JP5281295B2 - 熱交換器用アルミニウムフィン材及びそれを用いたフィンプレス方法 - Google Patents

熱交換器用アルミニウムフィン材及びそれを用いたフィンプレス方法 Download PDF

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Description

本発明は、プレス潤滑油を供給することなくプレス加工を行うことが可能である熱交換器用アルミニウムフィン材及びそれを用いたフィンプレス方法に関する。
従来から、家庭用エアコン、自動車用エアコン、パッケージエアコン等の空調機器や、冷蔵庫等には、蒸発機又は凝縮機として作動する熱交換器が用いられている。そして、家庭用室内エアコンや業務用パッケージエアコンに、最も一般的に用いられているのが、クロスフィンチューブ熱交換器(プレートフィンチューブ熱交換器)である。このクロスフィンチューブ熱交換器を構成するクロスフィンチューブは、空気側のアルミニウムプレートフィンと冷媒側の伝熱管(銅管)から構成されている。
また、上記アルミニウムプレートフィンは、アルミニウムプレートフィン材の表面に加工油を浸漬塗油あるいはスプレー塗油した後に、打ち抜き、張り出し、絞り、しごき、剪断等が複合された加工(プレス加工)によって、伝熱管を通すためのフィンカラーや表面の熱伝達率を向上させるための表面加工を施すことにより得ることができる。そして、上記アルミニウムプレートフィンは、表面に、予め樹脂、シリカ微粉、水ガラス等を塗装することにより、親水性又は撥水性等の各種機能皮膜を形成させる場合がある。
上記プレス加工の際に、上記アルミニウムプレートフィン材の表面に加工油を塗油しない場合には、打ち抜きパンチ、張り出しパンチ、あるいはしごきパンチの表面にアルミニウムの凝着が生じる。そのため、アルミニウムフィンが所定の形状にならなかったり、フレアー割れ等の成形不具合により、アルミニウムプレートフィンと伝熱管の密着性が低下し、熱交換器の性能が低下するという問題や、金型自体の破損に至る等の致命的な問題が生じる。
上記加工油としては、自己揮発性を有する動粘度1〜3cSt程度の低粘度のプレス油を使用することが一般となっている。このような加工油を用いる場合には、プレス加工後に、アルミニウムプレートフィンに伝熱管を通し、伝熱管を拡管してアルミニウムプレートフィンと伝熱管とを固着させて熱交換器とした後、50〜200℃の雰囲気に10分程度さらすことにより上記加工油を蒸発揮散させている。
ところが、使用される加工油中には、例えば親水性を阻害する油性剤等の物質が種々添加されており、これによりアルミニウムフィン材に必要な親水性能の低下が生じる場合がある。また、アルミニウムフィン材に塗装された塗膜樹脂自体を膨潤させて劣化させるものもある。このようなアルミニウムフィン材を使用して熱交換器を作製すると、結露水の流動・排出が阻害されるため、熱交換器性能が低下する。
また、上記加工油は低粘度のため潤滑性に劣り、フィンカラーを加工する場合に、材料破断をきたす場合が多く、また、工具へのアルミ凝着が生じやすいために、金型のメンテナンス頻度も多くなっている。
さらには、熱交換器を加熱して加工油を蒸発揮散させるために乾燥炉を通す必要があり、乾燥炉操業にかかわるCO2排出量の増加や、揮散した油が大気中に放出される等、地球環境に悪影響を与えるという問題がある。
このように、従来使用していたアルミニウムフィン材では、プレス加工の際に低粘度加工油を使用しても、上述の問題が発生する。
特開平6−39347号公報 特開平7−43093号公報 特開平9−145281号公報 特開平10−103885号公報 特開平10−306997号公報 特開2003−287394号公報 特開2005−344144号公報
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、プレス潤滑油を供給することなく、あるいは通常の供給量を低減しても、優れた潤滑性で、工具へのアルミの凝着及び塗膜の堆積を抑制してプレス加工を行うことができ、且つ、プレス加工後に親水性が残存している熱交換器用アルミニウムフィン材を提供しようとするものである。
第1の発明は、プレス潤滑油を供給することなプレス加工を行うことが可能な熱交換器用アルミニウムフィン材であって、
上記アルミニウムフィン材は、アルミニウムよりなる基板と、該基板の表面に形成した第1塗膜と、該第1塗膜の表面に形成した第2塗膜とからなり、
上記第1塗膜は、ベース樹脂にワックスを含有してなると共に、膜厚が0.2〜20μmであり、
上記ベース樹脂は、ウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂のうち1種又は2種以上からなり、
上記第1塗膜における上記ワックスの含有量は、0.1〜10%(質量%、以下同様)であり、
上記ワックスは、カルナウバ、ポリエチレン、ナイロン、ポリエステル、フッ素系樹脂、ポリプロピレン、アミノ樹脂、シリコン系樹脂のうち1種又は2種以上からなり、
上記第2塗膜は、親水性樹脂よりなると共に、膜厚が0.2〜5μmであり、
上記第2塗膜の表面に、更に、分子量4000〜400000の水溶性ポリエーテルからなる親水性潤滑膜を形成しており、
上記親水性潤滑膜は、H.L.B.が3〜20の範囲にある1価以上のアルコールのアルキレンオキサイド付加物、1価以上のアルコールのアルキレンオキサイド付加物のハイドロカルビルエーテル、1価以上のアルコールのアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステル、カルボン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸塩、脂肪酸アルカノールアミドのうち1種又は2種以上よりなる潤滑添加剤を、上記親水性潤滑膜の固形分全体を100%として1.0〜50%含有することを特徴とする熱交換器用アルミニウムフィン材にある(請求項1)。
