JP5284610B2 - 両面ラップ盤用回転定盤 - Google Patents

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Description

この発明は両面ラップ盤用回転定盤、詳しくは、加工作業中のキャリアの損傷を防ぎ、これによって誘発されるガラス板の破損事故を回避しつつ、より薄いガラス板や硬度の高いガラス板でも安全かつ高精度に研磨作業を実施し、その表裏に平滑度の高い平行平面を効率良く形成出来る両面ラップ盤用回転定盤に関するものである。
磁気記憶用ハードディスク、液晶ディスプレイなどの製造の際には、部品の一つであるガラス板の研磨作業が必要であり、通常は両面ラップ盤によって実施されている。この両面ラップ盤18は図1に示す様に被加工物であるガラス板9の表裏を、平行に位置設定されている回転定盤3,3で挟み、この回転定盤3,3を相互に逆回転させることにより、この回転定盤3の摺り合せ面11に固着せしめられた研磨体によってガラス板9の表裏の研磨を同時に行い、所望の平滑度の平行平面を有するガラス板に仕上げるものである。更に詳しく説明すると、この作業は図2に示す様に、保持枠体であるキャリア1にあけられた透孔2に被加工物であるガラス板9を嵌め込み、一対の回転定盤3,3のうち下側の回転定盤3の外側に固定された円形枠体19の内側に設けられた歯6及びこの下側の回転定盤3とは独立した駆動系により駆動される中央軸17の外側に設けられた中央軸17とは独立した駆動系によって駆動される平歯車20に、キャリア1の外周縁に形成されている歯8をそれぞれ係合させ、ガラス板9が嵌め込まれているキャリア1の表裏を上下一対の平行な回転定盤3,3の摺り合せ面11、11で挟み込み、一対の回転定盤3,3をそれぞれ逆方向に回転させることにより、キャリア1に自転運動及び中央軸17を中心とする公転運動を与えながらキャリア1によって保持されているガラス板9の表裏を摺り合せ面11との摺接によって同時に研磨するものである。なお、図3はこの研磨作業の際に用いるキャリア1の斜視図である。
そして、回転定盤3には、大きく分けて2タイプのものが存在しており、一つは図4に示すものの様に、回転定盤3の摺り合せ面11に円柱状をなした小型のダイアモンドペレット10を所定間隔で多数固定した所謂ペレット植設タイプであり、もう一つは図5に示す様に、回転定盤3の摺り合せ面自体を金属粉とダイアモンド粉とを焼結させた所定厚さを有する研磨体14で構成した所謂総型タイプである。
前者、つまり図4に示すペレット植設タイプの回転定盤3においては、摺り合せ面11に植設されるダイアモンドペレット10,…間には比較的大きな隙間が形成されており、その面率は低いので、被加工物であるガラス板9を、より細かい加工番手で仕上げることができる特徴を有している。被加工物であるガラス板9の表面の平滑度を高めようとするときは、当然に細かい番手のダイアモンドペレット10を使用することになるが、加工しようとするガラス板9とダイアモンドペレット10の端面とは、番手が細かくなるに従って互いに吸い付きやすくなるが、このペレット植設タイプの回転定盤3の場合には、ダイアモンドペレット10植設の面率が低いので、かなり細かい番手のものまで、この吸い付き現象を抑制することができるのである。
一方、図5に示す総型タイプの回転定盤3の場合、摺り合せ面11全体に研磨体14が一体的に形成されているので、研磨力が大きく、荒番手での加工には適しているが、細かい番手になると、吸い付き現象が急激に大きくなる特徴があり、細かい番手の研磨作業には適していなかった。又、研磨体14が一体的に形成されているので、一旦製作してしまった後は、定盤精度のコントロールは出来なかった。更に、加工精度を保つ為には、定盤全体を定期的に修正しなければならず、大掛かりな作業が必要で、コストや時間の面からも問題があった。
