JP5284870B2 - セメント混和材及びセメント組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、主に、土木・建築業界で使用されるセメント混和材及びセメント組成物に関する。
モルタルやコンクリートの耐久性について、この分野の技術者のみならず、一般の人々からも大きな関心が寄せられるようになっている。モルタルやコンクリートの劣化要因は多様である。その中のひとつ、骨材の品質に由来する「アルカリシリカ反応」、いわゆる「アルカリ骨材反応」はコンクリートの癌とも呼ばれ、有効な抑制方法が見いだされていないのが現状である。
「アルカリシリカ反応」を抑制する方法としては、ゼオライトなどのアルカリ骨材反応抑制剤を添加する方法やコンクリートに含浸させたり、塗布する方法が提案されている(特許文献1〜特許文献7)。
特開昭62−278151号公報 特開平10−167781号公報 特開昭63−274644号公報 特開2006−62892号公報 特開2008−247640号公報 特開2008−297137号公報 特開2009−012989号公報
本発明は、少ない添加率で効果的にモルタル、コンクリートのアルカリシリカ反応を抑制できるため経済性に富み、塩害の抑制に効果的であり、圧縮強度が高く、ひび割れ抵抗性の高いセメント混和材及びセメント組成物を提供する。
すなわち、本発明は、(1)リチウム含有LTA型ゼオライトの300〜650℃の加熱処理物を含有してなり、リチウムの含有量がLiO換算で9質量%以上であり、NaOとKOの含有量の合計が2.6質量%以下であるセメント混和材、(2)セメントと、(1)のセメント混和材とを含有してなり、セメント混和材がセメントとセメント混和材からなるセメント組成物100部中、1〜15部である、セメント組成物、である。
本発明によれば、モルタル、コンクリートのアルカリシリカ反応を抑制し、塩害の抑制に効果的であり、圧縮強度が高く、ひび割れ抵抗性が高いという顕著な効果を奏する。
なお、本発明における部や%は特に規定しない限り質量基準で示す。
ここで、リチウム含有ゼオライトについて説明する。
リチウム含有オライトの中でも、Si/Al原子比が1であるリチウム型ゼオライトが、アルカリシリカ反応の抑制効果が大きいことから好ましい。Si/Al原子比が1であるリチウム型ゼオライトとしては、EDI型、ABW型及びLTA型が存在する。
このうち、LTAの合成は100℃を超える加圧条件下で水熱処理を行い、また、ナトリウムを含有するA型ゼオライトを水熱合成により得た後、イオン交換反応によりリチウムを担持させる。
本発明では、いかなる方法で合成されたLTA型リチウム含有ゼオライトも使用可能であり、リチウム含有ゼオライトを加熱処理したものを使用する。加熱処理温度は300〜650℃が好ましい。加熱処理条件が上記の温度範囲にないと、十分なアルカリシリカ反応による膨張抑制効果や塩害抑制効果が得られない場合がある。
本発明のリチウム含有ゼオライトのリチウム含有量は、特に限定されるものではないが、通常、LiO換算で5%以上が好ましく、7%以上がより好ましい。リチウム含有量は、Si/Alモル比が1となる理論値から担持できる最大量が13.5%と算出できる。リチウム含有量が5%未満では、十分なアルカリシリカ反応による膨張の抑制効果が得られない場合がある。
本発明のリチウム含有ゼオライトのナトリウムやカリウムの含有量は、特に限定されるものではないが、通常、NaOとKOの合計量が5%以下であることが好ましく、3%以下がより好ましい。NaOとKOの合計量が5%を超えると、十分なアルカリシリカ反応による膨張の抑制効果が得られない場合がある。
本発明のリチウム含有ゼオライトの比表面積は、一義的に決定されるものではなく、特に限定されるものではないが、通常、BET比表面積で2〜200m/gの範囲にある。
本発明のセメント混和材の使用量は、特に限定されるものではないが、通常、セメントとセメント混和材からなるセメント組成物100部中、1〜15部が好ましく、3〜12部がより好ましい。1部未満では、本発明の効果、すなわち、アルカリシリカ反応による膨張の抑制効果や塩害の抑制効果が十分に得られない場合があり、15部を超えてもさらなる効果の増進が期待できない。
セメントは、普通、早強、超早強、低熱、及び中庸熱などの各種ポルトランドセメントや、これらポルトランドセメントに、高炉スラグ、フライアッシュ、またはシリカを混合した各種混合セメント、石灰石粉末や高炉徐冷スラグ微粉末などを混合したフィラーセメント、ならびに、都市ゴミ焼却灰や下水汚泥焼却灰を原料として製造された環境調和型セメント(エコセメント)などのポルトランドセメントが挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上が使用可能である。
本発明のセメント混和材やセメント組成物はそれぞれの材料を施工時に混合しても良いし、あらかじめ一部あるいは全部を混合しておいても差し支えない。
