JP5280400B2 - ミスト発生装置 - Google Patents

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Description

本発明は、芳香及び帯電微粒子液体を放出可能なミスト発生装置に関する。
従来から、加湿装置や美顔器などのミスト発生装置では、マイクロサイズのミスト(大径ミスト)と、該マイクロミストよりも小さいナノサイズのミスト(小径ミスト)とを発生させ、これらのミストを同時に放出させることが行われている(例えば、特許文献1)。この特許文献1に記載のミスト発生装置は、供給される水をヒータで沸騰させて大径ミストを発生させる大径ミスト発生部と、静電霧化機構により小径ミストを発生させる小径ミスト発生部とを備えている。そして、発生した各ミストは、モータファンから送出される空気によって大径ミスト放出口及び小径ミスト放出口からそれぞれ放出される。なお、特許文献1では、共通のモータファンから送出される空気が大径ミスト放出口及び静電霧化機構に対して分配して供給されるようになっている。
また、近年では、芳香剤を揮発させて芳香を発生させる芳香発生部を備えたミスト発生装置が提案されている(例えば、特許文献2)。この特許文献2に記載のミスト発生装置では、芳香容器に貯留された芳香剤に対してモータファンから空気を送出することにより、芳香剤の揮発を促進させるようになっている。
特開2010−17293号公報 特開2009−232941号公報
ところで、特許文献2に記載のミスト発生装置では、モータファンから芳香容器に対して空気を送出する送気経路が、温ミストを温ミストノズルに供給する温ミスト経路や冷ミストを冷ミストノズルに供給する冷ミスト経路とは独立して設けられている。そのため、特許文献2に記載のミスト発生装置を特許文献1に記載のミスト発生装置に組み合わせた場合、大径ミスト放出口や小径ミスト放出口に対して空気を送出させるためのモータファンとは別部材構成で芳香用のモータファンを設ける必要がある。すなわち、複数のモータファンをミスト発生装置に設ける必要があるため、これらのモータファンの駆動時に生じる音が大きな騒音となって装置外部に放出される虞があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、装置から生じる音を低減しつつ、大径ミスト、小径ミスト、及び芳香を放出することができるミスト発生装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のミスト発生装置は、液体をミスト化して大径ミストを発生させる大径ミスト発生部と、静電霧化により前記大径ミストよりも小さい小径ミストを発生させる小径ミスト発生部と、芳香剤を揮発させて芳香を発生させる芳香発生部と、ファンから送出される気体を通過させる気体流路とを備えたミスト発生装置であって、前記気体流路は、主気体流路、第1の副気体流路、及び第2の副気体流路に分岐するように構成され、前記主気体流路は、前記大径ミスト発生部で発生された前記大径ミストを装置の外部に放出させる大径ミスト放出口に連通すると共に、前記第1の副気体流路は、前記小径ミスト発生部で発生された前記小径ミストを装置の外部に放出させる小径ミスト放出口に連通し、前記第2の副気体流路は、前記芳香発生部で発生された前記芳香を装置の外部に放出させる芳香放出口に連通することを特徴とする。
また、本発明のミスト発生装置において、前記大径ミスト発生部は、前記液体を加熱して前記大径ミストを発生させると共に、前記大径ミスト放出口は、前記小径ミスト放出口及び前記芳香放出口よりも上方に配置されていることを特徴とする。
また、本発明のミスト発生装置において、前記小径ミスト放出口は前記芳香放出口に対して上方で近接する位置に配置されていることを特徴とする。
また、本発明のミスト発生装置において、前記大径ミスト放出口の開口面積は前記小径ミスト放出口の開口面積よりも大きく、且つ、前記小径ミスト放出口の開口面積は前記芳香放出口の開口面積よりも大きいことを特徴とする。
また、本発明のミスト発生装置において、前記ファンは遠心ファンであって、前記第1の副気体流路は、前記遠心ファンから送出される気体を当該第1の副気体流路に取り込む第1の給気口が前記遠心ファンの回転軸に対して相対的に遠い位置に設けられると共に、前記第2の副気体流路は、前記遠心ファンから送出される気体を当該第2の副気体流路に取り込む第2の給気口が前記遠心ファンの回転軸に対して相対的に近い位置に設けられることを特徴とする。
また、本発明のミスト発生装置において、前記芳香発生部は、上方が開口した凹部を有すると共に当該凹部内に前記芳香剤を収容する芳香容器と、前記第2の副気体流路の途中位置に設けられ、前記ファンから前記第2の副気体流路を介して供給される気体を吹き出す吹き出し口とを備え、前記吹き出し口は、前記芳香容器における前記凹部の開口に対して斜め上方から対向するように配置されることを特徴とする。
また、本発明のミスト発生装置において、前記芳香発生部は、前記芳香容器から前記芳香放出口に至る前記芳香剤の通過流路を形成する流路形成部材が前記芳香容器に対して着脱可能に設けられることを特徴とする。
また、本発明のミスト発生装置において、前記芳香発生部は、前記第2の副気体流路から前記芳香容器に向けて流動する気体の流量を調整する流量調整機構を備えることを特徴とする。
本発明によれば、装置から生じる音を低減しつつ、大径ミスト、小径ミスト、及び芳香を放出することができる。
本実施形態の美容器の正面図。 図1の2−2線矢視断面図。 図2の3−3線矢視断面図。 図2の4−4線矢視断面図。 送風ファン及び空気誘導パイプの分解斜視図。 空気誘導パイプを下方から見た平面図。 図2の要部拡大図。 図2の要部拡大図。 芳香発生装置を斜め前方上側から見た分解斜視図。 芳香発生装置を斜め後方上側から見た分解斜視図。 (a)は芳香放出口が開放状態にある芳香発生装置を上方から見た平面図、(b)は芳香通過口が閉塞状態にある芳香発生装置を上方から見た平面図。
以下、本発明をミスト発生装置の一種である美容器に具体化した一実施形態を図1〜図11に従って説明する。なお、以下における本明細書中の説明において、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」をいう場合には、図中における矢印に示す方向を示すものとする。
図1に示すように、本実施形態の美容器10は、脚部11の上部に固定された全体が略球状の筐体12を有している。筐体12の内部には、美容器10を構成する各種の機構部品が収容されると共に、その筐体12の前面には、正面視円形の凹部12aが形成されている。