本発明の熱交換器用アルミニウムフィン材は、アルミニウムよりなる基板に対して、潤滑性を有する第1塗膜を設け、さらに、該第1塗膜上に親水性を有する第2塗膜を設けた構造を有している。これにより、プレス潤滑油を供給することなく、あるいは通常の供給量を低減しても、優れた潤滑性で、工具へのアルミの凝着及び塗膜の堆積を抑制してプレス加工を行うことができ、且つ、親水性を有する熱交換器用アルミニウムフィンを得ることができる。
すなわち、上記熱交換器用アルミニウムフィン材に対してプレス加工を行う際には、上記第1塗膜及び上記第2塗膜が摩擦面に入り込むこととなる。そのため、上記第1塗膜及び上記第2塗膜の成分や膜厚を制御することにより、工具と材料破断面との直接接触を防ぐことができ、かつ、上記第1塗膜に含有されているワックスにより摩擦面の潤滑性を向上させることができる。そのため、工具へのアルミの凝着を防ぐことができ、かつ、工具への塗膜堆積を抑制することができる。
そして、上記熱交換器用アルミニウムフィン材は、最表面に親水性の第2塗膜を設けてあるため、プレス加工後に、少なくともプレス加工部分以外の部分において残存している上記第2塗膜によって親水性を確保することができる。
このように、本発明によれば、プレス潤滑油を供給することなく、あるいは通常の供給量を低減しても、優れた潤滑性で、工具へのアルミの凝着及び塗膜の堆積を抑制してプレス加工を行うことができ、且つ、プレス加工後に親水性が残存している熱交換器用アルミニウムフィン材を提供することができる。
さらに、本発明の熱交換器用アルミニウムフィン材を用いることにより、プレス油の購入コスト、乾燥コストを削減することができ、また大気中への有機物の排出を削減することができ、環境への影響を低減することができる。
第2の発明は、第1の発明に記載の熱交換器用アルミニウムフィン材に対して、フィンプレス油を供給することなフィンプレス加工を行うことを特徴とするフィンプレス方法にある(請求項9)。
上記フィンプレス方法は、上述の優れた特性を有する第1の発明の熱交換器用アルミニウムフィン材を用いるため、プレス潤滑油を供給することなく、あるいは通常の供給量を低減しても、優れた潤滑性で、工具へのアルミの凝着及び塗膜の堆積を抑制してプレス加工を行うことができ、親水性を有する熱交換器用アルミニウムフィンを得ることができる。
また、上記フィンプレス方法は、プレス油を用いることなく、又は低減してプレス加工を行うため、プレス油の購入コスト・乾燥コストを削減することができ、また大気中への有機物の排出を削減することができ環境への影響を低減することができる。
第1の発明の熱交換器用アルミニウムフィン材の上記第1塗膜は、上述したように、ベース樹脂にワックスを含有してなると共に、膜厚が0.2〜20μmである。
上記第1塗膜の膜厚が0.2μm未満である場合には、上述の第1塗膜による潤滑性を十分に得ることができないという問題がある。一方、上記膜厚が20μmを超える場合には、塗膜が脆く剥離しやすくなって金型上に堆積し、プレス加工を阻害するという問題がある。また、塗装時には、塗装ロール等に堆積し生産が困難となる。
また、上記第1塗膜に含有されるワックスは、上述したように、カルナウバ、ポリエチレン、ナイロン、ポリエステル、フッ素系樹脂、ポリプロピレン、アミノ樹脂、シリコン系樹脂のうち1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
また、上記ベース樹脂は、ウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂のうち1種又は2種以上からなる。
これらのベース樹脂を構成する樹脂は、第2塗膜との密着性が良好であるという性質を有しているため、ベース樹脂として適している。
また、上記第1塗膜における上記ワックスの含有量は、0.1〜10%である。
上記ワックスの含有量が0.1%未満である場合には、上記第1塗膜が、十分な潤滑性を有することができないという問題がある。一方、上記ワックスの含有量が10%を超える場合には、第2塗膜との密着性を阻害し、金型上に塗膜が堆積するという問題や、塗装時には塗装ロール等に堆積し、生産が困難になるという問題がある。
また、上記アルミニウムフィン材の第2塗膜は、親水性樹脂よりなると共に、膜厚が0.2〜5μmである。
また、上記第2塗膜の膜厚が0.2μm未満である場合には、上記第2塗膜による親水性を十分に得ることができないという問題がある。一方、上記第2塗膜の膜厚が5μmを超える場合には、塗膜が脆く剥離しやすくなって金型上に堆積し、プレス加工を阻害するという問題がある。また、塗装時には、塗装ロール等に堆積し生産が困難となる。
また、上記第2塗膜を構成する親水性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、セルロース樹脂等が挙げられる。
また、上記第1塗膜及び第2塗膜は、例えば、ロールコーター法、バーコーター法等により塗料を表面に塗布し、その後、加熱処理を施すことにより形成することができる。
また、上記第2塗膜にもワックスを含有させてもよい。この場合には、プレス加工時の潤滑性をより向上させることができ、高強度の材料や高温雰囲気等のさらに摩擦条件が厳しい状態であっても、プレス油を供給することなく、フィンプレス加工を行うことができる。
第2塗膜にワックスを含有させる場合には、上記第2塗膜の親水性が低下しないように、ワックスとして、フッ素樹脂あるいはポリエチレンを採用することが好ましい。
上記熱交換器用アルミニウムフィン材の第2塗膜の親水性樹脂は、フッ素系樹脂、ポリエチレン樹脂のうち1種または2種以上を含有することが好ましい(請求項2)。
この場合には、プレス加工時の潤滑性を向上させることができる。
