JP5283541B2 - ロボットの動作経路生成方法 - Google Patents
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Description
具体的には、C空間を離散的に表現すると共に、干渉位置及び非干渉位置をマッピングして、非干渉の位置を辿る経路をグラフ探索で求める方法がある。このようにして各軸の組み合わせ全てに対して探索を行ない、干渉のない経路を探索する。係る方法を用いたものとして、特開平4−235606号公報(特許文献1)などがある。
特許文献2においては、最近接の障害物を平面に投影し、投影した障害物を避けるように回避方向指示点を生成し、これによりロボット先端を回避方向へ導く動作経路をポテンシャル法により決定し、干渉を回避する経路を生成する方法が示されている。具体的には、所定のピッチで目標方向にロボットを動かした上で、ポテンシャル計算などを使って回避位置・姿勢を演算し、これらの処理を繰り返すことで、順次回避位置姿勢を生成しつつ、目標位置・姿勢に到達する経路を作成する。
例えば、図1に示すような構成の6軸多関節ロボットの場合、図2に示すように、(a)肩特異姿勢(手首位置が肩の真上の状態)、(b)ひじ特異姿勢(ひじが一直線に伸びた状態)、(c)手首特異姿勢(手首が一直線に伸びた状態)の3通りの特異姿勢が存在し、各々で、直線動作が不可能になったり、ある関節軸の角度が不定となったりして動作時に関節軸が大きく変化するなど、ロボットの異常動作が発生する場合がある。
しかしながら、特許文献1や特許文献2には、上述したロボットの特異姿勢を回避する技術は開示されておらず、これら特許文献の技術を採用したとしても、ロボットの異常動作状況を回避することは困難である。
しかしながら、この場合、不必要に回り道をした動作経路を生成したり、動作経路生成に非常に多くの計算時間を要したりと不都合が生じる可能性が否めない。
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、第1の作業の終点である移動開始位置と第1の作業に続く第2の作業の始点である移動目標位置との間の動作経路を作成する際に、ロボットが異常動作をすることなく、特異姿勢又は特異姿勢近傍をスムーズに通過可能となっている実用的な動作経路を生成する方法を提供することを目的とする。
本発明の多関節ロボットの動作経路生成方法は、複数のリンクと該リンクを連結する軸を備えた多関節ロボットが、第1の作業の終点である移動開始位置と前記第1の作業に続く第2の作業の始点である移動目標位置との間を移動するに際し、前記多関節ロボットに干渉があるか否かを判定しつつ、当該多関節ロボットの動作経路を算出する動作経路算出方法であって、移動開始位置での多関節ロボットの姿勢と移動目標位置での多関節ロボットの姿勢との間の動作経路を算出した時に、前記多関節ロボットが特異姿勢を通るか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップで特異姿勢を通ると判定された場合に、多関節ロボットを特異姿勢たらしめている関節軸を選択する軸選択ステップと、前記特異姿勢を含む動作経路を多関節ロボットが円滑に移動可能なように、前記軸選択ステップが選択した関節軸に関し、その軸値を外部から指定する指定ステップと、前記指定ステップが指定した軸値を用いて、多関節ロボットの動作経路を算出する経路算出ステップと、を含むことを特徴とする。
好ましくは、前記指定ステップでは、前記多関節ロボットが特異姿勢の近傍に位置する際に、特異姿勢たらしめている関節軸の軸値を固定値又は特異姿勢の境界を越えない値で付与し、前記軸値の付与に伴い、不定値となる他の関節軸が存在する場合には、他の該関節軸の軸値として、特異姿勢の前後位置での多関節ロボットの姿勢から得られた補間値を与えるとよい。
なお、以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
以下においては、垂直多関節型の6軸の溶接ロボットについて説明するが、本発明は、このような型式、軸数及び用途のロボットに限定して適用されるものではない。