筐体12の凹部12a内において美容器10の使用者と対向することになる面部位には、マイクロサイズのミスト(以下、「大径ミスト」と示す)が放出される大径ミスト放出口13が設けられている。本実施形態において、大径ミストは、液体としての水を沸騰させて発生させた比較的高温(本実施形態では約40℃)の温ミストとされている。大径ミスト放出口13の周囲には、大径ミスト放出口13から放出される大径ミストの進行方向をガイドすると共に、使用者が誤って大径ミスト放出口13に触れないようにする略ラッパ状に形成されたカバー13aが設けられている。また、カバー13aの周辺には、カバー13aを筐体12に対して上下方向及び左右方向に回動可能な角度調整部材12bが、はめ込まれるように配設されている。これにより、大径ミスト放出口13は、角度調整部材12bが使用者により回動操作されることによって、大径ミストを放出させる方向を調整可能となっている。
また、筐体12の凹部12a内において美容器10の使用者と対向することになる面部位のうちで大径ミスト放出口13の下方には、大径ミストより小さい帯電微粒子液体としてのナノサイズのミスト(以下、「小径ミスト」と示す)が放出される小径ミスト放出口14が設けられている。本実施形態において、小径ミストは、おおよそ1〜数十nmの大きさのミストとされているとともに、大径ミストよりも温度が低くなっている。なお、大径ミスト放出口13の開口面積は小径ミスト放出口14の開口面積よりも大きく設計されている。
また、筐体12の凹部12a内において小径ミスト放出口14の下方に隣接する位置には、芳香(香り)を上方に向けて放出する芳香放出口15が形成されている。この芳香放出口15は、その芳香放出口15から放出される芳香(香り)が小径ミスト放出口14から放出される小径ミストと交わるように、小径ミスト放出口14よりも前方(使用者側)に形成されていることになる。なお、小径ミスト放出口14の開口面積は芳香放出口15の開口面積よりも大きく設計されている。
筐体12の頂上部には、使用者が美容器10を動作させる際に操作する押しボタン式の電源スイッチ16が配設されている。電源スイッチ16は、美容器10のオンオフ操作を行うものである。また、図2に示すように、電源スイッチ16の後方には、規定量(約60ml)の水を貯留する貯留タンク17が筐体12の内部に収容された状態で配置されている。具体的に説明すると、貯留タンク17は、筐体12の上方に開口するように配設されたタンクホルダ18に対し、上下(垂直)方向に挿入及び取出し可能に収納されている。また、筐体12の左右両側面には、美容器10を持ち運びするための取手19が取着されている。
次に、貯留タンク17から供給される水を加熱して大径ミストを発生させる機構について説明する。
図2に示すように、本実施形態の貯留タンク17は、内部に水を貯留可能な下向きに開口するタンク本体20と、当該タンク本体20下端開口を閉塞する蓋となるキャップ21とから構成されている。キャップ21の底部21aの略中央位置には、液体供給口としての開口部22が開口形成されている。また、貯留タンク17が着脱されるタンクホルダ18の下端部には、筒状をなす連結部材23の一端が接続されると共に、その連結部材23の他端には、中空状をなす給水パイプ24がはめ込むようにして接続されている。
給水パイプ24は、耐熱性を備えた弾性材料(例えば、シリコンゴムやフッ素ゴム)によって構成されている。そして、給水パイプ24は、連結部材23に対する接続部の近傍となる部位から左方(図2では奥手方向)に向けて略直角に屈曲した筒状をなすように形成されている。また、図3に示すように、給水パイプ24において連結部材23に対する接続部とは反対側の端部は、上下方向に延びる有底略円筒状に形成された貯留部25の下端部に接続されている。
なお、給水パイプ24は、貯留タンク17に接続される側の端部の方が、貯留部25に接続される側の端部よりも僅かに高い位置となるように配置されている。すなわち、給水パイプ24は、貯留タンク17側から貯留部25側に向けて僅かに下り勾配となるように配置されている。そのため、貯留タンク17から連結部材23を介して給水パイプ24内に流入される水は、給水パイプ24内を重力に従って流下した後、貯留部25に向けて流出されるようになっている。
また、筐体12内において貯留部25の側方となる位置には、貯留タンク17から供給された水をヒータ26で加熱して沸騰させるための沸騰室27が設けられている。そして、この沸騰室27の下端部に対して円筒状の連通部28の先端が接続されると共に、その基端が貯留部25の底部に接続されることにより、貯留部25と沸騰室27とが連通されている。そして、給水パイプ24を介して貯留部25に供給された比較的低温の水は、貯留部25内に貯留されている水と混合された後、連通部28を介して沸騰室27に供給されるようになっている。
沸騰室27は、その内部空間が上下方向を長手方向とすると共に前後方向を短手方向とし且つ左右方向を厚さ方向とする薄い略直方体形状をなし、その上下方向に沿う左側の内側面は沸騰室27の左側に上下方向に沿って立設された薄い平板状のヒータ26の右側面である加熱面26aで構成されている。ヒータ26は、例えば、PTC(Positive Temperature coefficient)素子からなる。そして、連通部28を介して沸騰室27に供給された水は、沸騰室27内でヒータ26により加熱されることにより大径ミスト化されるようになっている。そして、本実施形態では、沸騰室27及びヒータ26によって、供給される水を沸騰させて大径ミストを発生させる大径ミスト発生部としての大径ミスト発生機構29が構成されている。
図4に示すように、沸騰室27の上方には、当該沸騰室27にて発生された大径ミストを誘導する略円筒状のミスト誘導筒30の一端が接続されている。また、ミスト誘導筒30の他端には、大径ミストを前方に向けて誘導する吐出パイプ31の一端が接続されている。また、図2に示すように、吐出パイプ31の他端には、蛇腹部材32の一端が接続されると共に、蛇腹部材32の他端は、角度調整部材12bの内面に密着するように固定されている。蛇腹部材32は、例えば、シリコンゴム等の軟質材料によって形成されている。なお、角度調整部材12bに形成された大径ミスト放出口13は、蛇腹部材32の内側に配置されるようになっている。そして、本実施形態では、ミスト誘導筒30、吐出パイプ31、及び蛇腹部材32によって、大径ミスト発生機構29にて発生した大径ミストを通過させるミスト経路33が構成されている。
次に、発生させた大径ミスト、小径ミスト、及び芳香を各放出口13,14,15から放出させるための流動性のある空気を供給する機構について説明する。
図2及び図4に示すように、筐体12の内部における下方寄りの位置であって且つ当該筐体12における前後方向の略中央となる位置には遠心式の送風ファン34が配設されている。送風ファン34は、筐体12の底面に形成された図示しない吸気口から空気を吸入した後、吸入した空気を上方に向けて送出するようになっている。