また、上記第2塗膜は、粒径が、0.1〜30μmであると共に上記第2塗膜の厚みの1〜3倍である樹脂ビーズを、上記親水性樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部含有していることが好ましい(請求項3)。
この場合には、プレス加工を行う際に、アルミニウムフィン材と工具との摩擦面において、摩擦抵抗を減少させ、しごき加工性、張り出し加工性を向上させることができる。
上記樹脂ビーズの粒径が0.1μm未満の場合は、細かすぎて摩擦面での上記効果が現れない。一方、上記粒径が30μmを越える場合には、摩擦面での脱落が多くなったり、金型とのこすれによって脱落し、結果的に潤滑性の効果が失われるほか、各箇所に堆積し、あらゆるところに悪影響を及ぼすおそれがある。
また、上記樹脂ビーズの含有量が、上記親水性樹脂100重量部に対して0.1重量部未満の場合には、上記効果を十分に得ることができない。一方、上記樹脂ビーズの含有量が親水性樹脂100重量部に対して20重量部を超える場合には、塗膜からの脱落が多くなり、塗膜粉が金型表面に堆積するおそれや、パンチを破損させるおそれや、コストが上がるおそれがある。
また、上記第2塗膜の親水性樹脂は、水酸基、カルボキシル基、エステル基、エーテル基のうち1種又は2種以上を含む有機樹脂を含有することが好ましい(請求項4)。
この場合は、親水性が良好であり、熱交換器性能の低下を抑制することができる。
また、上記有機樹脂を含有する際には、有機樹脂のみを含有してもよいし、上記有機樹脂に界面活性剤等を添加したものを含有してもよい。
また、上記第2塗膜は、さらに、ケイ酸塩及び/又はコロイダルシリカを含有することが好ましい(請求項5)。
この場合には、上記親水性皮膜に、さらに、優れた親水性を付与することができる。
また、上記第2塗膜の表面に、更に、分子量4000〜400000の水溶性ポリエーテルからなる親水性潤滑膜を形成している
上記親水性潤滑膜は、分子量4000〜400000の水溶性ポリエーテルからなるため、プレス加工の際の潤滑性をより一層向上させることができ、また、水により容易に除去することができ、且つ、除去後に上記第2塗膜の親水性を阻害することがない。
上記水溶性ポリエーテルの分子量が4000未満の場合には、プレス加工の際に塗膜粉が金型表面に堆積するおそれや、潤滑塗膜の融点が低くなり塗装後の材料同士の潤滑塗膜が融着しやすくなり、塗装後の材料同士がくっつき作業性が低下するおそれがある。一方、上記水溶性ポリエーテルの分子量が400000を超える場合には、コストが上がるおそれや、取り扱いや量産性に問題が生じるおそれがある。
上記ポリエーテルは、例えば、アルキレンオキサイドを重合させ、水酸基をアルキル基、アルケニル基、アルキニル基等で置換することにより得ることができる。上記ポリエーテルを構成するアルキレンオキサイドとしては、具体的には、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−エポキシブタン(α−ブチレンオキサイド)、2,3−エポキシブタン(β−ブチレンオキサイド)、1,2−エポキシ−1−メチルプロパン、1,2−エポキシヘプタン等が挙げられる。
また、上記アルキレンオキサイド等の重合形態は特に限定されず、1種類のアルキレンオキサイドの単独重合、2種類以上のアルキレンオキサイド等のランダム共重合、ブロック共重合、ランダム/ブロック共重合等であってよい。
また、上記水溶性ポリエーテルは、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールアルキルエーテル、ポリアルキレングリコールアリールエーテル、脂肪族ポリアルキレングリコールエステル、脂肪族ポリアルキレングリコールソルビタンエステルの1種又は2種以上よりなるポリエーテル、及び上記ポリエーテルのうち1種又は2種以上のウレタン結合による重合物から選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい(請求項6)。
上記ポリエーテルのウレタン結合による重合物は、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールアルキルエーテル、ポリアルキレングリコールアリールエーテル、脂肪族ポリアルキレングリコールエステル、脂肪族ポリアルキレングリコールソルビタンエステルのうち1種又は2種以上を、イソシアネートを用いて反応させることにより得ることができる。
また、上記親水性潤滑膜は、膜厚が10〜200mg/m2であることが好ましい(請求項7)。
上記親水性潤滑膜の膜厚が10mg/m2未満である場合には、上述の効果を十分に得ることができないおそれがある。一方、上記膜厚が200mg/m2を超える場合には、塗膜が脆く剥離しやすくなって金型上に堆積し、プレス加工を阻害するおそれがある。また、塗装時には、塗装ロール等に堆積し生産が困難となるおそれがある。
また、上記親水性潤滑膜は、H.L.B.が3〜20の範囲にある1価以上のアルコールのアルキレンオキサイド付加物、1価以上のアルコールのアルキレンオキサイド付加物のハイドロカルビルエーテル、1価以上のアルコールのアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステル、カルボン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸塩、脂肪酸アルカノールアミドのうち1種又は2種以上よりなる潤滑添加剤を、上記親水性潤滑膜の固形分全体を100%として1.0〜50%含有する
上記潤滑添加剤のH.L.B.が3未満の場合には、潤滑添加剤が析出分離し易いという問題がある。なお、H.L.B.(Hydrophile−Lipophile Balance)とは、界面活性剤の水と油(水に不溶性の有機化合物)への親和性の程度を表す値のことである。