図1に示す多関節ロボット1(以降、単にロボットと呼ぶ場合もある)のスケルトン図を参照して、本発明の実施形態に係るロボットシステムの全体構成について説明する。
また、ロボット1は、据付ベースに近い第1リンク211から順に、第2リンク209、第3リンク207、第4リンク205、第5リンク203、第6リンク201まで備える。各リンクは剛性部材からなる。
このロボットシステムには、ロボット1を制御する制御部が接続されていると共に、ロボット1のオフライン教示データを作成する制御装置が備えられている。本実施形態の場合、この制御装置において、ロボット1の動作経路が生成される。
この制御装置は、第1の作業の終点である「移動開始位置」と、第1の作業に続く第2の作業の始点である「移動目標位置」との間を移動するに際し、ロボット1に干渉があるか否かを判定しつつ、ロボット1の動作経路を算出する。言い換えるならば、溶接を行いながらのような作業動作経路を算出するのではなく、比較的自由度の高い「作業間におけるロボットの移動や姿勢変更」にかかる動作経路を算出している。本発明は、このような「非作業時におけるロボットの移動や姿勢変更」において、あえて、ロボットが特異姿勢を通過するようにその経路を生成するものである。
図6は、この制御装置で実行されるロボットの動作経路生成プログラムのフローチャートである。
S100にて、制御装置は、第1の作業の終点である移動開始位置を計算開始位置に設定する。
S110にて、制御装置は、計算開始位置のロボット姿勢から、第1の作業に続く第2の作業の始点である移動目標位置のロボット姿勢まで、干渉せずに移動可能か否かを判定する。
判定ステップであるS120にて、制御装置は、計算開始位置と移動目標位置との間を補間した時(移動経路を作成した時)に、ロボット1が特異姿勢を通るか否かを判定する。特異姿勢を通ると判定されると(S120にてYES)、処理はS130へ移される。もしそうでないと(S120にてNO)、この処理はS150へ移される。
軸値が指定された後のロボット姿勢を、次の計算における計算開始位置とする。その後、処理はS160へ移される。
第2の判定ステップであるS160にて、制御装置は、計算開始位置・姿勢が特異姿勢近傍であるか否かを判定する。計算開始位置・姿勢が特異姿勢近傍であると(S160にてYES)、処理はS170へ移される。もしそうでないと(S160にてNO)、この処理はS210へ移される。
第2の指定ステップであるS180にて、制御装置は、S170にて選択したロボットの関節軸には、過去の実績値やオペレータの経験から得られた固定値、又は、特異姿勢の境界を越えない値の軸値を与える。また、S170で選定された関節軸への指定値付与に伴い、特異姿勢又はその近傍で不定値になる関節軸がある場合には、かかる関節軸の軸値として、特異姿勢の前後位置におけるロボット1の姿勢から得られた補間値を与えることとする。その後、処理はS190へ移される。
S200にて、制御装置は、求まった干渉回避位置(計算目標位置)を新たな計算開始位置とする。このS200の処理の後、処理はS110へ戻される。
以降、第1の作業に続く第2の作業の始点である移動目標位置に到達するまで、S120〜S200を繰返し、ロボット1の動作経路の生成を行う。
まず、第1の作業の終点である移動開始位置が計算開始位置に設定されて(S100)、計算開始位置・姿勢と移動目標位置・姿勢との間を補間した時に、特異姿勢を通るか否かが判断される(S120)。
本実施形態においては、図2(c)のようにロボット手首が特異姿勢をとるとし、計算開始位置と移動目標位置との間で、第5軸204の軸値の符号が異なるように移動経路が作成される場合を考える(S120にてYES)。この特異姿勢状態において、解を退化させる(特異姿勢たらしめている関節軸)ロボットの関節軸、すなわち第5軸204が選定される(S130)。
選択されたロボット1の関節軸(第5軸204)について、あえてこの特異姿勢を通るように軸値(θ5)を補間した計算目標位置・姿勢を生成する。その後、この位置を次の計算における計算開始位置とする(S140)。
次に、計算開始位置・姿勢が特異姿勢近傍か否かが判定される(S160)が、本実施形態においては計算開始位置・姿勢の各軸値のうち、θ5の絶対値が5.0度以下となる場合を「手首の特異姿勢」とし特異姿勢近傍であると判定する。
