JP5282976B2 - 寄与度解析方法及び装置 - Google Patents

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Description

本発明は、伝達経路解析技術に関し、特に、複数の振動源を有し、それらが評価点の音響・振動の原因となっているような伝達系において、効率的な改良の指針を得るために、音響・振動面で大きな寄与度(影響)をもっている振動源を特定するための解析技術に関する。
この解析技術は、自動車、一般機械装置、建築構造物、OA機器類や鉄道などの分野に適用することができる。
特許文献1には、少ない処理量で音響対策を施す最適な部位を求めることを目的として、有限要素法(FEM)により、加振点から評価点までの各節点の材料データに基づいて、当該各節点の剛性マトリクス及び質量マトリクスを求める手法(段落0029)が開示されている。そして、構造体の質量及び剛性に応じた各節点の伝達力を算出し、全節点の伝達力を総和することで評価点の音響レベルに及ぼす寄与度を求める(段落0031)。さらに、特許文献1記載の手法では、各節点の剛性マトリックスに応じて、伝達力成分と、質量マトリックスに応じて変化する伝達力成分とを分離することで、各伝達力成分の寄与度を演算する(段落0034)。各節点における伝達力を成分毎に分離することにより、評価点への寄与度を低減するために各節点に挿入すべき部材として、剛性対策と質量対策との何れが有効であるかの判定を図っている(段落0035)。
特許文献2及び非特許文献1には、車室内騒音を評価点とする騒音・音圧伝達特性解析にて、構造体での伝達のみならず、空気伝搬音の影響を含めた解析をすることを目的として、振動源と応答点との間の振動検出信号と、音源と応答点との間の音圧検出信号とをそれぞれ正規化することで、両者を同一と扱い(段落0012,0020,0021)、固体伝搬音と空気伝搬音との寄与度の大きさを把握することを図る(段落0013)手法が開示されている。
特許文献3では、評価点の振動低減に効果の大きい部分を特定することを目的として、最大振幅となる位相にて、各節点の節点力を算出し(段落0010)、節点力として弾性力と慣性力とを算出すると共に、弾性力に基づく寄与度と、慣性力に基づく寄与度とを算出する(段落0012,0036)。そして、特許文献3には、弾性力の寄与度が大きい場合には剛性を高める対策を採り、慣性力の寄与度が大きい場合には質量を増加させる対策を採る手法が開示されている(段落0013,0048)。
特許文献4には、車両の振動伝達特性に対して改善すべきコンポーネントを把握することを目的として、サスペンション、ボディ及びシートについて個別の伝達特性を求める手法が開示されている。さらに、特許文献4では、サスペンションの伝達特性として、サスペンション伝達力/接地面変位とし、ボディ特性として、ボディ加速度/サスペンション伝達力のイナータンス、シート特性として、シート加速度/ボディ加速度とする手法が開示されている。
特開2006-185193号公報 特開2007-57460号公報 特開2008-224503号公報 特開2009-97973号公報
能村幸介=吉田準史「実稼動データによる伝達経路解析手法」自動車技術会 2006年春季学術講演会前刷集 No55-06, p.7-12 (2006)
上記特許文献1では、評価点への寄与度が大きい節点を表示しつつ、当該節点に挿入する部材を剛性対策とするか質量対策とするかを提示する旨が開示されているが(段落0035)、実際の構造体では節点等の位置に応じて可能な対策が限られており、剛性に応じた伝達力の寄与度が大きいと判定されても、その節点に対しては剛性対策が不可能な場合もある。すなわち、特許文献1記載の手法では、実際に適用可能な対策に応じた解析をすることができない。この点、特許文献3記載の手法も同様である(段落0048)。
また、特許文献1及び3記載の手法では、有限要素法を前提として構造物に多数の節点を定義し、構造物全体で伝達力の寄与度を求めるため、第1に、実際の構造体への力入力や加振により実行する解析と比較して精度が低く、第2に、予め着目する部分の寄与度ではなく構造全体についての寄与度の分布しか得ることができず、第3に、対策前の解析結果を前提として剛性や質量の対策を施し、対策後に解析をすると、対策の前後で伝達力等が異なり、対策の良否の判定が困難となる、という不都合があった。
上記特許文献2及び非特許文献1記載の手法では、入力点に対する応答点の伝達関数を算出するため、入力点の応答点に対する寄与度を算出することができるが、加速度を入力としているため、従前からの力を入力とする寄与度とどのような関係であるのかが必ずしも明確ではなく、寄与度に応じた対策が、実際には期待される効果を果たさないこととなってしまう。
上記特許文献4には、入力を力とし出力を加速度とするイナータンスと、変位量から伝達力への伝達関数等を併用することで、構造体のコンポーネントを単位とした応答への寄与度を求める手法が開示されている。そして、加速度と力とを使用した複数の伝達関数を使用することで、実路走行相当の振動を入力とする車両の振動特性に対する各コンポーネントの寄与度を算出する(段落0053)。しかし、この特許文献4記載の手法では、第1に、力入力と加速度入力とを任意に組み合わせて寄与度を算出することができない。第2に、対策を施すべき周波数帯及びコンポーネントを特定することができても、どのような対策が有効であるかについては何ら情報を得ることができず、第3に、対策を施した後に当該対策の有効性を確認しようとしても、再度加振して新たに伝達関数群を算出しなければならず、対策の前後での有効な比較が難しい、という不都合があった。
[課題1]このように、上記従来例では、力入力と加速度入力とを任意に組み合わせた伝達経路の寄与度を算出することができない、という不都合があった。この加速度入力の性質と、力入力と加速度入力とを組み合わせる際の課題については、本願に特有な分析の開示を含めて、その課題を実施形態にてさらに検討する。
[課題2]上記従来例では、適用可能な対策の種類及び位置を前提とした寄与度の解析をすることができない、という不都合があった。
[課題3]さらに、上記従来例では、対策を与える前後にて当該対策の有効性を明確に判定可能な解析をすることができない、という不都合があった。
すなわち、従来例では、対策の効果の予測が不正確で、不確実性の高い予測しかすることができなかった。
[発明の目的]本発明の目的は、力入力と加速度入力とを任意に組み合わせた伝達経路の寄与度を算出することにある。
本発明の更なる目的は、適用可能な対策の種類及び位置を前提としつつ、評価点の応答に対する当該位置(入力点)の寄与度を解析することにある。
[着眼点]本発明の発明者は、力入力の入力点の加速度を、加速度入力と捉えると良い、という点に着目した。そして、力入力の入力点で当該力に対応する加速度を想定し、加速度入力の入力点で当該加速度に対応する力を想定しつつ、伝達関数の算出手法を工夫することで、上記課題を解決できるのではないか、との着想に至った。
[課題解決手段1]実施例1に対応する本発明は、構造体の入力点で伝達される物理量を力入力又は加速度入力と設定する入力設定工程と、前記力入力の複数の前記入力点から前記構造体の評価点の応答までの力入力伝達関数と、前記加速度入力の複数の前記入力点から前記評価点の前記応答までの加速度入力伝達関数とを算出する関数算出工程と、前記構造体の力入力値及び前記力入力伝達関数に基づいて当該力入力の前記応答への力入力寄与度を算出すると共に、前記加速度入力値及び前記加速度入力伝達関数に基づいて当該加速度入力の前記応答への加速度入力寄与度を算出する寄与度算出工程とを備えた、という構成を採っている。
これにより、上記課題1及び2を解決した。
[課題解決手段2]実施例1にて好適な要素を追加した本発明では、前記寄与度算出工程が、前記力又は加速度の対策後の前記力入力値又は前記加速度入力値と、対策前の前記力入力伝達関数及び前記加速度入力伝達関数とに基づいて、当該対策後の力入力寄与度及び前記加速度入力寄与度を算出する工程を備えた、という構成を採っている。
これにより、上記課題3を解決した。
本発明は、本明細書の記載及び図面を考慮して各請求項記載の用語の意義を解釈し、各請求項に係る発明を認定すると、各請求項に係る発明は、上記背景技術等との関連において次の有利な効果を奏する。
[発明の作用効果1] 課題解決手段1の寄与度解析方法は、入力設定工程が、構造体の入力点で伝達される物理量を力入力又は加速度入力と設定し、関数算出工程が、前記力入力の複数の前記入力点についての力入力伝達関数と、前記加速度入力の複数の前記入力点についての加速度入力伝達関数とを算出し、寄与度算出工程が、前記構造体の力入力値及び前記力入力伝達関数に基づいて当該力入力の前記応答への力入力寄与度を算出すると共に、前記加速度入力値及び前記加速度入力伝達関数に基づいて当該加速度入力の前記応答への加速度入力寄与度を算出するため、入力点を予め力入力又は加速度入力に定式化しつつ、力入力に関する伝達関数と、加速度入力に関する伝達関数とを算出し、寄与度を求めることができる。
従って、力入力と加速度入力とを任意に組み合わせた伝達経路の寄与度を算出することができる。
力入力と加速度入力とを任意に組み合わせた伝達経路の寄与度の算出が可能となると、設計者が入力点に適用可能な対策の種類及び位置を予め特定しておけば、適用可能な対策に直結する寄与度を算出することができる。
なお、本発明では、評価点での応答の単位を例えば加速度とすると、力入力伝達関数及び加速度入力伝達関数は入力値を加速度の単位に変換する役割を果たし、力入力寄与度と加速度入力寄与度とは加速度の単位で加算性があり、これら寄与度の全てを加算したものが当該評価点での応答となる。
