JP5285642B2 - 高解像度のスケール変更可能なグロス効果 - Google Patents

Description

本発明は、グロス効果を印刷文書に定めるための方法に関する。

セキュリティは、文書及びデジタル生成、及び／又はその複製の領域において重要な問題である。周知のデジタル画像印刷／複写システムは、高品質の文書を生成するので、チケット、金融証書、通行証等を含む高価値の印刷物のような特定の文書の実効的な印刷／複写を防止する必要性が識別されている。周知の技術は、通常の用紙、トナー、又はインクのみを用いるデジタル透かしを含むようにオリジナルの文書を印刷することを含む。広義のデジタル透かしは、通常の観察条件の下では印刷された画像内に少なくとも部分的に（好ましくは完全に、又は少なくとも実質的に）隠されるが、ある特化された観察条件の下ではより明瞭に識別することができる、例えば、１又はそれ以上の文字、語、記号、又はパターンなどの情報として定義される。こうしたデジタル透かしを含む文書の許可されていない複製は、典型的には、デジタル透かしを劣化させるか又は不明瞭にし、そのことは偽造文書を検出する助けとなり得る。

図１は、標準的な材料のみ、すなわち、通常のインク／トナー着色剤（例えば、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック）及び印刷又は「コピー」用紙のような通常の媒体を用いて、定め及び生成することができる周知のデジタル透かしの１つの種類である、通常のハーフトーングロスマークＧＭ構造の単純化された拡大図である。グロスマークＧＭは、同色のバックグラウンドＧＢに対して、印刷文書Ｄに定められる、１又はそれ以上の文字、記号、パターン等のグロスマークオブジェクトＧＯ（図１においてイタリック体の「Ａ」で示される）を含み、グロスマークオブジェクトＧＯ及びバックグラウンドＧＢは、それぞれ第１及び第２の異方性ハーフトーンドット構造を用いて定められる。文書Ｄを真っ直ぐに見たとき（すなわち、視線が、文書Ｄが印刷された用紙又はその他の媒体に対して少なくともほぼ直角である）、又は文書Ｄを従来の画像複製装置上で複写のために走査したとき、グロスマークオブジェクトＧＯ及びバックグラウンドＧＢの第１及び第２のハーフトーン構造は、実質的に一様な色のハーフトーン区域であるように知覚される又は感知される。しかしながら、印刷文書を斜角で見た場合には、グロスマークオブジェクトＧＯ及びバックグラウンドＧＢの第１及び第２のハーフトーン構造のそれぞれから反射される光には顕著な違いがあり、グロスマークオブジェクトＧＯは、人間の観察者が容易に知覚することが可能になる。従って、走査及び複製によりオリジナルの文書の偽造を生成しようとするどのような試みも、画像複製装置は異なるハーフトーン構造のＧＯとＧＢとの間を正確に区別しないために、グロスマークを劣化させる又は消してしまう。

現実の適用例においては、これらの周知のハーフトーングロスマークＧＭは、広範囲の異なる色のいずれか１つにより印刷できるが、グロスマークオブジェクトＧＯが第１及び第２の異方性ハーフトーンドット構造の空間要求に基づいて、約２４ポイント又はそれより大きい特定の最小サイズを有する（１ポイント＝１インチの１／７２）ことが必要である。さらに、特定のポイントサイズで定められたハーフトーングロスマークオブジェクトは、新しいフォントサイズに単純にスケール変更できない。その代わりに、各々の異なるサイズに対してグロスマークオブジェクトを定める必要がある。さらに、これらのハーフトーングロスマークはまた、ピクセル／ラインの整数倍でサイズ変更しなければならない。従って、ハーフトーングロスマークのこれら及びその他の制限を克服する高解像度の及びスケール変更可能なグロス効果を生成するための方法及び装置を提供することが望ましいと考えられている。