近年は、磁気記憶用ハードディスクや液晶ディスプレイの高性能化に伴い、より薄いガラス板や硬いガラス板を精密に研磨する機会が多くなっており、表面粗度に関する要求も益々高くなる傾向がある。この様な要求を満すには、図5に示す様な総型タイプの回転定盤3より、図4に示す様なペレット植設タイプの回転定盤3の方が適しており、これらの研磨作業には、このペレット植設タイプの回転定盤3が多く使用されている。
このペレット植設タイプの回転定盤3の場合、総型タイプの回転定盤3に比べ、より細かい番手でも吸い付き現象の発生がなく、吸い付き力も小さいことは確かであるが、対向した一対の物質間に働く分子間力に由来するこの吸い付き現象を完全になくすことは不可能であり、このペレット植設タイプの回転定盤3でも、ある番手以下になると、吸い付き力が大きくなり、研磨作業に支障を来す場合があった。
つまり、被加工物であるガラス板9は保持枠体であるキャリア1によって自転及び公転運動が付与されているのであるが、ガラス板9とダイアモンドペレット10の端面との間の吸い付き力が強大になると、キャリア1が自転及び公転運動をする際に大きな負担がかかり、外周縁に形成されている歯8を破損したり、上下にたわんでしまうことがあった。又、キャリア1自体もダイアモンドペレット10の端面に吸い付けられ、これによって上下にたわむこともあった。キャリア1は、一般に、ガラス繊維製円板にエポキシ樹脂を含浸させて形成したものであるが、被加工物1であるガラス板9より薄くなければならず、ガラス板9が薄くなればなるほど、その強度の保持はむずかしかった。又、研磨作業の際には摺り合せ面11に外部からクーラントを供給し、クーラントの潤滑作用によって吸い付きを減少させているが、ペレット植設タイプの場合、上側の回転定盤3からクーラントを供給しても、ダイアモンドペレット10同士は離れており、その間には大きな空間が形成されているので、せっかく供給したクーラントもこの空間から下側の回転定盤3側に一気に流れ落ちてしまい、ほとんど吸い付き現象を抑制する働きはなかった。
そして、キャリア1が吸い付き力に抗し切れずに、回転運動中に上下にたわむと、キャリア1に形成されている透孔2の周縁が植設されているダイアモンドペレット10の側面や角に引っかかってしまい、その部分が破損分離し、被加工物であるガラス板9を破損してしまうことがあった。研磨作業中には、ガラス板9に強大な圧力がかかっており、ガラス板9自体は薄く極めて脆弱であるので、キャリア1の破片によってガラス板9は容易に破損され、ガラス板9の破損に伴う衝撃で植設されているダイアモンドペレット10の回転定盤3からの分離脱落という重大事故につながることもあった。
この様に、より表面粗度が小さい研磨作業が求められるに従って、キャリア1は破損の危険により一層多くさらされる様になっており、キャリア1の破損に起因する重大事故の発生を防止する為、何らかの対策が強く求められていた。なお、回転定盤3自体は数百キログラムから数トンに及ぶ重量物であり、一旦事故が起きると、その修復に長時間を要し、その間操業を停止しなければならないので、経済的にも損失は極めて大きかった。
特開2004−243469公報 なし
本発明者は、ガラス板9の研磨作業に関する上記従来の問題点を解決すべく研究を行った結果、ダイアモンドペレット10に代る新たな研磨片を、特定の配置方法で回転定盤3に固定することにより、吸い付き現象を低減化させ、キャリア1の破損を未然に防止できる回転定盤を特開2004−243469として提案した。