[発明の作用効果2] 前記寄与度算出工程が、前記力又は加速度の対策後の前記力入力値又は前記加速度入力値と、対策前の前記力入力伝達関数及び前記加速度入力伝達関数とに基づいて、当該対策後の力入力寄与度及び前記加速度入力寄与度を算出するため、対策の前後にて同一の伝達関数を使用して当該対策の有用性を比較可能に精度良く定量化することができる。このように、本発明では、対策を与える前後にて、計算に使用する伝達関数を同一とすることができるため、当該対策の有効性を明確に判定可能な解析をすることができる。
本発明の一実施形態の構成例を示すフローチャートである。(実施例1から3) 本実施形態での入力点、力入力、加速度入力及び評価点の関係例を示す説明図である。(実施例1から3) 本実施形態にて四輪車室内音を寄与度解析の対象とするモデルの一例を示す説明図である。(実施例1から3) 図3に示すモデルにて力入力ベースで伝達関数を求める一例を示す説明図である。(実施例1から3) 図3に示すモデルにて加速度入力ベースで伝達関数を求める一例を示す説明図である。(実施例1から3) 図3に示すモデルにて力入力と加速度入力とのハイブリッド入力で伝達関数を求める一例を示す説明図である。(実施例1から3) 本発明の実施例1の構成例を示す説明図である。(実施例1から3) 実施例1の処理工程の一例を示すフローチャートである。(実施例1から3) 本発明の実施例2で寄与度解析の対象とするエンジンマウントモデルの一例を示す説明図である。(実施例1から3) 本発明の実施例3で寄与度解析の対象とするマスばねモデルの一例を示す説明図である。(実施例1から3) 図10に示すモデルの伝達関数の一例を示す図で、図11(A)は入力点12Aから応答への伝達関数を示し、図11(B)は入力点12Bから応答への伝達関数を示す。(実施例1から3) 図10に示すモデルへの実際の入力のスペクトルを示す波形図である。(実施例1から3) 図12に示すスペクトルに対応する対応入力のスペクトルを示す波形図である。 図14(A)及び(B)は図10に示すモデルにて力入力ベースで求めた寄与度の一例を示す波形図である。(実施例1から3) 図15(A)及び(B)は図10に示すモデルにて加速度入力ベースで求めた寄与度の一例を示す波形図である。(実施例1から3) 図16(A)及び(B)は図10に示すモデルにてハイブリッド入力ベースで求めた寄与度の一例を示す波形図である。(実施例1から3) 図17(A)及び(B)は図10に示すモデルにて他のハイブリッド入力ベースで求めた寄与度の例を示す波形図である。(実施例1から3) 図14から図17に示す例での効果予測の一例を示す波形図である。(実施例1から3)
<1 寄与度解析方法>
<1.1 力入力寄与度と加速度入力寄与度>
発明を実施するための形態として、3つの実施例を開示する。実施例1は寄与度解析方法及び装置である。実施例2では、実施例1の寄与度解析方法又は装置を使用して複数の組み合わせのうち最適な対策の組み合わせを選定する手法を開示する。実施例3では、実施例1の寄与度解析方法及び装置で使用する伝達関数や寄与度の性質を開示する。
実施例1から3までを含めて実施形態という。
振動解析やその寄与度解析の対象として、例えば、四輪車室内音の固体伝播音がある。この固体伝播音の原因には、エンジンマウント42を介して車体に伝わるエンジン40の振動、マフラ54の車体への取付部位を介して車体に伝わるマフラ振動、サスペンション48を介して車体に伝わる路面の凹凸がある。これらの固体伝播音の対策としては、車体構造を変更して車体の振動伝達特性の改善を図る手法と、車体は調整せずに車体部分への入力を軽減する手法とを想定できる。しかし、車両開発ステージの後期においては、車体構造を変更することが困難となり、固体伝播音を調節するには、むしろ車体への入力を低減する対策案を探ることになる。
具体的な入力低減策として、代表的な方策は、車体と入力側部材との結合点の結合剛性(例えば、エンジンマウント剛性、サスペンションの車体側取付ブッシュ)を変更し、車体へ伝わる力そのものを変更し、或いは、結合部位へのマス(質量)やダイナミックダンパーの付加により、結合点の振動そのものを抑制する手法である。
本実施形態は、複数の振動源を有しそれらが評価点の音響・振動の原因となっているような伝達系において、「どの部位にどのような対策(伝わる力を低減するのか、結合点そのものの振動を抑制するのか)を施せば効果的に音や振動の低減ができるか」の指標を与える寄与度解析に関する。
評価点の固体伝播音や振動に対して、車体各部への入力の寄与度を明らかにする手法として、従来、力を入力として定式化する力ベース手法が用いられていた。さらに、近年、加速度を入力として定式化する加速度ベース手法も提案されている。ともに、コンピュータ・ソフトウエアのシステムとして商品化されている。
力ベースのシステム:LMS社(TPA)、B&K社(SPC)
加速度ベース手法のシステム:Muller-BBM社(PAK Binaural TPA)
また、特許文献2及び非特許文献1は、加速度ベース手法を提案したものと考えることができる。
図2に示す例では、構造体10の複数の入力点12に力又は加速度が入力され、これらの入力が、評価点14の応答αを生じさせている。伝達経路解析による寄与度解析では、この応答αに対して、各入力点12の寄与度を求めるものである。
図3に示す例では、構造体10である車両につき、入力点12を設定し、ドライバーの外耳近傍を評価点14として寄与度解析を行う。
○力ベース伝達経路解析
着目する評価点の加速度或いは固体伝播音の音圧をαとするとき、外部入力として力を採用するシステムでは、次式(1a)の力を独立な外部入力として、fiからαまでの伝達関数Hiを用いて、応答αを周波数領域で次式(1b)と分解する。なお、この力ベースの伝達経路解析では、加速度aiは力によって決まる応答となる。
この時、周波数ωにおいて、応答α(加速度或いは音圧)への力入力fiの寄与度Cfiは次式(1c)となる。
Figure 0005282976
これらの寄与度Cfiを比較することにより、周波数ωにおいて寄与度Cfiの大きい力入力を特定することができる。そして、寄与度Cfiの大きい部位について、結合剛性を低下するなどの力入力を減ずる対策を検討することとなる。なお、全ての入力点12の寄与度Cfiを加算すると応答αとなる。
入力点12の位置は、簡易な分析であっても通常約15箇所以上ある。そして、1つの入力点12の位置への入力を直交する3軸とすると、15箇所で軸別の入力点12は45個となる。以下、入力は、入力点12の位置及び当該位置での軸数で表す。なお、図2に示す例では、簡易化のために入力点12の各位置にて1軸の自由度とし、入力点の総数をp個としている。
図4に示す例では、入力点12に2つの力入力の入力点12の位置に入力f1, f2がある。また、図示省略したその他の力入力をfiで示す。これらの入力点12への力入力f1, f2及びその他の力入力fiが、評価点14での応答αを生じさせている。この力入力f1, f2及びfiと応答αとの関係は、各力入力を単位として、伝達関数H1, Hi及びH2で与えられる。
○加速度ベース伝達経路解析
外部入力として加速度を採用するシステムでは、次式(2a)の加速度を独立な外部入力として、aiからαまでの伝達関数Giを用いて、αを周波数領域で次式(2b)と分解する。なお、力fiは加速度によって決まる応答となる。この時、周波数ωにおいて、加速度(或いは音圧)αへの加速度入力aiの寄与度Caiは次式(2c)となる。
Figure 0005282976
これらの寄与度Caiを比較することにより、周波数ωにおいて寄与度Caiの大きい加速度入力を特定することができる。そして、寄与度Caiの大きい部位について、マスやダイナミックダンパーを付加するなどの加速度を低減する対策を検討することになる。
例えば、図5に示す例では、入力点12に加速度入力a1, a2及びその他の力入力aiがあり、評価点14での応答αを生じさせている。この加速度入力a1, a2及びaiと応答αとの関係は、各力入力を単位として、伝達関数G1, Gi及びG2で与えられる。
○課題の分析
音や振動対策を行う場合、外部入力点の有る部位では結合剛性の変更等により力入力のコントロールが可能であり、ある部位ではマスの付加等により加速度入力のコントロールが可能である、というように、部位毎に想定される改良策が異なるのが通常である。それらの想定される改良策の中から効果的な対策指針を決定する必要がある。
ところが、従来の力ベース手法では、「全ての力入力は独立で加速度は力入力に応じて決まる」との前提の下、各力入力の寄与度Cfiが算出される。また、従来の加速度ベース手法では、「全ての加速度入力は独立で力は加速度入力に応じて決まる」との前提の下、各加速度入力の寄与度Caiが算出される。
そのため、力ベース手法の寄与度分解と加速度ベース手法の寄与度分解を独立に行い、力ベース手法で力の寄与度Cfiの大きい部位を特定し、加速度ベース手法で加速度の寄与度Caiの大きい部位を特定し、其々の部位に其々力と加速度をコントロールする対策を施すと、力ベース手法の前提(全ての力入力は独立であり、加速度は力入力に応じて決まる)と加速度ベース手法の前提(全ての加速度入力は独立であり、力は加速度入力に応じて決まる)が相容れないため矛盾を生じ、其々の対策に期待される効果が得られないという事態を招くことになる。(実施例3参照)
○本実施形態の構成
本実施形態による寄与度解析方法は、入力設定工程S1と、関数算出工程S2と、寄与度算出工程S3とを備えている。
図1を参照すると、本実施形態の寄与度解析方法は、まず、構造体10の入力点12で伝達される物理量を力入力ff又は加速度入力aaと設定する(ステップS1,入力設定工程)。寄与度解析の対象とする1つの入力点12は、力入力又は加速度入力の一方に設定する。どの入力点12をどちらの入力とするかの判断は本方法を使用する設計者が行う。この入力点12への入力を力入力又は加速度入力の一方とする設定を、本明細書では、「定式化」という。