上記1価以上のアルコールのアルキレンオキサイド付加物、1価以上のアルコールのアルキレンオキサイド付加物のハイドロカルビルエーテル、1価以上のアルコールのアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステルを構成するアルコールは、水酸基を1〜6個有する。
このようなアルコールとしては、1価のものであれば、炭素数8〜23のものが挙げられ、分子内に分子鎖あるいは不飽和結合、環状構造を有していてもよい。具体的には、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ノナデカノール、エイコサノール、エチルフェノール、ノニルフェノール、等が挙げられ、単体で用いでも、これらの混合物を用いても良い。また、2価以上のものであれば、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
また、潤滑性、水による除去性の点より、上記アルコールとしては、炭素数12〜18の範囲のものが好ましい。
また、上記1価以上のアルコールのアルキレンオキサイド付加物、1価以上のアルコールのアルキレンオキサイド付加物のハイドロカルビルエーテル、1価以上のアルコールのアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステルを構成するアルキレンオキサイド付加物は、炭素数2〜6のアルキレンオキサイドを付加重合することにより得ることが好ましく、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加重合することがより好ましい。
上記炭素数2〜6のアルキレンオキサイドとしては、具体的には、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−エポキシブタン(α−ブチレンオキサイド)、2,3−エポキシブタン(β−ブチレンオキサイド)、1,2−エポキシ−1−メチルプロパン、1,2−エポキシヘプタン等が挙げられる。
なお、アルキレンオキサイド等の重合形態は特に限定されず、1種類のアルキレンオキサイドの単独重合、2種類以上のアルキレンオキサイド等のランダム共重合、ブロック共重合、ランダム/ブロック共重合等であってよい。
また、水酸基を2〜6個有する多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加させる際は、すべての水酸基に付加させてもよいし、一部の水酸基にのみ付加させてもよい。
上記1価以上のアルコールのアルキレンオキサイド付加物、1価以上のアルコールのアルキレンオキサイド付加物のハイドロカルビルエーテル、1価以上のアルコールのアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステルを構成するアルキレンオキサイド付加物の末端水酸基の一部又は全てを、ハイドロカルビルエーテル化させたものが使用できる。
ここで、ハイドロカルビル基とは、炭素数1〜24の炭化水素基である。
炭化水素基としては、たとえば、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、及びアリールアルキル基等がある。
炭素数1〜24のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、直鎖又は分枝のペンチル基、直鎖又は分枝のヘキシル基、直鎖又は分枝のヘプチル基、直鎖又は分枝のオクチル基、直鎖又は分枝のノニル基、直鎖又は分枝のデシル基、直鎖又は分枝のウンデシル基、直鎖又は分枝のドデシル基、直鎖又は分枝のトリデシル基、直鎖又は分枝のテトラデシル基、直鎖又は分枝のペンタデシル基、直鎖又は分枝のヘキサデシル基、直鎖又は分枝のヘプタデシル基、直鎖又は分枝のオクタデシル基、直鎖又は分枝のノナデシル基、直鎖又は分枝のイコシル基、直鎖又は分枝のヘンイコシル基、直鎖又は分枝のドコシル基、直鎖又は分枝のトリコシル基、及び直鎖又は分枝のテトライコシル基等がある。
炭素数2〜24のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、直鎖又は分枝のプロペニル基、直鎖又は分枝のブテニル基、直鎖又は分枝のペンテニル基、直鎖又は分枝のヘキセニル基、直鎖又は分枝のヘプテニル基、直鎖又は分枝のオクテニル基、直鎖又は分枝のノネニル基、直鎖又は分枝のデセニル基、直鎖又は分枝のウンデセニル基、直鎖又は分枝のドデセニル基、直鎖又は分枝のトリデセニル基、直鎖又は分枝のテトラデセニル基、直鎖又は分枝のペンタデセニル基、直鎖又は分枝のヘキサデセニル基、直鎖又は分枝のヘプタデセニル基、直鎖又は分枝のオクタデセニル基、直鎖又は分枝のノナデセニル基、直鎖又は分枝のイコセニル基、直鎖又は分枝のヘンイコセイル基、直鎖又は分枝のドコセニル基、直鎖又は分枝のトリコセニル基、及び直鎖又は分枝のテトラコセニル基等がある。
炭素数5〜7のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロヘプチル基等がある。
炭素数6〜11のアルキルシクロアルキル基としては、例えば、メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基(全ての構造異性体を含む)、メチルエチルシクロペンチル基(全ての構造異性体を含む)、ジエチルシクロペンチル基(全ての構造異性体を含む)、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基(全ての構造異性体を含む)、メチルエチルシクロヘキシル基(全ての構造異性体を含む)、ジエチルシクロヘキシル基(全ての構造異性体を含む)、メチルシクロヘプチル基、ジメチルシクロヘプチル基(全ての構造異性体を含む)、メチルエチルシクロヘプチル基(全ての構造異性体を含む)、及びジエチルシクロヘプチル基(全ての構造異性体を含む)等がある。