図5に示すように、送風ファン34を収容するファンケース35は、前側に位置するベース部材36に取り付けられた送風ファン34を後方側から覆うように、平面視で略U字状をなす蓋部材37をベース部材36に組み付けることにより枠体状をなすように構成されている。そして、ファンケース35において送風ファン34の空気の送出口38が開口される側の端部(図5では上端部)には、送風ファン34から送出される空気を誘導する空気誘導パイプ39の一端が接続されている。
図5及び図6に示すように、空気誘導パイプ39は、略四角筒状をなすと共に、当該空気誘導パイプ39の内部は、送風ファン34の空気の送出口38に対して上下方向に対向する空間域が仕切り壁40によって前後に仕切られている。仕切り壁40は、送風ファン34の空気の送出口38に対して上下方向で対向する空間域のうち、送風ファン34の回転軸側となる右方寄りの空間域を前後に仕切るように配置されている。そして、本実施形態では、この仕切り壁40によって仕切られた前後2つの空間域のうち、後側に位置する空間域が後述する主空気流路(主気体流路)41の一部を構成する空気管路42となる一方で、前側に位置する空間域が後述する第1の副空気流路(第1の副気体流路)43の一部を構成する空気管路44となっている。
また、ファンケース35は、ベース部材36において送風ファン34の空気の送出口38における右方寄りの端部に対して上下方向で対向する位置に後述する第2の副空気流路(第2の副気体流路)45の一部を構成する空気管路46の給気口(第2の給気口)45aが形成されている。そして、空気管路46は、送風ファン34の空気の送出口38から送出された空気を、この給気口45aを通じて取り込んだ後、取り込んだ空気を前方に誘導するようになっている。
なお、空気誘導パイプ39は、仕切り壁40によって前後に仕切られる空気管路42(主空気流路41の一部)及び空気管路44(第1の副空気流路43の一部)の下方側の開口部が、送風ファン34の空気の送出口38から送出される空気を各々の空気管路42,44を介して主空気流路41及び第1の副空気流路43に取り込む給気口41a,43aとなっている。そして、本実施形態では、主空気流路41の給気口41aの開口面積が第1の副空気流路43の給気口43aの開口面積よりも大きく設計されると共に、第1の副空気流路43の給気口43aの開口面積が第2の副空気流路45の給気口45aの開口面積よりも大きく設計されている。また、第2の副空気流路45の給気口45aは、第1の副空気流路43の給気口(第1の給気口)43aよりも右方となる位置であって且つ送風ファン34の回転軸に対してより近接した位置に配置されている。
また、図2に示すように、空気誘導パイプ39においてファンケース35が接続される側とは反対側の自由端側は、ミスト経路33を構成する吐出パイプ31の内側に配設されている。そして、空気誘導パイプ39の主空気流路41は、大径ミストが通過されるミスト経路33の内側に配設されている。すなわち、ミスト経路33は、空気誘導パイプ39の主空気流路41を囲繞するように配置されている。そのため、大径ミストより低温の空気が通過される主空気流路41(空気誘導パイプ39)により、ミスト経路33内の大径ミストが冷却されるようになっている。また、主空気流路41とミスト経路33との温度差により、空気誘導パイプ39の外面(ミスト経路33側)に結露が発生することとなる。そして、空気誘導パイプ39の外面に結露した水は、ミスト経路33を通じて沸騰室27側に還流されるようになっている。
なお、空気誘導パイプ39の自由端面に開口する空気吐出口39aは、大径ミスト放出口13から円筒状に立設されたミストガイド12cの内側に臨むように配置されている。そして、本実施形態では、空気誘導パイプ39の空気管路42及びミストガイド12cが、大径ミスト放出口13に連通する主空気流路41を構成している。また、ミストガイド12cの内面と空気誘導パイプ39の自由端側の外面との間には、微小な隙間からなる微小導入口S1(図7参照)が形成されている。また、空気誘導パイプ39において、ファンケース35に接続される側(一端側)の前方側面には取付孔47が形成されると共に、当該取付孔47には、小径ミストを発生させる小径ミスト発生部としての静電霧化機構48が挿入されている。
図7に示すように、静電霧化機構48には、針状に形成された放電電極49が配設されると共に、当該放電電極49と対向する位置には、中央に空気が通過可能な通風孔50が設けられた略平板状の対向電極51が配設されている。そして、放電電極49と対向電極51との間には、高電圧が印加されるようになっている。また、放電電極49と対向電極51との間の空間域には、空気管路44が連通している。また、空気誘導パイプ39側に配設された放電電極49には、ペルチェユニット(ペルチェ素子)52の冷却面が接触するように配置されている。そして、放電電極49は、ペルチェユニット52によって強制的に冷却されるようになっている。一方、ペルチェユニット52の冷却面と反対側の放熱面は、空気管路42内に配置されている。また、ペルチェユニット52の放熱面には、金属(例えば、アルミニウムや銅)からなる放熱フィン53が取着されている。放熱フィン53は、空気管路42の内部に露出するように配置されている。そのため、ペルチェユニット52の放熱面からの放熱は、空気管路42を通過する空気によって放熱フィン53が空冷されることにより促進されるようになっている。
そして、上記の静電霧化機構48では、放電電極49がペルチェユニット52によって冷却されることにより、放電電極49の表面に結露が生じる。そして、放電電極49と対向電極51との間に高電圧が印加されることによって、放電電極49の表面に結露した水にレイリー分裂を起こさせて静電霧化させることにより、小径ミストが発生されるようになっている。このように発生された小径ミストの大きさは、おおよそ1〜数十nmであり、人体の角質層表面の隙間から浸透することにより、人体の皮膚に潤いとハリを与えることが知られている。
静電霧化機構48は、空気誘導パイプ39に取着されるホルダ機構54によって保持されている。ホルダ機構54には、前方(小径ミスト放出口14)に向かって延びる円筒状のホルダ部55が設けられている。ホルダ部55の内側には、静電霧化機構48で発生された小径ミストを小径ミスト放出口14に誘導する略円筒状の小径ミストパイプ56が配設されている。小径ミストパイプ56は、一端が静電霧化機構48に接続されると共に、他端が小径ミスト放出口14に接続されている。そして、本実施形態では、空気誘導パイプ39の空気管路44及び小径ミストパイプ56によって、小径ミスト放出口14に連通する第1の副空気流路43が構成されている。また、静電霧化機構48で発生された小径ミストは、空気管路44を通過される空気と両電極49,51の間で混合されると共に、小径ミストパイプ56を通過して小径ミスト放出口14から放出されるようになっている。
