JP5283316B2 - 車輪用軸受装置の製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、自動車等の駆動輪となる車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置の製造方法に関する。
従来、駆動輪支持用の車輪用軸受装置として、図8に示すものが提案されている(例えば特許文献1)。これは、外方部材21と内方部材22の対向する軌道面23,24間に複列にボール25を介在させ、上記内方部材22を、車輪取付用ハブフランジ29aを外周に有するハブ輪29と、このハブ輪29のインボード側端の外周に嵌合した内輪30とで構成した形式のものである。ハブ輪29の中心の貫通孔31には、等速ジョイントの外輪33のステム部33aが挿通されてスプライン嵌合され、等速ジョイント外輪33の段面33bが内輪30のインボード側端面30aに押し当てられる。この状態で、前記ステム部33a先端にナット34を螺合させることにより、等速ジョイント外輪33とナット34とで内方部材22が幅締めされる。
この提案例では、ハブ輪29のインボード側端部の外周に形成した段部35に内輪30を外嵌させると共に、内輪30のインボード側端部の内周に段部36を形成し、ハブ輪29のインボード側端を外径側に拡径変形させて前記内輪30の段部36に加締めている。これにより、車両への組付け時に発生する外力による内輪30の抜けを防止している。
特開平9−164803号公報
しかし、上記した車輪用軸受け装置では、以下のような問題がある。
(1)ハブ輪29の加締部29bが大きいため、図8の一部を拡大して示す図9のように、内輪30のインボード側端部に形成する段部36の径方向段差を、半径差で5〜7mm程度とする必要がある。このように段部36の段差を大きくすると、内輪30のインボード側端面30aの面積が小さくなるので、等速ジョイント外輪33の段面33bとの接触面圧が大きくなる。そのため、摩耗や異音の発生の原因となる。
(2)ハブ輪29の加締部29bを内輪30のインボード側端より内側(アウトボード側)に収めようとすると、図9のように内輪30の段部36の軸方向長さを7〜8mm程度にする必要がある。このように内輪段部36の軸方向長さが長くなると、ボール接触角の延長線上に内輪段部36が位置する傾向があり、運転時の負荷荷重による内輪変形が大きくなって短寿命となる可能性がある。また、内輪段部36の軸方向長さが長くなると、それだけハブ輪29に対する内輪30の嵌め合い長さ(面積)が減少するので、内輪クリープが発生し、軸受寿命が低下する可能性がある。これらの問題は、内輪全体の幅寸法を長くすれば回避できるが、それでは軸方向に余分なスペースが必要になる。
(3)また、ハブ輪29の加締部29bが大きいことから、揺動加締加工において、加締工具が内輪30と干渉し、加工が困難である。
このような課題の解決のため、本出願人は、小さな加締部で内輪をハブ輪に対して抜け止めする車輪用軸受装置およびその加締加工方法を提案した(例えば、特願2005−205184号)。この提案例の車輪用軸受装置は、内周に複列の軌道面を有する外方部材と、前記各軌道面に対向する軌道面を外周に有する内方部材と、これら対向する軌道面の間に介在した複列の転動体とを備える。前記内方部材は、車輪取付用のフランジを外周に有し中心に貫通孔を有するハブ輪と、このハブ輪のインボード側部の外周に設けられた段部状の内輪嵌合部に嵌合した内輪とでなる。前記内輪の内周面に、この内輪のインボード側の端面まで続き、この端面の内周縁に相当する深さの段差部を設け、ハブ輪の加締加工により前記内輪の前記段差部の軸方向に向く段面に係合する加締部を設ける。
この提案例の車輪用軸受装置は、段差部を内輪の内周縁というごく限られた範囲のものとしたため、段差部を設けながら内輪の端面の面積の減少が少なく、等速自在継手の段面との接触面圧の増加が抑制され、内輪クリープ発生等による摩耗や異音の発生を防止できて軸受寿命低下を抑制できる。前記段差部の役割は、車両への組付工程において発生する外力による内輪のハブ輪からの抜けを防止することであるため、上記のような小さな段差部であっても、必要な内輪の抜け耐力が確保できる。
