JP5284740B2 - 陽極酸化皮膜の形成方法とそれを用いたアルミニウム合金部材 - Google Patents

陽極酸化皮膜の形成方法とそれを用いたアルミニウム合金部材 Download PDF

Info

Publication number
JP5284740B2
JP5284740B2 JP2008246381A JP2008246381A JP5284740B2 JP 5284740 B2 JP5284740 B2 JP 5284740B2 JP 2008246381 A JP2008246381 A JP 2008246381A JP 2008246381 A JP2008246381 A JP 2008246381A JP 5284740 B2 JP5284740 B2 JP 5284740B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
aluminum alloy
voltage
film thickness
forming
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008246381A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010077485A (ja
Inventor
浩司 和田
淳 久本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2008246381A priority Critical patent/JP5284740B2/ja
Priority to PCT/JP2009/066191 priority patent/WO2010035674A1/ja
Priority to CN2009801277803A priority patent/CN102099509B/zh
Priority to US13/120,600 priority patent/US9005765B2/en
Priority to TW98132499A priority patent/TWI402379B/zh
Publication of JP2010077485A publication Critical patent/JP2010077485A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5284740B2 publication Critical patent/JP5284740B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25DPROCESSES FOR THE ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PRODUCTION OF COATINGS; ELECTROFORMING; APPARATUS THEREFOR
    • C25D11/00Electrolytic coating by surface reaction, i.e. forming conversion layers
    • C25D11/02Anodisation
    • C25D11/04Anodisation of aluminium or alloys based thereon
    • C25D11/06Anodisation of aluminium or alloys based thereon characterised by the electrolytes used
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25DPROCESSES FOR THE ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PRODUCTION OF COATINGS; ELECTROFORMING; APPARATUS THEREFOR
    • C25D11/00Electrolytic coating by surface reaction, i.e. forming conversion layers
    • C25D11/02Anodisation
    • C25D11/024Anodisation under pulsed or modulated current or potential

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Vapour Deposition (AREA)
  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
  • Drying Of Semiconductors (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