また、図8に示すように、ベース部材36の上端部には、空気管路46の排気部46aが、ベース部材36の前面から前方に突出した略円筒状をなすように設けられている。また、空気管路46の排気部46aには、空気管路46からの空気の排気口を構成する小径筒部57と、当該小径筒部57を囲繞するように小径筒部57よりも大径の大径筒部58とが形成されている。すなわち、空気管路46の排気部46aは、小径筒部57及び大径筒部58によって二重壁構造をなすように構成されている。そして、大径筒部58には、送風パイプ59の一端がはめ込むようにして接続されている。そのため、空気管路46からの空気の排気口を構成する小径筒部57は、送風パイプ59の内面との間に隙間を介在させた状態で送風パイプ59の一端側の開口に対して接続されている。
また、送風パイプ59は、ベース部材36側から前方に向けて略水平に延出されると共に、その途中位置から前方斜め下方に向けて屈曲するように構成されている。そして、送風パイプ59は、空気管路46の排気部46aを通じて送出された空気を前方に誘導するようになっている。また、送風パイプ59においてベース部材36が接続される側とは反対側の自由端側はホルダ機構60に対して接続されている。ホルダ機構60には、芳香放出口15を有する芳香発生部としての芳香発生装置61が装着されるようになっている。そして、本実施形態では、ベース部材36の空気管路46及び送風パイプ59によって、芳香放出口15に連通する第2の副空気流路45が構成されている。
図8に示すように、ホルダ機構60には、前方斜め上方に向かって延びる略円筒状のホルダ部62が設けられている。そして、ホルダ部62の内側に芳香発生装置61が装着されている。また、ホルダ部62の下端部には、ホルダ部62の後面から後方斜め上方に向かって延びる円筒部63が形成されると共に、当該円筒部63の上端側の開口を閉塞するように蓋部64が設けられている。そして、蓋部64によって閉塞される円筒部63の内側には、芳香発生装置61をホルダ部62に対して相対移動不能に係止させる係止機構65が設けられている。なお、蓋部64には、円筒部63の内側に臨む面の略中央となる部位に凸部64aが形成されている。
係止機構65は、円筒部63の延設方向に沿って変位する略円柱状をなす変位部材66と、当該変位部材66を円筒部63の内奥側に向けて付勢するコイルスプリング67とを備えている。変位部材66には、円筒部63の内奥側に挿入される面に対して矢尻状の係止部66aが形成されている。また、変位部材66には、係止部66aが形成された面とは反対側の面に凹部66bが形成されている。そして、蓋部64の凸部64aと変位部材66の凹部66bの底面との間にコイルスプリング67が介設されている。
一方、芳香発生装置61の下端部の側面には、変位部材66の係止部66aに対して係合可能な被係止部68が形成されている。そして、芳香発生装置61がホルダ部62に対して装着された場合、コイルスプリング67によって前方斜め下方に付勢された変位部材66の係止部66aが芳香発生装置61の被係止部68に対して係合する結果、芳香発生装置61がホルダ部62に対して相対移動不能に係止されるようになっている。
次に、芳香発生装置61について、図9及び図10に基づき説明する。
図9及び図10に示すように、芳香発生装置61は、芳香剤を内部に貯留する芳香容器としての平面視略横長楕円形状に形成された受皿69と、当該受皿69から揮発した芳香剤の通過流路を形成する同じく平面視略横長楕円形状に形成された流路形成部材70とを備えている。受皿69の上面には、斜め上方に開口した凹部69aが形成されると共に、当該凹部69aの内部に芳香剤が貯留されるようになっている。なお、受皿69の凹部69aは、開口縁の近傍部位の内面が滑らかに湾曲した形状をなしている。
流路形成部材70の底面における長手方向の一方側の端部には、流路形成部材70の底面から下方に向けて延出したフック部71が形成されている。フック部71の先端側の外側面には突起71aが形成されている。一方、受皿69の側面には、フック部71の突起71aと略同一の形状をなす係止孔72が形成されている。そして、流路形成部材70を受皿69に対して上方側から組み付けると、フック部71の突起71aが受皿69の係止孔72に対して係合されることにより、流路形成部材70が受皿69に対して連結されるようになっている。
また、流路形成部材70は、受皿69との連結部の近傍となる位置であって且つ流路形成部材70の側面の下端寄りとなる位置に、円形状をなす貫通孔73が流路形成部材70の内外を貫通するように形成されている。また、貫通孔73は、芳香発生装置61がホルダ部62に装着された状態(図8参照)において、ホルダ部62における送風パイプ59側からの空気の吹き出し口59aに対して連通する位置に形成されている。また、流路形成部材70の内部は、略楕円板状をなす仕切り板74によって、芳香放出口15側となる上方側の空間域と受皿69側となる下方側の空間域とに仕切られている。そして、上記の貫通孔73は、流路形成部材70の内部における受皿69側の空間域に連通している。
仕切り板74の略中央部には、受皿69の凹部69aの開口から放出された芳香を受皿69側の空間域から芳香放出口15側の空間域に向けて通過させるための円形状をなす芳香通過口75が形成されている。また、仕切り板74には、芳香通過口75よりも前方となる部位に、略扇形状をなすガイド孔76が仕切り板74の外周面に沿うように形成されている。ガイド孔76は、流路形成部材70の内部における芳香放出口15側の空間域と受皿69側の空間域とを連通させるように、仕切り板74を上下方向に貫通している。
また、仕切り板74において、芳香通過口75を挟んでガイド孔76とは反対側となる部位の側端面には、略扇形状をなすスリット77が仕切り板74の長手方向の略全域に亘って延びるように形成されている。スリット77は、流路形成部材70の側面に形成された貫通孔73に対して近接する位置に配置されている。また、スリット77は、流路形成部材70の内部における芳香放出口15側の空間域と受皿69側の空間域とを連通させるように、仕切り板74を上下方向に貫通している。そして、スリット77には、薄板状をなす流量調整機構としてのフィルタ部材78が、略楕円板状をなすフィルタ部79を受皿69側の空間域に挿入させるようにして挿通されている。
フィルタ部材78のフィルタ部79は、長手方向の一方側の部位に略円形状をなす通気孔80が形成されている。なお、この通気孔80は、流路形成部材70に形成された貫通孔73と略同一の形状をなすように構成されている。また、フィルタ部材78のフィルタ部79は、長手方向の他方側の部位が流路形成部材70に形成された貫通孔73よりも若干大きな湾曲面を有する湾曲面部81をなすように構成されている。そして、フィルタ部材78は、フィルタ部79がスリット77に挿入された場合に、フィルタ部79に形成された通気孔80と流路形成部材70に形成された貫通孔73とが略同一の高さに位置するように構成されている。なお、流路形成部材70の内部における芳香放出口15側の空間域に配置されるフィルタ部材78の上端部には、凹溝82が形成されている。