本開発の一態様により、グロス効果を印刷文書に定めるための方法は、第１及び第２の着色剤の組み合わせにより文書領域を印刷するステップを含む。第１の着色剤の組み合わせは、第１の着色剤スタック高さを定め、前述の第２の着色剤の組み合わせは、第１の着色剤のスタック高さとは異なる第２の着色剤スタック高さを定める。従って、文書領域は、真っ直ぐ見たときに第１の外観を有し、斜めに見たときには第２の外観を有する。

本開発の別の態様により、印刷文書は、第１及び第２の着色剤の組み合わせを含む実質的に塗りつぶされた色の領域を有する。第１の着色剤の組み合わせは、第１の着色剤スタック高さを定め、第２の着色剤の組み合わせは、第１の着色剤のスタック高さとは異なる第２の着色剤スタック高さを定める。文書領域は、真っ直ぐ見たときに第１の外観を有し、斜めに見たときには第２の外観を有する。

本開発の別の態様により、グロスマークオブジェクトを印刷文書に定めるための方法は、実質的に塗りつぶされた色の領域を生成するためにトナーを用紙に印刷するステップを含む。塗りつぶされた色の領域は、それぞれ第１及び第２の高さを有する第１及び第２のトナースタックにより定められ、第１及び第２のトナースタックは、それぞれ人間の観察者が第１の視角で見たときには互いに実質的に区別できないそれぞれ第１及び第２の色を定める。第１及び第２のトナースタックは、塗りつぶされた色の領域を第１の視角で見たときと比較すると、塗りつぶされた色の領域を第２の視角で見たときに、より見やすいグロスマークオブジェクトを定めるように、互いに対して配置される。

（従来技術）第１及び第２の異方性ハーフトーンドット構造を用いて定められた従来のグロスマークの単純化され、拡大された図である。 （従来技術）真っ直ぐ見たときの、塗りつぶされた色の領域が印刷された文書を示す。 （従来技術）斜めに見たときの、塗りつぶされた色の領域が印刷された文書を示す。 （従来技術）図２Ａを大きく拡大し、単純化した断面図である。 図２Ａに対応するが、本開発に従って印刷された印刷文書を示す。 図２Ｂに対応するが、本開発に従って印刷された印刷文書を示す。 図２Ｃに対応するが、本開発に従って印刷された印刷文書を示す。 本開発の代替的な実施形態に従って印刷された印刷文書を示す。 低いスタック高さ及び高いスタック高さの区域が、代替的な着色剤の組み合わせで生成された、別の代替的な実施形態に従って印刷された文書領域の平面図である。

本開発は、種々のステップ及び／又は構成要素及び／又は構成を含み、その実施形態は、その一部を形成する添付図面に示される。

図２Ａ及び図２Ｂは、塗りつぶされた色の領域Ｒ１が印刷された従来の文書Ｄ１を真っ直ぐに見たときと、斜めに見たときとをそれぞれ示す。塗りつぶされた色の領域Ｒ１は、「暗い」領域であり、全体に渡りブラックの着色剤（Ｋ）を用いて着色された、又は、全体に渡り暗い色を定めるように協働するシアン（Ｃ）、マゼンタ（Ｍ）及びイエロー（Ｙ）を用いて着色されたことを意味する。文書Ｄ１を通る断面図である図２Ｃにおいては、用紙Ｐ又はその他の媒体に付着したブラックの着色剤が、一様な厚さＴ１の層Ｌ１を定めることがわかる。代替的に、層Ｌ１は、一様な厚さを有するように層Ｌ１を定めるシアン、マゼンタ、及びイエローの着色剤の混合物から定めることができる。着色剤の層Ｌ１は、図２Ｃにおいては矩形のブロックにより定めたものとして図式的に示されるが、着色剤層Ｌ１は、典型的には、印刷文書Ｄ１において、例えば、定着トナーにより、着色剤の丸いマウンドによりにより定められることを認識すべきである。