この発明は、半導体や液晶の製造などに使用されるプラズマ処理装置の真空チャンバやチャンバ内部のアルミ部材に、耐クラック性に優れ、熱反射率の低い陽極酸化皮膜を高能率で形成する方法とこの方法により皮膜が形成されたアルミニウム合金部材に関する。
半導体や液晶製造用などのプラズマ処理装置の真空チャンバおよびチャンバ内部に付設される各種の部品には、主にアルミニウム合金(金属)が採用されている。これらのチャンバおよび部品は、前処理工程や製造工程において、室温〜200℃以上の環境下で、塩素系または臭素系などの腐食性ガスやプラズマに曝されることから、前記アルミニウム合金表面には、一般に、陽極酸化処理により、アルマイト皮膜(陽極酸化皮膜)が形成されている。しかし、このアルミニウム合金表面に形成された陽極酸化皮膜中にはクラックが存在する場合があり、このクラックは、前記高温の環境下では、さらに増加、拡大することがあるため、クラックから侵入した腐食性ガスによる母材アルミニウム合金の腐食が問題となる。とくに、前記処理装置ではプラズマ雰囲気に曝されることから、耐プラズマ性を向上させるために、陽極酸化皮膜は比較的厚く形成され、クラックがより生じやすくなって、十分な耐食性が得られにくい傾向がある。このため、例えば、特許文献1では、Si含有量が10at%以上であるSi−O結合を有する有機化合物を有機溶媒で溶解した有機処理溶液を陽極酸化皮膜に供給した後、乾燥・焼成により非結晶質Si含有物の焼成体をクラックに充填して耐食性を向上させた陽極酸化Al基金属材が開示されている。
特開2001−335989号公報
一方、前記プラズマ処理装置では、プラズマを用いてシリコンウェハ(半導体)や液晶用のガラス基板の表面に、CVD成膜やドライエッチングなどの加工が施される。この工程では、前記ウェハや基板の温度を精緻に制御しなければ、所望の加工を行なうことはできない。このため、CVD成膜工程では、ウェハや基板などの被加工材の載置台にヒータが埋設され、ドライエッチ工程では、前記載置台に冷却水流路が設けられている。これらのヒータや冷却機構のほかに、前記被加工材の温度に影響を及ぼす熱源としては、プラズマが保有するエネルギやプラズマと被加工材との反応熱などがある。
しかし、特許文献1に開示されたように、非結晶質Si含有物の焼成体をクラックに充填して、耐食性を向上させる方法では、(Al基)金属基材に陽極酸化皮膜を形成した後に、この金属基材を加熱して前記有機処理溶液を陽極酸化皮膜に供給した後、焼成して皮膜中のクラックに非結晶質Si含有物の焼成体を充填するという煩雑な処理工程が必要となり、生産能率が低下する。一方、前記真空チャンバ内の熱源から放出される熱は、真空チャンバ内壁やチャンバ内部に付設された各種部品での反射によって、再び被加工材に伝達され、被加工材の更なる温度上昇の原因となる。特に、被加工材を冷却する必要のあるドライエッチング工程では、被加工材の温度上昇は、加工精度に悪影響を及ぼす場合がある。このため、真空チャンバ内壁やチャンバ内部の付設部品には低熱反射率性が要求される。また、陽極酸化皮膜には、この皮膜からの低重金属汚染性や低皮膜(形成)コストも要求される。さらに、前記真空チャンバやチャンバ内部に付設された各種部品などの装置部材には、プラズマを発生させるための大電圧が加わり、陽極酸化皮膜が絶縁破壊する場合があるため、耐電圧に優れる陽極酸化皮膜が要求される。この耐電圧は、陽極酸化処理時の積算電圧が大きいほど大きくなるが、皮膜にクラックが存在すると著しく低下する。
そこで、この発明の課題は、プラズマ処理装置の真空チャンバ内壁などのアルミニウム合金表面に形成される陽極酸化皮膜中のクラック発生を抑制し、熱反射率が低く、かつ耐電圧が高く、皮膜からの重金属汚染性も低い陽極酸化皮膜を高能率で形成する陽極酸化処理方法を提供することである。
前記の課題を解決するために、この発明では以下の構成を採用したのである。
即ち、請求項1に係る陽極酸化皮膜の形成方法は、硫酸、または硫酸とシュウ酸の混酸溶液中で、JIS6061アルミニウム合金基材の表面に、クラック発生量が少なく、かつ熱反射率が低い陽極酸化皮膜を形成する方法であって、形成された前記皮膜の全膜厚における膜厚方向の積算電圧が1650V・μm以上であり、前記アルミニウム合金基材と陽極酸化皮膜の界面から膜厚方向に25μmの位置と前記皮膜表面までの間の皮膜を、電解電圧27V以下で形成し、かつ、前記界面から膜厚方向に25μmの位置までの積算電圧が820V・μm以上で1000V・μm以下であることを特徴とする陽極酸化皮膜の形成方法である。
本発明者らは、クラック発生量が少なく、熱反射率が低い陽極酸化皮膜を形成する方法を検討するにあたり、まず、低価格で入手および管理が容易で、電解液に有害な物質を含まないなどの利点を有する硫酸、または硫酸と重金属汚染のおそれがないシュウ酸との混酸溶液の電解液中で、電解電圧、および電解電圧と皮膜厚さとの積を膜厚方向に積算した積算電圧をパラメータとして陽極酸化処理を行い、アルミニウム合金基材に形成した各陽極酸化皮膜の熱反射率を測定した。その結果、後述するように、熱反射率を、装置部材の実使用により経験的に把握した合格基準の15%以下とするためには、皮膜の全膜厚における膜厚方向の積算電圧、すなわち全体積算電圧が1650V・μm以上、好ましくは1800V・μm以上とすればよいことを見出した。これは、形成された皮膜の熱反射率を低くするためには、皮膜を厚く形成する、または電解電圧を大きくすればよいことを意味している。すなわち、一般に、陽極酸化皮膜は、皮膜構造がポーラス(多孔性)であり、電解電圧が高いほど固体部の体積が大きく、また、皮膜が厚いほど固体部の体積が大きくなり、前記真空チャンバ内の熱源から放出される熱は、皮膜を通過する過程で皮膜自身に吸収されやすくなり、熱反射率が低下するものと考えられる。