入力点12は、振動源側と分析対象の弾性体(構造体10)との接触点である。構造体10の設計者は、各入力点12について、何らかの対策により力のコントロールが可能な入力点12を力入力ffと定式化し、また他の対策により加速度aaのコントロールが可能な入力点12を加速度入力aaと定式化すると良い。
そして、いずれの対策も可能な入力点12については、当該入力点12にてより有意な一方としても良いし、力入力ffとする例と、加速度入力aaとする例とで個別に寄与分析を行い、結果を比較するようにしても良い。また、いずれの対策も不可能と想定される入力点12については、当該入力点12への入力としてより変化が少ないと想定される方を選定すると良い。すなわち、力の対策も加速度の対策も両方ともできない場合には、他の対策の影響をあまり受けないであろうと想定される物理量に振り分けると良い。
この選定は、真の入力に基づいて行うのではなく、あくまで、当該入力点12に施すことが可能な対策に基づいて選定することが望ましい。例えば、ある入力点12に対して、実稼働にて真の入力が力であることが明確であるとしても、当該入力点12にどれだけ力の対策をしても力を低減することには限界があるとする。このような場合、真の入力が力であっても、あえて加速度入力と設定することで、従来にない新規有用な寄与度解析を行うことも可能となる。
そして、ある入力点12の位置が3自由度であれば、実際の入力の方向や評価点14への影響を考慮しつつ3軸方向を定め、各軸毎に力入力ff又は加速度入力aaに設定する。例えば、同一位置の入力点12にてx方向が力入力ffでy方向が加速度入力aaという定式化は有り得る。一方、本実施例では、同一の入力点12で同一の軸方向については、単一の物理量に割り当て、力入力ffと加速度入力aaとの按分等は行わない。
この入力設定工程S1に続いて、前記力入力ffの複数の前記入力点12から前記構造体10の評価点14の応答αまでの力入力伝達関数Pと、前記加速度入力の複数の前記入力点12から前記評価点14の応答αまでの加速度入力伝達関数Qとを算出する(ステップS2,関数算出工程)。力入力伝達関数P及び加速度入力伝達関数Qの算出手法は多々あり、イナータンス行列を展開する手法や、クロススペクトルを使用する手法などである。本実施形態では、力入力に定式化された入力点14の一群から応答αへの関数と、加速度入力に定式化された入力点12の一群から応答αへの関数とを別の関数として分けている。
イナータンス行列を取得するには、たとえば、入力から切り離した構造体の各入力点12毎に、力センサを有するハンマで入力点12を打撃して、全入力点の加速度と評価点14の応答を加速度ピックアップで測定することで、入力した力から全入力点の加速度と評価点14までの伝達関数を算出できる。これを全入力点について繰り返せば、イナータンス行列を得ることができる。
また、構造体の各入力点を同時に無相関力加振して、各入力点と応答点の加速度を測定することで、伝達関数を算出することもできる。
さらにFEM等のモデルのシミュレーションにより伝達関数をもとめてもよい。
関数算出工程に続いて、前記構造体10の力入力値及び前記力入力伝達関数Pに基づいて当該力入力ffの前記応答αへの力入力寄与度Cpiを算出すると共に、前記加速度入力値及び前記加速度入力伝達関数Qに基づいて当該加速度入力aaの前記応答αへの加速度入力寄与度Cqjを算出する(ステップS3,寄与度算出工程)。これにより、応答αの振動や音圧について、どの入力点12の寄与度Cpi, Cqjが大きいかが判明するのみならず、どちらに定式化された入力点12の寄与度Cpi, Cqjが大きいのかが判明する。従って、寄与度Cpi, Cqjが大きい入力点12に施すべき対策をその定式化に従って実行することが可能となる。このため、寄与度分析をしたが、その入力点12には実際には有効な対策を施せない、という不都合の発生を防止することができる。
このように、本実施形態では、評価点の振動或いは音圧に対して複数の外部入力の寄与度Cpi, Cqjを解析する際に、振動或いは音圧を低減するために各入力点で想定される改良策に応じて外部入力を力入力或いは加速度入力として定義する(定式化)。そして、入力として定義した力と加速度から評価点の振動或いは音圧までの伝達特性に基づき入力の寄与度Cpi, Cqjを求める。これにより、入力を変化させたときの評価点14の応答を予測することができる。
具体的には、例えば、p個の外部入力のうち、力のコントロールが想定されるr個の力入力を次式(3a)の力ベクトルffとして、加速度のコントロールが想定される(p - r)個の加速度入力を次式(3b)の加速度ベクトルaaとする。この力ベクトルffと加速度ベクトルaaとの全外部入力を定義したハイブリッド入力システムでの、ffiからαまでの伝達関数Pi、aajからαまでの伝達関数Qjを用いて、αを周波数領域で、次式(3c)と分解する。
Figure 0005282976
なお、このとき力入力ffiに対応する加速度afiと加速度入力aajに対応する力fajは入力によって決まる応答となる。
図6に示す例では、力入力又は加速度入力の入力数がp個あり、そのうち、力入力がr個ある。そのうち、力入力ff1、力入力ffi及び加速度入力aa(r+1)を例示し、他の入力の記載を省略する。この力入力ff1及びその他の力入力ffiと応答αとの関係は力入力伝達関数P1, Piで与えられ、一方、加速度入力aa(r+1)及びその他の加速度入力aa(r+j)については、加速度入力伝達関数Q(r+1),Q(r+j)で与えられる。
入力点の定式化に応じて、同じ部位の同じ種類の入力であっても伝達関数は異なることになる。例えば、図4の伝達関数H1と図6に示す力入力伝達関数P1とは異なる関数となる。また、図5に示す伝達関数G2と、図6に示す加速度入力伝達関数Q(r+1)は異なる関数となる。従ってその寄与度も必然的に異なることになる。
式(3c)により、周波数ωにおいて、加速度(或いは音圧)αへの力入力の寄与度Cpiは次式(4a)となり、加速度αへの加速度入力の寄与度Cqjは次式(4b)として得られる。
Figure 0005282976
これより、コントロールを想定した入力に対する寄与度Cpi, Cqjが正確に求められ、それぞれの入力を同時に変更したときの加速度(或いは音圧)αの変化を予測することが可能となる。
・1.1 力入力寄与度と加速度入力寄与度の効果
上述したように本実施例1では、入力設定工程S1が、構造体の入力点で伝達される物理量を力入力又は加速度入力と設定し、関数算出工程S2が、力入力伝達関数Pと、加速度入力伝達関数Qとを算出し、寄与度算出工程S3が、力入力寄与度Cpi,と、加速度入力寄与度Cqjを算出するため、入力点12を予め力入力又は加速度入力に定式化しつつ、力入力に関する伝達関数と、加速度入力に関する伝達関数とを算出しておくことで、それぞれの寄与度Cpi, Cqjを求めることができる。従って、力入力と加速度入力とを任意に組み合わせた伝達経路の寄与度Cpi, Cqjを算出することができる。すると、設計者が入力点に適用可能な対策の種類及び位置を予め特定しておけば、適用可能な対策に直結する寄与度Cpi, Cqjを算出することができる。
すなわち、寄与度Cpi, Cqjの高い入力点12を特定すれば、その対策の種類は明確となる。このため、従来例では、好ましい対策を提案できても、実際にはその箇所にその対策を行うことができない解析結果を与えてしまう、という不都合があったが、本発明では、設計者による対策の事前設定により、適用可能な対策と直ちに結びつく寄与度Cpi, Cqjの分析をすることができる。
このように、力入力寄与度Cpiと加速度入力寄与度Cqjとを算出することで、力の影響と加速度の影響を定量的に比較可能に算出することができる。
○加速度入力システムへの変換
さらに、加速度ベース手法のオリジナル論文である非特許文献1では、力入力点そのものの加速度ではなく、入力点付近の加速度を用いた寄与度分解が示唆された.また、伝達率取得時の加振入力は任意の点に与えてもよいとされ、これらが応答−応答の関係を使っていると様々な議論を呼ぶところとなった.しかし、力入力点の加速度を加速度入力と考えることにより、加速度ベース手法は従来の力ベース手法と同等の手法とみなすことができる。
一般に、力学的な外部入力として力入力以外に強制加速度入力を想定することもできる。このような入力としては、予め決められた運動をする剛体との接触運動によって接触点に強制的に与えられる加速度がその典型である。加速度入力では、入力点で弾性体に働く力は応答として求まることになる。
図2の弾性体モデルを有限自由度で近似した運動方程式を次式(5a)とする。
ここで、ベクトルxf(t)は、外部力入力点の変位ベクトルであり、ベクトルx0(t)は外力の働かない節点(着目する応答点を含む)の変位ベクトルである。
この式(5a)のベクトルxf(t)の二階微分である加速度ベクトルa(t)を入力として、ベクトルx0(t)の二階微分及び力ベクトルf(t)を出力とするように変形すると、次式(5b)及び(5c)の状態・出力方程式を得る。式(5b)及び(5c)のベクトルξa(t)は次式(5d)となる。
Figure 0005282976
ここで、O、Iを各々適当なサイズの零行列、単位行列として、式(5b)及び(5c)の各行列は次式(6a), (6b), (6c)及び(6d)となる。
Figure 0005282976
以上のように、力入力点の加速度を入力とするシステム表現は可能である。なお、加速度入力システムの次数は力入力システムの次数と変わらない。
このように、加速度ベース手法も加速度を外部入力とした伝達関数に基づく手法であり、力をベースとした従来の伝達経路解析と同様の手法であることが明確となった。しかし、得られる寄与度は一般に同一ではない。