炭素数6〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等がある。
炭素数7〜18のアルキルアリール基としては、例えば、トリル基(全ての構造異性体を含む)、キシリル基(全ての構造異性体を含む)、エチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝のプロピルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖または分枝のブチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝のペンチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝のヘキシルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝のヘプチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝のオクチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝のノニルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝のデシルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝のウンデシルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、及び直鎖又は分枝のドデシルフェニル基(全ての構造異性体を含む)等がある。
炭素数7〜12のアリールアルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基(プロピル基の異性体を含む)、フェニルブチル基(ブチル基の異性体も含む)、フェニルペンチル基(ペンチル基の異性体も含む)、及びフェニルヘキシル基(ヘキシル基の異性体も含む)等がある。
上記1価以上のアルコールのアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステル、そのハイドロカルビルエーテルを構成する脂肪酸としては、直鎖飽和脂肪酸、分岐飽和脂肪酸、直鎖不飽和脂肪酸、分岐不飽和脂肪酸のいずれを使用してもよい。炭素数で言えば、C数7〜22を有するものが好ましく、具体的には、例えば、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エイコサン酸等が挙げられる。
上記カルボン酸塩としては、例えば、ポリオキシエチレン・アルキルエーテル・カルボン酸塩、N−アシルサルコシン酸塩、N−アシルグルタミン酸塩等が挙げられる。塩を形成するカチオン性対イオンとしては、例えば、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム、リチウム等)イオン、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム、バリウム等)イオン等の金属イオン、アンモニウムイオン等が挙げられる。
上記アルキルスルホン酸塩としては、例えば、ジアルキルスルホ・こはく酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルファオレフィン・スルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼン・スルホン酸塩、分子鎖アルキルベンゼン・スルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩−ホルムアルデヒド縮合物、アルキルナフタレン・スルホン酸塩、N−メチル−N−アシルタウリン等が挙げられる。塩を形成するカチオン性対イオンとしては、例えば、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム、リチウム等)イオン、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム、バリウム等)イオン等の金属イオン、アンモニウムイオン等が挙げられる。
上記アルキル硫酸塩としては、例えば、ポリオキシエチレン・アルキルエーテル・硫酸塩、油脂硫酸エステル塩等が挙げられる。塩を形成するカチオン性対イオンとしては、例えば、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム、リチウム等)イオン、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム、バリウム等)イオン等の金属イオン、アンモニウムイオン等が挙げられる。
上記リン酸塩としては、例えば、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレン・アルキルエーテル・リン酸塩、ポリオキシエチレン・アルキルフェニルエーテル・リン酸塩等が挙げられる。塩を形成するカチオン性対イオンとしては、例えば、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム、リチウム等)イオン、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム、バリウム等)イオン等の金属イオン、アンモニウムイオン等が挙げられる。
また、上述したように、上記潤滑添加剤を上記親水性潤滑膜の固形分全体を100%として1.0〜50%含有することが好ましい。
この場合には、さらに、プレス加工時の潤滑性を向上することができる。