図３Ａは、本開発に従って塗りつぶされた色の領域Ｒ２が印刷された文書Ｄ２を示す。図３Ａに示すように、真っ直ぐ又はほぼ真っ直ぐに見たときには（例えば、視線が文書Ｄ２の平面に対して実質的に直角である状態で）、塗りつぶされた色の領域Ｒ２は、その表面区域全体に渡り一様な色外観を有する。同様に、画像複製装置において走査したときには、塗りつぶされた色の領域Ｒ２は、その表面区域全体に渡り一様な色を有するように感知され、従って、結果としてもたらされるどのような複写も、図２Ａ及び図２Ｂに関連して上述されたように、従来の塗りつぶされた色の領域と共に印刷される。しかしながら、図３Ｂに示すように、文書Ｄ２の塗りつぶされた色の領域Ｒ２を斜角で見たときには、グロスマークオブジェクト等のグロス効果を知覚することができる（グロスマークオブジェクトは図２Ｂにおいて「Ｘ」として示される）。

図３Ｂのグロス効果は、人間の観察者には同様な色を有すると知覚されるが、図３Ｃに示すように用紙又は別の基材／媒体に付着したときには、それぞれ第１及び第２の物理的な厚さ又は着色剤のスタック高さＨ１、Ｈ２を示す、第１及び第２の着色剤の組み合わせＣ１、Ｃ２の組み合わせで、実質的に塗りつぶされた色の領域Ｒ２を印刷することからもたらされる。着色剤のスタックＨ１、Ｈ２は、図３Ｃにおいては、矩形のブロックにより定めたものとして図式的に示されるが、スタックＨ１、Ｈ２は、典型的には、印刷文書Ｄ２において、例えば、定着トナーにより、着色剤の丸いマウンドによりにより定められることが認識されなければならない。当業者であれば、「着色剤の組み合わせ」という用語は、単一の着色剤又は複数の着色剤を含むことが意図されると認識するであろう。第１及び第２の着色剤の組み合わせＣ１、Ｃ２は少なくともほぼ条件等色性の対であり、これは、異なる着色剤の組み合わせＣ１、Ｃ２は、ほとんどの人が第１の観察角度又は条件（例えば、視線が、印刷文書Ｄ２の平面に対して少なくともほぼ直角である図３Ａに表わされるような文書Ｄ２の真っ直ぐな観察）で見たときには、実質的に同じ平均色及び輝度を有すると知覚するが、第２の観察角度又は条件の下では（例えば、図３Ｂに表わされるように、文書Ｄ２を斜角で見るとき）異なる平均色及び／又は輝度を有するように知覚する色を定めること、を意味する。具体的には、文書Ｄ２を、図３Ｂに表わす角度で見たときには、塗りつぶされた色の領域Ｒ２に入射する光は、異なる着色剤スタック高さＨ１、Ｈ２が原因で、それぞれの着色剤の組み合わせＣ１、Ｃ２から、異なる反射をする。文書Ｄ２を、図３Ａに表すように真っ直ぐ見たときには、着色剤スタック高さＨ１、Ｈ２の差異は、実質的に又は完全に知覚不能であり、塗りつぶされた色の領域Ｒ２は、一様な色をもつ平らな表面を有するように見える。同様に、画像複製装置のスキャナは、着色剤スタック高さＨ１、Ｈ２の差異を検出できず、その結果オリジナルの文書Ｄ２のあらゆる複製は、図２Ａ及び図２Ｂに示すように従来の塗りつぶされた色の領域Ｒ１のみを含む。乾式トナーは、異なる着色剤スタック高さを実現できるように、着色剤の組み合わせＣ１、Ｃ２を定めるために用いることができる着色剤の一例である。

