JP5284395B2 - 搬送キャリア及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体等の部品が実装されたフレキシブルプリント配線基板などを搬送する搬送キャリア及びその製造方法に関する。
フレキシブルプリント配線基板(以下、「FPC」と称する。)は、その厚みが薄いため、ねじれや反りなどが生じやすい。そこで、このFPCを「搬送キャリア」という治具に載置、保持した状態で、電子部品の実装や搬送がなされる(特許文献1から4参照)。近年の搬送キャリアは、剛体でシート状のベースと、そのベース上に粘着性の樹脂層とを有し、該樹脂層の表面にFPCを貼り付けて保持する態様が主流となっている。
しかし、FPCの両面に部品を実装する場合において、前記FPCの片面に部品を実装し、表裏を反転させ、未だ部品が実装されていない片面に対して実装する際に、既に部品が実装され該部品が凸部となって突出した前記FPCの片面を当接させて搬送キャリアにセットすると、前記FPCが搬送キャリアから浮き、平坦に保持できず、実装不良を生じてしまい、歩留まりの悪化を招いていた。大きな部品に対しては、穴あけやパターンカットなどの機械加工を搬送キャリアに施すことで、前記FPCを平坦のまま保持することが可能であるが、例えば、0402(0.4mm×0.2mm×0.4mm)サイズの部品やそれより小さな部品が、複雑な形状で、多数存在する場合、そのすべてに対応する前記機械加工を施すことは、加工精度の点で非常に困難性を有し、生産性が極めて悪いため、これらの部品が実装されたFPCを当接しても、確実に収容かつ保持できる搬送キャリアは未だ提供されていないのが現状である。
したがって、簡便かつ効率よく製造することができ、既に片面に部品が実装されたFPCの複雑な形状で多数の小さな部品を当接させてセットし、その反対面に実装する際においても、前記部品の凸部を確実に収容し、かつFPCを確実に保持し、FPCのズレや浮きがなく、平坦に保持でき、歩留まりよく実装できる搬送キャリア及びその製造方法の速やかな提供が望まれている。
特開平07−22795号公報 特開2004−71863号公報 特開2004−158477号公報 特開2007−27411号公報
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、簡便かつ効率よく製造することができ、既に片面に部品が実装されたFPCの複雑な形状で多数の小さな部品を当接させてセットし、その反対面に実装する際においても、前記部品の凸部を確実に収容し、かつFPCを確実に保持し、FPCのズレや浮きがなく、平坦に保持でき、歩留まりよく実装できる搬送キャリア及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 基板上に、ポリジメチルシロキサンを含有する内層用塗布液を塗布して内層を形成する内層形成工程と、前記内層上に、ポリジメチルシロキサンを含有する表層用塗布液を塗布して表層を形成することにより、表面に凹部を有する、前記内層と前記表層とによる粘着性積層体を形成する積層体形成工程とを含むことを特徴とする搬送キャリアの製造方法である。
前記<1>に記載の搬送キャリアの製造方法においては、前記内層形成工程において、基板上に、ポリジメチルシロキサンを含有する内層用塗布液が塗布されて内層が形成される。次に、前記積層体形成工程において、前記内層上に、ポリジメチルシロキサンを含有する表層用塗布液が塗布されて表層が形成され、表面に凹部を有する、前記内層と前記表層とによる粘着性積層体が形成される。その結果、粘着性積層体を基板上に有する搬送キャリアが逐次多層塗布することのみで、接着剤層等を用いることなく効率よく、かつ所望の凹部が表面に形成された状態で製造される。該搬送キャリアにおける前記粘着性積層体の表面は、粘着性(いわゆるタック性)を有するので、搬送対象であるFPCと当接することにより該FPCの表面と密接し、該FPCを保持した状態で搬送することができる。
<2> 前記内層形成工程において、前記内層が、前記内層用塗布液を塗布し、前記内層用塗布液による塗布層を半硬化状態で形成され、該半硬化状態の内層上に前記表層用塗布液を塗布して前記積層体形成工程を行う前記<1>に記載の搬送キャリアの製造方法である。
前記<2>に記載の搬送キャリアの製造方法においては、前記内層形成工程における前記内層が、前記内層用塗布液による塗布液を実質的に硬化させることなく半硬化状態で形成された後、該半硬化状態の内層上に前記表層が積層形成されるので、前記内層と前記表層との密着性が良好である結果、得られた搬送キャリアにおいて、該内層と該表層との間で層間剥離等が生ずることがない。
<3> 前記内層形成工程における前記内層の形成が、前記内層用塗布液による塗布層を加熱して硬化させることにより行われ、前記表層形成工程における前記表層の形成が、前記表層用塗布液による塗布層を加熱して硬化させることにより行われ、
前記表層用塗布液による塗布層の加熱の温度及び/又は時間が、前記内層用塗布液による塗布層の加熱の温度及び/又は時間よりも大きい前記<1>から<2>のいずれかに記載の搬送キャリアの製造方法である。
前記<3>に記載の搬送キャリアの製造方法においては、前記表層用塗布液による塗布層の加熱の温度及び/又は時間が、前記内層用塗布液による塗布層の加熱の温度及び/又は時間よりも大きいので、前記内層が半硬化状態で形成され、該半硬化状態の前記内層上に前記表層を積層形成することができ、得られた搬送キャリアにおいて、該内層と該表層との間の密着性が良好となり、該内層と該表層との間の層間剥離等が生ずることがない。
<4> 前記内層形成工程における前記内層用塗布液の塗布がスクリーン印刷法により行われ、前記積層体形成工程における前記表層用塗布液の塗布がスクリーン印刷法により行われる前記<1>から<3>のいずれかに記載の搬送キャリアの製造方法である。
前記<4>に記載の搬送キャリアの製造方法においては、前記内層用塗布液及び前記表層用塗布液の塗布がスクリーン印刷法により行われるので、効率よくかつ所望の形状等に前記内層及び前記表層が形成される。
<5> 前記積層体形成工程における前記表層用塗布液の塗布パターンが、前記内層形成工程における前記内層用塗布液の塗布パターンと異なるようにして、該表層用塗布液が塗布される前記<1>から<4>のいずれかに記載の搬送キャリアの製造方法である。
前記<5>に記載の搬送キャリアの製造方法においては、得られた搬送キャリアを平面視すると(上から見ると)、前記表層と前記内層とのパターンが互いに異なるため、段差部が凹部として形成される。
<6> 前記積層体形成工程における前記表層用塗布液の塗布が、パターン状にされる前記<1>から<5>のいずれかに記載の搬送キャリアの製造方法である。
前記<6>に記載の搬送キャリアにおいては、得られた搬送キャリアにおいて前記表層がパターン状に形成されており、該表層により形成された前記粘着性積層体の表面に形成された前記凹部の形状、大きさ、位置、深さ等が所望に制御される。
<7> 前記内層用塗布液におけるポリジメチルシロキサン含有量と、前記表層用塗布液におけるポリジメチルシロキサン含有量とが異なる前記<1>から<6>のいずれかに記載の搬送キャリアの製造方法である。
前記<7>に記載の搬送キャリアの製造方法においては、得られた搬送キャリアにおける前記粘着性積層体を構成する前記内層と前記表層とに含まれるポリジメチルシロキサンの含有量が異なることから、前記内層及び前記表層の硬さや弾力性等が所望に制御される。
<8> 前記内層用塗布液の25℃での粘度が、10Pa・s〜200Pa・sである前記<1>から<7>のいずれかに記載の搬送キャリアの製造方法である。
<9> 前記内層の形成が、前記内層用塗布液を塗布した塗布層を、200℃〜300℃の雰囲気下、10分間以上焼成することにより行われる前記<1>から<8>のいずれかに記載の搬送キャリアの製造方法である。
<10> 前記表層用塗布液の25℃での粘度が、10Pa・s〜200Pa・sである前記<1>から<9>のいずれかに記載の搬送キャリアの製造方法である。
<11> 前記表層の形成が、前記表層用塗布液を塗布した塗布層を、200℃〜300℃の雰囲気下、1時間以上焼成することにより行われる前記<1>から<10>のいずれかに記載の搬送キャリアの製造方法である。
<12> 前記<1>から<11>のいずれかに記載の搬送キャリアの製造方法により製造され、基板上に、ポリジメチルシロキサンを含みかつ粘着性を有する粘着層が積層された粘着性積層体を有してなり、該積層体の表面に凹部を有することを特徴とする搬送キャリアである。
前記<12>に記載の搬送キャリアにおいては、前記基板上に形成された前記粘着性積層体は、粘着層が積層されて形成されているので、層間剥離等が生ずることがなく耐久性に優れ、また、接着剤層等を用いる必要がないので効率よく製造される。また、該粘着性積層体は粘着性(タック性)を有しているので、搬送対象であるFPCと当接すると、該FPCに密着可能であり、該FPCの保持性に優れる。また、前記粘着性積層体の表面には、前記凹部が形成されているので、前記FPCの表面に実装された部品等が凸部として存在していても、該凸部を前記凹部が収容することができるので、該搬送キャリアに保持された前記FPCは、ズレや浮きがない状態で平坦に保持されるため、該FPCに更に部品等を実装する場合に、歩留まりよく実装を行うことができる。
<13> 前記粘着性積層体の厚み方向において、前記凹部に段差部が形成された前記<12>に記載の搬送キャリアである。
前記<13>に記載の搬送キャリアにおいては、前記凹部が、前記粘着性積層体の厚み方向において段差部が形成されており、前記FPC上に実装された前記部品がより複雑な形状を有していても、該部品との当接面積を増やした(大きくした)状態で前記凹部に収容することができる。その結果、前記FPCの保持性に特に優れる。
<14> 前記粘着性積層体が、内層と表層とを有してなり、該内層と該表層とにおける、厚み及び組成の少なくともいずれかが互いに異なる前記<12>から<13>のいずれかに記載の搬送キャリアである。
<15> 前記粘着性積層体が、前記内層と前記表層との間に接着剤層を有さない前記<14>に記載の搬送キャリアである。
<16> 基板が、金属製、樹脂製及びガラス製のいずれかであり、該基板における前記粘着性積層体が形成されていない領域に貫通孔が形成された前記<12>から<15>のいずれかに記載の搬送キャリアである。
<17> 前記内層が連続層であり、前記内層上の表層が不連続層であってパターン状に形成され、前記粘着性積層体の表面に形成された前記凹部において前記内層が露出した前記<12>から<16>のいずれかに記載の搬送キャリアである。
<18> 前記内層が不連続層であってパターン状に形成され、前記内層上の表層が連続層であり、前記粘着性積層体の表面に形成された前記凹部の全表面が前記表層で形成された前記<12>から<17>のいずれかに記載の搬送キャリアである。
<19> 前記内層及び前記表層がパターン状に形成された<12>から<17>のいずれかに記載の搬送キャリアである。
<20> 前記内層の面積が及び前記表層の面積よりも大きい<12>から<17>のいずれかに記載の搬送キャリアである。
<21> 前記表層の面積が及び前記内層の面積よりも大きい<12>から<17>のいずれかに記載の搬送キャリアである。
<22> 前記内層の平均厚みが50μm〜200μmである前記<12>から<21>のいずれかに記載の搬送キャリアである。
<23> 前記表層の平均厚みが50μm〜200μmである前記<12>から<22>のいずれかに記載の搬送キャリアである。
<24> 前記凹部の最大深さが250μm以下である前記<12>から<23>のいずれかに記載の搬送キャリアである。
<25> 前記内層が2以上の多層構造である前記<12>から<24>のいずれかに記載の搬送キャリアである。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、簡便かつ効率よく製造することができ、既に片面に部品が実装されたFPCの複雑な形状で多数の小さな部品を当接させてセットし、その反対面に実装する際においても、前記部品の凸部を確実に収容し、かつFPCを確実に保持し、FPCのズレや浮きがなく、平坦に保持でき、歩留まりよく実装できる搬送キャリア及びその製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の搬送キャリアの第1例を示す概略断面図である。 図2は、本発明の搬送キャリアの第2例を示す概略断面図である。 図3は、本発明の搬送キャリアの第3例を示す概略断面図である。 図4は、本発明の搬送キャリアの第4例を示す概略断面図である。 図5は、本発明の搬送キャリアの第5例を示す概略断面図である。 図6は、本発明の搬送キャリアの第6例を示す概略断面図である。
(搬送キャリア及びその製造方法)
本発明の搬送キャリアの製造方法は、内層形成工程と、積層体形成工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
本発明の搬送キャリアは、本発明の前記搬送キャリアの製造方法により好適に製造することができる。以下、本発明の搬送キャリアの製造方法を説明するとともに、該説明を通じて本発明の搬送キャリアを明らかにする。
<内層形成工程>
前記内層形成工程は、基板上に内層用塗布液を塗布して内層を形成する工程である。
なお、本発明において、前記内層は、前記表層以外の層であり、下層ということがある。また、前記表層が、パターン状に形成された層であってその合計の表面積が前記内層よりも大幅に小さい場合には、前記内層の露出面積が大きくなる。本発明においては、該パターン状に不連続に形成されかつその合計面積が小さい表層がその表面に形成されている場合において、内層と称する。前記内層は、単層(一層)であってもよいし、複数層(二層以上)であってもよく、その総数は目的に応じて適宜選択することができる。
−基板−
前記基板としては、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記形状としては、膜状、シート状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造、積層構造などが挙げられ、前記大きさとしては、用途等に応じて適宜選択することができる。
前記基板の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラス製、合成樹脂製、金属製、セラミック製などが挙げられる。なお、前記基板には、所望により、シランカップリング剤等の薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング法、スパッタリング法、気相反応法、真空蒸着法などの前処理を行うことができる。
前記ガラス製の基板としては、例えば、白板ガラス、青板ガラス、シリカコート青板ガラスなどが挙げられる。
前記合成樹脂製の基板としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリアリレートフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルイミド、ポリカーボネートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエステルフィルム、アクリル樹脂フィルム、塩化ビニル樹脂フィルム、芳香族ポリアミド樹脂フィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリイミドフィルムなどの基板(シート、フィルム)が挙げられる。これらの中でも、ポリイミドフィルム等の耐熱性樹脂製基板(シート、フィルム)が特に好ましい。
前記セラミック製の基板としては、例えば、アルミナ基板、サイアロン基板、ジルコニア基板、窒化アルミニウム基板、窒化ケイ素基板、炭化ケイ素基板、窒化チタン基板などが挙げられる。
前記金属製の基板としては、例えば、アルミニウム基板、銅基板、ニッケル基板、鉄基板、ステンレス基板などが挙げられる。これらの中でも、軽量、安価で加工性が良い、腐食しにくい点でアルミニウム基板が特に好ましい。
前記基板の平均厚みとしては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、100μm〜5mmが好ましく、500μm〜3mmがより好ましい。
−内層用塗布液−
前記内層用塗布液としては、ポリジメチルシロキサンを含む組成物、無機粒子などを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
−−ポリジメチルシロキサンを含む組成物−−
前記ポリジメチルシロキサンを含む組成物としては、前記ポリジメチルシロキサンを含む限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、シリケート化合物と、末端をシリケート変性されたポリジメチルシロキサンとを含有する組成物などが好適に挙げられる。
前記シリケート化合物としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、主鎖にシロキサン(−Si−O−Si−)骨格を有し、側鎖にアルコキシ基(RO)を有する化合物などが好適に挙げられる。なお、前記シリケート化合物は、水と容易に反応する性質を有している。
前記アルコキシ基(RO)のアルキル部分である(R)としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられる。
前記シリケート化合物は、金属アルコキシドのオリゴマーであり、金属アルコキシドよりも分子量が大きいことから、揮発しにくい。このため、前記シリケート化合物が加水分解した時に、前記末端をシリケート変性されたポリジメチルシロキサンに含まれる揮発性の高い低分子シロキサン(環状シロキサン)の揮発を、より一層、抑制することができる。また、前記シリケート化合物は、高い化学反応性を有しており、縮合反応を円滑に進めることができる。
なお、前記低分子シロキサン(環状シロキサン)は、例えば、下記式で示される。
Figure 0005284395
該式において、nは、3〜10の整数を示す。
前記シリケート化合物の種類として、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチルシリケート、エチルシリケート、プロピルシリケートなどが挙げられる。これらの中でも、品質の安定性及び安全性の点で、エチルシリケートが好ましい。なお、反応性を上げることを目的に前記メチルシリケートを用いる場合、揮発されるメタノールの処理を確実に行うことが必要となる。
前記シリケート化合物としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、〔化学式1〕:SinO(n−1)(RO)2(n+1)(R=アルキル基、n=4〜16)で表される化合物などが好適に挙げられる。
前記シリケート化合物としては、3量体〜12量体であるのが好ましい。前記シリケート化合物が、3量体未満であると、シリケートが持つ特性の効果が少なくなることがあり、12量体を超えると、シリケート化合物の粘度が高くなることからポリジメチルシロキサンを合成し難くなることがある。
前記末端をシリケート変性されたポリジメチルシロキサンとしては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記シリケート化合物にてポリジメチルシロキサンの末端を変性処理したものが挙げられ、両末端にシラノール基を有するシリケート変性されたポリジメチルシロキサンと、主鎖の片側又は両側に加水分解可能な官能基であるアルコキシ基を有するアルコキシシラン部分縮合物とを反応させて得られたものが好適に挙げられる。
前記末端をシリケート変性されたポリジメチルシロキサンは、通常の末端をシリケート変性されたポリジメチルシロキサンと比べると、格段に高い官能基濃度を有している。また、末端をシリケート変性されたポリジメチルシロキサンは、前記シリケート化合物との縮合反応性が高いため、末端をシリケート変性されたポリジメチルシロキサンに含まれるアルコキシシラン部分縮合物は、円滑に縮合反応が行われ、硬化してポリマー化することができる。
前記末端をシリケート変性されたポリジメチルシロキサンの重量平均分子量としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、5,000〜100,000が好ましい。
前記末端をシリケート変性されたポリジメチルシロキサンとしては、例えば、〔化学式2〕:SinO(n−1)(RO)2(n+1)(OSi(CH(RO)2(n+1)Si(n−1)(R=アルキル基、n=4〜16、m>50)で表される化合物が好適に挙げられる。
本発明において、前記ポリジメチルシロキサンを含有する組成物は、例えば、前記末端をシリケート変性されたポリジメチルシロキサンと、前記シリケート化合物とを有する混合物を加水分解及び縮合反応させることにより合成することができる。
前記シリケート化合物は、水の存在下にて容易に加水分解するため、シリケート化合物の分子内のアルコキシ基が、反応性の高いシラノール基(−OH基)となる。一方、前記末端をシリケート変性されたポリジメチルシロキサンも同様に、加水分解をすることにより、水の存在によってシラノール基(「シラノール変性」とも呼ぶ。)となる。
これら双方のシラノール基は、高い反応性を有していると同時に、似通った反応性を有しているため、前記シリケート化合物と前記末端をシリケート変性されたポリジメチルシロキサンとを有する混合物を加水分解することによって、シラノールの凝集が加速されることなく、前記末端をシリケート変性されたポリジメチルシロキサンとの縮合反応が順調に進行する。これにより、前記末端をシリケート変性されたポリジメチルシロキサンに含まれる低分子シロキサンも、反応生成物(ポリジメチルシロキサンを含む組成物)中に取り込まれる。
つまり、前記加水分解反応及び縮合反応により、前記低分子シロキサンは、ポリジメチルシロキサンを含む組成物を構成する物質の一部となり、単体として存在しなくなる、又は単体として存在する量が極めて微量となる。このため、ポリジメチルシロキサンを含む組成物から低分子シロキサンが揮発することがないか、揮発量が極めて微量となる。
前記シリケート化合物(A)と、前記末端をシリケート変性されたポリジメチルシロキサン(B)の配合のモル比(A/B)としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.1〜10が好ましく、略1前後がより好ましい。
前記ポリジメチルシロキサンを含む組成物としては、前記モル比(A/B)が略1であることを基準として、柔軟性を要求する場合には、前記末端をシリケート変性されたポリジメチルシロキサン(B)を増加し、反対に高硬度を要求する場合には、前記シリケート化合物(A)を増加させることが好ましい。
ただし、前記ポリジメチルシロキサンを含む組成物は、例えば、前記シリケート化合物(A)を増加させる場合、前記モル比(A/B)が、10を超えると、低分子シロキサンの揮発成分が増加する。つまり低分子シロキサンが単体として存在する量が増加するため、硬化時の収縮や薄層化、場合によってはクラックの発生などの問題が生じることがある。一方、前記モル比(A/B)が、0.1未満であると、前記シリケート化合物(A)と前記末端をシリケート変性されたポリジメチルシロキサン(B)との加水分解反応及び縮合反応が円滑に行われず、結果として未硬化の状態となり、低分子シロキサンが残留してしまうことがある。
−−無機粒子−−
前記無機粒子としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、導電性無機粒子、絶縁性無機粒子などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記導電性無機粒子を添加すると層に導電性を付与でき、前記絶縁性無機粒子を添加すると層に絶縁性を付与することができる。
前記導電性無機粒子としては、例えば、導電性カーボン、導電性酸化物などが挙げられる。前記導電性カーボンとしては、例えば、導電性カーボンブラック、導電性カーボングラファイト等が挙げられる。前記導電性酸化物としては、例えば、導電性酸化チタン、導電性酸化スズ、導電性酸化亜鉛、導電性硫酸バリウム、導電性チタン酸バリウム、導電性チタン酸カリウム等が挙げられる。
前記絶縁性無機粒子としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、石英ガラス、アルミノシリケートガラス、雲母片、酸化ジルコニウム、ムライト、サイアロン、ステアタイト、フォルステライト、コーディエライト、酸化ベリリウム、窒化ケイ素などの粒子が挙げられる。
前記無機粒子の前記内層用塗布液における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、10質量%〜90質量%が好ましい。
−−その他の成分−−
前記その他の成分としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、熱重合開始剤、溶剤、粒子分散剤などが挙げられる。
前記熱重合開始剤としては、例えば、各種有機過酸化物等が挙げられる。前記有機過酸化物としては、例えば、ケトンパーオキサイド類、ジアシルキルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類、パーカーボネート類などが挙げられる。
これらの中でも、触媒活性の点で、ジアルキルパーオキサイドが特に好ましい。
前記ジアルキルパーオキサイドとしては、例えば、シクロヘキサノンパーオキサイド、1,1−ビス(t−ヘキサパーオキシ)シクロヘキサノン、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−へキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどが挙げられる。
なお、前記溶剤は含まれていてもよいし、含まれていなくてもよいが、前記内層用塗布液の塗布後における乾燥を省略できる点で前記溶剤が含まれていない方が好ましい。
前記内層用塗布液の粘度としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、25℃で、10Pa・s〜200Pa・sが好ましく、30Pa・s〜100Pa・sがより好ましい。
前記粘度が、10Pa・s未満であると、レベリング等の流動作用により、形成した層の形状が損なわれることがあり、200Pa・sを超えると、塗布後のレベリングが起こりにくくなるため、スクリーン印刷時にスクリーンのメッシュの転写やスクリーンの版離れが悪くなり、内層の厚みの精度が悪化することがある。
前記内層用塗布液の粘度の測定方法としては、例えば、レオメータ、B型粘度計、振動式粘度計等を用いる方法などが挙げられる。なお、前記内層用塗布液の粘度は、例えば、塗布液の組成、混合比率などを変えることにより調整することができる。
−−塗布−−
前記内層用塗布液を塗布する方法としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スクリーン印刷法、ディップ法、ドクターブレード法、ナイフコート法、バーコート法、スピンコート法などが挙げられる。これらの中でも、所望の厚み、パターン状の前記内層を形成し易い点で、スクリーン印刷法が好ましい。
前記スクリーン印刷法によるスクリーン印刷は、例えば、枠内に前記内層用塗布液を入れ、スキージと呼ばれるヘラ状の板でスクリーン版の内面を加圧しながらスキージを移動させる。前記スキージの移動に伴い、前記内層用塗布液は前記スキージにより加圧されて、前記スクリーン版に設けられたメッシュの開口部からドット状に押し出され、前記基板の表面に内層を塗布形成する。前記内層用塗布液は、ある程度の流動性を有するため、ドット状の前記内層用塗布液を放置すれば、前記内層用塗布液は平準化(レベリング)する。このため、前記スクリーン印刷法においては、通常、印刷後に一定時間(印刷パターン)放置してレベリングする工程を設けている。
前記スクリーン印刷に用いられるスクリーン版は、通常、テトロン、ナイロン等の高分子やステンレス等の金属からなるワイヤメッシュを枠に張り、このワイヤメッシュのうち印刷パターン以外の部分を、レジスト等からなる版膜でマスキング(目止め)することにより形成される。
前記スクリーン印刷により形成される前記内層の平均厚みは、例えば、スクリーン版と基板との距離、スキージの角度を変えることなどにより調整することができる。
なお、必要に応じて、パターンをマスクしたスクリーン版を用いて前記スクリーン印刷し、所望の位置に未塗布部を有する前記内層を形成してもよい。
前記内層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50μm〜200μmが好ましい。前記内層の平均厚みが、50μm未満であると、前記基板の凹凸の影響を受け易くなることがあり、前記内層に粘着力を均一に形成させることが困難になることがある。一方、前記内層の平均厚みが、200μmを超えると、搬送キャリア上のFPC等を剥離する際に、前記内層の一部が脱落し易くなることがある。
前記内層の平均厚みの測定方法としては、例えば、マイクロゲージ、レーザー式変位計等を用いる方法などが挙げられる。
次に、前記内層用塗布液を塗布して得られた前記内層を焼成する。
前記焼成の条件としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、半硬化(ハーフキュア)状態にすることが好ましい。
前記半硬化状態としては、例えば、未硬化でも完全硬化でもない状態であり、塗布液の組成、温度、時間、塗布膜厚などの公知の諸条件を制御することにより実現可能であり、例えば、前記第一層を250℃で6時間焼成した際に揮発する低分子シロキサンの量を単位面積及び単位厚みあたり100とした場合に、同じ面積及び同じ厚みの第一層を焼成した際の低分子シロキサンの揮発量が10〜90、好ましくは20〜80、より好ましくは30〜80の段階で焼成を終了した状態が挙げられる。なお、一般に、硬膜前(ウエット状態)、焼成、硬膜の順に処理することにより層の厚みは減少する。
前記半硬化状態であることの確認方法としては、例えば、加熱脱着器付ガスクロマトグラフ質量分析計などにより行うことができる。
前記焼成の温度及び時間としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができるが、200℃〜300℃の雰囲気下、10分間以上が好ましく、250℃〜280℃の雰囲気下、30分間〜2時間がより好ましい。
前記焼成温度が、200℃未満であると、前記内層の硬化が進まず、前記内層の形成が困難になることがあり、300℃を超えると、重合反応が略終了してしまい、前記表層との密着が悪くなることがある。また、前記半硬化によって、接着剤乃至接着層を介さなくとも、前記表層との密着が可能となる。
<積層体形成工程>
前記積層体形成工程は、前記内層上に、ポリジメチルシロキサンを含有する表層用塗布液を塗布して表層を形成することにより、表面に凹部を有する、前記内層と前記表層とによる粘着性積層体を形成する工程である。なお、本発明において、前記凹部は、前記粘着性積層体の表面、換言すれば前記表層の表面を基準面として「凹部」と表現される。したがって、前記表層がパターン状に形成され、かつその合計面積が前記内層よりも大幅に小さいような場合でも、該表層と該内層とにより形成され、該表層の表面を基準として窪んだ領域は「凹部」と称される。
−表層用塗布液−
前記表層用塗布液としては、少なくともポリジメチルシロキサンを含有し、無機粒子、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
前記表層用塗布液としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、前記内層用塗布液の成分と、少なくとも1種同一成分を含有することが好ましい。前記同一成分の含有量としては、特に制限はなく、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
−−ポリジメチルシロキサンを含む組成物−−
前記ポリジメチルシロキサンを含む組成物としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記内層用塗布液におけるポリジメチルシロキサンを含む組成物と同様のものが好適に挙げられる。
−−無機粒子−−
前記無機粒子しては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記内層形成用塗布液における無機粒子と同様のものが好適に挙げられる。
−−その他の成分−−
前記その他の成分としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記内層用塗布液におけるその他の成分と同様のものが好適に挙げられる。
前記表層用塗布液の粘度としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、25℃で、10Pa・s〜200Pa・sが好ましく、30Pa・s〜100Pa・sがより好ましい。
前記粘度が、10Pa・s未満であると、レベリング等の流動作用により、形成した表層の形状が損なわれることがあり、200Pa・sを超えると、塗布後のレベリングが起こり難くなるため、スクリーン印刷時にスクリーンのメッシュの転写やスクリーンの版離れが悪くなり、表層の厚みの精度が悪化することがある。
前記表層用塗布液の粘度の測定方法としては、例えば、レオメータ、B型粘度計、振動式粘度計等を用いる方法などが挙げられる。
なお、前記表層用塗布液の粘度は、例えば、前記表層用塗布液の組成、混合比率などを適宜変更することにより所望の程度に調整することができる。
前記表層用塗布液の塗布方法としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記内層用塗布液の塗布方法と同様の方法が挙げられる。これらの中でも、所望の厚み、パターン状の前記表層を形成し易い点で、スクリーン印刷法が好適に挙げられる。
前記スクリーン印刷は、例えば、前記内層の形成工程におけるスクリーン印刷と同様の方法で行うことができる。該スクリーン印刷により形成される前記表層の平均厚みは、例えば、スクリーン版と基板との距離、スキージの角度を変えることなどにより調整することができる。
次に、前記表層用塗布液を、前記内層上に前記スクリーン印刷して前記表層を形成する。
必要に応じて、前記内層上に、パターンをマスクしたスクリーン版を用いて前記スクリーン印刷し、所望の位置に未塗布部を有する表層を形成してもよい。
前記表層の平均厚みとしては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、50μm〜200μmが好ましい。前記平均厚みが、50μm未満であると、前記表層に粘着力を均一に形成させることが困難になることがある。一方、前記平均厚みが、200μmを超えると、搬送キャリア上のFPC等を剥離する際に、前記表層の一部が脱落しやすくなることがある。
前記表層の平均厚みの測定方法としては、例えば、マイクロゲージ、レーザー式変位計等を用いる方法などが挙げられる。
次に、得られた表層を焼成する。
前記焼成の条件としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、200℃〜300℃の雰囲気下、1時間以上焼成することが好ましく、240℃〜280℃の雰囲気下、1時間〜6時間焼成することがより好ましい。
前記焼成により前記内層上に固定化するためには、200℃以上の温度で一定量の熱量を各層へ供給し、重合を促進する必要がある。前記焼成温度が、200℃未満であると、各層の硬化が不足し、所望の平均厚みを得られなかったり、FPCのリフロー時に層中の未硬化物が揮散しFPCに転写したりすることがある。一方、前記焼成温度が300℃を超えると、各層の粘着性が損なわれることがある。
前記内層用塗布液及び前記表層用塗布液が未塗布である前記基板の未塗布部においては、必要に応じて、穴あけ加工がされていてもよい。前記穴あけ加工方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<第1の形態>
以下に、図1を参照して、本発明の第1の形態に係る搬送キャリアの製造方法について説明する。図1に示す搬送キャリア1は、前記基板2上の全表面に、前記第一層形成用塗布液を塗布し、平滑な前記第一層3を形成する。次いで、前記第一層3を半硬化状態に焼成した後、前記第一層3上に、前記第二層形成用塗布液を、公知の塗布方法により塗布し、パターン状に前記第二層4を形成する。次いで、得られた搬送キャリアを焼成することで、前記第二層4に前記凹部5を有する搬送キャリア1を作製することができる。
<第2の形態>
以下に、図2を参照して、本発明の第2の形態に係る搬送キャリアの製造方法について説明する。図2に示す搬送キャリア1は、前記基板2上に、前記第一層形成用塗布液を、公知の塗布方法により塗布し、パターン状に前記第一層3を形成する。次いで、前記第一層3を半硬化状態に焼成した後、前記第一層3の表面上に、前記第二層形成用塗布液を、前記第一層3と同様にして塗布し、パターン状に前記第二層4を形成する。次いで、得られた搬送キャリアを焼成することで、前記第一層3乃至前記第二層4に前記凹部5を有する搬送キャリア1を作製することができる。
<第3の形態>
以下に、図3を参照して、本発明の第3の形態に係る搬送キャリアの製造方法について説明する。図3に示す搬送キャリア1は、前記基板2上に、前記第一層形成用塗布液を、公知の塗布方法により塗布し、パターン状に前記第一層3を形成する。次いで、前記第一層3を半硬化状態に焼成した後、前記第一層3及び前記第一層形成用塗布液の未塗布部に、前記第二層形成用塗布液を塗布し、前記第二層4を形成する。次いで、得られた搬送キャリアを焼成することで、前記第二層4で前記凹部5の全表面が形成されている搬送キャリア1を作製することができる。
<第4の形態>
以下に、図4を参照して、本発明の第4の形態に係る搬送キャリアの製造方法について説明する。図4に示す搬送キャリア1は、前記基板2上に、前記第一層形成用塗布液を、公知の塗布方法により塗布し、パターン状に前記第一層3を形成する。次いで、前記第一層3を半硬化状態に焼成した後、前記第二層形成用塗布液を、前記第一層3を覆うように塗布して前記第二層4を形成する。次いで、得られた搬送キャリアを焼成することで、前記第一層3乃至前記第二層4に前記凹部5を有する搬送キャリア1を作製することができる。
<第5の形態>
以下に、図5を参照して、本発明の第5の形態に係る搬送キャリアの製造方法について説明する。図5に示す搬送キャリア1は、前記基板2上に、前記第一層形成用塗布液を、公知の塗布方法により塗布し、パターン状に前記第一層3を形成する。次いで、前記第一層3を半硬化状態に焼成した後、前記第一層3上に、前記第二層形成用塗布液を、公知の塗布方法により塗布し、パターン状に前記第二層4を形成する。次いで、得られた搬送キャリアを焼成することで、前記凹部5に段差部6を有する搬送キャリア1を作製することができる。
<第6の形態>
以下に、図6を参照して、本発明の第6の形態に係る搬送キャリアの製造方法について説明する。図6に示す搬送キャリア1は、前記基板2上に、所望の位置に耐熱性テープ7を貼付する。次いで、前記第二層形成用塗布液を、前記耐熱性テープ及び未貼付部に塗布し、前記第二層4を形成する。次いで、得られた搬送キャリアを焼成することで、前記第二層4に前記凹部5を有する搬送キャリア1を作製することができる。
なお、本発明において、3層以上の搬送キャリアを作製する方法としては、前記第一層の形成工程を繰り返して層の形成を行い、その後、前記第二層を形成することにより作製することができる。
こうして得られた本発明の搬送キャリアは、ポリジメチルシロキサンを含みかつ粘着性を有する粘着層が積層された粘着性積層体を有してなり、該積層体の表面に凹部を有する。
前記粘着性積層体は、2層以上からなり、表層と、該表層以外の層(以下、「内層」と称することがある。)とを有する。
前記表層以外の層(内層)の数としては、1層であってもよいし、2層であってもよい。例えば、前記表層以外の層(内層)が2層である場合は、全体として3層の構造となる。
前記表層と該表層以外の層(内層)との界面の判別方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子顕微鏡等を用いて断面を拡大観察することにより、内部に処方された粒子の偏在等から、前記界面を確認することができる。
前記表層の成分としては、少なくともポリジメチルシロキサンを含む。前記ポリジメチルシロキサンは、より詳しくは、末端変性したポリジメチルシロキサンにエトキシシランの縮合物、及び水を加えて反応させたもの(これら2つの化合物の反応による変性率は10%程度)であり、ポリジメチルシロキサン構造を有する化合物と称することもできる。
前記ポリジメチルシロキサンの前記表層における含有状態としては、前記表層の表面に十分含有していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、含有分布が、均一になるように含有していてもよいし、厚み方向において海島構造や傾斜構造となるように含有していてもよい。
前記ポリジメチルシロキサンの前記表層における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記表層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50μm〜200μmが好ましい。
前記平均厚みが、50μm未満であると、表面の粘着力が低下することがあり、200μmを超えると、FPCを剥離する際に、表層の一部が脱落しやすくなることがある。前記平均厚みは、例えば、マイクロゲージ、レーザー式変位計などを用いる方法により測定することができる。
前記表層の表面の粘着力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30N/mm〜500N/mmが好ましい。前記粘着力が、30N/mm未満であると、前記FPCが本発明の搬送キャリアから剥がれ落ちることがあり、500N/mmを超えると、FPCをキャリアから剥がす場合に、FPC側に過剰に応力がかかり、部品の脱落、基板のワレ、配線の剥がれ等により損傷してしまうことがある。前記粘着力の測定方法としては、例えば、JIS Z−0237などに準拠して求めることができる。
前記凹部の厚み方向における断面形状としては、特に制限はなく、段差部を有していてもよいし、段差部を有していなくてもよいが、当接するFPCの電子部品の凸部の形状に、より対応できる点で、段差部を有することが好ましい。
前記段差部は、例えば、表面の開口径に対して底部の開口径が小さく、連続的又は不連続的に小さくなる。前記連続的である場合には、例えば、テーパー状となり、前記不連続的である場合には、例えば、階段状となる。
前記段差部の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、本発明の搬送キャリアに当接するFPCの電子部品の凸部の形状に対応した形状が好ましい。前記段差部の形状が、前記好ましい形状であると、前記電子部品の凸部に対して接触面積が大きくなり、確実にFPCを保持することが可能となる。
前記段差部における角部の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、角張っていてもよいし、丸みを帯びていてもよい。
前記段差部における前記角部以外の部分の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、断面形状として、直線状であってもよいし、曲線状であってもよい。
前記段差部の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1段〜3段が好ましい。
前記凹部の前記表層表面の平面形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円形状、多角形状、不定形状などが挙げられる。前記円形としては、例えば、真円、楕円等が挙げられる。前記多角形としては、例えば、三角形、四角形、五角形、六角形等が挙げられる。
前記段差部の平面形状としては、例えば、円形状、多角形状、不定形状などが挙げられる。前記円形としては、例えば、真円、楕円等が挙げられる。前記多角形としては、例えば、三角形、四角形、五角形、六角形等が挙げられる。
前記表層表面の平面形状と前記段差部の平面形状は、同一の形状であってもよいし、異なった形状であってもよい。
前記凹部の数としては、当接するFPCの表面に実装されている部品の数に対応していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、当接するFPCの表面に実装されている部品の数と同数又はそれ以上の数が好ましい。
前記凹部が複数個ある場合において、隣接凹部間の最小距離としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記隣接凹部間の最小距離としては、例えば、隣接する各凹部における表面の開口縁間が最短である距離が挙げられる。
前記凹部の最大深さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、250μm以下が好ましい。前記凹部の最大深さが、250μmを超えると、FPCを剥離する際に、前記表層や該表層以外の層の一部が脱落しやすくなることがある。
前記凹部の最大深さの測定方法としては、例えば、デップスゲージ(depth gauge)を用いる方法や、膜を切断して断面画像より計測を行なう方法などによって行うことができる。
前記凹部は、例えば、図3、図4、及び図6のように、前記凹部の全表面が表層で形成されていてもよいし、図1、図2、及び図5のように、前記凹部表層以外の層が露出するように形成されていてもよい。
前記内層が複数層ある場合において、前記表層に隣接する層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50μm〜200μmが好ましい。前記平均厚みが、50μm未満であると、基板表面の凹凸の影響を受けることがあり、200μmを超えると、FPCを剥離する際に、前記表層の一部が脱落し易くなることがある。
なお、前記平均厚みの測定方法としては、例えば、マイクロゲージ、レーザー式変位計等を用いる方法などが挙げられる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<搬送キャリアの作製>
図1に示す搬送キャリアを以下のようにして作製した。
−第一層(図1中符号3)の形成−
まず、以下のようにして第一層形成用塗布液を調製した。
・シリケート化合物としてエチルシリケート(エチルシリケート40、多摩化学工業株式会社製)・・・1.0質量部
・末端をシリケート変性されたポリジメチルシロキサン(HBSIL039、荒川化学工業株式会社製、重量平均分子量約30,000)・・・32.0質量部
上記の混合物を加水分解工程及び縮合工程にて、必要量の水を滴下して加え、攪拌混合した。その後、攪拌しながら約30分間かけて室温まで冷却し、第一層形成用塗布液を得た。
次に、調製した第一層形成用塗布液を用い、以下に示すスクリーン印刷の条件により、長方形のアルミニウム基板(縦500mm×横300mm×平均厚み1.5mm)上に、塗布層を形成した。
〔スクリーン印刷〕
3D加工された#100μmメッシュのステンレス製スクリーン版を用いた。スクリーン塗布されるメッシュ部分の大きさは幅100mm、長さ100mmの正方形である。使用した印刷機は、ニューロング精密工業株式会社製のLS−150TVA型を用いた。使用したスキージはウレタンゴム製で、スキージ角度を60°とした。スクリーン版とアルミニウム基板の距離をmmとし、平均厚み50μmの塗布層を形成した。
第一層形成用塗布液の塗布面積は、長方形で縦90mm×横90mmとした。
印刷圧は0.2MPa、押込み量0.5mm、印刷速度150mm/sec、スクレッパとしては剣ゴム付スクレッパを用いた。
次に、スクリーン印刷によって得られた塗布層を、焼成炉(エスペック社製、恒温クリーンベンチPVH222)に入れて、220℃で1時間焼成した。
次に、得られた第一層が、半硬化状態であることを以下の方法で測定し確認した。
加熱脱着器〔Gerstel社製、Twister Desorption Unit(以下、「TDU」と略す。)〕のCooled Injection System(以下、「CIS」と略す。)付ガスクロマトグラフ質量分析計〔Gas Chromatography Mass Spectrometry(以下、「GC−MS」と略す。)〕を用いた。なお、GC−MS装置は、アジレントテクノロジー社製5975Bシステムである。
層中の揮発性成分を気化させるため、TDUによってサンプルホルダー内の層にヘリウムガスを流しながら加熱した。そして、ヘリウム中に気化したアウトガスをCISユニット中の吸着管に吸着させた後、吸着管に捕集されたアウトガスをGC−MS装置に流して、揮発性成分の種類と量とを測定した。GC−MS装置のカラムは、キャピラリーカラム(液層:フェニルメチルシロキサン)である。
加熱部は、TDUにて、160℃/minで40℃〜200℃(ホールド時間5分)まで昇温加熱し、不活性キャピラリ管(温度:350℃)を通して、質量分析を実施した。
GC−MS装置は、注入口温度:−150℃〜12℃/秒〜325℃、カラム:Agilent 19091S−433(カラム長さ60m、カラム内径0.25mm、カラム厚み0.25μm)、オーブン:40℃〜25℃/min〜300℃(ホールド時間10分)、ヘリウム流量:1.2mL/min、MSイオン源温度230℃:、MS四重極温度:150℃、MSイオン化電圧:69.9eV)、スキャン範囲:m/z 100〜1,000である。ここで、MSは、Mass Spectrometryの略である。
−第二層(図1中符号4)の形成−
次に、第二層形成用塗布液を以下のようにして調製した。
・シリケート化合物としてエチルシリケート(エチルシリケート40、多摩化学工業株式会社製)・・・1.0質量部
・末端をシリケート変性されたポリジメチルシロキサン(HBSIL039、荒川化学工業株式会社製、重量平均分子量約30,000)・・・32.0質量部
上記の混合物を加水分解工程及び縮合工程にて、必要量の水を滴下して加え、攪拌混合した。その後、攪拌しながら約30分間かけて室温まで冷却し、第二層形成用塗布液を得た。
次に、調製した第二層形成用塗布液を用い、以下に示すスクリーン印刷の条件により、半硬化状態の第一層上に、未塗布部を有する塗布層を形成した。
〔スクリーン印刷〕
3D加工された#100μmメッシュのステンレス製スクリーン版を用いた。スクリーン塗布されるメッシュ部分の大きさ幅100mm、長さ100mmの正方形である。使用した印刷機は、ニューロング精密工業株式会社製のLS−150TVA型を用いた。使用したスキージはウレタンゴム製で、スキージ角度を60°とし、平均厚み50μmの塗布層を形成した。印刷圧は0.2MPa、押込み量0.5mm、印刷速度150mm/sec、スクレッパとしては剣ゴム付スクレッパを用いた。なお、第一層及び第二層に形成する凹部の形状及び大きさは、当接するFPCに実装された部品による凸部に対応するようにマスクを用いて形成した。
次に、得られた塗布層を、焼成炉(エスペック社製、恒温クリーンベンチPVH222)に入れて、220℃で4時間焼成した。
以上により、実施例1の搬送キャリアを作製した(図1参照)。
以下のようにして、実施例1における塗布液の粘度、各層の平均厚み、凹部の最大深さ、及び粘着力を測定した。
また、実施例1で作製した搬送キャリアについて、以下のようにして、FPCの浮き、FPCの平坦性、FPCの保持性、及びFPCの歩留まりの評価を行ったところ、いずれも「○」の良好な結果が得られた。
<各塗布液の粘度>
第一層形成用塗布液及び第二層形成用塗布液の粘度は、ブルックフィールドアナログ粘度計HB2を用いて、25℃で測定した。結果を表1に示す。
<各層の平均厚み>
工作定盤上でミツトヨ社製デジマチックインジケータ(543シリーズ)を用いて、中心及び中心から上下左右斜めに20mm離れた9点を測定し、その算術平均より、平均厚みを求めた。結果を表1に示す。
<凹部の最大深さ>
凹部の最大深さは、デップスゲージ(depth gauge)を用いる方法や、膜を切断して断面画像より計測を行なう方法により求めた。結果を表1に示す。
<粘着力>
粘着力は、50mm×50mmサイズのPETベースをキャリアに貼り付け、キャリアを搬送しながら、剥離する力をプッシュプルゲージ(シロ産業、WPARX-5)で測定した。
<FPCの浮き、平坦性、及び保持性の評価>
作製した搬送キャリアの表面に、部品が実装され凸部を有するFPCを該凸部が前記搬送キャリアにおける凹部に収容されるようにして貼り付け、FPCの浮き、平坦性、及び保持性を目視観察して、下記基準で評価した。
〔評価基準〕
○:搬送キャリアを指で持ち上げているときに該指で持ち上げているところ以外の部分においてFPCが密着している状態
×:搬送キャリアを指で持ち上げているときに該指で持ち上げているところ以外の部分においてFPCが剥離している状態
<FPCの歩留まり>
作製した搬送キャリアの表面に、部品が実装され凸部を有するFPCを該凸部が前記搬送キャリアにおける凹部に収容されるようにして、該FPCの露出表面に、電子部品の実装を行い、FPCの歩留まりを下記基準で評価した。
〔評価基準〕
○:90%以上良品が得られた
×:60%以下しか良品が得られなかった
(実施例2)
<搬送キャリアの作製>
図2に示す搬送キャリアを実施例1と同様にして作製した。
次に、実施例2における塗布液の粘度、各層の平均厚み、凹部の最大深さ、及び粘着力を測定した。塗布液の粘度、各層の平均厚み、及び凹部の最大深さの結果を表1に示し、粘着力の結果につき、また、実施例2で作製した搬送キャリアについて、実施例1と同様にして、FPCの浮き、FPCの平坦性、FPCの保持性、及びFPCの歩留まりの評価を行ったところ、いずれも「○」の良好な結果が得られた
(実施例3)
<搬送キャリアの作製>
図3に示す搬送キャリアを実施例1と同様にして作製した。
次に、実施例3における塗布液の粘度、各層の平均厚み、凹部の最大深さ、及び粘着力を測定した。塗布液の粘度、各層の平均厚み、及び凹部の最大深さの結果を表1に示し、粘着力の結果につき、また、実施例3で作製した搬送キャリアについて、実施例1と同様にして、FPCの浮き、FPCの平坦性、FPCの保持性、及びFPCの歩留まりの評価を行ったところ、いずれも「○」の良好な結果が得られた。
(実施例4)
<搬送キャリアの作製>
図4に示す搬送キャリアを実施例2と同様にして作製した。
次に、実施例4における塗布液の粘度、各層の平均厚み、凹部の最大深さ、及び粘着力を測定した。塗布液の粘度、各層の平均厚み、及び凹部の最大深さの結果を表1に示し、粘着力の結果につき、また、実施例4で作製した搬送キャリアについて、実施例1と同様にして、FPCの浮き、FPCの平坦性、FPCの保持性、及びFPCの歩留まりの評価を行ったところ、いずれも「○」の良好な結果が得られた。
(実施例5)
<搬送キャリアの作製>
図5に示す搬送キャリアを実施例2と同様にして作製した。
次に、実施例5における塗布液の粘度、各層の平均厚み、凹部の最大深さ、及び粘着力を測定した。塗布液の粘度、各層の平均厚み、及び凹部の最大深さの結果を表1に示し、粘着力の結果につき、また、実施例5で作製した搬送キャリアについて、実施例1と同様にして、FPCの浮き、FPCの平坦性、FPCの保持性、及びFPCの歩留まりの評価を行ったところ、いずれも「○」の良好な結果が得られた。
(実施例6)
<搬送キャリアの作製>
図1に示す搬送キャリアと同様の形態の搬送キャリアを実施例1と同様にして作製した。
次に、実施例6における塗布液の粘度、各層の平均厚み、凹部の最大深さ、及び粘着力を測定した。塗布液の粘度、各層の平均厚み、及び凹部の最大深さの結果を表1に示し、粘着力の結果につき、また、実施例6で作製した搬送キャリアについて、実施例1と同様にして、FPCの浮き、FPCの平坦性、FPCの保持性、及びFPCの歩留まりの評価を行ったところ、いずれも「○」の良好な結果が得られた。
(実施例7)
<搬送キャリアの作製>
図1に示す搬送キャリアと同様の形態で、第一層(図1中符号3)の平均厚みが異なる搬送キャリアを以下のようにして作製した。
実施例6において、以下に示すように第一層の形成におけるスクリーン印刷の条件を変更した以外は、実施例6と同様にして、実施例7の搬送キャリアを作製した。
〔スクリーン印刷〕
使用したスキージはウレタンゴム製で、スキージ角度を不要とした。スクリーン版とアルミニウム基板の距離をmmとした。
次に、実施例7における塗布液の粘度、各層の平均厚み、凹部の最大深さ、及び粘着力を測定した。塗布液の粘度、各層の平均厚み、及び凹部の最大深さの結果を表1に示し、粘着力の結果につき、また、実施例7で作製した搬送キャリアについて、実施例1と同様にして、FPCの浮き、FPCの平坦性、FPCの保持性、及びFPCの歩留まりの評価を行ったところ、いずれも「○」の良好な結果が得られた。
(実施例8)
<搬送キャリアの作製>
図1に示す搬送キャリアと同様の形態で、第二層(図1中符号4)の平均厚みが異なる搬送キャリアを以下のようにして作製した。
実施例1において、以下に示すように第二層の形成におけるスクリーン印刷の条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例8の搬送キャリアを作製した。
〔スクリーン印刷〕
使用したスキージはウレタンゴム製で、スキージ角度を不要とした。スクリーン版と第一層との距離を3mmとした。
次に、実施例8における塗布液の粘度、各層の平均厚み、凹部の最大深さ、及び粘着力を測定した。塗布液の粘度、各層の平均厚み、及び凹部の最大深さの結果を表1に示し、粘着力の結果につき、また、実施例8で作製した搬送キャリアについて、実施例1と同様にして、FPCの浮き、FPCの平坦性、FPCの保持性、及びFPCの歩留まりの評価を行ったところ、いずれも「○」の良好な結果が得られた。
(実施例9)
<搬送キャリアの作製>
図1に示す搬送キャリアと同様の形態で、第一層(図1中符号3)の平均厚みが異なる搬送キャリアを以下のようにして作製した。
実施例1において、以下に示すように第一層の形成におけるスクリーン印刷の条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例9の搬送キャリアを作製した。
〔スクリーン印刷〕
使用したスキージはウレタンゴム製で、スキージ角度を不要とした。スクリーン版とアルミニウム基板の距離を3mmとした。
次に、実施例9における塗布液の粘度、各層の平均厚み、凹部の最大深さ、及び粘着力を測定した。塗布液の粘度、各層の平均厚み、及び凹部の最大深さの結果を表1に示し、粘着力の結果につき、また、実施例9で作製した搬送キャリアについて、実施例1と同様にして、FPCの浮き、FPCの平坦性、FPCの保持性、及びFPCの歩留まりの評価を行ったところ、いずれも「○」の良好な結果が得られた。
(実施例10)
<搬送キャリアの作製>
図1に示す搬送キャリアと同様の形態の搬送キャリアを以下のようにして作製した。
実施例1において、スクリーン印刷における平均厚み1.5mmのアルミニウム基板を平均厚み1.5mmのポリイミド基板に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例10の搬送キャリアを作製した。
次に、実施例10における塗布液の粘度、各層の平均厚み、凹部の最大深さ、及び粘着力を測定した。塗布液の粘度、各層の平均厚み、及び凹部の最大深さの結果を表1に示し、粘着力の結果につき、また、実施例10で作製した搬送キャリアについて、実施例1と同様にして、FPCの浮き、FPCの平坦性、FPCの保持性、及びFPCの歩留まりの評価を行ったところ、いずれも「○」の良好な結果が得られた。
(実施例11)
<搬送キャリアの作製>
図1に示す搬送キャリアと同様の形態の搬送キャリアを以下のようにして作製した。
実施例1において、スクリーン印刷における平均厚み1.5mmのアルミニウム基板を平均厚み1.5mmのガラス基板に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例11の搬送キャリアを作製した。
次に、実施例11における塗布液の粘度、各層の平均厚み、凹部の最大深さ、及び粘着力を測定した。塗布液の粘度、各層の平均厚み、及び凹部の最大深さの結果を表1に示し、粘着力の結果につき、また、実施例11で作製した搬送キャリアについて、実施例1と同様にして、FPCの浮き、FPCの平坦性、FPCの保持性、及びFPCの歩留まりの評価を行ったところ、いずれも「○」の良好な結果が得られた。
(実施例12)
<搬送キャリアの作製>
図1に示す搬送キャリアと同様の形態の搬送キャリアを以下のようにして作製した。
実施例1において、第1の焼成工程における焼成時間を1時間に変更し、第2の焼成工程における焼成時間を4時間に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例12の搬送キャリアを作製した。
次に、実施例12における塗布液の粘度、各層の平均厚み、凹部の最大深さ、及び粘着力を測定した。塗布液の粘度、各層の平均厚み、及び凹部の最大深さの結果を表1に示し、粘着力の結果につき、また、実施例12で作製した搬送キャリアについて、実施例1と同様にして、FPCの浮き、FPCの平坦性、FPCの保持性、及びFPCの歩留まりの評価を行ったところ、いずれも「○」の良好な結果が得られた。
(実施例13)
<搬送キャリアの作製>
図6に示す搬送キャリアを以下のようにして作製した。
平均厚み1.5mmのアルミニウム基板(図6中符号2)上の所望の部分に耐熱性のテープ(3M、耐熱マスキングテープ、5419)(図6中符号7)を貼り、その上に実施例1の塗布液をブレード塗布し、平均厚み100μmとなるように層(図6中符号4)を形成した。次に、形成した層を、220℃で5時間焼成して、実施例13の搬送キャリア(図6中符号1)を作製した。
次に、実施例13における塗布液の粘度、各層の平均厚み、凹部の最大深さ、及び粘着力を測定した。塗布液の粘度、各層の平均厚み、及び凹部の最大深さの結果を表1に示し、粘着力の結果につき、また、実施例13で作製した搬送キャリアについて、実施例1と同様にして、FPCの浮き、FPCの平坦性、FPCの保持性、及びFPCの歩留まりの評価を行ったところ、いずれも「○」の良好な結果が得られた。
(比較例1)
<搬送キャリアの作製>
底面の略中央部に2段の段差を有する凹部が形成された金型に実施例1の塗布液を流し込み、上部凸部での平均厚みが100μm、下部凸部での平均厚みが60μmの成型物を得た。次いで、この成型物を200℃で1時間焼成した後、金型から剥がし取り、耐熱性の接着剤を用いて、平均厚み1.5mmのアルミニウム基板に貼り付けた。次いで、280℃で4時間焼成して、比較例1の搬送キャリアを作製した。
次に、比較例1における塗布液の粘度、各層の平均厚み、凹部の最大深さ、及び粘着力を測定した。塗布液の粘度、各層の平均厚み、及び凹部の最大深さの結果を表1に示し、粘着力の結果につき、また、比較例1で作製した搬送キャリアについて、実施例1と同様にして、FPCの浮き、FPCの平坦性、FPCの保持性、及びFPCの歩留まりの評価を行ったところ、良好な結果が得られなかった。
Figure 0005284395
表1中、Alはアルミニウム、Plはポリイミド、Glはガラスを表す。
本発明に係る搬送キャリアは、片面実装用FPCや両面実装用FPCなどの電子部品の実装時の治具として使用することができ、既に片面乃至両面に部品が実装されているFPCに対しても歩留まりよく電子部品を実装することができる。
1 搬送キャリア
2 基板
3 第一層(表層以外の層)
4 第二層(表層)
5 凹部
6 段差部

Claims (12)

  1. 基板上に、ポリジメチルシロキサンを含有する内層用塗布液を塗布して内層を形成する内層形成工程と、前記内層上に、ポリジメチルシロキサンを含有する表層用塗布液を塗布して表層を形成することにより、表面に凹部を形成して、前記内層と前記表層とによる粘着性積層体を形成する積層体形成工程とを含むことを特徴とする搬送キャリアの製造方法。
  2. 前記内層形成工程において、前記内層が、前記内層用塗布液を塗布し、前記内層用塗布液による塗布層を半硬化状態で形成され、該半硬化状態の内層上に前記表層用塗布液を塗布して前記積層体形成工程を行う請求項1に記載の搬送キャリアの製造方法。
  3. 前記内層形成工程における前記内層の形成が、前記内層用塗布液による塗布層を加熱して硬化させることにより行われ、前記表層形成工程における前記表層の形成が、前記表層用塗布液による塗布層を加熱して硬化させることにより行われ、
    前記表層用塗布液による塗布層の加熱の温度及び/又は時間が、前記内層用塗布液による塗布層の加熱の温度及び/又は時間よりも大きい請求項1から2のいずれかに記載の搬送キャリアの製造方法。
  4. 前記内層形成工程における前記内層用塗布液の塗布がスクリーン印刷法により行われ、前記積層体形成工程における前記表層用塗布液の塗布がスクリーン印刷法により行われる請求項1から3のいずれかに記載の搬送キャリアの製造方法。
  5. 前記積層体形成工程における前記表層用塗布液の塗布パターンが、前記内層形成工程における前記内層用塗布液の塗布パターンと異なるようにして、該表層用塗布液が塗布される請求項1から4のいずれかに記載の搬送キャリアの製造方法。
  6. 前記積層体形成工程における前記表層用塗布液の塗布が、パターン状にされる請求項1から5のいずれかに記載の搬送キャリアの製造方法。
  7. 前記内層用塗布液におけるポリジメチルシロキサン含有量と、前記表層用塗布液におけるポリジメチルシロキサン含有量とが異なる請求項1から6のいずれかに記載の搬送キャリアの製造方法。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の搬送キャリアの製造方法により製造され、
    基板上に、ポリジメチルシロキサンを含みかつ粘着性を有する粘着層が積層された粘着性積層体を有してなり、該積層体の表面に凹部を有することを特徴とする搬送キャリア。
  9. 前記粘着性積層体の厚み方向において、前記凹部に段差部が形成された請求項8に記載の搬送キャリア。
  10. 前記粘着性積層体が、内層と表層とを有してなり、該内層と該表層とにおける、厚み及び組成の少なくともいずれかが互いに異なる請求項8から9のいずれかに記載の搬送キャリア。
  11. 前記粘着性積層体が、前記内層と前記表層との間に接着剤層を有さない請求項10に記載の搬送キャリア。
  12. 基板が、金属製、樹脂製及びガラス製のいずれかであり、該基板における前記粘着性積層体が形成されていない領域に貫通孔が形成された請求項8から11のいずれかに記載の搬送キャリア。
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