能なフードの裏面部分に配設されるフードインナーである。また、被成形体8に取り付ける付属部品81は、フードロック及びフードヒンジである。
一方、下段プレス型4内には、上段プレス型3において所望の形状にプレス成形され、搬送手段により上段プレス型3から下段プレス型4へと搬送された被成形体8及びその被成形体8に取り付ける付属部品81を配置する。本例では、下段プレス型4の下型42に組み込まれた位置決め装置7を用いて、被成形体8に対する付属部品81の位置決めを行う。
図4、図5に示すごとく、位置決め装置7は、付属部品81の位置決めを行うための位置決めピン71と、位置決めピン71の内側に回動可能に設けられた回動レバー72と、位置決めピン71に付属部品81をセットした際に回動レバー72が回動することを検出するセンサ部73とを有する。
また、位置決めピン71には、位置決めピン71を縦方向に分割すると共に横方向に貫通する回動貫通穴711が設けられている。この回動貫通穴711は、保持部74において縦方向に設けられた回動縦穴741に連通している。
また、回動レバー72の先端部には、回動方向(X方向、図7参照)に突出した突出部722が設けられている。突出部722は、回動レバー72が回動することによってセンサ部73に接触して押圧する部分である。
また、センサ部73は、センサ固定穴742に挿入した側の端面731に、回動レバー72が回動することによって突出部722が接触して押圧するスイッチ部732を有している。センサ部73は、回動レバー72の突出部722がスイッチ部732に接触して押圧すると、ケーブル76を介して信号処理部(図示略)に電気的な信号が送られるよう構成されている。なお、センサ部73や信号処理部は、従来から公知の様々なものを用いることができる。
まず、図6に示すごとく、下段プレス型4の下型42に、被成形体8を配置する。このとき、被成形体8に設けられた挿通穴800に位置決め装置7の位置決めピン71を挿通させて配置する。挿通穴800の内径は、位置決めピン71の外径よりも大きく、また回動レバー72のはみ出し部721にも接触しないほど大きく設定されている。そのため、被成形体8を配置しても、回動レバー72に接触することはなく、回動レバー72は回動しない。なお、被成形体8は、下型プレス型4の下型42において位置決め装置7の位置決めピン71とは異なる別の場所に設けられた位置決めピンによって位置決めされる。
そして、信号処理部は、すべてのセンサ部73からスイッチON信号を受け取ることにより、すべてのセンサ部73のスイッチがONの状態であること、すなわちすべての付属部品81が被成形体8の所定の位置に正しく位置決めされたことを確認する。
一方、下段プレス型4においては、上段41及び下型42を閉じることにより、被成形体8をプレス成形し、穴抜刃部411及び穴抜凹部421によって被成形体8の所定の位置に穴抜加工を行う。
そして、図11に示すごとく、下型42に配設されたポンチ52をこれに接続された油圧装置(図示略)によって上昇させ、ポンチ52の先端部に形成したカシメ凸部521をダイ51の先端部に形成したカシメ凹部511内に向かって押し上げる。これにより、ダイ51とポンチ52との間に配置された被成形体8と付属部品81とを加圧成形し、付属部品81に被成形体8の一部を食い込ませ、両者をカシメ固定する。なお、実際には、付属部品81は、被成形体8に対して複数箇所においてカシメ固定する。
そして、上段プレス型3及び下段プレス型4から被成形体8を取り出す。なお、上段プレス型3から取り出した被成形体8は、搬送手段によって付属部品81と共に下段プレス型4に搬送される。