従来の力ベース手法においては、得られた寄与度から、どの外力を減らせば最も効果的に応答点の加速度を減らすことができるかが判る。つまり、ブッシュ等の剛性変更により力入力の大きさをコントロールすることを前提とした解析手法と言える。同様に、加速度ベース手法においては、得られた寄与度から、どの加速度入力を減らせば最も効果的に応答点の加速度を減らすことができるかが判る。つまり、加速度入力の大きさをコントロールすることを前提とした解析手法と言えよう。加速度のコントロールには、入力点へのマスダンパ等の付加が考えられる。
以上、二つの手法は対等の関係にあり、力入力をコントロールする対策を想定する場合は力ベース手法、加速度入力をコントロールする対策を想定する場合は加速度ベース手法、と要は使い分けの問題であると言える。
このように、本実施形態では、力入力と加速度入力とを任意に組み合わせた伝達経路の寄与度Cpi, Cqjを算出することができる。すなわち、力ベース手法の寄与度分解と加速度ベース手法の寄与度分解を独立に行ったのでは得ることができない、想定する対策に応じた力入力と加速度入力の寄与度Cpi, Cqjの算出が可能となる。
<1.2 対策前後で同一の伝達関数を使用>
本実施形態では、より好ましくは、図1に示す前記寄与度算出工程S3が、前記力又は加速度の対策後の前記力入力値又は前記加速度入力値と、対策前の前記力入力伝達関数P又は前記加速度入力伝達関数Qとに基づいて、当該対策後の力入力寄与度Cpi及び前記加速度入力寄与度Cqjを算出する工程S7を備えると良い。すなわち、図1に示す例では、当初の寄与度算出を行い(ステップS3)、その後、寄与度Cpi, Cqjの大きい入力点12について、入力の種別(力又は加速度)に応じた対策を施す。続いて、分析及び対策を継続し(ステップS5)、再度ステップS3に戻る。ステップS3では、対策が施された結果、対策が施された入力点12の入力値(その定式化に応じて、力又は加速度)の値が変化している。
一方、本実施形態では、その機能・作用の特徴として、対策の前後で伝達関数は変化しない。これは、力入力でも、加速度入力でも同様である。従って、寄与度算出工程S3は、対策後の寄与度解析にて、例えば力入力であれば、前記力の対策後の前記力入力値と、対策前の前記力入力伝達関数Pとに基づいて、当該対策後の力入力寄与度Cpiを算出する。このように、同一の伝達関数を使用して対策前後で寄与度Cpi, Cqj及び応答αを算出し、比較可能であるため、対策による応答の変化の予測精度を高くすることができる。
・1.2 対策前後で同一の伝達関数を使用する効果
この例では、寄与度算出工程が、前記力又は加速度の対策後の前記力入力値又は前記加速度入力値と、対策前の前記力入力伝達関数及び前記加速度入力伝達関数とに基づいて、当該対策後の力入力寄与度Cpi及び前記加速度入力寄与度Cqjを算出するため、対策の前後にて同一の伝達関数を使用して当該対策の有用性を比較可能に精度良く定量化することができる。
このように、適用可能な対策の種類及び位置を前提とした寄与度Cpi, Cqjの解析をすることができる。すなわち、適用可能な対策を前提として当該入力点を力入力又は加速度入力の一方に定式化しつつ、寄与度Cpi, Cqjの高い部分を特定することができるため、寄与度Cpi, Cqjの高い部分に確実に予め想定した対策を施すことができる。
さらに、本発明では、対策を与える前後にて、計算に使用する伝達関数を同一とすることができるため、当該対策の有効性を明確に判定可能な解析をすることができる。
従って、想定した入力低減を実現したときの効果予測が可能となる。
このように、本実施形態では、採用可能な対策を精度良く定量評価することができる。
<1.3 入力点の物理量の定式化を促す>
前記入力設定工程S1が、力の対策が可能な前記入力点12については前記力入力ffとする設定を促すと共に、加速度の対策が可能な入力点12については加速度入力aaとする設定を促す工程S6を備えると良い。入力を促す手法としては、本方法を実現するコンピュータのユーザ・インタフェースにて、入力点12の定式化に際して、採用可能な対策の種別と、入力の種別(力又は加速度)とを一致させるべき旨を表示すると良い。また、本発明による寄与度解析方法又は装置の使い方として事前説明するようにしても良い。
具体的な対策としては、例えば、ダイナミックダンパーをつけるスペースがあれば、その入力点12は加速度のコントロールが可能である。また、マウント剛性値を変更できる場合は、力のコントロールが可能である。そして、一方の対策のみの入力点12もあれば、両方の対策が可能な入力点もある。このため、例えば、ダイナミックダンパーが有効な入力点12については加速度入力とし、剛性変更が可能な場所は力入力とすることを促すと良い。
・1. 3 入力点の物理量の定式化を促す効果
力の対策が可能な前記入力点については前記力入力とする設定を促すと共に、加速度の対策が可能な入力点については加速度入力とする設定を促すことで、適用可能な対策のみを解析対象とした寄与度分析をすることができ、さらに、適用可能な対策の種類及び位置を前提とした寄与度Cpi, Cqjの解析をすることができる。すなわち、予め対策可能な箇所を入力点とし、さらに適用可能な対策を前提として当該入力点を力入力又は加速度入力の一方に定式化しつつ、寄与度Cpi, Cqjの高い部分を特定することができるため、寄与度Cpi, Cqjの高い部分に確実に予め想定した対策を施すことができる。
このように、本実施形態では、寄与分析の結果を直接的に対策の選定に結びつけることができ、対策を選定する設計上の裏付けを明確化することができる。
<1.4 伝達関数の算出手法>
図7に示すように、本実施例1では、複数の入力点12について、力入力と加速度入力との定式化をするハイブリッド入力を採用する。力入力と応答αとの関係を力入力伝達関数Pで表し、加速度入力と応答αとの関係を加速度伝達関数Qで表す。
図8を参照すると、本実施例では、まず、受動部16と入力部18と定義する(ステップS11)。このステップS11では、全体の音響構造物を、加速度や音圧の評価点14を含む受動部とそれ以外の入力部18に二分する。この切り分けは、部品同士が狭い範囲で接触していて、点接触とみなされる部位で行う。
次に、受動部16の入力と応答を定義する(ステップS12)。このステップS12では、まず、受動部16が入力部18から受ける力の自由度をpとする。そのうちコントロールを想定するr個の力入力をまとめて、次式(7a)とし、対応する加速度応答を次式(7b)とする。式(7a)は式(3a)と同一である。 また、(p-r)個のコントロールを想定する加速度入力をまとめて、次式(7c)とし、対応する力応答を次式(7d)とする。式(7c)は式(3b)と同一である。
この実入力ff, aaに対する対応入力af, faは、当該入力点12での応答である。例えば、実入力である力入力ff1が入力点12に与えられた際に、当該力入力ff1に対する加速度の応答が発生する。この加速度応答のうち、当該力入力ff1の軸方向と同一方向の成分を、対応入力af1とする。このように、実入力ff, aaに対する対応入力af, faは、実入力の入力点12の位置を基準位置として、実入力の軸(実入力のベクトルの向き)と同一方向についての成分である。このように、実入力ff, aaと対応入力af, faとは軸方向を共有している。そして、対応入力af, faの大きさは、実入力ff, aaの応答のうち、当該実入力の軸方向についての成分を取り出すことで定まる。
なお、実入力に対応して想定する力や加速度は、イナータンス行列を定義するためにのみ使用し、実際の計算では使用しないため、質量等を用いて実際の値を算出する必要はない。
Figure 0005282976
次に、入力部18を取り外す(ステップS13)。このステップS13では、伝達関数行列を算出するために、全体の音響構造物からステップS11で定義した入力部18を取り外す。
さらに、実験により伝達関数行列を取得する(ステップS14)。このステップS14では、入力部18を取り外した受動部16に力入力fである力ベクトルff及び力ベクトルfaを与える。そして、加速度ベクトルaf及び加速度ベクトルaa、および加速度(或いは音圧)αを測定する。これにより、次式(8)の伝達関数行列H(ω)を取得する。特に応答αが加速度の時、H(ω)はイナータンス行列と呼ばれる。
Figure 0005282976
次に、ハイブリッド入力伝達関数行列P(ω)、Q(ω)を算出する(ステップS15)。ステップS15では、伝達関数行列H(ω)を整理し、力ベクトルffと、加速度ベクトルaaとを入力として、加速度αを出力とする次式(9a)を導く。さらに、次式(9b)に定義するように、この式(9a)の右辺第1項の括弧内を伝達関数行列P(ω)とし、次式(9c)に定義するように、式(9a)の右辺第2項の括弧内を伝達関数行列Q(ω)とする。
Figure 0005282976
この式(9a)により、力入力と加速度入力という性質の異なる2つの手法を包括することができ、力入力と加速度入力との応答αに対する寄与度Cpi, Cqjを直接に比較することができる。
このように、本実施例1では、式(8)で示すイナータンス行列H(ω)を前提として、式(9a)のように当該イナータンス行列H(ω)を展開することで、式(9b)に示す力入力伝達関数P(ω)と、式(9c)に示す加速度入力伝達関数Qとを算出する。このイナータンス行列H(ω)は、上述のように、前記力入力ffの力と、前記加速度入力に対応する力とを入力とする伝達関数行列であって、前記加速度入力の加速度と、前記力入力に対応する加速度と、評価点の応答とを出力とする伝達関数行列である。
