JP5282220B2 - 開環メタセシス重合触媒および開環メタセシス重合体の製造方法 - Google Patents

開環メタセシス重合触媒および開環メタセシス重合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、新規な開環メタセシス重合触媒および該重合触媒を用いて環状オレフィン類を開環重合させる開環メタセシス重合体の製造方法に関する。
環状オレフィン類を開環メタセシス重合する触媒としては塩化タングステン、酸化塩化タングステン、塩化モリブデン、塩化チタン、または塩化バナジウムなどの周期律表第4〜8族の遷移金属化合物と有機アルミニウムや有機スズ等のようなルイス酸等の助触媒(または共触媒)との組み合わせからなる触媒系等が知られている(非特許文献1参照)。しかしながら、これらの触媒系では重合物がゲル化を起こすなどの問題が生じる場合がある。また触媒活性も十分に高いとはいえない。
一方、近年、これら従来の開環メタセシス重合触媒とは異なり、環状オレフィン類を上述の助触媒を必要とせずに開環メタセシス重合するタングステン、またはモリブデンのアルキリデン錯体が報告されている(非特許文献2参照)。これらの錯体触媒では重合反応の制御が可能であり、また上述の周期律表第4〜8族の遷移金属化合物とルイス酸等の助触媒を組み合わせた触媒に比べ高い触媒活性を有しているなどの特徴を有している。しかしながら、これらの錯体触媒は合成が容易でないなどの問題がある。
また、近年、従来の開環メタセシス重合触媒とは異なるバナジウム錯体触媒による開環メタセシス重合が報告されており、例えばアリールイミド配位子およびアリールオキソ配位子の両方を持つバナジウム錯体(特許文献1参照)や、アリールイミド配位子およびケチミド配位子の両方を持つバナジウム錯体(非特許文献3参照)による開環メタセシス重合が報告されている。これらの錯体触媒はいずれも合成原料に安価なオキシ塩化バナジウム(VOCl)や配位子前駆体を使用しており、上記タングステン、またはモリブデンのアルキリデン錯体よりも簡便で安価に製造できる。しかしながら、いずれの場合もオキシ塩化バナジウムの酸素原子が窒素原子に置換された構造(V=N−R、Rはアルキル基、アリール基を表す)が必須であり、オキシ塩化バナジウムの酸素原子を他の置換基に変換することなくそのまま触媒構造に利用できるならば、触媒合成方法がより簡便になることからより工業的に有利な触媒となり得る。またアリールイミド配位子およびアリールオキソ配位子の両方を持つバナジウム錯体による開環メタセシス重合は触媒活性が非常に低いという欠点があった。
Ivin,K.、J.Olefin Metathesis;Academic:New York,1983. Acc.Chem.Res.、158−165頁、23巻、1990年 Organometallics、2248−2250頁、24巻、2005年 特開2002−53647号公報
上記の通り、触媒活性が十分に高く、かつ工業的に簡便で安価に製造できる開環メタセシス重合触媒は未だ見出させていないことから、本発明の課題は、その触媒活性が十分に高く、かつ工業的に簡便で安価に製造できる開環メタセシス重合触媒を提供し、さらに該重合触媒を用いた開環メタセシス重合体の製造方法を提供することにある。
本願発明者らは上記課題を達成するため鋭意検討した結果、特定の構造を有する周期律表第5族遷移金属錯体が極めて優れた開環メタセシス重合触媒となることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下の[1]〜[7]より提供される。
[1] (A3)下記一般式(3)で表される遷移金属ハロゲン錯体と、(B)アルキルマグネシウムハライド類とを含む開環メタセシス重合触媒である。
Figure 0005282220

(式中、Mは周期律表第5族の遷移金属を表す。X 、X は互に独立してフッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を表す。Yは下記一般式(a)で表されるアルキルオキシ、またはアリールオキシ基、または下記一般式(b)で表わされるケチミド基を表す。
−OR (a)
−N=CR (b)
式(a)において、R は炭素原子数1〜20のアルキル、またはアリール基を表す。式(b)において、R およびR は互いに独立して炭素原子数1〜20のアルキル、またはアリール基を表し、また、R 、R は互に結合していてもよい。)
[2] さらに、(C)ホスフィン類を含む[1]に記載の開環メタセシス重合触媒である。
[3] [1]または[2]に記載の開環メタセシス重合触媒を用いた開環メタセシス重合体の製造方法において、形成される開環メタセシス重合触媒が、
(A2)下記一般式(2)で表される遷移金属アルキル錯体を含む開環メタセシス重合触媒である開環メタセシス重合体の製造方法である。
Figure 0005282220

(式中、Mは周期律表第5族の遷移金属を表す。RおよびRは互に独立して水素、炭素原子数1〜20のアルキル、アリール、またはアルキルシリル基を表し、また、R、Rは互に結合していてもよい。Rは水素、炭素原子数1〜20のアルキル、またはアリール基を表す。Yは下記一般式(a)で表されるアルキルオキシ、またはアリールオキシ基、または下記一般式(b)で表わされるケチミド基を表す。
−OR (a)
−N=CR (b)
式(a)において、Rは炭素原子数1〜20のアルキル、またはアリール基を表す。式(b)において、RおよびRは互いに独立して炭素原子数1〜20のアルキル、またはアリール基を表し、また、R、Rは互に結合していてもよい。)
[4] [1]に記載の開環メタセシス重合触媒を用いた開環メタセシス重合体の製造方法において、重合反応の条件下で、さらに形成される開環メタセシス重合触媒が、
(A1)下記一般式(1)で表される遷移金属アルキリデン錯体を含む開環メタセシス重合触媒である開環メタセシス重合体の製造方法である。
Figure 0005282220

(式中、Mは周期律表第5族の遷移金属を表す。R およびR は互に独立して水素、炭素原子数1〜20のアルキル、アリール、またはアルキルシリル基を表し、また、R 、R は互に結合していてもよい。Yは下記一般式(a)で表されるアルキルオキシ、またはアリールオキシ基、または下記一般式(b)で表わされるケチミド基を表す。
−OR (a)
−N=CR (b)
式(a)において、R は炭素原子数1〜20のアルキル、またはアリール基を表す。式(b)において、R およびR は互いに独立して炭素原子数1〜20のアルキル、またはアリール基を表し、また、R 、R は互に結合していてもよい。)
[5] [2]に記載の開環メタセシス重合触媒を用いた開環メタセシス重合体の製造方法において、重合反応の条件下で、さらに形成される開環メタセシス重合触媒が、
(A4)下記一般式(4)で表される遷移金属アルキリデン錯体を含む開環メタセシス重合触媒である開環メタセシス重合体の製造方法である。
Figure 0005282220

(式中、Mは周期律表第5族の遷移金属を表す。RおよびRは互に独立して水素、炭素原子数1〜20のアルキル、アリール、またはアルキルシリル基を表し、また、R、Rは互に結合していてもよい。Eはアミン、ピリジン、ホスフィン、エーテル、またはチオエーテルを含む電子供与性化合物からなる配位子を表す。Yは下記一般式(a)で表されるアルキルオキシ、またはアリールオキシ基、または下記一般式(b)で表わされるケチミド基を表す。
−OR (a)
−N=CR (b)
式(a)において、Rは炭素原子数1〜20のアルキル、またはアリール基を表す。式(b)において、RおよびRは互いに独立して炭素原子数1〜20のアルキル、またはアリール基を表し、また、R、Rは互に結合していてもよい。)
[6] 前記一般式(4)中のEがホスフィンを含む電子供与性化合物からなる配位子である開環メタセシス重合触媒である[5]に記載の開環メタセシス重合体の製造方法である。
[7] 前記一般式(3)中の遷移金属Mがバナジウムである[1]記載の開環メタセシス重合触媒である。
本発明によれば、その触媒活性が十分に高い開環メタセシス重合触媒を従来の方法に比べて工業的に簡便かつ安価に提供することができる。また、該重合触媒を用い、工業的に有利な開環メタセシス重合体の製造方法が提供される。