当業者であれば、「本開発は、着色剤の組み合わせＣ１、Ｃ２は「暗い」色であることを必要とするが、条件等色性の合致及びさらに着色剤スタック高さＨ１、Ｈ２の差異を与える必要性があるため、必ずしも黒色である必要はない」ことに気づくだろう。図３Ｃの例においては、着色剤の組み合わせＣ１は、１層の着色剤スタックＫにより定められたブラックの着色剤のみからなり、着色剤の組み合わせＣ２は、３層の着色剤スタックＣＭＹにより定められたシアン、マゼンタ及びイエローの着色剤からなる。着色剤の組み合わせＣ１、Ｃ２は、両方とも、人間の観察者が黒色と知覚する色を定め、従って、着色剤の組み合わせＣ１、Ｃ２により定められる色は、本明細書で定める条件等色性の対を与える。着色剤の組み合わせＣ１、Ｃ２は、両方とも、用紙を再給送する必要なしに、１回の通過で用紙Ｐ又はその他の媒体に付着する。他の着色剤の組み合わせＣ１、Ｃ２も可能である。１つの代替的手法においては、オレンジ色のようなスポット色がプリンタにおいて使用可能である場合には、Ｃ１はスポットのオレンジ色により定めることができ、Ｃ２はＣＭＹＫのオレンジ色により定めることができる。

本開発により、用紙又はその他の記録媒体に対する第１及び第２の着色剤の組み合わせＣ１、Ｃ２の選択的な配置は、スケール変更可能かつ高解像度かつ可変データグロスマークオブジェクトを定めるのに適したものになるように、グロスマークオブジェクトを広範囲の形状及びサイズに定めることを可能にする。例えば、３ポイント又はそれより小さいサイズを含むどのような所望のサイズにでもスケール変更可能なグロスマークフォントを定めることが可能である。また、本開発によるグロス効果は、所望のグロスマークオブジェクトを定めるための印刷中に、必要に応じてグロスマーク効果又はパターンのビットマップが予め定められかつ選択される「パターンインク」により実施することができる。当業者であれば、所望のグロスマークフォント又はその他のグロスマークオブジェクトは、バックグラウンドがより高い着色剤のスタックＨ２により定められたより低い着色剤スタックＨ１により定めることができる、又は、グロスマークオブジェクトは、バックグラウンドがより低い着色剤スタックＨ１により定められたより高い着色剤スタックＨ２により定めることができることを認識するであろう。

図３Ｃは、第２のスタック高さＨ２と第１のスタック高さＨ１との間の着色剤スタック高さの差３：１であることを示す。当業者であれば、着色剤スタックＨ１、Ｈ２間の相対的なサイズの差分は、本開発の全体的な範囲及び意図から逸脱することなく変更できることを認識するであろう。２：１又はそれより大きい（例えば、２．１：１又は２．５：１）着色剤スタック高さの差が許容可能であり、この高さの差は、例えば、第１の着色剤の組み合わせＣ１のブラックの着色剤Ｋと色が合うようにするために依然として３つの着色剤すべてを含みながらＣＭＹ着色剤スタックＣ２の全体高さＨ２を減らすことによって達成することができる。図３Ｄは、依然として条件等色性の対を与えながら、スタック高さＨ２’とＨ１との間の着色剤スタック高さの差分が４：１となるように、着色剤の組み合わせＣ２がブラック（Ｋ）の着色剤をさらに含むことを除いて、塗りつぶされた色の領域Ｒ２と同一である塗りつぶされた色の領域Ｒ２’の別の例を示すことが明らかである。どのようなスタック高さの比も、マークにおける関連するすべての位置での異なるスタック高さの差の平均であることが理解され、従って、部分的なスタック高さの比が明白に理解される。また、ほとんどの機械は、特定の着色剤のカバー範囲を可能にせず、従って、本質的にスタック比を制限することがさらに理解される。好ましいスタック高さの差は、実際の出力装置の関数であり、例を挙げると、Ｘｅｒｏｘ ＤｏｃｕＣｏｌｏｒの場合においては、２．６から１のオーダーである。