本例の多段プレス装置1は、複数のプレス型3、4を鉛直方向に一度に閉じることにより、複数の被成形体8を一度にまとめてプレス成形することができるよう構成されている。そして、下段プレス型4は、被成形体8に付属部品81をカシメ固定するためのカシメ装置5を備えている。そのため、複数のプレス型とカシメ装置を水平方向に並べて配設する場合に比べて、装置の設置スペースを縮小することができる。また、下段プレス型4にカシメ装置5を組み込んでいるため、カシメ装置5を設けたことによる装置の大型化、設置スペースの拡大を抑制することができる。これにより、被成形体8に対する複数のプレス成形(プレス工程)に加えて、付属部品81のカシメ固定(カシメ工程)を行うことができ、それにもかかわらず、省スペース化を実現することができる。
すなわち、各工程(複数のプレス工程とカシメ工程)を別々の装置で行う場合には、インライン方式の生産ラインにこれらを組み込むことは困難である。そのため、ロット生産とせざるを得ず、プレス成形した被成形体8をストックしておく場所(材庫スペース)の確保や被成形体8の工程間における運搬が必要となり、これにカシメ工程を加えるとサイクルタイムも延びてしまう。
また、付属部品81は、被成形体8に対して複数箇所においてカシメ固定しておく。これにより、被成形体8に対して付属部品81を十分かつ確実に取り付けることができる。
また、位置決め装置7は、下段プレス型4の下型42に組み込まれて配設されている。そのため、限られたスペースの中で被成形体8に対する付属部品81の位置決めを精度良く行うことができる。
また、カシメ装置5は、下段プレス型4にのみ設けたが、複数のプレス型にそれぞれ設けてもよい。
また、カシメ装置5のダイ51とポンチ52とは、それぞれ上型41と下型42とに設けたが、付属部品81をカシメ方向によっては、これらの配置を逆にしてもよい。
また、カシメ装置5は、製品の形状によっては、プレス型に固定され、被成形体8の成形と同時にカシメ固定が行われるように構成してもよい。
3 上段プレス型
4 下段プレス型
5 カシメ装置
8 被成形体
81 付属部品
Claims (2)
- 複数のプレス型を鉛直方向に並べて配置し、該複数のプレス型を鉛直方向に一度に閉じることにより、複数の被成形体を一度にまとめてプレス成形可能な多段プレス装置であって、
少なくとも1つの上記プレス型は、上記被成形体に複数の付属部品をカシメ固定するためのカシメ装置を備えており、
該カシメ装置は、上記プレス型の内部に組み込まれた複数組のダイ及びポンチを有すると共に、上記プレス型を閉じた状態において、上記ポンチの先端部に設けられたカシメ凸部を上記ダイの先端部に設けられたカシメ凹部内に向かって押し込むことにより、上記被成形体に上記付属部品をカシメ固定することができるよう構成されており、
上記被成形体は、車両のエンジンルームを覆う開閉可能なフードの裏面部分に配設されるフードインナーであることを特徴とする多段プレス装置。 - 複数のプレス型を鉛直方向に並べて配置し、該複数のプレス型を鉛直方向に一度に閉じることにより、複数の被成形体を一度にまとめてプレス成形可能であると共に、少なくとも1つの上記プレス型が、上記被成形体に複数の付属部品をカシメ固定するためのカシメ装置を備え、該カシメ装置が、上記プレス型の内部に組み込まれた複数組のダイ及びポンチを有する多段プレス装置を用いて、上記被成形体を成形する方法であって、
上記複数のプレス型を鉛直方向に一度に閉じることにより、上記複数の被成形体を一度にまとめてプレス成形するプレス工程と、
上記カシメ装置を備えた上記プレス型において、上記カシメ装置により上記被成形体に上記付属部品をカシメ固定するカシメ工程とを有し、
該カシメ工程では、上記プレス型を閉じた状態において、上記カシメ装置の上記ポンチの先端部に設けられたカシメ凸部を上記ダイの先端部に設けられたカシメ凹部内に向かって押し込むことにより、上記被成形体に上記付属部品をカシメ固定し、
上記被成形体は、車両のエンジンルームを覆う開閉可能なフードの裏面部分に配設されるフードインナーであることを特徴とする被成形体の成形方法。
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