以下、本発明について具体的に説明する。
[1](A1)遷移金属アルキリデン錯体
本発明の(A1)一般式(1)で表される遷移金属アルキリデン錯体において、式中、Mは周期律表第5族の遷移金属であり、より具体的にはバナジウム、ニオブ、またはタンタルである。これらの周期律表第5族の遷移金属のうちバナジウムが好ましい。
Figure 0005282220
また、一般式(1)中のR、Rは互に独立して水素、炭素原子数1〜20のアルキル、アリール、またはアルキルシリル基であり、また、これらの一部がハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、またはケイ素原子で置換されていてもよい。また、R、Rは互に結合していてもよい。
およびRにおけるアルキル基の例としては、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ヘキシル等の直鎖または分岐状アルキル基、シクロヘキシル、アダマンチル等の脂環式アルキル基、フェニルメチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル等のアリール基が置換したアルキル基、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリス(トリフルオロメチル)メチル、2,2,2−トリクロロエチル等のハロゲン原子が置換したアルキル基、メトキシメチル、メトキシエチル等の酸素原子を含む置換基を有するアルキル基、ジメチルアミノメチル、ジエチルアミノメチル等の窒素原子を含む置換基を有するアルキル基、トリメチルシリルメチル、トリエチルシリルメチル等のケイ素原子を含む置換基を有するアルキル基等を挙げることができる。
およびRにおけるアリール基の例としては、具体的には、フェニル基をはじめとし、2,6−ジメチルフェニル、2,6−ジイソプロピルフェニル、2,6−ジ−t−ブチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル、2、6−ジフェニルフェニル等のアルキル基またはアリール基が置換したアリール基、2,6−ジフルオロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、2,6−ビス(トリフルオロメチル)フェニル等のハロゲン原子が置換したアリール基、2,6−ジメトキシフェニル等の酸素原子を含む置換基を有するアリール基、4−ジメチルアミノフェニル等の窒素原子を含む置換基を有するアリール基、2,6−ビス(トリメチルシリル)フェニル等のケイ素原子を含む置換基を有するアリール基等を挙げることができる。
およびRにおけるアルキルシリル基の例としては、具体的には、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、t−ブチルジメチルシリル、トリ−t−ブチルシリル等のトリアルキルシリル基、ジメチルフェニルシリル、ジ−t−ブチルフェニルシリル等のジアルキルアリールシリル基、メチルジフェニルシリル、t−ブチルジフェニルシリル等のアルキルジアリールシリル基、トリフェニルシリル等のトリアリールシリル基等を挙げることができる。
、Rが互に結合している基としては、具体的には、例えば、エチレン、ブチレン、ペンチレン、へキシレン、メチレン−1,2−フェニレン−メチレン等を挙げることができる。
、Rとしては、これらの水素、炭素原子数1〜20のアルキル、アリール、またはアルキルシリル基のうち、水素、炭素原子数1〜20のアルキルまたはアルキルシリル基が好ましく、水素または炭素原子数1〜20のアルキル基がより好ましい。
一般式(1)中のYは下記一般式(a)で表されるアルキルオキシ、またはアリールオキシ基、または下記一般式(b)で表されるケチミド基を表す。
−OR (a)
−N=CR (b)
一般式(a)において、Rは炭素原子数1〜20のアルキル、またはアリール基であり、またこれらの一部がハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、またはケイ素原子で置換されていてもよい。アルキル、またはアリール基の具体例としては、一般式(1)中のRおよびRの具体例として例示したアルキルまたはアリール基と同様の基を挙げることができる。Rとしては、これらのアルキルまたはアリール基のうち、アリール基が好ましい。
また、一般式(b)において、RおよびRは互いに独立して炭素原子1〜20のアルキル、またはアリール基を表し、また、R、Rは互いに結合していてもよい。またこれらの一部がハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、またはケイ素原子で置換されていてもよい。これらの基の具体例としては、一般式(1)中のRおよびRの具体例として例示したアルキル、アリールおよびR、Rが互に結合している基と同様の基を挙げることができる。RおよびRとしては、これらの基のうち、アルキル基またはアリール基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
一般式(1)で表される具体的な遷移金属アルキリデン錯体としては、例えば、VO(CHSiMe)(O−2,6−Pr−C)、VO(CHSiMe)(O−2,6−Me−C)、VO(CHSiMe)(O−2,6−Bu−C)、VO(CHSiMe)(N=CBu)、およびVO(CH)(N=CBu)等が挙げられる。さらに、これらの化合物の中心金属Mがバナジウムから、ニオブまたはタンタルに置換された化合物も具体例として例示することができる。
[2](A2)遷移金属アルキル錯体
本発明の(A2)一般式(2)で表される遷移金属アルキル錯体において、式中、Mは周期律表第5族の遷移金属であり、より具体的にはバナジウム、ニオブ、またはタンタルである。これらの周期律表第5族の遷移金属のうちバナジウムが好ましい。
Figure 0005282220
また、一般式(2)中のR、Rは互に独立して水素、炭素原子数1〜20のアルキル、アリール、またはアルキルシリル基であり、また、これらの一部がハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、またはケイ素原子で置換されていてもよい。また、R、Rは互に結合していてもよい。アルキル、アリール、アルキルシリル、R、Rが互に結合している基の具体例としては、一般式(1)中のRおよびRの具体例として例示したアルキル、アリール、アルキルシリル、およびR、Rが互に結合している基と同様の基を挙げることができる。
一般式(2)中のR、Rとしては、これらの水素、炭素原子数1〜20のアルキル、アリール、アルキルシリル、またはR、Rが互いに結合している基のうち、水素、炭素原子数1〜20のアルキル、またはアルキルシリル基が好ましく、水素または炭素原子数1〜20のアルキル基がより好ましい。
一般式(2)中のRは水素、炭素原子数1〜20のアルキル、またはアリール基である。また、これらの一部がハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、またはケイ素原子で置換されていてもよい。アルキル、またはアリール基の具体例としては、一般式(1)中のRおよびRの具体例として例示したアルキル、またはアリール基と同様の基を挙げることができる。
としては、これらの水素、炭素原子数1〜20のアルキルまたはアリール基のうち、炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましい。
一般式(2)中のYは一般式(1)中におけるYと同義であり、下記一般式(a)で表されるアルキルオキシまたはアリールオキシ基、または下記一般式(b)で表されるケチミド基を表す。
−OR (a)
−N=CR (b)
一般式(2)中の一般式(a)におけるR、および一般式(b)におけるR、Rの具体例および好ましい基としては、それぞれ一般式(1)中の一般式(a)におけるR、および一般式(b)におけるR、Rの具体例および好ましい基として挙げた基と同様の基が挙げられる。