図４に示すのは別の随意的方法であり、ここでは平面図が示され、第１の着色剤混合物又は組み合わせとして、より低いスタック高さの区域が交互のブラック（Ｋ）区域及びシアン（Ｃ）区域により生成されている。より高いスタックの第２の着色剤混合物又は組み合わせは、交互の青色（Ｃ＋Ｍ）着色剤区域及び赤色（Ｃ＋Ｙ）着色剤区域からなり、従って、上述の２：１の高さの比の例になる。図４に定められるパッチ又は領域の全体的な色は、全体が実質的に一定の暗い色を有するように見えるように条件等色性又はほぼ条件等色性の合致を生成するための、境界が十分に暗いという条件を満たす、ブラック及びシアンの混合物であることに注目されたい。また、特にゼログラフ印刷においては、着色剤のほとんどの組み合わせは、これに関連する空間分布を暗に含み、及び、これらの分布は本明細書の範囲内にあることに注目されたい。例えば、８０％の「ブラック」は、ブラック（Ｋ）のトナーの空間分布と白色の用紙により、又は、好ましくはより少ない白色の用紙と併せてＣ、Ｍ及びＹの空間分布により生成することができる。本明細書の根底にある原理は、２つの条件等色性の着色剤の組み合わせの平均スタック高さは明らかに異なることである。

上述のグロス効果方法は、標準的な着色剤及び用紙又はその他の媒体を用いて、あらゆる通常のデジタルカラーゼログラフ装置上で実施することができる。

元々提示された、若しくは、補正されるかもしれない特許請求の範囲は、現在は予期されていない又は認識されていないもの、及び、例えば、出願人、特許権者及びその他の者から生まれ得るものを含む、本明細書に開示された実施形態及び教示の変形、代替物、修正、改善、均等物、及び実質的な均等物を含む。

ＧＭ：グロスマーク
ＧＭＯ：グロスマークオブジェクト
ＧＢ：バックグラウンド
Ｄ１、Ｄ２、Ｄ２’：文書
Ｒ１、Ｒ２、Ｒ２’：塗りつぶされた色の領域
Ｐ：用紙
Ｔ：高さ
Ｌ１：層
Ｈ１、Ｈ２：スタック高さ

Claims (4)

1. グロス効果を印刷文書に定めるための方法であって、
   塗りつぶされた色の文書領域を、用紙に、前記塗りつぶされた色の文書領域のグロスマークオブジェクトを定める第１の着色剤の組み合わせを用いて且つ前記塗りつぶされた色の文書領域のバックグラウンドを定める第２の着色剤の組み合わせを用いて印刷するステップを含み、
   ここで、前記第１及び第２の着色剤の組み合わせは、条件等色のカラー対であって、前記グロスマークオブジェクトと前記バックグラウンドとが組み合わさって、前記塗りつぶされた色の文書領域を、該塗りつぶされた色の文書領域の表面区域全体に亘り一様な単一の色外観を有するように定めており、前記第１の着色剤の組み合わせは前記用紙に第１の着色剤のスタック高さを定め、且つ、前記第２の着色剤の組み合わせは前記用紙に第２の着色剤のスタック高さを定めており、
   ここで、前記第２の着色剤のスタック高さは、前記第１の着色剤のスタック高さよりも、少なくとも２：１の着色剤のスタック高さの差だけ大きく、前記グロスマークオブジェクトと前記バックグラウンドは、前記用紙に、それぞれ第１及び第２の物理的な厚さを備えるように、且つ、前記塗りつぶされた色の文書領域は、真っ直ぐ見たときに第１の外観を有し、斜めに見たときに第２の外観を有するようになっていることを特徴とする方法。
2. 前記第２の着色剤のスタック高さは、前記第１の着色剤のスタック高さよりも、少なくとも２．５：１の着色剤のスタック高さの差だけ大きい、請求項１に記載の方法。
3. 前記第１の着色剤の組み合わせは、ブラックの着色剤だけを含むことを特徴とする、請求項２に記載の方法。
4. 塗りつぶされた色の文書領域を、用紙に、前記塗りつぶされた色の文書領域のグロスマークオブジェクトを定める第１の着色剤の組み合わせを用いて且つ前記塗りつぶされた色の文書領域のバックグラウンドを定める第２の着色剤の組み合わせを用いて印刷する前記ステップは、
   前記グロスマークオブジェクトを、３ポイント又はそれより小さいサイズを有するフォント文字の形状で印刷することを備えることを特徴とする、請求項１に記載の方法。

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