また、段差部に応じて、ハブ輪の加締部も小さなものとなるため、先端外周がテーパ状の押し当て面とされた加締パンチをハブ輪の端部内周に押し込むことで加工が行える。
しかし、このような小さな加締部であっても、その加締加工時に、かじりが生じて外観品質を低下させたり、加締パンチの寿命が短く、加締パンチの消耗によりコストがかかるという問題がある。また、加締パンチの必要な押し込み力を得るために、加締め設備にある程度容量の大きなものが必要であり、設備投資のコストがかかるという課題がある。
この発明の目的は、軸受機能へ悪影響を及ぼすことなく、車両への組立工程における内輪抜けを防止できる車輪用軸受装置を製造するにつき、かじり防止による外観品質、加締パンチの寿命向上が得られ、また加締加工の荷重が低減できて、加締設備が容量の小さなものとできる方法を提供することである。
この発明の車輪用軸受装置の製造方法は、内周に複列の軌道面を有する外方部材と、前記各軌道面に対向する軌道面を外周に有する内方部材と、これら対向する軌道面の間に介在した複列の転動体とを備え、前記内方部材が車輪取付用のフランジを外周に有し中心に貫通孔を有するハブ輪と、このハブ輪のインボード側部の外周に設けられた段部状の内輪嵌合部に嵌合した内輪とでなり、前記ハブ輪および内輪に各列の前記軌道面を有し、前記内輪の内周面に、この内輪のインボード側の端面まで続く段差部を設け、ハブ輪の加締加工により前記内輪の前記段差部の軸方向に向く段面に係合する加締部を設け、前記内輪の前記段差部の深さは、前記ハブ輪の前記加締部の係合により車両への組立工程における内輪の抜けを防止できる程度に小さな深さとし、前記ハブ輪の前記貫通孔に等速ジョイントの外輪のステム部が挿通されこのステム部の先端に螺合するナットの締め付けにより前記ハブ輪が等速ジョイントの外輪と結合されて前記内輪のインボード側に向く端面が前記等速ジョイントの外輪に設けられたアウトボード側に向く段面に押し付けられる駆動輪支持用の車輪用軸受装置を製造する方法である。
この車輪用軸受装置における前記ハブ輪の前記加締部の加締加工前のものを準備する。この加締加工前の車輪用軸受装置は、前記加締部とする部分の加締加工前の形状を円筒状部分とする。この加締加工前の車輪用軸受装置を受け台の上に、前記加締加工前の加締部が上向きとなる姿勢で置く。先端外周がテーパ状の押し当て面とされた加締パンチを、前記受け台上に置かれた車輪用軸受装置の上方から下降させて、前記加締パンチの前記テーパ状の押し当て面を前記円筒状部分の内周の開口縁に押し込むことにより、前記円筒状部分を拡径状態に加締めて前記加締部とする。この場合に、加締パンチによる加締めの前に、前記ハブ輪の円筒状部分の内周面および加締パンチの先端外周の両方またはいずれか一方に潤滑油を塗布し、この塗布状態で前記加締めを行う。前記潤滑油としては、例えばモリブデン入りの潤滑油が好適である。
この製造方法によると、加締パンチによる加締めの前に、ハブ輪の前記円筒状部分の内周面および加締パンチの先端外周の両方、またはいずれか一方に潤滑油を塗布し、この塗布状態で加締めを行うため、加締パンチを押し込むという簡易な加締方法でありながら、ハブ輪における加締パンチが接触する部分でのかじりを防止することができ、これにより製品の外観品質を向上させることができると共に、加締パンチの寿命も延ばすことができる。また、潤滑油を塗布することで、同じ加締加工度つまり加工ストロークが同じ製品であっても、加工時の荷重を低減することができ、そのため、加締加工を容易に行えるだけでなく、加締加工設備の容量を小さくできる。これにより、加締パンチを押し込むという簡易な加締加工設備で済むことと相まって、設備投資が少なくて済む。