このイナータンス行列H(ω)を展開する手法にて、力入力ffに対応する加速度応答afと、加速度入力aaに対応する力応答faとを定義するのは、イナータンス行列を立てるためのみであり、対応する加速度afや対応する力faはその後の計算では使用しない。また、力と加速度とを対応させるために個々の部分の質量・剛性を実測する必要はない。すなわち、ハイブリッド入力の伝達関数を算出するために、実測により求める必要があるのはイナータンス行列のみである。
このように、力を入力とみなそうが、加速度を入力とみなそうが、基本となるのは共通の運動方程式であり、力と加速度の間にはイナータンス行列で結ばれる関係が成立する。本実施例1では、この式から、何を入力とみなして、着目する応答までの伝達関数を求めるかを工夫し、ハイブリッドな伝達関数を得て、両者の寄与度Cpi, Cqjを加算可能に整理することができた。
特に、入力点12の位置での軸毎に物理量を定式化し、当該入力点12の軸毎の入力について力と加速度との按分をせず、必ず一方に振り分ける仕組みとしたため、入力点12の軸方向での力と加速度との関係を入力と応答と整理して、式(7)により対応付けることができる。この式(7)を前提として式(8)のイナータンス行列をたてることができる。そして、この式(8)を展開することで、式(9a)を導出し、この伝達関数を使用することで、力の寄与と加速度の寄与とを比較可能に算出することができる。また、この必ず一方に振り分ける仕組みを前提とした式(8), (9a)の理論を背景に、次に説明するクロススペクトルの手法を採用し、伝達関数の精度をより向上させていくこともできる。
本実施例1では、イナータンス行列H(ω)の展開による手法ではなく、クロススペクトルを用いた手法により伝達関数を算出するようにしてもよい。
ここで、加速度入力伝達関数Qkはaakからαまでの伝達関数であり、原理的にはaak以外の加速度入力を滑らかに0に拘束し、全力入力を0とし、aakに広帯域加速度入力を加え、αの応答を計測することにより求めることができる。しかし、力を0とするのに比べ、加速度を滑らかに0に拘束するのは容易ではない。相互スペクトル行列が正則となるような多点入力により求めるのが現実的である。
このクロススペクトルを用いる例では、前記力入力ff及び加速度入力aaを入力wとして与えて応答を測定すると共に、当該入力wと応答αのクロススペクトルに基づいて前記力入力伝達関数P及び前記加速度入力伝達関数Qを算出する。
すなわち、入力ベクトルwのクロススペクトル行列Swwが正則となるような次式(10a)による入力を与え、その時の応答αを計測する。そして、ベクトルwと応答αとのクロススペクトルSwα(列ベクトル)を求め、次式(10b)により伝達関数行列P(ω)、Q(ω)を得る。この手法では、クロススペクトル行列が正則となるような、力と加速度の多入力加振をし、応答αを求めることで、ハイブリッド入力の伝達関数行列P(ω)、Q(ω)を直接的に同定することができる。
Figure 0005282976
・1.4 伝達関数の算出手法の効果
このように、本実施例では、イナータンスから変形する手法や、クロススペクトルによる手法により、伝達関数を実験的に求めることができる。そして、イナータンスH(ω)を取得し、またはクロススペクトルを検討することにより、コントロールする入力の組み合わせを様々に変更して各部位の寄与度Cpi, Cqjの計算が可能となり、より効果的な対策指針を検討することができる。
原理的には、1入力のみを与え、その他の入力を0にして、その応答と入力の比を取れば一つずつ伝達関数を求めることが可能である。しかし、力入力を0にするのは、その点をフリーにすれば良いところ、加速度入力を0にするのは、その点の動きを滑らかに拘束する必要があるため、現実的には難しい。このため、上記2つの手法の一方により伝達関数を算出すると良い。
なお、イナータンス行列H(ω)から変形すると、イナータンスの極を相殺する現象が発生し、数値計算的には誤差が増える可能性がある。このため、精度としては、クロススペクトルによる手法が好ましい。
<1.5 寄与度及び応答の算出手法>
まず、実稼動時の入力を推定し、または、測定する(ステップS16)。実稼働時の入力は、例えば車体であれば、路面からの振動やエンジンの振動を振動源として、各入力点に与えられる力又は加速度である。このステップS16では、例えば動ばね法等により実稼動時の力入力を推定する。動ばね法は、振動伝達部位のばね特性として、周波数領域で、変位を力に変換する周波数特性を予め測定しておく。そして、実稼働時に加速度センサを使用して動的な変位を記録する。この動的な変位と、動ばねにモデル化した振動伝達部位の周波数特性とに基づいて動的に変化する力を算出する。
また、加速度入力については、加速度ピックアップにより計測する。
次に、寄与度分析を行いたい時刻tにおける入力の短時間フーリエ解析を実施する(ステップS17)。このステップS17では、入力データ、の時刻tにおける時間幅Tの領域を切り出し、FFT処理により、次式(11a)の力入力の周波数スペクトル、及び、次式(11b)の加速度入力の周波数スペクトルを求める。
Figure 0005282976
そして、上記時刻tにおける応答αへの各入力の寄与度Cpi, Cqjを算出する(ステップS18)。このステップS18では、そして、力入力の寄与度Cpi,を次式(12a)により求める。さらに、加速度入力の寄与度Cqjを次式(12b)により求める。全ての寄与度Cpi, Cqjを加算すると、式(9d)より、応答αとなる。
Figure 0005282976
図1と図8の対応について、まず、図1のステップS1は、図8のステップS12に対応する。次に、図1のステップS2は、図8のステップS13, S14及びS15に対応する。そして、図1のステップS3は、図8のステップS16, S17及びS18に対応する。特に、本実施例では、この寄与度Cpi, Cqjを算出する工程S3は、次の各工程を備えている。
前記力入力ffの周波数スペクトルff(ω;t)と、前記加速度入力aaの周波数スペクトルaa(ω;t)とを算出する工程(ステップS17)。
前記力入力伝達関数Pと前記力入力ffの前記周波数スペクトルff (ω;t)とに基づいて前記力入力寄与度Cpiを算出する工程(ステップS18)。
前記加速度入力伝達関数Qと前記加速度入力aaの前記周波数スペクトルaa(ω;t)とに基づいて前記加速度入力寄与度Cqjを算出する工程(ステップS18)。
前記力入力寄与度Cpiと前記加速度入力寄与度Cqjとを加算することで前記評価点14の応答αを算出する工程(ステップS19)。
○寄与度のピークの定性的性質
(1) 力入力ffi 、加速度入力aajのスペクトル
伝達経路解析では、真の外部入力に晒される全体システムを二分し、着目する応答を含む弾性体を受動部16、振動源側を入力部18と定義し、入力部18から受動部16へのの入力を考える。この場合、受動部16側への力入力ffi、或いは、加速度入力aajは真の外力ではなく、外力の影響を受ける入力部18及び受動部16の全体システムの応答となるのが通常である。受動部16への入力とみなされる応答の周波数スペクトルは、概ね、全体システムの共振周波数と真の外部入力のスペクトルピーク位置とにピークを持つ。
(2) 伝達関数Pi 、Qjの極について
各入力から応答αまでの伝達関数Pi 、Qjの極はシステムの固有値の一部である。固有モードはシステムの零入力応答であり、加速度入力として定義された自由度は零入力時に一定速度を与えられることになるが、弾性モードに着目する場合、拘束することになる。従って、加速度入力として定義した点を拘束した固有モードを持つこととなり、伝達関数Pi 、Qjの極は入力の定式化の違いにより異なったものとなる。
(3) 寄与度Cpi, Cqjのスペクトル
上記(1)、(2)の考察より、式(11)、(12)で算出される寄与度Cpi, Cqjのスペクトルは、概ね、真の外部入力に対し定式化された全体システムの共振周波数、真の外部入力のスペクトルピーク位置、及び入力の定式化により異なる伝達関数Pi 、Qjの極位置にピークを持つことになる。
本実施例1の寄与度解析装置は、データ入力部20と、伝達関数記憶部22と、寄与度算出部26とを備えている。
図7に示す例では、さらに、フーリエ変換部24と、応答算出部28とを備えている。
伝達関数記憶部22は、力の対策が可能な入力点12への力入力ffから評価点14での応答αへの力入力伝達関数Pと、加速度の対策が可能な入力点12への加速度入力aaから前記応答αへの加速度入力伝達関数Qとを予め記憶している。
データ入力部20は、構造体10の実稼働時の力入力及び加速度入力を推定又は測定する。具体的には、構造体10の入力点12で伝達される物理量として予め設定された力入力又は加速度入力に応じて、当該力入力に設定された前記入力点12については当該構造体10の実稼働での力入力値を動ばね法等により推定又は測定する。データ入力部20は、また、当該加速度入力に設定された前記入力点12については加速度ピックアップ等を使用して加速度入力値を測定する。
寄与度算出部26は、前記構造体10の実稼働時の力入力値及び前記力入力伝達関数Pに基づいて当該力入力の前記応答への力入力寄与度Cpi,を算出する。また、寄与度算出部26は、加速度入力値及び前記加速度入力伝達関数Qに基づいて当該加速度入力の前記応答への加速度入力寄与度Cqjを算出する。
力入力値及び加速度入力値は、伝達関数P, Qとの積により寄与度Cpi, Cqjを求める関係上、周波数領域でのデータとし、例えば、周波数スペクトルとすると良い。
この例では、寄与度解析装置は、フーリエ変換部24を備える。このフーリエ変換部24は、前記力入力ffの周波数スペクトルff(ω;t)と、前記加速度入力aaの周波数スペクトルaa(ω;t)とを算出する。そして、寄与度算出部26は、前記力入力伝達関数Pと前記力入力ffの前記周波数スペクトルff (ω;t)とに基づいて前記力入力寄与度Cpiを算出する。同様に、寄与度算出部26は、前記加速度入力伝達関数Qと前記加速度入力aaの前記周波数スペクトルaa(ω;t)とに基づいて前記加速度入力寄与度Cqjを算出する。