上記潤滑添加剤の含有量が、上記親水性潤滑塗料の固形分全体を100%として1.0%未満の場合には、潤滑添加剤による潤滑性の向上効果が十分に得られないおそれがある。一方、上記潤滑添加剤の含有量が50%を超える場合には、潤滑塗膜が凝集破壊しやすくなるため、プレス加工時に金型上に塗膜が堆積するおそれや、塗装時に塗装ロール等に堆積し生産が困難となるおそれがある。
また、上記熱交換器用アルミニウムフィン材の基板の表面には、化成皮膜あるいは耐食性樹脂皮膜よりなる下地層が形成されていることが好ましい(請求項8)。
上記化成皮膜よりなる下地層が形成されている場合には、アルミニウム板とプレコート塗膜との密着性を効果的に向上させることができる。また、優れた耐食性が実現されて、水、塩素化合物等の腐食性物質がアルミニウム板の表面に浸透した際に惹起される塗膜下腐食が抑制され、塗膜割れや塗膜剥離の防止を図ることができる。
また、上記化成皮膜としては、リン酸クロメート、クロム酸クロメート等のクロメート処理、クロム化合物以外のリン酸チタンやリン酸ジルコニウム、リン酸モリブデン、リン酸亜鉛、酸化ジルコニウム等によるノンクロメート処理等の化学皮膜処理、いわゆる化成処理により得られる皮膜が採用される。
なお、上記クロメート処理やノンクロメート処理等の化成処理方法には、反応型及び塗布型があるが、本発明においてはいずれの手法が採用されても何ら差し支えない。
上記耐食性樹脂皮膜からなる下地層が設けられる場合には、優れた耐食性が実現されて、水、塩素化合物等の腐食性物質がアルミニウムフィン材の表面に浸透した際に惹起される塗膜下腐食が抑制され、塗膜割れや、塗膜剥離の防止を図ることができる。
また、上記耐食性樹脂皮膜としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等よりなる皮膜が挙げられる。
(実施例1)
本例は、本発明の熱交換器用アルミニウムフィン材にかかる実施例について図1及び図2を用いて説明する。
本例では、本発明にかかる実施例として、表1〜3に示す熱交換器用アルミニウムフィン材(試料e1〜試料e54)を作製し、また、本発明にかかる比較例として、表4に示す熱交換器用アルミニウムフィン材(試料c1〜試料c12)を作製した。試料e1〜試料e29及び試料c1〜試料c8の構成を図1に示し、試料e30〜試料e54及び試料c9〜試料c12の構成を図2に示す。
図1、図2に示すように、本例の熱交換器用アルミニウムフィン材1(試料e1〜試料e54)は、アルミニウムよりなる基板2に対して、少なくとも、第1塗膜3と、該第1塗膜3の表面に形成した第2塗膜と形成している。
以下、これを詳説する。
まず、上記基板2として、A1050−H26、厚さ0.100mmのアルミニウム板を用意した。
また、上記第1塗膜3、第2塗膜4、及び後述する親水性潤滑膜6を形成する下記の材料を用意した。
(第1塗膜)
第1塗膜を構成するベース樹脂として、以下のA1〜A5を準備した。
A1:ウレタン樹脂。
A2:エポキシ樹脂。
A3:ポリエステル樹脂。
A4:フェノール樹脂。
A5:ウレタン樹脂。
第1塗膜を構成するワックスとして、以下のB1〜B8を準備した。
B1:カルナウバ。
B2:ポリエチレン。
B3:ナイロン。
B4:ポリエステル。
B5:フッ素。
B6:ポリプロピレン。
B7:アミノ樹脂。
B8:シリコン樹脂。
(第2塗膜)
第2塗膜を構成する親水性塗料として、以下のC1〜C6を準備した。
C1:水ガラス系親水性塗料、
アルカリケイ酸塩(SiO2:Na2O=3:5)10重量部、ヒドロキシエチルアクリレート−アクリル酸共重合体2重量部、炭酸アンモニウムジルコニウム塩0.5重量部。
C2:樹脂系親水性塗料+シリカ系親水性塗料、
アクリル樹脂70重量部、メラミン樹脂15重量部、ポリオキシエチレンンアルキルフェニルエーテル(界面活性剤)10重量部、コロイダルシリカ5重量部。
C3:樹脂系親水性塗料、
ヒドロキシエチルセルロース(水溶性セルロース樹脂)10重量部、アクリル酸−アクリルアミド共重合体(水溶性アクリル樹脂)10重量部。
C4:樹脂系親水性塗料、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸20重量部、メタクリル酸60重量部、メタクリル酸メチル15重量部、ジメチルアミノエチルメタクリレート5重量部。
C5:樹脂系親水性塗料、
カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩25重量部、カルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩50重量部、N−メチロールアクリルアミド25重量部、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(界面活性剤)5重量部。
C6:樹脂系親水性塗料、
ポリビニールアルコール50重量部、カルボキシメチルセルロース50重量部、ジルコニウムキレート化合物5重量部、ジアルキルスルホこはく酸エステル塩(界面活性剤)5重量部。
また、第2塗膜に含有させる樹脂ビーズとして、以下のD1及びD2を準備した。
D1:フッ素系。
D2:ポリエチレン。
(親水性潤滑膜)
後述する親水性潤滑膜を構成する水溶性ポリエーテルとして、以下のE1〜E5を準備した。
E1:ポリアルキレングリコール。
E2:ポリアルキレングリコールアルキルエーテル。
E3:ポリアルキレングリコールアリールエーテル。
E4:脂肪族ポリアルキレングリコールエステル。
E5:脂肪族ポリアルキレングリコールソルビタンエステル。
また、上記親水性潤滑膜に添加する潤滑添加剤として、以下のF1〜F8を準備した。
F1:アルキレンオキサイド付加物。
F2:ハイドロカルビルエーテル。
F3:脂肪酸エステル。
F4:カルボン酸塩。
F5:アルキルスルホン酸塩。
F6:アルキル硫酸エステル塩。
F7:アルキルリン酸塩。
F8:脂肪酸アルカノールアミド。
次に、上記熱交換器用アルミニウムフィン材(試料e1〜試料e54、及び試料c1〜試料c12)の作製方法について説明する。