一方、皮膜中のクラック発生を抑制する観点からは、皮膜が薄いほど、また、電解電圧が低い方がよいことが、一般に知られている。前記電解液中で、皮膜の全膜厚における膜厚方向の積算電圧(全体積算電圧)は1650V・μm程度として、電解電圧を変化させて陽極酸化処理を行い、アルミニウム合金基材に形成した各陽極酸化皮膜におけるクラック発生量すなわちクラック密度(皮膜単位面積(mm)あたりのクラックの総長さ(mm))を測定した。その結果、電解電圧が30V近辺まで大きくすると、クラック密度は、熱反射率の場合と同様に、装置部材の実使用により経験的に把握した合格基準の1よりも大きくなって、皮膜の耐クラック性は急激に劣化し、27V以下の電解電圧での陽極酸化処理が適切であること、および前記アルミニウム合金基材と陽極酸化皮膜の界面から25μmの皮膜厚までの積算電圧が1000V・μm以下であれば、皮膜中のクラック発生すなわちクラック密度に大きくは影響しないことが判明した。なお、電解電圧が低くなるほど、電解液中を流れる電流が小さくなる、すなわち皮膜の形成速度が遅くなり生産性が低下するため、電解電圧は5V以上、好ましくは10V以上、および前記アルミニウム合金基材と陽極酸化皮膜の界面から25μmの皮膜厚までの積算電圧が820V・μm以上での皮膜処理が適切である。なお、前記界面から25μmの皮膜厚までの積算電圧を820V・μm以上かつ1000V・μm以下にするためには、この範囲で積算電圧を高くすればよいが、急激に電圧を上昇させると、アルミニウム合金基材への形成過程にある皮膜に大電流が流れて皮膜が溶解するため、電圧の上昇速度は、電解液の組成と温度、および電解電圧に応じて適宜に設定することが望ましい。
前記陽極酸化処理液(電解液)の組成としては、一般的な硫酸濃度(電解液1リットル中の硫酸重量100〜300g)でよく、電解液として、硫酸とシュウ酸の混酸溶液を用いる場合には、上記硫酸濃度に、一般的なシュウ酸添加量(電解液1リットルに対して40g以下)を混合したものを用いることができる。処理液(電解液)の温度は、処理液が凍結しない程度の温度(0℃程度)以上であればよい。但し、処理液温度が低いと電解時の電流が小さく、成膜速度が遅くなるために、生産性が低下する。一方、処理液温度が高いと、電解時の電流が大きくなって、形成中の皮膜が溶解して皮膜が形成されなくなるおそれがある。これらの現象は、処理液の組成や電解電圧に依存するため、これらの組成や電圧に応じて、処理液温度を適宜設定すればよい。なお、耐食性を向上させるために、所定の陽極酸化処理後に、前記アルミニウム合金基材を熱水に浸漬したり、加圧蒸気に曝す水和処理を施してもよい。但し、水和処理によって皮膜にクラックが発生しやすくなるため、熱水温度および浸漬時間、加圧蒸気の温度および暴露時間などの水和処理条件を適宜設定する必要がある。
上記の熱反射率およびクラック密度の測定結果から、生産性を損なわない程度に電解電圧を低くし(27V以下)、かつ積算電圧を一定値(1650V・μm)以上に制御して厚い皮膜を形成すれば、低い熱反射率とクラック密度の両方を実現できることがわかる。
請求項2に係る陽極酸化皮膜の形成方法は、前記アルミニウム合金基材の表面が、その表面を表面粗さ計により、評価長さを4mm、カットオッフ値を0.8mmとして、粗さ曲線と平均線の交点が2個で1ピークカウントPcとする条件で測定したときに、単位評価長さあたりのピークカウントPcが70カウント/mm以上の形態を有することを特徴とする。
前記アルミニウム合金基材を、このような表面形態にすると、前記真空チャンバ内の熱源から放出される熱は、アルミニウム合金基材表面で乱反射し、この乱反射した熱が再び陽極酸化皮膜の表面に入射することにより、前記放出熱の皮膜への吸収がさらに増加する。この基材表面のピークカウントPcは、ショットブラスティングなどの物理的方法、または、例えば市販の酸性フッ化アンモニウム系のアルミ合金用前処理薬剤などを用いた薬液により基材表面を溶解させる化学的方法のいずれによっても調整することができる。また、この基材表面のピークカウントPcは、市販の表面粗さ計で測定することができ、100カウント/mm以上がより好ましい。なお、ここで粗さ曲線、カットオフ値および平均線の定義は、JIS規格(JIS B 0601)に従うもので、前記粗さ曲線は、断面曲線から、所定の波長よりも長い表面うねり成分をフィルタで除去した曲線である。
請求項3に係るアルミニウム合金部材は、請求項1または2に記載の陽極酸化皮膜の形成方法により、前記皮膜が形成されたプラズマ処理装置の真空チャンバおよびこの真空チャンバ内に付設されるアルミニウム合金部材である。
上述の陽極酸化皮膜を真空チャンバの内壁およびその内部に付設されるアルミニウム合金部材に形成すれば、これらのアルミ合金基材からの熱反射量が小さくなって、プラズマ処理される被加工材の温度上昇を抑制して、温度上昇に伴う加工精度への悪影響を低減することができる。また、陽極酸化皮膜中のクラック発生が抑制され、上記アルミニウム合金基材の耐食性が向上する。
この発明では、硫酸、または硫酸とシュウ酸との混酸溶液の電解液中で、電解電圧と全皮膜厚における膜厚方向の積算電圧との両方を制御して、プラズマ処理装置の真空チャンバやその内部付設部品のアルミニウム合金基材に陽極酸化皮膜を形成するようにしたので、熱反射率とクラック密度の両方が低く、耐電圧が高い皮膜形成が可能となる。また、アルミニウム合金基材の表面粗さを調整することにより、より低い熱反射率を実現することができる。この低い熱反射率によって、プラズマ処理される被加工材の温度上昇を抑制して加工精度への悪影響を低減し、また、低いクラック密度および高い耐電圧により、プラズマに曝される前記アルミニウム合金基材の耐食性を改善することができる。
さらに、電解液として、硫酸、または硫酸とシュウ酸の混酸溶液を用いるようにしたので、低価格で入手および管理が容易で、有害な物質や重金属汚染のおそれがない電解液による陽極酸化処理を行なうことができる。