また、式(9a)で明らかなように、力入力寄与度Cpiと、加速度入力寄与度Cqjとは加算性があり、全ての両寄与度Cpi, Cqjを加算すると、応答αとなる。従って、応答算出部28は、前記力入力寄与度Cpi, と前記加速度入力寄与度Cqjとを加算することで前記評価点14の応答αを算出することができる。
このように、寄与度解析装置は、図8に示すステップS13, S14及びS15による伝達関数の算出を予め実行して、図7に示す伝達関数記憶部22に格納しておく。そして、寄与度解析装置の各部20, 24, 26, 28は、図8に示すステップS12, S16, S17及びS18の対応する処理を実行する。この図8に示す当該処理と、図7に示す各部の処理とは、CPUとメモリーとを備えたコンピュータにて寄与解析用のプログラムを実行することで実現することができる。
なお、この寄与解析用プログラムは、コンピュータで使用するオペレーティングシステム及び市販のアプリケーションシステムの機能に依存して、本発明の寄与解析に特有な部分のみのコード(指令)を有すると良い。例えば、データの入出力やフーリエ変換自体はオペレーティングシステムや市販のアプリケーションシステムの機能で実現できるため、寄与解析用プログラムは、データの入出力自体を処理するためのコードを含まない。
・1.5 寄与度及び応答の算出手法の効果
上述したように本実施例によると、力入力と、加速度入力とを任意に組み合わせた複数の入力点での振動が、評価点の振動にどのように寄与しているかを定量評価することができる。このため、人為的に、構造物への想定される対策と入力のタイプ(力又は加速度)とを関連させて寄与度Cpi, Cqjを算出すると、寄与度Cpi, Cqjの大きい対策を容易に選定することができる。また、力と加速度とを別途に評価する際の実際とのズレなどが生じない。
例えば、力入力の寄与度Cpiの大きい部位は結合剛性を落として入力を低減するという指針や、加速度入力の寄与度Cqjの大きい部位には、ダイナミックダンパーを設定し、入力点の振動を低減するという指針など、具体的な対策指針を得ることができる。
また、本実施例では、物理的対策に直結した伝達関数を得るので、計算上の対策効
果を現実に反映させやすい。
さらに、対策の組み合わせを対策の実現可能性に従って予め絞ることができ、その可能な対策を前提として寄与度Cpi, Cqjを算出するため、寄与度Cpi, Cqjが高いが対策を採用できない入力点と、対策可能であるが寄与度Cpi, Cqjが低い入力点などが必然的に混在する従来例による手法と比較して、伝達経路解析及び対策の検討を大幅に効果的とすることができる。
そして、これにより、対策案の立案、検討時間が短縮できる。すなわち、設計期間の短縮に貢献=モデルサイクルの短縮化とコストダウンを図ることができる。
特に、例えば、四輪車の室内での騒音対策について、極めて高い効果を奏する。
さらに、開発後期で対策検討が結合点に限定されている中で、本実施例によると最適な対策の指針が得られる。そして、FEMではなく、実験的に得た伝達関数に基づくため、予想精度を向上させることができる。
なお、加速度ベース手法自体は非特許文献1や併用する手法は特許文献4等に開示されているが、本発明では、後述する実施例3等による理論的な分析を前提とした、加速度ベースの解析手法の真の性質に基づいた手法となっている。例えば、従前の加速度ベース手法に対する理解では、力の代わりに加速度を使った、と整理し、力と加速度を等価なものとして捉え、力=質量x加速度という単純な発想に従って、加速度の寄与度Cqjが大きい部位に対しても、力の寄与度Cpi,が大きい部位と同じように扱って、力を減らす対策を採用していた。しかし、本実施形態では、加速度の寄与度Cqjが大きい部位に対しては、ダイナミックダンパーで加速度を低減する対策をとれば良い、という発想に転換しているのである。
さらに、解析結果に応じて、剛性対策と質量対策との選択を促す従来例と比較して、本実施形態では、予め対策を想定してから解析することができ、従って、開発後期で対策が限られてくる際にも有効な寄与度解析を実行することができる。さらに、本実施形態では、想定した対策に基づき入力点に対策を施せば、対策後の伝達関数は不変のため、対策後の加速度入力と力入力を求めれば、対策後の寄与度解析を直ぐ行うことができ、対策の実効性に関する検証が容易で、対策の有効性に関する明確な定量化を提供することができる。
<2.1 エンジンマウントモデル>
次に、本実施形態の実施例2を開示する。実施例2は、エンジンマウントモデルを例として、実施例1の寄与度解析方法及び装置を使用して、複数の対策の組み合わせが想定される際に、最適な組み合わせを選定する手法を説明する。
近年、燃費向上のために低回転からATやCVTをロックアップする傾向にあり、低周波数のエンジン40の振動が車体に伝達し、ドライバーの耳位置で40Hz程度のこもり音が発生するケースがある。この問題については、エンジン40の振動の車体への主な伝達経路としては、エンジンマウント42、前輪(駆動輪)のサスペンション取付部、マフラ取付部が想定される。
図9に、エンジンマウントモデルの一例を示す。このモデルは、エンジン40を支持するエンジンマウント42と、マクファーソンストラット式のフロントサスペンション48A, 48Bとを備えている。このフロントサスペンション48A, 48Bは、ロアアーム44A, 44Bと、サスペンションストラット 46A, 46Bとを備えている。ロアアーム44A, 44Bは、エンジンマウント42と駆動輪50A, 50Bとを接続する。また、4カ所のマフラ取付点52を有する。
図9に示す例に対して、具体的な入力点12を次のように設定する。図9に示す例では、各入力点12を符号INと数字の組み合わせで表す。図9に示す全ての入力点12を表す際にはINxxと表記する。
エンジンマウント40について、入力点IN01, IN02及びIN03の合計3点で、それぞれ3軸方向である。ロアアーム44A, 44Bのエンジンマウント42への取付点を左側につき入力点IN04, IN05、右側につき入力点IN06, IN06として、左右各2点、それぞれ3軸方向とする。サスペンションストラット46A, 46Bは、左側の入力点IN08と、右側の入力点IN09の左右各1点とし、左右各々3軸方向とする。さらに、マフラ取付点52は4点で、各入力点IN10, IN11, IN12及びIN13で、3軸方向の入力を受けるとする。
この図9に示す構成に対して、予め適用可能な具体的対策案を立案しておく。ここでは、全入力点INxxで結合剛性の変更が想定されるとする。また、エンジンマウント42の結合点である入力点IN01, IN02及びIN03には上下方向のダイナミックダンパーを付加することが可能であるとする。
そして、評価点14は図示しないドライバーの外耳位置とし、評価点14での対策の対象となる具体的応答は音圧で、40 [Hz] 成分を対象とする。
ここでは、3回の寄与度解析を行う。
(1) 全ての入力点INxxの入力を力として評価点14の対象音圧に対する寄与度分析を実施
(2) エンジンマウント42の入力点IN03の上下方向入力を加速度とし、その他の入力を力として評価点14の対象音圧に対する寄与度分析を実施
(3) エンジンマウント42の入力点IN01及びIN02の上下方向入力を加速度とし、その他の入力を力として対象音圧に対する寄与度分析を実施
3回の寄与度解析の検討結果として、累積寄与度が50%を超える寄与度上位の入力点INについて、次の例が得られたとする。
(1) 全てを力入力とした場合の寄与度上位: ロアアーム44A, 44Bの入力点IN04, IN06の前後方向入力と、入力点IN05, IN07の上下方向入力。
(2) エンジンマウント42の入力点IN03の上下方向入力を加速度とし、その他の入力を力とした場合の寄与度上位: エンジンマウントの入力点IN03の上下方向加速度と、ロアアームの入力点IN04及びIN06の前後方向入力
(3) エンジンマウント42の入力点IN01及びIN02の上下方向入力を加速度とし、その他の入力を力とした場合の寄与度上位: エンジンマウント42の入力点IN01及びIN02の上下方向加速度とロアアーム44A, 44Bの入力点IN05及びIN07の前後方向入力
・2.1 エンジンマウントモデルの効果
以上の結果より、例えば、変更箇所を最小限に抑えたいならば、(2)の結果に基づき、エンジンマウントIN03の上下方向に40Hzの振動を低減するダイナミックダンパーを設定することでその振動レベルを低減し、また、ロアアームの入力点IN04及びIN06の前後方向の40Hzにおけるブッシュ動ばね定数を低減すれば、40Hz音圧を効果的に低減できることが判る。
また、設計者は、上記結果に基づいて、変更箇所を最小限に抑える条件での複数の対策や、同一水準のコストとなる複数の対策や、応答αの低減率など変更の目標を実現可能と想定される複数の対策などを提案することができる。そして、設計者は、複数の対策のうち、最適な対策を選定しなければならない。実施例1の寄与度解析方法又は装置は、上記の効果を奏する他、この設計者が最適な対策を選定する業務を支援することができる。
設計者は、上記結果に基づいて、対策を施す入力点と、その入力点への入力値を例えば20%減少させるなどの対策とを選定する。このような対策は、複数種類想定できる。そして、同一の伝達関数を使用して入力値の低減後の寄与解析をし、応答αを求める。この応答αは、複数種類の対策毎に算出することができる。すると、複数種類の対策のうち、最も応答αの値を低下させる対策をシミュレーションにより特定することができる。
また、対策のコストを予め求めておくことで、応答αを予め定められた目標値以下に低減できる複数の対策をシミュレーションにより抽出できれば、その有用な対策群のなかで最も低コストの対策を選定することができる。