まず、上記基板2に対して、市販の弱アルカリ系脱脂剤にて、脱脂処理を行い、次いで、クロム酸、リン酸、フッ化水素酸よりなる液でリン酸、フッ化水素酸よりなる液でリン酸クロメートを主体とする化成皮膜よりなる下地層5を形成させた。化成皮膜中のクロム量は20mg/m2であった。
次に、基板2に対して、上記第1塗膜用のベース樹脂とワックスとを、表1〜表4に示す種類及び含有量で組み合わせて混合した塗料組成物をロールコーターを用いて塗装し、その後、200℃×20秒間の加熱処理を行うことにより、焼き付け、硬化を行い、表1〜表4に示す膜厚を有する第1塗膜3を形成した。
その後、上記第1塗膜3の表面に、上記第2塗膜用の親水性樹脂と樹脂ビーズとを、表1〜表3に示す種類及び含有量で組み合わせて混合した塗料組成物をロールコーター法により塗布し、その後、120℃×30秒間の加熱処理を施して、表1〜表4に示す膜厚を有する第2塗膜4を形成した。なお、表に示す第2塗膜の膜厚は、樹脂ビーズが存在しない親水性樹脂のみからなる部分の膜厚である。
そして、さらに、試料e30〜試料e54及び試料c9〜試料c12については、図2に示すように、上記第2塗膜4の表面に、上記親水性潤滑膜用の水溶性ポリエーテル及び潤滑添加剤を表1〜表4に示す種類及び含有量で組み合わせて混合した塗料組成物をロールコーター法により塗布し、その後、120℃×30秒間の加熱処理を施して、表2〜表4に示す膜厚を有する親水性潤滑膜6を形成した。
なお、表1〜表4において、ワックス、樹脂ビーズ、潤滑添加剤の含有量は、塗料の固形分全体を100質量%としたときの含有量(質量%)である。
Figure 0005281295
Figure 0005281295
Figure 0005281295
Figure 0005281295
表1〜表3より知られるごとく、実施例としての試料e1〜e54は、上記第1塗膜3は、ベース樹脂にワックスを含有してなると共に、膜厚が0.2〜20μmであり、上記ベース樹脂は、ウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂のうち1種又は2種以上からなり、上記第1塗膜における上記ワックスの含有量は、0.1〜10%であり、上記ワックスは、カルナウバ、ポリエチレン、ナイロン、ポリエステル、フッ素系樹脂、ポリプロピレン、アミノ樹脂、シリコン系樹脂のうち1種又は2種以上からなることが分かる。また、上記第2塗膜4は、親水性樹脂よりなると共に、膜厚が0.2〜5μmであることが分かる。
次に、得られた熱交換器用アルミニウムフィン材(試料e1〜e54、及び試料c1〜試料c12)について、プレス油を用いることなくプレス加工を行った際の、工具へのアルミの凝着性、塗膜堆積の評価を行った。
まず、上記アルミニウムフィン材に対して、9.52mmφのドローレス金型(日高製機社製)を用いて、プレス加工を施した。プレス加工の条件を表5に示す。なお、加工速度は250spm、評価ショット数は20000ショットとした。
Figure 0005281295
<凝着性>
凝着性は、プレス加工を20000ショット行った後の、ピアスパンチ表面、及び第2アイアニングパンチ表面におけるアルミ凝着面積より、下記の式を用いて評価した。
Figure 0005281295
凝着性は、評価点が10〜9点の場合を評価◎とし、評価点が8〜6点の場合を評価○とし、評価点が5〜0点の場合を評価×とし、評価が◎及び○の場合を合格、評価が×の場合を不合格とした。結果を表6〜表8に示す。
<塗膜堆積>
塗膜堆積は、プレス加工を20000ショット行った後に、金型表面を目視にて観察し、塗膜粉の堆積が確認されない場合を合格(評価○)とし、塗膜粉の堆積が認められた場合を不合格(評価×)とした。結果を表6〜表8に示す。
Figure 0005281295
Figure 0005281295
Figure 0005281295
表6、7より知られるごとく、実施例としての試料e1〜試料e54は、凝着性、塗膜堆積のいずれの項目においても良好な結果を示した。
また、第2塗膜が樹脂ビーズを本発明の好ましい範囲内で含有している場合には、凝着性の項目において、特に優れた結果を示すことがわかる。
また、プレス加工後、プレス加工部分以外の部分が親水性を有していることを確認した。
これにより、本発明によれば、プレス潤滑油を供給することなく、あるいは通常の供給量を低減しても、優れた潤滑性で、工具へのアルミの凝着及び塗膜の堆積を抑制してプレス加工を行うことができ、且つ、プレス加工後に親水性が残存している熱交換器用アルミニウムフィン材を提供することができることがわかる。
また、表8より知られるごとく、比較例としての試料c1は、第1塗膜の膜厚が本発明の下限を下回るため、潤滑性を十分に得ることができず、凝着性が不合格であった。
また、比較例としての試料c2は、第1塗膜の膜厚が本発明の上限を上回り、塗膜が脆く剥離しやすくなるため、凝着性及び塗膜堆積が不合格であった。
また、比較例としての試料c3は、第1塗膜のワックスの含有量が本発明の下限を下回るため、十分な潤滑性を得ることができず、凝着性が不合格であった。
また、比較例としての試料c4は、第1塗膜のワックスの含有量が本発明の上限を上回り、第2塗膜との密着性が悪いため、塗膜堆積が不合格であった。
また、比較例としての試料c5は、第2塗膜の膜厚が本発明の下限を下回るため、アルミニウムフィン材と工具との接触を防ぐことができず、凝着性が不合格であった。
また、比較例としての試料c6は、第2塗膜の膜厚が本発明の上限を上回り、塗膜が脆く剥離しやすくなり、塗膜堆積が不合格であった。
また、比較例としての試料c7は、第2塗膜の樹脂ビーズの粒径が本発明の好ましい範囲の上限を上回り、塗膜からビーズが脱落したため、塗膜堆積が不合格であった。