以下に、この発明の実施形態を、実施例を交えて説明する。
本願発明の陽極酸化皮膜は、一般に知られた陽極酸化処理装置を用いて、アルミニウム合金基材の表面に形成することができる。前記積算電圧は、陽極酸化処理の開始から終了までの処理過程で、所定の膜厚Δda(例えば5μm)ごとに、電解電圧Vとこの膜厚Δdaとの積V×Δdaを、全膜厚について、加算した値である。また、処理過程における陽極酸化皮膜の厚さdaは、陽極酸化処理で用いる電解電圧の範囲における幾水準かの電解電圧Vについて、電解時間(処理時間)tと皮膜厚さdaとの関係を予備試験で予め求めておき、この予め求めた電解時間(処理時間)tと皮膜厚さdaの関係を用いて、当該陽極酸化処理において、電解時間(処理時間)に対応してアルミニウム合金基材表面に形成される皮膜厚さdaを求めるようにした。前記予備試験で、皮膜厚さdaは、公知の渦流式膜厚測定器を用いて、非破壊で測定することができる。
前記予備試験において、積算電気量Vsと皮膜厚さdaとの関係を予め求めるようにすることもできる。この積算電気量Vsは、電流密度Id(=電流I/皮膜面積S)の電解時間(処理時間)tによる積分値であり、積算電気量計または測定した電流をコンピュータで積算することにより測定することができる。この場合、皮膜厚さda=係数C×積算電気量Vsとなり、係数Cを予め決定することにより、測定した積算電気量Vsから陽極酸化処理中の皮膜厚さdaを算出することができる。
JIS6061合金の30mm角×厚さ2mmのアルミニウム合金基材の試料を用いに、硫酸溶液または硫酸とシュウ酸の混酸溶液を処理液(電解液)として上記陽極酸化処理により、試料表面に陽極皮膜を形成した。表1に処理条件および処理結果を示す。表1で、アルミニウム合金基材と陽極酸化皮膜の界面から25μmの位置までの積算電圧Vp、および前記界面から皮膜表面までの全積算電圧Vtは、予め求めておいた通電時間tと基材表面に形成される皮膜厚さdaとの関係を用いて、前記膜厚Δdaを5μmとして、この膜厚Δda=5μmごとに積算電圧Vと膜厚Δdaとの積(V×Δda)を求めて加算し、それぞれの積算電圧Vpおよび全積算電圧Vtを求めた。なお、熱反射率は、Bio-Rad DIGILAB製FTS-60A/896角度可変反射装置を用いて、波数3000cm−1での反射率によって熱反射率を評価し、この熱反射率≦15%を合格とした。また、陽極酸化処理を施した時点で皮膜中にクラックが発生しているため、クラック密度を、光学顕微鏡により観察範囲0.235mm×0.180mmにおけるクラックの総長さから観察範囲の単位面積(mm2)あたりのクラックの総長さ(mm)、すなわちクラック密度(mm/mm2)に換算した値で評価し、クラック密度≦1を合格とした。そして、全処理時間は、単一の電解電圧すなわち処理(成膜)過程で最も通電時間が長い代表電解電圧による60%以下の処理時間を合格とした。さらに、一部の試料については、公知の試験方法により、前記皮膜の耐電圧を測定した。
Figure 0005284740
表1から、次のことがわかる。すなわち、アルミニウム合金基材と前記皮膜の界面から皮膜表面までの全積算電圧が1650V・μm未満の場合には、クラック密度は合格基準を満たすものの、熱反射率が20〜25%程度と、合格基準を満たさない(No.7,No.8)。全積算電圧が1650V・μm以上であっても、アルミニウム合金基材と陽極酸化皮膜の界面から25μmの位置から皮膜表面までの電解電圧が30Vと、27V以下でない場合にはクラック密度が合格基準を満たさない(No.9,No.10)。全積算電圧が1650V・μm以上で、かつ、前記界面から25μmの位置と皮膜表面までの間の電解電圧が27V以下であっても、前記界面から25μmまでの積算電圧が820V・μm未満の場合には、処理時間が長くなる(No.11〜No.14)。同様に、全積算電圧が1650V・μm以上で、かつ、前記界面から25μmの位置と皮膜表面までの間の電解電圧が27V以下であっても、前記界面から25μmまでの積算電圧が1000V・μmを超える場合には、クラック密度が合格基準を満たさなくなる(No.15〜No.16)。これに対し、全積算電圧が1650V・μm以上で、かつ、前記界面から25μmの位置と皮膜表面までの間の電解電圧が27V以下であり、さらに前記界面から25μmまでの積算電圧が820V・μm以上で、1000V・μm以下とすべての要件を満たす場合には、熱反射率、クラック密度および処理時間のいずれもが合格基準を満たしている(No.1〜No.6)。このように、所要濃度範囲の硫酸、または硫酸とシュウ酸の混酸溶液を電解液として用いる陽極酸化処理において、全積算電圧を1650V・μm以上で、かつ、前記界面から25μmの位置と皮膜表面までの間の電解電圧が27V以下とし、さらに前記界面から25μmまでの積算電圧が820V・μm以上で、1000V・μm以下にする、電解電圧制御することにより、陽極酸化皮膜が形成された真空チャンバ内壁やチャンバ内部の付設部品の熱反射率およびこの皮膜中のクラック密度、さらに陽極酸化処理時間のいずれもが合格基準を満たすようにすることができる。とくに、同じ電解電圧および積算電圧では、ピークカウントPcが大きくなるほど、熱反射率およびクラック密度はいずれも低くなり(No.4〜No.6)、ピークカウントPcが80の場合には、熱反射率が5%と極めて低くなる(No.6)。また、全体積算電圧が1650V・μmと同じでも、電解電圧が27Vを超える場合(No.9)、界面〜25μm間の積算電圧が1000V・μmを超える場合(No.16)は、耐電圧がそれぞれ1100V、990Vと低い。これに対して、電解電圧および全体積算電圧が本願発明の範囲内にある場合(No.1)には、3300Vの高い耐電圧が得られている。