また、このようにして製造された上記車輪用軸受装置では、内輪の内周面に段差部を設け、ハブ輪の加締加工による加締部を前記段差部内に係合させているので、車両への組付工程において発生する外力による内輪のハブ輪からの抜けを防止できる。段差部は、内輪の内周縁というごく限られた範囲のものとしたため、内輪の抜け耐力を確保しながら、段差部をできるだけ小さなものとできる。このため、段差部を設けながら内輪の端面の面積の減少が少なく、等速自在継手の段面との接触面圧の増加が抑制され、内輪クリープ発生等による摩耗や異音の発生を防止できて軸受寿命低下を抑制できる。
この発明において、前記車輪用軸受装置における前記ハブ輪の前記貫通孔は、等速自在継手のステム部の外周のスプラインと噛み合うスプライン溝を内周面に有し、前記貫通孔の内周面における前記スプライン溝が形成された一般径部分よりもインボード側の部分が、インボード側端の大径段差部と、この大径段差部よりも小径で前記一般径部分よりも大径となる中間径段差部とでなる2段の段付き形状であり、前記大径段差部の外周壁部分が前記加締めが行われる円筒状部分であっても良い。
このように、貫通孔のインボード側端を2段の段付き形状とすることにより、中間径段差部が、等速自在継手のステム部を挿入するときの案内となり、組立性が向上する。また貫通孔のインボード側端を2段の段付き形状とすることにより、ハブ輪の加締加工する円筒状部分の肉厚が薄くでき、加締加工がより一層容易になる。
この発明において、前記ハブ輪の軌道面は焼入れ処理による表面硬化処理面とし、加締部は非熱処理部とする。
内輪は小部品であって軌道面を有し、かつハブ輪に内径面が嵌合することから、表面から芯部までの全体を焼入れにより硬化させたものとすることが、転動寿命や嵌合面の耐摩耗性の向上の点で好ましい。ハブ輪の内輪嵌合部の表面も内輪が嵌合することから、全体を高周波焼入れして硬化させたものとすることが、耐摩耗性の向上の点で好ましい。これに対して加締部は、加締加工の容易性の点から非熱処理部とすることが好ましい。
この発明の車輪用軸受装置の製造方法は、内周に複列の軌道面を有する外方部材と、前記各軌道面に対向する軌道面を外周に有する内方部材と、これら対向する軌道面の間に介在した複列の転動体とを備え、前記内方部材が車輪取付用のフランジを外周に有し中心に貫通孔を有するハブ輪と、このハブ輪のインボード側部の外周に設けられた段部状の内輪嵌合部に嵌合した内輪とでなり、前記ハブ輪および内輪に各列の前記軌道面を有し、前記内輪の内周面に、この内輪のインボード側の端面まで続く段差部を設け、ハブ輪の加締加工により前記内輪の前記段差部の軸方向に向く段面に係合する加締部を設け、前記内輪の前記段差部の深さは、前記ハブ輪の前記加締部の係合により車両への組立工程における内輪の抜けを防止できる程度に小さな深さとし、前記ハブ輪の前記貫通孔に等速ジョイントの外輪のステム部が挿通されこのステム部の先端に螺合するナットの締め付けにより前記ハブ輪が等速ジョイントの外輪と結合されて前記内輪のインボード側に向く端面が前記等速ジョイントの外輪に設けられたアウトボード側に向く段面に押し付けられる駆動輪支持用の車輪用軸受装置を製造する方法であって、前記車輪用軸受装置における前記ハブ輪の前記加締部の加締加工前のものを準備し、前記加締部は、加締加工前は円筒状部分とし、この加締加工前の車輪用軸受装置を受け台の上に、前記加締加工前の加締部が上向きとなる姿勢で置き、先端外周がテーパ状の押し当て面とされた加締パンチを、前記受け台上に置かれた車輪用軸受装置の上方から下降させて、前記加締パンチの前記テーパ状の押し当て面を前記円筒状部分の内周の開口縁に押し込むことにより、前記円筒状部分を拡径状態に加締めて前記加締部とし、この加締パンチによる加締めの前に、前記ハブ輪の円筒状部分の内周面および加締パンチの先端外周の両方またはいずれか一方に潤滑油を塗布し、この塗布状態で前記加締めを行うこととしたため、軸受機能へ悪影響を及ぼすことなく、車両への組立工程における内輪抜けを防止できる車輪用軸受装置が製造でき、その場合に、かじり防止による外観品質、加締パンチの寿命向上が得られ、また加締加工の荷重が低減できて、加締設備が容量の小さなものとできる。