また、流路形成部材70の内部における仕切り板74の上方には、フィルタ機構83が配設されている。フィルタ機構83は、同一の形状を有する一対のフィルタユニット84,85によって構成されている。これら一対のフィルタユニット84,85は、それぞれ略半円板状をなすように構成されると共に、各々のフィルタユニット84,85における略矩形状の端面84a,85aを対向させるようにして配置されている。そして、各フィルタユニット84,85の端面84a,85a同士が当接すると、両フィルタユニット84,85間における隙間が閉塞されるようになっている。なお、各フィルタユニット84,85における長手方向の一方側の端縁から延出された延出部84b,85bには、略矩形状をなす貫通孔84c,85cが各フィルタユニット84,85を上下方向に貫通するように形成されている。
また、フィルタ機構83の上方には、レバー部材86が配設されている。レバー部材86は、図11に示すように、平面視において流路形成部材70の外郭内に収まる大きさの円環部87と、当該円環部87から円環部87の径方向外側に延出したレバー部88とを有している。円環部87の開口部87aは、仕切り板74に形成された芳香通過口75と略同一の形状をなしている。また、円環部87の下面には、略円柱状をなす二つのボス部89a,89bが下方に向けて突出するように形成されている。これらのボス部89a,89bは、円環部87の開口部87aの中心位置とレバー部88とを結ぶ直線上となる位置であって、且つ円環部87の開口部87aの中心位置を中心として互いに180度ずれた位置に配置されている。
そして、これらのボス部89a,89bのうち、レバー部88に近接した位置に設けられたボス部89aは、フィルタユニット84に形成された貫通孔84cを挿通した後に、仕切り板74に形成されたガイド孔76に対して係合するようになっている。一方、これらのボス部89a,89bのうち、レバー部88から離間した位置に設けられたボス部89bは、フィルタユニット85に形成された貫通孔85cを挿通した後に、フィルタ部材に形成された凹溝82に対して係合するようになっている。
また、流路形成部材70には、内部に収容したフィルタ部材78、フィルタ機構83、及びレバー部材86を上方側から覆うように、扁平な有底略楕円状をなすキャップ部材90が取着されている。なお、キャップ部材90の前側面には、キャップ部材90の下端面から上方に切り欠かれた凹部91が、キャップ部材90の長手方向に沿って延びるように形成されている。そして、キャップ部材90は、レバー部材86のレバー部88を凹部91に対して挿入させた状態で、流路形成部材70の上方側の開口を閉塞させるように流路形成部材70に対して組み付けられる。そのため、キャップ部材90の凹部91によって、レバー部材86のレバー部88の可動域が確保されるようになっている。
次に、芳香発生装置61の動作について説明する。
さて、図11(a)に示すように、レバー部88がキャップ部材90の凹部91内における右方寄りに位置するように、レバー部材86が配置されているとする。この場合、レバー部材86の円環部87に設けられた2つのボス部89a,89bのうち、レバー部88寄りの位置に設けられたボス部89aは、レバー部材86の円環部87の中心位置よりも右方側に配置される。そして、このボス部89aは、ガイド孔76における右端寄りの位置に挿入された状態となる。また、このボス部89aが挿入されたフィルタユニット84の延出部84bも、当該ボス部89aと同様にしてガイド孔76における右端寄りの位置に配置される。
一方、レバー部材86の円環部87に設けられた2つのボス部89a,89bのうち、レバー部88から離間した位置に設けられたボス部89bは、レバー部材86の円環部87の中心位置よりも左方側に配置される。そして、このボス部89bが挿入されたフィルタ部材78は、スリット77における左端寄りの位置に挿入された状態となる。また、このボス部89bが挿入されたフィルタユニット85の延出部85bも、フィルタ部材78と同様にしてスリット77における左端寄りの位置に配置される。
この場合、フィルタ機構83を構成する両フィルタユニット84,85は、各々のフィルタユニット84,85の端面84a,85a同士が左右方向に離間した位置に配置される。そのため、仕切り板74の芳香通過口75は、両フィルタユニット84,85によって遮蔽されない状態となっている。その結果、流路形成部材70の内部は、受皿69側の空間域と芳香放出口15側の空間域とが、開放状態にある仕切り板74の芳香通過口75を通じて互いに連通した状態となっている。
また、フィルタ部材78のフィルタ部79においては、通気孔80が形成された部位が流路形成部材70の側面に形成された貫通孔73と対応する位置に配置される。そのため、流路形成部材70の内部における受皿69側の空間域は、通気孔80及び貫通孔73を通じて送風パイプ59の吹き出し口59aに対して連通している。
そして、送風ファン34から空気管路46及び送風パイプ59を通じて供給される空気は、流路形成部材70に形成された貫通孔73、及びフィルタ部材78に形成された通気孔80を通じて流路形成部材70における受皿69側の空間域に導入される。また、同空間域に導入された空気は、受皿69の凹部69aの開口に対して斜め上方から流入することにより、受皿69の凹部69a内に滞留した芳香剤を受皿69の凹部69aの開口を通じて前方斜め上方に向けて放出させる。さらに、受皿69の凹部69aから放出された芳香剤は、開放状態にある芳香通過口75、及びレバー部材86の円環部87の開口部87aを通じて芳香放出口15から装置の外部に放出される。
ここで、レバー部材86のレバー部88が図11(a)に示す状態から時計回り方向に回動操作されたとする。すると、レバー部材86のボス部89aは、ガイド孔76の内面に摺動ガイドされつつ、同図においてガイド孔76における左端寄りの位置に向けて移動する。また、このボス部89aが挿入されたフィルタユニット84の延出部84bも、当該ボス部89aと同様にしてガイド孔76における左端寄りの位置に向けて左方に移動する。一方、レバー部材86のボス部89bが挿入されたフィルタ部材78は、スリット77の側面に摺動ガイドされつつスリット77における右端寄りの位置に向けて移動する。すると、レバー部材86のボス部89bが挿通されたフィルタユニット84の延出部84bも、フィルタ部材78と同様にしてスリット77における右端寄りの位置に向けて右方にスライド移動する。そして、フィルタ機構83を構成する両フィルタユニット84,85は、各々の端面84a,85a同士が次第に接近するようにスライド移動することにより、仕切り板74の芳香通過口75の開口面積が次第に減少する。
また、図11(b)に示すように、レバー部88がキャップ部材90の凹部91内における左端寄りの位置まで到達すると、フィルタ機構83を構成する両フィルタユニット84,85は、各々の端面84a,85a同士が互いに密着することにより、仕切り板74の芳香通過口75がフィルタ機構83によって閉塞される。すると、流路形成部材70の内部における受皿69側の空間域と芳香放出口15側の空間域とがフィルタ機構83によって遮断される。その結果、受皿69の凹部69aから揮発した芳香剤が芳香放出口15を通じて装置の外部に放出されることがなくなる。