Claims (3)

  1. 硫酸、または硫酸とシュウ酸の混酸溶液中で、JIS6061アルミニウム合金基材の表面に、クラック発生量が少なく、かつ熱反射率が低い陽極酸化皮膜を形成する方法であって、形成された前記皮膜の全膜厚における膜厚方向の積算電圧が1650V・μm以上であり、前記アルミニウム合金基材と陽極酸化皮膜の界面から膜厚方向に25μmの位置と前記皮膜表面までの間の皮膜を、電解電圧27V以下で形成し、かつ、前記界面から膜厚方向に25μmの位置までの積算電圧が820V・μm以上で1000V・μm以下であることを特徴とする陽極酸化皮膜の形成方法。
  2. 前記アルミニウム合金基材の表面が、その表面を表面粗さ計により、評価長さを4mm、カットオッフ値を0.8mmとして、粗さ曲線と平均線の交点が2個で1ピークカウントPcとする条件で測定したときに、単位評価長さあたりのピークカウントPcが70カウント/mm以上の形態を有することを特徴とする請求項1に記載の陽極酸化皮膜の形成方法。
  3. 請求項1または2に記載の陽極酸化皮膜の形成方法により、前記皮膜が形成されたプラズマ処理装置の真空チャンバおよびこの真空チャンバ内に付設されるアルミニウム合金部材。
JP2008246381A 2008-09-25 2008-09-25 陽極酸化皮膜の形成方法とそれを用いたアルミニウム合金部材 Expired - Fee Related JP5284740B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008246381A JP5284740B2 (ja) 2008-09-25 2008-09-25 陽極酸化皮膜の形成方法とそれを用いたアルミニウム合金部材
PCT/JP2009/066191 WO2010035674A1 (ja) 2008-09-25 2009-09-16 陽極酸化皮膜の形成方法とそれを用いたアルミニウム合金部材
CN2009801277803A CN102099509B (zh) 2008-09-25 2009-09-16 阳极氧化皮膜的形成方法和使用其的铝合金构件
US13/120,600 US9005765B2 (en) 2008-09-25 2009-09-16 Method for forming anodic oxide film, and aluminum alloy member using the same
TW98132499A TWI402379B (zh) 2008-09-25 2009-09-25 An anodic oxide film forming method and an aluminum alloy member using the same