この発明の一実施形態を図1ないし図7と共に説明する。この実施形態は、第3世代型の内輪回転タイプで、かつ駆動輪支持用の車輪用軸受装置に適用したものである。なお、この明細書において、車両に取付けた状態で車両の車幅方向外側寄りとなる側をアウトボード側と言い、車両の中央寄りとなる側をインボード側と呼ぶ。
この発明の製造方法が適用される車輪用軸受装置は、内周に複列の軌道面3を形成した外方部材1と、これら各軌道面3に対向する軌道面4を形成した内方部材2と、これら外方部材1および内方部材2の軌道面3,4間に介在した複列の転動体5とで構成される。この車輪用軸受装置は、外向き複列のアンギュラ玉軸受型とされていて、転動体5はボールからなり、各列毎に保持器6で保持されている。上記各軌道面3,4は断面円弧状であり、各軌道面3,4はボール接触角θが背面合わせとなるように形成されている。外方部材1と内方部材2との間の軸受空間の両端は、シール7,8によりそれぞれ密封されている。
外方部材1は固定側の部材となるものであって、車体の懸架装置(図示せず)におけるナックルに取付けるフランジ1aを外周に有し、全体が一体の部品とされている。
内方部材2は回転側の部材となるものであって、外周に車輪取付用のハブフランジ9aを有するハブ輪9と、このハブ輪9の軸部9bのインボード側端の外周に嵌合した内輪10とでなる。これらハブ輪9および内輪10に前記各列の軌道面4が形成されている。ハブ輪9は中心に貫通孔11を有する。
図2および図4に拡大断面図で示すように、ハブ輪9のインボード側端の外周には、ハブ輪9の他の部分よりも小径となった段差部状の内輪嵌合部15が形成され、この内輪嵌合部15に内輪10が嵌合する。ハブ輪9の前記内輪嵌合部15の表面の加締め部付近を除いて、ほぼ全体を高周波焼入れした硬化処理面とされている。内輪10は、表面から芯部までの全体が焼入れして硬化させてある。内輪10の内径面におけるインボード側端には、この内輪10のインボード側の端面10aまで続き、この端面10aの内周縁に相当する深さの段差部16が設けられる。この段差部16は、内輪10の軌道面4の接触角θを成す直線Lよりもインボード側に位置している。段差部16の内面は、円筒面からなるストレート部16aと、軸方向に向く段面16bとでなる形状とされている。段面16bは、軸受軸方向に沿う断面が直線または曲線となる傾斜面とされている。なお、段面16bは、軸方向に垂直な面であっても良い。
ハブ輪9のインボード側端には、加締加工により内輪10の段差部16の軸方向に向く段面16bに係合する加締部9cが設けてある。なお、図2は加締部9cの加締加工前の状態を、図4は加締加工後の状態をそれぞれ示す。加締部9cは、内輪10の端面10aから突出しないものとするが、内輪10の段差部16の内径面に接触しないものであっても、また接触するものであっても良い。加締部9cの硬度は、HRC28以下とされている。
ハブ輪9の貫通孔11の内周面は、スプライン溝11aaの形成された一般径部分11aを有する。また、この一般径部分11aよりもインボード側の部分は、インボード側端の大径段差部11bと、この大径段差部11bよりも小径で前記一般径部分11aのスプライン溝11aaの溝底径よりも大径となる中間径段差部11cとでなる2段の段付き形状とされている。大径段差部11bの外周壁部分が、前記加締めが行われる円筒状部分である。さらに、中間径段差部11cは、内輪10の段差部16の軸方向位置Aよりも軸方向に深い位置Bとされている。
上記加締加工は、図3に示す加締パンチ18を用いて行われる。加締パンチ18は、先端外周がテーパ状の押し当て面18aとされ、この押し当て面18aを加締部9cの円筒状部分の内周の開口縁に押し込むことにより、前記円筒状部分を拡径状態に加締めて加締部9cとする。