この特開2004−243469に係る両面ラップ盤用回転定盤は、図7に示す様に、円盤状をなし、被加工物であるガラス板9より小さい肉厚を有するキャリア1にあけられた透孔2に被加工物であるガラス板9を嵌め込み、上下一対の回転定盤3,3のうち下側の回転定盤3の外側に固定された円形枠体19の内側に設けられた歯6及びこの下側の回転定盤3とは独立した駆動系により駆動される中央軸17の外側に設けられ、中央軸17とは独立した駆動系によって駆動される平歯車20に、キャリア1の外周縁に形成されている歯8をそれぞれ係合させ、ガラス板9が嵌め込まれているキャリア1の表裏を上下一対の平行な回転定盤3,3の摺り合せ面11,11で挟み込み、一対の回転定盤3,3をそれぞれ逆方向に回転させることによりキャリア1に自転運動及び中央軸17を中心とする公転運動を与えながらキャリア1によって保持されているガラス板9の表裏を摺り合せ面11,11との摺接によって同時に研磨する両面ラップ盤用回転定盤において、摺り合せ面11に、金属粉とダイアモンド粉とを焼結せしめた所定の厚みと幅を有する細長くかつ円弧状に弯曲した研磨片15を、相互にこれら研磨片15の横巾より狭い巾の空隙16を保って、ほぼ均等かつ同心円状に固定したものである。
この両面ラップ盤用回転定盤においては、図6に示す様に、細長く円弧状に弯曲した研磨片15は回転定盤3に相互に間隔をあけて同心円状に固定されており、従来の両面ラップ盤と同様に一対の回転定盤3、3間にキャリア1を挟み込み、このキャリア1に被加工物であるガラス板9を保持させて、キャリア1に自転運動及び公転運動を付与し、ガラス板9の表裏に研磨片15を摺動させて、その研磨を行うのであるが、加工作業中に万が一キャリア1が何らかの理由によって上下にたわんだとしても、研磨片15は弯曲した角棒状をしており、研磨片15,15間の空隙16の巾は研磨片15の横巾より狭いので、キャリア1の透孔2の周縁は、必ずどこかの部分でこの研磨片15と接し、これによってたわみは矯正されるので、従来のダイアモンドペレットの場合の様に、研磨片15の側面や角がキャリア1の透孔2の周縁に引っかかって、これを破損するおそれはほとんどなくなり、従来のものに比べ、より薄いガラス板や硬いガラス板であっても安定して研磨作業を行うことが出来る様になった。
しかしながら、この特開2004−243469の回転定盤においては、研磨片15は図8に示す様に、細長く弯曲しており、その長軸側が円周方向を向く様に同心円状に固定されており、研磨作業の際は図12においては矢印で示す様に、研磨片15はその長手方向一端24から他端25にかけて一つのガラス板9を長手方向に縦断する相対運動を行うので、接触距離、接触時間とも従来のダイアモンドペレットに比べ、長くなり、クーラント切れが起こりやすく、クーラント切れに起因する冷却不足で、研磨片15の表面が熱により炭化し、研磨片15中に分散せしめられ、その表面に露出しているダイアモンド粉の刃先の破壊が起こり、研磨能力が著しく低下することがあった。又、研磨作業に伴い発生する切粉がクーラント切れを起こした研磨片15とガラス板9との間に侵入し、研磨片15の表面に露出しているダイアモンド粉を磨耗させ、ますます研磨能力を低下させる原因となっていた。更に、クーラント切れによってガラス板9に過大な負荷がかかり、研磨精度を低下させることにもなった。この様に、この特開2004−243469として提案した両面ラップ盤用回転定盤は、キャリア1の破損を防ぐ効果は十分にあったが、研磨能力においては従来のペレット植設タイプのものに比べ劣る場合があり、必ずしも満足すべきものではなかった。
本発明者は、この特開2004−243469として提案した両面ラップ盤用回転定盤を改良すべく研究を行った結果、ペレット植設タイプと同等以上の研磨能力を持ちつつ、キャリアの破損も起こらないすぐれた両面ラップ盤用回転定盤を開発することに成功し、本発明としてここに提案するものである。