また、比較例としての試料c8は、第2塗膜の樹脂ビーズの含有量が本発明の好ましい範囲の上限を上回り、塗膜からビーズが脱落したため、塗膜堆積が不合格であった。
また、比較例としての試料c9は、親水性潤滑膜が、分子量が本発明の好ましい範囲の下限を下回る水溶性ポリエーテルからなるアルミニウム用親水性塗料よりなるため、プレス加工の際に塗膜粉が金型表面に堆積し、塗膜堆積が不合格であった。
また、比較例としての試料c10は、親水性潤滑膜の膜厚が本発明の好ましい範囲の上限を上回り、塗膜が脆く剥離しやすくなったため、塗膜堆積が不合格であった。
また、比較例としての試料c11は、親水性潤滑膜の潤滑添加剤のH.L.Bが本発明の好ましい範囲の下限を下回り、潤滑添加剤が析出分離し易く、潤滑効果が不足するため、凝着性及び塗膜堆積が不合格であった。
また、比較例としての試料c12は、親水性潤滑膜の潤滑添加剤の含有量が、本発明の好ましい範囲の上限を上回り、潤滑塗膜が凝集破壊しやすくなるため、塗膜堆積が不合格であった。
実施例1における、熱交換器用アルミニウムフィン材を示す説明図。 実施例1における、熱交換器用アルミニウムフィン材を示す説明図。
符号の説明
1 熱交換器用アルミニウムフィン材
2 基板
3 第1塗膜
4 第2塗膜

Claims (9)

  1. プレス潤滑油を供給することなプレス加工を行うことが可能な熱交換器用アルミニウムフィン材であって、
    上記アルミニウムフィン材は、アルミニウムよりなる基板と、該基板の表面に形成した第1塗膜と、該第1塗膜の表面に形成した第2塗膜とからなり、
    上記第1塗膜は、ベース樹脂にワックスを含有してなると共に、膜厚が0.2〜20μmであり、
    上記ベース樹脂は、ウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂のうち1種又は2種以上からなり、
    上記第1塗膜における上記ワックスの含有量は、0.1〜10%(質量%、以下同様)であり、
    上記ワックスは、カルナウバ、ポリエチレン、ナイロン、ポリエステル、フッ素系樹脂、ポリプロピレン、アミノ樹脂、シリコン系樹脂のうち1種又は2種以上からなり、
    上記第2塗膜は、親水性樹脂よりなると共に、膜厚が0.2〜5μmであり、
    上記第2塗膜の表面に、更に、分子量4000〜400000の水溶性ポリエーテルからなる親水性潤滑膜を形成しており、
    上記親水性潤滑膜は、H.L.B.が3〜20の範囲にある1価以上のアルコールのアルキレンオキサイド付加物、1価以上のアルコールのアルキレンオキサイド付加物のハイドロカルビルエーテル、1価以上のアルコールのアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステル、カルボン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸塩、脂肪酸アルカノールアミドのうち1種又は2種以上よりなる潤滑添加剤を、上記親水性潤滑膜の固形分全体を100%として1.0〜50%含有することを特徴とする熱交換器用アルミニウムフィン材。
  2. 請求項1において、上記第2塗膜の親水性樹脂は、フッ素系樹脂、ポリエチレン樹脂のうち1種または2種以上を含有することを特徴とする熱交換器用アルミニウムフィン材。
  3. 請求項1又は2において、上記第2塗膜は、粒径が、0.1〜30μmであると共に上記第2塗膜の厚みの1〜3倍である樹脂ビーズを、上記親水性樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部含有していることを特徴とする熱交換器用アルミニウムフィン材。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において、上記第2塗膜の親水性樹脂は、水酸基、カルボキシル基、エステル基、エーテル基のうち1種又は2種以上を含む有機樹脂を含有することを特徴とする熱交換器用アルミニウムフィン材。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項において、上記第2塗膜は、さらに、ケイ酸塩及び/又はコロイダルシリカを含有することを特徴とする熱交換器用アルミニウムフィン材。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項において、上記水溶性ポリエーテルは、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールアルキルエーテル、ポリアルキレングリコールアリールエーテル、脂肪族ポリアルキレングリコールエステル、脂肪族ポリアルキレングリコールソルビタンエステルの1種又は2種以上よりなるポリエーテル、及び上記ポリエーテルのうち1種又は2種以上のウレタン結合による重合物から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする熱交換器用アルミニウムフィン材。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項において、上記親水性潤滑膜は、膜厚が10〜200mg/m 2 であることを特徴とする熱交換器用アルミニウムフィン材。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項において、上記基板の表面には、化成皮膜あるいは耐食性樹脂皮膜よりなる下地層が形成されていることを特徴とする熱交換器用アルミニウムフィン材。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱交換器用アルミニウムフィン材に対して、フィンプレス油を供給することなくフィンプレス加工を行うことを特徴とするフィンプレス方法。
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