図5および図6には、上記加締加工の工程説明図を示す。この加締加工では、先ず、図5のように、軸受装置をインボード側が上向きとなる姿勢で受け台19の上に置く。この加締め前の状態で、前記ハブ輪9の円筒状部分の内周面および加締パンチ18の先端外周の両方、またはいずれか一方に潤滑油を塗布する。この場合の潤滑油としては、モリブデン入りの潤滑油が好適である。この塗布状態で、図6(A)のようにハブ輪9のインボード側端の上に加締パンチ18を下降させて、図3で説明したように加締加工する。図6(B)は図6(A)の加締加工途中における部分拡大図を示す。この後、ハブ輪9のインボード側端から加締パンチ18を退避させると加締加工が完了する。
このように、上記加締工程では、加締パンチ18による加締めの前に、ハブ輪9の前記円筒状部分の内周面および加締パンチ18の先端外周の両方、またはいずれか一方に潤滑油を塗布し、この塗布状態で前記加締めを行うので、ハブ輪9における加締パンチ18が接触する部分でのかじりを防止することができ、これにより製品の外観品質を向上させることができると共に、加締パンチ18の寿命も延ばすことができる。また、潤滑油を塗布することで、同じ加締加工度(つまり加工ストロークが同じ)の製品でも、加工時の荷重を低減することができるので、加締加工を容易に行えるだけでなく、加締加工設備の容量を小さくでき設備投資を少なくできる。
図7は、同じ製品に対して、上記した潤滑油塗布状態で加締加工を行った場合と、潤滑油を塗布しないで加締加工を行った場合の、加締パンチ18の加工ストロークと加工荷重の関係を試験した結果を示すグラフである。この試験結果から、潤滑油を塗布して加締加工を行う上記した方法のほうが、潤滑油を塗布しない場合に比べて加工荷重が低減されていることが分かる。
この車輪用軸受装置の車両への組付けにおいては、等速ジョイント12の片方の継手部材となる外輪13のステム部13aをハブ輪9の貫通孔11に挿通させ、ステム部13aの外周のスプライン13aaと貫通孔11の内周面のスプライン溝11aaとをスプライン嵌合させ、ステム部13aの先端に螺合するナット14の締め付けにより、等速ジョイント外輪13を内方部材2に結合する。このとき、等速ジョイント外輪13に設けられたアウトボード側に向く段面13bが、内輪10のインボード側に向く端面10aに押し付けられ、等速ジョイント外輪13とナット14とで内方部材2が幅締めされる。
車輪取付用のハブフランジ9aはハブ輪9のアウトボード側端に位置しており、このハブフランジ9aにブレーキロータを介して車輪(いずれも図示せず)がハブボルト17で取付けられる。
このようにして製造された上記車輪用軸受装置では、内輪10の内周面に段差部16を設け、ハブ輪9の加締加工による加締部9cを前記段差部16内に係合させているので、車両への組付工程において発生する外力による内輪10のハブ輪9からの抜けを防止できる。段差部16は、内輪10の内周縁というごく限られた範囲のものとしたため、内輪10の抜け耐力を確保しながら、段差部16をできるだけ小さなものとできる。このため、段差部16を設けながら内輪10の端面の面積の減少が少なく、等速ジョイント外輪13の段面13bとの接触面圧の増加が抑制され、内輪クリープ発生等による摩耗や異音の発生を防止できて軸受寿命低下を抑制できる。
ハブ輪9の貫通孔11は、スプライン溝11aaが形成された一般径部分11aよりもインボード側の部分を、インボード側端の大径段差部11bと、この大径段差部11bよりも小径で前記一般径部分11aよりも大径となる中間径段差部11cとでなる2段の段付き形状としたため、中間径段差部11cが、等速ジョイント外輪13のステム部13aを挿入するときの案内となり、組立性がより向上する。
内輪10は小部品であって軌道面4を有し、かつハブ輪9に内径面が嵌合することから、前記のように表面から芯部までの全体を焼入れにより硬化させたものとすることで、転動寿命に優れ、かつ嵌合面の耐摩耗性に優れたものとなる。ハブ輪9の内輪嵌合部15の表面も内輪10が嵌合することから、前記のように加締め部付近を除いて、ほぼ全体を高周波焼入れして硬化させたものとすることで、耐摩耗性に優れたものとなる。ハブ輪9の加締部9cは非熱処理部としているので、加締加工が容易に行える。