円盤状をなし、被加工物であるガラス板より小さい肉厚を有するキャリアにあけられた透孔に被加工物であるガラス板を嵌め込み、上下一対の回転定盤のうち下側の回転定盤の外側に固定された円形枠体の内側に設けられた歯及びこの下側の回転定盤とは独立した駆動系により駆動される中央軸の外側に設けられ、中央軸とは独立した駆動系によって駆動される平歯車に、キャリアの外周縁に形成されている歯をそれぞれ係合させ、ガラス板が嵌め込まれているキャリアの表裏を上下一対の平行な回転定盤の表面に形成されたドーナツ状円盤形の摺り合せ面で挟み込み、一対の回転定盤をそれぞれ逆方向に回転させることによりキャリアに自転運動及び中央軸を中心とする公転運動を与えながらキャリアによって保持されているガラス板の表裏を摺り合せ面との摺接によって同時に研磨する両面ラップ盤用回転定盤において、摺り合せ面の内側周縁と外側周縁に沿って、金属粉とダイアモンド粉とを焼結せしめた所定の厚みと幅を有する長方形をなした研磨片を、相互にこれら研磨片の横巾と同等かより狭い巾の空隙を保って、ほぼ均等かつ同心円状に固定すると共に、内側周縁寄りの研磨片と外側周縁寄りの研磨片に挟まれた中間領域に、同じく長方形の研磨片をその長手方向軸芯がこの摺り合せ面の直径方向に対してそれぞれ斜めになる様に傾けて固定することにより、上記課題を解決した。
ガラス板の表裏に研磨片を摺動させて、その研磨を行うのであるが、加工作業中に万が一キャリアが何らかの理由によって上下にたわんだとしても、研磨片は長方形をしており、隣接した研磨片間の空隙はペレット植設タイプのものに比べはるかに小さいので、キャリアの透孔の周縁は、必ずどこかの部分でこの研磨片と接し、これによってたわみは矯正されるので、ペレット植設タイプの場合の様に、研磨片の側面や角がキャリアの透孔の周縁に引っかかって、これを破損するおそれはない。又、摺り合せ面の内側周縁と外側周縁とに挟まれた中間領域においては、研磨片が斜めに固定されているので、研磨作業の際、ガラス板は図13に示す様に研磨片を斜めに横切る相対運動を行うことになり、必要以上に長く研磨片に接触することがないので、クーラント切れが起きにくく、研磨片の表面は十分に冷却され、刃先の切れ味が衰えることがなく、十分な研磨能力をいつまでも維持し続けられる。従って、より薄いガラス板やより硬いガラス板に対しても平滑度の高い平行平面を効率よく高精度で形成することが出来、極めて高い実用性を有する。
摺り合せ面の内側周縁と外側周縁とに挟まれた中間領域に配置された研磨片を、摺り合せ面の直径方向に対して斜めに固定した点に最大の特徴が存する。
図10はこの発明に係る両面ラップ盤用回転定盤の実施例1の摺り合せ面11の平面図、図11は同じくキャリアを組み込んだ状態の平面図である。図中3は回転定盤であり、上下一対設けられており、それぞれの摺り合せ面11、11が平行を保って対向する様になっている。そして、下側の回転定盤3の外側に設けられた円形枠体19の内側には歯6が形成されており、前記下側の回転定盤3とは独立した駆動系によって駆動される中央軸17の外側には、中央軸17とは独立した駆動系によって駆動される平歯車20が取付けられている。一方、1はガラス繊維製円板にエポキシ樹脂を含浸させたキャリアであり、その外周縁には歯8が形成されており、回転定盤3に形成されている歯6に係合し得る様になっている。又、そのキャリア1には、被加工物であるガラス板9を嵌め込んで保持する透孔2が複数個等間隔で設けられている。このキャリア1は、被加工物であるガラス板
9より薄く形成されている。なお、これらの構成は従来の両面ラップ盤用回転定盤と全く同じである。