また同時に、フィルタ部材78のフィルタ部79においては、湾曲面部81が流路形成部材70の側面に形成された貫通孔73と対応する位置に配置される。そのため、流路形成部材70の内部における受皿69側の空間域は、フィルタ部79の湾曲面部81によって送風パイプ59の吹き出し口59aに対して遮断された状態となる。
すると、送風ファン34から空気管路46及び送風パイプ59を通じて芳香発生装置61側に空気が流入したとしても、送風パイプ59の吹き出し口59aから流路形成部材70の内部への空気の流入はフィルタ部材78のフィルタ部79によって遮られる。そのため、送風パイプ59の吹き出し口59aから受皿69の凹部69aの開口に対して空気が送風されることはないため、受皿69の凹部69a内に貯留された芳香剤の揮発が促進されることはない。
また、送風パイプ59の吹き出し口59aから流路形成部材70の内部における受皿69側の空間域に対して空気が導入されることはないため、当該受皿69側の空間域における内圧が高まることが回避される。そのため、流路形成部材70の内部においては、受皿69側の空間域に充満した芳香剤が芳香放出口15側の空間域に対して流出し、更には、当該芳香放出口15側の空間域から芳香放出口15を通じて装置の外部に漏洩することが抑制される。
次に、上記のように構成された美容器10の作用について、特に、送風ファン34から送風される空気を大径ミスト放出口13、小径ミスト放出口14、及び芳香放出口15に対して分散して供給する際の作用に着目して以下説明する。
さて、本実施形態の美容器10では、沸騰室27にて加熱された大径ミストが大径ミスト放出口13に対して導出される。この場合、大径ミスト放出口13に導出される高温の大径ミストは、十分に冷却された上で大径ミスト放出口13を通じて装置の外部に放出されることが望ましい。そのため、送風ファン34は、主空気流路41を通じて大径ミスト放出口13に対して大きな風量の空気を供給する必要がある。
また、放電電極49から対向電極51への放電の際には、放電電極49と対向電極51との間の空間域にオゾンが発生することがある。この場合、発生したオゾンは、十分に濃度を低減させた上で小径ミスト放出口14を通じて装置の外部に放出されることが望ましい。そのため、送風ファン34は、第1の副空気流路43を通じて小径ミスト放出口14に対して、オゾン濃度を希釈させるのに十分な風量の空気を供給する必要がある。なお、送風ファン34が小径ミスト放出口14に対して供給すべき空気の風量は、送風ファン34が大径ミスト放出口13に対して供給すべき空気の風量よりも少量となっている。
一方、芳香放出口15から放出される芳香は、小径ミスト放出口14から放出される小径ミストの流れに乗って使用者の位置まで到達する。すなわち、送風ファン34は、小径ミスト放出口14を通じて小径ミストを放出させる場合とは異なり、芳香が芳香放出口15を通じて使用者に到達する程の大きな風量の空気を第2の副空気流路45を通じて芳香放出口15に対して供給する必要がない。そのため、送風ファン34が芳香放出口15に対して供給すべき空気の風量は、送風ファン34が小径ミスト放出口14に対して供給すべき空気の風量よりも少量となっている。
また、送風ファン34から送出された空気を大径ミスト放出口13に供給する主空気流路41は、送風ファン34から送出された空気を小径ミスト放出口14に供給する第1の副空気流路43よりも流路長が長くなるように構成されている。そのため、送風ファン34から送出される空気が主空気流路41を流動する際に受ける圧力損失は、送風ファン34から送出される空気が第1の副空気流路43を流動する際に受ける圧力損失よりも大きくなる。したがって、送風ファン34が主空気流路41に対して導入すべき空気の風量は、送風ファン34が第1の副空気流路43に対して導入すべき空気の風量よりも大きくなる。
また同様に、送風ファン34から送出された空気を小径ミスト放出口14に供給する第1の副空気流路43は、送風ファン34から送出された空気を芳香放出口15に供給する第2の副空気流路45よりも流路長が長くなるように構成されている。そのため、送風ファン34が第1の副空気流路43に対して導入すべき空気の風量は、送風ファン34が第2の副空気流路45に対して導入すべき空気の風量よりも大きくなる。
この点、本実施形態では、送風ファン34は、相対的に大きな開口面積を有する主空気流路41の給気口41aに対して、相対的に小さな開口面積を有する第1の副空気流路43の給気口43aよりも大きな風量の空気を導入する。また同様に、送風ファン34は、相対的に大きな開口面積を有する第1の副空気流路43の給気口43aに対して、相対的に小さな開口面積を有する第2の副空気流路45の給気口45aよりも大きな風量の空気を導入する。
なお、各空気流路41,43,45に空気を導入する遠心式の送風ファン34は、当該送風ファン34の回転軸から離間するに連れて送出口38から送出される空気の流速が次第に増大する構成となっている。そして、本実施形態では、第1の副空気流路43の給気口43aは、送風ファン34の空気の送出口38において回転軸に対して離間した左端寄りの部位、すなわち、相対的に高い流速の空気が送出される部位に対して上下方向に対向する位置に配置されている。一方、第2の副空気流路45の給気口45aは、送風ファン34の空気の送出口38において回転軸に対して近接した右端寄りの部位、すなわち、相対的に低い流速の空気が送出される部位に対して上下方向に対向する位置に配置されている。そのため、送風ファン34から第1の副空気流路43の給気口43aに導入される空気の風量は、送風ファン34から第2の副空気流路45の給気口45aに導入される空気の風量よりもなお一層大きくなっている。
ところで、本実施形態では、大径ミスト放出口13は、小径ミスト放出口14及び芳香放出口15よりも開口面積が大きく構成されている。そのため、大径ミスト放出口13から放出される高温のミストは大気によってむらなく冷却される。したがって、送風ファン34から送風される空気に対して混合した大径ミストが、流路長の短いミストガイド12cを通じて大径ミスト放出口13から放出された場合であっても、こうした大径ミストは大気によって十分に冷却される。
また、小径ミスト放出口14は、芳香放出口15よりも開口面積が大きく構成されている。そのため、送風ファン34から第1の副空気流路43を通じて供給された空気が小径ミスト放出口14を通過する際に受ける圧力損失は、送風ファン34から第2の副空気流路45を通じて供給された空気が芳香放出口15を通過する際に受ける圧力損失よりも大きくなる。その結果、送風ファン34から第1の副空気流路43に導入される空気は小径ミスト放出口14を通じて速やかに放出されるため、第1の副空気流路43を流動する空気の風量が確保される。したがって、静電霧化機構48が第1の副空気流路43の途中位置に発生させるオゾンは、第1の副空気流路43を流動する空気と混合されて十分に希釈された状態で小径ミスト放出口14から放出される。