本発明では、砂などの細骨材、砂利などの粗骨材、急硬材、減水剤やAE減水剤や高性能減水剤や高性能AE減水剤、消泡剤、増粘剤、防錆剤、防凍剤、収縮低減剤、高分子エマルジョン、凝結調整剤、ベントナイトなどの粘土鉱物やハイドロタルサイトなどのアニオン交換体などの各種添加剤、高炉水砕スラグ微粉末や高炉徐冷スラグ微粉末や石灰石微粉末やフライアッシュやシリカフュームなどの混和材料などからなる群のうちの1種又は2種以上を、本発明の目的を実質的に阻害しない範囲で併用することが可能である。
「実施例1」
表1に示す各種のセメント混和材をセメントとセメント混和材の合計100部中、7部配合しセメント組成物を調製し、さらに、砂を225部、水を50部配合してモルタルを作製した。このモルタルを用いて、アルカリシリカ反応性試験、塩化物イオンの浸透深さ、圧縮強度の測定およびひび割れ抵抗性の確認を行った。
また、比較例として市販のアルカリシリカ反応抑制剤を同量使用した場合について試験を行った。結果を表1に併記する。
<使用材料>
セメント:市販普通ポルトランドセメント
砂:サヌカイト質輝石安山岩、JIS A 1145(化学法)に準じて測定。溶解シリカ量が750mmol/l、アルカリ濃度減少量が200mmol/lで、無害でないものと判定する。
リチウム含有ゼオライトA:リチウムを含有するLTA型ゼオライトを400℃で加熱処理して得られた無水のLi-LTA、LiO含有量9.0%、BET比表面積50m/g。
リチウム含有ゼオライトB:リチウムを含有するLTA型ゼオライトを350℃で加熱処理して得られた無水のLi-LTA、LiO含有量9.5%、BET比表面積53m/g。
リチウム含有ゼオライトC:リチウムを含有するLTA型ゼオライトを600℃で加熱処理して得られた無水のLi-LTA、LiO含有量9.5%、BET比表面積53m/g。
リチウム含有ゼオライトD:リチウムを含有するLTA型ゼオライト、LiO含有量9.1%、BET比表面積40m/g。
リチウム含有ゼオライトE:リチウムを含有するEDI型ゼオライト、LiO含有量8.0%、BET比表面積30m/g。
リチウム含有ゼオライトF:リチウムを含有するABW型、LiO含有量8.2%、BET比表面積35m/g。
市販のアルカリシリカ反応抑制剤(1):Ca型ゼオライト
市販のアルカリシリカ反応抑制剤(2):亜硝酸リチウム水溶液(濃度30%)
水:水道水
<測定方法>
アルカリシリカ反応性試験(モルタルバー法):JIS A 1146に準じて測定。0.100%以上の膨張を示したものは、無害でないと判定する。
化学組成:JIS R 5201に準じて測定。
塩化物イオンの浸透深さ:材齢28日まで20℃の水中養生を行った後、疑似海水に供試体を4週間浸漬し、塩化物イオンの浸透深さを調べた。塩化物イオンの浸透深さは硝酸銀−フルオロセイン法にて確認した。
圧縮強度:JIS R 5201に準じて測定した。
ひび割れ抵抗性:サイズ10cm×10cm×40cmの供試体を作製し、材齢28日まで20℃の水中養生を行った後、コンタクトゲージを取り付け20℃/RH50%の室内にて収縮率が1000×10−6に達した時点でひび割れの有無を目視にて観察した。ひび割れが確認できなかった場合は○、確認できた場合は×とした。
<リチウム含有ゼオライトの合成>
市販のA型ゼオライトを原料として水酸化リチウム溶液中でイオン交換を行いLi−LTAを合成した。反応温度を60℃とし、反応時間を24時間とし、攪拌を行いながら反応させた。得られた合成物を固液分離後、60℃の温水で洗浄し、70℃で乾燥した。
<使用材料>
A型ゼオライト:市販品
水酸化リチウム:市販品
水:水道水
Figure 0005284870
表1から、本発明のセメント混和材を配合したモルタルは、アルカリシリカ反応を抑制し、塩化物イオンの浸透深さが小さく、圧縮強度が高く、さらにひび割れ抵抗性が高いことが分かる。
「実施例2」
リチウム含有ゼオライトAを使用し、セメント組成物100部中のセメント混和材(リチウム含有LTA型ゼオライトの加熱処理物)の使用量を表3に示すように変化したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に併記する。
Figure 0005284870
表2より、本発明のセメント混和材を配合したモルタルは、アルカリシリカ反応を抑制し、塩化物イオンの浸透深さが小さく、圧縮強度が高く、さらにひび割れ抵抗性が高いことが分かる。
本発明のセメント混和材は、少ない添加率で効果的にアルカリシリカ反応を抑制できるため、経済性に富んでいる。さらに、塩害の抑制にも効果的である。したがって、土木、建築分野で広範に使用することができる。

Claims (2)

  1. リチウム含有LTA型ゼオライトの300〜650℃の加熱処理物を含有してなり、リチウムの含有量がLiO換算で9質量%以上であり、NaOとKOの含有量の合計が2.6質量%以下であるセメント混和材。
  2. セメントと、請求項1に記載のセメント混和材とを含有してなり、セメント混和材がセメントとセメント混和材からなるセメント組成物100部中、1〜15部である、セメント組成物。
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