そして、一対の回転定盤3の表面に形成されたドーナツ状円盤形の摺り合せ面11には、研磨片23が下記に述べる所定の位置関係で配列固定されている。この研磨片23は従来のダイアモンドペレットに代るものであり、従来のダイアモンドペレットと同様、金属粉とダイアモンド粉とを焼結させたものであり、図9に示す様に、所定の厚みと幅を有する長方形をなしている。又、この実施の形態においては、平面形状における短辺の長さは、従来のダイアモンドペレットの直径とほぼ同じ程度の寸法となっているが、被加工物であるガラス板の口径や回転定盤3の寸法回転スピードなどに応じて適宜変更し得るものであることは当然である。
そして、この研磨片23は、図10及び図11に示す様に、ドーナツ状円盤形をなした摺り合せ面11の内側周縁21と外側周縁22に沿って、その巾と同等か、より狭い間の空隙を保ってほぼ均等かつ同心円状に一列づつ固定されている。更に、内側周縁21寄りの研磨片23と外側周縁22寄りの研磨片23に挟まれた中間領域には、同じく長方形をなした研磨片29がその長手方向軸芯が摺り合せ面11の直径方向に対してそれぞれ斜めとなる様に固定されている。なお、この実施例においては、直径方向に対してほぼ45°の角度で固定されているが、ガラス板9の径や回転定盤3の寸法、回転速度など各種条件に応じて傾斜角度を調整して良い。又、各研磨片29は全部が同じ角度で固定する必要はなく、斜めであればそれぞれ角度が多少異なっていても、何ら問題ない。
なお、研磨片29は直径方向に対して斜めに固定することが肝要であり、図15に示す様に、研磨片29を放射状に固定してのでは、回転により発生する遠心力によってクーラントが摺り合せ面11の外縁に向ってそのまま流出し、ガラス板9と研磨片29の間に流れ込まなくなってしまう為、好ましくない。
又、この実施例においては、研磨片29の固定作業、交換作業あるいは保守作業を容易にする為、本件出願人が特開平11−221754として提案した技術を応用し、研磨片29を、図14に示す様に、摺り合せ面11を放射状に均等に分割した扇形をなしたゴム製の分割基板28に貼り付け、この分割基板28を摺り合せ面11に貼り付けることにより、間接的に固定する様にしているので、研磨片29の固定パターンはこの分割基板28毎に繰り返されているが、研磨片23を摺り合せ面11全面にわたり、同じパターンになる様に直接固定しても良い。
この発明に係る両面ラップ盤用回転定盤は上記の通りの構成を有するものであり、従来の両面ラップ盤と同様に一対の回転定盤3、3間にキャリア1を挟み込み、このキャリア1に被加工物であるガラス板9を保持させて、キャリア1に自転運動及び公転運動を付与し、ガラス板9の表裏に研磨片23及び29を摺動させて、その研磨を行うのであるが、加工作業中に万が一キャリア1が何らかの理由によって上下にたわんだとしても、研磨片29は長方形をしており、研磨片29,29間の空隙16はペレット植設タイプのものに比べはるかに小さいので、キャリア1の透孔2の周縁は、必ずどこかの部分でこの研磨片29と接し、これによってたわみは矯正されるので、ペレット植設タイプのものの場合の様に、研磨片29の側面や角がキャリア1の透孔2の周縁に引っかかって、これを破損するおそれはない。特に、摺り合せ面11の内側周縁21と外側周縁22においては、研磨片23が狭い間隔で同心円状に固定されているので、キャリア1のたわみはより確実に矯正される。
又、研磨作業の際に、外部から回転定盤3に供給されたクーラントは、研磨片23、23間に形成されている溝状となった空隙16内を十分な量が流れ、回転定盤3が回転する
際に発生する遠心力によってオーバーフローして、あたかも堤防の様に立ち上がった研磨片23の側面からその上方に流動し、その上面に円滑かつ万遍なく膜状に拡がり、ガラス板9の表面と研磨片23の研磨面との間に介在し、ガラス板9の吸い付きを抑制することになる。一方、内側周縁21と外側周縁22とに挟まれた領域においては、研磨片29が斜めに固定されているので、研磨作業の際、ガラス板9は図13に示す様に研磨片29を斜めに横切る相対運動を行うことになり、必要以上に長く研磨片29に接触することがないので、クーラント切れが起きにくく、研磨片29の表面は十分に冷却され、その表面に露出しているダイアモンド粉の刃先の切れ味が衰えることがなく、十分な研磨能力をいつまでも維持し続けられる。