一般式(2)で表される具体的な遷移金属アルキル錯体としては、例えば、VO(CHSiMe(O−2,6−Pr−C)、VO(CHSiMe(O−2,6−Me−C)、VO(CH(O−2,6−Bu−C)、VO(CHPh)(N=CBu)、VO(CH(N=CBu)、およびVO(Bu)(N=CBu)等が挙げられる。さらに、これらの化合物の中心金属Mがバナジウムから、ニオブまたはタンタルに置換された化合物も具体例として例示することができる。
[3](A3)遷移金属ハロゲン錯体
本発明の(A3)一般式(3)で表される遷移金属ハロゲン錯体において、式中、Mは周期律表第5族の遷移金属であり、より具体的にはバナジウム、ニオブ、またはタンタルである。これらの周期律表第5族の遷移金属のうちバナジウムが好ましい。
Figure 0005282220
一般式(3)中のX,Xは互いに独立してフッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を表す。これらのうち塩素原子が好ましい。また、一般式(3)中のYは一般式(1)中におけるYと同義であり、下記一般式(a)で表されるアルキルオキシ、またはアリールオキシ基、または下記一般式(b)で表されるケチミド基を表す。
−OR (a)
−N=CR (b)
一般式(3)中の一般式(a)におけるR、および一般式(b)におけるR、Rの具体例および好ましい基としては、それぞれ一般式(1)中の一般式(a)におけるR、および一般式(b)におけるR、Rの具体例および好ましい基として挙げた基と同様の基が挙げられる。
一般式(3)で表される具体的な遷移金属ハロゲン錯体としては、例えば、VOCl(O−2,6−Pr−C)、VOCl(O−2,6−Me−C)、VOCl(O−2,6−Bu−C)、VOCl(O−2,6−Bu−4−Me−C)、VOCl(N=CBu)、およびVOBr(N=CBu)等が挙げられる。さらに、これらの化合物の中心金属Mがバナジウムから、ニオブまたはタンタルに置換された化合物も具体例として例示することができる。
[4](A4)遷移金属アルキリデン錯体
本発明において、(A1)一般式(1)で表される遷移金属アルキリデン錯体にアミン、ピリジン、ホスフィン、エーテル、またはチオエーテルを含む電子供与性化合物からなる配位子がさらに配位した、(A4)一般式(4)で表される遷移金属アルキリデン錯体を含む開環メタセシス重合触媒は好ましい。
本発明の(A4)一般式(4)で表される遷移金属アルキリデン錯体において、式中、Mは周期律表第5族の遷移金属であり、より具体的にはバナジウム、ニオブ、またはタンタルである。これらの周期律表第5族の遷移金属のうちバナジウムが好ましい。
Figure 0005282220
一般式(4)中のR、Rは一般式(1)中のR、Rと同義であり、その具体例および好ましい基としては、それぞれ一般式(1)中のR、Rの具体例および好ましい基として挙げた基と同様の基が挙げられる。
また、一般式(4)中のYは一般式(1)中におけるYと同義であり、下記一般式(a)で表されるアルキルオキシ、またはアリールオキシ基、または下記一般式(b)で表されるケチミド基を表す。
−OR (a)
−N=CR (b)
一般式(4)中の一般式(a)におけるR、および一般式(b)におけるR、Rの具体例および好ましい基としては、それぞれ一般式(1)中の一般式(a)におけるR、および一般式(b)におけるR、Rの具体例および好ましい基として挙げた基と同様の基が挙げられる。
さらに、一般式(4)中のEはアミン、ピリジン、ホスフィン、エーテル、またはチオエーテルを含む電子供与性化合物からなる配位子である。これらは孤立電子対を有する配位性化合物であり、これらが上記遷移金属Mに配位することにより、触媒が安定化される。さらに、上記Eが配位した本発明の触媒は配位しない触媒と比較して触媒活性が高くなる。
アミンを含む電子供与性化合物からなる配位子としては、具体的には、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等のアルキルアミン類、N,N−ジメチルアニリン、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリン等のアルキルアリールアミン類、トリフェニルアミン等のアリールアミン類、1−メチルピペリジン等の環状アミン類、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、1,4−ジメチルピペラジン等の多価アミン類等が挙げられる。
ピリジンを含む電子供与性化合物からなる配位子としては、具体的には、ピリジンをはじめとし、例えば、2,6−ジメチルピリジン、2,4−ジメチルピリジン、2,6−ジ−t−ブチルピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン等の置換ピリジン類、ビピリジン等の多価ピリジン類等が挙げられる。
ホスフィンを含む電子供与性化合物からなる配位子としては、具体的には、例えば、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−t−ブチルホスフィン、トリ−n−ヘキシルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等のアルキルまたは脂環式アルキルホスフィン類、トリフェニルホスフィン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ホスフィン等の置換または無置換アリールホスフィン類、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン等の多価ホスフィン類等が挙げられる。
エーテルを含む電子供与性化合物からなる配位子としては、具体的には、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のジアルキルエーテル類、メチルフェニルエーテル等のアルキルアリールエーテル類、ジフェニルエーテル等のジアリールエーテル類、テトラヒドロフラン等の環状エーテル類、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等の多価エーテル類等が挙げられる。
チオエーテルを含む電子供与性化合物からなる配位子としては、具体的には、例えば、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、ジブチルスルフィド等のジアルキルスルフィド類、メチルフェニルスルフィド等のアルキルアリールスルフィド類、ジフェニルスルフィド等のジアリールスルフィド類、テトラヒドロチオフェン、チオフェン等の環状スルフィド類等が挙げられる。
これらの電子供与性化合物からなる配位子は単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらのアミン、ピリジン、ホスフィン、エーテル、またはチオエーテルを含む電子供与性化合物からなる配位子のうち、アミン、ピリジン、またはホスフィンを含む電子供与性化合物からなる配位子が好ましく、ホスフィンを含む電子供与性化合物からなる配位子がより好ましい。
一般式(4)で表される具体的な遷移金属アルキリデン錯体としては、例えば、VO(CHSiMe)(O−2,6−Pr−C)(PMe)、VO(CHSiMe)(O−2,6−Me−C)(PMe)、VO(CHSiMe)(O−2,6−Bu−C)(PMe)、VO(CHSiMe)(N=CBu)(PBu)、およびVO(CH)(N=CBu)(PMe)等が挙げられる。さらに、これらの化合物の中心金属Mがバナジウムから、ニオブまたはタンタルに置換された化合物も具体例として例示することができる。
[5](B)アルキル金属化合物