しかも、本実施形態による寄与度解析方法及び装置では、力入力と、加速度入力とを対等に評価することができるため、力入力に応じた対策と、加速度入力とに応じた対策とを同一の基準にて比較し、設計者による選定に有用な情報を提供することができる。
例えば、従来の手法では入力点に与えられる力の低減のみを対策として検討していたところ、本実施形態にて力の低減ではなく、力入力に対して加速度を抜く対策を検討し、その応答αを算出することができる。すると、対策前の応答α、力対策とした際の応答α及び加速度対策とした際の応答αの値とを相互に定量的に比較することができる。
次に、平面運動をする3質点ばねマスモデルを用いて、加速度入力の性質及び寄与度について説明する。この例は、力ベース手法と加速度ベース手法を別々に適用しても効果予測ができない例であり、入力点12に力を与えるか加速度を与えるかの選択の仕方により寄与度が一般的に異なることを明らかにする。
まず、前準備として、以下の運動方程式(13)について考える。
Figure 0005282976
ここで、ベクトルxf(t)は力入力の入力点12の変位ベクトル、xa(t)は加速度入力の入力点12の変位ベクトル、x0(t)は外力の働かない節点(着目する評価点14を含む)の変位ベクトルである。これら変位ベクトルは、力ベクトルff(t)に対応する変位で、当該力ベクトルff(t)の軸方向の変位成分である。
力ベクトルff(t)は力入力の入力点12に働く外力、力ベクトルfa(t)は加速度入力の入力点12に働く外力である。
この式(13)を、力ベクトルff(t)と、変位ベクトルxa(t)の二階微分である加速度ベクトルaa(t)とを入力とするように変形し、変位ベクトルxf(t)の二階微分と、変位ベクトルx0(t)の二階微分と、力ベクトルfa(t)とを出力とする。この式(13)の変形により、次式(14a)及び(14b)の状態・出力方程式を得る。式(14a)及び(14b)のベクトルξh(t)は次式(14c)となる。
Figure 0005282976
ここで、O、Iを各々適当なサイズの零行列、単位行列として、式(14a)及び(14b)のAh, Bh, Ch, 及びDhは、それぞれ、次式(15a), (15b), (15c)及び(15d)となる。さらに、このM及びKは次式(15e), (15f), (15g)及び(15h)となる。
Figure 0005282976
さて、図10に示す平衡状態にある質量miの質点m、ばね剛性kiのマスばねモデルについて、その微小振動について考える。図10に示すマスばねモデルは、角θを有する直角三角形であり、角θで他の質点と結合された質点m1と、直角で他の質点と結合された質点m2と、質点m1及び質点m2と結合された質点m3とを有する。質点m3と質点m2との間のばね定数をk1、質点m3と質点m1との間のばね定数をk2、質点m1と質点m3との間のばね定数をk2とする。質点m1から質点m2に向かう方向をx方向とし、質点m2から質点m3に向かう方向をy方向とする。そして、質点m1及び質点m2を入力点12A, 12Bとし、質点m3を評価点14とする。
そして、質点mの変位であるx成分をxi、y成分をyiとする。力又は加速度の入力は質点m1のy方向と質点m2のx方向に加わるものとし、この順序で力を各々f1、f2とし、加速度を各々a1、a2とする。また、着目する応答αは質点m3の加速度のy成分とする。
すると、運動方程式として式(16a)を得る。以下、簡単のため、Si = sinθ、Co = cosθとし、行列表現はMatlab表記に倣うものとする。この運動方程式(16a)の要素は、次式(16b), (16c), (16d)及び(16e)となる。式(16d)のdiagは対角行列を意味する。
Figure 0005282976
各定式化での状態・出力方程式では、式(14)において、以下の様におけばよい。
(1) ハイブリッド入力による定式化(f1,a2が外部入力)
Figure 0005282976
(2) 力入力による定式化(f1,f2が外部入力)
Figure 0005282976
(3) 加速度入力による定式化(a1,a2が外部入力)
Figure 0005282976
○伝達関数
まず、真の外部入力として入力点12Aに力入力f1が加わり、入力点12Bに加速度入力a2が加わり、両者により上記マスばね系が振動している状況を考える。そして、この振動状態を次の3手法で捉える。第1は、力ベース手法で、外部入力を力f1と加速度a2に対応する力f2と捉える。第2は、加速度ベース手法で、外部入力を力f1に対応する加速度a1と加速度a2と捉える。第3は、本実施形態によるハイブリッド入力手法で、外部入力を力f1と加速度a2と捉える。これをハイブリッド1(HB1)とする。また、外部入力を加速度a1と力f2とする例もハイブリッド2(HB2)として開示する。
図11に各手法での入力点の定式化に応じた伝達関数を示す。図11(A)に入力点12Aから評価点14への伝達関数の例を示し、図11(B)に入力点12Bから評価点14への伝達関数の例を示す。図11(A)及び(B)にて、力ベース手法の伝達関数Hを二点差線で、加速度ベース手法の伝達関数Gを一点鎖線で、ハイブリッド手法の伝達関数P又はQについて、ハイブリッド1(f1, a2)を実線で、ハイブリッド2(f2, a1)を破線で示す。
そして、本実施例では、図12に示す実入力及び図13に示す対応入力による寄与度を図14から図17に示す。以下、手法;図11の伝達関数;寄与度を示す図、と整理して掲げる。
(1) 力ベース手法(f1, f2): 図11二点鎖線; 図14
(2) 加速度ベース手法(a1, a2): 図11一点鎖線; 図15
(3) ハイブリッド1(f1, a2): 図11実線; 図16
(4) ハイブリッド2(a1, f2): 図11破線; 図17
計算では、次のパラメーターを用いた。
m1: 10; m2: 20; m3: 15 [kg]
k1: 60,000; 20,000; 30,000 [N/m]
θ: 60 [deg]
図11に示すように、入力とみなすものの組み合わせ(定式化)によって、同じ入力に対する伝達関数が変化することがわかる。すなわち、図11(A)及び(B)の力ベース、加速度ベース及びハイブリッド1では、定式化の捉え方の相違により、異なる伝達関数となっている。
そして、図11に示すように、いずれの手法の場合も弾性モードが3つ存在する。加速度を入力とみなすと零入力時にその質点の自由度が拘束されるため、弾性モードは変化する。共振周波数は、ハイブリッド入力では、39.5、62.0、89.1[rad/s]、力入力では44.2、70.2、89.2[rad/s]、加速度入力では24.2、59.4、87.9[rad/s]である。何を入力とみなすかにより共振周波数は異なり、寄与度分解ではこれらの共振点の違いの影響が現れる。
なお、加速度入力及びハイブリッド入力の場合の伝達関数は、式(8)のイナータンス行列から、式(9a)を用いて算出しても図11と同じ結果となる。しかし、イナータンスの極を相殺する演算により数値計算上のノイズが乗り易い。一方、式(12b)によるクロススペクトルの方法を用いると、このようなノイズの影響がなく好ましい。
○時刻歴シミュレーションと寄与度解析条件
或る短い時間区間において応答加速度αに占める外部入力の寄与度を上記3つの手法で算出する。
真の外部入力としてf1とa2を与え、その時の各定式化での寄与度を計算する。f1は30[rad/s]、75[rad/s]にスペクトルピークを持つランダム信号と100秒間で0から30 [rad/s] まで変化するスイ−プ信号の和とし、a2は50 [rad/s] にスペクトルピークを持つランダム信号と100秒間で125から95 [rad/s] まで変化するスイ−プ信号の和として、応答加速度αを計算した。その後、一例として50から52.56 [s] の区間を切り出し、各定式化における入力点12A、12Bの寄与度を算出した。当該区間でのf1とa2のスペクトルを図12に示す。スイープ信号の周波数はf1とa2で各々、約17[rad/s]、110[rad/s]である。図13は図12に示す真の入力f1, a2に対応するa1, f2のスペクトルである。
○各定式化での寄与度計算
第1例について、図14から図16の各図(A)及び(B)に各々、各定式化に基づく入力点12A、入力点12Bの寄与度を破線で示す。各図の実線は応答加速度αのスペクトルであり全ての図で同一である。真の外部入力がf1とa2であるため、応答加速度αのスペクトルには、ハイブリッド入力の伝達関数の共振(39.5、62.0、89.1[rad/s])に起因するピークと入力f1に起因するピーク(約17、30、75 [rad/s])及び入力a2に起因するピーク(50、約110[rad/s])が現れる。
(1) 力入力(f1, f2)による定式化に基づく寄与度(図14)
入力点12Aの影響は、外部入力f1のスペクトルを図11(A)に二点鎖線で示す伝達関数に掛け合わせたものになる。
入力点12Bの影響は、力応答f2のスペクトルを図11(B)に二点鎖線で示す伝達関数に掛け合わせたものになる。力応答f2のスペクトル形状は概ね応答加速度αと似たものとなるため(図13)、入力点12Bの影響は、応答加速度αのスペクトルピークに、力入力による定式化の伝達関数の共振ピークが重畳したような形状となっている。
(2) 加速度入力(a1, a2)による定式化に基づく寄与度(図15)
入力点12Aの影響は、加速度応答a1のスペクトルを図11(A)に一点鎖線で示す伝達関数に掛け合わせたものになる。加速度応答a1のスペクトル形状は概ね応答加速度αと似たものとなるため(図13)、入力点12Aの影響は、応答加速度αのスペクトルピークに、加速度入力による定式化の伝達関数の共振ピークが重畳したような形状となっている。