選択された第5軸204に対しては、固定値または特異姿勢の境界を越えない軸値を与えるようにする。本実施形態の場合、例えば、第5軸204の軸値θ5を5°→2°→0°(特異姿勢)→ −2°→−5°のように、外部から固定値として変化させながら与えてゆくようにする。それを基に、他の物体と干渉しないよう干渉回避位置・姿勢を求めてゆく。
本実施形態の場合、第4軸206の軸値と第6軸202とが不定値を取る関節軸に該当する。そこで、図4に示すように、計算開始位置・姿勢と求める位置・姿勢の第4軸206の軸値θ4は同じ値とし、どの姿勢でも第4軸206の軸値θ4と第6軸202の軸値θ6との和が常に一定として、順次各軸の軸値を決定するようにして、干渉回避位置・姿勢を演算する。言い換えるならば、第5軸204の軸値の符号が反転しない(+→+,−→−)場合は、図4(a)に基づき第6軸202の軸値を算出し、第5軸204の軸値の符号が反転する(+→−,−→+)場合は、図4(b)に基づき第6軸202の軸値を算出する。
以上述べた方法で干渉回避位置・姿勢を求めると、実際に必要な干渉回避位置・姿勢と異なる位置・姿勢が得られるが、元々求めた干渉回避位置・姿勢と大幅に変わらない位置・姿勢が得られることを本発明者らは知見しており、干渉回避を行なうには十分な位置・姿勢を得ることが可能である。
この図においては、計算開始位置・姿勢が手首特異点近傍であり、従来からの手法に基づいて干渉回避を行うと(干渉回避位置・姿勢1、干渉回避位置・姿勢2)、短い距離の移動でθ4及びθ6が大きく変化してしまうことが確認できる。
これに対して、本願発明の手法を適用した場合、計算開始位置・姿勢のθ5の符号から干渉回避位置・姿勢のθ5を選択して、干渉回避位置・姿勢のθ4とθ6の和から計算開始位置・姿勢を引いた値をθ6としている。このように演算された干渉回避位置・姿勢の姿勢値と、干渉回避位置・姿勢の姿勢値とは大幅に変わらないことが確認できる。
手首特異姿勢(第5軸204による特異姿勢)だけでなく、肩特異姿勢、ひじ特異姿勢近傍の姿勢をとった時に、特異姿勢の境界を越す関節軸の軸値及び特異姿勢で不定値になる関節軸の軸値を適切に設定することで実用的な経路が生成できる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
212 第1軸
210 第2軸
208 第3軸
206 第4軸
204 第5軸
202 第6軸
211 第1リンク
209 第2リンク
207 第3リンク
205 第4リンク
203 第5リンク
201 第6リンク
Claims (1)
- 複数のリンクと該リンクを連結する軸を備えた多関節ロボットが、第1の作業の終点である移動開始位置と前記第1の作業に続く第2の作業の始点である移動目標位置との間を移動するに際し、前記多関節ロボットに干渉があるか否かを判定しつつ、当該多関節ロボットの動作経路を算出する動作経路算出方法であって、
移動開始位置での多関節ロボットの姿勢と移動目標位置での多関節ロボットの姿勢との間の動作経路を算出した時に、前記多関節ロボットが特異姿勢を通るか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップで特異姿勢を通ると判定された場合に、多関節ロボットを特異姿勢たらしめている関節軸を選択する軸選択ステップと、
前記特異姿勢を含む動作経路を多関節ロボットが円滑に移動可能なように、前記軸選択ステップが選択した関節軸に関し、その軸値を外部から指定する指定ステップと、
前記指定ステップが指定した軸値を用いて、多関節ロボットの動作経路を算出する経路算出ステップと、
を含んでいて、
前記指定ステップでは、前記多関節ロボットが特異姿勢の近傍に位置する際に、特異姿勢たらしめている関節軸の軸値を固定値又は特異姿勢の境界を越えない値で付与し、前記軸値の付与に伴い、不定値となる他の関節軸が存在する場合には、他の該関節軸の軸値として、特異姿勢の前後位置での多関節ロボットの姿勢から得られた補間値を与える、又は他の関節軸の軸値の和が一定として順次各軸の軸値を決定することを特徴とする多関節ロボットの動作経路生成方法。
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