本発明の(A3)一般式(3)で表される遷移金属ハロゲン錯体と共に用いられる(B)アルキル金属化合物の金属としては、周期律表第1族の金属、具体的にはリチウム、ナトリウム等、または周期律表第2族の金属、具体的にはマグネシウム等、または周期律表第12族の金属、具体的には亜鉛等、または周期律表第13族の金属、具体的にはアルミニウム等、または周期律表第14族の金属、具体的にはスズ等が挙げられる。アルキル金属化合物中のアルキル基は直鎖状でも、分岐状でも、環状でもよいが、金属に隣接する炭素原子上に少なくとも一つの水素原子が結合している必要がある。またアルキル基にアリール基、またはハロゲン原子が置換していてもよい。さらに、アルキル基の一部がハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、またはケイ素原子で置換されていてもよい。これらのアルキル金属化合物は単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのアルキル金属化合物としては、具体的には、例えば、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、イソブチルリチウム、ベンジルリチウム、(トリメチルシリル)メチルリチウム等のアルキルリチウム類、n−ブチルナトリウム、ベンジルナトリウム等のアルキルナトリウム類、メチルマグネシウムクロライド、メチルマグネシウムブロマイド、エチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムブロマイド、フェニルメチルマグネシウムクロライド、フェニルメチルマグネシウムブロマイド、ネオペンチルマグネシウムクロライド、ネオペンチルマグネシウムブロマイド等のアルキルマグネシウムハライド類、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム等のジアルキルマグネシウム類、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛等のジアルキル亜鉛類、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム類、テトラメチルチン、テトラブチルチン等のテトラアルキルスズ類等が挙げられる。これらのアルキル金属化合物のうち、アルキルリチウム類、アルキルマグネシウムハライド類、トリアルキルアルミニウム類、テトラアルキルスズ類が好ましく、アルキルマグネシウムハライド類、トリアルキルアルミニウム類がより好ましい。
[6]成分(C)
本発明において、(A2)一般式(2)で表される遷移金属アルキル錯体に加えて、または(A3)一般式(3)で表される遷移金属ハロゲン錯体と、(B)アルキル金属化合物に加えて、さらに(C)アミン類、ピリジン類、ホスフィン類、エーテル類、およびチオエーテル類から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む開環メタセシス触媒は好ましい。
本発明の(C)アミン類、ピリジン類、ホスフィン類、エーテル類、およびチオエーテル類から選ばれる少なくとも1種の化合物は、孤立電子対を有する配位性化合物であり、遷移金属アルキル錯体から生成する遷移金属アルキリデン錯体に電子供与性化合物からなる配位子Eとして配位できる特徴を有する。これらが生成した遷移金属アルキリデン錯体に配位することにより、触媒が安定化される。さらに、上記Eが配位した本発明の触媒は配位しない触媒と比較して触媒活性がより高い。
アミン類としては、具体的には、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等のアルキルアミン類、N,N−ジメチルアニリン、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリン等のアルキルアリールアミン類、トリフェニルアミン等のアリールアミン類、1−メチルピペリジン等の環状アミン類、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、1,4−ジメチルピペラジン等の多価アミン類等が挙げられる。
ピリジン類としては、具体的には、ピリジンをはじめとし、例えば、2,6−ジメチルピリジン、2,4−ジメチルピリジン、2,6−ジ−t−ブチルピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン等の置換ピリジン類、ビピリジン等の多価ピリジン類等が挙げられる。
ホスフィン類としては、具体的には、例えば、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−t−ブチルホスフィン、トリ−n−ヘキシルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等のアルキルまたは脂環式アルキルホスフィン類、トリフェニルホスフィン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ホスフィン等の置換または無置換アリールホスフィン類、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン等の多価ホスフィン類等が挙げられる。
エーテル類としては、具体的には、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のジアルキルエーテル類、メチルフェニルエーテル等のアルキルアリールエーテル類、ジフェニルエーテル等のジアリールエーテル類、テトラヒドロフラン等の環状エーテル類、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等の多価エーテル類等が挙げられる。
チオエーテル類としては、具体的には、例えば、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、ジブチルスルフィド等のジアルキルスルフィド類、メチルフェニルスルフィド等のアルキルアリールスルフィド類、ジフェニルスルフィド等のジアリールスルフィド類、テトラヒドロチオフェン、チオフェン等の環状スルフィド類等が挙げられる。
これらのアミン類、ピリジン類、ホスフィン類、エーテル類、またはチオエーテル類のうち、アミン類、ピリジン類、ホスフィン類が好ましく、ホスフィン類がより好ましい。
[7](A1)遷移金属アルキリデン錯体の調製
本発明の(A1)一般式(1)で表わされる遷移金属アルキリデン錯体の調製方法は特に制限はないが、(A2)一般式(2)で表される遷移金属アルキル錯体から調製でき、もしくは(A3)一般式(3)で表される遷移金属ハロゲン錯体と(B)アルキル金属化合物とを混合して調製することもできる。このときの調製温度は用いる錯体の種類により異なるが、通常0〜150℃であり、好ましくは50〜100℃である。また、調製時間は0.1〜50時間程度が好ましい。
本発明の(A3)一般式(3)で表される遷移金属ハロゲン錯体と、(B)アルキル金属化合物とを含むことを特徴とする開環メタセシス重合触媒において、(A3)および(B)は、(A3)/(B)で表わされるモル比が通常、2/1〜1/100で混合され、好ましくは1/1〜1/50、より好ましくは1/1〜1/10で混合される。(A3)/(B)の比が上記範囲内であると良好な触媒活性の実現を達成することができる。
[8](A2)遷移金属アルキル錯体の調製
本発明の(A2)一般式(2)で表される遷移金属アルキル錯体と、(C)アミン類、ピリジン類、ホスフィン類、エーテル類、およびチオエーテル類から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含むことを特徴とする開環メタセシス重合触媒において、(A2)/(C)で表わされるモル比は通常、100/1〜1/1000であり、好ましくは10/1〜1/100であり、より好ましくは5/1〜1/50である。(A2)/(C)の比が上記範囲内であると良好な触媒活性の実現を達成することができる。
[9](A3)遷移金属ハロゲン錯体の調製
本発明の(A3)一般式(3)で表される遷移金属ハロゲン錯体と、(B)アルキル金属化合物と、(C)アミン類、ピリジン類、ホスフィン類、エーテル類、およびチオエーテル類から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含むことを特徴とする開環メタセシス重合触媒において、(A3)および(C)は、(A3)/(C)で表わされるモル比が通常、100/1〜1/1000で混合され、好ましくは10/1〜1/100、より好ましくは5/1〜1/50で混合される。(A3)/(C)の比が上記範囲内であると良好な触媒活性の実現を達成することができる。