入力点12Bの影響は、外部入力a2のスペクトルを図11(B)に一点鎖線で示す伝達関数に掛け合わせたものになる。
図15の符号c1で示す24.2 [rad/s] 近傍では入力点12A、入力点12Bに大きな寄与度が現れるが、これらは反対位相の成分となり相殺され、応答加速度αには現れない。また、a1の寄与度が全周波数領域で支配的となっている。これは、図10においてa1とαは同じy方向だが、a2はαと直交しているためと思われる。
(3) ハイブリッド入力1(f1, a2)による定式化に基づく寄与度(図16)
入力点12Aの影響は、外部入力f1のスペクトルを図11(A)に実線で示す伝達関数に掛け合わせたものになる。
入力点12Bの影響は、外部入力a2のスペクトルを図11(B)に実線で示す伝達関数に掛け合わせたものになる。
加えた入力がハイブリッド入力そのものであるため、素直な寄与度分解となっている。
(4) ハイブリッド入力2(a1, f2)による定式化に基づく寄与度(図17)
入力点12Bの影響は、外部入力a1のスペクトルを図11(A)に破線で示す伝達関数に掛け合わせたものになる。
入力点12Aの影響は、外部入力f2のスペクトルを図11(B)に破線で示す伝達関数に掛け合わせたものになる。
加速度応答a1と、力応答f2のスペクトル形状は、おおむね応答αと似たものになるため、入力点12A,12Bの栄光は、応答痾のスペクトルピークに、ハイブリッド入力2の定式化の伝達関数の共振ピークが重畳したような形状となっている。
図14(B)と図17(B)より、同じf2の寄与度でも定式化により違いが生ずることが判る。また、図15(A)と図17(A)より、同じa1の寄与度でも定式化により違いがあることが判る。これらの相違は、図11に示す伝達関数の差に起因する。
したがって、加速度a1のコントロールと力f2のコントロールを想定する場合に、加速度ベース手法で加速度a1を低減したときの効果を見積もり、また力ベース手法で力f2を低減したときの効果を見積もっても、加速度a1と力f2を同時にコントロールするときの効果を予測することはできない。むしろ、単独では効果があると思われた改善策が組み合わさることによって悪い結果を招くことすらある。
今、力ベース手法(外部入力を力f1と力f2と捉える)でf2→f2*0.3(力f1は不変)とした場合のαのスペクトルを図18の破線に示す。太線の破線はオリジナルのαのスペクトルである。この場合力f2が支配的な周波数でαのレベルが低減されているのがわかる。
次に、加速度ベース手法(外部入力を加速度a1と加速度a2と捉える)でa1→a1*0.8(加速度a2は不変)とした場合のαのスペクトルを図18の一点鎖線に示す。この場合加速度a1が支配的な周波数でαのレベルが低減されているのがわかる。
そこで、加速度a1と力f2をコントロールして、a1→a1*0.8に低減、f2→f2*0.3に低減した場合のαのスペクトルをハイブリッド入力手法(外部入力を加速度a1と力f2と捉える)で求めた結果を図18の実線に示す。
力ベース手法で期待される効果と加速度ベース手法で期待される効果ほどには効果が得られていないことが判る。特に40[rad/s]では、単独では大きな低減効果が予想されるにも拘らず、二つの対策を組み合わせることによりαのレベルの増大を招いている。
このように、想定する対策に応じて入力を選定しないと結果を予測することはできない。
上述したように本実施形態では、加速度ベース伝達経路解析の理論的妥当性について、弾性体の振動を対象に考察し以下の結論を説明した。応答を音とする場合も基本的な考え方は同様である。
(1) 加速度ベース手法は、力入力点そのものの加速度を強制加速度入力と捉えることにより、力ベース手法と同等の、伝達関数をベースとした手法とみなせることを確認した。
(2) 力ベース手法と加速度ベース手法で算出される寄与度が一般に異なることを示し、以下のように、その解釈を明確化した。
・力入力を低減する対策を想定→力ベース手法
・加速度入力を低減する対策を想定→加速度ベース手法
(3) 上記の解釈を踏まえて、入力として力と加速度を混在させるハイブリッド入力手法を提案した。
(4) 入力の選び方により伝達関数の共振周波数が異なるメカニズムについて考察し、寄与度のピークの定性的性質について明確化した。
(5) 簡易なシミュレーションで、定式化による寄与度の違いについて確認した。
10 構造体
12 入力点
14 評価点
16 受動部
18 入力部
20 データ入力部
22 伝達関数記憶部
24 フーリエ変換部
26 寄与度算出部
28 応答算出部
40 エンジン
42 エンジンマウント
44A、44B ロアアーム
46A、46B ストラット
48A、48B サスペンション
50A、50B 駆動輪
52 マフラ取付点
54 マフラ
P、P(ω) 力入力伝達関数
Q、Q(ω) 加速度入力伝達関数
α 応答
C 寄与度
Cpi、Ci(ω;t) 力入力寄与度
Cqj、Cj(ω;t) 加速度入力寄与度
f、ff 力入力
a、aa 加速度入力

Claims (9)

  1. 構造体の入力点で伝達される物理量を力入力又は加速度入力と設定する入力設定工程と、
    前記力入力の複数の前記入力点から前記構造体の評価点の応答までの力入力伝達関数と、前記加速度入力の複数の前記入力点から前記評価点の前記応答までの加速度入力伝達関数とを算出する関数算出工程と、
    前記構造体の力入力値及び前記力入力伝達関数に基づいて当該力入力の前記応答への力入力寄与度を算出すると共に、加速度入力値及び前記加速度入力伝達関数に基づいて当該加速度入力の前記応答への加速度入力寄与度を算出する寄与度算出工程と、
    を備えたことを特徴とする寄与度解析方法。
  2. 前記寄与度算出工程が、前記力又は加速度の対策後の前記力入力値又は前記加速度入力値と、対策前の前記力入力伝達関数及び前記加速度入力伝達関数とに基づいて、当該対策後の力入力寄与度及び前記加速度入力寄与度を算出する工程を備えた、
    ことを特徴とする請求項1記載の寄与度解析方法。
  3. 前記入力設定工程が、力の対策が可能な前記入力点については前記力入力とする設定を促すと共に、加速度の対策が可能な前記入力点については前記加速度入力とする設定を促す工程を備えた、
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の寄与度解析方法。
  4. 前記関数算出工程が、
    前記力入力の力と、前記加速度入力に対応する力とを入力とする伝達関数行列であって、前記加速度入力の加速度と、前記力入力に対応する加速度と、前記評価点の前記応答とを出力とするイナータンス行列を前提として、
    当該イナータンス行列を展開することで、前記力入力伝達関数及び前記加速度入力伝達関数を算出する、
    ことを特徴とする請求項1,2又は3記載の寄与度解析方法。
  5. 前記関数算出工程が、
    前記力入力及び加速度入力を入力として与えて応答を測定すると共に、当該入力と応答のクロススペクトルに基づいて前記力入力伝達関数及び前記加速度入力伝達関数を算出する、
    ことを特徴とする請求項1,2又は3記載の寄与度解析方法。
  6. 前記寄与度算出工程が、
    前記力入力の周波数スペクトルと、前記加速度入力の周波数スペクトルとを算出する工程と、
    前記力入力伝達関数と前記力入力の前記周波数スペクトルとに基づいて前記力入力寄与度を算出する工程と、
    前記加速度入力伝達関数と前記加速度入力の前記周波数スペクトルとに基づいて前記加速度入力寄与度を算出する工程と、
    前記力入力寄与度と前記加速度入力寄与度とを加算することで前記評価点の前記応答を算出する工程と、を備えた、
    ことを特徴とする請求項1,2,3,4又は5記載の寄与度解析方法。
  7. コンピュータを用いて請求項1,2,3,4,5又は6記載の方法を実行するための寄与度解析用プログラム。
  8. 構造体の入力点で伝達される物理量として予め設定された力入力又は加速度入力に応じて、当該力入力に設定された前記入力点については当該構造体の実稼働での力入力値を推定又は測定すると共に、当該加速度入力に設定された前記入力点については加速度入力値を測定するデータ入力部と、
    前記力入力の複数の前記入力点から前記構造体の評価点の応答までの力入力伝達関数と、前記加速度入力の複数の前記入力点から前記評価点の前記応答までの加速度入力伝達関数とを予め記憶した伝達関数記憶部と、
    前記構造体の実稼働時の力入力値及び前記力入力伝達関数に基づいて当該力入力の前記応答への力入力寄与度を算出すると共に、加速度入力値及び前記加速度入力伝達関数に基づいて当該加速度入力の前記応答への加速度入力寄与度を算出する寄与度算出部と、
    を備えたことを特徴とする寄与度解析装置。
  9. 構造体の実稼働時の力入力値及び加速度入力値を推定又は測定するデータ入力部と、
    力の対策が可能な入力点への力入力から評価点での応答への力入力伝達関数と、加速度の対策が可能な入力点への加速度入力から前記応答への加速度入力伝達関数とを予め記憶した伝達関数記憶部と、
    前記力入力の周波数スペクトルと、前記加速度入力の周波数スペクトルとを算出するフーリエ変換部と、
    前記力入力伝達関数と前記力入力の前記周波数スペクトルとに基づいて前記力入力寄与度を算出すると共に、前記加速度入力伝達関数と前記加速度入力の前記周波数スペクトルとに基づいて前記加速度入力寄与度を算出する寄与度算出部と、
    前記力入力寄与度と前記加速度入力寄与度とを加算することで前記評価点の応答を算出する応答算出部と、
    を備えたことを特徴とする寄与度解析装置。
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