この発明の一実施形態にかかる製造方法が適用される車輪用軸受装置の断面図である。 同車輪用軸受装置のハブ輪加締前の部分拡大断面図である。 同車輪用軸受装置のハブ輪加締加工の説明図である。 同車輪用軸受装置のハブ輪加締加工後の部分拡大断面図である。 同車輪用軸受装置の加締加工の前工程の説明図である。 同車輪用軸受装置の加締加工の途中工程の説明図である。 同車輪用軸受装置の加締加工で潤滑油を塗布した場合と塗布しない場合を比較して、加締パンチのストロークと加締荷重の関係を試験した結果を示すグラフである。 従来例の断面図である。 従来例の部分拡大断面図である。
符号の説明
1…外方部材
2…内方部材
3…外方部材の軌道面
4…内方部材の軌道面
5…転動体
9…ハブ輪
9a…車輪取付用のハブフランジ
9c…加締部
10…内輪
10a…内輪の端面
11…貫通孔
11a…一般径部分
11aa…スプライン溝
11b…大径段差部
11c…小径段差部
13…等速ジョイント外輪
13a…等速ジョイント外輪のステム部
13aa…ステム部のスプライン
15…内輪嵌合部
16…内輪の段差部
16b…段面
18…加締パンチ
18a…押し当て面

Claims (4)

  1. 内周に複列の軌道面を有する外方部材と、前記各軌道面に対向する軌道面を外周に有する内方部材と、これら対向する軌道面の間に介在した複列の転動体とを備え、前記内方部材が車輪取付用のフランジを外周に有し中心に貫通孔を有するハブ輪と、このハブ輪のインボード側部の外周に設けられた段部状の内輪嵌合部に嵌合した内輪とでなり、前記ハブ輪および内輪に各列の前記軌道面を有し、前記内輪の内周面に、この内輪のインボード側の端面まで続く段差部を設け、ハブ輪の加締加工により前記内輪の前記段差部の軸方向に向く段面に係合する加締部を設け、前記内輪の前記段差部の深さは、前記ハブ輪の前記加締部の係合により車両への組立工程における内輪の抜けを防止できる程度に小さな深さとし、前記ハブ輪の前記貫通孔に等速ジョイントの外輪のステム部が挿通されこのステム部の先端に螺合するナットの締め付けにより前記ハブ輪が等速ジョイントの外輪と結合されて前記内輪のインボード側に向く端面が前記等速ジョイントの外輪に設けられたアウトボード側に向く段面に押し付けられる駆動輪支持用の車輪用軸受装置を製造する方法であって、
    前記車輪用軸受装置における前記ハブ輪の前記加締部の加締加工前のものを準備し、前記加締部は、加締加工前は円筒状部分とし、この加締加工前の車輪用軸受装置を受け台の上に、前記加締加工前の加締部が上向きとなる姿勢で置き、先端外周がテーパ状の押し当て面とされた加締パンチを、前記受け台上に置かれた車輪用軸受装置の上方から下降させて、前記加締パンチの前記テーパ状の押し当て面を前記円筒状部分の内周の開口縁に押し込むことにより、前記円筒状部分を拡径状態に加締めて前記加締部とする方法であり、この加締パンチによる加締めの前に、前記ハブ輪の円筒状部分の内周面および加締パンチの先端外周の両方またはいずれか一方に潤滑油を塗布し、この塗布状態で前記加締めを行うことを特徴とする車輪用軸受装置の製造方法。
  2. 請求項1において、前記潤滑油は、モリブデン入りの潤滑油である車輪用軸受装置の製造方法。
  3. 請求項1または請求項2において、前記車輪用軸受装置における前記ハブ輪の前記貫通孔は、等速自在継手のステム部の外周のスプラインと噛み合うスプライン溝を内周面に有し、前記貫通孔の内周面における前記スプライン溝が形成された一般径部分よりもインボード側の部分が、インボード側端の大径段差部と、この大径段差部よりも小径で前記一般径部分よりも大径となる中間径段差部とでなる2段の段付き形状であり、前記大径段差部の外周壁部分が前記加締めが行われる円筒状部分である車輪用軸受装置の製造方法。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記車輪用軸受装置は、内輪を表面から芯部まで焼入れし、加締部は非熱処理部とし、ハブ輪の前記内輪嵌合部の表面の全体を高周波焼入れしたものである車輪用軸受装置の製造方法。
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