また、(A3)および(B)は、(A3)/(B)で表わされるモル比が通常、2/1〜1/100で混合され、好ましくは1/1〜1/50、より好ましくは1/1〜1/10で混合される。(A3)/(B)の比が上記範囲内であると良好な触媒活性の実現を達成することができる。
[10](A4)遷移金属アルキリデン錯体の調製
本発明の(A4)一般式(4)で表わされる遷移金属アルキリデン錯体の調製方法は特に制限はないが、(A2)一般式(2)で表される遷移金属アルキル錯体と、(C)アミン類、ピリジン類、ホスフィン類、エーテル類、およびチオエーテル類から選ばれる少なくとも1種の化合物とを混合、もしくは(A3)一般式(3)で表される遷移金属ハロゲン錯体と、(B)アルキル金属化合物と、(C)アミン類、ピリジン類、ホスフィン類、エーテル類、およびチオエーテル類から選ばれる少なくとも1種の化合物とを混合して、調製することもできる。このときの調製温度は0〜150℃であり、好ましくは20〜100℃である。また、調製時間は0.1〜50時間程度が好ましい。
[11]重合触媒としての使用
本発明の重合触媒は、(A1)一般式(1)で表される遷移金属アルキリデン錯体であってもよいし、または、重合の際に(A2)一般式(2)で表される遷移金属アルキル錯体を用いてもよく、もしくは(A3)一般式(3)で表される遷移金属ハロゲン錯体および(B)アルキル金属化合物との混合物を用いてもよい。
ここで、(A2)一般式(2)で表される遷移金属アルキル錯体を前駆体として重合に用いた場合、重合反応の条件下で(A1)一般式(1)に相当する触媒が形成されると考えられる。また、同様に、(A3)一般式(3)で表される遷移金属ハロゲン錯体および(B)アルキル金属化合物との混合物を前駆体として重合に用いた場合、(A2)一般式(2)で表される遷移金属アルキル錯体の生成を経て、重合反応の条件下で(A1)一般式(1)に相当する触媒が形成されると考えられる。
また、本発明の重合触媒は、配位性化合物である(C)アミン類、ピリジン類、ホスフィン類、エーテル類、またはチオエーテル類をあらかじめ配位させた(A4)一般式(4)で表される遷移金属アルキリデン錯体であってもよいし、または、重合の際に、(A1)一般式(1)で表される遷移金属アルキリデン錯体または(A2)一般式(2)で表される遷移金属アルキル錯体と、少なくとも1種の上記配位性化合物(C)とを組み合わせて、もしくは(A3)一般式(3)で表される遷移金属ハロゲン錯体、少なくとも1種の上記配位性化合物(C)およびアルキル金属化合物とを組み合わせてモノマーと一緒に重合系に加えられる混合物の形態であってもよい。
ここで、(C)アミン類、ピリジン類、ホスフィン類、エーテル類、およびチオエーテル類から選ばれる少なくとも1種の化合物は、(A1)一般式(1)で表される遷移金属アルキリデン錯体または(A2)一般式(2)で表される遷移金属アルキル錯体と混合して重合に用いた場合、重合反応の条件下で(A4)一般式(4)に相当する触媒が形成されると考えられる。また、同様に、上記(C)は(A3)一般式(3)で表される遷移金属ハロゲン錯体および(B)アルキル金属化合物と混合して用いた場合、(A2)一般式(2)で表わされる遷移金属アルキル錯体の生成を経て、重合反応の条件下で(A4)一般式(4)に相当する触媒が形成されると考えられる。
[12]環状オレフィン類の重合
本発明における開環メタセシス重合触媒を用いて開環重合させることのできる環状オレフィン類としては、環状構造を有するオレフィン類であれば特に制限はないが、通常は炭素原子数3〜40の単環式シクロアルケン類、単環式シクロアルカジエン類、多環式シクロアルケン類、多環式シクロアルカジエン類が挙げられる。さらにはこれらの環状オレフィン類が酸素原子、硫黄原子もしくは窒素原子を含む置換基、炭化水素基またはハロゲン原子を有していてもよい。
これらの置換基のうち、酸素原子を含む置換基としては、具体的には、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、例えばフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基などの置換または無置換フェノキシ基、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基、オキソ基(−O−基)などを挙げることができる。
硫黄原子を含む置換基としては、具体的には、例えばチオメトキシ基、チオブトキシ基などのチオアルコキシ基、例えばチオフェノキシ基、2−メチルチオフェノキシ基などの置換または無置換チオフェノキシ基、例えばメトキシチオカルボニル基などのチオアルコキシカルボニル基、スルフィド基(−S−基)などを挙げることができる。
窒素原子を含む置換基としては、具体的には、例えばメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などの炭素原子数1〜20のアルキルアミノ基、例えばジフェニルアミノ基などの置換または無置換アリールアミノ基、例えばアミノカルボニル基、N−メチルアミノカルボニル基などのN−置換または無置換アミノカルボニル基、シアノ基などを挙げることができる。
また、炭化水素基の具体例としては、一般式(1)中のRで表される炭素原子数1〜20のアルキル、アリールおよびアリールアルキル基の具体例として例示した基、およびビニル基、ビニリデン基などの不飽和炭化水素基を挙げることができる。
ハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
これらの置換基は、環状オレフィン類の水素原子の一部を置換していてもよいし、例えば式(5)で表される化合物のように環状オレフィン類の炭化水素基の一部を置換していてもよい。
Figure 0005282220
置換基を持たない単環式シクロアルケン類の具体例としては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテンなどが挙げられる。
置換基を持たない単環式シクロアルカジエン類の具体例としては、例えば、シクロブタジエン、1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,4−シクロヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエンなどが挙げられる。
置換基を持たない多環式シクロアルケン類としては、例えば、ノルボルネン、テトラシクロ[6.2.1.1/3,6.0/2.7]ドデカ−4−エンなどが挙げられる。
置換基を持たない多環式シクロアルカジエン類としては、例えば、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエンなどが挙げられる。
置換基を持つ単環式シクロアルケン類、単環式シクロアルカジエン類、多環式シクロアルケン類および多環式シクロアルカジエン類の具体例としては、例えば、上記の置換基を持たない単環式シクロアルケン類、単環式シクロアルカジエン類、多環式シクロアルケン類および多環式シクロアルカジエン類の具体例として挙げた化合物の水素原子または炭化水素基の一部が酸素原子、硫黄原子もしくは窒素原子を含む置換基、炭化水素基またはハロゲン原子に置換された化合物が挙げられ、より具体的には、例えば5−メトキシノルボルネン、5−カルボメトキシノルボルネンなどの酸素原子を含む置換基を有する環状オレフィン類、例えば5−チオメトキシノルボルネンなどの硫黄原子を含む置換基を有する環状オレフィン類、例えば5−シアノノルボルネンなどの窒素原子を含む置換基を有する環状オレフィン類、例えば7−メチルノルボルネン、5−ビニルノルボルネンなどの炭化水素基を有する環状オレフィン類、例えば5,5−ジクロロノルボルネンなどのハロゲン原子を有する環状オレフィン類が挙げられる。
本発明の重合触媒を用いた環状オレフィン類の開環重合においては、上記で例示した化合物の2種類またはそれ以上の混合物を共重合させることもできる。