この発明に係る両面ラップ盤用回転定盤は上記の通り、被加工物であるガラス板表裏の研磨を行う研磨片の形状及びその配置に工夫をこらしているので、クーラント切れを起こすことなく、効率よく高精度の研磨をガラス板に実施することが出来、しかもガラス板を保持するキャリアが上下にたわんで破損するおそれもほとんどなく、より薄いキャリアを用いることが出来るので、より薄いガラス板に対しても平滑度の極めて高い平行平面を高能率で得ることが出来る効果を有し、極めて高い実用性を有するものである。
磁気記憶用ハードディスク、液晶ディスプレイ等の各種電子部品製造や光学部品製造など各種産業分野において利用可能である。
ガラス板を研磨する為に用いる両面ラップ盤の代表例の側面図。 従来の回転定盤のキャリアを組込んだ状態の斜視図。 回転定盤に組込むキャリアの一例の斜視図。 従来用いられているペレット植設タイプの回転定盤の一例の斜視図。 従来用いられている総型タイプの回転定盤の一例の斜視図。 特開2004−243469として提案された回転定盤の平面図。 同じく、キャリアを組み込んだ状態の斜視図。 同じく、特開2004−243469で用いられた研磨片15の一例の斜視図。 この発明において用いられる研磨片23の一例の斜視図。 この発明に係る回転定盤の実施例1の平面図。 同じく、キャリアを組み込んだ状態の斜視図。 特開2004−243469におけるガラス板9と研磨片15の相対運動を説明した説明図。 この発明におけるガラス板9と研磨片23の相対運動を説明した説明図。 この発明における研磨片23,29を摺り合せ面11に固定する方法を説明した斜視図。 摺り合せ面11に研磨片29を放射状に固定した比較例の平面図。
1 キャリア
2 透孔
3 回転定盤
6 歯
7 外周縁
8 歯
9 ガラス板
10 ダイアモンドペレット
11 摺り合せ面
14 研磨体
15 研磨片
16 空隙
17 中央軸
18 両面ラップ盤
19 円形枠体
20 平歯車
21 内側周縁
22 外側周縁
23 研磨片
24 一端
25 他端
28 分割基板
29 研磨片

Claims (1)

  1. 円盤状をなし、被加工物であるガラス板より小さい肉厚を有するキャリアにあけられた透孔に被加工物であるガラス板を嵌め込み、上下一対の回転定盤のうち下側の回転定盤の外側に固定された円形枠体の内側に設けられた歯及びこの下側の回転定盤とは独立した駆動系により駆動される中央軸の外側に設けられ、中央軸とは独立した駆動系によって駆動される平歯車に、キャリアの外周縁に形成されている歯をそれぞれ係合させ、ガラス板が嵌め込まれているキャリアの表裏を上下一対の平行な回転定盤の表面に形成されたドーナツ状円盤形の摺り合せ面で挟み込み、一対の回転定盤をそれぞれ逆方向に回転させることによりキャリアに自転運動及び中央軸を中心とする公転運動を与えながらキャリアによって保持されているガラス板の表裏を摺り合せとの摺接によって同時に研磨する両面ラップ盤用回転定盤において、摺り合せ面の内側周縁と外側周縁に沿って、金属粉とダイアモンド粉とを焼結せしめた所定の厚みと幅を有する長方形をなした研磨片を、相互にこれら研磨片の横巾と同等かより狭い巾の空隙を保って、ほぼ均等かつ同心円状に固定したと共に、内側周縁寄りの研磨片と外周周縁寄りの研磨片に挟まれた中間領域に、同じく長方形の研磨片をその長手方向軸芯がこの摺り合せ面の直径方向に対してそれぞれ斜めになる様に傾けて固定したことを特徴とする両面ラップ盤用回転定盤。
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