したがって、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)送風ファン34は、主空気流路41、第1の副空気流路43、及び第2の副空気流路45を通じて大径ミスト放出口13、小径ミスト放出口14、及び芳香放出口15に空気を送風する。すなわち、単一の送風ファン34が大径ミスト放出口13、小径ミスト放出口14、及び芳香放出口15に空気を送風する。そのため、複数の送風ファン34を設ける場合と比較して、装置全体の小型化や軽量化を図ることができると共に、送風ファン34の駆動に伴う騒音を低減できる。
(2)大径ミスト放出口13は、小径ミスト放出口14及び芳香放出口15よりも上方に配置されている。そのため、大径ミスト放出口13から放出される高温の大径ミストが、大気中を上方に上昇して小径ミストや芳香に対して混合されることが回避される。したがって、大径ミストが小径ミストに結合して小径ミストの大きさを増大させたり、或いは、大径ミストが芳香を吸着して芳香作用を低下させたりすることを抑制できる。
(3)小径ミスト放出口14は、芳香放出口15に対して上方で隣接する位置に配置されている。そのため、芳香放出口15から放出される芳香は、小径ミスト放出口14から放出される小径ミストの流れに乗って放出される。したがって、芳香放出口15から大きな風量の空気を放出させない場合であっても、芳香を使用者に対して十分に行き届かせることができる。
(4)大径ミスト放出口13は、小径ミスト放出口14及び芳香放出口15よりも開口面積が大きく構成されている。そのため、大径ミスト放出口13から放出される高温の大径ミストは、大気によってむらなく高効率に冷却される。したがって、大径ミスト放出口13から大径ミストを放出する際に、大径ミスト放出口13から放出する空気の風量を低減することができる。また、送風ファン34から送風される空気に対して混合した大径ミストを、大径ミスト放出口13を通じて速やかに放出させた場合であっても、こうした大径ミストは大気によって十分に冷却される。したがって、送風ファン34から送風される空気と大径ミストとが混合される部位から大径ミスト放出口13に至る流路の長さを短縮できるため、装置全体の小型化に寄与することができる。
(5)小径ミスト放出口14は、芳香放出口15よりも開口面積が大きく構成されている。そのため、小径ミスト放出口14から放出される空気の流量が十分に確保されるため、静電霧化の際に生じるオゾンの濃度を十分な流量の空気によって希釈させた状態で小径ミスト放出口14から放出させることができる。
(6)第1の副空気流路43の給気口43aが送風ファン34の回転軸に対して相対的に遠い位置に設けられると共に、第2の副空気流路45の給気口45aが送風ファン34の回転軸に対して相対的に近い位置に設けられている。そのため、送風ファン34から送出される空気が各空気流路43,45に分配して供給される際に、相対的に大きな風量を必要とする第1の副空気流路43には流速の高い空気が導入される一方で、相対的に小さな風量を必要とする第2の副空気流路45には流速の低い空気が導入される。すなわち、送風ファン34から各空気流路43,45に流入する空気の風量は各々の空気流路43,45に適した風量となるように調整される。そのため、送風ファン34が各空気流路43,45に対して過大な風量の空気を供給することが回避されるため、少ないファン回転数で送風ファン34から各空気流路43,45に対して必要な風量を供給することができる。
(7)送風パイプ59の吹き出し口59aは、受皿69の凹部69aの開口に対して斜め上方から対向するように配置されている。そのため、送風パイプ59の吹き出し口59aから供給される空気は、芳香剤の上面に滞留する飽和蒸気層に向けて送出される。そして、芳香剤の表面から飽和蒸気層が取り払われると、芳香剤の揮発が促進される。そのため、少ない風量で芳香剤を十分に揮発させて芳香放出口15から放出させることができる。
(8)芳香発生装置61は、受皿69から芳香放出口15に至る芳香の通過流路を形成する流路形成部材70が受皿69に対して着脱可能に設けられている。そのため、流路形成部材70を受皿69から取り外して容易に洗浄することができる。
(9)芳香発生装置61のフィルタ部材78は、送風ファン34から第2の副空気流路45を通じて流路形成部材70の内部に流入する空気の流量を調整可能に構成されている。そのため、フィルタ部材78が流路形成部材70の内部への空気の流入を制限した場合、流路形成部材70の内部における受皿69側の空間域に生じる空気の流動が低減されることにより、受皿69からの芳香剤の揮発が抑制される。したがって、流路形成部材70の内部における受皿69側の空間域に滞留する芳香剤の濃度が過大となることを回避できる。 (10)芳香発生装置61のフィルタ部材78は、受皿69よりも空気の流動方向の上流側に設けられている。そのため、フィルタ部材78を受皿69よりも空気の流動方向の下流側に設ける場合とは異なり、フィルタ部材78が空気の流動を制限した場合に、流路形成部材70の内部における受皿69側の空間域に空気が渦を巻くように流動して芳香剤の揮発を促進させることはほとんどない。その結果、流路形成部材70の内部から装置の外部に対して芳香が漏洩することを低減できる。したがって、流路形成部材70の内部における受皿69側の空間域での芳香剤の濃度の変動が抑制されるため、当該空間域における芳香剤の濃度調整を容易ならしめることができる。
(11)主空気流路41と第1の副空気流路43とを仕切る仕切り壁40は、送風ファン34の空気の送出口38に対して上下方向に対向する空間域のうち、相対的に流速の低い空気が流動する空間域に配置されている。そのため、相対的に流速の高い空気が流動する空間域に仕切り壁40を設ける場合と比較して、仕切り壁40によって空気の風切音が発生することを抑制できる。
(12)芳香発生装置61は、レバー部材86のレバー部88の回動操作に伴って、フィルタ機構83が仕切り板74の芳香通過口75を閉塞させると同時に、フィルタ部材78が流路形成部材70の側面に形成された貫通孔73を閉塞させる。そのため、仕切り板74の芳香通過口75が閉塞された状態で、送風パイプ59の吹き出し口59aから流路形成部材70の内部における受皿69側の空間域に空気が流入されることが回避される。そのため、流路形成部材70の内部における受皿69側の空間域の内圧が高まることに伴って、当該空間域から装置の外部に芳香が漏洩することを抑制できる。
(13)受皿69の凹部69aは、開口縁の近傍部位の内面が滑らかに湾曲した形状をなしている。そのため、受皿69に対して振動が伝播したとしても、受皿69の凹部69aの開口から芳香剤が飛散することを抑制できる。