さらに、連鎖移動により分子量を調整する目的で、鎖状オレフィン類の存在下に環状オレフィン類を開環重合させることもできる。この場合の鎖状オレフィンの具体例としては、例えば、α−オレフィン、ジエン、ケイ素含有オレフィン、芳香族ビニル化合物および(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。より具体的には、α−オレフィンとしては、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、ヘキセン、1−オクテン等が、ジエンとしては、例えばペンタジエン、ヘキサジエン、オクタジエン等が、ケイ素含有オレフィンとしては、例えばビニルトリメチルシラン、アリルトリメチルシラン、アリルトリエチルシラン等が、芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、ジビニルベンゼン等が、(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばメチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート等が挙げられる。
本発明の重合触媒を用いた環状オレフィン類の開環重合において、(A1)一般式(1)で表される遷移金属アルキリデン錯体、(A2)一般式(2)で表される遷移金属アルキル錯体、(A3)一般式(3)で表される遷移金属ハロゲン錯体、または(A4)一般式(4)で表される遷移金属アルキリデン錯体に対する環状オレフィン類の使用量は、モル比で10〜100,000であり、好ましくは50〜20,000である。
重合は無溶媒でも実施することができるが、溶媒を使用してもよい。使用する場合の溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン等の脂肪族環状炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒等が挙げられ、これらの2種類以上を混合使用してもよい。
本発明の重合触媒を用いた環状オレフィン類の開環重合の方法としては特に限定されず、回分式、半回分式または連続流通式のいずれでも構わない。重合反応で溶媒を使用する場合、環状オレフィン類の濃度は0.01から100mol/Lの範囲である。
本発明の(A1)一般式(1)で表わされる遷移金属アルキリデン錯体または(A4)一般式(4)で表される遷移金属アルキリデン錯体からなる開環メタセシス重合触媒を用いて重合反応を行う際の温度は、−30〜150℃の範囲であり、好ましくは0〜100℃の範囲である。
また、本発明の(A2)一般式(2)で表わされる遷移金属アルキル錯体、または(A2)一般式(2)で表わされる遷移金属アルキル錯体と、(C)アミン類、ピリジン類、ホスフィン類、エーテル類、およびチオエーテル類から選ばれる少なくとも1種の化合物からなる開環メタセシス重合触媒を用いて重合反応を行う際の温度は、0〜150℃の範囲であり、好ましくは20〜100℃の範囲である。
さらに、本発明の(A3)一般式(3)で表わされる遷移金属ハロゲン錯体と、(B)アルキル金属化合物からなる開環メタセシス重合触媒、または(A3)一般式(3)で表わされる遷移金属ハロゲン錯体と、(B)アルキル金属化合物と、(C)アミン類、ピリジン類、ホスフィン類、エーテル類、およびチオエーテル類から選ばれる少なくとも1種の化合物からなる開環メタセシス重合触媒を用いて重合反応を行う際の温度は、0〜150℃の範囲であり、好ましくは20〜100℃の範囲である。また、重合時間は0.1〜50時間の範囲である。重合反応の際の圧力は減圧、常圧または加圧のいずれでも実施できる。本発明の2種類以上の開環メタセシス重合触媒を組み合わせて重合を実施してもよい。さらに、重合反応を停止するためにアルデヒド類、ケトン類、アルコール類、水等を使用してもよい。
本発明における開環重合後のポリマーの分離方法としては、重合反応液をアルコール、水等の貧溶媒に加えてポリマーを沈殿させ、濾過、または遠心分離等によってポリマーを回収する方法等を挙げることができる。
以下の実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例において示されたポリマーの平均分子量については、得られた開環メタセシス重合体をテトラヒドロフラン中に溶解し、GPC検出器として島津製作所製SCL−10AおよびRID−10A、カラムとしてShimPAC GPC−806,804,および802を使用し、40℃にて流速1.0mL/分の条件で測定した。尚、測定値はポリスチレンスタンダードにて較正した値である。
[実施例A]VOCl(O−2,6−Bu−4−Me−C)の合成
グローブボックス内で、100ml容量のフラスコにVOClを0.867g(5.00mmol)量り取り、20mlのジエチルエーテルに溶解させた。この溶液を−20℃に冷却し、リチウム 2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド(1.13g、5.00mmol)を10mlのジエチルエーテルを用いてフラスコ内に添加した。室温で3時間攪拌した後、減圧下、ジエチルエーテルを留去した。残渣を20mlのヘキサンに溶解させ、不溶物をセライト濾過で取り除いた。濾液を濃縮し、−20℃でヘキサンから再結晶することでVOCl(O−2,6−Bu−4−Me−C)を0.24g(収率、14%)得た。このように本発明の遷移金属ハロゲン錯体はVOClから一段の反応で簡便に合成できる。
H−NMR(C):1.59(s,18H,C(CH),2.11(s,3H,Ar−CH),7.04(s,2H,Ar−H)
[実施例B]VOCl(N=CBu)の合成
グローブボックス内で、100ml容量のフラスコにVOClを0.867g(5.00mmol)量り取り、20mlのジエチルエーテルに溶解させた。この溶液を−20℃に冷却し、Li−N=CBu(0.74g、5.00mmol)を20mlのジエチルエーテルを用いてフラスコ内に添加した。室温で3時間攪拌した後、減圧下、ジエチルエーテルを留去した。残渣を20mlのヘキサンに溶解させ、不溶物をセライト濾過で取り除いた。濾液を濃縮し、−20℃でヘキサンから再結晶することでVOCl(N=CBu)を0.64g(収率、46%)得た。このように本発明の遷移金属ハロゲン錯体はVOClから一段の反応で簡便に合成できる。
H−NMR(C):0.83(s,18H,C(CH
[実施例1]
グローブボックス中で、5ml容量のサンプル瓶に実施例Aで合成したVOCl(O−2,6−Bu−4−Me−C)を7.1mg(19.9μmol)量り取り、2.0mlのトルエンに溶解させ、3.07M MeMgBrジエチルエーテル溶液(14.5μl、44.5μmol)、100mM PMeトルエン溶液(0.22ml、22.0μmol)を加えて重合触媒溶液(a)を調製した。
50mlの耐圧ガラス容器にノルボルネンを403.0mg(4.28mmol)量り取り、トルエン9.5mlに溶解させた後、上述の重合触媒溶液(a)0.48ml(バナジウム錯体として4.28μmol)を加え、80℃で1時間反応を行った。ベンズアルデヒド(10.4mg、0.098mmol)を加え、30分間攪拌した後、重合溶液を攪拌下で200mlのメタノールに加えてポリマーを沈殿させた。濾過、乾燥し、57.7mg(生成したポリマー質量/仕込モノマー質量;収率14.3wt%)の白色固体を得た。
H−NMRおよび13C−NMR測定の結果、この白色固体はノルボルネンの開環メタセシス重合体であった。得られた重合体のGPC分析を行ったところ、クロマトグラムは単峰性であり、その数平均分子量(Mn)は1,450,000、重量平均分子量(Mw)は2,230,000で、分子量分布(Mw/Mn)は1.54であった。重合活性の指標であるターンオーバーナンバー(以下、TONと略記する。TON=(消費されたノルボルンネン(mmol))/(仕込んだバナジウム錯体(mmol))で計算した。)は143であった。
[実施例2]
グローブボックス中で、5ml容量のサンプル瓶に実施例Bで合成したVOCl(N=CBu)を5.6mg(20.1μmol)量り取り、2.0mlのトルエンに溶解させ、3.07M MeMgBrジエチルエーテル溶液(13.0μl、39.9μmol)、100mM PMeトルエン溶液(0.22ml、22.0μmol)を加えて重合触媒溶液(b)を調製した。