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008246381A JP5284740B2 (ja) 2008-09-25 2008-09-25 陽極酸化皮膜の形成方法とそれを用いたアルミニウム合金部材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010077485A JP2010077485A (ja) 2010-04-08
JP5284740B2 true JP5284740B2 (ja) 2013-09-11

Family

ID=42059675

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008246381A Expired - Fee Related JP5284740B2 (ja) 2008-09-25 2008-09-25 陽極酸化皮膜の形成方法とそれを用いたアルミニウム合金部材

Country Status (5)

Country Link
US (1) US9005765B2 (ja)
JP (1) JP5284740B2 (ja)
CN (1) CN102099509B (ja)
TW (1) TWI402379B (ja)
WO (1) WO2010035674A1 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5635419B2 (ja) 2010-02-24 2014-12-03 株式会社神戸製鋼所 陽極酸化皮膜の形成方法
CN105420781A (zh) * 2015-11-24 2016-03-23 山西江淮重工有限责任公司 一种快速成膜铸铝硬质阳极氧化工艺
CN110129854B (zh) * 2018-02-08 2021-07-09 华为技术有限公司 一种氧化膜的制备方法和终端设备
CN110126182A (zh) * 2019-04-20 2019-08-16 浙江师范大学 一种金属橡胶复合垫圈的加工方法
CN113981500B (zh) * 2021-12-09 2023-03-28 陕西宝成航空仪表有限责任公司 硬铝合金壳体零件的草酸阳极氧化工艺方法

Family Cites Families (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5431802A (en) * 1985-05-10 1995-07-11 Showa Aluminum Corporation Cylinder tube and process for producing same
US6242111B1 (en) * 1992-09-17 2001-06-05 Applied Materials, Inc. Anodized aluminum susceptor for forming integrated circuit structures and method of making anodized aluminum susceptor
JPH0874091A (ja) * 1994-09-02 1996-03-19 Kobe Steel Ltd AlまたはAl合金製真空チャンバの製造方法
JP2943634B2 (ja) * 1994-11-16 1999-08-30 株式会社神戸製鋼所 AlまたはAl合金製真空チャンバ部材の表面処理方法
US5775892A (en) * 1995-03-24 1998-07-07 Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha Process for anodizing aluminum materials and application members thereof
JP3608707B2 (ja) * 1997-06-09 2005-01-12 株式会社神戸製鋼所 真空チャンバ部材及びその製造方法
JPH11140690A (ja) * 1997-11-14 1999-05-25 Kobe Steel Ltd 耐熱割れ性および耐食性に優れたAl材料
JP4194143B2 (ja) * 1998-10-09 2008-12-10 株式会社神戸製鋼所 ガス耐食性とプラズマ耐食性に優れたアルミニウム合金材
JP2001335989A (ja) 2000-05-31 2001-12-07 Kobe Steel Ltd 耐食性に優れる陽極酸化Al基金属材、その製造方法およびそれを用いたプラズマ雰囲気用Al基金属部品
US7033447B2 (en) * 2002-02-08 2006-04-25 Applied Materials, Inc. Halogen-resistant, anodized aluminum for use in semiconductor processing apparatus
US20070029207A1 (en) * 2005-08-05 2007-02-08 Alcoa Inc. Oxide coating for enhancing metal formability
JP4796464B2 (ja) * 2005-11-17 2011-10-19 株式会社神戸製鋼所 耐食性に優れたアルミニウム合金部材
JP4168066B2 (ja) * 2006-08-11 2008-10-22 株式会社神戸製鋼所 プラズマ処理装置に用いられる陽極酸化処理用アルミニウム合金およびその製造方法、陽極酸化皮膜を有するアルミニウム合金部材、ならびにプラズマ処理装置
JP4649419B2 (ja) * 2007-01-17 2011-03-09 ジヤトコ株式会社 アルミニウム材料の表面処理方法
JP5064935B2 (ja) * 2007-08-22 2012-10-31 株式会社神戸製鋼所 耐久性と低汚染性を兼備した陽極酸化処理アルミニウム合金