(14)空気管路46の排気部46aは、小径筒部57及び大径筒部58によって二重壁構造をなすように構成されている。そのため、美容器10が転倒した場合であっても、受皿69に貯留された芳香剤が送風パイプ59及び空気管路46を通じて送風ファン34に至るまで逆流することを抑制できる。
なお、上記実施形態は、以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・上記実施形態において、送風パイプ59を流動する空気の流量を調整する流量調整弁を送風パイプ59の途中位置に設ける構成としてもよい。この場合、流量調整弁は、送風パイプ59から流路形成部材70の内部に流入する空気の流量を調整する流量調整機構として機能する。
・上記実施形態において、流路形成部材70は、受皿69に対して一体的に成型される構成としてもよい。
・上記実施形態において、送風パイプ59の吹き出し口59aは、受皿69の凹部69aの開口と略同一の高さに位置してもよいし、受皿69の凹部69aの開口よりも下方に位置してもよい。
・上記実施形態において、第1の副空気流路43の給気口43aは、第2の副空気流路45の給気口45aよりも送風ファン34の回転軸に近接する位置に配置される構成としてもよい。
・上記実施形態において、大径ミスト放出口13、小径ミスト放出口14、及び芳香放出口15の開口面積の大きさの順序は任意に設計してもよい。また、これらの放出口13,14,15のうち、少なくとも一部の放出口の開口面積の大きさを統一するように設計してもよい。
・上記実施形態において、大径ミスト放出口13、小径ミスト放出口14、及び芳香放出口15の高さの順序は任意に設計してもよい。また、これらの放出口13,14,15のうち、少なくとも一部の放出口の高さを統一するように設計してもよい。例えば、小径ミスト放出口14が芳香放出口15に対して左右方向に隣接して配置される構成としてもよい。
・上記実施形態において、第1の副空気流路43は、主空気流路41から分岐させるように構成してもよい。また、第2の副空気流路45は、主空気流路41又は第1の副空気流路43から分岐させる構成としてもよい。
・上記実施形態において、送風ファン34は遠心ファンに限定されず、軸流ファンを用いてもよい。
・上記実施形態において、ヒータ26により大径ミストを発生させる大径ミスト発生機構29に代えて、超音波振動にて水をミスト化する装置や静電霧化装置を用いてミスト化する装置等を用い、温ミストを発生させるようにしてもよい。
・上記実施形態において、本発明を美容器10に具体化したが、加湿器などに具体化してもよい。
10…ミスト発生装置としての美容器、13…大径ミスト放出口、14…小径ミスト放出口、15…芳香放出口、29…大径ミスト発生部としての大径ミスト発生機構、34…送風ファン(ファン)、41…主気体流路としての主空気流路、43…第1の副気体流路としての第1の副空気流路、43…給気口(第1の給気口)、45…第2の副気体流路としての第2の副空気流路、45a…給気口(第2の給気口)、48…小径ミスト発生部としての静電霧化機構、59a…吹き出し口、61…芳香発生部としての芳香発生装置、69…芳香容器としての受皿、69a…凹部、78…流量調整機構としてのフィルタ部材。

Claims (8)

  1. 液体をミスト化して大径ミストを発生させる大径ミスト発生部と、
    静電霧化により前記大径ミストよりも小さい小径ミストを発生させる小径ミスト発生部と、
    芳香剤を揮発させて芳香を発生させる芳香発生部と、
    ファンから送出される気体を通過させる気体流路と
    を備えたミスト発生装置であって、
    前記気体流路は、主気体流路、第1の副気体流路、及び第2の副気体流路に分岐するように構成され、
    前記主気体流路は、前記大径ミスト発生部で発生された前記大径ミストを装置の外部に放出させる大径ミスト放出口に連通すると共に、
    前記第1の副気体流路は、前記小径ミスト発生部で発生された前記小径ミストを装置の外部に放出させる小径ミスト放出口に連通し、
    前記第2の副気体流路は、前記芳香発生部で発生された前記芳香を装置の外部に放出させる芳香放出口に連通することを特徴とするミスト発生装置。
  2. 請求項1に記載のミスト発生装置において、
    前記大径ミスト発生部は、前記液体を加熱して前記大径ミストを発生させると共に、
    前記大径ミスト放出口は、前記小径ミスト放出口及び前記芳香放出口よりも上方に配置されていることを特徴とするミスト発生装置。
  3. 請求項2に記載のミスト発生装置において、
    前記小径ミスト放出口は前記芳香放出口に対して上方で近接する位置に配置されていることを特徴とするミスト発生装置。
  4. 請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載のミスト発生装置において、
    前記大径ミスト放出口の開口面積は前記小径ミスト放出口の開口面積よりも大きく、且つ、前記小径ミスト放出口の開口面積は前記芳香放出口の開口面積よりも大きいことを特徴とするミスト発生装置。
  5. 請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載のミスト発生装置において、
    前記ファンは遠心ファンであって、
    前記第1の副気体流路は、前記遠心ファンから送出される気体を当該第1の副気体流路に取り込む第1の給気口が前記遠心ファンの回転軸に対して相対的に遠い位置に設けられると共に、
    前記第2の副気体流路は、前記遠心ファンから送出される気体を当該第2の副気体流路に取り込む第2の給気口が前記遠心ファンの回転軸に対して相対的に近い位置に設けられることを特徴とするミスト発生装置。
  6. 請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載のミスト発生装置において、
    前記芳香発生部は、
    上方が開口した凹部を有すると共に当該凹部内に前記芳香剤を収容する芳香容器と、
    前記第2の副気体流路の途中位置に設けられ、前記ファンから前記第2の副気体流路を介して供給される気体を吹き出す吹き出し口と
    を備え、
    前記吹き出し口は、前記芳香容器における前記凹部の開口に対して斜め上方から対向するように配置されることを特徴とするミスト発生装置。
  7. 請求項6に記載のミスト発生装置において、
    前記芳香発生部は、前記芳香容器から前記芳香放出口に至る前記芳香剤の通過流路を形成する流路形成部材が前記芳香容器に対して着脱可能に設けられることを特徴とするミスト発生装置。
  8. 請求項6又は請求項7に記載のミスト発生装置において、
    前記芳香発生部は、前記第2の副気体流路から前記芳香容器に向けて流動する気体の流量を調整する流量調整機構を備えることを特徴とするミスト発生装置。
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