50mlの耐圧ガラス容器にノルボルネンを399.2mg(4.24mmol)量り取り、トルエン9.5mlに溶解させた後、上述の重合触媒溶液(b)0.47ml(バナジウム錯体として4.24μmol)を加え、80℃で1時間反応を行った。ベンズアルデヒド(10.4mg、0.098mmol)を加え、30分間攪拌した後、重合溶液を攪拌下で200mlのメタノールに加えてポリマーを沈殿させた。濾過、乾燥し、390.8mg(収率97.9wt%)の白色固体を得た。
H−NMRおよび13C−NMR測定の結果、この白色固体はノルボルネンの開環メタセシス重合体であった。得られた重合体のGPC分析を行ったところ、クロマトグラムは単峰性であり、その数平均分子量(Mn)は854,000、重量平均分子量(Mw)は1,460,000で、分子量分布(Mw/Mn)は1.71であった。TONは979であった。
[実施例3]
実施例2の重合触媒溶液調製において、3.07M MeMgBrジエチルエーテル溶液の使用量を13.0μlから19.5μl(59.9μmol)に代えた以外は実施例2と同様に重合触媒溶液調製を行い、重合触媒溶液(c)を調製した。
50mlの耐圧ガラス容器にノルボルネンを401.1mg(4.26mmol)量り取り、トルエン9.9mlに溶解させた後、上述の重合触媒溶液(c)0.095ml(バナジウム錯体として0.852μmol)を加え、実施例2と同様に反応および後処理を行った。実施例2においてはモノマー/触媒比が1000/1(モル比)であったのに対し、本実施例では5000/1(モル比)である。ポリマー392.3mg(収率97.8wt%)を白色固体として得た。
H−NMRおよび13C−NMR測定の結果、この白色固体はノルボルネンの開環メタセシス重合体であった。得られた重合体のGPC分析を行ったところ、クロマトグラムは単峰性であり、その数平均分子量(Mn)は1,850,000、重量平均分子量(Mw)は2,780,000で、分子量分布(Mw/Mn)は1.50であった。TONは4,890であった。モノマー/触媒比が高い条件下においても高い活性を示した。
[実施例4]
50mlの耐圧ガラス容器にノルボルネンを404.9mg(4.30mmol)量り取り、トルエン10.0mlに溶解させた後、実施例3で調製した重合触媒溶液(c)0.024ml(バナジウム錯体として0.215μmol)を加え、実施例2と同様に反応および後処理を行った。本実施例においてはモノマー/触媒比が20000/1(モル比)である。ポリマー372.1mg(収率91.9wt%)を白色固体として得た。
H−NMRおよび13C−NMR測定の結果、この白色固体はノルボルネンの開環メタセシス重合体であった。得られた重合体のGPC分析を行ったところ、クロマトグラムは単峰性であり、その数平均分子量(Mn)は1,860,000、重量平均分子量(Mw)は2,680,000で、分子量分布(Mw/Mn)は1.44であった。TONは18,380であった。モノマー/触媒比が非常に高い条件下においても高い活性を示した。
[実施例5]
100mM PMeトルエン溶液の代わりに100mM PBuトルエン溶液(0.22ml、22.0μmol)を用いた以外は実施例2と同様の操作を行ったところ、394.4mg(収率98.8wt%)の開環メタセシス重合体を得た。
得られたポリマーのGPC分析を行ったところ、クロマトグラムは単峰性であり、その数平均分子量(Mn)は1,010,000、重量平均分子量(Mw)は1,700,000で、分子量分布(Mw/Mn)は1.68であった。TONは988であった。
[実施例6]
100mM PMeトルエン溶液の代わりに100mM PPhトルエン溶液(0.22ml、22.0μmol)を用いた以外は実施例2と同様の操作を行ったところ、29.9mg(収率7.5wt%)の開環メタセシス重合体を得た。
得られたポリマーのGPC分析を行ったところ、クロマトグラムは単峰性であり、その数平均分子量(Mn)は1,200,000、重量平均分子量(Mw)は1,980,000で、分子量分布(Mw/Mn)は1.65であった。TONは75であった。
[実施例7]
100mM PMeトルエン溶液の代わりに100mM ピリジントルエン溶液(0.22ml、22.0μmol)を用いた以外は実施例2と同様の操作を行ったところ、12.8mg(収率3.2wt%)の開環メタセシス重合体を得た。
得られたポリマーのGPC分析を行ったところ、クロマトグラムは単峰性であり、その数平均分子量(Mn)は1,150,000、重量平均分子量(Mw)は1,820,000で、分子量分布(Mw/Mn)は1.58であった。TONは32であった。
[実施例8]
3.07M MeMgBrジエチルエーテル溶液の代わりに2.11M BuMgClジエチルエーテル溶液(19.1μl、40.3μmol)を用いた以外は実施例2と同様の操作を行ったところ、105.8mg(収率26.5wt%)の開環メタセシス重合体を得た。得られたポリマーのGPC分析を行ったところ、クロマトグラムは単峰性であり、その数平均分子量(Mn)は1,160,000、重量平均分子量(Mw)は1,950,000で、分子量分布(Mw/Mn)は1.68であった。TONは265であった。
[参考例1]
3.07M MeMgBrジエチルエーテル溶液の代わりに2.0M AlMeトルエン溶液(20μl、40μmol)を用いた以外は実施例2と同様の操作を行ったところ、380.4mg(収率95.3wt%)の開環メタセシス重合体を得た。得られたポリマーのGPC分析を行ったところ、クロマトグラムは単峰性であり、その数平均分子量(Mn)は789,000、重量平均分子量(Mw)は1,475,000で、分子量分布(Mw/Mn)は1.87であった。TONは953であった。
[実施例10]
実施例2の重合触媒溶液調製において、100mM PMeトルエン溶液を加えなかった以外は実施例2と同様に重合触媒溶液調製を行い、重合触媒溶液(d)を調製した。50mlの耐圧ガラス容器にノルボルネンを403.9mg(4.29mmol)量り取り、トルエン9.6mlに溶解させた後、上述の重合触媒溶液(d)0.43ml(バナジウム錯体として4.29μmol)を加え、80℃で1時間反応を行った。ベンズアルデヒド(10.4mg、0.098mmol)を加え、30分間攪拌した後、重合溶液を攪拌下で200mlのメタノールに加えてポリマーを沈殿させた。濾過、乾燥し、2.4mg(収率0.6wt%)の白色固体を得た。
H−NMRおよび13C−NMR測定の結果、この白色固体はノルボルネンの開環メタセシス重合体であった。得られた重合体のGPC分析を行ったところ、クロマトグラムは単峰性であり、その数平均分子量(Mn)は1,550,000、重量平均分子量(Mw)は2,480,000で、分子量分布(Mw/Mn)は1.60であった。TONは6であった。
[実施例11]
反応温度80℃の代わりに23℃で反応を行った以外は実施例2と同様の操作を行ったところ、382.4mg(収率95.8wt%)の開環メタセシス重合体を得た。得られたポリマーのGPC分析を行ったところ、クロマトグラムは単峰性であり、その数平均分子量(Mn)は972,000、重量平均分子量(Mw)は1,790,000で、分子量分布(Mw/Mn)は1.84であった。TONは958であった。
[実施例12]
50mlの耐圧ガラス容器にノルボルネンを397.4mg(4.22mmol)量り取り、トルエン9.3mlに溶解させた後、170mM 1−Hexeneトルエン溶液(0.25ml、42.5μmol)、および実施例3で調整した重合触媒溶液(c)0.47ml(バナジウム錯体として4.22μmol)を加え、80℃で1時間反応を行った。ベンズアルデヒド(10.4mg、0.098mmol)を加え、30分間攪拌した後、重合溶液を攪拌下で200mlのメタノールに加えてポリマーを沈殿させた。濾過、乾燥し、365.6mg(収率92.0wt%)の白色固体を得た。
H−NMRおよび13C−NMR測定の結果、この白色固体はノルボルネンの開環メタセシス重合体であった。得られた重合体のGPC分析を行ったところ、クロマトグラムは単峰性であり、その数平均分子量(Mn)は223,000、重量平均分子量(Mw)は551,000で、分子量分布(Mw/Mn)は2.47であった。TONは920であった。