Also Published As

Publication number Publication date
US20110174627A1 (en) 2011-07-21
CN102099509A (zh) 2011-06-15
WO2010035674A1 (ja) 2010-04-01
JP2010077485A (ja) 2010-04-08
CN102099509B (zh) 2012-10-03
TWI402379B (zh) 2013-07-21
TW201018751A (en) 2010-05-16
US9005765B2 (en) 2015-04-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI248991B (en) Aluminum alloy member superior in corrosion resistance and plasma resistance
JP5284740B2 (ja) 陽極酸化皮膜の形成方法とそれを用いたアルミニウム合金部材
TW554080B (en) Aluminum alloy member having excellent corrosion resistance
KR101297489B1 (ko) 금속 산화물막, 적층체, 금속 부재 및 그 제조 방법
TW200408010A (en) Halogen-resistant, anodized aluminum for use in semiconductor processing apparatus
JP2005517087A (ja) 半導体処理装置に用いるアノダイズ処理された耐ハロゲンアルミニウム
JP2014025110A (ja) 陽極酸化処理性に優れたアルミニウム合金および陽極酸化処理アルミニウム合金部材
JP3919996B2 (ja) プラズマ処理装置用アルミニウム合金、プラズマ処理装置用アルミニウム合金部材およびプラズマ処理装置
Shang et al. Effects of additive for anodizing electrolyte on anodic film of high silicon aluminum alloy
US20200152426A1 (en) Semiconductor reactor and method for forming coating layer on metal base material for semiconductor reactor
Doolabi et al. Effect of NaOH on the structure and corrosion performance of alumina and silica PEO coatings on aluminum
Shih et al. Corrosion resistance and high-cycle fatigue strength of anodized/sealed AA7050 and AA7075 alloys
RU2567776C1 (ru) Способ получения защитных супергидрофобных покрытий на сплавах алюминия
Yokoyama et al. Fracture associated with hydrogen absorption of sustained tensile‐loaded titanium in acid and neutral fluoride solutions
Wang et al. Growth Mechanism of Ceramic Coating on ZK60 Magnesium Alloy Based on Two‐Step Current‐Decreasing Mode of Micro‐Arc Oxidation
Lee et al. Fabrication of Plasma Electrolytic Oxidation Coatings on Magnesium AZ91D Casting Alloys
Stojadinovic et al. Characterization of porous anodic aluminum oxide films by luminescence methods-a review
JP5452034B2 (ja) 半導体製造装置用表面処理部材、および、その製造方法
Munir et al. CORROSION RESISTANCE ENHANCEMENT OF AN ANODIC LAYER ON AN ALUMINUM MATRIX COMPOSITE BY CERIUM SEALING.
JP6562500B2 (ja) 表面処理アルミニウム材とその製造方法
Ur Rehman et al. Effect of processing time on the microarc oxidation coatings produced on magnesium AZ61 alloy at constant hybrid voltage
JP2001335989A (ja) 耐食性に優れる陽極酸化Al基金属材、その製造方法およびそれを用いたプラズマ雰囲気用Al基金属部品
Park et al. Effects of Anodizing Conditions on Thermal Properties of Al 20XX Alloys for Aircraft. Symmetry 2021, 13, 433
Tang et al. Effects of nano-SiO2 particle addition on the structure and properties of micro-arc oxidation ceramic coatings on 7075 aluminum alloy
JP4936101B2 (ja) 低不純物溶出アルミニウム材料およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110204

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20110408

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20110411

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130521

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130530

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5284740

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees