JP5283607B2 - コンクリート構造物の耐力評価方法及びコンピュータプログラム - Google Patents
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Description
特許文献1では、コンクリート構造物及びその周辺の環境調査と、コンクリート構造物におけるコンクリート表面の簡易検査とを行った結果、より精密な診断が必要とされる箇所については、コンクリートコアを採取して劣化因子分析を行い、その結果からコンクリート構造物の劣化の予測を行うようにしている。
特許文献2では、コンクリート構造物の3次元写真画像を作成すると共に、異なる時間における3次元赤外線画像を作成し、低い温度状態で撮影した3次元赤外線画像と高い温度状態で撮影した3次元赤外線画像とを比較して赤外線温度差画像を作成し、これと3次元写真画像とを合成し、合成した画像からコンクリート構造物の劣化部分を診断することが行われている。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、コンクリート構造物の耐力評価を精密に行えるようにすることを目的とする。
本発明のコンピュータプログラムは、鉄筋とコンクリートとを用いて構成されるコンクリート構造物の耐力を評価することをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、前記コンクリート構造物の領域を、その劣化の程度に応じた複数の劣化領域に分類する領域設定工程と、前記コンクリート構造物のコンクリートの圧縮強度の、前記複数の劣化領域それぞれの複数箇所における測定値に基づいて、前記コンクリートの圧縮強度の許容値を、前記複数の劣化領域ごとに設定する強度許容値設定工程と、前記コンクリート構造物の鉄筋の腐食率の、前記複数の劣化領域それぞれの複数箇所における測定値に基づいて、前記鉄筋の断面積の設定値を、前記複数の劣化領域ごとに設定する腐食量設定工程と、前記鉄筋の断面積の設定値に基づいて前記コンクリート構造物の構造計算を行い、前記コンクリートに発生する圧縮応力と、前記鉄筋に発生する引張応力とを、前記コンクリート構造物の個々の劣化領域において導出する構造計算工程と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
図1は、耐力の評価対象となるコンクリート構造物の一例を示す図(正面図)である。尚、図1では、説明の都合上、コンクリート構造物を簡略化して示している。また、耐力の評価対象となるコンクリート構造物は図1に示すものに限定されない。
図1に示すように、コンクリート構造物10は、梁部材11と、柱部材12、13とを有する。コンクリート構造物10は、鉄筋コンクリートでできている。また、柱部材12、13の下側の部分は地中に埋設されているものとする。
本実施形態では、まず、コンクリート構造物10の領域を3つの劣化範囲に分類する。劣化範囲は、コンクリートが鉄筋から浮いていない健全な領域(浮き無し領域)と、コンクリートが鉄筋から浮いている領域(浮き発生領域)と、コンクリートが剥落して鉄筋が露出している領域(かぶり剥落領域)である。
図1に示す例では、梁部材11の領域11aと、柱部材12の領域12aと、柱部材13の領域13aが浮き無し領域であるとする。また、柱部材12の領域12bと、柱部材13の領域13bが浮き発生領域であるとする。また、柱部材12の領域12cと、柱部材13の領域13cがかぶり剥落領域であるとする。尚、コンクリート構造物10のその他の領域も、浮き無し領域、浮き発生領域、及びかぶり剥落領域の何れかに分類されるが、ここでは、それらについての詳細を省略する。
(領域設定部200)
領域設定部200は、前述したようにして作業者により分類された劣化領域(劣化領域は、前述したようにして作業者により分類された領域であることを示し、劣化している領域及び劣化していない領域の何れも含み得る領域である)の情報を、ユーザによるユーザーインターフェースの操作に基づいて入力して記憶する。劣化領域の情報は、例えば、浮き無し領域、浮き発生領域、及びかぶり剥落領域が、コンクリート構造物10のどの位置にあるのかを特定するための情報である。
領域設定部200は、例えば、CPUが、ユーザーインターフェースのユーザによる操作の内容を識別して劣化領域の情報を取得し、取得した劣化領域の情報をRAM等に記憶することにより実現することができる。
浮き無し領域設定部300は、浮き無し領域における「『コンクリートの圧縮強度(応力)の許容値』と『鉄筋の断面積の設定値』」を導出する。浮き無し領域設定部300は、コンクリートの圧縮強度の許容値を導出するコンクリート設定部310と、鉄筋の断面積を導出する鉄筋設定部320とを有する。
<コンクリート設定部310>
[標準偏差設定部311]
標準偏差設定部311は、コンクリートの浮き無し領域における圧縮強度の標準偏差σc[N/mm2]の情報を、ユーザによるユーザーインターフェースの操作に基づいて入力する。コンクリートの圧縮強度の標準偏差σcは、過去の実績値に基づくものである。例えば、耐力の評価対象であるコンクリート構造物10や、コンクリート構造物10と用途が同一である他のコンクリート構造物の所定の部材の浮き無し領域における複数箇所の圧縮強度を測定しておく。そして、測定した圧縮強度の分布に基づいて、コンクリートの圧縮強度の標準偏差σcを得る。
標準偏差設定部311は、例えば、CPUが、ユーザーインターフェースのユーザによる操作の内容を識別してコンクリートの浮き無し領域における圧縮強度の標準偏差σcの情報を取得し、取得したコンクリートの浮き無し領域における圧縮強度の標準偏差σcをRAM等に記憶することにより実現することができる。尚、ここでは、コンクリートの圧縮強度の標準偏差σcを標準偏差設定部311が入力する場合を例に挙げて説明したが、必ずしもこのようにする必要はない。すなわち、コンクリートの圧縮強度の試験結果のデータを入力し、入力したデータからコンクリートの圧縮強度の標準偏差σcを計算するようにしてもよい。また、コンクリートの圧縮強度の標準偏差σcは、各劣化領域で同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
誤差設定部312は、コンクリートの浮き無し領域における圧縮強度の標本平均に対して許容する誤差の最大値Ec[N/mm2](以下の説明では、必要に応じて誤差Ecと称する)の情報を、ユーザによるユーザーインターフェースの操作に基づいて入力する。
誤差設定部312は、例えば、例えば、CPUが、ユーザーインターフェースのユーザによる操作の内容を識別して誤差Ecの情報を取得し、取得した誤差EcをRAM等に記憶することにより実現することができる。
尚、コンクリートの浮き無し領域における圧縮強度の標準偏差σcと誤差Ecとを同じにする場合や、コンクリートの浮き無し領域における圧縮強度の標準偏差σcから誤差Ecを求める場合には、ユーザによるユーザーインターフェースの操作を行わずに誤差Ecを取得することができる。
調査数決定部313は、ユーザによるユーザーインターフェースの操作に基づいて、信頼度を(1−α1)×100[%]としたときの変数α1[−]の情報を入力する。そして、調査数決定部313は、コンクリートの浮き無し領域における圧縮強度の標準偏差σcと、誤差Ecと、変数α1とに基づいて、以下の(1)式により、コンクリートの浮き無し領域における圧縮強度の調査数N1[個]を算出し、算出した調査数N1の情報をコンピュータディスプレイに表示してユーザに報知する。
N1=[Z(α1/2)×σc÷Ec]2 ・・・(1)
(1)式において、Z(α1/2)は、正規分布において上側確率がα1/2になる値[−]である。例えば、α1が0.1、0.05、0.01の場合、Z(α1/2)は、それぞれ1.65、1.96.2.58となる。また、(1)式の右辺の小数点以下は切り上げるものとする。
ここで、(1)式について説明する。
母分散σ2が既知である場合、母平均μの100(1−α1)%の信頼区間は、以下の(2)式のようになり、(2)式から(3)式が得られる。
ここで、誤差=|標本平均−母平均|と考えられるため、誤差の最大値をEcとおけば、以下の(4)式が得られ、(4)式を変形すると(1)式が得られる。
調査数決定部313は、例えば、例えば、CPUが、ユーザーインターフェースのユーザによる操作の内容を識別して変数α1の情報を取得し、コンクリートの浮き無し領域における圧縮強度の標準偏差σcと、誤差Ecと、変数α1とに基づいて、(1)式の計算を行うことにより、コンクリートの浮き無し領域における圧縮強度の調査数N1を求め、求めた調査数N1をRAM等に記憶すると共にコンピュータディスプレイに表示することにより実現することができる。尚、ここでは、変数α1の情報を取得するようにしたが、Z(α1/2)の情報を取得するようにしてもよい。また、変数α1は所定の値で一定(固定値)であってもよい。
作業者は、コンクリート構造物10の浮き無し領域から、調査数決定部313で決定された調査数N1のサンプルを取り出し、取り出したサンプルのそれぞれについて圧縮強度の試験を行い、その測定値を得る。
その後、ユーザは、耐力評価装置100のユーザーインターフェースを操作して、調査数決定部313で決定された調査数N1の圧縮強度の情報を設定する。強度取得部314は、この圧縮強度の情報を入力する。
強度取得部314は、例えば、CPUが、ユーザーインターフェースのユーザによる操作の内容を識別して圧縮強度の情報を取得し、取得した圧縮強度をRAM等に記憶することにより実現することができる。
尚、強度取得部314が入力する圧縮強度の情報の数は、調査数決定部313で決定された調査数N1以上であれば、必ずしも調査数決定部313で決定された調査数N1である必要はない。調査数決定部313で決定された調査数N1を超える数の圧縮強度の情報を入力した場合、強度取得部314は、例えば、予め設定された条件に基づいて、調査数決定部313で決定された調査数N1の圧縮強度を選択することができる。
強度平均部315は、強度取得部314が入力した「調査数N1の圧縮強度」の平均σcave[N/mm2]を求める。例えば、調査数決定部313で決定された調査数N1が3である場合、強度平均部315は、強度取得部314が入力した「3つの圧縮強度」を3で除算する。
強度平均部315は、例えば、CPUが、「調査数N1の圧縮強度」をN1で除算する計算を行って平均値を求め、求めた結果をRAM等に記憶することにより実現することができる。尚、以下の説明では、「調査数N1の圧縮強度の平均」を必要に応じて「平均強度」と称する。
強度許容値設定部316は、強度平均部315で求められた平均強度σcaveから誤差Ecを減算し、減算した値に安全係数η[−]を乗算して、浮き無し領域における「コンクリートの圧縮強度の許容値σcp」を求める。
図3は、コンクリートの圧縮強度の分布の一例を示す図である。
図3において、標本平均Xaは、強度平均部315で求められたものであり、標準偏差σcは標準偏差設定部311で設定されたものであり、誤差Ecは誤差設定部312で設定されたものである。この場合、母平均μは(1−α1)×100[%]の信頼度で信頼区間A1に存在することになる。圧縮強度の許容値が小さいほど厳しい条件となるので、本実施形態では、この信頼区間A1に入っていないもののうち、信頼区間A1の下限値を下回るものを不良とする。信頼区間A1の下限値は(1)式及び(2)式から「Xa−Ec」となるので、標本平均Xaから誤差Ecを減算した値を特性値とし、この特性値に安全係数ηを乗算したものを「コンクリートの浮き無し領域における圧縮強度の許容値」とする。ここで、長期的な振動(日常的に生じる風や車両の通過等による小さな振動)についての安全係数ηよりも、短期的な振動(地震等による一時的な大きな振動)についての安全係数ηを大きくする。安全係数ηは、耐力評価装置100に予め設定されているものであり、例えば、長期的な振動についての安全係数ηを1/3に、短期的な振動についての安全係数ηを2/3にすることができる。
強度許容値設定部316は、例えば、CPUが、強度平均部315で求められた平均強度σcaveから誤差Ecを減算し、減算した値に安全係数ηを乗算する計算を行い、計算した結果をRAM等に記憶することにより実現することができる。
[標準偏差設定部321]
標準偏差設定部321は、鉄筋の浮き無し領域における腐食率の標準偏差σs[%]の情報を、ユーザによるユーザーインターフェースの操作に基づいて入力する。鉄筋の腐食率の標準偏差σsは、過去の実績値に基づくものである。例えば、耐力の評価対象であるコンクリート構造物10や、コンクリート構造物10と用途が同一である他のコンクリート構造物の所定の部材の浮き無し領域における複数箇所の鉄筋の腐食率[%]を求めておく。そして、求めた腐食率の分布に基づいて、鉄筋の腐食率の標準偏差σsを得る。
標準偏差設定部321は、例えば、CPUが、ユーザーインターフェースのユーザによる操作の内容を識別して、鉄筋の浮き無し領域における腐食率の標準偏差σsの情報を取得し、取得した鉄筋の浮き無し領域における腐食率の標準偏差σsをRAM等に記憶することにより実現することができる。尚、鉄筋の腐食率とは、腐食後の鉄筋の断面積を、鉄筋の断面積の仕様値(使用前の鉄筋の断面積)で除算した値を求め、1から求めた値を減算した値に100を乗算したものである。また、鉄筋の腐食率の算定において、鉄筋の断面積の代わりに鉄筋重量を用いても良い。腐食後の鉄筋の断面積は、例えば、錆を落とした鉄筋の断面積を測定することにより得られる。尚、ここでは、鉄筋の腐食率の標準偏差σsを標準偏差設定部321が入力する場合を例に挙げて説明したが、必ずしもこのようにする必要はない。すなわち、鉄筋の腐食率の測定結果のデータを入力し、入力したデータから鉄筋の腐食率の標準偏差σsを計算するようにしてもよい。また、鉄筋の腐食率の標準偏差σsは、劣化領域で同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
誤差設定部322は、鉄筋の浮き無し領域における腐食率の標本平均に対して許容する誤差Esの最大値[%](以下の説明では、必要に応じて誤差Esと称する)の情報を、ユーザによるユーザーインターフェースの操作に基づいて入力する。
誤差設定部322は、例えば、例えば、CPUが、ユーザーインターフェースのユーザによる操作の内容を識別して誤差Esの情報を取得し、取得した誤差EsをRAM等に記憶することにより実現することができる。
尚、鉄筋の浮き無し領域における腐食率の標準偏差σsと誤差Esとを同じにする場合や、鉄筋の浮き無し領域における腐食率の標準偏差σsから誤差Esを求める場合には、ユーザによるユーザーインターフェースの操作を行わずに誤差Esを取得することができる。
調査数決定部323は、ユーザによるユーザーインターフェースの操作に基づいて、信頼度を(1−α2)×100[%]としたときの変数α2[−]の情報を入力する。そして、調査数決定部313は、鉄筋の浮き無し領域における腐食率の標準偏差σsと、誤差Esと、変数α2とに基づいて、以下の(5)式により、鉄筋の浮き無し領域における腐食率の調査数N2[個]を算出し、算出した調査数N2の情報をコンピュータディスプレイに表示してユーザに報知する。
N2=[Z(α2/2)×σs÷Es]2 ・・・(5)
(5)式において、Z(α2/2)は、正規分布において上側確率がα2/2になる値である。また、(5)式の右辺の小数点以下は切り上げるものとする。
調査数決定部323は、例えば、例えば、CPUが、ユーザーインターフェースのユーザによる操作の内容を識別して変数α2の情報を取得し、鉄筋の浮き無し領域における腐食率の標準偏差σsと、誤差Esと、変数α2とに基づいて、(5)式の計算を行うことにより、鉄筋の浮き無し領域における腐食率の調査数N2を求め、求めた調査数N2をRAM等に記憶すると共にコンピュータディスプレイに表示することにより実現することができる。尚、ここでは、変数α2の情報を取得するようにしたが、Z(α2/2)の情報を取得するようにしてもよい。また、変数α2の情報は所定の値で一定(固定値)であってもよい。
作業者は、コンクリート構造物10の浮き無し領域から、調査数決定部323で決定された調査数N2のサンプルを取り出し、取り出したサンプルのそれぞれについて腐食率の測定値を得る。
その後、ユーザは、耐力評価装置100のユーザーインターフェースを操作して、調査数決定部323で決定された調査数N2の腐食率の情報を設定する。腐食率取得部324は、この腐食率の情報を入力する。
腐食率取得部324は、例えば、CPUが、ユーザーインターフェースのユーザによる操作の内容を識別して腐食率の情報を取得し、取得した腐食率をRAM等に記憶することにより実現することができる。
尚、腐食率取得部324が入力する腐食率の情報の数は、調査数決定部323で決定された調査数N2以上であれば、必ずしも調査数決定部323で決定された調査数N2である必要はない。調査数決定部323で決定された調査数N2を超える数の腐食率の情報を入力した場合、腐食率取得部324は、例えば、予め設定された条件に基づいて、調査数決定部323で決定された調査数N2の腐食率を選択することができる。
腐食率平均部325は、腐食率取得部324が入力した「調査数N2の腐食率」の平均Fave[%]を求める。例えば、調査数決定部323で決定された調査数N2が3である場合、腐食率平均部325は、腐食率取得部324が入力した「3つの腐食率の合計値」を3で除算する。
腐食率平均部325は、例えば、CPUが、「調査数N2の腐食率」をN2で除算する計算を行って平均値を求め、求めた結果をRAM等に記憶することにより実現することができる。尚、以下の説明では、「調査数N2の腐食率の平均」を必要に応じて「平均腐食率」と称する。
腐食量設定部326は、腐食率平均部325で求められた平均腐食率Faveに誤差Es加算し、加算した値から、浮き無し領域における「各鉄筋の断面積の設定値D」を求める。
図4は、コンクリート構造物の鉄筋の腐食率の分布の一例を示す図である。
図4において、標本平均Xaは、腐食率平均部325で求められたものとなり、標準偏差σは標準偏差設定部321で設定されたものとなり、誤差Esは誤差設定部322で設定されたものとなる。この場合、母平均μは(1−α2)×100[%]の信頼度で信頼区間A2に存在することになる。引張応力の計算に際し、鉄筋の腐食率が大きいほど厳しい条件となるので、本実施形態では、信頼区間A2の上限値のものを、浮き無し領域における「鉄筋の腐食率」とする。信頼区間A2の上限値は(5)式及び(2)式(ただし、α1をα2、σcをσs、N1をN2にする)から「Xa+Es」となるので、標本平均Xaに誤差Esを加算した値を特性値とし、この特性値を、浮き無し領域における「鉄筋の腐食率の設定値」とする。
そして、腐食量設定部326は、以下の(6)式の計算を行うことにより、浮き無し領域における「各鉄筋の断面積の設定値D[cm2]」を求める。
D=S×(1−F÷100) ・・・(6)
ここで、Sは浮き無し領域における「各鉄筋の断面積」の仕様値[cm2]であり、Fは、浮き無し領域における「鉄筋の腐食率の設定値(=Fave+Es)[%]」である。
腐食量設定部326は、例えば、CPUが、腐食率平均部325で求められた平均腐食率Faveに誤差Esを加算し、加算した値Fを用いて(6)式の計算を行い、計算した結果をRAM等に記憶することにより実現することができる。
浮き発生領域設定部400・剥落領域設定部500は、それぞれ、浮き発生領域における「『コンクリートの圧縮応力の許容値』と『鉄筋の断面積の設定値』」・かぶり剥落領域における「『コンクリートの圧縮応力の許容値』と『鉄筋の断面積の設定値』」を導出する。浮き発生領域設定部400・剥落領域設定部500は、浮き無し領域設定部300における「浮き無し領域」を、それぞれ「浮き発生領域」、「かぶり剥落領域」に置き換えることにより説明することができるので、ここでは、これらの詳細な説明を省略する。
構造計算部600は、コンクリート構造物10に所定の荷重が加わった場合(曲げモーメントを受けた場合)のコンクリート構造物10の各部(個々の劣化領域)に発生する応力を、前述した短期的な振動及び長期的な振動が生じたときのそれぞれの場合について計算する。
<一般解析部601>
一般解析部601は、浮き無し領域設定部300の腐食量設定部326で求められた「浮き無し領域における『各鉄筋の断面積』の設定値D」を、浮き無し領域における各鉄筋の断面積として、浮き無し領域の「コンクリートに発生する圧縮応力σcと、鉄筋に発生する引張応力σs」を、コンクリート構造物10の各部材11〜13の浮き無し領域のそれぞれについて求める。例えば、複数の部材に浮き無し領域がある場合には、それぞれの浮き無し領域について、コンクリートに発生する圧縮応力σcと、鉄筋に発生する引張応力σsとを求めることになる。浮き無し領域は、コンクリートが鉄筋から浮いていない健全な領域であるので、コンクリートと鉄筋とが一体で挙動するものとして構造計算することができる。
σc=2×M/[b×x×(d−x/3)] ・・・(7)
σs=M/[As×(d−x/3)] ・・・(8)
ここで、xは中立軸高さ[mm]であり、Asは鉄筋1002a〜1002cの断面積(=D)[mm2]である。
一般解析部601は、例えばCPUが、腐食量設定部326で求められた「浮き無し領域における『各鉄筋の断面積』の設定値D」をRAM等から読み出して、例えば(7)式や(8)式の計算を行い、計算した結果をRAM等に記憶することにより実現することができる。尚、鉄筋とコンクリートの形態によって(7)式や(8)式の計算式は種々の計算式に変更されるが、それらは公知の技術で実現できるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
前述したように、浮き無し領域は、コンクリートが鉄筋から浮いていない領域であるので、コンクリートと鉄筋とが一体で挙動するものとして構造計算することができる。これに対し、浮き発生領域とかぶり剥落領域では、コンクリートと鉄筋とが一体で挙動せず、変形性能も評価できないので、コンクリートと鉄筋との付着応力をパラメータに含む計算を行う必要がある。そこで、本実施形態では、FEM解析部602は、FEM(Finite Element Method;有限要素法)を使って、浮き発生領域・かぶり剥落領域の「『コンクリートに発生する圧縮応力σc』、『鉄筋に発生する引張応力σs』」を、コンクリート構造物10の各部材11〜13の浮き発生領域、かぶり剥落領域のそれぞれについて求めるようにする。例えば、複数の部材に浮き発生領域がある場合には、それぞれの浮き発生領域について、コンクリートに発生する圧縮応力σcと、鉄筋に発生する引張応力σsとを求めることになる。
図6(a)に示すように、コンクリートをソリッド要素2001とし、鉄筋をバー要素2002とし、鉄筋とコンクリートとの付着を非線形のばね要素2003としてモデル化することができる。本実施形態では、浮き発生領域とかぶり剥落領域については、ばね要素2003により表現される付着応力(N/mm2)を0(ゼロ)とし、図6(b)に示すように、ソリッド要素2001(コンクリート)とバー要素2002とが物理的に縁が切れているものとして計算を行う。
FEM解析部602は、例えばCPUが、腐食量設定部426(526)で求められた「浮き発生領域における『各鉄筋の断面積』の設定値D」(「かぶり剥落領域における『各鉄筋の断面積』の設定値D」)をRAM等から読み出して、前述したモデル等を使ってFEMにより構造計算を行い、解析した結果をRAM等に記憶することにより実現することができる。
また、ここでは、FEMにより構造計算を行う場合を例に挙げて説明したが、鉄筋の断面積と、コンクリート及び鉄筋の付着応力とをパラメータに含む計算を行って、コンクリートに発生する圧縮応力σcと、鉄筋に発生する引張応力σsとを求めるようにするものであれば、構造計算の手法はFEMに限定されるものではない。
また、浮き無し領域についてもFEMにより構造計算を行うようにしてもよい。この場合、浮き無し領域については、付着応力として0(ゼロ)以外の値(鉄筋の腐食率に応じた付着応力)を与えるようにすればよい。
鉄筋の腐食率に応じた付着応力τ[N/mm2]は、例えば以下の(9)式で表される。
τ=β×0.4×0.9×fc 2/3×[1−exp(−40×(s/D)0.6)] ・・・(9)
ここで、βは定数、fcはコンクリートの圧縮強度[N/mm2]、sは鉄筋のずれ[mm]、Dは鉄筋の直径[mm]である。
従来は、浮き発生領域やかぶり剥落領域についても(9)式のように鉄筋の腐食率に応じた付着応力があるものとしてFEMにより、コンクリートに発生する圧縮応力σcと、鉄筋に発生する引張応力σsとを求めるようにした。これに対し、本実施形態では、浮き発生領域及びかぶり剥落領域については、付着応力τが0(ゼロ)であるとしてFEMにより、コンクリートに発生する圧縮応力σcと、鉄筋に発生する引張応力σsとを求める。
評価部700は、コンクリートに発生する圧縮応力σcの計算値が許容値以下であるか否と、鉄筋に発生する引張応力σsの計算値が許容値以下であるか否かを、コンクリート構造物10の個々の劣化領域ごとに判別するための処理を行う。
図7は、コンクリートに発生する圧縮応力と、コンクリートの圧縮強度の許容値とを示す図である。
図1に示す例では、7つ領域11a、12a〜12c、13a〜13cがあるので、評価部700は、例えば、図7に示すような7つのテーブル3001〜3007を作成する。各テーブル3001〜3007には、「領域を特定する情報」と、「その領域の長期的(短期的)な振動に対する『コンクリートの圧縮応力σc・鉄筋の引っ張り応力σs』の計算値」と、「その領域の長期的(短期的)な振動に対する『コンクリートの圧縮応力σc・鉄筋の引張応力σs』の許容値」とが含まれる。尚、鉄筋の材料特性(性質)は劣化が生じても変わらないので、鉄筋の引張強度の許容値は、当該鉄筋の仕様から定まるものである。よって、図7において、鉄筋に発生する引張応力σsの許容値3010、3020は、鉄筋の仕様値となる。
評価部700は、例えば、CPUが、各領域11a、12a〜12c、13a〜13cの「コンクリートに発生する圧縮応力σcと、鉄筋に発生する引張応力σs」をRAM等から読み出して、図7に示すような表示を行うための処理を行うことにより実現することができる。
図8は、耐力評価装置の処理の一例を説明するメインフローチャートである。
まず、ステップS1において、領域設定部200は、解析対象であるコンクリート構造物10の領域を劣化区分に応じて分類した複数の劣化領域(浮き無し領域、浮き発生領域、及びかぶり剥落領域)の情報を、ユーザによるユーザーインターフェースの操作に基づいて入力し、記憶する。
このように本実施形態では、例えば、ステップS1の処理を行うことによって領域設定工程の一例が実現される。
次に、ステップS3において、コンクリート設定部310、410、又は510は、各劣化領域における「コンクリートの圧縮強度の許容値」を算出して記憶する強度許容値設定処理を行う。強度許容値設定処理の詳細については、図10を参照しながら後述する。尚、前述したように、ここでは、浮き無し領域、浮き発生領域、かぶり剥落領域の順で処理を行うので、最初にステップS3を行う場合には、コンクリート設定部310により、浮き無し領域における「コンクリートの圧縮強度の許容値」が得られる。
次に、ステップS8において、領域設定部200は、浮き無し領域、浮き発生領域、及びかぶり剥落領域の全てについて処理を行ったか否かを判定する。この判定の結果、浮き無し領域、浮き発生領域、及びかぶり剥落領域の全てについて処理を行っていない場合には、ステップS9に進む。ステップS9に進むと、領域設定部200は、未だ指定していない劣化領域を指定する。そして、前述したステップS6に戻り、指定した劣化領域に対する処理が行われる。前述したように、ここでは、浮き無し領域、浮き発生領域、かぶり剥落領域の順で処理を行うので、領域設定部200は、この順で劣化領域を指定する。
以上のように本実施形態では、例えば、ステップS10の処理を行うことにより構造計算工程の一例が実現される。
以上のように本実施形態では、例えば、ステップS11の処理を行うことにより評価工程の一例が実現される。
そして、図8のフローチャートによる処理を終了する。
尚、図8において、ステップS2〜S5の処理と、ステップS6〜S9の処理の順番を入れ替えても良い。また、「ステップS1」、「ステップS2〜S5」、「ステップS6〜S9」、「ステップS10・S11」を個別に行うようにしてもよい。
まず、ステップS21において、標準偏差設定部311(321)は、コンクリートの浮き無し領域における圧縮強度(鉄筋の浮き無し領域における腐食率)の標準偏差σc(σs)の情報を、ユーザによるユーザーインターフェースの操作に基づいて入力して記憶する。
このように本実施形態では、例えば、ステップS21の処理を行うことにより第1の標準偏差設定工程、第2の標準偏差設定工程の一例が実現される。
次に、ステップS23において、調査数決定部313(323)は、変数α1(α2)の情報を、ユーザによるユーザーインターフェースの操作に基づいて入力して記憶する。
このように本実施形態では、例えば、ステップS23の処理を行うことにより変数取得工程の一例が実現される。
次に、ステップS24において、調査数決定部313(323)は、(1)式((5)式)により、コンクリートの浮き無し領域における圧縮強度の調査数N1(鉄筋の浮き無し領域における腐食率の調査数N2)を計算して記憶する。
このように本実施形態では、例えば、ステップS24の処理を行うことにより第1の調査数決定工程、第2の調査数決定工程の一例が実現される。
そして、図9のフローチャートによる処理を終了する。尚、誤差Ec(Es)と標準偏差σc(σs)とが等しい場合や、標準偏差σc(σs)から誤差Ec(Es)が求められる場合には、ステップS21又はS22の処理を省略することができる。また、変数α1(α2)が規定値である場合には、ステップS23の処理を省略することができる。
まず、ステップS31において、強度取得部314は、図8のステップS2(図9のステップS23)で求められた調査数N1の「浮き無し領域における圧縮強度の情報」を、ユーザによるユーザーインターフェースの操作に基づいて入力して記憶する。尚、前述したように、図8のステップS2(図9のステップS23)で求められた調査数N1を超える数の「浮き無し領域における圧縮強度の情報」が入力された場合、強度取得部314は、予め設定された条件に基づいて、図8のステップS2(図9のステップS23)で求められた調査数N1の「浮き無し領域における圧縮強度」を選択する。
以上のように本実施形態では、例えば、ステップS31の処理を行うことにより強度取得工程の一例が実現される。
このように本実施形態では、例えば、ステップS32の処理を行うことにより強度平均工程の一例が実現される。
次に、ステップS33において、強度許容値設定部316は、ステップS32で求められた平均強度σcaveから誤差Ecを減算し(=σcave−Ec)、減算した値に、長期的な振動に対する安全係数η1と、短期的な振動に対する安全係数η2をそれぞれ乗算して(=(σcave−Ec)×η1、(σcave−Ec)×η2)、浮き無し領域における「コンクリートの圧縮強度の許容値σcp」を算出し、記憶する。
このように本実施形態では、例えば、ステップS33の処理を行うことにより強度許容値設定工程の一例が実現される。
そして、図10のフローチャートによる処理を終了する。
まず、ステップS41において、腐食率取得部324は、図8のステップS6(図9のステップS23)で求められた調査数N2の「浮き無し領域における鉄筋の腐食率の情報」を、ユーザによるユーザーインターフェースの操作に基づいて入力して記憶する。尚、前述したように、図8のステップS6(図9のステップS23)で求められた調査数N2を超える数の「浮き無し領域における鉄筋の腐食率の情報」が入力された場合、腐食率取得部324は、予め設定された条件に基づいて、図8のステップS6(図9のステップS23)で求められた調査数N2の「浮き無し領域における鉄筋の腐食率」を選択する。
以上のように本実施形態では、例えば、ステップS41の処理を行うことにより腐食率取得工程の一例が実現される。
このように本実施形態では、例えば、ステップS42の処理を行うことにより腐食率平均工程の一例が実現される。
次に、ステップS43において、腐食量設定部326は、ステップS42で算出された平均腐食率Faveに誤差Esを加算したもの(=Fave+Es)を「浮き無し領域における鉄筋の腐食率F」とし、(6)式により、浮き無し領域における「各鉄筋の断面積D(cm2)」を算出して記憶する。
このように本実施形態では、例えば、ステップS43の処理を行うことにより腐食量設定工程の一例が実現される。
そして、図11のフローチャートによる処理を終了する。
図12(a)に示すように、コンクリート構造物が劣化する前は、計算値は全て許容値以下となる。これに対し、図12(b)に示すように、コンクリート構造物のかぶり剥落領域では、短期的な振動を加えたときの「コンクリートに発生する圧縮応力σc」を除いて、計算値が許容値を超えていることが分かる。
図13(a)に示すように、コンクリート構造物の全ての領域に対して鉄筋の腐食率に応じた付着応力を与えると、解析結果4001は実験結果4002と一致しない。これに対し、本実施形態のように、コンクリート構造物の浮き発生領域及びかぶり剥落領域における付着応力を0(ゼロ)とすると、解析結果4003と実験結果4004とが概ね一致する。
以上の図12、図13から、本実施形態による計算は、実際の挙動をよく反映していることが分かる。
また、本実施形態では、浮き発生領域、及びかぶり剥落領域については、鉄筋とコンクリートとの間に生じる付着応力τが0(ゼロ)であるとして(鉄筋とコンクリートとが物理的に離れているものとして)構造計算を行うようにした。したがって、鉄筋とコンクリートとの実際の挙動に合わせた構造計算を行うことができる。
また、本実施形態のように、調査数N1(N2)のサンプルの圧縮強度(腐食率)の平均を求めるようにすれば、可及的に少ない数のサンプルで、圧縮強度の許容値(腐食率の設定値)を求めることができるので好ましいが、調査数N1(N2)を超える数のサンプルの圧縮強度(腐食率)の平均を求めるようにしてもよい。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
11 梁部材
11a 浮き無し領域
12、13 柱部材
12a、13a 浮き無し領域
12b、13b 浮き発生領域
12c、13c かぶり剥落領域
100 コンクリート構造物の耐力評価装置
200 領域設定部
300 浮き無し領域設定部
400 浮き発生領域設定部
500 剥落領域設定部
600 構造計算部
700 評価部
Claims (18)
- 鉄筋とコンクリートとを用いて構成されるコンクリート構造物の耐力を評価するコンクリート構造物の耐力評価方法であって、
前記コンクリート構造物の領域を、その劣化の程度に応じて分類した複数の劣化領域の情報を設定する領域設定工程と、
前記コンクリート構造物のコンクリートの圧縮強度の、前記複数の劣化領域それぞれの複数箇所における測定値に基づいて、前記コンクリートの圧縮強度の許容値を、前記複数の劣化領域ごとに設定する強度許容値設定工程と、
前記コンクリート構造物の鉄筋の腐食率の、前記複数の劣化領域それぞれの複数箇所における測定値に基づいて、前記鉄筋の断面積の設定値を、前記複数の劣化領域ごとに設定する腐食量設定工程と、
前記鉄筋の断面積の設定値に基づいて前記コンクリート構造物の構造計算を行い、前記コンクリートに発生する圧縮応力と、前記鉄筋に発生する引張応力とを、前記コンクリート構造物の個々の劣化領域において導出する構造計算工程と、を有することを特徴とするコンクリート構造物の耐力評価方法。 - 前記コンクリート構造物のコンクリートの圧縮強度の測定値の平均を導出する強度平均工程と、
前記コンクリート構造物の鉄筋の腐食率の測定値の平均を導出する腐食率平均工程と、を更に有し、
前記強度許容値設定工程は、以下の(A)式を用いて、前記コンクリートの圧縮強度の許容値σcp(N/mm2)を導出し、
前記腐食量設定工程は、以下の(B)を用いて、前記鉄筋の断面積の設定値D(cm2)を導出することを特徴とする請求項1に記載のコンクリート構造物の耐力評価方法。
σcp=(σcave−Ec)×η ・・・(A)
D=S×[1−(Fave+Es)÷100] ・・・(B)
ここで、σcaveは、コンクリートの圧縮強度の測定値の平均値(N/mm2)であり、Ecは、コンクリートの圧縮強度の標本平均に対して許容する誤差の最大値(N/mm2)であり、ηは、安全係数(−)であり、Esは、鉄筋の腐食率の標本平均に対して許容する誤差の最大値(%)であり、Sは、鉄筋の断面積の仕様値であり、Faveは、鉄筋の腐食率の平均値(%)である。 - 前記劣化領域における、前記コンクリートの圧縮強度の調査数を導出する第1の調査数決定工程と、
前記コンクリートの圧縮強度の測定値を、前記複数の劣化領域のそれぞれについて、前記調査数だけ取得する強度取得工程と、
前記劣化領域における、前記鉄筋の腐食率の調査数を導出する第2の調査数決定工程と、
前記鉄筋の腐食率の測定値を、前記複数の劣化領域のそれぞれについて、前記調査数だけ取得する腐食率取得工程と、を更に有し、
前記第1の調査数決定工程は、以下の(C)式を用いて、前記劣化領域における、前記コンクリートの圧縮強度の調査数N1(個)を導出し、
前記第2の調査数決定工程は、以下の(D)式を用いて、前記劣化領域における、前記鉄筋の腐食率の調査数N2(個)を導出し、
前記強度平均工程は、前記第1の調査数決定工程で決定された調査数の測定値の平均を導出し、
前記腐食率平均工程は、前記第2の調査数決定工程で決定された調査数の測定値の平均を導出することを特徴とする請求項2に記載のコンクリート構造物の耐力評価方法。
N1=[Z(α1/2)×σc÷Ec]2 ・・・(C)
N2=[Z(α2/2)×σs÷Es]2 ・・・(D)
ここで、Z(α1/2)、Z(α2/2)は、それぞれ正規分布において上側確率がα1/2、α2/2になる値(−)であり、σcは、コンクリートの圧縮強度の標準偏差(N/mm2)であり、σsは、鉄筋の腐食率の標準偏差(%)であり、(C)式、(D)式の右辺の小数点以下は切り上げるものとする。 - 前記コンクリートの圧縮強度の標準偏差σcを、コンクリートの圧縮強度の実績値に基づいて設定する第1の標準偏差設定工程と、
前記鉄筋の腐食率の標準偏差σsを、鉄筋の腐食率の実績値に基づいて設定する第2の標準偏差設定工程と、を更に有することを特徴とする請求項3に記載のコンクリート構造物の耐力評価方法。 - 前記コンクリートの圧縮強度の標準偏差σcと、前記誤差の最大値Ecとが等しく、且つ、前記鉄筋の腐食率の標準偏差σsと、前記誤差の最大値Esとが等しいことを特徴とする請求項3又は4に記載のコンクリート構造物の耐力評価方法。
- 前記α1、α2、又は、前記Z(α1/2)、Z(α2/2)の値を取得する変数取得工程を更に有することを特徴とする請求項3〜5の何れか1項に記載のコンクリート構造物の耐力評価方法。
- 前記劣化領域は、浮き無し領域と、前記コンクリートが前記鉄筋から浮いている領域である浮き発生領域と、前記コンクリートが剥落している領域であるかぶり剥落領域であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のコンクリート構造物の耐力評価方法。
- 前記構造計算工程は、前記浮き発生領域と前記かぶり剥落領域については、前記コンクリートと前記鉄筋とが物理的に離れているものとして、前記コンクリート構造物の構造計算を行うことを特徴とする請求項7に記載のコンクリート構造物の耐力評価方法。
- 前記構造計算工程により導出された、前記コンクリートに発生する圧縮応力が、前記強度許容値設定工程により設定された、前記コンクリートの圧縮強度の許容値以下であるか否に係る情報と、前記構造計算工程により導出された、前記鉄筋に発生する引張応力が、前記鉄筋の引張強度の仕様値以下であるか否かに係る情報とを、前記コンクリート構造物の個々の劣化領域ごとに表示する処理を行う評価工程、を更に有することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載のコンクリート構造物の耐力評価方法。
- 鉄筋とコンクリートとを用いて構成されるコンクリート構造物の耐力を評価することをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記コンクリート構造物の領域を、その劣化の程度に応じて分類した複数の劣化領域の情報を設定する領域設定工程と、
前記コンクリート構造物のコンクリートの圧縮強度の、前記複数の劣化領域それぞれの複数箇所における測定値に基づいて、前記コンクリートの圧縮強度の許容値を、前記複数の劣化領域ごとに設定する強度許容値設定工程と、
前記コンクリート構造物の鉄筋の腐食率の、前記複数の劣化領域それぞれの複数箇所における測定値に基づいて、前記鉄筋の断面積の設定値を、前記複数の劣化領域ごとに設定する腐食量設定工程と、
前記鉄筋の断面積の設定値に基づいて前記コンクリート構造物の構造計算を行い、前記コンクリートに発生する圧縮応力と、前記鉄筋に発生する引張応力とを、前記コンクリート構造物の個々の劣化領域において導出する構造計算工程と、をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。 - 前記コンクリート構造物のコンクリートの圧縮強度の測定値の平均を導出する強度平均工程と、
前記コンクリート構造物の鉄筋の腐食率の測定値の平均を導出する腐食率平均工程と、を更にコンピュータに実行させ、
前記強度許容値設定工程は、以下の(A)式を用いて、前記コンクリートの圧縮強度の許容値σcp(N/mm2)を導出し、
前記腐食量設定工程は、以下の(B)を用いて、前記鉄筋の断面積の設定値D(cm2)を導出することを特徴とする請求項10に記載のコンピュータプログラム。
σcp=(σcave−Ec)×η ・・・(A)
D=S×[1−(Fave+Es)÷100] ・・・(B)
ここで、σcaveは、コンクリートの圧縮強度の測定値の平均値(N/mm2)であり、Ecは、コンクリートの圧縮強度の標本平均に対して許容する誤差の最大値(N/mm2)であり、ηは、安全係数(−)であり、Esは、鉄筋の腐食率の標本平均に対して許容する誤差の最大値(%)であり、Sは、鉄筋の断面積の仕様値であり、Faveは、鉄筋の腐食率の平均値(%)である。 - 前記劣化領域における、前記コンクリートの圧縮強度の調査数を導出する第1の調査数決定工程と、
前記コンクリートの圧縮強度の測定値を、前記複数の劣化領域のそれぞれについて、前記調査数だけ取得する強度取得工程と、
前記劣化領域における、前記鉄筋の腐食率の調査数を導出する第2の調査数決定工程と、
前記鉄筋の腐食率の測定値を、前記複数の劣化領域のそれぞれについて、前記調査数だけ取得する腐食率取得工程と、を更にコンピュータに実行させ、
前記第1の調査数決定工程は、以下の(C)式を用いて、前記劣化領域における、前記コンクリートの圧縮強度の調査数N1(個)を導出し、
前記第2の調査数決定工程は、以下の(D)式を用いて、前記劣化領域における、前記鉄筋の腐食率の調査数N2(個)を導出し、
前記強度平均工程は、前記第1の調査数決定工程で決定された調査数の測定値の平均を導出し、
前記腐食率平均工程は、前記第2の調査数決定工程で決定された調査数の測定値の平均を導出することを特徴とする請求項11に記載のコンピュータプログラム。
N1=[Z(α1/2)×σc÷Ec]2 ・・・(C)
N2=[Z(α2/2)×σs÷Es]2 ・・・(D)
ここで、Z(α1/2)、Z(α2/2)は、それぞれ正規分布において上側確率がα1/2、α2/2になる値(−)であり、σcは、コンクリートの圧縮強度の標準偏差(N/mm2)であり、σsは、鉄筋の腐食率の標準偏差(%)であり、(C)式、(D)式の右辺の小数点以下は切り上げるものとする。 - 前記コンクリートの圧縮強度の標準偏差σcを、コンクリートの圧縮強度の実績値に基づいて設定する第1の標準偏差設定工程と、
前記鉄筋の腐食率の標準偏差σsを、鉄筋の腐食率の実績値に基づいて設定する第2の標準偏差設定工程と、を更にコンピュータに実行させることを特徴とする請求項12に記載のコンピュータプログラム。 - 前記コンクリートの圧縮強度の標準偏差σcと、前記誤差の最大値Ecとが等しく、且つ、前記鉄筋の腐食率の標準偏差σsと、前記誤差の最大値Esとが等しいことを特徴とする請求項12又は13に記載のコンピュータプログラム。
- 前記α1、α2、又は、前記Z(α1/2)、Z(α2/2)の値を取得する変数取得工程を更にコンピュータに実行させることを特徴とする請求項12〜14の何れか1項に記載のコンピュータプログラム。
- 前記劣化領域は、浮き無し領域と、前記コンクリートが前記鉄筋から浮いている領域である浮き発生領域と、前記コンクリートが剥落している領域であるかぶり剥落領域であることを特徴とする請求項10〜15の何れか1項に記載のコンピュータプログラム。
- 前記構造計算工程は、前記浮き発生領域と前記かぶり剥落領域については、前記コンクリートと前記鉄筋とが物理的に離れているものとして、前記コンクリート構造物の構造計算を行うことを特徴とする請求項16に記載のコンピュータプログラム。
- 前記構造計算工程により導出された、前記コンクリートに発生する圧縮応力が、前記強度許容値設定工程により設定された、前記コンクリートの圧縮強度の許容値以下であるか否に係る情報と、前記構造計算工程により導出された、前記鉄筋に発生する引張応力が、前記鉄筋の引張強度の仕様値以下であるか否かに係る情報とを、前記コンクリート構造物の個々の劣化領域ごとに表示する処理を行う評価工程、を更にコンピュータに実行させることを特徴とする請求項10〜17の何れか1項に記載のコンピュータプログラム。
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