[実施例13]
170mM 1−Hexeneトルエン溶液の代わりに170mM Styreneトルエン溶液(0.25ml、42.5μmol)を用いて反応を行った以外は実施例12と同様の操作を行ったところ、341.8mg(収率86.0wt%)の開環メタセシス重合体を得た。得られたポリマーのGPC分析を行ったところ、クロマトグラムは単峰性であり、その数平均分子量(Mn)は76,000、重量平均分子量(Mw)は166,000で、分子量分布(Mw/Mn)は2.18であった。TONは860であった。
[比較例1]
グローブボックス中で、50ml容量のサンプル瓶にVOClを34.7mg(200μmol)量り取り、20mlのトルエンに溶解させた。この溶液に、3.07M MeMgBrジエチルエーテル溶液(0.195ml、599μmol)を加えて重合触媒溶液(e)を調製した。
50mlの耐圧ガラス容器にノルボルネンを401.1mg(4.26mmol)量り取り、トルエン9.6mlに溶解させた。その後、この溶液に上述の重合触媒溶液(e)0.43ml(バナジウム錯体として4.26μmol)を加え、80℃で1時間反応を行った。ベンズアルデヒド(10.4mg、0.098mmol)を加え、30分間攪拌した。それから、重合溶液を攪拌下で200mlのメタノールに加えてポリマーを沈殿させた。濾過、乾燥し、0.8mg(収率0.2wt%)の白色固体を得た。得られたポリマーのGPC分析を行ったところ、その数平均分子量(Mn)は1,430,000、重量平均分子量(Mw)は2,860,000で、分子量分布(Mw/Mn)は1.93であった。また、TONは2であった。実施例10と比較すると本発明のV錯体であるVOCl(N=CtBu)がより高い活性を有していることが分かる。
[比較例2]
グローブボックス中で、50ml容量のサンプル瓶にVOClを34.7mg(200μmol)量り取り、20mlのトルエンに溶解させた。この溶液に、3.07M MeMgBrジエチルエーテル溶液(0.195ml、599μmol)、100mM PMeトルエン溶液(2.20ml、220μmol)を加えて重合触媒溶液(f)を調製した。
50mlの耐圧ガラス容器にノルボルネンを403.9mg(4.29mmol)量り取り、トルエン9.6mlに溶解させた。その後、この溶液に上述の重合触媒溶液(f)0.48ml(バナジウム錯体として4.29μmol)を加え、80℃で1時間反応を行った。ベンズアルデヒド(10.4mg、0.098mmol)を加え、30分間攪拌した。それから、重合溶液を攪拌下で200mlのメタノールに加えてポリマーを沈殿させた。濾過、乾燥し、8.1mg(収率2.0wt%)の白色固体を得た。得られたポリマーのGPC分析を行ったところ、その数平均分子量(Mn)は1,560,000、重量平均分子量(Mw)は2,780,000で、分子量分布(Mw/Mn)は1.78であった。また、TONは20であった。実施例3、5、6、および7と比較すると本発明のV錯体であるVOCl(N=CtBu)がより高い活性を有していることが分かる。
以上の実施例等の結果から、本発明の触媒は合成が容易であり、また重合活性が高いものとなっていることがわかる。また、連鎖移動剤を添加することで得られるポリマーの分子量を調節することが可能である。
本発明の重合触媒は、光学樹脂等に有用である開環メタセシス重合体樹脂の製造に好適な重合触媒として使用することができる。

Claims (7)

  1. (A3)下記一般式(3)で表される遷移金属ハロゲン錯体と、(B)アルキルマグネシウムハライド類とを含む開環メタセシス重合触媒。
    Figure 0005282220

    (式中、Mは周期律表第5族の遷移金属を表す。X 、X は互に独立してフッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を表す。Yは下記一般式(a)で表されるアルキルオキシ、またはアリールオキシ基、または下記一般式(b)で表わされるケチミド基を表す。
    −OR (a)
    −N=CR (b)
    式(a)において、R は炭素原子数1〜20のアルキル、またはアリール基を表す。式(b)において、R およびR は互いに独立して炭素原子数1〜20のアルキル、またはアリール基を表し、また、R 、R は互に結合していてもよい。)
  2. さらに、(C)ホスフィン類を含む請求項1に記載の開環メタセシス重合触媒。
  3. 請求項1または2に記載の開環メタセシス重合触媒を用いた開環メタセシス重合体の製造方法において、形成される開環メタセシス重合触媒が、
    (A2)下記一般式(2)で表される遷移金属アルキル錯体を含む開環メタセシス重合触媒である開環メタセシス重合体の製造方法。
    Figure 0005282220

    (式中、Mは周期律表第5族の遷移金属を表す。RおよびRは互に独立して水素、炭素原子数1〜20のアルキル、アリール、またはアルキルシリル基を表し、また、R、Rは互に結合していてもよい。Rは水素、炭素原子数1〜20のアルキル、またはアリール基を表す。Yは下記一般式(a)で表されるアルキルオキシ、またはアリールオキシ基、または下記一般式(b)で表わされるケチミド基を表す。
    −OR (a)
    −N=CR (b)
    式(a)において、Rは炭素原子数1〜20のアルキル、またはアリール基を表す。式(b)において、RおよびRは互いに独立して炭素原子数1〜20のアルキル、またはアリール基を表し、また、R、Rは互に結合していてもよい。)
  4. 請求項1に記載の開環メタセシス重合触媒を用いた開環メタセシス重合体の製造方法において、重合反応の条件下で、さらに形成される開環メタセシス重合触媒が、
    (A1)下記一般式(1)で表される遷移金属アルキリデン錯体を含む開環メタセシス重合触媒である開環メタセシス重合体の製造方法。
    Figure 0005282220

    (式中、Mは周期律表第5族の遷移金属を表す。R およびR は互に独立して水素、炭素原子数1〜20のアルキル、アリール、またはアルキルシリル基を表し、また、R 、R は互に結合していてもよい。Yは下記一般式(a)で表されるアルキルオキシ、またはアリールオキシ基、または下記一般式(b)で表わされるケチミド基を表す。
    −OR (a)
    −N=CR (b)
    式(a)において、R は炭素原子数1〜20のアルキル、またはアリール基を表す。式(b)において、R およびR は互いに独立して炭素原子数1〜20のアルキル、またはアリール基を表し、また、R 、R は互に結合していてもよい。)
  5. 請求項2に記載の開環メタセシス重合触媒を用いた開環メタセシス重合体の製造方法において、重合反応の条件下で、さらに形成される開環メタセシス重合触媒が、
    (A4)下記一般式(4)で表される遷移金属アルキリデン錯体を含む開環メタセシス重合触媒である開環メタセシス重合体の製造方法。
    Figure 0005282220

    (式中、Mは周期律表第5族の遷移金属を表す。RおよびRは互に独立して水素、炭素原子数1〜20のアルキル、アリール、またはアルキルシリル基を表し、また、R、Rは互に結合していてもよい。Eはアミン、ピリジン、ホスフィン、エーテル、またはチオエーテルを含む電子供与性化合物からなる配位子を表す。Yは下記一般式(a)で表されるアルキルオキシ、またはアリールオキシ基、または下記一般式(b)で表わされるケチミド基を表す。
    −OR (a)
    −N=CR (b)
    式(a)において、Rは炭素原子数1〜20のアルキル、またはアリール基を表す。式(b)において、RおよびRは互いに独立して炭素原子数1〜20のアルキル、またはアリール基を表し、また、R、Rは互に結合していてもよい。)
  6. 前記一般式(4)中のEがホスフィンを含む電子供与性化合物からなる配位子である開環メタセシス重合触媒である請求項5に記載の開環メタセシス重合体の製造方法
  7. 前記一般式(3)中の遷移金属Mがバナジウムである請求項1記載の開環メタセシス重合触媒。
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